JP2013524799A - 組換えトロンビンの生産方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、折り畳まれたプレトロンビンを生産する方法であって、少なくとも1種のカオトロピック化合物および少なくとも1種の有機ジスルフィド化合物を含む可溶化バッファー中で、折り畳まれていないプレトロンビンまたはその誘導体を含む封入体が可溶化される方法に関する。本発明はさらに、トロンビンおよびα−トロンビンおよびその誘導体を生産する方法に関する。本発明はまた、本発明の方法により生産することができる折り畳まれたタンパク質を含む溶液に関する。

Description

本発明は、封入体から折り畳まれたプレトロンビンおよびトロンビンを生産する方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法により生産される折り畳まれたタンパク質を含む溶液も提供する。
血液凝固カスケードの中心的酵素はセリンプロテアーゼであり、チモーゲンとして知られるやや大きい不活性前駆体として肝臓で合成される。それらには、第II因子とも呼ばれる、トロンビンの不活性前駆体であるプロトロンビンが含まれる。トロンビンは、血液凝固カスケードおよび線維素溶解において中心的役割を果たす。この血液凝固における中心的機能により、トロンビンはヒトの医療への使用にとって興味深いものとなっている。トロンビンは、例えばできるだけ速やかに創傷部を閉じるための薬剤として長らく用いられてきた(非特許文献1、2)。
また、トロンビンは他の多くのプロセスにも関与する。例えば、トロンビンはプロトロンビン活性化の停止および線維素溶解の開始を誘導する(非特許文献3)。さらに、トロンビンが胚発生、発癌、血圧調節、アルツハイマー病および創傷治癒プロセスに関与していることが様々な研究によって示されている(非特許文献4、5)。その高い多機能性のためにトロンビンは医学的使用およびバイオテクノロジー的使用に関して極めて興味深い活性化合物である。トロンビンは融合タンパク質の切断に、従って、精製およびアッセイタグの除去に用いられる(非特許文献6)。
そのキモトリプシン、トリプシンおよびエラスターゼなどの他のプロテアーゼとの相同性に基づいて、トロンビンはセリンプロテアーゼに分類されている。セリンプロテアーゼは同じ触媒機構を共通に持つ。セリンプロテアーゼの活性中心は、それらに典型的なセリン−ヒスチジン−アスパラギン酸の触媒三残基を特徴とする。トロンビンは、ジスルフィド結合によって互いに結合されたA鎖とB鎖の2鎖からなる。トロンビンの、短い方のA鎖は膵臓酵素のトリプシン、キモトリプシンおよびエラスターゼと共通の特徴を示さない。他方、これらのセリンプロテアーゼのB鎖は3つのさらなる分子内ジスルフィド結合を有し、ほとんど同じである(非特許文献7〜10)。全てのセリンプロテアーゼと同様に、トロンビンも本質的に、6本のストランドを有する2つのβ折り畳み片からなり、それぞれが共に巻かれてバレル様構造を形成している。V形のA鎖は活性中心の反対側の、より大きなB鎖に沿ってくぼんだ溝状に延びている。
会合したチモーゲンプロトロンビン(72kDa)は、Glaドメインと、2つのカールしたドメインとA鎖およびB鎖とからなる(非特許文献11、12)。これら2つのA鎖およびB鎖は、活性なタンパク質においてはジスルフィド結合を介して結合している。プロトロンビンはArg271−Thr272の間とArg320−Ile321の間でプロトロンビナーゼ複合体により切断される。それによりN末端は除去され、A鎖とB鎖は互いに分離される。この活性化の順序によって、種々の中間生成物、メイゾトロンビンおよびプレトロンビン−2が形成される(非特許文献13)。
活性化合物としての組換えトロンビン(rh−トロンビン)の使用は、現在市場にあるウシおよびヒト血漿から得られる製品の適当な代替である。一方、rh−トロンビンを用いれば、例えばHIVおよびB型肝炎などの感染性疾患の伝達のリスクを最小限に抑えることができる。他方、これは内因性α−トロンビンと非常によく似た特徴を持つ活性化合物であるので、ヒトにおいて免疫応答がほとんど見込まれない。さらに、高細胞密度発酵法では一般に極めて高い生成物収量が達成できるので、組換え生産では従来の方法と比べて相当なコストの削減が期待される。
真核生物および原核細胞におけるα−トロンビンの組換え生産のための種々の方法は文献に記載されている。これらの方法のほとんどでは、α−トロンビンは不活性な前駆体分子プレトロンビン−2から得られ、最初のメタロプロテアーゼエカリンによるクロマトグラフィー精製工程の後に活性化される(非特許文献14〜16)。例えば、ザイモジェネティクス社(ZymoGenetics Inc.)は真核生物CHO細胞におけるrh−トロンビンの生産方法を開発したが、この方法ではプレトロンビン−1が出発前駆体分子として用いられる。
哺乳類細胞における組換えタンパク質の生産は一般にコストも時間もかかり、生成物収量も多くない。既知の真核生物発酵法では、25〜140mg/l発酵培地の生成物収量が達成される。この場合、目的タンパク質であるプレトロンビン−2は培地に分泌される(非特許文献14、15)。
これらの重要なパラメーターを改善するためには、原核生物の生産が代替法となる。
非特許文献16は、大腸菌(Escherichia coli)におけるプレトロンビン−2の発現方法を、これに続く可溶化および折り畳みのための工程とともに開示している。折り畳まれた天然プレトロンビン−2の低い生成物収量が達成されたに過ぎない。真核生物発現系で達成される収量と比較して、非特許文献16に記載された方法は不利であることが分かる。非特許文献16に記載されている方法では、Triton(登録商標)X−100またはBrij(登録商標)−58などの界面活性剤が用いられる。
特許文献1は、折り畳まれたトロンビンを生産する方法を開示している。この方法は、大腸菌での発現、封入体の取得および可溶化バッファー中でのその可溶化を含む。例えばTween(登録商標)、Brij(登録商標)またはTriton(登録商標)などの界面活性剤をさらに用いる。
特開2002−306163号公報
Zymogenetics, Inc. "Annual Report on Form 10−K For the Year Ended December 31, 2003" 2003 Nakajima et al. Ann. Thorac. Surg. 2005 79: 1793−1794 Esmon & Jackson Journal of Biological Chemistry. 1974 249(24): 7791−7797 Grand et al. Biochemical Journal." 1996 313(2): 353−368 Tsopanoglou & Maragoudakis Journal of Biological Chemistry. 1999 274(34): 23969−23976 Jenny et al., Protein Expression and Purification, 2003 31(1): 1−11 Bode et al. Protein Science. 1992 1(4): 426−471 Stubbs & Bode Thrombosis Research. 1993 69(1): 1−58 Stubbs & Bode Trends Biochem Sci. 1995 Jan; 20(1):23−8 Review. Erratum in: Trends Biochem Sci 1995 Mar; 20(3):131 Hiller 2003,ビーレフェルト大学の理学博士号を取得するための学位論文 Butenas & Mann Biochemistry, Moscow, Russian Federation, 2002, 67(1): 3−12 Rosing et al. Journal of Biological Chemistry, 1986 261: 4224−4228 Russo et al., 1997, Protein Expr. Purif., 10(2):214−25 Yonemura et al., 2004, J. Biochem. (Tokyo), 135(5):577−82 Soejima et al., Journal of Biochemistry, 2001, 130(2): 269−277
発明の目的
本発明は、上記の欠点を克服する折り畳まれたプレトロンビンおよびトロンビンの生産方法を提供するという目的に基づく。
本発明は、特に、実施が容易で、高収量を達成するトロンビンおよびプレトロンビンの生産方法を開発するという目的に基づく。
本明細書において、本方法は、折り畳まれたプレトロンビンおよびトロンビンを高収量かつ高純度で生産することを可能としなければならない。本方法は好ましくは原核生物発現系を用いるべきである。
発明の対象:
驚くことにこの目的は特許請求の範囲に記載される方法によって達成される。
本発明は、折り畳まれたプレトロンビンまたはその誘導体を生産する方法であって、折り畳まれていないプレトロンビンまたはその誘導体を含む封入体が、少なくとも1種のカオトロピック化合物および少なくとも1種の有機ジスルフィド化合物を含む可溶化バッファー中で可溶化される方法を提供する。
本発明の方法は、ヒトプレトロンビンの生産および精製に役立つ。好ましくはプレトロンビン−2が用いられる。このタンパク質は309個のアミノ酸を有し、分子量は35,485.5Daである。アミノ酸配列を図3に示す。ヒトプレトロンビンは切断されて、295個のアミノ酸を有し、分子量が33,810.7Daであるα−トロンビンとなり得る。この配列ならびにA鎖およびB鎖を図4に示す。
本発明によれば、プレトロンビンの誘導体も使用可能である。これらはそのプロセシングを受けた形態がトロンビン様活性、特にプロテアーゼ活性を有する誘導体である。プレトロンビンの誘導体は、それをタンパク質分解切断することにより活性なトロンビン誘導体を得ることができる、対応する前駆体ポリペプチドである。誘導体は特に、アミノ酸の突然変異、欠失または挿入により、またはそのポリペプチドの化学修飾により得ることができるものである。好ましくは、これらの誘導体は野生型タンパク質と80%を超える、90%を超えるまたは95%を超える配列同一性を有する。これらの誘導体は、一ポリペプチド鎖につき少なくとも1つのシステインを有し、全て天然システインであることが好ましい。当業者ならば、本発明の方法が一般にプレトロンビンの誘導体を用いても実施可能であることが分かるであろう。ペプチド前駆体の折り畳みと切り離しの後に、トロンビンまたはα−トロンビンの対応する誘導体が得られる。従って、これらの方法に関して以下に述べられ、プレトロンビン、トロンビンおよびα−トロンビンについて言及される内容は、これらのポリペプチドの誘導体にも同様に当てはまる。従って、以下の概説では、「プレトロンビン」という用語は、「プレトロンビンまたはプレトロンビンの誘導体」と同等と考えることができる。このことはトロンビンとα−トロンビンにも同様に当てはまる。
本発明の方法では、封入体が可溶化される。封入体(IB: inclusion bodies)は、通常、欠陥のあるまたは不完全な折り畳みのタンパク質の集積体である。封入体は細胞、例えば、大腸菌(E. coli)などの細菌細胞内で、組換えタンパク質の過剰発現の事象として生じる。本発明に従って用いられる封入体は、好ましくは、折り畳まれたプレトロンビンを高純度で含む。このことは、封入体が少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80または少なくとも90重量%のプレトロンビン(タンパク質総量に対する)を含有することを意味する。
可溶化バッファーは、ジスルフィド化合物を含む。ジスルフィド化合物は封入体のポリペプチドのシステインのチオール基(−SH)と混合ジスルフィドを形成し得る。ジスルフィドをこの溶液に加える。ジスルフィドは、封入体がジスルフィド結合を含む、また、含む可能性があるタンパク質を表さない。好ましくは、ジスルフィドは真のペプチドではない。好ましくは、ジスルフィドは低分子量化合物である。分子量は例えば2,000g/mol未満または1,000g/mol未満である。ジスルフィドは例えば5mM〜1M、特に10mM〜0.5Mの濃度で用いられる。
本発明の好ましい実施形態では、ジスルフィド化合物はジスルフィドグルタチオンである。グルタチオン(GSH)は(γ−L−グルタミル−L−システイニルグリシンとも)、グルタミン酸、システインおよびグリシンの3つのアミノ酸から形成されるプソイドトリペプチドである。GSHは原核生物および真核生物の双方の細胞質に存在し、ジスルフィド結合の形成に関与する。GSHは、ジスルフィド結合を含む二量体GSSGと平衡状態にある。グルタチオンは、ジスルフィド交換反応において2つのポリペプチドまたは単一のポリペプチドからシステイン由来のR−SHおよびR’−SHと反応する。
R−SH + GSSG → R−S−S−G + GSH
RSSGは混合ジスルフィドと呼ばれる。RSSGはポリペプチドのさらなるシステインと反応し、結果として、2つのシステイン間にジスルフィド結合が得られる。
R−S−S−G + HS−R’ → R−S−S−R’ + GSH
グルタチオンは、サイトゾル内で酵素的に還元型(GSH)で維持される。従って、サイトゾル内で「還元状態」であるとみなされる。この状態は可溶化バッファー中で確立され、その結果、それが含むジスルフィド化合物は上記の反応に従ってジスルフィド結合の形成を触媒する。GSSGは、例えば10mM〜0.5Mの濃度で用いられる。
可溶化バッファーは少なくとも1種のカオトロピック物質を含む。水中の規則的な水素結合を解く化学物質はカオトロピック剤と呼ばれる。水素結合が開裂されるので、カオトロピック剤は水構造に干渉し、無秩序状態を確保する(エントロピーの増大)。この理由は、溶媒和に必要なHOのケージ構造の形成が妨げられるためである。アミノ酸の場合、タンパク質折り畳みの駆動力は水中での疎水性アミノ酸の会合であることから、カオトロピック剤は疎水効果を低減し、タンパク質に対して変性作用を持つ。従って一般に、可溶化バッファー中で疎水効果を発揮し、従って、タンパク質に対して変性作用を持つ物質はいずれもカオトロピック物質として使用可能である。カオトロピック物質は一般に塩(えん)、または尿素などの低分子量化合物である。カオトロピック物質は、分子内にアルキル基などの疎水基を含まないことから、界面活性剤とは明確に区別される。一般に、カオトロピック作用はタンパク質、この場合にはプレトロンビンの溶解度の向上を伴う。
本発明の好ましい実施形態では、カオトロピック化合物はグアニジニウム塩、特にグアニジニウム塩酸塩およびグアニジニウムチオシアン酸塩、ヨウ化物、バリウム塩、チオシアン酸塩、尿素および過塩素酸塩から選択される。
カオトロピック化合物は、従来の量で用いられる。例えば、4〜8Mグアニジニウム塩酸塩または4〜9M尿素が使用可能である。
本発明の好ましい実施形態では、可溶化バッファーはTrisバッファーである。本発明の好ましい実施形態では、封入体内のタンパク質の−SH基と混合ジスルフィドを形成し得る試薬はGSSGであり、カオトロピック物質はグアニジニウム塩酸塩である。
可溶化バッファーは従来の添加剤、例えばEDTAまたは塩をさらに含んでもよい。可溶化バッファーのpHは例えば6〜11の間、好ましくは7〜10の間である。可溶化は好ましくは、例えば従来のホモジナイゼーション装置または超音波の手段によるなど、機械的に補助される。可溶化の後、残留する固体を分離することが好ましい。上清が可溶化プレトロンビンを含む。
本発明の好ましい実施形態では、封入体は、原核細胞におけるプレトロンビンの組換え発現によって得られたものである。本発明の好ましい実施形態では、原核生物宿主細胞は細菌、好ましくは大腸菌である。本発明の好ましい実施形態では、細菌は、好ましくはpSCIL008由来のプラスミドで形質転換された、大腸菌JM108(DSMZ 5585;3.3.2006)である。
好ましくは、可溶化後に、過剰なジスルフィド化合物が除去される。この試薬の除去は好ましくは、バッファー交換のための方法を用いて、すなわち、透析、クロマトグラフィーまたはタンジェンシャルフロー・フィルトレーションによって行われる。
本発明の好ましい実施形態では、可溶化プレトロンビンは、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の折り畳み補助剤および二価の陽イオンを含有する復元バッファー中で復元される。本発明の好ましい実施形態では、可溶化物は、数回に分けて、連続的に数日かけて折り畳みバッチに添加される。好ましくは、可溶化物は、可溶化物に対して急速希釈を行うことによる「パルス復元」にて添加する。これに関しては、例えば、24時間間隔で6パルスを行うことができる。パルス回数は、可溶化バッチの添加後に、折り畳まれていないタンパク質の濃度が高すぎないように設定する(そうでなければ凝集塊が得られるため)。例えば、1回のパルス当たり約0.1g/lのタンパク質が新たに折り畳みバッチに移行する(可溶化物の添加後の折り畳みバッチ中のタンパク質濃度に基づく)。このようにして、折り畳みバッチ中で0.6g/lのタンパク質終濃度を達成することができる。
本発明の好ましい実施形態では、還元剤は有機モノスルフィドである。ここでは、グルタチオン(GSH)の使用が好ましい。GSH/GSSG混合物も使用可能である。
本発明の好ましい実施形態では、折り畳み補助剤はアルギニンおよびグリセロールから選択される。タンパク質の折り畳みを促進する化合物は一般に、「折り畳み補助剤」として使用可能である。このような化合物は当業者に公知である。このような化合物は種々の方式で折り畳みを補助することができる。アルギニンは不適切な折り畳みの中間体を脱安定化し、これによりこれらは少なくとも部分的に折り畳みが再び解かれ(熱力学的閉塞状態から)、従って、再び適切に折り畳まれ得ると仮定される。他方、グリセロールは通常、タンパク質を安定化する。折り畳み補助剤を用いない方法に比べて、本発明の方法において折り畳まれたプレトロンビンの絶対収量を5%超、特に10%超または20%超(折り畳みに用いたプレトロンビンの総量に基づく)高める化合物が折り畳み補助剤として特に好適である。
復元バッファーは二価の陽イオンを含む。カルシウム塩、特に塩化カルシウムの使用が好ましい。復元バッファーは好ましくはTrisバッファーである。
復元は好ましくは、6〜12の間、特に7〜11の間のpHで行われる。
好ましい実施形態では、折り畳まれたプレトロンビンまたはその誘導体を生産する方法は、以下の工程:折り畳まれていないプレトロンビンまたはその誘導体を含む封入体を、少なくとも1種のカオトロピック化合物および少なくとも1種の有機ジスルフィド化合物を含む可溶化バッファー中で可溶化させる工程と、続いて、可溶化されたプレトロンビンまたはその誘導体を、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の折り畳み補助剤、および二価の陽イオンを含む復元バッファー中で復元させる工程(なお、この可溶化バッファーおよび復元バッファーは共に界面活性剤を含まない)とを含む。
従って、本発明の好ましい実施形態では、可溶化バッファーおよび/または復元バッファーは界面活性剤を含まない。本発明によれば、界面活性剤の使用はプレトロンビンの可溶化および/または折り畳みに必要ではないことが判明した。このことは有利である。何故なら、ある種の界面活性剤は、医薬製剤が含むべきではない、または少量でしか含むべきではない比較的攻撃的な物質であるため、費用のかかる方法で除去しなければならないためである。従って、本発明の方法は、タンパク質を折り畳むのにこのような攻撃的な界面活性剤(Triton(登録商標)X−100またはBrij(登録商標)−58)を用いる非特許文献16の方法に比べて有利である。
この好ましい界面活性剤の不在は、上記で言及した可溶化バッファーおよび復元バッファーに対してだけでなく、用いられるあらゆる試薬および方法に対しても当てはまる。言い換えれば、本発明の生産方法全体に界面活性剤は使用されず、従って、本生産方法は界面活性剤フリーである。これは、折り畳まれたプレトロンビンの生産とこの折り畳まれたプレトロンビンからのトロンビンの生産の双方の態様について言える。
驚くことに、本発明の方法を用いれば高い復元収率が達成される。例えば、封入体の総プレトロンビンに対して最大25%の復元収率を達成することが可能となった。好ましくは、少なくとも10%または少なくとも20%の復元収率が達成される。タンパク質終濃度は例えば0.6g/lであり得る。生産中に大量の折り畳みを避けるには、0.1〜2g/lの間、特に、0.3g/l超が好ましい。
可溶化とその後の復元を伴う本発明の方法を実施することにより、折り畳まれたプレトロンビンの水溶液が得られる。折り畳まれたプレトロンビンはその後、既知の方法によってさらに精製することができる。
本発明によれば、クロマトグラフィー精製、特に、疎水性相互作用クロマトグラフィーの手段によるクロマトグラフィー精製がさらなる精製に特に有利であることが判明した。使用カラムは例えば、GEヘルスケア社(GE Healthcare)のフェニルセファロースHPであり得る。HICクロマトグラフィーは、好ましくは高塩バッファー中1.15Mの濃度の硫酸アンモニウムの存在下で行われる。これらの条件下で段階的勾配の手段による溶出において70〜95%の生成物収率が達成可能であることが判明した。
好ましくは、精製は、ヒルディンに基づくアフィニティークロマトグラフィーにより行われない。好ましくは、本発明の方法では、ヒルディンに基づくアフィニティークロマトグラフィーを用いた精製工程は行われない。
好ましくは、復元されたプレトロンビンは、特に小型の毒液プロテアーゼ、好ましくはエカリンを用いた酵素的タンパク質分解によりトロンビンに変換される。セリンプロテアーゼエカリンは、プレトロンビン−2のアルギニン320およびイソロイシン321の位置でA鎖とB鎖の間のペプチド結合を切断する。このようにして形成されたトロンビンは、その固有のN末端の自己触媒的切り離しによりα−トロンビンとなる。本発明の方法では、インキュベーション時間が十分であれば、このように、トロンビンが中間生成物として得られ、α−トロンビンが最終産物として得られる。自己触媒的切断が完全でなければ、トロンビンとα−トロンビンの混合物が得られる。以下、「トロンビン」という用語は、この混合物も表す。エカリンと類似の機能性を有するプロテアーゼもまたタンパク質分解切断に使用可能である。好ましくは、プロテアーゼは2U/ml未満、好ましくは1U/ml未満、または0.5U/ml未満の濃度で用いられる。
好ましくは、トロンビンおよび/またはα−トロンビンは、タンパク質分解後にクロマトグラフィーにより精製される。好ましくは、この精製は疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC: hydrophobic interaction chromatography)により行われる。プロセス手順中にα−トロンビンによって起こる自己溶解産物の形成(プレトロンビン−2の活性化後の比較的長い保存中に自然に形成され得る)が重要であることが分かった。α−トロンビンとその自己溶解産物のpI値は実質的に同じであるので、イオン交換クロマトグラフィー(IEX: ion exchange chromatography)によるこれらの生成物に関連する不純物の除去は困難であることが分かっている。代わりに疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いたところ、より好適な除去効果が顕著に見られた。従って、本発明によれば、復元後の折り畳まれたプレトロンビンに対する、また、プレトロンビンのタンパク質分解切断後のトロンビンに対するHICの手段による精製を行うことが好適である。一般に、水溶液中での切断型プレトロンビン、または水溶液中でのトロンビンまたはα−トロンビンのHICによる精製には、請求項1の特徴を備えた、封入体から折り畳まれたプレトロンビンを生産する具体的な本方法に限定されない利点がある。よって、本発明はまた、一般に、折り畳まれたプレトロンビンまたはトロンビンまたはα−トロンビンを含む水溶液の、HICの手段による精製を提供する。
本発明の好ましい実施形態では、得られたトロンビンの、HICの手段による精製の他、さらなるクロマトグラフィー精製工程が行われる。好ましくは、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)が用いられる。この手段によれば、内毒素、DNAおよび宿主細胞タンパク質(HCP: host cell proteins)の含量を最小限に抑えることができる。
ダイアフィルトレーションは、その後の活性化合物の濃縮と合わせて、このプロセス手順の最後に配備することができる。しかしながら、トロンビンの純度および濃度をさらに高めるための、他の既知の方法も使用可能である。
α−トロンビンの保存安定性に関する試験では、アミノ酸および塩の添加が自己溶解を抑えると同時に、4℃で少なくとも3か月にわたってα−トロンビンの安定性を保証することが示された。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の方法は以下の工程を含む:
a)原核細胞での組換えプレトロンビンの発現およびプレトロンビン含有封入体の単離、
b)少なくとも1種のカオトロピック物質、および封入体中のタンパク質の−SH基と混合ジスルフィドを形成し得るジスルフィド化合物を含む好適な可溶化バッファーと封入体との混合、
c)過剰なジスルフィドの除去、
d)少なくとも1種の還元剤、折り畳み補助剤、および二価の陽イオンを含む好適な界面活性剤非含有バッファー中での復元、
e)復元されたプレトロンビンの精製、
f)活性型への切断、および
g)トロンビンおよび/またはα−トロンビンの単離および精製。
本発明の好ましい実施形態では、工程b)において、封入体と好適なバッファー(10mM〜0.5MのGSSG、4〜8Mのグアニジニウム塩酸塩(GuaHCl)および0.1〜10mMのEDTAを含み、中性〜塩基性の範囲のpHを持つ)との1:4〜1:19比(1gのIBペースト+4mlの可溶化バッファー)での混合を行う。
本発明の好ましい実施形態では、工程b)において、封入体と好適なバッファー(0.12MのGSSG、5Mのグアニジン塩酸塩(GuaHCl)および1mMのEDTAを含み、中性〜やや塩基性領域のpHを持つ)とが1:9比で混合される。
本発明の好ましい実施形態では、工程c)において、3〜8M、好ましくは5Mグアニジン塩酸塩、酸性pH(pH3.0)中でのバッファー交換による、混合ジスルフィド形成のための過剰な試薬の除去が達成される。
本発明の好ましい実施形態では、工程d)のパルス復元は、好適な界面活性剤非含有バッファー(0.1〜3mMのGSH、0.1〜2Mのアルギニン、0.001〜1MのCaCl、0.1〜50mMのEDTAおよび1〜40%のグリセロールを含み、中性〜やや塩基性のpHを持つ)中、0.01〜1.0g/lのタンパク質(パルス1回当たりの折り畳みバッチ中のタンパク質濃度に基づく)で行われる。
本発明の好ましい実施形態では、工程d)は、0.1g/lの可溶化物を好適な界面活性剤非含有バッファー(0.75mMのGSH、1Mのアルギニン、50mMのCaCl、1mMのEDTAおよび20%のグリセロールを含み、中性〜やや塩基性のpHを有する)で急速希釈することにより行われ、折り畳みバッチのタンパク質濃度は1回のパルス当たり0.1g/lだけ増加し、各場合24時間の間隔で6パルスが行われる。
本発明は、工業的規模でトロンビンを生産するための新規な原核生物法を記載し、この場合、既知の方法に比べて、プレトロンビン収量は数倍高まり、従って、経費およびコストは顕著に削減される。この収量増加は特に新規な可溶化および復元方法によって達成される。
SDS−PAGEゲルにおける、復元後のプレトロンビン−2の純度を示す。プレトロンビン−2の復元はタンパク質終濃度0.6g/lまでパルス復元法により行った。最大25%の復元収率が達成された。クーマシー染色を行ったSDS−PAGEゲルで復元バッチを示す。 疎水性相互作用クロマトグラフィー(Toyopearl(登録商標)Butyl−650S)によるα−トロンビンの精製を示す。濾過したエカリン切断バッチ(4.5ml+4.5mlの高塩バッファー:2M硫酸アンモニウム、50mMリン酸バッファーpH6.0)を4ml HICカラム(Tricorn(登録商標)5/200)で精製した。平衡化は50%高塩バッファーで行い、溶出は20CVから50mMリン酸バッファーpH6.0への直線勾配により行った。 プレトロンビン−2のアミノ酸配列、構造および重要な特性を示す。 α−トロンビンのアミノ酸配列、構造および重要な特性を示す。
実施例1:rh−プレトロンビン−2の発現
rh−プレトロンビン−2の発現に用いる細菌宿主大腸菌JM108(DSMZ 5585;F thiΔ(lac−proAB) end A1 gyrA96 relA1 phx hsdR17 supE44 recA)はプロリン栄養要求性であり、この栄養要求性はpSCIL048と呼ばれるプラスミドを用いることで無効となった。プラスミドpSCIL048はプラスミドpSCIL008に基づくものである(国際公開第05/061716号参照)。この株はチアミンを合成できない(Vieira & Messing, 1982 Gene. Oct;19(3):259−68)。プレトロンビン−2はpSCIL048上にあるtacプロモーターの制御下で発現される。ここで用いたベクターpSCIL048は、カナマイシン耐性を有する高コピープラスミドである。発現は定義された無機塩培地で行い、IPTGの添加により誘導される。プレトロンビン−2はサイトゾル内に封入体(IB)の形態で堆積する。
バイオマス生産は37℃で行った。この発酵の目的は、次のプロセス工程のために生成物およびバイオマスを得ることであった。発酵プロセス中、目的タンパク質の過剰発現をモニタリングするために、誘導前と誘導後にサンプルをSDS−PAGEの手段により分析した。バイオマス特異的なタンパク質濃度の増加は誘導3時間後までに見られた。
実施例2:細胞の破壊と封入体(IB)の調製
目的タンパク質プレトロンビン−2の発現はIBの形態で起こる。細胞の破壊とIBの調製は標準プロトコールに従って行い、実験室規模でおよそ200gのバイオマスまで増やすことができる。
実施例3:可溶化と復元
本発明の至適化された復元プロトコールで、混合ジスルフィドに基づいて再折り畳みを行った。
混合ジスルフィドの調製では、IBを1gのIBペースト+9mlの可溶化バッファー(5M GuaHCl;0.1M Tris−HCl;1mM EDTA;0.1M GSSGを含む、pH8.5)の比率でホモジナイズし、室温で3時間可溶化した。50,000×gで30分の遠心分離工程の後、遊離GSSG/GSH混合物を分離するために5M GuaHCl;1mM HCl pH3.0中で再緩衝工程を行った。
50,000×gで30分の遠心分離工程(任意)の後、遊離GSSG/GSH混合物を分離するために、5M GuaHCl(3〜8M)、1mM HCl pH3.0(その後、可溶化物を折り畳みバッチに直接加えない場合は、酸性pHが重要である)中で再緩衝工程を行った。
パルス復元は、可溶化物を折り畳みバッファー(1Mアルギニン、50mM Tris、50mM CaCl、1mM EDTA、20%グリセロール、0.75mM GSH pH8.5)で急速希釈することにより行った(好ましくは、24時間間隔で最大6パルスを行った)。1回のパルス当たり0.1g/lのタンパク質が新たに折り畳みバッチに移行した(可溶化物の添加後の折り畳みバッチ中のタンパク質濃度に基づく)。折り畳みタンク内で0.6g/lのタンパク質終濃度が達成された。
図1は、復元後の生成物の純度を示す。この方法により、25%の復元収率(折り畳みバッチ中に導入された可溶化物の量に基づく)が達成された。
実施例4:プレトロンビン−2の精製
ダイアフィルトレーションの手段による交換の際には比較的高い収量損失が起こったことから、代わりに硫酸アンモニウムを添加した(好ましくは、終濃度1.15M)。沈殿を遠心分離の手段により分離し、上清をHICカラム(好ましくは、フェニルセファロースHP、GEヘルスケア社)に適用し、次いで、所望のバッファーにてプレトロンビンを溶出させた。
実施例5:プレトロンビンの活性化
プレトロンビン−2の活性化によるα−トロンビンの獲得は、プレトロンビン−2のA鎖とB鎖の間(Arg320−Ile321)のペプチド結合を特異的に切断するセリンプロテアーゼ、エカリンを用いて行った。このようにして形成されたトロンビンから、その固有のN末端の自己触媒的切り離しによりα−トロンビンが形成される。この切断条件は、最小可能エカリン要求で最大切断収率が達成されるように選択した。これに関して、振動インキュベーターにて、37℃、600rpmにて24時間内に、1Uのエカリンで、2,000μgのプレトロンビン−2(0.5〜0.8mg/ml)が切断された。反応は、EDTAを終濃度25mMとなるように添加することにより停止させた。切断後、沈殿したタンパク質が見られたので、この溶液を濾過(0.2μm)した後に、クロマトグラフィーによる精製を行った。切断収率は、沈殿の量によって、70%〜90%の間であった。
実施例6:α−トロンビンの精製
濾過したエカリン切断バッチをクロマトグラフィー精製のための出発材料として用いた。この精製の目的は、宿主細胞タンパク質の分離の他、とりわけ、切断されていないプレトロンビン−2の、およびα−トロンビンの自己触媒的切断産物の除去であった。エカリン切断の際、プレトロンビン−2は95%を超える純度で存在する。切断産物の除去のより良い検討のために、これらを、切断バッチを37℃でさらに24時間インキュベートすることにより濃縮した。
トロンビン誘導体をイオン交換クロマトグラフィーの手段により分離することは、それらが実質的に同じpI値(pI約9)を持つために困難であることが分かった。α−トロンビンとその自己溶解産物のpI値は二次元ゲル電気泳動の手段により実験的に測定した。従って、陽イオン交換材料の他、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料を試験した。
図2は4ml HICカラム(Toyopearl(登録商標)Buthyl−650S)での精製のクロマトグラムを示す。これのために、カラムに適用する前に、4.5mlの濾過済みエカリン切断バッチを高塩バッファー(2M硫酸アンモニウム、50mMリン酸バッファー pH6.0)で1:1希釈した。溶出は、50%高塩バッファーで開始して20CVにわたり50mMリン酸バッファーpH6.0に至る直線勾配の手段により行った。精製の結果を検討するために、クロマトグラフィー直後に、さらなる自己溶解を阻害するために主要画分にPMSFを1mMの終濃度まで加えた。合計すると、主要なピークにおけるα−トロンビンの収率は65%である(UV280で測定)。
結果:
大腸菌においてrh−トロンビンを生産するための本発明の方法では、文献に記載されている収率を顕著に超えている。例えば、真核生物発現系における天然プレトロンビン−2に関して文献に記載されている生成物収量は25〜200mg/l発酵培地の間である(非特許文献14、15)。
これに対し、本発明によって達成される天然プレトロンビン−2の収量は400mg/l発酵培地である。少なくとも95%のrp−HPLC純度のα−トロンビンでは、200mg/l発酵培地の収量が達成される。さらに、用いた原核生物発現系は既知の真核生物法よりも確立が簡単である。
非特許文献16に記載されている原核生物法では、復元後の天然プレトロンビン−2の折り畳み収率4〜7%が達成される。一方、本発明に従う方法では、25%の折り畳み収率が得られた。その上、使用される折り畳みバッチの体積は減少した(折り畳み中のタンパク質濃度は増加)。

Claims (13)

  1. 折り畳まれたプレトロンビンまたはその誘導体を生産する方法であって、折り畳まれていないプレトロンビンまたはその誘導体を含む封入体が、少なくとも1種のカオトロピック化合物および少なくとも1種の有機ジスルフィド化合物を含む可溶化バッファー中で可溶化され、続いて、可溶化されたプレトロンビンまたはその誘導体が少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の折り畳み補助剤、および二価の陽イオンを含む復元バッファー中で復元され、可溶化バッファーおよび復元バッファーは共に界面活性剤を含まない方法。
  2. ジスルフィド化合物がグルタチオンジスルフィドである、請求項1に記載の方法。
  3. カオトロピック化合物がグアニジニウム塩、特に、グアニジニウム塩酸塩およびグアニジニウムチオシアン酸塩、ヨウ化物、バリウム塩、チオシアン酸塩、尿素および過塩素酸塩から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 封入体が原核細胞におけるプレトロンビンまたはその誘導体の組換え発現によって得られたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 還元剤が有機モノスルフィドである、請求項1に記載の方法。
  6. 折り畳み補助剤がアルギニンおよびグリセロールから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 折り畳みがパルス復元法で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 復元されたプレトロンビンまたは誘導体がクロマトグラフィーにより精製される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 精製が疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により行われる、請求項8に記載の方法。
  10. トロンビンおよびα−トロンビンの少なくともいずれか一方、またはそれらの誘導体を生産する方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って生産された復元プレトロンビンが、特にエカリンを用いた酵素的タンパク質分解によりトロンビンおよびα−トロンビンの少なくともいずれか一方、またはそれらの誘導体に変換される方法。
  11. トロンビンおよびα−トロンビンの少なくともいずれか一方、またはそれらの誘導体がタンパク質分解後にクロマトグラフィーにより精製される、請求項10に記載の方法。
  12. 精製が疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により行われる、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により得られる、折り畳まれたプレトロンビン、折り畳まれたトロンビンおよび折り畳まれたα−トロンビンの少なくともいずれか一方、またはそれらの誘導体を含む溶液。
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