JP2013522426A - 置換6−デオキシ−6−スルファニルシクロデキストリンを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、置換6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含有する医薬組成物およびその浸透圧剤としての使用、特に透析療法におけるその使用に関するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、置換6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含む医薬組成物、並びにその浸透圧剤(osmotics)としての使用、特に透析療法におけるその使用に関する。
浸透圧的に活性な化合物(浸透圧剤)は、薬学および医学において広く利用されている。例えば、浸透圧剤は、薬物の張性を調節するために、特に腸管外薬物療法において使用されており、ここで薬物の浸透圧は、該薬物がどのような方法で投与されたかに依存して、低張性、高張性、または等張性となるように調節される。例えば、腸管外投与用薬物溶液の浸透圧は、浸透圧剤(osmotic agent)(等張性溶液)を添加することにより、ヒト血液の浸透圧と一致するように調節することができる。
更に、浸透圧剤は、透析患者から余分な水分を取出すための、透析療法、特に腹膜透析において利用されている。
該腹膜透析法は、浸透圧的に活性な化合物を含む溶液が、カテーテルを通して透析患者の腹腔内に導入されるという事実に基づくものである。該溶液は該患者腹腔内に残され、そこで該溶液は、所定の期間(通常、数時間)内に渡り、その浸透圧調節作用を発揮する。換言すれば、内生的な水分が、該患者から該腹腔内に取出される。所定の保圧期間の経過後に、結果的に希釈されている該腹膜透析溶液は、カテーテルを通して排液される。
この原理は、腹膜透析療法の様々な方法において使用されている。例えば、間欠的腹膜透析(IPD)、夜間の間欠的腹膜透析(NIPD)、連続循環式腹膜透析(CCPD)または連続外来型腹膜透析(CAPD)法を、必要に応じて利用することができる。IPD、NIPDおよびCCPDにおいては、該腹膜透析法を行う際に、該患者を維持する機器を使用している。CAPDは、手作業による方法である。
浸透圧的に活性な化合物を添加することにより、特に腹膜透析用溶液の浸透圧が、該腹腔内での保圧期間全体に渡り、患者から水分を抜取るのに十分に高いことを補償すべきである。換言すれば、水分は、該患者体内における循環から腹腔内に入る(限外濾過)。
しかし、水分の該腹腔内への移動のために、該腹腔に導入された該腹膜透析用溶液の希釈が、必然的に生じる。この希釈の結果として、該浸透圧的に活性な化合物の濃度における低減およびその結果としてさらにこの溶液の浸透圧における低下が起る。
該腹膜透析用溶液の浸透圧が、この希釈の結果として低下すると、この結果は更に、単位時間当たりの、該腹腔内への水分の移動量の低下または更にはその完全な停止をもたらす。これらの場合においては、該患者の腹腔内における該腹膜透析用溶液の保圧期間の進行に伴う、水分の効果的な抜出しは、最早見られない。
浸透圧的に活性な化合物の該患者の血流への吸収によって、水分の移動方向は、逆転することさえあり得る。即ち、水分は、該腹腔から該患者の血流中に入る(負の限外濾過)。これは、該腹腔内の希薄な腹膜透析用溶液が、該患者の内生的な水(即ち、血液)よりも低い浸透圧を持つ場合に該当する。
該腹膜透析用溶液に対して適当な浸透圧的に活性な化合物を添加することにより、その浸透圧を、腹膜透析にとって適した処置期間に渡り維持することが可能となり、そのため該腹腔における該溶液の保圧期間内における、限外濾過の過度の低下が見られることはない。従って、負の限外濾過も十分に防止される。
該腹膜透析療法において使用される該溶液は、通常糖のモノマーまたはポリマー、例えばグルコースまたはポリグルコース(例えば、デンプン誘導体)を、浸透圧的に活性な化合物として含んでいる。
米国特許第4,889,634号は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含有する、腹膜透析用溶液に関するものである。
JP 8071146は、α-またはγ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチルエーテル、2-ヒドロキシプロピルエーテル、α-、β-およびγ-シクロデキストリンの6-O-α-グルコシルまたは6-O-α-マルトシル誘導体を含む腹膜透析用溶液に関するものである。
しかし、現時点での最新技術水準は、選択的に置換されてはいないシクロデキストリン化合物を記載している。というよりも寧ろ、これらのシクロデキストリン誘導体は、広範に渡る化合物(異なる置換度、異なる位置異性体)の混合物である。というのは、シクロデキストリンの置換は、極めて限られた低度においてのみ、該シクロデキストリンの所定のヒドロキシル基上で選択的に起きるからである。
本発明の目的の一つは、医薬組成物に対して、現時点での最新技術水準にあるシクロデキストリン誘導体と比較して、より均一な置換パターンを持つ、即ち例えば、様々な位置異性体の存在が減じられおよび/または除外されているシクロデキストリン誘導体を、利用可能なものとすることにある。
本発明のもう一つの目的は、現時点での最新技術水準にあるシクロデキストリンと比較して、高い水溶性、改善された浸透圧活性および増大された限外濾過性を持ち、結果として特に透析療法用の医薬組成物に適したものである、シクロデキストリン誘導体の利用を可能とすることにある。
これらの目的は、特許請求の範囲の趣旨によって達成される。
各デキストリン及びグルコースの実験結果を示す図である。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、現時点での最新技術水準にあるシクロデキストリンと比較して、より均一な置換パターンによって特徴付けられ、即ちその構造は、より正確に規定される(例えば、異なる位置異性体のより低い割合;均一な置換度)。
結果として、広範囲に及ぶ異なる置換パターンの存在に基づく不利な効果を、十分に排除することができる。このことは、患者の安全性を高める。
特に、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの有効性は、定義された化合物によるものと考えることができ、また様々なシクロデキストリン誘導体の複雑な混合物の効果に基づくものではない。これは、また患者の安全性を高め、しかも特に薬理的および/または臨床的データの評価を容易にする。
更に、限られた程度においてのみ再現し得る組成を持つ、置換されたシクロデキストリンの混合物は、実験データの測定、例えば薬理学的または毒物学的なインビボまたはインビトロ実験の実施における、更には例えば臨床的な研究を行う際に、再現性の欠如に導く恐れがある。
本発明の第一の趣旨は、浸透圧剤として使用するための、以下の一般的な構造式Iで表される6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンに係る:
Figure 2013522426
I
ここで、
a) XはS-Rまたは-OHを表し;
b) nは6、7または8を表し;
c) 該S-R基を基本とする置換度は、次の通りであり:≧0.0001および≦n;および
d) RはC1-6-アルキル-NR1R2、C1-6-アルキル-N+R3R4R5.C1-6-アルキル-COOH、C(=O)C1-6-アルキル-COOH、-C(=O)-CH2-C(OH)(COOH)-CH2-COOH、ジヒドロキシル化C1-6-アルキル、C1-6-アルキル-PO3H2およびC1-6-アルキル-SO3Hを含む群から選択され、これらの基において、R1、R2、R3、R4およびR5は、相互に独立に、Hまたは-C1-3-アルキルを表す。
本発明の好ましい趣旨は、浸透圧剤として使用するための、以下の一般的な構造式IIで表される6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンに係る:
Figure 2013522426
II
ここで、
a) nは6、7または8を表し;および
b) Rは-C1-6-アルキル-NR1R2、-C1-6-アルキル-N+R3R4R5.-C1-6-アルキル-COOH、-C(=O)C1-6-アルキル-COOH、-C(=O)-CH2-C(OH)(COOH)、-CH2-COOH、ジヒドロキシル化C1-6-アルキル、C1-6-アルキル-PO3H2、および-C1-6-アルキル-SO3H基からなる群から選択され、これらの基において、R1、R2、R3、R4およびR5は、相互に独立に、Hまたは-C1-3-アルキルを表す。
本発明の意味するところにおいて、上記用語「C1-6-アルキル」とは、直鎖または分岐鎖であり得、また1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むことができる、飽和または不飽和の炭化水素基を含む。好ましくは、該C1-6-アルキル基は、C1-6-アルカニル、C2-6-アルケニルおよびC2-6-アルキニル基を含み、ここでC2-6-アルケニル基は、少なくとも一つのC-C二重結合を持ち、またC2-6-アルキニル基は、少なくとも一つのC-C三重結合を持ち、一方でC1-6-アルカニル基は、完全な飽和状態にある。好ましくは、C1-6-アルキルは、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、3-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、エテニル、エチニル、プロプ-1-エニル、イソブテニル、n-ブテニル、cis-2-ブテニル、trans-2-ブテニル、1,2-ブタジエニル、1,3-ブタジエニル、ペント-1-エニル、cis-ペント-2-エニル、trans-ペント-2-エニル、2-メチルブト-1-エニル、2-メチルブト-2-エニル、3-メチルブト-1-エニル、ヘクス-1-エニル、ヘクス-2-エニルおよびヘクス-3-エニル基を含む群から選択される。
本発明の意味するところにおいて、上記用語「C1-3-アルキル」とは、非-環式飽和または不飽和炭化水素基を含み、これらは、直鎖または分岐鎖であり得、また1、2または3個の炭素原子を含むことができる。好ましくは、C1-3-アルキル基は、C1-3-アルカニル、C2-3-アルケニルおよびC2-3-アルキニル基を含み、ここでC2-3-アルケニル基は、少なくとも一つのC-C二重結合を持ち、またC2-3-アルキニル基は、少なくとも一つのC-C三重結合を持ち、一方でC1-3-アルカニル基は、完全な飽和状態にある。好ましくは、C1-3-アルキル基は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、エテニル、エチニルおよびプロプ-1-エニル基を含む群から選択される。
該塩基性の基:-C1-6-アルキル-NR1R2は、プロトン化することができ、即ちカチオン形にすることができ、またアニオンとの塩の形状、例えばフルオライド、クロライド、ブロミド、アイオダイド、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩の形状で存在することができる。
上記のNR1R2基は、該-C1-6-アルキル基上の任意の可能なサイトに結合することができる。
好ましい一態様において、該C1-6-アルキル-NR1R2基は、C1-6-アルキル-N(メチル)2、C1-6-アルキル-N(エチル)2、C1-6-アルキル-N(プロピル)2およびC1-6-アルキル-N(イソプロピル)2基を含む群から選択される。
別の好ましい態様において、該C1-6-アルキル-NR1R2基は、CH2-N(メチル)2、CH2-N(エチル)2、CH2-N(プロピル)2、CH2-N(イソプロピル)2、(CH2)2-N(メチル)2、(CH2)2-N(エチル)2、(CH2)2-N(プロピル)2、(CH2)2-N(イソプロピル)2、(CH2)3-N(メチル)2、(CH2)3-N(エチル)2、(CH2)3-N(プロピル)2、(CH2)3-N(イソプロピル)2、(CH2)4-N(メチル)2、(CH2)4-N(エチル)2、(CH2)4-N(プロピル)2、(CH2)4-N(イソプロピル)2、(CH2)5-N(メチル)2、(CH2)5-N(エチル)2、(CH2)5-N(プロピル)2、(CH2)5-N(イソプロピル)2、(CH2)6-N(メチル)2、(CH2)4-N(エチル)6、(CH2)4-N(プロピル)6および(CH2)6-N(イソプロピル)2基を含む群から選択される。
上記C1-6-アルキル-N+R3R4R5基は、アニオンとの塩の形状で、例えばフルオライド、クロライド、ブロミド、アイオダイド、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩の形状で存在することができる。
該-N+R3R4R5基は、該-C1-6-アルキル基上の、任意の可能なサイトに結合することができる。
該C1-6-アルキル-N+R3R4R5基は、好ましくはCH2-アルキル-N+(メチル)3、CH2-アルキル-N+(エチル)3、CH2-アルキル-N+(プロピル)3、CH2-アルキル-N+(イソプロピル)3、(CH2)2-アルキル-N+(メチル)3、(CH2)2-アルキル-N+(エチル)3、(CH2)2-アルキル-N+(プロピル)3、(CH2)2-アルキル-N+(イソプロピル)3、(CH2)3-アルキル-N+(メチル)3、(CH2)3-アルキル-N+(エチル)3、(CH2)3-アルキル-N+(プロピル)3、(CH2)3-アルキル-N+(イソプロピル)3、(CH2)4-アルキル-N+(メチル)3、(CH2)4-アルキル-N+(エチル)3、(CH2)4-アルキル-N+(プロピル)3、(CH2)4-アルキル-N+(イソプロピル)3、(CH2)5-アルキル-N+(メチル)3, (CH2)5-アルキル-N+(エチル)3, (CH2)5-アルキル-N+(プロピル)3および(CH2)5-アルキル-N+(イソプロピル)3を含む群から選択される。
上記酸性基:C1-6-アルキル-COOH、C(=O)C1-6-アルキル-COOH、-C(=O)-CH2-C(OH)(COOH)-CH2-COOH(クエン酸基)、C1-6-アルキル-PO3H2およびC1-6-アルキル-SO3Hは、脱プロトン化することができ、即ちこれらの酸性基は、アニオン形状で存在することができ、またカチオンとの塩として、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩として存在することもできる。
上記基:-COOH、-PO3H2およびSO3Hは、該C16-アルキル基上の任意の可能なサイトに結合することができる。
好ましい一態様において、該C1-6-アルキル-COOH基は、CH2-COOH、(CH2)2-COOH、(CH2)3-COOH、(CH2)4-COOH、(CH2)5-COOHおよび(CH2)6-COOHを含む群から選択される。
上記のC(=O)C1-6-アルキル-COOH基は、好ましくはC(=O)CH2-COOH、C(=O)(CH2)2-COOH、C(=O)(CH2)3-COOH、C(=O)(CH2)4-COOH、C(=O)(CH2)5-COOHおよびC(=O)(CH2)6-COOHを含む群から選択される。
好ましい一態様において、上記C1-6-アルキル-PO3H2基は、CH2-PO3H2、(CH2)2-PO3H2、(CH2)3-PO3H2、(CH2)4-PO3H2、(CH2)5-PO3H2、(CH2)6-PO3H2、CH=CH-PO3H2、-CH2-CH=CH-PO3H2、-(CH2)2-CH=CH-PO3H2、(CH2)3-CH=CH-PO3H2および-(CH2)4-CH=CH-PO3H2を含む群から選択される。
上記C1-6-アルキル-SO3H基は、好ましくはCH2-SO3H、(CH2)2-SO3H、(CH2)3-SO3H、(CH2)4-SO3H、(CH2)5-SO3Hおよび(CH2)6-SO3Hを含む群から選択される。
本説明の意味において、前記用語「置換度」とは、1モルのシクロデキストリンに基づく、基Rの平均モル数を表す。
好ましい一態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの該置換度は、≧1および≦nである。
好ましい他の態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの該置換度は、≧n-1および≦nである。
nが6を表す場合に対して、前記置換度は、>0乃至高くとも6(これは、6-デオキシ-6-スルファニル-α-シクロデキストリン1分子当たり、置換基6個に相当する)なる値であるものと推測し得る。
nが7を表す場合に対して、前記置換度は、>0乃至高くとも7(これは、6-デオキシ-6-スルファニル-β-シクロデキストリン1分子当たり、置換基7個に相当する)なる値であるものと推測し得る。
nが8を表す場合に対して、前記置換度は、>0乃至高くとも8(これは、6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン1分子当たり、置換基8個に相当する)なる値であるものと推測し得る。
n = 6なる場合に対して、該置換度は、好ましくは1〜6なる範囲または2〜6なる範囲、より好ましくは3〜6なる範囲、より一層好ましくは4〜6なる範囲、最も好ましくは5〜6なる範囲または5.5〜6なる範囲、および特に6なる値を持つ。
n = 7なる場合に対して、該置換度は、好ましくは1〜7なる範囲または2〜7なる範囲、より好ましくは3〜6または4〜7なる範囲、より一層好ましくは5〜7なる範囲、最も好ましくは6〜7なる範囲または6.5〜7なる範囲、および特に7なる値を持つ。
n = 8なる場合に対して、該置換度は、好ましくは1〜8なる範囲または2〜8なる範囲、より好ましくは3〜8または4〜8なる範囲、より一層好ましくは5〜8または6〜8なる範囲、最も好ましくは7〜8なる範囲または7.5〜8なる範囲、および特に8なる値を持つ。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%水性溶液は、好ましくは≧5 mosm/L、より好ましくは≧7.5 mosm/Lよりも大きな、より一層好ましくは≧10 mosm/Lよりも大きな、最も好ましくは≧12.5 mosm/Lよりも大きな、および特に≧15 mosm/Lよりも大きな、理論的容量モル浸透圧濃度(osmolarity)を持つ。
この説明の目的にとって、該用語「理論的容量モル浸透圧濃度」とは、理論的に計算された容量モル浸透圧濃度を表す。当業者は、この値を算出する方法について精通しているであろう。
好ましい一態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%溶液のコロイド浸透圧は、≧50 mosm/Lまたは≧60 mosm/Lであり、より好ましくは≧70 mosm/Lまたは≧80 mosm/Lであり、より一層好ましくは≧90 mosm/Lまたは≧100 mosm/Lであり、最も好ましくは≧110 mosm/Lまたは≧120 mosm/Lであり、また特に≧130 mosm/Lまたは≧140 mosm/Lである。
別の好ましい態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%溶液のコロイド浸透圧は、≧150 mosm/Lまたは≧160 mosm/Lであり、より好ましくは≧170 mosm/Lまたは≧180 mosm/Lであり、より一層好ましくは≧190 mosm/Lまたは≧200 mosm/Lであり、最も好ましくは≧210 mosm/Lまたは≧220 mosm/Lであり、また特に≧230 mosm/Lまたは≧240 mosm/Lである。
他の好ましい態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%溶液のコロイド浸透圧は、50〜500 mosm/Lなる範囲、より好ましくは75 mosm/L〜400 mosm/Lなる範囲、より一層好ましくは100〜300 mosm/Lなる範囲、最も好ましくは110 mosm/L〜275 mosm/Lなる範囲、および特に120 mosm/L〜250 mosm/Lなる範囲にある。
他の好ましい態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%溶液のコロイド浸透圧は、100〜500 mosm/Lなる範囲、より好ましくは100 mosm/L〜400 mosm/Lなる範囲、より一層好ましくは100〜350 mosm/Lなる範囲、最も好ましくは100 mosm/L〜325 mosm/Lなる範囲、および特に100 mosm/L〜290 mosm/Lなる範囲にある。
本説明の目的にとって、前記用語「コロイド浸透圧」とは、前記溶液の実験的に測定された浸透圧を表し、これは、浸透圧およびコロイド浸透圧で構成される。当業者は、この値を測定するための適当な方法について精通しているであろう。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%水性溶液の重量モル浸透圧濃度(osmolality)は、好ましくは>5 mosm/kgであり、より好ましくは≧7.5 mosm/kgであり、より一層好ましくは≧10 mosm/kgであり、最も好ましくは≧12 mosm/kgであり、また特に≧15 mosm/kgである。
本説明の目的にとって、前記用語「重量モル浸透圧濃度」とは、凝固点降下法により実験的に測定された、該溶液の重量モル浸透圧濃度を表す。当業者は、この凝固点降下法について精通している。
凝固点における降下によって実験的に測定された、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%水性溶液の容量モル浸透圧濃度は、好ましくは≧15 mosm/Lであり、より好ましくは≧17 mosm/Lであり、より一層好ましくは≧19 mosm/Lであり、最も好ましくは≧21 mosm/Lであり、また特に≧23 mosm/Lである。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、好ましくは薬物、特に腸管外投与用の医薬溶液の張性を調節するための浸透圧剤として適している。
好ましい一態様において、本発明による6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、透析療法、好ましくは血液透析および/または腹膜透析療法において利用される。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、とりわけ腹膜透析療法において利用するのに適している。
本発明のもう一つの課題は、少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含む透析溶液に関する。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、血液透析溶液または腹膜透析溶液である。本発明の透析溶液は、特に腹膜透析溶液である。
透析療法において使用される剤形は、好ましくは多成分系にある濃厚物または直ぐに使用できる透析溶液である。
本発明の目的にとって、上記用語「透析溶液」とは、透析療法用の直ぐに使用できる剤形、即ちそのまま投与するのに適した液状処方物を意味する。特に、該透析溶液は、投与に先立って、希釈しおよび/または他の製剤と混合する必要がない。
上記透析溶液とは著しく異なって、液体、半-固体または固体形状の何れかであり得る濃厚物は、その投与に先立って、水または水性溶液で希釈され、あるいは水または水性溶液中に溶解される。同様に、該多成分系の諸成分は、投与に先立って相互に混合されて、直ぐに使用できる透析溶液を生成する。従って、濃縮液および多成分系は、本発明の透析溶液のプリカーサであると考えることができる。
本発明の透析溶液は、好ましくは血液透析溶液または腹膜透析溶液である。血液透析溶液および腹膜透析溶液は、通常本質的に血漿の電解質濃度に相当する濃度にて、電解質を含む。該電解質は、通常ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび塩素イオンを含む。
透析溶液は、通常生理的に許容されるpHを有している。これは、好ましくは緩衝剤(緩衝系)によって実現され、該緩衝剤は、それ自身該透析溶液の全電解質含量に寄与することができる。該緩衝剤は、好ましくは重炭酸塩、乳酸塩またはピルビン酸塩である。
その上、透析溶液は、通常生理的に許容される容量モル浸透圧濃度を有している。これは、通常該透析溶液中に含まれている電解質および本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンによって実現され、これらは、所定濃度の浸透圧的に活性な化合物(浸透圧剤)として、生理的に許容される。
本発明の透析溶液は、好ましくは200〜550 mosm/Lなる範囲の容量モル浸透圧濃度を持つ。
本発明の透析溶液が、血液透析溶液である場合において、該容量モル浸透圧濃度は、好ましくは200〜350 mosm/Lなる範囲または210〜340 mosm/Lなる範囲、より好ましくは220〜330 mosm/Lなる範囲、より一層好ましくは230〜320 mosm/Lなる範囲、最も好ましくは240〜310 mosm/Lなる範囲、および特に250〜300 mosm/Lなる範囲にある。該容量モル浸透圧濃度および該浸透圧の測定方法は、当業者にとって馴染み深いものである。例えば、これらは、膜式浸透圧計またはその他の適当な測定方法の助けによって、測定することができる。
本発明の透析溶液が、腹膜透析溶液である場合において、該容量モル浸透圧濃度は、好ましくは200〜570 mosm/Lなる範囲または210〜560 mosm/Lなる範囲、より一層好ましくは220〜550 mosm/Lなる範囲、より一層好ましくは230〜540 mosm/Lなる範囲、最も好ましくは240〜530 mosm/Lなる範囲、および特に250〜520 mosm/Lなる範囲にある。好ましい一態様において、該容量モル浸透圧濃度は、250 ± 50 mosm/Lまたは250 ± 45 mosm/L、より好ましくは250 ± 35 mosm/L、より一層好ましくは250 ± 25 mosm/L、最も好ましくは250 ± 15 mosm/L、および特に250 ± 10 mosm/Lである。もう一つの好ましい態様において、該容量モル浸透圧濃度は、300 ± 50 mosm/Lまたは300 ± 45 mosm/L、より好ましくは300 ± 35 mosm/L、より一層好ましくは300 ± 25 mosm/L、最も好ましくは300 ± 15 mosm/L、および特に300 ± 10 mosm/Lである。他の態様において、該容量モル浸透圧濃度は、350 ± 50 mosm/Lまたは350 ± 45 mosm/L、より好ましくは350 ± 35 mosm/L、より一層好ましくは350 ± 25 mosm/L、最も好ましくは350 ± 15 mosm/L、および特に300 ± 10 mosm/Lである。他の態様において、該容量モル浸透圧濃度は、400 ± 50 mosm/Lまたは400 ± 45 mosm/L、より好ましくは400 ± 35 mosm/L、より一層好ましくは400 ± 25 mosm/L、最も好ましくは400 ± 15 mosm/L、および特に300 ± 10 mosm/Lである。別の好ましい態様において、該容量モル浸透圧濃度は、450 ± 50 mosm/Lまたは450 ± 45 mosm/L、より好ましくは450±35 mosm/L、より一層好ましくは450± 25 mosm/L、最も好ましくは450 ± 15 mosm/L、および特に450 ± 10 mosm/Lである。他の好ましい態様において、該容量モル浸透圧濃度は、500 ± 50 mosm/Lまたは500 ± 45 mosm/L、より好ましくは500 ± 35 mosm/L、より一層好ましくは500 ± 25 mosm/L、最も好ましくは500 ± 15 mosm/L、および特に500 ± 10 mosm/Lである。
本発明の透析溶液は、好ましくは4.0〜8.0なる範囲、より好ましくは4.2〜7.5なる範囲、より一層好ましくは4.4〜6.8なる範囲、最も好ましくは4.6〜6.0なる範囲または4.8〜5.5なる範囲、および特に5.0〜5.2なる範囲または5.0 ± 0.1なる、室温(20〜23℃)にて測定されたpHを持つ。好ましい一態様において、該pHは、4.8±1.0または4.8±0.8、より好ましくは4.8±0.7または4.8±0.6、より一層好ましくは4.8±0.5または4.8±0.4、最も好ましくは4.8±0.3または4.8±0.2、および特に4.8±0.1である。もう一つの好ましい態様において、該pHは、5.0±1.0または5.0±0.8、より好ましくは5.0±0.7または5.0±0.6、より一層好ましくは5.0±0.5または5.0±0.4、最も好ましくは5.0±0.3または5.0±0.2、および特に5.0±0.1である。別の好ましい態様では、該pHは、5.2±1.0または5.2±0.8、より好ましくは5.2±0.7または5.2±0.6、より一層好ましくは5.2±0.5または5.2±0.4、最も好ましくは5.2±0.3または5.2±0.2、および特に5.2±0.1である。他の好ましい態様では、該pHは、5.5±1.0または5.5±0.8、より好ましくは5.5±0.7または5.5±0.6、より一層好ましくは5.5±0.5または5.5±0.4、最も好ましくは5.5±0.3または5.5±0.2、および特に5.5±0.1である。他の好ましい態様において、該pHは、6.0±1.0または6.0±0.8、より好ましくは6.0±0.7または6.0±0.6、より一層好ましくは6.0±0.5または6.0±0.4、最も好ましくは6.0±0.3または6.0±0.2、および特に6.0±0.1である。他の好ましい態様において、該pHは、6.5±1.0または6.5±0.8、より好ましくは6.5±0.7または6.5±0.6、より一層好ましくは6.5±0.5または6.5±0.4、最も好ましくは6.5±0.3または6.5±0.2および特に6.5±0.1である。他の好ましい態様において、該pHは、7.0±1.0または7.0± 0.8、より好ましくは7.0±0.7または7.0±0.6、より一層好ましくは7.0±0.5または7.0± 0.4、最も好ましくは7.0±0.3または7.0±0.2および特に7.0±0.1である。他の好ましい態様において、該pHは、7.4±1.0または7.4±0.8、より好ましくは7.4±0.7または7.4± 0.6、より一層好ましくは7.4±0.5または7.4±0.4、最も好ましくは7.4±0.3または7.4± 0.2および特に7.4±0.1である。他の好ましい態様において、該pHは、8.0±1.0または8.0 ±0.8、より好ましくは8.0±0.7または8.0±0.6、より一層好ましくは8.0±0.5または8.0 ±0.4、最も好ましくは8.0±0.3または8.0±0.2および特に8.0±0.1である。
本発明の透析溶液は、一種またはそれ以上の(例えば、2種、3種、4種または5種の)、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含み、ここで該6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、上で与えられたように定義される。
本発明の透析溶液は、発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを、好ましくは0.001 mM〜10 Mなる範囲または0.01〜1.0 Mなる範囲、より好ましくは0.10〜500 mMなる範囲、より一層好ましくは1.0〜250 mMなる範囲、最も好ましくは10〜100 mMなる範囲および特に25〜90 mMなる範囲の全濃度にて含む。好ましい一態様において、該全濃度は、25±24 mM、より好ましくは25±20 mM、より一層好ましくは25±15 mM、最も好ましくは25±10 mMおよび特に25±5 mMである。もう一つの好ましい態様において、該全濃度は、50±25 mM、より好ましくは50±20 mM、より一層好ましくは50±15 mM、最も好ましくは50±10 mMおよび特に50±5 mMである。別の好ましい一態様において、該全濃度は、75±25 mM、より好ましくは75±20 mM、より一層好ましくは75±15 mM、最も好ましくは75±10 mMおよび特に75±5 mMである。他の好ましい一態様において、該全濃度は、100 ±25 mM、より好ましくは100±20 mM、より一層好ましくは100±15 mM、最も好ましくは100±10 mMおよび特に100±5 mMである。他の好ましい一態様において、該全濃度は、200 ±25 mM、より好ましくは200±20 mM、より一層好ましくは200±15 mM、最も好ましくは200±10 mMおよび特に200±5 mMである。該全濃度は、好ましくは、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの平均分子量によって計算される。
本発明の透析溶液は、好ましくは、発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを、0.01 g/L〜1.0 kg/Lなる範囲、より好ましくは0.1〜750 g/Lなる範囲、より一層好ましくは1.0〜500 g/Lなる範囲、最も好ましくは10〜250 g/Lなる範囲、および特に100 〜200 g/Lなる範囲の全質量濃度にて含む。好ましい一態様において、該全質量濃度は、25±24 g/L、より好ましくは25±20 g/L、より一層好ましくは25±15 g/L、最も好ましくは25±10 g/Lおよび特に25±5 g/Lである。もう一つの好ましい態様において、該全質量濃度は、50±25 g/L、より好ましくは50±20 g/L、より一層好ましくは50±15 g/L、最も好ましくは50±10 g/Lおよび特に50 ± 5 g/Lである。別の好ましい一態様において、該全質量濃度は、75±25 g/L、より好ましくは75±20 g/L、より一層好ましくは75±15 g/L、最も好ましくは75±10 g/Lおよび特に75±5 g/Lである。他の好ましい一態様において、該全質量濃度は、100±25 g/L、より好ましくは100±20 g/L、より一層好ましくは100±15 g/L、最も好ましくは100±10 g/Lおよび特に100±5 g/Lである。他の好ましい一態様において、該全質量濃度は、200±25 g/L、より好ましくは200±20 g/L、より一層好ましくは200±15 g/L、最も好ましくは200±10 g/Lおよび特に200±5 g/Lである。
本発明の透析溶液は、また他の浸透圧的に活性な化合物、例えばグルコース、ポリグルコース、架橋されたグルコースまたはポリグルコース、マニトールまたはグリセロールを含むことができる。
本発明の透析溶液は、好ましくは一種またはそれ以上の電解質を含む。
本発明の意味において、該用語「電解質」とは、遊離イオンを含み、かつ導電性を持つ物質を意味する。該電解質は、好ましくは、水性組成物のpHを有意に変更することなく、完全にアニオンとカチオンとに解離する。この特性が、緩衝性物質と電解質とを区別している。該電解質は、好ましくは水中で本質的に完全な解離をもたらす濃度にて存在する。
好ましい電解質は、アルカリ金属、例えばNa+およびK+;およびアルカリ土類金属、例えばCa2+およびMg2+からなる群から選択される。好ましいアニオンは、Cl-である。
本発明の透析溶液は、追加のアニオン、例えば重炭酸、リン酸二水素、リン酸一水素、リン酸、酢酸、乳酸およびピルビン酸アニオンを含むことができる。しかし、本発明の意味において、これらアニオン(カチオンとの適切な組合せにある)は、電解質とは呼ばれないが、その代わりに、その緩衝能力に基いて緩衝剤と呼ばれる。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、Na+イオンを含む。Na+イオンの濃度は、好ましくは10〜200 mMなる範囲または50〜190 mMなる範囲、より好ましくは100〜180 mMなる範囲または110〜170 mMなる範囲、より一層好ましくは115〜165 mMなる範囲または120〜160 mMなる範囲、最も好ましくは125〜155 mMなる範囲および特に130〜150 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、本発明の透析溶液は、如何なるNa+イオンをも含まないものである。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、K+イオンを含む。好ましくは、該K+イオンの濃度は、0.10〜20 mMなる範囲、より好ましくは0.25〜15 mMなる範囲、より一層好ましくは0.50〜10 mMなる範囲、最も好ましくは0.75〜7.5 mMなる範囲および特に1.0〜5.0 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、該K+イオンの濃度は、1.0±0.75、2.0±0.75、3.0±0.75、4.0±0.75または5.0±0.75 mMおよび特に1.0±0.50、2.0±0.50、3.0±0.50、4.0±0.50または5.0±0.50 mMである。別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、如何なるK+イオンをも含まないものである。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、Ca2+イオンを含む。該Ca2+イオンの濃度は、好ましくは0.1〜3 mMなる範囲、より好ましくは0.25〜2.75 mMなる範囲、より一層好ましくは0.5〜2.5 mMなる範囲、最も好ましくは0.75〜2.25 mMなる範囲、および特に1〜2 mMなる範囲にある。別の好ましい一態様において、該Ca2+イオンの濃度は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75または2 mMである。別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、如何なるCa2+イオンをも含まないものである。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、Mg2+イオンを含む。該Mg2+の濃度は、好ましくは0.01〜1 mMなる範囲、より好ましくは0.05〜0.75 mMなる範囲、より一層好ましくは0.1〜0.5 mMなる範囲、最も好ましくは0.15〜0.4 mMなる範囲、および特に0.2〜0.3 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、該Mg2+イオンの濃度は、0.05、0.075、0.1、0.2、0.25、0.50または0.75 mMである。別の好ましい一態様において、該Mg2+イオンの濃度は、0.05、0.075、0.1、0.2、0.25、0.50または0.75 mMである。他の好ましい態様において、本発明の透析溶液は、如何なるMg2+イオンをも含むことはない。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、Clイオンを含む。該Clの濃度は、好ましくは10〜300 mMなる範囲、より好ましくは25〜250 mMなる範囲、より一層好ましくは50〜200 mMなる範囲、最も好ましくは75〜150 mMなる範囲、および特に80〜125 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、該Clの濃度は、100±50 mM、より好ましくは100±25 mM、最も好ましくは100±10 mMおよび、特に96±4 mMである。別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、如何なるClイオンをも含むことはない。
本発明の透析溶液は、好ましくは1種またはそれ以上の緩衝剤を含む。
当業者にとって適切な緩衝剤は公知であろう。緩衝剤は、通常乳酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、コハク酸塩、フマール酸塩、酢酸塩、および乳酸塩等の塩を含む。上記アニオンの対応するカチオンが、pHを調節するために使用される該緩衝剤の一部であることは、当業者にとって公知であろう
Figure 2013522426
しかし、該緩衝剤としての塩が水中で解離した場合には、これも電解質として作用する。本説明の目的にとって、カチオンまたはアニオンの濃度およびイオンの全濃度は、これらが電解質、緩衝剤または他の化合物(例えば、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの塩等)の成分として利用されるか否かとは無関係に計算される。
好ましい一態様において、該緩衝剤は、重炭酸塩を含む。重炭酸塩は、十分に許容される緩衝系であり、これはアルカリ性媒体中で炭酸塩と平衡状態にあり、また酸性媒体中でH2CO3またはCO2と平衡状態にある。重炭酸塩に加えて、他の緩衝剤系も、これらが4〜8なるpH範囲、より好ましくは5〜7.6なるpH範囲、および特に7.6、7.4、7.2および/または7.0なるpH範囲において緩衝作用を持つ場合には利用することができ、また例えば、身体において代謝により重炭酸塩とし得る、乳酸塩またはピルビン酸塩等の化合物を含むこともできる。
もう一つの好ましい態様において、該緩衝剤は、弱酸の塩、好ましくは乳酸塩を含有する。該弱酸の酸強度(pKs)は、好ましくは≦5である。該緩衝剤は、また緩衝作用を持つ物質の混合物、例えば重炭酸塩および弱酸の塩(例えば、乳酸塩)を含有する混合物であってもよい。低い重炭酸塩濃度は、容器内のCO2圧を下げるという利点を持つ。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、重炭酸塩によって緩衝される。重炭酸塩濃度は、好ましくは1.0〜200 mMなる範囲、より好ましくは2.5〜150 mMなる範囲、より一層好ましくは5〜100 mMなる範囲、最も好ましくは5〜75 mMなる範囲または10〜50 mMなる範囲、および特に20〜30 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、重炭酸塩濃度は、25 mMである。別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、如何なる重炭酸塩をも含まないものである。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、乳酸塩によって緩衝される。該乳酸塩濃度は、好ましくは1.0〜200 mMなる範囲、より好ましくは2.5〜150 mMなる範囲、より一層好ましくは5〜100 mMなる範囲、最も好ましくは10〜50 mMなる範囲または10〜25 mMなる範囲、および特に15 mMである。別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、如何なる乳酸塩をも含まないものである。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、酢酸塩によって緩衝される。該酢酸塩の濃度は、好ましくは1.0〜100 mMなる範囲、より好ましくは1.0〜50 mMなる範囲、より一層好ましくは1.0〜25 mMなる範囲、最も好ましくは1.0〜10 mMなる範囲または2.0〜7.5 mMなる範囲、および特に2.5〜7.0 mMなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、本発明の透析溶液は、如何なる酢酸塩をも含まないものである。
該透析溶液の全体積に制限はない。該体積は、通常数リットル(患者一人当たりの適切な投与体積)乃至数百リットル(患者2人以上に対する適当な保存体積)に及ぶ。
上で既に説明した如く、本発明の意味において上記用語「透析溶液」とは、直ぐに使用できる透析溶液を意味する。即ち、該透析溶液は、直接透析療法(血液透析または腹膜透析)のために使用し得る。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、以下において説明するように、腹膜透析用溶液である。
該腹膜透析用溶液は、このものが、代謝性アシドーシス関連腎機能不全症を、本質的に癒すように、生化学的に調節される。該腹膜透析用溶液は、好ましくはほぼ生理的濃度にて重炭酸塩を含む。好ましい一態様において、該腹膜透析用溶液は、約20〜30 mMなる範囲の濃度にて重炭酸塩を含む。もう一つの好ましい態様において、該腹膜透析用溶液は、25 mMなる濃度にて重炭酸塩を含む。
更に、該腹膜透析用溶液は、好ましくは60 mmHg未満の分圧(pCO2)にて、二酸化炭素を含む。好ましい一態様において、該腹膜透析用溶液のpCO2は、血管内で測定されたpCO2と本質的に同一である。
更に、該腹膜透析用溶液は、好ましくは約7.4なるpHを持つ。該腹膜透析用溶液は、従って生理的に許容される溶液である。
該腹膜透析用溶液は、好ましくは≦5なるpKsを持つ弱酸を含む。該弱酸は、好ましくはグルコース代謝において生理的な代謝産物として生じる化合物である。該弱酸は、好ましくは乳酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸、ケトグルタル酸塩、コハク酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩およびオキサロ酢酸塩を含む群から選択される。これらの酸は、該腹膜透析用溶液において、単独でまたは混合物として使用することができる。該弱酸は、該腹膜透析用溶液において、好ましくは10〜20 meq/Lなる範囲の濃度にて、また本質的にナトリウム塩として存在する。該弱酸は、該腹膜透析用溶液において、好ましくは約1 meq/kg/日なる毎日の代謝性水素生産に相当する量で存在する。
該腹膜透析用溶液は、上で定義した如く、少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含む。
本発明の腹膜透析用溶液は、所定濃度で重炭酸塩を含み、かつ腎不全に罹患していない健康な患者において測定された値と同様なpCO2値を持つ。該弱酸は、濃度勾配に従って、該透析溶液から透析患者の血液中に拡散し、このようにして該透析患者の代謝性アシドーシスを癒す。
本発明のもう一つの課題は、上記の直ぐに使用できる透析溶液を製造するための、多成分系に係る。該多成分系は、好ましくは以下において詳細に説明される方法、即ち適当な指示(プロトコール)に従うことにより調製される。この製造は手作業で、例えば個々の成分を混合することにより、あるいは1成分を水で希釈することにより行うことができる。しかし、該製造は自動的に、例えばこれら目的に適した、市販品として入手できるデバイスにより行うこともできる。該製造は、必ずしも一定の(常に均一な)組成を持つ透析溶液に導く必要はないが、組成において連続的に変動する透析溶液へと導くものであってもよく、ここで該変動は、適当なデバイスにより監視される。例えば、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、透析治療中に連続的に希釈され、その結果として治療を受ける患者は、6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの濃度低下に曝されるような透析溶液中に存在することができる。
好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、腎機能不全の治療において使用するのに適している。
もう一つの好ましい態様において、本発明の透析溶液は、透析療法において使用するのに適している。
別の好ましい一態様において、本発明の透析溶液は、血液透析および/または腹膜透析において使用するのに適している。
本発明のもう一つの課題はキットに係り、該キットは、本発明の透析溶液を製造するのに適したものであり、ここで該キットは以下の成分:
・第一の成分;
・第二の成分;および
・場合により1種またはそれ以上の追加の成分を含み、しかも
該透析溶液は、該第一の成分および該第二の成分および場合により該追加の成分を混合することにより得られるものである。
該キットは、少なくとも1種の第一の成分および1種の第二の成分を含む。該キットはまた追加の成分、例えば第三の成分および第四の成分をも含むことができる。該キットは、好ましくは2成分からなり、該2成分は、好ましくは相互に異なるものである。
本発明の意味において、前記用語「成分」とは、該キットの全ての成分を混合することにより、本発明の直ぐに使用できる透析溶液が得られるように、相互に同一または異なっていてもよい液体、半-固体または固体組成物を含む。単一の成分は、好ましくは該直ぐに使用できる透析溶液中に存在する原料の一部を含む。
該第一および第二の成分は、相互に独立に、固体、半-固体または液体であり得る。該成分が液体である場合において、これらは、溶液または分散液(例えば、分散液または懸濁液)であり得る。
好ましい一態様において、該第一の成分は、液体、好ましくは純水または水性溶液であり、かつ該第二の成分も、液体である。もう一つの好ましい態様において、該第一の成分は液体、好ましくは純水または水性溶液であり、かつ該第二の成分は固体、好ましくは粉末化された混合物である。
該第一の成分は、好ましくは浸透圧的に活性な物質(例えば、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン)、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオンおよび塩素イオンを含有する溶液である。
本発明のキットは、様々な態様を持つことができる。例えば、上記個々の成分は、別々の容器(例えば、別々のバッグ)中に収容し得る。しかし、本発明のキットは、好ましくは容器、例えば多重-チャンバー容器系(例えば、可撓性または剛性多重チャンバー容器系)、好ましくは可撓性多重-チャンバーバッグ系である。
本発明のキットは、上記第一の成分用、上記第二の成分用および場合により1またはそれ以上の追加の成分用のチャンバーを含む多重-チャンバー容器系であることが好ましく、これらのチャンバーは、可溶性または破壊し得る分離システム(例えば、破壊し得る分離用部品)によって、相互に分離されており、ここで該第一成分、該第二成分および随意の1またはそれ以上の追加の成分は、該分離システムを溶解または破壊した後に一緒に混合して、本発明の透析溶液を得ることができる。
該多重-チャンバー容器は、またプラスチック容器(例えば、多重-チャンバープラスチックバッグ)の形状であり得、その各々は、個々の各成分に対する別々のチャンバーを含んでいる。該プラスチック容器は、好ましくは個々の成分としての溶液を、該チャンバーに含んでおり、該チャンバーは、分離要素によって相互に分離されている。
該多重-チャンバー容器は、好ましくは二重-チャンバーバッグであり、これは第一のチャンバーおよび第二のチャンバーを持つプラスチック容器を含み、ここでこれらのチャンバーは、可溶性または破壊し得る分離システムによって相互に分離されており、また該第一のチャンバーは、該第一の成分を含み、かつ該第二のチャンバーは、該第二の成分を含んでいる。該分離システムを溶解または破壊することによって、これら2つの成分が混合されて、上記した直ぐに使用できる透析溶液が得られる。該第一のチャンバーおよび該第二のチャンバーは、好ましくは該容器内で相互に隣接した状態で配列されており、また上記分離システムによって相互に分離されている。該分離システムは、好ましくは分離用シーム(例えば、可溶性または破壊し得る溶接継ぎ目(シーム))である。該分離用シームは、好ましくは該チャンバーの一方に圧力を印加することにより解放され、ここで該分離用シームは、破壊されおよび/または溶解し、かつこれら2つのチャンバー内の内容物が混合され、更にこの混合物は、透析療法における、上記した直ぐに使用できる透析溶液として使用することができる。
本発明のキットの該第一の成分は、好ましくは、酸を含み、また≦6.0なるpHを持つ滅菌された溶液である。該第二の成分も、好ましくは滅菌された溶液であり、好ましくは緩衝剤を含み、かつ≧7.0なるpHを持つ。
本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、該第一の成分または該第二の成分中に含めることができ、あるいは更にこれら両成分中に、同一または異なる濃度にて含めることも可能である。好ましい一態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、該第一(酸性)成分のみに存在する。もう一つの好ましい態様において、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、該第二(塩基性)成分のみに存在する。該第一の成分および/または該第二の成分および/または上記随意の追加の成分は、1種またはそれ以上の電解質並びに緩衝剤を含むことができる。
当業者は、上記成分が前記原料を異なる濃度にて含む場合には、これら個々の成分の混合が、希釈作用を必然的に伴うことを認識しているであろう。例えば、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンが、専ら前記成分の一つに存在する場合、これらの成分と少なくとも1種の他の成分との混合は、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの利用可能な量に関して、体積における増大に導き、またその結果として希釈、即ち該6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン濃度の減少に導く。結局、該成分は、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを、上記直ぐに使用し得る透析溶液よりも高い濃度にて含むことが好ましい。
該成分における本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの濃度は、好ましくは5℃における飽和濃度に近いものであり、そのためにより高い温度下での保存中の、十分な安定性が保証される。
好ましい一態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの質量基準の全濃度は、0.01 g/L〜1.0 kg/Lなる範囲、より好ましくは0.1〜750 g/Lなる範囲、より一層好ましくは1.0〜500 g/Lなる範囲、最も好ましくは10〜250 g/Lなる範囲、および特に100〜200 g/Lなる範囲にある。もう一つの好ましい態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの質量基準の全濃度は、25±24 g/L、より好ましくは25±20 g/L、より一層好ましくは25± 15 g/L、最も好ましくは25±10 g/L、および特に25±5 g/Lである。別の好ましい態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの質量基準の全濃度は、50±25 g/L、より好ましくは50±20 g/L、より一層好ましくは50± 15 g/L、最も好ましくは50±10 g/L、および特に50±5 g/Lである。他の好ましい態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの質量基準の全濃度は、75±25 g/L、より好ましくは75±20 g/L、より一層好ましくは75± 15 g/L、最も好ましくは75±10 g/L、および特に75±5 g/Lである。他の好ましい態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの質量基準の全濃度は、100±25 g/L、より好ましくは100±20 g/L、より一層好ましくは100±15 g/L、最も好ましくは100±10 g/L、および特に100±5 g/Lである。他の好ましい態様において、該成分における、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの全濃度は、200±25 g/L、より好ましくは200±20 g/L、より一層好ましくは200± 15 g/L、最も好ましくは200±10 g/L、および特に200±5 g/Lである。
好ましい一態様において、上記第二の成分は、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンおよび適当な緩衝剤を含み、該緩衝剤は、該第二の成分のpHを、7.0を越え、好ましくは7.5を越え、より好ましくは8.0を越え、最も好ましくは8.5を越え、および特に9.0を越える値に調節する。これは、好ましくは重炭酸塩を使用することによって実現でき、該重炭酸塩は、例えば解離した重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムとして存在し得る。もう一つの好ましい態様において、該第二の成分は固体であり、また少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンおよび少なくとも1種の緩衝剤、例えば重炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸カリウムを含有する、粉末化された混合物を含む。
上記多重チャンバーバッグは、好ましくは腸管外透析療法において使用するのに適しており、また好ましくは以下に列挙する成分を、以下に指定する濃度にて含有する:

Figure 2013522426
ここで、該多重チャンバーバッグ系の一つのチャンバーは、第一の酸性濃厚物を含み、またもう一つのチャンバーは、第二の塩基性濃厚物を含み、該酸性濃厚物は、
Figure 2013522426
を含み、また該塩基性濃厚物は、

Figure 2013522426
を含むが、如何なる

Figure 2013522426
をも含まず、また該分離システム(例えば、分離用シーム)を溶解または破壊した後、これら2種の濃厚物は相互に混合することが可能であり、結果としてこれら2種の濃厚物の混合は、上記直ぐに使用し得る透析溶液の製造へと導き、また該直ぐに使用し得る透析溶液のpH値は、7.0〜7.6なる範囲内にある。
該塩基性濃厚物は、好ましくは少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンおよび場合によりグルコースおよび/またはポリグルコースを含むが、一方で該酸性濃厚物は、如何なる本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンまたは如何なるグルコースおよび/またはポリグルコースをも含むことはない。
該塩基性濃厚物は、好ましくは所定量の重炭酸塩を含み、該重炭酸塩の存在は、少なくとも20 mMなる、該直ぐに使用し得る透析溶液内の重炭酸塩濃度へと導く。該塩基性成分の重炭酸塩濃度が十分に高く、結果として該直ぐに使用し得る透析溶液が、25 mMなる重炭酸塩濃度を持つことが好ましい。
該塩基性に緩衝された第二の濃厚物のpHは、好ましくは塩酸により調節される。
該2種の濃厚物を、10:1〜1:10なる範囲または8:1〜1:8なる範囲、より好ましくは5:1〜 1:5なる範囲または3:1〜1:3なる範囲、より一層好ましくは2:1〜1:2なる範囲、および特に1:1なる体積比にて、相互に混合することが好ましい。
上記多重チャンバーバッグは、好ましくはガスバリヤフィルムを持ち、該バリヤフィルムは、この系からのガス状CO2の逃散を防止する。当業者は、ガスバリヤフィルムに精通しているはずである。
本発明の好ましい趣旨は、透析溶液の製法に係り、該製法では、所定の混合比が、透析装置または腹膜透析循環器によって自動的に実現される。
好ましい一態様において、本発明は、固体組成物に係り、該組成物は、規定体積の溶媒(例えば、水)に溶解することにより、本発明の透析溶液を製造するのに適している。該固体組成物は、好ましくは上で説明したような成分であり、従って上記本発明のキットの一構成成分である。
該固体組成物は、粉末、顆粒、ペレット等の任意の固体形状にある、本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含んでいる。本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンは、凍結乾燥品であってもよく、あるいは噴霧乾燥されたものであってもよい。
本発明の固体組成物は、好ましくは重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを含む。該固体組成物における重炭酸塩対本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンに係る物質量の比は、好ましくは1:100〜100:1なる範囲、より好ましくは1:50〜50:1なる範囲、より一層好ましくは1:25〜25:1なる範囲、最も好ましくは1:10〜 10:1なる範囲、および特に1:5〜5:1なる範囲にある。
該固体組成物を溶解することにより本発明の透析溶液を製造するのに要する、該溶媒の規定体積は、好ましくは1.0〜2000Lなる範囲にある。該溶媒は、好ましくは純粋、滅菌水または注射するのに使用される水であり、これらは、場合により1種またはそれ以上の上記電解質、1種またはそれ以上の浸透圧的に活性な物質(例えば、少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン)および/または1種またはそれ以上の上記緩衝剤を含むことができる。
本発明のもう一つの趣旨は、本発明の透析溶液(血液透析溶液または腹膜透析溶液)を製造するための、少なくとも1種の本発明の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの使用に係る。
本発明のもう一つの趣旨は、本発明の透析溶液(血液透析溶液または腹膜透析溶液)を製造するための、本発明のキットの使用に係る。
本発明のもう一つの趣旨は、本発明の透析溶液(血液透析溶液または腹膜透析溶液)を製造するための、本発明の固体組成物の使用に係る。
以下の実施例1〜4における化合物を、公開された手順(Steffen等, Chem. Eur. J., 2007, 13, 6801-6809)に従って製造した。
個々の例示化合物の各バッチを、約2〜3なる範囲の低置換度を持つように調製し、また約6〜7なる範囲の高い置換度を持つバッチをも製造した。
実施例1:
Figure 2013522426
実施例2:
Figure 2013522426
実施例3:
Figure 2013522426
実施例4:
Figure 2013522426
比較例:
上記例示化合物1〜4を、等価なβ-シクロデキストリン誘導体と比較した。
該例示化合物は、上記等価なシクロデキストリン化合物と比較して、分子量(例えば、HPLCまたはLC/MS/MSによって、分析的に測定した)を異にする、少数の位置異性体および化合物を有していた。
米国特許第4,889,634号およびJP 8071146による、上記シクロデキストリン誘導体と比較すると、上記例示化合物1〜4は、高いコロイド浸透圧を有し、またその結果としてより大きな浸透圧調節効率を持つ。

Claims (10)

  1. 浸透圧剤として使用するための、以下の一般的構造式Iで表される、6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン:
    Figure 2013522426
    I
    ここで、
    a) XはS-Rまたは-OHを表し;
    b) nは6、7または8を表し;
    c) 該S-R基に基づく置換度は、次の通りであり:≧0.0001および≦n;および
    d) RはC1-6-アルキル-NR1R2、C1-6-アルキル-N+R3R4R5.C1-6-アルキル-COOH、C(=O)C1-6-アルキル-COOH、-C(=O)-CH2-C(OH)(COOH)-CH2-COOH、ジヒドロキシル化C1-6-アルキル、C1-6-アルキル-PO3H2およびC1-6-アルキル-SO3Hからなる群から選択され、これらの基において、R1、R2、R3、R4およびR5は、相互に独立に、Hまたは-C1-3-アルキルを表す。
  2. 前記置換度が、≧1かつ≦nである、請求項1記載の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン。
  3. 前記置換度が、≧n-1かつ≦nである、請求項1または2記載の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン。
  4. 前記6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの7.5質量%水性溶液が、≧5mosm/ Lなる容量モル浸透圧濃度を持つ、請求項1〜3の何れか1項または2項以上に記載の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン。
  5. 透析療法、好ましくは血液透析または腹膜透析療法において使用するための、請求項1〜4の何れか1項または2項以上に記載の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン。
  6. 薬物の張性を調節するための、請求項1〜4の何れか1項または2項以上に記載の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンの使用。
  7. 請求項1〜5の何れか1項または2項以上に記載の、少なくとも1種の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリンを含有する、透析溶液。
  8. 請求項7記載の透析溶液を調製するためのキットであって、
    第一の成分;
    第二の成分;および
    場合により1種またはそれ以上の追加の成分を含み、
    前記請求項7記載の透析溶液が、該第一の成分および該第二の成分および場合により該追加の成分を混合することにより得られるものであることを特徴とする、前記透析溶液調製用のキット。
  9. 請求項7記載の透析溶液を調製するのに適した固体組成物であって、該透析溶液が、該固体組成物を溶媒に溶解することによって得られることを特徴とする、前記固体組成物。
  10. 請求項1〜5の何れか1項または2項以上に記載の、少なくとも1種の6-デオキシ-6-スルファニルシクロデキストリン;
    請求項8記載のキット;または
    請求項9記載の固体組成物の、
    請求項7記載の透析溶液を調製するための使用。
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