JP2013522156A - ダイヤモンドの合成方法 - Google Patents

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Abstract

ダイヤモンドの合成方法であって、当該方法は;(i)原子状水素プラズマの存在下および/または原子状水素ラジカルの存在下において溶解ゾーンに、グラファイトの析出に関して炭素で飽和した液体金属を準備し;(ii)溶解ゾーンから堆積ゾーンに液体金属の少なくとも一部分を移送し;(iv)堆積ゾーン内の液体金属を原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに暴露させ、堆積ゾーン内の液体金属が、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和する、好ましくは、過飽和するように、堆積ゾーン内の液体金属の温度を溶解ゾーン内の液体金属の温度よりも低くし;(vii)堆積ゾーン内の液体金属から炭素を析出させ、ダイヤモンドを合成し;および(viii)必要に応じて、合成したダイヤモンドを金属から取り出すことを含む。

Description

本発明は、ダイヤモンドを合成する方法および装置に関する。
とりわけ、本発明は、溶解した炭素で飽和している、過飽和していることが好ましい流体から、ダイヤモンドを連続的に製造する方法に関することが好ましい。独自に、炭素源の溶解とダイヤモンドの成長の両方は、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの存在下で行われる。これらの工程は、装置の2つの異なる領域で行われ、広範囲の最終製品形状および形態を達成するように、ダイヤモンドの合成条件を正確に制御することができる。
米国特許第3,142,539号は、垂直なループ構造内における過飽和炭素含有液体金属からのダイヤモンド成長を記載する。グラファイトは、ループの底において高温液体金属溶媒に溶解し、飽和した(グラファイトに関して)炭素−金属溶融物が形成される。従って、流体は、対流を用いるループの頂まで回って移動し、そこで、流体は冷却され、流体を、ダイヤモンドに関して炭素で過飽和にする。次いで、種ダイヤモンドは、ループの冷却部分で保持され、ゆっくりではあるが成長するのが観察される。装置は、閉鎖した金属構造であり、および従って組み立てる、メンテナンスするおよび運転することが非常に高価である。そこに存在する内部雰囲気は、不活性(すなわち、アルゴン)である。米国特許第3,142,539号に記載の方法は、ダイヤモンドの非常に小さな成長速度を得る高価な方法であり、および補修するのが困難である装置を用いる。システムは、成長領域において、ダイヤモンドに平行にグラファイトが格生成することを制御できないため、実際の製造したダイヤモンド物質は、必ずしも良好な質でもなく、純ダイヤモンドよりむしろ、ダイヤモンドとグラファイトの多結晶体の生成をもたらす。
米国特許第6,342,195号は、少なくとも1つの非気相の炭素源物質と、少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの物質とを一体に混合することを含むダイヤモンド製造方法を記載する。金属または合金は、遷移金属系から少なくとも1つの元素、またはランタニド族の金属を含む。初めの炭素過飽和状態が落ち着いた(または静まる、subside)ときに支配する低い成長速度の動力学(またはカイネティクス、kinetics)に起因して、製造した結晶の寸法は非常に小さい。これは、システムが、溶液から出てくる炭素を連続的に補給しないからである。従って、これは、製造可能な最終製品の寸法に対して実用上の制限を設ける。
米国特許第7,547,358号は、米国特許第3,142,539号においてBrinkmanにより記載されているそれに類似した性質の閉鎖したループ構造内において、ダイヤモンドを合成するシステムを記載する。記載されるシステムは、好ましくは、液体形態である高度に反応性のあるアルカリ族金属(元素形態としてまたは水素化物として)を、溶媒として用いる。このシステムは、電磁気的または物理的ポンプを用いて、ループのまわりの溶媒流れを支援し、および実験の終了時に、成長した結晶を取り出す複数の方法を記載する。本発明は、主に低温システムであるが、インジウム、ガリウム、および鉛ベースの成長を利用することを記載する。
米国特許第7,547,358号において、高度に反応性のあるアルカリ金属の使用は潜在的に危険である。例えば、米国特許第7,547,358号に記載のシステムは、いずれかの酸素または水蒸気がシステムの内容物に接触した場合に、壊滅的に爆発する。このシステムを維持するのに必要な安全性の特徴およびプロセスは、非常に高価であり、プロセスの経済性に影響を与える。従って、ダイヤモンドを合成するためのより安全でより経済的なプロセスをもたらすことは望ましい。
米国特許第7,547,358号の方法は、適温(800℃において、または800℃以下)で作動するように構成される。今の従来技術は、これが、製造するダイヤモンド(存在する場合)の成長速度を厳しく制限することを提案する。
米国特許第5,404,835号は、CVD反応器内において、ダイヤモンドを液体の水素化ニッケル膜上で成長させるCVD(化学気相蒸着)プロセスを開示する。ダイヤモンド結晶は、液体金属/金属水素化物表面上に形成し、該結晶は、それらの最低の自由エネルギー状態(本明細書において界面エネルギーによって求められる)に従って、それら自身をメニスカス上で方向付ける。更なるCVD成長は、結晶が集まるまで結晶上で生じ、および従って、製造した膜は、大部分が配向した結晶面を有する。
米国特許第4,485,080号は、急冷技術を用いて、溶解した炭素で過飽和した液体金属合金溶融物から、微細なダイヤモンドグリットを製造する方法を言及する。技術は、まず、高温において、金属合金を炭素で過飽和にし、および次いで、パウダー冶金に一般的に用いるスプレー技術を用いて、この混合物を急冷することに依存する。溶剤の界面エネルギー効果、および急冷により生じる化学ポテンシャルの大きな変化は、グラファイト核ではなく微視的なダイヤモンド核の生成を支持する傾向があることが期待される。従って、これらは、長時間に亘って、固体物質に熱を適用することによって、固体状態の溶剤中でゆっくりと成長する。
本発明は、従来の方法の少なくともいくらかの欠点に対処することを目的とする。
ダイヤモンドを合成するための改善された方法および装置を提供することは、本発明の1つの目的である。好ましくは、当該方法は、ダイヤモンドを連続的な方法で合成できる。
本発明の第1の態様において、ダイヤモンドの合成方法が提供され、当該方法は;
(i)原子状水素プラズマの存在下および/または原子状水素ラジカルの存在下において溶解ゾーンに、グラファイトの析出に関して炭素で飽和した液体金属を準備し;
(ii)溶解ゾーンから堆積ゾーンに液体金属の少なくとも一部分を移送し;
(iii)堆積ゾーン内の液体金属を原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに暴露させ、堆積ゾーン内の液体金属が、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和する、好ましくは、過飽和するように、堆積ゾーン内の液体金属の温度を溶解ゾーン内の液体金属の温度よりも低くし;
(iv)堆積ゾーン内の液体金属から炭素を析出させ、ダイヤモンドを合成し;および
(v)必要に応じて、合成したダイヤモンドを金属から取り出すこと;
を含む。
本発明の第2の態様において、ダイヤモンドを合成するための装置が提供され、該装置は:
液体金属に炭素を溶解するための溶解ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、溶解ゾーン;
液体金属からダイヤモンドを析出するための堆積ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、堆積ゾーン;
溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、互いに流体連結しており;
溶解ゾーンから堆積ゾーンまで液体金属をポンプ輸送するおよび/または移動させる手段;
溶解ゾーンおよび堆積ゾーン内にある液体金属を個別に加熱するための加熱手段;
必要に応じて、製造したダイヤモンドを装置から取り出すための手段;および
装置内の雰囲気を制御するための手段
を含む。
本明細書に規定されるような各々の態様は、それとは反対に、明確な指示がない限り、任意の他の1または複数の態様により組み合わすことができる。とりわけ、好ましいまたは好都合であるものとして示される任意の特徴を、好ましいまたは好都合であるものとして示される任意の他の1または複数の特徴と組み合わすことができる。
本発明は、ダイヤモンドを合成する改善された方法、および向上した特性(例えば、より大きな熱伝導率および/または機械的強さ)を有する同位体的に純粋のダイヤモンドを合成するのに、同位体的に純粋の炭素源を用いることができる方法を提供する。
本願の方法および装置は、経済的に実行可能であり、およびダイヤモンドを合成する既知の方法よりも安価である。
本発明は、ダイヤモンドをドープする方法も提供する。
本明細書で記載される方法を用いて、広範囲のダイヤモンド基板を、ホモエピタキシャル的に(すなわち、種結晶上に)、またはヘテロエピタキシャル的に(すなわち、ダイヤモンドでない液体または固体の表面上に)成長させ、および堆積速度を正確に制御することは可能である。
本明細書に用いるように、用語「水素」は、好ましくは、水素の同位体、例えば、H(プロチウム)、H(重水素)およびH(トリチウム)のを含む。水素の他の同位体を用いてもよい。好ましくは、用語「水素」は、H(プロチウム)のことを言う。
本明細書に用いるように、用語「液体金属」は、液体、半液体および/または溶融金属を含む。それは、1以上の金属の混合物をも含む。それは、合金、および1以上の合金および/または金属の混合物をも含む。
本発明に用いる金属は、単一の金属元素、または合金、または2以上の金属元素および/または合金を含んでよい。好ましくは、鉛、ビスマス、錫、金、銀、銅、パラジウム、インジウム、ガリウム、アンチモン、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、ゲルマニウムおよびそれらの2以上の混合物から、金属を選択する。より好ましくは、金属は、銀、金、銅、パラジウム、インジウム、ガリウム、錫、アルミニウム、鉛またはそれらの2以上の混合物を含む。1つの実施形態において、金属は、インジウム、銀、金、鉛、またはインジウム、銀、金もしくは鉛を含む合金である。適切な合金は、鉛−金、銀−金、鉛−錫、およびインジウム−鉛の合金を含む。最も好ましくは、金属は、インジウム、銀、金、銅、パラジウム、鉛、またはインジウム、銀、金、銅、パラジウムもしくは鉛を含む合金である。適切な合金は、鉛−金、銀−金、鉛−錫、およびインジウム−鉛の合金を含む。鉛−鉄またはアルミニウム−鉛のような不混和性の金属混合物を用いてよい。
好ましくは、液体金属は、アルカリ金属を含まない。とりわけ、液体金属は、アルカリ金属水素化物を含まないことが好ましい。このような物質は、酸素および/または空気に暴露した場合に、潜在的に危険である。
好ましくは、金属中の炭素源はグラファイトである。典型的には、炭素源は、固体炭素源である。しかしながら、炭素質の物質の任意の他の適切な源を用いることができることを理解されたい。好ましくは、炭素質の物質は、本質的に大部分がグラファイトであり、例えば、ガラス質の炭素、圧縮されたグラファイト、または炭素ナノチューブである。炭素の同位体的に純粋な源は、例えば、向上した熱伝導性および/または向上した機械的強さのような向上した特性を有する同位体的に純粋なダイヤモンドを成長するのに用いてよい。
炭素源物質は、市販の任意の密度または多孔性のグラファイト、または大部分がsp結合の炭素原子から成る他の形態の炭素であってよい。グラファイトを用いる場合に、好ましくは、それは、99%よりも高い炭素、より好ましくは、少なくとも99.99%の炭素の純度を有する(原子の総数の割合として、炭素の原子数に関して)。しかしながら、用いるグラファイトの純度は、他の顕著な不純物が水素のみである場合に、70%ほどの低さであってよいが、好ましくは、グラファイト物質における炭素および水素の2つの原子比率の組合せは、存在する他の不純物に比較して99.99%を超える。特定の同位体の比率を有するダイヤモンド物質の製造が望まれるプロセスにおいて、グラファイト源は、必要に応じて、炭素-12、炭素−13または炭素−14の対応する比率から構成できる。
好ましくは、プランジャーによって金属に炭素源を浸漬する。炭素源を液体金属のメニスカスの下に保持すると同時に炭素が溶解するように、プランジャーを用いることができる。
炭素源物質を液体金属のメニスカスの下に浸す深さは、好ましくは可能な限り低く維持される。好ましくは、この深さは、液体金属のメニスカスから炭素源の頂まで50mm未満、より好ましくは、10mm未満であり、および最も好ましくは、2mm未満である。これは、原子状水素ラジカル源および/またはプラズマ発生源によって生じる水素種が、炭素源物質の表面上に拡散するのを可能にする。これは、溶剤内の炭素濃度が、標準的な二元系状態図によって求められている報告済みの平衡値よりもずっと高い値に近づくことを確実にする。任意の特定の理論に縛られることを望まずに、これは、流体溶媒内において、簡単な溶媒−炭素二元系システムよりもずっと高い平衡濃度を示す溶媒−炭素−水素種が形成することに起因すると考えられる。
金属は、好ましくは、1500℃よりも高い、1750℃、または2000℃よりも高い沸点を有する。
金属は、好ましくは、1500℃以下、より好ましくは、1450℃以下、1000℃以下または500℃以下の融点を有する。
好ましくは、グラファイトの析出に関して炭素で飽和される液体金属を供給するのに、金属は、1000℃よりも高い温度まで加熱され、および好ましくは、1000℃〜2500℃の範囲であり、より好ましくは、液体金属は、1000℃〜2000℃、1500℃〜1750℃、1550℃〜1750℃または1550℃〜1650℃の範囲の温度まで加熱される。上記に概略を示したように、好ましくは、金属内に高濃度の炭素を形成するように、炭素源は、原子状水素および/または原子状水素プラズマの存在下で液体金属に溶解する。
好ましくは、液体金属が、液体金属の最低温部分において、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和するように、堆積ゾーン内において、グラファイトの析出に関して炭素で飽和した液体金属の温度を、例えば、5℃〜250℃、5℃〜200℃、50℃〜150℃、50℃〜100℃、50℃〜200℃で低下する。より好ましくは、液体金属が、液体金属の最低温部分において、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和するように、温度を、50℃〜200℃で低下し、より好ましくは、125℃〜175℃で低下する。好ましくは、液体金属が、液体金属の最低温部分において、ダイヤモンドの析出に関して炭素で過飽和するように、堆積ゾーン内の液体金属の温度を低下する。堆積ゾーンもまた原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに暴露する。
他に指定がなければ、液体金属の温度および/または飽和レベルを、金属の最低温部分で測定する。
液体金属が、堆積ゾーンにおいて、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和するおよび好ましくは、過飽和するように、液体金属の温度を低下する。これは、金属内の炭素を析出することを可能にし、ダイヤモンドを合成することを可能にする。界面エネルギー効果の組合せに起因して、ダイヤモンドは、グラファイトに平行に溶液から析出できる。しかしながら、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルは、任意の共析するグラファイト核を優先的に破壊し、および従ってシステムは、好ましくは、ダイヤモンドのみを製造する。
本発明は、ダイヤモンド表面とのより低いエネルギー界面を形成する液体金属(液体金属がグラファイト表面と相互作用するよりも)の使用をもたらす。堆積ゾーンにおいて、炭素は、飽和したまたは過飽和した液体金属からダイヤモンドとして析出する(または出てくる)。これは、流体の界面エネルギー効果ならびに水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルによる任意のグラファイト核の優先的なエッチングおよび/または破壊の両方に起因すると考えられる。
1つの実施形態において、炭素が種ダイヤモンド上に析出するように、種ダイヤモンドを、堆積ゾーン内の液体金属に少なくとも部分的に浸漬する。これは、この種ダイヤモンドのより大きなダイヤモンド上への成長をもたらす。
種結晶を液体金属のメニスカスの下に浸す深さは、好ましくは浅い。好ましくは、この深さは、メニスカスから種ダイヤモンドの頂まで50mm未満、より好ましくは、10mm未満、および最も好ましくは、2mm未満である。これは、好ましくは、原子状水素源および/またはプラズマ製造ユニットにより発生する原子状水素種が、ダイヤモンドを取り囲む溶剤に、拡散するのを可能にする。原子状水素のこのバックグラウンド濃度は、堆積領域のかなり過飽和にされた環境において、ダイヤモンドに平行に析出できる全てのグラファイト核を優先的に減少させる。次いで、これは、溶剤内に溶解した炭素が、ダイヤモンドとして、種ダイヤモンド表面上に析出するのを促進し、従ってその質量を増加する。ダイヤモンドを、種ダイヤモンド結晶上で成長させる本発明の実施形態において、一般に、数分に亘って溶解プロセスを実施するまで、ダイヤモンドを溶剤内で浸漬せず、および従って、溶融物は、溶解した溶媒−炭素−水素種で充分に過飽和する。これを、溶媒内でのダイヤモンド種の溶解を防ぐように行い、これは、溶媒がダイヤモンドに関して炭素で過飽和しない場合に急速に起こり得る。
別の実施形態において、ダイヤモンドが液体金属から核生成するように、反応性のある原子状水素種の濃度および/または水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの強度を変え、および/または堆積ゾーン内の液体金属の温度を制御し、種ダイヤモンドを使用する必要性をなくす。このようにして形成されたダイヤモンドは、成長して、例えば、膜、典型的には、薄膜(厚さ約50μm)になる可能性があり、またはそれは、例えば、研磨剤のグリット材料として、回収および使用できる。
別の実施形態において、ダイヤモンドより低密度を有する不混和性の液体金属層は、堆積ゾーンにおいて、より高密度の溶媒層の上に存在する。ダイヤモンドは、2つの液体の界面で保持される種結晶上に成長でき、または2つの液体間の界面で核生成でき、平坦な膜構造を形成できる(すわなち、ダイヤモンドを浮かせる)。この実施形態において、用いるいかなる種ダイヤモンドも、好ましくは、両方の溶媒層が炭素で過飽和になるまで、堆積ゾーン内に浸漬しない。
高温の耐火性セラミックもまた、液体金属内に含んでよい。本発明で用いるための高温の耐火性セラミックの適切な例は、窒化ホウ素、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、窒化アルミニウム、二酸化チタンまたは他の耐火性セラミックを、バルク材料としてまたは別の耐火性材料上へのコーティングとして含む。このようなセラミックスは、1000℃より高い温度における方法の信頼性のある操作を可能にする。
好ましくは、本発明の方法を、10Pa〜150kPa、50Pa〜125kPa、より好ましくは、100Pa〜100kPaの範囲にある周囲圧力において行う。好ましくは、圧力は、100kPaより低い。
金属がグラファイトに関して炭素で飽和/過飽和した場合に、および従って金属がダイヤモンドに関して炭素で飽和/過飽和した場合に、関連した状態図データを、または状態図データが利用不可である場合に、適切な熱力学的近似を、計算するのに用いることができる。
溶解ゾーンは、任意の適切な容器および/またはチャンバーから成ってよい。好ましくは、本明細書で用いるように、用語「溶解ゾーン」は、1以上の液体金属が、グラファイトの析出に関して炭素で飽和できる領域またはゾーンを記載するのに用いる。
堆積ゾーンは、任意の適切な容器および/またはチャンバーから成ってよい。好ましくは、本明細書に用いるように、用語「堆積ゾーン」は、炭素が液体金属から析出できるように、1以上の液体金属が、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和、好ましくは、過飽和できる領域またはゾーンを記載するのに用いる。
好ましくは、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、互いに流体連結している異なるゾーンである。
好ましくは、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、連続的なループを用いて互いに流体連結している。好ましくは、液体金属は、ループを用いて、溶解ゾーンから堆積ゾーンに、および従って次いで、堆積ゾーンから溶解ゾーンに戻るようにポンプ輸送できる。これは、システムのまわりに液体金属を再循環することを可能にする。
1つの実施形態において、溶解ゾーンから堆積ゾーンまで液体金属の連続的な流れがある。これは、堆積ゾーン内の液体金属中に存在する炭素を連続的に補給できるので好都合である。これは、多くの従来の方法の場合のように、堆積ゾーン内の液体金属中に存在する炭素が補給されなかった場合に可能であるダイヤモンドよりも大きいダイヤモンドを形成できる。
1つの実施形態において、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、連続的なループ以外によって、互いに流体連結している。液体金属は、溶解ゾーン内に連続的に供給でき、溶解ゾーンから堆積ゾーンまで移送でき、および次いで廃棄できる。この実施形態は、堆積ゾーン内の液体金属中に存在する炭素量を連続的に補給できる。
好ましくは、本発明の方法は、実質的に水平な配置における連続的なループを用いて行う。好ましくは、本発明の方法は、水平な配置における連続的なループにより行う。ループ(他には、トラックウェイと言う)が、水平に対して0°〜45°の角度がつけられている場合に、本発明の方法を行ってよいことを理解されたい。好ましくは、それは、水平に対して0°〜20°、0°〜10°または水平に対して0°〜5°の角度がつけられている。
好ましくは、ループ、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、全て、実質的に水平な配置において位置する。代替的には、ループ(またはトラックウェイ)のみが、実質的に水平な配置において位置してよく、または溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、実質的に水平な配置において位置してよいことを理解されたい。
好ましくは、ループまたはトラックウェイは、開放した面を有する容器である。開放した面を有する容器は、メンテナンスするおよび実施するのに、より経済的なので、開放した面を有する容器をループまたはトラックウェイとして有することは、閉鎖した容器またはチューブよりも好都合である。
液体金属の少なくとも一部分は、ポンプ輸送によって溶解ゾーンから堆積ゾーンに移送できる。電磁気的および/または機械的ポンプは、1つのゾーンから次のゾーンまで液体金属の流れを制御するのに用いることができる。
所定のシステムのまわりに金属溶媒を移動するのに用いられており本発明に用いるのに適切である電磁気的ポンプ(および磁気的−水力学的ポンプまたは渦電流ポンプのような、同じ主題におけるバリエーション)は、米国特許第3,038,409号に記載する。液体金属をまわりに移動するのに、動かない部分を備えたポンプを使用することは、よく知られている。2つの電極を用いて、電流を、チャンネルを横切って横方向に適用し、および前者のセットのまわりに巻かれているコイルを用いて、磁場を、チャンネルに対して垂直に適用する。これは、物理学で説明されるように、フレミング左手の法則によってチャンネルに沿った正味の流れを形成する。基本的に、これは、磁場に垂直に保持されているワイヤが力を生み出す(電流がワイヤを通過して流れる場合に)ことを示す。この技術は、ナトリウム冷却原子炉クーラントシステム、および摩滅する動かない部分をポンプが有する際のアルミニウムスクラップ改良システム、ならびに従ってこれがメンテナンス無しに数年に亘って実施できる封止システムにおいて、広く用いられている。物理的なポンプ(すなわち、外輪)は、電磁気(EM)ポンプの代わりに、本願の方法に用いることができることを理解されたい。
好ましくは、方法における液体金属の流速は、1分当たり1ミリリットル〜1分当たり100リットルである。より好ましくは、流速は、1分当たり10ミリリットル〜1分当たり1リットルである。最も好ましくは、流速は、1分当たり50ミリリットル〜100ミリリットルである。
好ましくは、ダイヤモンドの析出による堆積ゾーン内の液体金属からの炭素原子の損失率が、溶解ゾーンから堆積ゾーンに、更なる液体金属を流すことによる堆積ゾーン内の液体金属中の炭素原子の置換率よりも低いように、堆積ゾーン内の液体金属の流速を選択する。
本発明の方法は、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの存在下で、溶解ゾーンに、グラファイトの析出に関して炭素で飽和した液体金属を準備することを含む。好都合には、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの存在(それらの欠如と比較して)は、溶媒化の間に液体金属への炭素の溶解度を増加させる。
好ましくは、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを、マイクロウェブ、高温フィラメント、アークジェット、直流プラズマ成長またはフレーム方法によって発生する。このような方法は従来から知られている。原子状水素を提供する任意の他の適切な方法を用いてよい。好ましくは、原子状水素ラジカル源を、溶解ゾーン内の液体金属に亘って保持する。1つの実施形態において、本発明に用いる源は、水素原子のみ(および他の原子無し)を含む。別の実施形態において、原子状水素源は、水素原子と他の原子、例えば、アルゴン原子との混合物を含んでよい。
本発明の方法は、堆積ゾーン内の液体金属を、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに暴露させることを含む。原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの存在は、炭素がダイヤモンドではなくグラファイトとして核生成する可能性を減少させる。好ましくは、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの存在は、炭素がダイヤモンドではなくグラファイトとして少量析出するまたは実質的に析出しないことを確実にする。原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルが堆積ゾーン内で存在しなかった場合に、ダイヤモンドは、多くの場合にエネルギー的に好ましいけれども、いくつかのグラファイトが、ダイヤモンドに平行に核生成しないことは予測される。水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルが存在する場合に、これらの成長する核は即座にエッチング除去(etch away)され、および従って、製造されるダイヤモンドの質は保持される。従って、本発明の方法を用いて製造されるグラファイトに対するダイヤモンドの収率は、堆積ゾーン内において、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを用いない方法よりも劇的に増加する。
好ましくは、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカル製造ユニットへの水素ガスの流速は、0.1sccm〜10slpmである。より好ましくは、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカル製造ユニットへの水素ガスの流速は、1sccm〜1slpmである。最も好ましくは、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカル製造ユニットへの水素ガスの流速は、10sccm〜500slpmである。
好ましくは、本発明の方法は、堆積ゾーンおよび/または溶解ゾーン内の液体金属を横切って、電気的バイアスを適用することをさらに含む。電気的バイアスを溶解ゾーンで生じさせてよい。これは、液体金属内への炭素源物質の溶解を支援するのに行われる。液体金属中の高濃度の原子状水素は、炭素の溶解度を極値(Au−C−Hの場合に、50原子量%と同じ高さ)に近づけることができる。電気的バイアスを、ダイヤモンド堆積領域内における同じ効果に対しても利用してよい。帯電した水素種を溶媒内に引き付けて、ダイヤモンドに平行に核生成できるグラファイトクラスターを破壊するように、電気的バイアスを堆積ゾーンに適用する。溶解および/または堆積ゾーン内の電気的バイアスの存在は、金属表面において、反応性のある水素種の濃度を上昇させることによって液体金属内への水素ラジカル(好ましくは、プラズマから)の拡散を向上し、溶媒(金属)内の炭素濃度を増加する。任意の特定の理論に縛られることを望まずに、これは、原子状水素ラジカルおよび金属−炭素−水素種を形成する電荷移動プロセスを経て、液体表面の上または下の両方における帯電した水素種によって生じると考えられる。適用された電場のバイアスおよび/または周波数は、ダイヤモンドの核生成および/または成長速度を制御するように調整できる。
好ましくは、0.1ボルト〜1000ボルトの範囲の電圧を適用する。適用された電圧バイアスは、標準的な直流電流(DC)、パルス状直流、または交流電流であってよい。直流電圧バイアスがパルス状である場合に、好ましくは、適用されるパルス状電場の周波数は、0Hz〜100kHz、1Hz〜100Hzであってよい。交流電流が適用される場合に、好ましくは、周波数は、1Hz〜100kHzである。
本発明の1つの実施形態において、方法は、ドーパント(ドープされたダイヤモンド)を含むダイヤモンドを合成するのに用いることができる。ドープされたダイヤモンドは、液体金属の1以上のドーパントを含むことによって合成または成長できる。ドーパントを、ホウ素、リン、硫黄、リチウム、アルミニウムおよびそれらの2以上の混合物から選択してよい。
本発明の別の実施形態において、ドープされたダイヤモンドは、水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生源に、気体前躯体を追加することによって成長できる。このようなガスの例は、限定されるものではないが、成長するダイヤモンド結晶に、窒素、ホウ素、硫黄、またはリンの原子を別個にドープするように、窒素、ボラン、硫化水素、またはホスフィンを含む。
好ましくは、本発明の方法は、連続的に流れる液体金属源に溶解した炭素から、1以上のダイヤモンドを連続的に製造できる。
好ましくは、本発明の方法は、不活性ガスを含む反応チャンバー内で行う。好ましくは、不活性ガスは、希ガスを含む。不活性ガスは、2以上の希ガスの混合物を含んでよい。好ましくは、不活性ガスは、ヘリウムおよび/またはアルゴンを含む。最も好ましくは、不活性雰囲気は、アルゴンを含む。
好ましくは、不活性ガスは、反応チャンバーの気体の総量に基づいて少なくとも90体積%の希ガスを含む。より好ましくは、不活性ガスは、反応チャンバーの気体の総量に基づいて少なくとも95体積%、少なくとも98体積%、少なくとも99体積%、少なくとも99.9体積%の希ガスを含む。最も好ましくは、希ガスはアルゴンである。
好ましくは、反応チャンバーの内部雰囲気は、酸素を含まない。雰囲気中の酸素の存在は、ダイヤモンドのグラファイト化の速度を上げると考えられる。反応チャンバーの雰囲気は、好ましくは、反応チャンバーの気体の総量に基づく0.1体積%未満の酸素を含む。より好ましくは、雰囲気は、反応チャンバーの気体の総量に基づいて0.05体積%未満、0.01体積%未満、0.001体積%未満または0.0001体積%未満の酸素を含む。
上述したように、本発明の第2の態様は、ダイヤモンドを合成する装置を提供し、該装置は:
液体金属に炭素を溶解するための溶解ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、溶解ゾーン;
液体金属からダイヤモンドを析出するための堆積ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、堆積ゾーン;
溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、互いに流体連結しており;
溶解ゾーンから堆積ゾーンまで液体金属をポンプ輸送するおよび/または移動させる手段;
溶解ゾーンおよび堆積ゾーン内にある液体金属を個別に加熱するための加熱手段;
必要に応じて、製造したダイヤモンドを装置から取り出すための手段;および
装置内の雰囲気を制御するための手段
を含む。
好ましくは、装置は、堆積ゾーンおよび/または溶解ゾーンにおいて、液体金属を横切って、電気的バイアスを適用することをさらに含む。好ましくは、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、開放した容器によって互いに流体連結している。より好ましくは、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンは、連続的なループによって互いに流体連結している。使用中、好ましくは、連続的なループは、実質的に水平である。
ダイヤモンドは、炭素で過飽和した溶剤から核生成および成長し得ることが長く知られている。作業は、初めはBurton、Nature (1905) 397によって1905年に行われており、および1985年に、Sebba、N.Sugarman、Nature 316 (1985) 220−220によって確認され、ダイヤモンドに関して過飽和するまで急速に駆動する鉛ベースシステムから、ダイヤモンドが核生成できることが示される。
本発明者は、これまでに、なぜダイヤモンドがグラファイトに優先して所定の炭素過飽和流体内で生成するのかを予期し得る理論的な枠組みを説明している。この枠組みは、ダイヤモンドが通常グラファイトに転化する温度において、重要なグラファイト表面と比較して重要なダイヤモンド表面とのより低いエネルギー界面を形成する流体が、ダイヤモンド表面の安定性を支持する傾向があることを示す。これは、このような流体に浸漬するダイヤモンド表面における高温でのグラファイト化を抑制でき、ダイヤモンドを他の方法における破壊的な(destructive)温度においてアニールまたはドープできる。本明細書に示される本発明は、炭素(好ましくは、グラファイト)源からダイヤモンドを連続的に成長するように、複数の新規な利益と同時にこれらの効果を引き出す。
堆積工程におけるダイヤモンドの核生成および成長
炭素で飽和した流体溶媒において、古典核生成論は、形成の全自由エネルギーを記載しており、ダイヤモンドまたはグラファイトの所定の核のためのΔGを、以下のように表すことができる:
Figure 2013522156
式中、ρは、固相の密度であり、Δuは、固相への凝縮中における化学ポテンシャルの変化であり、およびσSLは、固相と流体周囲の間の界面エネルギーである。流体液滴が、ダイヤモンドおよびグラファイトの表面上に形成する角度を測定することによって得られるぬれデータによると、σSLは、以下の式により、ぬれ角度θ、または接着作業Wから得られる:
Figure 2013522156
さらに、溶解した炭素の凝固における化学ポテンシャルの変化Δuは、炭素の融点に対して、溶融物における過冷却の程度の関数として規定できる:
Figure 2013522156
式中、ΔHは、凝固におけるエンタルピー変化であり、ΔTは、温度変化であり、およびTは、炭素の同素体(すなわち、グラファイトまたはダイヤモンド)の融点である。ΔHに負の値を用いることは、Δuに負の値をもたらす。従って、これは、式(1)において、バルクエネルギーの項は負であるが、表面エネルギーの項は正であることを示す。核生成プロセスの全体の自由エネルギー変化のこの2つの要素の性質は、臨界クラスター寸法rための核生成障壁をもたらし、ダイヤモンドまたはグラファイトの核生成クラスターが臨界寸法に達すると、該クラスターは、エネルギー的に安定および成長するということを意味する。従って、このようなクラスターの成長速度は、システム内における、カイネティクス、および自由な炭素の有効性によって支配される。ダイヤモンドまたはグラファイトの臨界クラスターを形成するのに必要な自由エネルギー変化は、以下を用いて計算できる:
Figure 2013522156
式中、Vは、相の分子量(すなわち、ダイヤモンドに対して、3.417cmmol−1およびグラファイトに対して、5.298cmmol−1)である。ダイヤモンドのσSLが任意値として3.7Jm−2の値でありおよびグラファイト(D.V. Fedoseev, B.V. Deryagin, I.G. Varasavskaja, Surface & Coatings Technology 38 (1989) R7−248を参照されたい)が3.1Jm−2の値でありならびにΔuの値が、理論的に予測されるそれらに比例して類似すると仮定すると、図1に示されるそれらに類似した核生成プロファイルを予測することができる。
これは、概略した界面エネルギー条件を示す溶媒システムにおいて、炭素の過飽和の程度が充分に高い場合に、グラファイトに平行にダイヤモンドを核生成することが可能であることを示す。任意の特定の理論により縛られることを望まずに、これは、米国特許第3142539号においてダイヤモンド核生成が見られる理由であると考えられる。実際に、より早い作業において、米国特許第3142539号に詳細に記載される複数の溶媒流体は、実際に、このような界面エネルギー基準を満たすことが見出されている。当該刊行物において、頻繁に報告されるように、この観察は、このような流体に浸漬するダイヤモンド表面上における更なる堆積成長がどのように生じるのか説明できる。要するに、ダイヤモンドとグラファイトの間のこのような界面エネルギー差を示す高度に過飽和にされた溶媒では、表面エネルギー変化が熱力学で最も重要であり、およびグラファイトのための小さなバルクエネルギーの優先性が大部分無効にされ、および従ってダイヤモンドが生成されるようである。帯電した種およびラジカル種の両方の存在は、グラファイトに対して、成長するダイヤモンド表面を安定化させる役割を有することができ、およびこれは、本明細書に記載される本発明において、成長したダイヤモンドを最適化する役割も果たし得るということも知られている。
本発明は、原子状水素ラジカルの存在が、二元系状態図データによって示される平衡値を超えて、いくつかの流体における炭素の溶解度の限界を押し上げることができ、従って、溶解した炭素と他の炭素−水素−溶媒種とで、非常に高度に過飽和になる溶媒を製造できるという事実を利用する。
ダイヤモンドの堆積速度の制御
低圧〜周囲圧力におけるダイヤモンドの堆積のための技術の現状は、炭化水素ガスを炭素源として用いるCVD成長技術に代表される。これらの技術は、充分に高い温度で行う場合に、1時間当たり1mmに近い速度で、高品質ダイヤモンド膜を成長できる範囲まで改良されている。従って、速度制限因子は、成長媒体中での原子状炭素またはラジカル炭化水素種の有効性(availability)になる。CVDダイヤモンド堆積の最も実用的な例において、気体の環境は、成長表面に、相対的に低濃度の炭素原子をもたらす。
本発明は、ダイヤモンド成長中におけるこの速度制限工程を認識しており、および成長表面に、相対的に高濃度の自由な炭素原子または炭素ラジカルをもたらすことによって、それを除去する。これは、以下に記載される様式で計算および微調整できるより高い速度のダイヤモンド成長を可能にする。
ポンプによって駆動するシステム(トラックウェイ)において、溶媒が一定流速であると仮定すると、単位時間当たりに堆積ゾーン内の溶液から外に出た炭素量を見積もるように、式を導出できる。これは、mmsec−1において、
Figure 2013522156
であり、式中、fは、mmsec−1における溶媒の流速である。ΔAtは、冷却範囲(At%において)に亘って予測される溶融物中の炭素の平衡濃度における変化であり、MWは、溶剤の分子量であり、およびρは、その密度である。2つの用語ρo(ダイヤモンドの密度)およびMW(炭素の分子量)は、同位体的に「平均的な(average)」炭素源を用いるシステムのために一定であると仮定できるので、これを以下に書き直すことができる。
Figure 2013522156
Pbのような溶剤のために、M . Hansen, Constitution of Binary Alloys, McGraw−Hill, New York (1958)から二元系相データを用いて、1mmsec−1の流速における1600℃の溶解ゾーン温度および1250℃の堆積ゾーン温度は、1時間当たりにダイヤモンド9mm(または31.71mg)の堆積をもたらすべきであると見積もることができる。しかしながら、この図は、マイクロ波、直流アークジェット、直流プラズマ成長、高温フィラメント、または他の手段によって発生した原子状水素ラジカルの存在下で加熱された溶剤中で増加した炭素溶解度を考慮に入れていない。従って、このような溶媒を用いた実験は、ΔAtの値の変化が、二元系状態図に示される平衡値よりも、所定の温度範囲のために一般にずっと大きいことを示す。これは、堆積ゾーンにおけるダイヤモンドの核生成および堆積を熱力学的に生じるように、本発明に利用される。
さらに、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルが存在しない堆積に基づくシステムは、不可避的に、ダイヤモンドに平行にグラファイト粒子を核生成し、比例的にダイヤモンドの収率を減少させる。ダイヤモンドの収率におけるこの悪影響は、δMの項を、2つの別の項、すなわちδM(析出したダイヤモンドの質量)およびδM(析出したグラファイト/sp2の結合炭素の質量)に分けることによって数学的形態で表すことができる。得られる式は、製造される相対的な炭素量を表す。
Figure 2013522156
この式はプロセスの効率(すなわち、グラファイト状の炭素のそれに対して製造されるダイヤモンドの比率)の測定を表すので、プロセスのこの記載を以下のような簡単な式に簡略化する:
堆積したダイヤモンドの質量/秒=温度低下に亘って析出した炭素の質量−堆積したグラファイト状炭素の質量/秒
または:
Figure 2013522156
ここで、本発明は、グラファイトの核生成および成長を遅らせるおよび従って、δMの項を最小限に維持するように、連続的な流れシステムの堆積ゾーンにおいて、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを用いる新規な工程を用いる。このような様式において、グラファイトの形成を表すことは、刊行物において、よく理解されおよび明確に定義されているが、今までに、連続的な流れ成長システムに利用されていない。
本発明の堆積プロセスの効率を最適化するように、5つの可変プロセスを制御できる。
これらは:
1.溶解および堆積ゾーンの両方に亘って原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルの濃度および強度
2.溶解ゾーンと堆積ゾーンの間の温度差
3.システムを通過する溶剤の流速
4.周囲の物理的および化学的環境
5.本発明のいくつかの実施形態において、溶剤および/または種ダイヤモンド結晶を横切る電圧バイアスを、溶解および堆積速度を制御するのに用いる。
従って、これらの可変プロセスは、全ての従来技術実施者にもよく知られる様式で記載されている装置において制御される。これらは、限定されるものではないが、装置(それは、マグネトロン、アークジェット、直流グロー、高温フィラメントまたはフォトニックベースシステムなど)において、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル生成機器に対して水素ガスの流速を制御すること、このようなプラズマおよび/または原子状水素ラジカル生成装置に対して電力レベルまたは周波数を制御すること、他の一体化された加熱要素に対して電力レベルまたは周波数を制御すること(抵抗方法もしくは誘導的な方法または別の方法によって)、システムにおける電磁気的ポンプに対して電力レベルまたは周波数を制御すること、またはシステムのまわりの溶媒流れを調整するように、システムにおける任意の機械的ポンプの速度を制御すること、プロセスチャンバーの内側における化学的条件を制御すること(限定されるものではないが、プロセス環境への水素以外の気体の流入を制御することを含む)、プロセス機器の様々な部分の加熱または冷却速度を制御すること(能動的または受動的方法によって)、および溶解または核生成または成長の速度を向上するように、システムの部分に対する電気的バイアスを制御することを含む。
添付図面を参照し、例のみを用いることによって、本発明をさらに記載する。
図1は、概略された界面エネルギー基準に従って、炭素で過飽和にした流体内で核生成するダイヤモンドまたはグラファイトの臨界球状クラスターのための核生成障壁について古典核生成論(CNT)の説明である。グラフ上のy軸は、自由エネルギーのことを言う。x軸は、クラスター半径rのことを言う。 図2は、ダイヤモンド成長工程の間における装置の垂直断面を示す本発明の実施形態である。垂直断面は、溶解および堆積ゾーン(10)および(13)を切断し、および従ってこれらの2つの重要な断面を横切る溶媒流れの方向を示す。電力の供給は、参照番号(50)によって示される。 図3は、溶剤を溶融する操作の第1工程の間におけるプロセス装置の重要な内側部分を示す本発明の実施形態である。周囲の真空チャンバー、内側加熱要素、熱シールドおよび支持体は、明確にするために、この投射において示されない。この工程において、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生ユニット(1)および(2)は、トラックウェイ(7)から離れる位置に保持されている。グラファイト源アーム(3)およびダイヤモンド種アーム(4)は、トラックウェイから垂直に離され、および加熱シールド(図示せず)の裏側の位置から離れて回転する。矢印(100)は熱を示す。 図4は、グラファイト源物質(5)を、溶解ゾーン(10)における溶媒メニスカスのちょうど下に浸漬するように、グラファイト源アーム(3)を回転および下ろす操作の第2工程の間におけるプロセス装置の重要な内側部分を示す本発明の実施形態である。この時点では、溶剤の表面に、原子状水素ラジカルの源を供給するように、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生ユニット(1)を、溶解ゾーンの上の位置まで下げおよび作動する。従って、グラファイト源物質の溶解は急速に進行する。同時に、示されるように、溶媒物質の定常流がトラックウェイ(7)のまわりで開始するように、電力を、電磁気ポンプ電極およびコイル(9)に適用する。本発明の同じ実施形態において、これは、溶解速度をさらに向上するように、グラファイト源物質に電圧バイアスを適用する工程である。矢印(100)は熱を示す。 図5は、ダイヤモンド種(6)を、堆積ゾーンにおける溶媒のメニスカスのちょうど下に浸漬するように、ダイヤモンド種アーム(4)を回転および下ろす操作のダイヤモンド成長工程の間におけるプロセス装置の重要な内側部分を示す本発明の実施形態である。この時点において、溶剤の表面に原子状水素ラジカルの源を供給するように、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生ユニット(2)を、溶解ゾーンの上の位置まで下げおよび作動する。これは、堆積ゾーン内のダイヤモンドに平行に形成する全てのグラファイト核を優先的に減少するように行われる。本発明のいくつかの実施形態において、溶剤内への水素種の拡散を向上するように、電圧バイアスを、ダイヤモンド種アーム(4)と一体化した電極によって溶剤に適用する。本発明の別の実施形態において、ダイヤモンド種アーム(4)と一体化した電極によって溶剤に適用する直流バイアスは、溶剤の直接上に直流プラズマをもたらし、溶媒表面との水素ラジカル種の相互作用を増加させる。矢印(100)は熱を示す。
装置の詳細な記載
図2は、プロセス装置の1つの実施形態の主要な体の断面図を示す。図3、4および5は、装置の簡単な実施形態において、トラックウェイ上に見られる3次元斜視図を表し、ならびに溶解ゾーン、堆積ゾーン、関連した操作装置アーム、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生源の相対的な位置を示す。しかしながら、これらの図は、それ自体が様々な形態で実施可能な本発明を説明するためのガイドであることのみが意図される。これらの実施形態の形態およびフォーマットならびに関連した機器および制御における変化は、当業者に実現可能である。
プロセス装置は、好ましくは、ステンレス鋼またはアルミニウムから構成されている2以上の部分の真空気密チャンバー内で包囲されている。このチャンバーは、2重に被覆した構成によって、またはチャンバーの外側のまわりに巻きつけられている冷却トレースパイプの存在によって、水冷または空冷できるが、好ましくは水冷される。チャンバーの頂上に、複数の垂直なポートがあり、該ポート上に、プラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生ユニット(1)、(2)ならびにグラファイト源操作装置アーム(3)およびダイヤモンド種操作装置アーム(4)が取り付けられている。溶媒表面(8)の上の原子状水素種の濃縮領域の距離を正確に調整でき、および操作中の必要なときに、グラファイト源およびダイヤモンド種を挿入および取り出すことができるように、2つのプラズマおよび/または原子状水素ラジカル発生ユニットを、ある程度の垂直な移動を伴う標準的な線形シフトメカニズム(図2に示されず)によって、ポートに適合する。グラファイト源操作装置アームおよびダイヤモンド種操作装置アームを、線形および回転シフトメカニズムによって、チャンバーポートにも適合し、両方の部分を、動作の2軸によって回転および上昇でき、または溶媒(8)内に下降できる。操作装置アームとライナーシフトメカニズムの両方の動作の利用可能な軸は、図2、3、4および5の矢印により示される。周辺環境に開放した配置において、包囲されているチャンバー領域の中心に、溶融した溶媒を収容するのに用いるトラックウェイ(7)と呼ばれるループ構造がある。
好ましくは、これは、高温に耐えることができる耐火性材料、例えば、用いる溶媒物質に対して相対的に不活性である、アルミナ、ジルコニア、窒化ホウ素、二ホウ化チタン、マグネシア、イットリア、モリブデン、タンタル、チタンまたは他の耐火性材料から構成されている。これは、セラミック膜でコーティングされている高温の耐火性材料、例えば、アルミナコーティングモリブデン、窒化ホウ素コーティングチタン、または炭化シリコンコーティンググラファイトからも構成できる。より好ましくは、トラックウェイは、窒化ホウ素、アルミナもしくは窒化ホウ素またはアルミナでコーティングされているグラファイトを用いて構成されている。トラックウェイは、図3、4および5に最も良く示されている4つの異なる領域から成る。これらは、溶解ゾーン(10)、堆積ゾーン(13)、ポンプ輸送および/または移動領域(9)ならびにこれらの部分の間の基礎的なトラック領域である。トラックウェイは、材料の単一の片、または支持スタンド(22)により所定位置にきつく保持されている別々のセグメントから構成できる。支持スタンド(22)は、更なる支持フレーム(23)上に取り付けられている。好ましくは、支持スタンドは、耐火性のセラミックまたは金属から構成されている。より好ましくは、支持スタンドは、窒化ホウ素、モリブデンまたはチタンから構成されている。支持フレームは、好ましくは、耐火性の材料または金属から構成されている。
好ましくは、支持フレームは、高温で用いるのに適した所定のグレードのステンレス鋼から構成されている。
真空気密フィードスルーポート(26)によって主要なチャンバー内に入る、独立して立っている(free standing)電極(25)によって、いくつかの加熱要素(24)は、トラックウェイ構造のちょうど下で保持されている。これらの加熱要素は、好ましくは、トラック構造全体の下に存在し、および技術実施者によく知られている方法を用いて、それぞれ別々に制御される(27)((27)は、加熱要素動力制御ユニットのことを言う)である。本発明の1つの実施形態において、チャンバー(28)の頂における適切なポートに取り付けられている光学熱電対は、溶媒のメニスカスに沿った重要な部分における温度を求めるのに用いる。得られる温度信号は、温度コントローラーによって、各々の監視ゾーンの直接下の加熱要素に供給される電力を制御するのに用いられ、従って、ゾーンの直接温度制御を可能にする。この指定されたレベルの制御は、トラックウェイの異なる部分を、プロセスの要件に従って異なる温度まで加熱できる。さらに、これは、溶解ゾーンおよび堆積ゾーンの温度を実質的に(異なって)維持でき、従って、ダイヤモンド成長プロセスの熱力学を推進する。本発明の1つの実施形態において、単一の抵抗加熱要素が、用いられ、好ましくは、グラファイトから構成されており、グラファイトまたは炭素−炭素複合材にコーティングされている。トラックウェイおよび溶媒に対する熱の適用を提供および制御する他の方法、例えば、誘導加熱、光学手段による加熱、またはプラズマ源からの間接的な加熱を用いることもできる。
熱の遮断を、装置内において広範囲に用いる。加熱要素ならびにプラズマ源および/または原子状水素ラジカル発生器により生じた熱から、内側チャンバー壁および周囲ポートを遮断するのに、主要な外側熱シールド(15)を用いる。トラックウェイ内において、堆積領域に必要な下限温度を維持するように、堆積領域から溶解領域を遮断するのに、垂直に取り付けた熱シールド(16)を用いる。可能であればポンプ輸送および/または移動領域(9)が加熱要素に直接暴露されるのを保護するようにも、トラックウェイの前方と後方の間の熱の遮断を用いる。システムにおける複数のポートが存在し、気体の流入および真空発生機器と、関連したバルブとの接続を可能にする。不活性ガス、好ましくは、アルゴン(19)の制御入口のためのポートは、物質流れコントローラーのような計測システムによって、純粋な気体の供給部に、および制御バルブに連結されている。チャンバーの底の近くのより大きなポートは、ゲートバルブ(18)に連結されており、そして、該ポートは、必要でない場合にポンプをチャンバー環境から隔離できる様式で高真空ポンプ(17)に取り付けられている。好ましくは、これは、システム内で1×10−3mbar(1×10−4kPa)未満の高真空状態を達成できるターボ分子ポンプ、または他のポンプである。スロットルバルブ(21)および荒引きポンプ(20)による真空ポンプ輸送のための更なるポートは、低真空圧力(すなわち、>100Pa)において標準的な操作のために設けられている。
図3、4および5に示される本発明の実施形態において、ポンプ輸送および/またはトラックウェイの移動領域(9)は、直流電源電磁気ポンプから成る。これは、頂に適合した耐火性セラミックまたは他の非導電性耐火性材料の小さな部分を有するトラックウェイの通常の部分から成って、トラックの包囲した部分を形成する。2つの電極は、部分と一体化されており、好ましくは、不活性のぬれ不良の金属または炭素形態から構成されている。電磁気コイルは、包囲したトラック部分上に対して取り付けられ、トラックウェイ、および電極により生じる電場に対して、垂直に、直接下方に力線を適用するように、方向付けられている。次いで、制御される電力供給を用いて、直流電圧は、電極と電磁石の両方に適用され、チャンバーの面上のフィードスルーによって接続されている。これは、トラックウェイのまわりの溶媒を、溶融した場合に、示される方向に徐々に押し出すのに用いることができる。次いで、電力供給の制御は、必要に応じて、最適な流速をもたらすように調整できる。
示されない本発明の別の実施形態において、トラックウェイのまわりの流れは、機械的な手段、例えば、トラックウェイのトラフ内に置かれている回転外輪の使用によって支配され、および回転フィードスルーによって外側モーターに接続されている。このような外輪は、耐火性セラミック、または必要に応じて耐火性金属で構成できる。
図2〜5に示される本発明の1つの実施形態において、溶解および堆積ゾーンにおける原子状水素プラズマは、チャンバーの頂に取り付けられている2つの遠隔プラズマ源(1)および(2)により生成される。高純度の水素ガスは、リーク弁、物質流れコントローラー、または当業者によく知られている他の手段を用いて、制御された様式で発生器内に供給される。次いで、水素は、プラズマ発生ユニット内において、原子形態に分離され、および溶解および堆積領域における溶媒の表面上に、下方に向けられる。本発明のこの実施形態において、水素の分離が生じる領域と、溶媒表面との間の距離を最小限に維持して、水素が溶媒表面に向かって移動する際に、水素の過度に多い再結合を防ぐ。本発明の他の実施形態において、システムが、100Paより高い周囲圧力において作動できるように、異なってポンプ輸送される遠隔プラズマ源を用いる。本発明の別の実施形態において、原子状水素プラズマは、チャンバーの上側のフィードスルーから、溶解および堆積領域の上側に注入される水素ガスとともに、チャンバーの上側に取り付けられているマグネトロンによって生成する。本発明の別の実施形態において、溶解および堆積領域上に取り付けられているアークジェット構造によって、原子状水素を生成する。本発明の更なる実施形態において、溶解および堆積領域の上側に取り付けられている高温フィラメントアセンブリによって、原子状水素を生成する。全ての場合において、プラズマおよび/または原子状水素源および他の反応性のある水素種の点火、密度、温度および他の特性は、当業者によく知られている方法および機器を用いて制御される。
図2〜5により示される本発明の実施形態において、炭素のグラファイト源は、グラファイトディスクの形態であり、該グラファイトディスクは、耐火性材料から成るロッドまたはチューブ構造によって、グラファイト源操作装置アームに取り付けられており、好ましくは、広範囲の溶媒物質に対して不活性であるセラミックから構成されており、および最も好ましくは、窒化ホウ素またはアルミナから構成されている。グラファイト源物質は、市販の任意の密度または多孔性のグラファイト、またはほとんどsp2結合の炭素原子から成る他の形態の炭素であり得る。好ましくは、用いる物質は、相対的に低い多孔性を有し、および相対的に高い密度を有する。用いるグラファイトの純度は、好ましくは、99%の炭素、より好ましくは、99.99%の炭素よりも高い(原子の総数の割合として、炭素原子の数に関して)。しかしながら、他の重要な不純物が、水素のみである場合に、用いるグラファイトの純度は、70%の低さであってよいが、好ましくは、グラファイト物質における炭素と水素の2つの原子の割合の組合せは、存在する他の不純物と比較して、99.9%を超える。特定の同位体の割合を有するダイヤモンド物質の製造が望まれるプロセスにおいて、グラファイト源は、必要に応じて、炭素−12、炭素−13、または炭素−14の対応する割合から構成できる。
グラファイト源物質の形状は、溶解する間に、溶媒ならびにその上の原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに対して可能な限り大きい表面積を暴露するように構成されている。これに関して、図2〜5に示されるグラファイト源における最上位の表面は、平滑化、粗面化、または機械加工でき、溶剤に対してより大きい表面積をもたらす。さらに、グラファイト源は、溶媒化プロセス中に、溶解領域の溶媒メニスカスの下にそれを充分に浸すことを可能にするフットプリントを有するように設計されている。グラファイト物質をメニスカスの下に浸す深さは、意図的に、可能な限り浅く維持される(図4および5に示す)。好ましくは、この深さは、50mm未満、より好ましくは、10mm未満、および最も好ましくは、2mm未満である。これは、可能であれば、プラズマ発生ユニットおよび/または水素ラジカル種の源(1)により発生した水素種が、グラファイト源物質の表面上に拡散するのを可能にすることである。これは、溶剤における炭素濃度が、標準的な二元系状態図により求められている報告済み平衡値よりもずっと高い値まで近づくことを確実にするように行われる。この様式における液体金属および合金媒体における炭素の溶解度に対する原子状水素の効果は、文献記録に充分に立証されている。任意の特定の理論に縛られることを望まずに、これは、簡単な溶媒−炭素二元系システムよりも、はるかに高い平衡濃度を示す流体溶媒内における溶媒−炭素−水素種の形成に起因すると考えられる。
本発明のいくつかの実施形態において、周囲の原子状水素プラズマおよび/または原子状水素源から溶剤内に、帯電した種が拡散するのを向上するように、グラファイト源物質を電圧バイアスする。これは、操作装置アームに組み込まれた内側電極を用いて、グラファイト源物質を電圧源に接続することによって行われる。回路を完成してメニスカスを横切って電場およびその上にプラズマを提供するように、更なる電極を、それをユニットの主要な体から絶縁する様式において、プラズマ発生ユニットおよび/または原子状水素源(1)の末端のまわりに配置できる。別の実施形態において、第2電極は、プラズマおよび/またはラジカル源から溶媒のメニスカスまでの通路を妨害せずにグラファイト源プレート上のシャフトに取り付けられているリング構造である。これらの電極は、標準的なフィードスルーによって、チャンバーから出るおよび、標準的手段により制御される外部電力供給に接続されている。操作可能な場合、これらの電極は、グラファイト源物質と、溶媒物質と、究極的にはその上の水素プラズマとの間の可変の電荷差をもたらすのに用いることができる。これは、直流電流源を用いる場合に一定の電場、または交流電流源または高周波数の電力供給を用いる場合に可変の電場であり得る。
溶剤自体は、液相における金属、準金属、または非金属であってよい。好ましくは、溶剤は、液体金属を含む。好ましくは、溶剤は、一般的なグラファイト表面と比較して一般的なダイヤモンド表面とのより低いエネルギー界面を形成する。好ましくは、溶媒は、安定した炭化物を形成するように、炭素とは反応しない。好ましくは、溶媒は、1500℃より低い融点を有する。好ましくは、溶媒は、600℃を超える沸点を有する。好ましくは、溶媒は、室温および圧力において化学的に安定であり、および溶融した場合に、トラックウェイのいかなる部分ともほとんど反応しない。好ましくは、溶媒は、元素金属、または2以上の元素金属の合金である。好ましくは、用いる溶媒は、主に、錫、インジウム、ガリウム、鉛、アンチモン、ゲルマニウム、ビスマス、ニッケル、コバルト、鉄、ランタン、金、銀、銅、パラジウム、またはアルミニウムから成る。
溶媒は、アルミニウムおよび鉛、またはアルミニウムおよびビスマスのような2つの不混和性の流体からも成り得る。このようにして、1つの流体がダイヤモンドよりも低い密度である場合に、2つの流体相の間の界面において、堆積ゾーン内でダイヤモンドを核生成および成長することは可能である。これは、2つの流体間の界面に沿って成長するダイヤモンド形態を製造するのに利用でき、ダイヤモンドシート層の製造を可能にする。本発明のいくつかの実施形態において、耐火性材料、好ましくは、高温セラミックから作った小さな「ダム」は、溶解ゾーンの出口(11)、堆積ゾーン(12)の入口および堆積ゾーンの出口(14)において存在する。これらのダムは、メニスカス層のちょうど下まで突出し、および従って、溶媒メニスカス上に形成される全ての物質を、堆積ゾーンまたは溶解ゾーンに残ることから隔離する(isolate)。堆積ゾーンにおいて、これは、グラファイト源物質の溶解中に形成されるいかなるグラファイトフラグメントも、溶解ゾーンに残るのを防ぐように行われる。堆積ゾーンにおいて、ダムは、生成するいかなるダイヤモンド粒子も堆積領域に残るのを防ぐ。本発明の1つの実施形態において、堆積ゾーンのダム両面は、溶媒流体の主要な体の上の不混和性流体の薄層、例えば、鉛の主要な溶媒層の上で保持されているアルミニウム層を抑えるようにも用いられる。この様式で、アルミニウム層は、鉛中で下方に溶解した炭素で連続的に飽和し、2つの流体の間の界面において炭素を最終的に析出する。グラファイトの核生成に対する原子状水素種の予防効果に起因して、ダイヤモンドは、再び、界面で形成する。ダイヤモンド種結晶が界面で存在する場合に、2つの飽和した流体の炭素は、存在するダイヤモンド表面上にダイヤモンドとして成長する。
ダイヤモンドは、溶媒自体から直接の核生成、および従って次の更なる成長によって、またはダイヤモンド種結晶上への直接の異常成長によって、堆積ゾーン内で成長できる。両方の場合において、溶剤は、原子状水素プラズマに関して電気的に中性であってよく、またはグラファイト源物質に関して類似した技術を用いて電気的にバイアスされてよい。本発明のこの実施形態において、ダイヤモンドの操作装置アームは、それ(ダイヤモンドの直接下において溶剤と接触する)を通過する電極を有する中空チューブである。第2のリング電極は、絶縁フィッティングによってプラズマ源および/または原子状水素源の外側に取り付けられ、またはダイヤモンドの操作装置アームのより上方に取り付けられる。これらの電極は、ダイヤモンド種結晶および/または溶媒物質と、その上の原子状水素プラズマとの間の可変の電荷差をもたらすのに用いることができる。これは、直流電流源を用いる場合に一定の電場、または交流電流源または高周波数の電力供給を用いる場合に可変の電場であってよい。本発明の別の実施形態において、ドープされたダイヤモンドは、水素プラズマ発生源および/または原子状水素ラジカル源に、気体前躯体を追加することによって成長できる。このような気体の例は、限定されるものではないが、成長するダイヤモンド結晶に、窒素、ホウ素、硫黄またはリンの原子を別個にドープするように、窒素、ボラン、硫化水素、またはホスフィンを含む。
図2〜5に示す本発明の実施形態は、ペンチまたはクランプ形状構造によって保持される底(6)に、薄いダイヤモンド種結晶を有するダイヤモンド種の操作装置アセンブリ(4)を示す。好ましくは、この構造、およびそれをもたらす接続ロッド構造は、耐火性材料から作られ、好ましくは、セラミック材料から作られ、およびより好ましくは、窒化ホウ素または耐熱性アルミナ、ジルコニアまたは高温に耐える他のセラミックから作られている。本発明のこの実施形態において、ダイヤモンド種結晶が、図3および4において、堆積領域から引き抜かれ、および次いで、図5において、溶媒メニスカスのちょうど下に浸漬するように示されている。種結晶をメニスカスの下に浸す深さは、意図的に、可能な限り浅く維持される。好ましくは、この深さは、50mm未満、より好ましくは、10mm未満、および最も好ましくは、2mm未満である。これは、プラズマ発生ユニットおよび/または原子状水素ラジカル源(2)によって発生した原子状水素種が、ダイヤモンドを取り囲む溶剤内に拡散するのを可能にする。原子状水素ラジカルのこのバックグラウンド濃度は、堆積領域のかなり過飽和した環境において、ダイヤモンドに平行に析出できる全てのグラファイト核を優先的に減少させる。次いで、これは、溶剤内に溶解した炭素が、種ダイヤモンド表面上にダイヤモンドとして析出するのを促進し、従ってその重量を増加させる。種ダイヤモンド結晶上にダイヤモンドを成長する本発明の実施形態において、概して、溶解プロセスを数分に亘って行うまで、ダイヤモンドを溶剤内に浸漬されず、および次いで、溶媒を、溶解した溶媒−炭素−水素種で充分に過飽和する。これは、溶媒内でのダイヤモンド種の溶解を防ぐように行われ、これは、溶媒を、ダイヤモンドに関して炭素で過飽和しない場合に急速に生じ得る。堆積領域内に2つの不混和性の溶媒を用いる本発明の実施形態において(上述した)、また、両方の溶媒層が炭素で過飽和するまで、ダイヤモンドを堆積ゾーン内に浸漬しない。
本発明の1つの実施形態において、ダイヤモンドは、種ダイヤモンド結晶の必要性無しに堆積ゾーン内に直接、核生成する。これは、溶解ゾーンと堆積ゾーンとの間の所定位置までの温度勾配をもたらすことによって行われ、ダイヤモンドの臨界クラスターを核生成するのに要する自由エネルギー(図1におけるΔG )は、その位置において、グラファイトよりもむしろダイヤモンドの析出を促進するのに充分低い。図1に表示される温度勾配の極端な場合に、臨界寸法のダイヤモンドクラスターを形成する自由エネルギーの要件は、グラファイトのそれらよりも低く、および従ってダイヤモンドのみが形成する。しかしながら、本発明のこの実施形態において、臨界寸法のグラファイトクラスターは、ダイヤモンドに平行に形成する可能性がある。しかしながら、これらは、原子状水素によるクラスターの好ましい分解によって除去される。
従って、ダイヤモンドを直接核生成しおよび溶媒表面に対して浮くことができる本発明の実施形態において、溶媒に溶解した炭素を、この核生成および成長のための源として用い、その次に、これらのダイヤモンド核を、連続的な膜まで成長させることは可能である。ダイヤモンドよりも低い密度を有する溶媒を用いることは、堆積領域の底に沿ってダイヤモンドが成長するのを可能にし、ダイヤモンドは、その位置で、厚膜、または独立して立っている多結晶体に成長できる。この様式において、ダイヤモンドよりも低い密度を有する溶媒に浸漬した固体物品、またはダイヤモンドよりも高い密度を有する別の溶媒を有するこのような溶媒の界面で保持される固体物品は、連続的なダイヤモンドの膜または多結晶体によりコーティングできる。このような物品は、限定されるものではないが、成長したダイヤモンド膜から分離可能に設計されているドリルビット、カーバイド工具インサートおよびブランク、かなり磨耗する用途において使用するための部分、またはネガ型のブランクを含む。
本発明の全ての実施形態において、溶媒物質の高い平均温度は、グラファイトの溶解およびダイヤモンドの成長の両方のカイネティクスを最大にするのに好ましい。一般に、溶解ゾーンの温度は、500℃より高いが、好ましくは、1000℃より高い、およびより好ましくは、1250℃より高い。光学熱伝対センサ(28)により測定した際の堆積ゾーンの温度は、一般に、溶解ゾーンの温度よりも50℃低い。好ましくは、温度差は、100℃であるが、より好ましくは、堆積ゾーンの温度より150℃低い。これは、それが、より低温の堆積ゾーンに達する場合に、溶媒が、炭素でかなり過飽和することを確実にする。一般に、トラックウェイ領域の残りの温度は、堆積ゾーンと同じ温度で維持する。
本発明は、限定するものではないが、以下に例を参照してさらに記載される。
ダイヤモンド合成プロセスの操作の前に、グラファイト源ディスクを、操作装置アーム(3)の末端上に乗せ、およびダイヤモンド種結晶を、操作装置アーム(4)の末端上に挿入することによって使用するように、チャンバーを準備する。次いで、溶媒物質を、トラックウェイ内に入れ、およびポンプ(9)の除去可能なセクションを所定位置に固定する。続いて、チャンバーリドを封止し、および低真空ポンプ(20)を作動させ、およびバルブ(21)を開放する。次に、0.1mbar(0.01kPa)の圧力まで下がるように、チャンバーをポンプ輸送し、バルブ(21)を閉鎖し、および続いてポート(19)によって、600mbar(60kPa)の圧力まで純粋なアルゴンで充填する。次いで、0.1mbar(10Pa)の圧力まで下がるように、チャンバーを再びポンプ輸送し、および内側雰囲気中のどのような微量の酸素をも除去するように、アルゴンで、3回、再充填した。次いで、制御回路は、トラックウェイの下の加熱要素を作動させ、トラックウェイの平均温度を400℃までゆっくりと上昇させる。続いて、低真空ポンプによって、圧力を0.1mbar(10Pa)よりも低く維持しながら、この温度で少なくとも1時間に亘って、システムを、ガスが抜けるようにしたままにする。次に、高真空ポンプ(17)を開始し、バルブ(21)を閉鎖しおよびゲートバルブ(18)を開放する。続いて、チャンバー圧力が0.00005mbar(0.005Pa)以下まで減少するまで、高真空ポンプを操作下におく。次いで、ゲートバルブ(18)を閉じ、および圧力が、約1mbar(100Pa)に達するまで、アルゴンはシステム内に戻るように流れる。次に、この時点で、粗引きポンプを抑制するように、バルブ(21)を再開放および使用し、チャンバー内の約1mbar(100Pa)の一定圧力を効率的に維持する。
この工程において、グラファイト源操作装置アーム(3)、ダイヤモンド種操作装置アーム(2)およびプラズマ発生ユニット(1&2)の配置は、図3に示されるように、トラックウェイの近接物から離されている。
次に、加熱要素の温度は、数時間に亘って操作温度を満たすようにゆっくりと上げられる。インジウムを、溶媒物質として用いたプロセスの例として、全ての要素のための温度は、1450℃に設定される。この時点では、溶媒ポンプシステムを開始し、および流れの開始を、チャンバーの前および頂(図示せず)におけるビューポートによって、視覚的に検査する。次に、溶媒流れを、素早く視覚的に検査することにより概ね知覚できるように、制御システムを用いて、溶媒流れを調整する。次いで、グラファイト源物質(5)が、溶解ゾーンの直接上にあるように、グラファイト源操作装置アームを回転する。続いて、溶剤内において、溶媒メニスカスの下1mmの深さまでそれを徐々に下ろす。次に、溶媒が、炭素で飽和するように、それを10分以上放置する。次いで、図4に示すように、プラズマ発生ユニット(1)を、溶解ゾーンのメニスカス上の所定位置に下ろす。続いて、プラズマ発生ユニットに供給した水素ガスを、設定した流速で作動させ、およびプラズマを着火した。次に、溶媒のメニスカス上のプラズマの均一な広がりを確実にするように、メニスカス上のプラズマ発生ユニットの距離を微調整する。溶媒の薄い流れ層は、水素プラズマの直接下のグラファイト源物質上を通過し、グラファイトを溶解して高度に過飽和にした溶媒−炭素−水素溶液を形成し、従って、該溶液は、溶解ゾーンの外に徐々に流れる。続いて、溶媒を充分に混合するために、10分以上に亘って、システムをこのようなまま放置する。
プロセスのこの例において、種ダイヤモンド(6)が、堆積ゾーンの直接上にあるように、ダイヤモンド種操作装置アーム(4)を回転する。続いて、ダイヤモンド種を溶媒のメニスカスの下1mmの深さまで浸すまで、ダイヤモンド種を徐々に下ろす。プラズマ発生ユニット(2)を、所定位置まで下ろし、およびプラズマを着火する。次いで、プラズマが、堆積ゾーンのメニスカス上に広がるように、プラズマ発生ユニットの位置を微調整する。この時点において、システムの配置を、図5の表によって表す。溶解ゾーン、堆積ゾーンおよびトラックウェイの間の温度勾配は、堆積ゾーンおよびトラックウェイの下の加熱要素のために温度制御設定値を下げることによって実現される。
操作のプロセスのこの例において、溶解ゾーンの温度を1550℃まで上げ、堆積ゾーンを1350℃まで下げ、およびトラックウェイ温度の残りを1250℃まで下げる。堆積ゾーンにおける温度を冷やし、および温度勾配を設定する際に、ダイヤモンドは、種結晶の表面上に連続的に成長し始める。溶解ゾーンと堆積ゾーンの間の温度勾配が、さらに極端になるプロセスの他の例において、これは、ダイヤモンドクラスターが、堆積ゾーン内の溶液から核生成し始めるプロセスにおけるポイントである。続いて、堆積ゾーンで成長するダイヤモンドの範囲および速度は、温度勾配、溶媒の流速および周囲の水素プラズマの強度の調整によって、制御および微調整できる。溶媒への水素拡散の速度を上げるように電気的バイアスを用いる本発明の実施形態のために、電場の電圧または周波数は、ダイヤモンドの核生成および/または成長速度を制御するように調整できる。
ダイヤモンド形態の成長が所望のように完了すると、プラズマ発生ユニットを、停止して溶解ゾーンおよび堆積ゾーンから離す。加熱要素は、溶媒物質の融点のちょうど上の温度までゆっくりと下げる。溶媒ポンプシステムへの電力を止める。次いで、グラファイト源物質およびダイヤモンド種を溶媒から取り出し、システムを、ゆっくりと冷やすように放置する。最終的に、高真空ポンプルートを用いて、0.0005mbar(0.05Pa)以下の圧力まで下げるように、システムをポンプ輸送し、および続いて、大気圧まで、純粋なアルゴンで充填する。充分に冷えると、チャンバーを開放し、およびダイヤモンドを、洗浄および重量測定するために取り出す。

Claims (24)

  1. ダイヤモンドの合成方法であって;
    (i)原子状水素プラズマの存在下および/または原子状水素ラジカルの存在下において溶解ゾーンに、グラファイトの析出に関して炭素で飽和した液体金属を準備し;
    (ii)溶解ゾーンから堆積ゾーンに液体金属の少なくとも一部分を移送し;
    (iii)堆積ゾーン内の液体金属を原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルに暴露させ、堆積ゾーン内の液体金属が、ダイヤモンドの析出に関して炭素で飽和する、好ましくは、過飽和するように、堆積ゾーン内の液体金属の温度を溶解ゾーン内の液体金属の温度よりも低くし;
    (iv)堆積ゾーン内の液体金属から炭素を析出させ、ダイヤモンドを合成し;および
    (v)必要に応じて、合成したダイヤモンドを金属から取り出すこと;
    を含む、方法。
  2. 工程(iv)において、炭素を種ダイヤモンド上に析出させるように、種ダイヤモンドを堆積ゾーン内の液体金属に少なくとも部分的に浸漬する、請求項1に記載の方法。
  3. ポンプによって溶解ゾーンから堆積ゾーンに、液体金属の少なくとも一部分を移送する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 溶解ゾーンおよび堆積ゾーンを、連続的なループによって互いに流体連結する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 実質的に水平な配置において連続的なループを用いて行う、請求項4に記載の方法。
  6. ループが、開放した面を有する容器である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 金属が、単一の金属元素、合金、および/または2以上の金属元素を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 金属が、鉛、ビスマス、錫、金、銀、銅、パラジウム、インジウム、ガリウム、アンチモン、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、ゲルマニウムまたはそれらの2以上の混合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 金属が、銀、金、銅、パラジウム、インジウム、ガリウム、錫、アルミニウム、鉛またはそれらの2以上の混合物を含む、請求項7または8に記載の方法。
  10. 方法を、不活性ガスを含む反応チャンバー内で行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 不活性ガスが、アルゴンを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 溶解ゾーン内の液体金属が、1000℃〜2000℃の範囲の温度である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 堆積ゾーン内の液体金属が、800℃〜2000℃の範囲の温度である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 堆積ゾーン内の液体金属の温度が、溶解ゾーン内の液体金属の温度よりも少なくとも50℃低い、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 方法を1Pa〜150kPaの範囲の圧力で行う、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 金属における炭素源が、グラファイトである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. ドーパントを液体金属中に含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. ホウ素、硫黄、リン、リチウム、アルミニウムおよびそれらの2以上の混合物からドーパントを選択する、請求項17に記載の方法。
  19. 堆積ゾーンおよび/または溶解ゾーン内の液体金属を横切って電気的バイアスを適用することを更に含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. ダイヤモンドの合成装置であって:
    液体金属に炭素を溶解するための溶解ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、溶解ゾーン;
    液体金属からダイヤモンドを析出するための堆積ゾーンであって、原子状水素プラズマおよび/または原子状水素ラジカルを前記ゾーン内の液体金属に適用するための手段を含む、堆積ゾーン;
    溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、互いに流体連結しており;
    溶解ゾーンから堆積ゾーンまで液体金属をポンプ輸送するおよび/または移動させる手段;
    溶解ゾーンおよび堆積ゾーン内にある液体金属を個別に加熱するための加熱手段;
    必要に応じて、製造したダイヤモンドを装置から取り出すための手段;および
    装置内の雰囲気を制御するための手段
    を含む装置。
  21. 溶解ゾーンおよび/または堆積ゾーン内の液体金属を横切って電気的バイアスを適用する手段を更に含む、請求項20に記載の装置。
  22. 溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、開放した容器によって互いに流体連結している、請求項20または21に記載の装置。
  23. 溶解ゾーンおよび堆積ゾーンが、連続的なループによって互いに流体連結している、請求項20〜22のいずれか1項に記載の装置。
  24. 使用時に、連続的なループが、実質的に水平である、請求項23に記載の方法。
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