JP2013517361A - 高分子量臭素化ゴムを製造するための共通溶媒法 - Google Patents

高分子量臭素化ゴムを製造するための共通溶媒法 Download PDF

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Abstract

本発明は、溶液重合およびゴムのその後の臭素化の両方のために共通媒体を使用する、そして酸化剤の使用のために高められた臭素使用法をさらに示す、臭素化ゴム、特にブロモブチルゴムのエネルギー効率の良い、環境上好ましい製造方法に関する。より具体的には、本発明は、未反応モノマーの中間除去を伴う、溶液重合ならびに臭素化剤および酸化剤の存在下でのゴムの臭素化の両方のために共通脂肪族媒体を用いる方法に関する。

Description

本発明は、溶液重合およびゴムのその後の臭素化の両方のために共通媒体を使用する、そして酸化剤の使用のために高められた臭素使用法をさらに示す、臭素化ゴム、特にブロモブチルゴムのエネルギー効率の良い、環境上好ましい製造方法に関する。より具体的には、本発明は、未反応モノマーの中間除去を伴う、溶液重合ならびに臭素化剤および酸化剤の存在下でのゴムの臭素化の両方のために共通脂肪族媒体を用いる方法に関する。
用語「ブチルゴム」は本明細書で用いるところでは一般に、他に定義されない場合、C〜Cイソオレフィン、C〜C14共役ジエンおよび任意選択的にその他の共重合性モノマーのコポリマーを意味し、そして包含する。用語「ブロモブチルゴム」は本明細書で用いるところでは一般に、他に定義されない場合、臭素化ブチルゴムを意味し、そして包含する。ブチルゴムの例示的なおよび好ましい例は、イソプレンおよびイソブチレンの共重合によって得られるゴムであり、それは本明細書においては以下IIRとも言われる。その臭素化類似体はまたBIIRとも言われる。
ブロモブチルゴム(BIIR)の従来の製造方法においては、イソブチレンおよびイソプレンモノマーが、アルミニウムベースの開始系、典型的には三塩化アルミニウム(AlCl)またはエチルアルミニウムジクロリド(EtAlCl)のどちらかを使って塩化メチルなどの、極性ハロ炭化水素媒体中で先ず重合させられる。ブチルゴムは、この極性媒体にはほとんど溶解せず、懸濁粒子として存在し、そのためこの方法はスラリー法と普通は言われる。残存モノマーおよび重合媒体は次に、それが臭素化媒体、典型的にはヘキサンなどの非極性媒体に溶解させられる前に、ブチルゴムから水蒸気蒸留される。臭素化プロセスは最終臭素化生成物を究極的には生成する。従来法はそれ故、2つの異なる媒体を用いる別個の重合および臭素化工程を用いる。重合のための極性媒体および臭素化のための非極性媒体の使用は、中間のストリッピングおよび溶解工程を必要とし、エネルギーの観点から非効率的である。
ブチルゴムからモノマーおよび塩化メチルを分離する工程は、臭素と残存モノマーとの反応からの高毒性副生物の形成を回避するために臭素化の前に行われる。この方法に使用される成分の標準沸点は、塩化メチル、−24℃;イソブチレン、−7℃;およびイソプレン、34℃である。残存モノマーのより重質物(イソプレン)を除去するあらゆるストリッピング法はまた、塩化メチルおよびイソブチレンの本質的にすべてを除去するであろう。未反応成分のすべてをゴムスラリーから除去するプロセスは、かなりの量のエネルギーを必要とする。臭素化モノマーのより大きい分子量(およびそれ故より高い沸点)はまた、臭素化プロセス後のこれら化学種の除去を不可能にする。
ブチルゴムの重合のための溶液法は長年にわたって知られており、ロシア国で商業的に実施されている。溶液法の例は、(特許文献1)に記載されており、それは、好ましい重合媒体としてのイソ−ペンタンの使用を開示している。上の方法を用いて製造されたポリマーはハロゲン化されていない。臭素化はイソ−ペンタン中で理論的には行われ得るだろうが、残存モノマー(イソブチレンおよびイソプレン)の存在は、臭素化中に前述の望ましくない副生物の形成をもたらすであろう。未反応モノマーの除去は、そのような方法にとって課題であり、まだ解決されていない。モノマーを蒸留によって除去することが望ましいであろうが、イソ−ペンタンの沸点(28℃)がより重質の残存イソプレンモノマーのそれ(34℃)より低く、それ故この種の分離は不可能である。たとえ純n−ペンタン(沸点36℃)が媒体として使用されたとしても、沸点の差は、蒸留技法を用いてイソプレンの効果的な除去を可能にするには不十分であろう。結果として、残存モノマーおよび媒体はすべて、ゴムが臭素化のためにその後再溶解させられる状態で、スラリー法におけるように、ブチルゴムから一緒にストリッピングされなければならないであろう。これは、実際に、従来のスラリー法の臭素化よりもエネルギー集約型である。ブロモブチルゴム(BIIR)を製造するための共通媒体としてのイソ−ペンタンの使用はそれ故、従来の溶液法を用いると実用的ではない。
ヘキサン、すなわちC6媒体を溶液法で重合媒体として使用することは当該技術分野において公知である。しかし、ポリマー溶液の粘度は、使用される媒体の粘度に強く依存する。C6媒体の粘度は、所与の分子量およびポリマー固形分レベルについて、C5媒体のそれよりはるかに高いので、ポリマー溶液の生じる粘度もまたはるかに高い。これは、C6が溶媒として使用されるときに、さもなければ溶液が良好な伝熱、ポンプ送液および取り扱いにとって余りにも粘稠になるので、ポリマー固形分を比較的低いレベルに制限する。プロセスの全体経済性は、重合反応器から出てくる溶液または懸濁液中のポリマー固形分のレベルに強く依存し;より高い固形分レベルは、より高い転化率および向上した経済性を意味する。商業目的のために十分に高い分子量を有する材料を製造するために、比較的低い温度、多くの場合−80℃未満を用いることがブチル重合において必要である。これらの低温は、高い溶液粘度の問題を悪化させ、さらにより低い固形分レベルにつながる。溶液法においては、ヘキサンを溶媒として使用するときに高い粘度のために所望の温度(分子量)で経済的な固形分レベル(転化率)を達成することは、それ故極めて困難である。
(特許文献2)において、従来のスラリー重合法からの生成物が粗ゴム溶液またはセメントを生成するためにヘキサンと混合される方法が開示されている。ヘキサンは、塩化メチル/モノマー混合物中に依然として細分され、懸濁されている間にゴムをヘキサンに溶解させるために重合反応器を出た後に塩化メチル−ゴムスラリーに加えられる。蒸留プロセスが次に、リサイクル用の塩化メチルならびに残存イソブテンおよびイソプレンモノマーを除去するために用いられ、ゴムだけをハロゲン化の準備ができたヘキサン溶液に残す。このいわゆる「溶媒置き換え」法は、重合段階後にゴムとともに残された元の媒体のすべてが除去されることを依然として必要とする。エネルギー所要量は、従来法においてと本質的に同じものである。重合および臭素化の両方のための共通溶媒は全く用いられていない。
好ましくないエネルギー消費に加えて、ブロモブチルゴムの公知の製造方法のさらなる主要な効率の悪さは、ポリマー中へ導入することができる反応混合物中に存在する臭素の理論率が最高で理論の50%であり、商業用プラントで観察される実利用率は通常45%未満であることである。残りの臭素のほとんどは、標準条件下では、これ以上ポリマーを臭素化しない、副生物としての臭化水素の形成のために失われる。臭化水素は、たとえば(特許文献3)に記載されているように、水酸化ナトリウム溶液などの塩基性物質でその後中和され、ブロモブチルゴムから洗い流される。結果として、大量の希アルカリ金属臭化物もしくはアルカリ土類金属臭化物が毎年廃棄処分されている。
ブチルゴム臭素化中の臭素利用率を高めるための公知の方法は、臭素化剤1モル当たり少なくとも0.5モルの過酸化水素またはアルカリもしくはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩などの酸化剤であって、任意選択的に乳化剤の存在下に臭化水素を再酸化して元素状臭素に戻す酸化剤の適用を伴う。再生された臭素はこうしてブチルゴムのさらなる臭素化に利用可能であり、それによって臭素利用率を著しく増加させる。そのような方法は、たとえば(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)に開示されている。
(特許文献7)は、元素状臭素とアゾジイソブチロニトリルなどの有機アゾ化合物および/またはアルカリもしくはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩の水溶液との存在下に臭素化反応を実施することによってゴム臭素化法における臭素化効率を向上させるための方法を開示している。
カナダ国特許第1,019,095号明細書 米国特許第5,021,509号明細書 米国特許第5,077,345号明細書 米国特許第3,018,275号明細書 米国特許第5,681,901号明細書 欧州特許出願公開第803 517 A号明細書 欧州特許出願公開第709 401 A号明細書
しかし、エネルギーおよび原材料消費を著しく減らし、そして所望の分子量において高いゴム固形分レベルを可能にするために粘度の許容される範囲内で動作する、ブロモブチルゴムの効率の良い、環境上好ましい製造方法が依然として必要とされている。この方法は、望ましくない副生物の形成を軽減するためにハロゲン化の前に溶媒からの残存モノマーの分離をさらに可能にしなければならない。
a)40:60〜99:1、好ましくは50:50〜85:15、さらにより好ましくは61:31〜80:20のモノマー混合物対共通脂肪族媒体の質量比で
・1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する少なくとも50重量%の1つ以上の脂肪族炭化水素を含む共通脂肪族媒体、ならびに
・少なくとも1つのイソオレフィンモノマー、少なくとも1つのマルチオレフィンモノマーを含み、その他の共重合性モノマーを全く含まないかまたは少なくとも1つ含むモノマー混合物
を含む反応媒体を提供する工程と、
b)モノマー混合物を反応媒体内で重合させて共通脂肪族媒体およびモノマー混合物の残存モノマーを含む媒体中に少なくとも実質的に溶解しているゴムポリマーを含むゴム溶液を形成する工程と;
c)モノマー混合物の残存モノマーをゴム溶液から分離してゴムおよび共通脂肪族媒体を含む分離ゴム溶液を形成する工程と、
d)分離ゴム溶液中のゴムを、酸化剤によって少なくとも部分的に再生される臭素化剤を使用して臭素化する工程と
を少なくとも含む臭素化ゴムの製造方法がここで提供される。
本発明の範囲は、一般的であろうと好みの分野内であろうと本明細書においてリストされる定義、パラメーターおよびイラストのあらゆる可能な組み合わせを包含する。
本明細書で用いるところでは用語「少なくとも実質的に溶解している」は、工程b)により得られたゴムポリマーの少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくは少なくとも95重量%が媒体に溶解していることを意味する。
本発明の実施形態において工程b)による重合および工程a)による溶液の提供は、溶液重合反応器を用いて達成される。好適な反応器は、当業者に公知のものであり、一般に知られるフロースルー重合反応器を含む。
本方法の工程c)は、未反応の残存モノマー、すなわちイソオレフィンモノマーおよびマルチオレフィンモノマーを媒体から分離するために蒸留を用いてもよい。これは、未反応モノマーからの望ましくないハロゲン化副生物の形成を軽減する。本方法は、モノマー対共通脂肪族媒体の中程度のまたは比較的高い比で行われる。典型的には、イソオレフィンモノマーは共通脂肪族媒体よりかなり低い粘度を有し、それ故、より高いモノマーレベルはより低い全体粘度をもたらす。本方法の全体エネルギー効率および原材料利用率は、重合のために使用された第1希釈剤または溶媒からゴムを分離し、次にそれを臭素化のための第2溶媒に再溶解させる必要性を排除することによって、および臭素化から生じた臭化物をリサイクルして臭素化剤に戻すことによって改善される。本発明による統合プロセスはそれ故、臭素化ゴム、特にブロモブチルゴムを製造するための従来の非統合プロセスと比べて改善されたエネルギーおよび原材料効率ならびにプロセス工程数の減少を提供する。
本発明の実施形態において工程d)による臭素化は、たとえば、一般に知られるフロースルーハロゲン化反応器を用いて、連続プロセスで行われる。
本発明をまとめると、その好ましい実施形態は、図1に関して例示的に次に記載される。
ポリマー溶液からのその分離後の未反応モノマーの精製および任意選択のリサイクルを用いる本発明による方法についてのプロセスフロー図を示す。
図1について言及すると、溶液重合反応器40は、任意選択の熱交換器10、好ましくは復熱式(recuperative)熱交換器、および供給物クーラー20を通してイソプレンおよびイソブチレンを含む、モノマーMの供給物、ならびに共通脂肪族媒体Sの供給物を提供される。モノマーは、共通脂肪族媒体とプレミックスされるか重合反応器40内で混合されるかのどちらかであってもよい。ブチルゴム重合のために使用されるタイプのカルボカチオン開始剤−活性化剤系(たとえば、アルミニウムなどの、三価金属化学種、および少量の水)を含む、触媒溶液は、触媒調製装置30において共通脂肪族媒体Sとプレミックスされ、そしてまた反応器40に導入される。溶液重合は次に、重合反応器40内で起こるに任せられる。本統合プロセスにおける使用に好適なタイプの溶液重合反応器40は、そのような反応器のプロセス制御および運転パラメーターと一緒に、参照により本明細書に援用される、たとえば、欧州特許出願公開第0 053 585 A号明細書に記載されている。転化は所望の程度まで進行させられ、次に反応停止剤Q、たとえば水またはメタノールなどのアルコールが、ミキサー50において共通脂肪族媒体S、未反応モノマーMおよびブチルゴムIIRを含む反応器排出流れ中へ添加され、混ぜ込まれる。未反応モノマーM、すなわちイソプレンおよびイソブチレン、共通脂肪族媒体SならびにブチルゴムIIRを含む生じたポリマー溶液は、復熱式熱交換器10を通過させられ、そこでそれは、反応器への入ってくる供給物によって暖められ、一方同時にこれらの供給物を、それらが最終供給物クーラー20に入る前に冷却するのに役立つ。暖められたポリマー溶液は次に、未反応モノマーの除去のための蒸留塔60に導かれる。未反応モノマーがリサイクリング流れMとして分離されてしまうと、それらは塔60の塔頂から出て、分離ポリマー溶液(S,IIR)は塔60の塔底から出て溶液臭素化反応器70に入る。追加の共通脂肪族媒体Sおよび/または水Wが、臭素化のための所望の条件を提供するために臭素化反応器70に提供されてもよい。重合のために使用された同じ共通脂肪族媒体が臭素化までのプロセスを通してブチルゴムに同伴すること、および臭素化前にポリマーを溶媒から分離する必要性が全くないことを指摘することは重要である。臭素化剤Bおよび酸化剤OX(本明細書において以下記載されるような)の供給物がまた臭素化反応器70に提供される。ブロモブチルゴム(BIIR)は、溶液(S,BIIR)で反応器を出て、次に通常知られているように、仕上げ装置80を用いて仕上げられる。仕上げ工程中に除去された共通脂肪族媒体は、溶媒精製セクション120への導入前に溶媒回収110にリサイクリング流れSとして送られる。追加の共通脂肪族媒体Sが精製120の前に加えられても、媒体がすでに前もって精製されている場合には、後で加えられてもよい。精製された共通脂肪族媒体は、本方法での再使用のために復熱式熱交換器10および最終供給物クーラー20にリサイクルして戻される。蒸留塔60においてポリマー溶液から分離された未反応モノマーは、モノマー回収装置90にリサイクル流れMとして送られ、次に、復熱式熱交換器10および供給物クーラー20にリサイクルして戻される前にモノマー精製セクション100において精製される。追加の新鮮モノマーMがモノマー精製100の前か、またはモノマーが前もって精製されている場合には、後のどちらで加えられてもよい。重合および臭素化の両方のための共通脂肪族媒体の使用は、従来のアプローチと比べて本統合プロセスの環境影響を低減し、経済的成果を向上させる。
本明細書において上に示された本方法の説明は例示的であり、本明細書において述べられるすべてのモノマーおよび生成物組成物にだけでなく、すべての共通脂肪族媒体組成物にも適用することができる。
共通脂肪族媒体の組成が、その成分の異なる沸点のために未反応モノマーの除去の前後でわずかに変動した組成を有する可能性があることは本発明の範囲内である。
溶液重合によってブチルゴムを製造するために使用されるモノマー混合物は、個々のモノマーが1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有するそれらの脂肪族炭化水素から選択される共通脂肪族媒体の脂肪族炭化水素より低い沸点を有するという条件で、特定のイソオレフィンもしくは特定のマルチオレフィンにまたは特定のその他の共重合性モノマーに限定されない。共通脂肪族媒体の脂肪族炭化水素が、それらの沸点がモノマー混合物の最高沸点成分のそれより高いが1013hPaの圧力で依然として80℃より下であるような方法で選択される場合、モノマーの沸点が1013hPaの圧力で45℃より高くてもよいことは明らかである。
好ましくは、個々のモノマーは、1013hPaで45℃より低い、好ましくは1013hPaで40℃より低い沸点を有する。
好ましいイソオレフィンは、イソ−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテンまたはそれらの混合物である。最も好ましいイソオレフィンはイソブテンである。
好ましいマルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエンまたはそれらの混合物である。最も好ましいマルチオレフィンはイソプレンである。
一実施形態においては、モノマー混合物は、80.0重量%〜99.9重量%の範囲で、好ましくは92.0重量%〜99.5重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのイソオレフィンモノマーおよび0.1重量%〜20.0重量%、好ましくは0.5重量%〜8.0重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのマルチオレフィンモノマーを含んでもよい。より好ましくは、モノマー混合物は、95.0重量%〜98.5重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのイソオレフィンモノマーおよび1.5重量%〜5.0重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのマルチオレフィンモノマーを含む。最も好ましくは、モノマー混合物は、97.0重量%〜98.5重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのイソオレフィンモノマーおよび1.5重量%〜3.0重量%の範囲で少なくとも1つ、好ましくは1つのマルチオレフィンモノマーを含む。
本発明の好ましい実施形態において上に示された範囲は、イソオレフィンがイソブテンであり、そしてマルチオレフィンがイソプレンであるモノマー混合物に適用される。
一実施形態においては、本発明により製造されるブチルゴムのマルチオレフィン含有率は、たとえば0.1モル%〜20.0モル%の範囲に、好ましくは0.5モル%〜8.0モル%の範囲に、より好ましくは1.0モル%〜5.0モル%の範囲に、その上より好ましくは1.5モル%〜5モル%の範囲に、さらにより好ましくは1.8モル%〜2.2モル%の範囲にある。
前述の粘度問題を克服する方法の1つは、重合工程においてモノマー対溶媒の高い比を選択することによる。60:40以下のモノマー対脂肪族炭化水素溶媒の質量比が先行技術において用いられてきたが、一態様において本発明は、たとえば61:39〜80:20、好ましくは65:35〜70:30の、より高い比を利用する。主としてC4化合物であり、そして共通脂肪族媒体より低い粘度を有する、より高いモノマーレベルの存在は、許容できる限度まで溶液粘度を下げ、そしてまたより高い固形分レベルが重合中に達成されることを可能にする。より高いモノマーレベルの使用はまた、モノマーのより低いレベルが用いられるときより高い温度で許容される分子量に達することを可能にする。より高い温度の使用は順繰りに、溶液粘度を低下させ、溶液中のより大きいポリマー固形分レベルを可能にする。
前述の粘度問題が克服されてしまう方法のもう1つは、共通脂肪族媒体を溶媒として選択することによる。1013hPaで45℃未満の沸点を有する化合物のより高い含有率を有するかまたはそれらの化合物からなる溶媒は、モノマーに近い沸点を有するため、溶液からのモノマーの分離もまたかなりの溶媒除去をもたらすであろう。
1013hPaで80℃超の沸点を有する化合物のより高い含有率を有するかまたはそれらの化合物からなる溶媒の使用は、臭素化後のゴムからの分離に困難さをもたらすであろう。そのような溶媒の使用によって提供される溶液粘度はまた、上記の高いモノマー対溶媒比を提供されるときでさえ、共通脂肪族媒体でよりも著しく高く、溶液を取り扱うことをより困難にし、反応器における伝熱を妨げる。
本発明の好ましい実施形態において共通脂肪族媒体は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくは少なくとも95重量%、その上さらにより好ましくは少なくとも97重量%の1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する1つ以上の脂肪族炭化水素を含む。1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、メチルシクロペンタンおよび2,2−ジメチルペンタンが挙げられる。
共通脂肪族媒体は、たとえば、1013hPaの圧力で80℃超の沸点を有するヘプタンおよびオクタン、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロヘキサンのようなその他の脂肪族炭化水素などの重合条件下に少なくとも実質的に不活性であるその他の化合物、ならびに反応条件下に少なくとも実質的に不活性である塩化メチルおよびその他の塩素化脂肪族炭化水素などのハロ炭化水素、ならびにたとえば、式C(式中、xは1〜20、あるいは好ましくは1〜3の整数であり、式中、yおよびzは整数であり、少なくとも1である)で表されるものであるハイドロフルオロカーボンをたとえばさらに含んでもよい。
本発明の別の好ましい実施形態において共通脂肪族媒体は、ハロ炭化水素を実質的に含まない。
本発明の別の実施形態において共通脂肪族媒体は、25重量%未満、好ましくは20重量%未満の環状脂肪族炭化水素の含有率を有する。
本発明の別の実施形態において共通脂肪族媒体は、5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満のシクロヘキサン(沸点:1013hPaで80.9℃)の含有率を有する。
本明細書において前に用いられたように用語「ハロ炭化水素を実質的に含まない」は、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくはハロ炭化水素の不在の共通脂肪族媒体内のハロ炭化水素の含有率を意味する。
モノマー対炭化水素溶媒の好ましい比は、前もって計算できないが、非常に少ない所定の実験によって容易に決定することができる。モノマーの量を増加させると溶液粘度を低下させるはずであるが、当該低下の程度の正確な理論的予測を行うことは、本方法において用いられる濃度および温度での溶液の様々な成分の相互作用の粘度に対する複雑な影響にある程度起因して実現可能ではない。
一実施形態においては、工程b)のプロセス温度は、−100℃〜−40℃の範囲に、好ましくは−95℃〜−65℃の範囲に、より好ましくは−85℃〜−75℃の範囲に、その上より好ましくは−80℃〜−75℃の範囲にある。
冷却およびポンプ送液のためのエネルギー使用量が(より高い温度でのより低い粘度のために)低下するという点においてより高い温度が望ましいが、これは、商業的に望ましいようなものではないより低い分子量のポリマーを一般にもたらす。しかし、本発明における高いモノマー対溶媒比の使用のために、低下したが依然として許容される分子量をより高い温度で得ることができる。
それ故、代わりの実施形態においては、−50℃〜−75℃より低い、好ましくは−55℃〜−72℃、より好ましくは−59℃〜−70℃、その上より好ましくは−61℃〜−69℃の範囲の温度が、所望の分子量のブチルゴムを依然として得ながら用いられる。
本発明による方法を用いて製造されたブチルゴムポリマーの重量平均分子量は、臭素化の前に測定されると、典型的には200〜1000kg/モル、好ましくは200〜700kg/モル、より好ましくは325〜650kg/モル、さらにより好ましくは350〜600kg/モル、その上より好ましくは375〜550kg/モル、さらにより好ましくは400〜500kg/モルの範囲にある。他に断らない場合、分子量は、ポリスチレン分子量標準を使用してテトラヒドロフラン(THF)溶液におけるゲル浸透クロマトグラフィーを用いて得られる。
反応器40からの排出時の溶液の粘度は、典型的にはおよび好ましくは2000cP未満、好ましくは1500cP未満、より好ましくは1000cP未満である。粘度の最も好ましい範囲は、500〜1000cPである。他に断らない場合、粘度は、コーン−プレート型の回転流動計(Haake)で測定される。すべての示される粘度は、外挿したゼロ剪断粘度を意味する。
重合後に得られた溶液の固形分は、好ましくは3〜25重量%、より好ましくは10〜20重量%、さらにより好ましくは12〜18重量%、その上より好ましくは14〜18重量%、さらにより好ましくは14.5〜18重量%、なおさらにより好ましくは15〜18重量%、最も好ましくは16〜18重量%の範囲にある。前述のように、より高い固形分が好ましいが、増加した溶液粘度を伴う。本方法に用いられるより高いモノマー対溶媒比は、過去におけるよりも高い固形分が達成されることを可能にし、有利にはまた重合および臭素化の両方のための共通脂肪族媒体の使用を可能にする。
本明細書で用いるところでは用語「固形分」は、工程b)により、すなわち、重合において得られた、そしてゴム溶液中に存在するポリマーの重量パーセントを意味する。
工程c)において、未反応の残存モノマーは、好ましくは蒸留プロセスを用いて重合後の溶液から除去される。異なる沸点の液体を分離するための蒸留プロセスは、当該技術分野においてよく知られており、参照により本明細書に援用される、たとえば、Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk Othmer,4th Edition,pp.8−311に記載されている。
分離度は、塔に用いられるトレイの数に大きく依存する。分離後の溶液中の残存モノマーの許容されるおよび好ましいレベルは、重量で百万当たり20部未満である。約40トレイがこの分離度を達成するのに十分であることが分かった。モノマーからの共通脂肪族媒体の分離は、決定的に重要であるようなものではなく、たとえば10重量%以下の含有率の共通脂肪族媒体の成分は、蒸留プロセスからのオーバーヘッド流れ中に許容される。好ましい実施形態において蒸留プロセスからのオーバーヘッド流れ中の共通脂肪族媒体の成分の含有率は、5重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。
図1に関して、本発明の方法は好ましくは、蒸留塔60を用いて重合溶液から分離された未反応モノマーの精製を含む。精製装置100がこの目的のために提供されてもよく;あるいは、精製は、別個の精製装置においてオフサイトで行うことができる。精製モノマーは、普通はこのプロセスへリサイクルして戻され、新鮮なモノマーと混合されるが;それらはあるいは、異なるプロセスに利用されてもまたは別個に販売されてもよい。本方法の好ましい実施形態は、有利な全体プロセス経済性を達成するためにこれらの任意選択の精製およびリサイクリング工程を含む。
モノマーの精製は、好適なモレキュラーシーブまたはアルミナベースの吸着剤を含む吸着剤塔を通過させることによって実施されてもよい。重合反応の妨害を最小限にするために、この反応に対して毒として働く水ならびにアルコールおよびその他の有機オキシジェネートなどの物質の総濃度は好ましくは、重量基準で百万当たり約10部未満に下げられる。リサイクルのために利用可能であるモノマーの割合は、重合プロセス中に得られる転化度に依存する。たとえば、66:34というモノマー対共通脂肪族媒体の比を例として挙げると、生成ゴム溶液中の固形分レベルが10%である場合、モノマーの85%がリサイクル流れに戻されるために利用可能である。固形分レベルが18%に増やされる場合、モノマーの73%がリサイクルに利用可能である。
未反応の残存モノマーの除去後に、ブチルポリマーは工程d)において臭素化される。ブロモブチルゴムは、溶液相技法を用いて製造される。本明細書において以下「セメント」とも言われる、ゴムおよび共通脂肪族媒体を含む分離ゴム溶液は、酸化剤によって少なくとも部分的に再生される、臭素化剤で処理される。
新鮮な共通脂肪族媒体をたとえば含む、補足溶媒、および/または水が、臭素化のための所望の特性を有するセメントを形成するために分離ゴム溶液に加えられてもよい。
重合工程中に使用された共通脂肪族媒体中での臭素化は、ポリマーを重合媒体から分離し、次にそれを臭素化のための異なる媒体に再溶解させる必要性を排除することによって従来のスラリー法と比べてエネルギーを有利に節約する。
好ましくは、臭素化剤の量は、ゴムの0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5重量%〜4重量%、さらにより好ましくは0.8重量%〜3重量%、その上さらにより好ましくは1.2〜2.5重量%、さらにもっとより好ましくは約1.5重量%〜約2.5重量%、最も好ましくは1.5〜2.5重量%の範囲にある。
別の実施形態において臭素化剤の量は、ゴム、好ましくはブチルゴム中に含まれる二重結合のモル量の0.2〜1.2倍、好ましくはこのモル量の0.3〜0.8倍、より好ましくは0.4〜0.6倍である。
臭素化剤は、元素状臭素(Br)、塩化臭素(BrCl)などのハロゲン間化合物および/またはそれらの有機ハロゲン化物前駆体、たとえばジブロモ−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミドなどを含んでもよい。最も好ましい臭素化剤は分子状臭素(Br)である。
反応が臭素化反応の開始時に存在する酸化剤とともに行われる場合、臭化水素は臭素源として使用することができる。好ましい臭素源は分子状臭素(Br)である。
本発明の目的のために好適であることが分かった酸化剤は、酸素を含む水溶性物質である。好ましい酸化剤は、次の物質で例示されるような過酸化物および過酸化物形成物質からなる群から選択される:過酸化水素、塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムもしく亜臭素酸ナトリウム、酸素、窒素の酸化物、オゾン、ウレアペルオキシデート、過チタン酸、過ジルコン酸、過クロム酸、過モリブデン酸、過タングステン酸、過ホウ酸、過リン酸、過ピロリン酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩および過ヨウ素酸などの酸ならびに前述の化合物の混合物。
そのような酸化剤は、界面活性剤と組み合わせてか組み合わせずにかどちらかで使用されてもよい。好ましい実施形態においては界面活性剤は全く添加されない。
好適な界面活性剤は、たとえばC〜C24アルキル−またはC〜C14アリール−スルホン酸塩、脂肪アルコールおよびエトキシル化脂肪アルコールならびに類似物質である。
好ましい酸化剤は、過酸化水素ならびに、過酸および過酸化ナトリウムなどの、過酸化水素形成化合物であり、ここで、過酸化水素がさらにより好ましい。
安全上の理由で、過酸化水素は、その水溶液の形態で、特に25〜50重量%、好ましくは28〜35重量%、より好ましくは約30重量%の過酸化水素を含むその水溶液で好ましくは適用される。
セメント中の含水率が低ければ低いほど、過酸化水素での臭素利用率および酸化性能がより良好であることが分かった。
反応混合物内の過酸化水素対水の重量比はそれ故、好ましくは1:100より下、さらにより好ましくは1:50より下、その上より好ましくは1:10より下である。本発明の一実施形態においては、反応物中に存在する水の総量は、過酸化水素溶液の添加によって提供されるであろう。
本発明に従って使用される酸化剤の量は、使用される臭素化剤の量および種類に依存する。たとえば臭素化剤1モル当たり0.2〜約5モル、好ましくは0.5〜3モル、より好ましくは0.8〜1.2モルの酸化剤が使用されてもよい。
酸化剤は、臭素化反応の開始時に反応域へ導入されてもよいし、それは、臭素化剤の添加の前に、添加と当時にまたは添加の後に加えられてもよい。
好ましい実施形態において酸化剤は、反応媒体の全体にわたってその分散を可能にするために臭素化剤の前に加えられ、酸化剤は、臭素化剤と同時にまたはその前に加えられる。
別の実施形態において酸化剤は、臭素化剤の少なくとも約50%が臭素化反応に消費されてしまう後まで反応混合物に加えられない。
臭素化プロセスは、0℃〜90℃、好ましくは20℃〜80℃の温度で操作されてもよく、反応時間はたとえば、1分〜1時間、好ましくは1〜30分であってもよい。臭素化反応器中の圧力は、0.8〜10バールであってもよい。
この手順中の臭素化の量は、最終ポリマーが本明細書において上に記載された好ましい量の臭素を有するように制御されてもよい。ハロゲンをポリマー結合させる特定モードは特に制限されず、当業者は、上記のもの以外のモードが本発明の利益を達成しながら用いられてもよいことを認めるであろう。溶液相臭素化プロセスの追加の詳細および代わりの実施形態については、参照により本明細書に援用される、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(Fifth,Completely Revised Edition,Volume A231 Editiors Elversら)および/またはMaurice Mortonによる「Rubber Technology」(Third Edition),Chapter 10(Van Nostrand Reinhold Company版権1987)、特にpp.297−300を参照されたい。
臭素化反応の完了後に、ポリマーは、従来法、たとえば、希苛性溶液での中和、水洗および水蒸気蒸留によるなどの溶媒の除去またはイソプロパノールなどの低級アルコールを使用する沈澱、引き続く乾燥によって回収されてもよい。加工助剤および酸化防止剤が、溶媒をストリッピングする前にまたはその後に臭素化ポリマー生成物と混合されてもよい。
臭素化ゴムは、さらなる工程において硬化させられてもよい。臭素化ゴムの硬化は、よく知られている。
本発明生成物での使用のための好適な硬化系は、臭素化ゴム、特にブロモブチルゴムでの使用について当該技術分野においてすでに公知のものであり、硫黄、樹脂および過酸化物硬化系などの従来の硬化系を一般に含む。
本発明による方法を用いて得られる臭素化ゴムおよび硬化された臭素化ゴムは、インナーライナー、トレッド、側壁、接着剤を含むが、それらに限定されないタイヤの一部として、熱可塑性エラストマー、履物、貯蔵膜、保護衣、製薬ストッパー、内張り、およびバリアコーティングの一部として使用されてもよい。
実施例1−重合および蒸留
図1に記載されるプロセスの重要な要素を、連続モードで運転する2リットル総容量の反応器を使ってパイロット規模で操作した。反応器への供給物は、66:34のモノマー/ヘキサン質量比を与える3.87kg/hのイソブテン、0.09kg/hのイソプレンおよび2.0kg/hのヘキサンであった。用いられた反応温度は−65℃であり、16重量%の固形分を有する溶液が生成した。この材料は、約440kg/モルの重量平均分子量および約1.7モル%のイソプレン含有率を有した。反応器からの溶液を40トレイの蒸留塔に供給し、ゴム溶液からのモノマーの分離を行った。溶液を42℃に予熱し、リボイラーを塔底で用いて113℃の塔底温度を維持した。還流冷却器を用いてオーバーヘッド流れの一部を36℃のそこでの温度を維持する塔頂に戻した。塔で達成される分離は、分離ゴム溶液中に10ppm未満の残存イソプレンモノマー、そしてオーバーヘッドモノマー流れ中に1.2%のヘキサンを残した。分離モノマーを精製し、次に溶液重合反応器に再導入した。ヘキサン溶媒中の分離ゴム溶液は、補足ヘキサン溶媒を添加して従来法によって臭素化を成し遂げることができるようなものであった。
実施例2−ハロゲン化
実施例1の分離ゴム溶液を、パイロット規模の臭素化装置を用いてハロゲン化した。10%の量の補足溶媒を、粘度を低くするために分離ゴム溶液に加えた。様々なプラント条件をシミュレートするために、補足水(必要ならば)を溶液に加え、反応媒体の全体にわたって分散させた。水中の30重量%過酸化水素(加えられる臭素と1:1のモル比で)をこの溶液へ導入し、生じた混合物を、臭素の添加前に2分間以下50℃でかき混ぜた。加えられる臭素の量は、ベースゴムの1トン当たり24kg(=標準、非回収臭素化量の65%)であった。30分以下の反応期間の後に、苛性溶液を、あらゆる残存臭化水素、臭素および過酸化水素を中和するために反応混合物に加えた。中和セメントを、1:1質量比の水でリンスした。酸化防止剤(Irganox)、安定剤(Paraplex)およびステアリン酸カルシウムを、水蒸気注入が残存溶媒を除去するために用いられる前にセメント中に分散させた。生じたポリマーを、0.1%未満の質量損失が達成されるまでホットミルを用いて乾燥させ、微細構造を測定するためにプロトンNMRを用いて分析した。NMR結果を、様々な水濃度について仕分けして、下の表にする。値はモル%単位で示す。
Figure 2013517361
実施例3−再生モノマーおよび再生共通脂肪族媒体を使っての重合
実施例2の方法を、臭素化ブチルゴムの乾燥および仕上げから得られた再生共通脂肪族媒体の添加で増補した精製オーバーヘッド流れを使って操作する。反応器を次に操作し、実施例2に記載されたゴム溶液に匹敵するゴム溶液が製造される。
実施例4−再生モノマーおよび再生溶媒を使っての重合
実施例3の方法を、商業的に入手可能な工業用ヘキサンを共通脂肪族媒体として使用して操作する。この工業用ヘキサンは、
・1013hPaの圧力で45℃より下の沸点を有する2.0重量%のブタンおよびペンタン、
・1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する97.5重量%のペンタンおよびヘキサン、
・1013hPaの圧力で80℃より上の沸点を有する0.5重量%のヘキサン、ヘプタンおよびオクタン
からなった。
有機金属触媒、エチルアルミニウムセスキクロリドを、工業用ヘキサンに溶解させ、痕跡の水で活性化した。
図1に記載されるプロセスの重要な要素を、連続モードで運転する2リットル総容量の反応器を使ってパイロット規模で操作した。反応器への供給物は、68:32のモノマー/ヘキサン質量比を与える、新鮮モノマー(0.874kg/hのイソブテンおよび0.0204kg/hのイソプレン)、回収からの3.160kg/hの再生モノマーおよび1.9kg/hの工業用ヘキサンであった。この運転中にモノマー/共通脂肪族媒体質量比を50:50から74:26まで変えた。用いられた反応温度は約−65℃であり、15重量%のポリマーの溶液がそれによって生成した。この材料は、約475kg/モルの重量平均分子量および約1.75モル%のイソプレン含有率を有した。反応器からの溶液を、40トレイの蒸留塔に供給し、ゴム溶液からのモノマーの分離を達成した。溶液を42℃に予熱し、リボイラーを塔底で用いて113℃の塔底温度を維持した。還流冷却器を用いてオーバーヘッド流れの一部を36℃のそこでの温度を維持する塔頂に戻した。塔で達成される分離は、分離ゴム溶液中に10ppm未満の残存イソプレンモノマー、そしてオーバーヘッドモノマー流れ中に0.35%のヘキサンを残した。分離モノマーを精製し、次に溶液重合反応器に再導入した。
分離ゴム溶液を、パイロット規模の臭素化装置を用いてハロゲン化した。10%補足工業用ヘキサンを分離ゴム溶液に加え、臭素化を、元素状臭素を使用することによって達成した。それによって、1.8%の臭素を含む臭素化ブチルポリマーを製造した。ブロモブチルゴム溶液を次に、従来の乾燥および仕上げ技法を用いて仕上げた。
異なる実験において、臭素化溶液を上記の通り、しかし過酸化水素溶液を含めて製造した。元素状臭素(過酸化水素と1:1のモル比での)を典型的な比率の65%の量で使用して1.8%の臭素を含む、匹敵する臭素化ブチルポリマーを生み出した。従来技法を用いて生成物を仕上げた。
前述の事項は、ある種の好ましい実施形態を記載するにすぎず、本発明のその他の特徴および態様は当業者に明らかであろう。同様に機能する記載された要素の変形および等価物が、本発明が機能する方法に影響を及ぼすことなく置き換えられてもよい。

Claims (22)

  1. a)40:60〜99:1のモノマー混合物対共通脂肪族媒体の質量比で
    ・1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する少なくとも50重量%の1つ以上の脂肪族炭化水素を含む共通脂肪族媒体、および
    ・少なくとも1つのイソオレフィンモノマー、少なくとも1つのマルチオレフィンモノマーを含み、その他の共重合性モノマーを全く含まないかまたは少なくとも1つ含むモノマー混合物
    を含む反応媒体を提供する工程と、
    b)前記モノマー混合物を前記反応媒体内で重合させて前記共通脂肪族媒体および前記モノマー混合物の残存モノマーを含む前記媒体中に少なくとも実質的に溶解しているゴムポリマーを含むゴム溶液を形成する工程と;
    c)前記モノマー混合物の残存モノマーを前記ゴム溶液から分離して前記ゴムおよび前記共通脂肪族媒体を含む分離ゴム溶液を形成する工程と、
    d)前記分離ゴム溶液中の前記ゴムを、酸化剤によって少なくとも部分的に再生される臭素化剤を使用して臭素化する工程と
    を少なくとも含む臭素化ゴムの製造方法。
  2. 前記ゴムがブチルゴムである、請求項1に記載の方法。
  3. モノマー混合物が、80.0重量%〜99.9重量%の範囲の少なくとも1つのイソオレフィンモノマーおよび0.1重量%〜20.0重量%の範囲の少なくとも1つのマルチオレフィンモノマーを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記イソオレフィンモノマーがイソブテンであり、前記マルチオレフィンモノマーがイソプレンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記共通脂肪族媒体が、1013hPaの圧力で45℃〜80℃の範囲の沸点を有する少なくとも80重量%の1つ以上の脂肪族炭化水素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記共通脂肪族媒体が25重量%未満の環状脂肪族炭化水素の含有率を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記共通脂肪族媒体が2.5重量%未満のシクロヘキサンの含有率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程b)のプロセス温度が−100℃〜−40℃の範囲にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 臭素化の前に測定されるブチルゴムの重量平均分子量が、200〜1000kg/モルの範囲にある、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記反応が重合反応器で行われ、そして前記重合反応器からの排出時の前記溶液の粘度が2000cP未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程b)での後に得られる前記ゴム溶液の固形分が3〜25重量%の範囲にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 分子状臭素が臭素化剤として使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 使用される臭素化剤の量が前記ゴムの0.1〜20重量%の範囲にある、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記酸化剤が、過酸化物および過酸化物形成物質からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記酸化剤が界面活性剤と組み合わせて使用される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記反応混合物内の過酸化水素対水の重量比が1:100より下である、請求項16に記載の方法。
  18. 使用される酸化剤の量が、臭素化剤1モル当たり0.2〜5モルの酸化剤である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記酸化剤が、前記臭素化剤が加えられると同時にまたは加えられる前に加えられる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 工程d)において得られた前記臭素化ゴムの硬化する工程をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 硬化した臭素化ゴムを製造するための請求項1〜19のいずれか一項に従って製造された臭素化ゴムの使用。
  22. タイヤの一部としての請求項1〜21のいずれか一項に従って製造された臭素化ゴムまたは請求項1〜21のいずれか一項に従って製造された硬化した臭素化ゴムの使用。
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