本明細書には、航空機に緊急バックアップ電力を提供することができ、そして、航空機電気システムの電気需要を減らすために電気負荷レベリング(electrical load levelling)を提供することができる、航空機電気アキュムレータ(aircraft electric accumulator)が記載される。
電気アキュムレータは、航空機の主動力源から分離し得る電力の独立源(separate source)を提供する。したがって、航空機の主電源からの電力の損失は、航空機の電気アキュムレータの電力を危うくしないであろう。
電気アキュムレータは、電力源から電力を受け、その電力を蓄え、そして、その後、必要なときに航空機デバイスに電力を分配するように動作可能である。航空機デバイスは、例えば、電気アキュムレータに蓄えられたエネルギーによってもっぱら電力が完全に供給されることがある。電力源は、航空機上に配置することができ、または、航空機が離陸する前に、航空機の電気アキュムレータを充電するために、航空機の外部の地上に置くことができる。
電気アキュムレータは、航空機デバイスによって後で使用するための電気的エネルギーを蓄えるための手段を含む。電気アキュムレータはまた、蓄えるための電気的エネルギーを提供し、そして、航空機デバイスに電気的エネルギーを分配するための手段を含む。電気アキュムレータはまた、航空機デバイスへの蓄えられた電気的エネルギーの分布を制御するための手段を含む。
図1を参照すると、航空機デバイス(aircraft device)102を選択的に動作させるための電気アキュムレータ106が開示されている。言い換えれば、航空機デバイス102は、電気アキュムレータ106によって、間欠的に、または、必要なときに、動作することができる。例示的な実施形態では、航空機デバイス102は、電気的エネルギーによって、少なくとも部分的に動作可能である、電気的または電気機械式の負荷デバイスである。例えば、航空機デバイス102は、着陸装置、アップロック(uplocks)、着陸装置用アクチュエータ、ブレーキシステム、ステアリングシステムなどでも構わない。電気アキュムレータ106は、電気回路150上に存在する。電気回路150は、例えば、航空機回路の一部として存在しても構わない。図1に示すように、航空機デバイス102は回路150に接続されている。航空機デバイス102はまた、回路を介して電気的エネルギーを受け取らなくなる時点で、回路150から接続を断たれても構わない。航空機電力源104と同様に航空機電力分配コントローラ126もまた、回路150に接続することができる。当業者に知られている他の電気コンポーネントも回路150に接続されても構わない。
ここでは、単一のウルトラ・キャパシタ114を参照して本発明を説明するが、好ましい実施形態は、以下に示され、そして、詳細に記載される、ウルトラ・キャパシタ133のアレイを用いることが理解される。
図1に示される一実施形態では、入力接続(input connection)110は、ウルトラ・キャパシタ114を電力源104に結合するように構成されている。電力源104は、例えば、航空機電力源(aircraft power)104を含んでも構わない。入力接続110は、充電制御リレー110(図に示されるように)を含んでも構わない。航空機電力源104は、回路150を介して、航空機デバイス102、ウルトラ・キャパシタ114およびウルトラ・キャパシタ充電回路112のそれぞれに接続されても構わない。航空機電力分配コントローラ126は、回路150を介して、ウルトラ・キャパシタ充電回路112へと、そして、充電制御リレー110へと接続されても構わなく、以下にさらに説明される。
(図1では破線で示される)電気アキュムレータ106は、電気的エネルギーを蓄えるためのウルトラ・キャパシタ114(またはウルトラ・キャパシタレイ133)を含む。ウルトラ・キャパシタレイ133は、個別のウルトラ・キャパシタ114を具備する。出力コネクタ129は、ウルトラ・キャパシタを航空機デバイス102に結合するように構成されている。図に示される実施形態では、出力コネクタ129はリレー129であり、以下により詳細に説明される。ウルトラ・キャパシタ114に蓄えられた電気的エネルギーは、航空機デバイス102に電力を供給するために、リレー129を介して航空機デバイス102へと、回路150に沿って後で向けられる(directed)ことができる。
電気アキュムレータ106の動作電圧は、ウルトラ・キャパシタレイ133を形成するように多数のウルトラ・キャパシタ114を直列に接続することによって、増加させることができる。例えば、典型的な航空機の電気システムは、28V(DC)で動作する。商業的に入手可能なウルトラ・キャパシタ114は、2から3V(DC)のポテンシャルのみが可能なので、航空機の電気システムの動作電圧を達成するために、12のキャパシタを直列に接続する必要があるかもしれない。しかし、これはウルトラ・キャパシタレイ133の抵抗を増加させ、最大電力出力を減らす結果となる可能性がある。追加のエネルギー貯蔵能力と同様に電力出力は、複数のウルトラ・キャパシタ114を並列に配置することによって増加させることができる。並列行の数と個々のウルトラ・キャパシタ114のキャパシタンスは、作動されている航空機デバイス102の負荷特性に基づいて決定され得る。これらの特性は、例えば、電力要件、動作電圧範囲または使用期間を含み得る。
キャパシタは電荷を蓄えることができる電子デバイスであることが知られている。Qクーロン蓄える電荷は、方程式Q=CVによって、容量Cファラッドおよびキャパシタを横切る電圧Vボルトに関係する。本明細書内で言及されるスーパーまたはウルトラ・キャパシタ・アレイは、推進力、フライトコントロール、着陸装置およびブレーキシステムのための部品を含むが、それには限定されない、電気機械式および/または少なくとも部分的に電子的な航空機部品を、動作するために十分なエネルギー貯蔵および電力供給の能力を有するキャパシタ・アレイである。
当分野で知られているように、ウルトラ・キャパシタは、異なる材料、幾何学的構造、および多孔質炭素の電気二重層キャパシタなどの製造技術を使用し得る。多孔質炭素の電気二重層キャパシタは、電解質系のイオン(代表的には、アセトニトリル(AN)およびテトラエチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸(tetraethylammonium tetrafluoroborate)(TEATFB))を介して電荷を蓄えるために多孔質炭素構造を形成する活性炭粉末からなる。このタイプのキャパシタは、ヘルムホルツ二重層効果を用いた誘電体バリアとして機能すためには電解質の分子に依存する。これらの分子の絶縁耐力(dielectric strength)は比較的低いので、電圧ポテンシャルは2ボルトと3ボルトとの間に制限される。さらに、液体電解質の使用は、上記の電解質が低温でより粘性になることができ、そして、摂氏−40度よりも低い温度で凍るので、ウルトラ・キャパシタ114の動作範囲を制限することがある。より低い動作温度は、電解質に他の共溶媒(co-solvents)を加えることによって、達成することが可能である。
既存の電気二重層を改良する可能性がある多くの新たな技術がある。例えば、活性炭粉末を蒸着技術を用いて作成された垂直に配列されたカーボンナノチューブで置き換えることができる。この技術は、内部抵抗を大幅に低減し、そして、単位体積当たりの表面積を大幅に増加することができこともあり得り、より高い出力および増大されたエネルギー貯蔵容量の両方をもとらす結果となる。
電気二重層ウルトラ・キャパシタの能力を超え、そして、最終的には、それに取って代わることができるであろう新たなウルトラ・キャパシタ技術もある。例えば、一つの技術は、基板上の平方センチメートル当たりに何十億の“静電キャパシタ(electrostatic capacitors)”を作成するために、アルミニウム基板上でのナノ製造技術および原子層堆積(atomic layer deposition)を用いることを提案する。アルミニウムの陽極酸化(anodizing)は、酸化アルミニウムの表面を伴うナノ細孔(nano - pores)を開け、そして、続いて、単一基板上で広大な配列になるようにナノキャパシタ(nano-capacitors)を作成して接続するために、窒化チタンの薄い層と酸化アルミニウ層が堆積される。酸化アルミニウムの高絶縁耐力は高い動作電圧を可能にし、そして、デバイスが固体であるために、“多孔質炭素の電気二重層キャパシタ”上での動作温度範囲は大幅に広がる。この技術は、本明細書に記載される電気航空機アキュムレータ(electric aircraft accumulator)106に容易に利用することができ、そして、航空機胴体(aircraft fuselage)の加圧された領域外、および、宇宙ベース用途(space based applications)内において、機能する。
“航空機電気アキュムレータ(aircraft electric accumulator)”は、上記の任意のキャパシタ技術だけではなく、現在または将来的に開発される同様のキャパシタ技術を利用できることもあり得ることが認められる。
入力コネクタ110(例えば、充電制御リレー110)は、ウルトラ・キャパシタ114が電気的エネルギーを受け取ることができるように、ウルトラ・キャパシタ114を電力源に結合するように構成されている。例えば、航空機電力源104から充電制御リレー110を通り、回路150を介して、および、ウルトラ・キャパシタ充電回路112を介して、ウルトラ・キャパシタ114に電気を流すことができるように、充電制御リレー110は閉じても構わない。さらなる例として、回路150およびウルトラ・キャパシタ充電回路112を介してウルトラ・キャパシタ114に電気が流れることを制限するために、充電制御リレー110は開いても構わない。言い換えれば、入力コネクタ110は、電力源に接続されるように構成され、よって、電力が必要なときにはウルトラ・キャパシタ114に電気的エネルギーが流れ込むことができ、および、もはや電力が必要でなくなったときには接続を断たれるように構成されている。
出力コネクタ129は、ウルトラ・キャパシタ114を航空機デバイス102に結合するように構成されている。出力コネクタ129は、例えば、リレー129でも構わない。例えば、リレー129は閉じられても構わなく、よって、ウルトラ・キャパシタ114から航空機デバイス102に電気が流れることを可能とする。同様に、前記リレーは開かれても構わなく、よって、ウルトラ・キャパシタ114から航空機デバイス102に電気が流れることを制限する。言い換えれば、出力コネクタ129は、航空機デバイスを作動するなどのように電力が必要となるときに、航空機デバイス102に接続される(そして、電流が流れることを可能とする)ように、および、もはや電力が必要でないときには接続を断たれるように、構成されている。しかしながら、好ましい実施形態においては、航空機デバイス102によって電力が必要とされるとき、および、必要とされないときの両方で、前記出力接続は航空機デバイス102に接続されたままである。
図1を参照すると、アキュムレータ入力分離ダイオード(accumulator input isolation diode)128は、ウルトラ・キャパシタ114から流れる電流および航空機電力源104中への電流をブロックするように、ウルトラ・キャパシタ114に動作可能に接続されている。電気的エネルギーはまた、航空機電気電源(aircraft electrical supply)104から、回路150上にも存在するアキュムレータ入力分離ダイオード128を介して、回路150に沿って流れることができる。アキュムレータ入力分離ダイオード128は、例えば、本明細書に記載されるように、回路150での使用に適した任意のタイプのダイオードとすることができる。ダイオード128の出力側に、回路150上に、回路150に沿って電気の流れを制御するための充電制御リレー110が存在している。アキュムレータ入力分離ダイオード128は、充電制御リレー110が閉じられたときに、電気アキュムレータ106から回路150に沿って航空機電力源に向かって電気が逆流することを防ぐ。充電制御リレー110が開いているとき、回路150に沿って電気が流れることが防止される。図1は充電制御リレー110が開かれているとして示し、図2は充電制御リレー110が閉じられているとして示している。充電制御リレー110は、好ましくは、充電制御ソリッドステートリレーであり、そして、航空機電力分配コントローラ126によって制御される。
さらに、航空機電力分配コントローラ126は、他の航空機システムおよびメイン航空機コントローラと通信するために、航空機データバス(図示せず)上で情報を受信および送信できる。データバスは、例えば、民間航空機用のデュアルチャネルARNIC429バスでも構わない。代替の実施形態では、航空機電力分配コントローラ126は、ディスクリート信号(discreet signals)を介して情報を送信または通信する。ディスクリート信号は、例えば、ハード配線(hard wiring)を用いて、他のコントローラまたはデバイスに送信されても構わない。
図1を参照すると、航空機電力分配コントローラ126は、航空機用電力源104からウルトラ・キャパシタ充電回路112が使用または消費する電力量を調整または制御することができる。したがって、他の航空機システムからの電力需要が高いと、航空機電力分配コントローラ126は、ウルトラ・キャパシタ充電回路112に流れる電力の量を減らすことができる。さらに、航空機電力分配コントローラ126は、電気アキュムレータ106が航空機用電力源104を決して消費または使用しないように、充電制御リレー110を開位置に切り替えることにより、航空機電力源104から電気アキュムレータ106を完全に分離することができる。
航空機電力分配コントローラ126はまた回路150上に存在し、そして、充電制御リレー110に動作可能に接続されている。言い換えれば、航空機電力分配コントローラ126は、充電制御リレー110を開いたり閉じたりでき、そして、それにより、回路150に沿ってエネルギーの流れおよび分配を制御し、そして特に、電気アキュムレータ106の中にへおよび電気アキュムレータ106から外へである。
航空機電力分配コントローラ126は、例えば、いつ電気アキュムレータ106が充電され得るか決定し得る。例えば、航空機上のセンサ(図示せず)は、航空機の電力需要が一般的に低いと検出し得る。そのため、航空機電力分配コントローラ126は、次に、例えば、航空機の一般的な電源供給104からの過剰な電気的エネルギーを用いて電気アキュムレータ106を充電するために適切な時期であることを決定し得る。そうするために、航空機電力分配コントローラ126は、動力源(この例では航空機の電力供給である)からウルトラ・キャパシタに電気的エネルギーが流れ込むことを可能にするために、充電制御リレー110を閉じる。
航空機電力分配コントローラ126は、適切なときに(例えば、ウルトラ・キャパシタ・アレイ133が容量を有し、そして、電力源から十分な電気的エネルギーをリダイレクトできるときに)、充電制御リレー110を自動的に開いたり閉じたりするために自動化されても構わない。代替的には、充電制御リレー110は、ウルトラ・キャパシタ114のフル充電レベルを維持するために、閉じたままでも構わない。
電気航空機アキュムレータ106はウルトラ・キャパシタ充電回路112を含む。ウルトラ・キャパシタ充電回路112は、例えば、単一の抵抗器、または、当業者に知られている定電流電力源または他の制御された充電回路からなる、より複雑な配置とすることができる。ウルトラ・キャパシタ充電回路112は、回路150を介して、航空機電力源104に接続されている。
回路150は、ワイヤまたは他の適当な導電性材料から製造されても構わない。
ウルトラ・キャパシタ114は、電荷の蓄えのために利用できる表面積を増大するために、当業者にはよく知られているであろう泡状炭素構造(carbon foam structure)を用いても構わない。個々のコンデンサは、例えば、エネルギー貯蔵の11000ジュールを伴う3000ファラッドの範囲内のキャパシタンス、0.55キロの質量を伴う最大出力電力7590ワットを有しても構わない。ウルトラ・キャパシタ114中に電気的エネルギーが流れ込むと、ウルトラ・キャパシタ114は後で使用するために電気的エネルギー(つまり、電荷)を有害作用(detrimental effect)を伴わずに事実上瞬時に蓄える。ウルトラ・キャパシタ114は、比較的低電圧(例えば2.5ボルト)で動作するが、以下に記載されるように、電圧を上げるために直列に配列され、そして、電力出力を増すために並列に配列されることができる。
上記のように、電気アキュムレータ106は、エネルギー貯蔵容量を増加させ、そして、所望の電気特性を得るために、複数のウルトラ・キャパシタ114を具備しても構わない。例えば、図1に示されるように、12個の直列接続されたウルトラ・キャパシタ114のカラムの三並列が、回路150上にアレイ状に接続されても構わない。これは、図3に示されるように、36個のキャパシタ114を含む、ウルトラ・キャパシタレイ133を形成する。ウルトラ・キャパシタ114は、電圧を上げるために直列に配置され、そして、電気アキュムレータ106の電力出力能力を増すために、並列に配置されている。
代替の実施形態では、電力源は外部電力源(図示せず)である。ウルトラ・キャパシタ114は、外部レセプタクル124を介して、電気的エネルギーを受け取り、および、それによって外部レセプタクル124を介して充電される。外部レセプタクル124は、その中に外部電力源が動作可能に接続できるレシーバである。外部レセプタクル124に動作可能に接続されるとき、電気的エネルギーは外部電源からウルトラ・キャパシタ114に流れることができる。ウルトラ・キャパシタ114は、後で使用または放電するための電気的エネルギーを蓄える。
図1に示されるように、外部レセプタクル124を通って入力してくる電力はウルトラ・キャパシタ充電回路112によってモニタおよび制御される。
外部電力源は、外部レセプタクル124に一時的に動作可能に接続することができる。ウルトラ・キャパシタ114は、外部電力源が外部レセプタクル124に動作可能に接続されている時間の期間中は電力を受け入れて蓄えるだけであり、そして、電気的エネルギーは外部電力源から外部レセプタクル124を通ってウルトラ・キャパシタ114に流れている。
別の実施形態では、電気航空機アキュムレータを充電するための電力は、第2の航空機の電力源から来るものでも構わない。
別の実施形態では、電気アキュムレータ106内のウルトラ・キャパシタ114に電気的エネルギーを供給するために、第2の電源は(例えば、回路150を介して)電気アキュムレータ106に動作可能に接続される。電力供給源の各々は、(以下に記載されるように)航空機電力分配コントローラ126によって独立に動作されても構わなく、そして、したがって、電気アキュムレータ106に独立的に電気を提供しても構わない。同様に、回路150を介して電気アキュムレータ106に接続された追加の電力供給があっても構わないことは認められる。
メンテナンス放電抵抗116およびメンテナンス放電スイッチ118は回路150上に存在し、そして、ウルトラ・キャパシタ114から蓄えられた電気的エネルギーを消散して、電気アキュムレータ106を放電するために使用され得る。
より詳細には、メンテナンス放電スイッチ118は、二つの位置の一つ、“アーム(arm)”または“ディスアーム(disarm)”になることができる。(図1に示されるように)アーム位置のときには、回路150はウルトラ・キャパシタ114に接続され、それによってウルトラ・キャパシタ114に電気が流れることを可能とする。ディスアーム位置(不図示)のときには、ウルトラ・キャパシタ114は、回路とウルトラ・キャパシタ114との間に電気が流れることができないように、充電回路150から完全に接続を断たれる。ディスアーム位置では、メンテナンス放電抵抗116はウルトラ・キャパシタ114から電気を消散する。これは、例えば、追加の安全を提供し得る。
必要により、外部レセプタクル124の出力側の回路150内に逆流防止ダイオード120を含めることができる。逆流防止ダイオード120は、外部レセプタクル124を介しての偶然の放電を防止する。さらに、逆流防止ダイオード120は、逆極性充電を防止する。
アキュムレータ出力分離ダイオード(accumulator output isolation diode)108は、電気アキュムレータ106の出力部上に存在する。アキュムレータ出力分離ダイオード108は、それによって電気アキュムレータ106の出力側からの電気流(electrical flow)が航空機電気系統に逆流することを防止する。
同様に、電気アキュムレータ106の出力部上に逆流防止ダイオード122が存在する。逆流防止ダイオード122は、航空機電気系統からの流れが電気アキュムレータ106の出力側に流れることを防止する。
ダイオードの作製および構造は当業者によく知られている。同様に、まもなく開示される本発明のダイオードの機能は、当業者に理解されるであろう。例えば、ダイオードは、効率を改善するために、(整流器など)パワー用途のための一般に入手可能な典型的なpn半導体接合ダイオードや特殊半導体ダイオードであることができるあろう。一つの代替は、同様のサージ処理能力と通常のpn接合ダイオードの低逆リーク電流とを有するが低い順方向電圧降下を持つスーパー・バリア・ダイオードでも構わない。
図3を参照すると、ウルトラ・キャパシタ114は、直列並列配列でも構わない。ウルトラ・キャパシタ114は、2から3ボルトの電位の能力だけで差し支えない。直列のウルトラ・キャパシタ114を有することは、28ボルトの作動電位(working potential)を達成し得る。
図3は、孤立のウルトラ・キャパシタ・アレイ133を示している。ウルトラ・キャパシタ114の3個の並列のカラムがあり、各カラムは12個の直列のウルトラ・キャパシタ114を有する。電力出力能力を増すために、追加の並列のウルトラ・キャパシタ114のカラムを回路150に加えても構わない。カラム内に直列接続されたウルトラ・キャパシタ114の数は、使用電位(working voltage potential)を高めるために、増やすことができる。このようなウルトラ・キャパシタレイの性質は、当業者に知られている。
航空機デバイス102は、電気デバイスまたは電気機械デバイスでも構わない。例えば、航空機デバイス102は、着陸装置の下降と上昇を制御するためのアクチュエータなどの着陸装置デバイス(landing gear device)でも構わなく、航空機デバイス102は、上昇位置(ascended position)での着陸装置を安全にするためのアップロックでも構わなく、航空機デバイス102は、航空機のステアリングシステムまたはステアリングシステムの電気機械コンポーネントでも構わなく、または、航空機デバイス102は、航空機のブレーキシステムまたはブレーキシステムの電気機械コンポーネントでも構わない。航空機デバイス102は、当業者にはよく知られている他の電気機械または電動のデバイスであっても構わない。
代替的な実施形態では、図4に示すように、2つの航空機デバイス102が回路150に動作可能に接続されている。各航空機デバイス102は回路150上に並列に接続されている。航空機デバイス102の各々は回路150を介して電気アキュムレータ106に動作可能に接続されている。電気アキュムレータ106のウルトラ・キャパシタ114は、航空機デバイス102に動力を供給するために、2つの航空機デバイス102の各々に蓄えられた電気的エネルギーを提供する。
追加の航空機デバイス102は上述の回路150と同様にして単一の電気アキュムレータ106に同様に接続され得ることが認められる。
サブシステムコントローラ130は、サブシステムコントローラ130が2つの航空機デバイス102への電力分配を独立して制御するように、2つの航空機デバイス102のそれぞれに動作可能に接続されている。
航空機デバイス102は、前述したように、リレー129によって回路150に接続されてもまたは回路150から接続が断たれるように構成されても構わなく、それは今度はサブシステムコントローラ130によって作動される。このサブシステムコントローラ130は、特定の航空機サブシステム(例えば、着陸装置システム)の制御に対して責任がある。このサブシステムコントローラ130はまた、航空機データバスに接続されており、そして、他のシステムコントローラおよび航空機中央コントローラと通信できる。したがって、航空機中央コントローラに組み込まれた中央ロジックまたはソフトウェアは、航空機電力分配コントローラ126から電気アキュムレータ106の充電状態に関するデータを受信することができ、そして、航空機デバイス102を作動するために十分な電力が利用できることを示しているサブシステムコントローラ130に信号を送ることができる。
航空機電力分配コントローラ126は、コンピュータプロセッサ(CPU)を含んでいても構わなく、そして、(ARNIC429などの)データバスまたはハード配線を介して、航空機中央コントローラ(コンピュータ)、サブシステムコントローラ130など他のサブシステム・コントローラおよびウルトラ・キャパシタ充電制御回路112と通信(データの送受信)を行っても構わない。航空機電力分配コントローラ126はまた、メモリを含んでも構わない。メモリは、データバスまたはハード配線を介して受信した入力データに基づいて、プロセッサによって実行可能な命令(instructions)でプログラムされても構わない。命令を実行すると、プロセッサ(CPU)は、ウルトラ・キャパシタ114を充電するために、電気的エネルギーが電気アキュムレータ106に流れ込むことが可能になるように、充電制御リレー110が動作するように、航空機電力分配コントローラ126を制御および指示する。同様に、ウルトラ・キャパシタ114への電気の流量(flow rate)を制御するための出力信号をウルトラ・キャパシタ充電制御回路112に提供するために、プロセッサによって命令(instructions)が実行されるように、命令(すなわちコンピュータコード)は、メモリに格納されれても構わない。
航空機電力分配コントローラ126は、さらに、電気アキュムレータ106内の現在の電気的エネルギーを示す電気アキュムレータ充電状態を入力として受け取っても構わない。一実施形態では、航空機電力分配コントローラ126内のプロセッサは、充電制御回路112から充電池充電状態を受け取り、そして、電気アキュムレータ106のウルトラ・キャパシタ114により多くの電気的エネルギーを提供するために、充電制御リレー110を自動的に(メモリに格納された命令に従って)動作させる。充電制御リレー110の動作は、航空機分配コントローラから充電制御リレー110に送られた出力信号によって制御されても構わない。例えば、もし電気アキュムレータ充電状態が、ウルトラ・キャパシタ114内にさらなる電気的エネルギーの容量があることを示すならば、航空機電力分配コントローラ126は、電気的エネルギーが電力源からウルトラ・キャパシタ114に流れることを可能にするために充電制御リレーが閉じるように、電気アキュムレータ充電コマンドとも呼ばれる出力信号を充電制御リレーを送っても構わない。さらに、航空機分配コントローラ126内のプロセッサ(CPU)は、データバス(例えば、ARNIC429など)またはハード配線を介して、130または充電池充電状態を示す航空機中央コントローラ(コンピュータ)などの他のサブシステムコントローラに、出力信号を送っても構わない。
ユーザー・インターフェース(例えば、着陸装置の上昇/下降を制御するスイッチ)は、サブシステムコントローラ130内のプロセッサ(CPU)に接続されても構わない。ユーザーインターフェースは、ユーザーが、プロセッサ上に格納されたある命令を実行するコマンドを入力することを可能とする。そのような命令は、メモリ内に保存またはプログラムされても構わない。受け入れ可能な入力信号が受信されると、例えば、航空機分配コントローラ126から受け入れ可能なアキュムレータ充電状態信号が受信されると、航空機デバイス102が電気アキュムレータ106から電気的エネルギーを受け入れて動作することを可能とするデバイスオン/オフリレー129を閉じるために、サブシステムコントローラ130内のプロセッサ(CPU)によって命令が実行される。例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザから要求されたメモリからのある命令をプロセッサが実行するとき、航空機電力分配コントローラ126は、着陸装置が降りるように、電気アキュムレータから着陸装置アクチュエータ(航空機デバイス102の一例)に電気的エネルギーを向け(direct)得る。
別の実施形態では、アキュムレータ出力分離ダイオード108は、電気アキュムレータ106出力が航空機電力源システムに直接的に送られることを可能とするために、除去されることができ、よって、全システムのバックアップ電力を供給する。
サブシステムコントローラ130は、回路150に取り付けられた複数の航空機デバイス102の各々を独立に作動しても構わない。言い換えれば、サブシステムコントローラ130は、電気的エネルギーが電気アキュムレータ106から複数の航空機デバイス102のうちの一つに流れ、残りの航空機デバイス102には流れないことを可能しても構わなく、逆もまた同様である。
電気アキュムレータ106内のウルトラ・キャパシタ114によって提供される電力は、航空機の通常の電力供給の電力供給能力よりも上でも構わないことは認められる。これはより小型かつ軽量な航空機発電機(aircraft generators)を許し、それはこれらの発電機のピーク出力電力は電気アキュムレータ106を用いて低減できるからである。これはまた前記発電機に電力を供給する航空機のエンジンの負荷を軽減する。電気アキュムレータ106は航空機デバイス102の近くに配置することができるので、前記発電機と航空機デバイス102との間の航空機電気配線は、より低い電流フロー要件によってサイズを小さくできる。正味の結果は、より良い航空機の性能とより低い燃費であり得る。
本明細書に開示された電気アキュムレータ106を用いて、航空機運搬システム電圧は、従来の28ボルトDCよりも高くできる。
開示されたような電気アキュムレータ106はまた、例えば、非常用電力または電力平滑化に使用することができるであろうことは認められる。
図5は、航空機デバイス102に電力を供給するための方法のフローチャートである。ステップ1002で、電気アキュムレータ106が(上述したように)提供される。ステップ1004で、電気アキュムレータ106は電力源に接続または結合される。例えば、充電制御リレー110は、電気が回路150を介してウルトラ・キャパシタ114に流れることを可能にするために閉じられ得る。ステップ1006で、電力は電力源から電気アキュムレータ106に向けられる。ステップ1008で、電気アキュムレータ106は航空機デバイス102に接続または結合される。例えば、リレー129が閉じられ得る。
航空機デバイス102に電気アキュムレータ106を接続するステップ1008は、電力を電力源から電気アキュムレータ106に向けるステップ1006の前に着手することができる。同様に、航空機デバイス102に電気アキュムレータ106を接続するステップ1008は、電気アキュムレータ106を航空機デバイス102に接続するステップ1004の前に着手することができる。最後に、ステップ1010で、電力は、電気アキュムレータ106から航空機デバイス102に向けられる。
好ましくは、電気アキュムレータ106は、非常用電源のバックアップの効率および電気アキュムレータ106の負荷平準化能力(load leveling capabilities)を高めるために、航空機デバイス102の近くにマウントされる。例えば、もし航空機デバイスが電気ブレーキまたは電動ステアリングシステムであれば、電気アキュムレータ106は着陸脚(landing gear leg)または着陸ベイ(landing gear bay)に取り付けることができ得る。
(図6に示される)一実施形態において、アキュムレータ出力分離ダイオード108は、アクティブ電流制限回路132に置き換えられる。そのような設計では、航空機電力源104からの電流の流れは、ウルトラ・キャパシタ114によってもたらされる航空機デバイス102に必要な電力の余りに伴う設定値に制限される。この変更は、油圧回路(hydraulic circuit)内の限定的な流通装置に類似する。航空機デバイス102は、低負荷運転の間中は、その電力のすべてを航空機電力源104から引き出す能力があり得るが、高負荷が航空機デバイス102によって遭遇されたときには、電力は電気アキュムレータ106から優先的に流れる。この構成は、ピーク電力需要時に航空機電力源104を過負荷から保護するが、依然として航空機デバイス102が断続的に高い電力レベルで動作することを可能とする。
これから説明するさらに別の実施形態は、図7に示される。航空機デバイス102は、航空機電力源104から如何なる電力も直接的に受けることはできない。これは、航空機デバイス102が短い持続バースト(short duration bursts)の間に非常に高い電力レベルで動作するという特性を有するときに、有益であり得る。このような用途においては、航空機電力源104は、航空機デバイス102を作動したり、または、その作動を支援するために意味のある電力を加えことは、できない可能性がある。このような航空機デバイス102は、例えば、ハイパワーリニアモーターやレーザーを含んでも構わない。航空機電力源104は、航空機デバイス102が動作するために、電気アキュムレータ106内に容認可能なレベルのエネルギーが蓄えられるまで、電気アキュムレータ106をゆっくりと充電することができる。いったん航空機デバイス102が作動され、そして、電気アキュムレータ106内のエネルギーが使い果たされると、航空機電力源104は、再び、電気アキュムレータ106を徐々に充電することができる。
ウルトラ・キャパシタ114は、好ましくは、航空機の加圧された領域内などのように、摂氏−40度から摂氏70度の温度範囲の領域内で動作する。
一実施形態においては、低温粘度を向上させ、凝固点を下げるために、電解質(electrolyte)に共溶媒(co-solvents)を添加することにより、多孔質炭素の電気二重層キャパシタを用いること。動作温度を下げることによって、動作温度要件が通常摂氏−54度である航空機の加圧されていない領域内で、キャパシタを使用することが潜在的に可能となる。このような実施形態では、電気アキュムレータ106は、着陸装置などのある航空機デバイス102の近くに配置することができるあろう。
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲内、または、添付の特許請求の範囲内において、それは変更できることは当業者であれば理解できるであろう。