JP2013512221A - 医薬および診断組成物用の担体としてのクラウンエーテルのオルトエステル誘導体 - Google Patents

医薬および診断組成物用の担体としてのクラウンエーテルのオルトエステル誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)のクラウンエーテルに関する。
Figure 2013512221

式中、mは、4、5、6、7または8であり、各々のiは、独立して、1または2であり;各々のRおよびRは、水素;直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは非置換のC〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有する置換もしくは非置換のアリールから独立して選択され;またはRおよびRは、一緒になってオキソ基を形成し;クラウンエーテル内の少なくとも1つのR、Rと、RおよびRが結合しかつ式(I)のエーテル酸素に直接結合している炭素とは、一緒になって、式(II)
Figure 2013512221

の基を形成し、式中、Lは、存在しないか、または共有結合および(CRから選択されるリンカーであり、各々のRおよびRは、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有する置換または非置換のアリールから独立して選択され、nは、1、2または3であり;XおよびYは、互いに独立してOおよびSから選択され;各々のZは、独立して、存在しないか、または電子吸引基であり;各々のRおよびRは、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有する置換または非置換のアリール;H(OCHCH−およびH(OCHCHO−から選択され、式中、kは、1〜10迄の整数であり;置換基は、存在する場合、OH、O−CHおよびハロゲンから選択される。

Description

本発明は、式(I)のクラウンエーテルに関する。
Figure 2013512221
(式中、mは、4、5、6、7または8であり、各々のiは、独立して、1または2であり;各々のR1およびR2は、水素;直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは非置換のC1
〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有する置換もしくは非置換のアリールから独立して選択され;またはR1およびR2は、一緒になってオキソ基を形成し;クラウンエーテル内の少なくとも1つのR1、R2と、R1およびR2が結合しかつ式(I)のエーテル酸素に直接結合している炭素とは、一緒になって、式(II)
Figure 2013512221
の基を形成し、式中、Lは、存在しないか、または共有結合および(CR56nから選
択されるリンカーであり、各々のR5およびR6は、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原
子で構成された環を有する置換または非置換のアリールから独立して選択され、nは、1、2または3であり;XおよびYは、互いに独立してOおよびSから選択され;各々のZは、独立して、存在しないか、または電子吸引基であり;各々のR3およびR4は、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニル
およびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有する置換または非置換のアリール;H(OCH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−から選択され、式中、kは、1〜10迄の整数であり;置換基は、存在する場合、OH、O−CH3およびハロゲンから
選択される。)
本明細書において、特許出願および製造業者の取扱説明書を含む多数の文献が引用される。これらの文献の開示は、本発明の特許性に関連すると見なされないが、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ペプチド性またはタンパク性を有する薬物が増大している。これらの薬物は、多くの場合、限られた有効期間を有し、および/またはそれらの投与は、侵襲的方法のみで達成することができる。静脈内投与は、続いて肝臓内での薬物の著しい分解を伴うことが多い。この分解は、肝臓の分解系を迂回する方法で薬物を送達できる場合、避けることができる。更に、非侵襲的投与は比較的煩雑ではなく、患者および医療従事者にとってより都合がよい。しかしながら、例えば経口、頬内、舌下、鼻腔内、経肺、経皮(dermal)または経
皮(transdermal)経路による非侵襲的投与は、多数の薬物、特にペプチドおよびタンパ
ク質にて除外され、これはそれらが帯電しているためである。帯電の存在は、細胞膜を、これらの薬物にとって打ち勝つことができないバリアにする。電荷を除去するための共有結合修飾は、ポリペプチド構造の誤った折り畳みを含む有害効果を有し得る。共有結合修飾の他の欠点は、前記修飾により得られる化合物が、認可されている薬物とは異なることである。
環状ポリエステル(ポリラクトン)は、陽イオンのイオノフォアとして文献にて公知である。例えば、ノナクチンおよびテトラナクチンは、金属イオンを配位するマクロテトロリド抗生物質である。他のタイプの環状ポリエステル(ポリグリコール酸エステルまたは乳酸エステル)が非経験分子軌道計算により研究されており、単位の数(環の大きさ)に応じて、幾分かの選択性を有して所定の陽イオンを収容することが見出されている(McGeary and Bruget (2000), Lifson et al. (1983), Lifson et al. (1984))。
環状ポリエーテルまたはクラウンエーテルは、陽イオンと錯化することが文献にて公知である。例えば、18−クラウン−6は、Na+、K+およびNH4 +を含む多数の陽イオンと錯化する環状ポリエーテルであることが公知である。
薬物、特にペプチド性またはタンパク性薬物、siRNAs等の核酸である薬物、および陽イオンを含む薬物を修飾して、それらの製剤を向上させ、それに関連して、それらの投与特性を向上させる未だ満たされていない必要性が存在する。用語「投与特性」は、所定の製剤中の所定の活性薬剤の投与のための利用可能な投与経路を含むものと理解される。
本発明の根底に存在した技術的問題は、医薬的または診断的活性薬剤の製剤特性を変更するための手段および方法を提供することであった。
従って、本発明は、式(I)のクラウンエーテルに関する。
Figure 2013512221
(式中、
mは、4、5、6、7または8であり、各々のiは、独立して、1または2であり;
各々のR1およびR2は、水素;直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有
する置換もしくは非置換のアリールから独立して選択され;またはR1およびR2は、一緒になってオキソ基を形成し;
クラウンエーテル内の少なくとも1つのR1、R2と、R1およびR2が結合しかつ式(I)のエーテル酸素に直接結合している炭素とは、一緒になって、式(II)
Figure 2013512221
の基を形成し、式中、
Lは、存在しないか、または共有結合および(CR56nから選択されるリンカーであ
り、各々のR5およびR6は、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有
する置換または非置換のアリールから独立して選択され、nは、1、2または3であり;XおよびYは、互いに独立してOおよびSから選択され;
Zは、独立して、存在しないか、または電子吸引基であり;
各々のR3およびR4は、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有す
る置換または非置換のアリール;H(OCH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−から選択され、式中、kは、1〜10迄の整数であり;
置換基は、存在する場合、OH、O−CH3およびハロゲンから選択される。ハロゲンは
、F、ClおよびBrであることが好ましい。)
式(I)内の矩形線は、角括弧内の最初の部分に存在する酸素原子を、角括弧内の最後の部分に存在する炭素原子と接続する、一つの共有単結合を表す。
角括弧内の構成単位は、m回反復される。mの好ましい値は、6である。更なる好ましい値は、5および7である。各構成単位は、iの値に応じて、クラウンエーテル環を形成する二個または三個の炭素原子を含み、ここでi=1、即ち、各構成単位の二個の炭素原子がクラウンエーテル環に寄与することが好ましい。用語「クラウンエーテル環」、「クラウンエーテル大員環」および「前記クラウンエーテルの環構造」は、式(I)に示す全部の酸素および炭素により形成される環または大員環を指す。mが6であり、iが1である好ましい実施形態の場合、この環または大員環は、18−クラウン−6の環または大員環であり、即ち環または大員環は6個の酸素および12個の炭素を含み、18員の大員環を生じさせる。
オルトエステル官能基に加えて、クラウンエーテルは、上記に定義したR1およびR2によって更に修飾され得る。R1およびR2の定義において、分枝状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基よりも、線状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が好ましい。更に、非置換の基R1およびR2が好ましい。用語「置換」は置換基の存在を指し、前記置換基はOHおよびハロゲンから選択される。アルキル、アルケニルおよびアルキニルでは、アルキルが好ましい。アルキル、アルケニルおよびアルキニルの好ましい鎖長は、C1
6、より好ましくはC1〜C4である。アリールは、5または6員環が好ましい。好まし
いアリール基は、フェニルを含む。
各々のR1およびR2は、式(II)の基を形成しない限り、水素である実施形態が好ましい。更なる好ましい実施形態では、R1およびR2の各々は、式(II)の基を形成せず、かつオキソ基でない限り、水素である。
式(I)のクラウンエーテルにおいて、式(I)のエーテル酸素に直接結合している少なくとも一つの炭素原子は、式(II)に要求されるように修飾される。その結果、クラ
ウンエーテルは、少なくとも一つのオルトエステルまたはそのチオ類似体を含む。チオ類似体では、XおよびYの一方または両方がSである。以下に使用されるように、用語「オルトエステル」は、前記チオ類似体を包含する。オルトエステルは、エーテル酸素に隣接してカルボニル基を有するクラウンエーテル−そのようなクラウンエーテルは、エステル基を含む−の一つの等価物と、アルコールまたはチオールの二つの等価物との誘導体として理解し得る。式(II)に示される、二つの自由原子価を有する炭素原子は、クラウンエーテル環の一部であることが理解される。
リンカーLが存在する場合、オルトエステルは環状である。環は、XおよびYを含む。環状オルトエステルは、エステル基を含むクラウンエーテルの誘導体と考えることができ、前記誘導体は、エステル基を含む前記クラウンエーテルをジオール(即ちグリコール)またはジチオール等のチオ誘導体で処理することにより得ることができる。一つのヒドロキシおよび一つのチオール基を有するアルコールも想定され、用語「ジオールのチオ類似体」に含められる。エチレングリコールまたはプロピレングリコール等のビシナルジオールまたはそのチオ類似体の場合、得られる環状オルトエステルのLは、共有結合である。N、N+2ジオール(NおよびN+2は、ヒドロキシ基を有する炭素原子の数)またはそのチオ類似体の場合(N+2は、前記ジオールまたはそのチオ類似体内の炭素原子の数を超えない)、得られる環状オルトエステルのLは、メチレン基またはCR56であり、R5およびR6は、上記に定義されており、更に以下に詳細される。同様に、N、N+3ジオールまたはそのチオ類似体の場合(N+3は、前記ジオールまたはそのチオ類似体内の炭素原子の数を超えない)、得られる環状オルトエステルのLは、CH2CH2またはCR5
6CR56であり、R5およびR6は上記に定義されている。前記チオールまたはそのチ
オ類似体は、更なる官能基を含んでもよい。R5およびR6の定義において、分枝状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基よりも線状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が好ましい。更に、非置換の基R5およびR6が好ましい。用語「置換」は置換基の存在を指し、前記置換基はOHおよびハロゲンから選択される。アルキル、アルケニルおよびアルキニルでは、アルキルが好ましい。アルキル、アルケニルおよびアルキニルの好ましい鎖長は、C1〜C6、より好ましくはC1〜C4である。アリールは、5または6員環が好ましい。好ましいアリール基は、フェニルを含む。上記に示したように、更に、各々のR5
およびR6が水素である実施形態が好ましい。
更なる官能基を含む好ましいビシナルジオールは、酒石酸である;例えば、式(III)〜(VI)、(VIII)および(IX)を参照されたい。下記の特に好ましい構造に示すように、オルトエステルの酒石酸部分のカルボキシル基は、アルコール、例えばグリセロールまたはエタノールでエステル化され得る;例えば式(VIII)および(IX)を参照されたい。この場合、電子吸引基Zは、エステル基である。グリセロールの遊離ヒドロキシル基は、所望により、更なる誘導体化に利用可能である。そのような更なる誘導体化としては、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリマーもしくはオリゴマーの結合、または脂肪酸とのエステル化を挙げることができ、前記脂肪酸は、飽和または不飽和のC4〜C20アルカン酸が好ましい。そのような更なる誘導体化は、生体適合性、および
/または膜、粘膜を横切る送達、細胞もしくは生命体内での標的部位への送達、を向上させまたは変更するのに有用であり得る。
更なる官能基を含む更なる好ましいビシナルジオールは、2,3−ジヒドロキシ−プロパン酸である;例えば、式(XI)を参照されたい。2,3−ジヒドロキシ−プロパン酸のカルボキシル基は、更に誘導体化、例えばエステル化されてもよい;例えば、式(XI)のRの選択肢を参照されたい。
Lが存在しない場合、XおよびYは環の一部を形成しない。その場合、各々がXまたはYに結合し、かつZ(またはZが存在しない場合R3および/もしくはR4)を有する炭素
原子の自由原子価は、水素で飽和される。Lが存在しない場合、オルトエステルは、エステル基と、アルコールまたはチオールまたはそれらの混合物とを含むクラウンエーテルの誘導体と考えることができる。非環式オルトエステルを含む本発明の好ましいクラウンエーテルは、式(VII)および(X)のクラウンエーテルである。式(X)の化合物の一例を、下記の式(XII)に示す。
Zは、電子吸引基であり、一方または両方において存在しなくてもよい。Zが存在しない場合、R3および/またはR4が炭素原子に直接結合し、該炭素原子の各々は次にXまたはYに直接結合する。式(II)の一つの基内に一つまたは二つのZが存在することが好ましい。
3およびR4の定義において、分枝状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基よりも、線状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が好ましい。更に、非置換の基R3およ
びR4が好ましい。用語「置換」は置換基の存在を指し、前記置換基はOHおよびハロゲ
ンから選択される。アルキル、アルケニルおよびアルキニルでは、アルキルが好ましい。アルキル、アルケニルおよびアルキニルの好ましい鎖長は、C1〜C6、より好ましくはC1〜C4である。アリールは、5または6員環が好ましい。好ましいアリール基は、フェニルを含む。H(OCH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−に関しては、以下のkの値が好ましい:1、2、3、4および5。特に好ましいkの値は、3および5である。
好ましい実施形態において、各々のR3およびR4は、独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよび(H(OCH2CH25−)から選択される。R3および/またはR4は、エチルが特に好ましい。
Zが存在する場合、H(OCH2CH2k−は、H(OCH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−の好ましい選択肢である。本発明のクラウンエーテルは、過酸化物基を
含まないことが理解される。Zが存在しない場合、H(OCH2CH2kO−が、H(O
CH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−の好ましい選択肢である。
式(I)のクラウンエーテルは、エーテル官能基と少なくとも一つのオルトエステル官能基とを有する。酸素の孤立電子対は、リガンドと共に錯体を形成するのに利用することができる。想定されるリガンドを、更に以下に詳細する。錯化に特に関与するのは、すぐ近くに電子吸引基(カルボニル基のような)を有さないエーテル酸素である。この点で、本発明の環状化合物は、先行技術によるクラウンエーテル(上記参照)と類似している。特にエーテル基が酸素のみ含む官能基である、先行技術によるクラウンエーテルは、錯化に好適であるが、生分解性ではなく、または十分な程度に生分解性ではない欠点を有する。
オルトエステル官能基に関して、本発明らは、オルトエステルが生命体内での加水分解を受け入れ、従って生分解性であることに注目する。オルトエステルの排除(「クリアランス」とも称される)は、一つまたは二つの電子吸引基(「Z」と指定)の存在により更に促進される。特に好ましいZ基はエステルであり、該エステルは、加水分解されて、生理学的pHにて負に帯電された基を提供し、それ故、オルトエステルのより急速な排除を可能にする。更に説明すると、二つのエステル基(エステル基のカルボニル基は、式(II)に示す環状構造に直接結合している)が負に帯電した二つのカルボキシレートを生成することにより、排除を更に促進する。また本発明によるクラウンエーテルの分解は、上記に定義した一つ以上のオキソ基の存在により更に促進され得る。
そのようなものとして、本発明によるクラウンエーテルは、一つ以上のオルトエステル官能基により付与される、錯化能力と生分解性との間の有利な妥協を提供する。
従って、本発明による化合物は、生分解性および生体適合性である。用語「生分解性」は、生物内で分解可能な物質を指す。用語「生体適合性」は、好ましくはそれらの無傷形態でもまたは分解された場合でも、ヒトまたは動物の身体に有害な反応を生じさせない実体を意味する。用語「生体適合性」は、「一般に安全と認められる(GRAS)」と等価である。生体適合性を評価するための手段は当技術分野にて周知であり、該手段には、細胞株で行われるインビトロ試験、動物でのインビボ試験、および人間での臨床試験が挙げられ、これらは本明細書では更に詳細に記載する必要はない。化合物が一般に安全と認められる(GRAS)か否かを評価する、規制当局により要求または推奨される任意の試験を用いることが好ましい。
生分解性は、例えば本発明のクラウンエーテルの血漿中での半減期を用いて定量的に表すことができる。血漿中での半減期を測定する手段および方法は、当技術分野にて公知である。例えば、クラウンエーテルを、血漿プールからの血漿と混合し、続いて撹拌しながら37℃でインキュベートする。所定の時点でアリコートを取り除き、HPLCにより分析する。
用語「半減期」は、式(I)の環構造を開放するのに必要な時間を指す。典型的には、血漿中でまたは生理学的条件下で、以下の一連の反応が起きる。最初に、存在する場合、エステル基等の加水分解可能な基Zが加水分解される。エステル基のカルボニル基が式(II)の環状構造に直接結合している場合、加水分解は、オルトエステルに結合したカルボキシレートを生成する。続いて、カルボキシレートにより促進されて、オルトエステルが排除される。その結果、式(I)の環構造が開放する。Zが全く存在しない場合、オルトエステル排除は、概して最初に起こる反応であろう(その場合、電子吸引基による促進なしで)。いずれの場合でも、環の開放は、血漿中または生理学的条件下での半減期を決定する際に測定される事象である。従って、生分解性は、生物学的環境内、より詳細には、血漿中または生理学的条件下で環が開放する能力を指す。生理学的条件の例は、下記に提供される。
環が開放した後、更なる分解をもたらす更なる反応が続くであろう。二つ以上のオルトエステルが存在し、かつ全部のオルトエステルが同一の構造を有する場合、最初のオルトエステルの排除の直後に、残りのオルトエステルの排除が続くと予期される。オルトエステルが異なる構造を有する場合、より安定なオルトエステル、例えば基Zが一つのみ存在しまたは存在しないオルトエステルの排除は、平均して遅延して起こるであろう。オルトエステルが一つのみ存在する場合、更なる分解は、上記に定義した一つ以上のオキソ基の存在により促進され得る。好ましい実施形態によれば、オキソ基を有する炭素原子は、クラウンエーテルの環構造のエーテル酸素に直接隣接するため、エーテル基を生じさせる。それらのエステル基は、血漿中および生理学的条件下で加水分解可能である。
好ましい実施形態では、本発明のクラウンエーテルの血漿中での半減期は、24時間よりも短く、より好ましくは12時間、6時間、3時間、2時間、1時間、30分間、20分間、10分間または5分間よりも短い。用語「生分解性」は、前記クラウンエーテルの分解を指し、分解は、前記クラウンエーテルのオルトエステル基の少なくとも一つの切断もしくは加水分解からなり、または該切断もしくは加水分解を含むことが理解される。
用語「錯体」および「錯化」は当技術分野にて公知であり、非共有化学結合を介した分子、原子またはイオンの可逆的会合を指す。通常、複数の官能基を有する錯化剤と、前記複数の官能基により結合される小分子、原子またはイオンとの二つの相互作用パートナーが暗示される。本明細書で使用される用語、錯体は、錯化剤に結合した金属イオンに制限されない。錯体は、一般に、本発明の化合物と、リガンドとも称される陽イオンまたは陽
イオン性基との錯体に関する。本発明のクラウンエーテルは、酸素が錯体形成に利用できる酸素含有官能基を提供する。
以下、本発明によるクラウンエーテルは、時々、本発明の「化合物」または本発明の「環状化合物」と称される。更に、以下の少なくとも一つを改善できるクラウンエーテルが好ましいことが理解される:(a)膜貫通および/または経粘膜送達;(b)非水性溶媒中の溶解度;および(c)更に下記に定義される薬剤の安定性。また、本発明の化合物の任意の記載またはグラフ表示は、それらの化合物を、原子価および安定性が可能な範囲まで指すことが理解される。
用語「膜貫通送達」は、前記活性薬剤が細胞膜を横断する能力に関する。細胞膜は膜脂質の親油性部分から形成される疎水性層を含むため、帯電した分子は容易に膜を横断することができない。その結果、膜を横切る送達は、ごく少量または0である。膜貫通送達の改善は、例えば、経皮送達および経上皮送達の改善も伴うことが理解される。
用語「経粘膜送達」は、前記活性薬剤が粘膜を交差する能力に関する。口、胃、腸、鼻および肺の粘膜を含む任意の粘膜が予想される。いずれの粘膜も細胞膜を含むため、上記の細胞膜に関連した考察は、粘膜にも適用される。
用語「改善された溶解度」は、前記非水性溶媒中の溶解度の任意の増大を指す。溶解度の増大は、1.2倍;1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍または1000倍が好ましい。溶解度の3桁の増大も故意に予想される。
本明細書で使用される用語「非水性溶媒」は、水性ではない溶媒に関する。用語「非水性溶媒」は、無水溶媒を含むが、それらに制限されない。換言すれば、非水性溶媒は、微量の水を含んでもよい。好ましくは、水の量は、5容積%未満、2%容積%未満、1%容積%、より好ましくは0.5容積%未満、0.1容積%未満、0.01容積%未満または0.001容積%未満である。この用語は、有機溶媒、特に非極性有機溶媒、水よりも小さい双極子モーメントを有する有機溶媒、および疎水性、即ち水と殆どまたは全く混和性ではない溶媒である有機溶媒を含む。用語「有機溶媒」は、当技術分野にて公知であり、一つ以上の物質を溶解しまたは分散させることが可能な、化学産業にて通常使用されている炭素ベースの物質に関する。一般的に言えば、有機溶媒は、水よりも脂溶性または疎水性である。その結果、それらのlogP値は、概して0よりも大きい。本発明による有機溶媒は、パラフィン系、脂肪族および芳香族炭化水素のような非置換炭化水素溶媒、ならびに酸素(例えば、アルコール、ケトン、グリコールエステル)、ハロゲン(例えば、四塩化炭素)、窒素(例えば、DMF、ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリル)または硫黄(例えば、DMSO:ジメチルスルホキシド)のようなヘテロ原子を含むそれらの誘導体を指す。通常使用されている有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロピレングリコール(propyleneglycole)(PG)、グリセロール、C3〜C10のアルコール、アセ
トニトリル、ブタノン、1,1,1−トリフルオロエタノール(TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、酢酸エチル、四塩化炭素、ブタノール、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、塩化メチレン(ジクロロメタン)、ヘキサン、酢酸ブチル、ジ−イソプロピルエーテル、ベンゼン、ジペンチルエーテル、クロロホルム、ヘプタン、テトラクロロエチレン、トルエン、ヘキサデカン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンである。
本発明による好ましい非水性溶媒には、医薬もしくは診断組成物の構成成分として使用され得る溶媒、ならびに/または前記医薬もしくは診断組成物の製造および調製の過程で使用され得る溶媒が挙げられる。換言すれば、そのような溶媒の医学的使用は認可されて
おり、および/またはそれらの使用は、処置される個人の健康を脅かすものではない。故意に予想される特定の非水性溶媒は、上述した有機溶媒を含む。用語「非水性溶媒」には、飽和または不飽和であってもよいオリーブ油および脂肪酸を含む油等の天然製品も含まれる。別の好ましい非水性溶媒は、例えば非限定的に−クレモフォアELおよびアシルグリセロール、特にC6〜C24−アシルグリセロールまたはC6〜C20−アシルグリセロール等のFDA認可の疎水性ビヒクルまたは希釈剤である。本発明によれば、アシルグリセロールは、飽和および不飽和であってもよい。C8〜C10−モノ−アシルグリセロールおよ
びC21〜C24不飽和モノアシルグリセロールが特に興味深い。
用語「安定性」は、純粋な形態の活性薬剤、または活性薬剤を含む製剤の有効期間を含む。そのようなものとして、用語「安定性」は、活性薬剤の固体形態(純粋な錯体または固体医薬または診断組成物)および液体/溶液形態(液体製剤を含む)の両方における安定性に関する。安定性は更に、熱安定性と、酵素分解に対する安定性とを含む。用語「安定性」は、生物学的、医薬および/または診断活性の維持管理を含む。用語「安定性」は、本明細書にて下記に記載される機能性食品または栄養補助食品の構成成分の安定性も指す。前記活性薬剤の安定性の改善は、膜貫通または経粘膜送達の改善による明白な結果または外挿ではないことを理解するべきである。事実、安定性の改善のためには、本発明の環状化合物による、活性薬剤の分子の間の相互作用の変更が、活性成分と膜内または粘膜内の環境との相互作用の変更に対立するものとして関係する。このことは、例えばRNAi剤等の核酸を含む、容易に分解可能な活性分子に特に有利である。
本発明によるクラウンエーテルは、活性薬剤(更に以下に詳細する)とのそれらの相互作用(錯体形成)が一過性であるという更なる利点を有する。本明細書で使用される用語「一過性」は、生理学的条件下での可逆性を指す。環状化合物は、細胞膜、粘膜および/または皮膚を通過した後、例えばアンモニウムイオンまたは第一級もしくは第二級アミド等の競合リガンドの存在の結果として活性薬剤から分離し、および/または分解される。
好ましい実施形態において、クラウンエーテル内の少なくとも一つのR1およびR2は、一緒になってオキソ基を形成する。
(i)二つ以上のオキソ基が存在する場合、酸無水物は存在しない、また(ii)式(II)の基を含むオルトエステルの加水分解後、無水物が形成されることに注目すると、オキソ基および式(II)の基は、同一のエーテル酸素に隣接する二つの位置に存在しないことが理解される。
更なる好ましい実施形態において、前記クラウンエーテルの環構造は、18−クラウン−6、12−クラウン−4、13−クラウン−4、14−クラウン−4、15−クラウン−5、16−クラウン−5、17−クラウン−5、20−クラウン−6、21−クラウン−7または24−クラウン−8により提供される。18−クラウン−6が特に好ましい。
更なる好ましい実施形態では、一つまたは二つのオキソ基が存在する。
オキソ基を有する炭素原子が前記クラウンエーテルの環構造のエーテル酸素原子に直接隣接することによって、エステル基を生じさせることが好ましい。
更なる好ましい実施形態では、環内のエーテル酸素原子の数は偶数であり、一つ置きのエーテル酸素原子に隣接して一つのオキソ基が存在する。
更なる好ましい実施形態では、(a)一つの式(II)の基および二つのオキソ基が存在し;または(b)二つの式(II)の基および一つのオキソ基が存在し;または(c)三つの式(II)の基が存在し、オキソ基は存在しない。特に好ましい実施形態では、前
記クラウンエーテルの環構造は、18−クラウン−6と、一つ置きの構成単位上に位置する選択肢(a)〜(c)のいずれかによる三つの基とにより提供され、前記構成単位は、上記の式(I)の角括弧内の基である。選択肢(a)〜(c)のいずれかによる三つの基は、3回対称性が存在するように位置することが、より好ましい。3回対称性の例を下記に示す。
Figure 2013512221
上述した実施形態によれば、表示したオキソ基の一つ、または二つ、または三つは、式(II)の基で置き換えられる。
代替的な好ましい実施形態では、(a)一つの式(II)の基および一つのオキソ基が存在し、クラウンエーテルの環構造の一部である前記式(II)の基の炭素原子が、オキソ基を有する炭素原子に直接結合し;または(b)二つの式(II)の基が存在し、クラウンエーテルの環構造の一部である前記式(II)の基の二つの炭素原子が、互いに直接結合している。
この実施形態は、クラウンエーテルがシュウ酸部分を含むように見え得る実施形態を含み、前記シュウ酸部分の両方のカルボキシル基は、クラウンエーテル環内のエステル結合に含まれ、また更に、前記エステル結合の一つまたは二つがオルトエステルに修飾されている。このタイプの特に好ましいクラウンエーテルは、式(V)〜(VII)のクラウンエーテルである。
更なる好ましい実施形態では、Lは、共有結合である。
更なる好ましい実施形態では、XおよびYの両方がOである。
好ましい実施形態では、Zは、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−および−C(=O)−から選択される。特に好ましくは、R3Zおよび/またはR4Zは、R3−O−C
(=O)−および/またはR4−O−C(=O)−である。
更なる好ましい実施形態では、R3およびR4は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2,3−ジヒドロキシ−プロピル、およびH(OCH2CH25−から
独立して選択される。より好ましい実施形態では、R3およびR4は、同一であるよう選択される。
更なる好ましい実施形態では、R3−Zおよび独立してR4−Zは、エチル−オキシ−カルボニル、2,3−ジヒドロキシ−プロピル−オキシ−カルボニル、およびH(OCH2
CH25−O−C(=O)−から選択される。R3−ZおよびR4−Zは、同一であることが好ましい。特に好ましくは、R3−Zおよび/またはR4−Zはエチル−オキシ−カルボニルである。
特に好ましい本発明のクラウンエーテルを、下記に示す。
Figure 2013512221
Figure 2013512221
Figure 2013512221
(式中、各々のRは、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1
〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有する置換または非置換のアリール;ならびにH(OCH2CH2k−(式中、kは1〜10の
整数である)から選択され;置換基は、存在する場合、OHおよびハロゲンから選択される。)
好ましい実施形態では、各々のRは、独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよび(H(OCH2CH25−)から選択される。特に好ましくは、R
はエチルである。
更に、二つ以上のRが存在する実施形態では、全部のRの存在が、同一であるよう選択されることが好ましい。
式(VII)の場合、特に好ましい基Rは、エチルである。
本発明はまた、本発明に定義される一種以上のクラウンエーテルを含有する組成物に関する。
本発明によるクラウンエーテルを含有する好ましい組成物(組成物に関する更なる詳細については、以下を参照されたい)は、弱酸性であり、好ましくは約3〜5、より好ましくは約3.5〜4の範囲内のpHを有する。
更に下記に述べるように、本発明による一種以上のクラウンエーテルと、更に下記に定義される医薬的または診断的活性薬剤とを含有する医薬または診断組成物も提供する。それらの活性薬剤の好ましい例は、ペプチドである。可溶性ではなく、および/または6.50未満の酸pH下で安定ではないペプチドの場合、好ましい組成物は非イオン性である。そのような非イオン性組成物は、上記に定義した一種以上のペプチドに加えて、モノアシルグリセロール、中性有機溶媒(即ち、酸ではなく、かつ塩基性ではない)および場合により非イオン性界面活性剤を含有し、またはそれらからなることが好ましい。
それらの組成物は、更に脂質を含有することが好ましい。脂質分子が一つ以上の脂肪酸部分を含む脂質が特に興味深い。そのような脂質の例は、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールおよびリン脂質である。好ましい脂肪酸は、飽和または不飽和の、分枝状または線状であってもよい脂肪族カルボン酸等の透過性向上(permeability-enhancing)脂肪酸である。二つ以上の脂肪酸部分を含む脂質分子内に、互いに異なる脂肪酸部分が存在することも予想される。更に、上記に定義した組成物の構成成分として、異なる脂質の混合物も予想される。特に興味深い脂肪酸の例としては、好ましくはカプリル酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびアラキジン(arachidic)酸から選択
される、7〜19個の炭素原子を有する飽和脂肪酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、好ましくはパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、およびα−リノール酸から選択される、7〜19個の炭素原子を有するものが挙げられる。
更なる好ましい脂質は、ヒマシ油(クレモフォアEL)、d−α−トコフェロール(ビタミンE)、βカロテンおよびビタミンAである。
好ましい製剤は、非水性疎水性ビヒクルが、少なくとも一種のアシルグリセロール、少なくとも一種の脂質、および場合により、水溶性有機溶媒のような少なくとも一種の有機溶媒を含む製剤である。別の好ましい製剤は、非水性疎水性ビヒクルが、少なくとも一種のアシルグリセロール、少なくとも一種の水溶性有機溶媒、場合により非イオン性界面活性剤、および場合により一種の脂質を含む製剤である。
更なる好ましい実施形態において、本発明による活性製剤、好ましくはペプチドは、本発明の一種以上のクラウンエーテルのみを用いて処方され得る。換言すれば、一種以上の活性薬剤、好ましくは一種以上のペプチド、および本発明の一種以上のクラウンエーテルからなることが好ましい医薬および診断組成物が提供される。そのような実施形態では、クラウンエーテルはビヒクルとしても機能し得る。
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシル35、ポリオキシル40水素化ヒマシ油(クレモフォアRH40)、およびポリオキシル60水素化ヒマシ油(クレモフォアRH60)、およびd−α−トコフェロール、ポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタン−モノラウレート(Span20)、ソルビタンモノパルミテート(Span40);ソルビタンモノステアレート(Span60);ソルビタン−モノオレエート(Span80)、Solutol H
S15、ソルビタン−モノオレエート、ポロキサマー407、Labrafil M−1944CS、Labrafil M−2125CS、Labrasol、Gellucire 44/1が挙げられるが、これらに限定されない。
更なる好ましい製剤は、脂質が脂肪酸である製剤である。好ましい脂肪酸は、上記に挙げられている。そのような条件下では、オルトエステル内の一つまたは二つの電子吸引基Zの存在は、本発明のクラウンエーテルに対して安定化効果を有する。好ましい組成物は、更に以下に詳細するような医薬または診断組成物である。
生理学的条件を含む、pHがほぼ中性である条件下で、本発明によるクラウンエーテルは、より不安定である。一般的に言えば、オルトエステルは塩基性pHでより安定であり、安定性は、中性pHに向かって低下する。一つ以上のZ基が存在する場合、Z基はカルボニル基が式(II)の環状構造に直接結合するエステルであり、エステルは中性pHおよび生理学的条件下で切断され、それによりZ基を有するオルトエステルの排除を誘発するであろう。本発明の一つ以上のクラウンエーテルと錯化した医薬的または診断的活性薬剤の送達後、前記クラウンエーテルは概してもはや必要なく、それらは分解することが好ましいことに注目すると、生理学的条件下での本発明のクラウンエーテルの不安定性は望ましい。
本発明による生理学的条件は、例えば細胞内部を細胞外空間と比較した場合、相当様々なであり得る。例示的な細胞内条件は、14mM Na+、140mM K+、10-7mM
Ca2+、20mM Mg2+、4mM Cl-、10mM HCO3 -、11mM HPO4 2-およびH2PO4 -、1mM SO4 2-、45mMクレアチンリン酸、14mMカルノシン、8mMアミノ酸、9mMクレアチン、1.5mMラクテート、5mM ATP、3.7mMヘキソース一リン酸、4mMタンパク質および4mM尿素を含む。例示的な間質内条件は、140mM Na+、4mM K+、1.2mM Ca2+、0.7mM Mg2+、108mM Cl-、28.3mM HCO3 -、2mM HPO4 2-およびH2PO4 -、0.
5mM SO4 2-、2mMアミノ酸、0.2mMクレアチン、1.2mMラクテート、5
.6mMブドウ糖、0.2mMタンパク質および4mM尿素を含む。
本発明は更に、本発明による一種以上のクラウンエーテルと、医薬的または診断的活性薬剤とを含有する医薬または診断組成物を提供し、前記医薬的もしくは診断的活性薬剤は、一つ以上の第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基および/もしくはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/または前記医薬的もしくは診断的活性薬剤は、金属イオンもしくはアンモニウムイオン(NH4 +)との塩である。用語「医薬的活性薬剤」は、医薬効果を引き出すことができる任意の薬剤を指す。用語「薬物」は、本明細書で等価に使用される。本発明による医薬組成物は、一種以上の医薬的活性薬剤を含有する。本発明による医薬組成物はまた、本発明による二つ以上のクラウンエーテルも含有し得る。
本発明による医薬および診断組成物の更なる好ましい特徴および構成成分は、本発明による組成物に関連して上記に記載されている。特に、弱酸性組成物、好ましくは約3〜5、より好ましくは約3.5〜4の範囲内のpHを有する。
前記組成物において、本発明による一種以上のクラウンエーテルによって(a)膜貫通および/もしくは経粘膜送達;(b)非水性溶媒中の可溶性;ならびに/または(c)前記薬剤の安定性が改善されている。従って、好ましい実施形態によれば、前記組成物は経皮および/または経粘膜送達用に調合されていると予想される。用語「処方」は、医薬または診断組成物を調製または調合することに関する。
本発明は更に、医薬的または診断的活性薬剤の調製における本発明によるクラウンエーテルの使用に関し、前記活性薬剤は、一つ以上のプロトン化第一級および/もしくはプロトン化第二級アミノ基および/もしくはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/または、前記医薬的もしくは診断的活性薬剤は、金属イオンもしくはアンモニウムイオンとの塩である。
本発明によるクラウンエーテルを医薬的または診断的活性薬剤と接触させる工程を含む、医薬または診断組成物の調製方法も提供し、前記薬剤は、一つ以上の第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基および/もしくはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/または金属イオンもしくはアンモニウムイオンとの塩である。
本発明による「接触させる」は、一つ以上の第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基と前記クラウンエーテルとの錯体の形成に好適な条件下で達成されるべきである。
錯体形成に好適な条件は、前記医薬的または診断的活性薬剤の溶液と、水と一種以上の有機溶媒との混合物(例えば、水、アセトニトリルおよびアルコールの混合物)中の前記クラウンエーテルの溶液とを含み、有機溶媒は、1〜10容積%の水または有機溶媒を含む。好ましい有機溶媒は、メタノールまたはエタノール等の極性および/またはプロトン性溶媒である。代替的に、ジクロロメタン等の非極性および非プロトン性溶媒を使用してもよい。本発明の方法の好ましい実施形態では、前記接触は、前記医薬的または診断的活性薬剤溶液中、または、極性および/またはプロトン性溶媒中の前記クラウンエーテル溶液中で起こる。更なる好ましい実施形態では、前記極性および/またはプロトン性溶媒は続いて例えば蒸発によって除去される。より好ましい実施形態では、蒸発により得られた錯体を非極性溶媒または疎水性混合物中に取り上げ、前記混合物は、好ましくは脂質混合物である。脂質混合物は、異なる脂質を含んでもよい。更に上記に述べたように、用語「脂質」は、脂肪酸を含むが、これに限定されない。好ましい脂肪酸は、脂肪族カルボン酸、アシル−グリセロール、ならびにビタミンAおよびE等の非酸性脂質等の透過性向上脂肪酸である。脂質混合物は、場合により有機溶媒を含む。好ましい脂肪族カルボン酸は、更に上記に定義されている。この、非極性および非プロトン性溶媒に溶解された錯体を調製する二工程手順により、活性薬剤、クラウンエーテル、ならびに非極性および非プロトン性溶媒を組み合わせる「直接的な」手順と比較して、より高い濃度の前記活性薬剤の溶液を得ることができる。
前記活性薬剤は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、小分子、単糖、多糖または核酸、より好ましくはRNAi剤が好ましい。
用語「ペプチド」は、30個迄のアミノ酸からなるアミノ酸のポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、30個を越えるアミノ酸を含む、アミノ酸のポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、タンパク質が単一のポリペプチドからなる場合に限って更にタンパク質を含む。タンパク質は一般に、二つ以上のポリペプチド鎖も含み得る。本明細書では、(ポリ)ペプチドという用語も使用される。この用語は、ペプチドおよびポリペプチドの両方を包含する。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」には、β−アラニン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、ε−リシン、オルニチン、ホモセリンおよびヒドロキシプロリン等の、一つ以上の天然に存在しないアミノ酸を含む化合物が挙げられる。更に、N−およびC−末端を含む反応性基は、保護基によって遮断され得る。天然に存在する翻訳後修飾を含む、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質の当技術分野にて公知の更なる誘導体化も故意に含まれる。
「小分子」は、好ましくは1000gmol-1未満、より好ましくは900gmol-1未満、800gmol-1未満、700gmol-1未満または600gmol-1未満の分子量を有する。約500gmol-1以下の分子量も好ましい。しかしながら、必ずしもペプチド、ポリペプチド、タンパク質、単糖類および核酸から選択されず、かつ500〜5000gmol-1の分子量を有する生体分子である活性薬剤も予想される。
用語「小分子」は、有機および無機の小分子を含む。
「小有機分子」は、炭素骨格と、場合により、好ましくはO、N、SおよびPから選択される一つ以上のヘテロ原子とを含む小分子である。
膜貫通および/もしくは経粘膜送達の改善、非水性溶媒中の溶解度、ならびに/または本発明のクラウンエーテルと錯化している活性薬剤の安定性を含む、本発明のクラウンエーテルの有利な効果は、小分子の活性薬剤のみではなく、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の活性薬剤でも観察されることが分かる。このことは、いずれの場合でも、完全に異なる機構または効果が前記改善に関与しているため、特に驚くべきことである。小分子の場合、本発明のクラウンエーテルとの錯化は、一般に、前記小分子の実質的な遮蔽をもたらす。これは、その大きさにより、他方の小分子(医薬的活性薬剤)を錯化するのが小分子(クラウンエーテル)であることによる。加えて、小分子は、それらのサイズが小さいために(例えば500ダルトン未満の範囲内)、傍細胞機構によって、即ち、組織を構成する細胞間の小孔またはチャネルを通して吸収もされ得る。更に、物質中の小分子が、顕著な疎水性を含む他の特定の特徴を所有する場合、分子は細胞間経路を介して、即ち受動的吸収によっても吸収される。加えて、サイズ類似性によって錯体形成が本質的に完全な小分子の遮蔽を伴うため、例えば膜貫通および/または経粘膜送達を損なう前記小分子の任意の特性、特に物理化学的特性が、錯体形成後に比較的関与しなくなることを理解する必要がある。
一方、例えばペプチド、ポリペプチド、タンパク質、単糖類、多糖類および核酸等のバイオポリマーの場合、本発明のクラウンエーテルによる完全な分子の遮蔽は、一般に、ポリペプチドまたはタンパク質のサイズが一般に前記クラウンエーテルのサイズを有意に越えるため起こらない;にも係わらず、前記改善は尚起こる。驚くべきことに、膜を横断することが公知の小分子とは異なり、一方では膜を横断しないことが公知の前記ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質上の電荷の局部遮蔽は、前記改善を引き起こすのに十分であることが分かった。驚くべきことに、完全なペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の全体的な遮蔽は、前記改善が達成されるべき場合、主な駆動力ではないことが分かった。
上述した実施形態では、本発明によるクラウンエーテルの混合物を使用することができる。しかしながら、一つのみの化学種を使用することが好ましい。
前記プロトン化第一級アミノ基またはプロトン化第二級アミノ基またはプロトン化グアニジニウム基と錯体を形成する本発明のクラウンエーテルの能力は、当業者により容易に検証され得る。
好適なアッセイは、ペプチドまたはタンパク質、例えばインスリンまたはエリスロポエチン等の活性薬剤の、有機溶媒、例えばメタノール、エタノールまたはジクロロメタン中の溶解度の評価を含む。第一の実験では、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の有機溶媒中の溶解度を測定する。第二の実験では、1.1〜10倍のモル過剰、より好ましくは1.5〜5倍のモル過剰の本発明のクラウンエーテルを、有機溶媒と共にペプチドまたはタンパク質に加える。用語「モル過剰」は、ペプチドまたはタンパク質のプロトン化
第一級アミノ基、プロトン化第二級アミノ基およびプロトン化グアニジニウム基の量、または負に帯電したカルボキシレートにおける有機および無機対イオンを含む任意の正に帯電した部分の量を越えるクラウンエーテルの量を指す。本発明のクラウンエーテルの不在下では、ペプチド/タンパク質は、縣濁液、コロイド縣濁液を生成し、または粒子の形態で沈殿する。
アッセイの更なる実施形態において、いずれかの実験において尚存在する任意の不溶性材料が遠心分離により除去されてもよく、続いて、溶液中のペプチド/タンパク質の濃度が、当技術分野にて公知の手段により測定される。そのような手段には、遠心分離からの上清のHPLC分析と、クロマトグラムにおけるペプチド/タンパク質ピークの面積測定によるペプチドまたはタンパク質の量の決定が挙げられる。
前記錯体の解離定数KDは、10-3mol-1l未満、より好ましくは10-4mol-1
、10-5mol-1lまたは10-6mol-1l未満であることが好ましい。
本明細書で使用される用語「金属イオン」は、任意の金属イオンを指す。金属イオンは、ヒト身体内に存在する金属イオンに関連することが好ましい。特定の好ましい金属イオンとしては、Na+、K+、Ca2+、Li+およびMg2+が挙げられる。
前記医薬または診断組成物は、経口、頬内、舌下、鼻腔内、経肺、経皮(dermally)、経皮(transdermally)、眼内および/または直腸内等の非侵襲的方法にて送達されるこ
とが好ましい。用語「頬内」は、口内で吸収される組成物を含む。上記に述べたように、今までの所、侵襲的方法でのみ送達できる活性薬剤が、本発明の教示を考慮して、今では本発明のクラウンエーテルとの錯化形態で得ることができ、かつ非侵襲的方法で投与できることは、本発明の利点の一つである。上記に述べた理由により、皮下投与も好ましい。
好ましい単糖類および多糖類は、例えばヘパリン等の一つ以上のスルホン酸基(−SO3 -)を有する単糖類および多糖類である。ヘパリンは、抗凝血特性を有する、グリコサミノグリカンと称される直鎖陰イオン性ムコ多糖類の異種グループである。その他も存在し得るが、ヘパリン内に存在する主な糖は:(1)α−L−イズロン酸2−スルフェート、(2)2−デオキシ−2−スルファミノ−α−D−ブドウ糖6−スルフェート、(3)β−D−グルクロン酸、(4)2−アセトアミド−2−デオキシ−α−D−ブドウ糖、および(5)α−L−イズロン酸である。これらの糖は、(2)>(1)>(4)>(3)>(5)の順で低下する量で存在し、グリコシド結合により連結されて様々な大きさのポリマーを形成している。ヘパリンは、共有結合したスルフェートおよびカルボン酸基の内容により、強力に酸性である。ヘパリンナトリウムにおいて、スルフェート単位の酸性プロトンは、部分的にナトリウムイオンで置き換えられている。ヘパリンナトリウムの代表的な断片を下記に示す:
Figure 2013512221
ヘパリンナトリウムおよびヘパリンカルシウムは、医薬として認可されている。本発明の使用は、ヘパリンナトリウムおよびヘパリンカルシウムの吸収、送達および/または安定性(半減期)の向上を可能にすることが期待される。同様のことが、ヘパリンのリシン塩にも適用されることが期待される。
医薬的活性薬剤が核酸の場合、負に帯電したホスフェートの対イオンの正電荷を遮蔽するのに、クラウンエーテルを使用することが予想される。前記(正に帯電した)対イオンには、アンモニウム、Lysおよびその誘導体等のアミノ酸、ならびに金属イオンが挙げられる。ホスフェートがアルキルアミノまたはアルキルグアニジノ基によりエステル化されている核酸も挙げられる。本発明による核酸には、cDNAまたはゲノムDNA等のDNA、およびRNAが含まれる。更に、用語「核酸」には、一本鎖および二本鎖オリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書で使用される用語「RNA」には、mRNA、ncRNA(非翻訳領域RNA)、tRNAおよびrRNAを含むRNAの全形態が含まれることが理解される。用語「非翻訳領域RNA」には、siRNA(低分子干渉RNA)、miRNA(マイクロRNA)、rasiRNA(反復配列関連(repeat associated)RN
A)、snoRNA(核小体低分子RNA)およびsnRNA(核内低分子RNA)が含まれる。
好ましい核酸は、RNAi剤である。RNAi剤は、RNA干渉を誘発できる薬剤である。RNAi剤には、低分子干渉RNAが含まれる。時には短い干渉RNAまたはサイレンシングRNAとしても公知の用語「低分子干渉RNA」(siRNA)は、生物学において多様な役割を担い、また多様な疾病および病状の処置において益々多様な役割を担う、概して短い二本鎖のRNA分子のクラスを指す。最も顕著には、siRNAは、siRNAが特定の遺伝子の発現を妨げるRNA干渉(RNAi)経路に関与する(例えばZamore Nat Struct Biol 2001 , 8(9):746-50; Tuschl T. CHEMBIOCHEM. 2001 , 2:239-245; Scherr and Eder, Cell Cycle. 2007 Feb;6(4):444-9; Leung and Whittaker, Pharmacol
Ther. 2005 Aug;107(2):222-39; de Fougerolles et al., Nat. Rev. Drug Discov. 2007, 6: 443-453参照)。更に、細胞または生命体内での例えば酵素ダイサーによるプロセ
シング後、siRNAを生じさせる二本鎖リボ核酸が含まれる。
好ましいポリペプチドまたはタンパク質は、抗体である。用語「抗体」には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体またはそれらの断片が含まれ、また、二重特異性抗体、合成抗体、Fab、aF(ab2)’、FvもしくはscFv断片等の抗体断片、またはこれらのいずれかの化学的に修飾された誘導体も含まれる。本発明に従って使用される抗体またはそれらの対応する免疫グロブリン鎖は、当技術分野にて公知の従来の技術を用いて、例えばアミノ酸欠失、挿入、置換、付加、および/もしくは組み換え、ならびに/または当技術分野にて公知の任意の他の修飾を、単独でまたは組み合わせて使
用することにより、更に修飾されてもよい。免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列の基礎を為すDNA配列にそれらの修飾を導入する方法は、当業者に周知である;例えばSambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照されたい。
用語「モノクローナル」または「ポリクローナル抗体」(Harlow and Lane, (1988), loc. cit.参照)は、それらの結合特異性を維持する、または本質的に維持する前記抗体の誘導体にも関する。
用語「scFv断片」(一本鎖Fv断片)は、当技術分野にてよく理解されており、その小さい大きさと、組み換え手段によってそれら断片が容易に生成される可能性とにより好ましい。
本発明の使用または方法の特に好ましい実施形態では、前記抗体または抗体結合部分は、ヒト抗体もしくはヒト化抗体であり、またはヒト抗体もしくはヒト化抗体に由来する。
用語「ヒト化抗体」は、本発明によれば、非ヒト起源の抗体を意味し、例えばCDR3、好ましくは全部の6つのCDR等の、可変領域内の少なくとも一つの相補性決定領域(CDR)が、所望の特異性を有するヒト起源の抗体のCDRで置き換えられている。場合により、抗体の非ヒト定常領域がヒト抗体の定常領域で置き換えられている。ヒト化抗体の生成方法は、例えば欧州公開特許第0239400号および国際公開第90/07861号に記載されている。
本明細書で使用される用語「小分子」、または適用可能な場合、「小有機分子」は、以下に列挙する薬剤を含み、対応する医学的適応症も提供される:(a)合成および天然抗生物質:ピリドン環の誘導体(ナリジクス酸、オキソリニン酸)、ペニシリン誘導体(ベンジル−ペニシリン、フェノキシメチル−ペニシリン、メチシリン、オキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、タランピシリン、カルベニシリン、チカルシリン)、セファロスポリン誘導体(セファロスポリンC、セファログリシン、セフォタキシム、セフメタゾール、セフラジン、セファレキシン、セファロチン、セファロリジン、セファゾリン、セフスロジン、セファセトリル、セファピリン、セフロキシム、セファマンドール、セフォキシチン、セファゾールセフォペラゾン、セフトリアキソン)、アミノグリコシド抗生物質(ストレプトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン)、ポリエン(ニスタチン、アンホテリシンB)、抗結核薬(パラ−アミノサリチル酸)(b)神経伝達物質:カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、L−ドーパミンレボドパ、メレボドパ(Malevodopa)(レボドパメチルエステルおよびその類似体)、ドーパミン、カルビドパ、セロトニン、γ−アミノ−酪酸(GABA);(c)抗炎症性および鎮痛性非ステロイド薬:サリチル酸、アセチルサリチル酸;フェニル酢酸:イブプロフェン、フェノキシプロフェン(Phenoxyprofen)、ケトプロフェン
、ナプロキセン、ジクロフェナク;複素環(Etherocyclic)酢酸:インドメタシン(Indomethacine)、クロメタシン(Clometacine)、スリンダク、ゾメピラク、チアプロフェン(Thiapropheic)酸;アンスラニル酸:メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、ニフルミン酸、(d)抗凝固薬:ヘパリン(ナトリウムまたはカルシウム誘導体のいずれか)、デルマタン硫酸、エノキサパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム;(e)利尿薬:フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、チエニル酸、トリアムテレン、アミロライド、;(e)様々:バルプロ酸(抗てんかん薬)、クラブラン酸(β−ラクタマーゼの阻害剤)、リチウム塩(抗精神病薬)。
本発明は、本発明の使用および方法に従って、即ち錯体形成によって修飾されている、治療的に関連した更なる小分子にも関することが理解される。この場合、予想される医学
的適応症は、考慮下の小分子を用いて予防、回復または治癒され得る適応症である。
本発明による用語「ペプチド」、および処置される関連疾病は、以下を含む:(a)ペプチドがプリビニル(Privinil)としても公知のリシノプリルであり、疾病が高血圧症である;(b);ペプチドがゴセレリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)の合成デカペプチド類似体であり、疾病が前立腺癌である;(c)ペプチドがカルシトニンであり、疾病が骨粗鬆症である;(d)ペプチドがリュープロリドであり、疾病が前立腺癌である;(e)ペプチドがグルカゴンであり、疾病が低血糖症である;(f)ペプチドがインテグリリンであり、疾病が抗凝血である;(g)ペプチドがヒルジンであり、抗凝血薬および抗血栓薬として使用される、(h)ペプチドがバソプレシンの類似体であるデスモプレシンであり、抗利尿薬として治療的に使用され、またある形態の血友病およびフォン・ヴィルブランド病を有する個人における出血の管理に使用され、ここで(ポリ)ペプチドは本明細書にて上記に定義したように、即ち、本発明の環状化合物と錯体を形成することにより修飾されている。
本発明は、本発明に従って修飾(即ち錯化)されている、治療的に関連した更なるペプチドの使用にも関することが理解される。この場合、予想される医学的適応症は、考慮下のペプチドまたはポリペプチドを用いて予防、回復または治癒され得る適応症である。
本発明による用語「(ポリ)ペプチド」および処置される関連疾病は、以下を含む:(a)(ポリ)ペプチドがインスリン(インスリンリスプロ、インスリンアスパルトを含む)であり、疾病が糖尿病である;(b)(ポリ)ペプチドがエポエチンαであり、疾病が貧血症である;(c)(ポリ)ペプチドがエポエチンβであり、疾病が貧血症である;(d)(ポリ)ペプチドがダルベポエチンであり、疾病が貧血症である;(e)(ポリ)ペプチドがエリスロポエチンであり、疾病が貧血症または慢性腎不全である;(f)(ポリ)ペプチドがフィルグラスチムであり、適応症が免疫疾患、白血病、糖尿病性足部潰瘍;白血球減少症、および新生物疾病である;(g)(ポリ)ペプチドがレノグラスチムであり、適応症が白血球減少症である;(h)(ポリ)ペプチドがサルグラモスチム(Sargramostin)であり、適応症が白血球減少症である;(i)(ポリ)ペプチドがモルグラモスチム(Molgramostin)であり、適応症が白血球減少症である;(j)(ポリ)ペプチドがミリモスチムであり、適応症が白血球減少症である;(k)(ポリ)ペプチドがナルトグラスチムであり、適応症が白血球減少症である;(I)(ポリ)ペプチドがGCSFであり、疾病が化学療法誘導好中球減少症である;(m)(ポリ)ペプチドがGMCSFであり、適応症が自己骨髄移植である;(n)(ポリ)ペプチドがアスパラギナーゼであり、疾病が癌であり;アスパラギナーゼを用いた処置を受け入れる好ましい癌形態は、リンパ芽球性白血病および大細胞型リンパ腫である;(o)(ポリ)ペプチドが活性化第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子生成物(血液凝固因子)であり、疾病が血友病A、血友病bである;(p)(ポリ)ペプチドがインターフェロンα−α−(インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンα3nを含む)であり、疾病が慢性肝炎BまたはCおよびいくつかのタイプの癌である;(q)(ポリ)ペプチドが多発性硬化症および肝炎を処置するためのインターフェロンβ(−β−は、インターフェロンβ−1a、およびインターフェロンβ1bを含む)である;(r)(ポリ)ペプチドがインターフェロンγ(−γ−は、インターフェロンγ−1bを含む)であり、疾病が線維症、結核、髄膜炎または癌である;(s)(ポリ)ペプチドがヒト成長ホルモン(hGH)であり、疾病が子供におけるヒト成長不全である;(t)(ポリ)ペプチドがソマトレム/ソマトロピンであり、疾病が子供におけるヒト成長ホルモン欠乏症である;(u)(ポリ)ペプチドがスーパーオキシドジスムターゼであり、疾病が脳傷害である;(v)(ポリ)ペプチドがインターロイキン−2であり、疾病が癌(転移性腎癌)または免疫活性化を必要とする状態である;(w)ヒト成長ホルモン(hGH)拮抗薬B2036は、当技術分野にて周知である。B2036は、hGHか
ら、拮抗特性と増大された受容体親和性とを付与する9個のアミノ酸置換の導入により得られる(米国特許第5,849,535号参照)。先端巨大症を処置するためには、任意の他の成長ホルモン(GH)−受容体拮抗薬(GH−受容体拮抗薬B2036の代わりにまたはGH−受容体拮抗薬B2036に加えて)が予想される;(x)(ポリ)ペプチドがトラスツズマブであり、疾病が癌である;(y)(ポリ)ペプチドがエキセンディン−4であり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(z)ペプチドがPTH 1−34(テリパラチド)であり、疾病が骨粗鬆症である;(aa)ペプチドがタスポグルチドであり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(bb)ペプチドがリラグルチドであり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(cc)ペプチドがアルビグルチドであり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(dd)ペプチドがタスポグルチドであり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(ee)ペプチドがZP10(AVE0010)であり、疾病がII型糖尿病または肥満症である;(ff)ペプチドがOP−286であり、疾病がII型糖尿病または肥満症である。本明細書で使用される用語(ポリ)ペプチドは、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を含むことが理解される。
本発明は、本発明に従って修飾(即ち錯化)されている、治療的に関連した更なる(ポリ)ペプチドの使用にも関することが理解される。この場合、予想される医学的適応症は、考慮下の(ポリ)ペプチドを用いて予防、回復または治癒され得る適応症である。
用語「診断的活性薬剤」は、診断方法を実施するのに好適な任意の薬剤を指す。例としては、その存在、不在および/または量を決定するべき標的分子に結合する、ペプチド、ポリペプチド、抗体または小有機分子が挙げられる。この標的分子は、健康なおよび/または疾病状態のヒトまたは動物の身体内に存在する任意の分子であってもよい。用語「標的分子」には、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質が含まれる。前記診断的活性薬剤は、検出可能に標識されていることが好ましい。
本発明による医薬的または診断的活性薬剤は、プロトン化第一級アミノ基(−NH3 +)、プロトン化第二級アミノ基(−NH2 +−)およびプロトン化グアニジニウム基(−NH−C(=NH2 +)−NH2)から選択される一つ以上の基を有する。一つ以上の正電荷の
存在は、本発明のクラウンエーテルの不在下では、前記薬剤を処方および送達する可能性を制限する。好ましい実施形態において、前記第一級または前記第二級アミノ基は、各々、第一級または第二級脂肪族アミノ基である。また、前記グアニジニウム基は、脂肪族グアニジニウム基、即ち脂肪族部分に結合したグアニジニウム基が好ましい。前記活性薬剤がペプチド、ポリペプチド、タンパク質または抗体の場合、「第一級脂肪族アミノ基」は、Lysのアミノ基を含みまたは指し、「脂肪族グアニジニウム基」は、Argのグアニジニウム基を含みまたは指し、「第二級アミノ基」は、HisおよびTrpを指すことが理解される。
医薬的または診断的活性薬剤に加えて、機能性食品または栄養補助食品の構成成分を本発明の化合物と錯化させてもよいが、但し、機能性食品の構成成分または栄養補助食品の構成成分が、プロトン化第一級アミノ基、プロトン化第二級アミノ基およびプロトン化グアニジニウム基のうちの一つ以上を有し、ならびに/または金属イオンとの塩であることを条件とする。そのような構成成分(活性薬剤とも称する)は、本発明の使用および方法において、医薬的または診断的活性薬剤の場所を取り得る。機能性食品の構成成分の例は、クレアチンである。
従って、本発明は、本発明のクラウンエーテルの使用にも関し;前記クラウンエーテルは、プロトン化第一級および/もしくはプロトン化第二級アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基、ならびに/または金属イオンとの塩と錯体を形成して(a)膜貫通および/もしくは経粘膜送達;(b)非水性溶媒中の溶解度;ならびに/または(c
)活性薬剤の安定性を改善することが可能であり、前記活性薬剤は、一つ以上のプロトン化第一級および/もしくはプロトン化第二級アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基を含む。活性薬剤という用語には、医薬的活性薬剤または薬物、診断的活性薬剤、ならびに機能性食品の構成成分および栄養補助食品の構成成分が含まれる。
本発明による医薬組成物は、更に、薬学的に許容され得る担体、賦形剤および/または希釈剤を含有してもよい。好適な医薬担体、賦形剤および/または希釈剤の例は、当技術分野にて周知であり、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳剤等の乳剤、様々なタイプの湿潤剤、無菌溶液等を含む。膜貫通または経粘膜送達のための好ましい担体、または本発明による製剤のための好ましい希釈剤は、更に下記に論じる非水性溶媒を含む。それらの担体を含有する組成物は、周知の従来の方法により処方することができる。これらの医薬組成物は、好適な用量で対象に投与され得る。投与計画は、主治医により決定され、また臨床的因子に依存するであろう。医療分野にて周知のように、任意の一人の患者のための投与量は、患者の大きさ、身体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間および投与経路、全身の健康、ならびに同時に投与されている他の薬物を含む多数の因子に依存する。医薬的に活性なタンパク性物質は、用量当たり1ng〜10mg/kg体重の量で存在し得るが;特に前述した因子を考慮して、この例示的な範囲を下回るまたは上回る用量も想定される。予想される製剤は、更に、マイクロスフェア、リポソーム、マイクロカプセル、およびナノ粒子またはナノカプセルを含む。
更に説明すると、本発明の組成物、使用および方法による医薬的または診断的活性薬剤上に存在する正電荷の遮蔽による疎水性の増大は、新規な送達手法を設計する可能性を開き、該手法は:例えば、活性成分を、例えば、非限定的にポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ乳酸およびグリコール酸(PLGA)、ガベキサートメシル酸塩(GM)、キトサン、澱粉、塩化テレフタロイル(TC)、架橋シクロデキストリン、ポリ(エチルシアノアクリレート)(PECA)、PEG等から構成されている(i)リポソーム、(ii)マイクロスフェア、(iii)マイクロカプセル、(iv)ナノ粒子/ナノカプセル内に封入する。
本発明による医薬または診断組成物の、更に予想される構成成分としては、シクロデキストリン(例えば、Irie and Uekama(1999)またはChalla et al.(2005)参照)および/またはキトサンが挙げられる。シクロデキストリンまたはキトサンを含有する組成物は、遅延特性を有してもよく、即ちそれらは活性薬剤の遅延放出、および/または長時間に亘る放出を提供する。シクロデキストリンは、化合物上に存在する疎水性部分と封入錯体を形成する。シクロデキストリンは、親油性の内側空洞と親水性の外側表面とを有し、非常に多数の分子と相互作用できることが公知である。シクロデキストリンは製剤中に使用されて、疎水性(水溶性が乏しい)薬物の見かけ上の薬物溶解度を改善し、それ故、薬物溶解度、溶解およびまたは薬物透過性を増大させることによって不溶性薬物のバイオアベイラビリティを向上させる。本発明の文脈において、本発明のクラウンエーテルによる正電荷の遮蔽に起因する活性薬剤の疎水性の向上は、シクロデキストリン構造の親油性コア内へのより直接的な、かつ深い組み込みを可能にする。換言すれば、本発明の化合物と非共有結合的にかつ一時的に錯化する親水性活性薬剤は、その生物物理学的特性を変化させ、該薬剤−またはその疎水性部分−が、シクロデキストリンの内部部分(親油性コア)内に挿入できるように疎水性となる。その結果、活性薬剤は最初、存在する正電荷を遮蔽する本発明の環状化合物と錯化してもよく、次いで第二の工程にて、活性薬剤および前記環状化合物により形成された錯体は、一つ以上のシクロデキストリンと錯体を形成することができ、それにより合計二つの錯化の層を与える。二重錯体は、眼内、直腸、経皮(dermal)および経皮(transdermal)送達を含む非侵襲的薬物送達に好適であり、更に、血液−脳
関門(BBB)通過を向上させることによって脳送達を標的とする非経口薬物送達(注入)において、また医薬製剤中の機能的担体材料として作用して、効率的で正確な送達を得
るための制御薬物送達において好適であることが期待される。
従って、別の好ましい実施形態では、製造される前記医薬または診断組成物は、更に、一種以上のシクロデキストリンを含有する。シクロデキストリンは当技術分野にて公知であり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンを含む。またこの手法は、新規な送達手法を設計する可能性を開き、該手法は:例えば、活性成分を(i)リポソーム、(ii)マイクロスフェア、(iii)マイクロカプセル、(iv)ナノ粒子/ナノカプセル内に封入する。
更に、本発明のクラウンエーテルとの医薬的活性成分の錯化は、製剤学(galenics)および医薬技術の分野にて有意な利点を提供する。実際、特に、主に水性媒体中で取り扱われ得る例えばペプチド、ポリペプチド、タンパク質および核酸のようなバイオポリマーの場合、水と有機溶媒の両方に可溶な医薬成分(本発明のクラウンエーテルとの錯体としての)を有するという二重および同時選択肢により:丸剤、錠剤、カプセル剤、坐剤、エリキシル剤、エアゾル、ドロップ、散剤、凍結乾燥物、乳剤、ゲル、クリーム、パッチおよびコロイドを含むがこれらに限定されない製剤(galenic)形態の改善が可能となり得る
。前記活性薬剤の製剤形態の改善は、膜貫通または経粘膜送達の改善による明白な結果または外挿ではないことを理解するべきである。本発明によるクラウンエーテルは、環状化合物との錯化後の医薬的または診断的活性薬剤の疎水性の増大をもたらす。同時に、プロトン化第一級もしくは第二級アミノ基またはプロトン化グアニジニウム基の正電荷の遮蔽が起こる。疎水性の増大と、医薬的または診断的活性薬剤上に存在する正電荷の遮蔽は、以前利用できなかった処方の可能性を開く。例えば、抗体を含むペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質等の有意に親水性の活性薬剤は、それらの非錯化形態での溶解度が低く、または0である溶媒に(それらの錯化形態で)溶解することができる。そのような溶媒は、非水性溶媒を含む。更に、錯化形態での活性薬剤の疎水性の増大は、今日迄、静脈内等の侵襲的方法でのみ投与できる活性薬剤の新たな投与経路を開く。そのような侵襲的投与(静脈内投与を含む)が、肝臓内での活性薬剤の部分的なまたは有意な分解等の公知の欠点を有するにも係わらず、特にタンパク性活性薬剤を含む多数の活性薬剤には、今までの所、他の選択肢を利用することができない。本発明によるクラウンエーテルとの錯化後、活性薬剤は十分に疎水性となり、粘膜または皮膚内に存在する細胞膜等の細胞膜を通した十分な浸透が確実にされる。その結果、更に以下に詳細する、それら活性薬剤のための非侵襲的送達経路を考慮することができる。代替的に、非侵襲的送達は非錯化形態の活性薬剤の選択肢でもあり得るが、粘膜または皮膚の透過が制限される欠点を有する。そのような場合、本発明によるクラウンエーテルとの錯化が送達を向上させ、非侵襲的送達を好ましい送達経路とする。活性薬剤の疎水性錯体が疎水性担体の使用を可能にすることに注目すると、本発明の使用により得られる医薬または診断組成物は、疎水性であることが好ましい。組成物の疎水性(および親油性)により、対象に送達した後の活性薬剤の放出は、疎水性が比較的低い従来の製剤と比較して遅延され得る。換言すれば、本発明により得られる所定の組成物は、活性薬剤を含む遅延形態である。
本発明の更なる利点は、侵襲的送達、特に皮下送達に関する。皮下送達用の医薬または診断組成物の容積は、本来制限されている。従来の処方により、皮下注入用の少量の容積が、必要な用量を含む注射用溶液を得ることができない場合、処置は煩雑(短い投与間隔)または不可能である。本発明の使用が高い濃度の活性薬剤を有する組成物の調製を可能にすることに注目すると、先行技術によるこれらの問題は克服され得る。
好ましい実施形態において、本発明のクラウンエーテルは、1を越える、より好ましくは2を越える、尚より好ましくは3を越えるlogP値を有する。
用語「疎水性の」および「疎水性」は当技術分野にて周知であり、水および水性媒体と
の低い混和性、または混和性を有さないことを示す。用語「親油性の」および「親油性」は、本明細書にて等価な意味で使用される。疎水性を定量化するのに通常使用されるパラメータは、logP値である。
二つの非混和性または実質的に非混和の溶媒の界面における分子の質量流束は、その親油性に支配される。分子がより親油性となるにつれて、該分子は親油性有機相中により可溶となる。水とn−オクタノールとの間に観察される分子の分配係数は、親油性の標準的尺度として採用されている。種Aの分配係数Pは、比P=[A]n-オクタノール/[A]水として定義される。通常報告されている数値は、logP値であり、これは分配係数の対数である。分子がイオン化可能である場合、原則として複数の異なる微細種(microspecies)(分子のイオン化形態および非イオン化形態)が両方の相中に存在するであろう。イオン化可能種の全体の親油性を記述する量は、比D=[全微細種の濃度の合計]n-オクタノール/[全微細種の濃度の合計]水として定義される分配係数Dである。logPと同様、分配係数の対数、logDも頻繁に報告されている。
第一の分子上の置換基の親油性の特性を評価する場合、および/または定量的に測定する場合、置換基に対応する第二の分子を評価してもよく、前記第二の分子は、例えば、前記置換基を第一の分子の残りに接続する結合を破壊し、それにより得られた自由原子価を水素に接続することにより得られる。代替的に、分子のlogPに対する置換基の寄与を測定してもよい。分子R−XのlogPに対する置換基Xの寄与πXは、πX=logPR-X−logPR-Hとして定義され、式中、R−Hは、非置換親化合物である。
2以上のPおよびDの値、ならびに1以上のlogP、logDおよびπX値は、親油
性/疎水性の特性を示すのに対して、1未満のPおよびDの値、ならびに0未満のlogP、logDおよびπX値は、各々の分子または置換基の親水性の特性を示す。
本発明による親油性基の親油性を特徴付ける上述したパラメータは、実験手段により決定することができ、および/または当技術分野にて公知の計算的方法により予測することができる(例えばSangster, Octanol-water Partition Coefficients: fundamentals and
physical chemistry, John Wiley & Sons, Chichester (1997)参照)。
実際には、logP、logDおよびπX値は、それらが測定される特定の条件に従っ
て、所定の範囲にて変動するであろう。
薬物または活性薬剤が、良好に吸収される論理的蓋然性を有するためには、それらのlogP値が5を越えてはならないことが示されている。市販の薬物のlogP値の確率密度(例えば、http://www.organic-chemistry.org/prog/peo/cLogP.html参照)は、logP値の最大がほぼ3であることを示している。
本発明の使用および方法の更なる好ましい実施形態では、前記クラウンエーテルの、前記第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基との錯体形成は、選択的である。選択性は、当業者により容易に評価することができる。この目的を達成するために、錯体を形成させる条件下で候補リガンドと本発明のクラウンエーテルとを接触させる。リガンドおよび/または環状化合物の錯化形態および/または遊離形態は、任意の好適な手段により測定される。そのようなアッセイは、反復して(または並行して)行われ、ここでアッセイの一つの実施は、前記化合物の前記第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基との錯体形成を測定することに関し、アッセイの少なくとも一つの更なる実施は、前記化合物の競合する種との錯体形成を測定することに関する。競合種には、例えばK+
およびNa+等の金属イオンが挙げられる。選択性とは、前記化合物の大部分が前記第一
級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基と錯体(「錯体A」;「錯体A」は、一方では前記環状化合物と、他方では前記第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基との間で形成された錯体の量または濃度を示す)を形成する一方、残り(または残りの一部)が一つ以上の競合種と錯体(「錯体B」;「錯体B」は、競合種との錯体の量または濃度の合計を示す)を形成することを意味する。換言すれば、錯体A/錯体Bの比は、1を越える。前記比は、1.2;1.5;2;3;4;5;10;100、1000またはそれ以上が好ましい。
本発明の使用および方法の更なる好ましい実施形態では、対イオンが組成物に加えられる。一つ以上のプロトン化第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/または一つ以上のプロトン化グアニジニウム基を含む医薬的または診断的活性薬剤、特にペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質のための好ましい対イオンには、トリフルオロアセテート(TFA)およびアルカン酸、好ましくは2〜30個、より好ましくは2〜20個、尚より好ましくは2〜10個の炭素原子を有するアルカン酸の塩が挙げられる。他の好ましい実施形態では、そのような対イオンは、芳香族基を含んでもよい。これらの対イオンは、前記第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基と塩を形成する他の対イオンを置き換えるように使用され得る。アルカン酸の塩は、リン酸塩等の一般に存在する対イオンよりも高い親油性を有する。TFAは更に、より低いpKa値を有し、その結果、一方では第一級もしくは第二級プロトン化アミノ基またはプロトン化グアニジニウム基と、他方ではTFAとの間のより強力な塩結合をもたらす。安息香酸塩およびサリチル酸塩等のアリールカルボン酸塩は、好適な対イオンの更なる例である。特にペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質のための対イオンの好ましい他のクラスは、アルキルまたはアリールスルホン酸である。好ましいアルキルスルホン酸は、1〜30個、より好ましくは8〜10個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。芳香族環上に一つ以上のアルキル置換基を有し、各アルキル置換基が2〜30個、より好ましくは8〜10個の炭素原子を有するアリールスルホン酸は、好適な対イオンの更なる例である。例は、メタンスルホン酸(メシル酸塩対イオン)およびp−トルエンスルホン酸(トシル酸塩対イオン)である。特にペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質のための好ましい対イオンの他のクラスは、一つの酸性プロトンを有するホスファチジルグリセロールまたはホスファチジル糖または二つの酸性プロトンを有するホスファチジン酸等の、ホスフェート上に少なくとも一つの酸性プロトンを有するリン脂質である。前記リン脂質またはホスファチジル部分に含まれるアルカン酸は、各々4〜30個、より好ましくは6〜20個、尚より好ましくは8〜18個の炭素原子を有することが好ましい。二つのアルカン酸を含むリン脂質は、対称性または非対称性であってもよい。後者の場合、リン脂質分子は、二つの異なる脂肪酸を含む。別の好ましい実施形態では、リン脂質は、例えばホスファチジルイノシトールのような天然起源のものである。
一方、酸性ポリマー(例えばヘパリン)または他の酸性の医薬的もしくは診断的活性薬剤のための好ましい対イオンは、正電荷を有するリン脂質である。それらは、遊離第一級アミノ基等を有することが好ましい。例としては、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
対イオンの増大された親油性は、本発明の環状化合物と前記第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基との錯体の安定性を増大させる。
第一級または第二級アミンを含む塩である、医薬的活性薬剤の例は、イブプロフェンリシネート、即ちイブプロフェンのリシン塩、およびプロカインペニシリンである。イブプロフェンリシネートの場合、イブプロフェンは、カルボキシレートを提供する前記塩の構
成要素であり、リシンは、第一級アミノ基を提供する構成要素である。同様に、プロカインペニシリンの場合、ペニシリンは、カルボキシレートを提供する前記塩の構成要素であり、プロカインは、第一級および第二級アミノ基を提供する構成要素である。これらは単に特定の例であるが、(i)カルボン酸官能基を含み、(ii)第一級もしくは第二級アミンまたはグアニジニウム基を含む化合物との塩である任意の薬物が、本発明の化合物との錯体として処方され得ることが予想される。そのような薬物としては、イブプロフェンリシネート、およびプロカインペニシリンまたはアミノグリコシド等の抗生物質を含む、これら二つの必要条件を満たす抗炎症性薬物が挙げられる。
本発明の使用および方法の好ましい実施形態において、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質である前記活性薬剤は、AspおよびGluから選択される一つ以上のアミノ酸を含む。
より好ましい実施形態では、前記医薬または診断組成物は、酸性である。この実施形態は、プロトン化第一級および/もしくはプロトン化第二級アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基に加えて、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質内のAspおよびGluのカルボキシレート等の、中性pHにおいて負に帯電した基を含む活性薬剤に関する。そのような場合、疎水性および電荷の遮蔽を高める本発明の化合物との錯体形成の目的は、AspおよびGluのカルボキシレート等の、中性pHにて負に帯電した前記基の存在を考慮すると、達成するのが困難であり得る。電荷を除去する一つの選択肢は、中性pHにおいて負に帯電した前記基の有意な部分がプロトン化され、その結果非帯電となるpHまで組成物を酸性化することである。
前記医薬または診断組成物は、2〜6のpH値を有することがより好ましい。pH値は約3〜約5であることが尚より好ましい。pH値は3.5〜4であることが更により好ましい。
前記医薬または診断組成物が酸性である代わりに、または酸性であることに加えて、AspまたはGlu残基の一つ以上は、アミノアルコールおよび/またはグアニジニウムアルコールでエステル化され、前記アミノアルコールのアミノ基は、第一級または第二級アミノ基である。前記AspまたはGlu残基の大部分(即ち50%を越える)、より好ましくは60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%または全部がエステル化されることが好ましい。エステル化はプロドラッグの形成をもたらす。「プロドラッグ」は、概して生物学的および/または薬理学的に活性ではない化合物である。しかしながら、プロドラッグが典型的にはインビボで酵素または加水分解切断により活性化されて、生物学的および/または薬理学的化合物に変換される場合、プロドラッグの投与は、意図される医学的効果を有するであろう。プロドラッグは、典型的には、生物学的および/または薬理学的化合物の上述したエステル化等、化学的修飾により形成される。好適なプロドラッグ誘導体を選択および調製するための従来の手順は、例えばDesign of Prodrugs, ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
前記アミノアルコールは、ω−アミノ−アルキル−オールが好ましい。
前記アミノアルコールは、4−アミノ−1−ブタノールまたは6−アミノ−1−ヘキサノールが好ましい。Aspおよび/またはGluのエステル化形態は、本明細書では「シュードリシン」と称され、これは、線状アルキル鎖が一方の末端部によりカルボキシレートに結合し(エステル結合を介して)、アルキル鎖の他方の末端部が第一級アミノ基を有する点で、Lysと同様である構造が生成されるためである。代替的に、またはそれに加えて、ω−グアニジニウム−アルコールを使用してもよく、それによりグアニジニウム基とエステル官能基との間に10〜2個の炭素、より好ましくは4〜2個の炭素からなる炭素鎖を有する「シュードアルギニン」を生成する。場合により、グアニジニウム基は、窒
素においてN−メチル化されて、前記グアニジニウム基により第二級アミンの一部を形成してもよい(クレアチンの場合のように)。更なる実施形態では、ポリオールリンカー(1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)エタン、グリセロールまたは同様の構造)を使用して二つのグアニジニウム基を単一のAspまたはGlu残基に結合してもよい。後者の場合、グリセロールまたはポリオールリンカーの一つのヒドロキシル基がAspまたはGlu側鎖カルボン酸でエステル化され、残りのヒドロキシル部分は、グアニジニウムアルカン酸の一つ、二つまたはそれ以上の分子でエステル化され得る。
一般的に言えば、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質である前記活性薬剤は、(a)(i)C−末端部のカルボキシレートにおいて、グアニジニウムアルカノール、グアニジニウムアルカンチオール、グアニジニウム基で置換されかつ遊離ヒドロキシル基を有するポリエチレングリコール(PEG)、もしくはグアニジニウム基およびスルフヒドリル基で置換されたPEGにより;(ii)存在する場合、一つ以上のAspもしくはGlu残基の側鎖カルボキシレートにおいて、グアニジニウムアルカノール、グアニジニウムアルカンチオール、グアニジニウム基で置換されかつ遊離ヒドロキシル基を有するPEG、もしくはグアニジニウム基およびスルフヒドリル基で置換されたPEGにより;(iii)存在する場合、一つ以上のSer、ThrもしくはTyr残基のヒドロキシル基において、グアニジニウムアルカン酸、もしくはグアニジニウム基およびカルボキシル基で置換されたPEGにより;(iv)存在する場合、一つ以上のCys残基のスルフヒドリル基において、グアニジニウムアルカン酸、もしくはグアニジニウム基およびカルボキシル基で置換されたPEGにより;ならびに/または(v)N−末端部において、グアニジニウムアルカン酸、もしくはグアニジニウム基およびカルボキシル基で置換されたPEGによりエステル化またはチオエステル化されてもよく、前記N−末端部は、以前α−またはβ−ヒドロキシ酸によりアミド化され、またエステルは、前記α−またはβ−ヒドロキシ酸のヒドロキシ基と、前記グアニジニウムアルカン酸、またはグアニジニウム基およびカルボキシル基で置換された前記PEGのカルボキシル基との間で形成され;ならびに/または(b)一つ以上のジスルフィドを含んでもよく、ジスルフィドは、存在する場合、Cys残基(reside)のスルフヒドリル基と、グアニジニウムアルカンチオール、またはグアニジニウム基およびスルフヒドリル基で置換されたPEGとの間で形成される。
好ましい実施形態では、(i)過剰の前記クラウンエーテルが使用され;および/または(ii)本発明による第二のクラウンエーテルが使用され、前記第二のクラウンエーテルは、陽イオンと錯体を形成することが好ましく、前記陽イオンは前記Aspおよび/またはGluのカルボキシレートの対イオンである。用語「陽イオン」には、無機陽イオンが含まれる。無機陽イオンには、Na+およびK+等の金属イオンが含まれる。組成物を酸性化する、または、前記Aspおよび/またはGluをエステル化する選択肢の代わりにまたは該選択肢に加えて、この実施形態は、二つの更なる選択肢を提供する。これら四つの選択肢のいずれも、単独でまたは組み合わせで使用することができる。
従って、本発明の医薬または診断組成物の調製方法の更なる好ましい実施形態では、前記活性薬剤は、AspおよびGluから選択される一つ以上のアミノ酸を含むペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり、方法は、(b)前記医薬もしくは診断組成物を酸性化し;(c)AspもしくはGlu残基の一つ以上をアミノアルコールによりエステル化し、前記アミノアルコールのアミノ基は、第一級アミノ基であり;および/または(d)前記医薬的もしくは診断的活性薬剤を本発明の一つ以上の更なる化合物と接触させる、更なる工程を含み、前記更なる化合物は、金属イオンと錯体を形成することが好ましく、前記金属イオンは、前記Aspおよび/またはGluのカルボキシレートの対イオンである。
用語「過剰」は、錯化される前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/ま
たはグアニジニウム基の等モル量を越える、前記化合物の量に関する。そのような過剰は、錯化される前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基の相当の部分または全部の錯化を確実にするのに使用され得る。等モル量は、この目的のために十分であり得るが、3〜10倍のモル過剰、またはより好ましくは3〜5倍のモル過剰のような過剰を用いることが好ましい。
第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基との錯体に関与しない任意の過剰量は、前記Aspおよび/またはGlu残基上に存在する、負に帯電したカルボキシレートの対イオンとしての役割を果たす陽イオンの錯化に利用可能であろう。これらの対イオンの錯化も確実にするために(前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基の相当の部分または全部の錯化に加えて)、本発明のクラウンエーテルの好ましい量は、カルボキシレートの量の5〜7倍のモル過剰である。その結果、第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基の量の3〜5倍のモル過剰とカルボキシレートの量の5〜7倍のモル過剰との合計である、前記クラウンエーテルの量を使用することが好ましい。第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基と錯化するよう設計された本発明のクラウンエーテルによる、陽イオンのそのような錯化は、前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基の錯化の特異性が低いほど、より良好に働くであろう。高い特異性で前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基と錯化する本発明のクラウンエーテルが使用される場合、第二の本発明のクラウンエーテルを使用することが好ましく、前記第二のクラウンエーテルは前記陽イオンと錯体を形成することが好ましく、前記陽イオンは、例えば金属イオンである。それらの場合では、前記第一級および/もしくは第二級アミノ基ならびに/またはグアニジニウム基と錯化する前記化合物は、「第一の」化合物と称される。更なる好ましい実施形態では、、第一の環状化合物および/または第二の環状化合物は、アンモニウムイオン(NH4 +)と錯体を形成することが可能である。
実施例は、本発明を説明する。
本発明による化合物の合成
スキーム1に、本発明の化合物に至る合成経路を示す。保護されたHEAA誘導体3および10を各々、2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エタノール1(市販のまたはジエチレングリコールのTHP選択的一保護から得られた)および市販の2−(ベンジルオキシ)エタノール8から出発して調製した。アルコール1をブロモ酢酸と反応させた後、ベンジルアルコールとDIC/DMAP促進カップリングさせることによる酸2の形成を含む二工程手順により、完全に保護された3を得た。更にTHP保護基を除去してアルコール4を得、これを酸2とカップリングさせて、二量体5を収率82%で与えた。酸性処理による最終的な脱保護は、所望のアルコール6、三量体化合物11の第一の構成単位の獲得をもたらした。この変換は少量のアルコール7の形成ももたらし、かくしてこれらの条件における後者の不安定性が反映された(二量体アルコール6の分子内トランスエステル化の可能性)。純粋な二量体6の獲得の試みは、フラッシュクロマトグラフィーにより乏しい収率のみを与え、粗残留物は、最終的に、更に精製されることなく次の工程に使用された。
Figure 2013512221
スキーム1
塩基としてi−BuOKを使用して、最初に2−(ベンジルオキシ)エタノール8をブロモ酢酸t−ブチルエステルとカップリングさせることにより、第二の主要前駆体10を調製した。続くTFA処理により、水性ワークアップ(酸塩基抽出)後に酸10を手際よく得た。この合成の連続は、2工程で、所望の酸を収率91%で生成した。最後の工程にて、酸10とアルコール6とをMitsunobuエステル化手順にて反応させた。変換により、所望の完全保護三量体11と二量体12との混合物を与えた。二量体形成は、ア
ルコール7が反応関与体中に少量存在することに一部起因するが、これらの条件下でカップリングさせる前の、二量体アルコールの分子内トランスエステル化にも起因する可能性がある。それ故、フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物11および12が75/25比で得られ、また所望の主要化合物11は収率48%で単離された。水素化による最終的な保護基の除去により、セコ酸13を定量的に得、これをMitsunobu手順により環化して、化合物14を収率60%で与えた。この合成の連続は、環状HEAA誘導体14を10工程にて全体の収率8%で得ることを可能にした。続いて、還流トルエン中でLawesson試薬を使用して、この後者を選択的にジチオ化してジチオラクトン15を与え、これを脱硫/縮合プロセスにてL−酒石酸ジエチルと反応させて、標的のビス−オルトエステル16を得た。
更なる合成手順
Figure 2013512221
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エタノール1。エチレングリコール(22.3ml、0.40mol)、DHP(0.1mol、9ml)および4滴の濃HClの溶液を、室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を20%NaHCO3溶液(1
00ml)に溶解し、ジ−THP化合物が除去される迄(TLC)、エーテル(2×50ml)で抽出した。水性層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層をMgSO4
上で乾燥し、濾過し、濃縮して純粋な化合物3を与え、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
Figure 2013512221
[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]酢酸2。撹拌しているNaH(鉱油中60%分散物、4.80g、120mmol)のTHF中の懸濁液に、0℃で、ブロモ酢酸(6.11g、44mmol)のTHF溶液(15ml)を加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌した後、アルコール1(5.84g、40mmol)のDMF溶液(15ml)を滴加した。混合物を室温で17時間撹拌した後、H2Oでクエ
ンチし、エーテルで2回抽出した。水性層をpH2〜3に酸性化し、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して純粋な化合物2を淡黄
色油(6.93g、85%)として与え、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
Figure 2013512221
ベンジル[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]アセテート3。撹拌している酸4(3g、14.71mmol)のジクロロメタン(26ml)溶液に、室温でベンジルアルコール(760μl、7.35mmol)、DIC(2.18ml、14.71mmol)およびDMAP(90mg、0.74mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した後、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ペンタン 1/1)による精製により、エステル3(2g、93%)を油として得た。
Figure 2013512221
ベンジル(2−ヒドロキシエトキシ)アセテート4。撹拌しているTHP保護ヒドロキシエステル3(2g、6.8mmol)のメタノール(80ml)溶液に、p−TsOH(80mg、1mg/ml)を加えた。反応混合物を室温で45分間撹拌し、濃縮し、EtOAcで希釈した。有機層をNaHCO3および水で2回洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残留物を更に精製することなく次の工程に使用し、または必要であればシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ペンタン 1/1)により精製して、ヒドロキシエステル4を油として与えた。
Figure 2013512221
2−(2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエトキシ)エチル2−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ)アセテート5。アルコール4(685mg、3.26mmol)、酸2(932mg、4.57mmol)、DIC(680μl、4.57mmol)およびDMAP(39mg、0.32mmol)の溶液を室温で一晩撹拌した。次いで混合物を濾過し、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ペンタン 1/1)により、化合物5を油(1.06g、82%)として得た。
Figure 2013512221
2−[2−(ベンジルオキシ)−2−オキソエトキシ]エチル2−(2−ヒドロキシエトキシ)アセテート6。撹拌しているTHP保護ヒドロキシエステル5(1g、2.53mmol)のメタノール(35ml)溶液に、p−TsOH(30mg、1mg/ml)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮し、EtOAcで希釈した。有機層を
NaHCO3および水で2回洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状残留物(712mg、90%)を更に精製することなく次の工程に使用した。
Figure 2013512221
tert−ブチル[2−{ベンジルオキシ)エトキシ]アセテート9。撹拌している2−(ベンジルオキシ)エタノール8(1.7g、11.17mmol)のt−BuOH(25ml)溶液に、室温でt−BuOK(1.38g、12.29mmol)を加えた。混合物を室温で2.5時間撹拌した。次いで、混合物を水浴により冷却しながら、t−ブチルブロモアセテート(2.7ml、20.11mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮した。水を加え、水性層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフ
ィー(EtOAc/ペンタン 1/4)により、エステル9を油(1.749g、59%)として得た。
Figure 2013512221
[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]酢酸10。撹拌しているエステル9(2.66g、10mmol)のジクロロメタン(91ml)溶液に、TFA(9ml)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、混合物を濃縮した。得られた残留物を水で希釈し、NaOH 1N溶液で塩基性化した。この水性層をエーテルで抽出した後、酸性化し、EtOAcで2回抽出した。一緒にした有機層をMgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して酸1
0(2g、95%)を油として与え、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
Figure 2013512221
3,9−ジオキソ−1−フェニル−2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イル2−(2−(ベンジルオキシ)エトキシ)アセテート11。撹拌しているトリフェニルホスフィン(1.175g、4.48mmol)のトルエン(18ml)溶液に、0℃でDEAD(820μl、4.48mmol)を加えた。混合物を0℃で10分間撹拌した後、酸10(235mg、1.12mmol)のトルエン溶液(500μl)を滴加し、その後アルコール6(350mg、1.12mmol)のトルエン(500μl)溶液を滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、濃縮した。シリカゲル上の注意深いフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ペンタン 1/)により、三量体11を油(273mg、48%)として得た。
1H NM (CDCI3, 400 MHz) : δ 7.36-7.31 (m, 5H), 5.17 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 4.35-4.29 (m, 4H), 4.21 (s, 2H), 4.16-4.12 (m, 4H), 3.78-3.73 (m, 6H), 3.68-3.63 (m, 2H).
Figure 2013512221
17−ヒドロキシ−7,13−ジオキソ−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン−1−oic酸12。撹拌している三量体11(168mg)のメタノール(2ml)溶液に、10%Pd/C(17mg、10重量%)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。セライトのパッドを用いた濾過により触媒を除去し、残留溶液を濃縮し、ヒドロキシ酸12を無色油(110mg、quant.)として得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
Figure 2013512221
1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン−2,8,14−トリオン14。撹拌しているトリフェニルホスフィン(4.68g、17.85mmol)のジクロロメタン/トルエン1/1混合物(1.5l)の溶液に、室温でDEAD(8.2ml、44.63mmol)を加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した後、ヒドロキシ酸12(1.18g、3.57mmol)のトルエン溶液を加えた。混合物を室温で撹拌し、濃縮した。シリカゲル上の注意深いフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ペンタン 1/1、次いで2/1、次いでEtOAc100%)により、環状物14を白色固体(670mg、60%)として得た。
1H NMR (CDCI3, 400 MHz) : δ 4.38-4.36 (m, 6H), 4.22 (s, 6H), 3.82-3.80 (m, 6H).
硫化反応のための一般的手順。
ラクトン(1mmol)およびLawesson試薬(1.5、7または8mmol)の溶液を24時間加熱還流した(油浴温度125℃)後、室温に冷まし、濾過した。固体をジクロロメタン/ペンタン混合物で洗浄し、濾液を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる注意深い精製により、チオラクトン誘導体を得た。
オルトエステル形成のための一般的手順。
激しく撹拌しているチオラクトン(1mmol)のアセトニトリル溶液に、室温で酒石酸ジエチル(3または6mmol)を加え、その後AgOTf(2.5または5mmol、一部で)を加え、その直後、トリエチルアミン(4または6mmol)を滴加することにより加えた。混合物を室温で30〜45分間撹拌した後、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、オルトエステル誘導体を得た。
更なる参考文献
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Lifson, S., Felder, C.E. and Shanzer, A. (1983), J.Am. Chem. Soc,105, 3866-3875.Lifson, S., Felder, C.E. and Shanzer, A. (1984), J. Am. Chem. Soc, 23, 2577-2590.
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Challa et al. (2005). AAPS PharmSciTech 6: E329-E357.

Claims (19)

  1. 式(I)のクラウンエーテル。
    Figure 2013512221
    (式中、
    mは、4、5、6、7または8であり、各々のiは独立して、1または2であり;
    各々のR1およびR2は、水素;直鎖状もしくは分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有
    する置換もしくは非置換のアリールから独立して選択され;またはR1およびR2は、一緒になってオキソ基を形成し;
    クラウンエーテル内の少なくとも1つのR1、R2と、R1およびR2が結合しかつ式(I)のエーテル酸素に直接結合している炭素とは、一緒になって、式(II)
    Figure 2013512221
    の基を形成し、式中、
    Lは、存在しないか、または共有結合および(CR56nから選択されるリンカーであ
    り、各々のR5およびR6は、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ならびに10個迄の原子で構成された環を有
    する置換または非置換のアリールから独立して選択され、nは、1、2または3であり;XおよびYは、互いに独立してOおよびSから選択され;
    各々のZは、独立して、存在しないか、または電子吸引基であり;
    各々のR3およびR4は、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有す
    る置換または非置換のアリール;H(OCH2CH2k−およびH(OCH2CH2kO−から選択され、式中、kは、1〜10迄の整数であり;
    置換基は、存在する場合、OH、O−CH3およびハロゲンから選択される。)
  2. クラウンエーテル内の少なくとも1つのR1およびR2が、一緒になってオキソ基を形成する、請求項1に記載のクラウンエーテル。
  3. 前記クラウンエーテルの環構造が、18−クラウン−6、12−クラウン−4、13−クラウン−4、14−クラウン−4、15−クラウン−5、16−クラウン−5、17−クラウン−5、20−クラウン−6、21−クラウン−7または24−クラウン−8により提供される、請求項1または2に記載のクラウンエーテル。
  4. 一つまたは二つのオキソ基が存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  5. 環内のエーテル酸素原子の数が偶数であり、一つ置きのエーテル酸素原子に隣接して一つのオキソ基が存在する、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  6. 全てのR1およびR2が、オキソ基または式(II)の基を形成しない範囲において水素
    である、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  7. (a)一つの式(II)の基および二つのオキソ基が存在し;または
    (b)二つの式(II)の基および一つのオキソ基が存在し;または
    (c)三つの式(II)の基が存在し、オキソ基は存在しない、
    前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  8. (a)一つの式(II)の基および二つのオキソ基が存在し、クラウンエーテルの環構造の一部である前記式(II)の基の炭素原子が、オキソ基を有する炭素原子に直接結合し;または
    (b)二つの式(II)の基が存在し、クラウンエーテルの環構造の一部である前記二つの式(II)の基の二つの炭素原子が、互いに結合している、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  9. Lが共有結合である、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  10. XおよびYの両方がOである、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  11. Zが−O−C(=O)−、−C(=O)−O−および−C(=O)−から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  12. 3およびR4が、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2,3−ジヒドロキシ−プロピル、およびH(OCH2CH25−から独立して選択される、前記請求
    項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  13. 3−Zおよび独立してR4−Zが、エチル−オキシ−カルボニル−、2,3−ジヒドロキシ−プロピル−オキシ−カルボニル−,およびH(OCH2CH25−O−C(=O)
    −から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  14. 前記クラウンエーテルが、以下の式:
    Figure 2013512221
    Figure 2013512221
    (式中、各々のRは、独立して、水素;直鎖状または分枝状の、置換または非置換のC1
    〜C10アルキル、アルケニルおよびアルキニル;10個迄の原子で構成された環を有する置換または非置換のアリール;ならびにH(OCH2CH2k−(式中、kは1〜10の
    整数である)から選択され;置換基は、存在する場合、OHおよびハロゲンから選択される。)のうちの一つを有する、前記請求項のいずれか一項に記載のクラウンエーテル。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の一つ以上のクラウンエーテルと、医薬的または診断的活性薬剤とを含有する医薬または診断組成物であって、前記医薬的もしくは診断的活性薬剤が、一つ以上の第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/または前記医薬的もしくは診断的活性薬剤が、金属イオンもしくはアンモニウムイオンとの塩である、医薬または診断組成物。
  16. 経皮および/または粘膜貫通送達用に調合されている、請求項15に記載の医薬または診断組成物。
  17. 医薬的または診断的活性薬剤の製剤における請求項1〜14のいずれか一項に記載のク
    ラウンエーテルの使用であって、前記活性薬剤が、一つ以上のプロトン化第一級および/もしくはプロトン化第二級アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/もしくは前記医薬的もしくは診断的活性薬剤が、金属イオンもしくはアンモニウムイオンとの塩である、使用。
  18. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のクラウンエーテルを医薬的または診断的活性薬剤と接触させる工程を含む、医薬または診断組成物の調製方法であって、前記薬剤が、一つ以上の第一級および/もしくは第二級プロトン化アミノ基ならびに/またはプロトン化グアニジニウム基を含み、ならびに/または金属イオンもしくはアンモニウムイオンとの塩である、方法。
  19. 前記活性薬剤が、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、小分子、単糖、多糖、および核酸、好ましくはRNAi剤からなる群から選択される、請求項15もしくは16に記載の医薬もしくは診断組成物、請求項17に記載の使用、または請求項18に記載の方法。
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