JP2013510798A - アクチノバシルス・スイス抗原 - Google Patents

アクチノバシルス・スイス抗原 Download PDF

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Abstract

本発明は、アクチノバシルス・スイスによる感染を抑制し、治療し、防止しまたは予防するために有用な免疫原性組成物を提供する。これらの免疫原性組成物は、処置ブタで有効に免疫原性応答を刺激することが示された。いくつかのワクチンは、A.スイスに対して防御的であるために十分な反応を刺激した。さらにまた本発明は、前記免疫原性組成物を含むキットを、前記組成物およびキットを使用する方法と同様に提供する。

Description

関連出願:本出願は米国仮特許出願61/259,728号に関連し、かつ前記に対し優先権を主張する(前記仮特許出願は2009年11月10日に出願された)。前記出願の教示および内容は参照によりその全体が本明細書に含まれる。
本発明は、アクチノバシルス・スイス(Actinobacillus suis)による感染を抑制し、治療し、防止しまたは予防するために有用な方法および組成物に関する。
アクチノバシルス・スイスは、近年米国における養豚産業の新しい脅威として出現した。以前には“衛生良好”家畜群の高死亡率と密接な関係があったが、A.スイスは今や通常の家畜群の重要な病原体として認識されている。前記は特に幼若動物で有害である。感染によりアクチノバシルス症を発し、新生豚および離乳豚の両方で突然死を引き起こす。離乳豚の症状には、食欲不振、発熱、チアノーゼ、四肢のうっ血、呼吸窮迫、肺炎、壊死性肺炎、持続性の咳、皮膚病変および致死的敗血症が含まれる。肺炎、関節炎、敗血症徴候、胸膜炎、心膜炎、および粟粒膿瘍が末期豚で生じることが知られている。アクチノバシルス症はまた雌豚で子宮炎および流産を引き起こす。
アクチノバシルス症の肉眼病変は、肺、腎、肝、脾臓、腸および皮膚で見出される病変;出血および壊死;並びに胸膜肺炎に類似する肺病変を特徴とする。組織病理学的には、この疾患は、多様な組織の血管内に線維素性出血性壊死を伴う細菌性血栓子の存在;壊死性気管支肺炎;および胸膜炎を特徴とする。感染の原因および寄与因子には、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)感染による急転、抜歯、断尾、膝の擦過、および呼吸、切り傷または擦り傷による進入が含まれる。
アクチノバシルス・スイスは、日和見性で、グラム陰性、非運動性の好気性および通性嫌気性球杆菌であり、上気道に集落を形成する。北アメリカにおける豚の群れの臨床症例から回収されたA.スイスの単離株の遺伝型は遺伝的多様性が限定的であることを示し、29の別個の群れから回収された74単離株からわずかに13株が同定されただけである。A.スイス遺伝型のシンプソンの多様性インデックス(種多様性インデックスとしても知られている)(Simpson, 1949参照)は0.64であり、これは、例えばBOX-PCR(Simpson, 1949;Versalovic et al, 1991;Oliveira et al, 2007)を用いたとき、任意抽出単離株が固有の遺伝型に含まれる可能性は64%であることを意味する。例えばH.パラスイス(H. parasuis)(前記は多様性インデックスが0.93である(Oliveira et al, 2007))と比べて、A.スイスは相対的に純系である。
A.スイスの表現型多様性もまた相対的に限定的である。これまでのところ、2つの血清型亜型(すなわちO1およびO2(Rullo, Papp-Szabo and Michael, 2006))および3つの被膜型K1−3が報告されている。病原性試験によれば、血清グループO2の単離株は、O1より病毒性が強い傾向がある(Slavic, DeLay and Hayes, 2000)。自原性ワクチン生成のために用いられたA.スイス単離株の血清型判定によれば、O1単離株と比較したときより高いパーセンテージでO2単離株が臨床レベルの疾患に付随することが確認された(Slavic, Toffner, and Monteiro, 2000)。A.スイスの病毒性因子のいくつかは公知であるが(例えばRTX毒素、Apx Ivar. suisおよびApx IIvar.suis)、全身感染を引き起こし得る因子は未だ明らかにされていない。これらの潜在的な因子のいくつかにはリポ多糖類(LPS)および被膜多糖類(CPS)、外膜タンパク質(OmpA)、プロテアーゼおよび鉄獲得が含まれる。
これまでA.スイスの制御に利用可能な市販のワクチンはなく、現場の大半の獣医は疾患の制御に自原性ワクチンおよび抗菌的処置に頼っている。野外の大半の単離株に対して潜在的に防御力を有するワクチンの開発が所望されるが、A.スイス感染の病理発生に必要な遺伝型、血清型亜型、毒素、タンパク質プロフィル、および因子に関する必要なデータは未だ明らかではない。本明細書ではそのようなデータが、A.スイスに対するワクチンおよびそれらに使用方法とともに提供される。
本発明は、アクチノバシルス・スイスの感染から対象動物を防御するために有用な新規な免疫原性組成物を提供する。これらの組成物はまた、アクチノバシルス・スイスの多様な株または型による感染の抑制、治療または予防に有用である。
本発明の組成物は、0.650OD650および0.850OD650に増殖させた1つまたは2つ以上のA.スイス培養から収集した上清およびアジュバントを含む。好ましくは、前記上清は不活化され、好ましくはホルマリンによって不活化される。前記上清はまた、好ましくは例えば45ミクロンフィルターでろ過される。ろ過は与えられた状況にとって適切と考えられるように不活化前または不活化後に実施できる。上清(より好ましくはろ過上清)は本質的にA.スイス細胞を含まないが、多数の細胞性成分を含むことができる。
多様なアジュバントのいずれも本発明の組成物に適切に含まれ得ることは当業者には理解されよう。ある例示的アジュバントはEmulsigen(商標)-Dである。アジュバントの決定は、部分的には、組成物を投与されるべき対象動物の性質、対象動物への投与方法、および組成物がどのような条件下で投与されるかによって左右される。例えば、アジュバントおよび上清(またはろ過上清)は、対象動物への投与前に一緒に混合されるか、同時に投与されるか、または対象動物へ連続して投与される。
本発明の免疫原性組成物の適切な対象動物には動物およびヒトが含まれる。本発明の組成物の使用または方法によって免疫応答が刺激される動物には、家畜、例えばブタ、ウシ、ニワトリ、ヤギおよびヒツジ、並びに家庭で飼育される動物、例えばマウス、ウサギ、イヌ、ネコおよびウマが含まれる。好ましい動物には、ブタ、ネズミ、ウマ、ウサギおよびウシが含まれる。もっとも好ましくは、前記動物はブタである。
本発明はまた、アクチノバシルスに対する免疫応答を惹起してアクチノバシルス・スイスに関係する臨床徴候の発生率および重症度を対象動物で軽減させる方法を提供し、前記方法は、本発明の免疫原性組成物を対象動物に投与する工程を含む。対象動物で発生率および重症度が軽減され得るA.スイスに関係する臨床徴候には、髄膜炎、敗血症、子宮炎、肺炎、丹毒様病変および流産が含まれる。本発明の免疫原性組成物を投与されていない対象動物と比較して、前記のいずれの徴候も本発明の組成物の投与によって軽減され得る。本発明の好ましい組成物は、A.スイス感染の少なくとも1つで少なくとも10%の軽減を示す防御的な免疫学的応答を誘引する。
本発明の組成物の投与によって軽減させることができる好ましいアクチノバシルス・スイス感染はA.スイスISU-8594である。
本発明はまた、医薬の作製に有用であり得る本発明の免疫原性組成物の作製または調製方法を提供する。前記方法は、アクチノバシルス・スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させる工程、前記培養物から上清を収集する工程、前記上清をろ過してろ液を得る工程、および前記ろ液およびアジュバントを混合する工程を含む。前記方法はまた、好ましくは上清をアジュバントと混合する前に上清を不活化する工程を含むことができる。不活化は上清をろ過する前またはろ過した後で実施することができる。
本発明はさらにアクチノバシルス・スイス感染を対象動物で診断する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:a)A.スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させ、前記培養物から上清を収集し、さらに前記上清をろ過することによって調製されるろ過上清を提供する工程、b)前記ろ過上清を対象動物から入手したサンプルと接触させる工程、および、c)ろ過上清中の成分と結合できる抗体がサンプルで検出されたら対象動物がA.スイスに感染していると認定する工程。
当業者は、抗体がある成分と結合できるか否かを確認する適切な種々の技術に習熟しているであろう。例えば、結合は、サンプル中の抗体と結合できる第二の抗体を用いることによって検出できる。そのような第二の抗体による結合は、比色アッセイまたは他の適切な手段によって検出できる。
本発明はまた以下を含むキットを提供する:a)アクチノバシルス・スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させ、前記培養上清を収集し、さらに前記上清をろ過することによって調製されるろ過上清、b)アジュバント、およびc)前記上清およびアジュバントを包装するための容器。前記ろ過上清およびアジュバントは一緒に包装されても別々に包装されてもよい。
キットはさらにキットを使用するための指示を含むことができる。キットはまた、ろ過上清およびアジュバントを対象動物に投与する手段を含むことができる。前記上清およびアジュバントを混合する手段もまたキットに含まれ得る。
本発明の組成物はさらに獣医が許容できる担体、第二のアジュバントまたは前記の組合せを含むことができる。そのような組成物はワクチンとして用いることができ、弱毒化ワクチン、不活化ワクチンまたは前記の組合せを含むことができる。そのようなワクチンは、アクチノバシルスに関係する少なくとも1つの疾患に対して防御的な免疫学的応答を誘引することができる。
本発明の方法で使用される好ましい不活化剤は、バイナリーエチレンイミン(BEI)およびホルマリンから成る群から選択される。ホルマリンがより好ましい不活化剤である。他の不活化剤および方法(すなわち加熱、pHの変更など)も当分野で公知であり、そのような薬剤および不活化方法が生成される組成物の免疫原性特性または安全性に悪い変化を与えないかぎり、本発明の実施に相互に用いることができることは当業者には理解されよう。
本発明の方法はまた、本発明の組成物を獣医が許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せと混合する工程を含むことができる。担体、アジュバントまたは前記の組合せの選択はとりわけデリバリールート、個人の好みおよび動物種によって決定できることは当業者には理解されよう。
好ましい投与ルートには、鼻内、経口、皮内および筋肉内が含まれる。飲み水での投与(もっとも好ましくはただ1回の投与として)が好ましい。本発明の組成物はまた、2回または3回以上の接種用量で、他のルートでも同様に投与することができることは当業者は理解されよう。例えばそのような他のルートには、皮下、皮内、静脈内、血管内、動脈内、腹腔内、脊髄内、気管内、皮内、心臓内、肺葉内、骨髄内、肺内または膣内が含まれる。所望される処置期間または有効性に応じて、本発明の組成物は1回または数回、または間欠的に、例えば数日間、数週間または数カ月間に毎日、種々の接種用量で投与できる。
本発明はまた対象動物にワクチン接種するためのキットを提供し、前記キットは、印刷した指示、動物にワクチンを投与することができるディスペンサー、および対象動物で免疫応答を効果的に刺激する1つまたは2つ以上の成分を有するA.スイス培養由来上清の1セットを含む。本発明のキットはさらに、獣医が許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せを含むことができる。
本発明のキットのディスペンサーはその内容物を液滴として分配することが可能であり、さらにキットに含まれるA.スイス上清は、対象動物に投与したときA.スイス感染の少なくとも1つの臨床徴候の重症度を軽減することができる。好ましくは、臨床徴候の重症度は、未処置の感染対象動物と比較したとき少なくとも10%軽減される。
“免疫原性または免疫学的組成物”は、少なくとも1つのA.スイス上清、またはその免疫原性部分を含む物質の組成物を指す。前記A.スイス上清は、対象動物で前記組成物に対する細胞性または抗体媒介性免疫応答の免疫学的応答を誘引する。本発明の好ましい実施態様では、免疫原性組成物は免疫応答を誘発し、より好ましくはアクチノバシルス感染の臨床徴候の1つまたは2つ以上に対し防御免疫を付与する。
“免疫応答”または“免疫学的応答”は、対象の組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の発生(ただし前記に限定されない)を意味する。通常、免疫応答または免疫学的応答には以下の作用の1つまたは2つ以上が含まれる(ただしこれらに限定されない):抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞傷害性T細胞(これらは対象の組成物またはワクチンに含まれる1つの抗原または複数の抗原に特異的に向けられる)の生成または活性化。好ましくは、ワクチン接種対象動物は治療的または防御的な免疫学的(メモリー)応答を示し、その結果、新規な感染に対する抵抗性が強化され、および/または当該疾患の臨床的重症度が軽減されるであろう。そのような防御は、症状の数、症状の重症度の軽減、または病原体感染に付随する症状の1つまたは2つ以上の欠落、臨床症状開始の遅延、残存病原体の減少、全体的病原体負荷の減少および/または病原体排出の減少によって示されるであろう。
“A.スイスに対する防御”、“防御免疫”、“機能的免疫”および同様な語句は、以前にA.スイスに曝露されたことがない非免疫対象動物で予想される有害な影響を減少させる免疫スケジュールによって生じたA.スイスに対する免疫応答を意味する。すなわち、感染の有害な作用の重症度は、免疫された対象動物の免疫系が当該細菌に対して抵抗性を有するので軽減される。免疫された対象動物(好ましくはブタ)では、感染は抑制されるか、進行速度が遅くなるか、または可能な場合には完全に防御され得る。本明細書では完全な感染の防御を意味する場合は、特に言及される。特に完全な防御が言及されない場合は、防御という用語には部分的防御が含まれる。
本明細書では、“臨床徴候の発生率の軽減および/または重症度の軽減”または“臨床症状の緩和”は、野生型感染と比較して、群れの感染対象動物の数の減少、感染の臨床徴候を示す対象動物の数の減少または排除、または対象動物に存在するいずれかの臨床症状の重症度の緩和を意味する(ただし前記に限定されない)。例えば、前記用語は、病原体負荷、病原体排出の任意の減少、病原体伝播の減少、またはA.スイス感染のいずれかの症候性臨床徴候の緩和を指すであろう。好ましくは、これらの臨床徴候は、本発明の組成物を投与された対象動物では、本発明の組成物を投与されずに感染した対象動物と比較して少なくとも10%軽減される。より好ましくは、臨床徴候は、本発明の組成物を投与された対象動物では少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%軽減される。
本明細書では“防御の増強”は、ワクチン非接種コントロール対象動物群に対するワクチン接種対象動物群における、A.スイス感染に関係する1つまたは2つ以上の臨床症状の統計的に有意な軽減を意味する(ただし前記に限定されない)。“臨床症状の統計的に有意な軽減”は、ワクチン接種対象動物群における少なくとも1つの臨床症状の発生頻度が、感染性アクチノバシルス細菌によるチャレンジ後にワクチン非接種コントロール群よりも少なくとも20%、好ましくは30%、より好ましくは50%、さらに好ましくは70%低いことを意味する(ただし前記に限定されない)。
本明細書で用いられる組成物は公知の注射可能な生理学的に許容可能な無菌的溶液を含むことができることは当業者には理解されよう。非経口的注射または輸液のための即席溶液の調製のために、等張な水溶液、例えば食塩水または血漿タンパク質溶液が容易に利用できる。さらにまた、本発明の免疫原性またはワクチン組成物は獣医が許容できる担体、希釈剤、等張剤、安定化剤またはアジュバントを含むことができる。
本明細書で用いられるように、“獣医が許容できる担体”には任意のかつ全ての溶媒、分散媒体、被覆剤、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌および防カビ剤、等張剤、吸収遅延剤などが含まれる。いくつかの好ましい実施態様、特に凍結乾燥免疫原性組成物を含む実施態様では、本発明で使用される安定化剤には凍結乾燥またはフリーズドライ用安定化剤が含まれる。
いくつかの実施態様では、本発明の免疫原性組成物はアジュバントを含む。本明細書で用いられる“アジュバント”には、水酸化アルミニウムおよびリン酸化アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルションが含まれ得る。エマルションは特に以下を基剤にできる:軽質パラフィン油液(欧州局方タイプ);イソプレノイド油、例えばスクォランまたはスクォレン;アルケン特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化から生じる油;酸または線状アルキル基を含むアルコールのエステル、より具体的には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール、ジ-(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ-(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエート;分枝脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステル。油は乳化剤と一緒に用いられてエマルションを形成する。乳化剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、特に以下のもの(ソルビタン、マンノイド(例えば無水オレイン酸マンニトール)、グリコール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびオレイン酸、イソステアリン酸またはヒドロキシステアリン酸(前記は場合によってエトキシル化される))のエステル、およびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、具体的にはプルロニック(Pluronic)製品、特にL121である。例えば以下を参照されたい:Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.). JohnWiley and Sons, NY, pp51-94 (1995);Todd et al., Vaccine 1997, 15:564-570。
他の例示的アジュバントは、以下の文献(“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach”, M. Powell and M. Newman, Ed., Plenum Press, 1995)の147ページに記載されているSPTエマルション、および同書の183ページに記載されているエマルションMF59である。
アジュバントのさらに別の例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよび無水マレイン酸とアルケニル誘導体とのコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、特に糖またはポリアルコールのポリアルケニルエーテルで架橋されたアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物はカルボマー(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)という名称で知られている。当業者はまた米国特許2,909,462号を参照できる。前記文献は、少なくとも3つのヒドロキシル基(好ましくは8つを超えず、少なくとも3つのヒドロキシルの水素原子が少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族基によって置換されている)を有するポリヒドロキシル化化合物で架橋されたそのようなアクリル酸ポリマーについて記載している。そのような好ましい基は、2から4の炭素原子を含むもの、例えばビニル、アリルおよび他のエチレン系不飽和基である。前記不飽和基はそれ自体他の置換基(例えばメチル)を含むことができる。カルボポール(Carbopol;BF Goodrich, Ohio, USA)の名称で販売されている製品が特に適切である。それらは、アリルシュクロースまたはアリルペンタエリトリトールで架橋される。それらの中ではCarbopol 974P、934Pおよび971Pを挙げることができる。もっとも好ましいのは、Cabopol 971Pの使用である。無水マレイン酸とアルケニル誘導体とのコポリマーにはコポリマーEMA(Monsanto)があり、前記は無水マレイン酸とエチレンのコポリマーである。これらポリマーの水への溶解は酸性溶液を生じ、前記は、アジュバント溶液を生成するために好ましくは生理学的pHに中和され、このアジュバントに免疫原性、免疫学的またはワクチン組成物それ自体が取り込まれるであろう。
さらに適切なアジュバントには、とりわけRIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta GA)、SAF-M(Chiron, Emeryville CA)、モノホスホリル脂質A、アブリジン脂質-アミンアジュバント、大腸菌(E. coli)の易熱性内毒素(組換え型またはそうではないもの)、コレラ毒素、IMS 1314またはムラミルジペプチド、または天然もしくは組換えサイトカインまたはそのアナローグ、または内因性サイトカイン放出の刺激物質が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
“希釈剤”には水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが含まれ得る。等張剤には、とりわけ塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースが含まれ得る。安定化剤には、とりわけアルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が含まれる。
アジュバントは、1用量当たり約100μgから約10mgの量で、好ましくは1用量当たり約100μgから約10mgの量で、より好ましくは1用量当たり約500μgから約5mgの量で、さらに好ましくは1用量当たり約750μgから約2.5mgの量で、もっとも好ましくは1用量当たり約1mgの量で添加できると予想される。或いは、アジュバントは、最終生成物の体積に対して約0.01から50%の濃度で、好ましくは約2%から30%の濃度で、より好ましくは約5%から25%の濃度で、さらに好ましくは約7%から22%の濃度で、もっとも好ましくは10%から20%の濃度であり得る。
本明細書では、“有効用量”は、A.スイス上清が投与された対象動物で臨床症状の軽減を生じる免疫応答を誘引する、または誘引できるA.スイス上清またはろ過上清の量を意味する(ただし前記に限定されない)。
“安全性”は、ワクチン接種後にワクチンを接種された対象動物に好ましくない結果が存在しないことを指し、前記結果には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):細菌系ワクチンの病毒性への潜在的復帰、臨床的に重大な副作用、例えば持続的全身的な症状またはワクチン投与部位における許容不能な炎症。
本明細書で用いられる、“ワクチン接種”または“ワクチンを接種する”またはその変化形は、本発明の組成物を対象動物に投与したときに、A.スイスに対する免疫応答を対象動物で誘引または誘引できる(直接的であれ間接的であれ)本発明の組成物の投与を含むプロセスを意味する(ただし前記に限定されない)。
A.スイスによって引き起こされる感染を治療または予防する方法もまた開示される。本方法は、本発明の免疫原性組成物の有効量を対象動物に投与する工程を含み、ここで前記治療または予防は、A.スイス感染の徴候の軽減、A.スイス感染の臨床徴候の重症度または発生率の軽減、A.スイス感染による対象動物の死亡率の軽減および前記の組合せから成る群から選択される。
本発明との関係では“死亡率”はA.スイス感染によって引き起こされる死を指し、感染が非常に重篤であるために動物を安楽死させて更なる罹病を防止し人道的に死に至らしめる状況を含む。
“弱毒化”は病原体の病毒性を低下させることを意味する。本発明では“弱毒化”は“非病原性”と同義語である。本発明では、弱毒化細菌は、A.スイス感染の臨床徴候を引き起こさないが標的対象動物で免疫応答を誘引することができるものであるが、さらにまた、非弱毒化A.スイスを感染させかつ弱毒化細菌が投与されていない“コントロール群”の対象動物と比較して、弱毒化A.スイスを感染させた対象動物では臨床徴候が発生率または重症度において軽減されることも意味する。この関係では、“軽減する/軽減させる”は、上記に定義したコントロール群と比較して、少なくとも10%、好ましくは25%、さらに好ましくは50%、さらに好ましくは60%、さらに好ましくは70%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは90%、もっとも好ましくは100%の軽減を意味する。
本発明の目的のためには“有効量”は、対象動物でA.スイス感染の発生率を軽減させるかまたは重症度を緩和させる免疫応答を誘発することができる免疫原性組成物の量を意味する。有効量は1用量当たりのコロニー形成単位(CFU)またはlog/用量に該当する。
“長期持続防御”は、少なくとも3週間、より好ましくは少なくとも3ヶ月、さらに好ましくは少なくとも6ヶ月持続する“改善された有効性”を指すであろう。長期持続防御はブタが食肉として出荷される平均齢まで持続するのがもっとも好ましい。
本明細書では、文脈による特段の要求がないかぎり、単数の用語は複数を含み複数の用語は単数を含むであろう。本出願においては、特段の規定がなければ“or”の使用は“and/or”を意味する。
本発明の他の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明から明白となろう。詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すが、しかしながら本詳細な説明から本発明の範囲内において多様な変更および改変が当業者には明らかとなるので、前記は単なる例示として提供されることは理解されるべきである。
以下の図面は本明細書の部分を構成し、本発明の一定の特徴をさらに明示にするために含まれる。本発明は、本明細書に提供する具体的な実施態様の詳細な説明と併せてこれら図面の1つまたは2つ以上を参照することによって一層理解され得よう。
実験の0日目から41日目までの処置群における毎日の平均体温である。
本発明は、アクチノバシルス・スイスによる感染の抑制、治療、防御または予防に有用な方法および組成物を提供する。ここではA.スイスの種々の血清型または単離株による異種チャレンジに対するA.スイス原型ワクチンの有効性が記載される。これらのワクチンは処置動物で免疫原性反応を有効に刺激することが示された。いくつかのワクチンはA.スイスに対して十分に防御的な反応を刺激した。
A.スイスワクチン原型は種々の培養画分(例えば全細胞、上清または外膜タンパク質(omp))およびA.プリューロプニューモニアエ(A. pleuropneumoniae)に対するインゲルバック(商標)(Ingelvac(商標))APP-ALC生ワクチンを含んでいた。全細胞ワクチンは、細胞培養の遠心分離で生じたペレット材料から作製された。培養上清は、遠心分離で生じた上清から作製された(前記上清は、遠心分離中に除去されなかった外毒素、内毒素、分泌されたまたは剥がれたomp、および他の細胞性成分を含んでいた可能性がある(実施例1を参照されたい))。インゲルバック(商標)APP-ALC生ワクチンは、APPがA.スイス毒素と非常に類似するApx IおよびII毒素をコードするので加えられた。インゲルバック(商標)APP-ALCワクチンはA.スイスに対してある程度の交差防御を提供し得ると仮定されていた。
本有効性実験は、3週齢±7日齢の離乳豚の6つの処置グループから成っていた。処置グループ1(15匹のブタ)は、1x2mLの筋肉内(IM)接種用量のA.スイスのホルマリン不活化全細胞画分をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ2(15匹のブタ)は、1x2mL IM接種用量のホルマリン不活化A.スイス培養上清画分をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ3(15匹のブタ)は、1x2mL IM接種用量のA.スイス外膜タンパク質(omp)細胞性画分をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ4(15匹のブタ)は、1x2mL IM接種用量のインゲルバック(商標)APP-ALCをそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。“チャレンジコントロール”と称される処置グループ5(15匹のブタ)は、1x2mL IM接種用量のプラセボをそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ6(10匹のブタ)は“厳密コントロール”と称され、ワクチンもプラセボも投与されなかった。
チャレンジ日(35日目)に、グループ1−5のブタに、1x109.0 log/接種用量を含むA.スイス株ISU-8594を鼻内(IN)接種により6mL接種用量/ブタ(各鼻孔に3mL適用)で投与した。実験を通して(0日目から41日目まで)一般的観察を実施し、ブタの全体的健康状態とともに注入部位の反応性および直腸温度を記録した。実験の41日目に全動物を安楽死させ、肺の全切片を肺病変のパーセンテージ決定のために採点した。肺(病変(存在する場合)を有する3つの肺葉)、肝、腎、脾、扁桃の生および固定(肺のみ)サンプル、並びに鼻甲介、気管、気管支、髄膜および心臓血拭き取り標本を各動物から収集し、細菌単離および組織病理学調査(肺のみ)のために培養した。
A.スイス画分およびプラセボグループにはエマルシゲン(商標)-D(Emulsigen(商標)-D)がアジュバントとして添加され、注入部位にいくらかの副反応がこれらのグループで観察された。上清グループ(グループ2)の1匹のブタに最初のワクチン接種中に注入部位に軽度の反応が観察された。全体的に、試験品に混合されたエマルシゲン(商標)-Dは、上清グループおよびompグループにおいて顕著な注入部位反応を全く生じなかった。しかしながら、全細胞グループでは、数匹の動物が剖検時に存在する膿瘍を有し、前記は当該試験品の処方(濃縮された全細胞ストックから成る)に起因した可能性がある。これらの原型ワクチン(すなわち全細胞、上清およびomp)の投与は、投与期間中に良好な許容性を示すように思われた。APP-ALCグループはいくつかの注入部位に腫脹を有したが、このことは、ワクチン接種動物の11%に腫脹が見られるという製品説明と合致する。
各処置グループのブタの全体的健康状態はチャレンジ前の期間中良好であった。処置グループ4の1匹のブタだけがこの期間中に実験から排除された。このブタは、APPワクチンの投与とは無関係と考えられる細菌の感染のために排除した。更なる観察で、チャレンジコントロールグループの1匹のブタが実験の7日目から24日目に右足の跛行を有することが示された。このブタはチャレンジ前期間の臨床観察結果をゆがめ、実験と無関係と考えられたので、実験データ解析から除去した。さらにまた、全細胞グループの1匹のブタが体調不良を示し数日後に死亡した。ワクチン接種前の期間にいずれのブタも呼吸器に関する問題症状を示さなかった。
一次および二次パラメーターの査定は、厳密コントロールグループ(処置グループ6)と比較してチャレンジコントロールグループ(処置グループ5)で生じた病変発生の有意な(p<0.05)増加によって立証された。この査定は、病毒性純粋培養のA.スイスチャレンジブタモデルの有効性を立証した。更なる比較をチャレンジコントロールに対して(グループ1−4を比較するときは厳密コントロールに対してではなく)実施した。
6日間のチャレンジ期間の間、全細胞グループの1匹のブタがチャレンジ後1日でA.スイス感染による急性死のために死亡した。以前のチャレンジ実験によれば、鼻内ルートおよびその有効性は、試験動物における顕著な病変の発生および識別可能な致死性突然死を引き起こすために適切であり、全細胞グループのこの1匹のブタの症例がそれであったと考えられた。
平均肺病変スコアおよび病変存在パーセントによれば、肉眼肺病変スコアはチャレンジグループで最も甚大のように思われた。統計解析は、グループ1から5を比較したとき、平均肺病変スコアまたは病変存在パーセントにおいて統計的相違を示さなかった(p<0.05)。数字で表せば、チャレンジコントロールは全体的に最も高い平均肉眼肺病変スコアを取得し、これに全細胞グループおよびompグループが続いた(前記もまた比較的高いスコアを得た)。病変発生は上清グループおよびAPPグループで低かった(前記は他のグループと比較して低い数字スコアを取得した)。1−5の全グループで少なくとも50%のブタが肉眼病変スコアを有し、チャレンジグループおよびompグループでは80%ものブタが病変発生を示した。
さらにまた、顕微鏡による肺病変解析ではA.スイス感染の認証特性、すなわち気管支肺炎、壊死および胸膜炎の重症度が基準にされた。気管支肺炎および壊死はチャレンジコントロールおよびompグループでより重症であり、顕微鏡病変スコアは上清グループおよびAPPグループでより低かった。APPグループは、顕微鏡病変データによればA.スイス感染に対してもっとも良好な防御サインを示し、統計的相違(p<0.05)は、壊死および胸膜炎についてはグループ3の間で、胸膜炎についてはグループ5(チャレンジ)の間で見出された。全グループで細菌コロニーの存在は約20%から約46.7%の範囲で、もっとも低いコロニー形成パーセントは全細胞グループおよびAPP(20.0%)グループで認められた。
モニターした二次パラメーターを、一次有効性パラメーター(すなわち肉眼および顕微鏡(IHC)病変)、各処置グループのワクチンおよびチャレンジによる応答の支援に用いた。チャレンジ期間の間に実施した臨床観察によれば、チャレンジコントロールは、ワクチン処置グループ1−4と比較したとき全体的により高いスコアを有し、チャレンジコントロールはこのチャレンジに応答したことを示唆した。上清グループは臨床的に影響を受けたようには見えなかった。しかしながら、全グループが、咳、体調または行動に関していくらかの呼吸器の問題を有する数匹のブタを含んでいた。
処置グループでは、最初のワクチン接種後4時間で平均直腸温度の上昇(40℃(104°F)を超える)があった。APPグループおよびompグループの温度は、ワクチン接種後4時間して40℃(104°F)(前記は発熱の分岐点であった)でまたは前記温度を超えて突出し、ompグループについては約24時間持続した。これらグループの温度は1日目または3日目に正常に戻った。ブースターでは、体温は28日目にのみ測定し、最初のワクチン接種の場合のように接種後4時間、1、3および5日目には測定しなかった。ブースター期間中、28日目にAPPグループは全細胞および上清グループと比較したとき統計的に相違を示した(p<0.05)。チャレンジ期間中、チャレンジコントロールは前記期間の初めと終わりの両方で全体的により高い直腸温度を示した。全細胞グループは38日目と39日目の間で最も高い直腸温度を示した。チャレンジコントロールグループは最も高い発熱動物全体パーセント(10/15)を有し、これに全細胞(8/15)、OMP(5/15)、上清(2/15)およびAPP(1/15)グループがそれぞれ続いた。
細菌の単離は肺および扁桃サンプルで最も高かった。A.スイスの最高の回収はチャレンジコントロールグループでもたらされた。厳密コントロールグループは鼻および扁桃サンプル(それぞれ10のうち3つおよび10のうち1つ)を除いて陰性であった。前記の結果は陽性として記録し、BCAまたは他の手段で立証しなかった。これらの結果についての可能な理由は寒天プレートの過誤による判定の誤りまたは拭き取り標本処理時の相互汚染であり得る。さらにまた、3つのパラメーターがA.スイスの非常に低い回収率を示した。前記は脾、髄膜および心臓血で、したがってこれらは解析には加えなかった。内臓器官および心臓血におけるA.スイスの低い回収率に起因して全体的に敗血症の割合は低かった。3匹の動物でこのチャレンジが脳血液関門を越えたという証拠が提示された(前記動物は重篤な感染を示した)。検出された他の細菌はボルデテラ(Bordetella)、アルファおよびベータストレプトコッカスであった。
ウェスタンブロット手順を用いる血清学検査を実施して、処置グループのワクチン接種に用いた試験品に対する反応性について試験した。ウェスタンブロットは、全細胞、上清およびomp画分に対し1:100の希釈で検出可能な血清変換を示した。APP画分はもっとも良好な反応性を示し、1:1000の希釈で検出可能で、宿主が各処置グループのワクチン接種のために用いた画分のいくらかの部分を認識したことを示唆した。
全体的に、APPおよび上清の原型ワクチンを接種されたブタで最良の防御が生じた。前記に比較して、全細胞ワクチンもompワクチンも、またはLPS誘導抗原もA.スイスチャレンジに対し強力な防御は提供しなかった。チャレンジ実験の詳細は下記の実施例で提供される。
特段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本出願時に本発明が属する分野に習熟した者の一人が通常的に理解する意味と同じ意味を有する。したがって特段の規定がある場合には、本明細書で提供される規定が一切の辞書の定義または付帯的定義に優先する。さらにまた、文脈による特段の要請がないかぎり、単数の用語は複数を含み複数の用語は単数を含むであろう。本明細書においては、特段の規定がなければ“or”の使用は“and/or”を意味する。本明細書に引用される全ての特許および刊行物は参照により本明細書に含まれる。
実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を提示するために含まれている。以下の実施例で開示される技術は、本発明の実施で良好に機能することが本発明者らによって見出された技術であり、したがって本発明の実施のために好ましい態様を構成すると考えることができることは当業者には理解されよう。しかしながら、開示された具体的な実施態様において、本明細書の開示に導かれて、多くの変更が本発明の範囲から逸脱することなく実施され、なお同様のまたは類似の結果を得ることができることは当業者には理解されよう。
原型ワクチンおよびチャレンジ処置
A.原型ワクチンの調製
スイス(KSU-1)培養の増殖:1mLのA.スイス(103007-1KSU)ロット番号201-9,10,11を250mLスピンナー中の150mLのBHI培養液(lot # 195-121)に接種した。接種培養液を約72rpmで6時間37℃に置いた。その後、前記接種培養液の約2.5mLを約2500mLの新しいBHI培養液に添加した。この工程を2500mLの4バッチが調製されるまで繰り返した。前記4バッチを約70rpmにて一晩37℃でインキュベートした。2つのバッチを全細胞、ompおよび上清画分の単離に用い、1つのバッチを濃縮全細胞の調製に用い、最後のバッチをLPS抽出に用いた。
細胞画分の採集:接種後15時間でバッチの光学密度を読み取る。600nmで0.775から0.815の範囲の光学密度のものを各培養からストリーキングし、培養が純粋なA.スイスであることを立証した。
OMP画分および上清画分を収集するために、2つの培養バッチを500mLの遠心管に移し、JA-10ローターに置き10Kで10分遠心する。上清をデカントし、ペレットを無菌的な250mLコーニング(Corning)遠心管に移した。前記ペレットをJA-10ローターにて10分間5000rpmで遠心し、残留上清を除去した。前記ペレットをプールし、サルコシル抽出(下記参照)まで-80℃で保存した。デカントした上清をプールし、0.45μmフィルター(Nalgene 0.45 SFCA)を用い無菌的な2Lのパイレックス(Pyrex)(登録商標)ボトルへろ過した。前記ろ過上清を2x850cm RB、81x5mLバイアル、および4x250mLナルゲン(Nalgene)ボトルに分注した。ろ過上清は使用まで-20℃で保存した。
濃縮(10x)全細胞ペレット画分を収集するために、1つの培養バッチを上記のように採集するが、ただしペレットは300mLのTSP緩衝液に再懸濁させた。前記溶液をよく混合し、50x2mLバイアルおよび4x50mLワクチンボトルに分注した。再懸濁させた全細胞ペレットは使用まで-80℃で保存した。
LPS画分を調製するために、A.スイス培養物を上記のように採集した。ペレットを1xPBS緩衝液に再懸濁させ、再度10Kで10分間遠心した。上清をデカントし、ペレットを1Lの1xPBS緩衝液に再懸濁させた。約600nmで読み取った光学密度は1.003で、前記はLPS抽出のために予想された0.8−1.200の範囲内である。前記LPS画分を3x250mLナルゲンボトルに分注し、使用まで-80℃で保存した。LPS画分の残りの体積をLPS抽出のために4℃で保存した。
KSU-1全細胞ホルマリン不活化ワクチン:600ナノメートルの波長で測定した細胞培養の光学密度(OD)は採集時に0.775であった。以前の実験では、この光学密度は、コロニー形成単位(cfu)によるlog/mLを決定する対数概算曲線によればほぼ8.7log/mLに相関する。前記全細胞画分を10xに濃縮し凍結した。前記凍結ストックを続いてホルマリン不活化し、さらに全画分の67.5%に希釈した(54mLの培養物を26mLの1xリン酸緩衝食塩水(pbs)に加える)。前記不活化稀釈ワクチンストックを4℃で保存した。
前記全細胞ホルマリン不活化ワクチンストックを処方のために4℃から取り出した。生物系危険防止フード下で、磁石バーを入れた無菌的な100mLのパイレックスボトルに前記材料を80mLずつ分注した。前記ボトルを攪拌台に置き、持続的に攪拌しながら、1分かけて20mL(20% v/v)のアジュバント(Emulsigen(商標)-D)を添加した。続いてこのアジュバント添加原型ワクチンをさらに10分間攪拌した。前記材料を100mLのワクチンボトルに移し、蓋をして4℃に静置した。この全細胞ホルマリン不活化原型ワクチンのロット番号はN201-110-WC-073108(7日目)およびN201-122-WC-082108(21日目)とした。
無菌的であることは、5%ヒツジ血液寒天プレート(BAP)において37℃で0日目および21日目についてそれぞれ28時間および30時間好気的にインキュベーションした後で何の増殖もないことにより立証された。原型ワクチン材料は、試験動物への投与前およびワクチン投与の全工程の間氷上で維持した。
KSU-1上清ホルマリン不活化ワクチン:上清原型物は、全細胞画分調製物(上記参照)の10x濃縮工程から、上清を収集し前記を0.45ミクロンフィルターでろ過することによって処方された。得られたろ過上清を凍結した。続いて前記上清をホルマリン不活化し、処方まで4℃で保存した。処方工程は、全細胞ホルマリン不活化ワクチンと同様であった。上清ホルマリン不活化ワクチンのロット番号は、N201-110-Supe-073108(7日目)およびN201-122-Supe-082108(21日目)であった。
無菌的であることの立証、および試験動物への投与前およびワクチン投与の全工程の間の原型ワクチン材料の維持は先に記載したとおりであった。
KSU-1 OMP画分ワクチン:OMP画分は、以下のOMPサルコシル抽出工程を用いることによって、KSU-1培養(単離株BI-103007-1KSU)物から調製したペレットから作製し-80℃で保存した。ペレットはベンチトップで融解した。前記ペレット(22.5g湿潤重量)を130mLの10mM HEPES均衡塩類溶液で再懸濁し、4本の50mL円錐形ファルコン(Falcon)管に分注した(40mL/管)(1mLの再懸濁ペレットサンプルをタンパク質定量および解析のために保持した)。再懸濁ペレットを氷浴に置き、(大型/マイクロチップ)プローブを用い超音波パルス設定を1パルス/秒に設定して1分間超音波処理した(50mLアリコット)。前記超音波処理を3回繰り返した(1mLの超音波処理後サンプルを保持した)。前記超音波処理ペレットを50mL管にて17,000xgで20分遠心した。その後、上清をデカントし別の容器にプールした。二シンコニン酸(bicinchoninic acid)アッセイ(BCA)までペレットを4℃で保存し、その後廃棄した。
前記プールした上清を約0.0128kg/管にて以下の設定で超遠心処理した:124,000xg(30,000rpm)、1:10時間、4℃、最大加速およびブレーキ無し。上清をデカントし以前の上清とプールし、4℃で保存した。約1mLの10mM HEPESを超遠心管の各ペレットの上部に添加し、前記ペレットを4℃で一晩インキュベートし遠心管から剥離させた。さらに2mLの10mM HEPESを各管に添加しペレットを再懸濁させた。再懸濁させた各ペレット溶液に10mM HEPESを適量加えて全量を6mLにし、さらに6mLの2%サルコシルを各々に添加した。溶液を室温で30分インキュベートした。その後、2%サルコシルを用いて、前記遠心管のバランスを超遠心バケットで合わせ、124,000xg(30,000rpm)、1:10時間、4℃、最大加速およびブレーキ無しで超遠心を実施した。上清を容器に収集し、1mLの10mM HEPESを各ペレットに添加した。このOMPペレットをタンパク質濃度の測定またはタンパク質の可視化の前に1時間4℃で保存した。
二つ組のサンプル(1:10稀釈)を還元MOPS 10−12%ビストリスSDS-PAGEゲルまたはNuPAGE 4-12%ビストリスゲルで泳動しタンパク質バンドを可視化させた。BCAを用いて最終OMPストックの総タンパク質濃度を決定し、さらにアジュバントによる処方の前に決定した。BCAによって入手した値によれば、OMP抽出物ストックに含まれるタンパク質の全量は1.75μg/mLであった。この値によれば、処方済みOMP原型ワクチンの有効性は250μg/接種用量であった。再懸濁した抽出OMP画分は200μLサンプルとして小分けし、ラベルを付し-70℃で凍結した。
0.5mLの抽出OMP画分を含む5本のバイアルを-70℃から取り出した。これらのバイアルを室温で融解した。生物系危険防止フード下で、23.25mLの1xリン酸緩衝食塩水(pbs)および2.35mLのOMP材料を、磁石バーを入れた無菌的な100mLのパイレックスボトルに加えた。前記ボトルを攪拌台に置き、持続的に攪拌しながら、1分かけて6.4mL(20% v/v)のアジュバント(Emulsigen(商標)-D)を添加した。続いて、前記アジュバント添加OMP原型ワクチンをさらに10分間攪拌した。このOMP原型ワクチンを60mLのワクチンボトルに移し、蓋をして4℃に静置した。前記OMP原型ワクチンのロット番号は、N201-110-OMP-073108(7日目)およびN201-122-OMP-082108(21日目)とした。
無菌的であることの立証、および試験動物への投与前およびワクチン投与の全工程の間の原型ワクチン材料の維持は先に記載したとおりであった。
Ingelvac(商標) APP-ALCワクチン:一瓶のAPP-ALCを-70℃から取り出し、微温湯中で融解した。融解したら直ちに16ゲージの滅菌注射針を用いてサンプルを取り出し、有効性検定のためにワクチンボトルに入れた。前記ワクチンボトルを4℃に置いた。インゲルバックAPP-ALCの力価測定を0日目および21日目に実施し1用量当たりのコロニー形成単位(CFU)を決定した。サンプルを10倍連続希釈し、ミューラーヒントンチョコレート寒天(Mueller Hinton Chocolate Agar)平板にプレートした。トリプリケートを作製し、CFU決定前に37℃で24時間インキュベートした。コロニー形成単位はそれぞれ0日目:9.99log/接種用量および21日目:10.2log/接種用量であった。Ingelvac(商標) APP-ALCワクチンのロット番号は、N201-110-APP-073108(0日目)およびN201-122-APP-082108(21日目)とした。
試験動物への投与前およびワクチン投与の全工程の間の原型ワクチン材料は先に記載したように維持した。
プラセボワクチン:生物系危険防止フード下で、磁石バーを入れた無菌的な100mLのパイレックスボトルに60mLの1xリン酸緩衝食塩水(pbs)を分注した。前記ボトルを攪拌台に置き、持続的に攪拌しながら、1分かけて15mL(20% v/v)のアジュバント(Emulsigen(商標)-D)を添加した。続いてこのアジュバント添加原型物をさらに10分間攪拌した。前記材料を100mLのワクチンボトルに移し、蓋をして4℃に静置した。このプラセボワクチンのロット番号はN201-109であった。
無菌的であることの立証、および試験動物への投与前およびワクチン投与の全工程の間のプラセボ原型材料の維持は先に記載したとおりであった。
B.チャレンジ処置の準備
使用チャレンジ株はA.スイス単離株ISU-8594p5であった。チャレンジ材料は、800mLのブタ脳心臓滲出(BHI-ブタ)培地を含む1リットルのベルコ(Belco)スピンナーフラスコに5mLのISU-8594p4を接種することによって作製された。前記スピンナーフラスコを37℃のインキュベーターにて約100rpmでインキュベートした。前記培養物を接種後約5時間30分培養して光学密度(OD600)0.109に増殖させた。続いて前記培養物を6x100mLワクチンボトルに移した。前記ボトルに総体積100mLを加え栓をしさらに蓋をした。アイスパックを含むクーラーに5本のボトルを入れ、さらにアイスパックを含む別のクーラーに1本のボトル(力価測定のために他の5本のボトルを代表する)を入れた。チャレンジ材料の力価は、連続10倍希釈を5%ヒツジ血液寒天平板にプレートすることによって得られたCFU計測数によって決定した。得られたチャレンジ力価は1.69x108 cfu/mLまたは9.0log/6mL接種用量であった。チャレンジ材料のロット番号はN201-138であった。
チャレンジ材料は試験動物への投与前および全チャレンジ工程の間氷上で維持した。
ブタのワクチン接種
市販の3週齢±7日齢の交雑雌および去勢雄ブタの混合動物をウィルソン・プレイリー・ビューファーム(Wilson Prairie View Farms)から入手した。動物には呼吸器疾患の臨床徴候はなく、細菌性呼吸器病原体(例えばA.プリューロプニューモニア(A. pleuropneumonia)、H.パラスイス(H. parasuis)、S.スイス(S. suis)、P.ムルトシダ(P. multocida)、B.ブロンキセプチカ(B. bronchiseptica)、E.リューシオパシアエ(E. rhusiopathiae)およびA.スイスについては陰性で健常であった。ワクチン接種またはチャレンジに無関係の健康上の問題が明らかになった場合、またはそのようなときには動物を実験から排除することを考えていたが、動物は全く排除されることはなかった。
試験場所に到着した時点で、全動物に1mLのエクセネル(Excenel(商標))(短期作用性抗生物質)を注射した。試験が終了するまで動物を試験場所に収容した。到着時に動物に耳タグを付け、種、齢、サイズおよび状態に対して適切に収容した。チャレンジコントロールおよび厳密コントロールブタは、他の処置グループから離れた別の建物内に一緒にただし別の囲い内に収容した。チャレンジ時に、チャレンジコントロールを処置グループと同じ建物に移した。試験の間ずっと全ての処置グループを別々の囲いに収容した。動物には抗生物質を含まず、動物の種、齢、サイズおよび状態について適切な飼料を与えた。実験の開始時に動物は良好な健康状態および栄養状態にあった。実験に加える前に、各動物で一般的に許容される獣医検査にしたがって健康診断が臨床獣医師によって実施された。
コンピューターによる無作為番号発生(Microsoft Office Excel)を用いて、各動物に固有のランダムな数を割り当てた。続いて前記のランダムな数を小さい順に分類した。アサインメントは、ランダムな数の最小ブロックから開始してそれらを処置グループ1から6に割り当てて処置グループ全体にわたって実験ユニットを配分することによって実施された。ランダムな数を大きくしていき、実験ユニットの次のブロックを処置グループに割り当て、そのようにして全ての動物を1つの処置グループに割り当てた。
本有効性実験は、3週齢±7日齢の離乳豚の6つの処置グループから成っていた。処置グループ1(15匹のブタ)は、ホルマリン不活化全細胞A.スイスの1x2mLの筋肉内(IM)接種用量をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ2(15匹のブタ)は、ホルマリン不活化A.スイス培養上清の1x2mL IM接種用量をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ3(15匹のブタ)は、A.スイス外膜タンパク質(omp)の1x2mL IM接種用量をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ4(15匹のブタ)は、インゲルバック(商標)APP-ALC の1x2mL IM接種用量をそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。“チャレンジコントロール”と称される処置グループ5(15匹のブタ)は、1x2mL IM接種用量のプラセボをそれぞれ実験の0日目および21日目に投与された。処置グループ6(10匹のブタ)は“厳密コントロール”と称され、ワクチンもプラセボも投与されなかった。全ての動物を41日間観察した。
実験の35日目に、グループ1−5は、1x109.0 log/接種用量を含む6mL接種用量/ブタのA.スイス株ISU-8594を鼻内接種により投与された(1匹のブタの各鼻孔に3mL適用)。グループ6(“厳密コントロール”グループ)は一切の処置またはチャレンジを与えられなかった。
直腸温度は、0日目の処置前;接種後4時間;および接種後1日目(DPI)、3、5、7、14、21、28、34、35、36、37、38、39、40および41DPIに全ての動物から採取された。
静脈内全血(6−10mL)を、0日目の処置前および毎週(7、14、21、28、34および41日目)、以後の血清学的試験のために各動物から収集した。
注入部位を処置前、並びに接種後4、24、48および72時間にグループ1−5の全てのブタで調べた。注入部位を腫脹、硬化およびサイズについて調べた。データを文書に作成した。注入部位の観察について以下の採点系を用いた:腫脹(0=腫脹無し、1=腫脹有り)、外観(0=正常、1=硬い、2=軟らかい、3=膿瘍有り、4=液体排出)、サイズ(0=正常、その他の全てについてはcmで表した長と幅の寸法(すなわち長さx幅x直径)を記録した)。
以下の一切の徴候について臨床観察を0日目から41日目まで実施した:呼吸窮迫(呼吸困難、くしゃみ、咳、呼吸運動の変調を含む)、食欲減退、跛行、関節腫脹、脱水、起立能力、パッドリング、連続して2日以上の瀕死の状態、または死亡。
実験中に重篤な臨床症状を示した動物は人道的に安楽死させ剖検して死因を決定した。実験41日目に、全動物を安楽死させ、肺の全切片を肺病変のパーセンテージ決定のために採点した。肺(病変(存在する場合)を有する3肺葉)、肝、腎、脾、扁桃の生および固定(肺のみ)サンプル、並びに鼻甲介、気管、気管支、髄膜および心臓血拭き取り標本を各動物から収集し、細菌単離および組織病理学調査(肺のみ)のために培養した。
原型ワクチンの有効性の評価
A.統計解析
統計解析は、データ処理および解析のためのSASバージョン9.1.3を用いて実施した。平均、標準偏差、標準誤差、中央値、範囲、95%信頼区間、変動係数および頻度分布を含む統計摘要を、適切な全てのデータについて作製した。統計は、全処置ブタ間の全てのペア形式比較を含んでいた。処置グループ間の相違を決定するための有意性についての全ての試験はp≦0.05レベルの両側検定とした。
一次有効性パラメーターは正常では存在しない顕微鏡病変スコアおよび肉眼病変スコアで、前記はウィルコクソン2標本検定(Wilcoxon 2-Sample Test)およびフィッシャーの正確確率検定(Fisher’s Exact Test)によって比較した。二次有効性パラメーターは、(1)ウィルコクソン2標本検定を用いて比較した臨床徴候;(2)フィッシャーの正確確率検定を用いて比較した発熱;および(3)フィッシャーの正確確率検定を用いて比較した細菌の単離であった。
B.瀕死の動物
2匹の動物を実験開始後に実験から除いた。動物ID#31(処置グループ4)は実験11日目に死亡しているのが発見された。肉眼調査でこのブタは健康状態が悪く痩せていることが判明した。その肺は赤色および紫色の変色を有し、その腹腔には化膿性滲出物があり線維素性腹膜炎を示していた。推定診断はHPSまたはストレプトコッカス感染であった。野外で許容された標準的技術を用いて、細菌学的培養を新鮮な組織および拭き取り標本で実施した。回収細菌コロニーを解析し、前記解析によってブタは以下に感染していたことが判明した:アルカノバクテリウム・ピロゲネス(Arcanobacterium pyrogenes)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophilia)およびシトロバクター・フリュンディー(Citrobacter freundii)。固定肺サンプルの組織病理学的検査では肺炎、壊死、胸膜炎または細菌コロニーの存在の証拠はなかった。
動物ID #32(処置グループ1)は、チャレンジ後1日の36日目に死亡しているのが発見された。肉眼的調査で、このブタの肺は重篤な線維素症で胸腔に液が存在していることが示された。その肺は硬化および大きな出血領域を有していた。推定診断はA.スイス感染による急性死であった。細菌培養を新鮮組織および拭き取り標本で実施した。アクチノバシルス・スイスが全ての組織および拭き取り標本で回収された(ただし脾臓および気管を除く)。固定肺サンプルの組織病理検査は重篤な肺炎、壊死、胸膜炎および細菌コロニーの存在の証拠を示した。
C.一般観察
ワクチン接種/プラセボ投与からチャレンジまで(0日目から35日目まで)毎日、試験品/コントロール品による処置に由来するまたは他の無処置に由来する身体の異常について動物を観察した。
チャレンジコントロールおよび厳密コントロールグループ(グループ5および6)のブタの一般身体観察は以下のとおりであった:ブタ#71(チャレンジコントロール)は、7日目にその右前足で跛行の徴候を示し始め、症状が停止する前の24日目まで持続した。残りのブタはこの観察期間の間正常であった。
ワクチン接種グループ(グループ1−4)のブタの一般身体観察は以下のとおりであった:ブタID#51(全細胞、グループ1)は1日目に不良な身体状態を示し、3日間持続した。処置グループ4(APP、グループ4)では、ブタID#31が上記に記載したように実験から除かれた。グループ1から4の残りのブタは正常な身体観察結果を示した。
IMワクチン接種グループ1、2、3および4の注入部位は以下のとおりであった:ブタ#35(上清、グループ2)および#10(APP、グループ4)は、実験の1、2および3日目に記録された1x1 cm2の面積の腫脹を有した。21日目のワクチン接種について注入部位の査定は記録されなかった。臨床観察によれば、ブタ#10(App、グループ4)は4および5日目に、ブタ#20(APP、グループ4)は26および29日目に、ブタ#40(APP、グループ4)は19日目から35日目まで、ブタ#41(APP、グループ4)は26日目から35日目に、およびブタ#46(APP、グループ4)は14日目から35日目に首の腫脹を示した。残りの全動物はこの観察期間中に正常で健康な体型を示した。
剖検時に、ブタ#69および#75(両ブタとも処置グループ1)は注入部位の首に膿瘍を有すると記録された。他の注入部位副反応記録は剖検中には報告されなかった。
D.一次有効性パラメーター
1.肉眼病変
剖検時(実験の41日目)に、各ブタから肺を取り出し、肉眼病変について調べた。個々の肺葉を関与%について採点し、合計スコアをそれぞれ個々のブタに割り当てた。表1は各処置グループの平均肺病変スコアおよび各グループの陽性スコアを示す動物の数を示している。
表1:処置グループの平均肉眼肺病変スコアおよびグループ内の陽性肉眼病変スコアを有する動物数
Figure 2013510798
aグループ5と6の比較は統計的に有意な相違を示す(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定およびフィッシャーの正確確率検定)。
グループ当たりの陽性病変数についてウィルコクソン2標本検定およびフィッシャーの正確確率検定を用いて統計解析を実施し、平均肉眼病変スコアについて処置グループ5と6および処置グループ1−4と5の間で平均を比較した。処置グループ6(厳密コントロール)は肉眼病変の発生(0)およびパーセント陽性スコアの数(0%)について陰性であった。平均肺病変スコアおよび病変存在パーセントについてグループ1−5の査定は、可能な100のうちそれぞれ12.68から28.67および50.00%から86.67%の範囲であった。
処置グループ5(チャレンジ)は、他の処置グループと比較して最高の平均肉眼肺病変スコア(28.67)および肺病変存在パーセントスコア(86.67%)を得た。処置グループ5は、平均肉眼肺病変スコアおよび病変陽性パーセントを比較したとき、処置グループ6と有意に相違した(p≦0.05)。処置グループ2(上清)はもっとも低い病変スコア(12.68)を示したが、処置グループ4(APP)(最も低いパーセント病変スコア(50%)を有する)と比較したとき二番目に低いパーセント病変スコア(60.00%)を示した。肺病変存在パーセントスコアについてグループ4と5を比較したとき、ほぼ統計的相違が存在した(p=0.052)。さらにまた、グループ4と5およびグループ2と5の肉眼病変スコアの処置グループ間比較では統計的相違は存在しなかった(それぞれp≦0.0840およびp≦0.0685)。数字で表せば、処置グループ1(全細胞)は二番目に高い平均肺病変スコア26.73を有し、処置グループ3(omp)がスコア21.69を有してこれに続いた。グループ3(omp)は二番目に高い病変存在パーセント(80.00%)を有し、処置グループ1(全細胞)が66.67%でその後に続いた。
2.顕微鏡病変
肺切片を収集して固定し、非特異的顕微鏡病変発生(すなわち肺炎、壊死および胸膜炎)および細菌コロニーの存在の査定のためにアイオワ州立獣医診断検査室(Iowa State Veterinary Diagnostic Laboratory)に付託した。スコアは1から3の数字によるスケールを基準にした(1は軽度、2は中等度、3は重度)。平均病変重症度および各組織内に存在する細菌コロニーの存在(bug)についてグループを比較した。各グループ内の陽性頻度は表2に示されている。
表2:処置グループの平均顕微鏡病変スコアおよびグループ内の顕微鏡スコア陽性動物数
Figure 2013510798
aグループ5と6の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定およびフィッシャーの正確確率検定)。
bグループ4と5の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定およびフィッシャーの正確確率検定)。
cグループ3と4の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定およびフィッシャーの正確確率検定)。
ウィルコクソン2標本検定を用いて統計解析を実施し、平均顕微鏡病変スコアについて処置グループ間で平均を比較した。フィッシャーの正確確率検定もまた、各パラメーターについて各グループのパーセント陽性動物の陽性スコア数について実施した。気管支肺炎、壊死および胸膜炎病変スコアおよび陽性パーセントについて処置グループ5(チャレンジ)と6(厳密コントロール)を比較したとき、統計的相違が見出された(p≦0.05)。前記スコアは処置グループ6(厳密コントロール)については全てのパラメーターでゼロであった(表2)。
もっとも高い気管支肺炎病巣スコア(1.60)は処置グループ3(omp)で見出され、処置グループ5(チャレンジ)がこれに続いた(1.27)。グループ2(上清)がもっとも低いスコア(0.87)を示し、グループ4(APP)がこれに続いた(0.93)。気管支肺炎スコアは0.87から1.60の範囲であった。処置グループ1−5の壊死病変スコアを比較したとき、グループ4(APP)で見出された0.47からグループ3(omp)で見出された1.47の範囲であった。壊死については処置グループ3と4を比較したとき統計的相違が見出された(p≦0.05)。処置グループ1−5の胸膜炎パラメーターについての更なる比較によって、グループ4(APP)の0.67からグループ5(チャレンジ)の1.93の範囲の病変スコアが示された。胸膜炎については処置グループ3と4および処置グループ4と5を比較したとき統計的相違が見出された(p≦0.05)。処置グループ1と4を比較したとき統計的相違に非常に近かった(p=0.544)。
陽性パーセントの数字による比較は、処置グループ1、2、4および5を比較したとき、グループ3(omp)は気管支肺炎、壊死、胸膜炎および細菌コロニーについて最高のスコア、それぞれ66.67%、60.00%、66.67%および46.67%を示した。前記最高スコアは気管支肺炎および胸膜炎パラメーターについては処置グループ5(チャレンジ)と共有された。さらにまた、陽性パーセントの比較で、処置グループ1、2、3および5を比較したとき、処置グループ4(APP)が、気管支肺炎、壊死、胸膜炎および細菌コロニーについてそれぞれ46.67%、26.67%、46.67%および20.00%の最も低いスコアを示した。処置グループ2(上清)はグループ4と同じ最も低いスコアを気管支肺炎および胸膜炎パラメーターで示し、さらにグループ2およびグループ1(全細胞)は細菌コロニーの存在を同じ頻度で示した。統計的相違は表2に示したパラメーターの陽性パーセントについては見出されなかった。
E.二次有効性パラメーター
本実験の一次有効性パラメーターを支援するために二次パラメーターを用いた。統計解析は以下の二次パラメーターについて実施した。
1.臨床観察
臨床徴候の観察はワクチン接種の日から全実験を通して(0日目から41日目)実施した。4つの主要パラメーターを採点した:体調(痩せ)、1から3の等級を用い1は正常で3は死亡;行動(抑うつ);運動;呼吸、前記はそれぞれ1から4の等級を用い1は正常で4は死亡である。4つのパラメーターの全ての平均臨床スコアを用いた。それによれば正常で健常な動物はスコア1を獲得し、病気が重篤な動物(死亡)は最大スコア3.75を有するであろう。表3は処置グループによる平均スコアを示す。ウィルコクソン2標本検定を用い、平均臨床観察スコアについてグループ1から5を比較するためにのみ統計解析を実施した。
表3:チャレンジ前およびチャレンジ後期間の各処置グループにおける毎日の平均臨床スコア
Figure 2013510798
*処置グループ6は統計解析に含めなかった。
aグループ1−4と5の比較は統計的に有意な相違を示す(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定)。
bグループ1−3と4の比較は統計的に有意な相違を示す(p<0.05、適切な場合にウィルコクソン2標本検定)。
チャレンジ前期間の処置グループ1−5の比較によって、この期間に処置グループ1−4と比較して、未処置チャレンジコントロールはもっとも高い臨床スコア1.013を有することが明らかになった。処置グループ4(APP)は二番目に高い平均臨床スコア1.011を有し、グループ1、2および3がそれぞれスコア1.001、1.000および1.000でこれに続く。統計的相違(p≦0.05)は、処置グループ1−3とグループ5比較したときチャレンジ前期間の全体的平均スコアから見出された。さらにまた、統計的相違(p≦0.05)は、グループ1−3とグループ4を比較したとき見出された。統計的相違はグループ4とグループ5を比較したときは見出されなかった。
チャレンジ期間中、処置グループ5(チャレンジ)はもっとも高い全体的スコア1.148を有し、グループ1、3、4および2がそれぞれ1.068,1.058、1.036および1.017のスコアでこれに続いた。全体的平均臨床スコアについては、統計的相違(p≦0.05)がグループ1−4とグループ5を比較したとき見出された。チャレンジ期間中、処置グループ5(チャレンジ)は最も高いスコアを37日目から41日目まで示した。処置グループ1(全細胞)はもっとも高いスコアを36日目に示した。さらにまた、処置グループ1(全細胞)のスコアの数字は、36日目以降1.25から1.00−1.07の範囲へスパイク状に下降した。もっとも低い全体的スコアは処置グループ2(上清)で、前記は39、40および41日目のグループ5(チャレンジ)と比較して統計的に相違した(p≦0.05)。グループ4(APP)の更なる比較は、36日目に(チャレンジ後1日)、グループ5(チャレンジ)と比較して統計的相違(p≦0.05)が存在することを示した。さらにまた、36日目に、グループ1および3はグループ4(APP)と比較して統計的に相違を示した(p≦0.05)。
2.直腸温度
ワクチン接種およびチャレンジの影響をモニターするために、実験を通して種々の時点(0日目、0+4時間、1、3、5、7、14、21、34、35、36、37、38、39、40および41日目)で直腸温度を測定した。40.5℃(104.9°F)を超える温度突出は有意と考えた。前記分岐点を超える温度を示す動物数を表4に示す。フィッシャーの正確確率検定およびANOVAを用い、グループ1から5について発熱スコアを比較するためにのみ統計解析を実施した。
0日目から21日までの最初のワクチン接種期間について図1および表4を参照すれば、全ての処置グループで直腸温度に一般的な突出があり、処置グループ3(omp)および4(APP)でワクチン接種後4時間の時点で40.5℃(104.9°F)を超える大きな突出があり、グループ3(omp)については1日目の間持続した。グループ1(全細胞)では、7日目に38.9℃(102°F)へ温度が低下し、この日のグループ1とグループ2−5とを比較したとき統計的相違(p≦0.05)が認められた。さらにまた、7日目のグループ1−4の処置動物の温度は未処置動物4−5より低い数字であった。実験21日目では、処置動物の温度は未処置動物よりも低く、グループ1−4とグループ5を比較したとき統計的に相違が認められた(p≦0.05)。
表4:0日目から21日まで(最初のワクチン接種期間)の直腸温度(°F)
Figure 2013510798
*処置グループ6は統計解析に含めなかった。
aグループ1−4と5の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
bグループ1と2−4との比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
cグループ2と3−4との比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
dグループ3と4との比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
図1および表5を参照すれば、22日目から35日目までのブースター期間については、処置グループ4(APP)は実験28日目にもっとも高い数字の直腸温度を有することが示された。統計的相違は処置グループ1および2とグループ4を比較したとき認められた(p≦0.05)。
表5:22日目から35日目まで(ブースター期間)の華氏(°F)で示される直腸温度
Figure 2013510798
*処置グループ6は統計解析に含めなかった。
aグループ1と2−4との比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
bグループ2と3−4との比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVA検定)。
図1および表6を参照すれば、36日目から41日目までのチャレンジ期間については、処置グループ5(チャレンジ)は36、37、40および41日目にもっとも高い数字の直腸温度を示すことが観察され、一方、処置グループ1(全細胞)は38および39日目にもっとも高い直腸温度を示した。さらにまた、処置グループ4(APP)は36、37、38および41日目に全体的に最も低い温度を示した。さらにまた、処置グループ5(チャレンジ)は、38日目に処置グループ4と同じ最も低い温度を示し、グループ2および3はそれぞれ39日目および40日目にもっとも低い温度を示した。グループ3および5の両方がチャレンジ後1日に最初の温度上昇を示し、前記はグループ3では続いて下降した。しかしながらグループ5についてはこの温度は40日目に再び上昇した。
表6:36日目から41日目(チャレンジ期間)の直腸温度(°F)およびチャレンジの日から剖検までに少なくとも1日発熱(≧40.5℃(≧104.90°F))を示した動物数(括弧内)
Figure 2013510798
* 処置グループ6並びに脾、髄膜および心臓血は統計解析に含めなかった。
aグループ1−4と5の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVAおよびフィッシャーの正確確率検定)。
bグループ1と2−4の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVAおよびフィッシャーの正確確率検定)。
cグループ2−3と4の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはANOVAおよびフィッシャーの正確確率検定)。
チャレンジ期間の更なる評価によって、チャレンジグループ5は、発熱性の値が66.67%である最も高い陽性動物パーセントを有することが示された。前記値はグループ2および4と比較したとき統計的に相違を示した(p≦0.05)。二番目に高いスコアを得たのは処置グループ1でスコアは53.33%であり、前記もまたグループ2および4と比較したとき統計的に相違を示した(p≦0.05)。グループ4(APP)および2(上清)はもっとも低いスコア、それぞれ7.14%および13.33%を獲得した。処置グループ3(omp)は33.33%のスコアを獲得した。
3.細菌の単離
剖検時に、細菌単離のために鼻腔、気管、気管支、髄膜および心臓血の拭き取り標本を収集した。ヒツジ血液寒天プレート(TSA 5%)およびマッコンキー(MacConkey)寒天プレートに単離のために各拭き取り標本をストリーキング接種し、一晩37℃でインキュベートした。血液寒天プレートを嫌気性および好気性条件下に置き、マッコンキー寒天プレートは好気性条件下にのみ置いた。さらにまた、チョコレート寒天プレートを肺サンプル培養にのみ用い、好気性条件下に37℃でインキュベートした。肺(病変を含む切片の3つの肺葉)、肝、腎および扁桃の新鮮な組織サンプルを入手した。各組織の拭き取り標本を用いて、細菌単離用寒天プレートに接種した。上記に記載した拭き取り標本とともにプレートをインキュベートし、接種後24時間A.スイスの存在についてプレートを観察した。処置グループの各々で任意抽出サンプルについて生化学分析を実施し、A.スイスの存在を確認した。統計解析は、フィッシャーの正確確率検定を用い細菌単離スコアについてグループ1から5を比較するためにのみ実施した。脾臓、髄膜および心臓血については統計解析を実施しなかった。表7aおよび7bは細菌学検査の結果の要旨を提供する。
表7a:処置グループにおける細菌単離によるA.スイス陽性パーセントの動物数
Figure 2013510798
* 処置グループ6並びに脾、髄膜および心臓血パラメーターは統計解析に含めなかった。
aグループ1−4と5の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはフィッシャーの正確確率検定)。
表7b:処置グループにおける細菌単離によるA.スイス陽性パーセントの動物数
Figure 2013510798
* 処置グループ6並びに脾、髄膜および心臓血パラメーターは統計解析に含めなかった。
aグループ1−4と5の比較は統計的に有意な相違を示した(p<0.05、適切な場合にはフィッシャーの正確確率検定)。
各標的領域におけるA.スイスの回収は、処置グループ5(チャレンジ)で他のグループ(1−4)と比較して最も高かった。A.スイス回収の最高パーセンテージは扁桃で見出され、肺がこれに続いた。A.スイスの回収は脾、髄膜および心臓血で低く、処置グループ間で最大回収率はわずかに6.67%であった。厳密コントロール(グループ6)は10匹のブタのうち3匹が鼻の組織でA.スイスが陽性で、1匹のブタが気管組織で陽性であった。統計的相違(p≦0.05)は、グループ3(omp)および4(APP)とグループ5(チャレンジ)を比較したとき鼻の組織で認められた。
他の一般的な呼吸器系細菌生物が培養過程で単離された。ボルデテラsp.がアルファおよびベータストレプトコッカス系細菌およびパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)とともに全てのグループで多数であった。非常に小数で単離された他の生物は、アルカノバクテリウム・ピロゲネス、大腸菌、スタフィロコッカスsp.(Staphylococcus sp.)、エンテロコッカスsp.(Enterococcous sp.)、プロテウス(Proteus)、青カビおよびパスツネラsp.(Pastunella sp.)であった。
4.血清学
血液を実験0、7、14、21、28、34および41日目に採取した。実験の0日目および34日目に処置グループ1、2、3および4から得たプール血清でウェスタンブロットを実施し、当該画分に対する免疫反応性を測定した。各処置グループは、3つのプールグループ(当該処置グループ由来の5匹のブタから成る)から成っていた。ウェスタンブロットは、全細胞、上清およびomp画分に対して1:100稀釈で検出可能な血清変換を示したが、1:1000では検出できなかった。APP画分はもっとも良好な反応性を有し、1:1000で検出可能であった。全てのグループについて、処置前の0日目サンプルでは反応性は認められなかった。
本明細書および特許請求の範囲に記載した全ての組成物および方法は、本開示により過度の実験を必要とすることなく実施および達成が可能である。本発明の組成物および方法は好ましい実施態様として記載してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく本明細書に記載した組成物および方法に、並びに前記方法の工程または一連の工程に変型を適用できることは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的および生理学的に関連するある種の薬剤を本明細書に記載した薬剤の代用として同じまたは類似の結果を達成し得ることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似する全ての置換および改変は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内および概念内であると考えられる。
以下の参考文献は、本明細書に対する例示的手法あるいは他の詳細を補足する限りにおいて、本願明細書に取り込まれるものとする。
参考文献
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Claims (23)

  1. 以下を含む、アクチノバシルス・スイス(Actinobacillus suis)感染に対して対象動物を防御するための免疫原性組成物:
    a)0.650OD650から0.850OD650に増殖させた1つまたは2つ以上のA.スイス培養から収集した上清;および
    b)アジュバント。
  2. 上清が本質的にA.スイス細胞を含まない、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  3. 上清が不活化される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  4. 上清がホルマリン不活化される、請求項3に記載の免疫原性組成物。
  5. アジュバントがEmulsigen(商標)-Dである、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  6. 対象動物がブタである、請求項1に記載の免疫原性組成物。
  7. 請求項1に記載の免疫原性組成物を対象動物に投与する工程を含む、アクチノバシルスに対する免疫応答を対象動物で惹起する方法。
  8. 対象動物がブタである、請求項7に記載の方法。
  9. アクチノバシルス・スイス感染に関係する臨床徴候の発生率または重症度を軽減させる方法であって、前記方法が、請求項1に記載の免疫原性組成物を対象動物に投与する工程を含み、前記臨床徴候の発生率または重症度の軽減は前記免疫原性組成物を与えられていない対象動物に比較した軽減である、前記方法。
  10. 臨床徴候が、髄膜炎、敗血症、子宮炎、肺炎、丹毒様病変および流産から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. アクチノバシルス・スイス感染がA.スイスISU-8594感染である、請求項9に記載の方法。
  12. 対象動物がブタである、請求項9に記載の方法。
  13. 以下の工程を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物を調製する方法:
    a)アクチノバシルス・スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させる工程;
    b)前記培養物から上清を収集する工程;
    c)前記上清をろ過してろ液を得る工程;および
    d)前記ろ液をアジュバントと混合する工程。
  14. さらに上清を不活化する工程を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 上清がアジュバントとの混合前に不活化される、請求項14に記載の方法。
  16. アジュバントがEmulsigen(商標)-Dである、請求項13に記載の方法。
  17. 以下の工程を含む、対象動物でアクチノバシルス・スイス感染を診断する方法:
    a)A.スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させ、前記培養物から上清を収集し、さらに前記上清をろ過することによって調製されるろ過上清を提供する工程;
    b)前記ろ過上清を対象動物から入手したサンプルと接触させる工程;および
    c)ろ過上清中の成分と結合できる抗体がサンプルで検出されたら対象動物がA.スイスに感染していると認定する工程。
  18. 結合がサンプル中の抗体と結合できる第二の抗体を用いて検出される、請求項17に記載の方法。
  19. 以下を含むキット:
    a)アクチノバシルス・スイス培養物を0.650OD650から0.850OD650に増殖させ、前記培養物の上清を収集し、さらに前記上清をろ過することによって調製されるろ過上清;
    b)アジュバント;および
    c)前記上清およびアジュバントを包装するための容器。
  20. さらにキットの使用のための指示を含む、請求項19に記載のキット。
  21. さらにろ過上清を対象動物に投与する手段を含む、請求項19に記載のキット。
  22. 請求項1に記載の免疫原性組成物を調製するためのキットであって、前記が(i)上清および(ii)アジュバントを含み、(i)および(ii)が別々に包装されている、前記キット。
  23. さらにキットを使用するための指示を含む、請求項22に記載のキット。
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