JP2013509190A - 組換えビタミンk依存性タンパク質の生成法 - Google Patents

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Abstract

生物学的に活性な組換えビタミンK依存性タンパク質を高レベルで産生する細胞株の作製法が記載される。トランスフェクトした細胞株は酵素をプロセシングする外来性遺伝子を含有せず、メトトレキサート耐性のような選択圧を施与しない。第VII/VIIa因子および第IX因子を産生する細胞株も記載される。それらの細胞株を用いて、血友病治療のための第VII/VIIa因子および/または第IX因子を単離することができる。

Description

関連出願
本出願は、米国特許仮出願第61/256,802号(2009年10月30日出願。参照により本明細書に組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
発明の属する分野
本発明は、組換えビタミンK依存性タンパク質、および同タンパク質を外来性翻訳後修飾酵素を使用せずに哺乳動物細胞において生成する方法に関する。
出血性障害は、正常な止血(すなわち血液凝固)に必要な血液タンパク質(血液凝固因子と総称される)の1つまたはそれ以上の機能レベルの不全によって起こる。ある種の出血性障害の重篤度は機能性血液凝固因子の血中レベルに依存する。一般に、特定の血液凝固因子の機能レベルが正常の約5%に達すると軽度の出血性障害が見られるが、機能性レベルが1%未満にまで低下すると、いかなる血管損傷からでも重度の出血が起こる可能性がある。
医学的経験から、1つまたはそれ以上の血液凝固因子を含有する生物学的製剤を静脈内に注入することにより、本質的に正常な止血を一時的に回復させることができることが明らかになっている。出血が起きた際(オンデマンド)または出血を防ぐため(予防的)に不足した血液凝固因子を含有する生物学的製剤を注入する、いわゆる補充療法は、広範な出血性障害患者の管理に有効であることが明らかになっている。一般的に、補充療法を有効なものとするためには、不足している血液凝固因子の静脈内注入によって2から3日間にわたり、正常の5%を十分に超えるレベルに到達させることを目標とする。
歴史的に、血友病(血液凝固第VIII因子(血友病A)または第IX因子(血友病B)のいずれかの欠乏によって起こる遺伝性出血性障害)患者の治療は、種々の純度の全血または血漿画分の定期的な注入によって効果的に行われてきた。
より最近では、バイオテクノロジーの出現により、合成(組換え)血液凝固因子の生物学的活性製剤が血液凝固障害の治療用に市販されるようになった。組換え血液凝固タンパク質は本質的にヒト病原体混入のリスクが無い(このリスクは、ヒト血液由来の市販製剤では、高純度であっても常に伴う懸念である)。
正常な血液凝固には複数のタンパク質が必要とされる。それらは非常に複雑であって、複数の構造ドメインを有し、そのそれぞれが非常に特異的な機能性を有し、それらの機能性は止血制御および/または血栓形成予防におけるタンパク質の総体的な有効性に欠くことのできないものである。特に、いわゆる「ビタミンK依存性」血液凝固タンパク質(例えば第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインS)は非常に複雑なタンパク質であり、正常に機能するためには広範な翻訳後修飾を受けなければならない。組換え技術によって高レベルの機能性ビタミンK依存性タンパク質を得ることには限界があり、それは、これらのタンパク質の構造の複雑さ、そして、効率的かつ完全な翻訳後修飾が行われるために必要とされる酵素活性の先天的欠損を克服するような細胞系は、遺伝子操作によっては構築できないことによる。
Kaufmanら(Kaufmanら (1986) The Journal of Biological Chemistry, vol. 261 no. 21: 9622-9628)は、組換えによる生物学的に活性な第IX因子の生成について報告している。しかしながら、100μg/mLもの第IX因子を生成して、その活性物質のレベルはわずか1.5%であった。
他のビタミンK依存性タンパク質の組換えによる生成も、ある程度の成功をおさめた。Jorgensenら(Jorgensenら (1987) The Journal of Biological Chemistry, vol. 262 (14): 6729-6734)は、CHO細胞においてヒト・プロトロンビンが最高0.55μg/mlのレベルで産生されたことを報告している。このレベルでは、プロトロンビンは全て生物学的に活性であった。しかしながら、レベルを10-15倍に増加すると、生体活性は60%まで低下した。著者らは、CHO細胞のγ-カルボキシル化系には限界があり、一定レベルのタンパク質しか有効にプロセシングされないという仮説を立てている。
Messierら(Messierら (1991) Gene vol. 99: 291-294)は、ヒト第X因子のクローニングおよびサル腎細胞COS-1における発現を行った。産生レベル(0.25-0.27 μg/ml)および生体活性(9-10%)はいずれも低かった。
Herlitschkaら(Herlitschkaら (1996) Protein Expression and Purification vol. 8: 358-364)はヒト・プロトロンビンをレポーターとし、ハイグロマイシン・ホスホトランスフェラーゼ/ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を優性選択/増幅融合マーカーとして使用した。293腎細胞での産生レベルは最高200-250 mU/106細胞/24時間、CHO細胞では5-15 mU/106細胞/24時間であった。1ユニットを約100μgとすると、293細胞を使用した場合の最大レベルは25μgとなる。相対的生体活性は測定していないが、著者はその高いカルボキシル化能のゆえに293細胞を選択したと報告している。
Himmelspachら(Himmelspachら (2000) Thrombosis Research vol.97:51-67)は、DHFR欠損CHO細胞を使用し、メトトレキサート選択を行って120μg/mL/日の組換えヒト第X因子を得た。生体活性は最高25%であった。著者は第X因子のプロセシングにおけるフューリンの役割を検討した。第IX因子同様、第X因子もγカルボキシル化および翻訳後開裂を必要とするが、なぜ生体活性を有する第X因子が第IX因子に比較して高レベルで得られるのかは明らかでない。産生される組換え第X因子のかなりの量がプロペプチドに共有結合したままであるか、そして/または、1本鎖前駆体のままであった。組換えフューリン(PACE)の存在下では、生物学的に活性な第X因子の量は約2倍となった(22%から43%)。第X因子では、プロペプチドの除去はフューリン以外のエンドペプチダーゼに依存すると考えられたが、軽鎖/重鎖プロセシングはフューリン依存的であった。
Sunら(Sunら (2005) Blood vol. 106 (12): 3811-3815)は、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)の同時発現によってカルボキシル化された第X因子のパーセンテージを50%から95%に増加できることを報告している。
Wasleyら(Wasleyら The Journal of Biological Chemistry vol. 268 (12): 8458-8465, 1993)の報告によれば、第IX因子はチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞では十分プロセシングされないが、PACE(Paired basic Amino acid Cleaving Enzyme;塩基性アミノ酸対開裂酵素)の同時発現によってプロセシングが向上し、比活性が2-3倍上昇する。
組換え系において遭遇する問題の一つとして、生物学的に活性な第IX因子および第VII/VIIa因子を産生させるために、glaドメインと呼ばれるタンパク質のアミノ末端領域中のグルタミン酸残基を実質的にγカルボキシル化する必要性が挙げられる。例えば、第VII/VIIa因子は10個、第IX因子は12個のカルボキシル化されるべきgla残基を有する。生物学的に活性なタンパク質を得るためには、これらの残基の大部分がγカルボキシル化されなければならない。更に、プロ第IX因子(効率的なタンパク質の細胞内γカルボキシル化に必要とされるプロペプチド・ドメインを含有する型の第IX因子)は、第VII因子が分泌前にプロセシングされる必要があるのと同様、分泌前に適切にプロセシングされなければならない。
一つの方法は、第IX因子の翻訳後プロセシングを行う酵素をコードする遺伝子とのコトランスフェクションである。好適な酵素にはビタミンK依存性γグルタミルカルボキシラーゼ(VKGC)、ビタミンK依存性エポキシドレダクターゼ(VKOR)、および塩基性アミノ酸対変換酵素(PACE)がある。米国特許出願第11/643,563号(2006年12月21日出願)はこの方法に関するものである。
VKGCはグルタミン酸にカルボキシル基を導入し、いわゆる「glaドメイン」内の約40残基のプロペプチド中にあるビタミンK依存性タンパク質の複数の残基を修飾する。ビタミンKは、これがコファクターとして作用する反応の際にビタミンKエポキシドに変換されるので、VKORはビタミンK依存性タンパク質にとって重要である。ヒト食物中のビタミンKの量は限られている。従って、枯渇予防のために、ビタミンKエポキシドはVKORによってビタミンKに再変換される必要がある。このため、VKORとのコトランスフェクションによって細胞内での好適なビタミンK循環が促進され、ビタミンK依存性酵素(例えばVKGC)が適切に機能するのに十分なビタミンKが提供される。「PACE」という用語は、paired basic amino acid converting (cleaving) enzyme(塩基性アミノ酸対変換(または開裂)酵素)の頭字語である:PACEはスブチリシン様エンドペプチダーゼ、すなわちポリペプチドの塩基性残基(例えば-Lys-Arg-、-Arg-Arg、または-Lys-Lys-)での開裂に特異性を示すペプチド開裂酵素である。
上記の酵素をトランスジェニック細胞株に導入してビタミンK依存性タンパク質のプロセシングを行ってもよいが、哺乳動物細胞は生来、これらの酵素を一定レベルで内因的に産生する。
米国特許出願第11/643,563号
Kaufmanら (1986) The Journal of Biological Chemistry, vol. 261 no. 21: 9622-9628 Jorgensenら (1987) The Journal of Biological Chemistry, vol. 262 (14): 6729-6734 Messierら (1991) Gene vol. 99: 291-294 Herlitschkaら (1996) Protein Expression and Purification vol. 8: 358-364 Himmelspachら (2000) Thrombosis Research vol.97:51-67) Sunら (2005) Blood vol. 106 (12): 3811-3815 Wasleyら The Journal of Biological Chemistry vol. 268 (12): 8458-8465, 1993
本明細書に記載する方法は初期選択の方法である。すなわち、遺伝子(例えばビタミンK依存性タンパク質(例えば第VII因子または第IX因子)の、イントロンを含有するDNA配列または遺伝子産物をコードするcDNA)を哺乳動物細胞にクローニングした後、トランスフェクトしたクローンの選択を行う。高レベルで発現するクローンを同定、単離、および必要によりプールする。再クローニングを行ってもよい。いずれの場合も、クローニングした細胞を培養し、更に高いレベルで発現するクローンを選択する。この方法により、複数の外来遺伝子(例えばビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾に必要とされる酵素をコードする遺伝子)とのコトランスフェクションを必要とせずにビタミンK依存性タンパク質を高レベルで発現する細胞株が選択される。
定義
本明細書で使用する「クローニング」という用語は、クローンを単離および構築する操作を言う。「クローン」という用語は一般的かつ慣例的な意味を有し、単一の親細胞から生成され、遺伝子的に同一である細胞集団を言う。ある態様では、限界希釈クローニング法を用いて高産性クローンを作製する。「限界希釈クローニング法」は一般的かつ慣例的な意味を有し、ポリクローナルな細胞集団から開始してモノクローナルな細胞集団を得る操作を言う。出発(ポリクローナル)培養液を、統計学的に単一細胞が単離されるまで段階的に希釈し、これを用いてモノクローナルな培養液を得る。
別の態様では、「半固体マトリクス・クローニング」法を用いる。半固体マトリクス・クローニングとは、細胞を半固体マトリクス中に非常に低い密度で播種することを言う(通常、トランスフェクションおよび選択過程の後に行うが、それらは必ずしも必要ではない)。好ましくは、できるだけ少ない集団倍加数の細胞を半固体マトリクスに播種する。最も少ない集団倍加数を用いることによって、もとの混合集団中で最も高発現を示す細胞を逸失するリスクを最小限にすることができる。なぜなら、それらの高発現細胞は最も代謝負担が大きく、より増殖が速い細胞、すなわち、組換えタンパク質を低レベルでしか発現しない、または全く発現しない細胞が優占的に増殖する可能性が高いためである。
培地、培地用添加剤、馴化培地(通常、5-20%(v/v))、および一般的に不活性で生体適合性のある半固体媒体(例えばメチルセルロース)の混合物に、細胞を非常に低い密度(通常、1,000-4,000細胞/mlであるが、10,000細胞/mlまで高くてもよい)で播種する。低密度の細胞を混合物中に播種して低密度単個細胞浮遊液とし、数分間ゲル化させて半固体とした後、培養プレートをインキュベーター(37℃、湿度および二酸化炭素緩衝雰囲気下)に戻し、1〜3週間静置する。この期間中、浮遊した単個細胞の多くは緩慢な増殖を示すが、最終的には増殖を開始して「コロニー」を形成し、これは由来元である単個浮遊細胞と遺伝子的に同一である娘細胞のみから成る集団である。細胞の半固体マトリクスへの播種の約2週間後、培養プレートのコロニー形成(コロニー数、そのサイズ、およびゲル中でコロニーが互いにどの程度分離しているか)を観察し、その後、個々のコロニーを採取し、それぞれを別個のクラスタープレートに播種してクローン集団とする。これらをより大きなプレートに拡大培養し、スクリーニングを行う。
本明細書においてビタミンK依存性タンパク質に関して使用する「生物学的に活性な」という用語は広範な用語であって、生物に影響を与える物質の一般的かつ慣例的な意味を有する。本明細書ではその意味を拡大し、酵素前駆体(生物学的に活性ではないが、活性化する能力を有する)を含むものとする。活性化は生物体への投与によってなされるか(すなわち、活性化が外来因子の投与後に体内で起こる)、または好適な酵素もしくは一連のインキュベーション条件(例えばpH、濃度、温度など)での処理によってインビトロで行われてもよい。例えば第VII因子の場合、タンパク質開裂によって第VII因子(酵素前駆体)が第VIIa因子(活性体)に変換される必要がある。同様に、第IX因子は酵素前駆体であって、タンパク質開裂によって第IXa因子とされる必要がある。本発明では、第VIIa因子および第IXa因子は「生物学的に活性である」とみなされる。しかしながら、第VII因子および第IX因子も、それらが(例えばGla残基で)好適に翻訳後修飾されており、その結果、インビボまたはインビトロのいずれかで生物学的活性体に変換される能力を有する場合には、「生物学的に活性である」とみなされる。
本明細書で使用する「遺伝子」という用語は、その一般的かつ慣例的な意味を有し、イントロンおよびエクソンを含有しうるDNA配列を意味し、遺伝子産物をコードするcDNAも包含する。
本明細書で使用する「治療する」、「治療」、「治療の」、または「療法」という用語は、必ずしも疾病または疾患の完全な治癒または排除を意味しない。疾病または疾患の望ましくない兆候または症状の任意の程度までの改善はいずれも、治療および/または療法を見なされる。更に治療は、患者の総体的な健康感または外観を悪化しうる行為を含みうる。
発明の概要
本発明の態様は、少なくとも20%の生体活性を有する組換えビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞株に関する。好ましくは、細胞株はビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾に関与するタンパク質をコードする異種遺伝子物質を含有しない。好ましくは、細胞株は哺乳動物細胞株であり、より好ましくは哺乳動物細胞株はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。好ましくは、ビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子はチャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターに機能的に結合している。
ある態様では、ビタミンKを含有する培地中で細胞株を培養する。ある態様では、ビタミンKを含有しない培地中で細胞株を培養する。
ある態様では、細胞株は異種DHFRを含有しない。好ましい態様では、細胞株はメトトレキサートによる選択を行っていないものである。
好ましくは、ビタミンK依存性タンパク質は第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、またはプロテインS、より好ましくは第VII/VIIa因子または第IX因子である。
本発明の態様では、生物学的に活性な組換えビタミンK依存性タンパク質の生成法に関し、この方法は以下の段階の1つまたはそれ以上を含む:
(a)哺乳動物細胞集団を、プロモーターに機能的に結合したビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子でトランスフェクトし;
(b)少なくとも1ラウンドのクローニングおよびスクリーニングを実施して、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を少なくとも10mg/Lの量で産生する細胞クローンを同定し;
(c)必要により、段階(b)の細胞クローニングを1回またはそれ以上反復し、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を10mg/L以上産生する単個細胞を同定し;そして、
(d)ビタミンK依存性タンパク質を回収すること。
好ましくは、この方法のビタミンK依存性タンパク質は第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、またはプロテインS、より好ましくは第IX因子または第VII因子である。好ましい態様では、ビタミンK依存性タンパク質はチャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターに機能的に結合している。好ましい態様では、哺乳動物細胞株はチャイニーズハムスター卵巣細胞株である。必要により、培地はビタミンKを含有してもよい。
好ましくは、クローニングは限界希釈クローニング法または半固体マトリクス・クローニング法による。より好ましくは、限界希釈クローニング法を組換え第IX因子の生成に使用し、半固体マトリクス・クローニング法を組換え第VII/VIIa因子の生成に使用する。
好ましい態様では、この方法は少なくとも10mg/LのビタミンK依存性タンパク質抗原、好ましくは第VII/VIIa因子または第IX因子抗原を産生する細胞を予め選択することを、段階(b)の前に含んでもよい。ある態様では、少なくとも10mg/LのビタミンK依存性タンパク質抗原、好ましくは第VII/VIIa因子または第IX因子抗原を産生する細胞の選択を、段階(b)の後に行う。
好ましい態様では、ビタミンK依存性タンパク質は第IX因子であり、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも40%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である。最も好ましい態様では、少なくとも58%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である。
好ましい態様では、ビタミンK依存性タンパク質は第VII/VIIa因子であり、少なくとも60%、より好ましくは70%、より好ましくは80%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%、より好ましくは99%、そして最も好ましくは100%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である。
好ましい態様では、少なくとも20mg/L、より好ましくは少なくとも30mg/L、そして最も好ましくは少なくとも40mg/LのビタミンK依存性タンパク質が産生される。
本発明の態様は、組換えビタミンK依存性タンパク質、およびビタミンK依存性タンパク質(特に第VII/VIIa因子タンパク質および第IX因子タンパク質)を含有する医薬製剤に関し、ここで、タンパク質は任意の上記方法で生成される。
本発明の態様はまた、1つまたはそれ以上のビタミンK依存性タンパク質を(好ましくは医薬組成物として)含有するキットを含む。好ましくは、キットは医薬的に許容されるキャリアに混合された第VII/VIIa因子または第IX因子タンパク質を含有する。
本発明の態様は血友病の治療法に関し、この方法はビタミンK依存性タンパク質(特に第VII/VIIa因子または第IX因子タンパク質)の医薬製剤を有効量で、血友病または制御不能な出血の治療を必要とする患者に投与することによる。
本発明の態様は、少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、より好ましくは40%、更に好ましくは58%の生体活性を有する組換え第IX因子タンパク質に関する。
本発明の態様は、少なくとも60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%、より好ましくは99%、そして最も好ましくは100%の生体活性を有する第VII/VIIa因子タンパク質に関する。
本発明の態様は、少なくとも20%の生体活性を有する組換えビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞株に関する。好ましくは、細胞株の作製は以下によって行う:チャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターに機能的に結合したビタミンK依存性タンパク質をコードするcDNAで哺乳動物細胞集団をトランスフェクトし;そして、少なくとも1ラウンドのクローニングおよびスクリーニングを実施し、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を少なくとも10mg/Lの量で産生する細胞クローンを同定すること。好ましくは、限界希釈クローニング法または半固体マトリクス・クローニング法を使用する。
本発明の更なる観点、特長、および利点は、以下に記載する好ましい態様の詳細な説明によって明らかとなる。
CHO細胞の1次トランスフェクタント・クローンの第IX因子総抗原量のELISA測定結果を示す。152個のT335クローンおよび171個のT337クローンについて行った。 第IX因子クローンの力価に対する活性%を示す。
好ましい態様の詳細な説明
Kaufmanら(上記)は、第IX因子遺伝子を含有するプラスミドにDHFRをコードする遺伝子を含有させ、高レベルのメトトレキサートによる選択圧を使用することによって、CHO細胞における第IX因子をコードする遺伝子の発現レベルを上昇させる方法を報告している。高レベルのメトトレキサートによってDHFRをコードするプラスミドを高コピー数で有する細胞が選択されるので、第IX因子も高レベルで産生される。しかしながら、この方法の限界は、それなりに高レベルの第IX因子は産生されるが、プロセシング酵素のレベルは低いままであることである。このため、この方法によって産生される第IX因子のほとんどは生物学的に活性ではない。
この問題の解決法の一つは外来性のプロセシング酵素を添加することであるが、ビタミンK依存性タンパク質のプロセシングは複雑である。他の因子が関与している可能性があり、今度はこれが外来因子の存在下で制限となりうる。
これに対して、本発明の選択法では、生物学的に活性なビタミンK依存性タンパク質を高レベルで産生する細胞株が選択される。目的のビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を強力なプロモーター(好ましくはCHEF-1)に機能的に結合させてベクターにクローニングする。この方法はメトトレキサート選択に依存せず、最適レベルの全ての必要な翻訳後酵素およびビタミンK依存性タンパク質が選択される。ビタミンK依存性タンパク質には第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSが含まれる。特に出願人は、組換え第VII/VIIa因子および第IX因子タンパク質のいずれの生成でも、本発明の方法において第VII/VIIa因子または第IX因子をコードする遺伝子に機能的に結合したCHEF-1プロモーターを使用することによって、プロセシング因子遺伝子の導入および/またはプロセシング因子の添加によって組換え第VII/VIIa因子および第IX因子タンパク質の翻訳後プロセシング手段を提供しなくても、非常に高レベルの生物学的に活性な第VII/VIIa因子または第IX因子が産生されることを発見した。
任意の好適な細胞株を使用することができ、それらには、限定される訳ではないが、昆虫細胞、植物細胞、および哺乳動物細胞がある。哺乳動物細胞株にはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびHEK 293細胞がある。細胞は、核酸(好ましくはビタミンK依存性タンパク質のcDNA)を含有する発現ベクターでトランスフェクトできる細胞であれば、種々の供与源から選択してもよい。
ある態様では、トランスフェクトした細胞のプールから、一定範囲(標的範囲;最も高いレベルから、市販品の製造に最低限許容される最も低いレベルまでにわたる)内の量のビタミンK依存性タンパク質を産生するクローンを選択する。標的範囲内の量のビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞クローン(複数)を合一して単一のプールまたは複数のサブ・プールとし、これを標的範囲の中で高レベル、中レベル、または低レベルのビタミンK依存性タンパク質を産生するクローンの集団に分離してもよい。あるいはまた、クローンをプールせず、モノクローナル培養液として継代する。トランスフェクトした細胞で標的範囲内のビタミンK依存性タンパク質を産生するものを分析し、完全に機能的なタンパク質がどの程度産生されるかを測定することは、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。ビタミンK依存性タンパク質抗原のレベルを慣例的なELISAによって測定してもよい。VisuLize(登録商標)(Affinity biologicals社(カナダ・オンタリオ州アンキャスター)製の第IX因子抗原ELISAキット)などが市販されている。
本発明の方法の好ましい態様では、選択したトランスフェクタント・プールのクローニングを行い、完全に機能的なビタミンK依存性タンパク質を最適レベルで産生するものを同定することができる。標的範囲内でビタミンK依存性タンパク質の産生量が低い細胞クローンほど、より高いパーセンテージの完全に機能的なビタミンK依存性タンパク質を産生すると考えられる。好ましい態様では、産生の最適レベルは、機能性ビタミンK依存性タンパク質の最高レベルである。
ビタミンK依存性タンパク質の生体活性をアッセイする方法は当該分野で公知であり、それらには1段階血液凝固アッセイ、2段階血液凝固アッセイ、および発色アッセイがある。例えば、第IX因子のアッセイは、ユニバーサル凝固標準血漿(Universal Coagulation Reference Plasma;UCRP)を第IX因子活性の標準物質として使用し、第IX因子欠乏血漿を検量線用標準試料および未知試料の希釈に使用してもよい。アッセイは、血漿を活性化因子および塩化カルシウムと混合して凝固カスケードを開始させ、吸光度によってフィブリン塊の形成を測定することを伴う。このアッセイで測定される凝固時間はaPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、すなわち吸光度が既定の閾値を超えるまでの所要時間である。正確な第IX因子活性の測定は、未知試料のシグナルを、同時にアッセイした第IX因子標準試料(UCRP)と比較することによって行う。好ましい態様では、アッセイは自動血液凝固分析装置で行う。力価(ユニット/mL)は血液凝固第IX因子のWHO国際標準を用いることによって得られる。
FVII/FVIIaの血液凝固アッセイも知られている(米国特許第5750358号。参照により本明細書に組み込まれる)。
発色アッセイには慣例的な発色法によるFVIIa生体活性アッセイ、例えば BIOPHEN FVII(登録商標)(HYPHEN BioMed社 商品番号221304)がある。アッセイの際に生成される開裂産物を分光学的に測定する。
遺伝子操作法
本発明の実施には、特に記載しない限り、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学における当業者に公知の慣例的な技術を使用する。それらの技術は文献に十分報告されている。例えば以下を参照されたい:Sambrookら, "Molecular Cloning; A Laboratory Manual", 第2版(1989);"DNA Cloning", Vols. IおよびII (D. N Glover編 1985);"Oligonucleotide Synthesis" (M. J. Gait編 1984);"Nucleic Acid Hybridization" (B. D. HamesおよびS. J. Higgins編 1984);"Transcription and Translation" (B. D. HamesおよびS. J. Higgins編 1984);"Animal Cell Culture" (R. I. Freshney編 1986);"Immobilized Cells and Enzymes" (IRL Press, 1986);B. Perbal, "A Practical Guide to Molecular Cloning" (1984);Methods in Enzymologyシリーズ (Academic Press社), 特にVols. 154および155(それぞれ、WuおよびGrossman編、および、Wu編);"Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (J. H. MillerおよびM. P. Calos編 1987, Cold Spring Harbor Laboratory);" Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology", MayerおよびWalker編(Academic Press、ロンドン、1987);Scopes, "Protein Purification: Principles and Practice", 第2版 1987,(Springer-Verlag、ニューヨーク);および"Handbook of Experimental Immunology" Vols I-IV (D. M. WeirおよびC. C. Blackwell 編 1986)。背景技術および明細書において参照する全ての特許、特許出願、および文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
遺伝子操作によるクローン化遺伝子、組換えDNA、ベクター、形質転換されたホスト細胞、タンパク質、およびタンパク質フラグメントの作製は公知である。例えば以下を参照されたい:米国特許第4,761,371号(Bellら、Col. 6の3行目からCol. 9の65行目;米国特許第4,877,729号(Clarkら、Col. 4の38行目からCol. 7の6行目;米国特許第4,912,038号(Schilling、Col. 3の26行目からCol. 14の12行目;および米国特許第4,879,224号(Wallner、Col. 6の8行目からCol. 8の59行目)。
発現ベクター
ベクターは複製可能なDNAコンストラクトである。組換えタンパク質を多量発現する遺伝子組み換え細胞を作製するための多くのトランスフェクション法が知られている。本発明の態様は、特定の発現ベクターの使用に依存するものではない。好ましい態様では、タンパク質をコードするcDNAを含有する発現ベクターで細胞をトランスフェクトする。
本明細書では、ベクターをビタミンK依存性タンパク質をコードするDNAの増幅および/またはビタミンK依存性タンパク質をコードするDNAの発現に使用する。発現ベクターは複製可能なDNAコンストラクトであり、ビタミンK依存性タンパク質をコードするDNA配列が好適なホストにおいてビタミンK依存性タンパク質の発現に影響を与えることができる好適な制御配列に機能的に結合している。それらの制御配列の必要性は、選択するホストおよび形質転換法によって異なる。一般に、制御配列には転写プロモーター、転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、そして、転写および翻訳の終了を制御する配列がある。
増幅ベクターは、発現制御ドメインを必要としない。必要なのは、ホストにおいて増幅する能力(通常は複製起点によって施与される)および形質転換体の識別を容易にする選択遺伝子のみである。
ベクターにはプラスミド、ウイルス(例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス)、ファージ、および融合可能DNAフラグメント(すなわち、組換えによってホストゲノム内に融合させることができるフラグメント)が含まれる。ベクターはホストゲノムとは独立して複製および機能するか、または、場合によってはゲノムそのものに融合してもよい。発現ベクターは、発現される遺伝子に機能的に結合したプロモーターおよびRNA結合部位を含有し、ホスト生物中で機能することができる。
DNA領域が互いに機能的な関連性を有する場合、それらは機能的に結合している、または機能的に関連している。例えば、プロモーターがあるコード配列の転写を制御する場合、このプロモーターは同配列に機能的に結合している;または、リボソーム結合部位が転写を可能とする位置にある場合、同部位はコード配列に機能的に結合している。
形質転換されたホスト細胞とは、組換えDNA技術を用いて構築した1つまたはそれ以上のビタミンK依存性タンパク質ベクターを形質転換またはトランスフェクトした細胞である。
好ましい態様では、チャイニーズハムスター由来伸長因子-1α(CHEF1)のプロモーターを用いてビタミンK依存性凝固因子および/またはプロセシング因子(単数または複数)の高レベル発現を行う。CHEF1ベクターを、Deerら(2004) "High-level expression of proteins in mammalian cells using transcription regulatory sequences from the Chinese Hamster EF- 1α gene" Biotechnol. Prog. 20: 880-889および米国特許第5,888,809号(参照により本明細書に組み込まれる)の記載に基づいて使用する。CHEF-1ベクターはチャイニーズハムスターEF-1α由来の5'隣接配列および3'隣接配列を利用する。CHEF-1プロモーター配列は、SpeI制限部位からEF-1αタンパク質の開始メチオニン(ATG)コドンまでの間に約3.7kb長のDNAを有する。DNA配列は米国特許第5,888,809号にSEQ ID NO:1として記載されているものである。
ホスト細胞
好適なホスト細胞には原核細胞、酵母細胞、またはより高等な真核細胞、例えば哺乳動物細胞および昆虫細胞がある。多細胞生物由来の細胞は、組換えビタミンK依存性タンパク質合成のためのホストとして特に好適であり、また哺乳動物細胞は特に好ましい。それらの細胞の細胞培養液中での培養は慣例的に行われている(Tissue Culture, Academic Press, KruseおよびPatterson編(1973))。有用なホスト細胞株の例として、VEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、およびWI138、HEK 293、BHK、COS-7、CV、およびMDCK細胞株がある。それらの細胞のための発現ベクターは、一般的に(必要により)複製起点、発現すべきビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)をコードするDNAの上流に位置し、かつそれらと機能的に関連するプロモーターに加え、リボソーム結合部位、RNAスプライス部位(イントロンを含有するゲノムDNAを使用する場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結配列を含む。好ましい態様では、発現はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、米国特許第5,888,809号(参照により本明細書に組み込まれる)の発現系を用いて行う。
脊椎動物細胞の形質転換に使用するための発現ベクター中の転写および翻訳制御配列は、多くの場合、ウイルス供与源から得る。例えば、汎用されるプロモーターはカリフラワーモザイクウイルス(cmv)、ポリオーマ、アデノウイルス2型、およびシミアンウイルス40(SV40)から誘導される。例えば米国特許第4,599,308号を参照されたい。
複製起点は、外来性の起点(これらは、例えばSV40または他のウイルス(例えばポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)供与源から誘導してもよい)を包含するようにベクターを構築することによって得るか、または、ホスト細胞の染色体複製機構によって得てもよい。ベクターをホスト細胞染色体に融合させるには、多くの場合、後者で十分である。
ウイルスの複製起点を含有するベクターを使用する代わりに、選択マーカーおよびビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)のDNAを同時形質転換する方法によって哺乳動物細胞を形質転換してもよい。好適な選択マーカーの例として、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはチミジンキナーゼがある。この方法についての詳細は米国特許第4,399,216号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
組換え脊椎動物細胞培養液中でのビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)の合成への適用に好適な方法には、これ以外に、以下に記載されるものがある:M-J. Gethingら, Nature 293, 620 (1981);N. Manteiら, Nature 281, 40;A. Levinsonら, EPO 公開番号117,060A号および117,058A号。
ホスト細胞(昆虫細胞(例えばSpodoptera fiugiperda培養細胞)など)および発現ベクター(バキュロウイルス発現ベクター(例えばAutographa californica MNPV、Trichoplusia ni MNPV、Rachiplusia ou MNPV、またはGalleria ou MNPVから誘導されたベクター)など)を、米国特許第4,745,051号および第4,879,236号(Smithら)の記載に基づいて、本発明の実施に使用することができる。一般に、バキュロウイルス発現ベクターは発現すべき遺伝子を含有するバキュロウイルスゲノムを包含し、同遺伝子はポリへドリン遺伝子内のポリへドリン転写開始シグナルからATG開始部位までの間の位置に挿入され、バキュロウイルス・ポリへドリン・プロモーターの転写制御下にある。
原核ホスト細胞にはグラム陰性菌またはグラム陽性菌、例えば大腸菌(E. coli)または桿菌がある。より高等な真核細胞には、下記のような哺乳動物由来の樹立細胞株がある。代表的なホスト細胞はE. coli W3110(ATCC 27,325)、E. coli B、E. coli X1776(ATCC 31,537)、E. coli 294(ATCC 31,446)である。種々の好適な原核および細菌ベクターが利用可能である。大腸菌の形質転換は、一般にpBR322を用いて行う。組換え細菌発現ベクターに最も汎用されるプロモーターには以下がある:βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース・プロモーター系(Changら, Nature 275, 615 (1978);およびGoeddelら, Nature 281, 544 (1979))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら, Nucleic Acids Res. 8, 4057 (1980)およびEPO 36,776号)、およびtacプロモーター(H. De Boerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80, 21 (1983))。プロモーターおよびシャイン・ダルガノ配列(原核ホスト発現)はビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)をコードするDNAに機能的に結合している、すなわち、ビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)メッセンジャーRNAのDNAからの転写を促進するような位置に位置する。
真核微生物、例えば酵母培養液にビタミンK依存性タンパク質をコードするベクターを形質転換してもよい(例えば米国特許第4,745,057号参照)。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は下等真核ホスト微生物の中でも最も一般的に使用されるが、これ以外の多くの株も使用できる。酵母ベクターは、2ミクロン酵母プラスミドまたは自己複製配列(ARS)由来の複製起点、プロモーター、1つまたはそれ以上のビタミンK依存性タンパク質をコードするDNA、ポリアデニル化および転写終結のための配列、および選択遺伝子を含有してもよい。代表的なプラスミドはYRp7(Stinchcombら, Nature 282, 39 (1979);Kingsmanら, Gene 7, 141 (1979);Tschemperら, Gene 10, 157 (1980))である。酵母ベクター中の好適なプロモーター配列にはメタロチオネイン、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター(Hitzemanら, J. Biol. Chem. 255, 2073 (1980))、または他の糖分解酵素(Hessら, J. Adv. Enzyme Reg. 7, 149 (1968);およびHollandら, Biochemistry 17, 4900 (1978))がある。酵母発現への使用に好適なベクターおよびプロモーターについての更なる記述は、R. Hitzemanら, EPO 73,657号に見られる。
本発明のクローン化遺伝子は任意の種(マウス、ラット、ウサギ、ネコ、豚、およびヒトなど)由来のものをコードしてもよいが、好ましくはヒト由来ビタミンK依存性タンパク質をコードする。ビタミンK依存性タンパク質をコードするDNAで、本明細書に開示するタンパク質をコードするDNAとハイブリダイズできるものも含まれる。それらの配列のハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー条件下で行うか、または高ストリンジェントな条件下で実施してもよい(例えば標準的なin situハイブリダイゼーション・アッセイにおいて、本明細書に開示するビタミンK依存性タンパク質をコードするDNAに対して、0.3M NaCl、0.03M クエン酸ナトリウム、0.1% SDS、60℃または70℃の洗浄ストリンジェンシー条件。J. Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第2版 1989)(Cold Spring Harbor Laboratory))参照。
上記のように、本発明は機能性ビタミンK依存性タンパク質を得る方法を提供する。一般に、この方法はビタミンK依存性タンパク質を発現するホスト細胞を培養し;そして、その後、培養液からタンパク質を回収することを含む。培養は任意の好適な発酵容器中で、増殖培地を用い、選択した特定のホスト細胞によるビタミンK依存性タンパク質(単数または複数)の発現に好適な条件下で実施できる。ビタミンK依存性タンパク質を培養液から直接回収するか、またはホスト細胞を溶解し、そこからビタミンK依存性タンパク質を回収してもよい。その後、ビタミンK依存性タンパク質を既知の方法によって更に精製してもよい。
一般的に、本発明によって生成される組換えタンパク質の純度は、好ましくは、当業者に公知の、タンパク質の活性および安定性が最適となるのに好適な純度である。ビタミンK依存性タンパク質、例えば第IX因子または第VII/VIIa因子は、好ましくは超高純度である。好ましくは、組換えタンパク質は、あらかじめ複数のクロマトグラフィーによる精製(例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および好ましくはイムノアフィニティークロマトグラフィー)を行い、製造、保存、および/または使用の際の組換えタンパク質の断片化、活性化、および/または分解の原因となる物質を除去したものである。精製によって除去することが望ましいそれらの物質の例として、トロンビンおよび第IXa因子;他のタンパク質混入物;組換えタンパク質生成の際に産生細胞から組織培養液中に放出されるタンパク質(例えばハムスター・タンパク質);非タンパク質混入物(例えば脂質);および、タンパク質および非タンパク質混入物の混合物(例えばリポタンパク質)がある。組換えビタミンK依存性タンパク質の精製には、インビトロにおける酵素前駆体の活性プロテアーゼへの活性化も含まれる。例えば第VII因子の場合、必要により精製はインビトロでの第VIIa因子への活性化段階を含んでもよい。
ビタミンK依存性タンパク質の精製法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,714,583号(参照により本明細書に組み込まれる)参照。ビタミンK依存性タンパク質の精製に一般的に用いられる方法はシュードクロマトグラフィー(pseudochromatography)であり、これは正に帯電した樹脂(例えばQ-Sepharose HP)から金属イオンを溶出することを伴う(米国特許第4,981,952号(参照により本明細書に組み込まれる)参照)。ビタミンK依存性タンパク質の場合、この方法はglaドメインが金属イオン(例えばカルシウム)に結合する能力に基づく。
第IX因子DNAをコードする配列、並びにそれらを発現するためのベクターおよびホスト細胞は、欧州特許出願第373012号、欧州特許出願第251874号、PCT第8505376号、PCT第505125号、欧州特許第162782号、およびPCT第8400560号に開示されている。他の凝固因子の遺伝子も知られており、それらを使用することもできる(例えば第II因子(アクセッション番号 NM 000506)、第VII因子(アクセッション番号 NM 019616)、および第X因子(アクセッション番号 NM 000504)。
当業者に理解されるように、多くの多様な改変を、本発明の意図から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明の形態は単に例証であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことは、明らかに理解されるべきである。
医薬組成物
血液凝固因子製剤は当該分野で公知の方法によって調製することができる。ビタミンK依存性タンパク質組成物を慣例的な賦形剤、例えば結合剤(ゼラチン、ゼラチン化デンプンなど);潤滑剤(例えば硬化植物油、ステアリン酸など);希釈剤(例えばラクトース、マンノース、およびスクロース);崩壊剤(例えばカルボキシメチルセルロースおよびデンプングリコール酸ナトリウム);懸濁剤(例えばポビドン、ポリビニルアルコールなど);吸収剤(例えば二酸化ケイ素);保存剤(例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、および安息香酸ナトリウム);界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80など);および着色剤(例えばFD&C色素など)と混合してもよい。
液体製剤には、溶液、懸濁液、およびエマルションがある。経口での使用に適した水溶液の調製は、活性成分を水または他の好適な液体に溶解し、必要により好適な着色剤、香料、安定化剤、および増粘剤を添加して行う。また、経口での使用に適した水溶液の調製は、微粉化した活性成分を粘性物質(例えば天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および当該分野で公知の他の懸濁剤)と共に水または他の好適な液体に分散させて行ってもよい。
また、固体製剤であって、使用の直前に液体製剤に調製し、経口または非経口投与するものも含まれる。それらの液体製剤には溶液、懸濁液、およびエマルションがある。これらの特定の固体製剤は、一回投与量ずつの形態で提供し、これを用いて一回分の液体製剤を調製してもよい。あるいはまた、十分量の固体製剤を提供し、液体製剤を調製した後、注射器、スプーン、または他の計量装置で既定の容量の液体製剤を計量し、複数の一回投与量を得てもよい。
ビタミンK依存性タンパク質を注射または静脈内投与するための医薬組成物は、治療的有効量のビタミンK依存性タンパク質および好適な生理学的に許容されるキャリアーを含有する。種々の水溶性キャリア、例えば緩衝液、生理食塩水、0.3%グリシンなどを使用することができる。安定化剤、例えば植物由来の糖タンパク質、アルブミン、遊離アミノ酸、小ペプチド、リポタンパク質、および/またはグロブリンを添加してもよい。これ以外の本発明の医薬組成物の成分として、生理的条件に近似させるために必要な医薬的に許容される補助剤、例えばpH調整剤および緩衝剤、等張化剤など(例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなど)がある。
固体製剤および液体製剤は、活性物質の他に、着香剤、着色剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。液体製剤の調製に使用する液体は、必要に応じて水、等張水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールなど、およびそれらを組み合わせたものである。使用する液体は、投与経路に応じて選択する。
好ましくは、製剤は一回投与量の形態である。それらの形態では、製剤は好適な量の活性成分を含有する一回投与量分に分割される。一回投与量製剤は、包装済み製剤、例えば包装済み錠剤またはカプセルであってもよい。一回投与量は一個のカプセル、カシェ、もしくは錠剤であるか、または好適な数の任意のこれらの製剤が包装されたものであってもよい。
製剤の一回投与量中の活性物質の量は、具体的な適用および活性成分の有効性によって異なる。
実施例1:第IX因子抗原レベルの測定
第IX因子遺伝子を合成し、CHEF-1プロモーターに機能的に結合させ、CHO細胞にトランスフェクトした。1次トランスフェクタントを6-ウェル・マイクロタイタープレート中で増殖させ、3重複試験でアッセイを行ってウェル中の細胞の抗原発現レベルの平均値を得た。表1に示すように、細胞を1次トランスフェクタント株T-335と称する。これは1次トランスフェクタントでの平均産生量であることに留意すべきである。細胞によって第IX因子を産生しない細胞、中度のレベルで産生する細胞、および高レベルのタンパク質を産生する細胞がある。その後、1次トランスフェクタントの第IX因子抗原産生量を測定した。この発現初期段階においては、生体活性は測定しなかった。コントロールとして、野生型第IXプロペプチド配列を別のビタミンK依存性タンパク質(プロテインC)由来のプロペプチド配列で置換した第IX因子遺伝子コンストラクトをCHO細胞にトランスフェクトし、1次トランスフェクタント細胞株T-337と称した。
Figure 2013509190
市販の第IX因子標品をスタンダードとして使用する市販のELISA試験(BeneFix(Wyeth Laboratories社))を使用して、全てのトランスフェクタントの第IX因子抗原をアッセイした。
第IX因子遺伝子でトランスフェクトしたCHO細胞のクローニングおよび増殖を、3つの方法のうちの1つで行う。当業者に認識されるように、細胞培養は、これらの物質を使用して行う実験に必要な量の細胞または組織培養液を生成するように調整する。最もサイズの小さい系では、96ウェルマイクロタイター・プレート中で細胞を増殖させる。これらのプレートで細胞を14日間増殖させたが、細胞が増殖するための表面積が最小限であるため、最少量の組織培養液中で最少量の細胞しか生成されず、最少量の第IX因子しか産生されない。第2の系は、表1(上記)に示す6ウェル・モデルのアッセイである。細胞を6ウェル組織培養プレート中で9日間増殖させた。6ウェルプレートで増殖させた細胞は、一般に中量の組織培養液中で中量の細胞を生成し、中量の第IX因子を産生する。最も高い細胞濃度(かつ、細胞数)は、1.5リットルの撹拌フラスコ中、18日間培養して得られた。
出願人の3つの系の全てを用いた広範な経験から、1つの系で産生される第IX因子の量から別の系で産生される量を外挿することができる。例えば、撹拌フラスコの系で産生される第IX因子の量は、基本的に6ウェル・モデルの系で産生される量の6倍多い。このように、比較が必要な場合には、撹拌フラスコの系で産生される第IX因子の量を、6ウェル・モデルまたは96ウェル・マイクロタイタープレートのようなより小さい系での測定量から外挿することができる。表1(上記)に示すように、CHO細胞に野生型第IX因子遺伝子をトランスフェクトし、6ウェル・モデルで平均11.5mg/Lを産生させることができる。上記のように外挿すると、これは1.5L撹拌フラスコで69mg/Lに相当する。
実施例2
比較のため、実施例1の野生型第IX因子遺伝子をCMVプロモーターを用いるコンストラクト中にクローニングし、HEK293細胞にトランスフェクトした。上記の実施例1に示すように、1次トランスフェクタントを6ウェル・マクロタイタープレート中で増殖させた。これらのサンプルの力価は0.2mg/L未満であった(データ未掲載)。CHEF-1プロモーターを用いて、更なる実験を行った。
実施例3
高レベルの第IX因子を発現するクローンを同定およびキャラクタライズするために、1次トランスフェクタントを96ウェルプレート中で、限界希釈法によってクローニングした。細胞増殖のための表面積が小さいため、発現レベルは実施例1に示す6ウェル・マイクロタイタープレートで増殖させた場合より低かった。T-335の1次トランスフェクタントでの実験から、152個の単個細胞クローンを同定した。各クローンでの第IX因子抗原の発現レベルをELISA分析によって測定した。それらのクローンからの第IX因子発現レベルの分布を図1に示す。
T-335のクローンを、0.4mg/L以上のレベルで第IX因子を発現するクローンとそれ未満のレベルで第IX因子を発現するクローンに分別した。0.4mg/L以上のレベルで第IX因子を発現するクローンを高発現クローンとし、発現レベルが0.4mg/L未満のクローンを低発現クローンとした。第IX因子発現の範囲は、未発現から1.6mg/Lを超える発現まで広範にわたり、平均値は0.87mg/Lであった。CHO細胞にトランスフェクトした他の遺伝子が再クローンの際に本質的に同様の広範な分布を示すか否かを確認するために、T-337の1次トランスフェクションで得られた細胞も96ウェル・マイクロタイタープレートアッセイで、限界希釈法によってクローニングした。図1(上記)および表2(下記)が示すように、評価した171個のクローンも、同様に抗原の発現範囲は、未発現から1.8mg/Lを超える発現まで、かなり広範であり、平均値は0.73mg/Lであった。
Figure 2013509190
図1および表2の結果に示されるように、CHEF-1プロモーターの制御下でCHO細胞に遺伝子をトランスフェクトした場合、全ての細胞が検出可能な第IX因子を産生するようにはトランスフェクトできず、また、産生するようにトランスフェクトされた細胞は種々の量の第IX因子を産生する。これらの細胞が第IX因子を種々のレベルで産生する理由は解明されていない。理論に拘束されることは意図しないが、以下のような理由があり得る:(1)ある細胞では、単にトランスフェクトされた遺伝子が移入されない、(2)他の細胞では、遺伝子コピーは移入されるが、染色体に組み込まれない、(3)別の細胞では、染色体の非機能性領域に遺伝子が組み込まれる、(4)更に別の細胞では、遺伝子の複数のコピーが移入されるが、染色体の発現に適した位置に組み込まれるのはその一部だけである、および(5)一部の細胞では、遺伝子の複数のコピーが移入されるが、それらのコピーの一部だけが、個別のクローンでELISAを実施する際に機能性を示すように組み込まれる。最後の可能性から予測されることは、これらの細胞は分裂および増殖するため、組み込まれていないDNAのより多くのコピーが時間と共に組み込まれるようになり得る。(6)組み込まれたプラスミドの複製が起こり、更なるクローニングまたは培養の際に多くの複製が起こる。最後の2つのケース、すなわち(5)および(6)では、更なるクローニングまたは培養の際に、(本質的に上記の実験が反復される)、第IX因子(または他のタンパク質、例えば第VII/VIIa因子)を高発現する細胞株が単離される。
これが事実であるか否かを確認するために、表2に示す野生型第IX因子の高レベル発現体をプールし、撹拌フラスコ培養液中で増殖させた。その後、個々のクローンを限界希釈クローニング法によって単離した。高レベルの第IX因子を産生するクローンを単離した。最も産生量が多かった20個のクローンを表3に示す。
Figure 2013509190
表3に示すように、96ウェルマイクロタイター・モデルでは、最も高産生である20個のクローンからの第IX因子抗原産生量は1.79から4.14mg/Lの範囲であった。表3の右欄に示すように、6ウェルマイクロタイタープレートで予期される第IX因子の濃度を概算できる。これらのクローンの6ウェルマイクロタイタープレートでのレベルは46から104mg/Lであると推定される。これは、表2に示す1次トランスフェクタントの発現レベル(0-1.65mg/Lの範囲であると報告されている)より実質的に高い。選択されたクローン群から産生された第IX因子の生体活性は4から30%である(表3)。一般に、第IX因子抗原の産生レベルが高いほど、生物学的に活性な第IX因子の産生レベルが低いと考えられる。これを図2にグラフで示す。この知見は、他のグループがビタミンK依存性凝固因子の過剰産生を試みた際にも得られている。
組織培養系において1.5-5%を超える生体活性を有する第IX因子を産生させることは常に困難であった。例えばKaufman(Kaufmanら, The Journal of Biological Chemistry vol. 261 (21):9622-9628, July 25, 1986)は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損細胞株におけるメトトレキサート増幅によって作製した100μg/mlを超える第IX因子を分泌するCHO細胞株について報告している。しかしながら、生物学的に活性な第IX因子の産生レベルが1.5μg/mlより高くなることはなかった。CHO細胞株は生物学的に活性な第IX因子を生成するのに必要なプロセシング因子が欠落していることが示唆される。一般に認められているところによれば、組換え系において生物学的に活性なビタミンK依存性タンパク質を生成するためにはプロセシング・コファクターの存在が必要である。出願人は、出願人の選択システムを用いて生物学的に活性な第IX因子をより高いパーセンテージで産生するクローンを同定することも可能か否かを検討した。表4に、最も高いパーセンテージで生物学的に活性な第IX因子を産生する20個のクローンを示す。
Figure 2013509190
表4に示すように、あらかじめ選択した、高レベルの生体活性物質を産生する20個の第IX因子産生クローンは全て、25%以上の生物学的に活性な第IX因子を産生する。この試験では、報告されている最も高レベルの第IX因子はクローンP2A7であり、その活性は48%である。比活性は64-119 U/mgの範囲である。一方、Kaufman(上記)の報告では、比活性は35-75 U/mgであり、最大でもアデノウイルス主要後期プロモーターを使用して第IX因子から誘導した血漿の比活性(150 U/mg)の半分の値であった。CHO細胞中のCHEF-1プロモーターを使用することにより、生物学的に活性な組換え第IX因子が、血漿由来第IX因子で得られるレベルにかなり近いレベルで産生された。予期せぬことに、それらの高レベルの生物学的に活性な第IX因子タンパク質は、プロセシング因子を添加せずに、組換え技術によって産生することが可能であった。
概して、組織培養系において第IX因子を産生するクローンの限界希釈法による選択と高レベル・プロモーター系の併用により、過去に比較して、より多くの第IX因子抗原およびより高レベルの生物学的に活性な第IX因子タンパク質が産生された。
実施例4
出願人の96ウェルプレートから6ウェル・マイクロタイタープレートへの外挿が、生成される抗原および回収される生物学的に活性なタンパク質のパーセンテージのいずれについても正確であるか否かを検討するために、6ウェル・マイクロタイタープレート中で第2の限界希釈試験から11個のクローンを増殖させた。表5に示すように、結果は96ウェル・マイクロタイタープレートで報告されたものと同様であった。第IX因子抗原産生レベルは2-40mg/Lであり、回収された生物学的に活性な第IX因子のパーセンテージは10-58%であった。生物学的に活性な第IX因子のレベルは、過去にビタミンKまたは血液因子タンパク質の翻訳後プロセシングに関与するプロセシング因子の非存在下で調製した、他のビタミンK依存性タンパク質で報告されているものより、有意に高かった。
Figure 2013509190
表5に示すように、96ウェル・マイクロタイタープレートでの第IX因子タンパク質抗原の産生量および生物学的に活性な第IX因子のパーセンテージから6ウェル・マイクロタイタープレートでの産生量への外挿は、実験データにより実証された。
実施例5:半固体マトリクス・クローニングによる組換え第VII因子の生成
第VII因子遺伝子をCHEF-1プロモーターに機能的に結合するように合成し、CHO細胞にトランスフェクトした。これには、ヒポキサンチン・チミジン(HT)未含有培地で選択を行うためのDHFRマーカーを含有するベクターを使用した。1次トランスフェクタントをマイクロタイタープレート中で増殖させ、アッセイを行ってウェル中の細胞の抗原発現レベルの平均値を求めた。その後、1次トランスフェクタントのプールについて、半固体マトリクス・クローニング法による細胞クローニングを行った。
細胞を半固体マトリクスへ、以下の混合物中、非常に低密度(一般的に1,000-4,000細胞/ml)で播種した:培地(Cloning medium A(登録商標)、Invitrogen社)、培地用添加剤(4mM L-グルタミン、10μg/mL ビタミンK、1mM CaC12)、馴化培地(親CHO細胞の7日目の培地を5-20%)、および一般的に不活性で生体適合性のある半固体媒体(例えばメチルセルロース;CloneMatrix(登録商標))。低密度の細胞を混合物中に播種して単個細胞浮遊液とし、数分間ゲル化させて半固体とした後、培養プレートをインキュベーター(37℃、湿度および二酸化炭素緩衝雰囲気下)に戻し、1〜3週間静置する。
ヒトFVIIに対する蛍光抗体を半固体培地に含有させ、コロニーを有する半固体マトリクスを含有する培養プレートを蛍光顕微鏡下で観察する際に、ゲルに含浸したFVII抗体によって高発現コロニー(クローン)を検出できるようにした。最初に細胞を半固体マトリクスに播種してから約2週間の間、培養プレートのコロニー形成(ゲル中のコロニー数、コロニーのサイズ、および個々のコロニーがどの程度分離しているか)を観察し、その後、個々のコロニーを回収し、個別のクラスタープレートに播種してクローン集団とした。それらを増殖培地(OptiCHO(登録商標)、L-グルタミン、200mM ビタミンK1(エタノール中2%)および1M CaCl2)中でより大型のプレートに拡大培養し、FVII産生についてのスクリーニングを行った。細胞を継代し、フレッシュな培地中で増殖させた。定期的にFVII/FVIIaレベルおよび生体活性を測定した。
FVII/FVIIaレベルの測定は慣例的なFVII ELISAアッセイによって行った。
生体活性の測定は、慣例的な発色FVIIa生体活性アッセイ、例えばBIOPHEN FVII(登録商標)(Ref No. 221304、HYPHEN BioMed社)によって行った。このアッセイの原理は、第VII因子の第X因子を活性化して第Xa因子とする能力によるものである。組織因子(ウサギ・トロンボプラスチンより供与される)と酵素複合体を形成した後、FVII複合体は第X因子を活性化して第Xa因子とし、その活性は発色基質(SXa-11)の開裂によって測定される。第Xa因子は基質を開裂し、pNAを生成する。生成されるpNAの量は、第Xa因子活性に正比例する。最終的に、アッセイを行うサンプル中の第VII因子の量と生成される第Xa因子活性(放出されるpNAの量によって評価され、405nmの発色によって測定される)は正比例関係にある。あるいはまた、2段階血液凝固(凝血)アッセイを用いてFVII/FVIIa活性を測定してもよい。
正常クエン酸血漿プールを用い、これを100%第VII因子として検定を行ってもよい。アッセイ・キットは1:1000希釈の標準血漿を含む。定義上、この後者のプール希釈液を100%第VII因子活性とする。ダイナミックレンジは0-200%第VII因子である。200%第VII因子活性は血漿プールの1:500希釈液である。検量線を作成した。
サンプルを希釈し、第VII因子の最終濃度を、検定した希釈範囲、0.1-1ng/mlとした。サンプルをマイクロプレートのウェルまたはプラスチック製試験管に注入し、インキュベートした。SXa-11基質を導入した後、更にインキュベートした。60μL/ウェルもしくは200μL/試験管のクエン酸(20g/L)または20%酢酸を添加して、反応を停止させた。黄色は2時間の間、安定である。プランク・サンプルは、試薬を試験とは逆の順序で(すなわち、クエン酸(20g/L)、SXa-11基質、希釈血漿、第X因子、およびトロンボプラスチン-Caの順に)混合して調製した。未知サンプルの活性型FVII/FVIIaの濃度は、上記のキットの血漿サンプルを用いて作成した検量線から測定した。活性型FVIIの濃度は、「活性型FVIIa」として測定されるのに十分なだけカルボキシル化された上清中のFVII/FVIIaの量(μg/ml)を示す。
表6に、FVIIをコードしDHFR選択マーカーおよびCHEF-1プロモーターを含有するプラスミドをトランスフェクトした15個のクローンの上清中のFVII/FVIIaの力価、および上清中のFVII/FVIIaタンパク質のどの程度が上記の発色アッセイによる測定で生物学的に活性であったかを示す。いくつかのクローンは、外来性(ヒト)のVKORまたはVKGCを発現するためのプラスミドを含有しなくても、かなり高レベルのFVII/FVIIa抗原(例えば差オーケーピ最高7μg/ml)をその上清中に産生した。更に重要なことに、これらの代表的なクローンでは、上清中の生物学的に活性であるFVII/FVIIa抗原の比率が非常に高く、分泌されたFVIIの66%から100%であった。
Figure 2013509190
表7は表6と同様のデータを示すが、これらの結果は更に後期のクローン、すなわち個々のクローンの集団を更に倍加させて蓄積した後に得たものである。培養時間が長いほど、量的生産性(すなわち、培養液上清の単位容量あたりのFVII/FVIIa抗原の量)が高かった。クローン10について表7と表6の結果を比較すると、このクローンの発現レベルは、2次スクリーニング段階の〜3.3μg/mlから、一定時間の培養後には〜29μg/mlまで増加している。2次スクリーニングの結果はクラスタープレート中で静置培養したものであるが、その後のアッセイはより最適な培養条件下、すなわち撹拌フラスコ中(アッセイのためにサンプルを回収するまで、培養液はより良好にされ、栄養素の供給もより良好である)で培養された培養液によるものである。
Figure 2013509190
この細胞特異的生産性上昇(Qp)を、以下の、ある特定のクローンに関する表に示す。初期の測定の0.4pg/細胞/日が、プロセシング因子でのスーパートランスフェクションによらずに、培養時間の関数として0.56pg/細胞/日まで増加する。細胞安定性の試験測定を開始する前のFVII/FVIIa産生の標準値は11-12μg/mLで、生体活性は60-70%であった。測定#3の終了時までに、これらの数値は一般的に35-45μg/mLまで増加し、生体活性はやや高かった(65-70%)。
Figure 2013509190
これらの結果は、細胞クローニング法(例えば限界希釈クローニング法および半固体マトリクス・クローニング法)および連続培養によって、プロセシング因子(例えばVKOR、VKGC、およびPACE)のコトランスフェクションを行なわずに、高レベルの活性型ビタミンK依存性タンパク質を得ることができることを示している。
当業者に理解されるように、多くの種々の改変を、本発明の意図から逸脱することなく行うことができる。従って、明らかに理解されるように、本発明の形態は単に例証であって、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。

Claims (44)

  1. 少なくとも20%の生体活性を有する組換えビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞株であって、該細胞株がビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾に関与するタンパク質をコードする外来性遺伝子物質を含有しない、上記細胞株。
  2. 細胞株が哺乳動物細胞株である、請求項1記載の細胞株。
  3. 哺乳動物細胞株がチャイニーズハムスター卵巣である、請求項2記載の細胞株。
  4. メトトレキサートによる選択を行っていない、請求項1から3のいずれかに記載される細胞株。
  5. ビタミンK依存性タンパク質が第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSから成る群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載される細胞株。
  6. ビタミンK依存性タンパク質が第VII/VIIa因子または第IX因子である、請求項5記載の細胞株。
  7. チャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターに機能的に結合したビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子を含有する、請求項1から3のいずれかに記載される細胞株。
  8. 生物学的に活性な組換えビタミンK依存性タンパク質の生成法であって、
    (a)プロモーターに機能的に結合したビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子を哺乳動物細胞集団にトランスフェクトし;
    (b)少なくとも1ラウンドのクローニングおよびスクリーニングを実施し、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を少なくとも10mg/Lの量で産生する細胞クローンを同定し;
    (c)必要により、段階(b)の細胞クローニングを1回またはそれ以上反復し、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を10mg/L以上産生する単個細胞を同定し;そして
    (d)ビタミンK依存性タンパク質を回収する、
    の各工程を含む、上記生成法。
  9. ビタミンK依存性タンパク質が第II因子、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、およびプロテインSから成る群から選択される、請求項8記載の方法。
  10. ビタミンK依存性タンパク質が第IX因子である、請求項9記載の方法。
  11. クローニングが限界希釈クローニング法である、請求項10記載の方法。
  12. ビタミンK依存性タンパク質が第VII因子である、請求項9記載の方法。
  13. クローニングが半固体マトリクス・クローニング法である、請求項12記載の方法。
  14. プロモーターがチャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターである、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  15. 段階(b)の前に少なくとも10mg/LのビタミンK依存性タンパク質抗原を産生する細胞をあらかじめ選択することを更に含む、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  16. ビタミンKを含有する培地中で細胞株を培養する、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  17. ビタミンKを含有しない培地中で細胞株を培養する、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  18. 少なくとも20%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  19. 少なくとも30%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  20. 少なくとも40%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  21. 少なくとも58%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  22. 少なくとも70%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  23. 少なくとも85%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  24. 少なくとも95%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  25. 少なくとも99%のビタミンK依存性タンパク質が生物学的に活性である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  26. ビタミンK依存性タンパク質が少なくとも20mg/Lの量で生成される、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  27. ビタミンK依存性タンパク質が少なくとも30mg/Lの量で生成される、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  28. ビタミンK依存性タンパク質が少なくとも40mg/Lの量で生成される、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  29. 哺乳動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項8から13のいずれかに記載される方法。
  30. 請求項8から11のいずれかに記載される方法で生成された組換え第IX因子タンパク質。
  31. 請求項8、9、12、または13のいずれかに記載される方法で生成された組換え第VII因子タンパク質。
  32. 請求項30記載の第IX因子タンパク質または請求項31記載の第VII因子タンパク質を含有する医薬組成物。
  33. 請求項30記載の組換え第IX因子タンパク質または請求項31記載の第VII因子タンパク質を含有するキット。
  34. それを必要とする患者に有効量の請求項32記載の医薬組成物を投与することを含む、血友病の治療法。
  35. 少なくとも10%の生体活性を有する組換え第IX因子。
  36. 少なくとも20%の生体活性を有する、請求項35記載の組換え第IX因子。
  37. 少なくとも30%の生体活性を有する、請求項35記載の組換え第IX因子。
  38. 少なくとも40%の生体活性を有する、請求項35記載の組換え第IX因子。
  39. 少なくとも58%の生体活性を有する、請求項35記載の組換え第IX因子。
  40. 少なくとも70%の生体活性を有する組換え第VII/VIIa因子タンパク質。
  41. 少なくとも85%の生体活性を有する組換え第VII/VIIa因子タンパク質。
  42. 少なくとも99%の生体活性を有する組換え第VII/VIIa因子タンパク質。
  43. 少なくとも20%の生体活性を有する組換えビタミンK依存性タンパク質を産生する細胞株であって、該細胞株が以下:
    (a)チャイニーズハムスター伸長因子1(CHEF-1)プロモーターに機能的に結合したビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子を哺乳動物細胞集団にトランスフェクトし;そして
    (b)少なくとも1ラウンドのクローニングおよびスクリーニングを実施し、少なくとも10%の生体活性を有するビタミンK依存性タンパク質を少なくとも10mg/Lの量で産生する細胞クローンを同定する;
    ことによって作製される、上記細胞株。
  44. クローニングが限界希釈クローニング法または半固体マトリクス・クローニング法である、請求項43記載の方法。
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