JP2013506847A - 妨害除去膜を備えた分析物センサ装置と、その製造および使用法 - Google Patents

妨害除去膜を備えた分析物センサ装置と、その製造および使用法 Download PDF

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Abstract

本発明の実施の形態は、妨害除去膜などの最適化された要素を備えた電流測定分析物センサと、このようなセンサの製造および使用法を提示する。この考案(innovation)の実施の形態は様々な状況で使用できるが、本発明の典型的な実施の形態としては、糖尿病の管理に用いられるグルコースセンサが挙げられる。

Description

本出願は、米国特許出願整理番号第11/633,254号、米国特許出願第12/184,046号、米国特許出願第12/345,354号に関連するものであり、これらの内容は本件に引用して援用する。
本発明は、分析物センサ(例えば、糖尿病の管理に用いられるグルコースセンサ)と、このようなセンサを製造および使用するための方法および材料に関する。
バイオセンサなどの分析物センサとしては、マトリックス中の化学分析物を検出可能な信号に変換する生物学的要素を利用したデバイスが挙げられる。多様な分析物に対して用いられる多くのタイプのバイオセンサがある。最も良く研究されているタイプのバイオセンサは電流測定グルコースセンサであり、これは糖尿病における良好なグルコース濃度管理に非常に重要である。
典型的なグルコースセンサは、次の化学反応に従って動作する。
グルコースオキシダーゼは、グルコースと酸素とを反応させてグルコン酸と過酸化水素を生じる反応(反応式1)の触媒として用いられる。H22は反応式2に示すように電気化学的に反応し、その電流がポテンショスタットにより測定できる。当技術で既知の様々な酸化還元酵素で起こるこれらの反応は、多くのセンサ設計で利用される。
国際公開第2005/012873号 国際公開第1998/38906号
電気化学センサに共通する問題のひとつは、測定すべき分析物(または、分析物との酵素反応の副生物)のみと電気化学的に反応するのではなく、他の電気活性化学種とも反応することである。これは意図的に測定している反応ではなく、この“妨害種”によって信号強度の増大が起こる。典型的にこのような妨害種は、測定すべき分析物(または、分析物との酵素反応の副生物)と重複する酸化または還元電位を持つ化合物である。例えば、センサで過酸化水素を測定する、従来のグルコースオキシダーゼを用いる電流測定グルコースセンサでは、アセトアミノフェン、アスコルビン酸塩、尿酸塩などの妨害種が真の分析物信号を妨害することが知られている。この理由により、このような妨害種によって起こる問題に対処するよう考案された方法および材料が望まれている。
本発明の実施の形態には、例えば、糖尿病の管理に一般的に用いられている電流測定グルコースセンサなどの分析物センサおよびセンサ装置中の、妨害種に対する障壁として使用可能な架橋したポリマ膜組成物が含まれる。本発明の具体的な実施の形態のひとつは、親水性架橋化合物で架橋した、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の分子量を持つメタクリラートポリマの層を含む組成物である。これと同類の本発明の実施の形態は、親水性架橋化合物で架橋した、4,000ドルトンと500キロドルトンの間の分子量を持つ第一級アミンポリマの層を含む組成物である。本発明の典型的な実施の形態において、これらの組成物は作用電極表面に付着し、140ドルトンより大きい分子量を持つ化合物の拡散を抑制するポリマ膜障壁を形成する。本発明の一部の実施の形態において、ポリマ膜組成物は作用電極の電気活性表面に直接接しており、その厚さは0.1μmと1.0μmの間である。
本発明の実施の形態のひとつは、ベース層と、ベース層上に配置した、作用電極を含む導電層と、作用電極の電気活性表面上に配置した妨害除去膜(interference rejection membrane:IRM)とを含む、電流測定分析物センサ装置であって、妨害除去膜は、親水性架橋剤で架橋したポリマを含んでいる。このセンサの具体的な実施の形態において、妨害除去膜は、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の平均分子量を持つ架橋したメタクリラート(例えば、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル))ポリマ、および/または、4キロドルトンと500キロドルトンの間の平均分子量を持つ架橋した第一級アミンポリマを含むことができる。適当な第一級アミンポリマとしては、ポリリシンポリマ、ポリ(アリルアミン)ポリマ、アミン末端化ポリ(エチレンオキシド)ポリマ、ポリ(ビニルアミン)ポリマ、ポリエチレンイミンポリマなどが挙げられる。適当な親水性架橋化合物としては、尿素、および親水性の有機官能性二価(organofunctional dipodal)アルコキシシラン(例えば、メタクリラートポリマを結合するための)、またはグルタルアルデヒド(例えば、第一級アミンポリマを結合するための)が挙げられる。本発明の一部の実施の形態において、妨害除去膜の厚さは0.1μmと0.2μmの間であり、作用電極の電気化学的反応表面に付着し、直接接している。
典型的に、妨害除去膜は、140ドルトンより大きい分子量を持つ化合物(例えば、アセトアミノフェン、尿酸、アスコルビン酸など)が、それを通って拡散するのを抑制する。本発明のこのような実施の形態のひとつでは、妨害除去膜は、ある濃度のアセトアミノフェンから生じる分析物センサ装置中の信号が、妨害除去膜のない対照の分析物センサと比較して少なくとも50%まで低減するよう、それを通るアセトアミノフェン(分子量151.17ドルトン)の拡散を抑制する。
本発明の一部の分析物センサの実施の形態は、in vivoに埋め込むことができ、典型的に、お互いの上に配置した複数の機能層、例えば、ベース層と、ベース層上に配置した、作用電極を含む導電層と、作用電極の電気活性表面上に配置した妨害除去膜と、妨害除去膜の上に直接被覆した分析物検出層とを含んでおり、更に、分析物検出層上に配置したタンパク質層、分析物検出層またはタンパク質層の上に配置した分析物調節層、分析物検出層上に配置した接着促進層、または、分析物センサ装置上に配置したカバー層、の少なくとも1つを含んでいる。このとき、分析物調節層は、分析物調節層を通って拡散する分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、接着促進層は、分析物検出層と分析物調節層との間の接着を促進し、カバー層は、in vivoに存在する分析物が分析物調節層に到達してその中を拡散し、分析物検出層に到達し易くなるよう、カバー層に配置した開口部を含んでいる。典型的に、分析物検出層は、酸化還元酵素の基質に曝露すると過酸化水素を発生する酸化還元酵素を含み、酸化還元酵素によって発生する過酸化水素の量は、酸化還元酵素に曝露した基質の量に比例する。
本発明の一部の分析物センサの実施の形態には、作用電極、対電極、および参照電極を含む、複数の電極を含んでいる導電層が含まれる。必要に応じて、導電層は、複数の作用電極、対電極、および参照電極を含み、これらは1つのユニットとしてグループ化され、ユニットの繰り返しパターンとして導電層上に位置的に分散している。本発明のいくつかの実施の形態において、センサは、センサ入力装置と、センサ入力装置に接続したプロセッサとに、連動するよう接続しており、センサ入力装置は、in vivoで検知された生理学的特性値に基づくセンサからの信号を受信可能であり、プロセッサは、センサから受信した1つ以上の信号の特性解析が可能である。必要に応じて、パルス電圧を用いて、センサの作用電極からの信号を観測する。
本発明の別の実施の形態は、哺乳動物の体内に埋め込むためのセンサ装置の製造法であって、この製造法は、ベース層を準備する工程と、ベース層上に作用電極を含む導電層を形成する工程と、作用電極上に妨害除去膜を形成する工程と、導電層上に分析物検出層を形成する工程と、分析物検出層または必要に応じたタンパク質層上に接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置した分析物調節層を形成する工程と、分析物調節層の少なくとも一部の上に配置したカバー層を形成する工程と、を含み、妨害除去膜は、架橋したメタクリラートポリマまたは架橋した第一級アミンポリマを含んでおり、分析物検出層は酸化還元酵素を含んでおり、分析物調節層は、その中を通る分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、カバー層は、分析物調節層の少なくとも一部の上に更に開口部を含んでいる。本発明の一部の方法論的な実施の形態において、架橋したポリマは、親水性架橋剤で架橋した、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の平均分子量を持つポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)(pHEMA)ポリマを含むことができる。典型的に、このようなメタクリラート組成物で作られた妨害除去膜の厚さは0.1μmと1.0μmの間であり、0.3%から1%のpHEMAと0.25%から0.7%のシラン架橋剤とを含む溶液を用いたスプレー工程、1%から3%のpHEMAと0.3%から0.7%のシラン架橋剤とを含む溶液を用いたスピン工程、または、4%のpHEMAと0.35%から1.0%のシラン架橋剤とを含む溶液を用いたスロットコーティング工程によって、電極上に形成する。本発明の別の方法論的な実施の形態において、架橋ポリマは、4キロドルトンと500キロドルトンの間の平均分子量を持つ第一級アミンポリマを含むことができる。このようなポリマとしては、例えば、ポリリシンポリマ、ポリ(アリルアミン)ポリマ、アミン末端化ポリ(エチレンオキシド)ポリマ、ポリ(ビニルアミン)ポリマ、またはポリエチレンイミンポリマが挙げられる。典型的に、このようなポリアミン組成物で作られた妨害除去膜の厚さは0.1μmと1.0μmの間であり、スプレー工程で電極上に形成した後、グルタルアルデヒドを用いて、静的チャンバ(static chamber)またはCVDチャンバで架橋を行う。
本発明のその他の目的、特徴、および長所は、当業者には以下の詳細な記述より明らかとなろう。但し、本発明のいくつかの実施の形態が示されているが、詳細な記述および明確な実施例は説明のために示されているのであって、限定するものではないことを理解すべきである。本発明の意図から外れることなく、本発明の範囲内で多くの変更および変形を行うことができ、また本発明はこのような変形を全て含んでいる。
グルコースとグルコースオキシダーゼとの良く知られている反応を示す略図である。段階的に示されているように、この反応には、水中のグルコースオキシダーゼ(GOx)とグルコースと酸素が関与している。反応の還元側では、2つのプロトンと電子がβ−D−グルコースから酵素へ移動してd−グルコノラクトンが生じる。反応の酸化側では、酵素が分子状酸素により酸化されて過酸化水素が生じる。d−グルコノラクトンは次に水と反応し、ラクトン環が加水分解されてグルコン酸が生成する。本発明の一部の電気化学センサでは、この反応で生成した過酸化水素が作用電極で酸化される(H22→2H++O2+2e-)。 妨害除去膜を加えることのできる電流測定分析物センサのひとつの実施の形態を示す線図である。 妨害除去膜を備えた電流測定分析物センサのひとつの実施の形態の線図である。 分子量の異なるpHEMAポリマで作成した妨害除去膜を備えたセンサの、アセトアミノフェンと過酸化水素から生じた信号を示す棒グラフの形のデータである。 アセトアミノフェンと過酸化水素に応じて発生したセンサ信号(Isig、nA)を示す図形データである。この図は、異なる量のシラン架橋剤で架橋したIRM(架橋した組成物中のシラン含量が異なる結果となる)を備えた、様々なセンサの応答を示している。 ある投与量のアセトアミノフェンに対する一定期間に亘るセンサ応答を示すグラフである。 IRM(妨害除去膜)を持つセンサの、このような膜のない対照センサと比較した性能を示すグラフである。 妨害化合物とH22に応答している、スロットコートしたIRM(sp2)を持つセンサからのデータを示すグラフである。 IRM(妨害除去膜)を持つセンサの、このような膜のない対照センサと比較した性能の測定データを示すグラフである。 IRM(妨害除去膜)を持つセンサ(IRM組成物を1または2層被覆したセンサ)の、このような膜のない対照センサと比較した性能の測定データを示すグラフである。 1%のポリリシンを1回架橋させたIRMを持つセンサの妨害除去性能を示すグラフである。このIRMは、スプレーで塗布した単一の層を用いて、妨害信号を効果的に抑制した。2層の架橋ポリマ被膜は、実施例1および実施例2に開示されているpHEMA−シラン系と同等の性質を備えた妨害除去膜となる。H22ISigは、スプレー塗布した2層の架橋ポリマを含むIRM被膜ではあまり低下しない。 1%のポリリシンを1回架橋させたIRMを持つセンサの妨害除去性能を示すグラフである。このIRMは、スプレーで塗布した単一の層を用いて、妨害信号を効果的に抑制した。2層の架橋ポリマ被膜は、実施例1および実施例2に開示されているpHEMA−シラン系と同等の性質を備えた妨害除去膜となる。H22ISigは、スプレー塗布した2層の架橋ポリマを含むIRM被膜ではあまり低下しない。 PBS試験2週間後のIRM性能と、工程パラメータの違いから生じると考えられる差異とを示すグラフである。4μl×2は、安定した妨害性能と良好なH22を示す。 分子量の異なるポリリシンポリマによるIRM性能を示すグラフである。 ポリリシンおよびpHEMA−シランIRM組成物の性能を示すグラフである。 最初の24時間の間のIRMセンサの起動性能を示すグラフである。センサは30分以内に起動し、大きなドリフトは見られなかった。
別に定義のない限り、文中で用いられている全ての技術用語、表記、および他の科学用語または専門用語は、本発明の関係する技術の当業者に一般的に理解されている意味を持つものとする。いくつかのケースでは、明確にするため、および/または、参照を容易にするため、一般的に理解されている意味を持つ用語が文中で定義されているが、文中でこのように定義することが、当技術で通常理解されているものとの実質的な違いを示していると必ずしも解釈すべきではない。文中に記載または参照されている手法および手順の多くは、当業者には良く理解されており、通常の手法を用いて一般的に行われている。必要に応じて、市販のキットおよび試薬を使用する手順が、特に断りのない限り製造者の定めたプロトコルおよび/またはパラメータに従って一般的に行われる。多くの用語を以下に定義する。文中で言及した全ての開示資料は、引用されている開示資料に関連する方法および/または材料を開示および記述するため、本件に引用して援用する。文中に引用された開示資料は、本出願の出願日より前のその開示の内容に関して引用されている。より早い優先日またはより早い発明日の効力によって、出願者らが開示資料の日付を早める権利を持たないことを承認すると解釈すべきではない。更に、実際の公開日が、それらの示された、また独立検証を求められた日付と異なることもある。
本明細書および添付の請求項で用いられている単数形“a”、“and”、および“the”には、文脈が明らかに別のものを指していない限り、複数の指示物が含まれることに留意しなければならない。つまり、例えば、“an”酸化還元酵素には、複数のこのような酸化還元酵素や当業者に既知のその同等物などが含まれる。整数以外の値で数値的に特定可能な値を指している(例えば、溶液中の化合物濃度)、明細書および付随する請求項に挙げられている全ての数は、用語“約”によって修飾されると理解する。
用語“酸化還元酵素”は、その技術的に容認されている意味、即ち、ある分子(還元剤、水素または電子供与体とも呼ばれる)から別の分子(酸化剤、水素または電子受容体とも呼ばれる)への電子移動の触媒となる酵素であるという意味に従って使用する。典型的な酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼが挙げられる。用語“キャリアポリペプチド”または“キャリアタンパク質”は、ポリペプチドの安定性を保つために加えられる添加剤であるという、その技術的に容認されている意味に従って使用する。例えば、酸化還元酵素ポリペプチドの能力は、ポリペプチドを含む組成物の物理的および化学的性質などの特定の定性的特徴(例えば、グルコースを酸化する能力)を一定時間保つことである。当技術で一般的に用いられる典型的なキャリアタンパク質はアルブミンである。
文中で用いられている用語“分析物(analyte)”は広義の語であって、その通常の意味で用いられ、例えば、制限無く、分析可能な体液(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、または尿)などの液体中の物質または化学成分を指す。分析物には、天然にある物質、人工物質、代謝産物、および/または、反応生成物が含まれる。いくつかの実施の形態において、検出部、検出デバイス、および検出法で測定する分析物はグルコースである。しかし、乳酸など(但し、これに限定しない)、他の分析物も意図されている。一部の実施の形態では、血液または間質液中に天然にある、塩類、糖類、タンパク質類、脂肪類、ビタミン類、およびホルモン類を分析物とすることができる。分析物は、体液中に天然に存在するものや内因性のもの、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体などである。あるいは、分析物は、体内に取り入れたものや外因性もの、例えば、造影剤、放射性同位体、化学薬品、フルオロカーボン系合成血液、あるいは、インスリンなど(但し、これに限らない)の薬物または医薬組成物である。薬物や医薬組成物の代謝産物も分析物として考えられる。
用語“妨害”および“妨害種/化合物”は、その通常の意味で用いられ、例えば、センサ内の着目分析物の測定を妨害し、分析物の測定値を正確に示していない信号を発生する、効果、および/または、化学種/化合物(但し、これに限定しない)である。電気化学センサのひとつの例では、妨害種は、偽信号を発生するような、測定すべき分析物と重複する酸化電位を持つ化合物である。
文中で用いられている用語“センサ”は広義の語であって、その通常の意味で用いられ、例えば、制限無く、分析物を検出する、分析物監視デバイスの一部である。実施の形態のひとつにおいて、センサは、電気化学セルと電子的結線(electronic connection)と膜系とを含んでいる。電気化学セルは、作用電極と、参照電極と、必要に応じて対電極とを備え、これらの電極は、センサ本体を貫通し、その中に固定されていて、本体上のある位置に電気化学的反応表面を形成している。電子的結線は、本体の別の場所にある。膜系は、本体に固定されていて、電気化学的反応表面を覆っている。センサの通常の作動の間、生体試料(例えば、血液や間質液)またはその一部を、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と接触させ(直接に、または1つ以上の膜または領域を通過させた後)、生体試料(またはその一部)の反応から反応生成物が生じ、これにより生体試料中の分析物濃度を求めることができる。
文中で用いられている用語“電気化学的反応表面”および“電気活性表面”は、広義の語であって、その通常の意味で用いられ、例えば、制限無く、電気化学反応が起こる電極の表面である。ある例において、作用電極(例えば、白金黒から成るもの)は、検出すべき分析物の反応に酵素が触媒作用を及ぼして生成する過酸化水素が、電流を生じながら反応するのを測定する(例えば、グルコースオキシダーゼを利用したグルコース分析物の検出では、副成物としてH22が生じ、H22は、作用電極の表面で反応して2つのプロトン(2H+)と2つの電子(2e-)と1つの酸素分子(O2)を生じ、これによって検出される電子電流が生じる)。対電極の場合、作用電極で発生する電流と釣り合わせるため、還元種、例えば、O2が電極表面で還元される。
文中で用いられている用語“検出部”は、広義の語であって、その通常の意味で用いられ、例えば、制限無く、特定の分析物の検出に関わる、監視装置の部位である。具体的な実施の形態において、検出部は、非導電性の本体と、本体を貫通し、その中に固定されていて、本体上に電気化学的反応表面を形成している作用電極、参照電極、および対電極と、本体上の別の位置にある電子的結線手段と、電気化学的反応表面を覆っている1つ以上の層とを含むことができる。
後に詳細に論じるように、本発明の実施の形態は、技術的に好ましい材料特性を特異的に併せ持つ妨害除去膜など、要素の新たな集合を提示する、電気化学センサの使用法に関する。本発明の電気化学センサは、液体中の着目分析物(例えば、グルコース)、または、分析物の濃度または存在を示す物質の、濃度を測定するよう設計されている。いくつかの実施の形態において、本センサは連続的デバイス、例えば、皮下、経皮、または血管内デバイスである。いくつかの実施の形態において、本デバイスは、間欠的な複数の血液試料を分析できる。本件に開示されているセンサの実施の形態は、侵襲的、低侵襲的、非侵襲的検出技術など、どのような既知の方法に使用しても、着目分析物の濃度を示す出力信号を得ることができる。典型的に、本センサは、in vivoまたはin vitroの分析物の指標として、酸素存在下での分析物と酵素との酵素反応の生成物または反応物を検出するタイプのものである。このようなセンサは一般に、酵素を取り囲み、それを通して分析物が移動する膜を含んでいる。次に、電気化学的方法を用いて生成物を測定することで、電極系の出力が分析物の指標として機能する。いくつかの実施の形態において、本センサは、分析物の測定に、電流測定、電量測定、伝導度測定、および/または、電位差測定技術が使用できる。
本件に開示されている発明の実施の形態は、例えば、糖尿病患者の血中グルコース濃度の皮下または経皮的監視に用いられるタイプのセンサを提示する。糖尿病その他の命に関わる病気の治療のため、様々な埋め込み型の電気化学バイオセンサが開発されている。既存のセンサ設計の多くは、その生物特異性を得るため、いくつかの形の固定化酵素を用いている。本件に記載の発明の実施の形態は、多種多様の既知の電気化学センサ、例えば、その内容を本件に引用して援用する、米国特許出願第20050115832号、米国特許第6,001,067号、米国特許第6,702,857号、米国特許第6,212,416号、米国特許第6,119,028号、米国特許第6,400,974号、米国特許第6,595,919号、米国特許第6,141,573号、米国特許第6,122,536号、米国特許第6,512,939号、米国特許第5,605,152号、米国特許第4,431,004号、米国特許第4,703,756号、米国特許第6,514,718号、米国特許第5,985,129号、米国特許第5,390,691号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,482,473号、米国特許第5,299,571号、米国特許第5,568,806号、米国特許第5,494,562号、米国特許第6,120,676号、米国特許第6,542,765号、更に、PCT国際公開第01/58348号、国際公開第04/021877号、国際公開第03/034902号、国際公開第03/035117号、国際公開第03/035891号、国際公開第03/023388号、国際公開第03/022128号、国際公開第03/022352号、国際公開第03/023708号、国際公開第03/036255号、国際公開第03/036310号、国際公開第08/042625号、および国際公開第03/074107号、および欧州特許出願第1153571号に記載のものにも適応でき、またこれらを用いて実行することができる。
後に詳細に論じるように、本件に開示されている発明の実施の形態では、改良された材料特性および/または構造的配置を備えたセンサ要素と、このような要素を加えて構築されたセンサ装置(例えば、センサと、付随する電子的構成要素、例えば、モニタ、プロセッサなどを含むもの)を提示する。本発明は更に、このようなセンサおよび/または構造的配置の製造および使用法も提示する。本発明のいくつかの実施の形態はグルコースおよび/または乳酸センサに関連しているが、本件に開示の様々な要素(例えば、妨害除去膜)は、当技術で既知の多種多様のセンサのいずれにも使用できるよう適応可能である。ここに開示されている分析物センサ要素、構造、およびこれらの要素の製造および使用法を用いて、様々な多層型センサ構造体が構築できる。本発明のこのようなセンサは、驚異的な柔軟性および多用途性と、多種多様の分析種を分析するよう考案された多種多様のセンサ構造が可能となる特性とを示す。
本発明の実施の形態の具体的な態様を、以下の章で詳細に論じる。
I.本発明の典型的な要素、配置、および分析物センサの実施の形態
当技術では、グルコースなどの生物学的分析物の検出および/または測定に使用される電流測定センサなど、多種多様のセンサおよびセンサ要素が知られている。グルコースセンサの多くは、酸素(クラーク型)電流測定トランスデューサ(例えば、Yangら, Electroanalysis 1997,9,No.16:1252-1256、Clarkら, Ann. N.Y. Acad. Sci. 1962,102,29、Updikeら, Nature 1967,214,986、および Wilkinsら, Med. Engin. Physics, 1996,18,273.3-51)に基づくものである。過酸化水素系電流測定トランスデューサは製造が比較的容易で、従来技術を用いて簡単に小型化できるため、このようなトランスデューサは多くのin vivoグルコースセンサで用いられている。しかし、過酸化水素系電流測定トランスデューサの使用に関わる問題のひとつは、分析物環境中に存在する電気活性物質による信号妨害である。後に詳細に論じるように、このような問題は、本件に開示されている新たな半透膜を使用して、過酸化水素系電流測定変換要素(例えば、様々な大きさ、構造、および組成の電極)に信号を生じる可能性のある様々な化合物の輸送特性を調節することで解決される。つまりこの膜は、電気活性物質による妨害に敏感な分析物センサに用いられている様々なH22系トランスデューサのいずれにも使用できる。
一部の電流測定センサは、例えば、電極を備えたベース層と、酵素層と、分析物拡散調節(例えば、グルコース制限)膜とを含む、複数の層状要素を含んでいる。いくつかのセンサの実施の形態では、接着促進剤層を加えて、拡散調節膜や酵素層などの様々な層をより緊密に付着させる。このようなセンサの実施の形態のひとつを図2Aに示す。本件に開示されている発明の典型的な実施の形態には、アセトアミノフェン、尿酸、アスコルビン酸などのin vivo(例えば、間質液中)にある内因性または外因性の電気活性物質が、センサ電極に達して電極表面で酸化される(そしてその結果、測定すべき分析物が生じる信号の測定を混乱させる可能性のある偽信号が発生する)のを抑制および/または防止するよう設計されている妨害除去膜が含まれる。妨害除去膜を備えたセンサの実施の形態のひとつを図2Bに示す。
当技術で既知の妨害除去膜としては、例えば、酢酸セルロース、NAFION(スルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマ共重合体)、電解重合フェニレンジアミンなどの材料から作ったものが挙げられる。しかし、これらの膜は、ある種のセンサに使用するには不適当となるような、多くの材料特性を示す。例えば、酢酸セルロース組成物は、適切に配合すれば妨害除去膜として機能するが、この妨害除去膜には厚さが必要で、一般に良好な除去特性を得るには少なくとも5μmの厚さが必要である。残念ながらこの必要な厚さは埋め込み型センサに好ましくない嵩高さを加えることになり、また、信号を発生する分析物の能力を妨げてセンサの操作性を悪くすることがある。一般にNAFION膜にはこの問題はないが、この材料はアセトアミノフェン(電流測定グルコースセンサの主な妨害種)などの妨害分子の遮断には効果がない。更に、電解重合フェニレンジアミンなどの電解重合薄膜は比較的早く分解する傾向があるため、センサ寿命が短くなる。米国特許第5,837,454号では、アルコキシ基の加水分解によりシラン縮合反応を起こして有機ケイ素ヒドロキシドを生成し、これを縮合してポリ(オルガノシロキサン)とすることにより作成した半透膜を開示している。残念ながら、この方法で作った妨害除去膜は、ある種の電極表面を成している白金黒組成物などの粗面上に配置すると良好に機能しない。更に、この方法で作った妨害除去膜は比較的疎水性で、この性質は、水性環境(例えば、間質腔)中でin vivoの分析物を測定する際に、好ましくない現象、例えば、センサの水和の遅れ(即ち、センサの初期化/ウェットアップ(wet-up))の遅れ)などの現象や、センサ信号のドリフトの原因となる。
上に挙げたように、当技術で示された妨害除去膜には、当技術で示された多くのセンサ(例えば、複数の機能性被膜を載せた白金黒電極表面を含む電流測定グルコースセンサ)で使用するには不適当な多くの問題がある。そのため、様々な状況で使えるような、汎用性のある一連の材料特性を備えた妨害除去膜が当技術において求められている。本件に開示されている妨害除去膜の実施の形態は、様々な状況で使用できるような一連の材料特性を示すよう構築されたポリマ材料を含んでおり、例えば、in vivoに埋め込み、グルコースとグルコースオキシダーゼとの化学反応を利用して測定可能な信号を発生させる、電気化学的グルコースセンサなどのセンサに見られる多くの技術的問題を解決するものである。
例えば、in vivoに埋め込むセンサにおいて、理想的な妨害除去膜は、センサの嵩高さを著しく大きくし、および/または、センサの操作性を低下させる(例えば、拡散する生理学的反応物の化学量論比に影響を与えることで)ような、厚い材料層を必要とせずに機能しなければならない。更に、電流測定グルコースセンサなどのセンサでは、妨害除去膜材料の分子構造は、140ドルトンより大きい分子量を持つ化合物の拡散を抑制する(例えば、アセトアミノフェン、尿酸、アスコルビン酸などの化合物の拡散は抑制するが、同時に、過酸化水素などの小さな化合物は拡散させる)、一種の分子ふるいとして機能しなければならない。上記の材料特性に加え、妨害除去膜材料の分子構造は、例えば、電極表面(直接的にも間接的にも)で偽信号を生じる可能性のある、電気化学的反応基を持っていてはならない。更に、複数の層状要素を含むセンサでは、妨害除去層の材料は、一部の電極表面を構成する白金黒組成物などの粗面に付着し、同時に、様々な他のマトリックス、例えば、グルコースオキシダーゼなどの生物活性分子を含んでいる隣接層に付着するよう(即ち、センサ層の剥離を防止する接着性を示すよう)、接着性を示すものでなければならない。
更に、水性環境中の分析物を測定するよう設計された複数の層を含むセンサ(例えば、in vivoに埋め込むもの)は、典型的に、正確な分析物値を測定する前または測定中に、層が濡れている必要がある。材料の性質はその水和速度に影響することがあるため、水性環境中で使用する妨害除去膜の材料特性は、例えば、センサを水性環境中に入れてから、その環境中の分析物の濃度に対応する正確な信号を発生できるまでの時間を短くするため、理想的にはセンサを濡れ易くするものであろう。親水性化合物で架橋した開示のポリマを含む本発明の実施の形態は、センサを水和し易くすることでこの要求に応えている。
更に、グルコースとグルコースオキシダーゼの化学反応を利用して測定可能な信号を発生させる電気化学的グルコースセンサでは、妨害除去膜の材料は、当技術で“酸素欠乏問題”として知られている問題を悪化させてはならない(理想的には、緩和するものでなければならない)。特に、グルコースオキシダーゼ系センサは、信号の発生に酸素(O2)とグルコースの両方が必要なため、グルコースオキシダーゼ系グルコースセンサの作動には、グルコースに対して酸素が過剰に存在する必要がある。しかし、皮下組織内の酸素濃度はグルコース濃度よりずっと低いため、センサ中でのグルコースと酸素とグルコースオキシダーゼとの反応において酸素が制限反応物となって、グルコース濃度に厳密に従った信号を発生するセンサの能力を阻害する事態となるおそれがある。このような場合、材料の性質は、化合物がその材料を通って測定可能な化学反応の場まで拡散する速度に影響することがあるため、グルコースとグルコースオキシダーゼとの化学反応を利用して測定可能な信号を発生させる、電気化学的グルコースセンサに用いられる妨害除去膜の材料特性は、例えば、酸素欠乏問題を助長するように酸素よりもグルコースを拡散させ易いものであってはならない。親水性化合物で架橋したメタクリラートまたは第一級アミンポリマを含む本発明の実施の形態は、酸素欠乏問題を助長しない。
本発明の一部の実施の形態では、他のセンサ要素に対して特定の位置に妨害除去膜要素を置いて、その機能を発揮させる。例えば、開示の架橋ポリマ組成物を電極の電気活性表面に直接配置したセンサの実施の形態では、妨害種の拡散を抑制すると同時に、分析物の酵素反応から生じるH22を電極に到達させて適切な信号を発生させる、サイズ排除型の妨害除去膜として機能する。更に、前述のように、親水性試剤で架橋したポリ(HEMA)やポリリシンなどのポリマは、センサの初期水和速度を速めるよう、最適な親水性環境を更に作り出す。またこのようなポリマは、それに付着させる、酵素層(例えば、グルコースオキシダーゼを含む層)などの次の層に対して親和性のあるマトリックスとなる。つまり、本件に開示されている架橋ポリマ組成物は、ある種のセンサ構造(例えば、複数の機能性被膜をその上に配置した白金黒電極表面を含む、埋め込み型電圧測定グルコースセンサ)での使用に理想的な、驚異的な一連の材料特性を示す。この予想外の一連の材料特性としては、例えば、センサの水和を促す能力(これにより起動時間が短縮する)、安定なセンサ(および出力信号)が得られるよう、センサ層の接着性を高める能力、更に、センサの作動中に妨害種から生じる偽のセンサ信号を抑制する能力が挙げられる。本件に開示されている発明には多くの実施の形態がある。本発明の実施の形態としては、例えば、電流測定センサ(例えば、糖尿病患者が使用するグルコースセンサ)に用いて、アセトアミノフェン、尿酸、アスコルビン酸などの妨害化合物から生じる偽信号を抑制することのできる膜組成物が挙げられる。この妨害除去膜は、典型的に、センサが水和し易くなるよう、親水性架橋剤で架橋したポリマを含んでいる。
本発明の実施の形態のひとつは、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の分子量を持つメタクリラートポリマを含むポリマ組成物であり、このメタクリラートポリマは、有機官能性二価アルコキシシランなどの親水性架橋剤で架橋する。本発明の別の実施の形態は、4,000ドルトンと500キロドルトンの間の分子量を持つ第一級アミンポリマを含むポリマ組成物であり、この第一級アミンポリマは、グルタルアルデヒドなどの親水性架橋剤で架橋する。典型的に、これらの架橋ポリマ組成物で過酸化水素変換組成物を覆う。具体的な実施の形態において、過酸化水素変換組成物は電極を含んでおり、架橋ポリマ組成物は、厚さが0.1μmと1.0μmの間の層として電極を覆っている。これと同様の本発明の実施の形態は、架橋メタクリラートポリマまたは架橋第一級アミンポリマの層で覆った、またこれらの層と直接触れている電気活性表面を備えた電極(例えば、電流測定センサで用いられる白金電極)を含む組成物である。本発明の一部の実施の形態において、IRMは、妨害物の分子量が少なくとも140ドルトンである場合に機能する(即ち、妨害物の拡散を抑制する)よう設計されている。典型的に、IRMは、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、および/または尿酸が、それを通ってセンサ内の電極の電気活性表面へ拡散するのを抑制する。
本発明の一部の実施の形態において、架橋メタクリラートポリマは、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)ポリマを含む。本件で測定したように(例えば、実施例1および実施例2参照)、妨害除去膜として機能するメタクリル酸2−ヒドロキシエチルポリマの平均分子量は、100キロドルトンと1000キロドルトンの間である。本発明の別の実施の形態において、架橋ポリマは、第一級アミンポリマ(即ち、ポリリシンポリマなどの、第一級アミンの繰り返し単位を含むポリマ)を含む。本件で測定したように(例えば、実施例3参照)、妨害除去膜として機能する第一級アミンポリマの平均分子量は、4キロドルトンと500キロドルトンの間である。本発明の一部の実施の形態では、このような架橋ポリマを、電着方法による不規則な構造特性を持つ電極(例えば、白金黒)の表面に付着させる。いくつかの実施の形態において、妨害除去膜の一方の側は、作用電極の電気化学的反応表面に直接接しており、分析物検出層(例えば、グルコースオキシダーゼを含む層)は、妨害除去膜のもう一方の側に直接接している。
典型的に、ポリマの層を、電流測定センサの作用電極上に配置し、層の水和を促す親水性架橋剤で架橋する。メタクリラートポリマまたはポリアミンポリマのいずれの結合にも有用な、多くの様々な親水性架橋化合物が当技術において知られている。具体的な架橋化合物としては、例えば、グルタルアルデヒド、尿素、エチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、有機官能性二価アルコキシシランなどが挙げられる。典型的に、メタクリラート(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)ポリマは、アルコキシシラン架橋剤などの、ヒドロキシル基と反応する親水性架橋剤で架橋する。典型的に、第一級アミン(例えば、ポリリシン)ポリマは、グルタルアルデヒドなどの、第一級アミン基と反応する親水性架橋剤で架橋する。適当な第一級アミンポリマとしては、ポリリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンオキシド)、ジアミン末端化ポリ(ビニルアミン)、分枝ポリエチレンイミン、Jeffamineシリーズの第一級アミン系オリゴマまたはポリマなど(およびこれらの塩)が挙げられる。ポリアミンIRMの製造に用いられる典型的な化合物のひとつは、50kdから500kdのMwを持つポリリシン臭化水素酸塩である。
本発明の具体的な実施の形態のひとつは、ベース層と、ベース層上に配置した、作用電極を含む導電層と、作用電極の電気活性表面上に配置した妨害除去膜と、分析物検出層(例えば、妨害除去膜と直接触れている層)を含む、電流測定分析物センサ装置(例えば、哺乳類の体内に埋め込むよう設計されたセンサ)であり、妨害除去膜は、親水性架橋剤で架橋したポリマを含んでいる。この実施の形態の妨害除去膜は、架橋した第一級アミンまたは架橋したメタクリラート(例えば、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル))ポリマを含むことができる。この膜中の架橋メタクリラートポリマは、典型的に、妨害除去膜の親水性が大きくなるよう、親水性架橋剤(例えば、尿素、エチレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、有機官能性アルコキシシランなど)で架橋する。望ましいメタクリラート架橋剤としては、有機ポリマと反応してトリアルコキシシリル基をポリマ主鎖に結合させる、有機官能性アルコキシシランなどの化合物が挙げられる。この反応では、次にシランを水分と反応させ、シランを安定な3次元シラン構造に架橋することができる。この機構を用いて、プラスチックス、特に、ポリエチレンや他の有機樹脂(アクリル酸樹脂、ウレタン類など)を架橋し、被膜に耐久性、耐熱性を与えることができる。更に、親水性二価シランなどの架橋剤は、優れた親水性を与えると同時に、2倍の強さの架橋能力(crosslinking capacity)を与える。
本件に開示の架橋ポリマ組成物により、既存センサ構造の厚さを殆ど大きくしない、極めて薄い妨害除去膜の設計が可能となる。典型的に、妨害除去膜の厚さは0.1μmと1.0μmの間(例えば、0.1μmと0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0μmの間の厚さ)であり、この厚さであれば、この追加要素を収容するため既存センサ設計をあまり変えずに、様々な既存センサ設計に使用するよう容易に適応させることができる。望ましい実施の形態において、妨害除去膜の厚さは0.1〜0.2μmの間である。この薄い妨害除去膜を、例えば、本発明の埋め込み型センサの実施の形態に用いると、埋め込みデバイスの体積をあまり大きくせずに(これにより、デバイスの埋め込みに伴う合併症に患者が悩ませられる心配が少なくなる)センサの水和を促進し、更に、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、尿酸などの化合物がそれを通って拡散する速度を遅くすることができる。必要に応じて、妨害除去膜は、ある濃度のアセトアミノフェンから生じる分析物センサ装置中の信号が、妨害除去膜のない対照の分析物センサ装置と比較して少なくとも50%まで低減するよう、それを通るアセトアミノフェンの拡散を抑制する。
本発明の実施の形態には、多種多様のセンサ要素と、要素の配置が含まれる。例えば、本発明の一部の実施の形態において、妨害除去膜は、作用電極の電気化学的反応表面に直接接しており、分析物検出層は、妨害除去膜上に配置されている。本発明のいくつかの実施の形態では、妨害除去膜は、ポリマ材料から成る複数の被膜(例えば、後の実施例に開示されているスプレー工程で電極上に配置した被膜)を含んでいる。典型的に、分析物検出層は、酸化還元酵素の基質(例えば、グルコース)に曝露すると過酸化水素を発生する酸化還元酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を含み、酸化還元酵素によって発生する過酸化水素の量は、酸化還元酵素に曝露した基質の量に比例する。必要に応じて、本発明のこのような実施の形態は、更に、分析物検出層上に配置したタンパク質層、分析物検出層またはタンパク質層の上に配置した分析物調節層、分析物検出層上に配置した接着促進層、または、分析物センサ装置上に配置したカバー層を含み、分析物調節層は、分析物調節層を通って拡散するグルコースなどの分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、接着促進層は、分析物検出層と分析物調節層との間の接着を促進し、カバー層は、哺乳動物の体内に存在する分析物が分析物調節層に到達してその中を拡散し、分析物検出層に到達し易くなるよう、カバー層に配置した開口部を含んでいる。本発明のいくつかの実施の形態において、導電層は、作用電極、対電極、および参照電極を含む、複数の電極を含んでいる。必要に応じて、導電層は、複数の作用電極と対電極と参照電極とを含み、複数の作用、対、および参照電極は1つのユニットとしてグループ化され、ユニットの繰り返しパターンとして導電層上に位置的に分散している。本発明のいくつかの実施の形態において、センサは、センサ入力装置と、センサ入力装置に接続したプロセッサとに、連動するよう接続しており、センサ入力装置は、哺乳動物の体内で検知された生理学的特性値に基づくセンサからの信号を受信可能であり、プロセッサは、センサから受信した1つ以上の信号の特性解析が可能である。本発明の一部の実施の形態では、パルス電圧を用いて電極から信号を得る。
本発明の別の実施の形態は、哺乳動物の体内に埋め込むためのセンサ装置の製造法であって、この製造法は、ベース層を準備する工程と、ベース層上に作用電極を含む導電層を形成する工程と、作用電極上に妨害除去膜を形成する工程と、導電層上に分析物検出層を形成する工程と、必要に応じて、分析物検出層上にタンパク質層を形成する工程と、分析物検出層または必要に応じたタンパク質層の上に、接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置した分析物調節層を形成する工程と、分析物調節層の少なくとも一部の上に配置したカバー層を形成する工程と、を含み、妨害除去膜は、架橋したメタクリラートポリマまたは架橋した第一級アミンポリマを含んでおり、分析物検出層は、酸化還元酵素を含んでおり、分析物調節層は、それを通る分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、カバー層は、分析物調節層の少なくとも一部の上に更に開口部を含んでいる。本発明の更に別の実施の形態は、開示されている一連の要素を備えた、および/または、開示されている方法論的工程によって製造した、センサを用いた分析物の検出法である。
本発明のポリマ組成物は、技術的に容認されている様々な方法を用いて製造できる。典型的に、妨害除去膜は、スプレー法により、例えば、基材ウェハ上に単層または多層型の被膜として製作する。例えば、本発明の具体的な実施の形態のひとつでは、0.3%から1%のpHEMAと0.25%から0.7%のシラン架橋剤とを含む溶液を用いたスプレー工程により、架橋メタクリラートポリマを電極上に形成する。あるいは、0.25質量%から4質量%の範囲のpHEMAと0.2%から0.4%の含量の架橋剤(例えば、1%から3%のpHEMAと0.3%から0.7%のシラン架橋剤)とを含む溶液を用いたスピン工程により、架橋メタクリラートポリマを電極上に形成する。本発明の更に別の実施の形態では、4%のpHEMAと0.35%から0.7%のシラン架橋剤とを含む溶液を用いたスロットコーティング工程により、架橋メタクリラートポリマを電極上に形成する。典型的に、例えば、ポリマを適当な架橋剤に曝露し、次に、後の実施例に示されているように架橋剤に加熱などの硬化処理を行って(例えば、150℃から220℃の範囲で6分間加熱)、ポリマを架橋する。第一級アミン系ポリマ組成物は、スプレー工程で電極などの表面に塗布できる。次に、このポリマを架橋させるため、化学蒸着(CVD)架橋チャンバ内で、グルタルアルデヒドなどの架橋剤をこのポリマ材料に加えることができる。
A.本発明の実施の形態に見られる典型的なセンサ構造
図2Aに、本発明の典型的なセンサの実施の形態100の断面を示す。このセンサの実施の形態は、様々な導電性および非導電性の構成要素から成る、一般に層の形をした複数のコンポーネントから成り、これらの層は、技術的に許容されている方法、および/または、本件に開示されている本発明の特定の方法に従って、互いに重ねられたものである。例えば、図2に示したセンサ構造の特徴を分かり易くするため、ここではセンサのコンポーネントを、典型的に層として示してある。しかし、当業者ならば、本発明の一部の実施の形態において、複数の構成要素が異性分から成る1つ以上の層を形成するよう、センサの構成要素を組み合わせることは理解されよう。このような場合、当業者は、層状構成要素の順序を本発明の様々な実施の形態の中で変えられることを理解している。
図2Aに示す実施の形態には、センサ100を支えるためのベース層102が含まれている。ベース層102は、自立式の、または当技術で既知の他の材料で更に支持されている、金属、および/または、セラミック、および/または、ポリマ基材などの材料から成る。本発明の実施の形態には、ベース層102上に配置した、および/または、ベース層102に結合した導電層104が含まれる。典型的に導電層104は1つ以上の電極を含んでいる。動作するセンサ100は典型的に、作用電極、対電極、参照電極などの複数の電極を含んでいる。他の実施の形態はまた、複数の作用および/または対および/または参照電極、および/または、多機能の、例えば、参照電極と対電極の両方として機能する1つ以上の電極を含んでいる。
後に詳細に論じるように、ベース層102および/または導電層104は、多くの既知の手法と材料を用いて作ることができる。本発明の一部の実施の形態では、配置した導電層104を所望のパターンの導電性径路にエッチングしてセンサの電気回路を作る。センサ100の典型的な電気回路は、近位端に接触パッドとなっている部位と、遠位端にセンサ電極となっている部位とを備えた、2つ以上の隣接する導電性径路を含んでいる。ポリマ被膜などの電気絶縁性のカバー層106は、センサ100の一部分の上に配置することができる。絶縁性保護カバー層106として使用できるポリマ被膜としては、シリコーン化合物、ポリイミド類、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリラート共重合体など(但し、これらに限定しない)の毒性のない生体適合性ポリマが挙げられる。本発明のセンサでは、導電層104を外部環境に開いて、例えば、グルコースなどの分析物がセンサの層に浸透して検出要素で検知されるよう、カバー層106を貫通する1つ以上の曝露部位または開口部108を作ることができる。開口部108は、多くの手法、例えば、レーザアブレーション、テープマスキング、化学ミリングまたはエッチング、あるいはフォトリソグラフィ現像などで形成できる。本発明の一部の実施の形態では、製造の際、第2のフォトレジストを保護層106に更に塗布し、保護層を除去する領域を作って開口部108を形成しても良い。露出した電極および/または接触パッドにも追加のめっき処理などの二次的加工(例えば、開口部108を通して)を行って、表面を整え、および/または、導電性領域を強化しても良い。
図2Aに示すセンサ構造では、分析物検出層110(一般に、この層中の物質が化学反応を起こして、導電層で検知可能な信号を生じるという意味での、センサ化学物質層である)を、導電層104の1つ以上の露出した電極上に配置する。図2Bに示すセンサ構造では、妨害除去膜120を導電層104の1つ以上の露出電極上に配置し、次に、分析物検出層110をこの妨害除去膜120上に配置する。典型的に、分析物検出層110は酵素層である。最も典型的には、分析物検出層110は、酸素および/または過酸化水素を生成、および/または利用することのできる酵素、例えば、酵素グルコースオキシダーゼを含んでいる。必要に応じて、分析物検出層中の酵素を、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの、第2のキャリアタンパク質と結合させる。具体的な実施の形態では、分析物検出層110中のグルコースオキシダーゼなどの酸化還元酵素がグルコースと反応して、後に電極で電流を変調する化合物である過酸化水素を生成する。この電流の変調は過酸化水素濃度に依存し、過酸化水素濃度はグルコース濃度に相関するため、この電流の変調を監視するとグルコース濃度が求められる。本発明の具体的な実施の形態において、過酸化水素は陽極である作用電極(本件では、陽極作用電極ともいう)で酸化され、過酸化水素濃度に比例した電流を生じる。過酸化水素濃度の変化によって起こるこのような電流の変調は、汎用のセンサ電流測定バイオセンサ検出器などの様々なセンサ検出装置で、あるいは、Medtronic MiDiMed製のグルコース監視デバイスなどの、当技術で知られている他の様々な同様のデバイスで観測できる。
本発明の実施の形態において、分析物検出層110は、導電層の一部分の上に、あるいは、導電層の全ての領域の上に塗布できる。典型的に、分析物検出層110は、アノードまたはカソードとすることのできる作用電極上に配置する。必要に応じて、分析物検出層110を対および/または参照電極上にも配置する。分析物検出層110の厚さは約1000μmまでにもできるが、一般にこの分析物検出層は、当技術で以前示されたセンサに見られる層と比べて相対的に薄く、例えば、典型的に、厚さは、1、0.5、0.25、または0.1μmより小さい。後に詳細に論じるように、薄い分析物検出層110を作成するためのいくつかの方法としては、基材(例えば、白金黒電極の反応表面)に層を刷毛塗りする方法や、スピンコーティング法、浸漬および乾燥法、低剪断スプレー法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン法などが挙げられる。
典型的に、分析物検出層110は、1つ以上の追加の層に隣接して被覆および/または配置する。必要に応じて、1つ以上の追加の層には、分析物検出層110上に配置したタンパク質層116が含まれる。典型的に、タンパク質層116は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどのタンパク質を含んでいる。典型的に、タンパク質層116は、ヒト血清アルブミンを含んでいる。本発明のいくつかの実施の形態において、追加層には、分析物検出層110上に配置して分析物検出層110に到達する分析物を制御する、分析物調節層112が含まれる。例えば、分析物調節膜層112には、分析物検出層中にあるグルコースオキシダーゼなどの酵素に接触するグルコースの量を調節する、グルコース制限膜が含まれる。このようなグルコース制限膜は、この目的に適していることが知られている多種多様の材料、例えば、ポリジメチルシロキサン類などのシリコーン化合物、ポリウレタン類、ポリ尿素、酢酸セルロース類、NAFION、ポリエステルスルホン酸類(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル類、または当業者に既知の他の適当な親水性の膜から作ることができる。
本発明の典型的な実施の形態において、図2に示すように、分析物調節層112と分析物検出層110の間に、これらの層の接触および/または接着を良くするため接着促進剤層114を配置する。本発明の具体的な実施の形態では、図2に示すように、分析物調節層112とタンパク質層116との間に、これらの層の接触および/または接着を良くするため接着促進剤層114を配置する。接着促進剤層114は、このような層の間の結合性を高めることが当技術で知られている多種多様の材料のいずれから作っても良い。典型的に、接着促進剤層114はシラン化合物を含んでいる。別の実施の形態では、分析物検出層110中のタンパク質または類似の分子を十分に架橋させ、または別の方法で処理して、接着促進剤層114なしに、分析物調節膜層112を分析物検出層110と直接接するように配置する。
本件に開示のセンサの製造に用いられる典型的な要素の実施の形態について以下で論じる。
B.本発明の実施の形態で使用する、典型的な分析物センサ構成要素
本発明のセンサの実施の形態で用いられる、典型的な要素/構成要素の例を以下に開示する。これらの要素は別個の(discreet)単位(例えば、層)として示すことができるが、当業者ならば、センサを、以下で論じる要素/構成要素の、材料特性および/または機能の一部または全てを組み合わせ持つ要素(例えば、支持ベース構成要素および/または導電性構成要素、および/または、分析物検出構成要素のマトリックスとしても働き、更にセンサ中の電極として機能する要素)を含むよう設計できることを理解している。当業者ならば、この薄膜分析物センサが、後に示すような多くのセンサ装置での使用に適応できることを理解している。
<ベース構成要素>
本発明のセンサには、典型的に、ベース構成要素(例えば、図2Aの要素102参照)が含まれる。用語“ベース構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、典型的に、機能するセンサを構成している重ね合わされた複数の構成要素に対して支持マトリックスとなっている、装置内の構成要素を指す。ある形態では、ベース構成要素は、絶縁性(例えば、電気絶縁性および/または不透水性)材料から成る薄膜シートを含んでいる。このベース構成要素は、誘電特性、不透水性、密封性などの望ましい品質を持つ多種多様の材料から作られる。いくつかの材料として、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマ基材などが挙げられる。
ベース構成要素は、自立式であり、または当技術で既知の別の材料で更に支持されている。図2Aに示すセンサ構造の実施の形態のひとつでは、ベース構成要素102はセラミックを含んでいる。あるいは、ベース構成要素はポリイミドなどのポリマ材料を含んでいる。具体的な実施の形態において、セラミックベースは、主にAl23である(例えば、96%)組成物から成る。埋め込み型デバイスに使用するための、絶縁性ベース構成要素としてのアルミナの使用は、その内容を本件に引用して援用する、米国特許第4,940,858号、米国特許第4,678,868号、および米国特許第6,472,122号に開示されている。本発明のベース構成要素は、当技術で既知の他の要素、例えば、密閉バイアス(hermetical vias)(例えば、世界公開第03/023388号参照)を更に含むことができる。特定のセンサ構造に応じて、ベース構成要素を、比較的厚い(例えば、50、100、200、300、400、500、または1000μmより厚い)構成要素としても良い。あるいは、薄い構成要素とした、例えば、約30μmより薄い、アルミナなどの非導電性セラミックを用いても良い。
<導電性構成要素>
本発明の電気化学センサには、典型的に、ベース構成要素上に配置した、測定すべき分析物またはその副生物(例えば、酸素および/または過酸化水素)を測定するための少なくとも1つの電極を含む導電性構成要素が含まれる(例えば、図2Aの要素104参照)。用語“導電性構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、検出可能な信号を測定してこれを検出装置に伝えることのできる、電極などの導電性センサ要素を指す。その代表的な例は、分析物濃度の変化しない参照電極と比較した、分析物またはその副生物の濃度変化などの刺激への曝露に応じた電流の増減を測定できる導電性構成要素である。分析物が分析物検出構成要素110中に存在する組成物(例えば、酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用する場合には、共反応物(例えば、酸素)、またはこの相互作用の反応生成物(例えば、過酸化水素)が使用される。このような要素の具体例としては、過酸化水素や酸素などの分子の濃度が変動すると、変動する検出可能な信号を発することのできる電極が挙げられる。典型的に導電性構成要素中のこのような電極の1つは作用電極であり、これは耐食性金属または炭素から作ることができる。炭素作用電極はガラス状またはグラファイト状で、固体またはペーストから作ることができる。金属作用電極は、パラジウムや金などの白金族金属、または、二酸化ルテニウムなどの耐食性の金属的に導電性の酸化物から作ることができる。あるいは、電極は、銀/塩化銀電極組成物を含むものでも良い。作用電極は、ワイヤ、あるいは、例えば、被覆または印刷によって基材に塗布した導電性薄膜であっても良い。典型的に、金属または炭素導体の表面の一部だけが分析物を含む溶液と電解接触(electrolytic contact)する。この部分は電極の作用面と呼ばれる。電極の残りの表面は、典型的に、電気絶縁性のカバー構成要素106によって溶液から隔てられている。この保護カバー構成要素106の作成に有用な材料の例としては、ポリイミド類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、シリコーン類(ポリシロキサン類など)などのポリマが挙げられる。
作用電極の他に、本発明の分析物センサには、典型的に、参照電極、または、組み合わせた参照および対電極(擬似参照電極または対/参照電極とも呼ばれる)が含まれる。センサが対/参照電極を持たない場合、作用電極と同じまたは異なる材料で作られた、別個の対電極を含むことになる。本発明の典型的なセンサは、1つ以上の作用電極と、1つ以上の対、参照、および/または、対/参照電極を備えている。本発明のセンサの実施の形態のひとつでは、2つ、3つ、または4つ以上の作用電極を備えている。センサ中のこれらの作用電極は、接続して一体化したものでも、ばらばらのままでも良い。
典型的に、in vivoで使用するには、血液などの哺乳動物の体液と直接接触させるため、本発明の実施の形態を哺乳動物の皮下に埋め込む。あるいは、センサを、腹腔内(intraperotineal space)などの哺乳動物の体内の別の部位に埋め込んでも良い。複数の作用電極を用いる場合、これらを一緒に、または体内の異なる場所に埋め込む。対、参照、および/または対/参照電極も、作用電極の近く、あるいは哺乳動物の体内の別の場所に埋め込む。本発明の実施の形態には、ナノ構造物質から成る電極を含むセンサが含まれる。文中で用いられている“ナノ構造物質”とは、少なくとも1辺が100nmより小さくなるよう作られた物体である。例としては、単一壁ナノチューブ、二重壁ナノチューブ、多重壁ナノチューブ、ナノチューブの束、フラーレン、繭状物(コクーン:cocoons)、ナノワイヤ、ナノファイバ、オニオンなどが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
<妨害除去構成要素>
必要に応じて、本発明の電気化学センサには、電極表面と測定される環境との間に配置した妨害除去構成要素が含まれる。特に、一部のセンサの実施の形態は、一定電位を印加した際に作用電極表面での酵素反応によって生じる過酸化水素の酸化および/または還元を利用したものである。過酸化水素の直接酸化に基づく電流測定検出には比較的高い酸化電位が必要なため、この検出スキームを採用したセンサは、アスコルビン酸、尿酸、アセトアミノフェンなどの、体液中に存在する酸化種の妨害を受ける。このような状況において、用語“妨害除去構成要素”は、技術的に許容されている用語に従って文中で使用し、検出すべき分析物によって発せられる信号の検出を妨害する、このような酸化種が発する偽信号を抑制するよう機能する、センサ中の被膜または膜を指す。一部の妨害除去構成要素は、サイズ排除によって(例えば、特定の大きさの阻害種を排除することで)機能する。妨害除去構成要素の例としては、本件に開示されている親水性の架橋したpHEMAおよびポリリシンポリマ(例えば、後の実施例参照)、更に、酢酸セルロース(ポリ(エチレングリコール)などの試剤を組み込んだ酢酸セルロースを含む)、ポリエーテルスルホン類、ポリテトラフルオロエチレン類、パーフルオロ化イオノマーNAFION、ポリフェニレンジアミン、エポキシなどの化合物の1つ以上の層または被膜が挙げられる。このような妨害除去構成要素に関する具体的な議論は、例えば、その内容を本件に引用して援用する、Wardら, Biosensors and Bioelectronics 17(2002)181-189 および Choi ら, Analytical Chimica Acta 461(2002)251-260 に見られる。その他の妨害除去構成要素としては、例えば、分子量範囲に基づいて化合物の移動を制限することが認められているもの、例えば、その内容を本件に引用して援用する、米国特許第5,755,939号に開示の酢酸セルロースが挙げられる。
ある種の電流測定グルコースセンサの妨害除去膜としての使用に理想的となる、予想外の一連の材料特性を備えたその他の組成物と、その製造および使用法は、文中、例えば、後の実施例1〜実施例3に開示されている。
<分析物検出構成要素>
本発明の電気化学センサには、センサの電極上に配置した分析物検出構成要素が含まれる(例えば、図2Aの要素110参照)。用語“分析物検出構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、分析物センサ装置によってその存在が検出される分析物を認識する物質、または分析物と反応する物質を含む、構成要素を指す。典型的に、分析物検出構成要素中のこの物質は、検出すべき分析物と相互作用した後に、典型的に導電性構成要素の電極で検出可能な信号を生じる。このとき、分析物検出構成要素と導電性構成要素の電極とが連動して、分析物センサに付随する装置で読み取る電気信号を発する。典型的に、分析物検出構成要素は、導電性構成要素の電極での電流変化を測定することでその濃度変化が測定できる分子(例えば、酸素および/または過酸化水素)と反応する、および/または、そのような分子を生成する、酸化還元酵素、例えば、酵素グルコースオキシダーゼを含んでいる。過酸化水素などの分子を生成する酵素は、当技術で既知の多くの方法に従って電極上に配置できる。分析物検出構成要素は、センサの様々な電極の全体または一部分に被覆可能である。このような場合、分析物検出構成要素は、電極を同程度に覆っていても良い。あるいは、分析物検出構成要素は、異なる電極を異なる程度に、例えば、対および/または参照電極の被覆表面よりも作用電極の被覆表面を大きくしても良い。
本発明のこの要素の典型的なセンサの実施の形態では、第2のタンパク質(例えば、アルブミン)と一定の比率で結合させ(例えば、グルコースオキシダーゼを安定化させる性質を概ね最適としたもの)、次に、電極表面に塗布して薄い酵素構成要素とした、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)が用いられる。典型的な実施の形態において、分析物検出構成要素は、GOxとHSAとの混合物を含んでいる。GOxを含む分析物検出構成要素の典型的な実施の形態において、GOxは、検出環境(例えば、哺乳動物の体)内に存在するグルコースと反応し、図1に示す反応に従って過酸化水素を発生する。こうして発生した過酸化水素は、導電性構成要素内の作用電極で陽極的に検出される。
上で述べたように、酵素と第2タンパク質(例えば、アルブミン)は、典型的に処理を行って架橋マトリックスとする(例えば、タンパク質混合物に架橋剤を加えることにより)。当技術で既知のように、架橋条件を操作して、酵素の残留生物活性、その機械的および/または動作安定性などの要素を調節する。具体的な架橋手順は、その内容を本件に引用して援用する、米国特許出願整理番号第10/335,506号、およびPCT世界公開第03/035891号に記載されている。例えば、グルタルアルデヒド(但し、これに限定しない)などのアミン架橋剤をタンパク質混合物に加えることができる。
<タンパク質構成要素>
本発明の電気化学センサには、必要に応じて、分析物検出構成要素と分析物調節構成要素との間に配置したタンパク質構成要素が含まれる(例えば、図2Aの要素116参照)。用語“タンパク質構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、分析物検出構成要素および/または分析物調節構成要素との適合性によって選ばれた、キャリアタンパク質などを含む構成要素を指す。典型的な実施の形態において、タンパク質構成要素は、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含んでいる。HSA濃度は、約0.5%〜30%(w/v)の間で変えることができる。典型的に、HSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も典型的には約5%w/vである。本発明の別の実施の形態では、コラーゲンまたはBSA、あるいは、このような状況で用いられる他の構造タンパク質を、HSAの代わりに、またはHSAに加えて使用することができる。この構成要素は、典型的に、技術的に容認されているプロトコルに従って、分析物検出構成要素上で架橋する。
<接着促進構成要素>
本発明の電気化学センサは、1つ以上の接着促進(AP)構成要素を含むことができる(例えば、図2Aの要素114参照)。用語“接着促進構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、センサ内の隣り合う構成要素間の接着を促進するその能力によって選ばれた物質を含む構成要素を指す。典型的に、接着促進構成要素は、分析物検出構成要素と分析物調節構成要素との間に配置する。典型的に、接着促進構成要素は、必要に応じたタンパク質構成要素と分析物調節構成要素との間に配置する。接着促進剤構成要素は、これらの構成要素間の結合性を高めることが当技術で既知の多種多様の材料のいずれから製造しても良く、当技術で既知の多種多様の方法のいずれで塗布しても良い。典型的に、接着促進剤構成要素は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含んでいる。
シランカップリング剤、特に、化学式 R’Si(OR)3 (式中、R’は、一般に、末端にアミンの付いた脂肪族基であり、Rは、低級アルキル基である)で示されるものを用いて接着性を高めることは、当技術で既知である(例えば、その内容を本件に引用して援用する、米国特許第5,212,050号参照)。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランおよびグルタルアルデヒドを段階的工程で使用し、ウシ血清アルブミン(BSA)およびグルコースオキシダーゼ(GOx)を電極表面に付着および共架橋させた、化学修飾電極が当技術において良く知られている(例えば、Yao, T. Analytica Chim. Acta 1983,148,27-33参照)。
本発明の一部の実施の形態では、接着促進構成要素に、グルコースなどの分析物が分析物調節構成要素を通って拡散するのを制限するよう働く、ポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物などの1つ以上の化合物を更に加える。また、このような化合物は、隣接する構成要素にも加えることができる。具体的な実施の形態において、この配合物は、0.5〜20%のPDMS、典型的に5〜15%のPDMS、最も典型的には10%のPDMSを含んでいる。本発明の一部の実施の形態において、接着促進構成要素は、層状のセンサ装置内で架橋しており、これに対応して、分析物調節構成要素などの隣接する構成要素中に存在する部分を架橋するその能力によって選ばれた試剤を含んでいる。本発明の具体的な実施の形態において、接着促進構成要素は、分析物検出構成要素および/またはタンパク質構成要素などの隣接する構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル基、および/または、分析物調節層などの隣接層に加えられた化合物中に存在するシロキサン基を架橋するその能力によって選ばれた試剤を含んでいる。
<分析物調節構成要素>
本発明の電気化学センサには、センサ上に配置した分析物調節構成要素が含まれる(例えば、図2Aの要素112参照)。用語“分析物調節構成要素”は、技術的に容認されている用語に従って文中で使用し、グルコースなどの1つ以上の分析物がその構成要素を通って拡散するのを調節するよう機能する、センサ上の典型的に膜の形をした構成要素を指す。本発明の一部の実施の形態において、分析物調節構成要素は、グルコースなどの1つ以上の分析物がその構成要素を通って拡散するのを抑制または制限するよう機能する、分析物制限膜(例えば、グルコース制限膜)である。本発明の別の実施の形態において、分析物調節構成要素は、1つ以上の分析物がその構成要素を通って拡散するのを促進するよう機能する。必要に応じて、このような分析物調節構成要素は、ある種類の分子(例えば、グルコース)がその構成要素を通って拡散するのを抑制または制限するが、同時に、別の種類の分子(例えば、O2)がその構成要素を通って拡散するのを妨げず、あるいは更に促進するように作成しても良い。
グルコースセンサに関して、既知の酵素電極では、血液中のグルコースと酸素、更に、アスコルビン酸や尿酸などのいくつかの妨害物が、センサの最初の膜を通って拡散する。グルコース、酸素、および妨害物が分析物検出構成要素に達すると、グルコースオキシダーゼなどの酵素の酵素作用によりグルコースが過酸化水素とグルコノラクトンに変換される。過酸化水素は分析物調節構成要素の中を戻るように拡散し、あるいは、電極へ拡散して、ここで反応して酸素とプロトンを生成し、グルコース濃度に比例した電流を生じることができる。センサ膜集合体は、グルコースがそれを通るのを選択的に許可するなど、多くの機能を果たす。このような場合、具体的な分析物調節構成要素は、水、酸素、および少なくとも1つの選択的分析物を通過させ、水を吸収する能力を持つ半透膜、水溶性を持つ膜、親水性ポリマである。
様々な具体的な分析物調節組成物は、当技術で既知であり、例えば、その内容を本件に引用して援用する、米国特許第6,319,540号、米国特許第5,882,494号、米国特許第5,786,439号、米国特許第5,777,060号、米国特許第5,771,868号、および米国特許第5,391,250号に記載されている。そこに記載されているヒドロゲルは、水を囲んでいる構成要素となるという利点があるため、様々な埋め込み型デバイスに特に有用である。本発明のいくつかの実施の形態において、分析物調節組成物はPDMSを含んでいる。本発明の一部の実施の形態において、分析物調節構成要素は、隣接する構成要素中に存在するシロキサン基を架橋するその能力によって選択された試剤を含んでいる。これとよく似た本発明の実施の形態において、接着促進構成要素は、隣接する構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル基を架橋するその能力によって選ばれた試剤を含んでいる。
<カバー構成要素>
本発明の電気化学センサには、典型的に電気絶縁性の保護構成要素である、1つ以上のカバー構成要素が含まれる(例えば、図2Aの要素106参照)。典型的に、このカバー構成要素は、被膜、鞘(sheath)、または管の形にでき、分析物調節構成要素の少なくとも一部の上に配置する。絶縁性保護カバー構成要素として使用可能なポリマ被膜としては、シリコーン化合物、ポリイミド類、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリラート共重合体など(但し、これらに限定しない)の毒性のない生体適合性ポリマが挙げられる。更にこれらの被膜は、導電性構成要素に貫通した開口部をフォトリソグラフィによって形成し易くするため、光画像形成を行えるものであっても良い。典型的なカバー構成要素は、スパンオン(spun on)シリコーンを含むものである。当技術で知られているように、この構成要素は、市販のRTV(室温加硫)シリコーン組成物であっても良い。これに関連する典型的な化学物質は、ポリジメチルシロキサン(アセトキシ系)である。
C.本発明の典型的な分析物センサ装置の実施の形態
本件に開示のセンサ要素およびセンサの実施の形態は、分析物センサで一般的に使われている、様々な他の装置要素(例えば、差し込み部材、挿入装置などの構造的要素と、プロセッサ、モニタ、薬物注入ポンプなどの電子部品)と連動するよう接続して、例えば、様々な状況(例えば、哺乳動物の体内への埋め込み)での使用に適応させることができる。本発明の実施の形態のひとつには、検知した使用者の生理学的特性値に基づくセンサからの信号を受信できる入力装置要素と、受信信号を解析するためのプロセッサとを含む、本発明の実施の形態を用いた、使用者の生理学的特性値を監視する方法が含まれる。本発明の典型的な実施の形態において、プロセッサは、生理学的特性値の動的挙動を測定し、こうして求めた生理学的特性値の動的挙動に基づいて、観測可能な指標を提示する。いくつかの実施の形態において、生理学的特性値は、使用者の血中グルコース濃度の測定値である。別の実施の形態において、例えば、センサ機能、分析物濃度測定、妨害物質の存在などに関する確認情報が得られるよう比較冗長性をセンサ装置に組み入れるため、受信信号の解析過程と動的挙動の測定過程に、一連の生理学的特性値を得るための生理学的特性値の繰り返し測定を加える。
本発明の実施の形態には、デバイスの使用者が容易に監視でき、必要ならば、特性値の生理学的状態を調節(例えば、インスリン投与による血中グルコース濃度の調節)できるように設定した方法および形式で、検知した生理学的特性値(例えば、血中グルコース濃度)の測定データを表示するデバイスが含まれる。本発明の具体的な実施の形態は、検知した使用者の生理学的特性値に基づく信号をセンサから受信できるセンサ入力装置と、センサからの受信信号から、検知した使用者の生理学的特性値の複数の測定値を保存するためのメモリーと、検知した生理学的特性値の複数の測定値を、文字および/またはグラフ表示(例えば、文字、線グラフなど、棒グラフなど、格子図形など、またはこれらの組み合わせ)で示すためのディスプレイとを含むデバイスである。典型的に、グラフ表示は、検知した生理学的特性値のリアルタイム測定値を表示する。このようなデバイスは、様々な状況、例えば、他の医療装置と組み合わせて用いることができる。本発明のいくつかの実施の形態では、デバイスを少なくとも1つの別の医療機器(例えば、グルコースセンサ)と組み合わせて使用する。
実例的な装置の実施の形態は、グルコースセンサと、トランスミッタおよびポンプレシーバと、グルコースメータとから成る。この装置では、トランスミッタからの無線信号を定期的に(例えば、5分毎に)ポンプレシーバへ送って、予備的な(providing)リアルタイムセンサグルコース(SG)値を与えることができる。使用者が血中グルコースを自分で監視し、自身のインスリンポンプを使ってインスリンを投与できるよう、値/グラフをポンプレシーバのモニタ上に表示する。典型的に、本件に開示のデバイスの実施の形態は、有線または無線接続で第2の医療機器と通信している。無線通信としては、例えば、RFテレメトリ、赤外線伝送、光伝送、音波および超音波伝送などによる信号の伝達と共に起こる、放射信号の受信が挙げられる。必要に応じて、このデバイスは、薬物注入ポンプ(例えば、インスリンポンプ)の一体化部分である。典型的にこのデバイスでは、生理学的特性値に複数の血中グルコース測定値が含まれる。
D.本発明の実施の形態および関連する特徴
本件に開示の発明の実施の形態は、親水性組成物(例えば、親水性架橋剤で架橋したポリマを含む妨害除去膜)、および/または、in vivoでのセンサの初期化および/または起動(例えば、センサを in vivoに埋め込んだ後、その水性環境に順化して有意な情報の送信が始まるまでにかかる慣らし運転時間)を早める要素の配置を含むよう考案された、埋め込み型分析物センサおよびセンサ装置に焦点を当てている。特に、センサを使用する前のその初期化および/または起動に必要な総時間は相対的に長くなり(例えば、電流測定グルコースセンサでは、センサの起動初期化時間は2〜10時間となることがある)、この要因がこれらのセンサの医療での適用を阻んでいることが当技術において知られている。例えば、病院内環境では、センサの初期化および/または起動時間が相対的に長いと、患者の健康に関する重要な情報(例えば、糖尿病患者の高血糖症または低血糖症)の入手が遅れ、これにより、その情報の入手に基づいた治療(例えば、インスリンの投与)が遅くなることがある。更に、病院内環境でセンサの初期化および/または起動時間が相対的に長いと、病院スタッフが繰り返し監視する必要があり、この要因が患者ケアのコストを引き上げることもある。これらの理由により、病院内環境における in vivoでの初期化および/または起動時間の短いセンサと、センサの長い初期化および/または起動時間を短縮する、要素および/または要素の配置を含むよう考案されたセンサおよびセンサ装置とが、強く求められている。例えばグルコースセンサでは、センサの初期化および/または起動時間を15〜30分短縮することが強く求められており、これは、例えば、このように初期化時間が短いと、(1)病院職員が患者を監視している必要が減り、この要因によってこのような医療機器のコストパフォーマンスが向上する、(2)患者の健康に関する重要な情報の入手までの遅延が短縮するためである。
病院内環境ではなく、個人で分析物センサを使用する(例えば、糖尿病患者がグルコースセンサを用いて自身の病気を管理する)場合も、相対的に長いセンサの初期化および/または起動時間は、使用者にとって不便で、更に、使用者の健康に関する情報の入手が遅れるため問題である。例えば、研究によって、健常人の生理学的インスリン濃度の増減に良く一致するように患者がインスリンを投与すれば、この慢性疾患に関わる罹患率および死亡率の問題が劇的に減少することが分かったため、近年、糖尿病管理におけるグルコースセンサ、インスリン注入ポンプなどの使用が増えている。その結果、糖尿病などの慢性疾患を持つ患者は、その疾病の管理、特に、血中グルコース濃度の緊密な監視と調節において、積極的役割を果たすよう医療関係者に指導される。このような場合、多くの糖尿病患者は医学的訓練を受けていないため、このような管理に伴う煩雑さ、例えば、2時間の起動時間では、患者の活発な日課の見地からは不便であり、血中グルコース濃度を最適に監視および調節することはできないと考えられる。これらの理由により、センサの初期化および/または起動時間を短縮できる要素(例えば、本件に開示の親水性妨害除去膜)および/または要素の配置を含むよう設計されたセンサおよびセンサ装置は、医学的訓練を受けていない糖尿病患者がこのようなセンサを操作する状況において強く求められている。なぜなら、慢性糖尿病患者に見られる、よく知られている罹患率および死亡率の問題を減少させることが示されている挙動である、患者による自身の疾病の管理を、このようなセンサが容易にするからである。
本件に開示の分析物センサおよびセンサ装置は、典型的に哺乳動物の体内に埋め込むよう設計されているが、本件に開示の発明は、どのような特定の環境にも限定されず、多種多様の状況、例えば、殆どのin vivoおよびin vitro液体試料、例えば、間質液、全血、リンパ液、血漿、血清、唾液、尿、糞便、汗、粘液、涙、脳脊髄液、鼻汁、頸管または膣内分泌物、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、滑液、胃吸引物などの体液の分析に用いることができる。更に、固体または乾燥試料を適当な溶媒に溶解し、分析に適した液体混合物としても良い。
本件に開示の発明には、多くの実施の形態がある。本発明の具体的な実施の形態のひとつは、細長い(即ち、幅より著しく長さのある)ベース層と、ベース層上に配置し、参照電極と作用電極と対電極とを含んでいる導電層と、導電層上に配置した妨害除去膜と、妨害除去膜上に配置した分析物検出層と、分析物検出層上に配置した分析物調節層と、分析物センサ装置上に配置したカバー層とを含み、分析物調節層は、分析物調節層を通る分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、カバー層は、分析物が分析物調節層に到達してその中を拡散し、分析物検出層に到達し易くなるよう、カバー層に配置した開口部を含んでいる、分析物センサ装置である。本発明の典型的な実施の形態は、生体適合性材料から成り、および/または、哺乳動物の体内へ埋め込むよう設計された構造的特徴を備えている。本発明の方法論的な実施の形態には、本件に開示のセンサの実施の形態の製造および使用法が含まれる。本発明の一部の実施の形態には、本件に開示されているセンサの実施の形態の1つ以上の機能を生じる、および/または促進するための、特定のセンサ要素および/またはセンサ要素の特定の配置の使用法が含まれる。
文中に開示されているように、当業者ならば、ベース層上に配置され、作用電極と対電極と参照電極とを含んでいる導電層には、導電層がベース層の少なくとも一部の上に配置されていて、ベース層を必ずしも完全には覆っていない実施の形態も含まれることを理解している。当業者ならば、これはセンサ内の他の層についても言え、例えば、導電層上に配置した分析物検出層は、分析物検出層が導電層の少なくとも一部の上に配置されているセンサの実施の形態を含んでおり、分析物検出層上に配置された分析物調節層は、分析物検出層の少なくとも一部の上に配置された分析物調節層を含んでいる、なども指していることを理解していよう。必要に応じて、電極を、センサ構造体のひとつの面または側に配置することができる。あるいは、電極を、センサ構造体の複数の面または側に配置しても良い(また、例えば、バイアス(vias)により、電極を配置した面にセンサ材料を通って接続できる)。本発明の一部の実施の形態において、電極の反応表面は異なる相対面積/大きさで、例えば、1X参照電極、2.6X作用電極、3.6X対電極である。
本発明の一部の実施の形態では、電極や開口部などの装置の要素を、センサの機能を促進するように、特定の形状を持つよう設計し、および/または、特定の材料で作り、および/または、他の要素の位置に対して配置する。例えば、特定の理論または作用機構にとらわれることなく、センサの実施の形態(例えば、簡単な3電極の実施の形態)は、1つの電極周囲の局所環境変化により敏感であるように見える。例えば、参照電極または他の電極の上部またはその付近の気泡、および/または、参照電極または他の電極の上部またはその付近に停滞している、または半ば停滞している液溜まりは、センサ性能を必然的に低下させると考えられる。このような場合、電極面積を分散させると、センサが小さな局所面積の信号損失(例えば、水和不足、液体の停滞、患者の免疫応答などによって起こると考えられる)を補償できるため、分散型の電極配置は有利とみられる。
典型的な分析物センサ装置の実施の形態は、複数の作用電極と対電極と参照電極とを含んでいる。必要に応じて、複数の作用、対、および参照電極は1つのユニットとしてグループ化され、ユニットの繰り返しパターンとして導電層上に位置的に分散している。あるいは、複数の作用、対、および参照電極はグループ化され、ユニットの非繰り返しパターンとして導電層上に位置的に分散している。本発明の一部の実施の形態では、細長いベース層を、in vivoに埋め込んだ際にセンサをねじ曲げられるような材料で作り、また、電極を、in vivoに埋め込んだ際にセンサ装置をねじ曲げても、作用電極の少なくとも1つにin vivoの液体が接触し易い形状にグループ化する。いくつかの実施の形態では、1つ以上の電極を備えたセンサの一部がin vivo環境から出てex vivo環境に曝されても、センサが最適機能を保ち続けられるような形状に電極をグループ化する。
必要に応じて、本発明の実施の形態には、複数の作用電極および/または対電極および/または参照電極が含まれる(例えば、冗長性のある検出能力を得るため)。このような本発明の実施の形態は、例えば、GOxを被覆した作用電極での信号と、GOxを被覆していない作用電極での信号とを比較することで、in vivoのバックグラウンド信号を取り除くよう設計された(例えば、バックグラウンドの検出後、信号の減算/取り消し処理を行って、真の信号を得る)プロセッサ(例えば、信号の減算/取り消し処理に適応したプログラムにリンクさせたもの)を含む、本発明の実施の形態に使用できる。本発明のこのような実施の形態の一部は、グルコース信号曲線の上端および下端におけるグルコース検出に特に有用である。本発明の同様の実施の形態は、例えば、GOxを被覆した作用電極での信号と、GOxを被覆していない作用電極での信号とを比較して、妨害を除去するために用いられる。本発明の実施の形態は、電極上のある位置に、装置の電極の電位を媒介するのに十分な量の、プルシアンブルー組成物の被覆を加えることができる。これに類似した本発明の実施の形態には、開示されているセンサ装置の電極の電位を媒介する方法(例えば、プルシアンブルー組成物を使用して)が含まれる。プルシアンブルーの化学式は当技術において既知であり、Fe4[Fe(CN)63xH2O、CI番号77510号、およびKFe[Fe(CN)6]xH2O、CI番号77520号が挙げられる。
本発明の典型的な実施の形態において、センサは、更に別の要素(例えば、電子的構成要素)、例えば、信号を送信および/または受信するよう設計された要素、モニタ、ポンプ、プロセッサなどと連動するよう接続している。例えば、本発明のいくつかの実施の形態において、センサは、センサ入力装置と、センサ入力装置に接続したプロセッサとに、連動するよう接続しており、センサ入力装置は、哺乳動物の体内で検知された生理学的特性値に基づくセンサからの信号を受信可能であり、プロセッサは、センサから受信した1つ以上の信号の特性解析が可能である。このような装置には、本件に開示されているような多種多様のセンサ構造が使用できる。必要に応じて、例えば、センサは、3つの作用電極と1つの対電極と1つの参照電極を含んでいる。一部の実施の形態では、少なくとも1つの作用電極がグルコースオキシダーゼを含む分析物検出層で覆われており(また、必要に応じて、2つがGOxで覆われている)、少なくとも1つの作用電極はグルコースオキシダーゼを含む分析物検出層で覆われていない。このような本発明の実施の形態は、例えば、GOxを被覆した作用電極での信号と、GOxを被覆していない作用電極での信号とを比較することで、in vivoのバックグラウンド信号を取り除くよう設計された(例えば、バックグラウンドの検出後、信号の減算/取り消し処理を行って、真の信号を得る)、センサの実施の形態に使用できる。
センサの挿入用セット装置のいくつかの実施の形態において、第1および第2(および/または、第3など)電気化学センサは、1つの作用、対、および参照電極を含んでいる。あるいは、複数の電気化学センサは、例えば、その内容を本件に引用して援用する、米国特許出願整理番号第11/633,254号に開示されているような分散型配置をした、複数の作用、対、および参照電極を含んでいる。本発明の一部の実施の形態では、複数のセンサのうち少なくとも2つを、同じ生理学的特性値、例えば、血中グルコース濃度から生じる信号を測定するよう設計する。本発明の実施の形態は、例えば、グルコースオキシダーゼなどの酸化還元酵素を被覆した作用電極を持つ、複数の電気化学センサを含むことができ、また、複数のin vivo挿入部位で観測されたグルコース濃度を測定および比較するよう企図した方法で使用する。あるいは、センサ装置中の複数のセンサのうち少なくとも2つを、異なる特性値、例えば、血中グルコースに関係しないバックグラウンドまたは妨害信号(例えば、“妨害ノイズ”)を含む第1の特性値と、血中グルコース濃度を含む第2の特性値とによって生じる信号を測定するよう設計する。この発明の具体的な実施の形態において、第1センサは、グルコースオキシダーゼを測定するよう設計されていて、グルコースオキシダーゼを被覆した1つ以上の作用電極を含んでいるが、第2の比較用センサは、血中グルコースに関係しないバックグラウンドまたは妨害信号を測定するよう設計されていて、グルコースオキシダーゼを被覆した作用電極(電極)は含んでいない。
本発明の一部の実施の形態において、本件に開示されているような電圧パルスおよび/またはスイッチングを利用するセンサ装置は、センサ機能を損なうように電極の上部またはその付近に気泡または液溜まりが生成、および/または、停滞しにくくなるよう、埋め込んだ構成要素周囲の液体を流れ易くすることで、水和不足(例えば、遅い起動初期化時間)、および/または、液体の滞留によって、埋め込み型センサおよびセンサ装置に起こり得る問題を解決するよう考案した方法で使用する。更に、電圧パルスおよび/またはスイッチングを利用する本発明の実施の形態は、水和不足、液体の滞留、患者の免疫応答などによって起こる問題を更に解決するよう、本件に開示されているある種の相補的要素と組み合わせることができる(例えば、分散させた電極配置、複数の電極センサ、複数の埋め込み部位を持つ複数のセンサ装置など)。
本発明のいくつかの実施の形態において、プロセッサは、第1の作用電位に応じて作用電極から受信した第1の信号と、第2の作用電位に応じて作用電極から受信した第2の信号とを比較することができ、第1および第2作用電位における第1および第2信号の比較を用いて、妨害化合物によって生じた信号が確認できる。本発明のこのような実施の形態のひとつでは、1つの作用電極にグルコースオキシダーゼを被覆し、もう一方は被覆せず、妨害化合物は、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフェン、L−ドーパ、メチルドーパ、サリチル酸塩、テトラサイクリン、トラザミド、トルブタミド、トリグリセリド類、または尿酸である。必要に応じて、パルス化および/または変動させた(例えば、スイッチ化)電圧を用いて作用電極から信号を得る。典型的に、少なくとも1つの電圧は、280、535、または635ミリボルトである。これに類似した本発明の実施の形態には、本発明の様々なセンサの実施の形態における、妨害化合物の発する1つ以上の信号の同定および/または特性解析を行うための方法(例えば、分析物検出化合物を被覆した電極からの信号と、分析物検出化合物を被覆していない比較用電極からの信号との比較により)が含まれる。必要に応じて、このような方法では、パルス化および/または変動させた作用電位を用いて電極での信号を観測する。
本発明のセンサは、当技術で既知の多種多様の医療用装置に組み込むことも可能である。本発明のセンサは、例えば、使用者の体内への薬剤注入速度を制御するよう設計された閉ループ注入装置に使用できる。このような閉ループ注入装置には、センサとこれに付随する計器とを加えることができ、計器はコントローラへの入力を発生し、次に、コントローラが送達装置(例えば、薬剤注入ポンプが送達する用量を計算するもの)を操作する。このような場合、センサに付随する計器が、送達装置への命令を伝達し、また送達装置の遠隔操作に用いられることもある。典型的に、このセンサは、使用者の体内のグルコース濃度を監視するため間質液に接している皮下センサであり、送達装置により使用者の体内へ注入される液体にはインスリンが含まれる。具体的な装置は、例えば、その内容を全て本件に引用して援用する、米国特許第6,558,351号および米国特許第6,551,276号、PCT出願番号第US99/21703およびPCT出願番号第US99/22993号、更に、世界公開第2004/008956号および世界公開第2004/009161号に開示されている。
本発明の一部の実施の形態は過酸化物を測定するもので、皮下の部位への埋め込みや静脈内への埋め込み、更に、様々な血管外部位への埋め込みなど、哺乳動物体内の様々な場所への埋め込みに適した有利な特徴を備えている。血管外部位へ埋め込めるよう設計した過酸化物センサは、血管外部位に埋め込んだ酸素センサでは酸素ノイズの問題が起こることがあるため、酸素を測定するよう設計した一部のセンサ装置よりも有利である。例えば、このような埋め込み型酸素センサ装置の設計では、参照センサでの酸素ノイズが信号対雑音比を低下させることがあり、その結果、この環境内で安定したグルコース読み取り値を得るセンサの能力が不安定となる。故に、本発明のセンサは、血管外部位でのこのような酸素センサに見られる問題を克服するものである。
本発明のいくつかの実施の形態では、電流変化を分析物センサ装置の導電層中の陽極作用電極で検知するよう、分析物センサ装置を、陽極分極によって機能するよう設計する。陽極分極に関わる構造設計形態には、陽極である作用電極と、陰極である対電極と、参照電極とを含む、適当なセンサ構造の設計と、その後、この設計構造内の陽極表面の適当な部分へ適当な分析物検出層を選択的に配置することが含まれる。必要に応じて、この陽極分極構造設計には、異なる表面積を持った、陽極、陰極、および/または、作用電極が含まれる。例えば、この構造設計には、作用電極(陽極)および/または作用電極の被覆面が、対電極(陰極)および/または対電極の被覆面より大きい、または小さいという形態が含まれる(例えば、参照電極が1Xの面積、作用電極が2.6Xの面積、対電極が3.6Xの面積となるよう設計したセンサ)。このような場合、陽極作用電極で検出可能な電流変化を、次に、分析物の濃度と相関させる。本発明のこの実施の形態の具体例において、作用電極は、酸化反応(例えば、図1参照)中の過酸化水素を測定し、利用している。過酸化水素は、グルコースオキシダーゼや乳酸オキシダーゼなどの酵素により、それぞれグルコースまたは乳酸との反応の際に生成する。
II.本発明の分析物センサ装置を製造するための具体的な方法および材料
多くの論文、米国特許、および特許出願は、本件に開示の通常の方法と材料を用いて最新技術を示しており、本件に開示のセンサ設計に使用可能な様々な要素(およびその製造法)について更に述べている。このような文献としては、例えば、米国特許第6,413,393号、米国特許第6,368,274号、米国特許第5,786,439号、米国特許第5,777,060号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,390,671号、米国特許第5,165,407号、米国特許第4,890,620号、米国特許第5,390,671号、米国特許第5,390,691号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,482,473号、米国特許第5,299,571号、米国特許第5,568,806号、米国特許出願第20020090738号、更に、PCT国際公開番号第01/58348号、国際公開第03/034902号、国際公開第03/035117号、国際公開第03/035891号、国際公開第03/023388号、国際公開第03/022128号、国際公開第03/022352号、国際公開第03/023708号、国際公開第03/036255号、国際公開第03/036310号、および国際公開第03/074107号が挙げられ、その内容は本件に引用して援用する。
糖尿病患者のグルコース濃度を監視するための典型的なセンサは更に、Shichiri ら,"In Vivo Characteristics of Needle-Type Glucose Sensor-Measurements of Subcutaneous Glucose Concentrations in Human Volunteers," Horm. Metab. Res.. Suppl. Ser. 20:17-20(1988)、Bruckel ら,"In Vivo Measurement of Subcutaneous Glucose Concentrations with an Enzymatic Glucose Sensor and a Wick Method," Klin. Wochenschr. 67:491-495(1989)、および Pickup ら,"In Vivo Molecular Sensing in Diabetes Mellitus: An Implantable Glucose Sensor with Direct Electron Transfer," Diabetologia 32:213-217(1989)にも記載されている。その他のセンサは、例えば、その内容を本件に引用して援用する、Reach ら, ADVANCES IN IMPLANTABLE DEVICES, A. Turner 編集, JAI Press, London, 第1章,(1993)に記載されている。
A.分析物センサの一般的製造法
本件に開示されている発明の典型的な実施の形態は、哺乳動物の体内に埋め込むためのセンサ装置の製造法であって、この方法は、ベース層を準備する工程と、ベース層上に導電層を形成する工程と、導電層上に妨害除去膜を形成する工程と、妨害除去膜上に分析物検出層を形成する工程と、必要に応じて、分析物検出層上にタンパク質層を形成する工程と、分析物検出層または必要に応じたタンパク質層の上に接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置した分析物調節層を形成する工程と、分析物調節層の少なくとも一部の上に配置したカバー層を形成する工程と、を含み、導電層は電極(典型的には、作用電極、参照電極、および対電極)を含んでおり、分析物検出層は、分析物の存在下で、導電層中の電極での電流を変えることのできる組成物を含んでおり、分析物調節層は、それを通る分析物の拡散を調節する組成物を含んでおり、カバー層は、分析物調節層の少なくとも一部の上に更に開口部を含んでいる。本発明の一部の実施の形態において、分析物調節層は、主鎖と、主鎖に繋がった複数の側鎖とを含む、親水性の櫛状(comb)共重合体を含み、このとき、少なくとも1つの側鎖はシリコーン基を含んでいる。この方法のいくつかの実施の形態では、分析物センサ装置を平らな幾何学的形状とする。
本件に開示されているように、センサの様々な層は、センサの特定の構造に合わせて操作可能な、様々な異なる特性を示すよう製造することができる。例えば、接着促進層は、センサ構造体全体を安定化させるその能力によって選ばれた化合物、典型的には、シラン組成物を含んでいる。本発明のいくつかの実施の形態では、スピンコーティング法で分析物検出層を形成し、その厚さは、1、0.5、0.25、および0.1μm以下から成る群より選ばれる。
典型的に、センサの製造法には、分析物検出層上にタンパク質層を形成する工程が含まれ、タンパク質層中のタンパク質は、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンから成る群より選ばれるアルブミンである。典型的に、センサの製造法には、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼから成る群より選ばれる酵素組成物を含む、分析物検出層を形成する工程が含まれる。このような方法において、分析物検出層は、典型的に、酵素とほぼ一定の比率でキャリアタンパク質組成物を含み、酵素とキャリアタンパク質は分析物検出層全体にほぼ均一に分散している。
B.分析物センサの製造に有用な、典型的なプロトコルおよび材料
本件に提示されている開示の内容には、様々な既知の技術を組み合わせ用いて製造できるセンサおよびセンサ構造が含まれる。開示の内容は更に、非常に薄い酵素被膜をこのような種類のセンサに塗布する方法と、このような方法で製造したセンサを提示する。このような場合、本発明のいくつかの実施の形態には、技術的に容認されている方法に従って、基材上にこのようなセンサを作る方法が含まれる。一部の実施の形態において、基材は、フォトリソグラフィのマスクおよびエッチング工程での使用に適した、硬く平らな構造体から成る。その際、基材の上面は一般に、一様な高い平面度を備えている。研磨したガラス板を用いて滑らかな上面としても良い。別の基材材料としては、例えば、ステンレススチール、アルミ、デルリンなどのプラスチック材料等が挙げられる。別の実施の形態では、基材は硬くなく、基材として使用される薄膜または絶縁材から成る別の層、例えば、ポリイミド類などのプラスチックスであっても良い。
本発明の製造法の最初の工程には、典型的に、センサのベース層の形成が含まれる。ベース層はどのような所望の手段で基材上に配置しても良く、例えば、制御したスピンコーティング法で配置する。更に、基材層とベース層との接着が十分でなければ接着剤を用いる。一般に、ベース層の材料を液体として基材上に塗布した後に基材を回転させ、薄くほぼ均一な厚さのベース層として、絶縁材料から成るベース層を基材上に形成する。十分な厚さのベース層ができるまでこの工程を繰り返した後、一連のフォトリソグラフィ、および/または、化学マスクおよびエッチング工程を行って、後に論じる導体を形成する。具体的な形では、ベース層は、セラミックやポリイミド基材などの、絶縁材料の薄膜シートから成る。ベース層は、アルミナ基材、ポリイミド基材、ガラスシート、制御された多孔ガラス(controlled pore glass)、または平坦化した可塑性液晶ポリマを含んでいても良い。ベース層は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、サファイア、ダイアモンド、アルミ、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはこれらの組み合わせなどの(但し、これらに限定しない)、様々な元素の1つ以上を含む、どのような材料から作っても良い。更に、基材は、当技術で既知の様々な方法、例えば、物理蒸着法、あるいは、スピングラス、カルコゲニド類、グラファイト、二酸化ケイ素、有機合成ポリマなどの材料を用いたスピンコーティング法で、固体支持体上に被覆しても良い。
本発明の方法には更に、1つ以上の検出要素を備えた導電層の形成が含まれる。典型的にこれらの検出要素は、例えば、フォトレジスト、エッチング、および濯ぎを行って活性電極の形状を作るなど、当技術で既知の様々な方法のいずれかで形成した電極である。次に、例えば、作用および対電極では白金黒を電着し、参照電極上に銀、続いて塩化銀を電着して、電極を電気化学的に活性化することができる。次に、検出層上に、電気化学的堆積法により、または、スピンコーティングなどの電気化学的堆積以外の方法により、分析物検出酵素層などのセンサ層を配置した後、例えば、ジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドを用いて蒸気架橋(vapor crosslinking)することができる。
本発明の電極は、当技術で既知の多種多様の材料から作ることができる。例えば、電極を貴後期遷移金属から作る。金、白金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウムなどの金属が本発明の様々な実施の形態に適している。一部のセンサの実施の形態では、炭素や水銀など、他の組成物も有用である。これらの金属の中でも、銀、金、または白金が参照電極金属として典型的に用いられる。後に塩素化される銀電極は、参照電極として典型的に用いられる。これらの金属は当技術で既知のどのような手段で堆積しても良く、例えば、前述のプラズマ蒸着法(上記参照)または無電解法で行う。無電解法は、金属塩と還元剤を含む溶液に基材を漬け、予め金属化した部位に金属を堆積する工程を含むものである。無電解法は、還元剤が電子を導電性(金属化)表面に供与すると同時に、導電性表面で金属塩の還元が起こることで進行する。その結果、吸着した金属の層ができる(無電解法に関する追加の議論としては、以下を参照のこと。Wise, E. M. Palladium: Recovery, Properties, and Uses, Academic Press, New York. New York (1988)、Wong, K.ら, Plating and Surface Finishing 1988, 75, 70-76、Matsuoka, M. ら, 同書, 1988, 75, 102-106、および Pearlstein, F. "Electroless Plating," Modern Electroplating, Lowenheim. F. A.編集, Wiley, New York, N.Y. (1974),31章)。このような金属堆積法では、金属と金属との接着が良く、表面の汚染が少なく、一方で、活性点密度の高い触媒金属電極表面となる構造体が得られなければならない。このような高い活性点密度は、過酸化水素などの電気活性種の効率的な酸化還元変換に必要な性質である。
本発明の典型的な実施の形態では、初めに、電極付着、表面スパッタリング、または他の適当な処理工程により、薄膜導電層をベース層に被覆する。ある実施の形態では、ポリイミドベース層との化学接着に適したクロムを含む層を最初に作り、次に、薄膜の金を含む層とクロムを含む層を順次形成したものなど、複数の薄膜導電層としてこの導電層を作る。別の実施の形態では、別の電極層の構造または材料を用いることができる。次に、従来のフォトリソグラフ技術に従って導電層を選択したフォトレジストコーティングで覆い、適当な光画像形成を行うため、フォトレジストコーティング上にコンタクトマスクを塗布することができる。コンタクトマスクは、典型的に、フォトレジストコーティングを適当に露光し、次に、エッチング工程を行ってベース層上に複数の導電性のセンサ配線を残すための、1つ以上の導体配線パターンを含んでいる。皮下グルコースセンサとして使用するために設計された具体的なセンサ構造物では、それぞれのセンサ配線は、作用電極、対電極、参照電極などの3つに分かれた電極に相当する、3つの平行なセンサ要素を含むことができる。
典型的に、導電性センサ層の一部は、一般にシリコンポリマおよび/またはポリイミドなどの材料から成る、絶縁性カバー層で覆われている。絶縁性カバー層はどのような所望の方法で塗布しても良い。模範的な手順では、絶縁性カバー層を、センサ配線上に液体層として塗布し、その後、基材を回転させて液体材料をセンサ配線上の薄膜として分散させ、またセンサ配線の周縁を超えて延展させて、ベース層と密封接触(sealed contact)させる。次に、この液体材料に、当技術で既知の、適当な放射線および/または化学および/または熱硬化工程の1つ以上を行う。別の実施の形態では、液体材料を、スプレー法または他の所望の塗布法のいずれかを用いて塗布する。光画像形成可能なエポキシアクリラートなど、様々な絶縁層材料が用いられ、実例となる材料は、ニュージャージー州ウェストパターソン、OCG, Inc.より、製品番号7020として入手可能な、光画像形成性ポリイミドを含むものである。
本発明の実施の形態は、例えば、後述の実施例1〜実施例3に開示の方法を用いて、導電層上に妨害除去層を形成する工程を含むことができる。端的には、例えば、pHEMAの溶媒系として95%のC25OHと5%のH2Oを含む、スプレー塗布工程用のpHEMA組成物を用いて、妨害除去膜を形成する。あるいは、スプレー塗布工程のため、より蒸発の遅い、95%の2−ブタノールと5%のH2Oを選んでも良い。このような塗布工程において、pHEMAの濃度は、典型的に0.25質量%から4質量%の範囲であり、架橋剤含量は、典型的に0.2%から0.4%の範囲である(これは、例えば、塗布法によって決まる)。このような工程には、加熱/硬化工程を含むことができる。典型的な実施の形態において、膜硬化のための加熱温度は、約2〜15分間(例えば、6分間)の時間では、150℃から220℃の範囲とすることができる。このような方法の多種多様の置き換えは、当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの実施の形態では、0.3〜1%のMw300kdのpHEMA溶液(例えば、0.5%)および0.25%から0.4%(0.275%)のシラン架橋剤をスプレーして、妨害除去膜を塗布する。あるいは、当業者は、1〜3%の300kdのpHEMA溶液および0.3%から0.4%のシラン架橋剤濃度のスピンコーティング法を用い、回転速度1000rpmで30秒間で、単一層を作ることができる。あるいは、当業者は、4%の200kdのpHEMA溶液および0.35%から0.5%のシラン架橋剤濃度のスロットコーティング法を用い、2回の被覆工程を行って、複数の層を作ることができる。
グルコースセンサとして使用するための具体的なセンサの実施の形態において、作用電極を形成するよう、酵素(典型的に、グルコースオキシダーゼ)を酵素で被覆する。他の電極の1つまたは両方に、作用電極と同じ被覆を行っても良い。あるいは、他の2つの電極に、別の酵素などの別の適当な化学物質を被覆し、被覆しないままとし、あるいは、電気化学センサの参照電極および対電極とするための化学物質を被覆しても良い。酵素被膜の作成法としては、スピンコーティング法、浸漬および乾燥法、低剪断スプレー法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン法などが挙げられる。典型的に、このような被膜は、塗布後に蒸気架橋する。驚くべきことに、これらの方法で製造したセンサは、寿命、直線性、規則性が改良され、更に、信号対雑音比が向上するなど、電着で作成した被膜を備えたセンサよりも優れた材料特性を備えている。更に、このような方法で形成したグルコースオキシダーゼ被膜を利用する本発明の実施の形態は、過酸化水素をリサイクルし、このようなセンサの生体適合性を向上させるよう設計されている。
スピンコーティング法などの工程で作られたセンサは、電着工程の間にセンサにかかる材料応力に関係するものなどの、電着に伴う他の問題も回避する。特に、電着工程では、センサに対して機械的応力、例えば、伸長および/または圧縮応力から生じる機械的応力が加わることが観測される。場合により、このような機械的応力によって割れたり剥離し易い被膜を持つセンサができることがある。スピンコーティングや他の低応力工程でセンサ上に配置した被膜では、このようなことは見られない。
本発明のいくつかの実施の形態では、センサ層の酵素に到達する分析物の量を調節する親水性の被膜を含む分析物調節層を塗布する方法によって、センサを作る。例えば、本発明のグルコースセンサに加えられるカバー層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層に到達するグルコースの量を調節するグルコース制限膜を含むことができる。このようなグルコース制限膜は、この目的に適うことが知られている多種多様の材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン類、ポリウレタン類、酢酸セルロース類、NAFION、ポリエステルスルホン酸類(例えば、Kodak AQ製)、ヒドロゲル、または、このような目的に適うことが当業者に知られている他の膜から作ることができる。本発明の一部の実施の形態において、分析物調節層は、主鎖と、主鎖に結合した複数の側鎖とを含み、少なくとも1つの側鎖がシリコーン基を含んでいる、親水性の櫛状共重合体を含んでいる。過酸化水素をリサイクルする能力を持ったセンサに関する本発明のいくつかの実施の形態において、グルコースオキシダーゼ酵素層上に配置した膜層は、センサが置かれている環境へ過酸化水素が放出されるのを防ぎ、また、過酸化水素分子が電極の検出要素に到達し易くなるよう機能する。
本発明の方法のいくつかの実施の形態において、カバー層(例えば、分析物調節膜層)と分析物検出層との間に、それらの接触性を高めるため接着促進剤層を設ける。接着促進剤は、センサ装置の安定性を高めるその能力によって選ばれる。文中に述べられているように、接着促進剤層の組成物は、センサを安定化する能力に加えて、多くの望ましい特性が得られるように選ぶ。例えば、接着促進剤層に用いられるいくつかの組成物は、妨害除去の役割を果たすよう、更に、所望分析物の物質移動を制御するように選ばれる。接着促進剤層は、これらの層の間の結合性を高めることが当技術で知られている多種多様の材料から作られ、当技術で既知の多種多様の方法で塗布することができる。典型的に、接着促進剤層は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含んでいる。本発明の一部の実施の形態において、接着促進層および/または分析物調節層は、隣接層中に存在するシロキサン基を架橋するその能力によって選ばれた試剤を含んでいる。本発明の別の実施の形態において、接着促進層および/または分析物調節層は、隣接層中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル基を架橋するその能力によって選ばれた試剤を含んでいる。必要に応じた実施の形態において、AP層は、グルコース制限膜などの分析物調節層中に典型的に存在するポリマである、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を更に含んでいる。具体的な実施の形態において、この配合物は、0.5〜20%のPDMS、典型的に、5〜15%のPDMS、最も典型的には10%のPDMSを含んでいる。AP層へPDMSを加えると、センサの製造の際にAP層に孔や隙間が生じるおそれがなくなるという意味で、これは有益であると言える。
本発明の具体的な実施の形態のひとつは、電極として機能する電気活性表面(例えば、白金)を準備する工程と、電気活性表面上に妨害除去膜を形成する工程と、IRM上に酵素層をスピンコーティングする工程と、次に、電極上に分析物接触層(例えば、グルコース制限膜などの分析物調節層)を形成する工程とによる、センサ電極の製造法であり、分析物接触層は、酵素層に接触する分析物の量を調節する。いくつかの方法では、酵素層をセンサ層上で蒸気架橋する。本発明の典型的な実施の形態において、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極とを含むよう、センサを作成する。一部の実施の形態では、IRMを、作用電極の少なくとも一部と、対電極の少なくとも一部の上に形成する。典型的に、酵素層は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼなどの、1つ以上の酵素、および/または同様の酵素を含んでいる。具体的な方法において、酵素層は、キャリアタンパク質と一定の比率で組み合わせ、センサ層上に被覆して安定化した、グルコースオキシダーゼを含んでいる。典型的に、キャリアタンパク質はアルブミンである。典型的に、このような方法には、グルコースオキシダーゼ層と分析物接触層との間に配置した接着促進剤層の形成工程が含まれる。必要に応じて、分析物接触層を形成する前に、IRMなどの層、および/または接着促進剤層に硬化処理を行う。
このような工程で作った完成センサは、典型的に、例えば、基材上の各センサ周囲の線に沿って切断することで、支持基材から手早くまた簡単に外せる(1つを用いる場合)。切断工程には、典型的に、UVレーザ切断装置などの、当技術で一般的に用いられている方法が使用できる。UVレーザ切断装置は、ベースおよびカバー層と機能性被膜層とを、それぞれのセンサを取り囲んでいる、またはその周囲に境界線を描いている線に沿って切断するために用いられる。典型的に、完成したセンサの側端を封止するのに十分な、相互接続したベースおよびカバー層材料が残るよう、導電性要素の少なくとも僅かに外側を切断する。更に、適当なセンサの実施の形態では、セラミック基材の切断に一般に用いられる切断技術が使用できる。ベース層は一般に、下にある支持基材に物理的に付着しておらず、または最小限しか直に付着していないため、更にあまり処理工程を行うことなく、あるいは、支持基材から付着したセンサを物理的に引っ張り、または剥がすことで生じる応力による潜在的ダメージを生じることなく、センサを、手早くまた簡単に支持基材から持ち上げることができる。支持基材は、その後、清掃し、再利用可能であるが、そうでなければ廃棄する。機能性被膜層は、他のセンサ構成要素を支持基材から外す(例えば、切断により)前または後のどちらで塗布しても良い。
III.本発明の分析物センサ装置の使用法
関連する本発明の実施の形態は、哺乳動物体内の分析物の検出法であり、この方法には、分析物を検出するため、本件に開示の分析物センサの実施の形態を哺乳動物の体内に埋め込む工程と、その後、作用電極で電流の変化などの1つ以上の電気変動を検出する工程と、電流の変化を分析物の存在と相関させる工程とが含まれる。このような方法のひとつにおいて、分析物センサ装置は、哺乳動物の体内のグルコースを検知する。別の方法において、分析物センサ装置は、哺乳動物体内の、乳酸塩、カリウム、カルシウム、酸素、pH、および/または、生理学的に関連する分析物を検知する。
先に論じた構造を持つ一部の分析物センサは、哺乳動物体内の分析物を検出する様々な方法が可能となるような、数多くの非常に好ましい特性を備えている。例えばこのような方法において、哺乳動物体内に埋め込んだ分析物センサ装置は、1、2、3、4、5、または6ヶ月間以上も機能して、哺乳動物体内の分析物を検知する。典型的に、哺乳動物の体内にこのように埋め込んだ分析物センサ装置は、分析物がセンサに触れてから15、10、5、または2分以内に、分析物に応じた電流の変化を検知する。この方法では、センサを哺乳動物の体内の様々な場所、例えば、血管内と血管外の両方の場所に埋め込むことができる。
<本発明のキットおよびセンサセット>
本発明の別の実施の形態では、前述のように、分析物の検出に有用なキットおよび/またはセンサセットを提示する。キットおよび/またはセンサセットは、典型的に、容器と、ラベルと、前述の分析物センサとを含んでいる。適当な容器としては、例えば、金属箔などの材料で作った開け易い包装、瓶、バイアル、注射器、試験管が挙げられる。容器は、金属(例えば、箔)、紙製品、ガラス、プラスチックなどの様々な材料から作られる。容器上の、または容器に添付のラベルは、このセンサが選択した分析物の測定に用いられることを示している。いくつかの実施の形態では、グルコースオキシダーゼなどの酵素の層を被覆した多孔性マトリックスが容器に入っている。キットおよび/またはセンサセットには更に、センサを分析物環境へ入れ易くするよう設計された要素またはデバイス、他の緩衝材、希釈剤、フィルタ、針、注射器、使用説明の書かれた添付文書など、商業的に、また使用者の立場から望ましい他の材料を加えても良い。
本明細書中では、様々な公開引用文献が言及されている。更に、本発明の様々な実施の形態をより明確に描写するため、関連技術からの特定の文章を文中で再び述べている。本明細書中の全ての引用文献の内容は、特に本件に引用して援用する。
[実施例1:機構的原理、および、本発明の実施の形態の実行に有用な、関連する方法および材料]
アセトアミノフェン(Mw=151.17ドルトン)などの小さな中性化合物から生じるセンサの信号妨害を除くことは、その大きさがグルコース(Mw=180.15ドルトン)などの検出分析物よりも一般に小さいことを考えると困難な課題である。当技術において、センサ中でのポリマ薄膜の使用が試みられたが、このような薄膜の密度が十分でない(非常に分子量の高いポリマを用いても)ため、妨害物の除去は解決が難しいままである。センサ信号を高レベルに保ち、また起動性を早くするため、妨害除去に用いられる膜構造は、極めて密度が高く、親水性でなければならない。
本件に開示されているように、薄膜を直接被覆した後、親水性ポリマ系を架橋することは、上に挙げた要求を考えた場合、理想的な選択肢である。
<分析物センサに有用なIRM>
典型的なセンサの構造では、グルコースが酵素グルコースオキシダーゼに到達し、ここで酸素によりグルコン酸に酸化されて、H22を残す。1分子のグルコースが1分子の酸素を消費して、1分子のH22を生じる。
作用電極ではH22が酸化され、再び酸素が発生する。
酵素によって生じたH22(Mw=34.02ドルトン)が全て作用電極に達する場合、酸素は完全に回収されることが分かる。
対電極では、若干の還元過程が起こり、次の3つの反応が可能である。
センサが水性環境中にある間、反応(3)は、その後も進行すると考えられる。対電極上の3つの反応のどれもが反応(2)で生じるプロトンを中和するよう働くため、酸性度の上昇の全てがグルコン酸のみによるものである。センサの作用としての正味の反応は、グルコン酸とH2を生成する(グルコースとH2Oを消費して)。
本発明の実施の形態において、IRMは、酵素反応で生じたH22の拡散に比べて、アセトアミノフェンやアスコルビン酸などの妨害する電気活性化合物の拡散を遅らせ、これにより、電流測定期間に妨害化合物は作用電極に到達できず(妨害化合物は作用電極に到達するのを阻害される)、これらの妨害物が一緒に測定されるのを抑制および/または除外する。
本件に開示の親水性妨害除去膜を備えたセンサの使用による、その他の技術的利点は、起動/初期化時間、つまり、センサをin vivoに設置した後、センサがこのin vivo環境に機能的に順化して有意な読み取り値を発するまでにかかる時間の短縮である。特定の科学的理論によって束縛されることなく、これは、作用電極の表面にIRMを直接配置することで、IRMによる作用電極表面積のこの被覆が、IRMなしに作られたセンサよりずっと早く、バックグラウンド電流を効果的に低下させるよう機能するという事実によるものと考えられる。このため、一部のセンサの実施の形態に付随する初期電流のオーバーシュート時間は消失する。
本発明の一部の実施の形態において、IRMはメタクリラートポリマを含んでおり、pHEMAとのシラン縮合およびシラン架橋反応を用いて密度の高い膜構造体を作ることで製造する。前述のように、このような半透膜は妨害化合物のサイズ排除によって(例えば、一種の分子ふるいとして)機能する。本発明の一部の実施の形態において、IRMは、140ドルトン以上の分子量を持つ分子が分析物センサの作用電極へ拡散するのを抑制する。
このような場合、白金から成る電極の表面に、アルコキシシリコーンの水溶液を被覆して熱処理すると、シラン重合薄膜ができ、その上に酵素薄膜を形成する。本発明の実施の形態において使用できる二価アルコキシシリコーンは、一般式 xn−si2[(or)4−n]2(n=1、2、3)で表され、式中、xは、アミノ基、エポキシ基、チオニル基などの官能基であり、rは、アルキル基であり、orは、望ましくは、メトキシ基、エトキシ基などの加水分解基である。このようなアルコキシ化合物は、水と混合すると加水分解してシラノール基を生じ、加熱すると、ヒドロキシル官能基を持つポリママトリックス(例えば、−OH基を持つポリマ)内で脱水重合および架橋を起こす。次に、酵素と、アルブミンやグルタルアルデヒドなどの塗膜形成材料とから成る薄膜を、酵素薄膜として用いることができる。
本発明のいくつかの実施の形態では、プラズマ処理の間に形成された金属ヒドロキシル基と良く結合する、ケイ素上に3つの無機反応基を含むシラン化合物を使用する。ケイ素上のアルコキシ基は水の付加によりシラノールに加水分解する。次に、シラノールは無機表面上の金属ヒドロキシル基と配位してオキサン結合を形成し、水が脱離する。
本発明の実施の形態の作成に用いられるいくつかの架橋反応において、ケイ素上のアルコキシ基は、ポリマ(pHEMA)のヒドロキシ基と反応して互いに結合することができる。例えば、本発明のいくつかの実施の形態では、強固に結合したポリマ網目構造を形成するため、pHEMAを二価シラン架橋剤と結合する。あるいは、当業者ならば、別の架橋機構を使用でき、例えば、H2Oの付加による縮合に基づいて、基材金属表面からの代わりに、pHEMAから後で生じる、結合した−OH基は、pHEMAを更に架橋することができる。シランは、ヒドロキシル基を含むポリマでの使用に適した典型的な架橋剤である。尿素は、官能性アクリルポリマのヒドロキシ基に用いて、一体化した高密度ポリマ網目構造を形成するのに適したもうひとつの架橋剤である。
具体的なIRMの配合を以下の表に掲げる。
本発明の一部の実施の形態では、スプレー工程によりIRM溶液が塗布できる。この例のひとつでは、ドラフト内で乾燥後、ポリマを被覆したプレートを175℃のオーブンに入れて6分間焼成し、次に、脱イオン水(DI water)中で5分間濯いた後、乾燥した。次に、このIRMを備えたセンサを標準的な製造プロトコルに従って構築した。完成したin vitroセンサの性能を、PBS、BTS、およびSITSレベルで評価した。IRMを試験するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でのセンサ性能を評価した。バックグラウンド電流を安定化した後、10mg/dlのアセトアミノフェン溶液を加え、次に、0.1mM(3.3ppm)のH22溶液に入れて、Isigを記録した。
IRM性能の評価のための実例となる適当な親水性架橋剤として、Gelest製の親水性シラン類が使用できる。中でも、Gelest sib 1828.0(ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素)は、良好な妨害除去性能を示す化合物である。濡れ性、妨害除去能力を高め、最も上の、グルコースオキシダーゼ(GOx)を含むタンパク質層を安定に結合させるため、その架橋能力と溶媒との混和性に基づいて、pHEMAを配合物に加える。予備実験から、pHEMA濃度が高いと、H22信号が低く妨害除去性能の良好な、より高密度の膜構造体ができるという確証が得られた。同様に、pHEMA濃度が低いと、H22のIsigと妨害除去性が大きくなり、これは、噴霧量を多くして妨害除去性を良くすることで補償できる。シラン含量が過剰でなければ、異なるpHEMA濃度を用いて、親水性の異なる膜表面を作ることができる。噴霧量を変えても、Isigと妨害除去性能を調節できる。非常にpHEMA濃度の低いセンサでは、試験の過程でドリフトが見られた。pHEMA濃度が1%に達すると、このセンサに見られるドリフトは非常に小さい。
3μl×3の噴霧量として、分子量の異なるpHEMAを1%濃度で試験した。図3に、pHEMAの分子量の違いがどのようにIsigと妨害除去性能に影響するかを示す。図3のデータは、高分子量のポリマでは、H22透過性が低く、妨害除去の良好な、高密度の膜ができることを示している。低分子量のポリマでは、H22透過性が高く、妨害除去の低い、緩い構造体ができる。300kdのpHEMAポリマは、Isigと妨害除去のレベルの両方について適度な性質を示す分子量のポリマである。
IRM中のシラン含量に関する研究において、20gのpHEMA溶液中、0.115gである当初のシラン量を100%と定義する。一定の0.5%のpHEMAを含むIRM配合物で、シラン含量を0%から100%に変化させて試験を行った。典型的な噴霧量は5μl×2である。IRMを持たないセンサでは、10mg/dlに対する妨害レベルは約700nA以上、H22Isigは約200nAである。応答曲線から、pHEMAのみの膜では妨害の除去に限界があることがわかる。H22のIsig損失は、IRMのないセンサに比べて非常に小さい。しかし、0.25%のシランを加えると、著しい妨害除去が見られる。100%のシランを塗布すると、十分な除去レベルが達成できる。
本発明の一部の実施の形態では、50〜75%のシランで、十分なIsigと妨害除去とのバランスが取れる。同様に、希望の親水性に応じて、pHEMA含量または噴霧量を多くしても良い。センサが用いられる用途および/または環境に応じて、低いシラン含量で、水和性と起動性の良い膜を作る試みを行う。図4Aに、IRM中のシラン含量の変化に対するセンサの応答を示す。成分含量と噴霧量を様々に調節して、様々なセンサの実施の形態の妨害除去性を調節することができる。例えば、5μl×2の50%シランを使用した工程では、僅かに高い妨害が見られたが、7μl×2の50%シランでは、予想より低い信号が見られた。典型的に、約5%の水をエタノールに加えて、pHEMA化合物を溶解し易くする。
IRMの配合の様々な置き換えを検討する。例えば、起動を早め、Isigレベルを高めるよう、水に入れた後に幾分多孔性とするため、ポリママトリックスと化学的に相互作用せず、膜系に混合可能な、分子量が小さく沸点の高い多くの化学物質がIRM配合物に加えられている。その含水特性を考慮して、可塑剤としてグリセロールをIRM配合物に加えて割れにくくし、また初期の水和と起動を早めることができる。
IRM架橋マトリックス中に取り込むことのできる第一級アミン基を持つ親水性ポリマが望ましい。ヒドロキシプロピルセルロースなど、ヒドロキシル基を含む、より含水性の高いいくつかの別のポリマをpHEMAに加えて、またはその代わりに使用して、初期起動を早めても良い。
様々な他の架橋剤も本発明の実施の形態に使用できる。例えば、pHEMAマトリックスの架橋剤として尿素が使用されている。目的に合わせた性質を持つIRMを作るため、異なる焼成温度と時間も用いられている。例えば、200℃では、センサは、僅かに高い妨害レベルと、僅かに遅い起動を示した。175℃で6分間行うと、センサのIRMは、好ましい妨害除去、起動、およびバックグラウンド電流を示した。150℃で、このようなセンサは、僅かに高いバックグラウンド電流と好ましい直線性を示したが、性能は175℃のものとあまり変わらない。このように、150℃から175℃の温度範囲が一般に許容できる範囲であることが示された(この範囲を超える温度であっても機能性妨害除去膜ができると考えられるが)。
より長い焼成時間(20分間など)は、IRMの機能に何ら利益を示さなかった。5分間および12分間でもあまり性能の違いは見られなかった。そこで、175℃で6分間を典型的な焼成時間とする(この範囲を超える時間であっても機能性妨害除去膜ができると考えられるが)。上に示したように、IRMは1回以上焼成または硬化することができる。本発明の一部の実施の形態において、多層型IRMのそれぞれの層を塗布した後に焼成すると、妨害信号が低下し、それに応じてH22信号が低下するようである。これは、2回目の焼成後の界面での架橋が良好であるためと考えられる。スプレーの回数を増やし、それぞれの回での量を減らすことで(このように、架橋する層を多くすると、より高密度の膜構造体ができる)、より良好な妨害除去が達成できる。
薄い(0.1μm〜0.2μm)IRM膜構造体がどのくらい耐久性であるかを示すため、数日間使用しても、センサの妨害除去は安定である。典型的に、開示されているIRMは、IRMのない対照センサと比較して、妨害種が生じる妨害信号の約90%を除去することができる。
スロットコーティング法も用いて、本発明のIRMを製造した。この実施の形態では、被覆性を試験した後、4%のpHEMAと、上述のスプレー法と同濃度のシランを選択した。試験条件として、0.5μmを1回、2回と、1μmを1回とを選択した。典型的な材料として、Scientific Polymers(414)および Monomer-Polymer & Dajac Labs (8899)のpHEMAを選択した。アセトアミノフェンの信号減衰とH22の信号発信のIsigに着目するなら、IRMをスロットコーティングしたセンサの性能は、スプレーしたセンサに匹敵することができる。全てのセンサには基本的な妨害除去性能があるが、多くのセンサは、最初の24時間の起動が非常に遅い。
本発明の実施の形態では、作用電極(WE)のめっき電流密度を、僅かに低い70μAに設定した。0.5%のpHEMA配合物は、非常に一貫した妨害除去性能を生じ、これは、適当なPt表面粗さが良好なIRMの形成に寄与することを示している。シランを初期量の75%に設定した、1%のpHEMAの実験は、過酷な(sever)ATS系の下でも全くドリフトを示さなかった。結果として、IRM配合物は、グルコースオキシダーゼ固定化にとって理想的な表面条件を作り出すことができる。
IRM配合物をより親水性にするため、ヒドロキシまたは第一級アミン基を持つ親水性ポリマなどの他の化合物もこれに加えることができる。
[実施例2:メタクリラートポリマを使用する、本発明の実施の形態を実施するための更に別の方法および材料]
多くの電流測定グルコースセンサは、アセトアミノフェンに曝露すると著しいノイズを示し、また更に反応してセンサ読み取り値を生じ、これもまたグルコースに対する誤った応答を生じる。アセトアミノフェンのセンサへの影響をなくすため、IRM層をセンサに加えた。
IRMを堆積するひとつの方法には、バイオドットロボット(biodot robot)によるスプレーコーティングが含まれる。この実施の形態で用いられるIRM配合物は以下のとおりである。
このIRM溶液を、電極めっき工程の後、酵素工程の前に、センサプレート上に被覆する。酵素層の上にIRM層を置くと、グルコース分子の大きさにより、IRMを通るグルコースの拡散は妨げられると考えられる。
典型的に、IRMはバイオドット(登録商標)装置を用いて堆積する。IRM工程の特徴を示す第2のパラメータは、IRMの層の数であった。IRMの各層を堆積後、175℃で6分間の焼成サイクルを行って膜を架橋する。
IRM工程を行った後、センサに標準的な製造プロトコルを行う。酵素および接着促進剤の両方の架橋工程は、10分間の架橋サイクルを行う、グルタルアルデヒド化学蒸着法を用いて行った。接着促進剤の堆積工程は、接着促進剤の3%エタノール溶液を用いて行った。性能評価のため、滅菌したセンサを、SITS(センサin-vitro試験系:sensor in-vitro test system)内で試験した。SITS試験の間、1mg/dlのアセトアミノフェンを系に加えて、IRM層の性能を試験した。系を、グルコース40mg/dlとして、アセトアミノフェンを加えた。
試験したIRMセンサの全てが、製造対照センサ(即ち、IRMのないもの)よりも妨害化合物に応答しなかった。平均して、最も高い応答は2μl/cm×2層で117%であり、最も低い応答は3μl/cm×3層で5.1%であった。対照的に、製造対照センサは平均してアセトアミノフェンに対して273.4%の応答があった。
ここに示したデータは、IRM層が、電流測定グルコースセンサ中のアセトアミノフェンの妨害効果の低減に有効であったことを示している。応答を低減させたパラメータは、3μl/cm×3層のIRMであった。IRM化学物質とスプレー法とを組み合わせると、センサを1mg/dlのアセトアミノフェンに触れさせた場合のアセトアミノフェン応答が、273%から5%へ低減した。
[実施例3:第一級アミン系ポリマを用いた、本発明の実施の形態を実施するための方法および材料]
この実施例は、第一級アミン系ポリマ、オリゴマ、およびモノマから成る、架橋した(グルタルアルデヒド蒸気により)薄膜で構成されたIRMの実施の形態を示している。
<装置および材料>
バイオドット噴霧器
ポリリシン臭化水素酸塩
Sigma-Aldrich P1024 Mw 416,300(HMW)
Sigma-Aldrich P1399 Mw 163,200
ポリ(ビニルアミン)塩酸塩[CAS:26336−38−9、Polysciences 23965] Mw 25,000
ポリエチレンイミン(分枝)(30%水溶液、Mw 7万)
電荷密度の高い高分枝ポリアミン。液状ポリマ。全ての分子量で水に可溶。低級アルコール、グリコール類、THFにも可溶。
第一級、第二級、および第三級アミン基を約25/50/25の比で含むポリマ
ポリ(アリルアミン塩酸塩)[CAS番号:71550−12−4、Polysciences, 18378]
ポリマ系第一級アミン、Mw 約6万
ポリ(アリルアミン)溶液、平均Mw約65,000、20質量%水溶液、Sigma-Aldrich 479144
ポリ(エチレンオキシド)、ジアミン末端化、scientific polymers 817[CAS:65605−36−9、Mw 2000]
Jeffamineシリーズの第一級アミン系ポリマ
D-4000(XTJ-510)
ED-2003(XTJ-502)
T-3000(XTJ-509)
T-5000
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン)、GELEST SIA0590.5
アセトアミノフェン(Mw150ドルトン)などの小さな中性分子が起こす、電流測定センサの妨害を除くことは、これらの化合物の大きさがグルコース(Mw180ドルトン)よりも典型的に小さいことを考えると困難な課題である。薄膜ポリマを直接被覆しても、恐らく密度が不十分なため(非常に高分子量のポリマを用いても)、妨害を除去できないと考えられる。センサ信号を高レベルに保ち、起動を早くするため、膜構造体は、典型的に高密度で親水性でなければならない。
薄膜を直接被覆した後、親水性ポリマ系を架橋することは、上に挙げた要求を考慮すれば一般に良い選択である。加熱したシランのみの縮合技術は、このような工程に適用可能である。ここで、pHEMAと架橋した二価親水性シランを塗布する試みを行ったところ、要求に応じて調節可能な良好な妨害除去が得られた。グルタルアルデヒドを用いた第一級アミン系ポリマの架橋も、高密度で親水性の高い膜系を作る、加熱縮合に代わるもうひとつの選択肢である。
ポリリシンの溶媒は脱イオン水で、濃度範囲は0.5%から1.0%である。技術的に容認されている手順に基づいてIRM溶液を噴霧した後、静的チャンバまたはCVDチャンバで2時間架橋した。架橋後、プレートを脱イオン水で洗って、表面に堆積した遊離グルタルアルデヒドを除いた。標準的なグルコースセンサの手順、AP架橋、およびGLMキャスティングを行ってセンサを完成させた。
ポリリシンポリマのIRM性能を評価した。バックグラウンド電流を安定化した後、10mg/dlのアセトアミノフェンを加え、次に、0.1mM(3.3ppm)のH22溶液に入れて、Isigを記録した。アセトアミノフェンによるIsigの上昇を比較するため、完成したセンサを、100mg/dlのグルコース溶液と、1mg/dlのアセトアミノフェンを加えた100mg/dlのグルコース溶液とに入れて評価した。
図5Aおよび図5Bは、1%のポリリシンを1回架橋させたIRMを持つセンサの妨害除去性能を示している。このIRM組成物は、スプレーで塗布した単一の層を用いて、非常に有効に機能した。H22ISigは、スプレーした2層のIRM被膜でもあまり低下しない。2層の被膜は、良好な妨害除去性能を生じた。妨害除去の程度は、最新のpHEMA−シラン系と同等である。図5Cは、PBS試験2週間後のIRM性能を示している。通常、センサの妨害除去性能は、1週間しか使用しなければあまり変わらない。しかし、図5Cでは、工程パラメータが異なると幾分違いが見られ、4μl×2回では最も安定した妨害性能を示し、全てのH22浸透性はあまり変わらない。図5Dは、分子量の異なるポリリシンによるIRMの性能を示している。高Mwのポリリシンは、より良好な妨害除去を示す。スプレーした単一の層では、この高Mwポリリシンの性能安定性は低分子量の対照物よりも良好である。図5Eは、ポリリシンおよびpHEMA−シランIRM組成物の性能の比較を示している。図5Fは、IRMセンサの起動性能を示している。センサは30分以内に起動し、大きなドリフトは見られなかった。
要約すれば、ポリリシンは、既知のIRM材料と比べて遜色のない性能を生じる。ポリアリルアミンは更に有望な結果を示した。適当な架橋性を持つ高分子量または非常に高分子量のポリマは、Pt作用電極の粗面上に配置可能な機能性IRMを生成する。更に、ポリリシンは、典型的にセンサに用いられる、タンパク質およびGOx層と適合性がある。結果として、このようなIRMを用いたセンサでは、割れや剥離の問題が起こりにくくなると予想される。
100 センサ、102 ベース層、104 導電層、106 カバー層、108 開口部、110 分析物検出層、112 分析物調節層、114 接着促進層、116 タンパク質層、120 妨害除去膜。

Claims (27)

  1. ベース層と、
    前記ベース層上に配置した、作用電極を含む導電層と、
    前記作用電極の電気活性表面上に配置した妨害除去膜と、
    分析物検出層と、
    を含む、電流測定分析物センサ装置であって、
    前記妨害除去膜は、親水性架橋剤で架橋したポリマを含むことを特徴とする、分析物センサ装置。
  2. 前記妨害除去膜は、架橋した第一級アミンポリマまたは架橋したメタクリラートポリマを含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  3. 前記架橋メタクリラートポリマは、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の平均分子量を持つポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)ポリマを含むことを特徴とする、請求項2に記載の分析物センサ装置。
  4. 前記架橋第一級アミンポリマは、4キロドルトンと500キロドルトンの間の平均分子量を持ち、
    ポリリシンポリマ、
    ポリ(アリルアミン)ポリマ、
    アミン末端化ポリ(エチレンオキシド)ポリマ、
    ポリ(ビニルアミン)ポリマ、または
    ポリエチレンイミンポリマ
    を含むことを特徴とする、請求項2に記載の分析物センサ装置。
  5. 前記妨害除去膜の厚さは、0.1μmと1.0μmの間であることを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  6. 前記妨害除去膜は、140ドルトンより大きい分子量を持つ化合物の、前記妨害除去膜を通る拡散を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  7. 前記妨害除去膜は、ある濃度のアセトアミノフェンから生じる分析物センサ装置中の信号が、前記妨害除去膜のない対照の分析物センサ装置と比較して少なくとも50%まで低減するよう、前記妨害除去膜を通るアセトアミノフェンの拡散を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  8. 前記親水性架橋剤は、
    尿素、
    親水性の有機官能性二価(organofunctional dipodal)アルコキシシラン、または
    グルタルアルデヒド、
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  9. 前記作用電極の電気化学的反応表面は、不規則な表面構造を持つ白金黒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  10. 前記妨害除去膜は、前記作用電極の電気化学的反応表面に直接接しており、
    前記分析物検出層は、前記妨害除去膜に直接接している、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  11. 前記分析物センサ装置は、哺乳動物の体内に埋め込み可能であることを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  12. 請求項1に記載の分析物センサ装置であって、
    更に、
    前記分析物検出層上に配置したタンパク質層、
    前記分析物検出層または前記タンパク質層の上に配置した分析物調節層、
    前記分析物検出層上に配置した接着促進層、または
    前記分析物センサ装置上に配置したカバー層、
    の少なくとも1つを含み、
    前記分析物調節層は、前記分析物調節層を通って拡散する分析物の拡散を調節する組成物を含み、
    前記接着促進層は、前記分析物検出層と分析物調節層との間の接着を促進し、
    前記カバー層は、哺乳動物の体内に存在する分析物が分析物調節層に接触し、その中を通って拡散し、前記分析物検出層に接触し易くなるよう、前記カバー層に配置した開口部を含む、
    ことを特徴とする分析物センサ装置。
  13. 前記導電層は、作用電極、対電極、および参照電極を含む、複数の電極を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  14. 前記導電層は、複数の作用電極、対電極、および参照電極を含み、
    複数の前記作用、対、および参照電極は1つのユニットとしてグループ化され、ユニットの繰り返しパターンとして前記導電層上に位置的に分散している、
    ことを特徴とする、請求項11に記載の分析物センサ装置。
  15. 前記分析物検出層は、酸化還元酵素の基質に曝露すると過酸化水素を発生する酸化還元酵素を含み、前記酸化還元酵素によって発生する過酸化水素の量は、前記酸化還元酵素に曝露した基質の量に比例することを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  16. 前記センサは、センサ入力装置と、前記センサ入力装置に接続したプロセッサとに、連動するよう接続しており、
    前記センサ入力装置は、哺乳動物の体内で検知された生理学的特性値に基づく前記センサからの信号を受信可能であり、
    前記プロセッサは、前記センサから受信した1つ以上の信号の特性解析が可能である、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  17. パルス電圧を用いて電極から信号を得ることを特徴とする、請求項1に記載の分析物センサ装置。
  18. 哺乳動物の体内に埋め込むためのセンサ装置の製造法であって、
    前記製造法は、
    ベース層を準備する工程と、
    前記ベース層上に作用電極を含む導電層を形成する工程と、
    前記作用電極上に妨害除去膜を形成する工程と、
    前記導電層上に分析物検出層を形成する工程と、
    必要に応じて、前記分析物検出層上にタンパク質層を形成する工程と、
    前記分析物検出層または必要に応じた前記タンパク質層の上に接着促進層を形成する工程と、
    前記接着促進層上に配置した分析物調節層を形成する工程と、
    前記分析物調節層の少なくとも一部の上に配置したカバー層を形成する工程と、
    を含み、
    前記妨害除去膜は、架橋したメタクリラートポリマまたは架橋した第一級アミンポリマを含み、
    前記分析物検出層は酸化還元酵素を含み、
    前記分析物調節層は、その中を通る分析物の拡散を調節する組成物を含み、
    前記カバー層は、前記分析物調節層の少なくとも一部の上に更に開口部を含む、
    ことを特徴とする、センサ装置の製造法。
  19. 前記架橋メタクリラートポリマは、100キロドルトンと1000キロドルトンの間の平均分子量を持つポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)(pHEMA)ポリマを含むことを特徴とする、請求項16に記載の製造法。
  20. 前記ポリマは、親水性架橋剤で架橋することを特徴とする、請求項16に記載の製造法。
  21. 前記妨害除去膜の厚さは0.1μmと1.0μmの間であり、
    (1)0.3%から1%のpHEMAと、
    0.25%から0.7%のシラン架橋剤と、
    を含む溶液を用いたスプレー工程、
    (2)1%から3%のpHEMAと、
    0.3%から0.7%のシラン架橋剤と、
    を含む溶液を用いたスピン工程、または
    (3)4%のpHEMAと、
    0.35%から1.0%のシラン架橋剤と、
    を含む溶液を用いたスロットコーティング工程、
    によって、前記電極上に形成することを特徴とする、請求項17に記載の製造法。
  22. 前記シラン架橋剤は、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素であることを特徴とする、請求項21に記載の製造法。
  23. 100キロドルトンと1000キロドルトンの間の分子量を持つメタクリラートポリマ、または、
    4キロドルトンと500キロドルトンの間の分子量を持つ第一級アミンポリマ、
    を含み、
    前記メタクリラートポリマは、親水性の有機官能性二価アルコキシシランで架橋し、
    前記第一級アミンポリマは、グルタルアルデヒドで架橋する、
    ことを特徴とするポリマ組成物。
  24. 前記組成物は、過酸化水素変換組成物を覆っていることを特徴とする、請求項23に記載のポリマ組成物。
  25. 前記架橋メタクリラートポリマは、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)ポリマを含むことを特徴とする、請求項23に記載のポリマ組成物。
  26. 前記架橋第一級アミンポリマは、
    ポリリシンポリマ、
    ポリ(アリルアミン)ポリマ、
    アミン末端化ポリ(エチレンオキシド)ポリマ、
    ポリ(ビニルアミン)ポリマ、または、
    ポリエチレンイミンポリマ、
    を含むことを特徴とする、請求項23に記載のポリマ組成物。
  27. 前記過酸化水素変換組成物は電極を含み、前記ポリマ組成物は、0.1μmと1.0μmの間の厚さの層として、前記電極を覆っていることを特徴とする、請求項24に記載のポリマ組成物。
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