JP2013256550A - 光増感剤およびこれを用いた光起電力素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で高変換効率の光増感剤およびこれを用いた光起電力素子を提供する。
【解決手段】1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する光増感剤。一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基等である。
(1)
【選択図】図4
【解決手段】1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する光増感剤。一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基等である。
(1)
【選択図】図4
Description
本発明は、光増感剤に関し、特に色素増感型光起電力素子(太陽電池)に好適に用いられる光増感剤、およびこれを利用した光起電力素子に関するものである。
1991年にグレッツェルらが発表した色素増感型太陽電池素子は、ルテニウム錯体によって分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池であり、シリコン太陽電池並の性能が得られることが報告されている(非特許文献1参照)。この方法は、チタニア等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用いることができるため、安価な色素増感型太陽電池を提供でき、しかも色素の吸収がブロードであるため、可視光線のほぼ全領域の光を電気に変換できるという利点があり、注目を集めている。
しかしながら、公知のルテニウム錯体色素は、可視光は吸収するものの700nmより長波長の赤外光はほとんど吸収しないため赤外域での光電変換特性は低い。したがって更に変換効率を上げるためには可視光のみならず赤外域に吸収を有する色素の開発が望まれていた。
一方、ブラックダイに関して、920nmまで光を吸収することができるが、吸光係数が小さいため、高電流値を得るためには、酸化チタン多孔質薄膜に吸着する量を多くする必要があった。酸化チタン多孔質薄膜への吸着量を増加する方法は、種々の方法があるが、一般的には、薄膜の厚みを増加することで可能である(非特許文献2、3参照)。しかし、薄膜の厚みを増加すると、逆電子移動の増加,薄膜中の電子密度の減少などによって、開放電圧値の減少、FFの低下などが生ずるため、変換効率は大きく増加することはできない。
またイミダゾフェナントロリン配位子の錯体を用いて、太陽電池とした報告もあるが、十分な変換効率を得るに至っていない(特許文献1参照)。
更にブラックダイやN719色素では、光増感色素のCOOH基の一部を陽イオンとの塩とすることにより、分子の軌道エネルギーが上昇し、高い光電変換特性が得られることが報告されている(非特許文献3参照)。
本発明者らは、こうした経緯を受けてトリアリルアミン誘導体を有する光増感剤を開発し、その色素増感剤を用いた太陽電池において高い光電変換特性を得ることに成功している(特許文献2参照)。
一方、より安価な金属イオンであるCuイオンを中心金属イオンとして用いたCu錯体も色素増感型太陽電池用の色素として開発が進められている(非特許文献3、4、5参照)。何れのCu錯体色素においてもビピリジン骨格を有する配位子を構成要素として持ち、酸化チタンへの吸着サイトであるカルボン酸部位を有するという共通要素が存在する。現段階でのCu錯体色素を用いた太陽電池における変換効率は最大で2%強であるが、コスト面を考慮した場合、今後有望な色素の一つとなる。
オレガン(B. O’Regan)、グレッェル(M. Gratzel),「ネイチャー(Nature)」,(英国),1991年,353巻,p.737
グレッェル(M. Gratzel),「ジャーナル オブ アメリカン ケミカルソサイアティー」,(米国),2001年,123巻,p.1613
グレッェル(M. Gratzel),「インオーガニック ケミストリー(Inorganic Chemistry)」,(米国),1999年,38巻,p.6298
B. Bozic-Weber, E. C. Constable, C. E. Housecroft, M. Neuburger, J. R. Price, Dalton Transaction, 2010, 39, 3585.
B. Bozic-Weber, E. C. Constable, C. E. Housecroft, P. Kopecky, M. Neuburger, J. A. Zampese, Dalton Transaction, 2011, 40, 12584.
色素増感太陽電池におけるルテニウム以外の卑金属イオンを利用した色素の開発は、製造コストの減少が期待されている。また資源枯渇の観点からもルテニウムを卑金属へ置き換えることは実用化の面でも望ましい。ただし現状での卑金属を用いた金属錯体色素は研究例が少なく、十分な変換効率が得られていないのが現状である。本発明の課題は、このような安価で高変換効率の光増感剤およびこれを用いた光起電力素子を提供することである。
本発明者らは、自ら開発した高い変換効率を示すRu色素(特許文献2参照)とこれまでに報告されているCu錯体色素(非特許文献3、4、5参照)をベースとして鋭意検討した結果、Cu錯体をベースとした色素材料が上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の色素増感剤およびこれを用いた光起電力型素子が提供される。
[1] 1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する光増感剤。
(1)
一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、炭素数1〜30のアミノアルキル基、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアラルキル基である。
一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、炭素数1〜30のアミノアルキル基、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアラルキル基である。
[2] トリアリルアミン型配位子を有する前記[1]に記載の光増感剤。
[3] 前記[1]または[2]に記載の光増感剤が吸着した酸化チタン電極。
[4] 前記[1]または[2]に記載の光増感剤を用いた光起電力素子。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
(第1実施形態)
本実施形態の光増感剤は、1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する化合物(新規金属錯体色素)である。
一般式(I)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、炭素数1〜30のアミノアルキル基、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す。
本実施形態の光増感剤は、1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する化合物(新規金属錯体色素)である。
一般式(I)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、炭素数1〜30のアミノアルキル基、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す。
上記の一般式(1)で表される構造を有する化合物(光増感剤)として、金属酸化物などの電極への吸着部位としてカルボン酸部位を分子内に1つ以上持っている下記の一般式(2)〜(11)で表される化合物が好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物(光増感剤)は、これらに限定されるものではない。
本実施形態の光増感剤の合成方法について説明する。ちなみに、本実施形態の光増感剤は、トリアリルアミン型L1およびビピリジン型配位子L2を用いて表すと、CuL1L2と表されるものである。まず、Cu原料に、配位子L1およびL2を逐次的に反応させる方法が好ましく用いられる。Cu原料としては、塩化銅、過塩素酸銅等のCu(I)塩を用いることができる。トリアリルアミン型配位子L1としては、以下に示すように、各種置換基を含むトリアリルアミン誘導体が好適に用いられる。
(12)
ビピリジン型配位子L2としては、下記に示すように、ビピリジン誘導体にカルボン酸部位を含むものが好適に用いられる。
(13)
ビピリジン型配位子L2としては、下記に示すように、ビピリジン誘導体にカルボン酸部位を含むものが好適に用いられる。
反応溶媒としては、一般的な有機溶媒を用いることができ、好ましくはアセトン、およびクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族溶媒が用いられる。
反応温度は特に限定されないが、反応を進行させるためには、加温が好ましく、50〜100℃の範囲で行うことが特に好ましい。また加温についてはオイルバス、ウォーターバス、マイクロ波加熱装置等を使用することができる。反応時間は特に限定されないが、通常1分〜数日、好ましくは10分〜1日であり、加熱装置により時間を変更することが好ましい 。
つぎに本発明の光起電力素子について説明する。本発明の光起電力素子は、少なくとも透明導電性基板、光増感剤を吸収した半導体層、電荷輸送層および対向電極から構成される。
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明導電層を積層させて製造される。透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。かかる樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
電極の導電層を形成する透明導電層としては、本発明の目的を果たすものである限り特に限定されなく、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化錫や酸化亜鉛に、他の金属元素を微量ドープしたIndium Tin Oxide(ITO(In2O3:Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO2:F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))などが好適に用いられる。膜厚は、通常10nm〜10μm、好適には100nm〜2μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は、本発明の基板の用途により適宜選択されるところであるが、通常0.5〜500Ω/sq、好適には2〜50Ω/sqである。
対向電極は通常、白金、カーボン電極などを用いることができる。基板の材質は特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。かかる樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。また、金属プレートなどを基板として用いることもできる。
半導体層としては、特に限定されないが、例えば、TiO2、ZnO、SnO2、Nb2O5からなる層等が挙げられ、なかでもTiO2、ZnOからなる層が好ましい。本発明に用いられる半導体は単結晶でも多結晶でも良い。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが主に用いられるが、好ましくはアナターゼ型である。半導体層の形成には公知の方法を用いることができる。半導体層の形成方法としては、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されずキャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法のほか、スクリーン印刷法を初めとした各種の印刷方法を挙げることができる。半導体層の厚みは任意であるが、通常0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜20μmである。
本発明の光増感剤を半導体層に吸着させる方法としては、例えば、溶媒に光増感剤を溶解させた溶液を、半導体層上にスプレーコートやスピンコートなどにより塗布した後、乾燥する方法により形成することができる。この場合、適当な温度に基板を加熱しても良い。または光増感剤を溶解させた溶液に半導体層を浸漬して吸着させる方法を用いることもできる。浸漬する時間は光増感剤が十分に吸着すれば特に制限されることはないが、好ましくは10分〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒や基板を加熱しても良い。溶液にする場合の光増感剤の濃度としては、0.01〜100mmol/L、好ましくは0.1〜50mmol/L程度である。溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、炭化水素などを用いることができる。
また、光増感剤間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を添加し、半導体層に共吸着させてもよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等のステロイド化合物やスルホン酸塩類等が挙げられる。未吸着の光増感剤は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶媒等を用いて行うのが好ましい。
光増感剤の吸着量は、強アルカリ溶液にて、半導体層から光増感剤を脱着し、アルカリ溶液の光吸収量から算出される。また、吸着量は、半導体表面積に対し、1.0×10−8mol/cm2〜1.0×10−6mol/cm2の範囲で吸着することができる。
光増感剤を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて、半導体層の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
本発明の光起電力素子において用いられる電解質としては、特に限定されず、液体系でも固体系のいずれでもよく、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すものが望ましい。ここで、可逆な電気化学的酸化還元特性を示すということは、光起電力素子の作用する電位領域において、可逆的に電気化学的酸化還元反応を起こし得ることをいう。典型的には、通常、水素基準電極(NHE)に対して−1〜+2V vs.NHEの電位領域で可逆的であることが望ましい。電解質のイオン伝導度は、通常室温で1×10−7S/cm以上、好ましくは1×10−6S/cm以上、さらに好ましくは1×10−5S/cm以上であることが望ましい。電解質層の厚さは、特に制限されないが、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、また、3mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以下である。かかる電解質としては、上記の条件を満足すれば特に制限されるものでなく、液体系および固体系とも、本技術分野で公知のものを使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1:光増感剤の合成)
実施例1は、第1実施形態に対応する実施例である。次の反応スキームに示すように、配位子L1の前駆体としての化合物1、化合物2、および光増感剤1の前駆体1、配位子L2の前駆体としての化合物3、化合物4、化合物5を合成した。
実施例1は、第1実施形態に対応する実施例である。次の反応スキームに示すように、配位子L1の前駆体としての化合物1、化合物2、および光増感剤1の前駆体1、配位子L2の前駆体としての化合物3、化合物4、化合物5を合成した。
<化合物1の合成>
6-methylpyrid-2-yl-amine(15mmol)と2-クロロ-6-メチルピリジン(15mmol)をビスジフェニルホスフィノプロパン(62mg)、ジパラジウムトリス(ベンジリデンアセトン)(69mg)、ナトリウム-t-ブトキサイド(1.80g)をそれぞれ加えたトルエン(15ml)に加えAr雰囲気下で80°Cで1時間攪拌した。室温まで冷却後、一晩攪拌し、不溶性固体を濾別する事で褐色溶液を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製することで薄褐色固体を得た。1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):7.37(d,2H),7.14(t,2H),6.42(d,2H),2.40(s,6H).
6-methylpyrid-2-yl-amine(15mmol)と2-クロロ-6-メチルピリジン(15mmol)をビスジフェニルホスフィノプロパン(62mg)、ジパラジウムトリス(ベンジリデンアセトン)(69mg)、ナトリウム-t-ブトキサイド(1.80g)をそれぞれ加えたトルエン(15ml)に加えAr雰囲気下で80°Cで1時間攪拌した。室温まで冷却後、一晩攪拌し、不溶性固体を濾別する事で褐色溶液を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製することで薄褐色固体を得た。1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):7.37(d,2H),7.14(t,2H),6.42(d,2H),2.40(s,6H).
<化合物2の合成>
化合物1(5.84mmol)、p-ブロモアニソール(8.76mmol)、水酸化カリウム(8.76mmol)、硫酸銅(30mg)を混合しAr雰囲気下180℃で4時間加熱した。放冷後、アセトンを加え不溶性固体を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で生成することで油状の薄赤色液体を得た。これに少量の水を加えることで懸濁させ、濾別することで薄い黄色い目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):7.39(t,2H),7.12(d,2H),6.88(d,2H),6.73(d,2H),6.73(d,2H),3.83(s,3H),2.19(s,6H).
化合物1(5.84mmol)、p-ブロモアニソール(8.76mmol)、水酸化カリウム(8.76mmol)、硫酸銅(30mg)を混合しAr雰囲気下180℃で4時間加熱した。放冷後、アセトンを加え不溶性固体を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で生成することで油状の薄赤色液体を得た。これに少量の水を加えることで懸濁させ、濾別することで薄い黄色い目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):7.39(t,2H),7.12(d,2H),6.88(d,2H),6.73(d,2H),6.73(d,2H),3.83(s,3H),2.19(s,6H).
<前駆体1の合成>
嫌気条件下(グローブボックス中が好ましい)で[Cu(MeCN)4](SbF6)(0.1mmol)をTHF(5ml)に溶かし、化合物2(0.2mmol)を加えることで薄黄色溶液を得た。ジエチルエーテルを徐々に加えることで析出した白色結晶を濾取することで目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,重アセトン,δ/ppm vs.TMS):8.21,7.76,7.55,7.32,7.04,6.90,3.83,2.39.
嫌気条件下(グローブボックス中が好ましい)で[Cu(MeCN)4](SbF6)(0.1mmol)をTHF(5ml)に溶かし、化合物2(0.2mmol)を加えることで薄黄色溶液を得た。ジエチルエーテルを徐々に加えることで析出した白色結晶を濾取することで目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,重アセトン,δ/ppm vs.TMS):8.21,7.76,7.55,7.32,7.04,6.90,3.83,2.39.
<化合物3の合成>
フルフラール(0.52mol)と2,3-ブタンジオン(0.26mmol)をピペリジン(0.5mL)を含むエタノール(20ml)に加え、1週間攪拌させることでオレンジ色固体を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):6.54(dd,2H),6.80(d,2H),7.31(d,2H),7.58(d,2H)、7.61(dd,2H).
フルフラール(0.52mol)と2,3-ブタンジオン(0.26mmol)をピペリジン(0.5mL)を含むエタノール(20ml)に加え、1週間攪拌させることでオレンジ色固体を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):6.54(dd,2H),6.80(d,2H),7.31(d,2H),7.58(d,2H)、7.61(dd,2H).
<化合物4の合成>
化合物3(2.07mmol)、1-アセトニルピリジニウムクロライド(0.26mol)、酢酸アンモニウム(1.00g)をメタノール(20ml)に加え12時間還流した。室温に冷却後、不溶性の固体を濾取し、冷メタノールで洗浄することでベージュ色の目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):8.61(s,2H),7.58(dd,2H),7.50(d,2H),7.12(d,2H),6.56(dd,2H),2.76(s,6H).
化合物3(2.07mmol)、1-アセトニルピリジニウムクロライド(0.26mol)、酢酸アンモニウム(1.00g)をメタノール(20ml)に加え12時間還流した。室温に冷却後、不溶性の固体を濾取し、冷メタノールで洗浄することでベージュ色の目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3,δ/ppm vs.TMS):8.61(s,2H),7.58(dd,2H),7.50(d,2H),7.12(d,2H),6.56(dd,2H),2.76(s,6H).
<化合物5の合成>
KMnO4(0.065mol)と化合物4(0.260mol)をt-BuOH(250ml)と水(50ml)の混合溶液に加え一晩還流した。室温に冷却後、セライトろ過を行い、濾液をエバポレーターで濃縮後、希塩酸を加えて溶液のpHを2にする事で白色沈殿が生じた。これを濾取することで目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,dmso-d6,δ/ppm vs.TMS):8.62(s,2H),7.78(s,2H),2.65(s,6H).
KMnO4(0.065mol)と化合物4(0.260mol)をt-BuOH(250ml)と水(50ml)の混合溶液に加え一晩還流した。室温に冷却後、セライトろ過を行い、濾液をエバポレーターで濃縮後、希塩酸を加えて溶液のpHを2にする事で白色沈殿が生じた。これを濾取することで目的物を得た。
1H-NMR(300MHz,dmso-d6,δ/ppm vs.TMS):8.62(s,2H),7.78(s,2H),2.65(s,6H).
(実施例2)
<光起電力素子(太陽電池)作製>
酸化チタンペーストPST-18NR(日揮触媒化成株式会社)をFTOガラス(20×20mm)にスキージ法を用いて薄膜(5.0×5.0mm)とし530℃で1時間焼成することで酸化チタン電極を得た。下記の反応スキームに従って、作製した酸化チタン電極上に光増感剤1を形成した.
<光起電力素子(太陽電池)作製>
酸化チタンペーストPST-18NR(日揮触媒化成株式会社)をFTOガラス(20×20mm)にスキージ法を用いて薄膜(5.0×5.0mm)とし530℃で1時間焼成することで酸化チタン電極を得た。下記の反応スキームに従って、作製した酸化チタン電極上に光増感剤1を形成した.
配位子L1の0.1mM DMSO溶液20mlに酸化チタン電極を4時間浸漬させた。取り出した後エタノールでよく洗浄して続いて前駆体1の1.0mMアセトニトリル溶液に24時間浸漬させることで薄いオレンジ色の光増感剤1を酸化チタン電極上に合成した。
図1に実際に作製した電極の写真を示す。化合物5を修飾した段階では無色であった酸化チタン電極は、Cu(I)錯体である前駆体1と反応することでオレンジ色となり、前駆体1の配位子交換反応により電極上で光増感剤1へと変換されたことが確認された。
図2に酸化チタン上で合成された光増感剤1の紫外可視拡散反射スペクトルを示す。比較のため、酸化チタン上へ吸着したN719色素の拡散反射スペクトルおよび光増感剤1の理論スペクトルを示した。理論スペクトルに比べて,実際のスペクトルは極大吸収が大きく短波長側へとシフトした。またN719色素のものと比べて、その吸光度はかなり小さいものとなった。
図3に化合物5を吸着した酸化チタン電極、続いて前駆体1を反応させた後の酸化チタン電極の赤外反射スペクトルの測定結果を示す。前駆体5との反応により、前駆体5由来の吸収(図3中の囲み部分)の他に酸化チタン電極表面上で合成された光増感剤1に由来する新たな吸収が出現した。以上の結果より、酸化チタン電極上での段階的合成により光増感剤1が合成されたことが確認された。
H2PtCl6・6H2O(30mM)を含む2-プロパノール溶液をFTOガラス(20×20mm)にスピンコーターを用いて薄膜とし385℃で30分焼成することでPt電極を得た。アセトニトリルにヨウ化リチウム(0.1M),ヨウ素(0.05M),tert-ブチルアルコール(0.5M),ヨウ化1,2‐ジメチル‐3‐プロピルイミダゾリウム(0.6M)となるように調製し電解質とした。
上記の光増感剤1を吸着した酸化チタン電極およびPt電極を重ね合わせ、3辺をアラルダイトにより封止した。残りの1辺からマイクロシリンジを用いて電解質溶液を加えた後にアラルダイトで封止することで光増感剤1を用いた色素増感型光起電力素子を得た。
(実施例3)
<色素増感型光起電力素子の光電特性評価>
光起電力素子の評価は朝日分光製IVP0605電位-電圧計に接続された光起電力素子に、朝日分光製ソーラーシミュレーターHAL-302より照射されたAM1.5Gの光を照射することで行った。図4に得られた電位-電圧曲線を示す。光照射下では光電流が観測され、作製した光起電力素子が作動していることが示された。この光起電力素子の光電特性は、短絡電流密度が2.6mA/cm2、開放電圧が0.65V、フィルファクターが0.64、変換効率が1.1であった。
<色素増感型光起電力素子の光電特性評価>
光起電力素子の評価は朝日分光製IVP0605電位-電圧計に接続された光起電力素子に、朝日分光製ソーラーシミュレーターHAL-302より照射されたAM1.5Gの光を照射することで行った。図4に得られた電位-電圧曲線を示す。光照射下では光電流が観測され、作製した光起電力素子が作動していることが示された。この光起電力素子の光電特性は、短絡電流密度が2.6mA/cm2、開放電圧が0.65V、フィルファクターが0.64、変換効率が1.1であった。
本発明の色増感剤は色素増感型光起電力素子に利用できる。
Claims (4)
- 1分子中に、一般式(1)で表される構造を有する光増感剤。
(一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に、H、カルボニル含有基、リン酸エステル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、炭素数1〜30のアミノアルキル基、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはカルボニル基を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアラルキル基である。) - トリアリルアミン型配位子を有する請求項1に記載の光増感剤。
- 請求項1または2に記載の光増感剤が吸着した酸化チタン電極。
- 請求項1または2に記載の光増感剤を用いた光起電力素子。
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JP2012131506A JP2013256550A (ja) | 2012-06-11 | 2012-06-11 | 光増感剤およびこれを用いた光起電力素子 |
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- 2012-06-11 JP JP2012131506A patent/JP2013256550A/ja active Pending
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