JP2013256434A - 金属酸窒化物の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の製造法では、700℃以上でのアンモニア気流を用いることで、熱力学的に不安定な金属酸窒化物を合成している。このような高温の処理には、大きなエネルギーが必要である。また、アンモニアガスは有害ガスであり取り扱いに注意を要する。さらにアンモニアガスの利用効率は低く、速度論的な反応のコントロールが必要である。
【解決手段】本発明は、金属酸化物とアルカリ金属アミドと水素化物を混合し、不活性ガス雰囲気の容器内に封入する工程と容器を加熱し、アルカリ金属アミドの融点以上の温度で容器内の混合物を溶融させる工程と容器内の混合物を冷却した後、アルカリ金属アミドと水素化物の残留物を水溶液で溶解させて洗浄除去することを特徴とする金属酸窒化物の製造法である
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、金属酸化物とアルカリ金属アミドと水素化物を混合し、不活性ガス雰囲気の容器内に封入する工程と容器を加熱し、アルカリ金属アミドの融点以上の温度で容器内の混合物を溶融させる工程と容器内の混合物を冷却した後、アルカリ金属アミドと水素化物の残留物を水溶液で溶解させて洗浄除去することを特徴とする金属酸窒化物の製造法である
【選択図】図1
Description
本発明は、水素化物を用いた金属酸化物の窒化による金属酸窒化物の製造方法に関する。ここでの金属酸窒化物は広義の酸素と窒素を含む化合物で、酸素を含む金属窒化物や窒素を含む金属酸化物を含む。
金属酸化物は、安定、安価、毒性の低い、腐食性のないといった優れた特徴があり、窒素ドープした金属酸化物、酸窒化物および窒化物の出発試料として広く用いられる。
金属酸化物の窒化には、金属酸化物の還元及び窒化が必要である。すなわち、酸素との結合を切る反応と窒素との反応を形成する二段階の反応が必要である。
還元窒化には、アンモニアガス、窒素ガス、窒素と水素の混合ガスや炭素還元、窒化リチウムとの反応が用いられ、一般的に500-1700 ℃の高温処理が必要である。
非特許文献1では、Ca, La, Ta酸化物を出発試料として、700-1000℃のアンモニアガス気流中での窒化によってCa(1-x)LaxTaO(2-x)N(1+ x) を合成している。
特許文献1では、LiとGaを含む酸化物ゾルを出発試料として、700-1000℃のアンモニアガス気流中での窒化によって(Li,Ga)(O,N) を合成している。
また、特許文献2、非特許文献2-5塩化物、アミド等を用いた窒化物の500℃以下での合成も報告されている。
特許文献2では、13族元素を含む金属及び/又は化合物とアミド化合物を不活性ガス中で400−500℃で加熱することによる窒化物の合成を行っている。
非特許文献2では、インジウムハライドとアミド化合物を有機物中で加熱することによる窒化インジウムの合成を報告している。
非特許文献3では、塩化ガリウムと窒化リチウムをベンゼン中で加熱することによる窒化インジウムの合成を報告している。
非特許文献4では、様々な金属と硫黄、アジ化ナトリウムもしくはナトリウムアミドと500℃以下で反応させ、窒化物の合成を報告している。
非特許文献5では、酸化ガリウムと窒化リチウムの遊星ボールミルを用いたメカノケミカル反応によって、窒化ガリウムの合成を報告している。
金属酸化物の窒化には、金属酸化物の還元及び窒化が必要である。すなわち、酸素との結合を切る反応と窒素との反応を形成する二段階の反応が必要である。
還元窒化には、アンモニアガス、窒素ガス、窒素と水素の混合ガスや炭素還元、窒化リチウムとの反応が用いられ、一般的に500-1700 ℃の高温処理が必要である。
非特許文献1では、Ca, La, Ta酸化物を出発試料として、700-1000℃のアンモニアガス気流中での窒化によってCa(1-x)LaxTaO(2-x)N(1+ x) を合成している。
特許文献1では、LiとGaを含む酸化物ゾルを出発試料として、700-1000℃のアンモニアガス気流中での窒化によって(Li,Ga)(O,N) を合成している。
また、特許文献2、非特許文献2-5塩化物、アミド等を用いた窒化物の500℃以下での合成も報告されている。
特許文献2では、13族元素を含む金属及び/又は化合物とアミド化合物を不活性ガス中で400−500℃で加熱することによる窒化物の合成を行っている。
非特許文献2では、インジウムハライドとアミド化合物を有機物中で加熱することによる窒化インジウムの合成を報告している。
非特許文献3では、塩化ガリウムと窒化リチウムをベンゼン中で加熱することによる窒化インジウムの合成を報告している。
非特許文献4では、様々な金属と硫黄、アジ化ナトリウムもしくはナトリウムアミドと500℃以下で反応させ、窒化物の合成を報告している。
非特許文献5では、酸化ガリウムと窒化リチウムの遊星ボールミルを用いたメカノケミカル反応によって、窒化ガリウムの合成を報告している。
Jansen, M.& Letschert, H.P. Inorganic yellow-red pigments without toxic metals.Nature 404, 980-982 (2000).
Hsieh, J.C.,Yun, D.S., Hu, E. & Belcher, A.M. Ambient pressure, low-temperaturesynthesis and characterization of colloidal InN nanocrystals. J. Mater. Chem.20(2010).
Xie, Y., Qian,Y., Wang, W., Zhang, S. & Zhang, Y. A Benzene-Thermal Synthetic Route toNanocrystalline GaN. Science 272, 1926-1927 (1996).
Yang, L., Yu,H., Xu, L., Ma, Q. & Qian, Y. Sulfur-assisted synthesis of nitridenanocrystals. DaltonTransactions 39(2010).
Kano, J., Kobayashi, E., Tongamp, W. &Saito, F. Preparation of GaN powder by mechanochemical reaction between Ga2O3and Li3N. J. Alloys Compd. 464, 337-339 (2008).
しかしながら、従来の製造法では、700℃以上でのアンモニア気流を用いることで、熱力学的に不安定な金属酸窒化物を合成している。このような高温の処理には、大きなエネルギーが必要である。また、アンモニアガスは有害ガスであり取り扱いに注意を要し、廃棄の際には中和などの処理が必須である。さらに、アンモニアガス気流の微量しか反応に利用することができなく、利用効率は低い。また、アンモニアの分解過程を用いるので、速度論的な反応のコントロールが必要である。
上記目的を達成するために、以下の(1)〜(5)の本発明の構成によって達成することができる。
(1)本発明は、金属酸化物とアルカリ金属アミドと水素化物を混合し、不活性ガス雰囲気の容器内に封入する工程と前記容器を加熱し、前記アルカリ金属アミドの融点以上の温度で前記容器内の混合物を溶融させる工程と前記容器内の混合物を冷却した後、前記アルカリ金属アミドと前記水素化物の残留物を水溶液で溶解させて洗浄除去することを特徴とする金属酸窒化物の製造法である。
(2)また、前記金属酸化物はIn2O3、Ga2O3、Al2O3、TiO2、Fe2O3、MnO2、WO3、MoO3、Li2TiO3、Li2ZrO3、Li2MoO4、Li2WO4、Na2MoO4、LiGaO2、LiInO2、NaGaO2、FeMoO4、MnMoO4、FeWO4、MnWO4、LiInO2、NaInO2から選ばれる1種類、又は複数の混合物である。
(3)また、前記アルカリ金属アミドはリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド又はこれらの混合物である。
(4)また、前記水素化物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化カルシウムもしくはこれらの混合物である。
(5)また、前記不活性ガスに少なくとも1種類の前記不活性ガスと異なるガスを添加する。
つまり、本発明の金属酸化物の窒化方法としては、上記課題を解決するために、金属酸化物を、不活性ガス雰囲気において、アルカリ金属アミドと水素化物と共に、400℃以下での加熱処理することによって酸窒化物の合成を行う方法である。この方法は、省エネルギーでより経済的に金属酸化物を窒化する手法を提供する。
(1)本発明は、金属酸化物とアルカリ金属アミドと水素化物を混合し、不活性ガス雰囲気の容器内に封入する工程と前記容器を加熱し、前記アルカリ金属アミドの融点以上の温度で前記容器内の混合物を溶融させる工程と前記容器内の混合物を冷却した後、前記アルカリ金属アミドと前記水素化物の残留物を水溶液で溶解させて洗浄除去することを特徴とする金属酸窒化物の製造法である。
(2)また、前記金属酸化物はIn2O3、Ga2O3、Al2O3、TiO2、Fe2O3、MnO2、WO3、MoO3、Li2TiO3、Li2ZrO3、Li2MoO4、Li2WO4、Na2MoO4、LiGaO2、LiInO2、NaGaO2、FeMoO4、MnMoO4、FeWO4、MnWO4、LiInO2、NaInO2から選ばれる1種類、又は複数の混合物である。
(3)また、前記アルカリ金属アミドはリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド又はこれらの混合物である。
(4)また、前記水素化物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化カルシウムもしくはこれらの混合物である。
(5)また、前記不活性ガスに少なくとも1種類の前記不活性ガスと異なるガスを添加する。
つまり、本発明の金属酸化物の窒化方法としては、上記課題を解決するために、金属酸化物を、不活性ガス雰囲気において、アルカリ金属アミドと水素化物と共に、400℃以下での加熱処理することによって酸窒化物の合成を行う方法である。この方法は、省エネルギーでより経済的に金属酸化物を窒化する手法を提供する。
次に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態における金属酸化物には、二元酸化物、複合酸化物を問わない。具体的には、In2O3、Ga2O3、Al2O3、TiO2、Fe2O3、MnO2、WO3、MoO3、Li2TiO3、Li2ZrO3、Li2MoO4、Li2WO4、Na2MoO4、LiGaO2、LiInO2、NaGaO2、FeMoO4、MnMoO4、FeWO4、MnWO4、LiInO2、NaInO2等を含む。
アルカリ金属アミドの具体例としてはリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。添加量は原料の2〜10,000倍モルであり、好ましくは10〜1,000倍モルである。
不活性ガスとしては窒素又は希ガスが用いられるが、窒素又はアルゴンが好ましい。さらに不活性ガスには前記不活性ガスと異なるガスを添加してもよく、具体例としてアンモニアガスが挙げられる。
水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化カルシウムもしくはこれらの混合物を用いることができる。添加量は原料の1〜1000倍モルであり、好ましくは1〜100倍モルである。
本発明において、反応温度はアルカリ金属アミドの融点以上である必要があり、210℃〜400℃の範囲である。
圧力条件については、20〜0.1MPa、さらに好ましくは5〜0.1MPa、より好ましくは2〜0.1MPaである。圧力条件が20MPa以上であれば、取り扱いが危険であり、製造設備が高価になる。
反応時間としては、5時間以上が好ましく、より好ましくは24時間以上である。
本発明の一実施例として、市販のテフロン(登録商標)シールしたオートクレーブを用いた、金属酸化物の窒化工程を示す。
(第1の工程)圧力容器に不活性ガス雰囲気下で金属酸化物、アルカリ金属アミド及び水素化物を入れ密閉する。ここで圧力容器とは反応条件下において耐熱性、耐圧性及び13族原料、アルカリ金属アミド、雰囲気ガスに対して安定である性質を有するものである。
(第2の工程)その後、容器を密閉した後、ヒーターで所定の温度まで加熱する。
(第3の工程)次に、所定時間保持した後、室温まで冷却する。
(第4の工程)冷却後、アルカリアミド及び水素化物をエタノール、蒸留水、アンモニア水溶液、硝酸アンモニウム水溶液等で溶解させ、濾過または遠心分離によって内容物を取り出す。
本実施形態における金属酸化物には、二元酸化物、複合酸化物を問わない。具体的には、In2O3、Ga2O3、Al2O3、TiO2、Fe2O3、MnO2、WO3、MoO3、Li2TiO3、Li2ZrO3、Li2MoO4、Li2WO4、Na2MoO4、LiGaO2、LiInO2、NaGaO2、FeMoO4、MnMoO4、FeWO4、MnWO4、LiInO2、NaInO2等を含む。
アルカリ金属アミドの具体例としてはリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。添加量は原料の2〜10,000倍モルであり、好ましくは10〜1,000倍モルである。
不活性ガスとしては窒素又は希ガスが用いられるが、窒素又はアルゴンが好ましい。さらに不活性ガスには前記不活性ガスと異なるガスを添加してもよく、具体例としてアンモニアガスが挙げられる。
水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化カルシウムもしくはこれらの混合物を用いることができる。添加量は原料の1〜1000倍モルであり、好ましくは1〜100倍モルである。
本発明において、反応温度はアルカリ金属アミドの融点以上である必要があり、210℃〜400℃の範囲である。
圧力条件については、20〜0.1MPa、さらに好ましくは5〜0.1MPa、より好ましくは2〜0.1MPaである。圧力条件が20MPa以上であれば、取り扱いが危険であり、製造設備が高価になる。
反応時間としては、5時間以上が好ましく、より好ましくは24時間以上である。
本発明の一実施例として、市販のテフロン(登録商標)シールしたオートクレーブを用いた、金属酸化物の窒化工程を示す。
(第1の工程)圧力容器に不活性ガス雰囲気下で金属酸化物、アルカリ金属アミド及び水素化物を入れ密閉する。ここで圧力容器とは反応条件下において耐熱性、耐圧性及び13族原料、アルカリ金属アミド、雰囲気ガスに対して安定である性質を有するものである。
(第2の工程)その後、容器を密閉した後、ヒーターで所定の温度まで加熱する。
(第3の工程)次に、所定時間保持した後、室温まで冷却する。
(第4の工程)冷却後、アルカリアミド及び水素化物をエタノール、蒸留水、アンモニア水溶液、硝酸アンモニウム水溶液等で溶解させ、濾過または遠心分離によって内容物を取り出す。
[実施例1]
内容積50 mlの圧力容器にIn2O3粉末を0.15g、NaNH2 粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと蒸留水で処理し、さらに不溶物を濾過し、水洗して黒色粉末を得た。得られた粉末のX線回折(XRD)を図1に示す。また、比較のためNaBH4粉末を加えず同様の操作をした粉末を比較のため示す。
[実施例2]
容積50 mlの圧力容器にLiInO2粉末を0.15g、NaNH2 粉末を1.0g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと硝酸アンモニウム水溶液で濾過し、水洗して黒色粉末を得た。得られた粉末のX線回折を図2に示す。
[実施例3]
容積50 mlの圧力容器にLiGaO2粉末を0.15g、NaNH2
粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールとアンモニウム水溶液で濾過し、水洗して黒色粉末を得た。このときに得られた化合物は、XRDパターンからNaCl型(格子定数 a=0.406 nm)と同定できた。Li-Ga-O-N系においては、ウルツ鉱型が報告されているが、NaCl型は報告されていない。本方法は反応温度が低いため、高温反応では合成することができない準安定相が生成されたと考えられる。
[実施例4]
容積50 mlの圧力容器にTiO2粉末を0.15g、NaNH2 粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと蒸留水で処理し、さらに不溶物を濾過し、水洗して緑色粉末を得た。TiO2中の窒素のドーピングは、可視光領域に吸収を持つことが知られており、窒化反応を示唆している。またCHN燃焼分析による窒素の定量により、約2 wt%の窒素が検出された。XRDパターンを図3(下)に示す。出発試料であるTiO2の相は確認されず、ブロードなピークが10°と30°付近に観察された。その試料を1000℃に加熱するとピークが鋭くなり、Na2Ti6O13と同定されたので(図3(上))、TiO2の窒化生成物は結晶性の低い窒素ドープされたNa2Ti6(O,N)13と予想された。比較実験として水素化物を加えない実験を行ったところ、同様のブロードなピークは生成したが生成試料は白色であり、窒化を行うことはできなかった。以上のことから、220℃でTiO2が水素化物と還元されたのち、アミド化合物と反応し窒化されたと考えられる。
[実施例5]
容積56 mlの圧力容器に約5 μmのFe2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中で洗浄し、磁石で生成物を回収した。得られた粉末のX線回折を図4に示す。結晶相は六方晶のFe3Nに指数付けができ、エネルギー分散型X線分光法(EDX)から酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、6.92 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。SQUIDにより300 Kで測定した磁気特性を図5に示す。強磁性であり、50,000 Oeでの磁化は29.2 emu・g-1であり、保持力は約70 Oeであった。
[実施例6]
容積56 mlの圧力容器に50 nm以下のFe2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中で洗浄し、磁石で生成物を回収した。磁石で回収できることから、得られた生成物は室温付近で磁性体であると考えられる。得られた粉末のX線回折を図6に示す。結晶相は六方晶のFe3Nに指数付けができ、EDXから酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、6.97 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。超伝導量子干渉計(SQUID)により300 Kで測定した磁気特性を図5に示す。強磁性であり、50,000 Oeでの磁化は20.2 emu・g-1であり、保持力は約20 Oeであった。
[実施例7]
容積56 mlの圧力容器にMn2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中および蒸留水で洗浄した。得られた粉末のX線回折を図7に示す。結晶相は正方晶のMnNに指数付けができEDXから酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、18.27 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。
内容積50 mlの圧力容器にIn2O3粉末を0.15g、NaNH2 粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと蒸留水で処理し、さらに不溶物を濾過し、水洗して黒色粉末を得た。得られた粉末のX線回折(XRD)を図1に示す。また、比較のためNaBH4粉末を加えず同様の操作をした粉末を比較のため示す。
[実施例2]
容積50 mlの圧力容器にLiInO2粉末を0.15g、NaNH2 粉末を1.0g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと硝酸アンモニウム水溶液で濾過し、水洗して黒色粉末を得た。得られた粉末のX線回折を図2に示す。
[実施例3]
容積50 mlの圧力容器にLiGaO2粉末を0.15g、NaNH2
粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールとアンモニウム水溶液で濾過し、水洗して黒色粉末を得た。このときに得られた化合物は、XRDパターンからNaCl型(格子定数 a=0.406 nm)と同定できた。Li-Ga-O-N系においては、ウルツ鉱型が報告されているが、NaCl型は報告されていない。本方法は反応温度が低いため、高温反応では合成することができない準安定相が生成されたと考えられる。
[実施例4]
容積50 mlの圧力容器にTiO2粉末を0.15g、NaNH2 粉末を0.8g、NaBH4粉末を0.2gとり、容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持した。
容器を室温まで冷却後、内容物をエタノールと蒸留水で処理し、さらに不溶物を濾過し、水洗して緑色粉末を得た。TiO2中の窒素のドーピングは、可視光領域に吸収を持つことが知られており、窒化反応を示唆している。またCHN燃焼分析による窒素の定量により、約2 wt%の窒素が検出された。XRDパターンを図3(下)に示す。出発試料であるTiO2の相は確認されず、ブロードなピークが10°と30°付近に観察された。その試料を1000℃に加熱するとピークが鋭くなり、Na2Ti6O13と同定されたので(図3(上))、TiO2の窒化生成物は結晶性の低い窒素ドープされたNa2Ti6(O,N)13と予想された。比較実験として水素化物を加えない実験を行ったところ、同様のブロードなピークは生成したが生成試料は白色であり、窒化を行うことはできなかった。以上のことから、220℃でTiO2が水素化物と還元されたのち、アミド化合物と反応し窒化されたと考えられる。
[実施例5]
容積56 mlの圧力容器に約5 μmのFe2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中で洗浄し、磁石で生成物を回収した。得られた粉末のX線回折を図4に示す。結晶相は六方晶のFe3Nに指数付けができ、エネルギー分散型X線分光法(EDX)から酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、6.92 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。SQUIDにより300 Kで測定した磁気特性を図5に示す。強磁性であり、50,000 Oeでの磁化は29.2 emu・g-1であり、保持力は約70 Oeであった。
[実施例6]
容積56 mlの圧力容器に50 nm以下のFe2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中で洗浄し、磁石で生成物を回収した。磁石で回収できることから、得られた生成物は室温付近で磁性体であると考えられる。得られた粉末のX線回折を図6に示す。結晶相は六方晶のFe3Nに指数付けができ、EDXから酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、6.97 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。超伝導量子干渉計(SQUID)により300 Kで測定した磁気特性を図5に示す。強磁性であり、50,000 Oeでの磁化は20.2 emu・g-1であり、保持力は約20 Oeであった。
[実施例7]
容積56 mlの圧力容器にMn2O3粉末を0.20g、NaNH2 粉末を1.0gとり容器を密閉した。オーブン中で容器を240℃で36時間保持し、容器を室温まで冷却後、内容物をエタノール中および蒸留水で洗浄した。得られた粉末のX線回折を図7に示す。結晶相は正方晶のMnNに指数付けができEDXから酸素に加え窒素のピークが検出された。さらにCHN燃焼分析により、18.27 %の窒素が検出された。以上から、窒化が確認できた。
Claims (5)
- 金属酸化物とアルカリ金属アミドと水素化物を混合し、不活性ガス雰囲気の容器内に封入する工程と
前記容器を加熱し、前記アルカリ金属アミドの融点以上の温度で前記容器内の混合物を溶融させる工程と
前記容器内の混合物を冷却した後、前記アルカリ金属アミドと前記水素化物の残留物を水溶液で溶解させて洗浄除去することを特徴とする金属酸窒化物の製造法。 - 前記金属酸化物はIn2O3、Ga2O3、Al2O3、TiO2、Fe2O3、MnO2、WO3、MoO3、Li2TiO3、Li2ZrO3、Li2MoO4、Li2WO4、Na2MoO4、LiGaO2、LiInO2、NaGaO2、FeMoO4、MnMoO4、FeWO4、MnWO4、LiInO2、NaInO2から選ばれる1種類、又は複数の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸窒化物の製造法。
- 前記アルカリ金属アミドはリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸窒化物の製造法。
- 前記水素化物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化カルシウムもしくはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物の金属酸窒化物の製造法。
- 前記不活性ガスに少なくとも1種類の前記不活性ガスと異なるガスを添加することを特徴とする請求項1に記載の金属酸窒化物の製造法。
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