JP2013252534A - アーク溶接ロボットの教示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
教示装置で溶接ロボット本体の位置姿勢をティーチングする際、ワイヤ送給装置の位置を手動操作により適正な位置に移動させてティーチングを行う必要があるために、溶接ロボット本体自体のティーチング作業以外のティーチング作業が増加する。
【解決手段】
主制御部24はマニピュレータ10の位置姿勢の教示点でのティーチングの際に、その教示点におけるワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置を、マニピュレータ10の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータに基づいて演算する。記憶部26は、教示点のティーチングの際に、主制御部24により得られたワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置を前記教示点と関連付けて記憶する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アーク溶接ロボットの教示装置に関するものである。
溶接トーチにワイヤを送給するワイヤ送給装置をロボットアームに対して移動自在に搭載しているアーク溶接ロボットは、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3で公知である。
特許文献1では、ロボットアームの制御部により位置制御されるシフトユニットを介してワイヤ送給装置が溶接ワイヤの送給方向に沿って進退調節するようにしている。この構成によって、ロボットアームの先端部が伸縮及び回動制御される溶接作業中に、ワイヤ送給ケーブルが引っ張られてロボットアームに絡まったり、あるいは、送給ケーブルが過剰にゆるんでその曲率が大きく変化することを未然に防止するようにしている。
特許文献2では、ワイヤ送給装置を溶接ロボット本体に対してワイヤの送給方向と略同一方向の回転面で回転自在に支持するようにしている。特許文献2では、溶接トーチが変位した場合に、コンジットケーブルに働く力により、受動的にワイヤ送給装置を回動するようにしている。
特許文献3では、溶接ロボット本体にワイヤ送給装置をワイヤ送給方向及び逆方向に移動自在に設けられ、ワイヤ送給装置の後端部は、弾性部材によりワイヤ送給方向とは逆方向に付勢されている。特許文献3では、溶接トーチとワイヤ送給装置間のコンジットケーブルを常に伸ばした状態に保つことができるようにしている。
また、上記特許文献1〜3以外に、溶接ロボット本体に対してワイヤ送給装置をワイヤ送給方向に往復移動自在に設けるとともに、溶接ロボット本体の姿勢に応じた適正位置に前記ワイヤ送給装置を位置させて教示することが行われている。
これは、溶接ロボット本体の姿勢が変化すると、ワイヤ送給装置と溶接トーチ間のコンジットケーブルの状態(例えば、湾曲状態)が溶接ロボット本体の姿勢に応じて変化し、その変化によって、コンジットケーブル内に挿通された溶接ワイヤに係るストレスが変化するためであり、このストレスを未然に回避するために、適正なワイヤ送給装置の位置を教示(ティーチング)するようにしている。
実開平5−28563号公報 特開2006−7256号公報 特開2004−174549号公報
ところが、従来は、溶接ロボット本体の位置姿勢のティーチングを教示装置で行い、また、ワイヤ送給装置の位置のティーチングも前記教示装置で手動操作により適正な位置に移動させてティーチングを行うため、溶接ロボット本体自体のティーチング作業以外のティーチング作業が増加する問題がある。
本発明の目的は、溶接ロボット本体のティーチング際に、その溶接ロボット本体の位置姿勢に応じた、ワイヤ送給装置の適正位置のティーチングを容易に行うことができるアーク溶接ロボットの教示装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、溶接トーチを備える溶接ロボット本体に、前記溶接トーチに溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置がワイヤ送給方向に往復移動自在に設けられるとともに、前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の往復移動を行わせる往復駆動機構部を備えたアーク溶接ロボットの教示装置において、前記溶接ロボット本体の位置姿勢を定める教示点をティーチングする際に、その教示点における前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の位置を、前記溶接ロボット本体の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータに基づいて演算する演算部と、前記教示点のティーチングの際に、前記演算部により得られた前記ワイヤ送給方向の位置を前記教示点と関連付けて記憶する記憶部を備えるアーク溶接ロボットの教示装置を要旨としている。
請求項2の発明は、請求項1において、前記演算部により得られた前記ワイヤ送給方向の位置に前記ワイヤ送給装置を移動させるように前記往復駆動機構部に駆動指令を付与する駆動制御部を備え、前記記憶部は、前記駆動指令が付与された後、記憶指令があったときに、そのときの前記ワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記姿勢パラメータは、前記溶接ロボット本体を構成するロボットアームにおいて、前記溶接ワイヤの送給に影響を与える少なくとも1つ以上のロボットアームの関節角度であり、前記演算部は、前記関節角度と対応した前記ワイヤ送給方向の位置が記憶された位置テーブルを参照してその教示点における前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の位置を得ることを特徴とする。
請求項4の発明は、溶接トーチを備える溶接ロボット本体に、前記溶接トーチに溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置がワイヤ送給方向に往復移動自在に設けられるとともに、前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の往復移動を行わせる往復駆動機構部を備えたアーク溶接ロボットの教示装置において、前記溶接ロボット本体の位置姿勢定める教示点をティーチングする際に、前記溶接ロボット本体の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータを検出する姿勢パラメータ検出部と、前記姿勢パラメータが、前記溶接ワイヤに対する負荷を軽減する閾値となる前記ワイヤ送給方向の位置まで、前記往復駆動機構部に駆動指令を付与する駆動制御部と、前記教示点のティーチングの際に、前記閾値となる前記ワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶する記憶部を備えるアーク溶接ロボットの教示装置を要旨としている。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記往復駆動機構部は、ワイヤ送給装置を直線駆動させるモータ又はシリンダを含むことを特徴とする。
請求項1及び請求項4の発明によれば、溶接ロボット本体のティーチングを行う際に、その溶接ロボット本体の位置姿勢に応じた、ワイヤ送給装置の適正位置が自動的に記憶されるようにしたので、ワイヤ送給装置の位置のティーチングを容易に行うことができる。
請求項2の発明によれば、溶接ロボット本体のティーチングを行う際に、その溶接ロボット本体の位置姿勢に応じて、ワイヤ送給装置を自動的に適正な位置に位置させることができ、さらに記憶指令があったときにワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶することができるので、ワイヤ送給装置の位置を作業者に確認させながら教示点のティーチングを容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、姿勢パラメータをロボットアームの関節角度とし、前記関節角度と対応したワイヤ送給方向の位置が記憶された位置テーブルを参照してその教示点における前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の位置を得るようにした。すなわち、ワイヤ送給装置にかかる力を検出するセンサ機器等を追加することなく、簡単な構成により、ワイヤ送給装置の位置のティーチングを行うことができる。
第1実施形態のアーク溶接ロボットの教示装置の概略図。 ワイヤ送給装置の往復移動機構の一例を示す概略図。 第1実施形態のティーチングのフローチャート。 (a)、(b)は位置テーブルの説明図。 第2実施形態のティーチングのフローチャート。 第3実施形態のアーク溶接ロボットの教示装置の概略図。 第3実施形態のティーチングのフローチャート。
以下、本発明のアーク溶接ロボットの教示装置を具体化した第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すようにアーク溶接ロボットは、マニピュレータ10を制御するロボット制御装置20と、前記ロボット制御装置20に通信ケーブルL1を介して接続された溶接電源装置50とを備えている。本実施形態のロボット制御装置20は、教示装置として兼用している。
(マニピュレータ10)
図1に示すように、マニピュレータ10(すなわち、ロボット本体)は、フロア等の適当な箇所に固定される基台11と、それに複数の軸を介して連結された複数のロボットアーム12〜17と、各ロボットアーム12〜17をそれぞれ駆動する図示しない駆動モータとによって構成されている。
前記ロボットアーム12は基台11の上に取り付けられ、J1軸回りに旋回する。ロボットアーム12にはロボットアーム13が取り付けられ、J1軸と直交するJ2軸回りに揺動する。ロボットアーム13の上端にはロボットアーム14が取り付けられ、J2軸と平行なJ3軸の回りに揺動する。ロボットアーム14の先端部にはロボットアーム15が取り付けられて、ロボットアーム14の長手方向に伸びるJ4軸回りに回転する。
ロボットアーム15の先端部にはロボットアーム16が取り付けられて、J4軸に直交するJ5軸回りに揺動する。ロボットアーム16の先端部にはロボットアーム17が取り付けられて、J5軸に直交するJ6軸回りに回転する。前記駆動モータは、それぞれロータリエンコーダR1〜R6を備え、ロボットアームの関節角度の検出が可能である。ロボットアームの関節角度は、それぞれ、J1軸〜J6軸の回転角度である。
マニピュレータ10先端のロボットアーム17に設けられた手首部の先端には、被溶接物であるワーク(図示しない)に対してアーク溶接を行う溶接トーチ18が取付けられている。マニピュレータ10は、制御ケーブルL2を介してロボット制御装置20に接続されている。
マニピュレータ10の各ロボットアーム12〜17に設けられた前記駆動モータ(図示しない)は、ティーチングにより作成された作業プログラムの実行時には、ロボット制御装置20から制御ケーブルL2を介して送信される駆動信号によって回転駆動される。この各駆動モータが回転駆動されることにより、マニピュレータ10の各ロボットアーム12〜17が変位し、結果的に溶接トーチ18が上下前後左右に移動可能とされる。
また、ティーチペンダントTPによるジョグ操作により、ロボット制御装置20に指令信号が入力されると、その指令信号に基づくロボット制御装置20からの駆動信号がマニピュレータ10に入力されて、マニピュレータ10の各ロボットアーム12〜17を回転させて、溶接トーチ18の先端の位置姿勢の制御可能である。
ワイヤ供給源としてのワイヤリール60に巻かれた溶接ワイヤWは図示しないコンジットパイプに挿通されてマニピュレータ10のロボットアーム14に設けられたワイヤ送給装置40によって溶接トーチ18に送給される。
(ワイヤ送給装置40)
溶接ワイヤWはワイヤリール60からワイヤ送給装置40までは、図示しないコンジットパイプによってガイドされ、ワイヤ送給装置40から溶接トーチ18までは、一線式パワーケーブル(すなわち、コンジットケーブル)64によってガイドされて送給される。また、溶接電源装置50から一線式パワーケーブル64を介して溶接トーチ18に電力が供給される。
ワイヤ送給装置40は、駆動ロール41と加圧ロール42を備え、加圧ロール42が図示しないバネにより駆動ロール41側へ常時付勢されて溶接ワイヤWを両ロールに挟み込み、その摩擦力で溶接ワイヤWをはさんで図示しないワイヤリールから引っ張り出すようにされている。駆動ロール41はモータ43にて回転駆動される。モータ43は、ロータリエンコーダ付サーボモータで構成されている。そして、溶接電源装置50は、前記ロータリエンコーダからフィードバックされるパルスを用いて溶接ワイヤWのワイヤ送給速度を測定するとともに送給時の速度(ワイヤ送給速度)を監視してフィードバック制御し、モータ43のモータ電流を検出することにより、送給系の負荷を監視する。
(往復駆動機構部)
図2に示すように、ワイヤ送給装置40は、ロボットアーム14上に設けられた往復移動機構44を介して、溶接ワイヤWの送給方向と同方向において往復移動自在に支持されている。
図2に示す往復移動機構44は、ロボットアーム14に設けられた一対の支持部材14aに対し、回転自在に支持されてワイヤ送給方向に延出されたボールネジ46と、前記ボールネジ46を回転駆動するとともにロータリエンコーダR7を備えた減速機付きのサーボモータ47とを有する。ボールネジ46は、ワイヤ送給装置40のベース部材45の図示しないナット部に螺合され、前記サーボモータ47の正逆の回転により、ワイヤ送給装置40が溶接ワイヤWの送給方向と同方向において往復移動する。なお、往復移動機構44の構成は、前記例に限定するものではない。
本実施形態の往復移動機構44及びサーボモータ47により、往復駆動機構部の一例が開示されている。
(ロボット制御装置20)
ロボット制御装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、主制御部24、通信制御部25、記憶部26、サーボドライバ27、サーボドライバ28及びインターフェイス29,30等を備え、各部はバス(BUS)31を介して相互に接続されている。CPU21は、各部をコントロールする。なお、サーボドライバ27は、各ロボットアーム12〜17の駆動モータ数と同数あるが、説明の便宜上、1つのみを代表的に図示している。
主制御部24は、ティーチペンダントTPで教示された作業プログラム、或いはティーチペンダントTPからの操作信号、或いは前記ロータリエンコーダR1〜R7からの現在位置情報(すなわち、ロボットアームの関節角度)等に基づいて制御指令を生成して、バス31及びサーボドライバ27、及び制御ケーブルL2を介して、前記図示しない駆動モータを回転制御し、溶接トーチ18を移動する。
また、主制御部24は、前記ロータリエンコーダR4〜R6からの、現在位置情報(すなわち、ロボットアームの関節角度)に基づいて、制御指令を生成してバス31及びサーボドライバ28、及び制御ケーブルL2を介して、サーボモータ47を回転制御し、ワイヤ送給装置40を移動させる。
また、主制御部24は、通信ケーブルL1を介して溶接電源装置50と通信をすることにより当該溶接電源装置50と同期を取り、例えば、溶接の開始や終了、出力電圧などの指示を行う。主制御部24は、溶接電源装置50にワイヤ送給装置40の送給制御の指示を行い、前記ワイヤ送給装置40から溶接トーチ18に溶接ワイヤWを送給させる。
ROM22は、マニピュレータ10の動作を制御するための制御ソフトウェアを格納するものである。RAM23は、揮発性のメモリであって、CPU21及び主制御部24に対して作業領域を提供するものであり、計算データ等を一時的に記憶する。
主制御部24は、演算部と駆動制御部の一例である。
記憶部26は、マニピュレータ10の溶接作業が教示された作業プログラム、この作業プログラムの実行条件を示すデータ、制御定数を示すデータ等を格納するものである。記憶部26は、ハードディスク等の不揮発性の記憶部である。通信制御部25は、溶接電源装置50と通信ケーブルL1を介して通信が可能である。
ロータリエンコーダR1〜R7は、インターフェイス29を介してロボット制御装置20に接続されている。また、ティーチペンダントTPは、インターフェイス30を介してロボット制御装置20に接続されている。
ティーチペンダントTPは、各ロボットアーム12〜17をジョグ操作するための図示しない各種移動キー、及び教示データを入力する各種データ入力キー等を含む各種キー群、並びに図示しない表示装置を備えている。ティーチペンダントTPは、ジョグ操作するための手動運転操作部の例示である。
本実施形態では、ロボット制御装置20の主制御部24(演算部)及び記憶部26によりアーク溶接ロボットの教示装置が構成されている。
(第1実施形態の作用)
上記のように構成された教示装置の作用を図3及び図4を参照して説明する。図4はロボット制御装置20の主制御部24がティーチングモードで実行する処理のフローチャートである。
S10では、作業者によりティーチペンダントTPがジョグ操作されて、ティーチペンダントTPから指令信号を主制御部24が入力すると、主制御部24はその指令信号に基づいて駆動信号をマニピュレータ10(溶接ロボット本体)に出力して、マニピュレータ10の各ロボットアーム12〜17を回転させて、溶接トーチ18の先端を、作業者が教示するべき位置、すなわち教示点に移動させる。
この教示点に溶接トーチ18が移動された後、S12において、作業者による移動命令の登録操作があると、S12では「YES」と判定して、S14に移行する。また、前記登録操作がなく、他の入力があった場合にはその処理をS20で行った後、S10に戻る。
S14では、主制御部24は、ロボットアームのJ4軸〜J6軸の回転角度(関節角度)を読込み、まず、予め記憶部26に記憶したJ4軸及びJ5軸の回転角度(関節角度)に関する位置テーブルT1,T2を参照して、読込みしたJ4軸〜J6軸の回転角度に最適なワイヤ送給装置40の位置を演算する。ここで、J4軸〜J6軸の回転角度は、姿勢パラメータの一例である。
前記位置テーブルは、図4(a)に示すJ4軸及びJ5軸に基づいてワイヤ送給装置40の位置を決定するJ4軸及びJ5軸に関する位置テーブルT1と、図4(b)に示すJ6軸に関する位置テーブルT2がある。J4軸及びJ5軸に関する位置テーブルT1では、図4(a)に示すように、J4軸の取り得る関節角度の大きさと、J5軸の取り得る関節角度の大きさの組み合わせに応じて、ワイヤ送給装置40の位置が決定されるように作成されている。すなわち、J4軸が取り得る関節角度の大きさの範囲が複数設定されて、そのJ4軸の関節角度の大きさの範囲毎に、複数のJ5軸が取り得る関節角度の大きさの範囲が複数設定され、その組み合わせにより、一義的にワイヤ送給装置40の位置が決定されるように設定されている。
また、J4軸及びJ5軸に関する位置テーブルT1は、J6軸が教示中に最も取りうる関節角度、或いは標準的な関節角度で固定した状態で、実験によりJ4軸とJ5軸の関節角度を変化させたときの、一線式パワーケーブル64内の溶接ワイヤWの負荷を軽減するワイヤ送給装置40の最適な位置を割り出して、その結果を予め記憶部26に記憶したものである。
本実施形態では、図2に示すように、ボールネジ46の長手方向の中央位置を「0」として、ワイヤ送給方向側の最前端位置を「−5」とし、反ワイヤ送給方向画の最後端位置を「+5」としたとき、ワイヤ送給装置40を、「−5」〜「5」を10等分した位置にそれぞれ位置させることが可能である。すなわち、主制御部24は、これらの値が付与された際、実際のワイヤ送給装置40の駆動位置に換算して、それぞれ位置させる。
なお、図2で示されている「−5」、「0」、「5」の位置は、それぞれワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向における中央部位が位置するところを示す。
また、この等分の位置は一例であって、限定するものではない。また、図4(a)におけるJ4軸及びJ5軸に関する位置テーブルT1では、ワイヤ送給装置40の位置は、「−4」〜「2」のいずれかが、選択される。
さらに主制御部24は、図4(b)のJ6軸に関する位置テーブルT2を参照して、J6軸の関節角度に応じて、ワイヤ送給装置40の位置の補正量を求める。この補正量は、J4軸及びJ5軸に関する位置テーブルT1で求めたワイヤ送給装置40の位置が、J6軸が教示中に最も取りうる関節角度、或いは標準的な関節角度で固定した状態で得られたワイヤ送給装置40の位置であるため、J6軸が回転した場合を考慮していない値だからである。
J6軸に関する位置テーブルT2は、図4(b)に示すように、J6軸の取り得る関節角度の大きさが複数設定されてその範囲毎に、ワイヤ送給装置40の位置の補正量が一義的に決定されるように作成されている。
J6軸に関する位置テーブルT2は、前記J4軸及びJ5軸の位置テーブルT1で決定されたワイヤ送給装置40の位置において、J6軸が取りうる回転角度で回転したときの、一線式パワーケーブル64内の溶接ワイヤWの負荷を軽減するワイヤ送給装置40の最適な補正量を割り出して、その結果を予め記憶部26に記憶したものである。
この補正量は、図4(a)の位置テーブルT1から求めたワイヤ送給装置40の位置に対して加算又は減算するためのものである。すなわちJ6軸の回転により、一線式パワーケーブル64内の溶接ワイヤWの負荷が増える場合は、その負荷が軽減する方向に補正量を加算又は減算してワイヤ送給装置40を位置の補正を行うのである。
本実施形態ではJ6軸により、J6軸が教示中に最も取りうる関節角度、或いは標準的な関節角度(例えば、−89度〜90度)を基準として、この関節角度からさらに+側又は−側に、回転する場合には、一線式パワーケーブル64の変形が大きくなるとして溶接ワイヤWの負荷が増大するため、それぞれ補正量「−1」分、すなわちワイヤ送給方向側に「−1」分加算して、溶接ワイヤWへの負荷を軽減するようにしている。なお、補正量は、この補正量は、一例であり、限定するものではない。
本実施形態では、主制御部24は求めた補正量を、図4(a)で得られたワイヤ送給装置40の位置に加算する。
S16では、主制御部24は、移動命令、教示点及びS14で得られた前記ワイヤ送給装置40の位置(補正量込み)を関連付けして記憶部26に記憶することにより、作業プログラムの行として作成する。
S18では、主制御部24は、教示終了の指令がティーチペンダントTPからあるかを確認して、ない場合には、S10に戻り、教示終了の指令があった場合には、このフローチャートを終了する。
上記のようにして作成された作業プログラムが記憶部26に記憶され、再生された場合、移動命令、教示点、及びワイヤ送給装置40の位置が書き込まれた作業プログラムの行が実行されると、主制御部24は、前記移動命令に基づいて、マニピュレータ10を作動させて溶接トーチ18の先端を前記教示点に移動させるとともに、当該行に記述されたワイヤ送給装置40の位置へ移動させることができる。
本実施形態によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置は教示装置として、マニピュレータ10(溶接ロボット本体)の位置姿勢の教示点でのティーチングの際に、その教示点におけるワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置を、マニピュレータ10(溶接ロボット本体)の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータに基づいて演算する主制御部24(演算部)と、教示点のティーチングの際に、主制御部24(演算部)により得られたワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置を前記教示点と関連付けて記憶する記憶部26を備える。この結果、本実施形態によれば、溶接ロボット本体のティーチングを行う際に、その溶接ロボット本体の位置姿勢に応じた、ワイヤ送給装置の適正位置が自動的に記憶されるようにしたので、ワイヤ送給装置の位置のティーチングを容易に行うことができる。
(2) 本実施形態では、姿勢パラメータは、マニピュレータ10(溶接ロボット本体)を構成する各ロボットアーム12〜17において、溶接ワイヤWの送給に影響を与える3つのロボットアームのJ4軸〜J6軸の関節角度としている。
そして、主制御部24(演算部)は、前記関節角度と対応したワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置が記憶された位置テーブルT1、T2を参照してその教示点におけるワイヤ送給装置40のワイヤ送給方向の位置を得るようにしている。この結果、本実施形態によれば、ワイヤ送給装置にかかる力を検出するセンサ機器等を追加することなく、簡単な構成により、ワイヤ送給装置の位置のティーチングを行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図5のフローチャートを参照して説明する。なお、第2実施形態のハード構成は、第1実施形態と同様であるため、その詳細説明を省略する。
(第2実施形態の作用)
図5はロボット制御装置20の主制御部24がティーチングモードで実行する処理のフローチャートである。なお、第1実施形態と同様のステップでは、ステップ番号には同一ステップ番号を付してその説明を省略する。なお、本実施形態では、主制御部24は、演算部及び駆動制御部の一例である。
図5に示すフローチャートは、S10の次にS11が行われる。すなわち、S11では、ティーチペンダントTPから図示しない確認キーの入力があったか否かを判定し、確認キー以外の他の入力があった場合には、S20に移行する。
S11で、確認キーの入力があった場合は、S14の処理を主制御部24は行う。
S14の処理後、主制御部24は、駆動指令を、サーボドライバ28を介してサーボモータ47に付与してワイヤ送給装置40をS14で求めた位置へサーボモータ47を駆動して移動させる。
S14において,ワイヤ送給装置40がS14で求めた位置に移動した後、S12の処理を行う。S12での移動命令の登録入力による主制御部24が受ける信号は、記憶指令に相当する。S12で主制御部24が「YES」と判定すると、S16、S18の各ステップの処理を行う。
このように、本実施形態では、S11で、作業者のティーチペンダントTPの操作により確認キーの入力があった場合には、ワイヤ送給装置40をS13で求められた位置へ移動させるため、その位置の確認を作業者が確認できる。そして、この確認がされた上で、S12において移動命令の登録入力があっときにS16の処理、すなわち、移動命令、教示点及びS14で得られた前記ワイヤ送給装置40の位置(補正量込み)を関連付けして記憶部26に記憶することにより、作業プログラムの行として作成することができる。
本実施形態によれば、第1実施形態の(1)及び(2)と同様の効果の他に、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態では、教示装置の主制御部24は、駆動制御部として、演算して得られたワイヤ送給方向の位置にワイヤ送給装置40を移動させるように往復移動機構44及びサーボモータ47(往復駆動機構部)に駆動指令を付与する。また、記憶部26は、教示点のティーチングの際に、前記駆動指令を付与した後、記憶指令があったときに、そのときのワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶する。
この結果、本実施形態によれば、記憶指令があったときにワイヤ送給方向の位置とともに教示点と関連付けて記憶することができるので、ワイヤ送給装置の位置を作業者に確認させながら教示点のティーチングを容易に行うことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を、図6及び図7を参照して説明する。第3実施形態では、図6に示すように、ワイヤ送給装置40において、駆動ロール41,加圧ロール42を収納するケース48におけるワイヤ送給方向側に向く側面と、一線式パワーケーブル64の基端部間には、姿勢パラメータ検出部としての力センサFSが設けられている。力センサFSは、インターフェイス29を介してロボット制御装置20に接続されている。力センサFSは溶接ロボット本体の姿勢変化に応じて変化する一線式パワーケーブル64の基端部に印加する力を検出するものである。この力が高いほど、一線式パワーケーブル64は曲率が大きくなり、この結果、一線式パワーケーブル64の曲げ状態がきつくなるため溶接ワイヤWの負荷が高くなる。力センサFSの負荷検出値(力)を姿勢パラメータとしている。
第3実施形態の他のハード構成は、第1実施形態と同様であるため、その詳細説明を省略する。
(第3実施形態の作用)
図7はロボット制御装置20の主制御部24がティーチングモードで実行する処理のフローチャートである。なお、第2実施形態と同様のステップでは、ステップ番号には同一ステップ番号を付してその説明を省略する。なお、本実施形態では、主制御部24は、演算部及び駆動制御部の一例である。
本実施形態では、第2実施形態のステップのS10とS12の間、S11、S13及びS14の代わりに、S10A,S10B及びS10Cのステップが挿入されているところが、第2実施形態と異なっている。
S10Aでは、S10で、ジョグ操作により、溶接ロボット本体が教示点に移動して、その教示点に位置している際の力センサFSの力(負荷検出値)が小さくなる方向へ、主制御部24は、駆動指令をサーボドライバ28を介してサーボモータ47に付与してワイヤ送給装置40を移動させる。
S10Bでは、主制御部24は、力センサFSの力(負荷検出値)が、予め設定された閾値以下か否かを判定し、負荷検出値が、閾値以下になるまで、S10Aの処理を実行する。この閾値は、一線式パワーケーブル64に挿入された溶接ワイヤWの負荷を軽減して、溶接ワイヤに係るストレスを許容できる値であり、予め実験等により設定されものである。
S10Bでは、負荷検出値が閾値よりも低くなったときに、S10Cに移行して、主制御部24は、ワイヤ送給装置40の駆動を停止し、そのときのワイヤ送給装置40の停止位置をロータリエンコーダR7の検出値に基づいて算出する。
以下、S12,S16及びS18の処理を行う。なお、S16では、本実施形態では、ワイヤ送給装置40の位置として、S10Cで算出した停止位置を記憶する。
本実施形態によれば、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置では、マニピュレータ10(溶接ロボット本体)の位置姿勢の教示点でのティーチングの際に、マニピュレータ10(溶接ロボット本体)の位置姿勢に応じて変化する負荷検出値(力)を姿勢パラメータとしている。該負荷検出値を検出する力センサFSを姿勢パラメータ検出部としている。そして、主制御部24は、駆動制御部として、負荷検出値が溶接ワイヤWに対する負荷を軽減する閾値となるワイヤ送給方向の位置まで、往復移動機構44とサーボモータ47(往復駆動機構部)に駆動指令を付与する。そして、記憶部26は、教示点のティーチングの際に、前記閾値となるワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶する。この結果、本実施形態によれば、溶接ロボット本体のティーチングを行う際に、その溶接ロボット本体の位置姿勢に応じた、ワイヤ送給装置の適正位置が自動的に記憶されるようにしたので、ワイヤ送給装置の位置のティーチングを容易に行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態では、往復移動機構部の一例として、往復移動機構44とサーボモータ47との組み合わせとしたが、空圧シリンダ、油圧シリンダ、或いは、モータ駆動の電動シリンダ等のリニアアクチュエータ、或いは往復移動機構をリニアモータで、ワイヤ送給装置40を往復移動させてもよい。これらは往復駆動機構部として採用できる例である。
・ 前記実施形態では、J4軸〜J6軸の回転角度を姿勢パラメータの一例としたが、J4軸及びJ5軸の回転角度を姿勢パラメータとしてもよい。
・ 第1実施形態では、J4軸〜J6軸の回転角度を姿勢パラメータの一例としたが、J4軸又はJ5軸の回転角度のいずれか一方のみを姿勢パラメータとしてもよい。
・ 前記実施形態では、溶接ロボット本体は、6軸ロボットとしているが、7軸以上のロボットに具体化することも可能である。この場合、ワイヤ送給装置40を設けるロボットアームよりも先端側に連結される複数のロボットアームの動作により、一線式パワーケーブル64に掛かる負荷、ひいては、一線式パワーケーブル64に挿通される溶接ワイヤWに掛かる負荷(ストレス)が変化するため、ワイヤ送給装置40を設けるロボットアームよりも先端側に連結される複数のロボットアームの関節角度を、例えば、姿勢パラメータとすればよい。
W…溶接ワイヤ、10…マニピュレータ(溶接ロボット本体)、
18…溶接トーチ、20…ロボット制御装置、
24…主制御部(演算部、駆動制御部)、
26…記憶部、40…ワイヤ送給装置、44…往復移動機構、
47…サーボモータ。

Claims (5)

  1. 溶接トーチを備える溶接ロボット本体に、前記溶接トーチに溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置がワイヤ送給方向に往復移動自在に設けられるとともに、前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の往復移動を行わせる往復駆動機構部を備えたアーク溶接ロボットの教示装置において、
    前記溶接ロボット本体の位置姿勢を定める教示点をティーチングする際に、その教示点における前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の位置を、前記溶接ロボット本体の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータに基づいて演算する演算部と、
    前記教示点のティーチングの際に、前記演算部により得られた前記ワイヤ送給方向の位置を前記教示点と関連付けて記憶する記憶部を備えるアーク溶接ロボットの教示装置。
  2. 前記演算部により得られた前記ワイヤ送給方向の位置に前記ワイヤ送給装置を移動させるように前記往復駆動機構部に駆動指令を付与する駆動制御部を備え、
    前記記憶部は、前記駆動指令が付与された後、記憶指令があったときに、そのときの前記ワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接ロボットの教示装置。
  3. 前記姿勢パラメータは、前記溶接ロボット本体を構成するロボットアームにおいて、前記溶接ワイヤの送給に影響を与える少なくとも1つ以上のロボットアームの関節角度であり、
    前記演算部は、前記関節角度と対応した前記ワイヤ送給方向の位置が記憶された位置テーブルを参照してその教示点における前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の位置を得ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアーク溶接ロボットの教示装置。
  4. 溶接トーチを備える溶接ロボット本体に、前記溶接トーチに溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置がワイヤ送給方向に往復移動自在に設けられるとともに、前記ワイヤ送給装置の前記ワイヤ送給方向の往復移動を行わせる往復駆動機構部を備えたアーク溶接ロボットの教示装置において、
    前記溶接ロボット本体の位置姿勢定める教示点をティーチングする際に、前記溶接ロボット本体の位置姿勢に応じて変化する姿勢パラメータを検出する姿勢パラメータ検出部と、
    前記姿勢パラメータが、前記溶接ワイヤに対する負荷を軽減する閾値となる前記ワイヤ送給方向の位置まで、前記往復駆動機構部に駆動指令を付与する駆動制御部と、
    前記教示点のティーチングの際に、前記閾値となる前記ワイヤ送給方向の位置とともに前記教示点と関連付けて記憶する記憶部を備えるアーク溶接ロボットの教示装置。
  5. 前記往復駆動機構部は、ワイヤ送給装置を直線駆動させるモータ又はシリンダを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のアーク溶接ロボットの教示装置。
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