JP2013250040A - 地中熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地中に埋設されて使用される地中熱交換器10であって、鋼管杭11の杭頭側から杭先端側へ循環水を流すための往管31と、往管31を通って杭先端側に到達した循環水を、該杭先端側から杭頭側へ流すための復管32と、地中深部において往管31と復管32とを接続する折り返し部33とからなる、循環水配管30を備える。復管32は、地表から予め設定された深さの範囲に位置する杭頭側の部位32aと、この杭頭側の部位32aの下端から地中深部までの範囲に位置する杭先端側の部位32bと、を有する。杭頭側の部位32aの内径は、杭先頭側の部位32bの内径と同一であり、且つ、杭頭側の部位32aの外径は、杭先頭側の部位32bの外径よりも大きい。
【選択図】図1
Description
この調査では、地表から地中に向けて長さ30mの深さまで埋設された鋼管杭411内に循環水配管420が配設されると共に、この鋼管杭411内に充填材430として水が充填された地中熱交換器を備えた地中熱空調システムを用いた。この地中熱空調システムを冬季に暖房運転し、暖房運転を開始してから4時間が経過した段階での充填材430の温度と、循環水の温度と、地下30mまでの地盤401の温度(即ち、地中温度)とを測定した。これらの測定は、地表から地中深部に向けて各地層毎に行った。これらの測定結果をプロットした図が図8である。図8の縦軸は地表からの深さ[m]を示し、横軸は温度[℃]を示している。また、図8中に記載した矢印は、循環水配管420内で循環水が流れる方向を示している。
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、別途断熱材を配することなく熱交換の効率低下を抑制できるようにした地中熱交換器を提供することを目的とする。
また、上記の地中熱交換器において、前記間隙部の地表側の閉塞部に、前記地中深部側の開口面積よりも小さい貫通孔を設けていることを特徴としてもよい。
また、復管において、第1の部位の管壁は他の部位の管壁と同じ吸水性の極めて低い材料で構成されている。このため、第1の部位の熱抵抗が含水により低下することを回避することができる。
〔第1実施形態〕
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る地中熱交換器10の構成例を示す概念図である。図1に示すように、この地中熱交換器10は、地盤1に埋設された鋼管杭11と、この鋼管杭11の内部に配された往管31、復管32及び折り返し部33からなる循環水配管30と、を有する。また必要に応じて、杭頭部から地表に開口するように掘り下げた第1の孔2を設けても良い。
また、第1の部位である杭頭側の部位32aの内径は、第2の部位である杭先端側の部位32bの内径と同一で、且つ杭頭側の部位32aの外径は杭先端側の部位32bの外径よりも大きくなっている。
また、復管32において、杭頭側の部位32aは、杭先端側の部位32bなど他の部位と同じ吸水性の極めて低い材料で構成されている。このため、杭頭側の部位32aの熱抵抗が含水により低下することがない。
図1に示した地中熱交換器10において、鋼管杭11の内部は充填材18で充填されている。また、循環水配管30の内部には循環水が充填されている。この循環水は、図1中の矢印で示すように、往管31の杭頭側の部位31aから入って杭先端側の部位31bへ流れ、折り返し部33を通って復管32の杭先端側の部位32bへ流れ、杭頭側の部位32aから出ていく。
第1実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)本発明の第1実施形態によれば、復管32において、地表から予め設定された深さまでの範囲に位置する第1の部位は、該第1の部位の下端から地中深部までの範囲に位置する第2の部位よりも、管壁が厚くなっている。ここで、第1の部位は杭頭側の部位32aであり、第2の部位は杭先端側の部位であり、杭頭側の部位32aは杭先端側の部位32bよりも管壁が厚くなっている。
(3)「地盤に埋設された管」として、一方の先端が閉塞している鋼管杭11を有することにより、後述のコンクリートを使用した既製杭に比較して熱拡散性能に優れるため、地中熱交換器10の内部と地盤1との間において迅速な熱交換が期待できる。先端を閉塞した鋼管杭とその施工方法は、公知技術として広く利用されており、本発明の各実施形態への活用が最も容易となるであろう選択である。
(1)上記の第1実施形態では、「地盤に埋設された管」として、一方の先端が閉塞した鋼管杭11を用いる場合について説明した。しかしながら、本発明の各実施形態では、一方の先端が閉塞した鋼管杭11の代わりに一方の先端を閉塞した既製杭を用いてもよい。既製杭は公知のものを使用でき、例えば、RC杭(遠心力成形の鉄筋コンクリート杭)、PC杭(遠心力成形のプレストレストコンクリート杭)、PHC杭(遠心力成形の高強度プレストレストコンクリート杭)、PRC杭(遠心力成形の高強度プレストレスト鉄筋コンクリート杭)、SC杭(遠心力成形の外殻鋼管付コンクリート杭)などがある。強度の決定や埋設作業は公知技術を流用できるので、安全かつ効率的に施工できる。
上記の第1実施形態では、復管32の杭頭側の部位32aの内径を杭先端側の部位32bと同じくし、かつ、外径を大きくした形態について、当該部位の管壁が増厚されている構造について説明した。しかしながら、本発明の実施形態において、復管の杭頭側の部位の構造はこれに限定されるものではない。
図3は、本発明の第2実施形態に係る地中熱交換器110の構成例を示す概念図である。図3に示す地中熱交換器110は、鋼管杭11と、この鋼管杭11の内部に配された往管31、復管132及び折り返し部33からなる循環水配管30と、を有する。ここで、復管132は、第1実施形態で説明した復管32と同様、一端が折り返し部33により往管31に接続しており、往管31を通って杭先端側に到達した循環水を該杭先端側から杭頭側へ流すための配管である。復管132を構成する材料は、第1実施形態で説明した復管32と同様である。但し、復管132の杭頭側の部位132aは、第1実施形態で説明した復管32と異なり、二重管構造となっている。
なお、図3に示した地中熱交換器110の動作は、図1に示した地中熱交換器10の動作と同様である。
本発明の第2実施形態によれば、復管132の杭頭側の部位132aは、内管133と、内管133を囲む外管134と、内管133と外管134との間にある間隙部136および、外管134の上部で内管133と接続し、かつ上面を気密に閉塞する閉塞部135を有する。
循環水配管30の復管132の杭頭側の部位132aをこのような構成として、鋼管杭11内部の中空部へ充填材18を配置して地中熱交換器110を構築すると、間隙部136内部に空気が封止されて断熱的に作用させることができ、当該部分の熱損失を抑制することができ、往路側からの熱影響を軽減できる。
何れの方法においても、間隙部136に封止された空気が断熱的に作用するため、第1実施形態の効果(1)〜(3)と同等以上の効果を奏する。
(1)上記の第2実施形態では、図4に示したように、間隙部136の上側を覆う閉塞部135が、復管132の長手方向(即ち、Z方向)に垂直な平板状となっており、間隙部136の上側を地表面に水平となるように閉塞する場合について示した。しかしながら、閉塞の形態はこれに限定されるものではない。例えば図5に示すように、閉塞部135は、間隙部136の上側を、円錐の先端や多角形の角に向かうように、絞り込むように閉塞してもよい。このような構成であっても上記の第2実施形態と同様の効果を奏する。
(3)第1実施形態で説明した変形例(1)〜(4)を、第2実施形態に適用してよい。
上記の第2実施形態では、復管32の杭頭側の部位32aの内径を杭先端側の部位32bと同じくし、かつ、外径を大きくした形態について、当該部位を内管133と外管134とで間隙部136を有する二重管構造とし、当該間隙部136の上側が閉塞部135で閉塞されている場合について説明した。しかしながら、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、間隙部136の上側は開口していてもよい。充填材18に水を用いた場合(即ち、充填水)、間隙部136の上側が開口している場合、間隙部136には充填水が入り込む。
図7は、本発明の第3実施形態に係る復管232の構成例を示す断面図である。図7に示す復管232は、第1、第2実施形態で説明した復管32、132と同様、循環水配管30の一部であり、一端が折り返し部33により往管31に接続しており、往管31を通って杭先端側に到達した循環水を該杭先端側から杭頭側へ流すための配管である。また、復管232を構成する材料は、第1、第2実施形態で説明した復管32、132と同様である。
本発明の第3実施形態によれば、間隙部136の地表側の閉塞部135に、地中深部側の開口面積よりも小さい貫通孔135を設けている。このような構成であれば、鋼管杭11内部の中空部に充填材18として水を充填して地中熱交換器210を構築する場合、間隙部136は充填水で満たされる。充填水の全体的な挙動は、夏季には循環水配管30の表面近傍では上方に向かい、鋼管杭11の内壁近傍では下方に向かう比較的強い全体対流、冬季にはその逆方向の比較的弱い対流が発生するが、間隙部136内に侵入した充填水は管壁の抵抗などが勝り、内部で対流が生じない。即ち、内管133の管壁の熱抵抗に、間隙部136内に侵入した静止した充填水の熱抵抗と外管134の熱抵抗とが付加されるので、熱損失が抑制され往路側の影響を軽減することができる。これにより、第1実施形態の効果(1)〜(3)と同様の効果を奏する。
(1)第1実施形態で説明した変形例(1)〜(4)、第2実施形態で説明した変形例(1)、(2)を、第3実施形態に適用してよい。
(2)なお、本発明の各実施形態では、復管の杭頭側の部位の断面(即ち、径方向に平行な面で切断した断面:XY断面)の形状が円形である場合を想定して説明した。しかしながら、この断面形状は円形に限定されるものではない。本発明の各実施形態において、上記の断面形状は矩形、円周にエンボスを形成した略歯車形など、任意の断面形状としてよい。
2 第1の孔
10、110地中熱交換器
11 鋼管杭
18 充填材
30 循環水配管
31 往管
31a、31b (往管の)杭頭側の部位
32、132、232 復管
32a、132a、232a (復管の)杭頭側の部位
33 折り返し部
133 内管
134 外管
135 閉塞部
135a 下面
135b 上面
135c 貫通孔
136 間隙部
Claims (3)
- 地表側から地中深部の側へ熱媒を流すための往管と、前記往管を通って前記地中深部の側に到達した前記熱媒を該地中深部の側から前記地表側へ流すための復管と、前記地中深部において前記往管と前記復管とを接続する折り返し部とからなる、循環水配管を備え、
前記復管は、前記地表から予め設定された深さまでの範囲に位置する第1の部位と、前記第1の部位の下端から前記地中深部までの範囲に位置する第2の部位とを有し、
前記第1の部位の内径は前記第2の部位の内径と同一で、且つ前記第1の部位の外径は前記第2の部位の外径よりも大きいことを特徴とする地中熱交換器。 - 前記第1の部位は、前記内径を有する内管と、前記内管を囲む外管と、前記内管と前記外管との間にある間隙部と、を有し、
前記第1の部位の内径は前記内管の径であり、前記第1の部位の外径は前記外管の径であり、
前記間隙部の前記地表側は閉塞しており、且つ、前記地中深部の側は開口していることを特徴とする請求項1に記載の地中熱交換器。 - 前記間隙部の地表側の閉塞部に、前記地中深部側の開口面積よりも小さい貫通孔を設けていることを特徴とする請求項2に記載の地中熱交換器。
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