JP2013249389A - 透明ハイブリッド皮膜とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明ハイブリッド皮膜とその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の固体表面に、有機溶媒、水、添加剤、任意に触媒を含む溶液中で、有機シランおよび金属アルコキシドを共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆溶液を塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置することにより得られる、密着性、透明性、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、膜中の有機シラン由来の官能基の運動性に優れた透明ハイブリッド皮膜、その製造方法、及びその固体表面。
【効果】基材の特性を維持したまま、基材表面に優れたはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性等の特性を長期間、安定に付与することが可能な新しい表面改質技術及びその製品を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、疎水性官能基を持った有機シランおよび金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆溶液を、例えば、金属、金属酸化膜、金属酸化物、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維等の固体表面に塗布し、溶媒の揮発と同時に、密着性に優れた透明ハイブリッド皮膜を形成させ、該透明膜の膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を制御すること、および、該透明膜の1〜10nmの層間に各種添加剤を固定化することで得られる、基材の特性を維持したまま、基材表面に優れたはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止等の特性を長期間、安定に付与することを可能にする透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものである。
本発明は、基材との密着性、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止等の特性に優れた透明ハイブリッド皮膜を、上記基材表面に形成することで、例えば、金属/木質材料の腐食防止、タッチパネルディスプレー等への指紋付着防止、日常生活品や食品梱包材への抗菌性付与、ポリマーフィルムへの耐候性付与、紙や繊維等の劣化/黄変防止や防水性付与、タイルや水周りの防カビ処理等の用途において、特に著効を発揮する、新しい表面改質技術に関する新技術・新製品を提供するものである。
固体表面に液滴が付着すると、そこを起点として、固体表面の腐食、劣化、汚染が進行する。また、ガラス等の透明材料の場合、付着した液滴は、視界不良や汚れの原因となる。また、太陽光発電において、集光ミラーの汚れは、発電効率に大きな影響を及ぼすことから、多くの工学分野で、液滴除去性能の高い(はっ水/はつ油)材料/表面処理の開発が試みられている。
先行技術として、例えば、アルキル基やパーフルオロアルキル基のような表面エネルギーの低い不活性(疎水性)な官能基で終端された有機シラン単分子膜の防食皮膜への応用が検討されている(非特許文献1〜3)。これらは、表面にはっ水性を付与することで、液滴の付着を抑制し、防食性の向上を狙った手法である。
しかしながら、これらの表面はヒステリシスが大きいため、微小水滴の場合、固体表面を90°以上傾けても、水滴は、固体表面に留まることが知られており、はっ水処理を施したからと言っても、水滴の除去性能が向上するとは限らないことが分かってきた(非特許文献4)。
ヒステリシスとは、前進接触角(θ)と後退接触角(θ)の差(θ−θ)で示され、その値が小さいほど、液滴は、僅かな傾斜で固体表面を滑落する。また、単分子膜は、その極めて薄い膜厚(<3nm)から、長期安定性に問題があると同時に、微視的には欠陥があるため、基材表面を完全に被覆しているとは言えない。そのため、防食特性にも自ずと限界がある。
他の先行技術として、例えば、有機ホスホン酸とジルコニウムの自己集積化を利用し、ホスホン酸−ジルコウム積層膜(膜厚約9nm)を純アルミニウム基板(JIS1100P)上に形成し、その防食性能が評価されている(非特許文献5〜6)。塩水噴霧試験による耐食性の評価結果は、アルミ飲料缶の防食皮膜として実用化されているZrP化成処理皮膜(約24時間で白錆発生)の3倍という高い耐食性を示したものの、約72時間後、白錆が発生している。
他の先行技術として、例えば、金属材料の防食処理として、亜鉛メッキやクロメート処理が有名である。しかし、前者は、その耐久性や、処理する形状に制約があるといった問題点が挙げられる(非特許文献7)。一方、後者は、耐食性には優れるものの、使用される六価クロムの環境や人体への影響が指摘されているため、クロメート処理の実施が困難になっており、クロムフリーな防食皮膜の開発が望まれている。
他の先行技術として、例えば、Andreevaらは、高分子電解質のナノレイヤー交互層からなるコーティング膜により、傷つけても腐食を防止し自己修復する技術を開発している(非特許文献8)。反対電荷を持つ複数の高分子電解質層を用いて、8−ヒドロキシキノリン層(腐食防止剤)を挟む構成のコーティング膜をアルミニウム合金表面上に成膜したところ、コーティング処理された表面は、引っかき傷をつけた後、塩水に浸漬しても、16時間後も腐食はみられなかった。
一方、未処理のアルミニウム表面は、6時間塩水に浸けただけで著しく腐食した。このコーティング膜は、優れた自己修復能を有するが、海水のような高塩濃度環境下や水溶液の蒸発に伴う塩濃度の増加によって、高分子電解質層が解離しやすく、実環境下における使用には耐えられないという問題がある。
他の先行技術として、例えば、ポリマー材料の耐候性を向上させるために、ポリマー自身、あるいはコーティング皮膜に紫外線吸収剤を添加し、材料の劣化/黄変を抑制する処理が行われている(特許文献1〜2)。しかしながら、単に紫外線吸収剤を添加しただけでは、紫外線吸収剤は材料マトリックス中に固定化されていないため、経時に伴い昇華やブリードアウトが発生し、紫外線カット能が低下する。また、紫外線吸収剤の溶剤への溶解性の問題、高濃度添加に伴う材料物性の低下の問題から、長期間安定した耐候性を実現するポリマー材料の開発には課題が多い。
また、上記に記載した表面改質手法では、1)単分子膜処理では、原料分子と基材表面との反応性の違いにより、処理可能な基材の種類が限定されること、2)単分子膜や積層膜の膜厚は数nmであるため、該膜は何らかの化学的・物理的要因で剥離・損傷し、長期的な表面機能の維持が困難であること、3)耐候性コーティングでは、添加剤がマトリックス内に固定化されていないため、昇華やブリードアウトが発生し、紫外線カット能が低下すること、といった短所が挙げられる。
そのため、当技術分野においては、長期間、安定なはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止等を実用基材表面で実現できる表面改質手法の開発が強く望まれていた。
特開2002−201420号公報 特開2003−243687号公報
G.K.Jennings and P.E.Laibinis,Colloids Surf.A,116,105(1996) G.Grumdmeier,C.Reinartz,M.Rohwerder,and M.Stratmann,Electrochim.Acta,43,165(1998) M.Itoh,H.Nishihara,and K.Aramaki,J.Electrochem.Soc.,142,3969(1995).151 赤松 佳則,表面技術,60,32(2009) 志田あずさ,蓬原正伸,杉村博之,高井治,表面技術,53,897(2002) A.Shida,H.Sugmura,M.Futsuhara,and O.Takai,Surf.Coat.Technol.,169−170,686(2003) 伊崎輝明,表面技術,50,545(1999) Daria V.Andreeva,D.Fix,H.Mohwald,and D.G.Shchukin,Adv.Mater.,20,2789(2008)
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、各種添加剤を皮膜中に高濃度かつ安定に固定化し、耐食性/耐候性に優れた透明皮膜の形成を可能とする実用基材の新しい表面処理技術を開発することを目標として鋭意研究を進めた結果、疎水性官能基を持つ有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆溶液を、基材表面に塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置することにより、所期の目的を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明者は、上記構成により、1)溶媒の揮発と同時に、密着性に優れた透明膜が形成されること、2)上記1)の透明膜の層間に、添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)を高濃度で固定化できること、3)上記1)の透明膜の表面では、同じ有機シラン分子から構成される単分子膜で被覆した基材表面と比較して、ヒステリシスが極めて小さくなり、液滴の除去性能、防汚性が向上すること、4)上記2)と3)の効果があいまって、塗布した基材のはっ水/はつ油性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止等が極めて向上すること、との新規知見を見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成させるに至った。
本発明は、基材を、シリカ等の無機薄膜、添加剤をドープしたシリカ等の無機薄膜で被覆した場合と比較して、疎水性官能基を持つ有機シランを、金属アルコキシド、添加剤と混合し、塗布するだけで、透明なハイブリッド膜が形成され、更に、該添加剤が高濃度で層間に固定化され、昇華やブリードアウトを抑制できるとともに、更に、その表面が、表面張力が18〜73dyn/cmの液体に対して極めて小さな接触角ヒステリシス<動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角の差(θ−θ)>を示す固体表面を実現できる新しい表面改質技術を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、該皮膜の層間に高濃度で添加剤を固定化できるため、長期間安定な耐候性、防カビ性、抗菌性を実現でき、また、液滴と固体表面の相互作用を抑制することもできることから、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性を、該皮膜表面に同時に付与することも可能である。そのため、本発明は、例えば、金属/木質材料の腐食防止、タッチパネルディスプレー等への指紋付着防止、日常生活品や食品梱包材への抗菌性付与、ポリマーフィルムへの耐候性付与、紙や繊維等の劣化/黄変防止や防水性付与、タイルや水まわりの防カビ/防菌処理といった産業分野において特に有効な、新規表面改質技術に関する新技術・新製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)基材の固体表面に形成させる透明ハイブリッド皮膜であって、原料の有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤、任意に触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合して有機シラン間の距離を制御した前駆溶液を塗布することにより得られる皮膜であり、基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値とする特性を有していることを特徴とする透明ハイブリッド皮膜。
(2)有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1以上の任意のモル比で混合されている、前記(1)に記載の透明ハイブリッド皮膜。
(3)得られる透明ハイブリッド皮膜が、1−10nmの繰り返し周期の層状構造を有している、前記(1)または(2)に記載の透明ハイブリッド皮膜。
(4)上記皮膜が、防錆剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、生物付着防止剤から選択した少なくとも1種類以上の添加剤を含有している、前記(1)から(3)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(5)上記添加剤を、皮膜の総重量に対して、最大50wt%含有している、前記(1)から(4)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(6)前記(4)または(5)に記載の添加剤が、1−10nmの繰り返し周期の層状構造内に固定化されている、前記(1)から(3)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(7)有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン分子間の距離を変化させたものである、前記(1)から(6)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(8)上記皮膜が、金属、合金、金属酸化膜、半導体、ポリマー・樹脂、木材、繊維、紙から選択した基材と接着する密着性を示す、前記(1)から(7)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜表面。
(9)上記皮膜が、平面、曲面、凹凸面、ポーラス面の中から選択した少なくとも1種類以上の表面から構成された混合表面と接着する密着性を示す、前記(1)から(8)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(10)金属表面に皮膜を形成させた場合、スクラッチによる傷が表面に発生しても、自己修復する、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(11)表面張力が18〜73dyn/cmである液体に対する前進接触角と後退接触角との差としてのヒステリシスが、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(12)前記(11)に記載の液体と、少なくとも1種類以上の化合物が混ざった混合液体に対する前進接触角と後退接触角との差としてのヒステリシスが、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(13)上記皮膜が、指紋が付着しにくい難付着性で、かつ付着した指紋が拭き取りやすい易拭き取り性を示す、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(14)透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(A)のR−Si−R n−3 (但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(15)透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(B)のR−Si−R n−3(但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基あるいはこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(16)透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、前記(14)および(15)に記載された有機シランから選択された少なくとも2種類以上を原料としたものである、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(17)透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、式(C)のM(R)n(但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示される、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(18)透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、前記(17)に記載された金属アルコキシドから選択された少なくとも2種類以上を原料としたものである、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(19)透明ハイブリッド皮膜の層間に固定化する添加剤が、防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、および/または生物付着防止剤である、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(20)透明ハイブリッド皮膜の層間に固定化する添加剤が、前記(19)に記載された添加剤から選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
(21)有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤としての防錆剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、または生物付着防止剤、任意に触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合した前駆溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に滴下した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させ、皮膜を架橋させることを特徴とする、透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(22)加水分解に使用する水と混和可能であり、かつ有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用する、前記(21)に記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(23)加水分解に使用する触媒が、式(A)のR、式(B)のR、式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有する、前記(21)から(22)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(24)スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法の内から選択したいずれかの方法により、溶媒の揮発を促進させる、前記(21)から(23)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(25)前駆溶液中の有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の濃度、有機溶媒のモル濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御する、前記(21)から(24)のいずれかに記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(26)前記(21)から(25)に記載した方法で調製した前駆溶液が、少なくとも20日以上保存後も使用可能である、前記(21)から(25)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
(27)前記(1)から(9)のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、および/または生物付着防止能を示すことを特徴とする固体表面。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、固体表面に形成させるための透明ハイブリッド皮膜であって、有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)を含む溶液中で共加水分解・縮重合することにより得られる皮膜であることを特徴とするものである。
また、本発明は、透明なハイブリッド皮膜の製造方法であって、固体表面に、有機溶媒、水、添加剤を含む溶液中で、有機シランおよび金属アルコキシドを共加水分解・縮重合し、有機シラン間の距離を制御した前駆溶液を塗布後、所定時間、室温、大気圧下で静置することを特徴とするものである。更に、本発明は、上述の透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、優れたはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止能を示すことを特徴とするものである。
本発明では、上記構成により、密着性と、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性に優れた有機−無機透明ハイブリッド皮膜を形成することで、各種液滴(表面張力18〜73dyn/cm)およびこれらの液体のうち少なくとも2種類以上の液体が混ざった混合液体の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを実現するものである。
本発明では、有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1以上の任意のモル比で混合されていること、得られる有機−無機透明ハイブリッド皮膜が、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、繊維、紙の内から選択した基材と容易に密着する良好な密着性を示すこと、を好ましい実施態様としている。
また、本発明では、有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン分子間の距離を変化させたものであること、上記透明ハイブリッド皮膜の表面の、各種液滴(表面張力18〜73dyn/cm)およびこれらの液体が少なくとも2種類以上混ざった混合液体の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となること、または、指紋が付着しにくい難付着性であること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明では、透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランは、上記式(A)のR−Si−R n−3 (但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有すること、が好ましい。
また、本発明では、透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランは、上記式(B)のR−Si−R n−3(但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基およびこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、又はアセトキシ基)で示され、かつ、Si−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有すること、が好ましい。
また、本発明では、透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドは、上記式(C)のM(R)n(但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示されること、が好ましい。
本発明で使用可能な添加剤は、従来公知のものを使用することができ、例えば、防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等を中心として好適に用いることができるが、これらと同等又は類似の効果を奏する添加剤であれば同様に使用することが可能である。また、2つ以上の添加剤を混合して使用することも可能である。これらの添加剤として、具体的には、以下に示す化合物が例示される。
すなわち、添加剤として、例えば、以下に示す化合物が例示される。
[防錆剤]
アルカノールアミン、第四アンモニウム塩、アルカンチオール、イミダゾリン、メタバナジン酸ナトリウム、クエン酸ビスマス、フェノール誘導体、ポリアルケニルアミン、アルキルイミダゾリン誘導体、ジアノアルキルアミン、カルボン酸アミド、アルキレンジアミン、ピリミジンおよびこれらのカルボン酸、ナフテン酸、スルホン酸複合体、亜硝酸カルシウム、アルキルアミンとエステル、ポリアルコール、ポリフェノール、アルカノールアミン、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ゼラチン、カルボン酸のポリマー、脂肪族および芳香族アミンとジアミン、エトキシ化アミン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ニトロ化合物、ホルムアルデヒド、アセチレンアルコール、脂肪族および芳香族チオールとスルフィド、スルホキシド、チオ尿素、アセチレンアルコール、2−メルカプトベンズイミダゾール、アミン又は第四アンモニウム塩+ハロゲンイオン、アセチレンチオールおよびスルフィド、ジベンジルスルホキシド、アルキルアミン+ヨウ化カリウム、亜硝酸ジシクロヘキシルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミン、ベンゾトリアゾール、タンニン+リン酸ナトリウム、トリエタノールアミン+ラウリルサルコシン、+ベンゾトリアゾール、アルキルアミン+ベンゾトリアゾール+亜硝酸ナトリウム+リン酸ナトリウム。
[紫外線吸収剤/光安定剤]
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド。
[防カビ剤/抗菌剤]
2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、ソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、デヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン。
[生物付着防止剤]
テトラメチルチウラムジサルファイド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、ピリジン−トリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、チオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ジンクエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類、アルキルピリジン化合物、グラミン系化合物、イソトニル化合物。
また、本発明では、有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤、必要により触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合した前駆溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に滴下した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させる。
また、本発明では、加水分解に使用する少量の水と混和可能であり、かつ有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用すること、加水分解に使用する水のモル分率が、前駆溶液組成におけるアルコキシ基のモル分率より多いこと、が好ましい。
更に、本発明では、加水分解を促進する作用を有する触媒を用いることができる。例えば、加水分解に使用する触媒としては、上記式(A)のR、上記式(B)のR、上記式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有するものが使用される。また、本発明では、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法の中から選択したいずれかの方法により、溶媒の揮発を促進させること、が好ましく、前駆溶液中の有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御すること、が好ましい。
本発明で使用可能な有機シランは、例えば、アルキル(炭素数3から18)アルコキシシラン等を好適に用いることができるが、これらと同等又は類似の効果を奏する有機シランであれば同様に使用することが可能である。これらの有機シランとして、具体的には、以下に示す化合物が例示される。
すなわち、有機シランとして、例えば、アルキル(炭素数1から30)トリメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルメトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルエトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルクロロシラン、アルキル(炭素数1から30)トリアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルアセトキシシラン、アルキル(炭素数1から30)トリイソシアナシシラン、アルキル(炭素数1から30)メチルジシアナトシラン、アルキル(炭素数1から30)ジメチルシアナトシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルメトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルエトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルクロロシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルアセトキシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)トリイソシアナシシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)メチルジシアナトシラン、パーフルオロ(炭素数3から18)ジメチルシアナトシラン、が例示される。
また、本発明で使用可能な金属アルコキシドとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、金属元素を中心として、2つ以上のアルコキシ基を有する上記[0028]以外の分子である金属アルコキシド、あるいはそれと同等又は類似の効果を奏する、以下に示す化合物が例示される。
すなわち、金属アルコキシドとして、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−t−ブトキシアルミニウム、ジメトキシカルシウム、ジエトキシカルシウム、ジ−i−プロポキシカルシウム、ジ−n−ブトキシカルシウム、トリエトキシ鉄、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−i−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−t−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−n−ブトキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリ−i−プロポキシインジウム、トリ−n−ブトキシインジウム、トリ−t−ブトキシインジウム、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、が例示される。
本発明では、透明で均一な皮膜を形成するために、有機溶媒は、少量の水と混和し、かつ、有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の縮重合物質を溶解させることができることと、前駆溶液の基材上への塗布時に、速やかに揮発するものであることが望ましい。すなわち、本発明では、蒸気圧が水より高い、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いて前駆溶液を調製することが好ましい。
また、有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の濃度を調整することで、膜厚を10−10000nmの範囲で制御することが可能である。これは、ある一定量の前駆溶液を基材表面に滴下し、溶媒の揮発に伴う皮膜形成時に、前駆溶液に含まれる固形成分である有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の濃度が高いほど、多くの固体が基材表面に析出するためである。
本発明では、有機シランおよび金属アルコキシドの反応性官能基の加水分解、すなわちM−OH基(但し、Mは金属元素)の生成、を促進させるために、触媒を利用することが望ましく、また、当該触媒により、前駆体溶液中のpHを制御することで、有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の縮重合物質を安定化することが望ましいため、例えば、アルコキシシリル基を用いる場合には、pH1〜3に制御可能な塩酸等の酸を使用することが好ましい。
また、添加する水の量としては、前駆体溶液に含まれる全ての反応性官能基が加水分解し、M−OH基(但し、Mは金属元素)を生成するために、官能基数以上の水が含まれていることが望ましい。水の量が上記した官能基数より少なくても、膜の形成は可能であるが、加水分解が不十分になるため、加水分解していない有機シランや金属アルコキシドが処理中に揮発し、歩留まりが低下するという問題があるため、好ましくない。
本発明における加水分解・縮重合中の前駆溶液中においては、加水分解後の有機シランと金属アルコキシドの一部がランダムに縮重合する。それは、その際、加水分解後の金属アルコキシドと加水分解後の有機シランが交互に縮重合することで、有機シラン由来の有機基の距離が離れるためである。つまり、金属アルコキシドが“バインダー”として有機シランの有機基の距離を隔てるためである。このため、膜表面での有機シラン由来物質の運動性が向上し、ヒステリシスの小さな固体表面を得ることが可能となる。
従って、本発明では、有機シランに対する金属アルコキシドの添加量を変えることによって、有機シラン間の距離を任意に制御することが可能であり、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を調整できるようになり、それにより、接触角ヒステリシスが小さくなるため、液滴除去能が向上する。
本発明において、成膜方法は、溶媒の揮発を促進する方法であれば特に制限はなく、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法が好適な例として挙げられる。
また、本発明で使用し得る基材としては、例えば、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維等の適宜の材料を任意に使用することができる。基材の具体例としては、例えば、銅、真鍮、シリコン、各種ポリマー(ポリカーボネート、アクリル、PET、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ガラス、シリコーン、ヒノキ、リボン等が好適なものとして例示される。
これらの基材の形状は、板状、凹凸状、粉末状、チューブ状、ポーラス状、繊維状等、任意な形状の基材を使用することができる。また、特に、基材の前処理は必要としない。更に、強固な密着性を得るために、プラズマ、紫外線、電子線等を基板に照射して、表面を活性化させることも有効である。
本発明において、有機シランの種類によっては、層間が1−10nmの層状構造体を形成することがある。これは、有機シランの加水分解後に生成したシラノールが親水性を示す一方で、有機基は疎水性を示し、このため、成膜時に、有機シランと無機アルコキシドの縮重合物が両親媒的に振るまい、有機部の疎水性相互作用を駆動力として自己集合するためである。例えば、炭素数4から18のアルキルアルコキシシランが、層状構造を形成する好適な有機シランとして例示される。また、この自己集合する過程で、有機シランの疎水性官能基と疎水的な添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)が疎水性相互作用により凝集し層間内に固定化される。
上述した通り、有機シランとしては、アルキルアルコキシシラン以外にも、不活性(疎水性)官能基を有する有機シランも利用することができる。本発明において、有機シランとしては、例えば、パーフルオロアルキル基やフェニル基等の不活性(疎水性)官能基を有する有機シランも利用することができる。
本発明は、基材の固体表面に形成させる透明ハイブリッド皮膜であって、原料の有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤、必要により触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合して有機シラン間の距離を制御した前駆溶液を塗布することにより得られる皮膜であり、基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値とする特性を有していることを特徴とする透明ハイブリッド皮膜に係るものであり、密着性と、膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性に優れた有機−無機透明ハイブリッド皮膜を形成することで、各種液滴(表面張力18〜73dyn/cm)およびこれらの液体のうち少なくとも2種類以上の液体が混ざった混合液体の前進接触角と、後退接触角との差(ヒステリシス)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となることを実現する新規な透明ハイブリッド皮膜を提供するものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)高濃度(最大約50wt.%)の添加剤、例えば、防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止等を皮膜の層間に導入することができるため、はっ水/はつ油性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、生物付着防止性等の、長期間に渡る効果持続を実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(2)添加剤は層間に固定化されているために、単に添加剤を混合したり、練り込んだ従来の塗膜や高分子材料と異なり、昇華やブリードアウト防止を実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(3)添加剤が有機化合物の場合、ハイブリッド皮膜内部で添加剤が完全に分散することで、結晶化・凝集が抑制されるため、濃度消光の抑制・最大吸収波長シフトの抑制、溶解性の向上が実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(4)皮膜に亀裂が入っても、添加剤が亀裂部位に集まっていく性能があるため、腐食の進行抑制を実現できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(5)不活性な官能基を有する有機シラン、例えば、長鎖アルキルトリエトキシシラン、パーフルオロアルキルトリエトキシシラン等を用いているため、層状構造形成の際に、腐食・劣化防止剤を疎水性相互作用により層間に固定化すると同時に、透明ハイブリッド皮膜の表面に、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性等を付与できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(6)活性な官能基を有する有機シラン、例えば、ビニルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン等を用いているため、層状構造形成の際に、添加剤を水素結合や共有結合により固定化すると同時に、透明ハイブリッド皮膜の表面に、生体親和性や化学反応性を付与できる、新しい表面改質技術を提供することができる。
(7)基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、ヒステリシスの極めて小さい表面にすることを可能とする表面改質技術を提供することができる。
(8)表面張力が18〜73dyn/cmの液体に対してヒステリシスの極めて小さい透明ハイブリッド皮膜を、特に、基材を選ぶことなく、また、基材の前処理を施すことなく、基材に密着性よく形成できる表面処理技術を提供することができる。
(9)有機溶媒に対する有機シランと金属アルコキシドの濃度によって、膜厚を任意に制御(10−10000nm)することが可能である。
(10)当該ハイブリッド皮膜は透明性が高いため、処理する基材表面の外観を維持したまま、意匠性を損なうことなく、表面処理を施すことができる。
(11)調製後の前駆溶液が安定であるため、調製後に長期間(1ヶ月程度)保存することができる。
(12)特に加熱処理をすることなく、室温で硬化させることが可能なため、耐熱温度の低いポリマー、紙、繊維、木材等への成膜が可能である。
(13)有機シラン含有量を調整することで、膜の硬度、耐熱性、可とう性を任意に調整することができるため、シート状のポリマー、金属フィルム、紙等に、曲げてもクラックや剥離を発生させない成膜が可能である。
(14)透明ハイブリッド皮膜の優れたはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、生物付着防止性により、例えば、金属/木質材料の腐食防止、タッチパネルディスプレー等の指紋付着防止、日常生活品や食品梱包材への抗菌性付与、ポリマーフィルムへの耐候性付与、紙や繊維等の劣化/黄変防止や防水性付与、タイルや水周りの防カビ/防菌処理、等の用途において、長期に渡りこれらの機能を持続可能な、新しい表面改質技術を提供することができる。
図1は、実施例1および比較例2〜3に係る、[腐食試験3]実施後の各試料の外観を示すものである。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に、実施した腐食試験の内容を示す。
[腐食試験1]
試験片を0.05M NaCl水溶液に、室温で24時間浸漬した。
[腐食試験2]
試験片を純水の入った密閉容器内で、100℃で240時間浸漬した。
[腐食試験3]
試験片を5wt%塩水噴霧に暴露した。
[腐食試験4]
試験片にメッシュ状の切り込み(縦横それぞれ10本)を入れ、0.05M NaCl水溶液に、室温で12時間浸漬した。
テトラメトキシシラン(TMOS)、デシルトリエトキシシラン(DTES)を、TMOS/DTES(モル比)=4の比率で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。その後、TMOSおよびDTESの固形成分(TMOS:SiO、DTES:C1023SiO1.5)の全重量に対し、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のトリルトリアゾール(TTA)を添加し、更に、室温で所定時間撹拌した。得られた前駆溶液を、銅板およびガラス板にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表1に、実施例1に係る、ガラス板上に成膜した、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のTTAを含む試料の、XRDパターンから得られた面間隔、透明性、水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシス(θ−θ)の値を示す。
表1に、実施例1に係る、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験1]の結果を示す。
表1に、実施例1に係る、3.1、6.3wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験2]の結果を示す。
表1に、実施例1に係る、12.5wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
図1(a)に、実施例1に係る、12.5wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODMS)を、TMOS/ODMS(モル比)=4の比率で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。その後、TMOSおよびODMS固形成分(TMOS:SiO、DTES:C1837SiO1.5)の全重量に対し、12.5wt.%のトリルトリアゾール(TTA)、もしくは、12.5wt.%のベンゾトリアゾール(BTA)、を前駆溶液に添加し、更に、室温で所定時間撹拌した。得られた前駆溶液を、銅板およびガラス板にディップコートし、一日、室温で静置した。
表1に、実施例2に係る、ガラス板上に成膜した12.5wt%のTTAもしくは12.5wt%のBTAを含む試料の、XRDパターンから得られた面間隔、透明性、水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシス(θ−θ)の値を示す。
表1に、実施例2に係る、試料(銅板)の、[腐食試験1]の結果を示す。
表1に、実施例2に係る、試料(銅板)の、[腐食試験4]の結果を示す。
[比較例1]
未処理の銅板を用いて、各種腐食試験を実施した。
表2に、比較例1に関わる、[腐食試験1]の結果を示す。
表2に、比較例1に関わる、[腐食試験2]の結果を示す。
表2に、比較例1に関わる、[腐食試験3]の結果を示す。
表2に、比較例1に関わる、[腐食試験4]の結果を示す。
[比較例2]
テトラメトキシシラン(TMOS)を、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。その後、TMOSの固形成分(SiO)の全重量に対し、0、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のトリルトリアゾール(TTA)、または、12.5wt.%のベンゾトリアゾール(BTA)を添加し、更に、所定時間添加した。得られた前駆溶液を、銅板上およびガラス板にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表2に、比較例2に係る、ガラス板上に成膜した、0、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のTTAを含む試料の、XRDパターンから得られた面間隔、透明性、水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシス(θ−θ)の値を示す。
表2に、比較例2に係る、0、3.1、6.3、12.5、25、50wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験1]の結果を示す。
表2に、比較例2に係る、3.1、6.3wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験2]の結果を示す。
表2に、比較例2に係る、12.5wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
図1(b)に、比較例2に係る、12.5wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
表2に、比較例2に係る、0、12.5wt.%のTTAおよび12.5wt.%のBTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験4]の結果を示す。
[比較例3]
テトラメトキシシラン(TMOS)、デシルトリエトキシシラン(DTES)をTMOS/DTES(モル比)=4の比率で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した。得られた前駆溶液を、銅板およびガラス板にスピンコートし、一日、室温で静置した。
表2に、比較例3に係る、ガラス板上に成膜した試料の、XRDパターンから得られた面間隔、透明性、水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシス(θ−θ)の値を示す。
表2に、比較例3に係る、試料(銅板)の、[腐食試験1]の結果を示す。
表2に、比較例3に係る、試料(銅板)の、[腐食試験2]の結果を示す。
表2に、比較例3に係る、試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
図1(c)に、比較例3に係る、12.5wt.%のTTAを含む試料(銅板)の、[腐食試験3]の結果を示す。
[比較例4]
テトラメトキシシラン(TMOS)、オクタデシルトリメトキシシラン(ODMS)をTMOS/ODMS(モル比)=4の比率で混合し、エタノールおよび塩酸と混ぜ合わせた後、室温で所定時間撹拌した得られた前駆溶液を、銅板およびガラス板にディップコートし、一日、室温で静置した。
図1に、比較例4に係る、XRDパターンから得られた面間隔、透明性、水およびn−ヘキサデカンに対する、前進接触角(θ)、後退接触角(θ)、ヒステリシス(θ−θ)の値を示す。
表2に、比較例4に係る、試料(銅板)の、[腐食試験1]の結果を示す。
表2に、比較例4に係る、試料(銅板)の、[腐食試験4]の結果を示す。
以上の2つの実施例、4つの比較例で作製した基板試料の表面を、相対的に評価すると、実施例1〜2より、添加剤を添加した場合でも、透明性に優れた層状構造を有する皮膜が得られることが明らかとなった。また、層間に高濃度(最大50wt.%)の添加剤を含有させることが可能であることが分かった。
比較例2の結果より、シリカ膜の場合でも、添加剤の濃度が低い場合、添加剤を膜内に含有させることができるが、濃度の増加と共に(12.5wt.%以上)、皮膜の透明度が著しく低下し、添加剤が凝集し、膜内部に不均一に分散することが分かった。また、実施例1〜2および比較例3〜4の結果より、いずれのハイブリッド皮膜も、優れたはっ水/はつ油性を示すことが明らかとなり、添加剤の有無は膜表面の動的濡れ性に影響しないことが分かった。
実施例1〜2の結果より、添加剤を含むハイブリッド皮膜は優れた防食能を示すことが分かった。比較例1の[腐食試験1〜3]より、銅単体は、本実験条件下において、容易に腐食することが分かる。また、比較例3〜4の[腐食試験1〜3]より、添加剤を含まないハイブリッド膜を被覆した場合、腐食の進行をある程度抑制できることが確認できたが、その効果は不十分であった。特に、中性塩水噴霧試験([腐食試験3])において、腐食抑制能が低下した結果を考慮すると、塩素イオンが膜表面の僅かな隙間を縫って、銅表面に到達したため、腐食が進行したと考えられる。
添加剤を含むシリカ膜(比較例2)を被覆した場合でも、銅の腐食をある程度抑制できることが分かったが、前述のハイブリッド単独皮膜(比較例3〜4)よりも抑制効果は著しく低い。これは、添加剤の凝集体がシリカ内部に不均一に分散しているため、添加剤の溶解に伴い、添加剤が元来存在していた場所に“孔”のような空間が形成することで、水や塩素イオンの銅表面へのアクセスが容易になったことが原因であると考えられる。
また、シリカ膜表面が親水性であるため、水滴が付着しやすいことも、腐食を促進した要因の一つであると考えられる。これに対し、添加剤を含むハイブリッド皮膜は、表面の優れた液滴除去効果および層状構造による添加剤の分散化/閉じ込め効果があいまって、優れた防食能を実現できたものと考えられる。
実施例2と比較例2の[腐食試験4]を比較すると、添加剤の濃度が同じであるにもかかわらず、ハイブリッド皮膜のみ、優れた自己修復能を示すことが分かった。ハイブリッド皮膜の場合、内包された添加剤が分子レベルで均一に分散し、かつ、層間に固定化されているため、亀裂の発生と共に、添加剤が速やかに放出され、銅表面に到達することで、腐食の進行が著しく抑制されたと考えられる。一方、シリカ膜の場合は、添加剤はシリカ膜内部で不均一に凝集して存在しているため、ハイブリッド皮膜と比較して、亀裂発生後の添加剤の銅表面への移動が、水や塩素イオンのそれよりも遅れたために、腐食が進行したものと考えられる。
以上詳述したように、本発明は、透明ハイブリッド皮膜とその製造方法に関するものであり、本発明により、有機シランおよび金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤(防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、生物付着防止剤等)、必要により触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合させた前駆溶液を、例えば、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、木材、紙、繊維等の固体表面に塗布することで、溶媒の揮発と同時に、密着性の良好な透明膜を形成させ、1)層間に高濃度の添加剤を固定化すること、2)膜表面の有機シラン由来の官能基の運動性を制御することで、基材の特性を維持したまま、基材表面に、優れたはっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、生物付着防止を長期にわたり持続させることを可能にする透明ハイブリッド皮膜とその製造方法を提供することができる。本発明は、例えば、金属/木質材料の腐食防止、タッチパネルディスプレー等への指紋付着防止、日常生活品や食品梱包材への抗菌性付与、ポリマーフィルムへの耐候性付与、紙や繊維等の劣化/黄変防止や防水性付与、タイルや水周りの防カビ/防菌処理等の用途において、長期に渡りこれらの機能を持続できる、特に有効な、新しい表面改質技術に関する新技術・新製品を提供するものとして有用である。

Claims (27)

  1. 基材の固体表面に形成させる透明ハイブリッド皮膜であって、原料の有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤、任意に触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合して有機シラン間の距離を制御した前駆溶液を塗布することにより得られる皮膜であり、基材表面の動的濡れ性、すなわち、動的接触角[前進接触角(θ)と、後退接触角(θ)]を測定した時の接触角ヒステリシス(θ−θ)が、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値とする特性を有していることを特徴とする透明ハイブリッド皮膜。
  2. 有機シランと金属アルコキシドが、1:0.1以上の任意のモル比で混合されている、請求項1に記載の透明ハイブリッド皮膜。
  3. 得られる透明ハイブリッド皮膜が、1−10nmの繰り返し周期の層状構造を有している、請求項1または2に記載の透明ハイブリッド皮膜。
  4. 上記皮膜が、防錆剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、生物付着防止剤から選択した少なくとも1種類以上の添加剤を含有している、請求項1から3のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  5. 上記添加剤を、皮膜の総重量に対して、最大50wt%含有している、請求項1から4のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  6. 請求項4または5に記載の添加剤が、1−10nmの繰り返し周期の層状構造内に固定化されている、請求項1から3のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  7. 有機シランと金属アルコキシドのモル比に依存して、有機シラン分子間の距離を変化させたものである、請求項1から6のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  8. 上記皮膜が、金属、合金、金属酸化膜、半導体、ポリマー・樹脂、木材、繊維、紙から選択した基材と接着する密着性を示す、請求項1から7のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜表面。
  9. 上記皮膜が、平面、曲面、凹凸面、ポーラス面の中から選択した少なくとも1種類以上の表面から構成された混合表面と接着する密着性を示す、請求項1から8のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  10. 金属表面に皮膜を形成させた場合、スクラッチによる傷が表面に発生しても、自己修復する、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  11. 表面張力が18〜73dyn/cmである液体に対する前進接触角と後退接触角との差としてのヒステリシスが、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  12. 請求項11に記載の液体と、少なくとも1種類以上の化合物が混ざった混合液体に対する前進接触角と後退接触角との差としてのヒステリシスが、有機シラン単独で表面処理された表面より小さな値となる、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  13. 上記皮膜が、指紋が付着しにくい難付着性で、かつ付着した指紋が拭き取りやすい易拭き取り性を示す、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  14. 透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(A)のR−Si−R n−3 (但し、n=1、2、または3、Rは、炭素数1−30のアルキル鎖または炭素数1−20のパーフルオロ基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された不活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  15. 透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、式(B)のR−Si−R n−3(但し、n=1、2、または3、Rは、水酸基、ビニル基、塩化アルキル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボニル基、メタクリロキシ基、アジド基、ジアゾ基、またはベンゾフェニル基あるいはこれらの誘導体、Rは、炭素数1から15のアルキル基、Rは、炭素数1−6のアルキル基、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基、クロロ基、イソシアナト基、またはアセトキシ基)で示され、かつSi−C結合で結合された活性な官能基と、加水分解後に1つ以上のSi−OH基を生成する官能基を有する、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  16. 透明ハイブリッド皮膜の原料となる有機シランが、請求項14および15に記載された有機シランから選択された少なくとも2種類以上を原料としたものである、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  17. 透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、式(C)のM(R)n(但し、n=1、2、3、または4、Mは、Al、Ca、Fe、Ge、Hf、In、Si、Ta、Ti、Sn、またはZrの金属元素、Rは、炭素数1から15のアルコキシ基)で示される、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  18. 透明ハイブリッド皮膜の原料となる金属アルコキシドが、請求項17に記載された金属アルコキシドから選択された少なくとも2種類以上を原料としたものである、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  19. 透明ハイブリッド皮膜の層間に固定化する添加剤が、防錆剤、紫外線吸収剤/光安定剤、防カビ剤/抗菌剤、および/または生物付着防止剤である、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  20. 透明ハイブリッド皮膜の層間に固定化する添加剤が、請求項19に記載された添加剤から選択された少なくとも2種類以上を原料として使用した、請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜。
  21. 有機シランと金属アルコキシドを、有機溶媒、水、添加剤としての防錆剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、または生物付着防止剤、任意に触媒を含む溶液中で共加水分解・縮重合した前駆溶液を、金属、金属酸化膜、合金、半導体、ポリマー、セラミックス、ガラス、樹脂、木材、紙、繊維の内から選択した固体表面に滴下した後、所定時間、室温、大気圧下で溶媒を揮発させ、皮膜を架橋させることを特徴とする、透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  22. 加水分解に使用する水と混和可能であり、かつ有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の加水分解・縮重後の物質を溶解し、かつ蒸気圧が水より大きな有機溶媒を使用する、請求項21に記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  23. 加水分解に使用する触媒が、式(A)のR、式(B)のR、式(C)のR、の加水分解を促進する作用を有する、請求項21から22のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  24. スピンコーティング法、ディップコーティング法、ローラーコーティング法、バーコティング法、インクジェットコーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法の内から選択したいずれかの方法により、溶媒の揮発を促進させる、請求項21から23のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  25. 前駆溶液中の有機シラン、金属アルコキシドおよび添加剤の濃度、有機溶媒のモル濃度に依存して、10−10000nmまで膜厚を制御する、請求項21から24のいずれかに記載の有機−無機透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  26. 請求項21から25に記載した方法で調製した前駆溶液が、少なくとも20日以上保存後も使用可能である、請求項21から25のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜の製造方法。
  27. 請求項1から9のいずれかに記載の透明ハイブリッド皮膜が被覆された固体表面であって、その表面が、はっ水/はつ油性、液滴除去能、耐指紋付着性、防汚性、耐食性、耐候性、防カビ性、抗菌性、および/または生物付着防止能を示すことを特徴とする固体表面。
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