JP2013249117A - フランジ強度を向上させた紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓋をフランジにシールする紙カップにおいて、開封を容易にする目的で、フランジ強度を向上させる方策として、フランジを扁平に潰したり、更にそのフランジ外縁部を下方に成形したり、又これでも強度不足の場合には、フランジ上面に樹脂部材を溶着して強度を向上させる方法が採られている。しかしこの方法では積み重ね性能の劣化と、バリアー性能の劣化と言う欠陥がある。この欠陥を克服し、十分なフランジ強度を持った紙カップを提供する。
【解決手段】紙容器において、少なくとも最内面側に樹脂被膜と、扁平に成形されたフランジとを有し、フランジの下面に樹脂部材を融着する。また、さらにフランジの外縁の外側までをさらに覆うように、フランジの下面に樹脂部材を融着する。
【選択図】図1

Description

一般に紙カップと呼ばれる紙容器は、店頭や自販機で飲食物等を入れて、消費者に供される容器としての用途を持った紙容器と、食品工場で内容物を充填後密封され、流通経路を経て消費者に渡る、流通容器と飲食容器の両方の用途を持った紙容器とがある。本発明は後者である流通容器としての機能と、飲食用容器の機能とを持った紙容器に関するもので、飲料(清涼飲料、アルコール飲料)、乳製品他(ヨーグルト、プリン、ゼリー)、冷菓(アイスクリーム等)、菓子、即席麺等々に広く使われている紙容器の機能を向上させるものである。具体的には、紙カップの十分な密封性と易開封性に関するものである。
内容物を充填し、蓋を紙カップのフランジに熱融着(シール)した後、流通を経て、消費者に供される紙カップにあっては、蓋シール後の取り扱いや流通過程を考慮すると、蓋シール強度は強い方が良い。一方、蓋を手で開封することを考慮すると、蓋シール強度が強すぎては開封出来なくなる。特に幼少者や老人にあっては、蓋の開封に要する力が小さいことが求められる。しかし、蓋の開封性は、蓋のシール強度だけによるものではない。フランジに蓋がシールされた紙カップでは、蓋を上方に引き上げた時、フランジが蓋の引っ張られる方向に変形してしまい、蓋を開封出来ない状態が起きることがある。この状態は蓋の開封に要する力より、フランジが変形するのに要する力の方が小さいために起こる。
紙カップではフランジ強度を向上させるために、フランジ部分を扁平に潰して溶着させたり、フランジ天面部に、厚みにより強度を発現させるため、樹脂製の部材を融着する手段が用いられているが、いずれも十分とは言えない。
特公平01−017929号公報 特公平03−046302号公報 特開2004−042987号公報
内容物を充填し、蓋を紙カップのフランジにシールした後、流通を経て、消費者に供される紙カップにあっては、蓋シール後の処理(ボイル殺菌、レトルト処理等)と、流通での荷扱い(落下、衝撃等)などにより、蓋が剥がれることによる内容物漏洩や汚染を防止するために、蓋シール強度を出来るだけ強くする必要がある。一方、蓋の開封性を配慮すると、蓋を開封できる範囲に、シール強度を押さえなければならない。
図11に、紙カップでフランジが捲れ、蓋を開封できなくなっている状態を示す。紙カップ2において、蓋1を引き上げるに伴いフランジ28が捲れ上がってしまい、蓋1が開封不能となっている。このとき、フランジ28の捲れ上がりを防止するために蓋1のシール強度を下げると、蓋が不用意に開封され、内容物漏洩や汚染が発生するおそれがある。
上記の問題を解決すべく、従来種々の考案がなされている。例えば、特許文献2では、トップカール部を扁平に潰し、溶着固定することにより、フランジの確実な形成を図っている。また、特特許文献3では、扁平に固定したフランジ外縁部を、下方に変形させる事で、フランジの捲れ上がり防止を図っている。また、特許文献1では、フランジの上部および外縁部と内縁部を覆う樹脂製成型物を、融着することでフランジの変形防止を図っている。
しかし、フランジを扁平に潰し固着したり、さらにそのフランジ外縁部を下方に変形させたりした場合でも、要求される蓋シール強度が大きいと、蓋を開封時にフランジ捲れ上がりが発生し、蓋を開封出来なくなる。また、図12(a)に示すように、紙カップ2において、樹脂製成形品3をフランジ28上面に融着する場合、樹脂製成形品3の厚さを大きくすれば、必要十分なフランジ強度が得られるが、図12(b)に示す、フランジ28上面に樹脂製成形品3を融着しない場合と比べて、酸素バリアー性が悪化する。また、図13(a)、(b)に示すように、樹脂製成形品3をフランジ28上面に融着する場合、フランジ28上面に樹脂製成形品3を融着しない場合と比べて、スタックハイト4が大きくなることと、次に位置する紙カップの胴部が樹脂製成形品3に接し、次に位置するカップの胴部が樹脂製成形品3から圧力を受けることにより、充填シール機等のフィーダーでの切り出し性が悪化するという欠点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、酸素バリアー性や、充填シール機等のフィーダーでの切り出し性などが悪化することなく、蓋開封時にフランジの捲れ上がりが発生しない紙カップの構造とその製造方法を提供することを目的とする。
紙容器において、少なくとも最内面側に樹脂被膜と、扁平に成形されたフランジとを有し、フランジの下面に樹脂部材を融着することを特徴とする。
樹脂部材を、フランジの外縁の外側までをさらに覆うように融着することを特徴とする。
また、フランジの外縁部は下方に傾斜成形されていることを特徴とする。
樹脂部材の厚みは、フランジの外縁の下端面を越える厚みであることを特徴とする。
樹脂部材を、超音波融着によりフランジ下面に融着することを特徴とする。
溶融状態の樹脂をフランジ下面に設置し、溶融状態の樹脂とフランジとを圧縮冷却金型の上下の間に挟み込み、圧縮冷却して型通りの形状に樹脂部材とフランジとを成型し、樹脂部材をフランジの下面に融着することを特徴とする。
紙カップのフランジ下面に樹脂部材を設け、フランジと一体化させることにより、フランジに溶着させた蓋開封に要する力より、フランジを捲れ上がらせる力を大きく出来る。したがって、蓋開封時に、フランジが捲れ上がる事を防止できる。また、蓋の開封強度を開封できる範囲で強くする必要がある容器包装(蓋シール後レトルト処理をする容器や、長距離、長期間流通する容器など)において、十分な蓋シール強度を持たせても、フランジ捲れ上がりに要する力を大きく設定できる為、手開封が可能となる。
また、紙カップのフランジ強度を向上させる樹脂部材を、フランジ下面に設けるため、図12(a)に示した、紙カップのフランジ上面に樹脂を固着したときに生じる酸素バリアー性の劣化現象が発生しないため、フランジ下面に樹脂部材を設ける前と同等のバリアー性を維持出来る。
また、紙カップのフランジ上面に樹脂部材を超音波シールで固定する場合は、フランジ上面は叩く力で摩擦熱を発生させており、発熱効率が悪いため、容器内面側面上部に樹脂部材を設けて、樹脂部材と容器内面側面上部を擦り合せる状態で摩擦熱を発生させる。上述の発熱効率の良い部分で樹脂部材と容器全周に亘る融着を確保している。この為容器内面樹脂部材が容器上端の内矩寸法を、容器本体の内矩寸法より小さくし、容器をスタック(積み重ね)したとき、容器本体だけであれば、胴部材が接触することなく、容器外側の下端が他の容器内面の下端に接触するスタッキング性を持った容器でも、樹脂部材内面と容器胴部外面が接触する状態でスタックする状態となる。この様なスタック状態では容器がブロッキングしてしまい、容器を一個一個切り出すのが容易でないが、フランジ下面に樹脂部材を設けた容器では、容器本体が持っていたスタッキング性を維持出来、容器の切り出し性は、樹脂部材を設けたことで、変化する事は無い。また、フランジ下面に設けた樹脂部材は、容器の密封性には直接関係しない為、必ずしも全周に亘り完全融着させる必要は無く、製造管理が容易になるメリットがある。
第1の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図 第1の実施形態に係る紙カップおいてフランジ下面に樹脂部材を超音波融着により溶着固定する方法の説明図 第1の実施形態に係る紙カップにおいてフランジ下面に樹脂部材を圧縮冷却金型で融着固定する方法の説明図 第2の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図 第2の実施形態に係る紙カップにおいてフランジ下面および外縁部に樹脂部材を超音波融着により溶着固定する方法の説明図 第3の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図 第3の実施形態に係る紙カップにおいてフランジ下面に樹脂部材を超音波融着により溶着固定する方法の説明図 第3の実施形態に係る紙カップにおいてフランジ下面に樹脂部材を圧縮冷却金型で融着固定する方法の説明図 第4の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図 第4の実施形態に係る紙カップにおいてフランジ下面に樹脂部材を超音波融着により溶着固定する方法の説明図 フランジ捲れにより、紙カップで蓋開封できない状態を表す説明図 (a)樹脂製成形品をフランジ上面に融着したフランジの断面概略図、(b)樹脂製成形品をフランジ上面に融着しないフランジの断面概略図 (a)フランジ上面に樹脂製成形品を設けた紙カップをスタックしたときのフランジ断面概略図、(b)フランジ上面に樹脂製成形品を設けない紙カップをスタックしたときのフランジ断面概略図
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図を示す。紙カップ2は、扁平に成形されたフランジ28を備え、フランジ28の下面に樹脂部材5が固着されている。
紙カップ2の胴部の材質は少なくとも最内面層は熱可塑性樹脂であり、最外面層が紙の場合は紙と接着性のある樹脂を用い、最外面層を樹脂とする場合は最外面層樹脂と融着性のある樹脂を用いなければならない。最も簡単な例では、(外側)紙/ポリエチレン(内面)、(外側)ポリエチレン/紙/ポリエチレン(内面)の層構成が挙げられ、長期常温流通容器ではバリアー層としてアルミ箔や、金属や無機物を蒸着したフィルムが、最内面層樹脂と紙の間に設けられる。内容物の香気成分の紙カップ2外部への揮散揮発や、紙カップ2内面の樹脂層への吸着を防止する為には、バリアー層を設けるとともに低吸着性の樹脂(ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル樹脂等)を最内層に用いてもよい。内容物を紙カップ2内に充填後、ボイル、レトルト、マイクロウェーブ加熱処理等がされる紙カップ2では、ポリエチレンより融点の高いポリプロピレンを用いてもよい。
上述のような種々の紙カップ2の材質に合わせ、紙カップ2の最内面層樹脂と融着する樹脂を、紙カップ2のフランジ28下面に固着する樹脂として選定する。紙カップのフランジ下面に固着する樹脂としては、例えば、最内面層樹脂が低密度ポリエチレンの場合は、低密度ポリエチレンを用いることができる。さらに紙カップ2のフランジ強度を更に高めたい場合には、高密度ポリエチレンを使用することができる。また、紙カップ2のフランジ28下面に固着する樹脂として、紙カップ2の胴部の最内層樹脂がポリプロピレンの場合はポリプロピレン、紙カップ2の胴部の最内層樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、ポリエチレンテレフタレートのように、紙カップ2の胴部の最内層樹脂と同種の樹脂を用いてもよく、紙カップ2の胴部の最内層樹脂と融着性があれば紙カップ2の胴部の最内層樹脂と異樹脂を用いてもよい。
紙カップ2本体は胴部、ボトム、を従来行われている方法で成形融着し、トップフランジ部も超音波による潰し、機械的な潰しなど従来の方法を採用し、扁平な状態に成形することができる。最内面層が樹脂、最外面層が紙の紙カップにあっては、潰されたフランジ内部の紙と樹脂と、最内外面層が樹脂製のカップにあっては、潰されたフランジ内部の最内面層の樹脂と最外面層の樹脂とが融着した状態にしておく方が好ましい。
次に、上記で扁平な状態に成形した紙カップ2のフランジ28下面に、樹脂部材5を超音波により固着させる方法について説明する。図2に、紙カップ2のフランジ28下面に樹脂部材5を超音波溶着により溶着固定する方法の説明図を示す。あらかじめ、紙カップ2のフランジ28下面の形状に沿った形状に成形した樹脂部材5をアンビル(受け治具)8上にセットした後、紙カップ2を重ね、超音波ホーン6にて圧力をかけ、圧力をかけた状態で発振し、樹脂部材5において、紙カップ2のフランジ28下面に接触する部分、および紙カップ2の側面に接触する部分の樹脂を溶融する。その後、溶融した樹脂が固化するまで、圧力をかけた状態を保ちながら超音波ホーン6の振動をとめた後、ホールドして接着する方法を採用することができる。上述の超音波融着する方法では、樹脂部材5の紙カップ2のフランジ28下面との融着面に、その形状に沿った突起形状(エネルギーダイレクター)を設けると、ムラの少ないシールが得られるため、樹脂部材5として使用する樹脂と、樹脂部材5の紙カップ2のフランジ28下面との融着面の形状とに応じて、エネルギーダイレクターを設けると良い。特に、超音波振動方向に対し、樹脂部材5の融着面が垂直面になる、紙カップ2のフランジ28下面への融着には効果がある。超音波ホーン6先端部形状は、紙カップ2のフランジ28に接触する形状であれば良い。しかしながら、超音波ホーン6先端部形状は、紙カップ2開口上部内面側壁に沿って接触させる形状が好ましい。これは溶融した樹脂部材5による紙カップ2側壁への圧力が、紙カップ2上部内面側壁を内側へ変形させる事の防止と、紙カップ2側壁外面と樹脂部材5の融着を確実にするためである。フランジ強度は樹脂部材5の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
次に、扁平な状態に成形した紙カップ2のフランジ28下面に、樹脂部材65を圧縮冷却金型で融着固定させる方法について説明する。図3に、紙カップ2のフランジ28下面に、樹脂部材5を圧縮冷却金型で融着固定する方法の説明図を示す。圧縮冷却下金型14の上に、樹脂溶融押し出し機の先端に付けられた、紙カップ2のフランジ径に合わせた円形ダイスにて、溶融した樹脂15を必要量円形に吐出し、紙カップ2を圧縮冷却下金型14に挿入し、圧縮冷却上金型13で圧縮し、溶融した樹脂15を型通りに成形、冷却し、得られた樹脂部材65を紙カップ2のフランジ28下面に固着する。樹脂部材65が凝固した段階で圧縮冷却上下金型13、14を開放し、紙カップ2を取り出す。フランジ28の形状が円以外の容器でも、ダイス形状をフランジ28の形状に合わせれば可能だが、円以外の形状では部位により樹脂量のバラツキ等が発生し易い。またノズルより線上にフランジ28の形状に沿って、溶融した樹脂15を押し出す方法もあるが、押し出し最初と最後では樹脂温度に差が出る事と、境目が生ずる事もある。したがって、溶融した樹脂15を押し出す方法は、フランジ形状が円形の物が品質上安定する。
圧縮冷却上下金型13、14は、溶融した樹脂15を型通りに成型し凝固させる為、連続生産においては圧縮冷却上下金型13、14自体を冷却する必要がある、圧縮冷却上下金型13、14に温度上昇が無く十分な冷却が出来れば空冷法でも良いが、図3に示したように、圧縮冷却上下金型13、14内に冷却水の流路16を設け、温度調整された冷却水を流し、圧縮冷却上下金型13、14の温度を調節することが、品質の安定化には好ましい。フランジ強度は溶融した樹脂15の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
(第2の実施形態)
図4に、第2の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図を示す。第1の実施形態の構成要素と同一または対応する構成要素は同一の参照符号で示し、詳細な説明は省略する。本実施形態は、扁平に成形されたフランジ28の下面に加え外縁部にまで樹脂部材9が固着されている点が、第1の実施形態と異なっている。
紙カップ2のフランジ28下面および外縁部に、樹脂部材9を超音波により固着させる方法について説明する。図5に、紙カップ2のフランジ28下面および外縁部に樹脂部材9を超音波溶着により溶着固定する方法の説明図を示す。あらかじめ、紙カップ2のフランジ28下面および外縁部の形状に沿った形状に成形した樹脂部材9をアンビル12上にセットした後、紙カップ2を重ね、超音波ホーン10にて圧力をかけ、圧力をかけた状態で発振し、樹脂部材9において、紙カップ2のフランジ28下面および外縁部に接触する部分、および紙カップ2の側面に接触する部分の樹脂を溶融する。その後、溶融した樹脂が固化するまで、圧力をかけた状態を保ちながら超音波ホーン10の振動をとめた後、ホールドして接着する方法を採用することができる。上述の超音波融着する方法では、樹脂部材9の紙カップ2のフランジ28下面との融着面に、その形状に沿った突起形状(エネルギーダイレクター)を設けると、ムラの少ないシールが得られるため、樹脂部材9として使用する樹脂と、樹脂部材9の紙カップ2のフランジ28下面との融着面の形状とに応じて、エネルギーダイレクターを設けると良い。特に、超音波振動方向に対し、樹脂部材9の融着面が垂直面になる、紙カップ2のフランジ28下面への融着には効果がある。超音波ホーン10先端部形状は、紙カップ2のフランジ28に接触する形状であれば良い。しかしながら、超音波ホーン10先端部形状は、紙カップ2開口上部内面側壁に沿って接触させる形状が好ましい。これは溶融した樹脂部材9による紙カップ2側壁への圧力が、紙カップ2上部内面側壁を内側へ変形させる事の防止と、紙カップ2側壁外面と樹脂部材9の融着を確実にするためである。フランジ強度は樹脂部材9の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
(第3の実施形態)
図6に、第3の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図を示す。紙カップ18は、外縁を下方に傾斜成形されたフランジ29を備え、フランジ29の下面に樹脂部材17が固着されている。
紙カップ18の胴部の材質は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
紙カップ18本体は、胴部、ボトム、を従来行われている方法で成形融着し、トップフランジ部も超音波による潰し、機械的な潰しなど従来の方法を採用し、扁平な状態に成形することができる。また、トップフランジを扁平に成形した後、フランジ29外縁部を斜め下方に成形する。
次に、上記で成形した紙カップ18のフランジ29下面および外縁部に、樹脂部材17を超音波により固着させる方法について説明する。図7に、紙カップ18のフランジ29下面に樹脂部材17を超音波溶着により溶着固定する方法の説明図を示す。あらかじめ、紙カップ18のフランジ29下面の形状に沿った形状に成形した樹脂部材17をアンビル21上にセットした後、紙カップ18を重ね、超音波ホーン20にて圧力をかけ、圧力をかけた状態で発振し、樹脂部材17において、紙カップ18のフランジ29下面に接触する部分、および紙カップ18の側面に接触する部分の樹脂を溶融する。その後、溶融した樹脂が固化するまで、圧力をかけた状態を保ちながら超音波ホーン20の振動をとめた後、ホールドして接着する方法を採用することができる。上述の超音波融着する方法では、樹脂部材17の紙カップ18のフランジ29下面との融着面に、その形状に沿った突起形状(エネルギーダイレクター)を設けると、ムラの少ないシールが得られるため、樹脂部材17として使用する樹脂と、樹脂部材17の紙カップ18のフランジ29下面との融着面の形状とに応じて、エネルギーダイレクターを設けると良い。特に、超音波振動方向に対し、樹脂部材17の融着面が垂直面になる、紙カップ18の下方に傾斜成形した部分を除いたフランジ29下面への融着には効果がある。超音波ホーン20先端部形状は、紙カップ18のフランジ29に接触する形状であれば良い。しかしながら、超音波ホーン20先端部形状は、紙カップ18開口上部内面側壁に沿って接触させる形状が好ましい。これは溶融した樹脂部材17による紙カップ18側壁への圧力が、紙カップ18上部内面側壁を内側へ変形させる事の防止と、紙カップ18側壁外面と樹脂部材17の融着を確実にするためである。フランジ強度は樹脂部材17の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
次に、紙カップ18のフランジ29下面に、樹脂部材15を圧縮冷却金型で融着固定させる方法について説明する。図8に、紙カップ18のフランジ29下面に、樹脂部材15を圧縮冷却金型で融着固定する方法の説明図を示す。圧縮冷却下金型27の上に、樹脂溶融押し出し機の先端に付けられた、紙カップ18のフランジ径に合わせた円形ダイスにて、溶融した樹脂15を必要量円形に吐出し、紙カップ18を圧縮冷却下金型27に挿入し、圧縮冷却上金型26で圧縮し、溶融した樹脂15を型通りに成形、冷却し、得られた樹脂部材15を紙カップ18のフランジ29下面に固着する。樹脂部材15が凝固した段階で圧縮冷却上下金型26、27を開放し、紙カップ18を取り出す。フランジ29の形状が円以外の容器でも、ダイス形状をフランジ29の形状に合わせれば可能だが、円以外の形状では部位により樹脂量のバラツキ等が発生し易い。またノズルより線上にフランジ29の形状に沿って、溶融した樹脂15を押し出す方法もあるが、押し出し最初と最後では樹脂温度に差が出る事と、境目が生ずる事もある。したがって、溶融した樹脂15を押し出す方法は、フランジ形状が円形の物が品質上安定する。
圧縮冷却上下金型26、27は、溶融した樹脂15を型通りに成型し凝固させる為、連続生産においては圧縮冷却上下金型26、27自体を冷却する必要がある、圧縮冷却上下金型26、27に温度上昇が無く十分な冷却が出来れば空冷法でも良いが、図8に示したように、圧縮冷却上下金型26、27内に冷却水の流路16を設け、温度調整された冷却水を流し、圧縮冷却上下金型26、27の温度を調節することが、品質の安定化には好ましい。フランジ強度は溶融した樹脂15の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
(第4の実施の形態)
図9に、第4の実施形態に係る紙カップのフランジ付近の断面概略図を示す。第3の実施形態の構成要素と同一または対応する構成要素は同一の参照符号で示し、詳細な説明は省略する。本実施形態は、扁平に成形され、外縁を下方に傾斜成形されたフランジ29の下面に、外縁部の下端面を越える厚さの樹脂部材22が固着されている点が、第3の実施形態と異なっている。
紙カップ18のフランジ29下面および外縁部に、樹脂部材22を超音波により固着させる方法について説明する。図10に、紙カップ18のフランジ29下面に樹脂部材22を超音波溶着により溶着固定する方法の説明図を示す。あらかじめ、紙カップ18のフランジ29下面の形状に沿った形状に成形した樹脂部材22をアンビル25上にセットした後、紙カップ18を重ね、超音波ホーン24にて圧力をかけ、圧力をかけた状態で発振し、樹脂部材22において、紙カップ18のフランジ29下面に接触する部分、および紙カップ18の側面に接触する部分の樹脂を溶融する。その後、溶融した樹脂が固化するまで、圧力をかけた状態を保ちながら超音波ホーン24の振動をとめた後、ホールドして接着する方法を採用することができる。上述の超音波融着する方法では、樹脂部材22の紙カップ18のフランジ29下面との融着面に、その形状に沿った突起形状(エネルギーダイレクター)を設けると、ムラの少ないシールが得られるため、樹脂部材22として使用する樹脂と、樹脂部材22の紙カップ18のフランジ29下面との融着面の形状とに応じて、エネルギーダイレクターを設けると良い。特に、超音波振動方向に対し、樹脂部材22の融着面が垂直面になる、紙カップ18の下方に傾斜成形した部分を除いたフランジ29下面への融着には効果がある。超音波ホーン24先端部形状は、紙カップ18のフランジ29に接触する形状であれば良い。しかしながら、超音波ホーン24先端部形状は、紙カップ18開口上部内面側壁に沿って接触させる形状が好ましい。これは溶融した樹脂部材22による紙カップ18側壁への圧力が、紙カップ18上部内面側壁を内側へ変形させる事の防止と、紙カップ18側壁外面と樹脂部材22の融着を確実にするためである。フランジ強度は樹脂部材22の量、厚みで調節でき、必要十分な強度設定ができる。
フランジ下面に固着する樹脂部材の厚みを大きくし、樹脂部材の外周部に螺子やキャップロック機構を設ければ、螺子キャップ、ロックキャップ付きの保存容器などに有用である。
1 容器蓋
2、18 紙カップ
3 樹脂製成形品
4 スタックハイト
5、9、17、22、65 樹脂部材
6、10、20、24 超音波ホーン
8、12、21、25 アンビル(受け治具)
13、26 圧縮冷却上金型
14、27 圧縮冷却下金型
15 溶融した樹脂
16 冷却水流路
28、29 フランジ

Claims (6)

  1. 紙容器において、少なくとも最内面側に樹脂被膜と、扁平に成形されたフランジとを有し、前記フランジの下面に樹脂部材を融着することを特徴とする、紙容器。
  2. 前記樹脂部材を、前記フランジの外縁の外側までをさらに覆うように融着することを特徴とする、請求項1に記載の紙容器。
  3. 前記フランジの外縁部は下方に傾斜成形されていることを特徴とする、請求項1に記載の紙容器。
  4. 前記樹脂部材の厚みは、前記フランジの外縁の下端面を越える厚みであることを特徴とする、請求項3に記載の紙容器。
  5. 前記樹脂部材を、超音波融着によりフランジ下面に融着することを特徴とする、請求項1〜4に記載の紙容器。
  6. 溶融状態の樹脂を前記フランジ下面に設置し、前記溶融状態の樹脂と前記フランジとを圧縮冷却金型の上下の間に挟み込み、圧縮冷却して型通りの形状に前記樹脂部材と前記フランジとを成型し、前記樹脂部材を前記フランジの下面に融着することを特徴とする、請求項1〜4に記載の紙容器。
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JP (1) JP2013249117A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016078868A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 日清食品ホールディングス株式会社 紙製容器
WO2023171038A1 (ja) * 2022-03-07 2023-09-14 東罐興業株式会社 容器及び容器製造方法

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