JP2013248488A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊技領域に制約を受けることなく、また、遊技盤の下方、横方に関わりなくピアノ線等の侵入物の侵入を防止し、例えば始動口の命釘を曲げたり、構成物を損壊させる等して不正に入賞させたり、入賞率を高くするのを防止すること。
【解決手段】遊技領域内に、遊技球の挙動に変化を与える複数の構成物が遊技盤面から窓部側に突出するように設けられ、前記遊技領域内において、窓部に接当して窓部と前記構成物との間を閉塞する防御部材が、前記個々の構成物の表面を渡るように設けられている遊技機。
【選択図】 図4

Description

本発明は、遊技球を用いて遊技を行う遊技機に関する。
遊技機の一つであるパチンコ機(ここでは第2種を例とする)では、違法な操作で遊技を行うゴト師が、不正を行い易くするために一般的な遊技を行う動作に紛れて、例えばピアノ線等を、前面枠セットを前面側に引っ張って遊技機本体枠との間隙を広げて遊技領域内に侵入させ、或いは、遊技球払出通路部分に穿孔してピアノ線を遊技領域内に侵入させ、以って、図16に示すように、上部の羽根部材物である電動役物ユニット603に対する誘導釘712を矢印で示すごとく曲げ、或いは、羽根部材物の入賞装置(羽根部材或いは入賞率を左右するキャラクター)に直接アタックして不正に入賞率を高めたり、その上方の風車711の軸を矢印で示すように曲げたり、また、図17に示す如く、第1始動口601の命釘713、その上方の案内釘(誘導釘)714等を矢印に示すように曲げて入賞率を高めたり、第1始動口601の右側方の案内釘715を曲げて、下方の第2始動口(図外)への入賞率を高めたり等の問題を起こしており、これを防止する必要がある。
特に、電動役物ユニット603に対する命釘、案内釘を変形されて不正に入賞率を高められると、羽根部材物が開き作動して直接賞品球を大量に出すこととなって、一般の始動口(第1種の場合は単に始動回数が増加するだけ)の釘改変とは異なり、非常に大きな影響を及ぼすことになる。
こうした不正に対処する具体方法として、遊技盤面の遊技球に対するレールの外側に、侵入防止壁を設け、これによって、遊技機本体の一部、例えば、前面枠セットと遊技機本体枠との隙間(前面枠セットを前側に引っ張る)、或いは樹脂製の払出通路の一部に不正に穿孔(電気コテ等の手段で)穿孔された孔からピアノ線等の侵入物を挿入し、始動口の上部の命釘を湾曲改変するのを防止するという手段が講じられていた。
かかる従来技術としては、次の技術が挙げられる。
特開平6−114146号公報。 特開平8−107969号公報。
しかし乍ら、上述した侵入防止壁は、内レールの外側に沿って敷設されるものであり、この侵入防止壁を設けるためのスペースを確保するために、遊技領域が狭くなると共に狭いスペースに侵入防止壁を設けるために、侵入防止壁は構造上の制約を受けるという問題があった。
その他、遊技盤の下方のスペースに敷設されているものである場合は、遊技盤の横側方からピアノ線等を挿入された場合には防ぎきれないという問題もある。また、(電気コテ等の手段で)払出通路などに穿孔されることを直接防止するには、金属板など硬質のものを用いる必要があるが、金属板であっても穿孔される虞はある。
本発明は、遊技領域に制約を受けることなく、また、遊技盤の下方、横方に関わりなくピアノ線等の侵入物の侵入を防止し、例えば始動口の命釘を曲げたり、構成物を損壊させる等して不正に入賞させたり、入賞率を高くするのを防止することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
遊技球が転動する遊技領域を形成する遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域を視認することができる窓部を有する前面枠セットとを備え、前記遊技領域内には、遊技球の挙動に変化を与える少なくとも二つの構成物が遊技盤面から窓部側に突出するように設けられている遊技機において、
前記遊技領域内において、窓部に接当して窓部と前記構成物との間を閉塞する防御部材が、前記少なくとも二つの構成物の表面を渡るように設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、遊技領域内に防御部材を設けたことによって、従来のような防御部材を設けるために遊技領域を狭く構成しなければならない等の制約を受けることなく、また、遊技盤の下方、横方に関わりなくピアノ線等の侵入物の侵入を防止して遊技領域内の構成物に対する不正を阻止して、結果として遊技球の入賞率(一般入賞球、始動球等)が不正に高められるのを防止することが出来る。
また、防御部材を上下の厚みにおいて薄く構成することができて、製造コストを削減することができる。
更に、防御部材が遊技領域内に設けられていることは窓部から視認できるので、ゴト師に対して防御対策が講じられていることを予めアピールすることができて、これによって、無意味な払出通路の穿孔等、遊技機の損傷を未然に回避できる。
更に、複数の構成物の表面を渡るように設ければよいので(一つのユニット化された大型の構成物にあっては、その高さ変化(凹凸)による上端部の表面を渡るように設ければよい)、その構成物をこれに敷設する防御部材に合わせてわざわざ大型化しなければならないといった必要性はなく、防御部材を長尺ものとするだけで、既存設計の遊技機に対して、簡単に広い範囲の防御を施すことができる。
パチンコ機の正面図。 外枠に対して内枠と前面枠セットセットとを開放した状態を示す斜視図。 パチンコ機から前面枠セットセットを取り外した状態を示す正面図。 防御部材を設けた遊技盤の構成を示す正面図。 前面枠セットセットの背面図。 防御部材を設けた遊技盤の要部の概略従断面図。 防御部材を第2始動口に設けた遊技盤の構成を示す正面図。 第2始動口に設けた防御部材の拡大斜視図。 第2始動口に設けた防御部材の拡大正面図。 始動口の命釘に関わる不正を示す概略正面図。 防御部材の一変形例の圧縮状態を示す縦断側面図。 防御部材の一変形例の非圧縮状態を示す縦断側面図。 防御部材の別態様を示す遊技盤の正面図。 防御部材の別態様の使用状態を示す防御部材の正面図。 防御部材の比較例を示す従来例の防御部材の正面図。 従来の遊技機の羽根部材近傍を示す要部の正面図。 従来の遊技機の風車近傍を示す要部の正面図。
本発明を説明するにあたり、名称の意味合いを説明しておく。
本発明に言う「遊技領域」とは、外レール及び内レールによって囲われた領域を言う。
本発明に言う「遊技領域の外周構成体」とは、内レール及びその他の物(意匠構成物等)で、実質的に遊技領域の外周を形成しているものを言う。
そして、「遊技領域を視認することのできる窓部」とは、ガラス乃至透明な合成樹脂板によって覆われた構造の窓を言う。
また、本発明に言う遊技球の挙動に変化を与える「構成物」とは、遊技盤上の遊技領域に敷設された全てのものを含み、例えば、一般入賞口構成物、大当たり入賞口構成物、可変入賞装置(羽根部材)、始動口構成物、風車、役物(キャラクター等)の意匠構造物、照明構造物、誘導釘、命釘、スルーゲート等が含まれる。
そして、前記構成物は、異なる性質の例えば、一般入賞口構成物、大当たり入賞口構成物、可変入賞装置(羽根部材)、始動口構成物、風車、役物(キャラクター等)の意匠構造物、誘導釘、命釘、スルーゲート等であれば、複数存在することになるので、防御部材は、これらの表面を渡るように設けられるが、ユニット化された、例えば、大型の一つの役物(キャラクター等)の意匠構造物や、内レールに沿って設けられたユニット化された一つの照明構造物の場合は、前記防御部材が、その表面を渡るように設けるということは、これらの構造物に、遊技盤の表面上で高さ変化が存在し、それ故に、その構造物の高さのある突出部の上面を渡るように設けるという意味ということになる。
更に、「遊技盤の側方」とは、遊技盤の前方に対する側方(横方のみ)という概念でなく、矩形の遊技盤にあってはその4側辺(上下、左右横側を含む)を意味し、遊技盤が円形、楕円形である場合には、その周側を意味する。
また、「侵入物」とは、主にピアノ線を意味するが、針金、可撓性棒状材、その他これらに類する物で、専らゴト師が遊技機本体、遊技領域内に挿入して不正に用いる器具類を意味する。
本発明にかかる手段1の遊技機は、遊技球が転動する遊技領域を形成する遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域を視認することができる窓部を有する前面枠セットとを備え、前記遊技領域内には、遊技球の挙動に変化を与える少なくとも二つの構成物が遊技盤面から窓部側に突出するように設けられている遊技機において、前記遊技領域内において、窓部に接当して窓部と前記構成物との間を閉塞する防御部材が、前記少なくとも二つの構成物の表面を渡るように設けられていることを特徴とする。
上記の如く、前記遊技領域内に、遊技球の挙動に変化を与える少なくとも二つの構成物と窓部との間を閉塞する防御部材を、前記構成物の表面を渡るように設けたことによって、従来のような防御部材を設けるために遊技領域を狭く構成しなければならない等の制約を受けることなく、また、不正対象となる構成物に対して、遊技盤の下方、横方に関わりなくピアノ線等の侵入物の侵入を防止し、これによって、例えば、始動口の命釘を曲げたり、構成物を損壊させたり、羽根部材物を強制的に開けたり、始動口に侵入してスイッチ機能を果たすといった入賞率を高くする不正を防止することが出来る。
そして、防御部材が遊技領域内に設けられていることは窓部から視認できるので、ゴト師に対して防御対策が講じられていることを予めアピールすることができて、これによって、無意味な払出通路の穿孔、構成物の損壊等を未然に回避できる。
また、複数の構成物の表面(一つのユニット化された大型の構成物にあっては、その高さ変化(凹凸)による上端部の表面を渡るように設ければよい)を渡るように設ければよいので、その構成物をこれに敷設する防御部材に合わせてわざわざ大型化しなければならないといった必要性はなく、防御部材を長尺ものとするだけで、既存設計の遊技機に対して、簡単に広い範囲の防御を施すことができる。
手段2:手段1において、
前記少なくとも二つの構成物が、それぞれ遊技領域の外周構成体の内周に沿って設けられ、前記防御部材がそれらの構成物の遊技領域外側部分の上面を渡るように、且つ、遊技領域の略下方半分に亘って円弧状に設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、前記防御部材が透明な素材で構成されていない場合でも、遊技領域の視認性の悪化を抑制することができる乍ら遊技領域全般の構成物に対するピアノ線等による不正を防御できる。
手段3:手段1において、
前記少なくとも二つの構成物が、それぞれ遊技領域の外周構成体の内周に沿い、前記防御部材がそれらの構成物の遊技領域外側部分を渡るように、且つ、内レールと略均等の距離で、所定の構成物に対応する内レールの部分に亘って円弧状に設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、遊技領域の視認性の悪化を抑制することができると共に例えば防御部材を遊技盤の上下方向中間位置に配置した場合には、遊技領域の特定箇所の構成物、例えば、遊技領域の中央に数多く配置されている構成物である中央入賞装置、命釘、羽部部材、風車等に対する不正防止を行い得る。
手段4:手段1乃至手段3において、
前記防御部材が遊技領域内の前記構成物の表面から窓部に向けて突出するように設けられていることを特徴とする。
この構成によって、防御部材を予め前記構成物に取り付けておくことで防御部材の取り付けを前記構成物の組み付け工程で行うことができ、作業工程を簡素化できる。
手段5:手段1乃至手段4において、
前記構成物が、異なる種類の構成物であっても前記窓部に対して略一定の間隙を有するように構成され、前記窓部の遊技盤側のガラス面が、平面かつ遊技盤面に平行であり、前記遊技領域より大きな範囲を覆うものであることを特徴とする。
かかる構成により、遊技領域のどの位置の構成物に取り付けたとしても、窓部の遊技盤側のガラス面までの距離が略一定であって、遊技領域より大きな範囲を覆い、且つ、平面であるガラス面に必ず接当する構成とされているものであるので、前記構成物の配置毎に形状の異なる防御部材を準備する必要がなく、コスト低減を図ることができると共に開発が行いやすい。
手段6:手段1又は手段2において、
前記防御部材が圧縮変形可能な弾性材から成り、且つ、前面枠セットの閉鎖によって窓部のガラスで弾性圧縮変形され、且つ、前記前面枠セットの開放側への不正操作による引っ張りによって生じるガラスの構成物からの離間をカバーする弾性復元変形が可能な寸法に構成されていることを特徴とする。
このように、弾性材の防御部材であるから寸法誤差、取り付け誤差に多少の変動があっても、ガラスを閉じるときに、その弾性変形で吸収してくれて、ガラスの開閉を防御部材との接当による衝撃音の発生もなくスムースに行い得ると共に不正にガラスを手前側に引っ張っても、その程度の変位であれば、弾性復元によって防御部材が追従伸長し、吸収してしまうことができて、ガラスと防御部材との間に隙間が形成されるのを未然に回避できる。
手段7:手段1、手段2又は手段6において、
前記防御部材が、窓部のガラスに対してその上面部で面接触するよう構成されると共に前記ガラスとの非接触状態において、前記上面部の前記遊技領域の外側に位置する部分がガラスに近接するように高く形成され、遊技領域の中心部側に位置する部分が低くなるように傾斜して形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、防御部材を出来るだけ小型化してコストを低減できると共に窓部を閉じてガラスが防御部材を圧縮変形するときに、高く形成されている前記遊技領域の外側に位置する部分が強く圧縮変形され(変形量が大)、この部分の強度を増大させることができ、これによって、出来るだけ小型化できながら、遊技領域の外側から進行してくる侵入物を強力にブロックすることできる。
手段8:手段1乃至手段7において、
前記少なくとも二つの構成物と、これらの表面を渡るように設けられた防御部材とによって遊技球の通過を許す通路が構成されていることを特徴とする。
このように、防御部材を、個々の構成物の表面を渡るように構成したことで、つまり、個々の構成物をそのまま活かして防御部材を設けるので、従前通りに構成物間の通路を活かすことができて、例えば、内レールへ遊技球を導き、次いでアウト口からの排出ができるのである。
手段9:手段3乃至手段8において、
前記防御部材が、構成物の一つであるスルーゲートに対応する内レールに近接した構成物の上面部分を渡るように、内レールに沿って円弧状に設けられていることを特徴とする。
このように、スルーゲートの機能保全を目的として防御部材をスルーゲートの近傍に配置したことで、円弧状の防御部材によって、スルーゲートは勿論、スルーゲートの近傍に位置される風車、これらに対応する案内釘などに対して比較的広範囲において、不正防止を図ることができ、スルーゲート、案内釘、風車に対する不正に起因する入賞率の不正向上を阻止することができる。
手段10:手段3乃至手段8において、
前記防御部材が、構成物の一つである風車の近傍に設けられ、遊技盤の側方から挿入される侵入物が風車に到達できないように構成されていることを特徴とする。
このように、本発明では風車の機能保全を目的として防御物を風車の近傍に配置することが可能であるので、従来の遊技盤下方に配置した防御部材では達成できなかった風車の保護が図れ、風車に起因する入賞率の不正向上を阻止することができる。
手段11:手段1乃至手段10において、
前記防御部材が、少なくとも前記遊技盤面に平行な方向に幅を有する立体に構成されていることを特徴とする。
このように、防御部材が遊技盤面に平行な方向に幅を有することにより、防御部材が、軟質の合成樹脂素材、或いは電気コテ等による穿孔可能な素材で構成されていても、この幅を有する防御部材を貫通した後の侵入物は、その幅が存在する故に通過したピアノ線等の先端部の自由が拘束されることになり、ピアノ等の先端を自在に操ることが出来なくなって(板の貫通孔であれば、孔が支点となって略自在に操作できる)、釘曲げ、入賞装置の不正操作を行うことが出来ないのである。
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げるが、本発明は、パチンコ機の入賞装置の他に、球体を用いて遊技盤上で遊技を行う遊技機一般の入賞装置を対象とすることができる。なお、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
上記内枠12の構成を、図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領城内の構成〔釘、センター役物等〕を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。
上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と後述するセットハンドル228と発射モータ229(図6参照)などで構成されている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカ24からの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回勣(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のものであって、具体的には針金、ピアノ線、セルロイド板等)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
ここで、前面枠セット14は、少なくとも遊技球発射ハンドル18に干渉しないようにして本パチンコ機10の下方に拡張して設けられており、具体的な数値を示すと、パチンコ機10の下端から前面枠セット14の下端までの寸法(図1のL1)は、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機10の下端から上皿19までの寸法(図1のL2)も小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では261mmとなっている。
かかる構成では、上皿19の位置を下げたことにより、パチンコ機10の左方に設けられた球貸し装置のノズル部(いわゆる、象の鼻)と上皿19との距離が大きくなって貸し出される遊技球のこぼれ落ちなどが懸念されるが、本実施例では、当該ノズル部からの遊技球を受ける部分(向かって左側部分)で上皿19の周囲壁の一部を高くした(図1の高壁部19a)。これにより、上皿19の位置を下げた構成にあっても貸し遊技球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。なお、高壁部19aの高さ寸法は、上皿19の下げ寸法に見合うものであればよく、本実施例では25mmとした。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、天入賞口610、一般入賞口600、左右1対の第1始動口601、これら第1始動口601の中間部であって第1始動口601より若干下方に設けられた第2始動口602、遊技領域の略中央に設けられた電動役物ユニット(センター役物)603等を備えている。これらの一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602、電動役物ユニット603等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。
前述の天入賞口610、一般入賞口600、第1の始動口601、第2の始動口602に対応する部位には、それぞれ、天入賞口入球センサ609、一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605、第2始動口入球センサ606が設けられており、これらセンサは、図示しない電気配線を通じて後述する主制御基板(主制御装置)に接続されている。そして、天入賞口610、一般入賞口600、第1始動口601、第2始動口602および電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、上記各検出センサ(但し、電動役物ユニット603に遊技球が入球した場合には、後述の役物内入球口カウントセンサ730)で検出され、この検出センサの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。
尚、上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御基板に取り込まれ、該主制御基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数、但しVゾーン入球センサ721での検出結果の場合は除く)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
その他に、遊技盤30の左右端には、上記一般入賞口600を備えた装飾部材630が設けられる一方、遊技盤30の下方には、上記第1始動口601、第2始動口602を備えた補助ユニット608が設けられている。また、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。さらに、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、同様の機能を有する風車が配設されている。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)か内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返さわるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。この実施例では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることかでき、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール51および外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証祇との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距部は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51および外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領城の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。
また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。尚、上記幅および高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、または50パーセント以上としてもよい。
なお、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、複数の釘(遊技球を第1始動口601、第2始動口602、或いは役物内入球口612,613等に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、電動役物ユニット603の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに、複数の釘、風車、他の投物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との問には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される、これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになり、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。
また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることかでき、槌先の打球強さの調整等がしやすくなるという効果がある。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている、前面枠セット14を内枠12から開放した状能(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。
また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セットセット14の金属製の補強板132,131が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。
図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セットセット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セットセット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の電動役物ユニット603も比較的上方に配置することかできるようになっている。前面枠セットセット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より好ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セットセット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度および支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1および図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セットセット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。
このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領城において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度および支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時や羽根部材開放時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する。
さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。
返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることかできる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側および上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。
また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール51,52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置38より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被服するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セットl4の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール52のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区問において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側緑部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延びかつ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール52にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
(パチンコ機の背面構成他)
パチンコ機10の背面の構成については、各種制御基板、遊技球供給装置(払出機構)等が備えられるが、本発明の本旨から外れるので、ここでの詳細説明は省略する。同様に、本実施例にかかるパチンコ機のその他の基本構成、例えば、電動役物ユニットの具体構成、作用説明等についてもその詳細説明は省略する。
〔本発明の特徴構成部〕
図4、図6に示すのは、遊技機における本発明の特徴構成部分についてであり、遊技盤30の前面に遊技球Baが転動する遊技領域を視認することのできる窓部101を有する前面枠セット104を備え、前記遊技領域内には、遊技球Baの挙動に変化を与える複数の構成物、ここでは、一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605等を備えた意匠構成部が、遊技盤面から内レール51の略全周に亘って、これに沿って、且つ、窓部101側に略同じ高さで突出するように設けられている。即ち、少なくとも二つの構成物が、それぞれ遊技領域の外周構成体である内レール51の内周に沿って設けられ、後述の防御部材700がそれらの意匠構成物の遊技領域外側部分の上面を渡るように、且つ、遊技領域の略下方半分に亘って円弧状に設けられている。
詳述すると、前記遊技領域内において、窓部101に接当して窓部101と前記構成物との間を閉塞する防御部材700が、前記個々の構成物(一般入賞口入球センサ607の意匠構造部606A、607B、第1始動口入球センサ605の意匠構造部605A等)の表面を渡るように、前記内レール51の略全周に亘って、且つこの内レール51の略全周に沿って、窓部101側に突出するように設けられている。上記一般入賞口入球センサ607は、ここでは、上下に間隔を隔てて且つ、遊技盤30の中心の左右に対象の位置に、夫々一対設けられている。
図6は、前記一般入賞口入球センサ607、第1始動口入球センサ605の意匠構造部606A、607B、605Aに渡って設けられる防御部材700の設置状態を示す遊技盤30の要部の縦断側面図であり、前記一般入賞口入球センサ607及び第1始動口入球センサ605の意匠構造物607A,605A間は、遊技球Baが通過できる通路Rに構成してある。この通路Rを通過した遊技球Baは、内レール51に至り、該内レール51に案内されて下方のアウト口36から排出される。
ここでは、前記防御部材700は、圧縮変形可能な弾性材(比較的硬度がある)で、透明なゴム素材(天然ゴム,合成ゴム)により、円柱形状の長尺物に構成されている。この防御部材700の前記意匠構成物に対する取り付けは、接着剤を用いて行っている。この防御部材700の構成素材は、ゴムに代えて、種々のエラストマー、フッ素樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。
ここで、遊技盤30及びガラス137並びに防御部材700の具体構造について、実寸を用いて詳述する。
前記遊技盤30には、命釘、案内釘等が、盤面から17mm突出する状態で植設されている。この釘の頂部と、ガラス板137の内面との間隙は、4mmである。前記ガラス板137は、互いに間隔を隔てた2枚のガラス板から構成されているが、その2枚の全体の厚みは16mmである。そして、ガラス板137の外面と遊技盤30の盤面との距離は、37mmである。
また、一般入賞口入球センサ607の意匠構造部606A、607B、第1始動口入球センサ605の意匠構造部605Aの上面は、盤面から15mmの高さに位置する。ここにゴム製の上記防御部材700が貼着されているが、その無付加状態においては、基部(構造物の上面)から頂部までが23mmとされており、従って、この頂部に前記ガラス板137の内面が接当した状態(窓部の閉鎖状態)においては、ゴムが4mm程度圧縮変形する状態となる。
〔作用の説明〕
このように、長尺の防御部材700が、一対の一般入賞口入球センサ607の意匠構造部606A、607B(もう一対が遊技盤30の左右対称配置)、第1始動口入球センサ605の意匠構造部605A(中央下部)、第2始動口入球センサ602の意匠構造部に亘って、遊技領域のできるだけ外側の部分で、内レール51の内側に沿って、遊技盤30面から窓部101側に向けて突出するように設けられているので、ゴト師が例えば、前面枠セットを前面側に引っ張って遊技機本体枠との間隙を広げて遊技領域内に侵入させ、或いは、遊技球払出通路部分に穿孔してピアノ線を遊技領域内に前面枠セット14の隙間或いは受皿通路に対する穿孔等、何らかの手段により侵入物をアウト口36や内レールの横側方から遊技領域内に侵入させ、その先端を上下配置の第1の始動口607、607に対して抜き差し作用させたり、その命釘を曲げたりしようとすると、その内レール51の内側に位置する防御部材700に進行を阻まれ、ピアノ線を遊技領域内に侵入させて不正が行われるのを防止することができる。
そして、防御部材70は、内レール51の内側で略全周に亘ってもうけられているので、どのような方向からピアノ線等を侵入させようとしても、ブロックすることができると共に遊技領域内の不正対象構成物を全て網羅する状態で機能を発揮できる。この際、防御部材700が、窓部101、即ち、ガラス137との間隙を密着状態として閉じる構成であるので、ピアノ線がこの防御部材700の上縁を越えて命釘に到達することは出来ないのである。
また、この不正操作に際して、ガラス137を手前に引っ張る操作を併用したとしても、弾性材の防御部材700が圧縮された状態にあるから、ガラス137の加圧状態が解除されると圧縮状態の防御部材700が弾性復元によって半径方向に伸長し、ガラス137の引っ張りに追従して防御部材700との間に隙間が形成されることがなく、ピアノ線の防御部材700越えを確実に阻止できて、不正を防止できるのである。
また、防御部材700を弾性材で構成しておくことで、ガラス137を閉じるとき、多少の製作寸法誤差、取り付け誤差があっても、その弾性変形で吸収することができて、ガラス137の開閉を、防御部材700との接当による衝突音の発生もなくスムースに行い得る。
〔特徴構成部の変形例−1〕
図7乃至図10は、遊技盤30の前面に遊技球が転動する遊技領域を視認することのできる窓部101を有する前面枠セット104を備え、前記遊技領域内には構成物が遊技盤面から窓部101側に突出するように設けられている遊技機についてであり、図8の拡大斜視図で示すように、防御部材700Aが,第2始動口602を主に防御対象として設けられた場合についての実施形態のものを示すものであり、図9は、その正面図である。
図7に示すように、この実施例では、防御部材700Aは、遊技領域内における構成物、即ち、ここでは、遊技盤の中央下方の入賞装置の下に配置された第2の始動口602の下部をU字状に囲うように設けられている。
即ち、第2の始動口602と窓部101、実際にはガラス137との間を閉塞するように防御部材700Aが設けられ、遊技盤30の側方(主にアウト口36)ら挿入されるピアノ線等の侵入物によって始動口602の命釘の曲げ、或いは始動口602へのピアノ線の挿抜によるスイッチ操作等、遊技領域内が改変されるのを防止するように構成されている。
その具体的な構造としては、前記防御部材700Aが圧縮変形可能な弾性材、ここでは、ゴムでもって円柱状に構成された素材を正面視でU字に変形して、そのU字の開口が上向きとなるようにし、その両上端部が第2始動口602の2本の命釘701の間隔よりも広目で、且つ、命釘701のやや下側に位置するようにして、始動口602の部材に対して接着手段(接着剤)により貼り付けられている。このゴム製の円柱状からU字の形状を作成するには、この実施例では、所定の長さに分断したものを湾曲させ、また、直線部分のものと繋いで全体としてU字を形成している。勿論、成型時に一体的にU字を形成するようにしてもよいものである。
上記防御部材700Aの構成素材は、ゴムに代えて、種々のエラストマー、フッ素樹脂、シリコン樹脂等を用いることができ、更には、後に言及するが遊技盤面に平行な方向に幅を有する立体に構成され、適度の保形成を持つものであれば比較的軟らかな発泡樹脂等であっても十分に目的を達成することが出来る。
そして、前記防御部材700Aは、前面枠セット14の閉鎖によって窓部101のガラス137で弾性圧縮変形され、且つ、前記前面枠セット14の開放側への不正操作による引っ張りによって生じるガラス137の第2始動口602(構成物)からの離間に追従して伸長する弾性復元変形が可能な寸法(直径)に構成されている。
ここで、遊技盤30及びガラス137並びに防御部材700Aの具体構造について、実寸を用いて詳述すると、前記遊技盤30には、命釘、案内釘等が、盤面から17mm突出する状態で植設され、この釘の頂部と、ガラス板137の内面との間隙は、4mmで、前記ガラス板137は、互いに間隔を隔てた2枚のガラス板から構成されているが、その2枚の全体の厚みは16mmであり、そして、ガラス板137の外面と遊技盤30の盤面との距離は、37mmである点は、先の実施例説明と同じであり、また、第2始動口602の構造物としての上面も、盤面から15mmの高さに位置し、その上に貼着される防御部材700Aは、その無付加状態においては、基部(構造物の上面)から頂部までが23mmとされ、この頂部に前記ガラス板137の内面が接当した状態(窓部の閉鎖状態)においては、ゴムが4mm程度圧縮変形する状態となるものである。
〔作用の説明〕
例えば、前面枠セット14の隙間或いは受皿通路に対する穿孔する等の何らかの手段により侵入物、例えばピアノ線をアウト口36から遊技領域内に侵入させ、その先端を第2の始動口602の命釘701に近付けようとすると、どの方向から上方に侵入させようとしても、U字形の上記防御部材700の存在によって行く手を阻止されることになり、この際、防御部材700が、窓部101、即ち、ガラス137との間隙を密着状態として閉じているので、ピアノ線がこの防御部材700の上縁を越えて命釘に到達することは出来ないのである。
また、この不正操作に際して、ガラス137を手前に引っ張る操作を併用したとしても、弾性材の防御部材700が圧縮された状態にあるから、ガラス137の加圧状態が解除されると圧縮状態の防御部材700が弾性復元によって半径方向に伸長し、ガラス137の引っ張りに追従して防御部材700との間に隙間が形成されることがなく、ピアノ線の防御部材700越えを確実に阻止できて、命釘701の不正変形を防止できるのである。
更に、防御部材700を弾性材で構成しておくことで、ガラス137を閉じるとき、多少の製作寸法誤差、取り付け誤差があっても、その弾性変形で吸収することができて、ガラス137の開閉を、防御部材700との接当による衝突音の発生もなくスムースに行い得る。
ここで参考までに、始動口の命釘に対する改変が及ぼす影響について、第1種の遊技機と第2種の遊技機の差異について言及しておく。
図10に示すように、第1種の遊技機の場合は、図10(A)に示すように、始動口S1の命釘N1の配置は、始動口S1の上部に2本間隔を隔てて配置されているだけで、例えば、その1本(図示では左の1本)がピアノ線等の侵入物で下方に広げられて湾曲されると、それによる入賞率は高くなるものの、2本釘間での遊技球の遊びによる入賞が無くなるので、さほど入賞率が高くなるものでもなく、しかも、その入賞による影響は、プログラムを進行させる起動を開始させるだけであり、それほどダメージが大きなものではない。
しかし、本発明の実施例の如き第2種の遊技機の場合、その始動口への入賞率が高まると、上部の羽根部材物が稼動し、直接に出玉が増大するので、影響は甚大である。
ここで、かかる第2種の遊技機のゲーム性について、補足しておく。
上述の電動役物ユニット603は、開閉部材として、左右一対の羽根部材を備えており、これらの羽根部材は、通常時は遊技球が入球出来ない閉状態となっているが、第1始動口601の入球センサ及び第2始動口602の入球センサが遊技球の入球を検出することに応じて開状態に変位するように構成されている。
即ち、遊技領域に打ち込まれた遊技球が第1始動口601に入球すると、羽根部材が1回(0.5秒)開き状態に変位し、また、技球が第2始動口602に入球すると、羽根部材が2回(0.5秒X2)開き状態に変位する。
そして、通常時、この電動役物ユニット603内に入球した遊技球がVゾーンを通過すると大当たり状態となって、10球の入球があるまで、又は30秒経過するまで開閉動作を繰り返すラウンド演出を15回行うものである。
従って、上述したように、第2種の遊技機の電動役物ユニット603に対する不正が行われれば、その被害が甚大となることが明らかである。
また、この種の第2種の遊技機の場合には、図8(B)に示すように、始動口S2の命釘N2は同様に一対設けられているが、その上方の中央に1本の命釘N3と、その左右に各1本の案内釘G1が配置されているのが一般的であり、このような構成の場合に、その始動口S2の命釘N2の一方を下方に広げられて湾曲されると、上方の3本の釘のお存在によって始動口S2に対する入賞率が極端に上昇し、より一層被害が甚大となる。
従って、第2種の遊技機には、こうしたゴト師の釘不正操作の対策がより求められる。
〔特徴構成部の変形例−2〕
ここでは、上記防御部材700の変形例である防御部材700Bについて、図11及び図12に基づいて詳述する。
ここに示す防御部材700Bは、素材として弾性変形自在のゴムを用いている点において上記実施例の防御部材700と変わりがないが、ここでは、前記防御部材700Bが、窓部101のガラスに対してその上面部700B′で面接触するよう構成されると共に、図11に示す如く、前記ガラスとの非接触状態において、前記上面部700′Bの前記遊技領域の外側に位置する外端部分700aがガラスに近接するように高く形成され、遊技領域の中心部側に位置する内端部分700bが低くなるように傾斜して形成されている。ここでは、防御部材700Bを貼り付ける構成物として、上述した一般入賞口入球センサ607の意匠構造物607Aの部分を概略で示す。
〔作用の説明〕
このように構成することで、防御部材700Bを出来るだけ小型化してコストを低減できると共に、図11に示す如く、窓部101を閉じてガラスが防御部材700Bを圧縮変形するときに、高く形成されている前記遊技領域の外側に位置する外端部分700aが強く圧縮変形され(変形量が大)、この外端部分700aの強度を、高さが低く圧縮変形の少ない内端部分700bよりもより機械的に増大させることができ、これによって、全体として出来るだけ小型化できながら(傾斜形状による体積減少)、矢印で示すように、遊技領域の外側から進行してくる侵入物のピアノ線P等を、その侵入開始段階で強力にブロックし易いのである。
〔特徴構成部の変形例−3〕
図13に示すように、防御部財700の変形例として、主としてスルーゲート705,705に対する不正防止の制御部材700Cについて述べる。
遊技機が第1種の場合、遊技領域に、構成物の一つである左右一対のスルーゲート705,705(遊技球の通過により入賞装置の羽根部材物を開閉させる)が設けられるが、このスルーゲート705,705、及びその案内釘706に対して改変が加えられ、或いはスルーゲート705,705そのものに対するピアノ線の挿抜によるスイッチ作動を防止するべく、更には、この近傍、及び遊技領域の中心部に位置する他の構成物、例えば風車702、及びこれに対応する案内釘706’等に対する不正を阻止するべく、前記防御部材700と実質的に同じゴム素材で円弧状に形成された防御部材700Cが、スルーゲート705,705近傍の、内レール51の内側に沿って近接して、そこに設けた構成物の装飾部材630の上面に貼り付けられて設けられ、遊技盤30の側方から挿入される侵入物(ピアノ線)が、スルーゲート705,705、及びその案内釘706、風車702及びその案内釘706’等に到達できないように構成されている。
図中、30は遊技盤を示し、709は入賞装置、710は、その始動口を示すが、それらの詳細説明はここでは省略する。
また、この第1種の遊技機の他の基本構成については、本発明の特徴では無く、また公知の構成であるので、その詳細説明を省略する。
上記防御部材700Cの具体的な構成としては、図13に示すように、窓部101の内周に沿った円弧状で、遊技盤30面上に設けられた装飾部材630の上に貼り付けられている(一部が遊技盤上に)が、ここでは、その防御部材700Cの立体形状は、断面視が矩形を成した湾曲自在の長尺ものとして構成されている。しかし、断面形状は、円形でも、四角形でも、三角形でも、楕円形でも問題なく、また、正面視の外観は、円弧状でなくても、直線近い形状であってもよい。また、この長尺ものは、一体的に構成されているが、勿論、分断されたものが繋げられて配置されるようにしてもよい。
このように、スルーゲート705,705の機能保全を目的として防御部材700D配置するので、従来の遊技盤30の下方に配置した防御部材では達成できなかったスルーゲート705,705の案内釘の保護が図れ、スルーゲート705,705、風車、これらに対応する案内釘に対する改変(上述したスイッチ操作を含め)に起因する入賞率の不正向上を防止することができる。
尚、防御部材700Cは、それ自体防御部材としての機能を果たしつつも、ゴム素材が有色であれば、意図的に装飾部材630の一部を構成するようにしてその形状に意匠が施されるようにしてもよい。また、意匠的な機能表現方法としては、透明若しくは半透明の素材で構成する場合には、その透明性を活かして前記装飾部材630は従前のままとして、この防御部材700Cは任意の形状のものとして構成してよい。
また、この防御部材700Cは、窓部101、即ち、ガラス137との間隙を弾性的に密着状態で閉じているので、例え、不正にガラス137を前面側に引っ張っても、ガラス137の引っ張りに追従して防御部材700との間に隙間が形成されることがなく、ピアノ線がこの防御部材700Cの上縁を越えてスルーゲート705,705、風車702、702に到達することは出来ないのである。
更に、円弧上の防御部材700Cを弾性材で構成しておくことで、ガラス137を閉じるとき、窓部101の周囲という大きな円弧でもって弾性的に受けとめ、ガラス137の開閉を、衝突音の発生もなくソフトに行い得る。
〔特徴構成部の変形例−4〕
ここでは、図14に示すように、防御部材700Dが、少なくとも前記遊技盤30面に平行な方向に幅を有する立体、ここでは、横断面形状が台形に構成され、その構成素材としては上記実施例及び変形例のゴム素材よりも軟らかいが、十分な保形性を備えたウレタン発泡樹脂によって構成されている。
この防御部材700Dは、ピアノ線Pの侵入に対して、その侵入を単にブロックするだけでなく、万一、電気コテ等で穿孔されることになっても、ここを貫通したピアノ線Pは、その防御部材700Cの幅、即ち、厚みの部分によって、その軸線方向で所定の長さだけ動きを規制(直線動のみ)されることになり、このピアノ線Pの先端を自在に操作することが出来ないことになり、始動口602の命釘の釘曲げ、或いは入賞装置の不正操作を行うことが出来ないのである。
このような防御部材700Dの機能は、上記の実施例におけるゴム素材の円柱状の防御部材700においても発揮できるものであるが、その構成素材が比較的軟らかな素材でピアノ線Pの侵入を直接ブロック出来なくても、その立体構造によって、結果として防御機能を発揮することが出来るということである。
因みに、従来の如き薄い板状の防御壁707であると、図15に示すように、ここを貫通したピアノ線Pは、その薄い板の孔708を支点として、その先端部を自在に操作することができるので、金属板であっても、それが薄物であれば、一旦これが破られると釘、入賞装置、その他の構造物に対する改変が行われる危険性が高いのである。
以上のように、本発明は、遊技機の遊技領域の構成物に対する不正改変を防止するものであるから、構成物を備えた種々のパチンコ機等の遊技機に適用できる。
601:第1始動口
602:第2始動口
700:防御部材
700A:防御部材の一変形例
700B:防御部材の一変形例
700C:防御部材の一変形例
702:風車
705:スルーゲート

Claims (1)

  1. 遊技球が転動する遊技領域を形成する遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域を視認することができる窓部を有する前面枠セットとを備え、前記遊技領域内には、遊技球の挙動に変化を与える少なくとも二つの構成物が遊技盤面から窓部側に突出するように設けられている遊技機において、
    前記遊技領域内において、窓部に接当して窓部と前記構成物との間を閉塞する防御部材が、前記少なくとも二つの構成物の表面を渡るように設けられていることを特徴とする遊技機。
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