JP2013247222A - 窒化物半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】活性層の内部量子効率を向上させた窒化物半導体発光素子を提供することを主要な目的とする。
【解決手段】窒化物半導体発光素子は、InGaN系の窒化物半導体からなる活性層16を備える。活性層16の直下にバッファ層15が設けられる。バッファ層15は、n型GaN層14から活性層16にかけて、Inx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層15bと、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aとが交互に積層されてなる。バッファ層15において、第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっている。また、上記活性層16に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層16のIn組成よりも低くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に窒化物半導体発光素子に関するものであり、より特定的には、活性層の内部量子効率を向上させた窒化物半導体発光素子に関する。この発明はまた、そのような窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
AlN、GaNおよびInNは、それぞれ、約6.0eV、約3.4eV、および約0.6eVのバンドギャップを有している。そのため、これらの混晶を活性層に用いた窒化物半導体発光素子は、紫外から赤外域までの波長領域を有する光の発光が可能であり、照明用光源や液晶ディスプレイのバックライトなど様々な用途に応用されつつある。
InGaN系の窒化物半導体を活性層に用いた窒化物半導体発光素子においては、近紫外より長い波長領域の光を発光させることが可能である。しかしながら、窒化物半導体発光素子の内部量子効率は、長波長の光を発光させるほど、つまりIn組成が大きくなるほど低くなることが知られている。この原因として、以下のことが挙げられる。
イオン半径が極端に小さい窒素原子に対して、比較的大きいイオン半径を有するIn原子と中間的なイオン半径を有するGa原子とからなるInNとGaNの格子不整合は約10%であり、InGaNとGaNとの格子不整合率は、InGaNのIn組成により、0(GaN)〜10%(InN)となる。
このInGaNとGaNとの格子不整合により、結晶構造の秩序を乱すことなく結晶中に原子を均一に分布させるための結晶成長が、高In組成の窒化物半導体ほど難しくなる。そのため、InGaNとGaNとの格子定数差によって、InGaN/GaN量子井戸活性層に大きな歪がかかり、活性層に大きな圧電分極に起因する内部電界が発生する。この活性層に生じる内部電界によって、窒化物半導体発光素子の内部量子効率が低下すると考えられる。
たとえば、特許文献1には、InGaN活性層の相分離を抑制するため、n型層とp型層の間に活性層を有し、n型層と活性層の界面、ならびに活性層とp型層の界面に、それぞれ、格子緩和していないInGaN超格子を含む光閉じ込め層を有する窒化物半導体発光素子が開示されている。
また、特許文献2には、GaAs系半導体素子における歪超格子による転位伝播の抑制効果が開示されている。
また、特許文献3には、GaInAsフォトダイオードにおけるInAs1−X/InAs1−Y超格子による急速な格子緩和作用が開示されている。
特開2008−244360号公報 特開平1−222431号公報 特開平6−188447号公報
極性面(0001)上に形成された従来のInGaN/GaN量子井戸活性層では、面内の圧縮歪を受けて発生する圧電分極に起因する内部電界が存在する。以下、面内の圧縮歪がかかることによる影響について説明する。
上述したように、InNとGaNとの格子不整合率は約10%であり、InGaNとGaNとの格子不整合率は、InGaNのIn組成により、0(GaN)から10%(InN)となる。
主面が(0001)面であるGaN上にコヒーレントに成長されたInGaNは、上記GaNとの格子不整合に起因する圧縮応力を面内に受けて歪み、圧電分極が+c方向([0001])に発生する。なお、エピタキシャル層の膜厚が十分薄い場合は、格子不整合が多少あったとしても、エピタキシャル層の格子が歪むことによって界面での格子の連続性を保って成長する。これをコヒーレント成長(coherent growth)という。
InGaN中の分極は、結合の非対称性に起因して、−c方向に発生する自発分極と、上記の圧電分極との合成となる。
仮に、InGaN量子井戸層に歪が生じていない場合には、圧電分極に起因する電界は発生せず、圧電分極よりも約1桁小さい自発分極による電界のみを考慮すればよく、非発光再結合過程を無視すると、その内部量子効率は100%に近い値をとる。
しかしながら、たとえばIn組成が10%程度のInGaN(3nm)/GaN量子井戸活性層が、GaN上にコヒーレントに成長された場合には、−c方向に1〜2MV/cm程度の圧電分極に起因する電界が発生し、それが支配的となる。
この大きな内部電界は、たとえばInGaN量子井戸層とGaN障壁層とからなる量子井戸活性層において、InGaN量子井戸層内のキャリアを空間的に分離させる。その結果、電子と正孔の再結合確率が低下して、光出力が低下する。
特許文献1に記載の窒化物半導体発光素子においては、InGaN超格子を含む光閉じ込め層は格子緩和しておらず、また組成も変化していないため、光閉じ込め層のIn組成は活性層のIn組成よりも低い。つまり、InGaN超格子を含む光閉じ込め層と、活性層とは、下地となるGaN上にコヒーレントに成長している。
したがって、特許文献1においては、光閉じ込め層の面内の格子定数を制御してInGaNの面内歪を制御していない。従って、活性層のピエゾ分極に由来する内部電界を低減する効果はない。
よって、活性層の下地の層の面内格子定数を制御できれば、活性層の歪を制御することができ、上記の問題は解決できる。
そのためには、活性層がInGaN/GaN量子井戸の場合、下地層に活性層のIn組成よりも大きなIn組成をもち、臨界膜厚以上の厚さの単層InGaNを設けることで格子緩和を促して面内格子定数を制御すればよいと考えられる。
しかしながら、この場合、活性層の下地層である単層InGaNの表面の平坦性を制御しながら成長することが難しく、その上に成長する活性層の結晶性の悪化を引き起こす。一方、In組成が大きいInGaNほど、結晶成長は難しく、3次元成長しやすい傾向にある。そのため上記バッファ層だけでは、バッファ層の表面平坦性が悪くなり、その上に成長する活性層の界面急峻性も悪くなるという問題が存在する。
さらに、3次元成長に伴い、空格子、線欠陥、面欠陥などが発生する傾向にあり、この様な欠陥は、非発光再結合中心となり得る。
これらの問題は基板とエピタキシャル膜の格子定数差(同種基板上へのエピタキシーか異種基板上へのエピタキシーか)、結晶成長条件など様々な要素に起因する。例えば、活性層の下地が小さなグレインの集合で構成され凹凸が激しい表面の場合、その上へ活性層を成長するとグレインの形状を引き継いで成長し粒界などの非発光再結合中心となり得る欠陥が引き継がれたり、新たに欠陥が生じる。
これらを鑑みて、格子定数が異なる結晶で構成される活性層を良好な結晶性を実現するには、原子レベルで平坦なテラスとステップで構成される表面を下地にすることが好ましい。
また、特許文献2および特許文献3に記載の素子を構成する材料はGaAs系半導体であり、窒化物半導体の課題を解決するものではない。従って、特許文献2および特許文献3においても、後述する本願発明の効果は発現しない。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、活性層の内部量子効率を向上させた窒化物半導体発光素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、そのような窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明は、InGaN系の窒化物半導体を活性層に用いた半導体発光素子であって、上記活性層を間に挟むように設けられた下部窒化物半導体層と上部窒化物半導体層と、上記下部窒化物半導体層の上であって、かつ上記活性層の直下に設けられた、平坦なテラスとステップで構成される表面を上記活性層の下地にするためのバッファ層とを備える。上記バッファ層は、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層が、交互に、周期的に積層された超格子構造を有している。上記第1のバッファ層のIn組成x1は、積層方向に変化している。上記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、上記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低いことを特徴とする。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち上記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように変化しているのが好ましい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、2つの山を形成するように変化していてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は0であってもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化していてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化していてもよい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、3つ以上の山を形成するように変化していてもよい。
本発明の他の局面に従う方法は、上部窒化物半導体層、InGaN系の窒化物半導体で形成された活性層、該活性層の直下に設けられ、平坦なテラスとステップで構成される表面を該活性層の下地にするためのバッファ層及び下部窒化物半導体層を有する半導体発光素子の製造方法に係り、上記活性層の結晶成長に先立ち、上記バッファ層を結晶成長させる工程を備える。上記バッファ層の結晶成長工程において、上記バッファ層が、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層とが、交互に、周期的に積層された超格子構造となるように、かつ上記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、上記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低くなるように、上記In原料の供給量を周期的に増減させ、上記バッファ層のIn組成を、該バッファ層の結晶成長方向において変化させることを特徴とする。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち上記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように、上記In原料の供給量を周期的に増減させるのが好ましい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち2つの山を形成するように、上記In原料の供給量を周期的に増減させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は0になるように、上記In原料の供給量を周期的に増減させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化するように、上記In原料の供給量を周期的に増減させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化するように、上記In原料の供給量を周期的に増減させてもよい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1を、上記積層方向において、3つ以上の山を形成するように、上記In原料の供給量を周期的に増減させてもよい。
本発明のさらに他の局面に従う方法は、上部窒化物半導体層、InGaN系の窒化物半導体で形成された活性層、該活性層の直下に設けられ、平坦なテラスとステップで構成される表面を該活性層の下地にするためのバッファ層及び下部窒化物半導体層を有する半導体発光素子の製造方法に係り、上記活性層の結晶成長に先立ち、上記バッファ層を結晶成長させる工程を備える。上記バッファ層の結晶成長工程において、上記バッファ層が、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層とが、交互に、周期的に積層された超格子構造となるように、かつ上記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、上記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低くなるように、結晶成長温度を変化させ、上記バッファ層のIn組成を、該バッファ層の結晶成長方向において変化させることを特徴とする。
In組成を変化させる方法として、上記In原料の供給量を変化させる方法の他、結晶成長温度を変化させる方法がある。後者の方法においては、低In組成を得るために成長温度をより高温にすることで、さらにより高品質結晶を得ることができるという効果がある。また同時に既に成長した層の結晶性回復効果もある。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち上記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように、結晶成長温度を変化させるのが好ましい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1の上記積層方向における変化は、上記活性層に向かう方向において、上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに上記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち2つの山を形成するように、結晶成長温度を変化させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は0になるように、結晶成長温度を変化させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化するように、結晶成長温度を変化させてもよい。
上記第2のバッファ層のIn組成x2は、上記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化するように、結晶成長温度を変化させてもよい。
上記第1のバッファ層のIn組成x1を、上記積層方向において、3つ以上の山を形成するように、結晶成長温度を変化させてもよい。
本発明において、上記第1のバッファ層のIn組成x1は積層方向に変化しており、上記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、上記活性層のIn組成よりも大きい値をとっている。この様な構成とすることで、以下に示す様な作用と効果が発現する。
バッファ層中のIn組成の変化の中で、活性層のIn組成よりも大きいIn組成x1を有するInx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層を含ませることにより、バッファ層の格子緩和を促している。
このように格子緩和したバッファ層上にコヒーレントに成長した活性層においては、格子緩和していないバッファ層上にコヒーレントに成長した活性層に比べて、面内の圧縮歪が低減される。すなわち、バッファ層の形成によって、活性層にかかる圧縮歪を緩和する方向の力を活性層にかける、または活性層に引張歪を形成することができる。
これにより、活性層の内部での圧電分極に起因する内部電界が低減され、量子井戸層内において電子および正孔が空間的に近づき、電子および正孔の分離が少なくなって、発光再結合寿命が短くなるため、内部量子効率を向上させることが可能となる。
また、本発明では、上記活性層に近い位置に配置されている第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
バッファ層の中で、活性層のIn組成よりも大きい第1のバッファ層を積層することで緩和が促進される一方、表面の凹凸が大きくなり荒れる傾向にある。その様な状況において、活性層の直下にIn組成が低いInGaN層を成長することにより、緩和により一旦荒れた表面を、原子レベルで平坦な面(ジャスト)、もしくは原子レベルで平坦なテラスをもつステップアンドテラス構造まで回復させる効果がある。平坦なInGaN結晶とすることにより、活性層の量子井戸と障壁層の界面をより急峻とでき、活性層の結晶性が向上し、またIn組成の空間的な揺らぎも抑制できる。
実施の形態1の窒化物半導体発光素子の模式的な断面図である。 実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第1の工程における断面図である。 実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第2の工程における断面図である。 実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第3の工程における断面図である。 実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第4の工程における断面図である。 実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第5の工程における断面図である。 実施の形態1の第1のバッファ層のIn組成x1および第2のバッファ層のIn組成x2の結晶成長方向における変化を示す図である。 実施の形態2の第1のバッファ層のIn組成x1および第2のバッファ層のIn組成x2の結晶成長方向における変化を示す図である。 実施の形態3の第1のバッファ層のIn組成x1および第2のバッファ層のIn組成x2の結晶成長方向における変化を示す図である。 実施の形態4の第1のバッファ層のIn組成x1および第2のバッファ層のIn組成x2の結晶成長方向における変化を示す図である。 実施の形態5の第1のバッファ層のIn組成x1および第2のバッファ層のIn組成x2の結晶成長方向における変化を示す図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の模式的な断面図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第1の工程における断面図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第2の工程における断面図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第3の工程における断面図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第4の工程における断面図である。 実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の順序の第5の工程における断面図である。 実施の形態12に係る窒化物半導体発光素子のIn組成Xを説明するグラフ図である。
活性層の内部量子効率を向上させた窒化物半導体発光素子を得るという目的を、活性層の下地層としての、面内格子定数の制御と表面の平坦化が解決できる様なバッファ層を、上記活性層の直下に形成することによって実現した。以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
[実施の形態1]
<窒化物半導体発光素子の構造>
図1に、実施の形態1の窒化物半導体発光素子の模式的な断面図を示す。実施の形態1の窒化物半導体発光素子は、基板11と、基板11の表面上に設けられた低温バッファ層12と、低温バッファ層12上に設けられたアンドープGaN層13と、アンドープGaN層13上に設けられたn型GaN層14と、n型GaN層14上に設けられたバッファ層15と、バッファ層15上に設けられたInGaN系の窒化物半導体からなる量子井戸層の活性層16と、活性層16上に設けられたキャリアバリア層17と、キャリアバリア層17上に設けられたp型GaN層18と、p型GaN層18上に設けられたp型GaNコンタクト層19とを備えている。また、n型GaN層14の表面上にはn電極10が設けられており、p型GaNコンタクト層19の表面上にはp電極20が設けられている。
さらに、バッファ層15は、n型GaN層14から活性層16にかけて、Inx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層15bと、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aとが交互に積層されている。そして、バッファ層15において、第1のバッファ層15aおよび第2のバッファ層15bは、それぞれ、複数層ずつ存在している。
ここで、バッファ層15において、第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっている。また、上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
<窒化物半導体発光素子の製造方法>
以下、図2〜図6の模式的断面図を参照して、実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法の一例について説明する。まず、図2に示すように、基板11の表面上に低温バッファ層12を形成し、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13を積層し、アンドープGaN層13上にn型GaN層14を積層する。
≪基板≫
基板11としては、たとえば、AlInGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)、GaP、GaAs、NdGaO、LiGaO、Al、MgAl、ZnO、SiC、SiGe、又はZrBからなる基板を用いることができる。本実施の形態においては、基板11として、極性面であるC面を主面とするサファイア(Al)基板を用いる。なお、窒化物半導体発光素子の発光効率を向上させるため、基板11の表面に周期的な凹凸を設けてもよい。なお、本実施の形態においては、基板11の極性面上に、窒化物半導体層を成長させるが、基板11の半極性面または無極性面に窒化物半導体層を成長させてもよい。
≪低温バッファ層の成長≫
低温バッファ層12は、基板11としてのサファイア基板のC面上に、たとえば以下のようにして成長させることができる。
まず、基板11をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置の反応炉内に設置し、反応炉内を水素雰囲気として、水素雰囲気中で基板11の温度を1000℃以上に昇温する。
ここで、基板11の温度は、10分〜20分で1000℃以上の温度に昇温することが好ましい。この場合には、熱衝撃により基板11が割れる(急速昇温すると基板11の表面と裏面とで熱膨張による応力差が発生し破損する)のを抑止しつつ、効率的に基板11の温度を昇温することができる。なお、本実施の形態においては、基板11の温度を20分で1000℃以上の温度に昇温させる。
また、還元性の水素雰囲気中で基板11を1000℃以上の温度に昇温することによって、基板11の表面の付着物および酸化膜を好適に除去することができる。なお、水素による還元効果を十分に発揮させるためには、基板11を1100℃以上1200℃以下の温度に昇温させることが好ましく、所望の温度に到達させた後、10分〜20分の間、基板11をその温度を保持することがより好ましい。
次に、MOCVD装置の反応炉内を水素雰囲気に維持しつつ、基板11の温度を低温バッファ層12を成長させる温度である約500℃まで降温させる。
ここで、基板11の降温速度は、たとえば上記と同様に、熱衝撃により基板11が割れない程度に設定すればよく、本実施の形態では、昇温と同じく、基板11の温度を20分で約500℃まで降温させる。
低温バッファ層12の成長時の基板11の温度は500℃以上600℃以下であることが好ましい。これは、低温バッファ層12の品質は、以降の素子構造を構成する各窒化物半導体層の結晶品質に大きく影響するため、低温バッファ層12の成長段階ではアモルファスもしくは多結晶状態であることが好ましいためである。
なお、低温バッファ層12の成長前に、MOCVD装置の反応炉内に、アンモニアを短時間供給して、基板11の表面の窒化処理を行なってもよい。
基板11の温度が500℃に到達した後には、MOCVD装置の反応炉内に、III族原料であるTMG(トリメチルガリウム)を10μmol/min、V族原料であるアンモニアを200mmol/minの供給量で供給することによって、基板11であるサファイア基板のC面上に、アモルファスのGaNからなる低温バッファ層12を成長させる。
本実施の形態においては、アモルファスのGaNからなる低温バッファ層12を成長させるが、低温バッファ層12としては、たとえば、GaN、AlNあるいは任意の組成のAlGaNを成長させることができる。
III族原料としては、TEG(トリエチルガリウム)を用いてもよい。また、低温バッファ層12の層厚は、30nm以上100nm以下であることが好ましい。本実施の形態では、低温バッファ層12をアモルファス状態として成長させるが、多結晶の低温バッファ層12を成長させてもよい。
≪アンドープGaN層13の成長≫
次に、MOCVD装置の反応炉内へのTMGの供給を停止し、アンモニアと、キャリアガスである水素との混合雰囲気中で、基板11の温度を約1100℃まで10分で昇温させる。
ここで、昇温速度は、熱衝撃と低温バッファ層12の結晶化とを考慮して、基板11の温度は、20分以内で、約1100℃まで昇温させることが好ましい。また、基板11の温度は、アンドープGaN層13を単結晶として成長させるために、1000℃以上の高温に昇温することが好ましい。
一般に、高温で成長するにしたがって、結晶の品質は向上する傾向を示すが、高すぎる成長温度では、再蒸発により表面荒れ等の悪影響が出る。そのため、基板11の温度は1000℃近傍とすることが好ましい。本実施の形態では、1100℃に設定する。基板11の温度が1100℃に到達した後、再び、MOCVD装置の反応炉内にTMGを100μmol/minの供給量で供給して、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13を成長させる。
アンドープGaN層13の層厚は4μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。アンドープGaN層13の成長初期において、低温バッファ層12とアンドープGaN層13との界面近傍に、基板11との格子不整合に起因する転位が高密度に発生し、アンドープGaN層13の層厚方向に伝播することがある。螺旋転位と刃状転位とを合成したバーガースベクトルを持つ混合転位は、層厚の増加に伴って消滅する性質があり、アンドープGaN層13の厚さを好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上とすることによって、混合転位を減少させることができる。本実施の形態においては、アンドープGaN層13の層厚を10μmとする。
≪n型GaN層14の成長≫
次に、MOCVD装置の反応炉内へのTMGおよびアンモニアの供給を維持するとともに、ドナー不純物原料であるSiH(モノシラン)を0.5μmol/minの供給量で供給することによって、アンドープGaN層13上に、n型GaN層14を成長させる。
n型GaN層14は、単層であってもよく、複数層の組み合わせであってもよい。n型GaN層14が、複数層の組み合わせからなる場合には、たとえば各層のドナー不純物のドーピング濃度や層厚などが異なっていてもよい。また、複数のドナー不純物およびアクセプタ不純物をドープしてもよく、結果的に、n型の導電性を有していればよい。なお、複数層の組み合わせとは、たとえば、添加する不純物の濃度を変化させる、または2種類以上の不純物を添加するなどの手段により、不純物濃度が層厚方向に分布を有する構造などが考えられる。本実施の形態においては、n型GaN層13を一様にn型にドーピングした単層とする。
また、不純物濃度を制御しやすい観点から、ドナー不純物としてSiを用い、その原料としてSiHを用いたが、たとえば有機化合物であるTESi(テトラエチルシリコン)も問題なく使用することができる。なお、ドナー不純物としては、たとえば、Si、OなどのIV族元素またはVI族元素などのいずれか1つ以上を用いることができ、原料として、これら元素の水素化物または有機化合物などを用いることができる。
n型GaN層13のドナー不純物濃度は、窒化物半導体発光素子の特性を良好にする観点からは、5×1016個/cm以上1×1021個/cm以下とすることが好ましく、窒化物半導体発光素子の特性をさらに良好なものとする観点からは、1×1017個/cm以上2×1019個/cm以下とすることがより好ましい。
≪バッファ層15の成長≫
次に、図3に示すように、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aと、Inx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層15bとを交互に積層することによって、n型GaN層14上に、バッファ層15を積層する。
バッファ層15は、n型GaN層14上に、たとえば以下のようにして成長させることができる。
まず、MOCVD装置の反応炉内へのIII族原料の供給を停止し、アンモニアと、キャリアガスである水素との混合雰囲気中で、基板11の温度を約700℃〜900℃まで降温させる。
ここで、降温速度は、n型GaN層14の表面平坦性を維持できる時間内に、所望の温度に到達できることが好ましく、10分以内に約700℃〜900℃まで降温させることが好ましい。
また、バッファ層15の成長時における基板11の温度は、結晶品質とIn組成の制御性とを考慮して、適切な値に設定すればよい。一般的には、バッファ層15の成長時における基板11の温度が高いほど結晶品質が向上するが、In組成が低下する傾向にある。したがって、バッファ層15の成長時における基板11の温度は、所望のIn組成と、結晶品質とを制御性良く両立する観点から、適切な成長温度を選択すればよい。
次に、キャリアガスを水素から窒素に変更し、MOCVD装置の反応炉内の雰囲気をアンモニアと窒素との混合雰囲気とする。ここで、窒素は、水素と比較して、InGaNに対するエッチング作用が弱く、In組成および層厚の制御がより容易となる。そして、基板11の温度を約800℃とし、III族原料であるTMGを20μmol/minの供給量で供給することによって、バッファ層15のGaNからなる第2のバッファ層15bを1.75nmの厚さに成長させる。
次にIII族原料であるTMGを20μmol/minの供給量で、TMI(トリメチルインジウム)を350μmol/minの供給量でMOCVD装置の反応炉内に供給し、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aを1.75nmの厚さで成長させる。なお、キャリアガスは、窒素に限られず、たとえば、水素、あるいは窒素と水素との任意比率の混合ガスであってもよい。
以後、第1のバッファ層15aのIn組成x1が、バッファ層15の結晶成長方向において変化するように、第1のバッファ層15aの成長時におけるTMIの供給量を周期的に増減させながら、第1のバッファ層15bと第2のバッファ層15aとを交互に積層する。
最後に、In組成0のキャップ層15c、つまりGaN層を1.75nmだけ成長を行った。ここで、最終周期の第1のバッファ層15aを成長した後、In組成のより低いInx3Ga1−x3N(0≦x3<1、x3<x1)で構成されるバッファ層キャップ15cでキャップすることが好ましい。この場合、キャップ層15cの役割は第2のバッファ層15bと同じ役割に加えて、以下の役割を担う。
つまり、第20周期目の第1のバッファ層15aを成長後、活性層を成長する温度まで成長温度を変化させる場合が多い。第一のバッファ層15aが露出したままで、原料を供給せずに成長温度変化させると、第1のバッファ層15aのInx1Ga1−x1Nの熱による蒸発が起きたり、ダメージを受ける可能性がある。その可能性を低くする役割がある。
キャップ層15cの膜厚は限定されるものではないが、第2のバッファ層15bと同じであることがより好ましい。またIn組成x3については直前の第2のバッファ層15bのIn組成x2に準じても良いが、活性層16の発光波長、半値幅を考慮すると、In組成は活性層16の障壁層のIn組成に合わせるとより好ましい。
また、バッファ層15と活性層16の成長温度が同じであり、連続して成長できる場合も、活性層16の発光波長、半値幅を考慮すると第20周期目のInx1Ga1−x1Nと量子井戸と活性層16の間にバッファ層キャップ15cを成長することが好ましく、膜厚、In組成は原料を止めて成長温度を変化させる場合と同様である。
本実施例では、第2のバッファ層15b、第1のバッファ層15a、の順で積層したが、必ずしもこの順番の限りではない。つまり、バッファ層15は、第2のバッファ層15bから積層を開始しても同様の効果が得られる。
図7に、実施の形態1の第1のバッファ層15aのIn組成x1の結晶成長方向における変化を示す
図7に示すように、第1〜第12周期は0.23であり、第13、14周期は0.18であり、第15、16周期は0.12であり、第17、18周期は0.08であり、第19、20周期は0.04である。
つまり、バッファ層15において、第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成(0.16)よりも大きくなっている。
また、上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
実施の形態1の第1のバッファ層15bのIn組成x2は、第1〜第20周期にわたって0であり、0≦x2<x1を満たす範囲で一定となっている。すなわち、実施の形態1の第1のバッファ層15bは、すべてGaNである。
《周期数について》
本実施の形態においては、Inx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層15bと、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aとを交互に1層ずつ積層し、1層の第2のバッファ層15bと1層の第1のバッファ層15aとの積層構造を1周期として、20周期を有するように、バッファ層15を形成している。なお、周期数が限定されないことは言うまでもない。
《膜厚について》
また、第1のバッファ層15aの層厚および第2のバッファ層15bの層厚は、特に限定されないが、本実施の形態においては、それぞれ、約1.75nmとし、これにより、量子井戸層としての第1のバッファ層15aと、障壁層としての第2のバッファ層15bとの交互積層体からなる周期数が20の超格子構造を有するバッファ層15が形成される。バッファ層15を第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bとの交互積層構造からなる超格子構造とする場合には、第1のバッファ層15aの層厚および第2のバッファ層15bの層厚は、それぞれ、4.0nm以下とすることで本発明の効果が顕著になる。さらに、膜厚が周期ごとに変化していても良い。
《In組成について》
バッファ層および活性層のIn組成、膜厚については、本実施の形態用いたIn組成に限られるものではない。また、1層内でのIn組成の変化はあっても良い。なお、本実施の形態では1層内でのIn組成の変化はなく、一定とした。
《活性層の発光のバッファ層による吸収の抑制》
また、活性層16で発生した光の自己吸収等を防ぐため、バッファ層15の実効的なバンドギャップ(各量子井戸層の結合を考慮した伝導帯および価電子帯それぞれの基底量子準位による)は、活性層16の実効的なバンドギャップよりも大きいことが好ましい。
たとえば、活性層16の実効的なバンドギャップが450nmの発光波長に相当する2.8eVである場合、バッファ層15の実効的なバンドギャップは3eV以上あればよく、膜厚とIn組成を考慮すべきである。第1のバッファ層15aのIn組成x1および第2のバッファ層15bのIn組成x2としては、それぞれ、0<x1≦1、0≦x2<1およびx2<x1の関係を満たす値が選択されることが好ましい。
たとえば、第1のバッファ層15aのIn組成x1が0.2である場合には、第1のバッファ層15aの臨界膜厚は約6nmとなり、0.4である場合には、第1のバッファ層15aの臨界膜厚は約3nmと見積もられる。バッファ層15が超格子構造を有する場合には、第1のバッファ層15aの臨界膜厚は約4倍になるため、第1のバッファ層15aの合計層厚が24nmを超えるように、第1のバッファ層15aの層厚および周期を構成することが好ましい。本実施の形態においては、第1のバッファ層15aの層厚は1.75nmで、第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bとの交互積層体の周期は20であり、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aの合計層厚は35nmとなるため、バッファ層15の途中で格子緩和が開始している。
また、本実施の形態においては、第1のバッファ層15aのIn組成x1は、MOCVD装置の反応炉内へのTMIの供給量を変更することにより変化させているが、たとえば、MOCVD装置の反応炉内へのTMIおよびTMGの供給量をそれぞれ一定とし、第1のバッファ層15aの成長ごとに基板11の温度を変化させることによっても、上記と同様の構成のバッファ層15を成長させることもできる。結晶へのInの取り込みは、基板11の温度の影響を大きく受け、基板11の温度が低温である場合にはIn組成が大きくなり、基板11の温度が高温である場合にはIn組成が小さくなる傾向にある。
≪活性層16の成長≫
次に、図4に示すように、バッファ層15上に、活性層16を積層する。活性層16は、バッファ層15上に、たとえば以下のようにして成長させることができる。
まず、基板11の温度を約800℃に保持したままで、MOCVD装置の反応炉内に、キャリアガス、V族原料としてアンモニア、およびIII族原料としてTMGのみを20μmol/minの供給量で供給することによって、バッファ層15上に、GaN障壁層を約8nmの厚さに成長させる。なお、活性層16の障壁層としては、たとえば、Alx3Iny3Ga1−x3−y3N(0≦x3≦1、0≦y3≦1、0<x3+y3≦1)の式で表わされる窒化物半導体結晶を用いることができる。
ここで、基板11の温度を高くした場合にはInが取り込まれ難くなり、基板11の温度が低すぎる場合には結晶品質が悪化するため、基板11の温度はバッファ層15の成長温度近傍であることが好ましい。Inの取り込みを考慮して、基板11の温度を約700℃に下げてもよいが、バッファ層15の熱劣化を抑えるため、窒素とアンモニアとの混合雰囲気で速く降温することが好ましい。
次に、MOCVD装置の反応炉内に、TMIを550μmol/minの流量で追加供給して、InGaN量子井戸層を約4nmの厚さに成長させる。InGaN量子井戸層のIn組成の設計値は約0.16とする。なお、活性層16の量子井戸層としては、たとえば、Alx4Iny4Ga1−x4−y4N(0≦x4≦1、0≦y4≦1、0<x4+y4≦1)の式で表わされる窒化物半導体結晶を用いることができる。
以後、TMIの供給のみを周期的に停止して、GaN/InGaNを6周期積層した活性層16を成長させる。
その後、活性層16より上層を成長させるまでの昇温過程でInGaN量子井戸層の劣化を抑制することを目的として、最表面に露出しているInGaN量子井戸層の表面上に、他のGaN障壁層の2倍の厚さを有する厚さ16nmのGaN障壁層を成長させる。
活性層16の成長後においては、MOCVD装置の反応炉内に、アンモニアおよびキャリアガスとしての窒素を供給し、基板11の温度を1000℃まで昇温する。活性層16の成長後の昇温工程は、できるだけ短時間であることが好ましい。その主たる理由は、活性層16中のInGaN量子井戸層が熱に対して不安定であるため、長時間にわたる熱エネルギーの流入によって、InGaN量子井戸層のIn組成および層厚が不均一となる傾向にあり、InGaN量子井戸層とGaN障壁層との界面の急峻性が悪化するのを抑制する点にある。
活性層16のInGaN量子井戸層のIn組成および層厚の不均一、ならびにInGaN量子井戸層とGaN障壁層との界面の急峻性の悪化は、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルの半値幅の増大および発光強度の低下を招く。活性層16の品質低下は、内部量子効率および電流注入効率の低下に直結するため、結晶成長において十分に注意を払う必要がある。本実施の形態では、基板11の到達温度を1000℃としたが、活性層16への熱ダメージを考慮すると、基板11の温度は、結晶品質が維持できる範囲で、できるだけ低温にすることが好ましい。
なお、本実施の形態において、活性層16中のInGaN量子井戸層のIn組成は、すべて同一としたが、活性層16の成長方向において、変化していてもよい。活性層16の成長方向においてInGaN量子井戸層のIn組成を変化させた場合には、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルはブロードになり、変化によっては複数のピークが表われ、多色発光を呈することがある。したがって、窒化物半導体発光素子の発光スペクトルの単峰性とその半値幅が小さいことが要求される場合には、InGaN量子井戸層内およびInGaN量子井戸層間でIn組成が同等であることが好ましい。
活性層16の成長後の昇温工程において、基板11の温度は、900℃以上1100℃以下であることが好ましい。本実施の形態においては、基板11の温度を800℃から1000℃まで3分間で昇温する。昇温中のキャリアガスは再蒸発の影響を考慮して、窒素とする。水素は、InGaNに対するエッチング作用が大きいため、キャリアガスとしては、窒素を用いることが好ましい。
≪キャリアバリア層の成長≫
次に、図5に示すように、活性層16上に、キャリアバリア層17を積層する。キャリアバリア層17は、活性層16上に、たとえば以下のようにして成長させることができる。
基板11の温度を1000℃まで到達させた後、MOCVD装置の反応炉内に、III族原料であるTMGとTMA(トリメチルアルミニウム)とをそれぞれ、30μmol/minおよび20μmol/minの供給量で供給する。また、キャリアバリア層17をp型とすることを目的として、アクセプタ不純物であるMgをドーピングするために、CpMg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を1μmonl/minの供給量で供給して、活性層16上に、キャリアバリア層17を成長させる。
キャリアバリア層17は、電流注入した際、電子のp型層側へのオーバーフローを防止する機能を有するため、比較的高いAl組成を有することが好ましい。キャリアバリア層17のAl組成は、10原子%以上30原子%以下であることが好ましい。また、キャリアバリア層17の層厚は、10nm以上30nm以下であることが好ましい。電子のp型層側へのオーバーフローを効果的に抑制するためには、キャリアバリア層17のAl組成が高い場合にはキャリアバリア層17の層厚を薄くするとともに、Al組成が低い場合にはキャリアバリア層17の層厚を厚く設定することが好ましい。
本実施の形態においては、キャリアバリア層17のAl組成を20原子%とし、層厚を20nmとする。また、本実施の形態においては、キャリアガスとして窒素を用いて、キャリアバリア層17を成長させるが、水素雰囲気で成長させてもよい。たとえば、結晶成長させない状態(たとえば活性層16の成長後の昇温工程)で、キャリアガスとして水素を用いる場合には、上述のように、Inの再蒸発の影響が大きくなるために好ましくないが、比較的強い結合を有する(したがって、再蒸発し難く、保護効果が大きい)AlGaNの成長時にキャリアガスとして水素を用いることについては問題ない。
また、本実施の形態においては、活性層16の成長後の昇温工程後に、キャリアバリア層17を成長させたが、活性層16の成長後の昇温工程中にキャリアバリア層17を成長させることも可能である。当該昇温工程中におけるキャリアバリア層17の成長においては、基板11の温度が刻々と変化するため、基板11の温度に応じてAl組成が変化するため、設計に注意を払う必要がある。
また、本実施の形態においては、Mg原料としてCpMgを用いるが、EtCp2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)を用いてもよい。また、アクセプタ不純物としては、Mgのほかに、Be、ZnまたはCなどを用いることができる。アクセプタ不純物の原料としては、それぞれの有機化合物を使うのが一般的である。
≪p型GaN層18の成長≫
次に、MOCVD装置の反応炉内へのTMAの供給を停止して、キャリアバリア層17上に、厚さ60nmのp型GaN層18を成長させる。p型GaN層18は、活性層16への均一な電流注入を考慮して、注入された正孔が活性層16の面内に十分に拡散するのに足る厚さにすることが好ましい。本実施の形態においては、p型GaN層18の厚さを60nmとしているが、特に限定されず、30nm以上100nm以下とすることが好ましい。p型GaN層18の厚さを30nm以上とした場合には、p型GaN層18の面内方向の抵抗が高くなって、p型GaN層18の面内に正孔が十分に拡散して、活性層16に均一に電流を注入することができる傾向にある。p型GaN層18の厚さを100nm以下とした場合には、p型GaN層18の層厚方向に流れる電流に対する直列抵抗が小さくなって、駆動電圧が低下し、電力変換効率が向上する傾向にある。
≪p型GaNコンタクト層19の成長≫
最後に、MOCVD装置の反応炉内へのCpMgの供給量を2μmol/minに増加して、p型GaN層18上に、p型GaNコンタクト層19を厚さ30nmに成長させる。
なお、p電極20との間でオーミックコンタクトを得るために、p型GaNコンタクト層19中のMg濃度を高くする必要があるため、下地となるp型GaN層18に比べて、CpMgの供給量を倍増させる。
≪降温工程≫
MOCVD装置の反応炉内のアンモニアとキャリアガスとしての窒素との混合ガス雰囲気において、p型GaN層18の成長後の基板11を室温まで降温する。ここで、降温時間は、基板11の破損を考慮して、1000℃から室温まで30分で降温させる。
なお、基板11の降温の際に、アンモニアの供給量を30mmol/minまで低下させてもよいが、アンモニアの供給を停止する場合には、成長した窒化物半導体結晶が熱分解するため、適正な量のアンモニアを少なくとも400℃以下まで供給し続けることが好ましい。また、基板11の降温中に、水素を供給した場合には、再蒸発により成長した窒化物半導体結晶がダメージを受けるおそれがある。
≪活性化処理工程≫
MOCVD装置から、上記のp型GaNコンタクト層19の成長後の基板11を取り出した後にはアクセプタであるMgを活性化するための熱処理(活性化処理)を行なうことが好ましい。窒化物半導体結晶中にドーピングされたアクセプタ不純物は、III族サイトを置換しているが、水素により不活性化しており、MOCVD装置から取り出した直後は、p型層が高抵抗化しているため、適切な温度と雰囲気でアクセプタ不純物と水素とを分離して、アクセプタ不純物を活性化することが好ましい。
活性化処理工程においては、基板11上に形成された窒化物半導体層への不要なダメージ(たとえば、高温かつ長時間の熱処理による表面荒れ)を避けるため、p型GaNコンタクト層19の形成後の基板11を800℃以上900℃以下の温度に短時間加熱することが好ましい。
活性化処理工程は、窒素雰囲気または窒素と酸素との混合ガス雰囲気で行なうことが好ましいが、Ar等の希ガスあるいは希ガスと酸素との混合ガス雰囲気であってもよい。活性化処理工程が行なわれる雰囲気に酸素を混合することによって、基板11上に積層された窒化物半導体層から水素を脱離させる効果が顕著になるが、雰囲気中の酸素濃度が高くなった場合には、表面酸化膜の形成等の悪影響を生じるため、雰囲気中の酸素濃度は50ppm以下とすることが好ましい。
また、熱処理は、10分以下であることが好ましい。また、活性化処理工程は、抵抗加熱またはハロゲンランプ加熱を用いた急速昇降温可能な熱処理炉を用いて行なうことが好ましい。
また、本実施の形態においては、窒素と、濃度が5ppmの酸素との混合ガス雰囲気中で850℃で2分間の熱処理を行なう。
上記の活性化処理工程後、本実施の形態において、基板11上に積層された窒化物半導体層の混晶組成および不純物濃度を評価するため、X線回折法、SIMS(二次イオン質量分析)およびC−V測定をそれぞれ行なったところ、n型GaN層14のSi濃度は2×1018個/cmであり、キャリアバリア層17およびp型コンタクト層19のMg濃度は1×1020個/cmであり、p型GaN層18のMg濃度は1×1019個/cmである。
上記の各層の組成と、バッファ層15および活性層16の周期構造の層厚とは、設計通りであることが確認できている。C−V測定により得られたキャリア濃度は、n型GaN層14が2×1018個/cmであり、バッファ層15が2×1016個/cmである。また、キャリアバリア層17、p型GaN層18およびp型コンタクト層19のp型キャリア濃度は、それぞれ、8×1017個/cm、1×1017個/cmおよび1×1018個/cmであることが確認されている。
実施の形態1では、バッファ層15にn型不純物をドープしていないが、たとえば、バッファ層15のn型化のためにSiなどのn型不純物をドープしてもよい。この場合には、第1のバッファ層15a若しくは第2のバッファ層15bの一方、またはその両方に、Siなどのn型不純物をドープすることができる。また、バッファ層15にSiなどのn型不純物をドープする場合には、n型GaN層14のキャリア密度に準じた値になるようなSi密度となるように、Siなどのn型不純物をバッファ層15にドープすることが好ましい。
したがって、第1のバッファ層15a若しくは第2のバッファ層15bの片方のみにSiなどのn型不純物をドープする場合には、n型不純物をドープしない方のバッファ層がアンドープであることを考慮して、バッファ層15が所望のキャリア密度となるように、Siなどのn型不純物のドープ量を調整することが好ましい。
窒化物半導体結晶中のMgの活性化エネルギーは非常に大きいため、一般に活性化率は%オーダーと言われており、本実施の形態でも1%程度となっている。キャリアバリア層17のみ他の層と比べて活性化率が低下しているが、これはバンドギャップが広いAlGaNであることによる。
X線回折法に加えて、TEM(透過電子顕微鏡)付属のEDX(エネルギー分散型X線分光)により求めたバッファ層15および活性層16の各層のIn組成は、所望の値になっていることが確認できている。EDX測定において照射する電子線の収束径と電子線の広がりとによりそれぞれの層を完全に単独で評価できていないことに注意すべきである。EDX測定においては、対象とする層の両隣の層からの情報もある程度含まれており、多少の誤差を含んでいるが、実態とかけ離れた値ではなく実用上は問題ない精度と考えられる。
≪電極形成工程≫
次に、上記の活性化処理工程後の基板11上の窒化物半導体層について、通常のフォトリソグラフィーによって電極パターンおよびエッチングパターンを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)によってエッチングを行なうことによって、図6に示すように、n型GaN層14の表面を露出させて、メサ形状を作製する。
その後、図1に示すように、n型GaN層14の表面上およびp型コンタクト層19の表面上に、それぞれ、n電極10およびp電極20を形成して、合金化のための熱処理を行ない、基板11を約100μmの厚さまで研削研磨し、通常のダイシング工程を経てチップに分割する。これにより、図1に示す実施の形態1の窒化物半導体発光素子が作製される。
≪作用効果≫
本発明において、Inx1Ga1−x1N/Inx2Ga1−x2N超格子を用いたバッファ層15の第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっている。また、上記活性層に近い位置に配置されている第15〜20周期の上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
この様な構成とすることで以下に示す様な作用と効果が発現する。
≪緩和がもたらす効果≫
実施の形態1の窒化物半導体発光素子においては、バッファ層15の格子緩和の程度により、格子緩和することなく活性層16が積層された状態に比べて、(I)活性層16が部分的に格子緩和してバルクに近い面内格子定数を持つ状態、(II)活性層16が完全に格子緩和した状態(バルク状態)、および(III)バッファ層15が格子緩和せずに活性層16が積層された場合とは逆符号の歪を活性層16の面内に有する状態の3種類の状態を取り得る。
上記の3種類のいずれの状態を取るかは、バッファ層15の格子緩和の程度によるが、実施の形態1のバッファ層15のように、第1のバッファ層15aの少なくとも1層のIn組成x1を活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくすることによって、格子緩和を促進することで、特許文献1に記載の素子のように、GaNに対してコヒーレントに成長する場合に比べて、活性層16に印加される歪を緩和することができるため、圧電分極に起因する内部電界の発生量を低減することができる。
なお、格子緩和することなく積層された状態とは、特許文献1における活性層が下地GaNにコヒーレントに成長している状態であり、活性層のInGaN井戸層には圧電分極に起因する大きな内部電界が発生しているため、電子・正孔が空間的に分離され、発光再結合寿命が長くなっている。
したがって、実施の形態1の窒化物半導体発光素子の活性層16は、特許文献1に記載の素子の活性層と比べて、活性層16に印加される歪が低減されている。そのため、実施の形態1の窒化物半導体発光素子においては、電子・正孔の空間的な分離が低減して、発光再結合寿命が短くなるため、内部量子効率が高くなる。
GaN上にコヒーレントにInGaNが成長するとき、基板との格子定数差から圧縮歪を受けながら成長し、歪エネルギーを蓄積していく。InGaNがある膜厚になると転位が発生して系のエネルギーが安定する。これを格子緩和といい、この膜厚を臨界膜厚という。たとえば、理論的には、InGa1−xNのIn組成xが0.2のとき臨界膜厚は約6nmと見積もられている。超格子構造ではこの臨界膜厚は数倍増大することが実験的に知られている。本実施の形態においては、この格子緩和を積極的に利用している。
すなわち、バッファ層15中のIn組成の変化の中で、活性層16のIn組成よりも大きいIn組成x1を有するInx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aを含ませることにより、バッファ層15の格子緩和を促している。
このように格子緩和したバッファ層15上にコヒーレントに成長した活性層16においては、格子緩和していないバッファ層上にコヒーレントに成長した活性層に比べて、面内の圧縮歪が低減される。すなわち、バッファ層15の形成によって、活性層16にかかる圧縮歪を緩和する方向の力を活性層にかける、または活性層16に引張歪を形成することができる。
これにより、活性層16の内部での圧電分極に起因する内部電界が低減され、量子井戸層内において電子および正孔が空間的に近づき、電子および正孔の分離が少なくなって、発光再結合寿命が短くなるため、内部量子効率を向上させることが可能となる。
なお、活性層16が、互いに異なるIn組成を有する複数の窒化物半導体層を有している場合には、第1のバッファ層15aの少なくとも1層のIn組成x1が、活性層16中で最も大きいIn組成を有する窒化物半導体層のIn組成よりも大きければよい。
本実施の形態の窒化物半導体発光素子においては、バッファ層15の第1のバッファ層15aのIn組成を変化させ、下地のGaN層との格子不整合差を次第に大きくして、バッファ層15を次第に格子緩和させている。
図7に示すように、第1−12周期は、0.23であり、第13−14周期は0.18とIn組成を活性層16の量子井戸層のIn組成(約0.16)よりも大きく設定している。これはより大きなIn組成の量子井戸を積層することで格子緩和を促すためである。
格子緩和が促進されているので、面内の格子定数が制御されていることは言うまでもない。従って、その上にコヒーレントに成長するInGaN/GaN量子井戸にかかる歪は、格子緩和していない場合に比べて小さくなり、圧電分極誘起電界の大きさは、より小さくなる。
≪平坦化作用がもたらす効果≫
本実施の形態1では、上記活性層に近い位置に配置されている第15〜20周期の上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
バッファ層15の中で、活性層のIn組成よりも大きい第1のバッファ層15aを積層することで緩和が促進される一方、表面の凹凸が大きくなり荒れる傾向にある。
その様な状況において、活性層16の直下にIn組成が低いInGaN層を成長することにより、緩和により一旦荒れた表面を、原子レベルで平坦な面(ジャスト)、もしくは原子レベルで平坦なテラスをもつステップアンドテラス構造まで回復させる効果がある。基板がオフ角をもつ、かつ/または、基板もしくは活性層下地層がグレインで構成されるためにステップアンドテラス構造をとる場合、その上に成長される結晶も、吸着原子はテラス状をマイグレートしてステップに到達し、さらにステップに沿って移動してキンク位置で結晶に取り込まれることで、ステップフロー成長する傾向にある。
さらに、ステップアンドテラス構造において、ステップ幅を固定した場合、その上に成長するInGaNのIn組成が低いほど、表面の荒れの引金となり得る「ステップの蛇行」が起こりにくくなる、また蛇行したステップとテラス構造を持つ窒化物半導体上へ成長した場合もステップがより直線状に回復する傾向にある。
この結果として、平坦なInGaN結晶とすることにより、活性層16の量子井戸と障壁層の界面をより急峻とでき、活性層の結晶性が向上し、またIn組成の空間的な揺らぎも抑制できる。
これは、活性層の結晶性が向上するため、活性層の内部量子効率が向上する効果と、量子井戸の界面揺らぎによる面内位置による量子準位の揺らぎ、またIn組成の局在準位の状態密度が減ることで発光半値幅が減少する効果がある。
《超格子構造による転位密度の制御》
また、バッファ層15は超格子構造であり、格子緩和する際に発生する転位、もしくは基板11から貫通する転位の多くは、バッファ層15の成長時に、応力により曲げられ、転位ループなどを形成して消滅する。そのため、貫通転位やそれに起因すると考えられるピットの密度を低減する。
《あらゆる注入電流での内部量子効率が改善》
以上より、格子緩和による面内格子定数制御により活性層にかかる圧電分極誘起電界が低減することで、発光再結合寿命が短くなり、平坦化作用による結晶性維持および向上と、欠陥低減と、によって、非発光再結合過程が少なくなることで、非発光再結合寿命が長くなり、内部量子効率が向上する。
また、発光再結合寿命が短くなるとき、観測される発光寿命も短くなるため、活性層16内の定常的なキャリア密度nは低減することになる。
活性層16の定常的なキャリア密度が減少すると、発光に寄与しない、キャリア密度の3乗に比例するオージェ再結合過程、およびキャリアのオーバーフローなどが減少するため、ドゥループ現象が低減し、あらゆる駆動電流域で上記の効果が得られ、あらゆるキャリア密度で内部量子効率が向上する効果がある。
本発明では、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の膜厚が数nm程度である超格子を用いているが、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の単層膜の場合は生じた欠陥の密度を低く抑えることが出来ないので、従って、GaN上に成長した単層厚膜InGaN上に活性層を成長した場合、面内の格子定数は制御されているが、下地の欠陥の影響を受けて、活性層の結晶性は悪化ため本発明の効果は得られない。
本発明に記載の超格子とすることで、緩和促進と欠陥低減と表面平坦化の効果が初めて現れる。
≪LED素子の評価≫
チップ状の実施の形態1の窒化物半導体発光素子は、通常のステムにAu−Sn半田を用いてマウントされ、Auワイヤーで、電極と端子とを結線し、透明エポキシ樹脂によるモールドを経て、実施の形態1のLED素子として完成させる。
比較のため、本実施の形態で説明したバッファ層15の第1のバッファ層15aに代えて、In組成が活性層16のInGaN量子井戸層よりも小さいIn0.08Ga0.92Nの式で表わされる第1のバッファ層と、GaNからなる第2のバッファ層とを交互に積層して歪超格子層(この歪超格子層の構造を構造Xとする)を形成したこと以外は実施の形態1と同様にして比較例1のLED素子を作製する。比較例1のLED素子においては、第1のバッファ層のIn組成が活性層のInGaN量子井戸層よりも小さく一定であるためバッファ層が格子緩和ならびに、より低いIn組成のInGaNを成長することによる表面平坦性の向上は見込めない。また、比較例1のLED素子は、歪超格子層上にMQWからなる活性層がコヒーレントに成長して形成されている。
上記のようにして得られた実施の形態1と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。実施の形態1と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例1に対して実施の形態1の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから23nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.2倍となった。
また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態1で1.5となった。
ここで、比較する発光スペクトル間でピーク位置がほぼ同一のため、発光半値幅を波長の単位[nm]で比較することに支障はない。
まず、上記のバッファ層15を用いた実施の形態1窒化物半導体発光素子の活性層における量子井戸と障壁層の界面が急峻となり、また量子井戸内のIn組成揺らぎが小さくなった結果、発光半値幅は小さい値を取ったと考えられる。
上記のバッファ層15を用いた実施の形態1の窒化物半導体発光素子の内部量子効率が向上した結果、実施の形態1のLED素子は、比較例1のLED素子と比べて、光出力が向上している。その理由は、以下のとおりである。
後の実施の形態でも述べるが、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aと、Inx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層15bとの周期的な積層構造の中で、活性層16の量子井戸層のIn組成よりも高いIn組成x1の第一のバッファ層15aを成長した第12周期の表面の粗さに比べて、その後活性層のIn組成よりも低いIn組成x1をもつバッファ層15aを成長した後の表面の粗さは、改善している。
現に、バッファ層15の第12周期で成長を終了した状態の表面と、バッファ層15の第20周期で成長を終了した表面と、活性層で成長を終了した状態の表面を原子間力顕微鏡により観察した結果、表面の2乗平均粗さはそれぞれ2.5nm、0.6nm、0.8nmとなった。従って、第1のバッファ層15aのIn組成x1が極大値を取った直後は5分子層程度の荒れが観察できる一方、In組成x1が減少した状態の第20周期目の表面の粗さが改善し、より平坦になっていることがわかる。つまり原子間力顕微鏡の分解能に近い値をとり、原子レベルで平坦といえる。
一方、比較例1において、バッファ層(構造X)で成長を終了した状態の表面と、活性層で成長を終了した状態の表面を原子間力顕微鏡によって観察した結果、表面の2乗平均粗さはそれぞれ、1.5nm、2.1nmとなった。
実施の形態1の窒化物半導体発光素子のバッファ層15において、第1のバッファ層のIn組成x1が活性層よりも大きな値を取っている領域で格子緩和を促進しているため、面内の格子定数がバルク状態に近づいている一方で、表面の粗さは増している。しかし、さらに成長が進み第1のバッファ層のIn組成x1が減少している領域では、より平坦な結晶表面状態をとりながら成長が進むため、表面の粗さが小さくなっている。
この様に、格子緩和により面内格子定数が制御され、かつより平坦化されたバッファ層の上に活性層を成長する場合、界面の急峻性と結晶性を維持しながら成長するものと考えられる。
一方、比較例1では、バッファ層(構造X)の成長において格子緩和が進んでおらず、
第1の実施例の窒化物半導体発光素子のバッファ層15の表面の粗さに比べて大きな値をとっているため、その上に活性層を成長する場合、面内格子定数の制御と平坦化の作用はない。
さらに、バッファ層15を構成するInx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aのIn組成x1が変化し、かつ活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっていることによって、バッファ層15の格子緩和が促進されている。そのため面内の格子定数は格子緩和していない場合よりも活性層の量子井戸層のInGaNのバルク状態(無歪)の面内格子定数により近くなっている。
そのため、バッファ層15に成長したInGaN量子井戸層にかかる歪が低減し、ピエゾ分極に起因する内部電界が、構造Xを有する従来構造のInGaN井戸層を有する活性層に比べて低減する。その結果、InGaN活性層へ注入された電子・正孔の空間的な分離が小さくなって再結合しやすくなり、発光再結合寿命が短くなるため、内部量子効率が向上すると考えられる。
またバッファ層の平坦化作用により活性層の結晶性や界面急峻性が向上したことにより、非発光再結合中心の密度がへり、非発光再結合寿命が長くなったため、内部量子効率が向上したために、光出力も向上した。
これに加えて、バッファ層15における欠陥密度が減少したことも非発光再結合中心が減少したことも非発光再結合寿命が長くなり内部量子効率の向上に寄与している。
さらに、発光再結合寿命が短くなったことによって、定常的なキャリア密度が低下したため、注入電流量を20mAから60mAに増加させたときの光出力の増加率は比較例1に比べて実施の形態1のLED素子の方が大きく増加している。これは、上記の構造を有するバッファ層15を用いることによって、あらゆる電流領域での内部量子効率が向上したためであると考えられる。
《その他の構成》
本実施の形態においては、窒化物半導体層としては、GaN、InGaNおよびAlGaNを用いたが、たとえば、それぞれ独立に、AlαInΒGaγN(0≦α≦1、0≦β≦1、0≦γ≦1、α+β+γ≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を用いることができ、III族元素の一部がB(ホウ素)で置換されたものを用いてもよく、V族元素としてN(窒素)の一部がP(リン)および/またはAs(ヒ素)で置換されたものを用いてもよい。
本実施の形態においては、MOCVD法により、基板11上に窒化物半導体層を積層しているが、MOCVD法以外にも、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などに代表される気相成長法、超臨界流体内で結晶育成させる水熱合成法、またはフラックス法などの液相成長法などを用いることもできる。窒化物半導体層の積層方法は、特に限定されず、たとえば、これらの各成長法を単独であるいは2つ以上適宜組み合わせて用いることができる。
本実施の形態においては、基板11上に、n型窒化物半導体層、バッファ層15、活性層16およびp型窒化物半導体層の順に成長させたが、バッファ層15が活性層16よりも先に成長されればよく、その他の層の順序は問わない。たとえば、基板11上に、p型窒化物半導体層、バッファ層15、活性層16およびn型窒化物半導体層の順に成長させてもよい。
[実施の形態2]
本実施の形態2においては、実施の形態1の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの組成を図8に示す様に変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した(ここでは、第2バッファ層はGaNで、In組成x2は0である)。
実施の形態2の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bのIn組成x1、x2の結晶成長方向における変化を示す。図8に示すように、第1〜2、15〜16周期は0.08であり、第3〜4、13〜14周期は0.18であり、第5〜6、11〜12周期は0.20であり、第7〜10周期は0.25であり、第17〜20周期は0.04である。
つまり、バッファ層15において、第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっている。
また、上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
上記のようにして得られた実施の形態2と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態2と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例1に対して実施の形態2の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態2で1.5となった。本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。
[実施の形態3]
本実施の形態3においては、実施の形態1の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの組成を図9に示す様に変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した(ここでは、第2バッファ層はGaNで、In組成x2は0である)。
実施の形態3の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bのIn組成x1、x2の結晶成長方向における変化を示す。
図9に示すように、第1のバッファ層のIn組成x1は、第1〜2、10〜11、18〜19周期は0.08であり、第3〜4、8〜9、12〜13、17周期は0.14であり、第5、7、14、16周期は0.20であり、第6、15周期は0.25であり、第20周期は0.04である。また第2のバッファ層のIn組成x2は0、つまりGaNである。
バッファ層15において、第1のバッファ層15aのIn組成x1のうち少なくとも1層は活性層16の量子井戸層のIn組成よりも大きくなっている。
また、上記活性層に最も近い位置に配置されている上記第1のバッファ層のIn組成x1は上記活性層のIn組成よりも低くなっている。
また、x1は積層方向に増減を繰り返し、上記活性層のIn組成よりも大きい値と上記活性層のIn組成よりも小さい値を少なくとも1個以上とっている。
上記のようにして得られた実施の形態3と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態3と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。また、比較例1に対して実施の形態3の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。
また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態3で1.6となった。
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。また、In組成の増減の仕方は本実施の形態に限るものではない。
[実施の形態4]
本実施の形態4においては、実施の形態3の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの組成を図10に示す様に変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した。
実施の形態4の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bのIn組成x1、x2の結晶成長方向における変化を示す。
図10に示すように、第1のバッファ層のIn組成x1は、第1〜2、10〜11、18〜19周期は0.08であり、第3〜4、8〜9、12〜13、17周期は0.14であり、第5、7、14、16周期は0.20であり、第6、15周期は0.25であり、第20周期は0.04である。また第2のバッファ層のIn組成x2は各周期の第1のバッファ層のIn組成x1の1/10となる様な値である。
また、x2はx2<x1を満たしながらIn組成x1に対して従属に変化している。第2のバッファ層のIn組成x2は、第1のバッファ層のIn組成x1に従って独立に変化してもよい。
上記のようにして得られた実施の形態4と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態4と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。また、比較例1に対して実施の形態4の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態4で1.6となった。
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。また、In組成の増減の仕方は本実施の形態に限るものではない。
[実施の形態5]
本実施の形態5においては、実施の形態3の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの組成を図11に示す様に変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した。
本実施の形態5では、x2はx2<x1を満たしながらIn組成x1に対して従属に変化している。
実施の形態5の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bのIn組成x1、x2の結晶成長方向における変化を示す。
図11に示すように、第1のバッファ層のIn組成x1は、第1〜2、10〜11、18〜19周期は0.08であり、第3〜4、8〜9、12〜13、17周期は0.14であり、第5、7、14、16周期は0.20であり、第6、15周期は0.25であり、第20周期は0.04である。
また第2のバッファ層のIn組成x2は第4〜8、12〜16周期は0.025であり、第9〜11周期は0.014である。
上記のようにして得られた実施の形態5と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態5と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例1に対して実施の形態5の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。
また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態5で1.6となった。本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。また、In組成の増減の仕方は本実施の形態に限るものではない。
[実施の形態6]
本実施の形態6においては、実施の形態4の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの膜厚を以下のように変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した。
実施の形態6の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの膜厚の結晶成長方向における変化を示す。
第1のバッファ層15aの膜厚について、第1〜2、10〜11、18〜19周期は0.2nm、第20周期は4.0nm、それ以外は1.75nmとした。また、第2のバッファ層15bの膜厚について、すべて1.75nmとした。第1のバッファ層の膜厚は0.2から4.0nmをとっている。
上記のようにして得られた実施の形態6と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態6と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例1に対して実施の形態6の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態6で1.6となった。
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。また、第1のバッファ層15aの膜厚は本実施の形態で用いた値に限るものではないことは言うまでもない。
[実施の形態7]
本実施の形態7においては、実施の形態1の窒化物半導体発光素子において、バッファ層15を構成する第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの膜厚を以下のように変更した以外は、同様にして窒化物半導体発光素子を作製した。実施の形態7の第1のバッファ層15aと第2のバッファ層15bの膜厚の結晶成長方向における変化を示す。
第1のバッファ層15aの膜厚について、第1〜2、10〜11、18〜19周期は0.2nm、第20周期は4.0nm、それ以外は1.75nmとした。また、第2のバッファ層15bの膜厚について、第1〜5周期までは0.2nm、第6〜18周期までは1.75nm、第19〜20周期までは10nmとした。第2のバッファ層の膜厚は0.2から10.0nmをとっている。
上記のようにして得られた実施の形態7と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。実施の形態7と比較例1のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例1に対して実施の形態7の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は27nmから21nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.3倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例1で1.3、実施の形態7で1.6となった。
本実施の形態においても実施の形態1と同様の効果が確認できた。また、第1のバッファ層15bの膜厚は本実施の形態で用いた値に限るものではないことは言うまでもない。
[実施の形態8]
図12に、実施の形態8の窒化物半導体発光素子の模式的な断面図を示す。実施の形態8においては、基板11上に、p型窒化物半導体層、バッファ層15、活性層16およびn型窒化物半導体層の順に結晶成長することによって窒化物半導体発光素子を作製している点に特徴がある。
以下、図12〜図17の模式的断面図を参照して、実施の形態8の窒化物半導体発光素子の製造方法の一例について説明する。まず、図13に示すように、基板11の表面上に低温バッファ層12を形成し、低温バッファ層12上にアンドープGaN層13を積層し、アンドープGaN層13上にp型GaNコンタクト層19を積層し、p型GaNコンタクト層19上にp型GaN層18を積層し、p型GaN層18上にキャリアバリア層17を積層する。
次に、図14に示すように、Inx2Ga1−x2N[0≦x2<1、x2<x1]の式で表わされる第2のバッファ層15bと、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層15aとを交互に積層することによって、キャリアバリア層17上に、バッファ層15を積層する。またバッファ層15の最後にIn組成0のキャップ層15c、つまりGaN層の成長を行った。
第1および第2のバッファ層のIn組成x1、x2と膜厚に関しては、実施の形態1と同様とした。
実施の形態8では、バッファ層15はアンドープであるが、たとえば、バッファ層15のp型化のためにMgなどのp型不純物をドープしてもよい。この場合には、第1のバッファ層15a若しくは第2のバッファ層15bの一方、またはその両方に、Mgなどのp型不純物をドープすることができる。また、バッファ層15にMgなどのp型不純物をドープする場合には、p型GaN層17のキャリア密度に準じた値となるMg密度となるように、Mgなどのp型不純物をバッファ層15にドープすることが好ましい。
したがって、第1のバッファ層15a若しくは第2のバッファ層15bの片方のみにMgなどのp型不純物をドープする場合には、p型不純物をドープしない方のバッファ層がアンドープであることを考慮して、バッファ層15が所望のキャリア密度となるように、Mgなどのp型不純物のドープ量を調整することが好ましい。
しかしながら、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)およびInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)はアンドープとした場合でも、弱いn型を示す傾向があるため、バッファ層15にMgなどのp型不純物をドープする場合には、第1のバッファ層15aおよび第2のバッファ層15bの双方にMgなどのp型不純物をドープすることがより好ましい。
また、活性層へのMg拡散による影響を考慮すると、キャップ層15cへのドーピングはしない方が好ましいが、第2のバッファ層15bと同様にドーピングすることもできる。
次に、図15に示すように、バッファ層15上に活性層16を積層し、図16に示すように、活性層16上にn型GaN層14を積層する。
次に、図17に示すように、基板11を剥離し、研磨などで低温バッファ層12およびアンドープGaN層13を除去することによって、p型GaNコンタクト層19の裏面を露出させる。
その後、図12に示すように、n型GaN層14の表面上およびp型コンタクト層19の裏面上に、それぞれ、n電極10およびp電極20を形成して、合金化のための熱処理を行ない、通常のダイシング工程を経てチップに分割する。これにより、図12に示す実施の形態4の窒化物半導体発光素子が作製される。
そして、実施の形態1〜7と同様にして、実施の形態8の窒化物半導体発光素子を用いて、実施の形態8のLED素子を作製する。
比較のため、本実施の形態で説明したバッファ層15の第1のバッファ層15aに代えて、In組成が活性層16のInGaN量子井戸層よりも小さいIn0.08Ga0.92Nの式で表わされる第1のバッファ層と、GaNからなる第2のバッファ層とを交互に積層して歪超格子層を形成したこと以外は実施の形態8と同様にして比較例2のLED素子を作製する。比較例2のLED素子においては、第1のバッファ層のIn組成が活性層のInGaN量子井戸層よりも小さいためバッファ層が格子緩和していない。また、比較例2のLED素子は、歪超格子層上にMQWからなる活性層がコヒーレントに成長して形成されている。
上記のようにして得られた実施の形態8と比較例1のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態8と比較例2のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例2に対して実施の形態8の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は32nmから28nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.1倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例2で1.4、実施の形態8で1.6となった。
このように、基板11上に、p型窒化物半導体層、バッファ層15、活性層16およびn型窒化物半導体層の順に結晶成長した場合でも、上記のバッファ層15を用いた実施の形態8の窒化物半導体発光素子の活性層直前の表面平坦性が向上し活性層の結晶性が向上した結果、内部量子効率が向上し、また界面の急峻性が向上したため、実施の形態8のLED素子は、比較例2のLED素子と比べて、発光半値幅・光出力が向上している。
[実施の形態9]
実施の形態9においては、実施の形態1および2において、異種基板の一例であるサファイア基板のC面上に活性層16まで積層した試料をMOCVD装置から取り出し、活性層16の欠陥密度の評価を行なう。欠陥密度の評価方法としては、活性層16を特定の溶液でエッチングした後に発生するピット数をカウントする方法と、CL(カソードルミネセンス)像の暗点をカウントする方法とを用いる。なお、本明細書において、「異種基板」とは、AlαInΒGaγN(0≦α≦1、0≦β≦1、0≦γ≦1、α+β+γ≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶とは異なる材質からなる基板のことを意味する。
まず、活性層16を特定の溶液でエッチングした後に発生するピット数をカウントする方法について説明する。窒化物半導体結晶は、構成元素である窒素の強いイオン性に起因する強固な原子間結合力により、たとえばGaAsやGaP等の窒化物ではない半導体結晶と比べて薬品に対する耐性が極めて高くなっているが、特定の溶液に対しては、溶解性を有することが知られている。
窒化物半導体結晶は、たとえば、燐酸と硫酸との任意の比率の混合液を約200℃以上に加熱した溶液や、溶融KOHなどに対しては、ある程度の溶解性を示す。また、窒化物半導体結晶の欠陥密度が高いほど、これら溶液に対する窒化物半導体結晶の溶解度が高いことが確認されている。これは、欠陥に誘起した電荷と、溶液中のイオンとの結合によって、化学反応が進行することに起因している。
したがって、欠陥密度の高低によって窒化物半導体結晶の溶解速度が異なり、窒化物半導体結晶の欠陥の周辺が選択的に溶解して、ピットが形成される。ピットの密度は欠陥密度にほぼ等しいことから、この手法で欠陥密度を評価することができる。
また、たとえば溶液の濃度や温度を調整することにより、欠陥の種類に応じて、ピットの形状を変えることも可能であり、欠陥の種類とそれぞれの密度を個別に評価することもできる。本実施の形態では、欠陥として、螺旋転位および混合転位にそれぞれ注目して評価する。
特定の溶液を用いてエッチングした後の実施の形態1の試料の表面に発生するピットの密度は、1×10個/cmである。また、実施の形態1の試料のバッファ層15に代えて、構造Xの歪超格子層を用いた比較例1の試料の表面に発生するピットの密度は、1×10〜1×10個/cmである。
したがって、実施の形態1の活性層16においては、比較例1の活性層よりも、ピットの密度が低減できている。
実施の形態1と同様に、実施の形態2の試料の表面に発生するピットの密度は、0.9×10個/cmであり、実施の形態1よりもさらに欠陥密度が低減できている。
超格子層数が同一である場合には、量子井戸層(第1のバッファ層15a)の組成を変化させると、障壁層(第2のバッファ層15b)との格子不整合率がより大きくなって格子緩和し、面内の格子定数はより組成の高いバルクの値に近づく。
また下地より伝搬する貫通転位は、バッファ層15の成長方向への伝播中に、障壁層と量子井戸層との界面付近で応力を受けて、横方向へ伝播方向を変えて、転位ループを形成して消滅する。
これらの効果が、実施の形態1よりも実施の形態2に対して強く現れ、ピット密度の低減に結びついていると考えられる。この結果は、窒化物半導体発光素子の発光強度の増大に対応している。
次に、CL像の観察を行ない、実施の形態1および実施の形態2の試料の暗点の密度を評価する。一般に、結晶中の欠陥は、注入されたキャリアを捕獲し、非発光再結合中心として働くことがわかっている。そのため、CL像に現れる暗点は、欠陥に対応していると言える。
実施の形態1および実施の形態2の試料のCL像を観察し、暗点の密度を求めた結果、溶液処理によるピットの密度とほぼ一致する結果が得られている。このように、異なる方法により得られた結果がほぼ一致していることから、本発明によって、活性層16の欠陥密度が1×10個/cm以下に低減できていることが確認されている。
なお、実施の形態9における上記以外の説明は、実施の形態1〜8と同様であるため、その説明については省略する。
[実施の形態10]
実施の形態10においては、サファイア基板のC面上に窒化物半導体層を積層する代わりに、サファイア基板のR面上に窒化物半導体層を積層している点に特徴がある。
サファイア基板のR面上に窒化物半導体層を積層すること以外は実施の形態1と同様にして、実施の形態10の窒化物半導体発光素子を作製する。そして、実施の形態1と同様にして、実施の形態10の窒化物半導体発光素子を用いて、実施の形態10のLED素子を作製する。
比較のため、本実施の形態で説明したバッファ層15の第1のバッファ層15aに代えて、In組成が活性層16のInGaN量子井戸層よりも小さいIn0.08Ga0.92Nの式で表わされる第1のバッファ層と、GaNからなる第2のバッファ層とを交互に積層して歪超格子層を形成したこと以外は実施の形態10と同様にして比較例3のLED素子を作製する。比較例3のLED素子においては、第1のバッファ層のIn組成が活性層のInGaN量子井戸層よりも小さいためバッファ層が格子緩和していない。また、比較例3のLED素子は、歪超格子層上にMQWからなる活性層がコヒーレントに成長して形成されている。
上記のようにして得られた実施の形態10と比較例3のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態10と比較例3のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例3に対して実施の形態10の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は34nmから30nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.4倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例3で1.3、実施の形態10で1.5となった。
この結果は、実施の形態1で考察したように、バッファ層15の平坦化と格子緩和による格子定数変調が本質であって、基板の面方位とほぼ無関係に素子特性の向上が得られることを示している。
なお、実施の形態10における上記以外の説明は、実施の形態1〜5と同様であるため、その説明については省略する。
[実施の形態11]
実施の形態11においては、サファイア基板のC面上に窒化物半導体層を積層する代わりに、GaN基板のR面上に窒化物半導体層を積層している点に特徴がある。
GaN基板のR面上に窒化物半導体層を積層すること以外は実施の形態1と同様にして、実施の形態11の窒化物半導体発光素子を作製する。そして、実施の形態1と同様にして、実施の形態11の窒化物半導体発光素子を用いて、実施の形態11のLED素子を作製する。
比較のため、本実施の形態で説明したバッファ層15の第1のバッファ層15aに代えて、In組成が活性層のInGaN量子井戸層よりも小さいIn0.08Ga0.92Nの式で表わされる第1のバッファ層と、GaNからなる第2のバッファ層とを交互に積層して歪超格子層を形成したこと以外は実施の形態7と同様にして比較例4のLED素子を作製する。比較例4のLED素子においては、第1のバッファ層のIn組成が活性層のInGaN量子井戸層よりも小さいためバッファ層が格子緩和していない。また、比較例4のLED素子は、歪超格子層上にMQWからなる活性層がコヒーレントに成長して形成されている。上記のようにして得られた実施の形態11と比較例4のLED素子に通電することによって、それぞれのLED素子の特性を確認する。
実施の形態11と比較例4のLED素子の駆動電流20mAにおける発光波長は445nmであった。
また、比較例4に対して実施の形態11の、駆動電流20mAにおける発光半値幅は32nmから29nmに低減し、また同駆動電流での光出力は1.1倍となった。また、(60mA時の光出力/20mA時の光出力)の値は、比較例4で1.4、実施の形態10で1.6となった。
この結果は、実施の形態1で考察したように、バッファ層15の平坦化と格子緩和による格子定数変調が本質であって、基板の面方位とほぼ無関係に素子特性の向上が得られることを示している。
なお、実施の形態11における上記以外の説明は、実施の形態1〜9と同様であるため、その説明については省略する。
[実施の形態12]
上述したように、エピタキシャル成長を行う下地はステップアンドテラス構造をとる方がよい。図9で、2山を形成するようにIn組成x1を変化させた場合、1山目で、一度活性層よりも大きなIn組成として緩和させた後に、活性層よりも小さなIn組成を取るように変化させている。これは、1山目の平坦性を回復させる効果がある。従って、その上に引き続き成長する2山目のInGaN/InGaN超格子バッファ層にとって有利に働く。また、早いうちに平坦性を回復させておく方が、一度大きく荒れてから回復させるよりも回復し易く有利である。つまり、活性層から離れた所(例えば周期10、11)で、活性層よりも小さなIn組成を取るように変化させることは、結局のところ、活性層の結晶性に効いてくるのである。図8の場合よりも図9の方が効果が大きい。
次に、本実施の形態12である図18(A)に示すように、第1のバッファ層のIn組成x1が、積層方向において、3つの山を形成するように、In原料の供給量を変化させてもよい、又は結晶成長温度を変化させてもよい。このように、一度活性層よりも大きなIn組成を持つ第一のバッファ層を設けた後、活性層よりも低いIn組成を持つ第一のバッファ層を早い段階で設けるように、小刻みに変化させると本発明の効果は増大する。
これに対して、同じ山でも図18(B)に示すように、活性層よりもIn組成が大きい領域において、小刻みにIn組成を変化させて、又は結晶成長温度を変化させて、山の数を増やしても効果は小さい。図18(A)に示すように、活性層のIn組成よりも大きい領域と小さい領域をまたぐ様に変化させると本発明の効果は大きい。
本実施例では、3つの山を形成する場合を例示したが、さらに小刻みにIn組成を変化させて、又は結晶成長温度を変化させて、山の数を増やしてもよい。
なお、上記実施の形態では、In原料として、有機金属(トリメチルインジウム)を用いる場合を例示したが、作製方法はMOCVDに限られるものでないので、これに限定されるものではない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、発光色が青色の領域だけではなく、より結晶成長が難しい緑色などの長波長域の窒化物半導体発光素子などにも利用可能であるため、産業上の利用可能性は高い。
10 n電極
11 基板
12 低温バッファ層
13 アンドープGaN層
14 n型GaN層
15 バッファ層
15a 第1のバッファ層
15b 第2のバッファ層
16 活性層
17 キャリアバリア層
18 p型GaN層
19 p型GaNコンタクト層
20 p電極

Claims (21)

  1. InGaN系の窒化物半導体を活性層に用いた半導体発光素子であって、
    前記活性層を間に挟むように設けられた下部窒化物半導体層と上部窒化物半導体層と、
    前記下部窒化物半導体層の上であって、かつ前記活性層の直下に設けられた、平坦なテラスとステップで構成される表面を前記活性層の下地にするためのバッファ層とを備え、
    前記バッファ層は、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層が、交互に、周期的に積層された超格子構造を有しており、
    前記第1のバッファ層のIn組成x1は、積層方向に変化しており、
    前記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、前記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ前記活性層に最も近い位置に配置されている前記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低いことを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち前記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように変化している請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、2つの山を形成するように変化している請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は0である請求項2又は3に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化している請求項2又は3に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化している請求項2又は3に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、3つ以上の山を形成するように変化している請求項2〜6のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 上部窒化物半導体層、InGaN系の窒化物半導体で形成された活性層、該活性層の直下に設けられ、平坦なテラスとステップで構成される表面を該活性層の下地にするためのバッファ層及び下部窒化物半導体層を有する半導体発光素子の製造方法であって、
    前記活性層の結晶成長に先立ち、前記バッファ層を結晶成長させる工程を備え、
    前記バッファ層の結晶成長工程において、
    前記バッファ層が、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層とが、交互に、周期的に積層された超格子構造となるように、かつ
    前記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、前記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ前記活性層に最も近い位置に配置されている前記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低くなるように、
    In原料の供給量を周期的に増減させ、前記バッファ層のIn組成を、該バッファ層の結晶成長方向において変化させることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  9. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち前記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように、前記In原料の供給量を周期的に増減させる請求項8に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  10. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち2つの山を形成するように、前記In原料の供給量を周期的に増減させる、請求項9に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  11. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、0になるように、前記In原料の供給量を周期的に増減させる、請求項9又は10に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  12. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化するように、前記In原料の供給量を周期的に増減させる、請求項9又は10に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  13. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化するように、前記In原料の供給量を周期的に増減させる、請求項9又は10に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  14. 前記第1のバッファ層のIn組成x1が、前記積層方向において、3つ以上の山を形成するように、前記In原料の供給量を周期的に増減させることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  15. 上部窒化物半導体層、InGaN系の窒化物半導体で形成された活性層、該活性層の直下に設けられ、平坦なテラスとステップで構成される表面を該活性層の下地にするためのバッファ層及び下部窒化物半導体層を有する半導体発光素子の製造方法であって、
    前記活性層の結晶成長に先立ち、前記バッファ層を結晶成長させる工程を備え、
    前記バッファ層の結晶成長工程において、
    前記バッファ層が、Inx1Ga1−x1N(0<x1≦1)の式で表わされる第1のバッファ層とInx2Ga1−x2N(0≦x2<1、x2<x1)の式で表わされる第2のバッファ層とが、交互に、周期的に積層された超格子構造となるように、かつ
    前記第1のバッファ層の少なくとも1層のIn組成x1は、前記活性層のIn組成よりも大きい値をとり、かつ前記活性層に最も近い位置に配置されている前記第1のバッファ層のIn組成x1は前期活性層のIn組成よりも低くなるように、
    結晶成長温度を変化させ、前記バッファ層のIn組成を、該バッファ層の結晶成長方向において変化させることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  16. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち前記第1のバッファ層のIn組成x1が、周期を横軸にIn組成を縦軸に取ってグラフにした場合、1つの山を形成するように、結晶成長温度を変化させる請求項15に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  17. 前記第1のバッファ層のIn組成x1の前記積層方向における変化は、前記活性層に向かう方向において、前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように変化し、さらに前記活性層よりも大きなIn組成をとったあとに、該活性層よりも小さなIn組成を取るように、すなわち2つの山を形成するように、結晶成長温度を変化させる、請求項16に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  18. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、0になるように、結晶成長温度を変化させる、請求項16又は17に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  19. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に従って変化するように、結晶成長温度を変化させる、請求項16又は17に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  20. 前記第2のバッファ層のIn組成x2は、前記第1のバッファ層のIn組成x1に対して独立に変化するように、結晶成長温度を変化させる、請求項16又は17に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  21. 前記第1のバッファ層のIn組成x1が、前記積層方向において、3つ以上の山を形成するように、結晶成長温度を変化させることを特徴とする請求項16〜20のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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