JP2013247071A - 電極材料およびその製造方法ならびに二次電池 - Google Patents

電極材料およびその製造方法ならびに二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い充放電レートで用いた場合でも単位体積当たりの放電容量が大きい二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池の正極1として、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体からなり、該焼結体中に酸化物換算にして0.5〜5.0質量%の亜鉛を含む電極材料を用いることにより、焼結体中の亜鉛が、電子伝導性が比較的高い酸化物としてリチウム複合酸化物の粒子間における電子伝導性を向上させ、高い充放電レートにおいても容量密度の高い二次電池とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質を用いた二次電池の電極材料およびその製造方法ならびにこの電極材料を用いた二次電池に関する。
近年、非水電解質を用いた二次電池は、携帯電話やノートPCだけでなく、電気自動車用バッテリー、家庭用、発電施設用蓄電池としてもその用途を広げている。
二次電池としては、一般的に電解質として非水系の電解液をセパレータと呼ばれる多孔質膜に含浸させたものが使用されており、近年、電解液の漏液や腐食の防止、電解液の注液工程等の簡略化、電池構造を簡単にするといった観点から固体電解質を用いた二次電池も提案されている。また、充放電特性に優れた二次電池として、電池の充放電にリチウムイオンを利用したリチウムイオン二次電池が知られている。
このような二次電池に用いる正極材料として、例えば、正極活物質としてLiCoO等を主とする焼結体電極が提案されている(特許文献1を参照)。
また、正極活物質としてLiCoOを主相として含有し、空隙率が15〜25体積%の焼結体の空隙部にリチウムイオン伝導性物質を配置したものが提案されている(特許文献2を参照)
特許第3427570号公報 特開2010−080426号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の正極材料を二次電池に用いたとしても放電容量を十分に高めることができず、また、高い充放電レートで用いた場合に容量が低下するといった課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、高い充放電レートで用いた場合でも単位体積当たりの放電容量が大きい二次電池を提供することを目的とする。
本発明の電極材料は、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体からなり、該焼結体中に酸化物換算にして0.5〜5.0質量%の亜鉛を含むことを特徴とする。
また、本発明の二次電池は、前記電極材料からなる正極と、非水電解質と、負極とを有することを特徴とする。
さらに、本発明の電極材料の製造方法は、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種以上を含むリチウム複合酸化物の粉末95.0〜99.5質量%と、酸化亜鉛の粉末0.5〜5.0質量%とを混合して成形し、900℃以上の最高温度で焼成することを特徴とする。
本発明によれば、高い充放電レートにおいても単位体積当たりの放電容量の大きな二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態である二次電池の発電要素を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の電極材料は、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体からなり、焼結体中には亜鉛が含まれている。
層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物(以下、単にリチウム複合酸化物という場合もあるが、本明細書においてリチウム複合酸化物という場合は、層状岩塩型結晶構造を有しCo、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物を指す)は、充放電電圧が高く、充放電容量も大きいことから二次電池の高容量化、高エネルギー密度化に適した活物質である。そのため、このような材料を例えば二次電池の正極に用いると、150〜180mAh/gという高い放電容量が得られる。
このように高容量を有する材料を、亜鉛を含み、結晶粒子同士の少なくとも一部が結着した焼結体とすることで、高い充放電レートにおいても容量密度の高い電極材料を得ることができる。これは、焼結体中の亜鉛が、電子伝導性が比較的高い酸化物としてリチウム複合酸化物の粒子間に存在するためである。
本実施形態においては、焼結体中に含まれる亜鉛の量を、酸化物換算にして0.5〜5.0質量%とすることにより、焼結体を構成しているリチウム複合酸化物が活物質として本来有する容量を損なうことなく、緻密で、高い充放電レートにおいても容量密度の高い電極材料とすることができる。
なお、焼結体を構成するリチウム複合酸化物の種類は、X線回折により得られる回折パターンから特定すればよい。また、焼結体に含まれる亜鉛の量は、元素分析により確認すればよく、たとえば蛍光X線分析や、波長分散型X線分光分析(WDS)などを用いればよい。また、焼結体に含まれる亜鉛が酸化物であるか否かは、たとえば波長分散型X線分光分析(WDS)が可能な走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、亜鉛と酸素が同時に検出される粒子や領域の有無を確認すればよい。
層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物としては、LiCoO、LiNiO及びLiMnOの3つの成分の固溶体であるLiNi1/2Mn1/2やLiMn1/3Co1/3Ni1/3、LiNi0.8Co0.2、また、Li(Li1/3Mn2/3)O、LiNi1/2Mn1/2およびLiCoOの3つの成分の固溶体でありLi(Li、Mn,Co,Ni)Oとして表されるものなどがある。特に、LiMn1/3Co1/3Ni1/3は、比較的合成しやすく、熱的に安定であるため好ましい。
なお、本実施形態においては、焼結体中に、その製造過程で混入する可能性のある例えばNa、Mg、Fe、Al、Zr等の不純物元素を含んでいる場合もある。また、層状岩
塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物のほかに、LiNiO2、LiMnOなどの結晶を含有している場合もある。本実施形態においては、これらの不純物元素や結晶が、焼結体を構成するリチウム複合酸化物が活物質として本来有する容量を損なわない範囲において、焼結体中に含有されていてもなんら差し支えない。焼結体中に含まれる元素は、例えば蛍光X線分析やICP発光分光分析などの元素分析により確認すればよい。
また、非水電解質を用いた二次電池の特性を考えた場合、エネルギー密度は非常に重要な性能因子の一つであり、エネルギー密度を高めるためには、エネルギーを放出する物質が全体の体積や重量に占める割合が高い方が好ましい。そのためには、焼結体の空隙率が20%以下、さらには15%以下であることが好ましい。これは、空隙率を20%以下とすることで、焼結体内における空間の占める割合を低減し、エネルギー密度を高めるとともに、活物質である結晶粒子同士の結着面積が増大し、リチウムイオン伝導度を高めることができるためである。焼結体の空隙率は、たとえば、アルキメデス法や、焼結体の断面写真を画像解析するなどの方法により算出すればよい。
次に、本実施形態の電極材料の製造方法について説明する。まず、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種以上を含むリチウム複合酸化物の粉末と、酸化亜鉛の粉末との混合粉末を準備する。混合粉末の混合比率は、リチウム複合酸化物の粉末が95.0〜99.5質量%、酸化亜鉛の粉末が0.5〜5.0質量%である。酸化亜鉛の粉末の比率を0.5質量%以上とすることで、単独では緻密化が困難なリチウム複合酸化物の粉末の焼結性を向上させることができ、5.0質量%以下とすることで、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物が活物質として本来有する容量を損なうことなく、緻密な焼結体を得ることができる。
なお、混合粉末は、回折散乱法による粒度分布測定において0.6μm以下のD50を有していることが好ましい。これにより、さらに焼結性を向上させ、電極の嵩密度を高めることができ、空隙率を低減し、エネルギー密度を向上させることができる。粒度の調整方法としては、ボールミル、振動ミル、遊星ミル、湿式ジェットミル等、周知の粉砕・解砕手段のいずれを用いてもよい。また、リチウム複合酸化物の粉末と酸化亜鉛の粉末とを所定量混合した後に混合粉末のD50が0.6μm以下となるように粉砕してもよいし、所定の粒度に調整したリチウム複合酸化物および酸化亜鉛の粉末を所定量混合してもよい。なお、リチウム複合酸化物および酸化亜鉛の粉末を個別に粒度調整する場合は、酸化亜鉛の粉末の粒度をリチウム複合酸化物の粉末の粒度よりも小さくすることが好ましく、これにより、後述のような粒界組織の形成が容易になる。
また、本実施形態で用いる酸化亜鉛の粉末としては、純粋な酸化亜鉛の粉末や、亜鉛の一部を他の元素に置換した導電性酸化亜鉛などの粉末を用いることができる。
準備した混合粉末に対して、バインダーと分散剤とを溶媒とともに添加、混合してスラリーを作製する。なお、バインダーは、成形に使用しうるポリマーであれば、その種類は問わないが、例えばポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリドン、ブチラールなどの1種もしくは2種以上の混合物が挙げられる。なかでもブチラール系バインダーは、強度が高く添加量を削減することができ、高密度の焼結体が得られるため好ましい。また、バインダー量は活物質に対し10体積%以下とすることが好ましい。
作製したスラリーを、ドクターブレード法やプレス法などの周知の成形法によりグリー
ンシートを成形する。必要に応じ、成形したグリーンシートを所望の形状に切り出しても構わない。
そして、作製したグリーンシートを、900℃以上、さらには1000℃以上の最高温度で焼成することにより、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体であって、かつ酸化物換算にして0.5〜5.0質量%の亜鉛を含む焼結体が得られ、このような焼結体は、緻密で、高い充放電レートで用いた場合でも単位体積当たりの放電容量が大きい電極材料とすることができる。
このようにして得られた焼結体においては、たとえばリチウム複合酸化物は平均粒子径が0.1〜5μmの結晶粒子として存在し、亜鉛はたとえば平均粒子径が0.01〜3μmの酸化亜鉛の結晶粒子として存在する。また、亜鉛はリチウム複合酸化物の結晶粒子間や三重点に亜鉛の酸化物を含む粒界相として存在していてもよく、この場合、亜鉛の酸化物を含む粒界相がリチウム複合酸化物の結晶の粒子間に薄く、たとえば網目状に存在することにより、少量でもリチウム複合酸化物の結晶粒子間における電子伝導を確保しやすくなるため、より好ましい。
以下、本実施形態の電極材料を正極として用いた二次電池の構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態の二次電池は、非水系電解質層2の一方の表面に正極1を、他方の表面に負極3を配した発電要素4を有している。正極1および負極3の、非水系電解質層2と反対側の面には、それぞれ正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nが設けられており、発電要素4と外部回路(図示せず)とを電気的に接続する正極端子(図示せず)および負極端子(図示せず)と、正極1および負極3との接触抵抗をそれぞれ低減している。
正極1には、前述の電極材料を用いる。すなわち、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体からなり、その焼結体中に酸化物換算にして0.5〜5.0質量%の亜鉛を含む電極材料を用いる。
このように、実質的に活物質のみからなり、活物質の結晶粒子同士の少なくとも一部が結着した焼結体を正極1として用いることで、容量に直接寄与しない導電助剤や結着材、固体電解質などによる容量密度の低下を抑制でき、活物質同士の接合面積を大幅に増加することができ、活物質が持つ本来の電子伝導性やイオン伝導性を有効に活用することができる。
また、高容量である層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体が、亜鉛を含む、すなわち電子伝導性が比較的高い亜鉛の酸化物を含むことで、層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物が本来有する容量を損なうことなく、緻密で高い充放電レートにおいても容量密度の高い正極1とすることができ、高容量、高エネルギー密度で出力特性に優れた二次電池を得ることができる。
負極3に用いる活物質としては、例えば、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素などの炭素質材料、金属ケイ素およびその合金、ケイ素と酸素や窒素とを含む化合物等のケイ素含有材料、金属リチウム、酸化チタン、酸化ニオブ、リチウムチタン複合酸化物などが挙げられる。なかでもリチウムチタン複合酸化物は、相対密度が85%以上、さらには90%以上の焼結体として用いた場合も、充放電における負極3の体積変化を小さくすることができ、サイクル特性の良い二次電池とすることが出来る。
また、金属ケイ素およびその合金、ケイ素と酸素や窒素とを含む化合物等は、高容量を得られるという点から好ましい。このようなケイ素含有材料は、その粒子と、炭素とを含む塗膜や焼結体として用いればよい。なお、ケイ素を含む粒子は充放電時に体積変化するが、焼結体として用いる場合でも、気孔率を10〜60%の範囲とすることにより、体積変化により発生した応力を焼結体内部に存在する気孔で吸収することができる。ケイ素含有材料を含む焼結体は、ケイ素含有材料の原料粉末と、熱処理により炭化して炭素質材料となる炭素質材料前駆体とを混合し、所望の形状に成形、乾燥して、非酸化雰囲気で熱処理を行うことで得られる。炭素質材料前駆体としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂等の熱硬化性樹脂、ナフタレン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン等の縮合系多環炭化水素化合物またはその誘導体、あるいはその混合物を主成分とするピッチ等の有機材料が挙げられる。なお、熱処理により炭化して炭素質材料となる炭素質材料前駆体には、さらに上述した黒鉛、ハードカーボン等の炭素質材料の粒子を加えてもよい。また、気孔を形成するために、熱処理時に消失して気孔となる樹脂材料等を造孔剤として添加してもよい。
正極1および負極3の厚さは、それぞれ20μm〜200μmとすることが好ましい。これにより、電池容量を得るために必要な活物質の絶対量が確保できるとともに、良好な充放電特性の二次電池が得られる。
非水系電解質としては、有機電解液、高分子固体電解質、無機固体電解質、イオン液体等のいずれも用いることができる。
有機電解液を用いる場合は、非水系電解質層2として、セパレータに有機電解液を含浸させたものを正極1と負極3との間に配置する。セパレータには、イオンを通し、かつ正負極のショートを防止することが求められる。具体的には、ポリオレフィン繊維性の不織布やポリオレフィン製の微多孔膜、ガラスフィルター、セラミックの多孔質材料などを用いることができる。ここで、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができ、一般的にリチウムイオン電池などの二次電池に用いられるセパレータが適用可能である。
有機電解液は、有機溶媒と電解質塩によって構成され、必要に応じて、電極表面への被膜形成、過充電防止、難燃性の付与等を目的とした添加剤を加えてもよい。有機溶媒としては、高誘電率を有し、低粘性、低蒸気圧のものが好適に用いられ、このような材料としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートから選ばれる1種もしくは2種以上を混合した溶媒が挙げられる。電解質塩としては、例えばLiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSOなどのリチウム塩が挙げられる。
また、電解質として、高分子固体電解質や無機固体電解質を用いてもよく、その場合、高分子固体電解質や無機固体電解質からなる層を非水系電解質層2として配置してもよい。
なお、固体電解質を用いることにより、非水系電解質層2の厚みをたとえば10μm以下、さらには3μm以下と薄くすることができ、同一体積の二次電池と比較して活物質をより多く詰め込めるため、高容量化が進み、結果としてエネルギー密度向上にも寄与することができる。ただし、非水系電解質層2は、ショートを防止するために絶縁破壊やピン
ホールによるショートを起こさない必要最低限の厚みを確保する必要がある。
正極側集電層5Pの材質には、正極1の電位において溶解などの反応が発生しない耐食性を有する材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、金、白金等を含む金属材料や合金、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素等の炭素質材料を用いることができる。その中でもアルミニウム、金、白金は耐食性に優れ、容易に入手できるため好ましい。特にアルミニウムは、表面に酸化被膜を形成して不動態化し、高い電位においても耐食性に優れる点から好ましい。
負極側集電層5Nの材質には、負極3の電位において、Liとの合金化などの副反応が発生しない材料を用いればよい。このような材料としては、たとえば、銅、ニッケル、真鍮、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、タングステン、金、白金等を含む金属材料や合金、黒鉛、ハードカーボン、ガラス状炭素等の炭素質材料を用いることができる。特に、導電性が高く比較的安価な点から、銅またはニッケルを用いることが好ましい。
なお、正極側集電層5Pおよび負極側集電層5Nは、これらの金属材料からなる金属箔や、金属材料や炭素質材料、ITOガラス、酸化すずなどの酸化物材料をフィラーとした導電性インクなどを電極表面に塗布し、乾燥させたものであってもよい。また、白金やアルミニウム、チタンなどの金属を電極表面に蒸着したものであってもよい。
このような発電要素4を、アルミニウム、チタン、ステンレス、亜鉛、鉄、ニッケルなどの金属からなる電池ケースや、アルミニウム箔と樹脂とからなるラミネートフィルム、端子電極を備えたプラスチックケースやセラミックケースなどに収納することで、二次電池を形成することができる。
以上、本実施形態の二次電池について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で種々変更したものにも適用することができる。例えば、図1には一組の発電要素4のみからなるものを示したが、複数の発電要素4を積層したものや、シート状の電極を有する発電要素4を捲回したものであっても構わない。
まず、LiMn1/3Co1/3Ni1/3の粉末と酸化亜鉛の粉末とを、表1に記載の比率で混合した混合粉末を、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、混合粉末と溶媒とを1:2の質量比率で混合し、直径3.0mmのジルコニアからなるビーズを用いて粉砕した。粉砕条件は、混合粉末の回折散乱法による粒度分布測定におけるD50が0.6μm以下となるように設定した。得られた混合粉末を、混合粉末100質量%に対して5質量%のブチラール系バインダーおよび4質量%の分散剤を添加し、50質量%のトルエンを溶媒としてスラリーを作製した。
十分に攪拌したスラリーを、コーターを用いて成形し、乾燥して、厚さ100μmのグリーンシートを作製した。さらにグリーンシートを円形状にカットし、表1に示す最高温度まで5℃/minで昇温して最高温度で10時間保持するという条件で焼成し、直径1
5mm、厚さ70μmの円板状の焼結体を作製した。
作製した焼結体の空隙率は、アルキメデス法にて測定した。また、焼結体のX線回折(XRD)測定から得られた回折パターンから、焼結体に含まれる結晶相を同定した。焼結体の空隙率および同定された主な結晶相を表1に示す。
次に、作製した焼結体の一方の表面に、スパッタによりPt金属層を集電層として形成した。また、負極としては黒鉛板を用い、一方の表面にスパッタによりCu金属層を集電
層として形成した。その際、金属成分が焼結体の側面に回りこむのを防ぐため、焼結体および黒鉛板の表面に、直径14mmの開口部を持ったマスクを載せてスパッタを行った。
作製した焼結体を正極、黒鉛板を負極として、電解液を含んだ多孔質膜を介して正極と負極の集電層を形成していない側の電極面が向かい合うように配置し、発電要素を作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:7の比率で混合した有機溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムLiPFを1モル/Lで溶解したものを用いた。
これらの発電要素をコイン型電池評価セルにセットし、電解液をケース内に充填し、以下のような条件で充放電試験を行って電池特性を確認した。
充放電電圧範囲:上限4.6V、下限2.75V
充放電レート :1C(1時間率)
測定温度 :30℃
充放電試験の結果として、初期の放電容量を表1に示す。なお、放電容量は以下のようにして算出した。
放電容量:放電時間×電流値/正極体積
Figure 2013247071
試料No.2〜5の電極材料は、酸化物換算で0.5〜4.9質量%の亜鉛を含むLiMn1/3Co1/3Ni1/3の焼結体であることから、二次電池の正極として用いた場合に、放電容量が、370mAh/cm以上という優れた特性を示すものであった。一方、試料No.1は、亜鉛を含まないことから、318mAh/cm程度の低い放電容量しか得られなかった。
1・・・正極
2・・・非水系電解質層
3・・・負極
4・・・発電要素
5P・・正極側集電層
5N・・負極側集電層

Claims (6)

  1. 層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種を含むリチウム複合酸化物の焼結体からなり、該焼結体中に酸化物換算にして0.5〜5.0質量%の亜鉛を含むことを特徴とする電極材料。
  2. 前記リチウム複合酸化物が、LiMn1/3Co1/3Ni1/3であることを特徴とする請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記焼結体の空隙率が、20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極材料。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の電極材料からなる正極と、非水電解質と、負極とを有することを特徴とする二次電池。
  5. 層状岩塩型結晶構造を有し、Co、Mn及びNiのうち少なくとも2種以上を含むリチウム複合酸化物の粉末95.0〜99.5質量%と、酸化亜鉛の粉末0.5〜5.0質量%とを混合して成形し、900℃以上の最高温度で焼成することを特徴とする電極材料の製造方法。
  6. 前記リチウム複合酸化物の粉末および前記酸化亜鉛の粉末は、回折散乱法による粒度分布測定において、0.6μm以下のD50を有していることを特徴とする請求項5に記載の電極材料の製造方法。
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