JP2013246392A - 樹脂膜除去方法および光学レンズの再製方法 - Google Patents

樹脂膜除去方法および光学レンズの再製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩化メチレンを用いることなく光学レンズから樹脂膜を完全に除去できる樹脂膜除去方法、およびこの樹脂膜除去方法を用いた光学レンズの再製方法を提供する。
【解決手段】樹脂膜除去方法は、ガラスをレンズ形状に成形して作られたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズにおいて、光学レンズから樹脂膜を取り除く方法であって、脱水作用を有する脱水溶液中に光学レンズを所定時間浸漬して表面の樹脂膜を除去するステップS211と、ステップS211において樹脂膜が除去されたレンズ基材の表面の残留樹脂膜を、洗浄液を用いて洗い流すステップS212と、ステップS212が行われたレンズ基材の表面を、有機溶剤を用いて拭き取るステップS213とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、レンズ形状に成形されたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズにおいて、樹脂膜をレンズ基材から除去する樹脂膜除去方法、およびその樹脂膜除去方法を用いた光学レンズの再製方法に関する。
上記のように、レンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズの一例として、非球面を有する非球面レンズが知られている。この非球面レンズは、まず、例えば光学用ガラスを研磨加工して球面形状を有するレンズ基材を作成しておき、次に、このレンズ基材の球面部分に金型等を用いた樹脂成形により非球面形状の薄い樹脂膜を形成して製造される。レンズ基材を研磨加工して非球面を形成することは格段に困難であるが、上記のようにして研磨加工ではなく樹脂成形により非球面を形成すれば、比較的簡単且つ安価に非球面レンズを製造できるという利点がある。
上記のようにして樹脂成形により非球面レンズ(光学レンズ)を製造する過程において、樹脂膜に気泡が混入する等の欠陥が生じる場合がある。このように欠陥を有する光学レンズは使用できないため、このままでは廃棄することになるが、その場合にはレンズ基材までもが廃棄されて資源を無駄使いすることになる。そこで、光学レンズから樹脂膜を除去すれば、レンズ基材を再利用できて資源の無駄使いを防止できる。膜を除去する方法に関しては、例えば特許文献1に、導体回路の形成過程においてレジスト剥離処理の後に残るレジスト残渣(めっきレジスト)を剥離除去するために、剥離残渣除去処理液を用いる方法が開示されている。
特開平5−198927号公報
ところで、光学レンズの樹脂膜は、特許文献1における剥離除去対象であるめっきレジストよりもはるかに厚い。そのため、特許文献1に開示されためっきレジストの剥離除去方法を光学レンズに適用しても、光学レンズから樹脂膜を除去することは困難である。また従来は、塩化メチレン(ジクロロメタン)の中に光学レンズを浸漬して樹脂膜を溶解して除去していたが、特に厚い樹脂膜を有する光学レンズについては、塩化メチレンを用いても樹脂膜を完全に除去することが難しいという課題があった。なお、塩化メチレンは近年、環境負荷や人体への影響を考慮して規制対象物質に指定され、この塩化メチレンを用いた樹脂膜の除去が困難になりつつある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、塩化メチレンを用いることなく光学レンズから樹脂膜を完全に除去できる樹脂膜除去方法、およびその樹脂膜除去方法を用いた光学レンズの再製方法を提供することを目的とする。
このような目的達成のため、本発明を例示する第一の態様に従えば、ガラスをレンズ形状に成形して作られたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズにおいて、前記光学レンズから前記樹脂膜を取り除く樹脂膜除去方法であって、脱水作用を有する脱水溶液中に前記光学レンズを所定時間浸漬して表面の樹脂膜を除去する第1工程と、前記第1工程において前記樹脂膜が除去された前記レンズ基材の表面の残留樹脂膜を、洗浄液を用いて洗い流す第2工程と、前記第2工程が行われた前記レンズ基材の表面を、有機溶剤を用いて拭き取る第3工程とを有することを特徴とする樹脂膜除去方法が提供される。
また、本発明を例示する第二の態様に従えば、ガラスをレンズ形状に成形して作られたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成された光学レンズの再製方法であって、前記光学レンズの表面に形成された前記樹脂膜を検査する検査工程と、前記検査工程において前記樹脂膜に欠陥が発見されたときに、この欠陥を有する光学レンズの樹脂膜を取り除く樹脂膜除去工程と、前記樹脂膜除去工程において前記樹脂膜が取り除かれた前記レンズ基材の表面に、新たな前記樹脂膜を形成する樹脂膜再製工程とを有しており、前記樹脂膜除去工程が、脱水作用を有する脱水溶液中に前記光学レンズを所定時間浸漬して表面の樹脂膜を除去する第1工程と、前記第1工程において前記樹脂膜が除去された前記レンズ基材の表面の残留樹脂膜を、洗浄液を用いて洗い流す第2工程と、前記第2工程が行われた前記レンズ基材の表面を、有機溶剤を用いて拭き取る第3工程とを有することを特徴とする光学レンズの再製方法が提供される。
本発明によれば、塩化メチレンを用いることなく光学レンズから樹脂膜を完全に除去でき、また、樹脂膜が除去されたレンズ基材を再利用して光学レンズを再製できる。
(a)はレンズ基材を示す断面図、(b)は光学レンズを示す断面図である。 光学レンズの製造方法を示すフローチャートである。 本発明に係る樹脂膜除去方法を示すフローチャートである。 光学レンズをレンズ保持治具に取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る濃硫酸の中に光学レンズを浸漬した状態を示す側面図である。 各液体についての樹脂膜溶解可否の結果を示す一覧表である。 本発明の別の実施形態に係るものであって、攪拌装置により攪拌される濃硫酸の中に光学レンズを浸漬した状態を示す側面図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明が適用される光学レンズは、光学用ガラスからなるレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズであり、以下の実施形態では、このようにして構成される光学レンズのうち、非球面を有する光学レンズ(非球面レンズ)に本発明を適用した例について説明する。
以下においてはまず、図1(b)に示すように、球面形状の第1レンズ表面2aと、非球面形状の第2レンズ表面3aとを有して構成される光学レンズ1(非球面レンズ)の製造方法100について、その概略を図1および図2を参照しながら説明する。本実施形態で説明する光学レンズ1の製造方法100は、本発明に係る樹脂膜除去方法および光学レンズの再製方法を備えた製造方法である。
まず、図1(a)に示すように、例えばシリカ(二酸化ケイ素)、ランタンおよびホウ酸等からなる光学用ガラスを研磨加工して、球面形状の第1レンズ表面2aおよび球面形状の下地面2bを有するレンズ基材2を作成する(図2におけるステップS110)。一般的にガラスは、濃硫酸等の脱水作用を有する液体の中に浸漬しても溶解等の化学変化を生じない特性を有しており、本実施形態の光学用ガラスも同様の特性を有する。なお、レンズ基材2の周縁部にはレンズ端面2cが形成されている。
次に、上記のようにして作成されたレンズ基材2の下地面2bに、樹脂成形により樹脂膜3を形成する。その具体的な成形方法の一例を以下に示す。まず、レンズ基材2の下地面2bに紫外線硬化型の樹脂を塗布し、この樹脂に第2レンズ表面3aの形状に構成された金型を押し付けて、下地面2bに塗布された樹脂を第2レンズ表面3aの形状に成形する(図2におけるステップS120)。レンズ基材2の下地面2bに塗布される樹脂は、ウレタンやアクリル等を含んで構成されるエポキシ系樹脂である。
続いて、金型を樹脂に押し付けたままでレンズ基材2の第1レンズ表面2a側から紫外線を照射して、レンズ基材2と金型との間に挟持された樹脂を硬化させる(図2におけるステップS130)。このようにして、レンズ基材2の下地面2bに、第2レンズ表面3aが形成された厚さ0.1〜1.0mm程度の樹脂膜3(図1(b)参照)が形成され、光学レンズ1が構成される。この樹脂膜3(第2レンズ表面3a)は、球面形状では実現困難とされる焦点位置や屈折率を備えた光学レンズ1を構成するために形成される。レンズ基材2を研磨加工して非球面を形成することは困難であるが、上記のように、研磨加工により形成された球面(下地面2b)に樹脂膜3を形成して非球面形状の第2レンズ表面3aを形成すれば、非球面レンズを比較的簡単且つ安価に製造できる。なお、図1(b)においては、樹脂膜3を実際よりも厚く示すことで分かりやすく図示しており、このことは後述する図4、図5および図7においても同様である。
次に、レンズ端面2cを除いた光学レンズ1の表面全体に、反射防止膜4が蒸着形成される(図2におけるステップS150)。この反射防止膜4は、第1レンズ表面2aおよび第2レンズ表面3aにおける光の反射低減を目的として形成されるものであって、例えば真空蒸着により複数層に重ねて形成される。なお、光学レンズには、この反射防止膜4が形成されたものもあれば、この反射防止膜4が形成されていないものもある。
続いて、反射防止膜4が蒸着形成された光学レンズ1は、傷等の欠陥の有無について最終検査が行われ、この最終検査において欠陥がないと判断された光学レンズ1が完成品とされる(図2におけるステップS160)。
以上ここまでは、光学レンズ1の製造方法100の概略について説明した。ところで、上述した光学レンズ1の製造方法100においては、樹脂膜3を形成する際に(ステップS120)、例えば樹脂膜3に気泡が混入して樹脂膜3に欠陥が発生する場合がある。このような樹脂膜3に欠陥を有する光学レンズ1は、完成品として使用することができないため廃棄することになる。しかし、レンズ基材2から樹脂膜3を完全に除去することができれば、このレンズ基材2を再利用して光学レンズ1を再製(樹脂膜3が除去されたレンズ基材2に、再度樹脂膜3を形成して光学レンズ1を製造)することが可能になり、資源(レンズ基材2)の無駄使いを防止できる。
そこで、光学レンズ1の製造方法100では、図2に示すように、樹脂膜3が形成された後で、且つ、反射防止膜4が蒸着形成される前(ステップS130とステップS150との間)において、樹脂膜3の欠陥について中間検査が行われる(ステップS140)。この中間検査で樹脂膜3に欠陥があると判断された光学レンズ1は、図2に示すように、本発明に係る樹脂膜除去方法(図2および図3に示すステップS210)により樹脂膜3が完全に除去された後、再度ステップS120およびステップS130を経て光学レンズ1が再製される。ここで、図2および図3のそれぞれにステップS210を示しているが、図2に示すステップS210の内容を詳細に示したものが図3である。
以下、この樹脂膜除去方法について、図2〜図6を参照しながら詳しく説明する。なお、ステップS140が特許請求の範囲における検査工程に相当し、ステップS210が特許請求の範囲における樹脂膜除去工程に相当し、ステップS210を経た後のレンズ基材2に再度樹脂膜3を形成するステップS120およびステップS130が、特許請求の範囲における樹脂膜再製工程に相当する。
図2に示すように、ステップS140において樹脂膜3に欠陥が発見されて、ステップS140からステップS210に進むと、まず図4に示すように、欠陥を有する樹脂膜3を除去するための準備として、光学レンズ1がレンズ保持治具10に取り付けられる。このとき、光学レンズ1は、レンズ保持治具10に設けられた一対の挟持部10aにより、レンズ端面2cが挟持されて取り付けられ、挟持部10aを中心として矢印Aの方向に傾き調整可能となっている。
次に、図3に示すステップS211において、図5に示すように、レンズ保持治具10に取り付けられた光学レンズ1を、脱水作用を有する濃度約90%の濃硫酸20の中に浸漬する。エポキシ系樹脂からなる樹脂膜を溶解するためには、脱水作用を有するとされる濃度約80%以上の硫酸を用いる必要があり、特に0.1〜1.0mm程度の比較的厚い樹脂膜3を溶解するためには、強力な脱水作用を有する濃度約90%以上の濃硫酸を用いることが好ましい。上記のように濃度約90%の濃硫酸20を用いると、その強力な脱水作用により、樹脂膜3の化学結合(エーテル結合)を脱水分解して樹脂膜3を溶解することができる。なお、このステップS211が、特許請求の範囲における第1工程に相当する。
図6に示すように、濃度約90%の濃硫酸20を用いた場合には、この中に光学レンズ1を5日間(120時間)以上浸漬すると、後述するステップS213で樹脂膜3を完全に除去できるように樹脂膜3を溶解させることができる。なお、以降における「樹脂膜3を十分に溶解させる」とは、「ステップS213で樹脂膜3を完全に除去できるように樹脂膜3を溶解させる」ことを意味する。また、図6中の「溶解の可否」の欄に記載された「○」は、樹脂膜3を十分に溶解させることができることを示す。
ここで図6に示すように、比較参照用として濃度約96%の濃硫酸、濃度約70%の硫酸、濃度約36%の塩酸、および有機系エポキシ樹脂溶解液(例えば、佐々木化学薬品株式会社製のエスバックH−300ナチュラ)を用意し、それぞれの液体の中に光学レンズ1を浸漬して樹脂膜3の溶解の可否および溶解所要日数について調べた。
上述のように、濃度約90%の濃硫酸20を用いた場合には5日間以上浸漬する必要があったが、濃度約96%の濃硫酸を用いた場合には3日間(72時間)以上浸漬すると、樹脂膜3を十分に溶解させることができた。つまり、濃度約96%の濃硫酸は、濃度約90%の濃硫酸よりも脱水作用が強く、その分だけ樹脂膜3の溶解に要する時間が短縮される。
濃度約70%の硫酸を用いた場合には、5日間(120時間)以上浸漬しても樹脂膜3の表面が僅かに変化する程度にしか溶解できず、樹脂膜3を十分に溶解させることができなかった。また、濃度約36%の塩酸および有機系エポキシ樹脂溶解液を用いた場合には、5日間(120時間)以上浸漬しても樹脂膜3は溶解されず、樹脂膜3に変化が見られなかった。なお、図6の「溶解の可否」の欄に記載された「×」は、樹脂膜3を十分に溶解させることができなかったことを示す。
以上の比較参照結果より、厚さが0.1〜1.0mm程度のエポキシ系樹脂からなる樹脂膜3を十分に溶解させるためには、90%以上の濃度の濃硫酸を用いることが好ましい。なお、このステップS211で用いる液体は濃硫酸に限定されず、脱水作用を有して樹脂膜3を十分に溶解できる液体、例えば臭化水素酸やヨウ化水素酸を用いることも可能である。
次にステップS212に進み、濃硫酸20の中からレンズ基材2を取り出し、純水を用いてレンズ基材2の表面を洗浄し、レンズ基材2の表面に残留する溶解した樹脂膜3や濃硫酸20を洗い流す。このようにして、レンズ基材2の表面に残留する濃硫酸20を洗い流すと、レンズ基材2の表面に残留した濃硫酸20と他の物質との化学反応を防止できる。このステップS212が、特許請求の範囲における第2工程に相当する。なお、本実施形態では、ステップS212において純水を用いる場合を例示したが、レンズ基材2の表面に残留する樹脂膜3や濃硫酸20を洗い流すことができれば、他の液体(例えば水道水)を用いることも可能である。
上述のようにして、レンズ基材2の表面に残留する樹脂膜3や濃硫酸20を純水を用いて洗い流しても、樹脂膜3に含まれるウレタンやアクリル系樹脂成分が、レンズ基材2の下地面2bに僅かながら残存する場合がある。この僅かながら残存する樹脂膜3を確実に除去するために、次のステップS213を行う。
ステップS213に進み、有機溶剤としてのメタノールを染み込ませた拭き取り紙(例えばキムワイプ)を用いてレンズ基材2の表面を拭き、下地面2bに残存する樹脂膜3を拭き取る。このように、メタノールを用いて下地面2bを拭き取ると、メタノールが有する溶剤としての作用により、残存する樹脂膜3を溶解して完全に除去することができる。このステップS213が、特許請求の範囲における第3工程に相当する。
なお、このステップS213で用いる有機溶剤はメタノールに限定されず、溶剤としての作用を有する他のアルコール類(エタノールおよびイソプロピルアルコール)、アセトンおよびシンナーを用いることが可能である。また、有機溶剤を染み込ませた拭き取り紙を用いて拭き取る構成に代えて、弾性を有する拭き取り用パッドに有機溶剤を染み込ませ、この拭き取り用パッドを用いて拭き取るようにしても良い。
続いてステップS214に進み、純水を用いてレンズ基材2の表面を洗浄し、レンズ基材2の表面に残存するメタノールを洗い流す。以上のステップS211〜ステップS214(ステップS210)を行うことで光学レンズ1から樹脂膜3が完全に除去され、本発明に係る樹脂膜除去方法が終了する。
以上説明した樹脂膜除去方法によれば、規制対象物質に指定されている塩化メチレンを用いることなく、厚さ0.1〜1.0mm程度のエポキシ系樹脂からなる樹脂膜3を十分に溶解させて完全に除去することが可能である。そして、この樹脂膜除去方法を用いて光学レンズ1から樹脂膜3を完全に除去することにより、レンズ基材2に樹脂膜3を再度形成(ステップS120およびステップS130)して行う光学レンズ1の再製が可能となり、資源の無駄使いを防止できる。
以上ここまでは、樹脂膜除去方法について説明した。ところで、光学レンズ1の製造方法100において、反射防止膜4が形成された後の最終検査(ステップS160)で樹脂膜3に欠陥が発見される場合があり得る。このような欠陥を有する光学レンズ1も、完成品として使用することができないため廃棄されることになるが、光学レンズ1から樹脂膜3および反射防止膜4を完全に除去することができれば、レンズ基材2を再利用して光学レンズ1の再製が可能になる。
そこで、光学レンズ1の製造方法100では、最終検査(ステップS160)において樹脂膜3に欠陥が発見された場合に、まず反射防止膜4を除去し、続いて上述した樹脂膜除去方法を用いて樹脂膜3を除去した後、レンズ基材2を再利用して光学レンズ1が再製できるようになっている。以下においては、ステップS160で樹脂膜3に欠陥が発見された場合について、図2を参照しながら詳しく説明する。
ステップS160において樹脂膜3に欠陥が発見された場合には、ステップS160から反射防止膜4を除去する工程(ステップS220)に進む。このステップS220においては、反射防止膜4が形成された光学レンズ1を、例えば5wt%程度の水酸化ナトリウム溶液または5wt%程度の水酸化カリウム溶液の中に浸漬して、反射防止膜4を溶解して除去する。この反射防止膜4を溶解して除去する工程が、特許請求の範囲における反射防止膜除去工程に相当する。
次に、ステップS220からステップS210に進み、上述したようにしてレンズ基材2から樹脂膜3が完全に除去される。続いてステップS210からステップS120に進み、樹脂膜3が除去されたレンズ基材2に再度樹脂膜3が形成され(ステップS120およびステップS130)、ステップS140の中間検査を経た後、ステップS150で反射防止膜4が再度蒸着形成されて光学レンズ1が再製される。この光学レンズ1の製造方法100によれば、最終検査(ステップS160)で樹脂膜3に欠陥が発見された場合であっても、レンズ基材2を再利用した光学レンズ1の再製が可能なので、資源の無駄使いを防止できる。
上述の実施形態では、図3に示すステップS211において、濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬して樹脂膜3を除去する方法を例示して説明したが、本発明はこの方法に限定されるものではない。濃硫酸20は、密度や粘度が比較的高いために流動しにくく、光学レンズ1を単に濃硫酸20の中に浸漬しただけでは、溶解した樹脂膜3がレンズ基材2の表面に付着したままの状態になりやすい。そのため、溶解した樹脂膜3によって、溶解していない樹脂膜3と濃硫酸20との接触が妨げられて、樹脂膜3の溶解が妨げられることがある。そこで、図7に示すように、まず、濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬したときに樹脂膜3が上方を向くように、レンズ保持治具10に対する光学レンズ1の向きを調整した上で、濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬する。さらに、上方に向けられた樹脂膜3近傍の濃硫酸20を流動させるように、濃硫酸20に攪拌装置30を挿入して濃硫酸20を攪拌する。こうすることで、攪拌装置30による濃硫酸20の流動に伴って、溶解した樹脂膜3がレンズ基材2の表面から取り除かれ、溶解していない樹脂膜3と濃硫酸20との接触が促進される。これにより、樹脂膜3の溶解が促進されるので、樹脂膜3を十分に溶解するのに要する時間(光学レンズ1を濃硫酸20の中に浸漬しておく時間)を短縮できる。
上述の実施形態では、図3に示すステップS211において、濃硫酸20の中に光学レンズ1を5日以上継続して浸漬し、樹脂膜3を除去する方法を例示して説明したが、本発明はこの方法に限定されない。濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬しておくと、溶解された樹脂膜3の成分が濃硫酸20中に溶け出して、濃硫酸20の脱水作用が徐々に低下していく。そこで、濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬した後、例えば約24時間経過する毎に、または約48時間経過する毎に濃硫酸20を新しいものに交換すると、濃硫酸20の脱水作用を維持することができ、樹脂膜3を十分に溶解するのに要する時間を短縮できる。一方で、例えば濃硫酸20の使用量を抑制したい場合には、同一の濃硫酸20を用いて樹脂膜3の除去(5日以上に亘って光学レンズ1を浸漬する工程)を何度も繰り返すこと、すなわち、濃硫酸20を使い回して樹脂膜3を除去することも可能である。このように、濃硫酸20を使い回す場合には、溶解した樹脂膜3の成分が濃硫酸20中に溶け出して濃硫酸20の脱水作用が低下するので、この脱水作用の低下を考慮して、光学レンズ1を濃硫酸20の中に浸漬しておく時間を延長することが好ましい。
上述の実施形態では、図3に示すステップS212において、純水を用いてレンズ基材2の表面を洗い流す方法を例示して説明したが、レンズ基材2の表面に残留する樹脂膜3や濃硫酸20を確実に除去する場合には、以下の方法も可能である。すなわち、濃硫酸20の中から取り出したレンズ基材2を、純水または水道水が貯留された洗浄槽(図示せず)に浸漬して、レンズ基材2の表面に残留する樹脂膜3や濃硫酸20を洗浄槽で回収した後、レンズ基材2を洗浄槽から取り出してエアを吹き付けて表面の水分を除去するようにしても良い。
上述の実施形態では、図3に示すステップS211において樹脂膜3を十分に溶解した後で濃硫酸20の中からレンズ基材2を取り出し、ステップS212においてレンズ基材2の表面を洗浄する方法を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一旦濃硫酸20の中に光学レンズ1を浸漬した後、途中で(例えば5日を経過する前に)濃硫酸20から光学レンズ1(レンズ基材2)を取り出し、純水等を用いて表面に残留する溶解した樹脂膜3を洗い流し、その後で再び濃硫酸20の中に浸漬するようにしても良い。このように、浸漬途中でレンズ基材2の表面を洗浄して溶解した樹脂膜3を除去すれば、溶解していない樹脂膜3と濃硫酸20との接触が促進されるので、樹脂膜3を十分に溶解するのに要する時間を短縮できる。
上述の実施形態においては、図2に示すステップS160で樹脂膜3に欠陥が発見された場合に、反射防止膜4を除去した後で樹脂膜3を除去し、再び樹脂膜3を形成する方法を例示して説明した。ところで、ステップS211で濃硫酸20を用いると、樹脂膜3と併せて反射防止膜4も除去できるので、ステップS220を経ることなく、ステップS160からステップS210に直接進むことも可能である(図2に2点鎖線で示すスキップライン161を参照)。
上述の実施形態においては、樹脂膜3の厚さが0.1〜1.0mm程度の場合を例示して説明したが、例えば樹脂膜の厚さが1.0mmよりも厚く溶解しにくい場合には、より濃度の高い濃硫酸を用いたり、より長期間に亘って濃硫酸の中に浸漬しておくことで、このような樹脂膜を十分に溶解することが可能になる。すなわち、樹脂膜3の溶解しにくさ(樹脂膜の材料や厚さ等)に応じて、ステップS211で用いる液体の種類や浸漬時間を決定することが好ましい。
1 光学レンズ
2 レンズ基材
3 樹脂膜
20 濃硫酸(脱水溶液)
100 光学レンズの製造方法(光学レンズの再製方法)
S140 中間検査(検査工程)
S210 樹脂膜除去方法(樹脂膜除去工程)

Claims (13)

  1. ガラスをレンズ形状に成形して作られたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成される光学レンズにおいて、前記光学レンズから前記樹脂膜を取り除く樹脂膜除去方法であって、
    脱水作用を有する脱水溶液中に前記光学レンズを所定時間浸漬して表面の樹脂膜を除去する第1工程と、
    前記第1工程において前記樹脂膜が除去された前記レンズ基材の表面の残留樹脂膜を、洗浄液を用いて洗い流す第2工程と、
    前記第2工程が行われた前記レンズ基材の表面を、有機溶剤を用いて拭き取る第3工程とを有することを特徴とする樹脂膜除去方法。
  2. 前記第1工程で用いる前記脱水溶液が、濃度90%以上の濃硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂膜除去方法。
  3. 前記第3工程で用いる前記有機溶剤が、アルコール類であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂膜除去方法。
  4. 前記第1工程において、前記光学レンズを浸漬する前記脱水溶液を攪拌して、前記樹脂膜近傍の前記脱水溶液を流動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂膜除去方法。
  5. 前記第1工程において、前記光学レンズを浸漬する前記脱水溶液を、途中で新たな脱水溶液に入れ替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂膜除去方法。
  6. 前記ガラスが光学用ガラスであり、前記樹脂膜の材料がエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂膜除去方法。
  7. 前記光学レンズは、前記レンズ基材の表面に前記樹脂膜が形成された後に反射防止膜が形成されて構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂膜除去方法。
  8. 前記第1工程が行われる前に、前記反射防止膜を除去する反射防止膜除去工程を有することを特徴とする請求項7に記載の樹脂膜除去方法。
  9. ガラスをレンズ形状に成形して作られたレンズ基材の表面に樹脂膜を形成して構成された光学レンズの再製方法であって、
    前記光学レンズの表面に形成された前記樹脂膜を検査する検査工程と、
    前記検査工程において前記樹脂膜に欠陥が発見されたときに、この欠陥を有する光学レンズの樹脂膜を取り除く樹脂膜除去工程と、
    前記樹脂膜除去工程において前記樹脂膜が取り除かれた前記レンズ基材の表面に、新たな前記樹脂膜を形成する樹脂膜再製工程とを有しており、
    前記樹脂膜除去工程が、
    脱水作用を有する脱水溶液中に前記光学レンズを所定時間浸漬して表面の樹脂膜を除去する第1工程と、
    前記第1工程において前記樹脂膜が除去された前記レンズ基材の表面の残留樹脂膜を、洗浄液を用いて洗い流す第2工程と、
    前記第2工程が行われた前記レンズ基材の表面を、有機溶剤を用いて拭き取る第3工程とを有することを特徴とする光学レンズの再製方法。
  10. 前記第1工程で用いる前記脱水溶液が、濃度90%以上の濃硫酸であることを特徴とする請求項9に記載の光学レンズの再製方法。
  11. 前記第3工程で用いる前記有機溶剤が、アルコール類であることを特徴とする請求項9または10に記載の光学レンズの再製方法。
  12. 前記光学レンズは、前記レンズ基材の表面に前記樹脂膜が形成された後に反射防止膜が形成されて構成されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の光学レンズの再製方法。
  13. 前記第1工程が行われる前に、前記反射防止膜を除去する反射防止膜除去工程を有することを特徴とする請求項12に記載の光学レンズの再製方法。
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