JP2013245983A - マイクロチップ及びマイクロチップにおける液体送液方法 - Google Patents

マイクロチップ及びマイクロチップにおける液体送液方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロチップに配設された一の領域内に導入された液体が、他の一の領域内に導入された液体と混合することを防止可能なマイクロチップの提供。
【解決手段】液体が導入される領域が形成され、該領域内に、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁を備えるマイクロチップを提供する。このマイクロチップにおいて、前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域内に液密な空間を形成する。そのため、このマイクロチップでは、前記領域への前記液体の充填後、浮上した前記可動弁により区分された前記液密な空間内の前記液体が、前記導入路あるいは前記排出路に逆流することがない。
【選択図】図4

Description

本技術は、マイクロチップ及びマイクロチップにおける液体送液方法に関する。より詳しくは、マイクロチップに配設された一の領域内に導入された液体が、他の一の領域内に導入された液体と混合することを防止可能なマイクロチップ等に関する。
ガラス又はプラスチックから形成され、複数のウェルが配設されたマイクロチップであって、ウェル内に導入される物質あるいはその反応生成物を光学的に検出して分析するために用いられるマイクロチップが知られている。
例えば、特許文献1には、液体が導入される導入口と、核酸増幅反応の反応場となる複数のウェルと、液体を導入口から各ウェル内に供給する流路と、が配設された核酸増幅反応用マイクロチップが開示されている。この核酸増幅反応用マイクロチップは、反応に必要な試薬等の物質を各ウェル内に予め固着化させておくことにより、前記物質をウェル内に導入する手間を省いて簡便に分析を行うことを可能としたものである。関連技術として、特許文献2には、ウェル内に固着化させた物質を、核酸増幅反応の反応温度付近で溶融する薄膜により被覆する技術が開示されている。
特開2011−160728号公報 特開2012−024072号公報
マイクロチップのウェル内に試薬等の物質を収容しておく場合、二以上のウェルが直接接続されたマイクロチップあるいは二以上のウェルが流路を介して間接的に接続されたマイクロチップでは、各ウェル内に導入された液体がウェル間で混合するおそれがある。各ウェルに異なる物質を収容している場合に、ウェル間での液体の混合が生じると、ウェル間での物質のクロスコンタミネーションが生じる懸念がある。また、各ウェルに同一の物質を収容している場合にも、ウェル間での液体の混合が生じると、ウェル間での物質濃度のばらつきの要因となるおそれがある。
特許文献2に開示される技術によれば、核酸増幅反応の反応温度未満の温度では物質が薄膜により被覆されるため、仮にウェル間での液体の混合が生じたとしても物質のクロスコンタミネーションや物質濃度のばらつきといった問題が生じない。一方で、反応開始後の薄膜が溶融した状態では、同様の問題が生じる可能性がある。
そこで、本技術は、マイクロチップに配設された一の領域内に導入された液体が、他の一の領域内に導入された液体と混合することを防止可能なマイクロチップを提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本技術は、液体が導入される領域が形成され、該領域内に、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁を備えるマイクロチップを提供する。このマイクロチップにおいて、前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域内に液密な空間を形成する。
このマイクロチップは、具体的には、前記領域内への前記液体の導入路と、前記領域外への前記液体の排出路と、が形成されたものとされ、前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域を前記液密な空間と、前記導入路及び前記排出路が接続された空間と、に区分する。この場合、前記導入路及び前記排出路の前記領域への接続口は、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁の上方に位置して設けられていることが好ましい。
このマイクロチップでは、前記領域への前記液体の充填後、浮上した前記可動弁が前記液体を前記液密な空間内に閉じ込めるため、前記液体が前記導入路あるいは前記排出路に逆流することがない。
このマイクロチップは、前記領域に、前記領域内に導入された前記液体により浮上される前記可動弁を、前記接続口よりも下方に保持する保持部が構成されていることが好ましい。前記保持部は、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁と密着して、前記液密な空間を構成する。
このマイクロチップは、前記領域として、物質反応の反応場となる反応領域を含むものとできる。前記反応領域が複数形成される場合、一の前記反応領域の前記排出路は、他の一の前記反応領域の前記導入路とされていてもよい。
また、このマイクロチップは、前記領域として、前記反応領域への前記液体の充填の完了を提示する表示領域を含むものとできる。前記表示領域には、少なくとも一つの前記反応領域の前記排出路が接続される。
このマイクロチップは、前記反応領域に、前記物質反応に必要な物質の少なくとも一部が乾燥状態で収容されたものとできる。この場合、前記物質反応が核酸の増幅反応であり、前記物質がオリゴヌクレオチドプライマー及び酵素、核酸モノマーから選択される一以上であってよい。
このマイクロチップにおいて、前記可動弁の前記比重は、1.1未満であることが好ましい。また、前記可動弁は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド又はメチルメタクリレート−スチレン共重合体から形成されていることが好ましい。
このマイクロチップにおいて、前記可動弁は光透過性を有することが好ましい。前記可動弁は光透過性を有さない場合には、前記液密な空間を形成する前記可動弁の面が光反射性を有していることが好ましい。
また、本技術は、液体の導入路と排出路とが接続され、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁が配された領域に前記液体を導入する手順と、前記可動弁を前記液体により浮上させて、前記領域を液密な空間と、前記導入路及び前記排出路が接続された空間と、に区分する手順と、を含むマイクロチップにおける液体送液方法をも提供する。
本技術において、「核酸増幅反応」には、温度サイクルを実施するPCR(polymerase chain reaction)法や、温度サイクルを伴わない各種等温増幅法が含まれる。等温増幅法としては、例えば、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法やSMAP(SMartAmplification Process)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法(登録商標)、TRC(transcription-reverse transcription concerted)法、SDA(strand displacement amplification)法、TMA(transcription-mediated amplification)法、RCA(rolling circle amplification)法等が挙げられる。この他、「核酸増幅反応」には、核酸の増幅を目的とする変温あるいは等温による核酸増幅法が広く包含されるものとする。また、これらの核酸増幅反応には、リアルタイムPCR(RT−PCR)法やRT−RAMP法などの増幅核酸鎖の定量を伴う反応も包含される。
本技術により、マイクロチップに配設された一の領域内に導入された液体が、他の一の領域内に導入された液体と混合することを防止可能なマイクロチップが提供される。
本技術に係るマイクロチップ1の構成を説明するための図である。 マイクロチップ1のウェル41の構成を説明するための図である。 マイクロチップ1のウェル41の構成を説明するための図である。 ウェル41内に配設された可動弁6の機能及びマイクロチップ1における液体送液方法を説明するための図である。 ウェル41内に配設された可動弁6の機能及びマイクロチップ1における液体送液方法を説明するための図である。 ウェル41及び可動弁6の変形例の構成を説明するための図である。 ウェル41及び可動弁6の変形例の構成を説明するための図である。 マイクロチップ1における物質の光学検出方法を説明するための図である。
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序により行う。

1.導入部
2.反応領域
3.流路
4.表示領域
5.可動弁
6.可動弁の機能及びマイクロチップにおける液体送液方法
7.ウェル内の物質の光学検出
1.導入部
図1は、本技術に係るマイクロチップの構成を説明する上面図である。図中符号1で示すマイクロチップには、導入部2、流路31〜35、反応領域(ウェル)41〜45、表示領域(インジケータ)51〜55が形成されている。試料溶液(サンプル液)は、導入部2からマイクロチップ1内に導入される。導入部2は、例えばマイクロチップ1の上面に設けられた開口であってよい。また、導入部2は、例えばマイクロチップ1を構成する基板層に注射針等を穿通させ、注射針が取り付けられたシリンジからチップ内へサンプル液を注入するための穿刺部位であってもよい。
2.反応領域
ウェル41〜45は、サンプル液に含まれる物質あるいはその反応生成物を検出、分析するための場である。ここでは、マイクロチップ1が核酸分析のために用いられるものであるものとし、サンプル液が核酸を含み、ウェル41〜45が核酸の増幅反応のための反応場とされるものとして説明する。ただし、本技術に係るマイクロチップの用途は、核酸分析に限定されるものではない。
ウェル41〜45は、それぞれ5つずつ配設されており、それぞれ流路31〜35によって直列に接続されている。なお、本技術に係るマイクロチップにおいて、導入部、流路、ウェル及びインジケータの配設数及び配設態様は、ここで示す例に限定されず、本技術の効果が奏される限りにおいて自由に変更が可能である。
ウェル41〜45には、物質反応に必要な物質の少なくとも一部を乾燥状態で収容しておいてもよい(後述図4符号R参照)。核酸増幅反応の場合、収容する物質は、増幅産物を得るために必要な試薬であって、オリゴヌクレオチドプライマー、酵素、核酸モノマー(dNTP)及び反応緩衝液(バッファー)溶質から選択される一以上の試薬とできる。ウェル41〜45にオリゴヌクレオチドプライマー等の試薬を収容しておくことで、マイクロチップ1に核酸を含むサンプル液を注入するのみで簡単に核酸増幅反応を開始できる。
3.流路
流路31〜35は、導入部2から導入されたサンプル液をウェル41〜45及びインジケータ51〜55に送液する。導入部2から導入されて流路31を送液されるサンプル液は、5つ配設されたウェル41のうちの一つに導入され、その後流路31によって直列に接続された4つのウェル41に順次導入される。5つ目のウェル41に導入されたサンプル液は、さらに流路31によって直列に接続されたインジケータ51に導入される。この点、流路32〜35、ウェル42〜45及びインジケータ52〜55についても同様である。
4.表示領域
インジケータ51〜55は、ウェル41〜45へのサンプル液の充填完了をユーザに視認可能に提示するために機能する。インジケータ51は、流路31によって直列に接続されたウェル41のうち導入部2から最も遠位のウェル41に対して、さらに流路31により接続されている。このため、導入部2から導入されて流路31を送液されるサンプル液は、5つのウェル41へ充填された後にインジケータ51に流入し、充填される。従って、ユーザは、インジケータ51へのサンプル液の充填を確認することによって、5つのウェル41へのサンプル液の充填完了を知ることができる。この点、インジケータ52〜55及びウェル41〜45についても同様である。
インジケータ51〜55へのサンプル液の充填をユーザが確認し易くするため、インジケータ51〜55には、色素材料を収容したり、底面、側面あるいは上面に凹凸構造を設けたりしてもよい。
インジケータ51〜55に色素材料を収容した場合、インジケータ51〜55にサンプル液が流入すると色素材料が発色又は変色したり、溶解して顕色化したりすることで、ユーザはサンプル液が充填されたことを容易に視認できる。また、インジケータ51〜55に凹凸構造を設けた場合、インジケータ51〜55にサンプル液が流入すると凹凸構造による光の反射、屈折又は散乱が変化することで、ユーザはサンプル液の充填を容易に視認できる。
導入部2、流路31〜35、ウェル41〜45及びインジケータ51〜55の成形は、例えば、ガラス製基板層のウェットエッチング又はドライエッチングによって、あるいはプラスチック製基板層のナノインプリント、射出成型又は切削加工によって行うことができる。導入部2等を成形した基板層は、例えば、熱融着、接着剤、陽極接合、粘着シートを用いた接合、プラズマ活性化結合及び超音波接合等の公知の手法により貼り合わされてマイクロチップ1とされる。
基板層の材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PMMA(ポリメチルメタアクリレート:アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの各種プラスチップ又はガラスであってよい。ウェル41〜45内の増幅産物の検出及び分析を光学的に行う場合には、基板層の材料は、光透過性を有し、自家蛍光が少なく、波長分散が小さいために光学誤差の少ない材料を選択することが好ましい。
5.可動弁
図2及び図3は、ウェル41の構成を説明する部分拡大図であり、図2は斜視図、図3Aは上面図、図3Bは断面図を示す。図2及び図3は、ウェル41にサンプル液が充填された状態を示している。ここでは、マイクロチップ1を基板層11,12の貼り合わせにより構成する場合を例示した(図3B参照)。なお、図2では、基板層11の図示を省略している。
図中符号31aは流路31のうちウェル41へのサンプル液の導入路となる部分を、符号31bは排出路となる部分を示す。導入路31aは、導入部2又は隣接するウェル41のいずれかに接続されている。排出路31bは、隣接するウェル41又はインジケータ51のいずれかに接続されており、これらへのサンプル液の導入路ともなっている。なお、ウェル42〜45の構成も、ここで説明するウェル41の構成と同様である。
ウェル41には、可動弁6が配置されている。可動弁6は、サンプル液よりも比重が小さく、ウェル41内において遊動可能とされている。このため、ウェル41にサンプル液が導入されると、可動弁6はサンプル液に浮いた状態となって、ウェル41内において浮上する(図3B参照)。
可動弁6の上面61は、可動弁6が浮上した状態においてその大部分が基板層11に接触するようにされている。そして、上面61の一部(ここでは周縁部)は、可動弁6が浮上した状態において基板層11との間に空隙62を形成するように切り欠かれている。浮上時に上面61の大部分が基板層11に接触するようにすることで、浮上時の可動弁6の位置を安定化できる。空隙62は、ウェル41へのサンプル液の充填完了後に、サンプル液が隣接するウェル41又はインジケータ51に向かってウェル41を流れ抜ける際の通流路となる(詳しくは後述する)。
可動弁6をサンプル液中に浮上可能とするためには、可動弁6の比重はサンプル液の比重よりも小さければよい。可動弁6の比重は、核酸などの分析対象物が水に溶解したような通常のサンプル液の比重に対して十分に小さくなるように、1.1未満とされることが好ましい。
上記比重を満たす可動弁6の材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド又はメチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS)が挙げられる。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)であってよい。なお、可動弁6を上記に挙げた材料よりも比重の大きな材料により形成する場合には、可動弁6を中空構造とすることで、サンプル液に浮上可能な比重を付与できる。
6.可動弁の機能及びマイクロチップにおける液体送液方法
図4及び図5も参照して可動弁6の機能及びマイクロチップ1における液体送液方法について説明する。図4Aはサンプル液の流入開始直後、図4Bはサンプル液の充填中、図4Cはサンプル液の充填完了後のウェル41の状態をそれぞれ示す断面図である。また、図5は、図4Cの状態に対応するウェル41の上面図である。
ウェル41にはオリゴヌクレオチドプライマー及び酵素、核酸モノマーから選択される一以上の試薬Rが乾燥状態で収容されている。ウェル41へのサンプル液の流入開始前及び流入開始直後には、可動弁6はウェル41の底面411上又は試薬R上に位置しており、導入路31aから送液されるサンプル液はウェル41へ流入することができる(図4A矢印参照)。
ウェル41へのサンプル液の流入が進行すると、ウェル41に充填されるサンプル液によって可動弁6が浮上される。また、試薬Rが、ウェル41に充填されるサンプル液によって溶解され、サンプル液に含まれる核酸と混合する。これによって、核酸増幅反応の反応液がウェル41内に調製される(図4B参照)。
ウェル41へのサンプル液の流入がさらに進行すると、サンプル液によって浮上された可動弁6がウェル41の壁面412と密着して、ウェル41を空間41aと空間41bとに区分する(図4C参照)。空間41aは、底面411、壁面412及び浮上して壁面412に密着した可動弁6によって構成される液密な空間であり、ウェル41に流入したサンプル液とこれによって溶解された試薬Rによって満たされている。一方、空間41bは、ウェル41のうち空間41aを除いた残余の部分であり、導入路31aと排出路31bとが接続された空間である。
可動弁6によってウェル41が液密な空間41aと、導入路31a及び排出路31bが接続された空間41bと、に区分されると、液密な空間41aに充填されたサンプル液及び溶解した試薬Rが液密な空間41a外へ流出できない状態となる。また、この状態では、導入路31aから送液されるサンプル液は、液密な空間41aに流入できず、空間41bを通過して排出路31bからウェル41外へ排出される(図4C矢印参照)。図4C及び図5には、浮上した可動弁6と基板層11との間に形成される空隙62をサンプル液が流れ抜ける構成を示した。排出路31bからウェル41外へ排出されるサンプル液は、隣接するウェル41又はインジケータ51に導入される。
このようにマイクロチップ1では可動弁6がウェル41に導入されるサンプル液及びこれによって溶解された試薬Rを液密な空間41aに閉じ込めるように機能することで、サンプル液と試薬Rを含む反応液が排出路31bからウェル41外に流出することがない。また、マイクロチップ1では、ウェル41内の反応液がインジケータ51に流出することもない。従って、マイクロチップ1ではウェル41内の反応液が隣接するウェルとの間で混合することがなく、ウェル間での試薬Rのクロスコンタミネーションや濃度のばらつきの発生を防止できる。
本技術に係るマイクロチップにおいてウェル及び可動弁の形状は、本技術の効果が奏される限りにおいて自由に変更が可能である。ここでは、ウェル41を底面411の面積に対して上面413の面積が小さくなるような円錐形とし、可動弁6を底面411よりも面積が小さくかつ上面413よりも面積が大きな円板とする例を説明した。この例では、円錐形とされたウェル41の側面412が、浮上した円板形の可動弁6の外周部と密着して液密な空間41aを構成するとともに、可動弁6を導入路31a及び排出路31bのウェル41への接続口よりも下方に保持する保持部として機能している。
ウェル及び可動弁の形状の変形例を図6及び図7に示す。図6及び図7において、Aはサンプル液の流入前、Bはサンプル液の充填完了後のウェル41の状態を示す断面図である。また、Cは、パッキン7と係合片8の位置関係を示す上面図である。
図6に示す変形例では、浮上された可動弁6を導入路31a及び排出路31bのウェル41への接続口よりも下方に保持するための保持部としてパッキン7を設けている。サンプル液の充填完了時、パッキン7は、浮上した可動弁6と密着して液密な空間41aを構成する(図6B参照)。このとき、導入路31aから送液されるサンプル液は、液密な空間41aに流入できず、空間41bを通過して排出路31bからウェル41外へ排出される。なお、図中符号8は、サンプル液の流入前の可動弁6に係合して、ウェル41内において可動弁6を中空に保持し、試薬Rと接触しないようにするための係合片を示す。
また、図7に示す変形例は、サンプル液の充填完了時、パッキン7が浮上した可動弁6に形成された溝63に嵌合した状態で密着することにより液密な空間41aを構成する例である。
7.ウェル内の物質の光学検出
ウェル41〜45内の物質あるいはその反応生成物を光学的に検出、分析する方法を図8参照して説明する。図に示すウェル41の液密な空間41aには、核酸を含むサンプル液によってオリゴヌクレオチドプライマー等の試薬Rが溶解され、反応液が調製されており、定法により核酸増幅反応を行うことによって液密な空間41a内に増幅産物が生成する。
増幅産物の検出は、例えば蛍光試薬により増幅産物を検出する場合、励起光Fを液密な空間41aに照射し、蛍光試薬から発生する蛍光Fを検出することによって行うことができる。蛍光Fの検出強度により、増幅産物の有無及び生成量を分析できる。増幅産物の分析は、液密な空間41aに照射される光の吸光や偏光角の変化などを検出することによっても行うことができる。
増幅産物の光学検出のため、可動弁6は光透過性を有していることが好ましい。この場合、液密な空間41aに対する励起光Fの照射方向及び蛍光Fの検出方向は任意であってよく、それぞれ液密な空間41aの上方又は下方であってよい(図8A参照)。
光透過性を有さない材料により可動弁6を形成する場合には、液密な空間41aを構成する可動弁6の面に反射膜64を設け、下方から励起光Fを照射し、同方向において蛍光Fの検出を行う(図8B参照)。
本技術に係るマイクロチップは以下のような構成をとることもできる。
(1)液体が導入される領域が形成され、該領域内に、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁を備えるマイクロチップ。
(2)前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域内に液密な空間を形成する上記(1)記載のマイクロチップ。
(3)前記領域内への前記液体の導入路と、前記領域外への前記液体の排出路と、が形成され、前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域を前記液密な空間と、前記導入路及び前記排出路が接続された空間と、に区分する上記(2)記載のマイクロチップ。
(4)前記導入路及び前記排出路の前記領域への接続口が、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁の上方に位置して設けられた上記(3)記載のマイクロチップ。
(5)前記領域に、前記領域内に導入された前記液体により浮上される前記可動弁を、前記接続口よりも下方に保持する保持部が構成されている上記(4)記載のマイクロチップ。
(6)前記保持部は、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁と密着して、前記液密な空間を構成する上記(5)記載のマイクロチップ。
(7)前記領域として、物質反応の反応場となる反応領域を含む上記(1)〜(6)のいずれかに記載のマイクロチップ。
(8)前記反応領域が複数形成され、一の前記反応領域の前記排出路が、他の一の前記反応領域の前記導入路とされている上記(7)に記載のマイクロチップ。
(9)前記領域として、前記反応領域への前記液体の充填の完了を提示する表示領域を含み、該表示領域には、少なくとも一つの前記反応領域の前記排出路が接続されている上記(7)又は(8)に記載のマイクロチップ。
(10)前記反応領域に、前記物質反応に必要な物質の少なくとも一部が乾燥状態で収容されている上記(7)〜(9)のいずれかに記載のマイクロチップ。
(11)前記物質反応が核酸の増幅反応であり、前記物質がオリゴヌクレオチドプライマー及び酵素、核酸モノマーから選択される一以上である上記(10)記載のマイクロチップ。
(12)前記可動弁の前記比重が、1.1未満である上記(1)〜(11)のいずれかに記載のマイクロチップ。
(13)前記可動弁が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド又はメチルメタクリレート−スチレン共重合体から形成された上記(1)〜(12)のいずれかに記載のマイクロチップ。
(14)前記可動弁が光透過性を有する上記(1)〜(13)のいずれかに記載のマイクロチップ。
(15)前記液密な空間を形成する前記可動弁の面が光反射性を有する上記(1)〜(13)のいずれかに記載のマイクロチップ。
本技術に係るマイクロチップによれば、一の領域内に導入された液体が、他の一の領域内に導入された液体と混合することを防止して、高い分析精度を得ることができる。従って、本技術に係るマイクロチップは、マイクロチップのウェル内で物質間の反応を行い、生成する物質を光学的に検出する反応装置(例えば、核酸増幅装置)などに好適に用いられ得る。
1:マイクロチップ、11,12:基板層、2:導入部、31,32,33,34,35:流路、31a:導入路、31b:排出路、41,42,43,44,45:反応領域(ウェル)、41a,41b:空間、51,52,53,54,55:インジケータ(表示領域)、6:可動弁、62:空隙、64:反射膜、R:試薬

Claims (16)

  1. 液体が導入される領域が形成され、
    該領域内に、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁を備えるマイクロチップ。
  2. 前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域内に液密な空間を形成する請求項1記載のマイクロチップ。
  3. 前記領域内への前記液体の導入路と、前記領域外への前記液体の排出路と、が形成され、
    前記可動弁は、前記領域内に導入される前記液体により浮上されて、前記領域を前記液密な空間と、前記導入路及び前記排出路が接続された空間と、に区分する請求項2記載のマイクロチップ。
  4. 前記導入路及び前記排出路の前記領域への接続口が、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁の上方に位置して設けられた請求項3記載のマイクロチップ。
  5. 前記領域に、前記領域内に導入された前記液体により浮上される前記可動弁を、前記接続口よりも下方に保持する保持部が構成されている請求項4記載のマイクロチップ。
  6. 前記保持部は、前記領域内に導入された前記液体により浮上された前記可動弁と密着して、前記液密な空間を構成する請求項5記載のマイクロチップ。
  7. 前記領域として、物質反応の反応場となる反応領域を含む請求項6記載のマイクロチップ。
  8. 前記反応領域が複数形成され、
    一の前記反応領域の前記排出路が、他の一の前記反応領域の前記導入路とされている請求項7記載のマイクロチップ。
  9. 前記領域として、前記反応領域への前記液体の充填の完了を提示する表示領域を含み、
    該表示領域には、少なくとも一つの前記反応領域の前記排出路が接続されている請求項8記載のマイクロチップ。
  10. 前記反応領域に、前記物質反応に必要な物質の少なくとも一部が乾燥状態で収容されている請求項9記載のマイクロチップ。
  11. 前記物質反応が核酸の増幅反応であり、前記物質がオリゴヌクレオチドプライマー及び酵素、核酸モノマーから選択される一以上である請求項10記載のマイクロチップ。
  12. 前記可動弁の前記比重が、1.1未満である請求項11記載のマイクロチップ。
  13. 前記可動弁が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド又はメチルメタクリレート−スチレン共重合体から形成された請求項12記載のマイクロチップ。
  14. 前記可動弁が光透過性を有する請求項13記載のマイクロチップ。
  15. 前記液密な空間を形成する前記可動弁の面が光反射性を有する請求項13記載のマイクロチップ。
  16. 液体の導入路と排出路とが接続され、前記液体よりも比重が小さく、遊動可能とされた可動弁が配された領域に前記液体を導入する手順と、
    前記可動弁を前記液体により浮上させて、前記領域を液密な空間と、前記導入路及び前記排出路が接続された空間と、に区分する手順と、を含むマイクロチップにおける液体送液方法。
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