JP2013244614A - 複合樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車部品などとして有用な、高強度、高剛性、高い生産性を低コストで実現できる複合樹脂成形品とその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる第2の樹脂部材とのインサート成形品であり、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との接合面が、その接合面に形成されたインサート成形に由来する第1の接合部と、接合面の一部においてレーザー溶着法により選択的に形成された第2の接合部とを有するように構成する。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる第2の樹脂部材とのインサート成形品であり、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との接合面が、その接合面に形成されたインサート成形に由来する第1の接合部と、接合面の一部においてレーザー溶着法により選択的に形成された第2の接合部とを有するように構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、高強度、高剛性を備えた複合樹脂成形品とその製造方法に関する。本発明の複合樹脂成形品は、自動車部品などとして有利に使用することができる。
自動車部品をはじめとして、船舶部品、航空機部品、電気・電子機器、OA機器、家電機器等において、高強度、高剛性の物品を提供し、さらにはかかる物品を高い生産性で低コストで製造することが望まれている。従来、このような物品の製造のため、例えば炭素繊維等の強化繊維を補強材として樹脂中に分散せしめた繊維強化樹脂(FRP)が使用されることが多い。
FRPからなる部品は、通常、被着体である別の樹脂製あるいは金属製の部品に接合して用いられることが多い。すなわち、FRP製の構成部材と、熱可塑性樹脂等からできた他の構成部材とを一体化して所定の形状をもった物品(本発明では複合構造体、複合樹脂成形品ともいう。)を製造することが一般的に行われている。このとき、FRP等の連続繊維含有の構成部材、例えば複合材料板と被着体の接合を行い高い溶着強度を達成することが必要であるけれども、この目的のため、例えばインサート射出成形、超音波溶着、振動溶着などの手法が従来一般的に行われている。
参考のために、従来の手法を説明すると、次の通りである。特許文献1には、少なくとも一部に熱可塑性樹脂を有する繊維強化複合材料板(I)と、被着部材(II)を接合させて一体化成形品(III)を製造する方法において、該繊維強化複合材料板(I)の端部に段差形状を設け、次いで、該繊維強化複合材料板(I)を金型内部に挿入し、該被着部材(II)を射出成形することで、該繊維強化複合材料板(I)と該被着部材(II)を接合する工程を有する、一体化成形品の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、少なくとも第1の部材と加飾材の2つの部材を一体化することで加飾面を形成した加飾成形体であって、前記部材のうち少なくとも第1の部材は連続した強化繊維群で強化された熱可塑性樹脂を主成分とし、加飾材との接合部分において熱可塑性樹脂層を有しており、前記熱可塑性樹脂層が前記強化繊維群の一部の強化繊維を包含してなることを特徴とする加飾成形体が記載されている。
自動車部品を樹脂材料から製造する場合、アルミニウム並みの強度をそれらの部品に付与することが望まれている。従来、樹脂でアルミニウム並みの強度、剛性を達成するためには、樹脂を炭素繊維で補強することが有効であるとされている。また、樹脂を使用して、高強度、高剛性、高い生産性を低コストで実現するためには、樹脂として熱可塑性樹脂を使用し、さらにこの熱可塑性樹脂の一部を連続の炭素繊維で強化した構造が望ましいとされている。
ところで、炭素繊維で強化された熱可塑性樹脂、すなわち、連続繊維含有の複合材料からできた部材を自動車部品に使用するとき、その部材を被着体に接合するときに問題が発生する。すなわち、上記したインサート射出成形、超音波溶着、振動溶着などの手法だけでは必ずしも高い溶着強度を得ることができない。このため、連続繊維含有の複合材料からできた部材と被着体の溶着強度を向上させ、一体化成形品の全体強度を高めることが望まれている。
本発明者らは、連続繊維含有の複合材料からなる部材を被着体としての自動車部品に接合するとき、インサート射出成形、超音波溶着、振動溶着などの手法を用いて第1の接合部を形成した後、その第1の接合部にレーザー光を照射することで第2の接合部を形成することが有効であるとの知見を得、本発明を完成した。連続繊維含有の複合材料は炭素繊維を含有しているので、その炭素繊維がレーザー光からの熱を吸収し発熱することの結果、すでに形成されている第1の接合部において再度の樹脂溶融による溶着を、引き起こし、溶着強度のより一層の向上を図ることができるからである。
本発明によれば、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合してなる複合樹脂成形品であって、
前記複合樹脂成形品は、熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とのインサート成形品であり、
前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面が、前記接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部と、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により選択的に形成された第2の接合部とを有することを特徴とする複合樹脂成形品が提供される。
前記複合樹脂成形品は、熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とのインサート成形品であり、
前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面が、前記接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部と、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により選択的に形成された第2の接合部とを有することを特徴とする複合樹脂成形品が提供される。
また、本発明によれば、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合してなる複合樹脂成形品を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とをインサート成形して、前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部を有する成形品を形成する工程と、
前記第1の接合部の形成と同時にもしくはその後、前記第2の樹脂部材を介してレーザー光の照射を行い、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により第2の接合部を選択的に形成する工程と
を含んでなることを特徴とする複合樹脂成形品の製造方法が提供される。
熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とをインサート成形して、前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部を有する成形品を形成する工程と、
前記第1の接合部の形成と同時にもしくはその後、前記第2の樹脂部材を介してレーザー光の照射を行い、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により第2の接合部を選択的に形成する工程と
を含んでなることを特徴とする複合樹脂成形品の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のような本発明の複合樹脂成形品を備えた自動車部品が提供される。
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、アルミニウム製の物品に比較可能に、高強度、高剛性、そして軽量であるばかりでなく、高い生産性で低コストで製造することができる複合樹脂成形品が得られる。特に本発明では、第1及び第2の樹脂部材の接合面において、両者の溶着強度を、インサート射出成形、超音波溶着、振動溶着などの手法を用いて達成される溶着強度をはるかに上回るレベルまで、具体的には第2の樹脂部材のマトリックス樹脂の強度並みに向上することができる。
本発明は、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明を実施するための好ましい形態を図1〜図4を参照して説明するが、本発明は下記の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明による複合樹脂成形品の一形態を示した断面図であり、図2は、図1に示した複合樹脂成形品における第2の接合部を説明するための平面図である。図示されるとおり、本発明の複合樹脂成形品10は、第1の樹脂部材1と第2の樹脂部材2とを一体的に接合することで構成される。なお、図示の複合樹脂成形品10は一例であって、第1の樹脂部材1及び第2の樹脂部材2は、それぞれ、任意の形状及び寸法を有することができる。なお、第2の樹脂部材2には、以下で詳細に説明するように、レーザー溶着法により第2の接合部を形成するための溶着部溶融の機能も求められるので、図示のように、レーザー光の透過に好適な薄板形状を採用することが推奨される。
本発明による複合樹脂成形品は、基本の構成要素として、嵌合により一体化している第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材を備えている。ここで、第1の樹脂部材は、自動車部品等に使用されることから、強度、剛性等にすぐれた熱可塑性樹脂からなることが好ましく、第2の樹脂部材は、炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなることが好ましい。また、第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材の形状及び寸法は特に限定されるものではなく、所望とする最終製品、例えば自動車部品などの形状及び寸法にあわせて、第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材の一体化物(複合樹脂成形品)がこの最終製品に対応するように、任意に選定することができる。但し、第2の樹脂部材の形状及び寸法は、以下で説明するように、レーザー溶着工程の結果に大きく影響するので、レーザー光が透過し易い薄板状あるいは薄膜状とすることが好ましい。さらに、第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材の一体化は、溶融樹脂により第1の接合部を容易に形成可能なインサート成形により行うことが好ましい。しかし、比較可能な良好な作用効果が得られるのであるならば、インサート成形に代えて他の成形法を使用してもよい。
本発明の複合樹脂成形品は、第1及び第2の接合部を有することを特徴としている。すなわち、図1を参照して説明すると、第1の樹脂部材1に第2の樹脂部材2が嵌め込まれて一体化構造体が完成しているが、両者の接合面で第1及び第2の接合部が形成され、すぐれた溶着強度が達成されている。ここで、第1の接合部における溶着強度は、インサート成形時に金型に装入される第1の樹脂部材(溶融樹脂)1の熱エネルギーを利用して実行される第1の溶着工程に依存し、また、第2の接合部における溶着強度は、レーザー光の熱エネルギーを利用して実行される第2の溶着工程に依存している。
本発明の複合樹脂成形品10では、第1の接合部に加えて、図2にドットで示されるレーザー軌跡(複数のレーザー溶着個所5)の集まりからなる第2の接合部を有することを特徴としている。第2の接合部は、第1の樹脂部材1と第2の樹脂部材2の接合面において、図示のようにその一部に形成されている。第2の接合部は、図3に示すように、第2の樹脂部材2を介してレーザー光Lを選択的に照射することにより接合面の一部においてレーザー溶着法により形成されたものである。すなわち、第2の樹脂部材2の側からレーザー光Lを照射することで、第2の樹脂部材2に含まれる炭素繊維で光エネルギーを吸収させ、これにより発生した熱で第1の樹脂部材1と第2の樹脂部材2を溶融させ、所望とする追加の溶着強度を達成することができる。第2の接合部は、レーザー光Lの走査パターンに依存しているので、第1の樹脂部材1と第2の樹脂部材2の接合面において全面的に形成されるものではなく、照射レーザー光の走査パターンに応じて任意の直線、曲線あるいはその組み合わせのパターンで、通常直線パターンで、形成することができる。なお、理解されるように、ここでいう「線パターン」は、複数のレーザー溶着個所5が線状に連なったレーザー軌跡のパターンである。
第2の接合部の形成は、上記した通り、第2の樹脂部材に含まれる炭素繊維で光エネルギーを吸収させることに依存しているので、第2の接合部の形成効果を十分に引き出すため、第2の樹脂部材をそれに見合った形状となすことが好ましく、さらには軽量化のため、通常薄板状あるいは薄膜状となすことが好ましい。したがって、第2の樹脂部材の厚さは、通常、約1mm以下であり、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは約0.1〜0.3mmの範囲である。
引き続いて、本発明の複合樹脂成形品の構成材料について説明する。
第1の樹脂部材は、熱可塑性樹脂からなる。ここで、熱可塑性樹脂に代えて熱硬化性樹脂を用いて第1の樹脂部材を形成した場合、所期の作用効果を達成することができない。好適な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PENp)、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)などを挙げることができる。必要に応じて、かかる熱可塑性樹脂の共重合体や変性体、あるいは2種類以上ブレンドした樹脂などを使用してもよい。これらの熱可塑性樹脂のなかでも、本発明の実施には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)や、ポリカーボネート(PC)、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などを特に有利に使用することができる。
また、熱可塑性樹脂には、必要に応じて、常用の充填剤、添加剤などを任意に添加してもよい。適当な充填剤、添加剤などとして、例えば、無機充填剤、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などを挙げることができる。これらの充填剤、添加剤などは、いずれもこの分野で常用の量で添加することができる。
第2の樹脂部材は、炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる。すなわち、第2の樹脂部材は、マトリックス樹脂とその内部に補強材として分散せしめられた炭素繊維とからなる。マトリックス樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、熱硬化性樹脂を用いることでは所期の作用効果を達成することができない。
マトリックス樹脂として使用される熱可塑性樹脂は、第1の樹脂部材のところで示した一連の熱可塑性樹脂であることができる。とりわけ、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を有利に使用することができる。かかる熱可塑性樹脂も、第1の樹脂部材として使用される熱可塑性樹脂と同様に、充填剤、添加剤などに任意に含有していてもよい。
マトリックス樹脂内において補強材として使用される炭素繊維は、黒鉛繊維を含めた任意の炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維であることができる。炭素繊維は、本発明の実施において十分な効果を挙げるため、連続した炭素繊維の形で使用するのが好ましい。炭素繊維は、未処理のまま使用してもよく、さもなければ、配合による効果を高めるため、任意の表面処理を施した後に使用してもよい。マトリックス樹脂内における炭素繊維の配合量は、広い範囲で変更することができるけれども、上記したように、レーザー溶着法の効果を十分に引き出すため、通常、第2の樹脂部材の全量を基準として、約50〜70重量%の範囲で配合するのが一般的であり、炭素繊維の配合量を増やすことは第2の樹脂部材の強度を高めるうえで好ましい。
第2の樹脂部材は、上記のようなマトリックス樹脂、炭素繊維などを出発物質として使用して、常用の手法で製造することができる。好適な手法として、例えば、プレス成形法などを挙げることができる。
本発明はまた、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合してなる複合樹脂成形品を製造する方法にある。この製造方法は、基本的には複合樹脂成形品の製造に一般的に使用されている方法に準じで実施することができるけれども、本発明方法の場合、次の2工程:
熱可塑性樹脂からなる第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる第2の樹脂部材とをインサート成形して、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との接合面に形成されたインサート成形に由来する第1の接合部を有する成形品を形成する工程、及び
第1の接合部の形成と同時にもしくはその後、第2の樹脂部材を介してレーザー光の照射を行い、両者の接合面の一部においてレーザー溶着法により第2の接合部を選択的に形成する工程
を必須とする。すなわち、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合して複合樹脂成形品を製造するとき、第1の接合部をインサート成形時の溶着により形成した後、レーザー溶着技術により第2の接合部を選択的に形成する。なお、第1の接合部はインサート成形時の溶着で形成することが好ましいけれども、必要に応じて、その他の常用の技法、例えば超音波溶着法(第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを超音波振動による摩擦熱で溶着する方法)及び振動溶着法(第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを振動による摩擦熱で溶着する方法)で実施してもよい。
熱可塑性樹脂からなる第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる第2の樹脂部材とをインサート成形して、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材との接合面に形成されたインサート成形に由来する第1の接合部を有する成形品を形成する工程、及び
第1の接合部の形成と同時にもしくはその後、第2の樹脂部材を介してレーザー光の照射を行い、両者の接合面の一部においてレーザー溶着法により第2の接合部を選択的に形成する工程
を必須とする。すなわち、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合して複合樹脂成形品を製造するとき、第1の接合部をインサート成形時の溶着により形成した後、レーザー溶着技術により第2の接合部を選択的に形成する。なお、第1の接合部はインサート成形時の溶着で形成することが好ましいけれども、必要に応じて、その他の常用の技法、例えば超音波溶着法(第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを超音波振動による摩擦熱で溶着する方法)及び振動溶着法(第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを振動による摩擦熱で溶着する方法)で実施してもよい。
本発明の実施において、第1の樹脂部材は、インサート成形によって形成する。したがって、第1の樹脂部材を形成する前に第2の樹脂部材を予め形成しておいて、第2の樹脂部材をインサート成形のための金型に装着した状態で第1の樹脂部材用樹脂材料を金型に流し込み、インサート成形を行い、これと同時に第1の接合部を形成することが好ましい。しかしながら、必要に応じて、その他の順序で第1の樹脂部材及び第2の樹脂部材の形成及びインサート成形による複合樹脂成形品の製造を行ってもよい。
第1の樹脂部材をインサート成形により製造するとき、常用の手法を使用することができる。特にインサート成形を射出成形法により行うことが好ましい。インサート成形では、まず、目的とする複合樹脂成形品の形状及び寸法に見合った構造をもった通常金属材料からできた金型を用意する。次いで、この金型のキャビティ内の所定の位置に、すでに作製してある第2の樹脂部材(インサート部品)を位置決めし固定し、この状態のまま型締めする。その後、インサート成形装置のノズルから第1の樹脂部材形成用溶融樹脂を射出し、スプレー、ランナー及びゲートを介してキャビティ内に充填する。この操作により、インサート部品の周囲を取り囲む形で、キャビティ形成面の形状に応じた溶融樹脂が被覆、賦形され、目的とする複合樹脂成形品(インサート成形品)が形成される。また、このインサート成形により、第1の樹脂部材形成用溶融樹脂の熱で第2の樹脂部材の表面を溶融させ、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材の相対する表面を溶着することにより形成された第1の接合部を形成することができる。
第1の接合部の形成と同時に、あるいは好ましくはその後、第2の接合部をレーザー溶着法により形成する。第2の接合部は、上記したように、第2の樹脂部材を介してレーザー光を選択的に照射することにより、第1の樹脂部材と第2の樹脂部材の接合面、すなわち、すでに形成されている第1の接合部の一部においてレーザー溶着法により形成することができる。第2の樹脂部材の側からレーザー光を照射することで、第2の樹脂部材に含まれる炭素繊維で光エネルギーを吸収させ、これにより発生した熱で第1の樹脂部材と第2の樹脂部材を溶融させることがこのレーザー溶着工程の特徴である。
本発明では特に、第2の接合部を形成するためのレーザー溶着工程を図3に示すようにして実施することが好ましい。すなわち、第1の樹脂部材1と第2の樹脂部材2とを一体的に接合してなるインサート成形品を形成した後、第1の樹脂部材1の側にレーザー光を透過可能な透明な部材、例えばガラス板3を載置した後、矢印Pで示されるようにガラス板3を全体的に加圧した状態を維持しながら、レーザー光Lを所定の走査ラインで照射する。レーザー光Lの光源としては、第2の樹脂部材2の組成や対向する第1の樹脂部材1と溶着可能性などのファクターに応じて、常用のレーザー光源のなかから適当な光源を選択して使用することができる。例えば、GaAs系の半導体レーザから、波長940nmのレーザー光を有利に使用することができる。本実施形態では、ガラス板3等の透明な部材で第2の樹脂部材2を押圧することで、レーザー溶着効果をより一層高めることができる。透明な部材は、ガラス板に限られず、同様な機能を有する他の材料、例えば透明プラスチック板などを使用してもよい。
本発明では、軽量化やアルミニウム製品並みの強度が求められている自動車部品(例えば、インバータケース)やその他の各種物品の製造において本発明の複合樹脂成形品を有利に使用することができる。個々の物品の詳細についてはここでは記載しないけれども、各種物品の一例として、例えば、船舶部品、航空機部品、電気・電子機器、OA機器、家電機器などを挙げることができる。
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本例では、自動車部品として使用されていてもっぱらアルミニウムからできているインバータケース(通常3kg程度の重量)の代替品を例にとって本発明による複合樹脂成形品を説明する。
図4は、本例で製造した、アルミダイキャスト製のインバータケースに代えて、本発明の複合樹脂成形品から製造したインバータケースの断面図である。図示される通り、インバータケース20は、ほぼ直方体の形状を有していて、液体冷媒が流れる冷却路23と、一方にバッテリーが接続され他方に電気機器が接続されるインバータを構成する電子ユニット29が収容される収容部22と、収容部22と冷却路23を区画し、電子ユニット29のねじ止めのための非貫通の雌ねじ部28を有する伝熱部21と、カバー部25及び26とを備えている。ここで、伝熱部21が本発明の複合樹脂成形品に相当し、図示しないがポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂からなる第1の樹脂部材と、炭素繊維含有のPPS樹脂からなる第2の樹脂部材とから構成されている。伝熱部21には、インサート成形時の溶着により形成された第1の接合部と、第2の樹脂部材を介したレーザー光(GaAs系の半導体レーザ、波長940nm)の照射により形成された第2の接合部が存在している。このよう構成を採用したことにより、本例のインバータケース20は、アルミダイキャスト製のインバータケースに劣ることのない強度を備え、しかも軽量である。
本発明の複合樹脂成形品は、熱可塑性樹脂で一部が連続の炭素繊維で強化された第1の樹脂部材を備え、しかもこの第2の樹脂部材が被着体である第1の樹脂部材に強固に接合されているので、得られた一体化構造体において高い溶着強度を達成することができ、さらには高強度、高剛性、高い生産性を低コストで実現することができる。したがって、軽量化やアルミニウム製品並みの強度が求められている自動車部品やその他の各種物品の製造において本発明の複合樹脂成形品を有利に使用することができる。
1 第1の樹脂部材
2 第2の樹脂部材
5 レーザー溶着個所
10 複合樹脂成形品
2 第2の樹脂部材
5 レーザー溶着個所
10 複合樹脂成形品
Claims (5)
- 第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合してなる複合樹脂成形品であって、
前記複合樹脂成形品は、熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とのインサート成形品であり、
前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面が、前記接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部と、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により選択的に形成された第2の接合部とを有することを特徴とする複合樹脂成形品。 - 前記インサート成形品は、インサート射出成形溶着法により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の複合樹脂成形品。
- 第1の樹脂部材と第2の樹脂部材とを一体的に接合してなる複合樹脂成形品を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂からなる前記第1の樹脂部材と炭素繊維で強化された炭素繊維強化樹脂からなる前記第2の樹脂部材とをインサート成形して、前記第1の樹脂部材と前記第2の樹脂部材との接合面に形成された前記インサート成形に由来する第1の接合部を有するインサート成形品を形成する工程と、
前記第1の接合部の形成と同時にもしくはその後、前記第2の樹脂部材を介してレーザー光の照射を行い、前記接合面の一部においてレーザー溶着法により第2の接合部を選択的に形成する工程と
を含んでなることを特徴とする複合樹脂成形品の製造方法。 - 前記インサート成形をインサート射出成形溶着法により行うことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 前記第1の接合部を形成した後、前記インサート成形品の第2の樹脂部材をレーザー光を透過可能な透明部材で加圧した状態で、その第2の樹脂部材を介して前記レーザー光の照射を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の製造方法。
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