JP2013243104A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流遮断効果が良好に発揮するようにして、過充電時の安全性に優れた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】非水電解二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質を含有する正極合剤層が正極芯体に保持された正極極板と、負極活物質を含有する負極合剤層が負極芯体に保持された負極極板と、非水電解液と、前記正極極板及び前記負極極板を隔てるセパレータとを発電要素として備え、前記正極合剤層は、粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質を含有しており、非水電解液は、過充電時に前記正極極板上で重合し導電性ポリマーを形成する添加剤を含有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極活物質としてリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を用いた、過充電時の安全性に優れた非水電解質二次電池に関する。
今日の携帯電話機、携帯型パーソナルコンピューター、タブレット端末等の携帯用情報機器、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の携帯型映像機器等の駆動電源として、さらには、ハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)や電気自動車(EV)用の電源として、高エネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。これらの非水電解質二次電池は、通常は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を含む正極合剤が塗着された正極と、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な負極活物質を含む負極合剤が塗着された負極活物質と、セパレータと、非水電解液とを有している。
このうち、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質としては、黒鉛などの炭素質材料が多く使用されている。また、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn、LiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNiCo1−x(x=0.01〜0.99))、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo(x+y+z=1))又は鉄酸リチウム(LiFePO)などが一種単独もしくは複数種を混合して用いられている。
このうち、特に各種電池特性が他のものに対して優れていることから、LiCoOや異種金属元素添加LiCoOが多く使用されている。しかしながら、コバルトは高価であると共に資源としての存在量が少ない。そのため、これらのLiCoOや異種金属元素添加LiCoOを非水電解液二次電池の正極活物質として使用し続けるには非水電解液二次電池の更なる高性能化が望まれている。
一方、非水電解質二次電池は、過充電されると、正極側から過剰のリチウムイオンが引き抜かれて負極に過剰なリチウムイオンが吸蔵されるので、両電極の熱的安定性が低下し、電池特性が劣化するとともに、両極ともに極端な電極電位となるので、非水電解液が分解されてしまう。非水電解液の分解は、ガスの発生とともに、電池の内部抵抗の増大に起因する発熱をもたらす結果、急激に電池内圧が高まり、電池の膨れや熱暴走を引き起こす可能性がある。このため、この種の非水電解質二次電池には電流遮断装置を組み込み、過充電電流を遮断する技術が用いられている。
しかし、電流遮断装置は電池内圧が上昇した時に作動する機構や電池外装の温度上昇により作動する機構が採用されているので、作動するまでに時間が掛かり、急激な温度上昇等が生じた場合における安全性の確保には不安がある。他方、この問題を解決するため、非水電解質二次電池の非水電解液中に様々な添加剤を添加する試みがなされている。
例えば、下記特許文献1には、過充電時に重合して導電性ポリマーとなるジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン、o−ターフェニル、ビフェニル、フラン、インドール、3−クロロチオフェン等の芳香族化合物を非水電解質に混合し、過充電時に電池内部に短絡を発生させて自動的に放電させるようにした非水電解質二次電池が開示されている。
また、下記特許文献2には、過充電時に重合して導電性ポリマーとなるビフェニル、ピロール、N−メチルピロール、チオフェン、フラン、インドール、3−クロロチオフェン等の芳香族化合物を非水電解質に混合し、過充電時に電池内部に短絡を発生させて自動的に放電させるようにした非水電解質二次電池が開示されている。
さらに、下記特許文献3には、正極合剤層と正極集電体の界面に絶縁部材(アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、シリカ)を点在させ、電池が過充電状態となったときに、正極と負極との間に大電流が流れるのを防止するようにした非水電解質二次電池が開示されている。
特開2003−022838号公報 特開平10−321258号公報 特開2008−198591号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されている非水電解質二次電池においては、正極活物質の種類によっては過充電時に導電性ポリマーが十分に形成されず、導電性ポリマーによる短絡が実質的に生じないか、もしくは短絡の程度が微小すぎて十分な電池電圧の低下が生じないことがあり、また、熱発生がないために電流遮断効果が得られないことがあった。さらに、上記特許文献3に開示されている非水電解質二次電池においては、点在させている部材は、絶縁部材であって非常に抵抗が大きいので、内部抵抗の増大化に繋がり、しかも、正極活物質種でもないので電池反応に関与することがなく、これらの部材の添加量を多くすればするほど電池容量の低下に繋がるという問題点があった。
本発明は、上述のような従来技術の有する問題点を解決すべくなされたものであり、粉体抵抗が異なる少なくとも2種類の正極活物質を含有することにより、過充電時に導電性ポリマーが十分に形成されるようにして十分な電池電圧の低下が生じるようにするとともに、電池内部での発熱が十分に生じるようにして電流遮断効果が良好に発揮される非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質を含有する正極合剤層が正極芯体に保持された正極極板と、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質を含有する負極合剤層が負極芯体に保持された負極極板と、非水電解液と、前記正極極板及び前記負極極板を隔てるセパレータとを発電要素として備えた非水電解質二次電池であって、前記正極合剤層は、粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質を含有しており、前記非水電解液は、過充電時に前記正極極板上で重合して導電性ポリマーを形成する添加剤を含有していることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、正極合剤層が粉体抵抗の異なる少なくとも2種の正極活物質を含有しているため、過充電時により大きな粉体抵抗を有する成分の部分で局所的に電位が高くなって粉体抵抗がより低い成分の部分よりも過充電状態になりやすくなる。それにより、大きな粉体抵抗を有する成分の部分で非水電解液中の添加剤が反応しやすくなり、導電性ポリマーを生成しやすくなる。電池内部で導電性ポリマーが形成されると、内部短絡と同様の現象となるため電池電圧が低下するが、導電性ポリマーに流れた電流によって電池内部で発熱が生じ、この発熱によってセパレータがシャットダウンされる。その結果として、電池の内部抵抗が大きくなるので、電池の内部に流れる電流が小さくなるから、過充電時にも安全性が良好に維持された非水電解質二次電池が得られる。
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質は、
コバルト酸リチウム(LiCoO(0<X≦1.6))と、
前記コバルト酸リチウムより粉体抵抗が大きい、LiCoO(Y<X)、LiNi1−q(0.9≦p≦1.2、0<q≦0.8、1.9<r≦2.1、MはCo、Mnの少なくとも1種)、LiMn、LiNiO及びLiFePOから選択された少なくとも1種と、
からなり、
前記コバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が大きい成分の添加量は、前記正極合剤層の総質量に対して0.0005質量部以上、90質量部以下とすることが好ましい。
係る態様の非水電解質二次電池におけるコバルト酸リチウムは、非水電解質二次電池の正極活物質として汎用的に使用されているLiCoO(0<X≦1.6)の中から適宜選択して採用し、さらに正極活物質としてこのコバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が相対的に大きいものを採用して添加すればよい。
なお、LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムよりも大きな粉体抵抗を有する正極活物質は種々存在するが、LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムの有する特性を良好に発揮させるには上記の成分を用いることが好ましい。LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムは、Xの値が大きくなると粉体抵抗が小さくなり、Xの値が小さくなると粉体抵抗が大きくなる。そのため、LiCoO(0<Y≦1.6)としたとき、Y<Xの場合においてLiCoO(0<X≦1.6)よりも粉体抵抗が大きくなる。
また、LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムよりも大きな粉体抵抗を有する成分の添加量が正極合剤層の総質量に対して0.0005質量%未満であると、過充電時に正極極板上で導電性ポリマーが生成されて、セパレータを介して負極極板と短絡が生じても、短絡の程度が小さすぎて、十分な電池電圧の低下及び発熱が得られず、セパレータが十分にシャットダウンしなくなる。これにより、さらに過充電が進むと電池の熱暴走及び内燃・破裂が生じることがあるため、非水電解質二次電池の過充電時の安全性を高めることができなくなる。さらに、LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムよりも大きな粉体抵抗を有する成分の添加量が正極合剤層の総質量に対して90質量%を超えると、その分だけ相対的に正極活物質としての粉体抵抗が小さいLiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムの含有割合が低下するので、粉体抵抗が小さいLiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムの有する良好な電池特性が奏され難くなる。
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質は、
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo(x+y+z=1))と、
前記リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物より粉体抵抗が大きい、LiNix1Mny1Coz1(x1<x)、LiCoO(0<X<1.0)、LiNi1−q(0.9≦p≦1.2、0<q≦0.8、1.9<r≦2.1、MはCo、Mnの少なくとも1種)、LiMn、LiNiO及びLiFePOから選択された少なくとも1種と、
からなり、
前記リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも粉体抵抗が大きい成分の添加量は、前記正極合剤層の総質量に対して0.0005質量部以上、90質量部以下となるようにしてもよい。
係る態様の非水電解質二次電池におけるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo(x+y+z=1)は、非水電解質二次電池の正極活物質として汎用的に使用されているリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo(x+y+z=1)の中から適宜選択して採用し、さらに正極活物質としてこのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも粉体抵抗が相対的に大きいものを採用して添加すればよい。
なお、LiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも大きな粉体抵抗を有する正極活物質は種々存在するが、LiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の有する特性を良好に発揮させるには上記の成分を用いることが好ましい。
また、LiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも大きな粉体抵抗を有する成分の添加量が正極合剤層の総質量に対して0.0005質量%未満であると、過充電時に正極極板上で導電性ポリマーが生成されてセパレータを介して負極極板と短絡が生じても、短絡の程度が小さすぎて、十分な電池電圧の低下及び発熱が得られず、セパレータが十分にシャットダウンしなくなる。これにより、さらに過充電が進むと電池の熱暴走及び内燃・破裂が生じることがあるため、非水電解質二次電池の過充電時の安全性を高めることができなくなる。さらに、LiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも大きな粉体抵抗を有する成分の添加量が正極合剤層の総質量に対して90質量%を超えると、その分だけ相対的に正極活物質としての粉体抵抗が小さいLiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の含有割合が低下するので、粉体抵抗が小さいLiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の有する良好な電池特性が奏され難くなる。
また、本発明の非水電解質二次電池においては、前記添加剤は、シクロヘキシルベンゼン、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルから選択された少なくとも1種であり、前記添加剤の添加量は、前記非水電解液総質量に対して0.1質量%以上、6質量%以下であることが好ましい。
シクロヘキシルベンゼン、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルともに、過充電時に重合して導電性ポリマーを形成する周知の成分であるが、これらの成分の少なくとも1種を非水電解液総質量に対して0.1質量%以上、6質量%以下添加することにより、上記効果が良好に奏されるようになる。なお、非水電解液総質量に対するこれらの成分の少なくとも1種の添加量は、0.1質量%未満であるとこれらの成分添加の効果が奏されず、また、6質量%を超えるとその他の電池特性(サイクル特性や保存特性等)が低下する。
なお、本発明の非水電解質二次電池で使用し得る負極活物質としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及び易黒鉛化性炭素などの炭素原料、LiTiO及びTiOなどのチタン酸化物、ケイ素及びスズなどの半金属元素、酸化ケイ素(SiOx,0.5≦x<1.6)、又はSn−Co合金等が挙げられる。
また、本発明の非水電解質二次電池において使用し得る非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などの環状炭酸エステル、フッ素化された環状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(BL)、γ−バレロラクトン(VL)などの環状カルボン酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジブチルカーボネート(DBC)などの鎖状炭酸エステル、フッ素化された鎖状炭酸エステル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、メチルイソブチレート、メチルプロピオネートなどの鎖状カルボン酸エステル、N、N'−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどのアミド化合物、スルホランなどの硫黄化合物、テトラフルオロ硼酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウムなどの常温溶融塩などが例示できる。これらは2種以上混合して用いることが望ましい。これらの中では、特に誘電率が大きく、非水電解液のイオン伝導度が大きい環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルが好ましい。
なお、本発明の非水電解質二次電池で使用する非水電解質中には、電極の安定化用化合物として、更に、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチルカーボネート(VEC)、無水コハク酸(SUCAH)、無水マイレン酸(MAAH)、グリコール酸無水物、エチレンサルファイト(ES)、ジビニルスルホン(VS)、ビニルアセテート(VA)、ビニルピバレート(VP)、カテコールカーボネートなどを添加してもよい。これらの化合物は、2種以上を適宜に混合して用いることもできる。
また、本発明の非水電解質二次電池で使用する非水溶媒中に溶解させる電解質塩としては、非水電解質二次電池において一般に電解質塩として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)が特に好ましい。前記非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、0.8〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
更に、本発明の非水電解質二次電池においては、非水電解質は液状のものだけでなく、ゲル化されているものであってもよい。
各実施例及び比較例で各種電池特性の測定に用いたテストセルの分解斜視図である。 正極合剤スラリーa及びbをそれぞれ用いた場合の電位走査時の電池電圧と電流との関係を示す図である。 正極合剤スラリーd及びeをそれぞれ用いた場合の電位走査時の電池電圧と電流との関係を示す図である。 正極合剤スラリーb、f〜iをそれぞれ用いた場合の電位走査時の電池電圧と電流との関係を示す図である。 正極合剤スラリーj〜m、oをそれぞれ用い、非水電解液の添加剤の添加量を6質量部とした場合の電位走査時の電池電圧と電流との関係を示す図である。 正極合剤スラリーj、l、n、oをそれぞれ用い、非水電解質の電解液添加剤の添加量を2質量部とした場合の電位走査時の電池電圧と電流との関係を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を各種実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
まず、正極合剤層がリチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質としてコバルト酸リチウムを主に含有する場合について説明する。この場合の各実施例及び比較例に共通する正極活物質及び正極合剤スラリーは次のようにして作製した。
[正極活物質の調製]
正極活物質としてのLiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウムは次のようにして調製した。出発原料として、リチウム源には炭酸リチウム(LiCO)を用い、コバルト源には炭酸コバルト(CoCO)を空気雰囲気下で熱分解反応させて得られた四酸化三コバルト(Co)を用い、これらをリチウムとコバルトのモル比がX:1(0<X≦1.6)となるように所定量ずつ秤量して混合した後、空気雰囲気下において24時間焼成し、LiCoOを得た。以下においては、これをLCOAと表す。
また、上記のLiCoO合成時よりもLi源の仕込み比を低くして、LCOAよりも粉体抵抗が大きい2種類のコバルト酸リチウム(LiY1CoO及びLiY2CoO(Y2<Y1<X))を得た。以下においては、これらをそれぞれLCOB(LCOAよりも粉体抵抗が大きいもの)及びLCOC(LCOBよりも粉体抵抗が大きいもの)と表す。さらに、上記のLiCoO合成時よりもLiの仕込み比を高くして、LiCoOよりも小さな粉体抵抗を有するコバルト酸リチウム(LiCoO(X<Z≦1.6))を得た。以下においては、これをLCOD(LCOAよりも粉体抵抗が小さいもの)と表す。
さらに、マンガン酸リチウム(LiMn)は次のようにして作製した。出発原料としては、リチウム源には炭酸リチウム(LiCO)を用い、マンガン源には炭酸マンガン(MnCO)を用い、それぞれリチウムとマンガンのモル比が1:2となるように所定量ずつ秤量して混合した後、空気雰囲気下において900℃で24時間焼成し、マンガン酸リチウム(LiMn)を得た。以下においては、これをLMOと表す。
[正極合剤スラリーaの調製]
正極合剤スラリーaは、正極活物質としてのLCOA及びLMOと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末とを、それぞれ質量比で93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LMO)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーbの調製]
正極合剤スラリーbは、正極活物質としてLCOAを単独で用い、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比95:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。
[正極合剤スラリーcの調製]
正極合剤スラリーcは、正極活物質としてのLCOA及びLMOと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比で94.9995:0.0005:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LMO)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して0.0005質量%となる。
[正極合剤スラリーdの調製]
正極合剤スラリーdは、正極活物質としてのLCOBと及びLCOCと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比94:1:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOC)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して1質量%となる。
[正極合剤スラリーeの調製]
正極合剤スラリーeは、正極活物質としてLCOBを単独で用い、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比95:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。
[正極合剤スラリーfの調製]
正極合剤スラリーfは、正極活物質としてのLCOD及びLCOAと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比45.0:50.0:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOA)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して50質量%となる。
[正極合剤スラリーgの調製]
正極合剤スラリーgは、正極活物質としてのLCOD及びLCOAと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比25.0:70.0:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOA)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して70質量%となる。
[正極合剤スラリーhの調製]
正極合剤スラリーhは、正極活物質としてのLCOD及びLCOAと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比5.0:90.0:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOA)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して90質量%となる。
[正極合剤スラリーiの調製]
正極合剤スラリーiは、正極活物質としてLCODを単独で用い、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比95:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。
これらの正極合剤スラリーa〜iの組成を表1にまとめて示した。
Figure 2013243104
[粉体抵抗の測定]
また、上述のようにして調製された正極活物質LCOA、LCOB、LCOC、LCOD及びLMCのそれぞれについて粉体抵抗を次のようにして測定した。測定には三菱化学株式会社製の低抵抗率計(MCP−T600(商品名))と、三菱化学株式会社製の粉体抵抗測定ユニット(MCP−PP51(商品名))とを用いた。それぞれの粉体サンプル4.00gを粉体抵抗測定ユニットを用いて、圧力6.4kN/cmで圧縮し、そのときの粉体抵抗を測定した。結果をまとめて表2に示した。
Figure 2013243104
表2に示した結果から、粉体抵抗は、
LCOC>LMO>LCOB>LCOA>LCOD
の関係となっていることが分かった。
[電池用正極極板の作製]
電池用の正極極板は次のようにして作製した。上述のようにして調製された正極合剤スラリーa〜iを、ドクターブレード法を用いて、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、正極集電体の両面に正極合剤層を形成した。この場合、塗布質量は、両面塗布部での乾燥質量が500g/m(片面塗布部では250g/m)となるように塗布した。この後、乾燥させて有機溶媒であるNMPを除去し、ロールプレスによって正極合剤の充填密度が3.3g/cm(真密度比0.561)となるまで圧縮した。その後、極板を電池幅に合うように切断し、150℃で2時間真空乾燥して、正極合剤スラリーa〜iに対応するそれぞれの正極極板を得た。
[テスト用の正極極板の作製]
また、テスト用の正極極板は、上述のようにして調製された正極合剤スラリーa〜iを用いて作製された極板を直径φ=22mmとなるように打ち抜き、150℃で2時間真空乾燥し、テスト用の正極極板を得た。
[電池用負極極板の作製]
電池用の負極極板は次のようにして作製した。黒鉛粉末97.5質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴム(SBR)1.5質量部を水に分散させ負極合剤スラリーを調整した。この負極合剤スラリーを厚さ8μmの銅箔からなる負極集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥して負極集電体の両面に負極合剤層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて厚みが0.12mmとなるように圧縮した。その後、極板を電池幅に合うように切断し、負極極板を作製した。
[テスト用の負極極板の作製]
テスト用の負極極板は、アルゴン雰囲気下において、金属リチウムをステンレススチール板に押しつけて貼り合わせ、所定の大きさに切り出してテスト用の負極極板とした。
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比で3:7の割合(1気圧、25℃換算)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1.0mol/Lの割合で溶解させた。さらに、過充電時に正極上で重合し、導電性ポリマーを形成する電解液添加剤として、シクロヘキシルベンゼンを電解液の総質量比で、それぞれ0.1質量部、2質量部、5質量部、6質量部添加した非水電解液と、添加しなかった非水電解液とを調製した。
[テストセルの作製]
まず、図1に示すように、アルゴン雰囲気下で、上述のようにして作製したテスト用負極11、ポリエチレン製多孔質膜からなるセパレータ12、テスト用正極13を順次積層した後、非水電解液を注液し、アルミニウム板14及びVバネ15を載置し、ステンレススチール製の負極端子16と正極端子17とを絶縁性ネジ18、19でネジ止め固定し、それぞれの正極合剤スラリーa、b、d〜iに対応するテスト用正極13を有する8種類のテストセル10を作製した。
[テストセルによる過充電試験]
上述のようにして作製された正極合剤スラリーa、b、d〜iに対応するテスト用正極13を有する8種類のテストセル10のそれぞれについて、25℃の恒温槽中で、電位走査速度0.2mV/secで5.2Vまでの電位範囲で電位走査を行い、電圧と電流との関係を測定した。テスト用正極として、スラリーa(LCOA+LMO)及びスラリーb(LCOA)を用いた場合の測定結果を図2に、スラリーd(LCOB+LCOC)及びスラリーe(LCOB)を用いた場合の測定結果を図3に、スラリーb(LCOA)、スラリーf(LCOD+LCOA(50質量%))、スラリーg(LCOD+LCOA(70質量%))、スラリーh(LCOD+LCOA(90質量%))及びスラリーi(LCOD)を用いた場合の測定結果を図4に、それぞれ示した。
図2〜図4に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、テスト用正極として、粉体抵抗が0.6kΩであるスラリーb(LCOA)を用いた場合は4.7V付近で短絡電流は観察されないが、LCOAに粉体抵抗が7kΩのLMOを2質量%添加したスラリーaを用いた場合は4.5V付近でシクロヘキシルベンゼンの重合物による短絡電流が観察された(図2)。同様に、テスト用正極として粉体抵抗が4.8kΩのスラリーe(LCOB)を用いた場合は4.7V以上でも短絡電流は観察されないが、粉体抵抗が132kΩと大きいLCOCを2質量%添加して用いた場合には4.7V付近で短絡電流が観察された(図3)。
同様に、テスト用正極として、粉体抵抗が0.07kΩであるスラリーi(LCOD)を用いた場合には4.7V付近でも短絡電流は観察されないが、より粉体抵抗の大きなLCOAを50質量%、70質量%及び90質量%それぞれ添加したスラリーf〜hを用いた場合には、いずれも4.7V〜4.8V近傍でシクロヘキシルベンゼンの重合物による短絡電流が観察された(図4)。なお、図4には、参考のためにスラリーa(LCOA)を用いた場合の測定結果も併記してある。
以上の図2〜図4に示した結果から、正極活物質として1種類のコバルト酸リチウムのみを用いた場合には、過充電時にシクロヘキシルベンゼンの重合物による短絡が生じないが、このコバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が大きな正極活物質を同時に含有させておくと、過充電時にシクロヘキシルベンゼンの重合物による短絡が生じることが分かる。このことは、過充電時に粉体抵抗が大きな正極活物質部分で局所的に電位が高くなって粉体抵抗が低いコバルト酸リチウムの部分よりも過充電状態になりやすく、それによって大きな粉体抵抗を有する成分の部分で非水電解液中の添加剤が重合して導電性ポリマーを生成することを示すものである。
なお、正極活物質として、図2に示したスラリーa(LCOA)のみ及び図4に示したスラリーi(LCOD)のみを用いた場合は、短絡が起こらないので電池電位の低下が起こらず、セパレータのシャットダウン特性が有効に発揮されていない。また、図3に示したスラリーe(LCOB)の場合のように、5V付近から短絡電流が観察される場合、実際の電池を組み立てた場合、以下に詳細に述べるように、非水電解液や正極活物質の分解等によって破裂や発火が起こるため、過充電特性は改善されない。
[非水電解質二次電池の作製]
上記のスラリーa〜iを用いて作製された9種類の正極極板のそれぞれと、負極極板とをポリエチレン製多孔質膜からなるセパレータを介して巻回し、その後にプレスすることにより偏平巻回電極体を作製した。この偏平巻回電極体を予めカップ状(凹形状)に形成したアルミニウムラミネート外装体内に封入し、ラミネートフィルムを折り返して底部を形成し、底部と交わる両側編を熱溶着して封止部を形成した。次いで、開口部から上記のようにして調製した各種非水電解液を注液し、開口部を封止して、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの実施例1〜9及び比較例1〜4の13種類の非水電解質二次電池を、それぞれについて5個ずつ作製した。なお、各非水電解質二次電池の設計容量は800mAhである。
[過充電試験]
上述のようにして作製した13種類の各電池について、25℃の恒温槽中で、1It=800mAで過充電試験を行った。途中、内燃ないし破裂が生じたものをNGと判定し、内燃及び破裂が生じなかったものをOKと判定し、OKの数を数えた。結果を各電池の正極活物質の種類、添加正極活物質の含有割合及び非水電解液中の添加剤量とともに、表3にまとめて示した。
Figure 2013243104
表3に示した結果から、以下のことが分かる。すなわち、比較例1で過充電OK数が0となるスラリーb(LCOA)を用いた場合に対し、2質量%のLMOを添加したスラリーaを用いた実施例1の電池ではOK数が5となっている。さらに、LCOAに対してLMOを0.0005質量%添加した実施例2でも過充電OK数が5となっている。これに対し、シクロヘキシルベンゼンが非水電解液に添加されていない比較例2においては、LCOAにLMOを2質量%添加しても、過充電OK数は0であった。
同様に、LCOB単独である比較例3では過充電の過充電OK数が0であったが、LCOBよりも粉体抵抗が大きいLCOCをLCOBに1質量%添加した実施例6では、過充電OK数が5となっている。これらの結果は、非水電解液中にシクロヘキシルベンゼンが含有されている場合、正極活物質として少なくとも粉体抵抗値が小さいコバルト酸リチウムに粉体抵抗値が大きい正極活物質を同時に用いると、過充電時に粉体抵抗値の大きい正極活物質の部分でシクロヘキシルベンゼンが重合して導電性ポリマーを形成するので、過充電特性が良好となることを示している。
また、正極活物質としてLCOAに2質量%のLMOを添加して用いた場合、シクロヘキシルベンゼンの非水電解液への添加量を0.1質量%にした実施例3、2質量%にした実施例1、5質量%にした実施例4、6質量%にした実施例5では、いずれも過充電OK数が5となっており、少なくともシクロヘキシルベンゼンの非水電解液への添加量が0.1質量%以上、6質量%以下の範囲であれば、過充電特性が良好となることが確認された。
なお、上述した実施例1〜5においては、LCOA(LiCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウム)とLMO(LiMn)を用いた例を示したが、実施例6〜9の結果をも考慮すると、LixCoO(0<X≦1.6)で表されるコバルト酸リチウム中の1種と、このコバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が大きいLiCoO(Y<X)で表されるコバルト酸リチウム又は他の組成の正極活物質、例えば、LiNi1−q(0.9≦p≦1.2、0<q≦0.8、1.9<r≦2.1、MはCo、Mnの少なくとも1種)、LiMn、LiNiO及びLiFePOから選択された少なくとも1種を同時に用いれば、同様の効果が奏されることが理解できる。
また、上記各実施例では、正極活物質として、粉体抵抗の小さいコバルト酸リチウムと、このコバルト酸リチウムよりも粉体抵抗の大きい正極活物質としての特性を有する成分とを正極合剤スラリー中で混合したものを用いた例を示した。しかしながら、粉体抵抗の小さいコバルト酸リチウムを含む正極合剤を用いて作製された正極極板の表面に、粉体抵抗の大きい正極活物質としての特性を有する成分をコートしても、同様の作用効果を奏することは自明である。
次に、正極合剤層がリチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を主に含有する場合について説明する。
[正極活物質の調製]
正極活物質としてのLiNiMnCo(x+y+z=1)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は次のようにして調製した。
出発原料として、リチウム源には炭酸リチウム(LiCO)を用い、ニッケルコバルトマンガン源には、硫酸ニッケル(NiSO)と硫酸マンガン(MnSO)と硫酸コバルト(CoSO)との混合水溶液をアルカリ溶液と反応させ共沈することによって得たニッケルマンガンコバルト複合水酸化物を用いた。そして、リチウム源の出発原料として用意した炭酸リチウム(LiCO)とニッケルマンガンコバルト複合水酸化物とを所定の割合となるように秤量して乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気雰囲気下において900℃で15時間焼成し、LiNi0.33Mn0.34Co0.33で表されるニッケルコバルトマンガン酸リチウムを得た。以下においては、これをNCMAと表す。
また、共沈時のニッケル(Ni)の含有割合を調整してその分だけコバルト(Co)及びマンガン(Mn)を等量ずつ変化させ、LiNix1Mny1Coz1(x1<x)、LiNix2Mny2Coz2(x2<x1<x)及びLiNix3Mny3Coz3(x<x3)で表される3種類のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を調整した。以下においては、これらをそれぞれNCMB、NCMC及びNCMDと表す。
[正極合剤スラリーjの調製]
正極合剤スラリーjは、正極活物質としてNCMAを単独で用い、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末とを、それぞれ質量比で95:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して調製した。
[正極合剤スラリーkの調製]
正極合剤スラリーkは、正極活物質としてのNCMA及びNCMBと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比で93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(NCMB)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーlの調製]
正極合剤スラリーlは、正極活物質としてのNCMA及びNCMCと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比で93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(NCMC)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーmの調製]
正極合剤スラリーmは、正極活物質としてのNCMA及びLCOAと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOA)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーnの調製]
正極合剤スラリーnは、正極活物質としてのNCMA及びLCOBと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOB)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーoの調製]
正極合剤スラリーoは、正極活物質としてのNCMA及びLMOと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比93:2:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LMO)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して2質量%となる。
[正極合剤スラリーpの調製]
正極合剤スラリーpは、正極活物質としてのNCMD及びLCOCと、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのPVdF粉末とを、それぞれ質量比60:35:2.5:2.5となるように秤量し、分散媒としてのNMPと混合して調製した。この場合の添加正極活物質(LCOC)の添加割合は正極合剤層の全質量に対して35質量%となる。
これらの正極合剤スラリーj〜pから得られる正極合剤層の組成を表4にまとめて示した。
Figure 2013243104
[粉体抵抗の測定]
上述のようにして調製された正極活物質NCMA、NCMB、NCMC及びNCMDのそれぞれについて粉体抵抗を上述したのと同様にして測定した。これらの測定結果を、上述したLCOA、LCOB、LCOC、LCOD及びLMOの結果と合わせて表5に示した。
Figure 2013243104
表5に示した結果から、粉体抵抗は、
NCMC>NCMB>LCOB>LCOA>LMO>NCMA>LCOC>NCMD
の関係になっていることが分かった。
[電池用正極極板の作製]
調製された正極合剤スラリーj〜pを用いて上述したのと同様にして電池用の正極極板を作製し、正極合剤スラリーj〜pに対応するそれぞれの正極極板を得た。
[テスト用の正極極板の作製]
また、テスト用の正極極板は、上述のようにして調製された正極合剤スラリーj〜pから得られた極板を直径φ=22mmとなるように打ち抜き、150℃で2時間真空乾燥し、テスト用の正極極板を得た。
電池用負極極板の作製及びテスト用の負極極板の作製は、上述したのと同様にして行った。
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比で3:7の割合(1気圧、25℃換算)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1.0mol/Lの割合で溶解させた。さらに、過充電時に正極上で重合し、導電性ポリマーを形成する電解液添加剤として、シクロヘキシルベンゼンを電解液の総質量比で、それぞれ0.1質量部、2質量部、6質量部添加した非水電解質を調製した。
[テストセルの作製]
テストセルの作製は上述したのと同様にして行い、それぞれの正極合剤スラリーj〜pに対応するテスト用正極13を有し、電解液添加剤の添加量の異なる非水電解液を用いた9種類のテストセル10を作製した。
[テストセルによる過充電試験]
上述のようにして作製された正極合剤スラリーj〜pに対応するテスト用正極13を有し、電解液添加剤の添加量の異なる非水電解液を用いた9種類のテストセル10のそれぞれについて、25℃の恒温槽中で、電位走査速度0.2mV/secで5.2Vまでの電位範囲で電位走査を行い、電圧と電流との関係を測定した。
非水電解質の電解液添加剤の添加量が6質量部であり、テスト用正極13として正極合剤スラリーj(NCMA)、スラリーk(NCMA+NCMB)、スラリーl(NCMA+NCMC)、スラリーm(NCMA+LCOA)及びスラリーo(NCMA+LMO)を用いた場合の測定結果を図5に、非水電解質の電解液添加剤の添加量が2質量部であり、テスト用正極13として正極合剤スラリーj(NCMA)、スラリーl(NCMA+NCMC)、スラリーn(NCMA+LCOB)及びスラリーo(NCMA+LMO)を用いた場合の測定結果を図6に、それぞれ示した。
以上の図5、図6に示した結果から、正極活物質として1種類のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のみを用いた場合より、このリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも粉体抵抗が大きな正極活物質を同時に含有させた場合において、過充電時にシクロヘキシルベンゼンの重合物による短絡がより早期に、より短時間で、生じることが分かる。このことは、過充電時に粉体抵抗が大きな正極活物質部分で局所的に電位が高くなって粉体抵抗が低いリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の部分よりも過充電状態になりやすく、それによって大きな粉体抵抗を有する成分の部分で非水電解液中の添加剤が重合して導電性ポリマーを生成することを示すものである。
[非水電解質二次電池の作製]
上記の正極合剤スラリーj〜pを用いて作製された7種類の正極極板のそれぞれと、負極極板とをポリエチレン製多孔質膜からなるセパレータを介して巻回し、その後にプレスすることにより偏平巻回電極体を作製した。この偏平巻回電極体を予めカップ状(凹形状)に形成したアルミニウムラミネート外装体内に封入し、ラミネートフィルムを折り返して底部を形成し、底部と交わる両側編を熱溶着して封止部を形成した。次いで、開口部から上記のようにして調製した各種非水電解液を注液し、開口部を封止して、高さ62mm、幅35mm、厚み3.6mmの実施例10〜18及び比較例5、6の11種類の非水電解質二次電池を、それぞれについて5個ずつ作製した。なお、各非水電解質二次電池の設計容量は800mAhである。
[過充電試験]
上述のようにして作製した11種類の各電池について、25℃の恒温槽中で、1It=800mAで過充電試験を行った。途中、内燃ないし破裂が生じたものをNGと判定し、内燃及び破裂が生じなかったものをOKと判定し、OKの数を数えた。結果を各電池の正極活物質の種類、添加正極活物質の含有割合及び非水電解液中の添加剤量とともに、表6にまとめて示した。
Figure 2013243104
表6に示した結果から、以下のことが分かる。非水電解質としてシクロヘキシルベンゼンが6質量部添加されたものを用いた場合において、正極合剤スラリーj(NCMA)を用いた比較例5では過充電OK数が「3」となったのに対し、NCMB、NCMC、LCOA及びLMOそれぞれが添加された正極合剤スラリーk、l、m、oを用いた実施例10〜13では過充電OK数が「5」となった。
非水電解質としてシクロヘキシルベンゼンが2質量部添加されたものを用いた場合において、正極合剤スラリーj(NCMA)を用いた比較例7では過充電OK数が「0」となったのに対し、NCMCが添加された正極合剤スラリーlを用いた実施例14では過充電OK数が「4」となり、LCOB及びLMOそれぞれが添加された正極合剤スラリーn、oを用いた実施例15、16では過充電OK数が「5」となった。
このように、正極活物質としてNCMAを単独で用いた場合には過充電OK数を増加させにくく、電解液添加剤としてのシクロヘキシルベンゼンを6質量部添加しても過充電OK数は「3」に止まる。一方、粉体抵抗が大きい正極活物質を添加して同時に用いるようにすると、電解液添加剤の添加量が少なくても過充電時に粉体抵抗の大きい正極活物質の部分で電解液添加剤が重合して導電性ポリマーを形成するので、過充電特性が良好となる。
非水電解質としてシクロヘキシルベンゼンが0.1質量部添加されたものを用いた場合において、正極活物質としてLCOAが添加された正極合剤スラリーm(NCMA+LCOA)を用いた実施例17でも、過充電OK数が「5」となった。このため、電解液添加剤としてのシクロヘキシルベンゼンの非水電解液への添加量が、少なくとも0.1質量部以上、6質量部以下の範囲である場合、過充電特性が良好となることが確認された。
また、NCMDに、このNCMDよりも粉体抵抗が大きいLCOCを60質量部添加した正極合剤スラリーpを用いた実施例18でも、過充電OK数が「5」となることが確認された。より大きな粉体抵抗を有する成分の添加量は、前記正極合剤層の総質量に対して90質量部以下の範囲で効果があると考えられる。
上記実施例10〜18では、正極活物質として粉体抵抗の小さいリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物と、このリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物よりも粉体抵抗の大きい正極活物質としての特性を有する幾つかの成分とを正極合剤スラリー中で混合したものを用いた例を示した。しかしながら、粉体抵抗の小さいリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を含む正極合剤を用いて作製された正極極板の表面に、粉体抵抗の大きい正極活物質としての特性を有する成分をコートしても、同様の作用効果を奏することは自明である。
また、上述した実施例に限らず、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物と、これとは粉体抵抗が異なる正極活物質種から選択される少なくとも一種とを含有すれば、上述したのと同様な効果を奏することも自明である。
10…テストセル
11…テスト用負極
12…セパレータ
13…テスト用正極
14…アルミニウム板
15…バネ
16…負極端子
17…正極端子
18、19…絶縁性ネジ
このうち、特に各種電池特性が他のものに対して優れていることから、LiCoOや異種金属元素添加LiCoOが多く使用されている。しかしながら、コバルトは高価であると共に資源としての存在量が少ない。そのため、これらのLiCoOや異種金属元素添加LiCoOを非水電解二次電池の正極活物質として使用し続けるには非水電解二次電池の更なる高性能化が望まれている。

Claims (4)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出する正極活物質を含有する正極合剤層が正極芯体に保持された正極極板と、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質を含有する負極合剤層が負極芯体に保持された負極極板と、非水電解液と、前記正極極板及び前記負極極板を隔てるセパレータとを発電要素として備えた非水電解質二次電池であって、
    前記正極合剤層は、粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質を含有しており、
    前記非水電解液は、過充電時に前記正極極板上で重合して導電性ポリマーを形成する添加剤を含有していることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質は、
    コバルト酸リチウム(LiCoO(0<X≦1.6))と、
    前記コバルト酸リチウムより粉体抵抗が大きい、LiCoO(y<X)、LiNi1−q(0.9≦p≦1.2、0<q≦0.8、1.9<r≦2.1、MはCo、Mnの少なくとも1種)、LiMn、LiNiO及びLiFePOから選択された少なくとも1種と、
    からなり、
    前記コバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が大きい成分の添加量は、前記正極合剤層の総質量に対して0.0005質量部以上、90質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記粉体抵抗が異なる少なくとも2種の正極活物質は、
    リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo(x+y+z=1))と、
    前記コバルト酸リチウムより粉体抵抗が大きい、LiNix1Mny1Coz1(x1<x)、LiCoO(0<X<1.0)、LiNi1−q(0.9≦p≦1.2、0<q≦0.8、1.9<r≦2.1、MはCo、Mnの少なくとも1種)、LiMn、LiNiO及びLiFePOから選択された少なくとも1種と、
    からなり、
    前記コバルト酸リチウムよりも粉体抵抗が大きい成分の添加量は、前記正極合剤層の総質量に対して0.0005質量部以上、90質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記添加剤は、シクロヘキシルベンゼン、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルから選択された少なくとも1種であり、
    前記添加剤の添加量は、該非水電解液総質量に対して0.1質量部以上、6質量部以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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