JP2013241513A - 透明性赤外線遮蔽膜、透明性赤外線遮蔽塗料及び透明性赤外線遮蔽塗料の製造方法 - Google Patents

透明性赤外線遮蔽膜、透明性赤外線遮蔽塗料及び透明性赤外線遮蔽塗料の製造方法 Download PDF

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憲三 岩尾
Hiroshi Ichikawa
洋 市川
Yasunori Takeda
泰法 武田
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Abstract

【課題】安価に製造可能であるとともに、優れた遮熱効果を発揮可能な透明性赤外線遮蔽膜及び透明性赤外線遮蔽塗料を提供する。
【解決手段】本発明の透明性赤外線遮蔽膜2は、塗膜2aと、塗膜2a中に分散された無数の微粒子2bとを有している。塗膜2aは透明である。各微粒子2bは、中実で球状をなし、粒径が0.25〜70.06μmのフライアッシュからなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、透明性赤外線遮蔽膜と、透明性赤外線遮蔽塗料と、透明性赤外線遮蔽塗料の製造方法とに関する。
従来の赤外線遮蔽膜は、塗膜と、この塗膜中に分散された無数の微粒子とを有している(例えば、特許文献1、2)。各微粒子は、アンチモンドープ酸化スズ等の無機物やポリメチン塩等の有機物からなる赤外線吸収剤が採用されている。この赤外線遮蔽膜を窓ガラス等に貼着可能に構成すれば、赤外線遮蔽フィルムとなる。また、塗布後に塗膜を形成可能なビヒクルと、このビヒクル中に分散された無数の上記微粒子とを有する赤外線遮蔽塗料を製造すれば、この赤外線遮蔽塗料は、窓ガラス等に塗布することにより、赤外線遮蔽膜となる。
これらの赤外線遮蔽膜によれば、赤外線吸収剤が太陽光線のうちの赤外領域の光を吸収し、遮熱効果が得られる。
特開2011−212849号公報 特開2001−19898号公報
しかし、従来の赤外線遮蔽膜や赤外線遮蔽塗料は、無数の微粒子として特殊な赤外線吸収剤を採用しており、製造コストの低廉化が困難である。
また、従来の赤外線遮蔽膜の多くは、赤外線吸収剤が太陽光線のうちの赤外領域の光を吸収する際、太陽光線のうちの可視領域の光も吸収し易く、不透明となり易い。この場合、例えば、車両の窓に赤外線遮蔽膜を貼着したり、赤外線遮蔽塗料を塗布し難い。また、黒色を呈する赤外線遮蔽膜であれば、太陽光線のうちの赤外領域の光によって赤外線遮蔽膜自体が吸熱し、この吸熱によって遮熱効果も大きく損なわれる。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、安価に製造可能であるとともに、優れた遮熱効果を発揮可能な透明性赤外線遮蔽膜及び透明性赤外線遮蔽塗料を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の透明性赤外線遮蔽膜は、塗膜と、該塗膜中に分散された無数の微粒子とを有し、
前記塗膜は透明であり、各前記微粒子は、中実で球状をなし、粒径が0.25〜70.06μmのフライアッシュからなることを特徴とする(請求項1)。
光の進路に障害物があると、波長の短い光は反射し、波長の長い光は透過する。波長が中くらいの光はいろいろな方向に反射する。これを散乱と言う。散乱には種類があり、レイリー散乱、ミー散乱等に分けることができる。レイリー散乱とミー散乱との違いは、光が衝突する物質の大きさ、また衝突した光の波長である。本発明では、光が衝突する物質が微粒子である。
光の波長をλ[μm]、微粒子の粒径をD[μm]、これらに関わるパラメータをαとすると、数1の関係がある。
Figure 2013241513
パラメータα<<1のときに生じる散乱がレイリー散乱であり、パラメータα≒1のときに生じる散乱がミー散乱である。
ミー散乱とは、光の波長以上の大きさの球形の粒子による光の散乱現象である。自然現象では、雲が白く見える一因もミー散乱である。ミー散乱では、入射光強度をI0、垂直方向のミー強度パラメータをi1、水平方向のミー強度パラメータをi2とすれば、散乱強度I(θ)は数2で表わされる。Rは粒子の半径である。
Figure 2013241513
数2より、α=1のときの散乱光の強度パターンは図1のようになる。θは光の進行方向に対する散乱の方向を示す散乱角である。
本発明の透明性赤外線遮蔽膜は、各微粒子が中実で球状をなしている。また、図2に示すように、太陽光線のうちの赤外領域の光は波長λが780nm(=0.78μm)〜220000nm(=220μm)である。このため、ミー散乱を生じる微粒子の粒径D(=2R)は、数1において、α=1であるから、D≒0.25〜70.06μmとなる。
すなわち、赤外領域の光は、粒径が0.25〜70.06μmであり、中実で球状の各微粒子によってミー散乱を生じ、それら微粒子の後方に向かうことができない。つまり、赤外領域の光は本発明の透明性赤外線遮蔽膜によって遮蔽される。このため、この透明性赤外線遮蔽膜によれば、遮熱効果が得られる。
なお、波長λが780〜2500nmの光は近赤外光と言われる。このため、近赤外領域の光は、粒径が0.25〜0.80μmの各微粒子によってミー散乱を生じ、それら微粒子の後方に向かうことができない。つまり、近赤外領域の光は本発明の透明性赤外線遮蔽膜によって遮蔽される。
また、波長λが2500〜220000nmの光は遠赤外光と言われる。遠赤外領域の光は、粒径が0.80〜70.06μmの各微粒子によってミー散乱を生じ、それら微粒子の後方に向かうことができない。つまり、遠赤外領域の光は本発明の透明性赤外線遮蔽膜によって遮蔽される。
一方、赤外領域の光よりも波長の短い波長380〜780nmの可視領域の光は、それらの微粒子ではミー散乱を生じ難く、それら微粒子の後方に向かうことができる。つまり、可視領域の光は本発明の透明性赤外線遮蔽膜を透過する。換言すれば、本発明の透明性赤外線遮蔽膜は透明である。このため、例えば、車両の窓に本発明の透明性赤外線遮蔽膜を貼着したり、透明性赤外線遮蔽塗料を塗布し易い。また、本発明の透明性赤外線遮蔽膜は吸熱し難い。
また、本発明の透明性赤外線遮蔽膜は各微粒子がフライアッシュからなる。フライアッシュ(石炭灰)とは、火力発電所等で石炭を燃焼する際に質量で約1割が灰として燃え残り、ボイラ内に残留し、排煙と一緒にボイラ外に排出されるものである。特に、微粉炭燃焼ボイラの燃焼ガスから集塵機で採取された石炭灰をフライアッシュという。フライアッシュはセメントとして有効利用されている例があるが、それ以外の有効利用は少なく、石炭から精製されたフライアッシュ全てが再利用されるわけではない。残りは専用の灰処分場への埋め立てが行われており、現存の埋め立て場は何年後かには一杯になり、新しい灰処分場を探さなくてはならないという実情がある。本発明は各微粒子をこのフライアッシュからなるものとしているため、製造コストの低廉化を実現できる。
したがって、本発明の透明性赤外線遮蔽膜は、安価に製造可能であるとともに、優れた遮熱効果を発揮可能である。
透明な塗膜としては、透明なビヒクルによって形成される種々のものを採用することができる。本発明の透明性赤外線遮蔽膜を窓ガラス等に貼着可能に構成すれば、透明性赤外線遮蔽フィルムとなる。
上記より、各微粒子の粒径は、ミー散乱により、波長380〜780nmの光を透過し、波長780〜220000nmの光を散乱する大きさである(請求項2)。
本発明の透明性赤外線遮蔽塗料は、塗布後に塗膜を形成可能なビヒクルと、該ビヒクル中に分散された無数の微粒子とを有し、
前記塗膜は透明であり、各前記微粒子は、中実で球状をなし、粒径が0.25〜70.06μmのフライアッシュからなることを特徴とする(請求項3)。
本発明の透明性赤外線遮蔽塗料を窓ガラス等に塗布すれば、本発明の透明性赤外線遮蔽膜が得られる。
ビヒクルとしては、天然ワニスの他、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ塩化三フッ化エチレン等の樹脂と溶剤等との混合物を採用することができる。
本発明の透明性赤外線遮蔽塗料の製造方法は、フライアッシュから、波長380〜780nmの光を透過し、波長780〜220000nmの光を散乱可能な粒径をもち、中実で球状をなす無数の微粒子を分級する分級工程と、
塗布後に透明な塗膜を形成可能なビヒクルに各該微粒子を分散し、透明性赤外線遮蔽塗料を得る塗料化工程とを備えていることを特徴とする(請求項4)。
本発明の製造方法により、本発明の透明性赤外線遮蔽塗料が得られる。
分級工程としては、自然沈降を採用することができる。自然沈降とは、水等の液体中の粒子を重力によって沈降分離させる方法である。自然沈降の基本理論の一つにストークスの式がある。粒子の沈降速度をV[cm/秒]、粒子の半径をr[cm]、粒子の密度をρ[g/cm3]、液体の密度をρw[g/cm3]、重力加速度をg[cm/秒2]、水の粘度をη[g/cm・秒]を用い、ストークスの式を数3に示す。但し、この式は粒子が完全な球形で水が静止しているものとしている。
Figure 2013241513
この数3により、大きい粒子、密度が大きい粒子から早く沈降していき、液面からの距離と経過時間とを考慮すれば、粒子を大きさによって分級することができることがわかる。
また、分級工程として、遠心分離を採用することもできる。塗料化工程では、分級工程で得られた各微粒子が凝集して塊にならないようにすることが好ましい。
本発明の透明性赤外線遮蔽膜及び透明性赤外線遮蔽塗料は、安価に製造可能であるとともに、優れた遮熱効果を発揮可能である。
ミー散乱のときの散乱光の強度パターンを示す模式図である。 太陽光の波長とエネルギー強度との関係を示すグラフである。 実施例の方法を示す工程図である。 実施例の透明性赤外線遮蔽膜を示す断面図である。 地球上のヒートアイランド現象を説明するための模式断面図であり、図(A)は昼間のビル等の壁面等の地表を示し、図(B)は夜間の地表等を示す。 フライアッシュの顕微鏡写真である。 炭酸カルシウムの顕微鏡写真である。 酸化亜鉛の顕微鏡写真である。 実験1に係り、各膜による可視光の透過率を示すグラフである。 実験1に係り、各膜による近赤外光の透過率を示すグラフである。 実験2に係り、各膜による可視光の透過率を示すグラフである。 実験2に係り、各膜による近赤外光の透過率を示すグラフである。 実験3に係り、各膜による可視光の透過率を示すグラフである。 実験3に係り、各膜による近赤外光の透過率を示すグラフである。 粒径1.0〜1.5μmのフライアッシュが付着しているスライドガラスの表面の顕微鏡写真である。
実施例の透明性赤外線遮蔽膜は以下のように製造可能である。まず、図3に示すように、分級工程S1を行う。ここでは、市場にあるフライアッシュから、例えば、粒径1.0〜1.5μmの微粒子を分級する。
そして、塗料化工程S2を行う。ここでは、例えば天然ワニスに分級工程S1で得た各微粒子を分散する。こうして、透明性赤外線遮蔽塗料が得られる。この透明性赤外線遮蔽塗料は、塗布後に塗膜を形成可能な天然ワニスと、天然ワニス中に分散された無数のフライアッシュとを有している。
図4に示すように、得られた透明性赤外線遮蔽塗料を例えば窓ガラス1に塗布し、塗料の揮発分を揮発させれば、透明性赤外線遮蔽膜2が得られる。この透明性赤外線遮蔽膜2は、塗膜2aと、塗膜2a中に分散された無数の微粒子2bとからなる。塗膜2aは透明であり、各微粒子2bは、中実で球状をなし、粒径が1.0〜1.51μmのフライアッシュからなる。この透明性赤外線遮蔽膜2の裏面に窓ガラス等に貼着可能な接着剤を付し、赤外線遮蔽フィルムとすることもできる。
以下、本発明の透明性赤外線遮蔽膜の効果を確認する実験を行った。この透明性赤外線遮蔽膜はヒートアイランド現象の抑制に使用可能であると考えている。
図5に示すように、都市部では、アスファルト舗装やコンクリート造の建築物等、熱容量の多い材料からなる境界面10がビルの壁面等の地表を覆っている。この境界面10に対し、図(A)に示すように、日中、太陽の光が入射光20として入射し、一部は反射光21として反射し、残部は境界面10内に吸収光22として入射される。ヒートアイランド現象とは、吸収光22の熱30が境界面10内に蓄積され、図(B)に示すように、夜間になっても高温を保つ現象である。すなわち、昼に吸収された熱30が夜に放出され、周りの空気を暖めるのである。緑が多い地域に比べ、地表から緑や水を除してしまった都市部の住宅街に顕著に表れる。
微粒子を使用して作製した膜について、可視光及び近赤外光のそれぞれの透過率を測定するため、2種類の分光光度計を使う。波長の測定領域は2つの光度計を合わせて200〜1700nmである。
可視光の分光光度計は、島津製作所製「紫外可視分光光度計(UVmini-1240)」である。
光源:重水素ランプ(20Wハロゲンランプ、光源切り替え波長:295〜364nm、測定波長範囲:190〜1100nm、スペクトルバンド幅5nm)
検出器:シリコンフォトダイオード
近赤外光の分光光度計は、近赤外分光光度計である。
光源:B&WTEK BPS101(波長域:900〜1700nm、材料:ハロゲンタングステンフィラメント)
サンプルホルダー:B&WTEK BCH100A
検出器:B&WTEK SolTM1.7(波長域:900〜1700nm、材料:ガリウムヒ素)
まず、微粒子の候補として、いずれも粉状のフライアッシュ、炭酸カルシウム(CaCO3)の結晶及び酸化亜鉛(ZnO)の結晶を用意する。
用意したフライアッシュは、100μm以下の粒径が90%以上のものである。フライアッシュの組成は表1のとおりである。また、フライアッシュの顕微鏡写真を図6に示す。図6より、フライアッシュは中実で球状であることがわかる。
Figure 2013241513
また、炭酸カルシウムの結晶として、天然の石灰石(CaCO3)にクエン酸を加えて沈殿させ、沈殿物質をすり潰し粉状にしたものを用意した。炭酸カルシウムの結晶の顕微鏡写真を図7に示す。図7より、炭酸カルシウムの結晶は、中実ではあるが、棒状又は板状であることがわかる。
また、酸化亜鉛の結晶として、硝酸亜鉛(Zn(NO32)の水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を水熱合成させ、再結晶して析出させたものを用意した。酸化亜鉛の結晶の顕微鏡写真を図8に示す。図8より、酸化亜鉛の結晶は、中実ではあるが、放射状であることがわかる。
<実験1>
2枚のスライドガラス間にフライアッシュ、炭酸カルシウム又は酸化亜鉛を挟み、そのまま膜にする。スライドガラス2枚をブランクとし、フライアッシュの膜、炭酸カルシウムの膜又は酸化亜鉛の膜について、可視光の200〜900nmの透過率を図9に示し、近赤外光の900〜1700nmの透過率を図10に示す。
図9より、酸化亜鉛の膜は、可視光では、波長400nmで最大の透過率を示し、波長が長くなるにしたがって透過率が低下している。このことから、酸化亜鉛の膜は可視光を反射し、透過率を低下させていると考えられる。しかし、図10より、酸化亜鉛の膜は、近赤外光では、ブランクと同じ波形が見られた。このことから、酸化亜鉛の膜は、近赤外光を反射することはなく、微粒子が影を作ることによって透過率が低下しただけと考えられる。
一方、図9より、フライアッシュの膜は、可視光では、波長が400nmで最大の透過率を示し、酸化亜鉛の膜より透過率が大きく低下している。また、図10より、近赤外光では、三つの膜の中で唯一、フライアッシュの膜は、波長が長くなるにつれて透過率が減少していく。このことから、フライアッシュの膜は、波長が長くなるにつれて散乱強度を強め、透過率を低下させていることがわかる。
図9より、炭酸カルシウムの膜は、可視光では、波長が400nmからはほぼ一定の透過率を示している。図10より、近赤外光では、炭酸カルシウムの膜は、酸化亜鉛の膜と同様、ブランクと同じ波形が見られた。このことから、炭酸カルシウムの膜は、可視光及び近赤外光に対し、影として透過率を下げているだけであり、反射もしていないと考えられる。
<実験2>
水にフライアッシュ、炭酸カルシウム又は酸化亜鉛を入れ、適当な濃さの水溶液をスポイトで抽出し、水溶液をそのまま2枚のスライドガラス間に挟み、膜にする。スライドガラス2枚をブランク1、スライドガラス2枚の間に水があるものをブランク2とし、フライアッシュ入り水溶液の膜、炭酸カルシウム入り水溶液の膜又は酸化亜鉛入り水溶液の膜について、可視光の200〜900nmの透過率を図11に示し、近赤外光の900〜1700nmの透過率を図12に示す。
図11及び図12より、可視光では、どの膜の透過率も、ブランクと比べて変化はなく、波長特性も同様である。また、近赤外光でも、どの膜も透過率に変化は見られない。しかし、全ての膜において、ある波長域で透過率が不自然に振動している。これは、水が赤外光を吸収しやすい特性を持つからであると考えられる。水による水溶液では正確な測定は困難であることがわかる。また、微粒子の量が微量である場合、透過率の影響も微量である。
<実験3>
アセトンにフライアッシュを入れ、自然沈降を利用して粒径が1.0〜1.5μmのフライアッシュを分級した。粒径が1.0〜1.5μmのフライアッシュを含んだ水溶液を摘出し、スライドガラスの上で水を蒸発させ、膜を得た。スライドガラス1枚をブランクとし、粒径が1.0〜1.5μmのフライアッシュの膜について、可視光の200〜900nmの透過率を図13に示し、近赤外光の900〜1700nmの透過率を図14に示す。
また、粒径1.0〜1.5μmのフライアッシュが付着しているスライドガラスの表面の顕微鏡写真を図15に示す。図15からわかるように、理想的な粒径が1.0〜1.5μmのフライアッシュの分級には成功している。
図13より、可視光では、フライアッシュの膜の特性はブランクと変わりがなく、ミー散乱は見られない。一方、図14より、近赤外光では、フライアッシュの膜は透過率がブランクより20%程度低く、ミー散乱が生じていると考えられる。
すなわち、太陽光のうちの赤外光は、粒径が1.0〜1.5μmであり、中実で球状をなすフライアッシュの各微粒子によってミー散乱を生じ、それら微粒子の後方に向かうことができない。一方、太陽光のうちの可視光は、それらの微粒子ではミー散乱を生じ難く、それら微粒子の後方に向かうことができる。
このため、この分級後のフライアッシュの各微粒子を用いて膜を製造すれば、その膜は透明性赤外線遮蔽膜となり、赤外光を遮蔽することができる。このため、この透明性赤外線遮蔽膜は、遮熱効果を発揮することができる。
一方、この透明性赤外線遮蔽膜は、可視光を透過し、透明である。このため、例えば、車両の窓にこの透明性赤外線遮蔽膜を貼着したり、透明性赤外線遮蔽塗料を塗布し易い。また、この透明性赤外線遮蔽膜は吸熱し難い。
また、この透明性赤外線遮蔽膜は各微粒子がフライアッシュからなるため、製造コストの低廉化を実現できる。
したがって、この透明性赤外線遮蔽膜は、安価に製造可能であるとともに、優れた遮熱効果を発揮可能であることがわかる。このため、この透明性赤外線遮蔽膜を車両や住宅等の建造物の窓ガラス等に設ければ、安価でありながら、室内の遮熱効果によって冷房費を抑制することができる。このため、この透明性赤外線遮蔽膜はヒートアイランド現象の抑制も期待できる。
また、この透明性赤外線遮蔽膜をメガソーラに設ければ、安価でありながら、可視光の透過性を維持し、かつ遮熱効果を発揮するため、メガソーラにおける大面積の高温化を防ぎ、太陽電池の発電効率の低下を防止することが期待できる。
以上において、本発明を実験に即して説明したが、本発明は上記実験に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
本発明は、冷房負荷の低減等による省エネルギー技術等に利用可能である。
2…透明性赤外線遮蔽膜
2a…塗膜
2b…微粒子
S1…分級工程
S2…塗料化工程

Claims (4)

  1. 塗膜と、該塗膜中に分散された無数の微粒子とを有し、
    前記塗膜は透明であり、各前記微粒子は、中実で球状をなし、粒径が0.25〜70.06μmのフライアッシュからなることを特徴とする透明性赤外線遮蔽膜。
  2. 各前記微粒子の粒径は、ミー散乱により、波長380〜780nmの光を透過し、波長780〜220000nmの光を散乱する大きさである請求項1記載の透明性赤外線遮蔽膜。
  3. 塗布後に塗膜を形成可能なビヒクルと、該ビヒクル中に分散された無数の微粒子とを有し、
    前記塗膜は透明であり、各前記微粒子は、中実で球状をなし、粒径が0.25〜70.06μmのフライアッシュからなることを特徴とする透明性赤外線遮蔽塗料。
  4. フライアッシュから、波長380〜780nmの光を透過し、波長780〜220000nmの光を散乱可能な粒径をもち、中実で球状をなす無数の微粒子を分級する分級工程と、
    塗布後に透明な塗膜を形成可能なビヒクルに各該微粒子を分散し、透明性赤外線遮蔽塗料を得る塗料化工程とを備えていることを特徴とする透明性赤外線遮蔽塗料の製造方法。
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