JP2013240936A - 耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材 - Google Patents

耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材 Download PDF

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【課題】特殊な鋼材成分を必要とすることがなく、またポリウレタンを上層被覆層とした場合に優れた接着耐久性を発揮することができる、耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材を提供する。
【解決手段】ポリウレタン層の下地層として、鋼材の表面に、粒径が1500nm以下の気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子と、イソシアネート系シランカップリング剤とを構成因子とする表面処理層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタンの被覆を有する鋼材に関し、特にポリウレタン被覆の接着性を高めることによって、防食被覆鋼材としての耐久性の有利な向上を図ろうとするものである。
ポリウレタン系の塗料は、耐侯性に富む優れた塗料であることから、鋼材の防食用途に広く使用されている。しかしながら、鋼材の防食用途に使用した場合には、鋼材の腐食に伴いその防食性が損なわれる(例えば、膨れや剥離などの接着性の低下)という欠点がある。
耐侯性の面からは、膜厚設計により数十年以上の耐久性があることが判っているが、上記した膨れや剥離の発生により、その耐久性が損なわれる。このため、ポリウレタン被覆鋼材を防食用途に使用する場合には、その接着性を高めることが重要となる。
そのため、従来から、様々なアプローチが考えられている。
例えば特許文献1には、鋼材中にCrやSnなどを添加することによって耐食性を改善する方法が提案されている。
また、特許文献2には、Al,P,Mg,O,Hからなる表面処理によってその接着性を改善する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、気相シリカにアミノ系、エポキシ系シランカップリング剤およびMo,W,V,Zrの化合物から成る表面処理を施すことによって、塗料との接着性を改善する方法が提案されている。
特開2010-007108号公報 特開2009-263716号公報 特開2011-056737号公報
ポリウレタン被覆鋼材の塗装耐久性や接着耐久性を向上させることは、鋼材の防食期間を伸ばすことであり、長大な鋼構造物の有機被覆に関わるメインテナンス負荷を減らすと共に、インフラなどの寿命を伸ばすことにつながり、社会的有益性は極めて大きい。
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、特殊な成分を有する鋼が必要となる不利があり、また鋼材の成分からのアプローチも確かに有効ではあるが、傷部などの劣化についてその腐食劣化を抑制することに限定され、傷のない平面部などの劣化については、大きな効果が期待できないという問題があった。
さらに、特許文献2,3に記載された方法はいずれも、上層の有機被覆層の耐久性を向上させるのには有効であるが、特にポリウレタンを上層被覆層とした場合には、耐久性の向上効果が十分とは言えないところに問題を残していた。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、特殊な鋼材成分を必要とすることがなく、またポリウレタンを上層被覆層とした場合に優れた接着耐久性を発揮することができる、耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材を提供することを目的とする。
発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
(1) 鋼材の腐食反応に伴う環境(特にpH)の変化が、有機被覆層の剥離や接着劣化を引き起し、有機被覆層の耐食寿命を低下させること、
(2) この問題に対しては、鋼材表面にシリカ層を形成することが、有機被覆層の剥離や接着劣化に対してより有効であること
を見出した。
しかしながら、シリカ層を効率良く鋼材表面に形成させるには困難を伴い、また技術上の課題も多い。
そこで、発明者等は、シリカ層を鋼材表面に形成させる方法について検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
シリカ層の主たる形成材としては、気相シリカ粒子あるいはコロイダルシリカ粒子が好適である。これらのシリカ粒子の表面には水和に伴うOH基が多数存在し、これはシランカップリング剤との反応が可能であるだけでなく、鋼材表面に形成された水和によるOH基もシランカップリング剤との反応が可能であるからである。
従って、被覆層構成の主材料をシリカとすれば、シランカップリング剤が、シリカ粒子間のカップリングおよび鋼材とシリカ粒子とのカップリングに好適に作用し、鋼材表面にシリカを主成分とする表面処理層を形成することが可能となる。
シランカップリング剤としては、従来、特許文献3に記載されているようなアミノ系またはエポキシ系のシランカップリング剤が用いられてきたが、かかるシランカップリング剤を用いた場合、特にポリウレタンが上層被覆層である場合には、前述したとおり、十分な耐久性の向上効果が得難かった。
そこで、シランカップリング剤についても種々検討を重ねた結果、イソシアネート系、中でも3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランまたは3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを用いた場合に、シラン粒子間だけでなく鋼材や有機樹脂との結合性に優れ、その結果、その上部に被覆される有機樹脂との接着性が大幅に向上することが究明された。
すなわち、イソシアネート基は、ポリウレタン層の構成要素でもあり、容易に反応し、ポリウレタン層の三次元架橋構造に組み込まれる。一方のシラノール基は、鋼材やシリカ表面と反応し、共有結合を形成するので、鋼材,シリカ,ポリウレタン層が緻密な三次元構造を形成する。そのため、鋼材,シリカ,ポリウレタン間が、容易に分解できない構造となり、接着耐久性が向上する。さらに、イソシアネート基は、シリカ表面,鋼材表面に存在する水酸基とも反応する場合があり、シラノール基,イソシアネート基ともに、どちらも緻密な界面構造を形成することに寄与する。また反応後の結合は、シランカップリング剤のシラノール基と鋼材表面のOH基、ポリウレタン中のイソシアネート基とも化学結合を形成し、シランカップリング剤のイソシアネート基も鋼材表面のOH基、ポリウレタン中のポリオールとも同様に化学結合を形成する。このため、界面が従来の水素結合などに見られる酸-塩基反応による結合形成よりもより強固になる特徴を有している。このため、耐水密着性などが格段に向上すると考えられる。
さらに、このようなシリカを主成分とする表面処理層中に、モリブデン、バナジウム、ジルコニウムなどの酸化物または酸素酸塩を含有させると、鋼材の腐食反応が抑制され、有機被覆層の耐久性が一層向上することも知見した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.ポリウレタン層の下地層として、鋼材の表面に、平均粒径が1500nm以下の気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子と、イソシアネート系シランカップリング剤とを構成因子とする表面処理層を有することを特徴とする耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
2.前記イソシアネート系シランカップリング剤が、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランおよび/または3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする前記1に記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
3.前記気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子:100質量部に対して、1〜10質量部のイソシアネート系シランカップリング剤を含有することを特徴とする前記1または2に記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
4.前記表面処理層が、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、タングステンおよびリンの中から選ばれる1種または2種以上の酸化物および/または酸素酸塩を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
本発明に従い得られた被覆鋼材は、従来のポリウレタン被覆鋼材に比較して、皮膜損傷部の腐食の進行速度を極めて低く抑えることができるだけでなく、傷のない部分の寿命についても大幅な改善効果が得られるので、ポリウレタン層防食コストを低く抑制することができる。
従って、本発明の鋼材で構成された有機被覆層を有する鋼構造物は、厳しい腐食環境においても長期にわたって耐久性を有する鋼構造物として使用することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
鋼板上に形成するシリカ層は、気相シリカ粒子あるいはコロイダルシリカ粒子とイソシアネート系シランカップリング剤によって形成されるネットワーク構造が主体になる。これらシリカ粒子は、表面に多くのOH基を有しているため、他の製造方法で作られたシリカに比較して、表面においてシランカップリング剤と反応する確率が高く、本発明の構造に適している。
また、シリカ粒子の表面積は大きい方が同様な理由で有利である。表面積は基本的に粒径に依存しており粒径を小さくすることでより有利になると考えられる。本発明者等は鋭意研究した結果、1500nm以下の平均粒径のシリカを使用することにより耐久性向上に効果があることを確認した。この点、平均粒径が1500nmを超えるとシリカ層に隙間構造が多くでき、表面処理層として欠陥が増加する。平均粒径は1000nm以下とするのがより好ましい。また、最大粒径が1000nm以下の気相シリカ粒子がさらに好ましい。平均粒径は、例えば少量をSEM観察し、その大きさを写真で40点以上採取し、その粒径を測定することにより平均粒径を測定することができる。なお、かようなシリカ粒子の平均粒径の下限は、特に限定されることはないが、1.0nm程度が実際的である。
シランカップリング剤は、各種のものが知られていて、その大半がシラノール基と有機極性基を有するものであるが、有機極性基としては、イソシアネート基が適している。このイソシアネート基は、上層有機層であるポリウレタン系樹脂と反応性に優れていると考えられ、また、シラノール基以外が鋼材表面やシリカ表面と結合を形成することを想定するとイソシアネート系がこれらとの間でもより優れた結合を形成すると考えられる。イソシアネート系シランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランや、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等があげられ、これらは、以下に詳述するとおり、シラン粒子間だけでなく鋼材や有機樹脂との結合性に優れるので、とりわけ好ましい。
すなわち、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランや3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランは、いずれもシラノール基を複数有していて、シリカ粒子間、シリカ粒子−鋼材間およびシリカ粒子−有機樹脂間に架橋構造が形成されるので、シリカ粒子の鋼面上での固定、シリカ粒子間での固定およびシリカ粒子と有機樹脂層との間での固定の効果が期待できる。
以上により、酸、アルカリに強い層が形成されるが、ここに鋼表面を不働態化させるあるいはインヒビターとして作用する、バナジウムやモリブデン、ジルコニウム、タングステン、リン等の酸化物または酸素酸塩が加わると、より効果的な表面処理層が形成される。これらの化合物としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、ジルコニウム酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、3酸化モリブデン、3酸化バナジウム、5酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムおよびトリポリリン酸アルミニウムなどが好適である。
有機被覆層下では、主に有機被覆層下の界面を破壊する作用として、有機被覆層を透過する酸素および水などが引き起こす腐食反応の結果生成するアルカリや酸による界面の破壊が挙げられる。シリカで形成される表面処理層は、リン酸やクロメート処理層とは異なり、基本的に酸、アルカリに不溶性であるので、これらに強いことに加えて、上記無機物が表面処理層に加わることで、原因となる腐食反応も根本から抑制することができ、より効果的である。
これらの表面処理層は、以下の方法で鋼板上に形成することができる。
まず、平均粒径が1500nm以下のシリカ粒子と、イソシアネート系シランカップリング剤と、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、タングステンおよびリンの中から選ばれる1種または2種以上の酸化物および/または酸素酸塩と、水とを含む表面処理組成物を用意する。
気相シリカ粒子またはコロイダルシリカ粒子あるいはその混合物の溶媒分散液(溶媒は、エタノール、メタノール等の有機溶媒、または水でも良い)に、イソシアネート系シランカップリング剤、さらに必要に応じてモリブデン、バナジウム、ジルコニウムおよびリンの酸化物、酸素酸塩のいずれかを溶解あるいは分散した溶液を作る。この際、溶液中には、イソシアネート系シランカップリング剤の安定性をコントロールするための酸などを添加しても良い。溶媒を水としたのは、処理時における環境上の問題が挙げられる。有機溶媒でも本処理は可能であるが、処理時に蒸発させて溶媒を取り除くので、有機溶媒では有害物質の発生が懸念され、VOC(Volatile organic compound)が高くなるおそれが生じる。
この表面処理組成物を、鋼材面に塗布後、溶媒を好ましくは加熱により蒸発させることにより、下地被膜を形成する。なお、この加熱処理は80〜200℃で行うことが好適である。
本発明において、水を溶媒とした場合、配合する気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子の濃度は、以下の式に示すように溶媒とシリカ粒子の質量の合計を100質量%として1〜50質量%程度とすることが好ましい。
シリカ粒子濃度(質量%)=シリカ粒子質量/(溶媒(水など)質量+シリカ粒子質量)×100
かかるシリカ粒子の濃度が1.0質量%に満たないと塗装の耐久性を向上させるなどの効果が低下する傾向にあり、一方50質量%を超えると適正な架橋構造が得られにくくなるからである。
また、上記したイソシアネート系シランカップリング剤の配合量は、シリカ粒子:100質量部に対して、1〜10質量部とすることが好ましい。イソシアネート系シランカップリング剤の配合量が1質量部に満たないとその添加効果に乏しく、一方10質量部を超えるとシランカップリング剤の自己縮合反応が大きくなり、界面構造が形成されにくくなったり、処理剤がゲル化して塗布が困難になるからである。
さらに、上記した酸化物および/または酸素酸塩を配合する場合、その配合量は、シリカ粒子:100質量部に対して、10〜50質量部とすることが好ましい。これら酸化物や酸素酸塩の配合量が10質量部に満たないと鋼材表面の不動態化などの効果がなく、一方50質量部を超えると溶解成分などが溶出し、耐食性に悪影響を与えるからである。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
1.供試鋼板の作製
鋼材は、普通鋼(SS400)を使用した。サイズは、100mmL×50mmW×6mmtとして鋼材は黒皮をブラスト処理で取り除いたものを使用した。
表面に塗布する処理剤は、次の手順で作成した。イオン交換水中に、種々の平均粒径になる気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子を添加し、撹拌して分散させた。この分散液に、表1に示す配合になる各種のシランカップリング剤(イソシアネート系の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、また比較として、イソシアネート系ではないシランカップリング剤の3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン)と、必要に応じて種々の無機物質(バナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム 、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、5酸化バナジウム、3酸化モリブデン、いずれも試薬純度:99.9質量%のものを使用)を混合した。
無機物質は、粉体が主であるがこれを乳鉢ですりつぶし、概ね粒径が1μm以下(すりつぶしたものをSEMで観察し、その大きさを測定した)の粉体状にしたものを、上記水分散液に所定量投入し、撹拌機により共撹拌した。投入無機物質は、水溶液中で溶解するものもあれば、溶解度が低いものもあるので、沈殿しないような分散液とし、沈殿が起きる前に溶液を取り分け塗布に供した。撹拌を継続しながらこの分散液を鋼材表面に流しかけ斜め45°に保持することにより分散液の溶液膜を一定とした。
ついで、約1分ほど静置し、140℃に保持した電気炉中で鋼材温度が100℃に達するまで加熱し、溶媒を蒸発させることにより表面処理層を形成した。
その後、この表面処理層の表面に、ポリウレタン塗料(パーマガード330プライマー 第一工業製薬製)を40μm厚スプレー塗布し、さらにポリウレタン塗料(パーマガード137 第一工業製薬製)を1mmの厚みにスプレー塗装し1週間養生した有機被覆鋼材を作成した。
また、表面処理層のない比較例として、無処理、ブラスト後の超音波洗浄処理のみ、市販のリン酸亜鉛処理(日本パーカライジング製:パルボンド)および市販のクロメート処理(関西ペイント製:コスマー100)を施した試験材も作製した。
2.耐食性の調査
鋼材の耐食性の調査については、上記の表面処理層を被覆した鋼材の裏面および端面をシールテープにより腐食しないようマスキングを行った後、この試験材の表面に鋼板面に達するクロスカットを鋸刃により30mm×30mmの大きさで形成した。その後、複合サイクル試験機により、4時間乾燥(50℃,30%RH以下)、2時間塩水噴霧(35℃,5%NaCl溶液)、2時間湿潤(60℃,98%RH以上)を1サイクルとする複合腐食試験を300サイクル実施した。
上記の腐食試験終了後、試験材を回収して、クロスカット周囲の膨れおよび剥離部分を強制的に剥離し、そのクロスカット部からの膨れ(剥離)幅を測定した。
本発明に従い表面処理を付与した発明例はいずれも、耐食性の向上が認められた。塗装材料の耐食性の評価として、クロスカット部の膨れ(剥離)幅を代表値として示している。クロスカット部からは、塗装端面が直接環境に曝される。この部分で物質輸送が行われ、塗装下で腐食反応が発生することになる。この腐食反応の直接的な結果あるいは腐食生成物により、膨れや剥離が発生する。膨れ、剥離幅の大小は塗装下で起きる腐食反応の大小に依存していると考えられる。これは即ち、表面処理層による腐食抑制効果と直接相関があるものと考えられる。従って膨れ(剥離)長さの大小によって、表面処理層の優劣を決定することができると考えられる。
そして、この膨れ(剥離)長さが、5.0mm以下であれば耐食性に優れていると言える。
さらに、傷部以外の耐久性を調査するために、試験材を温度勾配試験に供した。この温度勾配試験は、両側に温度の異なる純水を配置し、その中間に試験材を治具で固定し、被覆層側、鋼材側それぞれの面が30mmφだけ各純水に接触するようにした。被覆側の温度を50±1℃、鋼材側を30℃の一定値とした。この状態で42日間試験を継続し、ポリウレタン被覆層に発生する膨れ面積率と接着強度を測定した。
膨れ面積率は、30mmφの領域を写真に取り、膨れ部分を目視で塗りつぶすことにより画像解析から求めた。そして、この膨れ面積率が、3.0%以下であれば耐食性に優れていると言える。
また、接着強度は、プル−オフ法による垂直引張強度とした。そして、この垂直引張強度が3.5MPa以上であれば接着耐久性に優れていると言える。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2013240936
Figure 2013240936
表2に示したとおり、発明例は、表面処理層を有さない比較例、および代表的な鉄用のリン酸塩やクロメートで処理を施した表面処理鋼材に比較して、クロスカット部からの膨れ(剥離)長さが低減し、膨れ面積率および接着強度も大幅に改善されている。

Claims (4)

  1. ポリウレタン層の下地層として、鋼材の表面に、平均粒径が1500nm以下の気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子と、イソシアネート系シランカップリング剤とを構成因子とする表面処理層を有することを特徴とする耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
  2. 前記イソシアネート系シランカップリング剤が、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランおよび/または3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1に記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
  3. 前記気相シリカ粒子および/またはコロイダルシリカ粒子:100質量部に対して、1〜10質量部のイソシアネート系シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
  4. 前記表面処理層が、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、タングステンおよびリンの中から選ばれる1種または2種以上の酸化物および/または酸素酸塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐久性に優れたポリウレタン被覆鋼材。
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