JP2013235121A - 実火災訓練装置の安全システム - Google Patents

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Abstract

【課題】第1に、訓練中に非常事態が発生した場合、安全システムにより訓練対象者の安全が確保され、もって安全性が向上すると共に、第2に、訓練装置自体の燃損,損傷事故も防止され、第3に、しかもこれが簡単容易に実現される、実火災訓練装置の安全システムを提案する。
【解決手段】安全システム25は、濃煙と熱気を体感しつつ消火防災訓練を実施する実火災訓練装置1において、緊急時の脱出用等の非常事態に備えるものである。実火災訓練装置1の本体部2は、訓練対象者の訓練ブースとなる大型ケーシング状をなし、濃煙と熱気を発生させる燃焼発煙コーナーが設けられている。安全システム25は、この本体部2に付設され、壁面に設けられた開口部26と、閉鎖体27とを有している。閉鎖体27は、常時は開口部26を閉鎖すると共に、緊急時には開口部26を開放可能となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、実火災訓練装置の安全システムに関する。すなわち、実際の火災現場に近い状況下で消火防災訓練を実施する実火災訓練装置において、緊急脱出用その他、訓練中に生じた非常事態に備える安全システムに関する。
《技術的背景》
消防関係者等の訓練対象者に、実際の火災現場に準じた臨場感を体感させ、もって消火技術向上や防災技術向上に資することを目的とした、体験型の実火災訓練装置が、各種開発,使用されている。
訓練対象者は、この実火災訓練装置により、火災時に近い状況下で濃煙や熱を体感しつつ、例えば、煙の挙動とポジショニングの関係を確認したり、火元からの距離と熱の関係を認識したり、その他の動作判断等を行うシミュレーション訓練が可能となる。
《従来技術》
本発明の出願人や発明者も、このような実火災訓練装置の研究,開発,実用化を進めており、その一環として、特願2009−183110(特開2011−34024)を特許出願し、特許第4917131号として特許化された。
この特許に係る実火災訓練装置は、下記の特許文献1にも示されたように本体部を備えており、この本体部は、内部が訓練対象者の訓練ブースとなる大型ケーシング状,直線長手状をなし、濃煙と熱気を発生させる燃焼発煙コーナーが設けられている。
そして、外気取入口からのエアーが、本体部の内部空間下部を低温域の可視ゾーンを形成しつつ燃焼発煙コーナーへと流れると共に、燃焼発煙コーナーで発生したエアーが、本体部の内部空間上部を高温域の濃煙ゾーンを形成しつつ流れ、もって、上下2層流が形成される。訓練対象者は、このような本体部内で濃煙と熱気を体感でき、対応したシミュレーション訓練を行えるようになっている。
なお、この実火災訓練装置は、このような本体部と共に排煙処理装置を備えており、排煙処理装置は本体部の上位に配設され、本体部から濃煙が排煙となって導入され、もって燃焼により無煙無害化して大気放出する。
特許第4917131号公報
《この実火災訓練装置について》
この特許に係る実火災訓練装置は、この種従来例に係る他の実火災訓練装置に比べ、火災現場の臨場感を十分体感でき、より効果的な消火,防災シミュレーション訓練が実現でき、しかもコスト面に優れて実現される等、優れた作用効果を発揮する。
《課題について》
この実火災訓練装置では、このように常時は問題なく、本体部内で訓練が実施される。しかしながら、何らかの原因により訓練中に、燃焼発煙コーナーの炎が過剰に強くなって広がったり、濃煙が過剰に多くなって広がり濃煙ゾーンが予定より下がったり、熱気が過剰に高温となる、等々の事態発生も可能性としては予測される。
このような不測の事態がもしも発生した場合、本体部内で訓練中の訓練対象者は、事故防止のため訓練を即刻中止して、本体部外へと緊急脱出することが必要となる。すなわち、訓練中に発生した非常事態に伴い、危険回避のため、燃焼発煙コーナーとは反対側にある出入扉へと、まずは本体部内を移動し、出入扉を開放してから、外部へと緊急脱出することを要する。
又、このような過剰な炎や熱気等に伴い、上述した人的危険のみならず、実火災訓練装置自体の焼損,損傷事故発生も考えられる。
そこで、実火災訓練装置について、訓練中に生じた非常事態に備えるシステムを構築しておくことは、安全上等の観点から大きな意義が存する。例えばよりスムーズに、よりスピーディーに即刻緊急脱出可能なシステムを構築できれば、安全性がより向上するようになる。
《本発明について》
本発明の実火災訓練装置の安全システムは、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべく成されたものである。
そして本発明は、第1に、訓練時の安全性が向上し、第2に、焼損事故等も防止され、第3に、しかもこれらが簡単容易に実現される、実火災訓練装置の安全システムを提案することを、目的とする。
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
まず、請求項1については、次のとおり。
請求項1の実火災訓練装置の安全システムは、実際の火災現場に近い状況下で濃煙と熱気を体感しつつ、消火防災訓練を実施可能な実火災訓練装置において、緊急時の脱出用その他、訓練中に生じた非常事態に備える安全システムに関する。
そして該実火災訓練装置は、少なくとも本体部を有している。該本体部は、内部が訓練対象者の訓練ブースとなる大型ケーシング状をなすと共に、濃煙と熱気を発生させる燃焼発煙コーナーが設けられている。
該安全システムは、該実火災訓練装置の本体部に付設されており、該本体部の壁面に設けられた開口部とその閉鎖体とを、少なくとも有してなる。該閉鎖体は、常時は該開口部を閉鎖すると共に、緊急時に該開口部を開放可能となっていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項1において、該実火災訓練装置の本体部は一階を備えており、該一階は、直線長手状をなすと共に、長手方向奥側内部に可燃物を燃焼させる該燃焼発煙コーナーが配設され、長手方向反対側に出入扉および外気取入口が配設されている。
そして該一階では、該外気取入口からのエアーが、内部空間下部について低温域の可視ゾーンを形成しつつ該燃焼発煙コーナーへと流れると共に、該燃焼発煙コーナーで発生した濃煙を含有し熱気を帯びたエアーが、内部空間上部について高温域の濃煙ゾーンを形成しつつ流れる。もって、上下2層流が形成されること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項2において、該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階の側壁面に設けられている。そして該開口部は、緊急時に開放されて訓練対象者の脱出用に使用され、該閉鎖体は、ドアよりなること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。
請求項4の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項3において、該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階の燃焼発煙コーナーの壁面にも設けられている。
そして該閉鎖体は、常時は、該開口部を閉鎖すると共に、緊急時には、該開口部を開放可能となっており、該開口部は、緊急時に開放されて、該燃焼発煙コーナーで発生した炎と濃煙と熱気を帯びたエアーを、外部へと逃がすために使用されること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。
請求項5の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項3において、該安全システムとして、更に、該一階の燃焼発煙コーナー付近に遮断体が設けられている。
そして該遮断体は、常時は、該一階の内部空間間を開放する退避位置にあると共に、緊急時には、該燃焼発煙コーナーと他の内部空間とを区画可能な遮断位置をとること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。
請求項6の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項2において、該実火災訓練装置の本体部は、上下多層階構造よりなり、各階間に濃煙の通気口と、階段や梯子よりなる内部昇降手段とが、設けられている。
そして、該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階より上の上階の側壁面にも設けられると共に、該上階の側壁面外側に、外ステージが添設されている。該外ステージは、該開口部から脱出した訓練対象者の避難路として使用され、地上との間に昇降手段が付設されていること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。
請求項7の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項3,4又は6おいて、該安全システムの閉鎖体には、開放力助成手段が付設されている。そして該開放力助成手段は、該閉鎖体の緊急開放に際し開放力を付加し、もって人力による開放力を軽減すべく機能すること、を特徴とする。
請求項8については、次のとおり。
請求項8の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項3,4又は6において、該安全システムの開口部の周壁と該閉鎖体の周壁とは、内外の嵌め合い構造よりなり、緊急開放時以外の常時は、密に嵌め合わされていること、を特徴とする。
請求項9については、次のとおり。
請求項9の実火災訓練装置の安全システムでは、請求項2において、該実火災訓練装置は、該本体部と共に排煙処理装置を有している。そして該排煙処理装置は、該本体部の上位に配設され、濃煙を該本体部から吸気して燃焼せしめ、もって、無煙無害化して大気放出すること、を特徴とする。
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)実火災訓練装置では、訓練実施に際し、まず燃焼発煙コーナーの可燃物が着火される。
(2)これと共に本体部の一階では、上部高温域の濃煙ゾーンと下部低温域の可視ゾーンとが形成され、上下2層流が形成される。上下多層階構造の場合は、二階以上の上階で、少なくとも濃煙ゾーンが形成される。
(3)濃煙ゾーンの濃煙や熱気は事後、排煙処理装置に導かれ、完全燃焼されて大気放出される。
(4)そして、一階や二階等の本体部内では、訓練対象者の消火防災訓練が行われる。
(5)このような訓練中において、何らかの原因により炎,濃煙,熱気等が過剰となり、もって非常事態が発生した場合は、次のとおり。
(6)まず訓練対象者は、本体部の側壁面に設けられた安全システムの開口部を、開放操作することにより、外部に緊急脱出することができる。
(7)これと共に、燃焼発煙コーナーの壁面に設けられた安全システムの開口部を、開放操作することにより、炎,濃煙,熱気等を外部に逃がすこともできる。
(8)更に、安全システムの遮断体にて、燃焼発煙コーナーを遮断操作することにより、炎,濃煙,熱気等を遮断することもできる。
(9)これらにより、本体部が炎,濃煙,熱気等に晒されて、焼損,損傷することも防止される。
(10)この安全システムは、構成が簡単であると共に、操作も容易である。
(11)そこで、本発明の実火災訓練装置の安全システムは、次の効果を発揮する。
《第1の効果》
第1に、訓練時の安全性が向上する。この実火災訓練装置では、訓練中にもしも非常事態が発生した場合、安全システムにより訓練対象者の安全が確保される。
すなわち、訓練中の訓練対象者は、まず、側壁面に設けられた開口部から、閉鎖体を開放操作することにより、本体部外へ緊急脱出することができる。
これと共に、燃焼発煙コーナーの壁面に設けられた開口部の閉鎖体を、開放操作することにより、炎,濃煙,熱気等を外部に逃がしたり、遮断体を遮断位置とする操作により、燃焼発煙コーナーからの炎,濃煙,熱気等を、遮断することもできる。
このように、各安全システムとその組み合わせにより、一刻を争う緊急時において、訓練対象者は直ちに緊急脱出可能となり、事故の危険が回避され安全性が向上する。
《第2の効果》
第2に、焼損事故等も防止される。この実火災訓練装置では、訓練中にもしも非常事態が発生した場合、訓練装置自体の焼損事故,損傷事故も防止される。
すなわち、燃焼発煙コーナーの壁面の開口部を開放したり、遮断体を遮断位置とする安全システムにより、実火災訓練装置の本体部内が炎,濃煙,熱気等に晒され、もって焼損したり損傷してしまう事故も、未然に防止される。
《第3の効果》
第3に、しかもこれらは、簡単容易に実現される。この実火災訓練装置の安全システムは、本体部の壁面に閉鎖体付の開口部を設けたり、燃焼発煙コーナー付近に遮断体を設けた構成よりなり、構成が簡単であり、製造コスト面等にも優れている。
そして、緊急時の操作も、閉鎖体を開放することにより行われ、容易であり、緊急時における操作に適している。又、閉鎖体に開放力助成手段を付設しておくことにより、一段と開放操作が容易化され、この面からも緊急時における操作に適している。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
本発明に係る実火災訓練装置の安全システムについて、発明を実施するための形態の説明に供し、一階の側壁面に設けられた開口部と閉鎖体を示し、概略斜視図である。そして、(1)図はその第1例を、(2)図は第2例を、(3)図は第3例を、(4)図は第4例を示す。 同発明を実施するための形態の説明に供し、一階の燃焼発煙コーナーの壁面に設けられた開口部と閉鎖体を示し、概略斜視図である。そして、(1)図はその第1例を、(2)図は第2例を示す。 同発明を実施するための形態の説明に供し、一階の燃焼発煙コーナー付近に設けられた遮断体を示し、概略斜視図である。そして、(1)図はその第1例を、(2)図は第2例を、(3)図は第3例を、(4)図は、退避位置の第4例を、(5)図は、遮断位置の第4例を示す。 同発明を実施するための形態の説明に供し、概略斜視図である。そして(1)図は、二階の側壁面に設けられた開口部と閉鎖体および外ステージを示す。(2)図は、開口部と閉鎖体との内外の嵌め合い構造を示す。(3)図は、一階の燃焼発煙コーナーの天井壁面上の消火液タンクを示す。 実火災訓練装置の説明に供し、本体部が平屋建ての例について、本体部内を断面して示した正面説明図である。 実火災訓練装置の説明に供し、本体部が平屋建ての例について、本体部内を透視した斜視説明図である。 実火災訓練装置の説明に供し、本体部が二階建ての例について、本体部内を透視した斜視説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《実火災訓練装置1の概要》
本発明は、実火災訓練装置1の安全システムに関する。そこでまず、前提となる実火災訓練装置1について、図5〜図7を参照して説明する。
実火災訓練装置1は、実際の火災現場に近い状況下で濃煙Sと熱気Hを体感しつつ、消火,防災のシミュレーション訓練を実施可能となっており、図示例では、本体部2と排煙処理装置3を備えている。
そして本体部2は、内部が訓練対象者Tの訓練ブースとなる大型ケーシング状をなすと共に、図5,図6に示した例では、平屋建構造よりなり一階4のみからなっている。これに対し図7に示した例は、上下多層階構造よりなり各階を備えており、代表的には図示したように、二階建構造よりなり、最下階の一階4と最上階の二階5とを備えている。
本体部2の一階4更には二階5等の各階は、それぞれ、訓練対象者Tの訓練ブースとなる大型ケーシング状をなす。形状的には、直線長手状の箱体よりなり、長目の直方体よりなる例が代表的であり、床面,天井面,両側面,前後面(正面と奥面)等の壁面を、備えている。
そして密閉された内部で、例えば数人から十数人の訓練対象者T、多い時には数十人の訓練対象者Tを対象として、訓練が実施される。
本体部2の一階4や二階5等は、例えば金属製のコンテナよりなるが、コンクリート基礎上に鉄筋コンクリート製の柱や梁、そして金属製の面板が組み付けられた構造も考えられる。コンテナとしては、例えば8×40フィートコンテナが使用され、幅2.4m,高さ2.6m,長さ12.2m程度よりなる。
実火災訓練装置1の概要については、以上のとおり。
《本体部2の一階4について》
次に、このような実火災訓練装置1の本体部2の一階4について、図5〜図7を参照して更に詳述する。
一階4には、燃焼発煙コーナー6,出入扉7,外気取入口8等、が設けられている。すなわち、一階4の長手方向奥側内には、可燃物Bを燃焼させて濃煙Sと熱気Hを発生させる燃焼発煙コーナー6が、配設されている。長手方向反対側つまり正面には、訓練対象者Tの進入口や退出口となる出入扉7が配設されており、その下部に外気取入口8が設けられている。
更に、図5,図6の平屋建構造の例では、一階4の長手方向反対側,正面側の天井面に、濃煙Sや熱気Hの排煙処理装置3への通気口9が配設されている。図7に示した二階建構造等の多層階構造の例では、一階4の長手方向反対側,正面側の天井面に、濃煙Sや熱気Hの二階5への通気口9が配設され、更に、階段10や梯子等の二階5への昇降手段も設けられている。
燃焼発煙コーナー6は、下部に薪受台11を備えており、薪受台11上で可燃物Bを炎Fを伴いつつ燃焼させて、濃煙Sと熱気Hを発生させる。可燃物Bとしては、実際の住居火災を模して木質パレット,廃材,合板,間伐材、等々が使用される。
さて、本体部2の一階4では、上下2層流が必須的に形成される。一階4の内部空間下部では、外気取入口8からのエアーAが、可視ゾーンAZを形成して燃焼発煙コーナー6へと流れる。内部空間上部では、燃焼発煙コーナー6からの濃煙Sと熱気Hを帯びたエアーA’が、濃煙ゾーンSZを形成して通気口9へと流れる。
すなわち、下部の外気取入口8から吸気されたフレッシュなエアーAが、温度が低いことも加わり、→そのまま内部空間下部を、床面に沿って正面側から奥面側の燃焼発煙コーナー6へ向けて流れ、→もって、視界が確保された低温域の可視ゾーンAZを形成する。
→燃焼発煙コーナー6では、このように可視ゾーンAZを流れてきたエアーAにて、可燃物Bが炎Fを伴って燃焼され、濃煙Sと熱気Hが発生する。→そして、濃煙Sを含有し熱気Hを帯びたエアーA’は、→温度が高いので、内部空間上部を、天井面に沿って奥側から正面側の通気口9へ向けて流れ、→もって高温域の濃煙ゾーンSZを形成する。
本体部2の一階4については、以上のとおり。
《本体部2の二階5等について》
次に、図7を参照して、二階建構造等の上下多層階構造に関し、その本体部2の二階5等の上階について、説明する。
まず、二階5等の内部空間については、濃煙ゾーンSZが形成される。図示例では、一階4との間の通気口9を介し、→一階4の濃煙ゾーンSZから、濃煙Sを含有し熱気Hを帯びたエアーA’が導入され、→長手方向反対側の天井面に形成された通気口9’に向けて流れ、→もって、二階5の内部空間について、濃煙ゾーンSZの流れが形成される。
なお通気口9’は、二階建の図示例では排煙処理装置3へと連通されており、エアーA’を導出するが、三階建以上の場合は、上階へのエアーA’の導出口となる。又、外気取入口を通気口9’下付近の奥面側に設けた場合は、二階5の内部空間についても2層流が形成される。
図示例によらず三階以上の上階が存する場合も、濃煙ゾーンSZのみの流れか、又は、濃煙ゾーンSZと可視ゾーンAZとの上下2層流が形成される。
ところで、二階5等の上階の内部空間については、例えばパーティション13が設けられ、区画された各所にダミー人形や什器備品家具等が置かれており、訓練シチュエーションを作り出している。
又図示例では、二階5の出入扉12の外側に、メンテナンススぺース14が設けられており、地上との間に階段15や梯子等の昇降手段が付設されている。図中16は柱であり、17は梁である。図示例によらず三階以上の上階が存する場合も、これらに準じる。
更に図示例では、一階4や二階5の出入扉7,12の外側に、導出手段18付きの前室19が設けられており、出入扉7,12から漏洩した濃煙Sを一旦収容する。導出手段18は、収容された濃煙Sを吸気して、一階4から二階5や、二階5から排煙処理装置3へと、導出する。
本体部2の二階5等については、以上のとおり。
《排煙処理装置3について》
次に、図5,図7を参照して、実火災訓練装置1の排煙処理装置3について説明する。
排煙処理装置3は、本体部2の上位に配設されており、濃煙Sを本体部2から吸気して燃焼せしめ、無煙無害化して煙突20から大気放出する。
そこで排煙処理装置3は、排煙導入手段21とバーナー22と煙燃焼エリア23を備えており、排煙導入手段21は、本体部2内の濃煙Sを吸気,導入させ、バーナー22は、導入された濃煙Sを昇温させ、煙燃焼エリア23では、濃煙Sが燃焼される。
すなわち、排煙処理装置3は直線円筒状をなし、基端部が本体部2の通気口9,9’に接続されており、本体部2の濃煙ゾーンSZから濃煙Sつまり排煙を含むエアーA’が、導入され、もって排煙処理装置3内を煙道として流れる。バーナー22は基端部に配設されており、補助燃料と空気を噴射して燃焼させ、もって導入されたエアーA’を800℃以上に昇温させる。
煙燃焼エリア23は、流れるエアーA’中の濃煙Sの煤じんを、800℃以上で完全燃焼せしめる。もって、完全燃焼に必要な滞留時間を確保するに足る長さ寸法に、エアーA’の流速を勘案しつつ設定されている。煙燃焼エリア23の煙道には、エジェクターやブロワ等のエアー供給手段24が外設されており、濃煙S燃焼用の空気を導入する。
そして煙燃焼エリア23には、エジェクターやブロワ等の排煙導入手段21が、外設されている。排煙導入手段21は、直接的機能としては、本体部2の通気口9,9’からエアーA’を吸引するが、これに止まらず、外気取入口8から本体部2内へ、外気エアーAを吸気させるべく機能する。
排煙処理装置3は、このようになっている。
《安全システム25の概要について》
以下、本発明に係る実火災訓練装置1の安全システム25について、図1〜図4を参照して説明する。
この安全システム25は、上述したように、実際の火災現場に近い状況下で濃煙Sと熱気Hを体感しつつ消火防災訓練を実施可能な実火災訓練装置1において、緊急時の脱出用、その他の訓練中に生じた非常事態に備えるものである。
そして安全システム25は、実火災訓練装置1の本体部2に、付設されている。そして、本体部2の壁面に設けられた開口部26とその閉鎖体27とを、少なくとも有しており、閉鎖体27は、常時は開口部26を閉鎖すると共に、緊急時に開口部26を開放可能となっている。
更に安全システム25は、このような開口部26や閉鎖体27と共に、燃焼発煙コーナー6の遮断体28も採用されている。
安全システム25の概要については、以上のとおり。以下、このような安全システム25について、詳述する。
《一階4の側壁面29の開口部26と閉鎖体27について》
まず図1を参照して、安全システム25として、実火災訓練装置1の本体部2の一階4の側壁面29に設けられる、開口部26と閉鎖体27について説明する。
この安全システム25の開口部26は、緊急時に開放されて、訓練対象者Tの脱出用に使用され、訓練対象者Tを濃煙S,熱気H,更には炎F等から避難させる。
閉鎖体27は、開口部26に見合った大きさのドアよりなり、常時は、開口部26を閉鎖する閉鎖位置Cをとると共に、緊急時は、開口部26を開放する開放位置Dをとる。
このような開口部26と閉鎖体27について、更に詳述する。まず、図1の(1)図は、閉鎖体27が、横開き式の例を示し、(2)図は、閉鎖体27が、縦の下開き,跳ね降ろし式の例を示す。(3)図は、閉鎖体27が、縦の上開き,跳ね上げ式の例を示し、(4)図は、閉鎖体27が、左右引戸式の例を示す。このように、開口部26と閉鎖体27との組合わせについては、各種のタイプが可能である。
図1の(1)図,(2)図,(3)図中、31はヒンジであり、閉鎖体27を開口部26の端縁に回動可能に結合する。(4)図中、32はローラーであり、転動により閉鎖体27を左右に移動可能とする。
このような閉鎖体27付の開口部26の位置については、次の通り。この開口部26は、直線長手状をなす一階4について、中央部付近の側壁面29に形成されるが、奥側つまり燃焼発煙コーナー6寄りの側壁面29に形成することも考えられる。正面寄りについては、出入扉7の存在に鑑み形成ニーズに乏しい。
開口部26の寸法等については、次のとおり。開口部26の縦寸法や横寸法は、訓練対象者T1名が脱出可能な設定よりなる。開口部26の下辺つまり下端縁の高さレベルは、一階4の床壁面30の高さレベルにほぼ揃えられ、もって緊急脱出の便に供する。
これに対し、開口部26の上辺つまり上端縁の高さレベルは、一階4の内部空間に形成される濃煙ゾーンSZと可視ゾーンAZとの、上下2層流の境目付近とするのがよい。なお、濃煙ゾーンSZと可視ゾーンAZとは、内部空間についてほぼ上下半々ずつ形成されることが多いが、一方がより厚く他方がより薄く形成されることも多々ある。
境目付近とする理由については、次のとおり。境目付近とすることにより、まず、緊急脱出の便に供することができる。
すなわち、低温域で視界が確保された可視ゾーンAZに、開口部26の上下高さレベルを合わせておくことにより、濃煙Sと熱気Hを帯びた濃煙ゾーンSZからの脱出が容易化する。訓練対象者Tは姿勢を低くし、濃煙ゾーンSZに巻き込まれることなく、可視ゾーンAZから外へと脱出することができる。
これと共に、このように開口部26の上下高さレベル、特に上位高さレベルを規制しておくことにより、開放時に開口部26から大量の空気が内部空間に流入してしまうことが、抑制される。
すなわち、上位高さレベルが高過ぎ開口部26が広過ぎると、開口部26の開放時に大量の空気が流入してしまい、燃焼発煙コーナー6の炎Fの勢が急激に強くなったり、フラッシュオーバー現象発生の虞があるが、これらは抑制される。
そこで例えば、一階4の内部空間の高さを2.5mとすると、開口部26は、2層流の境目の高さレベルつまり可視ゾーンAZの高さレベルに合わせ、例えば高さ1.3m程度にて形成される。
一階4の側壁面29の開口部26と閉鎖体27については、以上のとおり。
《二階5等の側壁面29の開口部26と閉鎖体27について》
次に、図4の(1)図を参照して、安全システム25として、実火災訓練装置1の本体部2の二階5等の上階に関し、その側壁面29に設けられる開口部26と閉鎖体27について、説明する。
この安全システム25の開口部26と閉鎖体27は、一階4より上の上階の側壁面29にも設けられる。図示例では、二階5の側壁面29に設けられている。この二階5等の開口部26と閉鎖体27の構成や機能等については、一階4のものについて前述した所に準じるので、同符号を付し、その説明は省略する。
そして、このように閉鎖体27付の開口部26が設けられた、二階5等の上階の側壁面29外側には、外ステージ33が添設されている。この外ステージ33は、開口部26を介し脱出した訓練対象者Tの避難路として使用され、地上との間に階段15等の昇降手段が付設されている。
図7の図示例では、前述したように、二階5の出入扉12の外側に、メンテナンススペース14が設けられている。そこで外ステージ33は、同じ高さレベルのメンテナンススペース14と連設されると共に、その階段15を昇降手段として利用している。その他、外ステージ33の構成や機能等は、メンテナンススペース14について前述した所に準じる。
二階5等の側壁面29の開口部26と閉鎖体27については、以上のとおり。
《燃焼発煙コーナー6の壁面の開口部26と閉鎖体27について》
次に、図2を参照して、安全システム25として、実火災訓練装置1の本体部2の一階4に関し、燃焼発煙コーナー6の壁面に設けられる開口部26と閉鎖体27について、説明する。
この安全システム25の開口部26と閉鎖体27は、一階4の燃焼発煙コーナー6の天井壁面34や、奥壁面35等に設けられる。
閉鎖体27は、常時は閉鎖位置Cをとり、開口部26を閉鎖すると共に、緊急時には開放位置Dをとり、開口部26を開放する。そして開口部26は、緊急時に開放されて、燃焼発煙コーナー6で発生した炎Fと濃煙Sと熱気Hを帯びたエアーA’を、外部へと逃がすために使用される。
このような開口部26と閉鎖体27について、更に詳述する。図2の(1)図は、燃焼発煙コーナー6の真上の天井壁面34に設けられた例を示し、(2)図は、燃焼発煙コーナー6の背後の奥壁面35上部に設けられた例を示す。なお、このような図示例によらず、側方の側壁面29に設ける例も可能である。
そして閉鎖体27は、上開き,跳ね上げ式よりなり、ヒンジ31にて開口部26の端縁に対し回動可能に結合されている。開口部26は、閉鎖体27が開放位置Dをとることにより開放されて、炎F,濃煙S,熱気H等を外部放出すべく機能する。
なお、図2の(2)図に示した開口部26と閉鎖体27の組み合わせは、一階4の燃焼発煙コーナー6の奥壁面35ではなく、二階5の奥壁面35や側壁面29に設けることも、考えられる。この場合は、濃煙Sと熱気Hを外部放出すべく機能することになる。
燃焼発煙コーナー6の壁面の開口部26と閉鎖体27については、以上のとおり。
《開放力助成手段36について》
次に、図1の(3)図を参照して、安全システム25の閉鎖体27の開放力助成手段36について、説明する。
開口部26に付設される閉鎖体27には、開放力助成手段36が付設されており、開放力助成手段36は、閉鎖体27の緊急開放に際し開放力を付加し、もって人力による開放力を軽減すべく機能する。
図示例では、図1の(3)図の例の閉鎖体27について、開放力助成手段36が設けられているが、その他の各例についても、開放力助成手段36が設けられる(図示は省略)。すなわち、図1の(1)図,(2)図,(4)図,図2の(1)図,(2)図等に示した閉鎖体27についても、設けられる。勿論、開放力助成手段36を設けないことも、可能である。
このような開放力助成手段36について、更に詳述する。図1の(3)図に示した開放力助成手段36は、ワイヤ37を備えており、このワイヤ37は、一端が、閉鎖体27の自由端部である先端部に止着され、途中が、本体部2の天井壁面34や他方の側壁面29に取付けられた滑車38を経由し、他端の自由端に、ウエイトWが取付けられている。
もって閉鎖体27は、開放力助成手段36のワイヤ37のウエイトWにて、開放位置Dつまり開放方向に向けて引張力が作用しているが、常時は止め具(図示せず)にて、閉鎖位置Cに止め置きロックされている。止め具は、例えば止めピンよりなり、常時は、閉鎖体27先端部と開口部26端縁間に掛け渡されている。
これに対し、止め具の掛け渡しを解いて開放操作すると、開放力助成手段36のウエイトWにて、ワイヤ37を介し閉鎖体27について、開放位置Dつまり開放方向に向けて引張力が作用する。もって、このような引張力が開放力として加わるので、人力にて閉鎖体27を開放位置Dへと開放せんとする開放力が、その分、軽減される。
なお、開放力助成手段36は、図示例のワイヤ37,滑車38,ウエイトWの組み合わせ以外にも、各種の公知例の採用が可能である。例えばスプリングを、閉鎖体27と本体部2の天井壁面34や他方の側壁面29間に、引張り介装すると共に、常時は、止め具にてその引張力が働かないようにしておくことが考えられる。
開放力助成手段36については、以上のとおり。
《開口部26と閉鎖体27との嵌め合い構造について》
次に、図4の(2)図を参照して、安全システム25の開口部26と閉鎖体27との嵌め合い構造について、説明する。
開口部26の周壁39と閉鎖体27の周壁40とは、内外の嵌め合い構造よりなり、開放時以外の常時は、密に嵌め合わされている。
図1や図2に示した各例の開口部26と閉鎖体27では、このような嵌め合い構造が採用され、開口部26の周壁39が、高さを伴って立設されると共に、閉鎖体27の周壁40も、対応する高さを伴って立設されている。
そして、閉鎖体27が常時の閉鎖位置Cをとると、両周壁40が内外で密嵌合される設定よりなる。もって、本体部2の一階4や二階5等の内部空間の密閉が、維持されるようになっている。41は、密閉確保用のパッキンである。
開口部26と閉鎖体27との嵌め合い構造については、以上のとおり。
《遮断体28について》
次に、図3を参照して、安全システム25の遮断体28について、説明する。
一階4の燃焼発煙コーナー6付近には、遮断体28が設けられている。そして遮断体28は、常時は、一階4の内部空間間を開放する退避位置Jにあると共に、緊急時には、燃焼発煙コーナー6と他の内部空間とを区画可能な遮断位置Kをとる。
そして遮断位置Kでは、2層流を遮断する。すなわち、燃焼発煙コーナー6へのエアーAの流れを遮断すると共に、燃焼発煙コーナー6からの濃煙S,熱気H,更には炎Fを帯びたエアーA’の流れを遮断する。
このような遮断体28について、更に詳述する。まず、図3の(1)図に示した例では、一階4の燃焼発煙コーナー6直前の天井壁面34について、左右に横長穴42が穿設されている。そして、この横長穴42に遮断体28が、上下に昇降動可能に密に組み付けられている。
もって遮断体28は、天井壁面34上に位置決めされる常時の退避位置Jと、天井壁面34から床壁面30にかけて位置決めされる緊急時の遮断位置Kとに、横長穴42を出入口として昇降動可能となっている。
次に、図3の(2)図に示した例では、燃焼発煙コーナー6直前の一方の側壁面29について、上下に縦長穴43が穿設されている。そして、この縦長穴43に遮断体28が、左右に横移動可能に密に組み付けられている。
もって遮断体28が、一方の側壁面29外に位置決めされる常時の退避位置Jと、一方の側壁面29から他方の側壁面29にかけて位置決めされる緊急時の遮断位置Kとに、縦長穴43を出入口として横移動可能となっている。
次に、図3の(3)図に示した例では、燃焼発煙コーナー6直前の天井壁面34下に、耐熱防燃シート製の遮断体28が、取付けられている。
そして、このシート製の遮断体28が、天井壁面34下にコンパクトに巻回位置決めされた常時の退避位置Jと、天井壁面34から底壁面30にかけて垂下され広げられた緊急時の遮断位置Kとに、変位可能となっている。
又、図3の(4)図,(5)図に示した例では、燃焼発煙コーナー6直前の天井壁面34下に、耐熱性に富んだ遮断体28が、横軸のヒンジ31にて取付けられている。この遮断体28は、3枚等の複数枚の金属平板製よりなり、相互間が横軸のヒンジ31にて結合されている。
そして、この板製の遮断体28は、(4)図に示したように、天井壁面34下にコンパクトに折り畳まれ折曲位置決めされた常時の退避位置Jと、(5)図に示したように、天井壁面34から底壁面30にかけて垂下され広げられた緊急時の遮断位置Kとに、変位可能となっている。
遮断体28については、以上のとおり。
《その他》
この実火災訓練装置1の安全システム25については、更に、次の各手段等も適宜採用される。
まず第1に、図4の(3)図に示した例では、本体部2の一階4の燃焼発煙コーナー6の天井壁面34上に、消火液タンク44が設けられる。そして、この消火液タンク44内に、水や消火剤等の消火液を貯留しておき、緊急時に、燃焼発煙コーナー6に向け流下可能となっている。
第2に、実火災訓練装置1による訓練は、一階4や二階5等の本体部2内の訓練対象者Tと共に、本体部2外に立会監視者を置いて実施される。
そして、緊急時における前述した各安全システム25の操作、例えば閉鎖体27の開放操作や遮断体28の遮断操作等は、内部の訓練対象者Tが単独で行うことが可能であるが、外部の立会監視者が単独で行うことも可能となっている。勿論、両者が共同して行うことも可能である。
第3に、緊急時にあっては、外部の立会監視者の操作も、一刻を争うので特に重要となる。しかしながら訓練実施中、本体部2は密閉状態となっており、本体部2内で発生した緊急情報は、本体部2外へは伝達されにくいことが考えられる。
そこで、本体部2内の訓練対象者Tから、本体部2外の立会監視者への緊急情報伝達手段を、付設しておくと良い。例えば、内外間に伝送管を設けたり、本体部2内に釣鐘を設ける、等々の手段の採用が考えられる。
安全システム25については、以上のとおり。
《作用等》
本発明の実火災訓練装置1の安全システム25は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)実火災訓練装置1では、訓練実施に際し、まず本体部2の一階4の燃焼発煙コーナー6において、可燃物Bが着火され、もって大量の濃煙Sと熱気Hが、発生する(図6を参照)。
(2)これと共に、図示例では排煙処理装置3の排煙導入手段21が駆動され、外気取入口8から吸気されたエアーAが、一階4の内部空間下部を、可視ゾーンAZを形成して燃焼発煙コーナー6へと流れる。
そして、燃焼発煙コーナー6で発生した、大量の濃煙Sを含有し熱気Hを帯びたエアーA’が、一階4の内部空間上部を、濃煙ゾーンSZを形成して流れる(図6等を参照)。
このように、一階4では上下2層流が形成される。そして、二階建構造等の上下多層階構造の場合は、濃煙ゾーンSZの濃煙Sを含有し熱気Hを帯びたエアーA’が、通気口9から二階5等の上階へと導入されて、少なくとも濃煙ゾーンSZの流れを形成する(図7を参照)。
(3)それから、濃煙ゾーンSZの濃煙Sを含有し熱気Hを帯びたエアーA’は、通気口9,9’を介し排煙処理装置3に導入され、エアーA’中の濃煙Sの煤じんを完全燃焼してから、大気放出される(図5,図7を参照)。
(4)そして消火防災訓練が実施される。すなわち、一階4では、訓練対象者Tについて上下2層流下にて、例えば、濃煙Sと熱気Hに耐える訓練、姿勢を低くしての視界確保訓練、位置取り訓練、火元距離感の把握訓練、火元消火訓練、等の訓練が行われる(図6を参照)。
上下多層階構造の場合は、二階5等の上階では、例えば濃煙ゾーンSZ下において、移動路確保訓練,避難誘導訓練,脱出訓練,人命捜索訓練,人命救助訓練,搬出訓練、等の訓練が行われる(図7を参照)。
(5)さて、このような訓練中において、何らかの原因により不測の事態が発生することも、可能性としては予測される。
例えば、燃焼発煙コーナー6の炎Fが過剰に強くなって広がったり、濃煙Sが過剰に多くなって広がり、一階4の濃煙ゾーンSZが予定より下がったり、熱気Hが過剰に高温となる、等々の非常事態発生が予測される(図6等を参照)。
その原因の一例としては、排煙処理装置3が機能せず、濃煙Sが排煙として排出されずに、一階4や二階5等の本体部2内に滞留してしまうことが挙げられる。
(6)このような非常事態がもしも発生した場合、一階4や二階5等の本体部2内で訓練中だった訓練対象者Tは、まず、本体部2の側壁面29に設けられた安全システム25の開口部26から、本体部2外へと即脱出することができる(図1を参照)。
開口部26の閉鎖体27を、閉鎖位置Cから開放位置Dへと、開放力助成手段36も利用して開放操作することにより、容易に緊急脱出することができる。一刻を争う緊急時において、各訓練対象者Tは、通常使用される出入扉7,12へ移動するよりも段違いにスピーディーに、直ちに外へと脱出可能となる。訓練対象者Tが多人数の場合は、特に効率的脱出が実現される。
(7)これと共に、燃焼発煙コーナー6の壁面に設けられた安全システム25の開口部26を、開放することにより、炎F,濃煙S,熱気H等を、外部に逃がすことも可能となっている(図2を参照)。
開口部26の閉鎖体27を、閉鎖位置Cから開放位置Dへと、開放力助成手段36も利用して開放操作することにより、燃焼発煙コーナー6で発生する炎F,濃煙S,熱気H等を、本体部2内の訓練対象者T側へ向かわせないようにすることができる。
このような閉鎖体27の開放操作は、主に本体部2外部の立会監視者によって、行われる。又、このように炎F等を外部に逃がす安全システム25は、前述した訓練対象者T全員を緊急脱出させる安全システム25のための時間稼ぎとして、特に効果的である。
(8)更にこれに加え、安全システム25の遮断体28にて、燃焼発煙コーナー6を遮断することにより、燃焼発煙コーナー6からの炎F,濃煙S,熱気H等を、訓練対象者T側へ向かわせずに遮断すると共に、燃焼発煙コーナー6へのエアーAの供給を遮断して、
炎F,濃煙S,熱気H等の発生を停止させることもできる(図3を参照)。
このように遮断体28を退避位置Jから遮断位置Kに変位させる操作も、主に外部の立会監視者によって行われる。又、この遮断体28にて遮断する安全システム25も、前述した訓練対象者T全員を緊急脱出させる安全システム25のための時間稼ぎとして、特に効果的である。
(9)又、上述したように、燃焼発煙コーナー6の壁面の開口部26を開放したり、遮断体28にて遮断することにより、一階4や二階5等の本体部2内への炎F,濃煙S,熱気H等の流入,広がりが回避されると共に、燃焼発煙コーナー6へのエアーAの供給、そして炎F,濃煙S,熱気H等の発生も阻止される。
もって、過剰な炎F,濃煙S,熱気H等により非常事態が発生した際、本体部2がこれらに晒されて、焼損,損傷することも防止されるようになる(図5〜図7も参照)。
例えば、一階4や二階5等の本体部2は、前述したように金属製よりなるが、訓練対象者Tの足元への熱気伝達防止のため、床壁面30は木製の床材で覆われているが、その焼損が防止されるようになる。
(10)そして、この安全システム25は、一階4や二階5等の本体部2の側壁面29や、燃焼発煙コーナー6の壁面に、閉鎖体27付の開口部26を設けたり、燃焼発煙コーナー6付近に遮断体28を設けた構成よりなり、構成が簡単である(図1〜図4の(1)図を参照)。
又、この安全システム25は、緊急時の操作も、開口部26から閉鎖体27を開放すること等により行われ、容易である。更に、閉鎖体27に開放力助成手段36を付設しておくことにより(図1の(3)図を参照)、人力による開放力が軽減され、一段と開放操作が容易化される。
なお、開口部26の周壁39と閉鎖体27の周壁40とを、嵌め合い構造としたことにより(図4の(2)図を参照)、本体部2が外部から容易に密閉されるので、安全システム25を設けても、訓練は所期の通り支障なく実施可能である。
本発明の作用等については、以上のとおり。
1 実火災訓練装置
2 本体部
3 排煙処理装置
4 一階
5 二階
6 燃焼発煙コーナー
7 出入扉
8 外気取入口
9 通気口
9’通気口
10 階段
11 薪受台
12 出入扉
13 パーティション
14 メンテナンスぺース
15 階段
16 柱
17 梁
18 導出手段
19 前室
20 煙突
21 排煙導入手段
22 バーナー
23 煙燃焼エリア
24 エアー供給手段
25 安全システム
26 開口部
27 閉鎖体
28 遮断体
29 側壁面
30 床壁面
31 ヒンジ
32 ローラー
33 外ステージ
34 天井壁面
35 奥壁面
36 開放力助成手段
37 ワイヤ
38 滑車
39 周壁
40 周壁
41 パッキン
42 横長穴
43 縦長穴
44 消火液タンク
A エアー
A’エアー
B 可燃物
C 閉鎖位置
D 開放位置
F 炎
H 熱気
J 退避位置
K 遮断位置
S 濃煙
T 訓練対象者
W ウエイト
AZ 可視ゾーン
SZ 濃煙ゾーン

Claims (9)

  1. 実際の火災現場に近い状況下で濃煙と熱気を体感しつつ、消火防災訓練を実施可能な実火災訓練装置において、緊急時の脱出用その他、訓練中に生じた非常事態に備える安全システムであって、
    該実火災訓練装置は、少なくとも本体部を有しており、該本体部は、内部が訓練対象者の訓練ブースとなる大型ケーシング状をなすと共に、濃煙と熱気を発生させる燃焼発煙コーナーが設けられており、
    該安全システムは、該実火災訓練装置の本体部に付設されており、該本体部の壁面に設けられた開口部とその閉鎖体とを少なくとも有してなり、該閉鎖体は、常時は該開口部を閉鎖すると共に、緊急時に該開口部を開放可能となっていること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  2. 請求項1において、該実火災訓練装置の本体部は一階を備えており、該一階は、直線長手状をなすと共に、長手方向奥側内部に可燃物を燃焼させる該燃焼発煙コーナーが配設され、長手方向反対側に出入扉および外気取入口が配設されており、
    該一階では、該外気取入口からのエアーが、内部空間下部について低温域の可視ゾーンを形成しつつ該燃焼発煙コーナーへと流れると共に、該燃焼発煙コーナーで発生した濃煙を含有し熱気を帯びたエアーが、内部空間上部について高温域の濃煙ゾーンを形成しつつ流れ、もって、上下2層流が形成されること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  3. 請求項2において、該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階の側壁面に設けられており、
    該開口部は、緊急時に開放されて訓練対象者の脱出用に使用され、該閉鎖体は、ドアよりなること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  4. 請求項3において、該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階の燃焼発煙コーナーの壁面にも設けられており、
    該閉鎖体は、常時は、該開口部を閉鎖すると共に、緊急時には、該開口部を開放可能となっており、該開口部は、緊急時に開放されて、該燃焼発煙コーナーで発生した炎と濃煙と熱気を帯びたエアーを、外部へと逃がすために使用されること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  5. 請求項3において、該安全システムとして、更に、該一階の燃焼発煙コーナー付近に遮断体が設けられており、
    該遮断体は、常時は、該一階の内部空間間を開放する退避位置にあると共に、緊急時には、該燃焼発煙コーナーと他の内部空間とを区画可能な遮断位置をとること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  6. 請求項2において、該実火災訓練装置の本体部は、上下多層階構造よりなり、各階間に濃煙の通気口と階段や梯子よりなる内部昇降手段とが、設けられており、
    該安全システムの開口部と閉鎖体が、該一階より上の上階の側壁面にも設けられると共に、該上階の側壁面外側に、外ステージが添設されており、
    該外ステージは、該開口部から脱出した訓練対象者の避難路として使用され、地上との間に昇降手段が付設されていること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  7. 請求項3,4又は6おいて、該安全システムの閉鎖体には開放力助成手段が付設されており、該開放力助成手段は、該閉鎖体の緊急開放に際し開放力を付加し、もって人力による開放力を軽減すべく機能すること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  8. 請求項3,4又は6において、該安全システムの開口部の周壁と該閉鎖体の周壁とは、内外の嵌め合い構造よりなり、緊急開放時以外の常時は、密に嵌め合わされていること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
  9. 請求項2において、該実火災訓練装置は、該本体部と共に排煙処理装置を有しており、該排煙処理装置は、該本体部の上位に配設され、濃煙を該本体部から吸気して燃焼せしめ、もって、無煙無害化して大気放出すること、を特徴とする実火災訓練装置の安全システム。
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