以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
本実施形態は、一般にデジタルカメラやビデオカメラ等の撮像機能を備えた電子機器に配設されるレンズ鏡枠に本発明を適用したものである。本実施形態では一例として、図1及び2に示すように、レンズ鏡枠1は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子2を有してなるカメラ101内に配設されている。
カメラ101は、本実施形態では一例として、箱形状の筐体102内に、レンズ鏡枠1、制御装置103、及び電源電池を収容する図示しない電池収容室を有して構成されている。制御装置103は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置及び電力制御装置等を具備して構成されており、カメラ101の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。レンズ鏡枠1、制御装置103及び電源電池は、電気的に接続される。
制御装置103は、撮像素子2の動作の制御、及び撮像素子2から出力される信号に基づく画像の生成、が可能に構成されている。また、制御装置103は、レンズ鏡枠1が備える電動モータ、電磁ソレノイド等のアクチュエータや、フォトインタラプタ、ホール素子等のセンサに電気的に接続されている。
レンズ鏡枠1が備えるアクチュエータの数や形態は特に限定されるものではないが、アクチュエータは、レンズ鏡枠1が保持するレンズや撮像素子2を移動させるためのものや、絞り、シャッター、NDフィルタ等を駆動するためのもの等、レンズ鏡枠1の仕様に応じて適宜に設けられる。センサは、これらのアクチュエータの動作を制御するために配設されるものである。
カメラ101の筐体102の前面には、内部に配設されたレンズ鏡枠1の光軸が通過する開口部102aや閃光発光装置104等が設けられている。本実施形態では、開口部102aは、透明なガラスが設けられている。なお、カメラ101は、レンズ鏡枠1の非撮影時に開口部102aを遮蔽するバリア装置を有する形態であってもよい。
筐体102の上面部にはレリーズスイッチ105、電源操作スイッチ106等の操作部材が配設されている。また、図示しないが筐体102の側面部又は底面部には電池収容室を開閉するための蓋が設けられている。
また、筐体102の背面部には、例えばレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、ボタンスイッチ、タッチセンサ等の、カメラ101の動作指示を使用者が入力する入力するための操作部材が設けられている。また、筐体102の背面には、液晶表示装置又はEL表示装置等からなり画像を表示し出力する画像表示装置が設けられている。
レンズ鏡枠1の構成について以下に説明する。本実施形態では一例として、レンズ鏡枠1は、被写体像を結像するためのレンズ等の撮像光学系部材と撮像素子2を保持するように構成されている。なお、レンズ鏡枠1は、撮像素子2を保持しない形態であってもよい。また、レンズ鏡枠1は、カメラ101に対して着脱可能な形態であってもよい。
図2に示すように、レンズ鏡枠1が保持する撮像光学系部材は、一例としてプリズム3を含んでおり、プリズム3によって光軸を屈曲させる、いわゆる光路反射型、折り曲げ光学系、又は屈曲光学系等と称される形態を有している。本実施形態のレンズ鏡枠1ではカメラ101の被写体に面する側(前方)から入射する光を、プリズム3によって略90度屈曲させる構成を有する。
以下の説明では、撮像光学系部材において、被写体からプリズム3に入射し、プリズム3の反射面に至るまでの光軸を第1光軸O1と称し、プリズム3の反射面から撮像素子2に至る光軸を第2光軸O2と称するものとする。
また、本実施形態の撮像光学系部材は、第2光軸O2に沿って移動することにより、撮影倍率の変更及び合焦距離の変更を実現するための3つのレンズ群である、第1移動レンズ群4、第2移動レンズ群5及び第3レンズ群6を有して構成されている。なお、撮像光学系部材の形態は本実施形態に限られるものではなく、プリズムを有さない形態のものであってもよい。
レンズ鏡枠1は、固定枠10、固定レンズ保持枠20、第1移動枠30、第2移動枠50、第3移動枠55、絞り駆動機構部60、シャッター駆動機構部70及び撮像素子移動機構部80を含んで構成されている。
固定枠10は、レンズ鏡枠1を構成する他の部材を所定の位置に保持する基部となる部材である。固定枠10は、図示しない保持機構によって、カメラ101の筐体102に対して所定の位置に保持されるように構成されている。
固定レンズ保持枠20は、撮像光学系部材の物体側に配設される固定レンズ群を保持する枠状の部材である。固定レンズ群には、プリズム3が含まれている。固定レンズ枠20は、固定枠10に対して所定の位置に固定されている。
第1移動枠30は、詳しくは後述するが、第1移動レンズ群4を保持し、第2光軸O2に沿って移動可能に構成された枠部材である。また、第1移動枠30には、絞り駆動機構部60及びシャッター駆動機構部70が結合されており、絞り駆動機構部60及びシャッター駆動機構部70は、第1移動枠30とともに第2光軸O2に沿って移動する。
絞り駆動機構部60は、複数の絞り羽根を駆動することによって、第2光軸O2に沿う光束が通過する光路の口径を段階的又は連続的に変化させることが可能に構成された機構を備える機構部である。絞り駆動機構部60は、固定枠10内に配設された可撓性を有するフレキシブルプリント回路基板69を介して制御装置103に電気的に接続される。
また、シャッター駆動機構部70は、第2光軸O2に沿う光束が通過する光路を開閉し、撮像素子2の露光時間を制御可能に構成された機構を備える機構部である。シャッター駆動機構部70は、フレキシブルプリント回路基板69を介して制御装置103に電気的に接続される。本実施形態では、一例として、シャッター駆動機構部70は、光路上にNDフィルタを進退させ、撮像素子2に入射する光量を変化させることが可能に構成された機構も備えている。
絞り駆動機構部60及びシャッター駆動機構部70は、後述する構造によって、それぞれ第1移動枠30の物体側及び像側に結合されている。
第2移動枠50は、第2移動レンズ群5を保持し、第2光軸O2に沿って移動可能に構成された枠部材である。また、第3移動枠55は、第3レンズ群6を保持し、第2光軸O2に沿って移動可能に構成された枠部材である。
撮像素子移動機構部80は、撮像素子2を第2光軸O2に直交する平面に沿って移動可能に保持する機構部である。撮像素子移動機構部80は、例えば制御装置103に設けられた加速度センサやジャイロスコープ等によって検出されたレンズ鏡枠1の移動に応じて撮像素子2を移動させることによって露光中の像のブレを防止する、ブレ補正機能を実現するためのものである。
撮像素子移動機構部80の構成は、一般にイメージセンサシフト方式のブレ補正機構と称される周知のものと同様であり、詳細な説明は省略するものとする。なお、レンズ鏡枠1は、撮像素子移動機構部80を備えない形態であってもよい。また、レンズ鏡枠1は、レンズを移動させることによって露光中の像のブレを防止する、いわゆるレンズシフト方式のブレ補正機構を備える形態であってもよい。
以下に、第1移動枠30の詳細な構成について説明する。
第1の部材である第1移動枠30は、固定枠10に固定された直線状の円柱形状を有する案内軸11及び回動規制軸12に沿って摺動可能に構成されている。図3に示すように、案内軸11及び回動規制軸12は、第2光軸O2に略平行に固定されている。また、案内軸11及び回動規制軸12は、第2光軸O2を挟むように配設されている。
図4及び図5に示すように、第1移動枠30には、案内軸11の外周に所定の隙間を有して嵌合する貫通孔である摺動孔31が形成されている。摺動孔31と案内軸11との嵌合は、いわゆるすきま嵌めの状態である。摺動孔31と案内軸11との嵌合によって、案内軸11に対する第1移動枠30の径方向の移動、及び案内軸11に直交する軸周りの倒れ方向の移動が規制される。言い換えれば、摺動孔31と案内軸11との嵌合によって、第1移動枠30は、案内軸11に対して、案内軸11の軸方向の移動、及び案内軸11周りの回動が可能な状態となっている。
本実施形態では、摺動孔31は、スリーブ状に第1移動枠30から突出する筒形状部に設けられた孔である。このように摺動孔31と案内軸11との嵌合長を長くとることによって、案内軸11に対する第1移動枠30の倒れ方向の遊びを少なくすることができる。
また、第1移動枠30には、回動規制軸12の外周に所定の隙間を有して嵌合する貫通孔である挟持部32が形成されている。挟持部32と回転規制軸12との嵌合は、いわゆるすきま嵌めの状態である。
挟持部32は、挟持部32と回動規制軸12との嵌合によって、第1移動枠30の案内軸11に対する案内軸11周りの回動のみを規制するように構成されている。具体的には、図5に示すように、挟持部32は、回動規制軸12を所定の隙間を有して挟み込む平行な2平面を有する、いわゆる長孔と称される形状を有している。そして、挟持部32は、回動規制軸12を挟み込む2平面が、摺動孔31の径方向に沿うように設けられている。
また、挟持部32と回動規制軸12との嵌合長は、摺動孔31と案内軸11との嵌合長よりも短く、挟持部32と回動規制軸12との嵌合は、回動規制軸12に対する第1移動枠30の倒れを比較的大きく許容するように構成されている。
本実施形態のように、挟持部32と回動規制軸12との嵌合によって、第1移動枠30の案内軸11に対する案内軸11周りの回動のみが規制されるように構成することにより、案内軸11と回動規制軸12との間の相対的な距離や角度にばらつきがあった場合であっても、第1移動枠30を案内軸11に沿って滑らかに摺動させることが可能となる。
なお、挟持部32の形状は、本実施形態の長孔状に限られるものではなく、回動規制軸12を所定の隙間を有して挟み込む平行な2平面を有する形状であればよい。例えば、挟持部32は、第2光軸O2に沿う方向から見てU字状となる溝形状であってもよい。
以上のように、第2光軸O2に沿って移動可能に配設された第1移動枠30は、電動モータ41を含む駆動部40によって駆動される。
駆動部40は、案内軸11の近傍において、案内軸11に略平行に配設され、軸周りに回動可能なスクリュー42、スクリュー42を回動させる電動モータ41、スクリュー42に螺合するナット43及び第1移動枠30をナット43に向かって付勢するコイルバネ44を含んで構成されている。一方、第1移動枠30には、摺動孔31の近傍に、ナット43が係合するナット係合部33及びコイルバネ44が係止されるバネ係止部34が設けられている。
ナット43は、スクリュー42の軸周りの回動が規制されており、スクリュー42の回動に伴って軸方向に移動するように構成されている。ナット43は、第1移動枠30のナット係合部33に当接し、第1移動枠30をスクリュー42の軸に沿った一方向に押すことが可能に構成されている。本実施形態では一例として、ナット43は、図2及び図3における上下方向に移動可能であって、下方から第1移動枠30のナット係合部33に当接し、上方に向かって第1移動枠30を押すことが可能に構成されている。
コイルバネ44は、いわゆる引っ張りコイルバネであり、一端が第1移動枠30のバネ係止部34に係止されており、他端が固定枠10に係止されている。コイルバネ44は、常に第1移動枠30をナット43に向かって付勢するように配設されている。本実施形態では一例として、コイルバネ44は、第1移動枠30の位置に関わらず、図2及び図3における下方向に向かって常に第1移動枠30を付勢する力を発生するように配設されている。
言い換えれば、ナット43は、電動モータ41が発生する駆動力によって第2光軸O2に沿って移動可能であり、かつ第1移動枠30を第2光軸O2に沿って物体側に向かって押すことが可能に構成されている。そして、第1移動枠30は、コイルバネ44によって、第2光軸O2に沿って像側に付勢されている。このコイルバネ44の付勢力によって、ナット43とスクリュー42との間のバックラッシが除去され、かつ第1移動枠30がナット43の移動に追従する。
なお、コイルバネ44の付勢力は、少なくとも重力中におけるレンズ鏡枠1の姿勢の変化にかかわらず、第1移動枠30とナット43との当接が保たれる強さを有する。
以上のような駆動部40によって駆動される第1移動枠30は、コイルバネ44の付勢力とは反対方向に向かって該付勢力よりも強い力が加えられた場合には、ナット43から離間する方向に移動可能である。本実施形態では、第1移動枠30に、物体側に向かう方向(図2及び図3における上方向)に向かってコイルバネ44の付勢力よりも強い力が加えられた場合に、第1移動枠30は物体側に向かって移動する。このような、第1移動枠30とナット43とを離間させるような強い力は、例えばカメラ101が落下し着地した場合等の、レンズ鏡枠1に衝撃が与えられた場合に生じる。
次に、第1の部材である第1移動枠30と、第2の部材である絞り駆動機構部60及びシャッター駆動機構部70とを結合する構造について説明する。図4に示すように、第1移動枠30の物体側の所定の位置に絞り駆動機構部60が固定されており、第1移動枠30の像側の所定の位置にシャッター駆動機構部70が固定されている。
まず、絞り駆動機構部60と第1移動枠30との結合構造について説明する。図7に示すように、第1移動枠30の物体側の面上には、2つの第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36と凹部37が形成されている。図8は、絞り駆動機構部60と第1移動枠30の物体側の面上に形成された第1ネジ穴35、第2ネジ穴36、凹部37を模式的に示した図である。
第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36は、軸方向が第2光軸O2と略平行となるように設けられている。すなわち、第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36は、摺動孔31と略平行に設けられている。第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36は、できるだけ離間した位置に配設されることが好ましい。本実施形態では、第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36は、第2光軸O2を間に挟むような位置に配設されている。また、絞り駆動機構部60には、第1ネジ穴35及び第2ネジ穴36間と略同一の距離だけ離間して第2光軸O2と略平行に穿設された貫通孔61及び嵌合孔62が形成されている。
第1ネジ穴35は、略円形状であり周囲よりも突出した平面部である着座面35a内に形成されている。言い換えれば、第1ネジ穴35の周囲に、略環状の着座面35aが周囲よりも突出して形成されている。着座面35aは、第2光軸O2と略直交する平面であり、絞り駆動機構部60が当接するように設けられている。
他方の第2ネジ穴36は、略円形状であり周囲よりも突出した平面部である座面36a内に形成されている。座面36aは、第2光軸O2と略直交する平面である。座面36aには、第2ネジ穴36を略中心とした円筒形状であり、第2光軸O2と略平行に突出したボス36bが設けられている。言い換えれば、ボス36b内に略軸状に第2ネジ穴36が形成されている。
ボス36bは、絞り駆動機構部60に穿設された嵌合孔62内に、所定の隙間を有して嵌合する外径を有している。そして、図8に示すように、ボス36bは、座面36aから高さHだけ突出している。ボス36bの高さHは、ボス36bと絞り駆動機構部60の嵌合孔62とが嵌合した状態において、ボス36bの先端が絞り駆動機構部60よりも所定の高さだけ突出するように定められている。言い換えれば、絞り駆動機構部60の嵌合孔62が形成された部分の厚さTの寸法よりも、ボス36bの高さHの寸法の方が大きくなる。
なお、ボス36bの内面、より具体的にはボス36bの座面36aよりも突出した部分の内面は、第2ネジ穴36に螺合される第2ネジ39と干渉しない内径を有していることが好ましい。これは、第2ネジ穴36に第2ネジが螺合された場合に、ボス36の外形が変形しないようにするためである。
凹部37は、絞り駆動機構部60の嵌合孔62がボス36bに嵌合した状態において、絞り駆動機構部60のボス36b周りの回動を規制するための部位である。具体的には、絞り駆動機構部60には、像側に向かって突出するように設けられた略円柱状の凸部63と係合するように形成されている。そして、第1移動枠30の凹部37は、絞り駆動機構部60の嵌合孔62がボス36bに嵌合した状態において、内部に該凸部63が嵌合するように形成されている。
凹部37は、ボス36bの径方向を長手方向としたいわゆる長孔と称される形状を有しており、絞り駆動機構部60の第1移動枠30に対するボス36b周りの回動のみを規制するように、凸部63を所定の隙間を有して挟み込む平行な2平面を有している。なお、第1移動枠30の凹部37と、絞り駆動機構部60の凸部63の凹凸の関係は、本実施形態と逆であってもよい。
第1ネジ穴35に螺合される第1ネジ38の頭部は、絞り駆動機構部60の貫通孔61の内径よりも大きい外形を有している。また、第2ネジ穴36に螺合される第2ネジ39の頭部は、ボス36bの外形よりも大きい外形を有している。すなわち、第2ネジ39の頭部は、絞り駆動機構部60の嵌合孔62の内径よりも大きい外形を有している。
以上のような構成においては、絞り駆動機構部60の嵌合孔62及び凸部63と、第1移動枠30のボス36b及び凹部37をそれぞれ嵌合させることによって、絞り駆動機構部60の第1移動枠30に対する位置が所定の位置に定められる。
この絞り駆動機構部60が第1移動枠30に対して位置決めされた状態において、第1移動枠30に形成された第1ネジ穴35と、絞り駆動機構部60に形成された貫通孔61とは、第2光軸O2に沿う方向から見て略同一の位置となるように設けられている。
そして、貫通孔61を通して、第1ネジ38を第1ネジ穴35に螺合することによって、絞り駆動機構部60は、第1移動枠30の着座面35aと第1ネジ38との頭部との間において締結される。
また、上述したように、絞り駆動機構部60の嵌合孔62が形成された部分の厚さTは、ボス36bの高さHの寸法よりも小さい。このため、絞り駆動機構部60が第1移動枠30に対して位置決めされた状態において、ボス36bの先端は絞り駆動機構部60よりも物体側に所定の高さだけ突出する。よって、第2ネジ穴36に第2ネジ39を螺合した場合には、絞り駆動機構部60の嵌合孔62が形成された部位は、第1移動枠30の座面36と第2ネジ39との頭部との間において締結されるのではなく、第1移動枠30の座面36と第2ネジ39との頭部との間に所定の隙間を有した状態で挟み込まれる。
以上のような絞り駆動機構部60と第1移動枠30との結合構造においては、1つの第1ネジ38によって、絞り駆動機構部60と第1移動枠30とが締結される。言い換えれば、絞り駆動機構部60は、第1移動枠30に対して第2光軸O2方向に撓むことが可能な片持ち梁状となるように第1ネジ38によって締結されている。片持ち梁状の絞り駆動機構部60の先端側は、第2ネジ39の頭部と座面36aによって第2光軸O2方向に所定の隙間を有して挟み込まれていることから、衝撃力が加えられた場合の絞り駆動機構部60の変形量は所定の隙間の寸法内に抑制される。
したがって、本実施形態によれば、レンズ鏡枠1を構成する部材同士を結合する構造において、1つの第1ネジ38によって絞り駆動機構部60と第1移動枠30とを締結することによって、一方の部材の形状のばらつきが他方の部材の形状の変化に及ぼす影響を抑制することができる。例えば、従来では、複数のネジによって薄く変形しやすい絞り駆動機構部を枠部材に締結した場合、絞り駆動機構部が枠部材の形状に倣って歪んでしまい、絞り駆動機構部の動作不良を引き起こしてしまう可能性がある。また、絞り駆動機構部の方が枠部材よりも剛性が高い場合には、枠部材が歪み、案内軸に沿った摺動の抵抗が増大してしまう可能性がある。しかし、本実施形態では、1つの第1ネジ38によって絞り駆動機構部60と第1移動枠30とを締結していることから、締結により生じる絞り駆動機構部60及び第1移動枠30の歪みを抑制もしくは無くすことが可能である。
また、従来では、1つのネジによる締結によって絞り駆動機構部を枠部材に締結した場合、衝撃力加えられた場合に単一の締結部に応力が集中することから、締結部に変形や損傷が生じてしまう可能性がある。しかし、本実施形態では、第2ネジ39の頭部と座面36aによって絞り駆動機構部を所定の隙間を有して挟み込むことにより、衝撃力が加えられた場合の絞り駆動機構部60の変形量を所定の範囲内に抑制し、第1ネジ38による締結部にかかる応力を抑制することができる。
以上に説明したように、本実施形態の絞り駆動機構部60と第1移動枠30との結合構造は、両部材の歪みが生じにくく、かつ耐衝撃性が高い。
また、本実施形態では、第1移動枠30のボス36bは、第2ネジ39の頭部と座面36aとの距離を定める機能だけでなく、第1移動枠30と絞り駆動機構部60との位置を定める機能も兼ねている。このように、ボス36bに複数の機能を持たせることにより、レンズ鏡枠1において、絞り駆動機構部60と第1移動枠30とを位置決めして結合するために必要な構造が占有する体積を小さくすることができ、レンズ鏡枠1を小型化することが可能となる。
第1移動枠30とシャッター駆動機構部70とを結合する構造は、上述した第1移動枠30と絞り駆動機構部60とを結合する構造を第2光軸O2方向に反転させたものとほぼ同様である。
なお、上述した実施形態は、レンズ鏡枠1内において移動可能に配設された枠部材である第1移動枠30と、機構部である絞り駆動機構部60及びシャッター駆動機構部70との結合構造に本発明を適用したものであるが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、本発明は、例えば、固定枠10と、固定レンズ保持枠20との結合構造にも適用可能である。この場合、1つの第1ネジによって締結することによって、固定レンズ保持枠20の歪みを抑制し、プリズム3を含む固定レンズ群の光学的性能が設計値から外れてしまうことを防止することができる。
また、本発明は、固定枠10が複数の部材が結合されて構成される場合にも適用可能である。この場合、結合に伴って固定枠10に生じる歪みを抑制することができるため、案内軸11や回転規制軸12を精度良く固定することができ、第1移動枠30を小さな動力で滑らかに駆動することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うレンズ鏡枠もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係るレンズ鏡枠は、上述の実施形態で説明したカメラに配設される形態に限らず、レンズ交換可能なカメラシステムにおける交換レンズや、録音機器、携帯通信端末、ゲーム機、デジタルメディアプレーヤー、時計、ナビゲーション装置等の電子機器に備えられる撮像装置に配設されるものであってもよいことは言うまでもない。