JP2013234633A - 酸化触媒コンバーターの暖機方法およびその装置 - Google Patents

酸化触媒コンバーターの暖機方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化触媒が多量のHCを吸着した状態にて急激な排気温の上昇があった場合、HCが酸化されることなく排出されたり、排気を加熱するために排気通路に添加された燃料の未燃成分が酸化触媒をすり抜けてしまう。
【解決手段】排気浄化装置17に組み込まれた酸化触媒17aの暖機を行うため、排気浄化装置17よりも上流側の排気通路18aに燃料を添加してこれを着火燃焼させることにより、加熱された排気を排気浄化装置17に導くようにした本発明による酸化触媒17aの暖機方法は、酸化触媒17aに吸着されたHCの量を求めるステップと、求めたHC吸着量に基づいて酸化触媒17aの目標加熱温度TOを設定するステップと、酸化触媒17aの温度TCを検出するステップと、酸化触媒17aが設定した目標加熱温度TOに達するように、排気通路18aに燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップとを具える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒コンバーターの暖機方法およびその装置に関する。
内燃機関に対する厳しい排気規制に対処するため、内燃機関の始動時に排気浄化装置を構成する酸化触媒コンバーターの活性化を促進させたり、内燃機関の運転中にその活性状態を維持したりすることが必要となっている。このため、排気浄化装置よりも上流側の排気通路に排気加熱装置を組み込んだ内燃機関が特許文献1などで提案されている。この排気加熱装置は、排気中に加熱ガスを生成し、この生成された加熱ガスを下流側の排気浄化装置に供給することにより、酸化触媒コンバーターの活性化およびその活性状態を維持するようにしたものである。このため、排気加熱装置は、燃料を排気通路に添加する燃料添加弁と、この燃料を加熱して着火させることにより、加熱ガスを生成させるグロープラグなどの着火装置とを一般的に有する。
特開2011−252438号公報
内燃機関の排気浄化装置に組み込まれる酸化触媒コンバーター(以下、単に酸化触媒と記述する)には、内燃機関からの排気に含まれるHCの他、上述した排気加熱装置で燃焼しきれなかったHCも流入する。酸化触媒に流入したHCは、この酸化触媒を構成するエレメントに吸着保持された後、徐々に酸化して無害化され、酸化触媒から除去されることとなる。このような酸化触媒の機能は、そのエレメントが活性状態となる所定温度以上に保持されている場合にのみ発揮されるものである。従って、酸化触媒のエレメントが不活性となっている場合、これを所定温度以上にまで昇温させる暖機処理を迅速に行うことが望まれる。
従来、酸化触媒の暖機に際しては、そのエレメントに吸着されているHCの量や、排気加熱装置の作動によって新たに燃料添加弁から排気通路に添加される燃料に含まれるHCの量を考慮せずに酸化触媒が活性化し得る目標加熱温度を設定している。そして、その昇温量に見合うような燃料添加量を設定している。このため、酸化触媒のエレメントに吸着されているHCの量が相対的に多い状態で急激な温度上昇があった場合、エレメントに吸着されているHCの一部が酸化されることなくエレメントから離脱し、酸化触媒から排出される可能性があった。同様に、排気加熱装置の作動により排気通路に添加された燃料の未燃成分がHCとして酸化触媒に流入し、これがエレメントに吸着されることなく、酸化触媒をすり抜けてしまう可能性もあった。この結果、これらのHCが酸化触媒よりも下流に配された他の触媒コンバーターなどに流入したり、あるいは排気管の末端から大気中に白煙となって排出されてしまうおそれがあった。
[発明の目的]
本発明の目的は、内燃機関の排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒に対するHC成分のすり抜けを可能な限り阻止しつつ酸化触媒をより迅速に暖機し得る方法および装置を提供することにある。
本発明の第1の形態は、排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒を活性化させるための暖機を行うため、前記排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させることにより、加熱された排気を排気浄化装置に導くようにした内燃機関における酸化触媒の暖機方法であって、前記酸化触媒に吸着されたHCの量を求めるステップと、求めたHC吸着量に基づいて前記酸化触媒の目標加熱温度を設定するステップと、前記酸化触媒の温度を検出するステップと、前記酸化触媒が設定した目標加熱温度に達するように、前記排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップとを具えたことを特徴とするものである。
本発明において、排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒を活性化させるための暖機が必要になった場合、まず酸化触媒に吸着されているHCの量を求め、求めたHC吸着量に基づいて酸化触媒の目標加熱温度を設定する。次に、酸化触媒が設定した目標加熱温度に達するように、酸化触媒の温度を検出しつつ、排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させることにより、加熱された排気を排気浄化装置に導き、酸化触媒の暖機を行う。
本発明の第1の形態による酸化触媒の暖機方法において、目標加熱温度の設定後に酸化触媒に吸着されるHCの量を求めるステップをさらに具え、酸化触媒の目標加熱温度を設定するステップが目標加熱温度を設定した後のHC吸着量に基づいて目標加熱温度を補正するステップを含み、排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップは、酸化触媒が補正された目標加熱温度に達するように、燃料を着火燃焼させるステップを含むものであってよい。この場合、検出された酸化触媒の温度と、酸化触媒に吸着されたHCの量とに基づき、酸化触媒から放出されるHCの量を求めるステップをさらに具え、酸化触媒の目標加熱温度を設定するステップが求められたHC放出量に基づいて酸化触媒に対する加熱量を制御するステップを含むことができる。ここで、酸化触媒に対する加熱量を制御するステップが排気通路に対する単位時間当たりの燃料の添加量を変更するステップを含むものであってよい。
酸化触媒に対する加熱量を制御するステップが内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させるステップを含むものであってよい。この場合、内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させるステップが、排気通路を流れる排気の流量を増大させるステップと、酸化触媒を通過した排気を撹拌するステップとを含むことができる。あるいは、酸化触媒に対する加熱量を制御するステップが排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップを停止するステップを含むものであってよい。
求められたHC放出量があらかじめ設定したHC許容最大放出量を超えた場合、排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップおよび燃焼室からの排気を高温化させるステップをそれぞれ停止することができる。
目標加熱温度は、所定量以上のHCが酸化触媒を通り抜けないような温度であることが好ましい。
本発明の第2の形態は、酸化触媒コンバーターが組み込まれた排気浄化装置と、この排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加するための燃料添加弁と、この燃料添加弁によって排気通路に添加された燃料を着火燃焼させるための着火手段とを有し、加熱された排気を排気浄化装置に導いて前記酸化触媒コンバーターを暖機させるようにした内燃機関における酸化触媒コンバーターの暖機装置であって、前記酸化触媒コンバーターに吸着されているHCの量を求めるHC吸着量算出部と、このHC吸着量算出部にて求められたHC吸着量に基づいて前記酸化触媒コンバーターの目標加熱温度を設定する目標加熱温度設定部と、前記酸化触媒コンバーターの温度を検出するための触媒温度センサーと、
前記目標加熱温度設定部にて設定された目標加熱温度となるように、前記燃料添加弁および前記着火手段の作動を制御する加熱制御手段とを具えたことを特徴とするものである。
本発明において、排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒を活性化させるための暖機が必要になった場合、HC吸着量算出部が酸化触媒に吸着されているHCの量を求め、目標加熱温度設定部が求められたたHC吸着量に基づいて酸化触媒の目標加熱温度を設定する。次に、燃料添加弁および着火手段の作動を制御する加熱制御手段は、触媒温度センサーによって酸化触媒の温度を検出しつつ、酸化触媒が設定した目標加熱温度に達するように、排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させる。これにより、加熱された排気が排気浄化装置に導かれる結果、酸化触媒が効率よく暖機されることとなる。
本発明の第2の形態による酸化触媒の暖機方法において、目標加熱温度設定部が目標加熱温度の設定後に酸化触媒に新たに流入して吸着されるHCの量に基づいて目標加熱温度を補正するものであってよい。この場合、触媒温度センサーによって検出される前記酸化触媒の温度と、HC吸着量算出部にて算出されたHC吸着量とに基づき、酸化触媒から放出されるHCの量を求めるHC放出量算出部をさらに具え、加熱制御手段がこのHC放出量算出部にて求められたHC放出量に基づいて酸化触媒に対する加熱量を制御するものであってよい。
加熱制御手段は、内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させる運転状態変更部を含むことができる。
本発明によると、酸化触媒に吸着されたHCの量を求めて酸化触媒の目標加熱温度を設定し、酸化触媒がこの目標加熱温度に達するように、排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるようにしたので、酸化触媒からのHCの大量排出を防止することができる。この結果、酸化触媒から離脱するか、または酸化触媒を通り抜けたHCが白煙となって排気管の末端から大気中に排出されるのを防止することが可能である。
目標加熱温度の設定後に酸化触媒に吸着されるHCの量を求めて目標加熱温度を補正し、この補正された目標加熱温度に達するように、燃料を着火燃焼させるようにした場合、酸化触媒からのHCの排出を防止しつつ酸化触媒を効率よく暖機させることができる。特に、検出された酸化触媒の温度と、酸化触媒に吸着されたHCの量とに基づき、酸化触媒から放出されるHCの量を求め、このHC放出量に基づいて酸化触媒に対する加熱量を制御する場合、さらに迅速に酸化触媒を暖機させることができる。
排気通路に対する単位時間当たりの燃料の添加量を変更することによって酸化触媒に対する加熱量を制御する場合、酸化触媒からのHCの排出をより確実に防止することができる。
内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させることによって酸化触媒に対する加熱量を制御する場合、酸化触媒の暖機を緩やかに行うことができる。これは酸化触媒の暖機が進んで目標加熱温度に近づいた場合に有効である。
排気通路を流れる排気の流量を増大させ、さらに酸化触媒を通過した排気を撹拌することによって内燃機関の運転状態を変更し、燃焼室からの排気を高温化させる場合、酸化触媒から放出されるHCを排気中に均一に拡散させることができる。結果として、酸化触媒から流出したHCを酸化触媒よりも下流に配された排気浄化装置の他のエレメントにて確実に捕捉し、その無害化を行うことが可能であり、白煙の発生をさらに抑制することができる。
排気通路に対する燃料の添加を停止することによって酸化触媒に対する加熱量を制御する場合、酸化触媒からのHCの放出をさらに確実に防止することができる。
求められたHC放出量があらかじめ設定したHC許容最大放出量を超えた場合、排気通路に対する燃料の添加を停止すると共に燃焼室からの排気の高温化処理を停止することにより、酸化触媒からのHCの放出を阻止することができる。
所定量以上のHCが酸化触媒を通り抜けないような温度に目標加熱温度を設定することにより、酸化触媒から流出したHCが白煙となって排気管の末端から大気中に排出されるのを確実に防止することができる。
本発明による酸化触媒の暖機装置を組み込んだ内燃機関の一実施形態を模式的に表す概念図である。 図1に示した実施形態における制御ブロック図である。 HC吸着量と、HC放出量と、触媒温度との関係を模式的に表すマップである。 エンジン回転速度と、ピストンの1往復行程における燃料噴射量と、HC流入量との関係を模式的に表すマップである。 触媒温度とHC吸着率との関係を模式的に表すマップである。 触媒温度と、HC吸着量と、HC放出量との関係を模式的に表すマップである。 図1に示した実施形態における酸化触媒の暖機手順を模式的に表すフローチャートである。
本発明を圧縮点火方式の多気筒内燃機関に応用した実施形態について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、要求される特性に応じてその構成を自由に変更することが可能である。
本実施形態におけるエンジンシステムの主要部を模式的に図1に示し、その主要部の制御ブロックを概略的に図2に示す。なお、図1にはエンジン10の吸排気のための動弁機構や消音器の他に、このエンジン10の補機として一般的な排気ターボ式過給機やEGR装置なども省略されている。また、エンジン10の円滑な運転のために必要とされる各種センサー類もその一部が便宜的に省略されていることに注意されたい。
本実施形態におけるエンジン10は、燃料である軽油を燃料噴射弁11から圧縮状態にある燃焼室10a内に直接噴射することにより、自然着火させる圧縮点火式の多気筒内燃機関である。しかしながら、本発明の特性上、単気筒の内燃機関であってもかまわない。
燃焼室10aにそれぞれ臨む吸気ポート12aおよび排気ポート12bが形成されたシリンダーヘッド12には、吸気ポート12aを開閉する吸気弁13aおよび排気ポート12bを開閉する排気弁13bを含む図示しない動弁機構が組み込まれている。燃焼室10aの上端中央に臨む先の燃料噴射弁11もまた、これら吸気弁13aおよび排気弁13bに挟まれるようにシリンダーヘッド12に組み付けられている。燃料噴射弁11から燃焼室10a内に供給される燃料の量および噴射時期は、運転者によるアクセルペダル14の踏み込み量を含む車両の運転状態に基づいてECU15により制御される。アクセルペダル14の踏み込み量は、アクセル開度センサー16により検出され、その検出情報がECU15に出力される。
ECU15は、周知のワンチップマイクロプロセッサーであり、図示しないデータバスにより相互接続されたCPU,ROM,RAM,不揮発性メモリーおよび入出力インターフェースなどを含む。本実施形態におけるECU15は、このアクセル開度センサー16や後述する各種センサー類などからの情報に基づき、車両の運転状態を判定する運転状態判定部15aと、燃料噴射設定部15bと、燃料噴射弁駆動部15cとを有する。燃料噴射設定部15bは、運転状態判定部15aでの判定結果に基づいて燃料噴射弁11からの燃料の噴射量や噴射時期を設定する。燃料噴射弁駆動部15cは、燃料噴射設定部15bにて設定された量の燃料が設定された時期に燃料噴射弁11から噴射されるように、燃料噴射弁11の作動を制御する。なお、後述する排気浄化装置17に組み込まれた酸化触媒コンバーター(以下、単に酸化触媒と記述する)17aの暖機を行う場合、燃料噴射弁11からの燃料の噴射量や、その噴射タイミングなどを変更するようにしている。これにより、燃焼室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させる。つまり、本実施形態における燃料噴射設定部15bおよび燃料噴射弁駆動部15cは、本発明における運転状態変更部としても機能する。このようなエンジン10の運転状態の変更による排気の高温化処理に関しては、特開2010−112200号公報などに開示された周知の技術を流用することができる。
吸気ポート12aに連通するようにシリンダーヘッド12に連結されて吸気ポート12aと共に吸気通路19aを画成する吸気管19の途中には、サージタンク20が形成されている。このサージタンク20よりも上流側の吸気管19には、スロットルアクチュエーター21を介して吸気通路19aの開度を調整するためのスロットル弁22が組み込まれている。また、スロットル弁22よりも上流側の吸気管19には、吸気通路19aを流れる吸気の流量を検出してこれをECU15に出力するエアーフローメーター23が取り付けられている。なお、このエアーフローメーター23に代えて同じ構成の排気流量センサーを後述する排気加熱装置24とシリンダーヘッド12の排気ポート12bとの間に位置する排気管18の部分に取り付けるようにしてもよい。
先のECU15は、スロットル開度設定部15dと、アクチュエーター駆動部15eとをさらに有する。スロットル開度設定部15dは、アクセルペダル14の踏み込み量に加え、先の運転状態判定部15aでの判定結果に基づいてスロットル弁22の開度を設定する。アクチュエーター駆動部15eは、スロットル弁22がスロットル開度設定部15dにて設定された開度となるように、スロットルアクチュエーター21の作動を制御する。なお、後述する排気浄化装置17に組み込まれた酸化触媒17aの暖機を行う場合、スロットル開度設定部15dおよびアクチュエーター駆動部15eは、排気通路18aを流れる排気の流量が増えるようにスロットル弁22の開度を増大させることも行う。
ピストン25aが往復動するシリンダーブロック25には、連接棒25bを介してピストン25aが連結されるクランク軸25cの回転位相、つまりクランク角を検出してこれをECU15に出力するクランク角センサー26が取り付けられている。ECU15の運転状態判定部15aは、このクランク角センサー26からの情報に基づき、クランク軸25cの回転位相やエンジン回転速度の他に車両の走行速度などを実時間で把握する。
排気ポート12bに連通するようにシリンダーヘッド12に連結される排気管18は、排気ポート12bと共に排気通路18aを画成する。下流端側に取り付けられた図示しない消音器よりも上流側の排気管18の途中には、燃焼室10a内での混合気の燃焼により生成する有害物質を無害化するための排気浄化装置17が取り付けられている。この排気浄化装置17は少なくとも酸化触媒17aを含む。なお、本実施形態における排気浄化装置17は、酸化触媒17aの下流側に配されたDPF(Diesel Particulate Filter)17bおよびNOX吸蔵触媒コンバーター(以下、単にNOX触媒と記述する)17cも含んでいる。酸化触媒17aは、主として排気に含まれる未燃ガスを酸化、つまり燃焼させるためのものである。この酸化触媒17aの出口側の排気通路18aには、酸化触媒17aを出た排気の温度(以下、これを触媒温度と記述する)TCを検出してこれをECU15に出力する触媒温度センサー27が組み込まれている。ECU15の運転状態判定部15aは、この触媒温度センサー27からの情報に基づき、酸化触媒17aが活性状態にあるか否かも把握する。
酸化触媒17aとDPF17bとの間の排気浄化装置17内には、酸化触媒17aから出た排気をより均一に撹拌するための撹拌羽根28が組み込まれており、これは特開2009−138592号公報などに開示されたミキサーと称するものであってよい。しかしながら、排気通路18aを流れる排気の均一な撹拌が可能でありさえすれば、任意の構成の撹拌部材を撹拌羽根28として使用することができる。この撹拌羽根28は、酸化触媒17aをすり抜けた排気中のHCや、排気温の急激な上昇などに起因して酸化触媒17aから流出してしまう未酸化状態のHCを排気中に均一に分散させるためのものである。これにより、酸化触媒17aの下流に配されたDPF17bやNOX触媒17cにてHC成分をより確実に処理することができ、HCによる白煙が排気管18の末端から大気中に放出されるのを抑制することが可能となる。
排気浄化装置17よりも上流側の排気管18の途中には、加熱ガスを生成してこれを下流側に配された排気浄化装置17に供給し、その活性化および活性状態を維持するための排気加熱装置24が配されている。本実施形態における排気加熱装置24は、燃料添加弁24aと、本発明における着火手段の一部としてのグロープラグ24bとを具えている。この他、燃料添加弁24aから供給される燃料を受けてその霧化およびグロープラグ24b側への飛散を促進させるための特許文献1に開示されたような衝突板などを配することも有効である。
燃料添加弁24aは、基本的な構成が通常の燃料噴射弁11と同じものであり、通電時間を制御することによって、任意の量の燃料を任意の時間間隔で排気通路18aにパルス状に供給することができるようになっている。燃料添加弁24aから排気通路18aに供給される1回あたりの燃料の量は、エアーフローメーター23によって検出される吸入空気量および空燃比を含む車両の運転状態に基づき、ECU15の燃料添加設定部15fにより設定される。燃料添加設定部15fはまた、目標とすべき触媒加熱温度(以下、目標加熱温度と呼称する)TOと触媒温度センサー27によって検出される現在の触媒温度TCとの差に基づき、排気通路18aに添加すべき燃料量も併せて算出する。目標加熱温度TOは、ECU15の後述する目標加熱温度設定部15gにて設定される。
ECU15の燃料添加弁駆動部15hは、燃料添加設定部15fにて設定された量の燃料が設定された周期で燃料添加弁24aから噴射されるように、燃料添加弁24aの作動を制御する。この場合、燃料添加弁24aの作動は、燃料添加を開始してから積算される燃料添加量が燃料添加設定部15fにて設定された燃料添加量に達するまで、基本的に行われる。
燃料添加弁24aから排気通路18aに添加された燃料を着火させるためのグロープラグ24bは、車載の図示しない電源にオン/オフスイッチとしてのECU15のグロープラグ駆動部15iを介して接続している。従って、グロープラグ24bに対する通電および非通電の切り替えは、このグロープラグ駆動部15iによって制御される。
本実施形態においては、エンジン10がアイドリング状態の場合に必要に応じて酸化触媒17aの暖機処理が行われる。同様に、モータリング状態、すなわちエンジン10の運転中にアクセルペダル14の開度が0となり、燃料噴射弁11から燃料が噴射されない燃料カット状態になった場合にも必要に応じて酸化触媒17aの暖機処理が行われる。すなわち、エンジン10の運転状態の変更による燃焼室10aからの排気の高温化処理(以下、これをエンジン高温化処理と記述する)と、排気加熱装置24の作動とが必要に応じて実施される。
吸気通路19aから燃焼室10a内に供給される吸気は、燃料噴射弁11から燃焼室10a内に噴射される燃料と混合気を形成する。そして、ピストン25aの圧縮上死点近傍にて自然着火して燃焼し、これによって生成する排気が排気浄化装置17を通って排気管18から大気中に排出される。また、エンジン10がアイドリング状態または燃料カット状態になると、酸化触媒17aの暖機処理が必要に応じて行われ、排気を通して熱エネルギーが酸化触媒17aに与えられ、酸化触媒17aを活性状態に維持する。
ECU15の運転状態判定部15aは、車両の運転状態に基づき、排気浄化装置17における酸化触媒17aの暖機処理の必要性を判定する。より具体的には、アクセル開度が0の状態において、酸化触媒17aが活性状態を維持し得る最低温度(以下、これを触媒活性最低温度と記述する)TRよりも触媒温度TCが低い場合、酸化触媒17aの暖機処理が必要であると判定する。
本実施形態におけるECU15には、目標加熱温度設定部15gと、HC吸着量算出部15jと、HC放出量算出部15kと、加熱量制御部15lとが組み込まれている。
ECU15の目標加熱温度設定部15gは、酸化触媒17aに吸着されているHC量と、酸化触媒17aから酸化処理されずに放出されるHC量と、触媒温度TCとを関係付けた図3に示すようなマップを記憶している。図中の下側の曲線は、触媒活性最低温度TRである。また、上側の曲線は酸化触媒17aを加熱し得る許容最高温度(以下、これを加熱許容最高温度と記述する)THであり、この温度THを超えて酸化触媒17aを加熱すると、酸化触媒17aのエレメントが熱的悪影響を受けて損傷する可能性が高くなるという限界を示す。従って、触媒温度TCを下側の曲線と上側の曲線との間の温度に維持する必要がある。また、HC放出量QCが所定の値、つまりHC許容最大放出量QXを超えた場合、排気管18の末端から大気中に白煙が排出される可能性があるので、HC放出量QCがQX以下となるような目標加熱温度TOを設定しなければならない。本実施形態では、HC吸着量が例えばaの場合、酸化触媒17aの目標加熱温度TOをこの時のHC吸着量aに対応した加熱許容最高温度THに設定される。また、HC吸着量がbの場合、酸化触媒17aの目標加熱温度TOをこの時のHC吸着量bに対応したHC許容最大放出量QXとなる温度に設定する必要がある。また、HC吸着量QCがcの場合、酸化触媒17aの目標加熱温度TOをこの時のHC吸着量cに対応したHC許容最大放出量QXとなる温度に設定しなければならない。しかしながら、この温度は触媒活性最低温度TRよりも低く、実質的に暖機が不可能であるので、暖機処理は実行されない。このようにして、目標加熱温度設定部15gはHC吸着量算出部15jにて算出されるHC吸着量に基づき、目標加熱温度TOを設定する。
酸化触媒17aに流入し、ここで吸着されるHCの量は、ECU15のHC吸着量算出部15jにて算出される。本実施形態におけるHC吸着量算出部15jには、図4および図5に示すようなマップが記憶されている。図4は、エンジン回転速度と、ピストン25aの1行程当たりの燃料噴射弁11から燃焼室10aに噴射される燃料噴射量と、燃焼室10aから排気通路18aへと流入する未燃状態のHCの量とを関係付けたものである。この他、エンジン回転速度と、燃料添加弁24aから排気通路18aに添加される燃料の添加量と、燃料添加弁24aから排気通路18aに添加された燃料のうち、排気浄化装置17へと流入する未燃状態のHCの量とを関係付けたマップも記憶している。HC流入量算出部15jは、これら2つのマップからHC流入量を取得する。図5は、触媒温度TCと、酸化触媒17aによるHCの吸着率とをあらかじめ関係付けたものである。触媒温度TCが所定温度以下の場合、流入するHCの全量が酸化触媒17aに吸着され、触媒温度TCが高温になるほどHCの吸着率が低下し、触媒温度TCが所定温度を超えると流入するHCの全量が酸化触媒17aをすり抜けてしまうことが図5から理解される。HC吸着量算出部15jは、燃料噴射弁11に関係付けた図4および燃料添加弁24aに関係付けた類似のマップからそれぞれ取得されるHC流入量に対し、図5に示す触媒温度TCに対応した吸着率を乗算して得られる値を連続的に積算する。そして、これにより算出された最新のHC吸着量を目標加熱温度設定部15gに出力する。
なお、目標加熱温度TOの設定後に暖機処理により燃料添加弁24aから排気通路18aに添加された燃料や、燃料噴射弁11から燃焼室10aに噴射された燃料に起因して酸化触媒17aに新たに流入するHCの量も継続的に算出される。算出されたHC流入量に基づき、これが追加のHC吸着量としてHC吸着量算出部15jにて算出され、目標加熱温度設定部15gに出力される。目標加熱温度設定部15gは、HC吸着量算出部15jからの情報に基づき、目標加熱温度設定部15gを更新する。
HC放出量算出部15kは、酸化触媒17aでの酸化処理を考慮した状態において酸化触媒17aから放出されるHCの量を算出する。本実施形態におけるHC放出量算出部15kには、触媒温度TCと、酸化触媒17aに吸着されているHCの量と、酸化触媒17aから放出されるHCの量との関係をあらかじめ設定した図6に示すようなマップが記憶されている。基本的には、HC放出量QCが少ないほど、HCの酸化処理が促進されて酸化触媒17aからのHC放出量QCが少なくなり、HC放出量QCが多くなるほど白煙が排気管18の末端から大気中に排出される可能性が高くなる傾向を持つ。このため、触媒加熱禁止領域にある場合、酸化触媒17aの暖機は行われない。逆に、HC放出量QCが少ない領域では可能な限り大きな熱エネルギーを酸化触媒17aに与えてその暖機を促進できることが理解されよう。HC放出量算出部15kは、触媒温度TCとHC吸着量算出部15jから取得されるHC吸着量とから、図6に示すマップに基づいてHC放出量QCを取得し、これを加熱量制御部15lに出力する。
このように、本実施形態ではHC流入量,HC吸着量,HC放出量QCをあらかじめマップ化してECU15に記憶させておき、これらのマップからHC流入量,HC吸着量,HC放出量QCを読み出すようにしているが、計算によりこれらを算出することも当然可能である。
上述したように、酸化触媒17aの暖機を行う場合、可能なかぎり迅速に酸化触媒17aを昇温させ、なおかつ瞬間的に多量のHCが酸化触媒17aから排出されて白煙が排気管18の末端から大気中に放出されないようにすることが好ましい。このため、本実施形態ではHC放出量QCとHC許容最大放出量QXとの差に応じて4つの暖機モードM1〜M4にて暖機処理を行っており、これら4つの暖機モードはECU15の加熱量制御部15lにて設定される。より具体的には、HC放出量算出部15kにて取得されたHC放出量QCに基づき、加熱量制御部15lは以下の4つの暖機モードM1〜M4のうちの1つを選択する。
すなわち、第1の暖機モードM1は、HC放出量QCがあらかじめ設定した第1閾値QL(QL<QX)よりも少ない場合、排気加熱装置24を普通に作動させると共にエンジン10の運転状態を変更してエンジン高温化処理を行うモードである。この第1の暖機モードM1においては、酸化触媒17aの昇温速度を最大に高めることができる。
第2の暖機モードM2は、HC放出量QCが第1閾値QLとあらかじめ設定した第2閾値QM(QL<QM<QX)との間にある場合、エンジン高温化処理を行いつつ排気加熱装置24を構成する燃料添加弁24aから排気通路18aに添加される燃料の量を減量するモードである。これにより、酸化触媒17aの昇温速度を第1の暖機モードM1よりも緩やかにすることができる。
第3の暖機モードM3は、HC放出量QCが第2閾値QMとあらかじめ設定した第3閾値QH(QM<QH<QX)との間にある場合、排気加熱装置24の作動を停止させ、エンジン高温化処理のみ実施するモードである。これにより、酸化触媒17aの昇温速度をさらに緩やかにすることができる。
第4の暖機モードM4は、HC放出量QCが第3閾値QHとHC許容最大放出量QXとの間にある場合、基本的には第3の加熱モードM3と同じであるが、スロットルアクチュエーター21を駆動してスロットル弁22を開き、排気流量を増大させるモードである。触媒温度TCが高温になるほど、吸着されていたHCが酸化されることなく酸化触媒17aから排出される量が多くなる傾向を持つ。このため、スロットル弁22を開いて吸気流量、すなわち排気流量を増大させることにより、酸化触媒17aからHCが放出されたとしても、撹拌羽根28による作用と相俟ってこれを排気中により均一に分散させることができる。結果として、酸化触媒17aの下流側に配されたDPF17bやNOX触媒17cにてHCを確実に捕捉してこれを処理させることが可能となる。また、これらDPF17bやNOX触媒17cをHCがすり抜けたとしても、流量が増大した排気中に均一に分散しているため、白煙になりにくい。
なお、HC放出量QCがHC許容最大放出量QXを超えた場合には、暖機処理が中止される。
このような本実施形態における酸化触媒17aの暖機手順について図7を参照しながら説明すると、まずS11のステップにてアクセル開度が0であるか否かを判定する。ここでアクセル開度が0よりも大きい、すなわち、運転者が加速を望んでいる可能性があると判断した場合には何もせずに終了する。また、ここでアクセル開度が0である、すなわち運転者が加速を要求していないと判断した場合には、S12のステップに移行して触媒温度TCが触媒活性最低温度TRよりも低いか否かを判定する。そして、触媒温度TCが触媒活性最低温度TR以上である、すなわち酸化触媒17aが活性化していると判断した場合には何もせずに終了する。また、触媒温度TCが触媒活性最低温度TRよりも低い、すなわち酸化触媒17aの暖機が必要であると判断した場合には、S13のステップに移行して酸化触媒17aのエレメントに吸着されているHCの量を取得する。次に、S14のステップにて目標加熱温度TOを取得したHC吸着量に基づいて設定し、S15のステップにてHC放出量QCが第1閾値QLよりも少ないか否かを判定する。ここでHC放出量QCが第1閾値QLよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代が充分にあると判断した場合には、S16のステップに移行して第1の暖機モードM1を選択する。そして、排気加熱装置24の作動を開始すると共に内燃機関の運転状態を変更して燃燒室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させる。より具体的には、燃料添加弁24aから排気通路18aに燃料を添加してこれを加熱着火させ、さらに燃料噴射弁から燃燒室10aに噴射される燃料の噴射量および噴射時期を変更する。これにより酸化触媒17aの温度を急速に上昇させ、暖機時間の短縮を図ることができる。
このようにして酸化触媒17aの暖機を開始した後、S17のステップに移行してHC放出量QCが第1閾値QLよりも少ないか否かを再度判定する。ここでHC放出量QCが第1閾値QLよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代がまだ充分にあると判断した場合には、S18のステップに移行する。そして、先のS13のステップ以降における酸化触媒17aへのHCの流入量を取得して新たに吸着されるHCの量を求める。しかる後、S14のステップに戻り、取得したHC吸着量に基づいて前回の目標加熱温度TOを補正、すなわち再設定した後、再びS15のステップを繰り返す。そして、新たなHC放出量QCと第1閾値QLとを比較し、酸化触媒17aの昇温代が充分にある場合には、S16,S17のステップを繰り返す。
このようにして、HC放出量QCが第1閾値QLよりも充分に低い状態が続く限り、第1の暖機モードM1を選択して酸化触媒17aの昇温速度を最大限に早める。すなわち、燃焼室10aからの排気を高温化させると共に燃料添加弁24aから排気通路18aに燃料を添加して着火燃焼させる。そして、S16,S18のステップを繰り返し、目標加熱温度TOを更新し続ける。
S15またはS17のステップにてHC放出量QCが第1閾値QL以上である、すなわち酸化触媒17aの昇温速度を最大限にできないと判断した場合には、S19のステップに移行してHC放出量QCが第2閾値QMよりも少ないか否かを判定する。ここで、HC放出量QCが第2閾値QMよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代が少なめになったと判断した場合には、S20のステップに移行する。そして、第2の暖機モードM2を選択し、燃料添加弁24aから排気通路18aに添加される単位時間当たりの燃料の添加量を通常よりも減量すると共に燃燒室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させる。このように、燃料添加弁24aから排気通路18aに添加される燃料の添加量を通常よりも少なくしたことにより、通常の燃料添加量の場合よりも酸化触媒17aの昇温速度を緩やかにすることができる。
S20のステップに続き、S21のステップにてHC放出量QCが第2閾値QM以上であるか否かを判定する。ここで、HC放出量QCが第2閾値QMよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代が少なめのままであると判断した場合には、S18,S14のステップに移行してHC流入量に基づきHC吸着量を取得し、これに基づいて目標加熱温度TOを再び補正する。そして、S15のステップにて新たなHC放出量QCと第1閾値QLとを比較する。通常は、S15のステップからS19〜S21のステップへと続き、S21のステップにてHC放出量QCが第2閾値QM以上である、すなわち酸化触媒17aの昇温速度をそれほど早くできないと判断した場合には、S22のステップに移行する。そして、HC放出量QCが第3閾値QHよりも低いか否かを判定する。S19のステップにてHC放出量QCが第2閾値QM以上であると判断した場合も、S22のステップに移行する。ここで、HC放出量QCが第3閾値QHよりも低い、すなわち酸化触媒17aの昇温代がかなり少ないと判断した場合には、S23のステップに移行して第3の暖機モードM3を選択する。そして、排気加熱装置24を作動させず、燃燒室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させるだけに止める。このように、燃料添加弁24aから排気通路18aへの燃料の添加を行わず、燃燒室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させるだけにしたことにより、酸化触媒17aの昇温速度を極めて緩やかにすることができる。
S23のステップに続き、S24のステップにてHC放出量QCが第3閾値QH以上であるか否かを判定する。ここで、HC放出量QCが第3閾値QHよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代がかなり少ないままであると判断した場合には、S18,S14のステップに移行してHC流入量を基づいて新たなHC吸着量を取得し、これに基づいて目標加熱温度TOを補正する。そして、S15のステップにて新たなHC放出量QCと第1閾値QLとを比較する。通常は、S15のステップからS19,S22〜S24のステップへと続き、S24のステップにてHC放出量QCが第3閾値QH以上であると判断した場合には、S25のステップに移行する。S22のステップにてHC放出量QCが第3閾値QH以上であると判断した場合にもS25のステップに移行する。
S25のステップではHC放出量QCがHC許容最大放出量QXよりも少ないか否かを判定し、ここでHC放出量QCがHC許容最大放出量QXよりも少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代がほとんどないと判断した場合には、S26のステップに移行する。ここでは、第4の暖機モードM4が選択され、燃料添加弁24aから排気通路18aへの燃料の添加を行わず、燃燒室10aから排気通路18aへと排出される排気温を上昇させるだけに止め、さらにスロットル弁22を開いて排気流量を増量させる。これにより、酸化触媒17aからHCが放出されたとしても、撹拌羽根28による作用と相俟ってこれを排気中に均一に分散させ、酸化触媒17aの下流側に配されたDPF17bやNOX触媒17cにてこれを確実に捕捉して処理させることが可能となる。また、これらDPF17bやNOX触媒17cをHCがすり抜けたとしても、排気中に分散しているため、白煙の発生を抑えることができる。
S26のステップに続き、S27のステップにてHC放出量QCがHC許容最大放出量QX以上であるか否かを判定する。ここで、HC放出量QCがHC許容最大放出量QXよりもまだ少ない、すなわち酸化触媒17aの昇温代がほとんどない状態であると判断した場合には、S18,S14のステップに移行してHC流入量に基づいて追加のHC吸着量を取得し、これに基づいて目標加熱温度TOを再度補正する。そして、S15のステップにて新たなHC放出量QCと第1閾値QLとを比較する。通常は、S15のステップからS19,S22,S25〜S27のステップへと続き、S27のステップにてHC放出量QCがHC許容最大放出量QX以上である、すなわち酸化触媒17aの暖機が終了したと判断した場合には、S28のステップに移行する。S25のステップにてHC放出量QCがHC許容最大放出量QX以上であると判断した場合にもS28のステップに移行する。
このS28のステップでは、すべての暖機処理を終了する。すなわち、排気加熱装置24の作動を停止すると共に燃燒室10aからの排気の高温化処理も停止する。また、S26のステップにおける排気流量の増量処理も停止する。
このように、目標加熱温度TOを酸化触媒17aの暖機処理以降での酸化触媒17aへのHC流入量に応じて新たに吸着されるHCの量に基づいて補正し続けるようにしたので、酸化触媒17aの暖機を適切に行うことができる。またHC放出量QCとHC許容最大放出量QXとの差に応じて酸化触媒17aに与える熱エネルギーの量を切り替えるようにしたので、白煙の発生を抑制した状態で酸化触媒17aを迅速に暖機することができる。
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
10 エンジン
10a 燃焼室
11 燃料噴射弁
14 アクセルペダル
15 ECU
15a 運転状態判定部
15b 燃料噴射設定部
15c 燃料噴射弁駆動部
15d スロットル開度設定部
15e アクチュエーター駆動部
15f 燃料添加設定部
15g 目標加熱温度設定部
15h 燃料添加弁駆動部
15i グロープラグ駆動部
15j HC吸着量算出部
15k HC放出量算出部
15l 加熱量制御部
16 アクセル開度センサー
17 排気浄化装置
17a 酸化触媒コンバーター
17b DPF
17c NOX吸蔵触媒コンバーター
18a 排気通路
19a 吸気通路
21 スロットルアクチュエーター
22 スロットル弁
23 エアーフローメーター
24 排気加熱装置
24a 燃料添加弁
24b グロープラグ
26 クランク角センサー
27 触媒温度センサー
28 撹拌羽根
C 触媒温度
O 目標加熱温度
R 触媒活性最低温度
1〜M4 暖機モード
C HC放出量
X HC許容最大放出量
L,QM,QH 閾値

Claims (13)

  1. 排気浄化装置に組み込まれた酸化触媒コンバーターを活性化させるための暖機を行うため、前記排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させることにより、加熱された排気を排気浄化装置に導くようにした内燃機関における酸化触媒コンバーターの暖機方法であって、
    前記酸化触媒コンバーターに吸着されたHCの量を求めるステップと、
    求めたHC吸着量に基づいて前記酸化触媒コンバーターの目標加熱温度を設定するステップと、
    前記酸化触媒コンバーターの温度を検出するステップと、
    前記酸化触媒コンバーターが設定した目標加熱温度に達するように、前記排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させるステップと
    を具えたことを特徴とする酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  2. 前記目標加熱温度の設定後に前記酸化触媒コンバーターに吸着されるHCの量を求めるステップをさらに具え、
    前記酸化触媒コンバーターの目標加熱温度を設定する前記ステップは、前記目標加熱温度を設定した後のHC吸着量に基づいて前記目標加熱温度を補正するステップを含み、
    前記排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させる前記ステップは、前記酸化触媒コンバーターが補正された前記目標加熱温度に達するように、燃料を着火燃焼させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  3. 検出された前記酸化触媒コンバーターの温度と、前記酸化触媒コンバーターに吸着されたHCの量とに基づき、前記酸化触媒コンバーターから放出されるHCの量を求めるステップをさらに具え、
    前記酸化触媒コンバーターの目標加熱温度を設定する前記ステップは、求められたHC放出量に基づいて前記酸化触媒コンバーターに対する加熱量を制御するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  4. 前記酸化触媒コンバーターに対する加熱量を制御する前記ステップは、排気通路に対する単位時間当たりの燃料の添加量を変更するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  5. 前記酸化触媒コンバーターに対する加熱量を制御するステップは、内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させるステップを含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  6. 前記内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させる前記ステップは、前記排気通路を流れる排気の流量を増大させるステップと、
    前記酸化触媒コンバーターを通過した排気を撹拌するステップと
    を含むことを特徴とする請求項5に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  7. 前記酸化触媒コンバーターに対する加熱量を制御するステップは、前記排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させる前記ステップを停止するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  8. 求められたHC放出量があらかじめ設定したHC許容最大放出量を超えた場合、前記排気通路に燃料を添加してこれを着火燃焼させる前記ステップおよび燃焼室からの排気を高温化させる前記ステップをそれぞれ停止することを特徴とする請求項5に記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  9. 前記目標加熱温度は、所定量以上のHCが前記酸化触媒コンバーターを通り抜けないような温度であることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の酸化触媒コンバーターの暖機方法。
  10. 酸化触媒コンバーターが組み込まれた排気浄化装置と、この排気浄化装置よりも上流側の排気通路に燃料を添加するための燃料添加弁と、この燃料添加弁によって排気通路に添加された燃料を着火燃焼させるための着火手段とを有し、加熱された排気を排気浄化装置に導いて前記酸化触媒コンバーターを暖機させるようにした内燃機関における酸化触媒コンバーターの暖機装置であって、
    前記酸化触媒コンバーターに吸着されているHCの量を求めるHC吸着量算出部と、
    このHC吸着量算出部にて求められたHC吸着量に基づいて前記酸化触媒コンバーターの目標加熱温度を設定する目標加熱温度設定部と、
    前記酸化触媒コンバーターの温度を検出するための触媒温度センサーと、
    前記目標加熱温度設定部にて設定された目標加熱温度となるように、前記燃料添加弁および前記着火手段の作動を制御する加熱制御手段と
    を具えたことを特徴とする酸化触媒コンバーターの暖機装置。
  11. 前記目標加熱温度設定部は、前記目標加熱温度の設定後に前記酸化触媒コンバーターに新たに流入して吸着されるHCの量に基づいて前記目標加熱温度を補正することを特徴とする請求項10に記載の酸化触媒コンバーターの暖機装置。
  12. 前記触媒温度センサーによって検出される前記酸化触媒コンバーターの温度と、前記HC吸着量算出部にて算出されたHC吸着量とに基づき、前記酸化触媒コンバーターから放出されるHCの量を求めるHC放出量算出部をさらに具え、
    前記加熱制御手段は、このHC放出量算出部にて求められたHC放出量に基づいて前記酸化触媒コンバーターに対する加熱量を制御することを特徴とする請求項11に記載の酸化触媒コンバーターの暖機装置。
  13. 前記加熱制御手段は、前記内燃機関の運転状態を変更して燃焼室からの排気を高温化させる運転状態変更部を含むことを特徴とする請求項10から請求項12の何れかに記載の酸化触媒コンバーターの暖機装置。
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