JP2013234544A - 津波防潮堤および津波防潮堤の施工方法 - Google Patents

津波防潮堤および津波防潮堤の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 防潮堤に対して越流した場合においても、越流を確実に減勢することが可能な津波防潮堤を提供する。
【解決手段】 津波防潮堤1は、海側に配置された主防潮堤3に対し、主防潮堤3の陸側に副防潮堤5が構築される。なお、主防潮堤3は、既設の防潮堤であって、副防潮堤5を既設の主防潮堤3の陸側に形成してもよく、または、主防潮堤3と副防潮堤5との両方を新たに構築してもよい。また、主防潮堤3と副防潮堤5は、互いに地表または地中において一体で連結するように構築してもよく、または、それぞれ別々に、地中に基礎を形成して構築してもよい。副防潮堤5の高さは、主防潮堤3の高さ以下で設定される。また、主防潮堤3と副防潮堤5のそれぞれの陸側の下方において、それぞれ、洗掘防止体7a、7bが必要に応じて配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、沿岸に構築された防潮堤を超える津波発生時に、水流を効率良く減衰することが可能な津波防潮堤およびその施工方法に関するものである。
沿岸部においては、津波対策として防潮堤が建設される場合がある。このような防潮堤は、津波の発生時の波高よりも高ければ、津波が、内陸側に流入することを防止することができる。
このような防潮堤としては、海側から順に、エネルギー吸収体と、止水面体を配置し、エネルギー吸収体と止水面体の間には、水が流入可能であり、エネルギー吸収体によって海側からの水の勢いを弱めて、止水面体によって水の流入を阻止する防潮施設がある(特許文献1)。
特開2007−186963号公報
しかし、極めて大きな津波が発生した場合には、この防潮堤を越えて、内陸側に水が一気に流れ込む恐れがある。このような、防潮堤を超えて流入する水の勢いが強いと、内陸側へ一気に水が流れ、避難までの時間を確保することが困難となる場合がある。これに対し、防潮堤を高くすると、越流時に防潮堤に生じる水圧が大きくなる。このため、より強固な防潮堤が必要となる。また、単に防潮堤の高さを高くしても、完全に越流しない高さの防潮堤を建設することは困難である。また、越流時の水の勢いを減勢することはできない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、防潮堤に対して越流した場合においても、越流を確実に減勢することが可能な津波防潮堤を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、津波防潮堤であって、海側に形成される主防潮堤と、前記主防潮堤に対して、陸側に離間して形成される少なくとも一つの副防潮堤と、を具備し、前記副防潮堤の高さは、前記主防潮堤の高さ以下であり、前記主防潮堤を超えた射流に対して、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間で、跳水を生じさせることが可能であることを特徴とする津波防潮堤である。
前記主防潮堤の陸側の地面と、前記副防潮堤の陸側の地面には、前記主防潮堤および前記副防潮堤を超えた水流により、地面が掘り下げられることを防止するための洗掘防止体が設けられることが望ましい。
前記主防潮堤の陸側の下部において、跳水促進構造が設けられることが望ましい。
前記跳水促進構造は、前記主防潮堤の下部において、前記主防潮堤に沿って所定間隔で形成される構造体を含んでもよい。
前記跳水促進構造は、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間において、前記主防潮堤および前記副防潮堤から離間して、前記主防潮堤に沿って所定間隔で形成される躯体を含み、前記躯体の海側の面は、地面に対して垂直または、上面が海側に突出する形状であってもよい。
前記副防潮堤の海側には、減勢構造体が配置されてもよい。
第1の発明によれば、主防潮堤の陸側に副防潮堤が設けられるため、主防潮堤を超えて水が流入した際、主防潮堤と副防潮堤との間に遊水池を構成することができる。したがって、遊水池の水位によって、主防潮堤の後方から水圧が付与されるため、主防潮堤の前面から付与される水圧を相殺することができる。
また、遊水池に溜まる水のクッション効果によって、越流の流速を低減し、洗掘を防止することができる。特に、主防潮堤と副防潮堤との間で跳水を生じさせることで、越流を減勢し、遊水池を形成せずに射流によって副防潮堤を越流することを防止することができる。
また、主防潮堤と副防潮堤との陸側の地面に、洗掘防止体が設けられることで、より確実に洗掘を防止することができる。このため、主防潮堤および副防潮堤の転倒などを防止することができる。
主防潮堤の陸側の下部において、跳水促進構造が設けられることで、より確実に跳水を発生させ、射流による副防潮堤の越流を防止することができる。このような、跳水を発生させる構造としては、主防潮堤の下部において、主防潮堤に沿って所定間隔で形成することで、効率良く跳水を発生させることができる。
また、跳水促進構造が、主防潮堤と副防潮堤との間に、主防潮堤に沿って所定間隔で形成される躯体であり、躯体の海側の面を、地面に対して垂直または、上面が海側に突出する形状とすることで、効率良く跳水を発生させることができる。
また、副防潮堤の海側に減勢構造体を設けることで、最初に流入した越流が、副防潮堤に衝突する際の衝撃を抑制することができる。
第2の発明は、津波防潮堤の施工方法であって、海側に形成された既設の主防潮堤に対して、陸側に離間して少なくとも一つの副防潮堤を形成する工程と、前記副防潮堤の陸側の地面に、前記副防潮堤を超えた水流により、地面が掘り下げられることを防止するための洗掘防止体を設ける工程と、前記主防潮堤の陸側の下部において、跳水促進構造を設ける工程と、を具備し、前記副防潮堤の高さは、前記主防潮堤の高さ以下であり、前記主防潮堤を超えた射流に対して、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間で、跳水を生じさせることが可能であることを特徴とする津波防潮堤の施工方法である。
第2の発明によれば、既設の主防潮堤に対して、越流した際の被害を抑制することが可能な津波防潮堤を得ることができる。
本発明によれば、防潮堤に対して越流した場合においても、越流を確実に減勢することが可能な津波防潮堤を提供することができる。
津波防潮堤1を示す図。 主防潮堤3に対する、海側からの水圧の影響を示す図。 主防潮堤3を超えた越流の状態を示す概念図。 越流に対して、各構成の配置等を示す図。 減勢構造体11を配置した津波防潮堤1aを示す図。 跳水促進構造体13を示す図。 跳水促進構造体15aを示す図。 (a)は跳水促進構造体15aの形状を示す図、(b)は跳水促進構造体15bの形状を示す図、(c)は跳水促進構造体15cの形状を示す図。 津波防潮堤1bを示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、津波防潮堤1を示す図である。津波防潮堤1は、海側(図中矢印B方向)に配置された主防潮堤3に対し、主防潮堤3の陸側(図中矢印A方向)に副防潮堤5が構築される。なお、以下の図面において、Aは海側、Bは陸側を指すものとする。
主防潮堤3は、既設の防潮堤であって、副防潮堤5を既設の主防潮堤3の陸側に形成してもよく、または、主防潮堤3と副防潮堤5との両方を新たに構築してもよい。また、主防潮堤3と副防潮堤5は、互いに地表または地中において一体で連結するように構築してもよく、または、それぞれ別々に、地中に基礎杭を形成して構築してもよい。
副防潮堤5の高さは、主防潮堤3の高さ以下で設定される。また、主防潮堤3と副防潮堤5のそれぞれの陸側の下方において、それぞれ、洗掘防止体7a、7bが必要に応じて配置される。洗掘防止体7a、7bは、例えばアスファルトマット等の部材であり、主防潮堤3、副防潮堤5を超えた越流によって、地面が掘り下げられ、主防潮堤3、副防潮堤5が転倒することを防止する。なお、通常時において、主防潮堤3および副防潮堤5以外の領域を、車道や歩道などに活用し、また、景観の妨げとなることを防止する目的で、洗掘防止体7a、7bは地面に埋設してもよい。また、洗掘防止体7a、7bの構造は、公知のいずれのものでも良い。
図2は、主防潮堤3に対して、海側からの水圧の影響を示す概念図である。主防潮堤3は、図2(a)に示すように、主防潮堤3の高さよりも低い水位9に対しては、水が主防潮堤3を超えることがない。この際、主防潮堤3に対しては、海側から水位9に応じた力(図中C)が付与される。なお、図において、矢印が長い方が、力が大きいことを意味する。すなわち、主防潮堤3は海側から水によって陸側に押される。
このような水圧による力は、水位9に応じて変化し、主防潮堤3の下部において最大となる。したがって、主防潮堤3には、少なくとも、水位9が主防潮堤3の最上部に位置した状態でも耐え得るだけの強度が必要となる。
一方、図2(b)に示すように、水位9が主防潮堤3の高さを超えると、水が主防潮堤3と副防潮堤5の間に流れ込む。このような状態となると、主防潮堤3の海側からは、水位9に応じた水圧(波圧)が付与される(図中D)。一方、主防潮堤3の陸側には、副防潮堤5によって、遊水池が形成される。この遊水池の深さ(水位9a)に応じて、主防潮堤3の陸側からは、水位9aに応じた水圧が付与される(図中E)。
したがって、主防潮堤3には、海側および陸側からそれぞれDおよびEの力が付与される。このため、海側からの力(水位9に対応する力)は、陸側からの力(水位9aに対応する力)によって相殺される。したがって、主防潮堤3の下部においては、水位9の上昇に伴う力の増加が抑制される。したがって、主防潮堤3を過剰に強くする必要がない。
次に、主防潮堤3を超えた越流の流れについて説明する。図3は、主防潮堤3を超えた越流の状態を示す概念図である。図3(a)に示すように、主防潮堤3を超える津波が押し寄せると、主防潮堤3を超えて、主防潮堤3の陸側に水が流れ込む。越流は、主防潮堤3の下部に一気に流入する。なお、この際、洗掘防止体7aによって、主防潮堤3を超えた越流による洗掘は防止される。
主防潮堤3を超えた越流が、勢いを持ったまま副防潮堤5に到達すると、越流は、その勢いによって副防潮堤5を乗り越えてさらに陸側に流れ込む(図中矢印F)。すなわち、越流がいわゆる射流の状態で副防潮堤5まで到達すると、主防潮堤3と副防潮堤5との間に、効率良く遊水池を形成することができない。このため、越流は勢いを失わずに副防潮堤5の陸側に流入する。したがって、内陸に大きな被害を与える恐れがある。なお、この際、洗掘防止体7bによって、副防潮堤5を超えた越流による洗掘は防止される。
一方、図3(b)に示す例は、主防潮堤3を超えた越流に対して跳水を生じさせた概念図である。跳水は、水の流れが乱れ(図中矢印G)、流速が急激小さくなる。これにより、主防潮堤3と副防潮堤5との間に遊水池を形成することができる。また、越流の流速を減じることができるため、副防潮堤5を超える越流の流速も抑えることができる。
次に、跳水を発生させるための条件について説明する。図4は、主防潮堤3、副防潮堤5および越流の関係を示す概念図である。図中H1は、主防潮堤3の上端に対する越流高さであり、H2は、副防潮堤5の上端に対する越流高さである。また、Hdは、例えば海底から主防潮堤3の上端までの全高であり、dは、副防潮堤5の高さである。また、Zは、主防潮堤3における落水高さである。また、h1は、跳水前の射流での水深であり、h2は、跳水後の常流での水深である。また、v1は、跳水前の平均流速である。また、Lは、主防潮堤3と副防潮堤5との距離である。
主防潮堤3からの単位幅あたりの越流量q1は、下記式(本間の式:土木学会編 水理公式集 昭和46年改訂版 P.265)で与えられる。
q1=m1H1(2gH1)^(1/2)・・・(1)
m1=0.29+0.32H1/Hd・・・(2)
なお、m1は越流係数である。
また、流速v1と水深h1は、次式(土木学会編 水理公式集 平成11年版 P.264)で評価される。
v1=(2g(Z−h1))^(1/2)・・・(3)
h1=q1/v1・・・(4)
ここで、跳水が発生する条件は次式(土木学会編 水理公式集 昭和46年改訂版 P.296)で与えられる。
h2/h1=(((8v1/gh1)+1)^(1/2)−1)/2・・・(5)
したがって、副防潮堤5の高さは、h2を確保できる高さとする。
また、跳水の長さL0は次式(土木学会編 水理公式集 昭和46年改訂版 P.296)で与えられる。
L0=4.5h2・・・(6)
したがって、主防潮堤3と副防潮堤5の距離(遊水池の長さ)Lは、
L>Z+L0=Z+4.5h2・・・(7)
副防潮堤5からの越流量q2は、次式(本間の式:土木学会編 水理公式集 昭和46年改訂版 P.265)で与えられる。
q2=m2H2(2gH2)^(1/2)・・・(8)
m2=0.29+0.32H2/d・・・(9)
なお、m2は越流係数である。
また、主防潮堤3からの越流量q1と副防潮堤5からの越流量q2は等しい。
q1=q2・・・(10)
したがって、副防潮堤5の高さdを仮定してH2を求め、H2+dが式(6)で決まるh2よりも大きくなるように、副防潮堤5の高さdを決定する。
例えば、H1=4.3m、Hd=8.2m、Z=8mであるとする。式(1)、式(2)より、
m1=0.29+0.32H1/Hd=0.29+0.32×4.3/8.2=0.458
q1=m1H1(2gH1)^(1/2)=0.458×4.3(2×9.8×4.3)^(1/2)=18.1m/s/m
さらに、式(3)、式(4)を連立させることで、
v1=11.2m/s
h1=1.60m
となる。
したがって、跳水後の水深h2は、式(5)から以下のように算出される。
h2=h1(((8q1/gh1)+1)^(1/2)−1)/2=1.60/2(((8×18.1/(9.8×1.60))+1)^(1/2)−1)=5.71m
また、遊水池の長さLは式(7)を満足するように、
L>Z+4.5h2=8.0+4.5×5.71=33.7m
したがって、L≒35mと計算される。
ここで、副防潮堤5の高さdを2.5mとすると、越流水深H2は、式(8)、式(9)から、
H2=3.23m
となる。このとき、
H2+d=3.23+2.5=5.73m>h2=5.71m
が成立する。
したがって、上記条件において、跳水が発生する副防潮堤5の高さとして、d=2.5mが適切であることが分かる。
以上のように、本発明では、跳水が発生する条件によって、主防潮堤3と副防潮堤5との配置や高さを設定する。なお、想定されるH1、Hd、Zは、例えば、想定される津波高さ、建設地点の標高などによって条件を設定すればよい。(上述のH1、Hd、Zの数値は、例えば、何に基づいて設定しているでしょうか?)
以上説明したように、本実施形態の津波防潮堤1aによれば、主防潮堤3の陸側に副防潮堤5を形成するため、主防潮堤3を越流した際に、主防潮堤3と副防潮堤5との間に遊水池を形成することができる。したがって、主防潮堤3の特に下方において、主防潮堤3に付与される水圧が陸側と海側とで相殺され、過剰な力が付与されることを防止することができる。
また、主防潮堤3および副防潮堤5の陸側の地面に、洗掘防止体7a、7bを配置することで、主防潮堤3および副防潮堤5を超えて落下する水流によって、洗掘されることを防止することができる。
また、主防潮堤3を超えた越流に対し、射流から跳水を発生させるため、確実に遊水池を形成することができる。また、勢いを持った射流のまま、副防潮堤5を超えることを防止することができる。
次に、他の実施形態について説明する。図5は、津波防潮堤1aを示す図である。なお、以下の説明において、津波防潮堤1と同一の構成については、図1等と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
津波防潮堤1aは、津波防潮堤1と略同様であるが、副防潮堤5の海側に減勢構造体11が設けられる。減勢構造体11は、例えば、中空内部が外部に開口するように形成されたブロック等から構成され、当該ブロックが必要高さまで積み上げられて構成される。なお、減勢構造体11の構成は、図示した例に限られない。最初に副防潮堤5に到達する水の勢いを減ずることができれば、いずれの構造であってもよい。
減勢構造体11を設置することで、遊水池により越流が減勢する効果を得る前に、副防潮堤5に到達する水流によって、副防潮堤5が衝撃を受けることを抑制することができる。
次に、さらに他の実施の形態について説明する。図6は、主防潮堤3の陸側下部に跳水促進構造体13を配置した状態を示す図である。なお、主防潮堤3の陸側に配置される副防潮堤5の図示は省略する。跳水促進構造体13は、主防潮堤3を超えた越流に対して、より跳水が発生しやすくするものである。
跳水を発生しやすくするためには、水の流れを単に堰止めるのではなく、例えば、進行方向に対して横方向の流れを生じさせることが望ましい。したがって、跳水促進構造体13は、主防潮堤3に沿って、所定間隔でブロック(構造体)が配置される。連続して形成したのでは、越流に対して横方向(主防潮堤3の設置方向)への流れを促進することが困難であるためである。また、ブロックは、水流を堰止めるものではないため、その高さは主防潮堤3、副防潮堤5と比較して、十分に低くてよい。
なお、跳水促進構造体13を設置する位置は、越流水塊の落水位置よりも陸側に設けるようにすると効果がある。また、跳水促進構造体13は、主防潮堤3の下端に設置される例を示したが、主防潮堤3の陸側壁面に形成してもよい。また、跳水促進構造体13を構成する構造体の形状は図示した例に限られない。
また、このような跳水を促進する構成としては、図7に示すような跳水促進構造体15を設けてもよい。跳水促進構造体15は、主防潮堤3と副防潮堤5との間にそれぞれと離間して地面に設置される。跳水促進構造体15を構成する躯体17aは、主防潮堤3(副防潮堤5)の設置方向に沿って、所定間隔で配置される。また、主防潮堤3(副防潮堤5)の設置方向に沿って、図示したように、複数列で形成してもよい。この場合には、互いの列の躯体17aの配置を千鳥状にすることが望ましい。
図8(a)は、躯体17aの形状を示す図である。躯体17aの海側の面19は、地面に対して略垂直に形成される。すなわち、躯体17aの海側の地面と、面19とのなす角度θは、約90°となる。このようにすることで、海側から来た水流に対し、効率良く左右(図中紙面に対して垂直な方向)方向に流れを変え、跳水が発生しやすくなる。
なお、このような効果を得るためには、図8(b)に示すように、躯体17bとしてもよい。躯体17bは、海側の地面と、面19とのなす角度θが、90°未満となる。すなわち、躯体17bは、面19の上端側が海側に突出するように構成される。このようにすることで、前述した、左右方向への流れを生じさせやすくなる。
一方、図8(c)に示す躯体17cのように、海側の地面と、面19とのなす角度θが、90°を超えることは望ましくない。このようにすると、海側からの射流が、左右に流れの方向を変えることなく、躯体17cを乗り越え易くなる。したがって、跳水発生効果が小さくなる。したがって、跳水促進構造体15を構成する躯体形状としては、海側の地面と海側の面19のなす角度が略垂直または、90°未満とすることが望ましい。
なお、図9に示す津波防潮堤1bのように、通常、主防潮堤3と副防潮堤5との間には、道路21などが建設される。この場合、跳水促進構造体15は、道路21等における交通の妨げとなる恐れもある。しかし、このような場合には、道路21の中央分離帯として、跳水促進構造体15を配置することで、通行の妨げとなることがない。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、減勢構造体11、跳水促進構造体13、15などの構成は、互いに組み合わせてもよい。
1、1a、1b………津波防潮堤
3………主防潮堤
5………副防潮堤
7a、7b………洗掘防止体
9、9a………水位
11………減勢構造体
13、15………跳水促進構造体
17a、17b、17c………躯体
19………面
21………道路

Claims (7)

  1. 津波防潮堤であって、
    海側に形成される主防潮堤に対して、陸側に離間して形成される少なくとも一つの副防潮堤であって、
    前記副防潮堤の高さは、前記主防潮堤の高さ以下であり、
    前記主防潮堤を超えた射流に対して、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間で、跳水を生じさせることが可能であることを特徴とする津波防潮堤。
  2. 前記主防潮堤の陸側の地面と、前記副防潮堤の陸側の地面には、前記主防潮堤および前記副防潮堤を超えた水流により、地面が掘り下げられることを防止するための洗掘防止体が設けられることを特徴とする請求項1記載の津波防潮堤。
  3. 前記主防潮堤の陸側の下部において、跳水促進構造が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の津波防潮堤。
  4. 前記跳水促進構造は、前記主防潮堤の下部において、前記主防潮堤に沿って所定間隔で形成される構造体を含むことを特徴とする請求項3記載の津波防潮堤。
  5. 前記跳水促進構造は、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間において、前記主防潮堤および前記副防潮堤から離間して、前記主防潮堤に沿って所定間隔で形成される躯体を含み、前記躯体の海側の面は、地面に対して垂直または、上面が海側に突出する形状であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の津波防潮堤。
  6. 前記副防潮堤の海側には、減勢構造体が配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の津波防潮堤。
  7. 津波防潮堤の施工方法であって、
    海側に形成された既設の主防潮堤に対して、陸側に離間して少なくとも一つの副防潮堤を形成する工程と、
    前記副防潮堤の陸側の地面に、前記副防潮堤を超えた水流により、地面が掘り下げられることを防止するための洗掘防止体を設ける工程と、
    前記主防潮堤の陸側の下部において、跳水促進構造を設ける工程と、
    を具備し、
    前記副防潮堤の高さは、前記主防潮堤の高さ以下であり、
    前記主防潮堤を超えた射流に対して、前記主防潮堤と前記副防潮堤との間で、跳水を生じさせることが可能であることを特徴とする津波防潮堤の施工方法。
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