JP2013233760A - 異方導電性フィルム用離型フィルム - Google Patents

異方導電性フィルム用離型フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた離型性および帯電防止性を有しながら、異方導電性フィルムにおける絶縁不良を抑制することができ、異方導電性フィルムの離型フィルムとして好適に用いることができる離型フィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、該離型層は、固形分として硬化型シリコーン樹脂と、塗液の全固形分質量に対して0.5〜30質量%のカーボンナノ材料と、分散剤とを含む塗液から形成された離型層であり、離型フィルム1gを超純水100mL中に入れ、100℃で13時間加熱抽出した際の、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOの抽出量がいずれも50μg/g以下である、異方導電性フィルム用離型フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、異方導電性フィルムに用いられる離型フィルムに関する。
従来、帯電防止離型フィルムとしては、基材フィルムの片面に帯電防止層およびその上に離型層を塗工形成した2層構成品や、基材フィルムの一方の面に離型層およびその反対面に帯電防止層を塗工形成した背面帯電防止層品がある。しかしながら、これら構成の帯電防止離型フィルムを製造するに際しては、1回のパスで1層しか塗工できない設備を用いると、2回パスさせて2回塗工しなくてはならず、著しく生産性が劣る。また、1回のパスで2層を別々に塗工できる設備では、塗工設備の配置や、乾燥設備の配置にスペースを要したり、設備点数が多くなったりするため、設備投資費用が高くなる。また、1回のパスで2層を同時に塗工できる設備では、各層の化学的な相互作用等を調整することが必要になる為、塗工に時間がかかったり、歩留りを低下させたりしてしまう。
汎用性の高い1層塗工での帯電防止性を有する離型フィルムとして、導電性物質を含有した離型層を有する離型フィルムが提案されている。しかしながら、離型成分として白金触媒を用いた付加反応型シリコーン離型層は、剥離力及び残留接着率の点より優れた離型層であるが、白金触媒は窒素、硫黄、燐などが触媒毒となり硬化不良を生じるところ、帯電防止性を発現する物質としてこれら原子を含有する四級アンモニウム塩や、ポリチオフェンおよびポリアニリンといった導電性ポリマーを用いた場合、十分な塗膜の硬化性を得る事が難しくなる。また、導電性物質として金属酸化物微粒子を用いる場合には、電子移動経路としての十分な金属酸化微粒子の接点を得る為に、多量の金属酸化微粒子を添加する必要が生じ、コストが増大したり、離型性を有しない金属酸化物比率が多くなることによって離型性が低下したりすることが問題となる。
これら問題点を解決するにあたり、カーボンナノチューブは、生産性が良く、またほとんど炭素のみで構成されているため、シリコーンの付加反応を阻害することがない。また、アスペクト比が大きいために、金属酸化微粒子よりも添加量を抑制しても十分な帯電防止性を発現し、離型性への影響が非常に少なく、優れた材料である(特許文献1)。
一方、液晶表示装置(LCD)等の普及に伴い、近年、異方導電性フィルムの重要が急速に高まっている。異方導電性フィルムは、粘着性を有し、特に表示装置の電気的接続に用いられるものであり、貼り合わせ後は、厚み方向に導電性を示し、面方向には絶縁性を示す素材である。異方導電性フィルムは、粘着性を有するため、通常離型フィルムで保護された状態で保管される。そして、かかる離型フィルムには、帯電防止性が必要とされる。すなわち、異方導電性フィルムは、フレキシブル基盤とLCDとの接合等に用いられる為、離型フィルムが帯電防止性を有することによって異方導電性フィルムの貼り付けの際に異物の巻き込みや付着を防止したり、離型フィルムを剥離する際に生じる帯電によって異方導電性フィルム自身が帯電し、貼り付け時にフィルムが振動してしまい、貼り付けの不具合となることを防止したりできるためである。
特開2007−90817号公報
異方導電性フィルムは、組み込み後に通電する接点として用いられる為、内部で電圧差を生じるが、近年、その際に異方導電性フィルムが不純物としてイオン性物質を含有していると、イオンマイグレーションと呼ばれる金属イオンの移動が生じ、移動した金属イオンがある箇所で成長するデンドライドと呼ばれる現象を生じることが問題となってきた。このデンドライドは、移動してきた金属イオンが還元して、樹木の枝のように成長する現象であり、デンドライドによって、従来絶縁性を示すべき面方向における絶縁不良を引き起こし、表示デバイスにおいて表示異常を引き起こすこととなる。
また、導電性能を有する離型層は、脱落して異方導電性フィルムに混入すると、混入した離型層によって異方導電性フィルムの面方向における絶縁不良が引き起こされ、これもまた表示デバイスにおける表示異常に繋がる。
そして本発明者は、異方導電性フィルムに用いる離型フィルムに係る不純物が上記問題に関与することを見出し、これに着目し、本発明に至った。
本発明は、優れた離型性および帯電防止性を有しながら、異方導電性フィルムにおける絶縁不良を抑制することができ、異方導電性フィルムの離型フィルムとして好適に用いることができる離型フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するにあたって、以下の構成を採用するものである。
1.基材フィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、
該離型層は、固形分として硬化型シリコーン樹脂と、塗液の全固形分質量に対して0.5〜30質量%のカーボンナノ材料と、分散剤とを含む塗液から形成された離型層であり、
離型フィルム1gを超純水100mL中に入れ、100℃で13時間加熱抽出した際の、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOの抽出量がいずれも50μg/g以下である、
異方導電性フィルム用離型フィルム。
2.離型層表面における表面抵抗が10〜1011Ω/□である上記1に記載の異方導電性フィルム用離型フィルム。
3.硬化型シリコーン樹脂、カーボンナノ材料分散体および希釈溶媒を混合して得られた塗液を基材フィルムに塗布して乾燥する、上記1または2に記載の離型フィルムを製造するための製造方法であって、
該カーボンナノ材料分散体が分散剤を含有しており、該分散剤がノニオン系であり、
該希釈溶媒が、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOを実質的に有しない溶媒である、
離型フィルムの製造方法。
本発明によれば、優れた離型性および帯電防止性を有しながら、異方導電性フィルムにおける絶縁不良を抑制することができ、異方導電性フィルムの離型フィルムとして好適に用いることができる離型フィルムおよびその製造方法を提供することができる。
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に離型層を有するものである。以下、本発明を構成する各構成成分について説明する。
[基材フィルム]
本発明における基材フィルムは、本発明の目的を阻害せず、離型フィルムの基材となるものであれば得に限定はされないが、好ましくは熱可塑性樹脂からなるフィルムである。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネート等を好ましく挙げることができる。中でも、機械特性、異物、不純物の少なさ、コスト等のバランスに優れるという観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸とグリコールとから形成されるポリエステルであることが好ましい。かかるポリエステルは、実質的に線状であり、フィルム形成性を有し、特に溶融成形によるフィルム形成性を有するものであればよい。ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。また、グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール等の如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらポリエステルの中、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレン−2,6−ナフタレート、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
また、これらには全酸成分を基準として20モル%以下の共重合成分を含有していても構わない。例えば全酸成分の80モル%以上がテレフタル酸成分または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分であり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコール成分である共重合ポリエステルであっても構わない。その際、全酸成分の20モル%以下は、それぞれテレフタル酸成分または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分以外の、上記にて例示したジカルボン酸に由来する成分であることができ、例えばアジピン酸、セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等に由来する成分であることができる。また、全グリコール成分の20モル%以下は、エチレングリコール成分以外の上記にて例示したグリコールに由来する成分であることができ、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き芳香族ジオール;1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)等に由来する成分であることもできる。また、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分およびオキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合しても構わない。さらに、上記ポリエステルには、実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトール等を共重合したものも包含される。
上記ポリエステルは、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。ポリエステルとしては、o−クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が0.4〜0.9dL/gのものが好ましく、0.5〜0.7dL/gのものがさらに好ましく、0.55〜0.65dL/gのものが特に好ましい。
本発明における基材フィルムには、フィルムの滑り性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.01〜25μm程度、好ましくは0.01〜2μm程度の有機や無機の微粒子を、例えばフィルムの質量を基準として0.005〜2質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%の配合割合で含有させることができる。
かかる微粒子の具体例としては、炭酸カルシウム、カオリン、酸化ケイ素、硫酸バリウム等の無機粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子等の有機粒子を挙げることができる。さらに、ポリエステルの合成反応に使用した触媒残査から微粒子を析出させることにより、フィルム表面に微細な凹凸を形成させ、フィルムの滑り性を良好なものとしてもよい。
本発明においては、これらの微粒子は、熱可塑性樹脂へ添加する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工業的手段としては、例えば乾式もしくは湿式遠心分離法や風力分級法等が挙げられる。なお、これらの手段は2種類以上を併用し、段階的に精製することが特に好ましい。
本発明における基材フィルムとしては、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、本発明においては、機械特性の観点からポリエステルフィルムが好ましく、特に二軸配向ポリエステルフィルムが好ましいものであるが、かかる二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルを乾燥後、押出機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から回転冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、必要に応じて熱固定することにより製造することができる。かかる二軸方向の延伸に際しては、逐次二軸延伸法であってもよいし、同時二軸延伸法であってもよい。
基材フィルムの厚みは、機械特性や取り扱い性など、本発明が目的とする用途への適用のしやすさを考慮して適宜設定することができる。かかる観点から、5〜250μmが好ましく、10〜80μmがより好ましく、20〜50μmがさらに好ましい。
さらに、基材フィルムには、上記微粒子以外にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、触媒、また、ポリエステルフィルムである場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、オレフィン系アイオノマーのような他の樹脂等も、本発明の目的を損なわない範囲で任意に含有させることができる。
[離型層]
本発明の離型フィルムは、上記基材フィルムの少なくとも片面に、固形分として硬化型シリコーン樹脂とカーボンナノ材料と分散剤とを含む塗液から形成された離型層が設けられたものである。ここで離型層は、硬化型シリコーン樹脂を主たる成分として形成された、いわゆるシリコーン離型層である。なお、ここで「主たる成分として」とは、離型層が必須成分としてのカーボンナノ材料および分散剤を含み、また任意成分を任意に含み、離型層のその余の部分を硬化型シリコーン樹脂が占めている態様を表わすものであり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であることを表わすものとする。また、塗液の固形分とは、必ずしも固体であることを限定するものではなく、例えば離型層を形成する程度の乾燥処理をした後に多少の流動性を有する、いわゆるオイル成分のようなものであっても良い。
(硬化型シリコーン樹脂)
硬化型シリコーン樹脂としては、一般に離型剤として知られたものを用いることができ、例えば「シリコーン材料ハンドブック」(東レダウコーニング編、1993.8)等に記載の公知なものの中から選んで使用することができる。例えば、信越シリコーン(株)製KS−847(H)、KS−776、東芝シリコーン(株)製TPR−6700等を挙げることができる。これらの硬化方式としては熱または放射線硬化型が一般的である。例えば、分子鎖両末端あるいは両末端および側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサンと、メチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させる熱硬化反応を例示することができる。
すなわち、例えば下記式(A)で表わされるビニル基を有するポリジメチルシロキサン、下記式(B)で表わされるメチルハイドロジェンポリシロキサンおよびPt系化合物を含む塗液をフィルムに塗布し、加熱して乾燥および硬化反応させることにより形成することができる。この加熱の条件は、例えば温度80〜160℃下で10〜120秒間、特に温度100〜150℃ 下で15〜60秒間とすることが、乾燥および硬化反応を十分なものとするために好ましい。
Figure 2013233760
上記式(A)中、mおよびnは1以上の数であるが、mが1〜100、nが20〜5000、m+nが30〜5000の範囲であると架橋反応が好適に進み、耐久性のある層となるため好ましい。
また、上記式(B)中、aおよびbは1以上の数であるが、aが3〜200、bが1〜20、5≦a+b≦200の範囲であると、架橋反応が好適に進み、耐久性のある層となるので好ましい。
なお、上記式(A)および(B)における繰り返し単位数m、n、a、bはブロック結合を意味しているのではなく、これらは単にそれぞれの単位の和がm、nあるいはa、bであることを示しているにすぎないと解すべきである。したがって、上記式(A)および(B)における各単位はランダム結合していても、またブロック結合していてもよい。
離型層は、剥離力を調整するという観点から、上記の硬化型シリコーン樹脂とともに下記式で表されるシラン化合物を含有している態様が好ましい。
(R−Si−R
(R−O)−Si−R
(R−O−R−Si−R
(ただし、Rは炭素数1〜5の鎖状アルキル基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rはビニル基またはフェニル基である。)
かかるシラン化合物の添加量としては、硬化型シリコーン樹脂100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましい。
(カーボンナノ材料)
本発明における離型層は、カーボンナノ材料を含有する。これにより帯電防止性を付与することができる。
従来、シリコーン離型層に帯電防止機能を付与するためには、離型層中に帯電防止剤を添加することが検討されていた。しかしながら、帯電防止剤としてはカチオンまたはアニオンタイプのものが多く、これら帯電防止剤にはイオン成分が存在し、このイオン成分がシリコーン樹脂の架橋反応で使用される白金触媒の触媒毒となるためシリコーン樹脂の硬化反応が不十分となり、初期・経時の残留接着率が不十分なものとなっていた。そこで本発明においては、シリコーン樹脂の硬化反応を阻害しない目的で、帯電防止剤としてカーボンナノ材料を採用する。
好ましく用いられるカーボンナノ材料としては、フラーレン、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどを例示することができる。これらは、湿式法、またはアーク放電法、レーザー蒸発法、CVD、気相合成法などの乾式法により製造される。効率よく帯電防止性を付与することができる観点から、乾式法のものが好ましい。また、その形体から、比較的絡み易いためにカーボンナノ材料同士の接触部分を増やすことができ、優れた帯電防止性性が得やすいという観点から、チューブまたはファイバー構造のものが好ましい。例えば直径が1〜100nm、好ましくは15〜50nm、さらに好ましくは20〜30nmである。また、長さは、例えば0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmである構造のものが好ましい。このようなカーボンナノ材料を用いることにより、異方導電性フィルムの離型フィルムとして好適な帯電防止機能を有し、かつ剥離性や、離型層の耐久性にも優れた離型フィルムを得ることができる。
本発明の離型層は、上述のカーボンナノ材料を塗液の全固形分質量に対して0.5〜30質量%で含む塗液から形成されるものである。かかる含有量範囲とすることにより、離型性と帯電防止性とのバランスに優れ、特に異方導電性フィルム用の離型フィルムに求められる離型性と帯電防止性のバランスとすることができる。カーボンナノ材料の含有量を少なくすれば、表面固有抵抗が高くなる傾向にあり、他方、多くすれば表面固有抵抗は低くなる傾向にあるものの、剥離力が重くなったり、残留接着率が低くなったりする傾向にある。また、表面固有抵抗が低すぎると、後述する脱落した離型層に起因する異方導電性フィルムにおける不良が発生しやすくなる。これらの観点から、カーボンナノ材料の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
なお、離型層を形成するための塗液には、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明が好ましく規定する任意成分を添加することができる。その際は、塗液の固形分においては、カーボンナノ材料や任意成分が占める質量のその余を硬化型シリコーン樹脂が占める態様とすればよい。
上記塗液から形成される本発明における離型層としては、硬化型シリコーンの硬化による質量減少がわずかにあるものの、離型層としては、好ましくはカーボンナノ材料が0.5〜30質量%を占めている態様が好ましく、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
(厚み)
離型層の厚みは、0.01〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲となる。塗膜の厚みが薄すぎる場合、薄層となる為に均質な塗膜形成が難しくなり、剥離不良を生じやすくなる。また、厚みが厚すぎると、離型層の欠落がし易くなる傾向にあり、異方導電性フィルムへの離型層の混入がしやすくなる傾向にある。また、離型層が柔軟性を有しやすくなる傾向にあり、フィルムロールとして巻き取った時にブロッキングと呼ばれる密着を生じやすくなる。
[離型フィルムの特性]
(表面固有抵抗)
本発明における離型層は、離型層中にカーボンナノ材料が含有され、その離型層表面の表面固有抵抗が1×10Ω/□以上、1×1011Ω/□以下であることが好ましい。これにより異方導電性フィルム用の離型フィルムとしてより好適な帯電防止性となる。表面固有抵抗が高すぎると、帯電防止効果が低くなる傾向にある。かかる観点から、より好ましくは1×1010Ω/□以下、さらに好ましくは1×10Ω/□以下である。他方、上記範囲よりも低すぎると、そのような離型層が脱落等し、異方導電性フィルムへ混入した際に、かかる混入した離型層が異方導電性フィルムの面方向に導通性を付与してしまい、隣り合った絶縁すべき端子間を導通してしまう不良を発生させる危険がある。この不良を回避する為に、離型層は一定以上の表面固有抵抗とする必要がある。かかる観点から、より好ましくは1×10Ω/□以上、さらに好ましくは1×10Ω/□以上である。
かかる表面固有抵抗の値は、離型層におけるカーボンナノ材料の形状、種類(長さ等)や含有量を調整することで達成することができる。
(離型性)
離型層表面における剥離力は、ポリエステル粘着テープ(日東電工社:31Bテープ)の1cm幅の剥離力が、0.5〜100.0g/cmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜75.0g/cm、さらには1.0〜10.0g/cm、特には1.0〜5.0g/cmであることが好ましい。最も好ましくは1.0〜2.0g/mである。剥離力が低すぎる場合は、異方導電性フィルムの取り扱いの際に、意図しないときに離型フィルムが剥離してしまうなど、ハンドリング性が低下する。他方、剥離力が高すぎる場合は、異方導電性フィルムから離型フィルムが剥離し難く、使用時において取り扱いがし難くなる傾向にある。また、異方導電性フィルムへの離型層の混入や離型層を構成する成分の混入がし易くなる傾向にある。離型層や離型層を構成する成分が異方導電性フィルムへ混入してしまうと、かかる混入した離型層等が異方導電性フィルムの面方向に導通性を付与してしまい、隣り合った絶縁すべき端子間を導通してしまう不良を発生させる危険がある。さらに、離型フィルムの剥離時に、異方導電性フィルムが破断しやすくなる傾向にある。
かかる剥離力は、シリコーンにおけるポリジメチルシロキサンの構成により調整することができる。
また、初期残留接着率が80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは85%以上である。同時に、温度60℃相対湿度90%RH下で3ヶ月保持した後の経時残留接着率が80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは85%以上である。これらにより異方導電性フィルム用の離型フィルムとしてより好適な剥離特性となる。初期残留接着率および経時残留接着率が低すぎる場合には、異方導電性フィルム用の離型フィルムとして用いると、離型層の一部や離型層を構成する成分の一部が、異方導電性フィルムに混入したり転移したりしやすくなる傾向にある。かかる観点から、初期残留接着率および経時残留接着率は、いずれも85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
初期残留接着率および経時残留接着率の値は、硬化型シリコーン樹脂の硬化条件を、より促進させる方向とすればよい。例えば硬化温度を高くしたり、放射線であれば照射強度を強くしたり、硬化時間を長くしたりすればよい。また、シリコーンオイル成分等の低分子成分を少なくすれば、初期残留接着率および経時残留接着率の値は高くなる傾向にある。
(不純物イオン)
本発明の離型フィルムは、その1gを超純水100mL中に入れ、100℃で13時間加熱抽出した際の、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOO(以下、これらをまとめて不純物イオンと呼称する場合がある。)の抽出量(フィルム質量基準)がいずれも50μg/g以下であることが必要である。これにより、異方導電性フィルムにおけるデンドライド現象による絶縁不良を抑制することができる。これらのうち少なくともいずれか1つでも上記範囲を超えると、デンドライド現象が抑制できない。
上記抽出量を達成するためには、後述のように、離型層を形成するための塗液において、カーボンナノ材料を分散させるための分散剤として特定のものを用いたり、希釈溶媒として特定のものを用いたりすればよい。
[離型層の形成方法]
本発明においては、基材フィルムの離型層を形成したい側の面に、離型層を形成するための塗液(以下、離型層塗液と呼称する場合がある。)を塗布して、乾燥、硬化することにより、基材フィルムの少なくとも片面に離型層を形成することができる。
離型層塗液は、硬化型シリコーン樹脂、カーボンナノ材料、分散剤および希釈溶媒からなる。より具体的には、離型層塗液中においては、カーボンナノ材料は、分散剤によりカーボンナノ材料分散体として用いられ、すなわち離型層塗液は、硬化型シリコーン樹脂、カーボンナノ材料分散体および希釈溶媒からなる。離型層塗液は、これら成分および離型層および離型層塗液に任意に添加しても良い他の成分を混合して作成すればよい。
分散剤を用いることにより、離型層塗液中および離型層中のカーボンナノ材料の凝集を抑制することができ、適度な分散状態とすることができる。それにより、かかる凝集に起因して発生する離型層の破壊、脱落を抑制することができ、異方導電性フィルムへの離型層の混入を抑制することができる。また、分散が良好となるために、比較的少ない添加量でより良い帯電防止性を付与することができる。これによって剥離特性の向上が望めることからもまた、異方導電性フィルムへの離型層の混入を抑制することができる。さらに、離型層塗液のポットライフを長くすることができる。例えば、離型層塗液の保管において、カーボンナノ材料の凝集を抑制することができるし、また、凝集したとしても再攪拌により再分散させることが容易となる。
かかる分散剤としては、ノニオン系分散剤を用いることが好ましい。これにより離型フィルムから抽出される不純物イオンの量を低減することができる。ノニオン系分散剤としては、例えば、ポリエステル系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤のようなポリマータイプのものを好ましく例示することができる。また、ノニオン系界面活性剤を好ましく例示することができる。これに対して、対イオンを有するカチオン系またはアニオン系の分散剤では、不純物イオン量を低減することができず、デンドライドを抑制することができない。
分散剤の含有量は、カーボンナノ材料(固形分)100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、分散性が良好となり、異方導電性フィルム用の離型フィルムとしてより好適な離型層を得ることができる。より好ましくは5〜15質量部、さらに好ましくは8〜12質量部である。
離型層塗液は、一般的に硬化型シリコーン樹脂は粘度が高いために、塗工に際してより好適な粘度とするために、希釈溶媒を含む。また、希釈溶媒により塗液濃度を調整することは、離型層の厚みの調整のしやすさを向上させる。
離型層塗液は、有機溶剤系の塗液であることが好ましい。希釈溶媒は、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOを実質的に有しないものである。そこで希釈溶媒としては、有機溶剤であることが好ましい。水性塗液であると、不純物イオンが発生しやすくなる傾向にある。ここで、「実質的に有しない」とは、希釈溶媒中に10質量ppm以下であることを示す。
希釈溶媒として用いられる有機溶剤としては、一般的な硬化型シリコーン樹脂はケトン系有機溶剤(例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK))、直鎖炭化水素系有機溶剤、芳香族系有機溶剤(例えばトルエン)、エーテル系有機溶剤、エステル系有機溶剤等の有機溶剤に良く溶解するため、これら有機溶剤を用いることが好ましい。特に好ましくは、硬化型シリコーン樹脂の溶解性や、不純物イオン抑制の観点から、MEKとトルエンとの混合溶媒である。一方、エステル系有機溶剤、特に蟻酸エステルまたは酢酸エステルを有するエステル系有機溶剤は、空気中の水分の取り込み等によって水が存在すると、平衡反応として蟻酸イオンまたは酢酸イオンを生じてしまうため好ましくない。
離型層塗液には、カーボンナノ材料の分散性をより高めるために、分散助剤を用いることができる。ここで分散助剤とは、希釈溶媒の一部であり、カーボンナノ材料の分散をよりし易くする有機溶剤である。上記エステル系有機溶剤によるイオン発生の懸念は、希釈溶剤のみでなく、エステル系分散助剤(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))についても同様のことが言えるため、エステル系分散助剤の使用は避ける必要がある。よって、エステル系分散助剤を含有しないことが好ましい。
離型層塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗布方法を採用することができ、例えばロールコーター法、ブレードコーター法等を挙げることができ、また両面塗布においては、同時あるいは片面ずつの塗工であってもよく、特に限定されるものではない。
基材フィルムに離型層塗液を塗布した後、好ましくは温度60〜180℃、さらに好ましくは100〜160℃にて、好ましくは10〜120秒間、さらに好ましくは30〜90秒間乾燥して、硬化型シリコーン樹脂を硬化させて離型層を形成する。必要に応じて紫外線や電子線等を照射してもよい。
[アンカーコート層]
本発明においては、基材フィルムと離型層との間の接着性を向上させるために、これらの間にアンカーコート層を設けることが好ましい。これにより、離型層が異方導電性フィルムに混入してしまうことを抑制することができる。
かかるアンカーコート層としては、シランカップリング剤からなるアンカーコート層を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、一般式Y−Si−Xで示されるものを挙げることができる。ここで、Yはアミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基またはメルカプト基等で代表される官能基を有する有機基で、Xはアルコキシ基で代表される加水分解性の官能基を示す。アンカーコート層の厚みは、0.01〜5μm、特に0.02〜2μmの範囲が、接着性の観点から適当である。
かかるアンカーコート層を形成するにあたっては、特に限定はないが、基材フィルムを二軸延伸して形成する製膜工程中の二軸延伸する前の段階でフィルム面に塗布し、次いで乾燥・熱処理と同時に二軸延伸を完了させて形成する、いわゆるインラインコーティング法を採用することが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本発明における物性値および特性値は、下記の方法にて測定した。
(1)剥離力
離型層表面にポリエステル粘着テープ(日東電工社:31Bテープ)を貼り合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着した後、離型フィルム幅を粘着テープとほぼ同じ幅になるように切り試験片を作成する。その試験片の離型層と粘着テープとの間の剥離力を引っ張り試験機にて測定した。かかる測定においては、剥離速度300mm/分、離型フィルムを剥離角度180度で剥離した際の剥離力を測定した。
(2)残留接着率
ポリエステル粘着テープ(日東電工社:31Bテープ)を、JIS G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に貼り付けた後の剥離力を測定し、基礎接着力(f)とした。また、前記ポリエステル粘着テープを試料フィルムの離型層表面に貼合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着した後、室温で30秒間放置した後粘着テープを剥がした。そして、この剥がした粘着テープを上記のステンレス板に貼り付け、剥離して剥離力を測定して残留接着力(f)とした。得られた基礎接着力と残留接着力とから下記式を用いて初期残留接着率を求めた。
残留接着率(%)=(f/f)×100
また、経時残留接着率は、上記測定方法において、前記ポリエステル粘着テープを試料フィルムの離型層表面に貼合わせ、室温で放置する代わりに、5kgの圧着ローラーで圧着した後、温度60℃、相対湿度90%RH下で90日間放置した以外は同様にして求めた。
(3)表面固有抵抗
株式会社アドバンテスト社製(R8340/R12704)測定器にて、離型層表面について表面固有抵抗を測定した。測定環境は、温度23℃、相対湿度55%RHの雰囲気下に24時間エージングした試料フィルムを上記装置にて測定した。表面抵抗値は下記の基準で評価した。
×1:1011Ω/□より高い
○ :10Ω/□以上、1011Ω/□以下
×2:10Ω/□より低い
(4)スミアテスト/ラブオフテスト
(4−1)スミアテスト
人差し指で離型層表面を一回擦り、表面の白化状態を目視観察して下記基準で評価した。
○:変化無し
△:やや白化した
×:白化した
(4−2)ラブオフテスト
親指で離型表面を10回擦り、その部分の離型層の脱落を確認するため、セロテープ(登録商標)にて剥離状態を確認して下記基準で評価した。
○:セロテープ(登録商標)剥離時、擦ってない離型層表面対比で剥離変化無し
×:セロテープ(登録商標)剥離時、擦ってない離型層表面対比で剥離変化有り
(5)離型フィルムからの抽出イオン成分分析(不純物イオン抽出テスト)
離型フィルムサンプル1g(3cm角程度に裁断したもの)を精秤し、容器に入れ、かかる容器に超純水100mLを加えて密閉した後、100℃のオーブン中で13時間加熱して、離型フィルムから溶出する成分を抽出した。得られた抽出液を検液とし、イオンクロマトグラフ方(IC法)により、Na,Ca2+,Cl,SO 2−,CHCOO,HCOOを定量した。陽イオンの検出に用いたイオンクロマトグラフは、ダイオネクス社製 ICS−3000、陰イオンの検出に用いたイオンクロマトグラフは、ダイオネクス社製 ICS−1500を用いた。フィルムサンプルの質量を基準とした各成分の抽出量から下記基準により評価した。
○:Na,Ca2+,Cl,SO 2−,CHCOO,HCOOのいずれのイオンにおいても抽出量が50μg/g以下
×:Na,Ca2+,Cl,SO 2−,CHCOO,HCOOの1つ以上のイオンにおいて抽出量が50μg/gよりも多い
(6)分散安定性の確認(分散安定性テスト)
作成した塗液を25℃の室温において、密閉した100mlガラス容器に70mlの塗液を入れ、24時間放置した後、スターラーで10秒攪拌してから30秒後の分散状態を確認した。
○:カーボンナノ材料が一様に再分散されている。
×:カーボンナノ材料の凝集物が容易に確認される。
[実施例1]
(基材フィルムの製造)
酢酸マンガンをエステル交換触媒、亜燐酸を安定剤、三酸化アンチモンを重合触媒とし、滑剤として酸化ケイ素粒子(平均粒径1.8μm)を0.06質量%含有する、固有粘度が0.56dL/g(o−クロロフェノール溶媒、25℃)のポリエチレンテレフタレートペレットを乾燥後、溶融温度280〜300℃で溶融し、スリット状ダイより、次いで表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出して、厚み520μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを温度75℃に予熱し、次いで低速、高速のロール間で15mm上方より800℃の表面温度のIRヒーターにて加熱して縦方向(製膜機械軸方向のこと。)に倍率3.6倍に延伸し、急冷し、続いて横延伸機に供給し、温度120℃にて横方向(製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のこと。)に倍率3.9倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを温度230℃で5秒間熱固定し、厚み38μmの熱固定二軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、上記製膜工程において、縦延伸が終了した一軸延伸フィルムが横延伸に入る直前の位置で、フィルムの片面に、アンカーコート層として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの3質量%水溶液(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100質量部に対して10質量部のノニオン系界面活性剤を含有したもの)を5g/m(wet)の塗布量で塗布した。
(離型層塗液の調製)
メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとからなる硬化型シリコーン樹脂に白金触媒(硬化型シリコーン樹脂100質量部に対して3質量部)を加えて付加反応させるタイプのシリコーン剤(信越化学社製KS847、トルエン:メチルエチルケトン(MEK)=70:30(質量比)混合溶媒)を、希釈溶媒がMEKとトルエンとの混合溶剤(MEK:トルエン=80:20(質量比))となるように希釈し、そこに気相触媒合成法によって得られたカーボンナノチューブ(平均直径20nm、長さ1〜5μmのものの混合物、表1においてCNTと表記する。)を、離型層塗液における固形分に対して1質量%、および分散剤としてメタクリル−スチレン共重合ポリマー分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製 DISPERBYK−2000、表1においてD2000と表記する。)を離型層塗液における固形分に対して0.1質量%となるように添加して、離型層塗液(固形分濃度2.0質量%)を作成した。なお、上記希釈溶媒は、不純物イオンを含有しないものであった。
(離型層の形成)
上記で得られた離型層塗液を、上記で得られたアンカーコート層が形成された方のポリエステルフィルム表面に塗布し、温度140℃で60秒間乾燥して厚み0.1μmの離型層を有する離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2,3、比較例1〜5]
離型層塗液における固形分組成、希釈溶媒組成および分散助剤を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表1に示す。
なお、比較例3においては、塩素イオンを対イオンとしたアルキルアンモニウム塩型分散剤ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製 D1630、表1においてはD1630と表記する。)を用いた。
また、比較例4においては、分散助剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(表1においてPGMEAと表記する。)を用いた。この際、かかる分散助剤の添加量分を希釈溶剤から差し引き、これらを合わせて希釈溶剤としてみなして取り扱った。
[実施例4〜6]
基材フィルムの厚みを表1に示すとおりとした以外は実施例2と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表1に示す。
[実用評価]
異方性導電膜(ソニーケミカル社製、型番CP9731SB)の両面に、上記実施例で得られた離型フィルムを、離型層が異方性導電膜側となるように、2kgの圧着ローラーを用いて貼り付けた後、温度60℃、相対湿度80%の環境において10日間放置した。
100μmの間隔をあけて2点の金属端子を備えたガラス板を用意した。上記放置後の異方性導電膜から離型フィルムを剥離し、ガラス板の金属端子を備えた側の表面に異方性導電膜を貼り合わせ、その上に金属端子を有しないガラス板を貼り合わせ、温度80℃、時間2秒、圧力1.0MPaの条件で仮貼りし、次いで、温度180℃、時間15秒、圧力3MPaの条件で本圧着した。
ガラス板上の2点の金属端子の導通を確認したところ、実施例1〜6で得られた離型フィルムを用いた場合は導通がなかった(評価:○)が、比較例2〜5で得られた離型フィルムを用いた場合は導通があり(評価:×)、絶縁不良であった。ここで比較例2においては、離型層の脱落により絶縁不良が生じたものと考えられる。なお、比較例1で得られた離型フィルムは、帯電防止性が不良であったために、本評価を実施しなかった。
Figure 2013233760
本発明の離型フィルムは、異方導電性フィルム用の離型フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、
    該離型層は、固形分として硬化型シリコーン樹脂と、塗液の全固形分質量に対して0.5〜30質量%のカーボンナノ材料と、分散剤とを含む塗液から形成された離型層であり、
    離型フィルム1gを超純水100mL中に入れ、100℃で13時間加熱抽出した際の、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOの抽出量がいずれも50μg/g以下である、
    異方導電性フィルム用離型フィルム。
  2. 離型層表面における表面抵抗が10〜1011Ω/□である請求項1に記載の異方導電性フィルム用離型フィルム。
  3. 硬化型シリコーン樹脂、カーボンナノ材料分散体および希釈溶媒を混合して得られた塗液を基材フィルムに塗布して乾燥する、請求項1または2に記載の離型フィルムを製造するための製造方法であって、
    該カーボンナノ材料分散体が分散剤を含有しており、該分散剤がノニオン系であり、
    該希釈溶媒が、Na、Ca2+、Cl、SO 2−、CHCOO、HCOOを実質的に有しない溶媒である、
    離型フィルムの製造方法。
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