JP2013232407A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムのパージ制御方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムのパージ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低負荷発電から高負荷発電に移行する際に出力が低下するのを防止できる燃料電池システムおよび燃料電池システムのパージ制御方法を提供する。
【解決手段】低負荷時に(S1、No)、窒素濃度が第1の濃度以上の場合(S3、Yes)、加速パージ要求フラグを「1」に設定しておき(S4)、その後、高出力要求がされたときに(S1、Yes)、加速パージ要求フラグが「1」である場合には、窒素濃度と要求負荷に基づいてパージ量を設定して(S8)、加速パージを実行する(S10)。加速パージ実行後、加速パージ要求フラグを「0」に設定する(S9)。
【選択図】図2

Description

本発明は、アノード循環流路を効率的にパージできる燃料電池システムおよび燃料電池システムのパージ制御方法に関する。
アノード循環流路を備えた燃料電池システムでは、燃料電池の発電中、燃料電池のカソードから電解質膜を介してアノードに不純物が透過し、アノード循環流路の不純物が増加することで発電性能が低下する。このため、燃料電池システムでは、アノード循環流路内の不純物を定期的に外部に排出する定期パージ制御が行われている。
特許文献1には、スタック内部の滞留水量が所定量以上であり、その滞留水がスタックの外部に排出されると予測される場合には、排出バルブを開弁して貯留装置内の生成水を排出する技術が記載されている。
特許文献2には、燃料電池の運転状態に基づいてアノード側の不純物濃度の増加速度を積分してアノード側の不純物濃度を算出し、算出されたアノード側の不純物濃度に基づいてパージ装置を制御するパージ制御手段を備えた燃料電池システムが記載されている。
特許文献3には、システムの要求電力を燃料電池の発電によって供給する通常発電モードと、燃料電池による発電を休止してシステムの要求電力を蓄電手段から供給する発電休止モードとを備え、アノード循環流路内の不純物量の目標管理値を可変に設定し、設定された目標管理値に基づいて不純物の排出量を最適に管理する燃料電池システムが記載されている。
特開2008−218294号公報 特開2011−210392号公報 特開2009−32617号公報
しかしながら、特許文献1ないし3のいずれにおいても、低負荷発電から高負荷発電に移行する際に、アノード側の窒素濃度が高いと高負荷発電時の出力が低下するという問題がある。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、低負荷発電から高負荷発電に移行する際に出力が低下するのを防止できる燃料電池システムおよび燃料電池システムのパージ制御方法を提供することを課題とする。
本発明の燃料電池システムは、カソードガス供給手段によりカソード流路にカソードガスが、アノードガス供給手段によりアノード流路にアノードガスがそれぞれ供給されて発電する燃料電池と、前記アノード流路を含み、前記燃料電池から排出されたアノードガスと前記アノードガス供給手段により供給されたアノードガスとを混合して再び前記燃料電池に供給するアノード循環流路と、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を外部に排出するパージ装置と、前記燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じて前記パージ装置を作動させることにより、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御手段と、を備える燃料電池システムにおいて、前記燃料電池への要求負荷を算出する要求負荷算出手段と、前記アノード循環流路に存在する窒素濃度を算出する窒素濃度算出手段と、を備え、前記パージ制御手段は、前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷が予め定められる所定値未満の場合、前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度が予め定められる第1の濃度以上になったとき、その状態を第1状態として記憶し、その後、前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷が前記所定値以上の場合、かつ、前記第1状態が記憶されている場合には、前記パージ装置を作動させて前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度と、前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷と、によって予め定められるパージ量のアノードガスおよび不純物を排出する加速パージ制御を行い、前記加速パージ制御を行ったときに、前記第1状態の記憶を解除する制御を行うことを特徴とする。
ところで、低負荷発電(低負荷連続発電)から高負荷発電に移行する際、アノード循環流路の窒素濃度が高いと高負荷到達時に燃料電池の出力が低くなる。そこで、本発明では、低負荷時(要求負荷が所定値未満の場合)に第1の濃度(高負荷時に設定される許容窒素濃度)を超えたことを記憶しておき、燃料電池に対する要求負荷が低負荷から高負荷に切り替えられた時に、パージ装置を直ちに作動させてアノード循環流路から窒素を排出するパージ処理を実行してアノード循環流路内の窒素濃度を下げることで、低負荷から高負荷への切り替え時の出力低下を抑制することが可能になる。
また、前記パージ制御手段は、前記加速パージ制御とは別に、予め定められる所定のタイミングにおいて前記パージ装置を作動させてパージを行う定期パージ制御を行い、前記定期パージ制御は、前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度が高ければ高いほど、前記パージ量が多くなるように予め定められているパージ量のアノードガスおよび不純物を排出することを特徴とする。
これによれば、予め定められる所定のタイミングとして、燃料電池に対する要求負荷が低負荷の場合には、定期パージを開始する窒素濃度を高めに設定することで、パージインターバルを長く設定できるので、燃費向上を図ることができる。また、予め定められる所定のタイミングとして、燃料電池に対する要求負荷が高負荷の場合には、定期パージを開始する窒素濃度を低めに設定することで、窒素濃度の出力に対する影響を小さくすることができる。
また、カソードガス供給手段によりカソード流路にカソードガスが、アノードガス供給手段によりアノード流路にアノードガスがそれぞれ供給されて発電する燃料電池と、前記アノード流路を含み、前記燃料電池から排出されたアノードガスと前記アノードガス供給手段により供給されたアノードガスとを混合して再び前記燃料電池に供給するアノード循環流路と、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を外部に排出するパージ装置と、前記燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じて前記パージ装置を作動させることにより、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御手段と、を備える燃料電池システムにおいて、前記パージ制御手段は、第1要求負荷に基づいて、前記パージ装置によりパージを実行するパージ時間および前記パージ装置の作動インターバルをそれぞれ第1パージ時間および第1作動インターバルとして設定し、前記第1要求負荷よりも大きい第2要求負荷に基づいて、前記パージ装置によりパージを実行するパージ時間および前記パージ装置の作動インターバルをそれぞれ第2パージ時間および第2作動インターバルとして設定し、前記第1作動インターバル中であって、所定条件の成立時に、前記第1要求負荷よりも大きい前記第2要求負荷が要求された場合には、前記第1パージ時間よりも短く且つ前記第2パージ時間よりも長い第3パージ時間によるパージを実行し、前記第3パージ時間によるパージを実行後に前記第2作動インターバルによる前記パージ装置の作動を開始することを特徴とする。
これによれば、第1作動インターバルの経過中に所定条件が成立したときに、第1要求負荷よりも大きい第2要求負荷が要求された場合には、第1パージ時間よりも短く且つ第2パージ時間よりも長い第3パージ時間によるパージを実行し、第3パージ時間によるパージを実行後に第2作動インターバルによるパージ装置の作動を開始することで、第1要求負荷(低負荷)から第2要求負荷(高負荷)への切り替え時の出力低下を抑制することが可能になる。
また、前記パージ制御手段は、前記パージ装置によるパージ停止後の前記燃料電池からの積算電流値が所定値以上である場合、前記所定条件が成立したと判定することを特徴とする。
これによれば、第3パージ時間によるパージの要否を適切に判定できる。
また、前記パージ制御手段は、前記アノード循環流路内の窒素濃度が所定濃度以上である場合、前記所定条件が成立したと判定することを特徴とする。
これによれば、第3パージ時間によるパージの要否を適切に判定できる。
また、本発明の燃料電池システムのパージ制御方法は、燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じてパージ装置を作動させることにより、アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御を行う燃料電池システムのパージ制御方法において、前記燃料電池への要求負荷が予め定められる所定値未満の場合、前記アノード循環流路に存在する前記不純物に含まれる窒素濃度が予め定められる第1の濃度以上になったとき、その状態を第1状態として記憶する第1ステップと、前記第1ステップの後、前記燃料電池への要求負荷が前記所定値以上の場合、かつ、前記第1状態が記憶されている場合には、前記パージ装置を作動させて前記窒素濃度と前記要求負荷とによって予め定められるパージ量のアノードガスを排出する加速パージ制御を実行する第2ステップと、前記加速パージ制御を実行したときに、前記第1状態の記憶を解除する第3ステップと、を含むことを特徴とする。
これによれば、低負荷時(要求負荷が所定値未満)に第1の濃度を超えたことを記憶しておき、燃料電池に対する要求負荷の低負荷から高負荷への切り替え時に、パージ装置を作動させてアノード循環流路から窒素を排出するパージ処理を実行してアノード循環流路内の窒素濃度を下げることで、切り替え時の出力低下を抑制することが可能になる。
また、予め定められる所定のタイミングにおいて前記パージ装置を作動させてパージを行う定期パージ制御を実行する第4ステップを含み、前記定期パージ制御は、前記窒素濃度が高ければ高いほど、前記パージ量が多くなるように予め定められているパージ量のアノードガスを排出することを特徴とする。
これによれば、予め定められる所定のタイミングとして、燃料電池に対する要求負荷が低負荷の場合には、定期パージを開始する窒素濃度を高めに設定することで、パージインターバルを長くまたはパージ量を少なく設定できるので、燃費向上を図ることができる。また、予め定められる所定のタイミングとして、燃料電池に対する要求負荷が高負荷の場合には、定期パージを開始する窒素濃度を低めに設定することで、窒素濃度の出力に対する影響を小さくすることができる。
本発明によれば、低負荷発電から高負荷発電に移行する際に出力が低下するのを防止できる。
本実施形態に係る燃料電池システムを示す全体構成図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 パージ実施後からの経過時間と窒素濃度との関係を示すグラフである。 窒素濃度と出力との関係を示すグラフである。 発電電流と許容窒素濃度との関係を示すグラフである。 窒素濃度とパージ量との関係を示すマップである。 (a)は低負荷の定期パージ時の窒素濃度の推移を示すタイムチャート、(b)は本実施形態に係る加速パージありの窒素濃度の推移を示すタイムチャート、(c)は比較例に係る加速パージなしの窒素濃度の推移を示すタイムチャートである。
本実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、燃料電池システム1を搭載した燃料電池車を例に挙げて説明するが、必ずしも燃料電池車に限定されるものではなく、燃料電池システムを搭載した船舶や航空機などに適用してもよく、家庭用や業務用などの定置式の燃料電池システムに適用してもよい。
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池10、カソード系20、アノード系30、電力消費系40、制御系50などを備えている。
燃料電池10は、例えば、複数の固体高分子型の単セル(不図示)が積層されることで構成された燃料電池スタックであり、複数の単セルが電気的に直列に接続されて構成されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、このMEAを挟む導電性を有するカソードセパレータ(不図示)およびアノードセパレータ(不図示)と、を備えている。
MEAは、例えば、1価の陽イオン交換膜(例えばパーフルオロスルホン酸型)からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノードおよびカソードとを備えている。アノードおよびカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されるとともに、アノードおよびカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して酸化剤としての空気(カソードガス)を給排するための溝などで形成されたカソード流路10aが形成されている。アノードセパレータには、各MEAのアノードに対して燃料ガスとしての水素(アノードガス)を給排するための溝などで形成されたアノード流路10bが形成されている。
そして、カソード流路10aを介して各カソードに空気(酸素)が供給されるとともに、アノード流路10bを介して各アノードに水素が供給されると、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、燃料電池10と走行モータ41、高圧バッテリ42などの外部負荷とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池10が発電するようになっている。
カソード系20は、エアコンプレッサ21(酸化剤ガス供給手段)、希釈器22、開閉弁23,24、配管c1〜c2、バイパス配管c3、アシスト配管c4などで構成されている。
なお、配管c1は、一端がエアコンプレッサ21に接続され、他端がカソード流路10aの入口と接続されている。
また、配管c2は、一端がカソード流路10aの出口に接続され、他端が希釈器22を貫通して車外(系外)と連通している。また、希釈器22内に位置する配管c2には、水素などを吸い込む孔(不図示)が形成され、配管c2内の空気オフガス(カソードオフガス)の流れによって希釈器22内の水素などを吸い込むようになっている。
エアコンプレッサ21は、例えばモータで駆動される電動式のものであり、圧縮した外気(空気)を、燃料電池10のカソード流路10aに向けて供給する。
希釈器22は、アノード流路10bから排出された水素(アノードガス)をカソード流路10aから排出された空気オフガスによって所定の濃度に希釈する機能を有している。なお、希釈器22内の水素は、希釈器22内に形成された図示しない蛇行路を通って前記孔(不図示)から吸い込まれ、空気オフガスとともに配管c2を介して大気中(車外)に排出されるようになっている。
バイパス配管c3は、一端が配管c1に接続され、他端がカソード流路10aの出口と希釈器22との間の配管c2に接続され、エアコンプレッサ21からの空気が、燃料電池10をバイパスする流路を構成している。
アシスト配管c4は、一端がエアコンプレッサ21と配管c3との間の配管c1に接続され、他端が希釈器22と接続され、希釈器22内に空気を導入して、この空気と水素とを混合して希釈しつつ、前記孔(不図示)を介して水素を押し出すようにして空気オフガスと合流させる機能を有している。
開閉弁23は、バイパス配管c3上に設けられ、常閉型で電磁作動式のもので構成されている。
開閉弁24は、アシスト配管c4上に設けられ、常閉型で電磁作動式のもので構成されている。
なお、図示していないが、カソード系20は、例えば、エアコンプレッサ21から供給された空気を加湿する加湿器、カソード流路10aの圧力(カソード圧力)を制御する背圧制御弁などを備えている。
加湿器は、例えば、配管c3とカソード流路10aとの間の配管c1と配管c2とに跨るように配置され、ケース内に収容された中空糸膜束の各中空糸膜の内側と外側の一方にエアコンプレッサ21からの加湿前の空気を通流させ、他方に湿潤な空気オフガスを流通させることで、加湿前の空気と空気オフガスとの間で水分交換を行い、加湿前の空気を空気オフガスで加湿するようになっている。
背圧制御弁は、例えば、常開式で開度調整可能なバタフライ弁で構成されるとともに、カソード流路10aと希釈器22との間の配管c2に配置され、燃料電池車を加速させる場合には、開度を閉じる側に調整して、カソード圧力を高めるようになっている。
アノード系30は、水素タンク31(アノードガス供給手段)、遮断弁32、エゼクタ33、気液分離器34、パージ弁35、ドレイン弁36、配管a1〜a9などで構成されている。
アノード系30では、水素タンク31が、配管a1、遮断弁32、配管a2、エゼクタ33、配管a3を介してアノード流路10bの入口と接続されている。アノード流路10bの出口は、配管a4、気液分離器34、配管a5を介してエゼクタ33と接続されている。また、配管a5には、配管a6が分岐して接続され、配管a6がパージ弁35、配管a7を介して希釈器22と接続されている。また、気液分離器34は、配管a8、ドレイン弁36、配管a9を介して配管a7と接続されている。
水素タンク31は、高純度の水素が35MPaや70MPaなどの非常に高い圧力で充填された容器である。
遮断弁32は、例えば常閉型で電磁作動式のもので構成され、開弁されることにより、水素タンク31内の水素が燃料電池10に向けて供給されるようになっている。
エゼクタ33は、水素タンク31からの水素の流れを利用して負圧を発生させ、配管a4,a5を介してアノード流路10bの出口から排出された未反応の水素(アノードオフガス)を吸引して、再びアノード流路10bに戻す機能を有している。なお、エゼクタ33に替えて、モータで駆動可能な水素循環用のポンプなどを配管a5などに設けるようにしてもよい。
気液分離器34は、アノード流路10bから排出されたアノードオフガスに含まれる水(気体、水蒸気)と水素とを分離して、分離した水(液体)を貯留するとともに、アノードガスに同伴する水分(液体)を貯留する機能を有している。
パージ弁35は、例えば常閉型で電磁作動式のもので構成され、制御部51からの指令にしたがって例えば定期的に開弁されて、アノード循環流路(アノード流路10b、配管a3〜a4)に蓄積した不純物を、希釈器22を介して車外に排出する機能を有している。なお、不純物とは、カソードから電解質膜を介してアノードに透過した空気に含まれる窒素、同様にカソードから電解質膜をアノードに透過した生成水などである。
ドレイン弁36は、例えば常閉型で電磁作動式のもので構成され、制御部51からの指令にしたがって開弁されて、気液分離器34に貯留された生成水を希釈器22に排出する。なお、希釈器22内の配管c2には、図示しない孔とともに、水抜き孔(不図示)が形成されており、この水抜き孔から生成水が吸い込まれて車外に排出されるようになっている。
なお、図示省略しているが、遮断弁32とエゼクタ33との間には、水素タンク31から供給された水素圧(一次圧)を所定の二次圧に減圧する減圧弁を備えている。なお、減圧弁は、制御部51からの電気的な信号によって二次側圧力をカソード圧によることなく調整するものであってもよく、またはカソード圧をパイロット圧として入力し、カソード圧に応じてアノード側の二次圧を調整するものであってもよい。また、複数の減圧弁を設けて、複数段にわけて減圧する構成であってもよい。
電力消費系40は、走行モータ41、高圧バッテリ42、各種補機(エアコンプレッサ21を含む)などの外部負荷に電力を供給するものである。なお、図示していないが、電力消費系40は、燃料電池10と外部負荷との間に電力制御器(不図示)を備えている。この電力制御器は、制御部51からの発電指令に基づいて燃料電池10から取り出す電力(発電電流)を制御して、走行モータ41や高圧バッテリ42などの外部負荷に供給する電力分配機能を有している。
走行モータ41は、永久磁石式の3相交流同期モータなどで構成され、直流電流を交流電流に変換するインバータ回路(不図示)を介して、燃料電池車に設けられた駆動輪を回転駆動させるものである。
高圧バッテリ42は、例えば走行モータ41に電力を供給したり、走行モータ41を発電機として利用して制動時の回生エネルギを蓄電する機能を有し、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ、キャパシタなどで構成されている。
また、高圧バッテリ42は、SOC(State Of Charge:残容量、充電量)を検出する残容量センサ43を備え、この残容量を制御部51に出力するようになっている。なお、残容量センサ43は、例えば電流計、電圧計および温度計で構成され、電圧計から電圧値、電流計から電流値、温度計から温度を取得することにより、高圧バッテリ42のSOCを算出するようになっている。なお、SOCは、電圧と電流のみから算出してもよく、電圧のみから算出してもよい。
制御系50は、制御部51、電圧センサ52、電流センサ53、アクセル54、ナビゲーション装置55などで構成されている。
電圧センサ52は、燃料電池10の出力する電圧値(全ての単セルの電圧の合計値)VFCを検出し、その検出値を制御部51に出力する。
電流センサ53は、燃料電池10から取り出される電流値IFCを検出し、その検出値を制御部51に出力する。なお、電流値IFCは、燃料電池の要求負荷に相当する。
アクセル54は、運転者が燃料電池車を走行させるために踏み込むペダルであり、その開度(踏み込み量)を制御部51に出力するように構成されている。例えば、制御部51は、アクセル54のペダルの開度(要求IFC)が閾値より大きいときに、加速したことを高出力要求後直ちに判定することができる。また、アクセル54のペダルの開度増加量(IFC増加量)が閾値より大きいときにも、加速判定を高出力要求後直ちに判定できる。
ナビゲーション装置55は、自車の速度(図示しない車速センサによる)と路面状況のマップ(地図)などを制御部51に出力する。これにより、制御部51は、その後の要求IFC(要求負荷)を予想して、高負荷発電に移行するか否かを事前に判定することができる。例えば、ナビゲーション装置55によって、車両がその後、上り坂を走行することなどを事前に予想することで、高負荷発電に移行することを前もって予想することができる。
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成され、要求負荷算出手段と、窒素濃度算出手段と、パージ制御手段とを備えている。
また、制御部51は、エアコンプレッサ21の回転速度、開閉弁23,24、遮断弁32、パージ弁35、ドレイン弁36の各開閉動作、背圧制御弁(不図示)の開度、減圧弁(不図示)の二次圧をそれぞれ制御する。
次に、本実施形態に係る燃料電池システムの動作について図2ないし図7を参照して説明する。まず、燃料電池車のイグニッション(IG)がオンされると、エアコンプレッサ21からカソード流路10aに加湿された圧縮空気が供給され、また遮断弁32が開弁されて水素タンク31から所定圧に減圧された水素がアノード流路10bに供給される。これにより、燃料電池10のOCV(開放端電圧)が上昇し、OCVが安定した発電が可能となる所定電圧まで上昇したときに、図示しないコンタクタが接続され、燃料電池10と走行モータ41などの外部負荷とが接続される。これにより、燃料電池10の発電が開始される。燃料電池10の発電電流は、エアコンプレッサ21や走行モータ41などに供給され、また必要に応じて高圧バッテリ42に充電される。なお、燃料電池10の起動時には、加速パージ要求フラグは「0」に設定されている。
図2に示すように、ステップS1において、制御部51は、加速判定があったか否か、つまり高出力要求(高負荷要求)があったか否かを判定する。加速判定は、例えば、アクセル54のペダルが踏み込まれて、燃料電池車を加速させる操作が行われたときに判定され、アクセル54のペダルの開度に基づいて判定される。また、加速判定は、前記したように、アクセル54のペダルの開度増加量に基づいて判定してもよい。これにより、加速判定を即時に判定することができる。
また、加速判定は、前記したように、自車の速度(図示しない車速センサによる)と路面状況のマップ(地図)などを制御部51に出力することで、その後の要求IFC(要求負荷)を予想して、高負荷発電に移行するか否かを事前に判定するようにしてもよい。
なお、高出力要求については、車両の加速判定に限定されるものではなく、残容量センサ43によって高圧バッテリ42の残容量を監視して、その後、高圧バッテリ42に燃料電池10から充電が行われることを予想して、高負荷発電に移行するか否かを事前に判定するようにしてもよい。
ステップS1において、制御部51は、加速判定なしと判定された場合(No)、つまり低負荷要求である場合(要求負荷が所定値未満の場合)には、ステップS2に進み、アノード循環流路内の窒素濃度を算出する(窒素濃度算出手段)。このときの窒素濃度は、例えば、図3のマップに基づいて算出する。すなわち、図3に示すように、要求負荷(IFC)の大きさに応じてパージ実施後からの経過時間に対する窒素濃度が異なり、IFCが大きい場合(符号A)が、IFCが小さい場合(符号B)よりも、パージ実施後からの経過時間に対する窒素濃度が高くなる。また、窒素濃度は、時間が経過するにつれて高くなる。
また、図4に示すように、低負荷(第1要求負荷)の場合には、アノード循環流路内の窒素濃度が増加したとしても出力(IFC)の低下幅は小さく(またはほとんどなく)、高負荷(第2要求負荷)の場合には、窒素濃度が増加することにより、出力(IFC)の低下幅が大きくなる。
例えば、図5に示すように、要求負荷(IFC)と許容窒素濃度との関係に基づいて、低負荷と高負荷を分けるようにしてもよい。すなわち、IFCがIaを超える場合、IFCが増加するにつれて許容窒素濃度が低下するので、Iaを変曲点として、Ia以下の場合のIFCを低負荷とし、Iaを超える場合のIFCを高負荷とすることができる。
なお、窒素濃度の算出については、要求負荷(IFC)に加えて、圧力および/または温度を考慮して算出するようにしてもよい。すなわち、窒素は、空気中に含まれており、カソード流路10aからアノード流路10bへとクロスリークするものである。よって、圧力については、カソード流路10aの圧力とアノード流路10bの圧力との圧力差が高いほどクロスリーク量が多くなり、窒素濃度が高くなる傾向にある。また、温度については、燃料電池(もしくは反応ガス)の温度が高いほど、窒素濃度が高くなる傾向など、事前にクロスリークと温度依存性を実験等により把握しておくことができる。例えば、要求負荷から得られる窒素濃度について、圧力および/または温度に基づいて補正するようにしてもよい。
ステップS3において、制御部51は、窒素濃度が第1の濃度以上(所定濃度以上)であるか否かを判定する。なお、第1の濃度とは、高負荷発電時に設定される許容窒素濃度の上限値である。低負荷発電時には、図4に示したように、窒素濃度が増加したとしても出力の低下幅は小さく、第2の濃度を高く設定することができ、これによりパージインターバルを長く設定することができる。パージインターバルとは、パージとパージとの間の間隔を意味している(図7(a)参照)。
ステップS3において、制御部51は、窒素濃度が第1の濃度以上である(所定条件成立)と判定した場合には(Yes)、ステップS4に進み、加速パージ要求フラグを「1」に設定し(第1状態として記憶し)、ステップS7に進む。なお、加速パージ要求フラグが「1」であるとは、後記する低負荷発電から高負荷発電に移行する際に加速パージを実行することを意味している。加速パージとは、高負荷発電前または直後に後記する定期パージとは異なるパージ時間およびパージ機構でパージを行うことである。
また、ステップS3において、制御部51は、窒素濃度が第1の濃度未満である(所定条件不成立)と判定した場合には(No)、ステップS5に進み、加速パージ要求フラグを「0」に設定し、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御部51は、定期パージを設定する。このように、ステップS1→S2→S3→S4→S7を通るときの定期パージは、低負荷の場合(S1、No)であるので、低負荷に対応した定期パージ(第1パージ時間、第1作動インターバル)を設定する。
ステップS7での低負荷に対応した定期パージは、窒素濃度と要求負荷に基づいてパージ量を設定する。なお、フローチャートでは図示省略しているが、窒素濃度については、ステップS2によって算出される値が用いられ、要求負荷については、IFCに基づいて算出される。すなわち、ステップS2で算出した窒素濃度と低負荷での許容窒素濃度とが比較され、算出した窒素濃度が、低負荷での許容窒素濃度未満である場合、パージ量をゼロに設定する。また、算出した窒素濃度が、低負荷での許容窒素濃度以上である場合には、要求負荷に対応したパージ量を設定する。また、要求負荷が高い場合には、窒素濃度が高くなるので、窒素濃度が高ければ高いほど、パージ量が多くなるように設定する。
なお、パージ量は、パージ弁35の開弁時間(第1パージ時間)に対応し、現在の窒素濃度から所定の閾値(図7(a)参照)まで低下させることができる時間に設定される。また、所定の閾値は、0(ゼロ)に設定してもよく、またはゼロより大きく且つ後記する高負荷での許容窒素濃度よりも低い値に設定してもよい。
そして、ステップS10において、制御部51は、ステップS7で設定されたパージ量に基づいてパージ弁35を制御する。パージ弁35を開弁することにより、アノード循環流路に残留している窒素(不純物)が水素(アノードガス)とともに配管a6,a7を介して希釈器22に排出される。希釈器22内では、水素が拡散され、希釈器22内の配管c2に形成された孔から少量ずつ吸い込まれることで、配管c2内を流れる空気オフガスによって水素が希釈され、系外(車外)に排出される。なお、図示していないが、希釈器22の出口側の配管c2には、水素の濃度を検出する水素濃度センサが設けられ、系外に排出される水素濃度を監視し、規定値を超える濃度の水素が排出されないようになっている。
また、ステップS1において、制御部51は、加速判定ありの場合には(Yes)、ステップS6に進み、加速パージ要求フラグが「1」であるか否かを判定する。
ステップS6において、制御部51は、加速パージ要求フラグが「1」であると判定した場合には、ステップS8に進み、加速パージ要求フラグが「1」でないと判定した場合には、ステップS7に進む。
ステップS8において、制御部51は、加速パージを設定する。すなわち、加速パージでは、窒素濃度と要求負荷に基づいてパージ量を設定するものであり、図6に示すマップに基づいて、窒素濃度が高くなるにつれてパージ量が多くなるように設定する。なお、図6のマップは、事前の試験等によって求められる。
図6に示すように、窒素濃度に対するパージ量は、要求負荷(IFC)が大きい場合(符号C)が、要求負荷(IFC)が小さい場合(符号D)よりも、窒素濃度に対するパージ量を多く設定する。このように、要求負荷(IFC)ごとに窒素濃度に対するパージ量は異なる。
そして、ステップS9に進み、制御部51は、加速パージ要求フラグを「1」から「0」に設定する(第1状態を解除する)。
そして、ステップS10に進み、制御部51は、ステップS8で設定されたパージ量に対してパージ弁35を制御する。これにより、アノード循環流路に残留している窒素(不純物)が水素(アノードガス)とともに配管a6,a7を介して希釈器22に排出される。希釈器22内では、前記と同様にして水素が希釈された後に、系外(車外)に排出される。
なお、加速パージ時に、排出水素濃度(系外に排出される水素濃度)が所定水素濃度を超えると予想される場合には、パージ時のみまたは加速パージ要求フラグが「1」になったときから、空気を増量させる処理を追加してもよい。
空気を増量させる手段としては、エアコンプレッサ21の回転速度を増加させることで増量してもよく、または開閉弁23を開弁して燃料電池10をバイパスする配管c3に空気を流すこと(圧力損失を減らすこと)で増量してもよく、あるいは開閉弁24を開弁して配管c4を介して希釈器22内に導入して希釈量を増量するようにしてもよい。
また、ステップS6において、制御部51は、加速パージ要求フラグが「1」ではないと判定した場合、つまり、低負荷時に窒素濃度が第1の濃度(高負荷での許容窒素濃度)を超えていない場合には、ステップS7に進み、定期パージを設定する。
すなわち、このときの定期パージは、低負荷発電(S1→S2→S3→S5→S7→S8)後に高負荷発電要求(S1、Yes)があったときの定期パージであり、高負荷(第2要求負荷)に対応した定期パージ(第2パージ時間、第2作動インターバル)を設定する。
この高負荷に対応した定期パージは、窒素濃度と要求負荷に基づいてパージ量を設定する。窒素濃度は、低負荷時にステップS2によって算出された値が用いられ、要求負荷は、IFCに基づいて設定される。なお、フローチャートでは図示省略しているが、ここでの定期パージは、ステップS2で算出された窒素濃度と高負荷での許容窒素濃度(第1の濃度)とが比較され、算出した窒素濃度が、高負荷での許容窒素濃度未満である場合、パージ量はゼロに設定され、算出した窒素濃度が、高負荷での許容窒素濃度以上である場合には、要求負荷に対応したパージ量を設定する。すなわち、要求負荷が高い場合には、窒素濃度が高くなるので、窒素濃度が高ければ高いほど、パージ量が多くなるように設定する。なお、このときの高負荷に対応した定期パージでは、窒素濃度が高負荷での許容窒素濃度未満であるので(加速パージ要求フラグが「0」であるので)、前記した加速パージを実行しなくても、出力が低下することがなく、または出力の低下幅を小さく抑えることができる。
なお、パージ量は、パージ弁35の開弁時間に基づいて設定され、現在の窒素濃度から所定の閾値(低負荷の場合のパージと同様の閾値)まで低下させることができる時間に設定される。また、所定の閾値は、0(ゼロ)に設定してもよく、またはゼロよりも高く且つ高負荷での許容窒素濃度よりも低い値に設定してもよい。
次に、図7のタイムチャートを参照しながら定期パージおよび加速パージの窒素濃度の変化について説明する。図7(a)は低負荷の定期パージ時の窒素濃度の推移を示すタイムチャート、(b)は本実施形態に係る加速パージありの窒素濃度の推移を示すタイムチャート、(c)は比較例に係る加速パージなしの窒素濃度の推移を示すタイムチャートである。
図7(a)に示すように、低負荷の発電が連続している場合には、時刻t1において、窒素濃度が低負荷での許容窒素濃度(第2の濃度)D2以上になったときに(S3、Yes)、低負荷に対応した定期パージ(第1パージ時間、第1作動インターバル)が実行される(S7,S10)。ここでの定期パージは、パージ弁35が所定時間(第1パージ時間)開弁されることにより、窒素濃度が所定の閾値まで低下し、閾値まで低下した後にパージ弁35が閉弁される(時刻t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6)。なお、窒素濃度が低負荷での許容窒素濃度未満の場合には(S3、No)、パージ量はゼロに設定される(S7)。また、パージ弁35を開弁する際の所定時間は、パージ弁35を開弁したときの窒素の低下量に基づいて決定される。また、図7(a)の時刻t2〜t3、t4〜t5は、第1作動インターバルに対応する。
また、図7(b)に示すように、時刻t0、t3において、高負荷での許容窒素濃度(第1の濃度)D1以上となった場合には、加速パージ要求フラグが「1」に設定される。その後の時刻t11において、加速ありと判定された場合には、前記した加速判定手段(要求後即時判定、事前判定)にしたがって、加速判定後直ちにまたは前もってパージを実行する(S8,S10)。
加速パージは、図6に示すマップに基づいて現在の窒素濃度と要求負荷(IFC)からパージ量を設定し(S8)、設定されたパージ量に基づいて加速パージ(第3パージ時間によるパージ)を実行する(t11〜t12)。このように、加速パージでは、加速判定後(S1、Yes)直ちに(または加速判定前に)パージが行われることで、アノード循環流路内の窒素濃度を早期に(事前に)高負荷に対応した許容窒素濃度よりも低下させることができる。したがって、高負荷に対応した許容窒素濃度の範囲内で燃料電池10から発電電流を取り出すことができるので、出力(発電電流の取り出し量)が低下するのを抑制できる。
なお、第3パージ時間は、第1パージ時間よりも短く且つ第2パージ時間よりも長く設定される。図7(b)の時刻t11〜t12は、第3パージ時間に対応する。このように、第3パージ時間によるパージ(加速パージ)において、第3パージ時間が第1パージ時間よりも短く設定されることにより、過度なパージ(窒素排出時に水素が過剰に排出されること)を防止でき、しかも第3パージ時間が第2パージ時間よりも長く設定されることにより、窒素濃度の低下が不十分になるのを防止できる。
また、加速パージ設定(S8)後は、加速パージ要求フラグを「0」に設定するので(S9)、加速(高出力要求)が継続したとしても、ステップS6からステップS7に進み、高負荷に対応した定期パージ(第2パージ時間、第2作動インターバル)を実行する(t13〜t14、t15〜t16、t17〜t18)。よって、加速パージ後も、高負荷での許容窒素濃度以下に窒素濃度を抑えることができるので、出力が低下するのを抑制できる。なお、時刻t12〜t13、t14〜t15、t16〜t17は、第2作動インターバルに対応する。また、図7(b)では、加速判定があったとき(時刻t11)に加速パージ要求フラグを「1」(有り)から「0」(無し)に設定しているが、窒素濃度が高負荷の許容窒素濃度D1を下回ったときに加速パージ要求フラグを「1」から「0」に設定してもよく、または窒素濃度が所定の閾値まで低下したとき(時刻t12)に加速パージ要求フラグを「1」から「0」に設定してもよい。
これに対して、図7(c)の比較例で示すように、時刻t21において加速パージが実行されない場合には、高負荷での許容窒素濃度D1よりも高い窒素濃度で加速が行われることになり、十分な出力を得ることができなくなる。
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム1は、低負荷の場合、窒素濃度が第1の濃度以上になったとき、加速パージ要求フラグを「1」に設定し、その後、高出力要求があり、かつ、加速パージ要求フラグが「1」の場合には、パージ弁35を作動させて、窒素濃度と燃料電池10への要求負荷と、によって予め定められるパージ量のアノードガス(水素)および不純物(窒素、生成水)を排出する加速パージ制御を行い、前記加速パージ制御を実行したときに、加速パージ要求フラグを「0」に設定するものである。
これによれば、低負荷時に許容窒素濃度D1を超えたことを記憶しておき、燃料電池に対する要求負荷の低負荷から高負荷への切り替え時において直ちにパージを実行してアノード循環流路内の窒素濃度を早期に低下させることで、切り替え時の出力低下を抑制することが可能になる。
また、本実施形態は、加速パージ制御とは別に、予め定められる所定のタイミングにおいて、つまり現在の要求負荷が低負荷であるか高負荷であるかに分けて、現在の窒素濃度が低負荷での許容窒素濃度D2を超えるタイミング、または高負荷での許容窒素濃度D1を超えるタイミングにおいて、パージ弁35を作動させてパージを行う定期パージ制御を行うものである。
これによれば、燃料電池10に対する要求負荷が低負荷の場合には、窒素濃度の高さが出力に対して影響が小さいためにパージを行う窒素濃度(許容窒素濃度D2)を高めに設定することで、パージインターバルを長く設定できるので、燃費向上を図ることができる。
また、燃料電池10に対する要求負荷が高負荷の場合には、パージを行う窒素濃度(許容窒素濃度D1)を低めに設定することで、窒素濃度の出力に対する影響を小さくすることができる。
また、本実施形態では、定期パージ制御において、窒素濃度が高ければ高いほど、パージ量が多くなるようにパージ量を設定することにより、パージ量を適切に設定することができ、出力が低下するのを確実に抑制することができる。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、本実施形態では、パージ弁35を開弁することでアノード循環流路から窒素を排出する例を挙げて説明したが、より早くに窒素濃度を下げたい場合には、パージ弁35に加えてドレイン弁36を同時に開弁して窒素を排出するようにしてもよい。この場合には、パージ弁35とドレイン弁36とがパージ装置に相当する。
また、加速パージによってアノード流路10bの圧力低下を考慮して、フィードバックによる調圧およびフィードフォワードによる調圧を行うようにしてもよい。例えば、調圧方法は、カソード側の圧力(カソード圧力)と独立してアノード側の圧力(アノード圧力)を調整できる減圧弁による方法を挙げることができる。
また、本実施形態では、窒素濃度が第1の濃度以上(図2のステップS3、高負荷の許容窒素濃度D1以上、所定条件成立)であるか否かに基づいて加速パージ(第3パージ時間によるパージ)の要否を判定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、パージ弁35(または、パージ弁35およびドレイン弁36)を閉弁した後(パージ装置によるパージ停止後)の燃料電池10から取り出す発電電流の積算電流値が所定値以上であるか否かに基づいて加速パージ(第3パージ時間によるパージ)の要否を判定するようにしてもよい。つまり、積算電流値が所定値以上である場合には、加速パージ要求フラグを「1」に設定し(図2のステップS4参照)、積算電流値が所定値未満である場合には、加速パージ要求フラグ「0」に設定する(図2のステップS5参照)。
1 燃料電池システム
10 燃料電池
10a カソード流路
10b アノード流路(アノード循環流路)
21 エアコンプレッサ(カソードガス供給手段)
23,24 開閉弁
31 水素タンク(アノードガス供給手段)
35 パージ弁(パージ装置)
36 ドレイン弁
51 制御部(要求負荷算出手段、窒素濃度算出手段、パージ制御手段)
a3,a4,a5 配管(アノード循環流路)
c3 バイパス配管
c4 アシスト配管

Claims (7)

  1. カソードガス供給手段によりカソード流路にカソードガスが、アノードガス供給手段によりアノード流路にアノードガスがそれぞれ供給されて発電する燃料電池と、
    前記アノード流路を含み、前記燃料電池から排出されたアノードガスと前記アノードガス供給手段により供給されたアノードガスとを混合して再び前記燃料電池に供給するアノード循環流路と、
    前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を外部に排出するパージ装置と、
    前記燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じて前記パージ装置を作動させることにより、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御手段と、を備える燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池への要求負荷を算出する要求負荷算出手段と、
    前記アノード循環流路に存在する窒素濃度を算出する窒素濃度算出手段と、を備え、
    前記パージ制御手段は、
    前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷が予め定められる所定値未満の場合、前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度が予め定められる第1の濃度以上になったとき、その状態を第1状態として記憶し、
    その後、前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷が前記所定値以上の場合、かつ、前記第1状態が記憶されている場合には、前記パージ装置を作動させて前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度と、前記要求負荷算出手段により算出される前記燃料電池への要求負荷と、によって予め定められるパージ量のアノードガスおよび不純物を排出する加速パージ制御を行い、前記加速パージ制御を行ったときに、前記第1状態の記憶を解除する制御を行うことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記パージ制御手段は、
    前記加速パージ制御とは別に、
    予め定められる所定のタイミングにおいて前記パージ装置を作動させてパージを行う定期パージ制御を行い、
    前記定期パージ制御は、前記窒素濃度算出手段により算出される窒素濃度が高ければ高いほど、前記パージ量が多くなるように予め定められているパージ量のアノードガスおよび不純物を排出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. カソードガス供給手段によりカソード流路にカソードガスが、アノードガス供給手段によりアノード流路にアノードガスがそれぞれ供給されて発電する燃料電池と、
    前記アノード流路を含み、前記燃料電池から排出されたアノードガスと前記アノードガス供給手段により供給されたアノードガスとを混合して再び前記燃料電池に供給するアノード循環流路と、
    前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を外部に排出するパージ装置と、
    前記燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じて前記パージ装置を作動させることにより、前記アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御手段と、を備える燃料電池システムにおいて、
    前記パージ制御手段は、
    第1要求負荷に基づいて、前記パージ装置によりパージを実行するパージ時間および前記パージ装置の作動インターバルをそれぞれ第1パージ時間および第1作動インターバルとして設定し、
    前記第1要求負荷よりも大きい第2要求負荷に基づいて、前記パージ装置によりパージを実行するパージ時間および前記パージ装置の作動インターバルをそれぞれ第2パージ時間および第2作動インターバルとして設定し、
    前記第1作動インターバル中であって、所定条件の成立時に、前記第1要求負荷よりも大きい前記第2要求負荷が要求された場合には、前記第1パージ時間よりも短く且つ前記第2パージ時間よりも長い第3パージ時間によるパージを実行し、前記第3パージ時間によるパージを実行後に前記第2作動インターバルによる前記パージ装置の作動を開始することを特徴とする燃料電池システム。
  4. 前記パージ制御手段は、前記パージ装置によるパージ停止後の前記燃料電池からの積算電流値が所定値以上である場合、前記所定条件が成立したと判定することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記パージ制御手段は、前記アノード循環流路内の前記不純物としての窒素濃度が所定濃度以上である場合、前記所定条件が成立したと判定することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  6. 燃料電池の発電開始後、前記燃料電池の作動状態に応じてパージ装置を作動させることにより、アノード循環流路内のアノードガスおよび不純物を排出するパージ制御を行う燃料電池システムのパージ制御方法において、
    前記燃料電池への要求負荷が予め定められる所定値未満の場合、前記アノード循環流路に存在する前記不純物に含まれる窒素濃度が予め定められる第1の濃度以上になったとき、その状態を第1状態として記憶する第1ステップと、
    前記第1ステップの後、前記燃料電池への要求負荷が前記所定値以上の場合、かつ、前記第1状態が記憶されている場合には、前記パージ装置を作動させて前記窒素濃度と前記要求負荷とによって予め定められるパージ量のアノードガスを排出する加速パージ制御を実行する第2ステップと、
    前記加速パージ制御を実行したときに、前記第1状態の記憶を解除する第3ステップと、を含むことを特徴とする燃料電池システムのパージ制御方法。
  7. 予め定められる所定のタイミングにおいて前記パージ装置を作動させてパージを行う定期パージ制御を実行する第4ステップを含み、
    前記定期パージ制御は、前記窒素濃度が高ければ高いほど、前記パージ量が多くなるように予め定められているパージ量のアノードガスを排出することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システムのパージ制御方法。
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