JP2013230587A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水性インキ及び溶剤インキの両方に良好な耐久性を有するフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、前記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供すること
【解決手段】(成分A)逐次重合で得られた連結部と特定の構造を有する連鎖重合開始剤残基を有する高分子開始剤、及び、(成分B)重合性化合物、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、前記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ原版に直接レーザーを照射し、光熱変換によりレリーフ形成層に熱分解及び揮発性を生じさせ、凹部を形成する。直彫りCTP方式は、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をすることなども可能である。この方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーが用いられることが一般的である。炭酸ガスレーザーの場合、全ての有機化合物が照射エネルギーを吸収して熱に変換できる。一方、安価で小型の半導体レーザーが開発されてきているが、これらは可視及び近赤外光であるため、上記レーザー光を吸収して熱に変換することが必要となる。
従来の高分子開始剤としては、例えば、特許文献1及び2に記載のものが知られている。また、高分子開始剤を使用するレーザー彫刻用樹脂組成物として特許文献3が知られている。
特公昭41−35514号公報 特開2005−179640号公報 特開2012−45801号公報
しかしながら、本発明者は、従来のレーザー彫刻用樹脂組成物は、水性インキ及び溶剤インキの両方に良好な耐久性を有するフレキソ印刷版を得にくいという問題点を有することを見いだした。
本発明が解決しようとする課題は、水性インキ及び溶剤インキの両方に良好な耐久性を有するフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供することである。
本発明が解決しようとするもう一つの課題は、彫刻感度が高く、彫刻カスのリンス性が良好なフレキソ印刷版原版を与えるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<9>〜<11>、<13>及び<14>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>及び<12>とともに以下に記載する。
<1>(成分A)逐次重合で得られた下記式I〜Vのいずれか1つで表される構造を有する高分子開始剤、及び、(成分B)重合性化合物、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
Figure 2013230587
(式I中、Psはポリシロキサン骨格を表し、式II〜V中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表し、式I〜V中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。)
<2>成分Aが式IV又は式Vで表される構造を有する、<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<3>(成分C)重合開始能を有しないバインダーを更に含有する、<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<4>成分Bが、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、及び、アクリロニトリルよりなる群から選ばれた少なくとも1つである、<1>〜<3>いずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5>式II〜V中、成分AのPsが、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリウレタンウレア骨格、ポリアミド骨格、ポリアルキレングリコール骨格、及びポリシロキサン骨格よりなる群から選ばれた少なくとも1つである、<1>〜<4>いずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6>成分Bが、(メタ)アクリレート誘導体及びシランカップリング剤を含み、かつ更にシランカップリング触媒を含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<7>(成分D)光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<8>成分Dが、カーボンブラックである、<7>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<9><1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<10><1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<11><1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<12>上記架橋工程が、上記レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る工程である、<11>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<13><1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、を含むフレキソ印刷版の製版方法、
<14><13>に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ層を有するフレキソ印刷版、
本発明によれば、水性インキ及び溶剤インキの両方に良好な耐久性を有するフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供することができた。
本発明によれば、また、彫刻カスのリンス性が良好であり、彫刻感度に優れたフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、「(成分A)逐次重合で得られた下記式I〜Vのいずれか1つで表される構造を有する高分子開始剤」等を単に「成分A」等ともいう。
(レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)逐次重合で得られた下記式I〜IVのいずれか1つで表される構造を有する高分子開始剤、及び、(成分B)重合性化合物、を含有することを特徴とする。
Figure 2013230587
(式I中、Psはポリシロキサン骨格を表し、式I〜V中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表し、式I〜V中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。)
以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に含有される成分について説明する。
(成分A)逐次重合で得られた特定の構造を有する高分子開始剤
成分Aは、特定の高分子開始剤である。ここで、「高分子」とは、数平均分子量が1,000以上であることをいう。ここで、数平均分子量の測定は、GPC測定によるポリスチレン換算を用いた。また、成分Aの数平均分子量は、耐刷性の観点から、数平均分子量が5,000以上であることが好ましい。また、この開始剤は、エチレン性不飽和化合物のラジカル重合開始性を有することが好ましい。
成分Aは、熱的にラジカル重合を開始する構造(開始剤残基)及びこの開始剤残基を連結する構造(連結部)を有し、この連結部Psは、逐次重合で得られる。
ここで、「逐次重合」とは、重縮合反応及び重付加反応に代表されるような、反応生成物が次の段階の反応試剤となり、反応性官能基間で一連の素反応が引き続いて起こる、いわゆる逐次反応の繰り返しによって進む重合である。この点で、重合開始剤の活性構造が単量体に連鎖的な付加反応を開始する連鎖重合とは異なる。
また、逐次重合及び連鎖重合は、例えば、高分子学会編「基礎高分子科学」第2刷、2006年、東京化学同人(株)発行に記載されている。
逐次重合で得られた主鎖骨格は、重付加又は重縮合で得られた骨格であることが好ましく、重付加で得られた骨格がより好ましい。
また、逐次重合で得られた主鎖骨格は、その末端に他の構造と結合する連結基を有していてもよい。上記連結基は、逐次重合又は連鎖重合により形成されていなくともよい。
成分Aは、上記の式I〜Vのいずれか1つで表される構造を有する高分子開始剤である。Psは好ましくは2価の連結部であることが好ましい。なお、高分子開始剤は、式I〜Vのいずれか1つで表される部分構造を構成単位として有し、その繰り返し数nは2〜100の整数であることが好ましい。式I〜Vの分子末端(不図示)は、水素原子、低級(炭素数1〜5)のアルキル基、又は水酸基などの通常の1価の基であることが好ましい。
成分Aにおける逐次重合で得られた主鎖骨格としては、式II〜Vにおいては、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリウレタンウレア骨格、ポリアミド骨格、ポリアルキレングリコール骨格、及び、ポリシロキサン骨格よりなる群から選ばれた骨格であることが好ましく、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリアルキレングリコール骨格、及び、ポリシロキサン骨格よりなる群から選ばれた骨格であることがより好ましい。
また、成分Aにおける逐次重合で得られた主鎖骨格は、1種を単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
式Iにおいて、成分AのPsを形成するポリシロキサン骨格の形成に用いることができるモノマーとしては、シラン化合物及びシラノール化合物が例示される。
式II〜Vにおいて、成分AのPsを形成する逐次重合に用いることができるモノマーとしては、特に制限はなく、公知の逐次重合性モノマーを用いることができる。
逐次重合性モノマーとしては、ポリカルボン酸化合物、ポリカルボン酸ハライド化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、シラン化合物、シラノール化合物、酸無水物化合物、ヒドロキシカルボン酸化合物等が例示できる。また、逐次重合性モノマーとしては、2官能モノマーであることが好ましい。
また、逐次重合性モノマーとして具体的には、以下に示す化合物が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ポリカルボン酸化合物及びポリカルボン酸ハライド化合物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、スベリン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、及び、これらのポリカルボン酸化合物のカルボキシル基をカルボン酸ハライド基に変更した化合物等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、ヘキサンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類、1,4−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラキノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のポリアニリン類、ポリアミン類とアルデヒド化合物と一価又は多価フェノール類との重縮合物からなるマンニッヒ塩基、ポリアミン類とポリカルボン酸やダイマー酸との反応により得られるポリアミドポリアミン類、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン、ピペラジン、ホモピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヒドロキノン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、4,4−ジフェノールなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど);ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;トリフェノールメタン型樹脂等の多官能型フェノール樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;ビスフェノールS等の硫黄原子含有型フェノール樹脂等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、水添化キシリレン−1,4−ジイソシアネート、水添化キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、及び、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。シラノール化合物としては、上記のシラン化合物の部分加水分解物が例示できる。
酸無水物化合物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ナジック酸、水素化無水ナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸化合物としては、例えば、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシトリデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
以下式I〜Vで表される特定の高分子開始剤について順に説明する。
上記逐次重合で得られた主鎖骨格を有する高分子開始剤としては、合成収率や溶剤インキ耐性の観点から、下記式I〜Vで表される構成単位を有する高分子開始剤が使用される。このうち、下記式III、式IV、又は、式Vで表される構成単位を有する高分子開始剤が好ましく挙げられ、インキ着肉性及び耐刷性の観点から、下記の式IV又は式Vで表される構成単位を有する化合物がより好ましく挙げられる。前述の通り、式I〜Vの分子末端(不図示)は、水素原子、低級(炭素数1〜5)のアルキル基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
Figure 2013230587
(式I中、Psはポリシロキサン骨格を表し、式II〜V中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表し、式I〜V中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。)
式I中、Psはポリシロキサン骨格を表し、式II〜V中、Psにおける逐次重合で得られた主鎖骨格は、前述した逐次重合で得られた主鎖骨格と同義であり、好ましい態様も同様である。
1〜R4における一価の有機基としては、アルキル基、アリール基、複素環基、複素芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルボキシル基、アシル基、又は、アミド基が挙げられる。また、一価の有機基は、更に、置換基により置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、及び、上記一価の有機基において挙げた基が例示できる。
また、R1〜R4は、これらのうち2以上が互いに結合していてもよいし、また、R1〜R4のいずれか又は2以上と他の構造とが結合していてもよい。
また、R1〜R4における一価の有機基は、炭素数が1〜60であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることが更に好ましい。ただし、アリール基の下限炭素数は6である。
式Iで表される構成単位を有する化合物の具体例としては、下記式I−1で表される構成単位を有する化合物が好ましく例示でき、下記式I−1で表される構成繰り返し単位を有する化合物がより好ましく例示できる。
Figure 2013230587
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、低級(炭素数1〜6)アルキル基又はシアノ基を表し、Rs1及びRs2はそれぞれ独立に、低級(炭素数1〜10)アルキル基又はアリール基を表し、X1〜X4はそれぞれ独立に、低級(炭素数1〜10)アルキレン基を表し、p2は、正の整数を表す。)
上記式I−1におけるR1、R2、Rs1及びRs2で示される低級アルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等が挙げられる。
上記式I−1におけるRs1及びRs2で示されるアリール基としては、例えば、フェニル基,o−トリル基,m−トリル基,p−トリル基,2,3ーキシリル基,2,4−キシリル基,2,5−キシリル基,2,6−キシリル基,3,5−キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。
上記式I−1におけるX1〜X4で示される低級アルキレン基としては、直鎖状でも分枝状でも又は環状でもよく、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基,ノニレン基、デシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。中でも、X1〜X4は、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
上記式I−1におけるp2は、1〜200の整数であることが好ましく、1〜100の整数であることがより好ましい。
また、上記式I−1及び式I−2において、R1がメチル基であり、R2がシアノ基であることが特に好ましい。
式I又は式I−1で表される化合物は、市販品を使用することができ、和光純薬工業(株)から高分子アゾ重合開始剤VSPシリーズとして市販され、具体的にはVPS−1001(ポリジメチルシロキサン単位を有し、個の単位の分子量は約10,000である。)が例示される。
式I−1で表される化合物は、Psがポリアルキレンオキシ基を有するアゾ系高分子開始剤と比較すると、インキ膨潤が抑制されたレリーフ層を形成する。これは、式I−1においては、Psが疎水性の高いポリシロキサンであり、成分Bの付加重合物に疎水性ブロックが導入されるためである。
上記式IIで表される構成単位を有する化合物としては、ヒドロキシ基を2つ有するジスルフィド化合物由来の構造によりジスルフィド構造が形成された化合物であることが好ましく、ヒドロキシ基を2つ有するジスルフィド化合物と上記ジスルフィド化合物以外のジオール化合物とジイソシアネート化合物とを重縮合して得られたポリウレタン樹脂、又は、ヒドロキシ基を2つ有するジスルフィド化合物と上記ジスルフィド化合物以外のジオール化合物とジカルボン酸化合物、ジカルボン酸ハライド化合物及び/又は酸無水物化合物とを重縮合して得られたポリエステル樹脂であることがより好ましい。
上記式IIにおけるPsは、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、又はポリシロキサン骨格であることが好ましい。
上記ヒドロキシ基を2つ有するジスルフィド化合物としては、以下の化合物が好ましく例示できる。
Figure 2013230587
上記式IIIで表される構成単位を有する化合物としては、2つのアミノ基と下記式II−1で表される構造とを有する化合物由来の構造により下記式III−1で表される構造が形成された化合物であることが好ましく、2つのアミノ基と下記式III−1で表される構造とを有する化合物と上記化合物以外のジアミノ化合物とジカルボン酸化合物、ジカルボン酸ハライド化合物及び/又は酸無水物化合物とを重縮合して得られたポリアミド樹脂であることがより好ましい。
上記式IIIにおけるPsは、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、又はポリシロキサン骨格であることが好ましい。
上記2つのアミノ基と下記式III−1で表される構造とを有する化合物としては、式III−2で表される化合物が好ましく例示できる。
Figure 2013230587
(式中、Rs3及びRs4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、シアノアルキル基、又は、アルコキシアルキル基を表し、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。)
上記式IVで表される構成単位を有する化合物としては、合成収率の観点から、下記式IV−1又は式IV−2で表される構成単位を有する化合物であることが好ましく、Psがポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、又はポリシロキサン骨格である下記式IV−1又は式IV−2で表される構成単位を有する化合物であることがより好ましく、耐刷性の観点から、Psがポリウレタン骨格又はポリシロキサン骨格である下記式IV−1又は式IV−2で表される構成単位を有する化合物であることが更に好ましい。
Figure 2013230587
(式中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表す。)
上記式Vで表される構成単位を有する化合物としては、下記式V−1又は式V−2で表される構成単位を有する化合物であることが好ましく、下記式V−1で表される構成単位を有する化合物であることがより好ましい。また、上記式IVで表される構成単位を有する化合物は、下記式V−1又は式V−2で表される構成繰り返し単位を有する化合物であることが好ましい。
また、下記式V−1におけるPsは、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、又はポリシロキサン骨格であることが好ましく、ポリウレタン骨格であることがより好ましい。また、下記式V−2におけるPsは、ポリウレタンウレア骨格、ポリアミド骨格、又はポリシロキサン骨格であることが好ましい。
Figure 2013230587
(式中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表す。)
レーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Aの含有量は、固形分全量に対して3〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%が更に好ましく、15〜25質量%が特に好ましい。上記範囲であると、レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層は耐刷性に優れる。
(成分B)重合性化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B)重合性化合物を含有する。
なお、本発明における「重合」には、狭義の連鎖的な付加重合だけでなく、重縮合や重付加も含まれる。
本発明に用いることができる重合性化合物としては、重合可能であれば、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、エチレン性不飽和化合物、シラン化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリカルボン酸ハライド化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、酸無水物化合物、及び、ヒドロキシカルボン酸化合物が好ましく例示できる。
成分Bにおけるシラン化合物としては、後述する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
また、成分Bにおけるエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和基を分子内に2以上有する多官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
これらの中でも、成分Bは、エチレン性不飽和化合物、及び/又は、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物、及び、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物であることがより好ましい。上記態様であると、水性インキ及び溶剤インキに対する膨潤抑制性及び耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
成分Bに用いることができるエチレン性不飽和化合物、シラン化合物、ポリカルボン酸化合物、ポリカルボン酸ハライド化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、酸無水物化合物、及び、ヒドロキシカルボン酸化合物としては、成分Aにおいて前述した逐次重合性モノマーを含む。
中でも、エチレン性不飽和化合物、及び、シラン化合物としては、以下に示す化合物を好ましく挙げることができる。
また、本発明に用いることができる重合性化合物は、分子量(又は数平均分子量)が5,000未満であることが好ましい。
エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和基を1個以上有する化合物である。エチレン性不飽和化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、エチレン性不飽和化合物に属する化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又は、それらの共重合体、並びにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
上記エチレン性不飽和化合物としては、多官能エチレン性不飽和化合物が好ましく使用される。これらの多官能エチレン性不飽和化合物の分子量は、200〜2,000であることが好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和基を2個〜20個有する化合物が好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物におけるエチレン不飽和基が由来する化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
上記の多官能エチレン性不飽和化合物に含まれるエチレン性不飽和基は、反応性の観点で(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル化合物の各残基が好ましく、アクリレート及びメタクリレートが特に好ましい。また、耐刷性の観点からは多官能モノマーはエチレン性不飽和基を3個以上有することがより好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレートが特に好ましい。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間で硬化組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの中でも、多官能エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレートを含むことがより好ましく、アルキレンジオールの炭素数が4〜12であるアルキレンジオールジ(メタ)アクリレートを含むことが更に好ましく、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを含むことが特に好ましい。上記態様であると、水性インキ及び溶剤インキに対する膨潤抑制性及び耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
また、成分Bとしては、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましく、エチレン性不飽和化合物と、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物とを含むことがより好ましい。上記態様であると、水性インキ及び溶剤インキに対する耐刷性に優れ、かつ、彫刻カスのリンス性に優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(B−1)で表されるものが好ましい。
Figure 2013230587
上記式(B−1)中、Rh1〜Rh3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシ基を表す。残りのRh1〜Rh3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機置換基(例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基を挙げることができる。)を表す。
上記式(B−1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性及び耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、上記式(B−1)で表される基を1つ以上有する化合物であることが好ましく、2つ以上有する化合物であることがより好ましい。特に加水分解性シリル基を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。すなわち、分子内に加水分解性基が結合したケイ素原子を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物中に含まれる加水分解性基が結合したケイ素原子の数は、1以上6以下が好ましく、1又は2が最も好ましい。
上記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(B−1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
好ましい上記アルコキシ基として、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよいし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、硫黄原子、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、ウレア結合、又は、イミノ基を少なくとも有することが好ましい。
中でも、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、加硫処理時に、加硫剤や加硫促進剤として機能し、共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、熱硬化層及びレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、複数の上記式(B−1)で表される基が二価の連結基を介して結合している化合物が挙げられ、このような二価の連結基としては、効果の観点からスルフィド基(−S−)、イミノ基(−N(R)−)、ウレア基又は、ウレタン結合(−OCON(R)−又は−N(R)COO−)を有する連結基が好ましい。なお、Rは水素原子又は置換基を表す。Rにおける置換基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アラルキル基が例示できる。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例としては、特開2011−136429号公報の段落0019〜0021に記載の方法が挙げられる。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物としては、下記式(B−A−1)又は式(B−A−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013230587
(式(B−A−1)及び式(B−A−2)中、RBはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、又は、イミノ基を表し、Lk1はnB価の連結基を表し、Lk2は二価の連結基を表し、Ls1はmB価の連結基を表し、Lk3は二価の連結基を表し、nB及びmBはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、Rk1〜Rk3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機置換基を表す。ただし、Rk1〜Rk3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシ基を表す。)
上記式(B−A−1)及び式(B−A−2)におけるRk1〜Rk3は、上記式(B−1)におけるRh1〜Rh3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記RBは、リンス性及び膜強度の観点から、エステル結合又はウレタン結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
上記Lk1〜Lk3における二価又はnB価の連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることがより好ましい。上記L1〜L3の炭素数は、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
上記Ls1におけるmB価の連結基は、硫黄原子と、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子とから構成された基であることが好ましく、アルキレン基、又は、アルキレン基、スルフィド基及びイミノ基を2以上組み合わせた基であることがより好ましい。上記Ls1の炭素数は、2〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
上記nB及びmBはそれぞれ独立に、1〜10の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、2〜6の整数であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
k1のnB価の連結基及び/又はLk2の二価の連結基、又は、Lk3の二価の連結基は、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、エーテル結合を有することが好ましく、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合を有することがより好ましい。
式(B−A−1)又は式(B−A−2)で表される化合物の中でも、架橋性等の観点から、式(B−A−1)において、Lk1のnB価の連結基及び/又はLk2の二価の連結基が硫黄原子を有する基であることが好ましい。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物としては、シリル基におけるケイ素原子上に少なくともアルコキシ基を有する化合物であることが好ましく、シリル基におけるケイ素原子上に少なくとも2つのアルコキシ基を有する化合物であることがより好ましく、シリル基におけるケイ素原子上に3つのアルコキシ基を有する化合物であることが更に好ましい。
また、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物の具体例としては、特開2011−136429号公報の段落0025〜0037に記載の方法が挙げられる。
これらの中でも、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、メルカプト基又はスルフィド結合を有する化合物であることが好ましく、スルフィド結合を有する化合物であることが特に好ましい。
また、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物における加水分解性シリル基及びシラノール基の総数は、1〜6であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Bの総含有量は、固形分全量に対して1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜75質量%が更に好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。上記範囲であると、レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層は耐刷性に優れる。
本発明の樹脂組成物により得られるフレキソ印刷版は、水性インク及び溶剤インクの両方に良好な耐性を有する。この作用機構は次のように推定される。
逐次重合で得られた骨格を有する成分Aにより、成分Bを連鎖重合することにより、逐次重合で得られた骨格と連鎖重合で得られた骨格とが相まって、ハードセグメントとソフトセグメントとを形成する。本発明の樹脂組成物は、強靭な膜強度と高いゴム弾性に必要なセグメント構造をもった膜が得られる。このために、フレキソ印刷に求められる性能である、水性インキと溶剤インキとに対する膨潤抑止機能が発現し、結果的に各種インキによる耐刷性が向上したと推定される。
また、彫刻感度が高い理由は、逐次重合で得られた骨格中のウレタン結合やエステル結合やアミド結合の熱分解性が高いことと、連鎖重合で得られた骨格の熱分解が解重合のメカニズムに従って効率的に起こることに由来していると推定される。
彫刻カスのリンス性が高い理由は、前述のようにレーザー彫刻時における成分A及び成分Bから形成される樹脂の熱分解性が高いために、彫刻カス成分がより低分子量化して、彫刻カスの揮発性が増し、印刷版上に残存する彫刻カス量が減ることに由来していると推定される。
(成分C)重合開始能を有しないバインダー
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、必須成分である成分A及びBの他に、更に、(成分C)重合開始能を有しないバインダーを含有することが好ましい。ここで、成分Cは成分Aとは異なる高分子である。ここで「高分子」とは、数平均分子量が5,000以上である化合物をいう。また、「重合開始能」とは、ラジカル重合を開始する性質を意味する。
ここで、成分Cは、成分Bと同じく、狭義の連鎖的な付加重合性(ラジカル重合を含む。)を有する残基はもちろん、重縮合や重付加の性質を有する残基を有していてもよい。
「バインダー」は、樹脂を意味し、非結晶性樹脂であることが好ましい。
成分Cのバインダーの主鎖構造は特に限定されず、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性バインダー、(メタ)アクリル樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、多糖類などから選択して用いることができる。
これらの中でも、ポリビニルアセタール及びその誘導体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ポリ乳酸、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂並びに多糖類がより好ましく、ポリビニルアセタール及びその誘導体、ポリウレタン樹脂、及び、スチレンブタジエン樹脂が好ましい。
成分Cは、レーザー彫刻用レリーフ形成層を形成する観点から、エチレン性不飽和基(エチレン性不飽和結合)を有することも好ましく、また、水酸基などシランカップリング剤と反応する官能基を有することも好ましい。後者の具体例には、後記の特定バインダー、分子末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂が含まれる。これらのバインダーについて説明する。
上記成分Cとして、水酸基(−OH)を有するバインダー(以下、「特定バインダー」ともいう。)も好ましいバインダーの一つである。特定バインダーの骨格としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性バインダー、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂の合成に用いられる(メタ)アクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。このような単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらと公知の(メタ)アクリル系モノマーやビニル系モノマーとを重合させた共重合体が好ましく用いることができる。
特定バインダーとして、ヒドロキシ基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸などのヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。このようなポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、乳酸系バインダー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンコハク酸)、これらの誘導体又は混合物よりなる群から選択されるものが好ましい。
また、特定バインダーとして、多糖類を使用することも好ましく、多糖類としてはセルロース、及び、セルロース誘導体を好ましく用いることができ、セルロース誘導体をより好ましく用いることができる。
通常のセルロースは、水やアルコールなどには非常に溶けにくいが、グルコピラノース単位の残存OHを特定の官能基で修飾することにより水あるいは溶剤溶解性を制御可能であり、このようにして水に不溶ではあるが、炭素数1〜4のアルコールには可溶としたセルロース誘導体もまた本発明において、成分Aとして好適である。
セルロース誘導体としては、例えば、エチルセルロースやメチルセルロースのようなアルキルセルロース、ヒドロキシエチレンセルロース、ヒドロキシプロピレンセルロース、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。更に、具体的な例として、信越化学工業(株)製のメトローズシリーズが挙げられる。このシリーズの中身は、セルロースのヒドロキシ基の水素原子の一部をメチル基(−CH3)、ヒドロキシプロピル基(−CH2CHOHCH3)あるいはヒドロキシエチル基(−CH2CH2OH)で置換したものである。
これらの中でも、アルキルセルロースが好ましく、エチルセルロース、及び/又は、メチルセルロースがより好ましい。
本発明における特定バインダーとして、水性インキ適性と溶剤インキ適性を両立しつつ、かつ耐刷性も良好であるという観点で、ポリビニルブチラール(PVB)、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂及び側鎖にヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂等が好ましく例示される。
本発明において好ましく用いられる成分Cの別の具体例である、ポリビニルアセタール及びその誘導体について、以下に説明する。
<ポリビニルアセタール及びその誘導体>
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、上記ポリビニルアセタールを変性したり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%が更に好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、更に、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール誘導体(PVB)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるバインダーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、8,000〜500,000であることがより好ましい。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算を用いた。
以下、ポリビニルアセタールの特に好ましい例として、ポリビニルブチラール(PVB)及びその誘導体を挙げて説明するが、これに限定されない。
ポリビニルブチラールの構造は、以下に示す通りであり、これらの構成単位を含んで構成される。
Figure 2013230587
上記式中、l、m及びnは上記式中のそれぞれの繰返し単位のポリビニルブチラール中における含有量(モル%)を表し、l+m+n=100の関係を満たす。ポリビニルブチラール及びその誘導体中のブチラール含量(上記式中におけるlの値)は、30〜90モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましく、45〜78モル%が特に好ましい。 耐刷性と着肉性とのバランスの観点から、ポリビニルブチラール及びその誘導体の重量平均分子量は、5,000〜800,000が好ましく、8,000〜500,000がより好ましい。
PVBの誘導体としては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で、積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)観点で積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズと電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」である。これらのうち、特に好ましい市販品を、上記式中の、l、m、及びnの値と、分子量とともに以下に示す。積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」(l=61、m=3、n=36 重量平均分子量 1.9万)、「BL−1H」(l=67、m=3、n=30 重量平均分子量 2.0万)、「BL−2」(l=61、m=3、n=36 重量平均分子量 約2.7万)、「BL−5」(l=75、m=4、n=21 重量平均分子量 3.2万)、「BL−S」(l=74、m=4、n=22 重量平均分子量 2.3万)、「BM−S」(l=73、m=5、n=22 重量平均分子量 5.3万)、「BH−S」(l=73、m=5、n=22 重量平均分子量 6.6万)が、また、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」シリーズでは「#3000−1」(l=71、m=1、n=28 重量平均分子量 7.4万)、「#3000−2」(l=71、m=1、n=28 重量平均分子量 9.0万)、「#3000−4」(l=71、m=1、n=28 重量平均分子量 11.7万)、「#4000−2」(l=71、m=1、n=28 重量平均分子量 15.2万)、「#6000−C」(l=64、m=1、n=35 重量平均分子量 30.8万)、「#6000−EP」(l=56、m=15、n=29 重量平均分子量 38.1万)、「#6000−CS」(l=74、m=1、n=25 重量平均分子量 32.2万)、「#6000−AS」(l=73、m=1、n=26 重量平均分子量 24.2万)が、更にクラレ(株)製の「モビタール」シリーズでは、「B16H」(m=1〜4、n=18〜21)、「B20H」(m=1〜4、n=18〜21)、「B30T」(m=1〜4、n=24〜27)、「B30H」(m=1〜4、n=18〜21)、「B30HH」(m=1〜4、n=11〜14)、「B45M」(m=1〜4、n=21〜24)、「B45H」(m=1〜4、n=18〜21)、「B60T」(m=1〜4、n=24〜27)、「B60H」(m=1〜4、n=18〜21)、「B60HH」(m=1〜4、n=12〜16)、「B75H」(m=1〜4、n=18〜21)がそれぞれ挙げられる。
PVB誘導体を特定バインダーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶剤に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜表面の平滑性の観点で好ましい。
<アクリル樹脂>
特定バインダーとして用いることができるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものであればよい。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。このような単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
特定バインダーの中でも、耐刷性の観点でポリビニルブチラール及びその誘導体が特に好ましい。
本発明における特定バインダーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、上記いずれの態様のバインダーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
<ウレタンアクリレート>
ウレタンアクリレートは、本発明において、成分Cとして好ましく使用できる別のバインダーの具体例である。
ウレタンアクリレートは、例えば、分子末端又は分子主鎖に水酸基を有するポリウレタン樹脂から誘導される。
原料の分子末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートの少なくとも1種と、多価アルコール成分の少なくとも1種とを反応させることによって形成される。
分子末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂は、分子内に更にカーボネート結合、及びエステル結合から選ばれる少なくとも1種の結合を有していることが好ましい。このポリウレタン樹脂が上記結合を有することが、印刷で用いられるエステル系溶剤を含有するインキ洗浄剤や炭化水素系溶剤を含有するインキ洗浄剤に対する印刷版の耐性を向上させるために好ましい。
分子末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂を製造する方法は特に限定されず、例えば、カーボネート結合、エステル結合を有し、かつ、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基等の反応性基を複数有する数千程度の分子量の化合物と、上記反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物(例えば、水酸基やアミノ基等を有するポリイソシアネート等)とを反応させ、分子量の調節及び分子末端の結合性基への変換等を行う方法等を用いることができる。
分子末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂の製造に用いられるカーボネート結合を有するジオール化合物としては、例えば、4,6−ポリアルキレンカーボネートジオール、8,9−ポリアルキレンカーボネートジオール、5,6−ポリアルキレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。また、芳香族系分子構造を分子内に有する脂肪族ポリカーボネートジオールを用いてもよい。これらの化合物の末端の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート等は、市販品として、たとえば、紫光(商標登録)シリーズのUV−3200、UV−3000B、UV−3700B、UV−3210EA、UV−2000B(以上、日本合成化学(株)製)、EBECRYL230、EBECRYL9227EA(以上、ダイセル・サイテック(株))、ハイコープAU(商標登録)シリーズのAU−3040、AU−3050、AU−3090、AU−3110、AU−3120(以上、(株)トクシキ製)を入手することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート等を得る別法として、前述のポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイルオキシ基を有するジオール化合物とを重付加反応させポリウレタンを生成する方法などもある。
この場合に用いられる(メタ)アクリロイルオキシ基を有するジオール化合物の好ましい例として、日油(株)製のブレンマ−GLM、ナガセケムテック(株)製の「デナコールアクリレート(商標登録)」シリーズのDA−212、DA−250、DA−721、DA−722、DA−911M、DA−920、DA−931、DM−201、DM−811、DM−832、DM−851などを挙げることができる。
<スチレンブタジエンゴム>
成分Cとして、加熱や露光によりレーザー彫刻用樹脂組成物を架橋させ、強度を向上させる目的に使用する観点から、分子内にエチレン性不飽和結合をもつポリマーも好ましく用いられる。
このようなポリマーとして、いわゆるスチレンブタジエンゴム(SBR)があり、詳しく述べると、主鎖にエチレン性不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
側鎖にエチレン性不飽和結合をもつポリマーとしては、後記のバインダーポリマーの骨格に、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基のようなエチレン性不飽和結合を側鎖に導入することにより得られる。バインダーポリマー側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法は、(1)重合性基に保護基を結合させてなる重合性基前駆体を有する構造単位をポリマーに共重合させ、保護基を脱離させて重合性基とする方法、(2)水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基などの反応性基を複数有する高分子化合物を作製し、これらの反応性基と反応する基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を高分子反応により導入する方法など、公知方法をとることができる。これらの方法によれば、高分子化合物中へのエチレン性不飽和基の導入量を制御することができる。
スチレンブタジエンゴムは、JSR(株)などの市販品を使用することができる。
成分Cとして、ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のバインダー(以下、「(成分C1)ともいう。」を使用することが好ましい。
本発明において、レリーフ形成層は、(成分C1)ガラス転移温度(Tg)が25℃以上のバインダーを含有することが好ましい。なお、成分C1がブロック共重合体である場合など、複数のTgを有する場合には、成分C1の有する最も高いTgが25℃以上であればよく、低温側のTgが25℃未満であってもよい。
成分C1の有するガラス転移温度の上限は特に限定されないが、200℃以下であることが好ましい。すなわち、成分Aの有するガラス転移温度は、25℃〜200℃であることが好ましく、30℃〜150℃であることがより好ましく、40℃〜120℃であることが更に好ましい。
ガラス転移温度が25℃以上のバインダーを用いる場合、上記バインダーは常温では、少なくとも部分的にガラス状態をとる。このためゴム状態をとる場合に比較して、熱的な分子運動はかなり抑制された状態にある。
成分C1は、複数のガラス転移温度を有するバインダーであってもよいが、1〜3のガラス転移温度を有することが好ましく、1又は2のガラス転移温度を有することがより好ましく、1つのガラス転移温度を有することが更に好ましい。
成分Cは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができる成分Cの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は5,000〜1,000,000であることが好ましく、8,000〜750,000であることが更に好ましく、10,000〜500,000であることが最も好ましい。
本発明に用いることができる樹脂組成物における成分Cの好ましい含有量は、塗膜の形態保持性と現像性をバランスよく満足する観点で、全固形分中、2〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜92質量%、更に好ましくは30〜90質量%である。
成分Cの含有量が上記範囲内であると、レーザー彫刻用組成物から得られる印刷版の耐刷性に優れる点で好ましい。
上述のバインダー以外のバインダーとしては、特開2011−136455号公報に記載されている非エラストマーや、特開2010−208326号公報に記載されている不飽和基含有ポリマー等が例示される。
レーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Cの含有量は、固形分全量に対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。上記範囲であると、レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層は耐刷性に優れる。
(成分D)光熱変換剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、更に、(成分D)光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明の樹脂組成物における光熱変換剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、上記樹脂組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
以下、成分A〜成分D以外に、本発明の樹脂組成物が含有しうる各種成分について説明する。
<可塑剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、アジピン酸ビスブトキシエチル等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)等が好ましく用いられる。
これらの中でも、アジピン酸ビスブトキシエチルが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物における可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<溶媒>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に、溶媒を用いることが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
<その他の添加剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、無機粒子が挙げられ、シリカ粒子が好ましく挙げられる。
無機粒子は、数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。また、無機粒子は、多孔質粒子、又は、無孔質粒子であることが好ましい。
上記多孔質粒子とは、粒子中に細孔容積が0.1ml/g以上の微小細孔を有する粒子、あるいは微小な空隙を有する粒子と定義する。
上記多孔質粒子は、比表面積が10m2/g以上1,500m2/g以下、平均細孔径が1nm以上1,000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、吸油量が10ml/100g以上2,000ml/100g以下であることが好ましい。比表面積は−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。また、細孔容積及び平均細孔径の測定には、窒素吸着法を用いることが好ましい。吸油量の測定は、JIS−K5101により好適に行うことができる。
多孔質粒子の数平均粒子径は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上8μm以下であることがより好ましく、1μm以上5μm以下であることが更に好ましい。
多孔質粒子の形状は、特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。
また、粒子の内部が空洞になっている粒子やシリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体などを使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物のように、層間に数nmから数百nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本実施形態においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更に多孔質粒子の表面をシランカップリンング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの多孔質粒子は、1種又は2種以上のものを選択できる。
上記無孔質粒子とは、細孔容積が0.1ml/g未満の粒子と定義する。無孔質粒子の数平均粒子径は、1次粒子を対象とする数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。
充填剤の添加量は特に制限されないが、成分A100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)
本発明において、フレキソ印刷版原版の説明に関して、成分A及び成分Bを必須成分とするレーザー彫刻用樹脂組成物から形成される、未架橋の層を「レリーフ形成層」と称し、上記レリーフ形成層を架橋した層を「架橋レリーフ形成層」と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層を「レリーフ層」と称する。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第1の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
また、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第2の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
本発明において「レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、並びに、光及び/若しくは熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、熱架橋した架橋レリーフ形成層を有するものであることが好ましい。
本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、上記レリーフ形成層を架橋した層をいう。上記架橋は、光及び/又は熱により行われることが好ましい。また、上記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分B同士の反応による架橋構造を含む概念であるが、成分Bが成分A等の他の成分と反応して架橋構造を形成していてもよい。 架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、上記のような成分を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、必要により更に、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、上記本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、架橋性の層である。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版によるフレキソ印刷版の作製態様としては、レリーフ形成層を架橋させて架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版とした後、架橋レリーフ形成層(硬質のレリーフ形成層)をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してフレキソ印刷版を作製する態様であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するフレキソ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の上記の如き成分を有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、シート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接形成したり、そこに配置して固定化したりすることもでき、必ずしも支持体を必要としない。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
<接着層>
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法)
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物の塗布液を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいは、レーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶剤を除去する方法でもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることがより好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることによって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
<層形成工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むことが好ましい。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶剤を除去する方法が好ましく例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物は、例えば、成分A〜成分C、並びに、任意成分を適当な溶媒に溶解又は分散させることによって製造することが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上3mm以下が更に好ましい。
<架橋工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法であることが好ましい。
レリーフ形成層が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる活性光線をレリーフ形成層に照射することで、レリーフ形成層を架橋することができる。
光は、レリーフ形成層全面に行うことが好ましい。光(「活性光線」ともいう。)としては可視光、紫外光、及び電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。レリーフ形成層の支持体等、レリーフ形成層を固定化するための基材側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムであれば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなり得る。)、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
レリーフ形成層の架橋方法としては、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
上記架橋工程が、光により架橋する工程である場合は、活性光線を照射する装置が比較的高価であるものの、印刷版原版が高温になることがないので、印刷版原版の原材料の制約がほとんどない。
上記架橋工程が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加えることが好ましい。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
(フレキソ印刷版及びその製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことが好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を熱架橋した架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層を架橋及びレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、水性インキを印刷時に好適に使用することができる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法における層形成工程及び架橋工程は、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
<彫刻工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましい。
彫刻工程は、上記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザー(IRレーザー)が好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会等に記載されている。
また、本発明のフレキソ印刷版原版を用いたフレキソ印刷版の製版方法に好適に用いることができるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るフレキソ印刷版の製版に使用することができる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
上記工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
本発明に用いることができるリンス液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13.2以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
以上のようにして、支持体等の任意の基材表面にレリーフ層を有するフレキソ印刷版が得られる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
また、フレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、25℃において、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のフレキソ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。本発明のフレキソ印刷版は、リンス性に優れており彫刻カスの残存がなく、かつ、得られたレリーフ層が弾性に優れるため、水性インキ転移性及び耐刷性に優れ、長期間にわたりレリーフ層の塑性変形や耐刷性低下の懸念がなく、印刷が実施できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
なお、実施例におけるポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
(実施例1)
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、成分CとしてUV−3000B(ウレタンアクリレート樹脂、日本合成化学工業(株)製、Tg:約36℃) 50部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を50℃にし、更に(成分B)重合性化合物として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート25部、(成分A)高分子開始剤としてMI−1(VPS−1001、和光純薬工業(株)製)の20部を添加して30分間撹拌した。この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物1)を得た。
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させた。その後80℃で3時間、更に100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、厚さがおよそ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1を作製した。
3.フレキソ印刷版の作製
架橋後のレリーフ形成層(架橋レリーフ形成層)に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さはおよそ1mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、75°であった。
(実施例2〜18、及び、比較例1〜6)
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた成分A〜成分Dを、下記表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用樹脂組成物)2〜18、比較架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用樹脂組成物)1〜6を調製した。
なお、各実施例及び比較例において、(成分D)光熱変換剤は、ケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1部使用した。
また、実施例9〜11において、成分Bとして2種の化合物を併用している場合、その添加量は、成分Bの総添加量は前述の実施例1での添加量と変更せず、当該2種の化合物を質量比1:1で添加した。具体的には例えば、実施例8であれば、成分Bとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを12.5部、及び、後述するB−1を12.5部添加した。
比較例1〜5において、(低分子)開始剤は0.5部添加した。
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜18、比較架橋性レリーフ形成層用塗布液1〜6に各々変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版2〜18及び比較例1〜6のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1〜6を得た。
3.フレキソ印刷版の作製
実施例のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版2〜18、及び、比較例のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1〜6のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、実施例のフレキソ印刷版2〜18、及び、比較例のフレキソ印刷版1〜6を得た。
これらのフレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さはおよそ1mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度をそれぞれ、前述の測定方法により測定したところ、75°であった。
<フレキソ印刷版の評価>
以下の項目でフレキソ印刷版の性能評価を行い、結果を表1に示す。なお、彫刻深さ以外の評価については、炭酸ガスレーザーで彫刻を行った場合の評価結果と、半導体レーザーで彫刻を行った場合の評価結果は、同じであった。
(1)膨潤率
1cm×1cm四方のサイズに膜をカットし、インキに浸漬して室温(25℃)で24時間放置した。浸漬前後の質量を用いて、以下の式より膨潤率を算出した。なお、インクとしては、水性インキ(アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株))を希釈せずに用いるか、又は、溶剤インキ(XS−716 507 原色藍(DICグラフィックス(株)製))を用いた。
膨潤率は、小さいほど膨潤しにくいことを示す指標であり、本発明では100%に近づくほど良好である。
膨潤率(%)=(インキ浸漬後の重量÷インキ浸漬前の重量)×100
(2)耐刷性
得られたレリーフ印刷版を印刷機(ITM−4型、(株)伊予機械製作所製)にセットした。インクとしては、水性インキ(アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株))を希釈せずに用いるか、又は、溶剤インキ(XS−716 507 原色藍(DICグラフィックス(株)製))を用いた。印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了時までに印刷した紙の長さ(メートル)を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。
(3)彫刻深さ
得られたレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザー(IRレーザー)によりレーザー彫刻し、得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、彫刻に用いたレーザーの種類毎に表1に示す。
(4)リンス性
レーザー彫刻した版を水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン(株)製、クリニカハブラシ フラット)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。カスがないものをA、ほとんどないものをB、カスが残存しているが、実用上問題のないレベルであるものをC、カスが除去できていないものをDとした。
Figure 2013230587
なお、表1中の略記は、以下の通りである。
MI−1(MIはMacroinitiatorの略である。):VPS−1001(ポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ重合開始剤、和光純薬工業(株)製)
<MI−2の合成>
ジスルフィド含有ジオール(下記)とポリプロピレングリコールジオール(数平均分子量1,000、以降ではPPG−1000と略す。)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以降ではMDIと略す。)とを20:30:50(モル比)でメチルエチルケトン中(重合濃度は10質量%)50℃で5時間重縮合してMI−2を得た(Mw=2.2万)。
Figure 2013230587
<MI−3の合成>
下記に示すジアミン化合物15.0部とN,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド34.6部とを375部の蒸留精製したジメチルアセトアミド中に溶解し、次にイソフタル酸クロリド15.2部、トリエチルアミン4部を加え10〜15℃で4時間反応させた。反応終了後、水の中に注いで高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物をメタノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄し、25℃において減圧乾燥してMI−3を得た(Mw=1.5万)。
Figure 2013230587
<MI−4の合成>
アルコキシアミンジオール(下記)と1,7−ヘプタンジオールとアジピン酸とを20:30:50(モル比)でメチルエチルケトン中(重合濃度は45質量%)40℃で24時間重縮合したポリエステル樹脂の溶液を作製し、溶媒を留去してMI−4を得た(Mw=1.2万)。
Figure 2013230587
<MI−5の合成>
アルコキシアミンジオール(下記)とシロキサンジオール(信越化学工業(株)製)とMDIとを20:30:50(モル比)でメチルエチルケトン中(重合濃度は15質量%)30℃で24時間重付加したポリウレタン樹脂の溶液を作製し、溶媒を留去してMI−5を得た(Mw=1.8万)。
Figure 2013230587
<MI−6の合成>
窒素置換されたフラスコに、ベンゾピナコール4.6部と、ジ−n−ブチルスズジラウレート1.3部とを配合して、1−メチル−2−ピロリドン178.7部に溶解させた。次いで、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン18.8部を25℃下でこの溶液に投入し、それらを反応温度25℃で24時間反応させてイソシアネート化合物の溶液を得た。次に、予め窒素置換したフラスコと滴下漏斗からなる反応容器を準備し、滴下漏斗には上記イソシアネート化合物の溶液を、フラスコには1,4−ブタンジオール8.1部をそれぞれ投入し、重合温度を60℃とし、2時間かけて得られたイソシアネート化合物の溶液を滴下した。その後、反応溶液の液温を80℃に昇温し1時間反応させて目的とするMI−6の溶液を作製した(Mw=2.0万)。得られた溶液を890部のメタノールに投入し、MI−6を析出させ、これを濾過し、濾紙上で445部のメタノールにてMI−6を洗浄した。その後、室温にて24時間かけて減圧乾燥することでMI−6を単離した。
<MI−7の合成>
窒素置換されたフラスコに、ベンゾピナコール0.8部(0.0023mol当量)と、ジ−n−ブチルスズジラウレート1.3部(0.002mol当量)とを配合して、1−メチル−2−ピロリドン162.6部に溶解させた。次いで、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン18.8部(0.1mol当量)を25℃下でこの溶液に投入し、それらを反応温度25℃で24時間反応させてイソシアネート化合物の溶液を得た。次に、予め窒素置換したフラスコと滴下漏斗からなる反応容器を準備し、滴下漏斗には上記イソシアネート化合物の溶液を、フラスコにはX−22−160AS(両末端カルビノール変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製)0.03mol当量及び1,4−ブタンジオール0.07mol当量をそれぞれ投入し、重合温度を60℃とし、2時間かけて得られたイソシアネート化合物の溶液を滴下した。その後、反応溶液の液温を80℃に昇温し1時間反応させて目的とするMI−7の溶液を作製した(Mw=3.2万)。得られた溶液を890部のメタノールに投入し、MI−7を析出させ、これを濾過し、濾紙上で445部のメタノールにてMI−7を洗浄した。その後、室温にて24時間かけて減圧乾燥することでMI−7を単離した。
<MI−8の合成>
ジスルフィド含有ジオール(下記)とKF−6003(両末端カルビノール変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以降ではMDIと略す。)とを20:30:50(モル比)でメチルエチルケトン中(重合濃度は10質量%)50℃で5時間重縮合し、反応終了後、水の中に注いで高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物をメタノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄し、25℃において減圧乾燥してMI−8を得た(Mw=2.6万)。
Figure 2013230587
<MI−9の合成>
下記に示すジアミン化合物とX−22−161A(両末端アミノ変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製)とイソフタル酸クロリドとを20:30:50(モル比)で、トリエチルアミン4部を加え10〜15℃で4時間反応させた。反応終了後、水の中に注いで高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物をメタノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄し、25℃において減圧乾燥してMI−9を得た(Mw=2.0万)。
Figure 2013230587
<MI−10の合成>
アルコキシアミンジオール(下記)と1,7−ヘプタンジオールとアジピン酸クロリドとを20:30:50(モル比)でメチルエチルケトン中(重合濃度は45質量%)40℃で24時間重縮合し、反応終了後、水の中に注いで高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物をメタノールで2回、ジエチルエーテルで2回洗浄し、25℃において減圧乾燥してMI−10を得た(Mw=2.7万)。
Figure 2013230587
<MI−11の合成>
ベンゾピナコール:1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン:1,4−ブタンジオール:KF−6003(両末端カルビノール変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製)=5:50:30:20(モル比)に変更した以外は、MI−7と同様の手順で合成し、MI−11(Mw=2.1万)を単離した。
パーブチルZ:下記化合物、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油(株)製)
V−601:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、和光純薬工業(株)製
I−1:下記化合物
I−2:下記化合物
ベンゾピナコール:東京化成工業(株)製
VPE−0401:ポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤、和光純薬工業(株)製
1,6−HDDA:下記化合物、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
KBM−802:下記化合物、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
B−1:下記化合物
UV−3000B:紫光UV−3000B、ウレタンアクリレート樹脂、日本合成化学工業(株)製、Tg:約36℃
エスレックBL−1H:ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製、Tg:約68℃
TR2000:合成ゴムSBR、JSR(株)製、Tg:約−65℃及び約105℃
CB:カーボンブラック、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)
Figure 2013230587
Figure 2013230587
以上の結果から、本発明によれば水性インク及び溶剤インクの両方に良好な耐久性を有するフレキソ印刷版を与えるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、それを用いたフレキソ印刷版の製版方法、並びに、それにより得られたフレキソ印刷版を提供することができた。
本発明によれば、また、レーザー彫刻感度が高く、彫刻カスのリンス性が良好なレキソ印刷版が得られることがわかった。

Claims (14)

  1. (成分A)逐次重合で得られた下記式I〜Vのいずれか1つで表される構造を有する高分子開始剤、及び、
    (成分B)重合性化合物、を含有することを特徴とする
    レーザー彫刻用樹脂組成物。
    Figure 2013230587
    (式I中、Psはポリシロキサン骨格を表し、式II〜V中、Psは逐次重合で得られた主鎖骨格を表し、式I〜V中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。)
  2. 成分Aが式IV又は式Vで表される構造を有する、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  3. (成分C)重合開始能を有しないバインダーを更に含有する、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  4. 成分Bが、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、及び、アクリロニトリルよりなる群から選ばれた少なくとも1つである、請求項1〜3いずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. 式II〜V中、成分AのPsが、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリウレタンウレア骨格、ポリアミド骨格、ポリアルキレングリコール骨格、及びポリシロキサン骨格よりなる群から選ばれた少なくとも1つの骨格である、請求項1〜4いずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 成分Bが、(メタ)アクリレート誘導体及びシランカップリング剤を含み、かつ、更にシランカップリング触媒を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  7. (成分D)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  8. 成分Dが、カーボンブラックである、請求項7に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、
    前記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む
    レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  12. 前記架橋工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る工程である、請求項11に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  13. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、を含む
    フレキソ印刷版の製版方法。
  14. 請求項13に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ層を有するフレキソ印刷版。
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