JP2013230342A - 中心動脈血圧の推定方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心動脈血圧の推定方法は、カフ圧力の振動波形を取得することと、上腕動脈の血圧波形に対する中心動脈の広義の変換関数を作成することと、前記圧力の振動波形に基づき、前記広義の変換関数を使用し中心動脈の圧力波形を発生させることと、前記中心動脈の圧力波形に基づき中心動脈の圧力値を得ることと、を含む。
【選択図】図2
Description
中心動脈の収縮期血圧に対する非侵入式の推定方法又は装置は、例えば、型番SphygmoCor(登録商標)の装置(AtCor Medical Pty Limited社製)、型番HEM−9000AIの装置(Omron Healthcare Europe社製)、型番Arteriographの装置(TensioMed Ltd社製)及びARCSolverから提案した演算法等が、すでに長年にわたって研究されている。
この装置は多くの文献に支持と検証されたが、安定的且つ正確な上腕動脈の血圧波形を得るためには、圧力記録器の操作者が専門的な訓練を受ける必要がある。また、この装置は高価である。なお、型番HEM−9000AIの装置の操作方法は、上記SphygmoCorと類似し、同様に圧力記録器を操作する専門者により関連ステップを行う必要がある。
PVRの信号は、カフの所有特性に伴って変化するため、前記波形の特徴点も異なるカフにより変化し、即ち同様な回帰解析のモデルではその他の電子式血圧計に広く適用することができない。又、型番ARCSolver装置は、人工神経回路網(Artificial Neuro−network)の演算法を利用するとともに訓練することにより最適なパラメータを得る。その欠点は、上記Arteriographと似ており、異なるカフを使う場合、中心動脈の血圧波形を推定するためには、最適なパラメータを得るように人工神経回路網を訓練しなおす必要がある。
他の実施例において、信号記録・記憶ユニット12と演算・解析ユニット14とは、多数のICデバイスによりサブユニット機能の処理をそれぞれ行うこともできるため、この実施例又は例示の図面に制限されることがない。当業者には、信号記録・記憶ユニット12は、記憶機能を有するメモリーであっても良いことは明らかである。
この実施例において、圧力変化調整ユニット13は、カフ11の圧力を、約30秒にわたって、60mmHgに維持するように制御することができるが、本発明はこれに制限されることはない。当業者には、カフ圧力が40−70mmHgの範囲内に調整されても良いことは明らかである。
一般には、このPVR波形と実際の上腕動の脈血圧波形とは大きな相関性があると思われるが、異なるカフの特性によるPVR波形の一部の箇所が変化することによって、中心動脈血圧の推定の正確さに影響することがある。本発明は、下記のステップを取り組むことにより、推定の正確さを向上することができ、さらに、カフの異なる特性により推定結果の正確さに影響することはない。
この実施例において、前記広義の変換関数は、一組のフーリエ変換関数(Fourier transfer fuction)、一組の高速フーリエ変換関数、或いは一組の周波数領域(frequency domain)に対する時間領域(time domain)の変換関数に類似したものであっても良いが、本発明はこれに限らない。
この実施例に採用されたA2B−GTFは、侵入式のカテーテル手術を経て、受検者から中心動脈波形及び上腕動脈の二つの圧力波形を記録し、その後、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transfer)の計算により得られたものである。上述の説明について、米国特許US 5,265,011、Michael F O’Rourke氏が提案した方法を参照することができる。前記関数モデルを作成する手順と検証方法は、この後詳述する。
この実施例のA2B−GTFにおいて、離散フーリエ変換関数(Discrete Fourier Transform;DFT)によってPVR波形を各周波数の正弦波成分又は余弦波成分に変換し、前記波形をx[n](n=0〜N−1)のように表示する場合、DFTの公式は、下記のように表示されることができる(下記に示す公式と逆推定(inverse)の公式は例示するためのものであって、本発明の実施を限制するために用いられるものではない。また、周波数領域に対する時間領域の変換関数に類似したものも保護範囲である)。
また、この実施例において、一組のA2B−GTFの好適なパラメータが提供され、周波数0Hzに対応する大きさは1.00であり、位相は0.00ラジアンであり、周波数1Hzに対応する大きさは1.04であり、位相は0.18ラジアンであり、周波数2Hzに対応する大きさは1.26であり、位相は0.33ラジアンであり、周波数3Hzに対応する大きさは1.76であり、位相は0.36ラジアンであり、周波数4Hzに対応する大きさは2.08であり、位相は−0.06ラジアンであり、周波数5Hzに対応する大きさは1.68であり、位相は−0.26ラジアンであり、周波数6Hzに対応する大きさは1.97であり、位相は−0.15ラジアンであり、周波数7Hzに対応する大きさは1.98であり、位相は−0.47ラジアンであり、周波数8Hzに対応する大きさは1.24であり、位相は−0.44ラジアンであり、周波数9Hzに対応する大きさは1.32であり、位相は−0.21ラジアンであるが、本発明はこのパラメータセットの表示による保護範囲に限られることはない。前記好適なパラメータセットは、下表のように表示することもできる。
この実施例は、サイズが2Fであるカスタマイズハイ・フィデリティ圧力波形記録カテーテル(model SSD−1059, Millar Instruments Inc., U.S.A.)を使用し直接的に侵入式の測定を実施する。前記カテーテル内には二つの圧力記録センサーヘッドが含まれ、それぞれに受検者の中心動脈と右手の上腕動脈に埋め込むことにより、中心動脈の圧力波形と右手の上腕動脈の圧力波形を記録する。一方、同一受検者の左手もカフに覆われ、定圧(例えば、平均60mmHg)でカフ内のPVR信号を30秒にわたって記録するとともに、上腕動脈の収縮期血圧と拡張期血圧を記録する。
この実施例におけるA2B−GTFは固定パラメータであり、それを表一に示す。周波数が高い部分の正弦波或いは余弦波成分は波形の合成にあまり寄与しないため、表一に示す周波数は0〜9Hzであるが、他の実施例においては、9Hzより高い正弦波成分を使っても良い。
本実施例において、中心動脈の圧力波形を推定するときに、0〜9Hzのあらゆるの正弦波成分を使ってもよく、その中の中低周波数部分の正弦波成分(例えば、0〜4Hz)を使って波形を推定してもよい。
図3Aと図3Bは、本発明が提案したA2B−GTFと、以前にKaramanogluらが提案した文献中における変換関数とを比較した図である。この実施例におけるA2B−GTFには、表一に示すパラメータセットが使われる。グラフにおける振幅(amplitude)のピークは4Hzのところに位置し、それに伴う標準偏差が小さい、特に4Hzより小さい範囲の標準偏差がさらに小さい。図3Aを参照し、A2B−GTFの振幅スペクトル(magnitude spectrum)と、Karamanogluの振幅スペクトルとは類似し、特に1〜3Hzの範囲はほとんど重なっている。
Microlife WatchBP Officeの電子式血圧計が使われる受検者は40人であり、Omron VP−2000の電子式血圧計が使われる受検者は100人である。記録されたPVR信号は、電子式血圧計が測定した収縮期血圧と拡張期血圧により圧力の校正が行われるとともに、上記A2B−GTFを用いて中心動脈の圧力波形の推定を行う。
図4Aと図4Bに示すように、本発明が適用されたMicrolifeとOmronの電子式血圧計とはいずれも良好な推定結果を得た。統計の方法で計算し、図4Aは、本発明が適用されたMicrolife WatchBP Officeの電子式血圧計により推定した中心動脈の収縮期血圧と実際の収縮期血圧との誤差の平均値(mean)±標準偏差(SD)は−2.9±7.2mmHg(レンジ(Range)R=0.94)であることを示す。
図4Bは、本発明が適用されたOmron VP−2000電子式血圧計により推定した中心動脈の収縮期血圧と実際の収縮期血圧との誤差の平均値(mean)±標準偏差(SD)は−2.1±7.7mmHg(R=0.93)であることを示す。図面におけるそれぞれの誤差値は、いずれも推定した中心動脈の収縮期血圧から、並行して実際に測定した中心動脈の収縮期血圧を引いた値である。
上記の検証結果から、本発明にかかわるA2B−GTFとそのパラメータセットは、市販の異なる電子式血圧計に適用されることができ、即ちこれらの電子式血圧計と結合し中心動脈の血圧値を正確に推定することができ、異なるカフが推定の正確さに影響することはないことが証明された。
本発明に記載された範疇内において、当業者は同様の効果を達成できる各種の変化(例えば、波形信号の処理、或いは校正の手順)に想到し得ることは明らかである。また、中心動脈血圧の推定装置10のブロック図について、本発明の技術内容を影響しないように他の機能ブロック、例えば、波形フィルタや推定数値を示すスクリーン等を挿入し、又は追加しても良い。
11 カフ
12 信号記録・記憶ユニット
13 圧力変化調整ユニット
14 演算・解析ユニット
BP 中心動脈の圧力値
S 圧力の振動波形
S21,S22,S23,S24 ステップ
Claims (21)
- カフ圧力の振動波形を取得することと、
上腕動脈の血圧波形に対する中心動脈の広義の変換関数を作成することと、
前記圧力の振動波形に基づき、前記広義の変換関数を使用し中心動脈の圧力波形を発生させることと、
前記中心動脈の圧力波形に基づき中心動脈の圧力値を得ることと、
を含むことを特徴とする中心動脈血圧の推定方法。 - 前記圧力の振動波形は、容積脈波記録波形を含むことを特徴とする請求項1に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記容積脈波記録波形は、圧力変化調整ユニットにより前記カフ内圧を定圧に維持するように制御し得られた圧力信号であることを特徴とする請求項2に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記広義の変換関数は、一組のフーリエ変換関数、一組の高速フーリエ変換関数、または一組の周波数領域に対する時間領域の変換関数であることを特徴とする請求項1に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記一組のフーリエ変換関数又は前記一組の高速フーリエ変換関数は、離散フーリエ変換関数であることを特徴とする請求項4に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記離散フーリエ変換関数は、所定の周波数以下の各周波数の正弦波成分又は余弦波成分を利用し前記圧力の振動波形を合成することを特徴とする請求項5に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記所定の周波数以下の各周波数成分は、一定の大きさ又は位相にそれぞれ対応することを特徴とする請求項6に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記N=10としたとき、前記所定の周波数以下の各周波数成分がそれぞれ対応する大きさ及び位相が、周波数0Hzに対応する大きさは1.00であり、位相は0.00ラジアンであり、周波数1Hzに対応する大きさは1.04であり、位相は0.18ラジアンであり、周波数2Hzに対応する大きさは1.26であり、位相は0.33ラジアンであり、周波数3Hzに対応する大きさは1.76であり、位相は0.36ラジアンであり、周波数4Hzに対応する大きさは2.08であり、位相は−0.06ラジアンであり、周波数5Hzに対応する大きさは1.68であり、位相は−0.26ラジアンであり、周波数6Hzに対応する大きさは1.97であり、位相は−0.15ラジアンであり、周波数7Hzに対応する大きさは1.98であり、位相は−0.47ラジアンであり、周波数8Hzに対応する大きさは1.24であり、位相は−0.44ラジアンであり、周波数9Hzに対応する大きさは1.32であり、位相は−0.21ラジアンであることを特徴とする請求項8に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- 前記中心動脈の圧力値は、収縮期血圧と拡張期血圧の圧力差、収縮期血圧、平均血圧及び拡張期血圧を含むことを特徴とする請求項1に記載の中心動脈血圧の推定方法。
- カフと、
前記カフ圧力の振動波形を取得し記憶する信号記録・記憶ユニットと、
前記圧力の振動波形に基づき、上腕動脈の血圧波形に対する中心動脈の広義の変換関数を利用し中心動脈の圧力波形を発生させるとともに、前記中心動脈の圧力波形に基づき中心動脈の圧力値を得る演算・解析ユニットと、
を含むことを特徴とする中心動脈血圧の推定装置。 - 前記カフの増圧、維持又は減圧を制御するための圧力変化調整ユニットを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記圧力の振動波形は、容積脈波記録波形を含むことを特徴とする請求項11に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記容積脈波記録波形は、前記圧力変化調整ユニットにより前記カフの内圧を定圧に維持するように制御し得られた圧力信号であることを特徴とする請求項13に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記広義の変換関数は、一組のフーリエ変換関数、一組の高速フーリエ変換関数、又は一組の周波数領域に対する時間領域の変換関数であることを特徴とする請求項11に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記一組のフーリエ変換関数又は前記一組の高速フーリエ変換関数は、離散フーリエ変換関数であることを特徴とする請求項15に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記離散フーリエ変換関数は、所定の周波数以下の各周波数の正弦波成分又は余弦波成分を利用し前記圧力の振動波形を合成することを特徴とする請求項16に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記所定の周波数以下の各周波数成分は、一定の大きさ又は位相にそれぞれ対応することを特徴とする請求項17に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記N=10としたとき、前記所定の周波数以下の各周波数成分がそれぞれ対応する大きさ及び位相が、周波数0Hzに対応する大きさは1.00であり、位相は0.00ラジアンであり、周波数1Hzに対応する大きさは1.04であり、位相は0.18ラジアンであり、周波数2Hzに対応する大きさは1.26であり、位相は0.33ラジアンであり、周波数3Hzに対応する大きさは1.76であり、位相は0.36ラジアンであり、周波数4Hzに対応する大きさは2.08であり、位相は−0.06ラジアンであり、周波数5Hzに対応する大きさは1.68であり、位相は−0.26ラジアンであり、周波数6Hzに対応する大きさは1.97であり、位相は−0.15ラジアンであり、周波数7Hzに対応する大きさは1.98であり、位相は−0.47ラジアンであり、周波数8Hzに対応する大きさは1.24であり、位相は−0.44ラジアンであり、周波数9Hzに対応する大きさは1.32であり、位相は−0.21ラジアンであることを特徴とする請求項19に記載の中心動脈血圧の推定装置。
- 前記中心動脈の圧力値は、収縮期血圧と拡張期血圧の圧力差、収縮期血圧、平均血圧及び拡張期血圧を含むことを特徴とする請求項11に記載の中心動脈血圧の推定装置。
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