JP2013230080A - 埋込磁石同期回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の埋込磁石同期回転電機ではマグネットトルクとリラクタンストルクの2成分が最大となるモータ電流位相に45°のずれがあるため、これら2成分トルクを相加的な用途には不向きであった。そこで、成分トルクの波形間の位相的なずれを縮小または解消できる回転子構造にした高トルク埋込磁石同期回転電機を提供する。
【解決手段】回転子鉄心4外周の各磁極は回転方向側に誘導子11を逆回転方向側に界磁極21を配置し、各磁極に対して磁極の逆回転方向側の磁極との間に位置する回転子鉄心に、所定の半径方向深さで所定の回転角度に亘って固定子内周との間の磁気的な距離を隔てる円弧状の磁極間隙部31,32を配置するとともに、各磁極の回転子鉄心部に誘導子と界磁極の境の表層部から磁極間隙部の底部分側に亘る永久磁石埋込用長穴71,72を穿設し、永久磁石埋込用長穴に永久磁石を当該磁極に対応する極性にして埋込んだ埋込磁石同期回転電機。
【選択図】図1

Description

本発明は電動機能及び発電機能に変換可能な埋込磁石同期回転電機に関するものである。
PM同期モータは界磁電流が不要なため界磁損失がなく、本質的に低損失・高効率である。従来からACサーボなどの小容量モータに多く採用されているが、最近は省エネルギー機器として、より大型のモータにも採用される傾向にある。
直流モータは界磁用の永久磁石が固定子に、電機子巻線が回転子に配置される回転電機子形であるが、PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)は永久磁石を回転子に、電機子巻線を固定子に設けた回転界磁形の構成である。
回転子は、けい素鋼板から成る鉄心とその中に配置された永久磁石から成る。
永久磁石の配置から、回転子の表面に永久磁石を固着した表面磁石同期モータ(SPMSM:Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)と回転子の内部に永久磁石を埋め込んだ埋込磁石同期回モータIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)に大別される。
而して、回転子内部に永久磁石を埋め込む構造の埋込磁石同期回転電機は、表面磁石同期モータと比べて、永久磁石の装着が容易で、永久磁石内部の発熱も抑制されるなどの堅牢で高速回転に適した回転子構造上の利点に加え、出力トルクにおいても、マグネットトルクとともに、いわゆる逆突極性に基づいたリラクタンストルクを併用でき、またブラシレスDCモータとも呼ばれているように、インバータ駆動の効用により多様な運転特性が可能なため、応用範囲が拡大して来ている(例えば、非特許文献1参照)。
従来の埋込磁石同期回転電機の具体例として特許文献1で紹介のモータを図15に示す。
図15には4極機の埋込磁石同期回転電機の固定子5と回転子3の横断面図を示したものである。
この回転子3は、回転軸3aに固着した回転子鉄心4に、4極の永久磁石1、2を、そのN極とS極を交互に配置して埋め込んでいる。
回転子3の1極あたりの永久磁石1,2は、回転子鉄心4の半径方向において内外2層に分割して配置する。外周側の永久磁石1と内周側の永久磁石2は、各々両端1a,2aを回転子鉄心4の外周面直下に配置し、回転軸3a側に凹湾曲させて配置すると共に、これら内外層の永久磁石の間には回転子鉄心4にほぼ一定幅の凹湾曲状の間隔を設けて、この間隔部分を回転子鉄心4のq軸成分の磁束通路1−2として機能させている。
固定子5は、所定数のティース6とスロット7を備え、各ティース6間には図示していないが固定子巻線が配置されて構成されている。
この固定子巻線に交流電流を供給することにより回転磁界が発生し、この回転磁界によって回転子3にマグネットトルクT及びリラクタンストルクTが作用し、回転子3は回転し回転軸3aを駆動する。
前記従来の埋込磁石同期回転電機は、図16に示すように、一定電流のもとでの発生トルクの中、マグネットトルクは電流の進角0°で最大になるのに対して、リラクタンストルクは進角45°で最大となることから、両者を加算した総合トルクは電流位相が0°〜45°の範囲内で最大値となる。(特許文献1及び非特許文献1第19頁)。
特許第2823817号公報
武田洋次他「埋込磁石同期モータの設計と制御」オーム社発行平成20年12月10日、掲載頁19
しかし、この電流位相範囲では両成分トルクともに最大の点、頂点から減少しており、その結果、総合トルクの最大値は両成分トルクの最大値の加算値よりも低下してしまう。すなわち、従来の埋込磁石同期回転電機の場合、マグネットトルクとリラクタンストルクの併用の実態は両成分トルク波形の間に存在する相補的な増減関係を活かしているに過ぎず、両成分トルクの最大値の加算で代表されるような、相加的な総合トルクは得られなかった。
そこで、本発明は、原因となっている両成分トルク波形の間の位相的なずれを縮小または解消する回転子を有する高トルク化可能な埋込磁石同期回転電機を提供するものである。
本発明の埋込磁石同期回転電機は、その技術的特徴を次の(1)〜(4)の通りとするものである。
(1)、固定子鉄心にティースとスロットを備え各ティース間には固定子巻線スロットと巻線を巻回した固定子と、回転軸に装着した回転子鉄心に異極性の磁極を交互に配置し、各磁極単位の永久磁石埋込用長穴に当該磁極に対応する極性にして永久磁石を埋込んだ回転子とを備えた埋込磁石同期回転電機において、
回転子鉄心外周の各磁極は回転方向側に誘導子を逆回転方向側に界磁極を配置し、各磁極に対して当該磁極の逆回転方向側の磁極との間に位置する回転子鉄心に、所定の半径方向深さで所定の回転角度に亘って固定子内周との間の磁気的な距離を隔てる円弧状の磁極間隙部を配置するとともに、各磁極の回転子鉄心部に当該誘導子と当該界磁極の境(即ち誘導子から界磁極への移行部)の表層部から当該磁極間隙部の底部分側に亘る永久磁石埋込用長穴を穿設し、これら永久磁石埋込用長穴に永久磁石を当該磁極に対応する極性にして埋込んでなることを特徴とする埋込磁石同期回転電機。
(2)、前記磁極間隙部は回転子鉄心の外周部を一体に叉は分割して円弧状に切欠き形成し又は円弧状の全閉型に空洞形成したことを特徴とする前記(1)に記載の埋込磁石同期回転電機。
(3)、永久磁石埋込用長穴は当該回転子磁極の当該誘導子と当該界磁極との境界部分から当該磁極間隙部の底部側に亘って一体に叉は分割して直線状又は回転軸側に折れた折れ線状又は回転軸側に凹湾曲した凹湾曲状に穿設したことを特徴とする前記(1)に記載の埋込磁石同期回転電機。
(4)、当該界磁極の中央部表層に一端を位置し、他端を磁気的に相応する当該永久磁石埋込用長穴の長手方向中央部に接近位置させて界磁極鉄心の磁路幅をほぼ等分割に分断する塞隙を設けたことを特徴とする前記(1)に記載の埋込磁石同期回転電機。
本発明の埋込磁石同期回転電機は、回転子を、回転子磁極を誘導子と界磁極の2つの要素に分けて、それら要素間でベクトル図上での方向軸を斜交させるための誘導子位相角γを定義し、しかもこの角γを任意に設定可能とした前記構造にしたものである。
この回転子の前記構造により、本発明の埋込磁石同期回転電機は、その発生トルク成分、すなわちマグネットトルクとリラクタンストルク両成分の波形間に、従来固定量として介在してきた位相的なずれ角を縮小または解消して、マグネットトルクとリラクタンストルクの両成分トルクの最大値の加算で代表される相加的な高い総合トルクが得られるものである。
また本発明の埋込磁石同期回転電機は、力率や効率の改善など高性能運転のため、従来適用されてきた電流ベクトル制御による各種制御駆動方式を応用可能なのであり、上記の高トルク化の効果に加えて、さらに用途目的に合った進み電流位相θでの駆動という運転上の要求も同時に実現するため、最適な誘導子位相角γの選定を可能にしたものである。
又、本発明の埋込磁石同期回転電機は、電動機能及び発電機能に変換可能である優れた汎用性を有する。即ち、後にも詳述するように発生トルクTと回転速度ωの2変量を用いて、これらが正極性(T>0、ω>0)のときを、ある方向のトルク及び回転速度に対応させると、同期モータのエネルギー変換動作は、T・ω直交座標系の各象限に対して、第1象限(T>0、ω>0)と第3象限(T<0、ω<0)では電動動作を得る。又第2象限(T<0、ω>0)と第4象限(T>0、ω<0)では発電動作を得ることになる。
本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例1を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例2を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例3を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例4を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例5を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例6を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機における回転子構造の実施例7を示す横断面説明図である。 本発明の埋込磁石同期回転電機の特性として、界磁極と誘導子の磁気的方向軸を斜交させた位相関係にした際のベクトル図。 誘導子位相角γによるリラクタンストルク波形の変化を示すグラフ。 誘導子位相角γ=0°に設定した場合のトルク波形例を示す図。 誘導子位相角γ=15°に設定した場合のトルク波形例を示す図。 誘導子位相角γ=30°に設定した場合のトルク波形例を示す図。 誘導子位相角γ=45°に設定した場合のトルク波形例を示す図。 d軸基準の電流ベクトル偏角φに対するトルク波形を示す図。 従来例の埋込磁石同期回転電機を示す横断面説明図である。 図15に示す従来形モータにおける発生トルクとモータ電流位相との関係を示す図である。
本発明を実施するための特性理論等について数式と関係図面とより以下に詳細に説明する。
本発明の埋込磁石同期回転電機の特性は、図8のベクトル図によって考察することができる。
図8において、界磁極については従来どおりにd−q座標上のd軸に一致させて示している。
これに対して、従来とは異なり新しく、前記d−q座標のq軸から0を除く位相角γだけずらして設定したS軸に誘導子の突極の方向を一致させて図示している。
このように界磁極と誘導子の磁気的方向軸どうしを斜交させた位相関係に置くことは本発明の埋込磁石同期回転電機の本質的な特徴をなす要件であり仮にγ=0として界磁極と誘導子とを直交させるとすれば、それは従来の埋込磁石同期回転電機と同等の特性しか得られないことを意味する。
この誘導子位相角γは数1によって与えられる。
Figure 2013230080
そして、図8のモデルに基づいて、本発明の埋込磁石同期回転電機の発生トルクは数2によって与えられる。
Figure 2013230080
Figure 2013230080
数2の右辺中の第1項:マグネットトルクTと第2項:リラクタンストルクTに対する、一定電流のもと電流位相θが0°≦θ≦90°の領域での、波形例を図9に示す。
リラクタンストルクTの数式から明らかなように、本発明による誘導子位相角γはリラクタンストルク波の起点位相なのであり、同時に、この誘導子位相角γは数1の関係に基づいて設計上で、任意に設定可能でもある。そこで、リラクタンストルク波については誘導子位相角γを0°、15°、30°及び45°と段階的に変えた場合について図示しており、誘導子位相角γの増加とともにリラクタンストルク波が左方向へと平行移動していく様子を表している。これに対して、マグネットトルク波の方は縦軸上に頂点が位置する余弦波のままである。
図10〜図13は前記誘導子位相角γを段階的に変えた各場合についてマグネットトルクTとリラクタンストルクTの合成による総合トルクTの波形例を示している。図10は誘導子位相角γ=0°、図11は誘導子位相角γ=15°、図12は誘導子位相角γ=30°、そして図13が誘導子位相角γ=45°の場合のトルク波である。各図中のパラメータ:kはマグネットトルクTに対するリラクタンストルクTの振幅比であり、数2中の諸量を参照すれば数3によって与えられる。
Figure 2013230080
図10(γ=0°)は、従来技術に相当するトルク波の参考例であり、図11〜図13に示す誘導子位相角γ>0°は本発明に対応するトルク波の検討例である。なお、これらの図中、振幅比kの各値に対する総合トルク波の最大値すなわち頂点座標を○印で示している。
そこで先ず、高トルク化の観点から直截的に比較してみると、誘導子位相角γ=15°(図11)においてすでに高トルク化の傾向は現れていて、誘導子位相角γの増加につれて高トルク化の効果はより顕著となって、図12、図13に示す誘導子位相角γ≧30°に設定すると、同一の振幅比kのもとでも最大トルクを従来比で10ないし15%増大できることが明らかである。
さらに、マグネットトルク波を基準とする観点から見た場合、これにリラクタンス波を加算して得る総合トルク波に対して、誘導子位相角γはどのような影響を及ぼすのかについて詳しく検討してみると、次のようなことが言える。
図10に示す誘導子位相角γ=0°の場合、マグネットトルク波が最大になる電流位相θ=0°の点において、リラクタンストルクは全く発生しないので、総合トルク波もこのマグネットトルク波の頂点に拘束されたままで微増すらも起こらない。リラクタンストルク波が最大になる電流位相すなわち電流位相θ=45°位までの領域ではリラクタンストルクの加算による総合トルクの増加は起こり得るが、このような領域ではマグネットトルクが頂点を脱けて減少に転じているので高トルク化は振幅比k≧0.25程度でなければ期待できない。
以上に述べてきたことは、前述で紹介した従来技術に基づく総合トルクにおいて、マグネットトルクとリラクタンストルクとの間の関係を相補的と評したことへの詳細理由の説明に相当する。
図11に示す誘導子位相角γ=15°の場合、前記総合トルク波に対する拘束が緩和されて、電流位相θ=0°の点でのリラクタンストルクによる高トルク化は認められるが、後述する場合に比べるとまだ不十分である。従って、高トルク化の観点からは、誘導子位相角γは十分に大きな値に設定すべきであり、誘導子位相角γを15°未満に設定することは推奨できない。
誘導子位相角γ=30°図12の場合、前記総合トルク波に対する電流位相θ=0°での拘束的な傾向はわずかに残るが実質的には無視できる。さらに、誘導子位相角γ=45°図13とすれば、マグネットトルク波とリラクタンストルク波の頂点位相が一致した形で加算されるので、高トルク化の見地から見て極限的に有利な総合トルク波形が得られる。
以上の理論から、本発明によって埋込磁石同期回転電機の高トルク化を図っていくうえで、誘導子位相角γは15°≦γ≦45°に設定することが望ましく、このように設定することによって、総合トルク波に対してマグネットトルク波とリラクタンストルク波とは相加的に作用し合うと言うことが出来る。
各総合トルク波の頂点に対する電流位相θ(進角)は、それぞれ、高トルク化のための最適なモータ駆動条件とみなすことができ、例えば、振幅比をk=0.5に固定した場合の総合トルク波から最適な電流位相θを求めると、図11に示す誘導子位相角γ=15°では電流位相θ=20°、図12に示す誘導子位相角γ=30°では電流位相θ=10°、そして図13に示す誘導子位相角=45°では電流位相θ=0°と読み取ることが出来る。
このような誘導子位相角γと電流位相θの関係に加えて、実用面からの要求も加味して集約すると、本発明による埋込磁石同期回転電機の開発に当たって次のことが言える。すなわち中ないし高速運転の用途等、力率または効率改善のために進み電流位相θを比較的大きく保って運転する必要がある場合は、誘導子位相角γを先述の15°ないし45°の範囲の内でも15°≦γ≦30°と比較的小さく設定することが推奨され、他方、主に低速運転の用途で、進み電流位相θが比較的小さくて良い場合は誘導子位相角γは30°≦γ≦45°と比較的大きく設定することが推奨される。
このように、埋込磁石同期回転電機の高トルク化や高性能化のためには誘導子位相角(γ>0)を導入した回転子構造とするのが良い。しかし、全ての用途に無際限に適用することは推奨できないので注意を要する。その理由は本発明の特徴である誘導子位相角の固有の作用によるもので、以下、このことについて述べる。
図14に、モータ電流の位相角として、電流ベクトルのd軸からの偏角(図8のベクトル図中の角φ)を用いて、一定電流のもとで角φを変化させたときの総合トルクの波形例(トルク対電流位相特性)を示す。本図は誘導子位相角γが0°、15°、30°、及び45°の場合について示し、比較参照用のため、これら総合トルク波中の共通成分であるマグネットトルク波についても破線で示した。
マグネットトルク波は原点(φ=0°)を起点とする正弦波状である。しかし、これにリラクタンストルク波を重ね合わせた総合トルク波は、必ず偏角φ=−γにおいてマグネットトルク波と交差することになり、角γを増せば交差点は左方向にずれていくので、図示のように、複雑な波形へと変形していく。これらの波形を比較すると、従来技術(γ=0°相当)の場合は、総合トルク波は原点に関して点対称である。これに対して、本発明(γ>0°)の場合は、対称形とはならず、角γの
増加とともに非対称性が顕著になる。このことこそが先述の誘導子位相角に固有の作用なのであって、端的に言えば、誘導子位相角は埋込磁石同期回転電機のトルク対電流位相特性に非対称性を付与する。
図14に基づいてさらに詳しく検討すると次のことが言える。
総合トルク波には偏角φの正・負各領域に極大点が現れる。それら、極大値の大きさ(絶対値)をマグネットトルクの振巾と比べると、φ<0の領域で総合トルクがマグネットトルクよりも大となり得るのはγ=15°の波形例だけで、γが30°や45°では不適合である。これに対して、φ>0の領域では、γが15°、30°、及び45°の全ての例において、明らかに総合トルクがマグネットトルクよりも大となり得て、その条件を満たすφの変域も十分に広角に度っている。要約すると、誘導子位相角の増加に伴う総合トルク波の大きさは、φ<0の領域では両成分トルク間の差の値に近づくのに対して、φ>0の領域では両成分トルクの和の値に近づく。上記の傾向は本発明における総合トルク波の非対称性を量的特性として明示している。また、上記φ>0の領域での総合トルクの増大傾向が本発明の目的とする高トルク化を可能とするための手段として活用されているのは言うまでもない。
本発明の埋込磁石同期回転電機は、可変速駆動系の構成要素として、電気・機械エネルギー変換を担っている。実用途の殆どにおいて、変換動作は、電動動作だけに限定されることはごく稀で、発電動作も含めた双方向の変換動作の組合せで行われる。これらの変換動作について言えば、モータにとっての電動は駆動対象(負荷)にとっては発動であり、また、発電は制動に相当する。そこで、発生トルクTと回転速度ωの2変量を用いて、これらが正極性(T>0、ω>0)のときを、図8のベクトル図上、反時計方向のトルク及び回転速度に対応させると、同期モータのエネルギー変換動作は、T・ω直交座標系の各象限に対して、次のように明解に定義することができる。第1象限(T>0、ω>0)と第3象限(T<0、ω<0)では電動動作であり、第2象限(T<0、ω>0)と第4象限(T>0、ω<0)では発電動作となる。
以下に、その非対称トルク特性を踏まえた上で、本発明の埋込磁石同期回転電機についての各種実用途に向けての適合性について略説する。
本発明の埋込磁石同期回転電機は、先ず、運転中の動作が前掲の第1、及び第2象限の組合せに限られていて、逆回転を要しない一般の産業機械に対して、同期モータとして適している。ポンプ等は好例で、第2象限の動作すなわち制動時には駆動系内の機械的損失分も含めた負荷トルクが制動トルクとして寄与する。また、系が複雑にはなるが、反転機構を介して逆回転を行うような移動体の駆動等にも、モータの逆転が不要な限り、適している。
次に、工作機等の各種加工機に多用される往復動機構への同期モータとしての適用は、加工時の有負荷での送出と軽負荷での原点復帰の組合せ動作が多いが、このような用途に対しても、負荷側の要求するトルク特性に良く合わせこむことで適合させることができる。
さらに、一具体例として、天井走行クレーンの場合について取り上げてみる。
ここで、停止・保持は別置のブレーキによるとして、走行・横行及び昇降の3軸での位置決め操作に対する適否について検討してみると、次のことが言える。
すなわち、走行・横行動作については、それらをモータ単独での正・逆転によって対応しようとすれば、前掲の4象限の全てにわたる動作となって双方向に対して対称なトルク特性が必要となるので本発明を同期モータとして適用は不適である。しかしながら、先述のように、反転機構を併用すればこのような問題は解消する。これに対して、もう一つの昇降動作の方は、反転機構はむしろ不要なのであって、これに本発明を同期モータとして適用すれば上昇時は前掲の第1象限で、下降時は前掲の第4象限での動作に相当するので、先述のφ>0の領域での総合トルクの増大傾向、換言すれば高トルクの効果が現れることになるので、好適である。
このような理由によって本発明の埋込磁石同期回転電機は、いわゆる可逆運転が厳しく要求される用途、例えば位置決め機構等のように加減速や正・逆転を頻繁に繰り返す用途等への適用は推奨できない。しかしながら、これらごく一部を除く大半の用途に対しての、本発明の埋込磁石同期回転電機の有用性についてはまったく疑う余地がない。なお、本発明の埋込磁石同期回転電機は一種の永久磁石界磁方式の発電機としても転用可能なのであって、その場合、前掲の第4象限での発電動作として適用することによって、高トルク化すなわち高出力化が可能となる。
而して、本発明は、所定数のティースとスロットを備え、所定のティース間に、固定子巻線(図示せず)を配置した固定子と、固定子の内周面に非接触状態で回転可能に配置され回転子鉄心の内部に永久磁石を埋め込んだ回転子とを備えた埋込磁石同期回転電機において、前述の特徴の如く、回転子の各1極分の磁極を誘導子と界磁極の2つの要素部分に分けるとともに、いわゆるベクトル図上で論じた場合に、これら誘導子と界磁極の磁気的方向軸を所望の角度を以って斜交配置した回転子を備えたものであり、これを基本に本発明における回転子の各実施例について図面を用いて以下に詳細に説明する。
図1に示す実施例1の埋込磁石同期回転電機は、2極の回転子例で、固定子は省略して回転子のみの横断面を図1に示す。実施例1は2極を超える多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、回転子鉄心4の回転方向に沿って異極性の磁極10−1と10−2を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向に隣接して極間隙部31、32を形成配置し、更に当該磁極に対応して回転子鉄心4内に永久磁石埋込用長穴71及び72を穿設し、同穴に界磁極の要素として永久磁石M1,M2を埋め込んである。
前記磁極10−1は、誘導子11と界磁極21の2つの要素部分に分け、磁極10−2も、誘導子12と界磁極22の2つの要素部分に分ける。
前記磁極10−1、10−2の誘導子11、12は、当該磁極の前部即ち回転方向R側に配置し、前記界磁極21、22は、当該誘導子に隣接して当該磁極の後部即ち逆回転方向側に配置してある。
前記極間隙部31は、磁極10−1の逆回転方向側の磁極10−2との間の磁極ピッチ区間(電気角で180°の区間)にある回転子鉄心4の外周部に切欠き形成してある。前記極間隙部32は、磁極10−2の逆回転方向側の磁極10−1との間の所謂磁極ピッチ区間(電気角で180°の区間)にある回転子鉄心4の外周部に切欠き形成してある。
各極間隙部31及び32は、回転子3の所定の半径方向深さで所定の角度δに亘る円弧部を一体的に切欠き形成した開放型である。この極間隙部31及び32が、固定子のティースとの磁気的な距離を大幅に増大させる。
前記永久磁石埋込用長穴71は、1端51を当該磁極10−1の誘導子11から界磁極21への移行部分の外周層内とし、他端52を当該極間隙部31の底部分の近傍層内にしてある。
前記永久磁石埋込用長穴72は、1端53を当該磁極10−2の誘導子12から界磁極22への移行部分の外周層内とし、他端54を当該極間隙部31及び32の底部分311、321の近傍層内にしてある。
永久磁石埋込用長穴71及び72には界磁極の要素として永久磁石M1、M2を当該磁極に対応する極性にして挿入埋込み固着する。図1中の記号N及びSは挿入し埋め込んだ永久磁石M1、M2の極性を表す。
図2に示す実施例2の埋込磁石同期回転電機は、2極の回転子例であるが、実施例1に比し、極間隙部分と永久磁石埋込用長穴の形態を変更した例であり、固定子は省略して回転子のみの横断面を図2に示す。実施例2は2極機を超える多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、前例同様に、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1と10−2を交互に配置し、これらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向に夫々極間隙部41、42を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して永久磁石埋込用長穴71及び72を穿設してある。
各1極分の磁極10−1、10−2は、前例同様に、いずれも誘導子11と界磁極21及び誘導子12と界磁22の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1、10−2の誘導子11、12は、前例同様に、当該磁極の前部に配置し、界磁極21、22は、当該誘導子11、12に隣接し当該磁極の後部に配置してある。
前記極間隙部41及び42は、前例同様に、磁極10−1と10−2との間の磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
前記極間隙部41及び42は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って一体に円弧状に空洞形成した全閉型であり、回転子鉄心の外周面に沿った部分はごく薄肉の橋絡部412、422によって塞いである。この極間隙部41及び42が固定子のティースと回転子鉄心4との間の磁気的な距離を大幅に増大させる。
永久磁石埋込用長穴71及び72は、1端51、53を当該磁極10−1、10−2の誘導子11,12から界磁極21,22への移行部分の外周層とし、他端52、54を当該極間隙部41、42の狭角δの範囲内の底部分411,421における所望の位置に定めるものであって、本実施例2ではその1例として当該底部411、421、の回転方向前端部の直近層にしてある。
それぞれの永久磁石埋込用長穴71及び72は、界磁極の要素として永久磁石M1、M2を当該磁極に対応する極性にして挿入埋込みし固着する。
図2中の記号N及びSは挿入し埋め込んだ永久磁石M1、M2の極性を表す。
尚、前記した全閉型の極間隙部は、周方向に複数個に分割配置して強度をより安定させるものとしてもよい。
この実施例2は、実用上では比較的高速回転用に適した回転子構造であるので、前述の実施例1との対比で言えば、極間隙部を全閉型とすることによって運転時の空気抵抗損失の低減が可能であるとともに回転子の機械的剛性の低下を防止できる。
また、永久磁石埋込用長穴の他端部の位置についても、極間隙部の底部の全域内で任意に定めることが出来るため、回転軸3aの直径を比較的大きく設定することが可能となり、かくして回転子の機械的剛性の強化策として有効であり、しかもより高速回転用に適した回転子となる。
図3に示す実施例3の埋込磁石同期回転電機は、2極の回転子例であるが、実施例2に比し、極間隙部分を周方向に複数に等分割し、永久磁石埋込用長穴を2層に変更した例であり、固定子は省略して回転子のみの横断面を図3に示す。
この実施例3は、2極機を超える多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1と10−2を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向側に極間隙部41、42を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して2層の永久磁石埋込用長穴71−1、71−2及び72−1〜72−2を穿設してある。
各1極分の磁極10−1又は10−2は、いずれも前例同様に誘導子11と界磁極21及び誘導子12と界磁極22の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1、10−2の誘導子11、12は、前例同様に当該磁極の前部に配置し、界磁極21、22は、当該磁極の後部に当該誘導子11、12と隣接して配置してある。
極間隙部41及び42は、磁極10−1と10−2との間の磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
極間隙部41及び42は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って隔壁413,423で3等分に分割して円弧状に空洞形成した全閉型であり、回転子鉄心の外周面に沿った部分はごく薄肉の橋絡部412、422によって塞いである。この極間隙部41及び42が固定子のティースとの間を、磁気的な距離を大幅に増大させる。
各2層の永久磁石埋込用長穴71−1、71−2及び72−1、72−2は、その1端51−1、51−2及び53−1、53−2を当該磁極10−1、10−2の誘導子11,12から界磁極21,22への移行部分の外周層とし、他端52−1、52−2及び54−1、54−2を当該極間隙部41及び42の狭角δの範囲内の底部411,421における所望の位置に定めるものであって、本実施例3ではその1例として当該極間隙部41及び42の底部411,421の回転方向の前端部52−1,54−1及び回転方向の後端部の52−2,54−2の各直近層にしてある。
それぞれの永久磁石埋込用長穴71−1、71−2及び72−1、72−2は、各々界磁極の要素として当該磁極に対応する極性にして永久磁石M1、M2を内外2層に挿入埋込み固着する。
上記第3の実施例は、重負荷運転による減磁作用やモータの使用温度条件、及び使用磁石材質などの要因から耐減磁性への対応を厳しく要求される場合に有効である。
図4に示す実施例4の埋込磁石同期回転電機は、2極の回転子例であるが、実施例3に比し、永久磁石埋込用長穴を極単位で1層に変更し各界磁極側の鉄心に塞隙を設けた例であり、固定子は省略して回転子のみの横断面を図4に示す。
この実施例4は、2極を超える多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1と10−2を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向側に夫々に2分割の極間隙部41、42を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して1層の永久磁石埋込用長穴71及び72を穿設してある。
磁極10−1及び10−2は、いずれも誘導子11と界磁極21及び誘導子12と界磁極22の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1、10−2の誘導子11、12は、前例同様に当該磁極の前部に配置し、界磁極21、22は、当該磁極の後部に誘導子11、12と隣接して配置してある。
極間隙部41及び42は、磁極10−1と10−2との間の磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
極間隙部41及び42各々は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って隔壁413,423で2分割して円弧状の空洞に形成した全閉型であり、回転子鉄心4の外周面に沿った部分はごく薄肉の橋絡部412、422によって塞いである。この極間隙部41及び42が固定子のティースとの磁気的な距離を大幅に増大させる。
各永久磁石埋込用長穴71、72は、1端51及び53を当該磁極10−1、10−2の誘導子11,12から界磁極21,22への移行部分の外周層とし、他端52及び54を狭角δの範囲内の当該極間隙部41及び42の底部分411,421における所望の位置に定めるものであって、本実施例4ではその1例として当該極間隙部41、及び42の底部分411,421の各中間部の直近層にしてある。
それぞれの永久磁石埋込用長穴71及び72は、各々界磁極の要素として当該磁極に対応する極性にして永久磁石M1、M2を挿入埋込み固着する。
前記塞隙101、102は、1端111、112を当該磁極を構成する界磁極21,22の外周部とし、他端121、122をそれに磁気的に相応する当該永久磁石埋込用長穴71、72に近接させ、当該界磁極21,22の鉄心の磁路幅をほぼ等分割に分断する所定の幅に設ける。
つまり本例の塞隙101、102は、当該界磁極21,22の鉄心の磁路幅をほぼ2等分に分断する幅にするもので、例えば1端111及び112を当該界磁極21,22の鉄心外周をほぼ2等分する点とし、他端121及び122を当該永久磁石埋込用長穴71、72を長手方向にほぼ2等分する点とする所定の幅に形成してある。
この実施例4は、重負荷運転時の電機子反作用起磁力、特に、その中の交差起磁力成分による界磁磁束の減磁作用を抑制するための方策として有効である。
図5に示す実施例5の埋込磁石同期回転電機は、実施例2の変形例であり、実施例2に比し異極性の磁極数を4極とした回転子例である。固定子は省略して回転子のみの横断面を図5に示す。この図5から図7(実施例5〜7)中の角γとδの添字mは、これらの角が機械角であることを表している。この機械角に極対数(極数の1/2)を乗じたものが数1で取り扱う電気角に相当する。
回転子3は、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1〜10−4を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向側に夫々極間隙部41〜44を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して永久磁石埋込用長穴71〜74を穿設してある。
各1極分の磁極10−1〜10−4は、前例同様にいずれも誘導子11〜14及び界磁極21〜24の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1〜0−4の誘導子11〜14は、当該磁極の回転方向R側の前部に配置し、界磁極21〜24は、当該磁極の逆回転方向側になる後部に誘導子11〜14と隣接して配置してある。
極間隙部41〜44は、各磁極10−1〜10−4間の磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
極間隙部41〜44は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って一体に円弧状に空洞形成した全閉型であり、回転子鉄心の外周面に沿った部分はごく薄肉の橋絡部412〜442によって塞いである。これで固定子のティースとの磁気的な距離を大幅に増大させる。
永久磁石埋込用長穴71〜74は、1端51、53、55、57を当該磁極10−1〜10−4の誘導子11〜14から界磁極21〜24への移行部分の外周層とし、他端52,54,56,58を当該極間隙部41〜44の狭角δの範囲内の底部分411〜441における所望の位置に定めるものであって、本実施例5ではその1例として当該底部411〜441、の回転方向側の前端部の直近層にしてある。
それぞれの永久磁石埋込用長穴71〜74は、界磁極の要素として永久磁石M1、M2を当該磁極に対応する極性にして交互に挿入埋込み固着する。
図5中の記号N及びSは挿入し埋め込んだ永久磁石M1、M2の極性を表す。
本発明による埋込磁石同期回転電機の回転子構造は、前例の2極機及び4極機の場合の実施例から明らかなように、6極以上の多極機用の回転子構造に対しても同様に適用することが出来る。
図6に示す実施例6は、実施例2に比し、回転子3の磁極数を4極にし、永久磁石埋込用長穴の形状とこの永久磁石埋込用長穴に界磁極の要素として挿入する永久磁石M1、M2の形状を回転軸3a側に凹湾曲した円弧状の実施形態であり、固定子は省略して回転子3のみの横断面を図6に示す。本例では4極についての1例を記すが、実施例2のように2極や、6極以上の多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1〜10−4を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の回転方向の後方に夫々極間隙部41〜44を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して永久磁石埋込用長穴71〜74を穿設してある。
各1極分の磁極10−1〜10−4は、前例同様にいずれも誘導子11〜14と界磁極21〜24の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1〜10−4の誘導子11〜14は、当該磁極の回転方向R側の前部に配置し、界磁極21〜24は、当該磁極の逆回転方向側になる後部に当該誘導子11〜14と隣接して配置してある。
極間隙部41〜44は、磁極10−1〜10−4の間の磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
極間隙部41〜44は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って一体に円弧状に空洞形成した全閉型であり、回転子鉄心4の外周面に沿った部分はごく薄肉の橋絡部412、422,432,442によって塞いである。この極間隙部41〜44は、固定子のティースと回転子鉄心4との間の磁気的な距離を大幅に増大させる。
永久磁石埋込用長穴71〜74は、1端51,53,55,57を当該磁極10−1〜10−4の誘導子11〜14から界磁極21〜24への移行部分の外周層とし、他端52,54,56,58を当該極間隙部41〜44の狭角δの範囲内の底部411、421,431,441における所望の位置に定め、回転軸3a側に凹湾曲した円弧状に形成したものであって、本実施例6ではその1例として当該底部分411、421,431,441の逆回転方向側である後端部の直近層にしてある。
それぞれ円弧状に形成した永久磁石埋込用長穴71〜74は、界磁極の要素として永久磁石M1、M2を当該磁極に対応する極性にして挿入埋込み固着する。永久磁石M1、M2は、当該穴と同様に回転軸3a側に凹湾曲した円弧状に形成してある。
図6中の永久磁石M1、M2の記号N及びSは極性を表す。
円弧状に形成の永久磁石埋込用長穴71〜74は、直線状の長穴と比べて、より多くの磁石を組込むことが可能となるので、小型化、高出力化等の要求に対応していく上で有用である。
尚、前記した全閉型の極間隙部は、前記回転子外周に沿う狭角δの範囲の鉄心部分の外周部にごく薄肉の隔壁を介して、順次、隣合うように複数個に分割配置してもよい。
図7に示す実施例7は、実施例5に比し、回転子3の磁極数を6極とし、永久磁石埋込用長穴とこの永久磁石埋込用長穴に界磁極の要素として挿入する永久磁石を、各々2分割し、その配置形状を回転軸3a側に折れ線状に屈曲させた実施形態であり、固定子は省略して回転子3のみの横断面を図7に示す。本例では6極機についての1例を記すが、他の2極機や4極機、或いは8極機などの多極機用の回転子についても同様に適用可能である。
回転子3は、回転子鉄心4の外周に沿って異極性の磁極10−1〜10−6を交互に配置しこれらおのおの磁極に組み合わせて当該磁極の逆回転方向側の磁極との間の回転子鉄心に夫々極間隙部41〜46を形成配置し、更に回転子鉄心4内に当該磁極に対応して永久磁石埋込用長穴81〜86,91〜96を穿設してある。
各1極分の磁極10−1〜10−6は、いずれも前例同様に誘導子11〜16及び界磁極21〜26の2つの要素部分に分ける。
磁極10−1〜10−6の誘導子11〜16は、当該磁極の回転方向R側の前部に配置し、界磁極21〜26は、当該磁極の逆回転方向側になる後部に当該誘導子11〜16に隣接して配置してある。
極間隙部41〜46は、各磁極10−1〜10−6間の所謂磁極ピッチ区間にある回転子鉄心4の外周部に形成してある。
極間隙部41〜46は、所定の半径方向深さで所定の角度δに亘って一体に円弧状に空洞形成した全閉型であり、回転子鉄心の外周面に沿った部分は前例同様にごく薄肉の橋絡部412、422,432,442,452、462によって塞いである。この極間隙部41〜46が固定子のティースとの磁気的な距離を大幅に増大させる。
永久磁石埋込用長穴81と91、82と92、83と93、84と94、85と95、86と96の各組は、各々回転軸3a側にV字状の折れ線状に屈曲させた2分割タイプにし、当該V字状の折れ線の軸線を、例えば図7に示すa−b−cに沿わせるとともに、折れ線の中間点b附近にごく薄肉の橋絡部mを配して隣合わせてある。
永久磁石埋込用長穴81,82,83,84,85,86は、反橋絡部m側の1端51〜56を当該誘導子と界磁極との境部になる表層内とし、永久磁石埋込用長穴91,92,93,94,95,96は、反橋絡部m側の1端61〜66を当該極間隙部41〜46の狭角δの範囲内の底部411〜461における所望の位置に定めるものであって、本実施例7ではその1例として当該底部411〜461の逆回転方向側になる後端部の直近層内に配置してある。
前記各組の永久磁石埋込用長穴には、界磁極の要素として当該磁極に対応する極性にして永久磁石M1、M2を回転方向に交互に挿入埋込み固着する。
図7中の記号N及びSは、挿入し埋め込んだ永久磁石M1、M2の極性を表す。
本発明による埋込磁石同期回転電機の回転子構造は、2極機、4極機の他に、8極機以上の多極機用の回転子構造に対しても同様に適用することが出来る。
本例の前記永久磁石埋込用長穴は上述のようにV字状折線上に配置すると直線状の長穴と比べて、円弧状の長穴同様に、より多くの永久磁石を組込むことが可能となるので、小型化、高出力化等の要求に対応していく上で有用である。
本発明の埋込磁石同期回転電機は、回転子を、回転子磁極を誘導子と界磁極の2つの要素に分けて、それら要素間でベクトル図上での方向軸を斜交させるための誘導子位相角γを定義し、しかもこの角γを随意に設定可能とした前記構造にしたものである。
この回転子の前記構造により、埋込磁石同期回転電機の発生トルク成分、すなわちマグネットトルクとリラクタンストルク両成分の波形間に、従来固定量として介在してきた位相的なずれ角を縮小または解消することができて、これにより、従来よりもさらに高トルク化に適した埋込磁石同期回転電機を実現することが可能となったなどの優れた効果を有し、埋込磁石同期回転電機の製造メーカー及び埋込磁石同期回転電機を利用する各種産業界に貢献すること多大なものがある。
1:外層用永久磁石
2:内層用永久磁石
1−2:内外層の永久磁石の間に設けた間隔
3:回転子
3a:回転軸
4:回転子鉄心
5:固定子
6:ティース
7:スロット
11〜16:誘導子
21〜26:界磁極
31、32:開放型の磁極間隙部
41〜46:全閉型の磁極間隙部
71〜74:永久磁石埋込用長穴
71−1、72−1:外層用の永久磁石埋込用長穴
71−2、72−2:内層用の永久磁石埋込用長穴
81〜86:永久磁石埋込用長穴
91〜96:永久磁石埋込用長穴
311、321:開放型による磁極間隙部の底部
411、421,431,441,451,461:全閉型による磁極間隙部の底部
412、422,432,442,452、462:閉鎖用の橋絡部
101、102:塞隙
111、112:塞隙の一端
121、122:塞隙の他端

Claims (4)

  1. 固定子鉄心にティースとスロットを備え各ティース間には固定子巻線スロットと巻線を巻回した固定子と、回転軸に装着した回転子鉄心に異極性の磁極を交互に配置し、各磁極単位の永久磁石埋込用長穴に当該磁極に対応する極性にして永久磁石を埋込んだ回転子とを備えた埋込磁石同期回転電機において、
    回転子鉄心外周の各磁極は回転方向側に誘導子を逆回転方向側に界磁極を配置し、各磁極に対して当該磁極の逆回転方向側の磁極との間に位置する回転子鉄心に、所定の半径方向深さで所定の回転角度に亘って固定子内周との間の磁気的な距離を隔てる円弧状の磁極間隙部を配置するとともに、各磁極の回転子鉄心部に当該誘導子と当該界磁極の境の表層部から当該磁極間隙部の底部分側に亘る永久磁石埋込用長穴を穿設し、これら永久磁石埋込用長穴に永久磁石を当該磁極に対応する極性にして埋込んでなることを特徴とする埋込磁石同期回転電機。
  2. 前記磁極間隙部は回転子鉄心の外周部を一体に叉は分割して円弧状に切欠き形成し又は円弧状の全閉型に空洞形成したことを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期回転電機。
  3. 永久磁石埋込用長穴は当該回転子磁極の当該誘導子と当該界磁極との境界部分から当該磁極間隙部の底部側に亘って一体に叉は分割して直線状又は回転軸側に折れた折れ線状又は回転軸側に凹湾曲した凹湾曲状に穿設したことを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期回転電機。
  4. 当該界磁極の中央部層に一端を位置し、他端を磁気的に相応する当該永久磁石埋込用長穴の長手方向中央部に接近位置させて界磁極鉄心の磁路幅をほぼ等分割に分断する塞隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載した埋込磁石同期回転電機。
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