JP2013230014A - 振動型アクチュエータの振動検出装置及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】振動体の振動を検出する振動検出手段6と、振動検出手段から出力される振動検出信号に含まれている交流電圧の周波数成分の信号を、振動検出信号から除去する駆動周波数除去手段を備える。駆動周波数除去手段は、振動検出信号の周波数成分を異なる周波数に変換する第1の周波数変換手段、第1の周波数変換手段の出力信号から交流電圧の周波数のみに起因する周波数成分を除去するフィルタ手段11,12,13,14と、フィルタ手段の出力信号を元の周波数に変換する第2の周波数変換手段とを有する。
【選択図】図1
Description
一般に低速で高トルクな性能を有することから、駆動対象をダイレクト駆動する用途に用いられる。このようにダイレクトで駆動するため減速ギアが不要であり、静音化にも貢献している。
一方で、摩擦力を使うため最大効率を50%以上に上げるのは容易でなく、そのため振動効率を高くする材料や加工技術の開発がなされている。
しかし、振動効率を高めると消費電力を低下させ、昇温を抑制出来る半面、振動体と移動体の接触によって発生する高周波振動等も発生しやすくなる問題がある。この高周波振動は時に可聴音となるため、振動型アクチュエータの重要なセールスポイントである静音化にとって大きな課題となっている。
そこで、これまでは効率を高める要求と、振動を抑制するための減衰性能のバランスを取る形で開発がなされてきた。
しかし、静音化を達成するには十分余裕をみて減衰性能を設定する必要があり、思い切った効率向上策が取れなかった。
例えば、特許文献1では、振動体に振動状態を検出するための振動検出相と、不要な振動を抑制する駆動相とを設け、振動検出相から得られた検出信号とこの検出信号を移相した信号とを合成し、不要な振動成分を検出する手法が提案されている。
また、この手法で得られた不要な振動成分を示す信号を位相調整して上記駆動相に入力することにより、不要な振動を減衰させる駆動装置が提案されている。
また、特許文献2では、バンドパスフィルタを用いて駆動用の周波数と不要な振動成分の周波数を分離し、不要な振動成分を検出する駆動装置が提案されている。
すなわち、駆動用の周波数成分を打ち消すことは可能であるが、不要な振動成分の周波数と駆動用の周波数の差に応じて、不要な振動成分の位相遅れ量が大きく変化する。
また、不要な振動成分の周波数が駆動用の周波数と近い場合には位相遅れが大きくなる上、振幅も小さくなってしまう。
そのため、広い周波数範囲で不要な振動を抑制することが出来ず、これを実現するには周波数領域毎に周波数特性を補正する必要があった。
また、特許文献2のものにおいても、同様の課題を有している。
また、本発明は、広い周波数範囲の不要な振動を抑え、騒音を抑制することが可能となる振動型アクチュエータの制御装置の提供を目的とする。
加振手段を有する振動体と、前記加振手段への交流電圧の印加による前記振動体の振動によって該振動体に対して相対移動する移動体と、を備える振動型アクチュエータの振動検出装置であって、
前記振動体の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段から出力される振動検出信号に含まれている前記交流電圧の周波数成分の信号を、該振動検出信号から除去する駆動周波数除去手段と、
を備え、
前記駆動周波数除去手段は、前記振動検出信号の周波数成分を異なる周波数に変換する第1の周波数変換手段と、
第1の周波数変換手段の出力信号から前記交流電圧の周波数のみに起因する周波数成分を除去するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段の出力信号を元の周波数に変換する第2の周波数変換手段と、
を有することを特徴とする。
実施例1として、本発明を適用した不要振動を検出する振動検出装置の構成例について説明する。
振動型アクチュエータは金属やセラミック製の弾性体をその固有振動モードの共振現象を利用して振動させ、弾性体に接触する移動体を相対移動させるアクチュエータであって、今日では様々な原理の振動型アクチュエータが提案されている。
励振するための加振力の発生源としては主に圧電素子が用いられるが原理的にはどのような加振手段を用いても実現可能である。
例えば、磁歪素子、電歪素子、ボイスコイル、静電アクチュエータ等様々なアクチュエータを用いて励振することが出来る。
これらのアクチュエータは加振周波数と同じ周波数の交流電圧又は交流電流を入力することで加振力を発生させることができる。
圧電素子の場合は印加する交流電圧、ボイスコイルなら交流電流が加振力に相当する。以下の実施例では、圧電素子による場合を例に採って説明する。
そして更に、第1の周波数変換手段の出力信号から上記交流電圧の周波数のみに起因する周波数成分を遮断するフィルタ手段、フィルタ手段の出力する残りの周波数成分を元の周波数成分に戻す第2の周波数変換手段を有している。
これにより、振動検出手段が出力する振動検出信号に含まれる上記交流電圧の周波数成分の信号が、該振動検出信号から除去され、広い周波数範囲で振幅及び位相変化の少ない不要振動波形が検出される。
その具体例として、まず、第1の構成例について図1を用いて説明する。
図1において、1は不図示の振動体に設けられた圧電素子、2は圧電素子1に不図示の指令手段から指定される周波数指令に応じた周波数の交流電圧を発生する交流電圧生成手段である。
3及び5は電流検出手段であり、圧電素子1及び後述するコンデンサ4に流入する電流をそれぞれ計測している。
4は圧電素子1の制動容量とほぼ等しい静電容量のコンデンサである。
6は振動検出手段で、電流検出手段3と電流検出手段5の出力信号の差を求めて出力している。
これは圧電素子1に流入する電流から圧電素子1の制動容量に流れる電流をキャンセルすることで圧電素子1の制動容量以外に流れる成分、つまり不図示の振動体の振動速度に比例する信号を振動検出信号として出力している。
7は上記周波数指令に応じた周波数の正弦波信号を生成する正弦波生成手段であり、8は上記周波数指令に応じた周波数の余弦波信号を生成する余弦波生成手段である。
9は第1の乗算手段であり、10は第2の乗算手段である。これらにより、上記振動検出信号と上記正弦波信号及び上記振動検出信号と上記余弦波信号とを乗算することで、上記振動検出信号の周波数成分を異なる周波数成分に変換する第1の周波数変換手段を構成している。
図2の(a)及び(b)は、乗算手段9及び10の周波数変換の動作を説明する図である。横軸が周波数、縦軸が振幅を示している。
以下、図1及び図2を用いて周波数変換の動作を説明する。
上記周波数指令をF0とすると、交流電圧生成手段の出力する交流電圧の周波数(以下駆動周波数と呼ぶ)はF0である。
従って、圧電素子1に周波数F0の加振力が加えられ、圧電素子1が設けられた不図示の振動体が振動する。
すると、振動体の振動速度に応じた振動検出信号の主要な周波数成分はF0となる。図2(a)のF0の上に示す実線の成分がこの時の振動の大きさを示している。
ここで、何らかの外力によって不図示の振動体に別の振動が発生したとする。これを不要振動として図2(a)に破線で示した。
図2(a)に、実線と破線で示した全ての信号が振動検出信号として乗算手段9及び10に入力される。
この振動検出信号に周波数F0の正弦波及び余弦波とを乗算すると三角関数の乗法定理から明らかなように周波数領域ではそれぞれの周波数の加算と減算が行われる。
変換の結果を図2(b)に示す。
上記周波数指令F0の信号については2つのF0を加算することによる2倍のF0の周波数と差による0(直流)の2つの実線で示される周波数成分に変換される。
つまり、周波数変換によって駆動周波数成分の信号が駆動周波数F0に起因する周波数である2倍のF0と直流成分に変換された事になる。
同様に不要振動成分についてもF0との加算及び減算によって2つの破線で示される領域の周波数に変換される。
本装置は図2(a)の破線の領域のみ検出する事を目的としており、実線の波形を遮断する必要がある。
この処理を上記周波数変換を行った後の信号に対して行うのが本装置の特徴であり、図2(b)の状態の実線で示される信号を遮断して図2(c)の状態にする動作を行う。図1を用いてこの動作を実行するブロックの説明を行う。
11及び12はバンドストップフィルタであり、不図示の指令手段からの周波数指令で示される周波数の2倍の周波数成分の信号を遮断するフィルタである。
出来るだけ狭帯域のフィルタが望ましく、Q値の高いノッチフィルタ等で構成される。
13及び14はハイパスフィルタで信号に含まれる直流の成分を遮断する。
図2(c)に示すように2倍のF0の成分をバンドストップフィルタ11及び12でカットすると、2倍のF0の周波数近傍の不要振動成分も2倍のF0との周波数差が小さいほど振幅が減衰してしまう。
しかし、ハイパスフィルタ13及び14で直流成分をカットしても適切にカットオフ周波数を設定すれば不要振動成分への影響を最小限に抑える事が出来る。
これはバンドストップフィルタで50kHzをカットした時の49kHzの特性とハイパスフィルタで10Hzをカットした時の1kHzの特性に大きな差があることに起因している。
つまり、直流側はカットオフ周波数を無限に低くして行く事が出来るのに対し、バンドストップフィルタではこれが出来ないからである。
図3(a)はバンドストップフィルタの周波数特性の例を示す図、図3(b)はハイパスフィルタの周波数特性の例を示す図である。
図1に示す15は第3の乗算手段であり、16は第4の乗算手段である。
図2(c)の2つの破線の領域に分割された周波数成分に対して上記正弦波信号及び上記余弦波信号を乗算手段15及び乗算手段16で乗算すると図2(d)のように3つの周波数領域に周波数が変換される。周波数指令F0の正弦波信号及び余弦波信号と乗算した結果、F0との周波数の減算によって図2(c)の破線部分が周波数変換された結果が図2(d)の破線領域、F0との周波数の加算によって変換された結果が図2(d)の点線領域である。
次に3つの周波数領域に分割された状態から不要振動成分のみ取りだす動作について説明する。
図1の17は加算手段(第1の加算手段)であり、乗算手段15及び16の出力を加算して不要振動信号を出力する。
乗算手段15と乗算手段16の出力信号の位相特性は相対的に180°ずれている領域と同相の領域がある。
図2(d)に点線で示した周波数領域は位相特性が180°ずれている領域である。
この特性を利用して乗算手段15及び16の出力を加算手段17で加算することで図2(d)の点線で示した周波数領域をキャンセルしている。
得られた不要振動信号の振幅及び位相特性は元の特性に対して若干変化するものの、周波数領域を2つに分割してフィルタ処理し再度合成することで変化を少なくすることが可能となった。
すなわち、直流側に分割された周波数成分に対するフィルタ処理が不要振動成分の特性を劣化させない為、従来の振動検出信号に対して直接フィルタ処理する方法と比較して振幅及び位相特性の変化を少なく出来る。
また、ここでは2倍の周波数に周波数変換したがその他の倍率で変換しても良い。
一方の周波数が直流成分であれば、同様の効果が得られる。例えば、4倍にする方法としては一旦2倍の周波数に変換した状態に対して直流成分をハイパスフィルタで遮断する。
すると、2倍の周波数成分と不要振動成分のみになる。この2倍の周波数を新たな駆動周波数と考え、2倍の周波数の正弦波及び余弦波をこれに乗算すれば、駆動周波数の4倍の周波数成分と新たな直流成分に周波数変換する事が出来る。
図4の例は周波数指令が3つに限られる場合の例を示している。18、19、20はそれぞれ予め異なる周波数を遮断するように周波数特性が設定されたバンドストップフィルタである。21はバンドストップフィルタ18、19、20のどれを使用するかを不図示の指令手段からの周波数指令に応じて切り換える切り換え手段である。
各バンドストップフィルタはその周波数指令に対して2倍の周波数をカットするように調整されている。
本実施例では周波数特性を3つとしたが、連続的に周波数特性を切り換える事が可能なスイッチとキャパシタフィルタや自動的に周波数特性を最も大きな周波数成分に追随する適応型のフィルタ等でも良い。
また、バンドストップフィルタの遮断する周波数を周波数指令の2倍としているがほぼ一致していれば良い。
実際には、上記駆動周波数と振動検出信号の周波数は駆動周波数が変化する場合、完全に一致しない場合がある。計測すべき不要振動の大きさや精度に応じて周波数特性の精度を決めれば良い。
図5の構成例は、図1と概ね同じ構成であり、重複する構成の説明は省略する。22−a、22−b、22−cは、後述するリング状の圧電素子の各電極に対応する圧電区画を示しており以下電極22−a、電極22−b、電極22−cと呼ぶ。図6に圧電素子22の電極構成を示す。
図6に示す符号は各電極領域の分極方向を示しており、電極22−a及び電極22−bは複数の分極区画からなっている。
電極22−a及び電極22−b内の分極区画は電気的に導通しており、所定周波数の交流電圧を加えると極性に応じて圧縮・膨張の振動を繰り返し、リングの周方向に沿って8つの曲げ振動が形成される。
また、電極22−aと電極22−bには正弦波生成手段7及び余弦波生成手段8によって90°位相の異なる交流電圧φA及びφBが印加され、曲げ振動の腹の位置がリングの周方向に連続的に移動する進行性の振動波が形成される。
図7において、45は圧電素子22が接着される振動体、44は振動体45の上部に不図示の加圧手段によって加圧接触するロータである。
ロータ44は振動体45との接触部に形成される微小な楕円振動によって周方向に回転する。
電極22−cは振動変位を検出するための電極である。23は電極22−cの出力信号の直流成分のカットを行い振動検出信号を出力する振動検出手段である。振動検出手段23の出力する振動検出信号は電極22−cが設けられた区画の振動変位に比例した信号である。
振動体45の接触部には図7に示す様に複数の突起構造が設けられ、ロータ44との高周波での接触を繰り返している。そのため、接触に起因する高次の振動が自励的に発生する場合がある。
図8において、F8で示す最も大きな振幅の成分は振動型アクチュエータを駆動する駆動周波数成分の振動を示しており、リング状の振動体45にリングの周上に沿って8つの曲げ振動(8次の曲げ振動)の振幅である。
F4、F6、F7、F9で示す周波数はそれぞれ4次、6次、7次、9次の曲げ振動の振幅を示している。
このように実際の不要振動はモード解析で求められる振動形状(波数)の固有振動数の近傍で発生するため、離散的な周波数特性を示す。主駆動次数(本実施例なら8次)の近傍や半分の次数等で不要振動が発生することが多い。
このような不要振動を検出する場合、従来の直接フィルタにより駆動周波数成分を除去する方法では上記F7、F9のようにF8に近い周波数成分は周波数差が少ないので、振幅や位相特性を犠牲にせずに分離することが難しかった。本方式を用いれば従来より振幅及び位相特性の変化を少なくすることが出来る。
例えば、不要振動が発生した際には振動体45の振動振幅を下げることで回避する方法がある。
不要振動が発生すると、本来可聴域外の周波数で駆動している振動型アクチュエータであるが、不要振動と駆動周波数とのうなり現象等によって可聴音が発生する場合があり、このような対策が取られている。
本実施例で検出した不要振動信号の振幅を求める等して所定以上の振幅なら駆動電圧の振幅を下げたり、圧電素子22に印加する交流電圧の周波数を高い周波数にシフトする等して振動体45の振動振幅を下げるよう構成しても良い。
実施例2として、実施例1と異なる形態の不要振動を検出する振動検出装置の構成例について、図9を用いて説明する。
図9に示す本実施例の実施例1との違いは、ディジタル的な演算により処理している点である。
実施例1と同じ機能を有するブロックは実施例1と同じ番号で記し、説明を省略する。
24はパルス生成器であり、不図示の指令手段からの周波数指令の16倍の周波数のクロック信号を出力する。25は4ビットのカウンタであり、クロック信号をカウントして0から15までの4ビットのアドレス信号を繰り返し出力する。26及び27は4ビットのアドレス信号に対応した正弦波及び余弦波の波形が記憶されたROMである。
28は振動検出信号をクロック信号のタイミングでA/D変換するA/D変換手段である。
ここで振動検出信号はA/D変換で発生するエリアシングの影響を回避する為にフィルタ処理後の信号であっても良い。
29及び30は遅延手段である。入力信号をクロック信号4カウント分遅延させて出力する。31及び32は加算手段(第2の加算手段)である。
遅延手段29と加算手段31の組み合わせ、及び遅延手段30と加算手段32の組み合わせにより、バンドストップフィルタを構成している。
クロック信号4クロック分の遅延によって、入力信号を半周期遅延させて加算手段31及び32で加算することでキャンセルする構成となっている。
ここで、ROM26及び27から出力される正弦波及び余弦波の波形はクロック信号16クロック分で1周期となるように記憶されている。
従って、4クロックの遅延(記憶された波形の4分の1周期分の時間遅延)でキャンセルされる周波数は上記正弦波の周波数の2倍の周波数となる。
33及び34はD/A変換手段であり、ROM26及び27の出力する正弦波及び余弦波をアナログ信号に変換して出力している。出力された信号φA及びφBはそれぞれ不図示の圧電素子に直接又は増幅して印加される。
図9の各部の動作速度は遅延手段29及び30以外の動作は遅れを少なくする為にクロック信号のタイミングより高速に動作している。
図10及び図11に、図中に示した各信号名に対応する波形の一例を示す。図10(a)はVinの波形でありA/D変換手段28の出力信号である。
波形は階段状になっており、クロック信号のタイミングでA/D変換して出力されたものである。
図10(b)はVcosの波形でありクロック信号のタイミングで出力されるROM27の出力波形を示している。
図10(c)はVc1の波形を示している。位相の異なる同じ周波数の信号を乗算することによって直流成分と2倍の周波数成分が発生している。
図10(d)はVc2の波形を示しており、Vc1の波形をクロック信号4クロック分遅延させて出力している。
図10(e)はVc3の波形で加算手段32の出力である。Vc1とVc2の位相が反転しているため、加算手段32で加算した結果からVinの周波数に対してほぼ2倍の周波数成分がキャンセルされ、直流成分と不要振動に起因する成分が出力されている。
図10(f)はVc4の波形であり、ハイパスフィルタ14によって直流成分がカットされ不要振動に起因する波形が出力されている。
図9に示したVs1、Vs2、Vs3、Vs4、Vsinについても図10とほぼ同様の波形が得られる。
図11(a)はVc4の波形を図10(f)より広い時間範囲で示した波形である。
図11(b)はVs4の波形である。図11(c)及び図11(d)はそれぞれVc5、Vs5の波形を示している。これはVc4及びVs4の波形にVcos及びVsinの波形をそれぞれ乗算手段15及び16によって乗算した結果である。
図11(e)はVoutの波形であり、不要振動成分の信号が得られている。
このように、クロック信号に同期して各部が動作するため、不図示の指令手段からの周波数指令が変化しても遅延手段と加算手段からなるバンドストップフィルタの遮断特性は駆動周波数の変化に連動して変化する。その為、駆動周波数を連続的に変化させる場合でも振動検出信号から駆動周波数成分の信号を十分に減衰させる事が可能である。
実施例3として、本発明を適用した不要振動制御装置の構成例について説明する。
図12は、本実施例の不要振動制御装置の第1の構成例を示すブロック図である。
本実施例は、上記実施例1の振動検出装置で検出された不要振動信号を用い、振動型アクチュエータの不要振動の制御を行うように構成したものである。
35は後述する速度制御部からの周波数指令に応じた周波数で90°位相の異なる交流電圧を発生する交流電圧生成手段である。
2相の電圧はφAとφBの信号からなる。36は圧電素子であり、36−a、36−b、36−cは後述する圧電素子36に設けられた各電極に対応する圧電区画を示しており、以下電極36−a、電極36−b、電極36−cと呼ぶ。
図中の符号は圧電素子の分極方向を示している。
交流電圧φA及び交流電圧φBはそれぞれ周上に沿って圧電素子36の電極に交互に接続されている。
図12の37は増幅器であり、電極36−cで検出された振動速度に相当する振動検出信号から得た不要振動信号を反転増幅して出力する。38はこの反転増幅した不要振動波形を交流電圧φAに加算して交流電圧φA’を出力する加算手段であり、交流電圧φA’は電極36−cに印加される。
このように不要振動信号が振動速度に比例する信号である場合これを反転増幅してフィードバックすることによって不要振動に対するダンピング特性が強化され、不要振動の自励的な発生を抑制する。
圧電素子以外は図7と同じ構成であるので説明を省略する。図15はこの振動型アクチュエータのロータ44の回転速度(相対移動速度)を制御するためのの速度制御部の構成を示すブロック図である。
39はロータ44の回転速度を検出するためのロータリーエンコーダ等の速度検出手段、40は不図示の指令手段からの速度指令と速度検出手段39の出力の差を求める減算手段である。
41は減算手段40の出力する速度差を入力して比例積分演算等を行い周波数指令を出力する周波数制御手段である。
周波数制御手段41は速度検出手段39の出力が速度指令より遅い場合には周波数指令を下げて行き、逆なら周波数指令を上げるように動作する。
周波数指令を下げると交流電圧生成手段の出力する交流電圧の周波数が振動体45の共振周波数に近付いて行くため、振動体45の振動振幅が増加してロータ44の回転速度が増加する。
この第2の構成例は、実施例1における第2の構成例による不要振動を検出する振動検出装置で検出した不要振動信号を用い、振動型アクチュエータの不要振動の制御を行うように構成したものである。
図12の例では不要振動信号が振動体45の振動速度に比例した信号であったのに対して本例では不要振動信号が振動体45の振動変位に比例した信号であること、それから振動を検出した電極と加振する電極が異なる点が相違している。
42は圧電素子であり、42−a、42−b、42−c、42−dはそれぞれ圧電素子に設けられた後述する各電極に対応する圧電区画を示しており、以下電極42−a、電極42−b、電極42−c、電極42−dと呼ぶ。
不要振動を抑制するための加振用電極は42−dとなっておりφA’信号が印加される。
43は移相手段であり、不要振動信号の位相遅れを調整して不要振動の抑制効果が最も高くなるようにしている。
移相手段43が必要な理由は振動を検出する位置と加振する位置が異なることや、相対振動速度に対して振動変位は90°位相が遅れるため、そのままの位相ではダンピング特性を高く出来ないからである。
この第3の構成例は、実施例2による不要振動を検出する振動検出装置で検出した不要振動信号を用い、振動型アクチュエータの不要振動の制御を行うように構成したものである。
実施例2での同じ番号の説明は省略する。46及び47はD/A変換手段33及び34の出力信号を増幅する増幅器である。
48は電極36−cの中央付近の振動速度を光学的に非接触で計測する振動速度検出手段である。
加算手段17の出力する不要振動信号は圧電素子36の電極36−cの中央付近の振動速度に含まれる不要振動成分となっている。
この信号を増幅器37で反転増幅し加算手段38で交流電圧φAに加算して電極36−cに印加している。
不要な振動の振動速度に応じた信号を検出し、検出した位置の加振電極である電極36−cに反転増幅して印加することによって、図12で示した例と同様に不要振動に対するダンピング特性が強化され、不要振動の自励的な発生を抑制する。
本実施例の構成によれば、振動検出手段の出力信号の周波数成分に含まれる上記振動型アクチュエータを駆動する交流電圧の周波数を第1の周波数変換手段によって異なる周波数に変換する。そして、フィルタ手段によって上記交流電圧の周波数のみに起因する周波数成分を遮断した後に、残りの周波数成分を第2の周波数変換手段によって元の周波数成分に戻す。
これを制御手段に入力して上記振動体を加振することで、振動型アクチュエータの広い周波数範囲の不要な振動を抑えることができが、騒音の抑制が可能となる。
2:交流電圧生成手段
3、5:電流検出手段
4:コンデンサ
6:振動検出手段
7:正弦波生成手段
8:余弦波生成手段
9、10、15、16:乗算手段
11、12、:バンドストップフィルタ
13、14はハイパスフィルタ
17:加算手段
Claims (10)
- 加振手段を有する振動体と、前記加振手段への交流電圧の印加による前記振動体の振動によって該振動体に対して相対移動する移動体と、を備える振動型アクチュエータの振動検出装置であって、
前記振動体の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段から出力される振動検出信号に含まれている前記交流電圧の周波数成分の信号を、該振動検出信号から除去する駆動周波数除去手段と、
を備え、
前記駆動周波数除去手段は、前記振動検出信号の周波数成分を異なる周波数に変換する第1の周波数変換手段と、
第1の周波数変換手段の出力信号から前記交流電圧の周波数のみに起因する周波数成分を除去するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段の出力信号を元の周波数に変換する第2の周波数変換手段と、
を有することを特徴とする振動型アクチュエータの振動検出装置。 - 前記第1の周波数変換手段は、
前記交流電圧の周波数の正弦波及び余弦波と、前記振動検出信号と、を乗算する第1の乗算手段及び第2の乗算手段を有することを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置。 - 前記第2の周波数変換手段は、
前記交流電圧の周波数の正弦波及び余弦波と、前記フィルタ手段の出力信号と、を乗算する第3の乗算手段及び第4の乗算手段と、
前記第3の乗算手段及び第4の乗算手段の出力を加算する第1の加算手段と、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置。 - 前記フィルタ手段は、前記交流電圧の周波数の2倍の周波数成分と直流成分を除去することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置。
- 前記フィルタ手段は、前記交流電圧の周波数の2倍の周波数成分を遮断するノッチフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置。
- 前記フィルタ手段は、入力信号と、該入力信号を前記交流電圧の周期の4分の1周期分の時間遅延した信号と、を加算する第2の加算手段を有することを特徴とする請求項5に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの振動検出装置と、前記交流電圧を生成する交流電圧生成手段と、を備え、
前記不要振動を検出する振動検出装置で検出された不要振動信号を用い、振動型アクチュエータの不要振動の制御をすることを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。 - 前記駆動周波数除去手段の出力信号を前記交流電圧生成手段の出力する交流電圧と加算して出力することを特徴とする請求項7に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記振動検出手段は、前記振動体の振動速度を検出することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
- 前記交流電圧生成手段の出力する交流電圧の周波数によって前記移動体と振動体との相対移動速度を制御することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
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