≪絶縁膜形成用感光性樹脂組成物≫
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」ともいう。)は、(A)アルカリ可溶性樹脂(以下「(A)成分」ともいう。)、(B)光重合性モノマー(以下、「(B)成分」ともいう。)、(C)光重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)、及び(D)上述の式(1)で表される化合物(以下、「(D)成分」ともいう。)を少なくとも含有している。以下、本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、エポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位を含む共重合体を用いる。(A)アルカリ可溶性樹脂における、エポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位の比率は、20〜60質量%であり、20〜40質量%が好ましい。このような比率で、エポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位を含む(A)アルカリ可溶性樹脂を用いることにより、感光性樹脂組成物により絶縁性に優れる絶縁膜を形成しやすい。
(A)成分として用いる樹脂は、エポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位を所定量含有するものであれば特に限定されず、従来から種々の感光性樹脂組成物において使用されていたアルカリ可溶性樹脂から、適宜選択して使用することができる。(A)成分として好適な樹脂としては、耐薬品性に優れる絶縁膜を得やすいことから、(a1)不飽和カルボン酸と(a2)エポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させた共重合体(A1)を含むものが挙げられる。
(a1)不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの(a1)不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(a2)エポキシ基含有不飽和化合物としては、(a2−I)脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物と、(a2−II)脂環式エポキシ基を持たない不飽和化合物とが挙げられ、(a2−I)脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物が好ましい。
(a2−I)脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物において、脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a2−I)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的に、(a2−I)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a2−1)〜(a2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−1)〜(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R12としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(a2−II)脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(a2−II)脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
共重合体(A1)は、上記(a1)不飽和カルボン酸、及び(a2)エポキシ基含有不飽和化合物とともに、(a3)エポキシ基を有さない脂環式基含有不飽和化合物を重合させたものであってもよい。
(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a3)脂環式基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的に、(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、現像性の良好な感光性樹脂組成物を得やすいことから、下記式(a3−3)〜(a3−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−3),(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R23は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R22としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R23としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
共重合体(A1)は、上記以外の他の化合物をさらに共重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
共重合体(A1)に占める上記(a1)不飽和カルボン酸由来の構成単位の割合は、1〜25質量%であることが好ましく、8〜16質量%であることがより好ましい。また、共重合体(A1)に占める上記(a3)脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
共重合体(A1)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
共重合体(A1)は公知のラジカル重合法により製造することができる。すなわち、各化合物、並びに公知のラジカル重合開始剤を重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂としては、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、上記(a2)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位と、後述する(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体(A2)を含む樹脂も好適に使用できる。アルカリ可溶性樹脂(A)が共重合体(A2)を含む場合、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の破壊強度を高めることができる。
共重合体(A2)は、共重合体(A1)について他の化合物として記載される、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等をさらに共重合させたものであってもよい。
(B)光重合性モノマーとの重合可能部位を有する構成単位は、(B)光重合性モノマーとの重合可能部位としてエチレン性不飽和基を有するものが好ましい。共重合体(A2)は、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、上記(a2)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位とを有する共重合体におけるエポキシ基の一部と、(a1)不飽和カルボン酸とを反応させることにより、調製することができる。
共重合体(A2)の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して30〜90質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスをとりやすい傾向がある。
<(B)光重合性モノマー>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物に含有される(B)光重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和基を有するモノマーを好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの中でも、絶縁膜形成用感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の強度を高める点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましく、6官能以上の多官能モノマーがより好ましい。
(B)成分の含有量は、絶縁膜形成用感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
<(C)光重合開始剤>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物に含有される(C)光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。オキシム系の光重合開始剤の中で、特に好ましいものとしては、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、及び1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
(C)成分の含有量は、絶縁膜形成用感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。(C)成分の含有量を上記の範囲とすることにより、耐薬品性に優れる絶縁膜を形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、この(C)成分に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
<(D)式(1)で表される化合物>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有する。感光性樹脂組成物にこの化合物を含有させることにより、感光性樹脂組成物の露光マージンを広げることができる。また、式(1)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の感度や、得られる絶縁膜強度に悪影響を与えにくい。
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子又は有機基を示すが、R1及びR2の少なくとも一方は有機基を示す。
R1及びR2における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
R1及びR2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合が挙げられる。具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
耐熱性の観点から、R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2、−NHR、−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
R1及びR2の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基が好ましい。
以上の中でも、R1及びR2としては、少なくとも一方が炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基であるか、互いに結合して炭素数2〜20のヘテロシクロアルキル基若しくはヘテロアリール基を形成するものであることが好ましい。ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジノ基、モルホリノ基等が挙げられ、ヘテロアリール基としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基等が挙げられる。
上記式(1)中、R3は、単結合又は有機基を示す。
R3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。この有機基は、該有機基中に置換基を含んでいてもよい。置換基としては、R1及びR2において例示したものが挙げられる。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。
以上の中でも、R3としては、単結合、又は炭素数1〜12のアルキル基若しくは炭素数1〜12のアリール基から1個の水素原子を除いた基であることが好ましい。
上記式(1)中、R4及びR5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
R4及びR5における有機基としては、R1及びR2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R1及びR2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
以上の中でも、R4及びR5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基(−COOR、−OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、R4及びR5の両方が水素原子であるか、又はR4がメチル基であり、R5が水素原子である。
上記式(1)中、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
R6、R7、R8、及びR9における有機基としては、R1及びR2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R1及びR2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
なお、上記式(1)中、R6及びR7が水酸基となることはない。
R6、R7、R8、及びR9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、R6、R7、R8、及びR9は、それらの2つ以上が結合して、R6、R7、R8、及びR9が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
以上の中でも、R6、R7、R8、及びR9としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
また、R6、R7、R8、及びR9としては、それらの2つ以上が結合して、R6、R7、R8、及びR9が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
より好ましくは、R6、R7、R8、及びR9の全てが水素原子であるか、又はR6、R7、R8、及びR9のいずれか1つがニトロ基であり、残り3つが水素原子である。
上記式(1)中、R10は、水素原子又は有機基を示す。
R10における有機基としては、R1及びR2において例示したものが挙げられる。この有機基は、R1及びR2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
上記式(1)で表される化合物は、ベンゼン環のパラ位に−OR10基を有するため、溶媒への溶解性が良好である。
以上の中でも、R10としては、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
上記式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物の合成方法は特に限定されないが、後述する実施例に記載される方法に従って合成することが可能である。
絶縁膜形成用感光性樹脂組成物における、(D)成分である上記式(1)で表される化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(D)成分の使用量は、(C)成分の含有量の(D)成分の含有量に対するモル比率((C)成分含有量/(D)成分含有量)が2.5/7.5〜9.5/0.5となる量が好ましく、3/7〜9/1となる量がより好ましい。このような量で(D)成分を用いることにより、露光マージンの広い感光性樹脂組成物を調製しやすい。
<(E)着色剤>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、さらに(E)着色剤を含んでもよい。
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物に含有される(E)着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
上記の着色剤を感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
感光性樹脂組成物における着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。
着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
<(F)光吸収剤>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、必要に応じ(F)光吸収剤(以下、「(F)成分」ともいう。)を含んでいてもよい。(F)光吸収剤としては、特に限定されず、露光光を吸収することができるものを用いることができるが、特に、200〜450nmの波長領域の光を吸収するものが好ましい。例えばナフタレン化合物、ジナフタレン化合物、アントラセン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
具体的には、α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のナフタレン誘導体又はアントラセン若しくはその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、水酸基を有するナフタレン誘導体が特に好ましい。これらの光吸収剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(F)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜7質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることがさらに好ましい。
<(S)有機溶剤>
本発明に係る絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、塗布性の改善や、粘度調整のため、(S)有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(S)成分の含有量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感光性樹脂組成物の粘度は5〜500cpであることが好ましく、10〜50cpであることがより好ましく、20〜30cpであることがさらに好ましい。また、固形分濃度は5〜100質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
<感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記各成分を3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
≪絶縁膜≫
本発明に係る絶縁膜は、上述の絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いることの他は、感光性樹脂組成物を用いて形成された従来の絶縁膜と同様である。以下では絶縁膜の形成方法についてのみ説明する。
上述の絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いて、絶縁膜を形成する方法は特に制限されず、従来より採用されている方法から適宜選択できる。好適な絶縁膜の形成方法としては、上述の絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光性樹脂層を形成する塗布工程と、感光性樹脂層を所定の絶縁膜のパターンに応じて露光する露光工程と、露光された感光性樹脂層を現像して、絶縁膜のパターンを形成する現像工程と、を含む方法が挙げられる。
まず、塗布工程では、絶縁膜が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂層を形成する。
次いで、表面に感光性樹脂層が形成された基板は、露光工程に供される。露光工程では、ネガ型のマスクを介して、感光性樹脂層に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂層を所定の絶縁膜のパターンに応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm2程度が好ましい。
上述の感光性樹脂組成物は露光マージンが広いため、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とするパターンを形成する際に、露光量を上げても、未露光部がアルカリに対して不溶化しにくい。このため、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とするパターンを良好な形状のパターンとして形成しやすい。未露光部をホール部とするホールパターンでは、露光量を上げた場合に、特に、所望の形状のホールを形成しにくいが、上述の感光性樹脂組成物を用いることにより、所望の形状のホールを備えるホールパターンを形成しやすい。
現像工程では、露光後の感光性樹脂層を現像液で現像することにより、所定のパターンの絶縁膜を形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。本発明に係る感光性樹脂組成物は適度な現像性を示すため、適正な現像が可能である。
そして、必要に応じ、現像後の絶縁膜のパターンにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークの温度は150〜250℃が好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜9、比較例1〜4>
下記表1に示す各成分を混合し、固形分含有量が24質量%となるように溶剤に溶解して感光性樹脂組成物を調製した。なお、溶剤としては、PGMEAを用いた。
〔(A)成分〕
(A)成分である、アルカリ可溶性樹脂として下表2に記載のアクリル樹脂、又はカルド樹脂を用いた。表2に記載の値は、アクリル樹脂の質量に対する、各構成単位の含有量(質量%)である。また、カルド樹脂は、以下の方法により合成したものを用いた。
(カルド樹脂の合成法)
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、カルド樹脂を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
〔(B)成分〕
(B)成分である光重合性モノマーとして、以下のものを用いた。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
〔(C)成分〕
(C)成分である光重合開始剤としては、以下のものを用いた。
OXE01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF社製「IRGACURE OXE01」)
OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製「IRGACURE OXE02」)
NCI−831:ADEKA社製「NCI−831」
〔(D)成分〕
実施例、及び比較例において、(D)成分である式(1)で表される化合物としては、下記のMCIMAを用いた。MCIMAの合成方法について以下に記す。
(MCIMAの合成法)
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。水50ml、飽和NaHCO3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、MCIMA(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
実施例1〜9、及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜について、以下の方法に従って、比誘電率の測定と、耐薬品性の評価とを行った。また、実施例1〜9、及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物について、以下の方法に従って、露光マージンを測定した。
(比誘電率測定方法)
信越化学工業株式会社製の低抵抗基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)により200〜1000rpm程度の回転数でスピン塗布した後、塗膜を80℃で5分間乾燥させて、膜厚1μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(EXM−1066、株式会社オーク製作所製)により、露光量50mJ/cm2で、感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層に、230℃20分間の条件でポストベークを施し、絶縁膜を形成した。形成された絶縁膜の比誘電率を、比誘電率測定装置(SSM495、日本SSM株式会社製)により測定した。測定された比誘電率を、表3に記す。
(露光マージン測定方法)
信越化学工業株式会社製の基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)により200〜1000rpm程度の回転数でスピン塗布した後、塗膜を100℃で2分間乾燥させて、膜厚2〜4μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(MPA−600FA、キヤノン株式会社製)により、露光量50mJ/cm2で、口径5μmのホールパターン用のマスクを介して感光性樹脂層を露光した。また、露光マージンを決定するために、露光量を50mJ/cm2から、10mJ/cm2ずつ増減させて、口径5μmのホールパターン用のマスクを介して感光性樹脂層を露光した。次いで、現像装置(TR−6132U、東京応化工業株式会社製)を用いて、23℃で100秒間、パドル方式により現像を行った。現像されたパターンに、230℃20分間の条件でポストベークを施し、絶縁膜を形成した。口径5μmのホールが開口できた最小露光量と最大露光量との差を露光マージンとした。測定された露光マージンを、表3に記す。
(耐薬品性評価方法)
信越化学工業株式会社製の基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感光性樹脂組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)により200〜1000rpm程度の回転数でスピン塗布した後、塗膜を100℃で2分間乾燥させて、膜厚3μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(EXM−1066、株式会社オーク製作所製)により、露光量50mJ/cm2で、感光性樹脂層を露光した。露光された感光性樹脂層に、230℃20分間の条件でポストベークを施し、絶縁膜を形成した。
形成された絶縁膜を、レジスト剥離液(ST−106、東京応化工業株式会社製)に60℃で、3分浸漬し、浸漬前後の膜厚の変化により耐薬品性を評価した。浸漬後の膜厚が、浸漬前の膜厚の120%未満である場合を「○」と評価した。また、浸漬後の膜厚が、浸漬前の膜厚の120%以上である場合を「×」と評価した。耐薬品性の評価結果を表3に記す。
実施例1〜9によれば、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物に、(D)前述の式(1)で表される化合物を配合し、(A)成分として、樹脂中のエポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位の含有量が20〜60質量%である樹脂を用いることによって、耐薬品性に優れ、且つ比誘電率が低く絶縁性に優れる絶縁膜を形成でき、露光マージンの広い絶縁膜形成用感光性樹脂組成物が得られることが分かる。
比較例1によれば、感光性樹脂組成物において、(A)成分である樹脂中のエポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位の含有量が60質量%を超える場合、形成される絶縁膜の比誘電率が高くなり、絶縁性が低下することが分かる。
比較例2によれば、感光性樹脂組成物が、(D)前述の式(1)で表される化合物を含まない場合、感光性樹脂組成物の露光マージンが著しく低下することが分かる。
比較例3、及び4によれば、感光性樹脂組成物において、(A)成分である樹脂中のエポキシ基を含む不飽和化合物に由来する構成単位の含有量が20質量%を下回る場合、形成される絶縁膜の耐薬品性が低下することが分かる。また、この場合、樹脂の構造によっては、形成される膜の絶縁性が低下したり、感光性樹脂組成物の露光マージンが狭くなったりすることが分かる。