JP2013228369A - 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法 - Google Patents

金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013228369A
JP2013228369A JP2013030809A JP2013030809A JP2013228369A JP 2013228369 A JP2013228369 A JP 2013228369A JP 2013030809 A JP2013030809 A JP 2013030809A JP 2013030809 A JP2013030809 A JP 2013030809A JP 2013228369 A JP2013228369 A JP 2013228369A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
steel
polishing
value
undulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013030809A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6086311B2 (ja
Inventor
Ryuichiro Sugano
隆一朗 菅野
Masayuki Nagasawa
政幸 長澤
Madoka Kishikawa
まどか 岸川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2013030809A priority Critical patent/JP6086311B2/ja
Publication of JP2013228369A publication Critical patent/JP2013228369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6086311B2 publication Critical patent/JP6086311B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B21/00Measuring arrangements or details thereof, where the measuring technique is not covered by the other groups of this subclass, unspecified or not relevant
    • G01B21/30Measuring arrangements or details thereof, where the measuring technique is not covered by the other groups of this subclass, unspecified or not relevant for measuring roughness or irregularity of surfaces
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09GPOLISHING COMPOSITIONS; SKI WAXES
    • C09G1/00Polishing compositions
    • C09G1/02Polishing compositions containing abrasives or grinding agents
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/30Treatment of semiconductor bodies using processes or apparatus not provided for in groups H01L21/20 - H01L21/26
    • H01L21/302Treatment of semiconductor bodies using processes or apparatus not provided for in groups H01L21/20 - H01L21/26 to change their surface-physical characteristics or shape, e.g. etching, polishing, cutting
    • H01L21/304Mechanical treatment, e.g. grinding, polishing, cutting
    • H01L21/3043Making grooves, e.g. cutting

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • A Measuring Device Byusing Mechanical Method (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】 金型によって得られる成形品の表面性状を最適な測定条件で数値的に予測できる、金型用鋼材または金型の磨き性の評価方法を提供する。
【解決手段】 金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して、その加工後の表面のうねりを測定することで前記金型用鋼材の磨き性を評価する方法であって、前記うねりの測定は、カットオフ値λcを(磨き加工に用いた砥粒の平均粒径×10)<λc<(要素の平均長さWSm)の関係を満たす値に設定して求められたうねり曲線を用いて測定する金型用鋼材の磨き性の評価方法である。好ましくは、前記うねりの測定は、平均高さWcを指標として測定する。そして、前記うねりの測定を、実際に製作した後の金型の作業面に対して実施する金型の磨き性の評価方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、作業面が磨き加工されてなる金型の製作に用いられる鋼材について、その磨き加工後の表面のうねりを測定することで、鋼材の有する磨き性を評価する方法に関するものである。または、作業面が磨き加工されてなる実際の金型について、その磨き加工後の表面である金型の作業面のうねりを測定することで、金型の有する磨き性を評価する方法に関するものである。
高品位の表面性状を有した製品、例えばプラスチック製品等を成形する金型は、その作業面に鏡面の仕上げ肌が求められる。そして、このような作業面は、例えば、あらかじめ使用硬さに調整したプリハードン鋼材を準備して、この表面を所定の形状に切削加工した後に、磨き加工を実施して、鏡面に仕上げられる。
上記の磨き加工は、一般的に金型製作の最終工程で実施される。磨き加工の工程は、通常、砥石による粗磨き、次いで研磨紙による中仕上げ磨き、最後にダイヤモンドペーストによる仕上げ磨きの順で実施される。そして、砥石、研磨紙、ダイヤモンドペーストのそれぞれに含まれる砥粒には、平均粒径に応じた規格が存在する。例えば、平均粒径が約15μmの砥粒は、JIS R 6001(研削といし用研磨材の粒度)やJIS R 6010(研磨布紙用研磨材の粒度)の規格に従って「#1000」と表記をする。
ところで、上記の磨き加工によって作業面を鏡面に仕上げた金型を用いて、例えばプラスチック成型を実際に行うと、それによって得られた成形品の表面に外観上の“むら(斑;shading)”が生じる場合がある。このむらは、成形品表面の各部で光の反射する程度が異なることによる外観上の表面性状不良であり、成形品の外観品質が低下する一要因である。そして、このむらが発生する原因は、その成形面の性状を転写するもととなる金型の作業面に存在する“うねり(waviness)”であることが確認されている(特許文献1〜2)。うねりとは、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に定義される、表面粗さ(roughness)より大きな間隔で起こる表面の周期的な起伏のことである(非特許文献1)。
特開平01−212789号公報 特開2010−242147号公報
JIS B 0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ」、JISハンドブック,2005年
金型用鋼材を磨き加工したときに生じるうねりは、成形品の品質を左右する。したがって、金型用鋼材を実際の金型に加工する前に、その金型用鋼材の有する磨き性、つまり所定の条件による磨き加工を行ったときに発生するうねりの程度を事前かつ数値的に把握できれば、その金型用鋼材が適正材料であるかどうか、あるいは、その金型用鋼材にとって最適な用途や磨き加工条件を判断することができる。そして、既に製作された後の金型の状態であっても、その作業面に発生しているうねりの程度を数値的に評価できれば、金型を使用しなくても、成形品の表面に生じるむらの程度を予測でき、該金型の健全性を評価できる。
しかし、実際には、磨き加工後に同程度のうねり値を有した複数の金型用鋼材でも、これらを加工してなる金型を使用して得た成形品の間には、生じたむらの程度に合否を分ける程の差異がある場合があった。従って、金型用鋼材の磨き性の評価は、最終的には、良好な成形品が得られたときの金型の作業面を基準にして、これと評価すべき磨き加工後の表面とを目視や写真で比較するという、経験的かつ感覚的な手法に頼らざるを得ず(特許文献2)、評価の結果に差異が生じていた。
本発明の目的は、金型用鋼材を実際の金型に加工する前の時点で、あるいは、製作後の金型の時点で、該金型によって得られる成形品の表面性状を最適な測定条件で数値的に予測できる、金型用鋼材または金型の磨き性の評価方法を提供することである。
本発明者は、磨き加工した金型の作業面において測定されるうねりの程度と、この金型によって得られる成形品のむらの程度との相関性について鋭意検討した。その結果、砥粒をもって磨き加工がされた金型の作業面の表面性状から該砥粒の大きさに相当する表面粗さの要素を除去してうねりの要素だけを評価すれば、そのときのうねり値とむらの程度には相関が確認できることを突きとめた。そして、この相関を把握できれば、測定したうねり値をもってむらの発生程度を数値的に予測できることから、このためのうねりの測定条件を突きとめたことで、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して、その加工後の表面のうねりを測定することで前記金型用鋼材の磨き性を評価する方法であって、前記うねりの測定は、カットオフ値λcを(磨き加工に用いた砥粒の平均粒径×10)<λc<(要素の平均長さWSm)の関係を満たす値に設定して求められたうねり曲線を用いて測定することを特徴とする金型用鋼材の磨き性の評価方法である。好ましくは、前記うねりの測定は、平均高さWcを指標として測定するものである。
そして、本発明は、金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して金型の作業面になるように仕上げた金型を製作し、その製作後の金型の作業面のうねりを測定することで前記金型の磨き性を評価する方法であって、前記うねりの測定は、カットオフ値λcを(磨き加工に用いた砥粒の平均粒径×10)<λc<(要素の平均長さWSm)の関係を満たす値に設定して求められたうねり曲線を用いて測定することを特徴とする金型の磨き性の評価方法である。好ましくは、前記うねりの測定は、平均高さWcを指標として測定するものである。
本発明によれば、従来、経験的に評価してきた金型用鋼材または実際の金型の磨き性を、適正に処理された数値によって評価することができる。また、実際の金型を用いることなく、該金型に加工する前の金型用鋼材から小さな試験片を採取しても磨き性の評価ができることから、磨き性を簡便かつ低コストで評価できる技術にもなる。
実施例1において、#3000のダイヤモンドペーストで仕上げの磨き加工を行った後の金型用鋼材の表面に測定された断面曲線と、それのカットオフ値を0.160mmとしたときのうねり曲線を示す図である。 実施例1において、#3000のダイヤモンドペーストで仕上げの磨き加工を行った後の金型用鋼材の表面を示す金属ミクロ写真である。 実施例2において、#2000の研磨紙で仕上げの磨き加工を行った後の金型用鋼材の表面を示す金属ミクロ写真である。 実施例2において、#5000のダイヤモンドペーストで仕上げの磨き加工を行った後の金型用鋼材の表面を示す金属ミクロ写真である。 実施例2において、#14000のダイヤモンドペーストで仕上げの磨き加工を行った後の金型用鋼材の表面を示す金属ミクロ写真である。
本発明の特徴は、金型に加工する前の金型用鋼材を事前に磨き加工したときの表面、または、実際の金型に加工したときの作業面(以下、併せて「表面」とする。)が有しているうねりを適正に測定することで、成形品に生じるむらの程度を数値的に評価できるところにある。つまり、上記のJIS B 0601:2001に従ってうねりを測定するとき、その測定の対象となる断面曲線は、該砥粒の大きさに相当し、むらの発生には関与しない“表面粗さ”の要素も含んでいることから、この要素を除外せずに測定したうねりでは、成形品のむらを相関的に評価できなかった。そこで、本発明は、磨き加工後の表面性状における断面曲線の中から、表面粗さの要素は除外して、むらの発生に大きく関与するうねりの要素だけを適正に抽出した断面曲線を得ることで、該曲線から“真の”うねり値を測定するものである。
本発明に係る金型用鋼材または金型の磨き性の評価方法について具体的に説明する。磨き加工後の金型用鋼材または実際の金型(以下、併せて「金型用鋼材」とする。)の表面において、成形品のむら発生の要因となるうねりは、主として、金型用鋼材の硬さのばらつきによって、その研磨されやすい部分と研磨され難い部分とで形成された起伏である。そして、この起伏の周期は、概して磨き加工に使用される砥粒よりも大きいことから、これが大きなうねりとなって、成形品に目視で確認できる程のむらを転写する。
一方、磨き加工に使用した砥粒は、金型用鋼材の表面に研削痕を形成する。この研削痕は微細であり、いわば、JIS B 0601:2001に規定される表面粗さの要素である。そして、この研削痕も表面の起伏を形成するものであるが、微細であることから、成形品にむらが発生する大きな要因とはならない。これにも係わらず、成形品のむらを予測するためのうねりの測定に、この表面粗さの要素も入れてしまうと、上記の起伏が同程度の表面であっても(成形品に発生したむらが同程度であっても)、研削痕が多い場合と少ない場合で、測定されたうねりの値は異なり、発生したむらとの数値的な関係が把握できなくなる。
そこで、本発明では、うねりを測定するための断面曲線から、研削痕による影響、すなわち表面粗さの要素を除外する。具体的には、金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して、その加工後の表面のうねりを測定することで該金型用鋼材の磨き性を評価する方法であって、上記のうねりは、カットオフ値λcを砥粒の平均粒径を超える値としたうねり曲線で測定する金型用鋼材の磨き性の評価方法である。カットオフ値とは、断面曲線から除去される所定の波長のことをいう。そして、具体的には、磨き加工に用いた砥粒の平均粒径の10倍のカットオフ値とすることで、成形品に発生するむらの程度が、うねりの数字として十分に表れる。そして、好ましくは、測定するうねりの指標(パラメーター)は、うねりの起伏そのものを全体的に把握できる平均高さWcとする。平均高さとは、基準長さにおける輪郭曲線要素の高さの平均値である。このように測定されたうねりは、その値が低い程、その際の金型用鋼材の磨き性が優れていることを示す。そして、例えば、良好な成形品が得られたときの金型の作業面のうねりの値を知っておけば、あとは評価対象である表面のうねりを測定するだけで、磨き性の数値的な判断ができる。
砥粒の平均粒径について説明しておく。従来、金型用鋼材の磨き加工には、精密研磨用の微粉が砥粒として用いられている。精密研磨用の微粉は、その粒度分布(平均粒径)に応じて、細かい区分で規格化されている。そして、その表示方法には、上述したJIS R 6001等にならって、一般的に#1000、#2000、#3000等の番号が用いられている(番号が大きい程、細粒である)。また、この規格化された番号の砥粒以外にも、さらに大きな番号が付された、より細かな砥粒も提案されている。これら砥粒の平均粒径は、JIS R 6002にならって、沈降試験方法と電気抵抗試験方法によって測定することができる。沈降試験方法とは、分散媒中を沈降する粒子の沈降速度から粒子径を測定する方法である。電気抵抗試験方法とは、電解液中の粒子が細孔を通過したときの電気抵抗値が異なることを利用して粒子径を測定する方法である。そして、砥粒の番号と平均粒径の関係について、概ね下記の通りである。これらの砥粒(例えば#500〜#14000の砥粒)の中から、磨き加工の目的に合った番号(平均粒径)のものを、適宜、選択して使用している。
# 500 : 30〜36μm
# 1000 : 14〜22μm
# 2000 : 5〜10μm
# 3000 : 4〜 8μm
# 4000 : 3〜 6μm
# 8000 : 2〜 4μm
#14000 : 〜 2μm
そして、上記のカットオフ値は、そのときのうねり曲線が有している要素の平均長さWSmに応じた上限が必要である。要素の平均長さとは、基準長さにおける輪郭曲線要素の長さの平均であり、いわば、うねりの周期(波長)を示すものである。よって、カットオフ値が、このうねりの周期を超えると、むらの発生に関与するうねりの要素すらも除外されてしまう。この結果、成形品に顕著なむらが発生している場合でも、カットオフ後のうねり曲線は平坦となって、むらの発生の程度に相関した数値的な評価ができない。そこで、うねりを測定する際には、その事前に、または、同時にWSmも測定することで、カットオフ値をこのWSmよりも小さく設定すれば、専ら測定すべきうねりの要素だけでなる断面曲線をより正確に取り出せて、本発明の評価方法の精度が向上する。
なお、評価に供する金型用鋼材に実施する磨き加工の条件は、実際の金型を製作する際のそれに合わせておくことが好ましい。これは特に、実際の金型に加工する前の金型用鋼材の時点で磨き性の評価をするときに、有効である。通常、実際の金型の作業面が曲面であるのに対して、金型用鋼材から迅速かつ簡便に採取した試料は専ら平面である。そして、これらの間で磨き加工の条件が大きく異なる場合、その磨き加工後に測定したうねりの値が同程度であったとしても、成形品のむらに程度の差が生じ得る。
AISIの規格鋼種であるP21鋼およびJISの規格鋼種であるSCM440鋼を準備して、これらの磨き性を評価した。これらの鋼種は、それぞれに適用されている通常のプリハードン硬さにおいて、同じ条件の磨き加工を実施しても、該加工後の表面性状が異なる(つまり、磨き性が異なる)材料である。P21鋼は、一般的に磨き性がよいとされる金型用鋼材である。そして、SCM440鋼は、P21鋼よりは磨き性に劣るとされる金型用鋼材である。
まず、これらの鋼材に焼入れ焼戻しを行って、それぞれを通常のプリハードン硬さである、P21鋼は40HRC、SCM440鋼は26HRCに調整し、サイズが10×10×20mmの試料を得た。次に、これらの試料の一平面に対して、実際の金型製作に実施される条件による磨き加工を施した。磨き加工の詳細は、10×20mmの2面を平行に研磨した後の1面に対して、砥石、研磨紙、ダイヤモンドペーストの順で磨き加工を実施して、最後は#3000のダイヤモンドペーストで仕上げた。なお、#3000のダイヤモンドペーストの場合、砥粒の平均粒径は約6μmである。
そして、JIS B 0601:2001に従って、磨き加工後の表面において、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製サーフコム570A)を用いて、様々なカットオフ値を適用したときのうねりの平均高さWcおよび要素の平均長さWSmを測定した。このとき、算術平均粗さRa(カットオフ値0.08mm)も測定した。これらの結果を表1に示す。なお、図1は、両試料の磨き加工後の表面に測定された断面曲線と、それのカットオフ値を0.160mmとしたときのうねり曲線である。そして、特許文献2が評価に利用する微分干渉機能による光学顕微鏡写真も撮影したので、図2に示す。
まず、カットオフ値が小さい条件で測定したRa値は、専ら使用した砥粒の大きさに依存することから、両鋼種の間で値に差が見られなかった。しかし、図2の光学顕微鏡写真を観察することで、目視において、SCM440鋼の表面にはうねりが確認され、P21鋼の磨き性がSCM440鋼のそれよりも優れる事実が確認された。そして、この磨き性の差は、適正な条件によるうねりの測定によって、P21鋼のWc値がSCM440鋼のそれよりも小さく表れることで、数値的に確認できる。
そこで、使用した砥粒の大きさに対しては、カットオフ値を小さく設定したNo.1の場合、測定に使用したうねり曲線が表面粗さの要素も含むことから、結果として、SCM440鋼の方が小さいWc値となっており、正しい評価が示されていなかった。なお、No.1において、SCM440鋼のWSm値が測定できなかったとしたのは、カットオフ値が小さすぎたことから、表面粗さの要素も多く含み、得られた値をWSmとして扱い難かったからである。これに対して、カットオフ値を大きく設定していくことで、両鋼のWc値の信頼性が高まり、かつ、それらがSCM440鋼>P21鋼の正しい関係を示しだし、カットオフ値が砥粒の大きさの10倍以上であるNo.3以降で、その関係は十分に示された。
しかし、カットオフ値が大きくなりすぎると、うねり曲線からは測定すべきうねりの要素も除外され始めて、うねりの値が正確性を失う。そして、No.8以降では、SCM440鋼において、そのときのカットオフ値がWSm値を超えたことから、WSm値は特定できず、そして、Wc値も不正確である低い数値を示した。No.9においては、両鋼において、カットオフ値がWSm値を超えた。この結果、両鋼のWc値がSCM440鋼<P21鋼の関係となり、正しい評価が示されていなかった。
JISの規格鋼種であるSUS420J2鋼の改良鋼と、上記P21鋼を準備して、これらの磨き性を評価した。まず、サイズが100×100×10mmであるこれらの鋼材に焼入れ焼戻しを行って、SUS420J2改良鋼は30HRC、P21鋼は40HRCに調整した。次に、これら試料の一平面(100×100mm)を、けがき線で50×30mmの3ヶ所の領域A、B、Cに区切ってから、各領域について、実際の金型製作に実施される条件による磨き加工を施した。磨き加工の詳細は、領域Aについて、砥石、研磨紙の順で磨き加工を実施し、最後は#2000の研磨紙で仕上げた(砥粒の平均粒径は約10μm)。残りの領域B、Cは、砥石、研磨紙、ダイヤモンドペーストの順で磨き加工を実施して、領域Bは#5000のダイヤモンドペーストで仕上げ(砥粒の平均粒径は約5μm)、領域Cは#14000のダイヤモンドペーストで仕上げた(砥粒の平均粒径は約1μm)。
そして、磨き加工後の領域A〜Cの各表面において、実施例1と同じ要領で、様々なカットオフ値を適用したときのうねりの平均高さWcおよび要素の平均長さWSmを測定した。算術平均粗さRa(カットオフ値0.08mm)も測定した。領域A(砥粒の平均粒径;約10μm)における結果を表2に、領域B(同約5μm)における結果を表3に、領域C(同約1μm)における結果を表4に、それぞれ示す。また、特許文献2が評価に利用する微分干渉機能による光学顕微鏡写真も、図3(領域A)、4(領域B)、5(領域C)に示す。
実施例1と同様、カットオフ値が小さい条件で測定したRa値は、磨き加工後の全ての領域A、B、Cにおいて、両鋼種の間で値に差が見られなかった。しかし、図3、4、5の光学顕微鏡写真を観察することで、目視において、SUS420J2改良鋼の表面にはうねりが確認され、P21鋼の磨き性がSUS420J2改良鋼のそれよりも優れる事実が確認された。そこで、本発明に係るカットオフ値の選択であれば、P21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも小さい関係が測定されることで、上記の事実を示しているかを確認した。
<研磨紙#2000仕上げのとき(砥粒の平均粒径;約10μm)>
使用した砥粒の大きさに対して、その平均粒径の10倍未満のカットオフ値で測定したNo.A−1からA−3では、磨き性に優れるP21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも大きい値となっており、正しいWc値の関係が示されていなかった。これに対して、本発明の方法を実施して、カットオフ値を砥粒の平均粒径の10倍より大きく設定したNo.A−4以降で、P21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも小さくなり、磨き性の正しい評価結果を示した。但し、設定したカットオフ値がWSm値を超えたNo.A−9では、いずれの鋼種においても、WSm値を測定することができなかった。
<ダイヤモンドペースト#5000仕上げのとき(砥粒の平均粒径;約5μm)>
使用した砥粒の大きさに対して、その平均粒径の10倍未満のカットオフ値で測定したNo.B−1、B−2では、磨き性に優れるP21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも大きい値となっており、正しいWc値の関係が示されていなかった。これに対して、本発明の方法を実施して、カットオフ値を砥粒の平均粒径の10倍より大きく設定したNo.B−3以降で、P21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも小さくなり、磨き性の正しい評価結果を示した。カットオフ値がWSm値を超えたNo.B−8以降は、WSm値の測定が困難となった。
<ダイヤモンドペースト#14000仕上げのとき(砥粒の平均粒径;約1μm)>
使用した砥粒の大きさに対して、本発明の方法を実施して、カットオフ値を砥粒の平均粒径の10倍より大きく設定したNo.C−1以降で、P21鋼のWc値がSUS420J2改良鋼のそれよりも小さく、磨き性の正しい評価結果を示していた。カットオフ値がWSm値を超えたNo.C−9では、WSm値の測定が困難であった。
ところで、上記の磨き加工によって作業面を鏡面に仕上げた金型を用いて、例えばプラスチック成を実際に行うと、それによって得られた成形品の表面に外観上の“むら(斑;shading)”が生じる場合がある。このむらは、成形品表面の各部で光の反射する程度が異なることによる外観上の表面性状不良であり、成形品の外観品質が低下する一要因である。そして、このむらが発生する原因は、その成形面の性状を転写するもととなる金型の作業面に存在する“うねり(waviness)”であることが確認されている(特許文献1〜2)。うねりとは、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に定義される、表面粗さ(roughness)より大きな間隔で起こる表面の周期的な起伏のことである(非特許文献1)。

Claims (4)

  1. 金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して、その加工後の表面のうねりを測定することで前記金型用鋼材の磨き性を評価する方法であって、前記うねりの測定は、カットオフ値λcを(磨き加工に用いた砥粒の平均粒径×10)<λc<(要素の平均長さWSm)の関係を満たす値に設定して求められたうねり曲線を用いて測定することを特徴とする金型用鋼材の磨き性の評価方法。
  2. 前記うねりの測定は、平均高さWcを指標として測定することを特徴とする請求項1に記載の金型用鋼材の磨き性の評価方法。
  3. 金型用鋼材の表面を砥粒によって磨き加工して金型の作業面になるように仕上げた金型を製作し、その製作後の金型の作業面のうねりを測定することで前記金型の磨き性を評価する方法であって、前記うねりの測定は、カットオフ値λcを(磨き加工に用いた砥粒の平均粒径×10)<λc<(要素の平均長さWSm)の関係を満たす値に設定して求められたうねり曲線を用いて測定することを特徴とする金型の磨き性の評価方法。
  4. 前記うねりの測定は、平均高さWcを指標として測定することを特徴とする請求項3に記載の金型の磨き性の評価方法。
JP2013030809A 2012-03-28 2013-02-20 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法 Active JP6086311B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013030809A JP6086311B2 (ja) 2012-03-28 2013-02-20 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012073094 2012-03-28
JP2012073094 2012-03-28
JP2013030809A JP6086311B2 (ja) 2012-03-28 2013-02-20 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013228369A true JP2013228369A (ja) 2013-11-07
JP6086311B2 JP6086311B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=49366141

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013030809A Active JP6086311B2 (ja) 2012-03-28 2013-02-20 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6086311B2 (ja)
KR (1) KR101397291B1 (ja)
CN (1) CN103364295B (ja)
TW (1) TWI532577B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015100933A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 矢崎総業株式会社 金属調加飾部品

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE202018102536U1 (de) 2017-12-22 2018-05-22 Schott Ag Abdeckplatte mit farbneutraler Beschichtung
DE202018102534U1 (de) 2017-12-22 2018-05-15 Schott Ag Transparente, eingefärbte Lithiumaluminiumsilikat-Glaskeramik
DE202018102514U1 (de) 2017-12-22 2018-05-22 Schott Ag Glaskeramik mit reduziertem Lithium-Gehalt
DE202018102533U1 (de) 2017-12-22 2018-06-12 Schott Ag Einrichtungs- und Ausstattungsgegenstände für Küchen oder Labore mit Anzeigeeinrichtung
DE102018110910A1 (de) 2017-12-22 2018-06-21 Schott Ag Einrichtungs- und Ausstattungsgegenstände für Küchen oder Labore mit Leuchtelement
TWI744991B (zh) * 2020-07-20 2021-11-01 中國鋼鐵股份有限公司 成形後鋼材表面之粗化巨觀缺陷的評估方法
CN114034592A (zh) * 2021-10-28 2022-02-11 青岛雨荣研磨材料有限公司 一种磨料磨耗及破碎性能检测分析方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011168060A (ja) * 2003-08-26 2011-09-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光反射体用成形品の製造方法及び光反射体
JP2013049236A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd プレフィルドシリンジ用ガスケットの成型金型

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08159751A (ja) * 1994-12-08 1996-06-21 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス板表面評価方法
JPH10103948A (ja) * 1996-09-30 1998-04-24 Tokyo Seimitsu Co Ltd 表面粗さ形状測定機の測定条件設定方法及びその装置
JP3241615B2 (ja) * 1996-11-01 2001-12-25 株式会社東京精密 表面粗さ形状測定機の測定条件自動設定方法及びその装置
JP3525432B2 (ja) * 2000-09-29 2004-05-10 株式会社東京精密 粗さ測定方法及び粗さ測定装置
JP5095141B2 (ja) * 2006-07-05 2012-12-12 日本ミクロコーティング株式会社 テープ状金属基材の表面研磨システム及び研磨方法
CN101352818A (zh) * 2007-07-23 2009-01-28 江苏海迅实业集团股份有限公司 一种金属工件表面抛光降低粗糙度方法
JP2010214547A (ja) 2009-03-17 2010-09-30 Nihon Micro Coating Co Ltd 研磨シート及びその製造方法
JP2010214576A (ja) 2009-03-19 2010-09-30 Konica Minolta Opto Inc 研磨方法、光学素子の製造方法および金型の再加工方法
JP5385653B2 (ja) 2009-03-25 2014-01-08 株式会社アドマテックス 研磨用パッド及び研磨方法
JP5263400B2 (ja) * 2009-08-19 2013-08-14 日立化成株式会社 Cmp研磨液及び研磨方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011168060A (ja) * 2003-08-26 2011-09-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光反射体用成形品の製造方法及び光反射体
JP2013049236A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd プレフィルドシリンジ用ガスケットの成型金型

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015100933A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 矢崎総業株式会社 金属調加飾部品

Also Published As

Publication number Publication date
KR101397291B1 (ko) 2014-05-20
TW201350299A (zh) 2013-12-16
CN103364295B (zh) 2015-07-15
JP6086311B2 (ja) 2017-03-01
CN103364295A (zh) 2013-10-23
TWI532577B (zh) 2016-05-11
KR20130110095A (ko) 2013-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6086311B2 (ja) 金型用鋼材の磨き性の評価方法および金型の磨き性の評価方法
Kapłonek et al. The use of focus-variation microscopy for the assessment of active surfaces of a new generation of coated abrasive tools
KR102265892B1 (ko) 면도날
Nadolny et al. Analysis of flatness deviations for austenitic stainless steel workpieces after efficient surface machining
Denkena et al. Impact of hard machining on zirconia based ceramics for dental applications
Zawada-Tomkiewicz Analysis of surface roughness parameters achieved by hard turning with the use of PCBN tools
CN110573351B (zh) 装饰部件
JP7071110B2 (ja) 樹脂成形品および樹脂成形品の製造方法
Denkena et al. New profiling approach with geometrically defined cutting edges for sintered metal bonded CBN grinding layers
Żak et al. Metrological aspects of surface topographies produced by different machining operations regarding their potential functionality
Zhang et al. Precision machining of ‘water-drop’surface by single point diamond grinding
Ham et al. Surface topography from single point incremental forming using an acetal tool
Rebeggiani et al. A quantitative method to estimate high gloss polished tool steel surfaces
Uhlmann et al. Wear mechanisms of ceramic vibratory finishing media
Rebeggiani et al. Quantitative evaluation of the surface finish of high gloss polished tool steels
Zak Areal field and fractal based characterization of hard surfaces produced by different machining operations
Tournier et al. Grinding of medical implants in cobalt-chromium alloy
Kapłonek et al. High-accuracy surface topography measurements of abrasive tools using a 3D optical profiling system
Sekiguchi et al. Basic study on high efficiency ultra-precision grinding of the optical glass lens
Bae et al. A Study on the Optimal Cutting Depth upon Surface Roughness of Al Alloy 7075 in High-speed Machining
Brient et al. Multiscale topography analysis of waterjet pocketing of silica glass surfaces
Ichida et al. Fractal analysis of grain cutting edge wear in superabrasive grinding
JP6864034B2 (ja) 剃刀の刃
Vidal Irusta et al. An Analysis of Electroplated cBN Grinding Wheel Wear and Conditioning during Creep Feed Grinding of Aeronautical Alloys
Zangl et al. METROLOGICAL QUANTIFICATION OF TOOL WEAR BEHAVIOR OVER TIME.

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6086311

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350