JP2013227892A - ターボチャージャ - Google Patents

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Abstract

【課題】連結シャフトに加わるスラスト荷重による摺動抵抗を低減する。
【解決手段】ターボチャージャ2は、中央部に連結シャフト23が挿通される挿通孔71を有し、連結シャフト23に加わるスラスト荷重を支持する円板状のスラストプレート7と、スラストプレート7を下側から挿入可能に、セミフローティングブッシュ64が切り欠かれた切欠部641と、セミフローティングブッシュ64に形成され、切欠部641の内周面とスラストプレート7との間にオイルを供給する第2給油孔67及び第4給油孔671と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、タービンとコンプレッサとを連結する連結シャフトを、セミフローティングブッシュを介して回転自在に支持するターボチャージャに関する。特に、車両に搭載されるターボチャージャに関する。
従来、車両に搭載されるターボチャージャにおいて、タービンとコンプレッサとを連結する連結シャフトを、セミフローティングブッシュを介して支持する技術が知られている。
例えば、軸受孔とセミフローティングブッシュとの間に形成されたオイル溜室へオイルを供給する第1給油孔と、第1給油孔の軸線上に位置するセミフローティングブッシュの内外を連通する第2給油孔と、第2給油孔と反対側のセミフローティングブッシュ及びブロック体に形成され、廻止ピンを挿入するピン孔と、を備えるターボチャージャが開示されている(特許文献1参照)。
このターボチャージャによれば、第2給油孔が第1給油孔の軸線上に位置しているので、第1給油孔を通過したオイルはその油圧によって、第2給油孔を通ってセミフローティングブッシュの内部へ導かれる。よって、セミフローティングブッシュの内部への安定した給油を行うことができる(図6参照)。
特開2006−29148号公報
しかしながら、特許文献1に記載のターボチャージャでは、連結シャフトに加わるスラスト荷重は、セミフローティングブッシュの両側に位置する固定部材及び連結シャフトの拡径部が、それぞれ、セミフローティングブッシュの端面に当接することによって支持されるところ、セミフローティングブッシュの端面における潤滑が充分ではない場合があった。
また、セミフローティングブッシュの端面における潤滑が充分ではない場合には、セミフローティングブッシュの端面及び当該端面と摺動する部材との間の摺動抵抗が大きくなり、エネルギ損失が発生し、燃費が低下する虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、連結シャフトに加わるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することが可能なターボチャージャを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るターボチャージャは、以下のように構成されている。
すなわち、本発明に係るターボチャージャは、タービンとコンプレッサとを連結する連結シャフトを、セミフローティングブッシュを介して回転自在に支持するターボチャージャであって、中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有し、当該連結シャフトに加わるスラスト荷重を支持する円板状のスラストプレートと、下側から前記スラストプレートを挿入可能に、前記セミフローティングブッシュが切り欠かれた切欠部と、前記セミフローティングブッシュに形成され、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルを供給するオイル孔と、を備えることを特徴としている。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有する円板状のスラストプレートによって、連結シャフトに加わるスラスト荷重が支持される。また、前記セミフローティングブッシュが切り欠かれた切欠部に、前記スラストプレートが下側から挿入される。更に、前記セミフローティングブッシュに形成されたオイル孔から、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルが供給されるため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができる。
すなわち、連結シャフトに生じるスラスト荷重は、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間で支持されており、前記セミフローティングブッシュに形成されたオイル孔から、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルが供給されるため、供給されたオイルによって、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができるのである。
また、本発明に係るターボチャージャは、前記オイル孔が、前記切欠部の両側に形成されていることが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、前記オイル孔が、前記切欠部の両側に形成されているため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
また、本発明に係るターボチャージャは、前記セミフローティングブッシュが挿通される軸受孔と、前記軸受孔と前記セミフローティングブッシュとの間に形成されたオイル溜室と、を更に備え、前記オイル孔が、前記オイル溜室を介して、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルを供給することが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、軸受孔に前記セミフローティングブッシュが挿通され、前記軸受孔と前記セミフローティングブッシュとの間にオイル溜室が形成されている。そして、前記オイル孔によって、前記オイル溜室を介して、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルが供給されるため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
また、本発明に係るターボチャージャは、中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有し、前記スラストプレートを前記連結シャフトに固定する固定部材を更に備えることが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有する固定部材によって、前記スラストプレートが前記連結シャフトに固定されるため、簡素な構成で、前記スラストプレートを前記連結シャフトに固定することができる。
また、本発明に係るターボチャージャは、前記スラストプレートの少なくとも一方の側面において、前記切欠部の内周面と摺動する位置に、周方向に前記切欠部との間の隙間が狭くなるテーパが形成されたテーパ部と、前記テーパ部の周方向後端に連続して形成され前記切欠部の側面と平行な平面であるランド部とが、それぞれ複数箇所形成されていることが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、前記スラストプレートの少なくとも一方の側面において、前記切欠部の内周面と摺動する位置に、周方向に前記切欠部との間の隙間が狭くなるテーパが形成されたテーパ部と、前記テーパ部の周方向後端に連続して形成され前記切欠部の側面と平行な平面であるランド部とが、それぞれ複数箇所形成されているため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
また、本発明に係るターボチャージャは、前記ランド部が、放射状に形成されていることが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、前記ランド部が放射状に形成されているため、連結シャフトに生じるスラスト荷重を、前記スラストプレートの側面において周方向に略均一に支持することができる。
また、本発明に係るターボチャージャは、前記テーパ部及び前記ランド部が、前記スラストプレートの厚み方向と直交する中心面について面対称に形成されていることが好ましい。
かかる構成を備えるターボチャージャによれば、前記テーパ部及び前記ランド部が、前記スラストプレートの厚み方向と直交する中心面について面対称に形成されているため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
本発明に係るターボチャージャによれば、中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有する円板状のスラストプレートによって、連結シャフトに加わるスラスト荷重が支持される。また、前記セミフローティングブッシュの上端部を残して形成された切欠部に、前記スラストプレートが下側から挿入される。更に、前記セミフローティングブッシュに形成されたオイル孔から、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルが供給されるため、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができる。
すなわち、連結シャフトに生じるスラスト荷重は、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間で支持されており、前記セミフローティングブッシュに形成されたオイル孔から、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルが供給されるため、供給されたオイルによって、連結シャフトに生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができるのである。
本発明に係るターボチャージャが配設される車両に搭載されるエンジンの一例を示す構成図である。 図1に示すターボチャージャの一例を示す断面図である。 図2に示す断面図の主要部を拡大した拡大図である。 図2に示すターボチャージャに配設されるスラストプレートの一例を示す斜視図である。 図2に示すターボチャージャの一例を示すA−A断面図である。 従来のターボチャージャの一例を示す断面図である。
以下、本発明に係る「ターボチャージャ」の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るターボチャージャ2(又は、従来のターボチャージャ2a)が配設される車両に搭載されるエンジン1の一例を示す構成図である。
−吸排気系統−
まず、図1を参照してエンジン1の吸排気系統の全体構成について説明する。エンジン1は、例えば、4気筒(1番気筒〜4番気筒)のガソリンエンジンであって、シリンダヘッドに、各気筒に吸入空気を分配するためのインテークマニホールド40が接続されている。本実施形態では、エンジン1が、ガソリンエンジンである場合について説明するが、エンジン1が、ディーゼルエンジンである形態でもよい。
インテークマニホールド40の入口には、空気を大気中から取り込んでインテークマニホールド40に導く吸気通路4が接続されている。また、吸気通路4の入口にはエアクリーナ41が配設されている。また、インテークマニホールド40の上流側(吸気流れの上流側)には、エンジン1の吸入空気量を調整するスロットルバルブ43が配設されている。
一方、エキゾーストマニホールド50の出口には排気通路5が接続されている。また、排気通路5の下流側には、三元触媒51が接続されている。三元触媒51は、エンジン1から排気通路5に排出された排気ガス中のCO、HCの酸化及びNOxの還元を行うことによって、それらを無害なCO2、H2O、N2とすることで排気ガスの浄化するものである。
更に、エンジン1には、ターボチャージャ2(2a)及びEGR装置10が装備されている。以下、これらの構成について、順次説明する。
−ターボチャージャ−
ターボチャージャ2(2a)は、タービンホイール21(21a)、コンプレッサインペラ22(22a)、及び、連結シャフト23(23a)を備えている。タービンホイール21(21a)は、排気通路5に配設され、排気のエネルギによって回転駆動される。コンプレッサインペラ22(22a)は、吸気通路4に配設される。連結シャフト23(23a)は、タービンホイール21(21a)とコンプレッサインペラ22(22a)とを一体に連結するものである。
排気通路5に配設されたタービンホイール21(21a)が排気のエネルギによって回転駆動され、これに伴って吸気通路4に配設されたコンプレッサインペラ22(22a)が回転駆動される。そして、コンプレッサインペラ22(22a)の回転によって、吸入空気が過給され、エンジン1の各気筒の燃焼室に過給空気が強制的に送り込まれる。なお、コンプレッサインペラ22(22a)の下流側(吸気流れの下流側)の吸気通路4には、コンプレッサインペラ22(22a)によって過給された空気を冷却するインタークーラ42が介設されている。
−EGR装置−
EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置10は、EGR通路(排気還流通路)11を備えている。EGR通路11の一方側(ここでは、上側)の端部は、インテークマニホールド40とスロットルバルブ43との間の吸気通路4に接続されている。EGR通路11の他方側(ここでは、下側)の端部はエキゾーストマニホールド50に接続されており、排気ガス(EGRガス)の一部がEGR通路11を通って吸気通路4に導入される。EGR装置10は、EGRガス(空気に比較して比熱が高く酸素量の少ないガス)を吸気通路4に戻すことによって、燃焼温度を低下させてNOxの生成量を低減させることができる。
EGR通路11の途中には、EGR通路11を開閉するEGRバルブ14が介設されている。また、EGR通路11におけるEGRバルブ14の上流側(排気側)には、EGR通路11内を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ12が介設されている。EGRガスは、EGRクーラ12によって冷却されて密度が高められ、吸入空気量を確保しながらEGR率を高めることが可能になる。
また、EGR装置10には、EGRクーラ12をバイパスしてEGRガスを流すEGRバイパス通路111が配設されている。EGRバイパス通路111とEGR通路11との接続部(EGRガス流れの下流側の接続部)には、EGR通路11の開度、及び、EGRバイパス通路111の開度を調整する切替制御バルブ13が介設されている。
−従来のターボチャージャ−
ここで、図6を参照して、従来のターボチャージャ2aの構成について説明する。図6は、従来のターボチャージャ2aの一例を示す断面図である。図1を用いて上述のように、ターボチャージャ2aは、タービンホイール21a、コンプレッサインペラ22a、及び、連結シャフト23aを備えている。タービンホイール21aは、タービンハウジング24a内に収容され、コンプレッサインペラ22aはコンプレッサハウジング25a内に収容されている。
タービンホイール21aとコンプレッサインペラ22aとを連結する連結シャフト23aは、センターハウジング26a内に設けられた軸受部6aに軸支されている。
軸受部6aは、略円柱状のブロック体61aからなり、センターハウジング26a内に、ブラケット62aを介して設けられている。ブロック体61aには、コンプレッサインペラ22a側とタービンホイール21a側とを連通する軸受孔63aが形成されている。軸受孔63aには、円筒状のセミフローティングブッシュ64aが挿通され、セミフローティングブッシュ64a内には、連結シャフト23aが回動自在に挿入されている。
軸受孔63aとセミフローティングブッシュ64aとの間には、軸受孔63aの内周面の一部がその周方向に沿って拡径され、オイル溜室65aが形成されている。また、セミフローティングブッシュ64a内の連結シャフト23aは、その両端部を除いて小径化されており、オイルが溜まり易くなっている。
オイル溜室65aへオイルを供給するために、ブラケット62aには第1給油孔66aが設けられている。第1給油孔66aの軸線上に位置するセミフローティングブッシュ64aには、その内外を連通する第2給油孔67aが設けられている。ここで、第2給油孔67aの孔径は、第1給油孔66aの孔径より小さく形成されている。この構成によれば、第1給油孔66aを通ってオイル溜室65a内に導かれたオイルは、一部がオイル溜室65aから、セミフローティングブッシュ64aの外周面と軸受孔63aの内周面との間に導かれ、残りが第2給油孔67aを通ってセミフローティングブッシュ64aの内周面と連結シャフト23aの外周面との間に導かれる。
第2給油孔67aと反対側のセミフローティングブッシュ64a及びブロック体61aには、廻止ピン68aのピン孔69aが設けられている。ピン孔69aには、第1給油孔66a及び第2給油孔67aの給油方向と反対方向から廻止ピン68aが挿入される。これによって、セミフローティングブッシュ64aは、ブロック体61aに固定され、連結シャフト23aの回転に伴って連れ回ることはない。
このターボチャージャ2aによれば、第2給油孔67aが第1給油孔66aの軸線上に位置しているので、第1給油孔66aを通過したオイルはその油圧によって、第2給油孔67aを通ってセミフローティングブッシュ64aの内部へ導かれる。よって、セミフローティングブッシュ64aの内部への安定した給油を行うことができる。
しかしながら、ターボチャージャ2aでは、連結シャフト23aに加わるスラスト荷重は、セミフローティングブッシュ64aの両側に位置する固定部材611a及び連結シャフトの拡径部231aが、それぞれ、セミフローティングブッシュ64aの端面に当接することによって支持されるところ、セミフローティングブッシュ64aの端面における潤滑が充分ではない場合があった。例えば、連結シャフト23aと、セミフローティングブッシュ64aとの間に形成されたラジアル荷重軸受を潤滑(通過)した後に、高温となったオイルが、スラスト荷重を受ける面(セミフローティングブッシュ64aの両側の端面)へ供給されると、潤滑が充分でない場合となり得るのである。
−本発明に係るターボチャージャ−
次に、図2〜図5を参照して、本発明に係るターボチャージャ2について説明する。図2は、図1に示すターボチャージャ2の一例を示す断面図である。図3は、図2に示す断面図の主要部を拡大した拡大図である。まず、図2、図3を参照して、本発明に係るターボチャージャ2の全体構成について説明する。図1を用いて上述のように、ターボチャージャ2は、タービンホイール21、コンプレッサインペラ22、及び、連結シャフト23を備えている。タービンホイール21は、タービンハウジング24内に収容され、コンプレッサインペラ22はコンプレッサハウジング25内に収容されている。
軸受部6は、略円柱状のブロック体61からなり、センターハウジング26内に、ブラケット62を介して設けられている。ブロック体61には、コンプレッサインペラ22側とタービンホイール21側とを連通する軸受孔63が形成されている。軸受孔63には、円筒状のセミフローティングブッシュ64が挿通され、セミフローティングブッシュ64内には、連結シャフト23が回動自在に挿入されている。軸受孔63とセミフローティングブッシュ64との間には、軸受孔63の内周面の一部がその周方向に沿って拡径され、オイル溜室65が形成されている。
タービンホイール21とコンプレッサインペラ22とを連結する連結シャフト23は、センターハウジング26内に設けられた軸受部6に軸支されている。また、連結シャフト23は、後述するスラストプレート7のタービンホイール21側の端面の位置で、段差部231が形成されて、コンプレッサインペラ22側(図2、図3の左側)が小径化されている。すなわち、段差部231とスラストプレート7のタービンホイール21側(図2、図3の右側)の側面との間で、連結シャフト23に生じるスラスト荷重が支持される。
セミフローティングブッシュ64には、スラストプレート7を下側から挿入可能に、セミフローティングブッシュ64が切り欠かれた切欠部641が形成されている。なお、切欠部641に、スラストプレート7が下側から挿入された後に、スラストプレート7の挿通孔71(図4参照)に連結シャフト23が挿通される。
スラストプレート7は、中央部に連結シャフト23が挿通される挿通孔71(図4参照)を有し、連結シャフト23に加わるスラスト荷重を支持する円板状の部材である。なお、スラストプレート7の構造については、図4、図5を用いて後述する。また、スラストプレート7の挿通孔71には、連結シャフト23が挿通されており、後述する固定部材611によってスラストプレート7と連結シャフト23とが固定されるため、スラストプレート7は、連結シャフト23と一体に回転する。
また、スラストプレート7のコンプレッサインペラ22側(図2、図3の左側)には、中央部に連結シャフト23が挿通される挿通孔を有し、スラストプレート7を連結シャフト23に固定する固定部材611が配設されている。すなわち、スラストプレート7のコンプレッサインペラ22側(図2、図3の左側)の側面と、固定部材611のタービンホイール21側(図2、図3の右側)の端面との間で、連結シャフト23に生じるスラスト荷重が支持される。
スラストプレート7のタービンホイール21側(図2、図3の右側)に形成されたオイル溜室65へオイルを供給するために、ブラケット62には第1給油孔66が設けられている。第1給油孔66の軸線上に位置するセミフローティングブッシュ64には、その内外を連通する第2給油孔67が設けられている。ここで、第2給油孔67は、特許請求の範囲に記載の「オイル孔」の一部に相当する。
具体的には、第1給油孔66の軸線上に位置するセミフローティングブッシュ64には、第1給油孔66の径と同一径のピン孔69が形成されている。また、第1給油孔66の下端部とピン孔69とを跨いで、円筒状の廻止ピン68が挿入固定されている。この廻止ピン68の内側に形成された孔が、第2給油孔67として機能する。なお、廻止ピン68によって、セミフローティングブッシュ64は、ブロック体61に固定され、連結シャフト23の回転に伴って連れ回ることはない。
また、スラストプレート7のコンプレッサインペラ22側(図2、図3の左側)に形成されたオイル溜室65へオイルを供給するために、ブラケット62には第1給油孔66に分岐して第3給油孔661が形成されている。そして、第3給油孔661の軸線上に位置するセミフローティングブッシュ64には、その内外を連通する第4給油孔671が設けられている。ここで、第4給油孔671は、特許請求の範囲に記載の「オイル孔」の一部に相当する。
このようにして、中央部に連結シャフト23が挿通される挿通孔71を有する円板状のスラストプレート7によって、連結シャフト23に加わるスラスト荷重が支持される。また、セミフローティングブッシュ64の上端部を残して切り欠かれた切欠部641に、スラストプレート7が下側から挿入される。更に、セミフローティングブッシュ64に形成された第2給油孔67及び第4給油孔671から、切欠部641の内周面とスラストプレート7との間にオイルが供給されるため、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができる。
すなわち、連結シャフト23に生じるスラスト荷重は、切欠部641の内周面とスラストプレート7との間で支持されており、セミフローティングブッシュ64に形成された第2給油孔67及び第4給油孔671から、切欠部641の内周面とスラストプレート7との間にオイルが供給されるため、供給されたオイルによって、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を低減することができるのである。
更に詳細に説明すると、第2給油孔67を介して、スラストプレート7のタービンホイール21側(図2、図3の右側)に形成されたオイル溜室65へオイルが供給され、このオイル溜室65から、スラストプレート7のタービンホイール21側(図2、図3の右側)の側面と、切欠部641の内周面との間にオイルが供給される。更に、第4給油孔671を介して、スラストプレート7のコンプレッサインペラ22側(図2の左側)に形成されたオイル溜室65へオイルが供給され、このオイル溜室65から、スラストプレート7のコンプレッサインペラ22側(図2、図3の左側)の側面と、切欠部641の内周面との間にオイルが供給される。このようにして、第2給油孔67及び第4給油孔671からオイル溜室65へ供給されたオイルが、それぞれ、オイル溜室65内を軸方向(図2、図3の左右方向)に流動して、切欠部641の内周面とスラストプレート7の両側の側面との間に供給されるため、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができるのである。
本実施形態では、切欠部641の両側にオイル孔(第2給油孔67及び第4給油孔671)が形成されている場合について説明するが、切欠部641の片側(例えば、タービンホイール21側)にオイル孔(例えば、第2給油孔67)が形成されている形態でもよい。この場合には、ターボチャージャの構造が簡略化される。
更に、中央部に連結シャフト23が挿通される挿通孔を有する固定部材611によって、スラストプレート7が連結シャフト23に固定されるため、簡素な構成で、スラストプレート7を連結シャフト23に固定することができる。
−スラストプレート−
次に、スラストプレート7の構造について、図4、図5を参照して説明する。図4は、図2、図3に示すターボチャージャ2に配設されるスラストプレート7の一例を示す斜視図である。図5は、図2に示すターボチャージャ2の一例を示すA−A断面図である。スラストプレート7は、連結シャフト23に加わるスラスト荷重を支持する円板状の部材であって、図4に示すように、挿通孔71、係止面72、ランド部73、及び、テーパ部74を備えている。
挿通孔71は、スラストプレート7の径方向中央部に形成され、連結シャフト23が挿通される孔である。なお、本実施形態に係るターボチャージャ2では、セミフローティングブッシュ64の切欠部641にスラストプレート7が下側から挿入された状態で、タービンホイール21側(図2、図3の右側)から、スラストプレート7の挿通孔71に連結シャフト23が挿通される。
係止面72は、スラストプレート7の両側の側面の内周側にそれぞれ形成され、連結シャフト23の段差部231及び固定部材611の端面によってそれぞれ挟持され、スラストプレート7を連結シャフト23に固定する面である。すなわち、スラストプレート7の挿通孔71に連結シャフト23が挿入されており、係止面72においてスラストプレート7が連結シャフト23に固定されているため、スラストプレート7は、連結シャフト23と一体に回転することになる。
テーパ部74は、スラストプレート7の両側の側面に、それぞれ、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の内周面と摺動する位置に、周方向に切欠部641との間の隙間が狭くなるテーパが形成されたものである。図4の矢印Vは、スラストプレート7の回転方向を示すものである。図5に示すように、オイルは、オイル溜室65からスラストプレート7のテーパ部74を径方向に外側へ流動しつつ、周方向にランド部73側へ流動動する。そして、オイルは、スラストプレート7の外周位置に到達すると、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の下端部、ブロック体61に形成されたオイル排出孔612、及び、センターハウジング26に形成されたオイル排出孔27(図2参照)、を順次介して、外部へ排出される。
ランド部73は、テーパ部74の周方向後端に連続して形成され、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の側面と平行な平面である。また、ランド部73は、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の側面との間で摺動面を形成する。換言すれば、連結シャフト23に生じるスラスト荷重は、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の側面と、スラストプレート7のランド部73との間で支持される。また、ランド部73は、スラストプレート7の両側の側面において、放射状にそれぞれ4箇所形成されている。
更に、図4に示すように、スラストプレート7の両方の側面に、テーパ部74及びランド部73が、スラストプレート7の厚み方向と直交する中心面について面対称に形成されている。
このようにして、スラストプレート7両側の側面において、それぞれ、セミフローティングブッシュ64の切欠部641の内周面と摺動する位置に、テーパ部74とランド部73とが、それぞれ複数箇所(ここでは、4箇所)形成されているため、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
すなわち、連結シャフト23に生じるスラスト荷重を支持する摺動面であるランド部73に、スラストプレート7の回転に伴って、オイル溜室65からテーパ部74を介してオイルが供給されるため、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができるのである。
なお、本実施形態では、テーパ部74とランド部73とが、スラストプレート7の両側の側面に形成されている場合について説明するが、テーパ部74とランド部73とが、スラストプレート7の一方の側面(例えば、図2、図3における右側の側面)に形成されている形態でもよい。この場合には、スラストプレートの構造が簡略化される。
また、連結シャフト23に生じるスラスト荷重を支持する摺動面として機能するランド部73が、スラストプレート7の側面に放射状に形成されているため、連結シャフト23に生じるスラスト荷重を、スラストプレート7の側面において周方向に略均一に支持することができる。
更に、スラストプレート7の両方の側面に、テーパ部74及びランド部73が、スラストプレート7の厚み方向と直交する中心面について面対称に形成されているため、スラストプレート7がバランスよく回転するので、連結シャフト23に生じるスラスト荷重による摺動抵抗を更に低減することができる。
本実施形態では、スラストプレート7両側の側面において、テーパ部74とランド部73とが、それぞれ4箇所形成されている場合について説明したが、テーパ部74とランド部73とが、それぞれ複数箇所形成されている形態であればよい。テーパ部74とランド部73との個数が少ない程、スラストプレートの構造が簡略化される。
−他の実施形態−
本実施形態では、ターボチャージャ2が、車両に搭載される場合について説明したが、ターボチャージャ2がその他の装置(例えば、船舶等)に配設される形態でもよい。
本発明は、タービンとコンプレッサとを連結する連結シャフトを、セミフローティングブッシュを介して回転自在に支持するターボチャージャに利用可能である。特に、車両に搭載されるターボチャージャに好適に利用することができる。
2 ターボチャージャ
21 タービンホイール
22 コンプレッサインペラ
23 連結シャフト
24 タービンハウジング
25 コンプレッサハウジング
26 センターハウジング
27 オイル排出孔
6 軸受部
61 ブロック体
611 固定部材
612 オイル排出孔
62 ブラケット
63 軸受孔
64 セミフローティングブッシュ
641 切欠部
65 オイル溜室
66 第1給油孔
661 第3給油孔
67 第2給油孔(オイル孔の一部)
671 第4給油孔(オイル孔の一部)
68 廻止ピン
69 ピン孔
7 スラストプレート
71 挿通孔
72 係止面
73 ランド部
74 テーパ部

Claims (7)

  1. タービンとコンプレッサとを連結する連結シャフトを、セミフローティングブッシュを介して回転自在に支持するターボチャージャであって、
    中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有し、当該連結シャフトに加わるスラスト荷重を支持する円板状のスラストプレートと、
    下側から前記スラストプレートを挿入可能に、前記セミフローティングブッシュが切り欠かれた切欠部と、
    前記セミフローティングブッシュに形成され、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルを供給するオイル孔と、を備えることを特徴とするターボチャージャ。
  2. 請求項1に記載のターボチャージャにおいて、
    前記オイル孔は、前記切欠部の両側に形成されていることを特徴とするターボチャージャ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のターボチャージャにおいて、
    前記セミフローティングブッシュが挿通される軸受孔と、
    前記軸受孔と前記セミフローティングブッシュとの間に形成されたオイル溜室と、を更に備え、
    前記オイル孔は、前記オイル溜室を介して、前記切欠部の内周面と前記スラストプレートとの間にオイルを供給することを特徴とするターボチャージャ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のターボチャージャにおいて、
    中央部に前記連結シャフトが挿通される挿通孔を有し、前記スラストプレートを前記連結シャフトに固定する固定部材を更に備えることを特徴とするターボチャージャ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のターボチャージャにおいて、
    前記スラストプレートの少なくとも一方の側面には、前記切欠部の内周面と摺動する位置に、周方向に前記切欠部との間の隙間が狭くなるテーパが形成されたテーパ部と、前記テーパ部の周方向後端に連続して形成され前記切欠部の側面と平行な平面であるランド部とが、それぞれ複数箇所形成されていることを特徴とするターボチャージャ。
  6. 請求項5に記載のターボチャージャにおいて、
    前記ランド部は、放射状に形成されていることを特徴とするターボチャージャ。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のターボチャージャにおいて、
    前記テーパ部及び前記ランド部は、前記スラストプレートの厚み方向と直交する中心面について面対称に形成されていることを特徴とするターボチャージャ。
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