JP2013226209A - 呼吸用保護具 - Google Patents

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Abstract

【課題】拡声器や伝声器等の機能部品を面体に対し緩むことがないように取り付けることのできる呼吸用保護具の提供。
【解決手段】電動ファン付き呼吸用保護具を一例とする呼吸用保護具が拡声器40を一例とする機能部品の収納されているケーシング40dを有する。ケーシング40dは、連結用部位44を有し、その連結用部位44が面体に対して取り付け取り外しされる部材20に機械的に連結される。
【選択図】図5

Description

この発明は、肺力式のマスクや送気マスク、電動ファン付き呼吸用保護具等として使用することのできる呼吸用保護具に関する。
呼吸用保護具の面体に拡声器や伝声器、一次電池、二次電池、各種センサ、フィルタ、電動ファン等の機能部品を取り付けることは、従来周知である。
例えば、実開昭58−177151号公報(特許文献1)に記載の半面型マスクでは、面体の縦方向中心線上に拡声器が取り付けられ、その中心線の左右両側にはフィルタとして機能する吸気室が取り付けられている。
特開2005−300890号公報(特許文献2)に記載の全面マスク用眼鏡では、その眼鏡の使用対象となるマスクにおける面体の両側部にフィルタを含むカートリッジが取り付けられている。
実開昭58−177151号公報 特開2005−300890号公報
呼吸用保護具における機能部品のうちのフィルタや吸収缶は、消耗品であるから、その呼吸用保護具に対して取り付け、取り外しができるように作られる。一方、機能部品のうちの拡声器や伝声器は、ひとたび面体に取り付けられたならばそのままの状態で長期間使用されることが普通であるから、取り付け状態が簡単には緩むことがないように面体に対して取り付けられていることが好ましい。しかし、面体はそれを洗滌するという場合があり、その場合には、拡声器や伝声器は面体からスムーズに取り外せることが好ましい。
そこで、この発明では、拡声器や伝声器、フィルタ等の機能部品を面体に対して緩むことがないように取り付けておくことができるとともに、必要な場合には面体からスムーズに取り外すこともできるように改良された呼吸用保護具の提供を課題にしている。
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、互いに直交する上下方向と幅方向と前後方向とを有する面体を備えた呼吸用保護具である。
この発明が特徴とするところは、次のとおりである。すなわち、前記面体は、前記幅方向の寸法を二等分する中心線から両側方それぞれへ偏倚した部位のうちの少なくとも一方に、拡声器、伝声器、一次電池、二次電池、ガス濃度センサ、温度センサ、圧力センサ、フィルタ、吸収缶、および電動ファンのいずれかの機能部品を収納したケーシングが取り付け、取り外しされるものである。前記ケーシングは、前記ケーシングとは別体であって前記面体の外側から前記面体に取り付け、取り外しされる部材に対して機械的に連結される連結用部位を有している。
この発明の実施態様の一つにおいて、前記ケーシングが円筒状のものであって、前記連結用部位は前記ケーシングから前記ケーシングの径方向外側に向かって延びる部位である。
この発明の実施態様の他の一つにおいて、前記面体に取り付け、取り外しされる前記部材は、前記フィルタ、前記吸収缶、および前記電動ファンのいずれかの前記機能部品を収納していて、前記連結用部位の相手方となる第2の連結用部位を有し、前記ケーシングは前記部材が収納している前記機能部品以外の前記機能部品を収納している。
この発明の実施態様の他の一つにおいて、前記面体に取り付け、取り外しされる前記部材は、前記面体の前記幅方向の中央部に、前記前方から取り付け、取り外しされるものである。
この発明の実施態様の他の一つにおいて、前記連結用部位と前記第2の連結用部位とは、互いに機械的に連結されると電気的にも連結された状態になる。
この発明の実施態様の他の一つにおいて、前記ケーシングが前記面体の外側から前記面体における所定位置に挿入されて時計方向および反時計方向のいずれかに10−180度回転すると、前記連結用部位が前記面体における所定の取り付け状態となって、前記前後方向の前方から後方に向かって前記面体に取り付けられる前記部材においての前記第2の連結用部位に連結される。
この発明において、機能部品というときには、呼吸用保護具に取り付けて使用される拡声器、伝声器、一次電池、二次電池、ガス濃度センサ、温度センサ、圧力センサ、フィルタ、吸収缶および電動ファンのいずれかを意味している。
この発明に係る呼吸用保護具では、拡声器を一例とする機能部品の収納されているケーシングが連結用部位を有し、その連結用部位は面体に対して取り付け、取り外しされる部材に対して機械的に連結されるから、ケーシングは面体における取り付け位置が安定し、呼吸用保護具を長期間使用しても面体に対する取り付け状態は緩むことがない。また、その部材が面体から取り外されたときには、ケーシングを面体からスームズに取り外すことができる。
マスク(呼吸用保護具)の正面図。 マスクを後方から見たときの部分破断図。 隔障が外してある図2と同様な図。 マスクの右側部の一部分を破断して示すマスクの斜視図。 マスクの右側部の一部分を拡大して示すマスクの部分破断斜視図。 マスクの右側部の一部分を分解して示す図。 図4のVII−VII線に沿う断面図。 左側部の一部を破断して示すマスクの斜視図。
添付の図面を参照して、この発明に係る呼吸用保護具の詳細を説明すると、以下のとおりである。
図1は、呼吸用保護具の一例である電動ファン付き呼吸用保護具1(以下では、マスク1という)の正面図である。マスク1は、面体10を有し、その面体10には着脱可能な吸排気ユニット20が組み付けられ、吸排気ユニット20には着脱可能なフィルタカートリッジ7が組み付けられている。フィルタカートリッジ7には、適宜の形状に成形されたフィルタ(図示せず)が含まれている。面体10は、ポリカーボネート樹脂等の透明で硬質な合成樹脂で形成されたアイピース2と、ウレタンゴム等の柔軟弾性材料で形成されていてアイピース2の周縁部に取り付けられている接顔パッド3とを有し、アイピース2の内側、すなわちアイピース2とマスク1の着用者の顔面(図示せず)との間には隔障4があって、その隔障4が柔軟弾性材料で形成されている。接顔パッド3には、マスク着用者(図示せず)の頭部に掛け回す締め紐6がバックル6aを介して取り付けられている。隔障4は、ノーズカップと呼ばれることもあるもので、左右一対の逆止弁4aがリング状の部材4bを介して取り付けられている。図に示された双頭矢印Aはマスク1の上下方向を示し、双頭矢印Aに直交する双頭矢印Bはマスク1の幅方向を示している。上下方向Aは、マスク1を例えば防護率試験のための人体模型に装着させたときの上下方向に一致する方向である。幅方向Bは、マスク1の着用者の左右方向でもあって、双頭矢印のうちの二重矢印は着用者にとっての右方向を示している。図中の線P−Pは、マスク1の幅方向Bの寸法を二等分するように幅方向Bの中央部を通り上下方向Aへ延びる中心線である。
図2は、マスク1を斜め後方から見たときの部分破断図であって、マスク1の内側の構造が明らかになるように、接顔パッド3の一部分が切り欠かれている。双頭矢印A,Bに直交する双頭矢印Cは、マスク1の前後方向を示し、双頭矢印Cにおける二重の矢印は、マスク1の前方向を示している。また、中心線P−Pは隔障4に対してのみ示されている。その隔障4は、中心線P−Pに関して対称に作られていて、中心線P−P上には長円形の開孔4hが形成されている。隔障4はまた、その開孔4hにおいて、後記図4において詳述される第1内側部材21に形成された長円形の取り付け部21dに着脱可能に嵌められて固定された状態にある。隔障4の下部と第1内側部材21との間には着用者の呼気を隔障4の内部から後記逆止弁21eに向かって排出するための通気路(図示せず)が形成されている。隔障4の下部にはまた、汗抜き用の透孔4cが形成されている。隔障4において、中心線P−Pから右側に偏倚した部位、すなわち隔障4の右側部からは、アイピース2に向かって中空の右側ダクト4dが延び、左側に偏倚した部位、すなわち隔障4の左側部からは、アイピース2に向かって中空の左側ダクト4eが延びている。これら右側ダクト4dと左側ダクト4eとは、隔障4の内側と面体10の外側とに通じていて、マスク着用者の発する音声を隔障4の内側から面体4の外側へ伝えるための伝声路9のうちの右側の伝声路9dと左側の伝声路9eとの一部分を形成している。ここでいう伝声路9とは、隔障4の内側と面体10の外側とに通じる中空の部位を意味している。隔障4の上部には隔障4の内側に向かって開く一対の吸気用の逆止弁4a(図1,4参照)が取り付けられている。隔障4は、着用者の顔面と対向するように形成されている開口の周縁部分4gが着用者の口部と鼻部との近傍にフィットすることによって、顔面との間に吸排気を効率よく反復するための小空間8を作ることができる。ただし、図では、小空間8が前後方向Cの後方に向かって、すなわち着用者の顔面に向かって開放状態にある。フィルタカートリッジ7によってろ過された空気は、吸排気ユニット20を介してアイピース2と隔障4との間の広い空間2cに入った後、逆止弁4aを押し開いて隔障4と顔面との間の小空間8に入り、吸気として利用される。マスク着用者の呼気は、小空間8に向かって吐き出され、隔障4の外側である広い空間2cには広がることなく隔障4と第1内側部材21との間の通気路を通り、次いで排気用の逆止弁21e(図3参照)を押し開いてマスク1の外へ出る。このように作用する隔障4の存在によって、マスク着用者は、自分の呼気を吸気として吸い込むことを避けることができる。
図3は、図2と同様な図であるが、図2の隔障4を取り外すことによってマスク1の内側の構造が示されている。マスク1の内側において、第1内側部材21の上部には、上下方向Aの寸法よりも幅方向Bの寸法が大きい吸気用の第2逆止弁21bが取り付けられ、第2逆止弁21bの下方には電動ファンや二次電池、制御回路等についての収納部21cと隔障4のための取り付け部21dとが形成されている。制御回路を介して二次電池に接続されている電動ファンが回転すると、外気がフィルタカートリッジ7を通過し、第2逆止弁21bを開いてアイピース2と隔障4との間の空間2cに進入する。第1内側部材21の下部には呼気を排出するための複数の排気孔21dが形成され、その排気孔21dの外側には排気用の逆止弁21eが開閉可能に取り付けられている。アイピース2における右側部の内面には、後記拡声器ユニット40をアイピース2に固定するための右側の第2リング41bが見え、左側部の内面には伝声器ユニット46をアイピース2に固定するための左側の第2リング41cが見えている。第2リング41bと41cとは同じもので、これら第2リング41b、41cもまた、伝声路9の一部分を形成している。
図4は、フィルタカートリッジ7が取り外した状態にあるマスク1の部分破断斜視図であって、マスク1の右側面部を示している。面体10におけるアイピース2には、幅方向Bの中央部に後記吸排気ユニット20が取り付けられ、右側面部に拡声器ユニット40が組み込まれている。拡声器ユニット40は、この発明においての機能部品の一つである拡声器(スピーカ)15を面体10に取り付け、取り外しするためのものであって、マスク1の着用者が発する音声を周囲の者に伝えることを容易にする音声伝達器である。図ではその拡声器ユニット40が、着脱可能なカバー部材41によって覆われている。カバー部材41は、拡声器ユニット40からの音声がマスク1の外側へよく伝わるように、多数の透孔42が形成されている。
図4において、吸排気ユニット20は、アイピース2の幅方向Bの中央部に形成された開孔に対して前後方向Cの後方から、すなわちアイピース2の内側から嵌合している部材であって大部分がアイピース2の内側に位置する一方、ごく一部分がアイピース2の外側に位置している第1内側部材21と、前後方向Cの前方からアイピース2に取り付けられている部材であって全体がアイピース2の外側に位置し、互いに分離可能に結合している第1,第2外側部材22,23とを有する。第1内側部材21と第1外側部材22とは、上下方向Aヘスライド可能なスライド駒24を図示の如く上方へスライドさせた状態にすることにより、そのスライド駒24を介して一体になる。ちなみに、図4においてスライド駒24を下方へスライドさせると、吸排気ユニット20の右側面部において第1内側部材21と第1外側部材22とが分離する。第2外側部材23は上方部材23aと下方部材23bとに二分されていて、これら両部材23a,23bが上下方向Aにおいて分離可能に結合すると、第1内側部材21の周縁部分(図示せず)をアイピース2の内面に密着させ、かつ第1内側部材21が後方に向かってアイピース2の開孔から抜け出ることを防ぐことができる。吸排気ユニット20の前面部分には、多数の吸気用の透孔26と、フィルタカートリッジ7を着脱するためのねじ部27とが形成されている。隔障4の上部には吸気用の逆止弁4aが取り付けられている。
図5は、図4の部分Vの拡大図であるが、図4と異なり、拡声器ユニット40のためのカバー部材41の他に、吸排気ユニット20も部分的に破断されている。拡声器ユニット40の一部分である後記ケーシング40dの径方向における外側には、第1コネクタ44のプラグ44aがマスク1の前方に向かって延びている。プラグ44aは、吸排気ユニット20に形成された第2コネクタ66におけるソケット部分66aに前後方向Cから進入して嵌合している。その嵌合によって、プラグ44aは、ケーシング40dが面体10に対して時計方向Dにも反時計方向にも回転することがないように第2コネクタ66に対して機械的に連結された状態にあるとともに、プラグ44aにおける電気的接点44bがソケット部分66aにおける電気的接点(図示せず)に接触することによって、電気的にも連結された状態にある。第2コネクタ66は、吸排気ユニット20における収納部21c(図3参照)に内蔵の制御回路(図示せず)に接続されている。その制御回路におけるオン−オフスイッチを操作することによって、拡声器ユニット40における拡声器15を作動状態または非作動状態にすることができる。拡声器15は、マスク1が着用されているときにオン状態が継続して常に作動しているように制御することもできれば、着用者の呼吸動作に応じてオン状態とオフ状態とを選択するように制御することもできる。
図6は、面体10と拡声器ユニット40とカバー部材41とを分解した状態で示す図4と同様な図である。面体10におけるアイピース2には、拡声器ユニット40におけるケーシング40dを嵌合させるための第1リング41aが固定されている。第1リング41aの周面には複数の嵌合溝40fが形成されている。ケーシング40dは、大径部40aと中径部40bと小径部40cとを有し(図7参照)、その大径部40aには拡声器15が収納、固定されている。小径部40cの周面には、径方向外側への突出部40eが周方向において間欠的に形成されている。中径部40bの周面からは第1コネクタ44が延出し、第1コネクタ44の先端部からはプラグ44aが延びている。プラグ44aには電気的接点44bが含まれている。面体10の前方には、面体10から取り外した状態にある第1外側部材22が参照符号22aを付け、部分的に破断された状態で示されている。
このような図6において、拡声器ユニット40を面体10に取り付けるには、最初に第1外側部材22を面体10から外して第1外側部材22aの状態にしておく。拡声器ユニット40のケーシング40dは、その突出部40eを仮想線Eで示すように第1リング41aの軸方向に沿って移動させて嵌合溝40fに挿入し、次いで嵌合溝40fの形状に従って時計方向Dとは反対の反時計方向へ回転させると、嵌合溝40fの終点部分に当接することによって面体10における所定の位置で停止し、プラグ44aが面体10においての所定の取り付け状態となり、面体10に固定される。次に、第1外側部材22aを矢印Fが示す図の左方へ、すなわち面体10の後方に向けて移動させて、既に面体10に取り付けてある第1内側部材21と第2外側部材23とに組み付けることにより第1外側部材22の状態にすると、ケーシング40dにおけるプラグ44aが第1外側部材22における第2コネクタ66のソケット部分66aへ進入し、第1コネクタ44と第2コネクタ66とが機械的に連結した状態になるとともに、電気的にも連結した状態になる。したがって、ケーシング40dやそれに収納されている拡声器15等は、面体10に対して時計方向Dにも、反時計方向にも動くことがないから、マスク1を長期間使用していても、拡声器ユニット40の面体10に対する取り付け状態は緩むことがなく、安定している。このように、マスク1において、プラグ44は連結用部位として作用し、ソケット部分66aはその連結用部位の相手方となる第2の連結用部位として作用する。ケーシング40dが反時計方向へ回転する角度は、ケーシング40dの操作を容易にするために、10−180度の範囲にあることが好ましい。ケーシング40dを面体10から取り外すには、第1外側部材22を面体10から外した後に、ケーシング40dを時計方向Dへ回転させ、ケーシング40dを第1リング41aから抜き取るようにする。
図7は、図4におけるVII−VII線に沿う断面図であって、面体10に対する拡声器ユニット40の取り付け状態の詳細が示されている。ただし、拡声器ユニット40は断面図ではなくて側面図で示されている。その拡声器ユニット40は円筒状の大径部40aと円筒状の中径部40bと円筒状の小径部40cとが形成されている硬質な合成樹脂製のケーシング40dを有し、大径部40aには拡声器15が収納され、小径部40cにはマイクロフォンとアンプ(いずれも図示せず)とが収納されている。その小径部40cは、アイピース2の右側面部に形成されていて面体10の内外に通じる透孔2bに挿入されている。透孔2bもまた伝声路9dの一部分を形成しており、その透孔2bでは、アイピース2の外側から挿入されている第1リング41aとアイピース2の内側に位置する第2リング41bとが互いに周方向から離脱可能に嵌合している。小径部40cはその第1リング41aの内側にあって、小径部40cの外周面に形成された突出部40eが第1リング41aの周面に形成されている嵌合溝40f(図6参照)に退出可能に進入している。拡声器ユニット40は、小径部40cと第1リング41aとのこのような関係によって、伝声路9dに対して、換言するとアイピース2に対して取り付け、取り外し可能な状態にある。なお、第1リング41aとアイピース2との間にはパッキング40hが介在している。また、小径部40cの内端部は、右側ダクト4dの先端部分ということもできる右側ダクト4dの外端部分に形成されていて隔障4の内外に通じる開口4fに挿入された状態にあり、その内端部における外周面には、右側ダクト4dの内周面が弾性的な伸縮作用によって密着している。アイピース2の外側において、拡声器ユニット40は取り外し可能なカバー部材41によって覆われている。カバー部材41は、合成樹脂製のもので、径方向において弾性変形可能である周壁の内面に形成された小突起41kがケーシング40dの大径部40aに図示の如く当接することによって、ケーシング40dに対して着脱可能な状態にある。
図7において、幅方向を示す双頭矢印Bにおける二重矢印はマスク1および着用者における右方向であり、前後方向を示す双頭矢印Cにおける二重矢印はマスク1および着用者における前方であるから、拡声器ユニット40とこれらの双頭矢印B,Cとの対比によって明らかなように、拡声器ユニット40は、マスク1と着用者とにとっての斜め前方を向くように面体10に取り付けられていて、マスク1の着用者の発する音声をマスク1の側方と前方とに広げることができる。ただし、この発明において、拡声器ユニット40を面体10に対して取り付ける態様は、図示例の態様以外の態様に変更することが可能である。
図8は、図4と同様にフィルタカートリッジ7が取り外された状態にあるマスク1の部分破断斜視図であって、マスク1の左側面部を示している。面体10におけるアイピース2の左側面部はこの発明における機能部品の一つである伝声器46fを有する伝声器ユニット46が着脱可能な状態で取り付けられていて、その伝声器ユニット46がカバー部材47によって覆われている。カバー部材47には、多数の透孔48が形成されている。伝声器46fは、当該技術分野において慣用のものであって、その一例には伝声膜(図示せず)を二枚の多孔質板49の間に介在させたものがある。吸排気ユニット20は、面体10の左側面部においても、上方へスライドさせてあるスライド駒24を介して、第1内側部材21と第1外側部材22とが一体になっている。そのスライド駒24を下方へスライドさせると、面体10の左側面部においても、第1内側部材21と第1外側部材22とが分離して第1外側部材22を面体10から取り外すことができて、取り外したものは図6における第1外側部材22aとなる。
図示例の伝声器ユニット46には、拡声器ユニット40におけるケーシング40dと左右対称を成すように作られたケーシング46d(図5参照)が使用されている。ケーシング46dは、ケーシング40dと同様にして面体10に取り付けられるもので、面体10に固定されているリング部材(図示せず)に対して、リング部材の軸方向に沿って挿入して反時計方向へ回転させると、そのリング部材に嵌合して面体10に対する所定の取り付け状態となる。ケーシング46dを反時計方向へ回転させる角度は、10−180度の範囲にあることが好ましい。伝声器ユニット46は、電気的に作動させるものではないから、第1内側部材21に収納された二次電池に対して電気的に接続される必要はないのであるが、ケーシング46dにはケーシング40dのプラグ44aに相当する延出部54aが連結用部位として形成されている。延出部54aは、吸排気ユニット20に第2の連結用部位として形成されているソケット部分52に前後方向Cから進入して嵌合しているので、ケーシング46dは面体10に対して時計方向Dにも反時計方向にも回転することがなく、面体10に対する取り付け状態が安定している。ケーシング46dにおいて、伝声器46fは、ケーシング40dの大径部40aに相当する大径部46a(図5参照)に収納され、固定されている。また、左側ダクト4e(図2参照)は、図7における右側ダクト4dと同様に面体10の外側と隔障4の内側とに通じていて、マスク1の左側部における伝声路9e(図2参照)の一部を形成しており、その左側ダクト4eの外端部分に伝声器ユニット46が取り付けられている。伝声器46fもまた、音声伝達器であって、隔障4の内側において着用者の発する音声をマスク1の側方と前方とに広げることができる。マスク1において、伝声器ユニット46は、図示例の如く拡声器ユニット40と併設された状態にあると、電気的に作動する拡声器ユニット40が作動しないという異常な状態が生じたときでも、着用者の意思を周囲の者へ伝えることができる。
図示例のマスク1は、電動ファンを収納する吸排気ユニット20が取り付けられた、いわゆる電動ファン付きの呼吸用保護具であるが、この発明は、その他の形式の呼吸用保護具、例えば肺力式の防じんマスクや防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器等で実施することができる。また、拡声器ユニット40や電動ファンの電源には、吸排気ユニット20に収納されている二次電池に代えて、一次電池を使用したり、携帯用の二次電池や一次電池を使用したりすることができる。
この発明はまた、図示例の態様以外の様々な態様で実施することが可能である.例えば、伝声器ユニット46に代えて二器目の拡声器ユニットを図示例の拡声器ユニット40とともに使用することができる。すなわち、右側ダクト4dと左側ダクト4eとのそれぞれに拡声器ユニット40が使用されている態様のマスク1でこの発明を実施することが可能である。また、右側ダクト4dと左側ダクト4eとのそれぞれに伝声器ユニット46が使用されている態様のマスク1でこの発明を実施することも可能である。さらにはまた、面体10の右側方および左側方のうちの一方に偏倚した部位にのみ拡声器ユニット40または伝声器ユニット46を使用する態様でこの発明を実施することもできる。ただし、いずれの場合においても、拡声器ユニット40におけるケーシング40dと伝声器ユニット46におけるケーシング46dとは、図示例の如くプラグ44aやプラグ44aに相当する延出部54aを連結用部位として吸排気ユニット20における第2の連結用部位であるソケット部分66aや52に挿入して、面体10に対する取り付けを緩むことのない状態のものにする。ケーシングに収納して面体10の右側方および/または左側方に取り付けることのできる機能部品には、拡声器15や伝声器46fの他に、一次電池、二次電池、マスク内外いずれかのガス濃度を測定するためのセンサ、マスク内外いずれかの温度を測定するためのセンサ、マスク内の圧力を測定するためのセンサ、フィルタ、吸収缶、吸気用または排気用の電動ファンがある。ただし、拡声器15、伝声器46f、フィルタ、吸収缶、電動ファンのうちのいずれかの機能部品を面体10における幅方向Bの中央部に対して着脱する部材とともに使用する場合には、その中央部に対して使用した機能部品以外の機能部品をケーシングに収納して面体10の側方に偏倚した部位に取り付ける。
1 マスク
10 面体
15 機能部品(拡声器)
20 部材(吸排気ユニット)
40 機能部品(拡声器ユニット)
40d ケーシング
44 連結部位(プラグ)
46d ケーシング
46f 機能部品(伝声器)
66a 第2の連結部位(ソケット部分)
A 上下方向
B 幅方向
C 前後方向
P−P 中心線

Claims (6)

  1. 互いに直交する上下方向と幅方向と前後方向とを有する面体を備えた呼吸用保護具であって、
    前記面体は、前記幅方向の寸法を二等分する中心線から両側方それぞれへ偏倚した部位のうちの少なくとも一方に、拡声器、伝声器、一次電池、二次電池、ガス濃度センサ、温度センサ、圧力センサ、フィルタ、吸収缶、および電動ファンのいずれかの機能部品を収納したケーシングが取り付け、取り外しされるものであり、
    前記ケーシングは、前記ケーシングとは別体であって前記面体の外側から前記面体に取り付け、取り外しされる部材に対して機械的に連結される連結用部位を有していることを特徴とする前記呼吸用保護具。
  2. 前記ケーシングが円筒状のものであって、前記連結用部位は前記ケーシングから前記ケーシングの径方向外側に向かって延びる部位である請求項1記載の呼吸用保護具。
  3. 前記面体に取り付け、取り外しされる前記部材は、前記フィルタ、前記吸収缶、および前記電動ファンのいずれかの前記機能部品を収納していて、前記連結用部位の相手方となる第2の連結用部位を有し、前記ケーシングは前記部材が収納している前記機能部品以外の前記機能部品を収納している請求項1または2記載の呼吸用保護具。
  4. 前記面体に取り付け、取り外しされる前記部材は、前記面体の前記幅方向の中央部に、前記前方から取り付け、取り外しされるものである請求項1−3のいずれかに記載の呼吸用保護具。
  5. 前記連結用部位と前記第2の連結用部位とは、互いに機械的に連結されると電気的にも連結された状態になる請求項3または4記載の呼吸用保護具。
  6. 前記ケーシングが前記面体の外側から前記面体における所定位置に挿入されて時計方向および反時計方向のいずれかに10−180度回転すると、前記連結用部位が前記面体における所定の取り付け状態となって、前記前後方向の前方から後方に向かって前記面体に取り付けられる前記部材においての前記第2の連結用部位に連結される請求項3−5のいずれかに記載の呼吸用保護具。
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