JP2013225828A - 増幅装置、無線通信装置、及び負荷変動器 - Google Patents

増幅装置、無線通信装置、及び負荷変動器 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な負荷変動部を提供する。
【解決手段】増幅装置951は、信号を増幅する増幅器952と、前記増幅器952の出力側に接続された負荷変動部と、を備えている。負荷変動部5001は、伝送線路5011と、伝送線路5011の中途に接続されたシャント回路5030と、を備えている。シャント回路5030は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子Lを含む。制御素子Lは、素子状態の変化によって、負荷変動部5001のインピーダンスを変化させる。シャント回路5030のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、負荷変動部5001のインピーダンスは、負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であるとともに、抵抗成分が支配的な値である。
【選択図】図53

Description

本発明は、増幅装置、無線通信装置、及び負荷変動器に関するものである。
電力増幅器の高効率化において、ピーク電力の低減は重要技術の1つである。広帯域伝送を行う場合、変調方式としてW-CDMA,OFDMが導入されており、これらの信号は平均電力対ピーク電力比が大きいという特徴を持っている。
このためこれらの信号を電力増幅器で増幅する場合、まれにしか発生しないピーク電力を出力する瞬間に対しても線形に増幅しなければならず、ピーク電力を出力可能な大出力の増幅器が必要となる。
従って、平均電力とピーク電力の比が大きい場合には、極端に大きな増幅器が必要となり、非常に無駄の多い、電力効率の低い装置になる。
そこで、出力電力に応じて必要な分だけ増幅器を動作させる方式が有効である。そのための1つの方式として、ET方式又はEER方式などの電源変調方式(SupplyModulation:SM方式)がある。
もう1つの方式として、非特許文献1に示すように、負荷インピーダンスを変更する方式(LoadModulation:LM方式)がある。
前者のSM方式は、増幅器の電源電圧を変化させて、出力電力を変化させるものである。一方、後者のLM方式は、増幅器の電源に一定電圧を印加するが、増幅器の出力側に接続された負荷インピーダンスを変化させる事で、出力電力を変化させる方式である。
LM方式では増幅器の出力側の負荷を変動させる負荷変動器が必要となる。また、負荷変動器は、高周波信号を扱う様々な状況で必要とされる。
本発明者らは、従来とは異なる発想で負荷を変動させることができる負荷変動器を新規に見出した。
そこで、本発明は、新規な増幅装置、無線通信装置、及び負荷変動器を提供することを目的とする。
(1)ある観点からみた本発明は、信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力側に接続された負荷変動部と、を備える増幅装置であって、前記負荷変動部は、伝送線路と、前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、を備え、前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを変化させ、前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であるとともに、抵抗成分が支配的な値であることを特徴とする増幅装置である。
上記本発明によれば、負荷変動部のインピーダンスの可変範囲は、増幅器との関係で適切なものとなる。
(2)他の観点からみた本発明は、信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力側に接続された負荷変動部と、を備える増幅装置であって、前記負荷変動部は、伝送線路と、前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、を備え、前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを変化させ、前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であり、前記伝送線路は、λ/4伝送線路(λは、信号波長)であることを特徴とする増幅装置である。
上記本発明によれば、負荷変動部のインピーダンスの可変範囲は、増幅器との関係で適切なものとなる。
(3) 前記制御素子は、前記シャント回路が存在しないのと同視できる程度に、前記シャント回路のインピーダンスを高く変化させるのが好ましい。負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値になることができる。
(4)前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とインピーダンス整合する値又はその値の近傍の値に変化させるのが好ましい。この場合、負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とインピーダンス整合する値又はその値の近傍の値になることができる。
(5)前記制御素子は、前記負荷変動部のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させるのが好ましい。この場合、荷変動部のインピーダンスは、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化することができる。
(6)前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とインピーダンス整合する値よりも小さい値であるのが好ましい。荷変動部のインピーダンスの可変範囲は、増幅器との関係で適切なものとなる。
(7)前記シャント回路は、前記伝送線路の線路方向における中央位置に接続されているのが好ましい。この場合、回路設計が容易となる。
(8)他の観点からみた本発明は、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の増幅装置を備え、前記増幅装置により、通信信号を増幅することを特徴とする無線通信装置である。
(9)他の観点からみた本発明は、負荷が変動する負荷変動器であって、伝送線路と、
前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、を備え、前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動器のインピーダンスを変化させ、前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動器のインピーダンスは、前記負荷変動器から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であるとともに、抵抗成分が支配的な値であることを特徴とする負荷変動器である。
(10)他の観点からみた本発明は、負荷が変動する負荷変動器であって、伝送線路と、前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、を備え、前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動器のインピーダンスを変化させ、前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動器のインピーダンスは、前記負荷変動器から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であり、前記伝送線路は、λ/4伝送線路(λは、信号波長)であることを特徴とする負荷変動器である。
第1実施形態に係る増幅装置の回路図である。 効率特性図である。 第2実施形態に係る増幅装置の回路図である。 第3実施形態に係る増幅装置の回路図である。 入力信号及び出力信号のIQ平面図である。 入力電力に対する負荷の特性図である。 入力電力に対する負荷の特性図である。 第4実施形態に係る増幅装置の回路図(第1例)である。 (a)は入力電力、負荷、出力電力、ゲインの関係を示すテーブルであり、(b)は、入出力特性図である。 第4実施形態に係る増幅装置の回路図(第2例)である。 第5実施形態に係る増幅装置の回路図(第1例)である。 負荷制御部に設定された入力電力と負荷の関係テーブルである。 第5実施形態に係る増幅装置の回路図(第2例)である。 信号合成を用いた負荷変動部の回路図である。 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第1例を示す回路図である。 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第2例を示す回路図である。 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第3例を示す回路図である。 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第4例を示す回路図である。 LINC方式の増幅装置の回路図である。 可変位相器を用いた負荷変動部の回路図である。 負荷変動部におけるインピーダンス変動範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、電圧差の変化と反射電力との関係を示すグラフであり、(b)は、電圧差の変化と通過電力との関係を示すグラフである。 可変位相器を用いた負荷変動部の回路図である。 可変位相器を用いた負荷変動部の回路図である。 可変位相器を用いた負荷変動部を有する増幅装置の回路図である。 負荷変動部の負荷変動範囲と、増幅器からみた負荷変動範囲の関係を示す説明図である。 可変インピーダンスの回路構成の例を示す図である。 ロス率の測定結果を示す図である。 分布定数線路のインピーダンスとロス率との関係を示す測定結果である。 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の回路図である。 可変位相器を複数用いた負荷変動部の回路図である。 可変位相器を複数用いた負荷変動部を有する増幅装置の回路図である。 (a)は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の回路図であり、(b)は、スイッチング素子がOFFのときの回路状態を示す図であり、(c)はスイッチング素子がONのときの回路状態を示す図である。 図33(a)の負荷変動部の回路構成図である。 (a)は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の回路図であり、(b)はスイッチング素子のON/OFFとインピーダンスの関係を示す表である。 (a)は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の回路図であり、(b)は、スイッチング素子がONのときの回路状態を示す図であり、(c)はスイッチング素子がOFFのときの回路状態を示す図である。 図36(a)の負荷変動部の回路構成図である。 複数の部分負荷変動部を直列接続した負荷変動部の回路図である。 (a)は、隣接する部分負荷変動部の干渉の説明図であり、(b)は、干渉回避のため隣接する部分負荷変動部を離した状態の説明図である。 回路基板における部分負荷変動部の配置を示す図である。 部分負荷変動部の並列接続の例を示す図である。 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部を有する増幅装置の回路図である。 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の回路である。 インピーダンスを離散的に変化させる方法の説明図である。 伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第1例を示す回路図である。 (a)は図45のシャント回路のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートであり、(b)は、図45の負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第2例を示す回路図である。 図47に示す負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第3例を示す回路図であり、(b)は、第3例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第3例(特性インピーダンスを固定)を示す回路図であり、(b)は、第3例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第3例(線路長を固定)を示す回路図であり、(b)は、第3例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第4例を示す回路図であり、(b)は、第4例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第5例を示す回路図であり、(b)は、第5例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 (a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部の第5例(特性インピーダンス=Z)を示す回路図であり、(b)は、第5例に係る負荷変動部のインピーダンスの可変範囲を示すスミスチャートである。 第3例の負荷変動部のインピーダンスを離散的に変化させる回路例である。 図55に示す回路の等価回路図である。 図55に示す回路の等価回路図である。 図55に示す負荷変動部がとり得るインピーダンスを示す図である。 第3例の負荷変動部のインピーダンスを離散的に変化させる回路例である。 第3例の負荷変動部のインピーダンスを離散的に変化させる回路例である。 第1シャント回路の他の例を示す回路図である。 図61の3λ/8線路の機能の説明図である。 第1シャント回路の他の例を示す回路図である。 第1シャント回路の他の例を示す回路図である。 第1シャント回路の他の例を示す回路図である。 第1シャント回路の他の例を示す回路図である。
以下、本発明及びそれに関連した技術の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る増幅装置101を示している。この増幅装置101は、移動体通信システムにおけるモバイル端末又は基地局装置などの無線通信装置に搭載され、通信信号の増幅を行うために用いられる。無線通信装置は、OFDM(OFDMAを含む)、W−CDMAなどの広帯域信号を扱う方式に準拠したものである。OFMD及びW−CDMAなどの方式における信号は、ピーク電力がまれにしか発生しない。つまり、これらの方式における信号は、瞬時電力変動を伴う信号である。なお、OFMD及びW−CDMAなどの方式において、平均電力とピーク電力との比は、3dB以上となる。
図1に示す増幅装置101は、一般的なLM方式に準拠した回路構成を有している。つまり、この増幅装置101の増幅器102には、位相情報を有するが振幅情報を有しない定包絡線信号(振幅が一定の信号)が入力(増幅前信号)として与えられる。
増幅器102の出力側に接続された負荷変動部103の負荷(インピーダンス)が変動することで、増幅器102の出力信号は、振幅変動する信号となる。負荷変動部103の負荷インピーダンスが入力信号の振幅変動に応じて変化することで、入力信号の位相及び振幅と同様の位相及び振幅を有する出力信号Poutが得られる。
図1に示す増幅装置1は、入力信号であるI/Q信号に対する信号処理を行う処理部104を備えている。処理部104は、I/Q信号が示す振幅を演算する振幅演算部104aと、I/Q信号が示す位相を演算する位相演算部104bと、を備えている。つまり、処理部104は、I/Q信号に対するポーラ変調を行うポーラ(Polar)変調器となっている。
さらに、処理部104は、振幅演算部104aによって演算された振幅rに基づいて、負荷変動部103の負荷インピーダンスを変動させるための制御信号を生成する負荷制御部104cを備えている。負荷制御部104cは、入力信号(I/Q信号)の振幅が小さいほど負荷変動部103の負荷インピーダンスを大きくし、入力信号の振幅が大きいほど、負荷変動部103の負荷インピーダンスを小さくするための制御信号を生成する。
負荷制御部104cから出力された制御信号は、遅延調整部105によって遅延調整がなされた上で、負荷変動部103に与えられる。遅延調整部105を有していることで、増幅器102の出力信号が、制御信号に対して遅延又は先行していても、その遅延又は先行を解消して両信号のタイミングを一致させることができる。なお、遅延調整部105に代えて、又は、遅延調整部105に加えて、増幅器102の入出力経路(RF経路)上に遅延調整部を設けても良い。
遅延調整部105は、遅延量を調整自在であり、例えば、増幅器102の温度特性によって、増幅器102へ入力された信号が増幅器102内を通過する時間が変化して、制御信号との時間差が生じても、その時間差を補正することができる。
位相演算部104bが出力した位相信号(入力信号における位相情報だけを持つ信号)は、位相変調器106によって位相変調され、位相情報を有する定包絡線信号(増幅前信号)が生成される(図1のA1参照)。
つまり、位相演算部104b及び位相変調器106は、位相情報及び振幅情報が含まれている入力信号(I/Q信号)を、位相情報が含まれた定包絡線信号に変換する変換部として機能する。位相情報を有する定包絡線信号は、増幅器102への入力信号となる。
増幅器102では、位相情報を有する定包絡線信号が増幅される。仮に、増幅器102の出力側の負荷インピーダンスが一定である場合、増幅器102からは、図1のB1に示すように、単に増幅された定包絡線信号が出力されるだけである。
しかし、負荷変動部103の負荷インピーダンスは、負荷制御部104cから出力された制御信号に応じて変化するため、増幅器102の出力信号は、図1のC1に示すように、振幅変動する信号となる。制御信号は入力信号の振幅情報に基づいて生成されているため、増幅器102の出力信号における振幅変動は、入力信号における振幅変動と同様のものとなる。つまり、増幅装置101の出力信号Poutは、入力信号の位相及び振幅と同様の位相及び振幅を有する信号となる。出力信号Poutは、無線通信装置が有するアンテナから出力される。
ここで、増幅器102の出力電圧をV、増幅器102の出力側の負荷インピーダンスをZとすると、増幅器102の出力電力Poutは、以下の式で表される。
Pout=V/Z
負荷インピーダンスを変動させることで、増幅器102の出力が変動することは、上記式からも明らかである。
さて、第1実施形態における増幅器102は、D級、E級、F級などのスイッチング増幅器(SwitchingAmplifier)によって構成されている。スイッチング増幅器は、スイッチング動作する増幅器であり、デジタル増幅器(DigitalAmplifier)とも呼ばれる。
スイッチング増幅器102は、基本的に、常に飽和状態で動作するため、理論的な電力効率は、出力電力の大きさに関わらず、常に100%である。
スイッチング増幅器は、出力電力の大きさが一定となる増幅器であるため、増幅器の出力電力(振幅)を変動させる必要のあるLM方式に応用した例は、従来なかった。しかし、本発明者らは、あえて、LM方式増幅装置101の増幅器102として、スイッチング増幅器を採用した。
本発明者らは、スイッチング増幅器は、出力電力の大きさが一定となる増幅器であるが、入力信号の振幅変動に応じて、出力側の負荷インピーダンスを変化させれば、スイッチング増幅器の出力電力(振幅)も、入力信号の振幅変動と同様に変動することを見出した。
一方、非特許文献1では、LM方式のための増幅器としてB級増幅器を使用している。B級増幅器は、出力電力が低下すると電力効率が劣化するため、非特許文献1において、低出力時にLM方式の効率が低下したのは、B級増幅器を使用したためであると考えられる。
つまり、図2に示すように、B級増幅器を用いたLM方式では、出力電力Poutが小さくなると効率が劣化する(非特許文献1参照)。一方、スイッチング増幅器102を用いたLM方式では、出力電力が小さくなっても、効率劣化を抑えることができる。
なお、理論的には、スイッチング増幅器102を用いたLM方式では、効率が100%となるが、他の要因による効率低下も生じるため、他の要因を考慮した効率の理論値は100%よりもやや低い値(例えば、80%程度)となる。また、実際には、低出力の場合には、他の要因による効率低下が生じ易い。
例えば非特許文献1では、入力信号として無変調信号(正弦波)を用いているが入力信号が広帯域信号(瞬時電力変動を伴う信号)である場合、電源変調を行うSM方式では、電源効率(例えば80%)を考慮すると、増幅装置全体の効率は、その分、更に低下する。
一方、LM方式では、一定電圧の条件下のもとで増幅器を動作させており高効率の電源を使用する事が出来る。
したがって、非特許文献1では、LM方式はSM方式よりも性能が悪いものとされているが、入力信号が広帯域信号(瞬時電力変動を伴う信号)である場合には、スイッチング増幅器102を用いたLM方式増幅装置の効率は、SM方式よりも効率がよくなることが期待される。
[2.第2実施形態]
図3は、第2実施形態に係る増幅装置201を示している。なお、以下において、第2実施形態に関し説明を省略した点については、第1実施形態と同様である。また、以下の各実施形態を示す図面において、各実施形態間で同一又は類似する構成については、符号の下一桁目の番号を共通にしている。
第2実施形態においては、第1実施形態における処理部104の位相演算部104bが省略され、代わりに、I/r演算部204b−1と、Q/r演算部204b−2が設けられている。
I/r演算部204b−1及びQ/r演算部204b−2は、I信号及びQ信号それぞれを、振幅演算部204aで求めた振幅rの大きさで割る。したがって、I/r信号及びQ/r信号は、振幅情報が消去され位相情報だけを示すものとなる。
また、第2実施形態では、第1実施形態における位相変調器106に代えて、直交変調器206が設けられている。
I/r信号及びQ/r信号を、直交変調器206にて直交変調することで、入力信号(I/Q信号)の位相情報だけを有する定包絡線信号(増幅前信号)が生成される(図3のA2参照)。
直交変調器206から出力される定包絡線信号(図3のA2参照)は、第1実施形態の位相変調器106から出力される定包絡線信号(図1のA1参照)と同等のものである。
したがって、第2実施形態の増幅装置201も、第1実施形態の増幅装置101と同様に動作することができる。
しかも、第2実施形態の処理部204では、第1実施形態の処理部104のようにtan−1の演算を行う必要がなく、演算負荷が少ない。
[3.第3実施形態]
図4は、第3実施形態に係る増幅装置301を示している。なお、以下において、第3実施形態に関し説明を省略した点については、第1及び第2実施形態と同様である。
第3実施形態においては、第2実施形態におけるI/r演算部204b−1及びQ/r演算部204b−2が省略されている。
したがって、直交変調器306には、I/Q信号それぞれが、そのまま入力される。直交変調器306は、I/Q信号を直交変調した変調信号、すなわち、位相情報及び振幅情報を有する変調信号、が出力される。
LM方式では、入力信号が持つ振幅情報は、増幅器の後段にある負荷変動部で再生される。したがって、LM方式の増幅器の入力には、振幅情報が無く位相情報だけを有する定包絡線信号(図1のA1,図3のA2参照)が与えられるのが、これまでの常識である。
これに対し、第3実施形態では、一般的なLM方式における常識とは異なり、変調信号(位相情報とともに振幅情報を有する信号)が増幅器302に入力される(図4のA3参照)。
ただし、増幅器302は、飽和状態で動作するスイッチング増幅器であるため、負荷変動部303による負荷変動がない状態においては、直交変調信号が入力されても、スイッチング増幅器302からは、基本的に、増幅された一定振幅の定包絡線信号が出力される。つまり、スイッチング増幅器302の出力信号は、負荷変動部303による負荷変動がない状態においては、位相情報は有するが振幅情報のない信号(図4のB3参照)となる。
しかし、第1及び第2実施形態と同様に、入力信号に含まれる振幅情報は、負荷変動部
303によって再生され、増幅器302の出力信号Poutは、入力信号の位相及び振幅と同様の位相及び振幅を有する信号となる。
このように、振幅が変動する変調信号がスイッチング増幅器302を通過すると、基本的に振幅情報が失われる。しかし、振幅が変動する変調信号をスイッチング増幅器302に入力することで、負荷変動部303との協働によって、入力信号が元々有していた振幅情報を、スイッチング増幅器302において、より正確に再生するのが容易となる。
負荷変動部303だけでは、入力信号が元々有していた振幅情報を再生するのが困難な場合としては、負荷変動部303が無限大又は十分に大きな負荷インピーダンスを生成できない場合が挙げられる。
スイッチング増幅器302の出力信号において、振幅をゼロとするには、例えば、負荷変動部303の負荷インピーダンスの値を無限大にすればよい。
しかし、負荷変動部303が無限大又は十分に大きな負荷インピーダンスを生成できない場合には、振幅がゼロの出力信号を得られず、入力信号が元々有していた振幅情報を、正確に再生できない。
また、負荷変動部303の負荷インピーダンスを、無限大又は十分に大きな値にできた場合であっても、増幅器302のドレイン−ソース間に存在する内部インピーダンス(出力インピーダンス)のために、振幅がゼロの出力信号を得ることができないことがある。増幅器302の内部インピーダンスは、負荷変動部303に対して並列に存在することになるため、負荷変動部303の負荷インピーダンスを大きくしても、負荷変動部303と内部インピーダンスとの合成インピーダンスが十分に大きくならないことがある。その結果、振幅がゼロの出力信号を得られない。
つまり、図5(a)に示すように、入力信号がIQ平面においてゼロ点又はゼロ点付近を通過する信号であっても、負荷変動部303と内部インピーダンスとの合成インピーダンスが十分に大きくないと、増幅器302の出力信号は、図5(b)に示すようにゼロ点付近の範囲C内の値をとることができない。
そのため、増幅器302の出力信号は、図5(b)に示すように、入力信号から歪んだ信号となる。
ところが、基本的に飽和状態で動作するスイッチング増幅器302であっても、入力信号がゼロ又はゼロ付近であれば、スイッチング増幅器302の出力もゼロとなることに本発明者らは気付いた。スイッチング増幅器302の入力がゼロとなるとき、(理論的に)電力効率が100%で動作する増幅器であれば、出力は定包絡線信号ではなく、ゼロとなる。
そこで、第3実施形態の増幅装置301では、負荷変動部303だけで出力信号に振幅変動を引き起こすのではなく、ゼロ付近については、入力信号の振幅がゼロ又はゼロ付近となっていることも利用している。その結果、図5(c)に示すように、増幅器302の出力信号は、図5(a)に示す入力信号と同様に、ゼロ点付近の範囲C内の値をとることができる。
このように、負荷変動部303単独では、振幅情報を正確に再生できない場合であっても、振幅が変動する信号をスイッチング増幅器302に入力することで、振幅情報を正確に再生することができる。
つまり、負荷変動部303による負荷インピーダンス変更を考えない場合、スイッチング増幅器302は、入力信号がゼロ又はゼロ付近である場合には、振幅ゼロの信号を出力し、入力信号がゼロ付近よりも大きくなれば、スイッチング増幅器302は、飽和状態で動作し、定包絡線信号を出力することになる。
なお、入力信号がゼロ又はゼロ付近である場合には、スイッチング増幅器302は、飽和状態で動作せず、効率が低下することになるが、入力信号がゼロ又はゼロ付近の値をとる確率は低いため、全体としては、効率低下はさほど問題とならない。
また、第3実施形態に係る増幅装置301では、負荷変動部303単独でゼロ信号を生成する必要がないことから、あまり大きな負荷インピーダンスを生成する必要がない。このため、負荷変動部303単独で正確に振幅情報を再生しようとした場合に必要とされる負荷インピーダンスよりも小さい値が、負荷変動部303において変動可能なインピーダンス値の上限であってもよい。
つまり、負荷変動部303単独で、十分に正確に振幅情報を再生しようとした場合に必要とされる負荷変動部303のインピーダンスが1000Ωであっても、負荷変動部303のインピーダンス変動範囲の上限は、例えば、200Ωとして設定することができる。
このため、負荷変動部303のインピーダンス変動可能範囲を狭くでき、負荷変動部303を安価に構成するのが容易となる。なお、インピーダンス変動可能範囲の上限値は、例えば、増幅器302の前記内部インピーダンスと同程度又はそれ以上とすることができる。また、インピーダンス変動可能範囲の上限値は、増幅器302の内部インピーダンスの数倍程度が好ましい。
さて、理想的なスイッチング増幅器では、ON/OFFのスイッチング動作に伴って、電流と電圧は交互に出現するため、電流波形と電圧波形に重なりがなく、前述のように電力効率が100%となる。
しかし、実際のスイッチング増幅器では、ON/OFFのスイッチング動作に伴って発生する電流波形と電圧波形に重なりが多少生じるため、スイッチング増幅器内部で電力消費が生じ、効率が低下する。電流波形と電圧波形の重なりを原因とする効率低下は、出力電力が低下するほど大きくなる。
また、スイッチング増幅器に過大な入力信号を入力すると、電流波形と電圧波形の重なりが大きくなって、やはり、効率が低下する。また、スイッチング増幅器に過小な入力信号を入力すると、スイッチング動作ができず、効率が急激に低下する。
以上のことから、広帯域な変調信号のように振幅変動(電力変動)を伴う信号を、スイッチング増幅器302にて、効率の低下を防ぎつつ増幅するには、過大な入力信号や過大な入力信号を避けて、入力信号の振幅に応じて決定される負荷インピーダンスの値Z及びスイッチング増幅器302へ入力される信号の振幅を適切な値とすることが望まれる。
したがって、負荷制御部304cでは、入力信号の振幅に応じて決定される負荷インピーダンスの値Zが適切になるように、制御信号が生成されるのが望ましい。また、スイッチング増幅器302へ入力される信号の振幅のレベルも適切に調整されるのが好ましい。
第3実施形態の増幅装置301では、入力信号の振幅と負荷の組み合わせによって電力効率が最大となるポイントを自由に選択できる。
また、第3実施形態の負荷制御部304cでは、図6に示すように、入力信号の振幅(入力電力)rに基づいて決定される負荷変動部303の負荷インピーダンスの値Zを、上限設定値Zmaxと下限設定値Zminの範囲で変動させるように制御信号を生成する。
つまり負荷制御部304cは、入力信号の振幅ゼロから入力信号の振幅の最大値(ピーク電力値)rmaxまでの全範囲で、Zの値を変動させるのではなく、入力信号の電力が下限値rよりも小さい範囲では、Zの値を変動させず、Zは上限設定値Zmaxで一定とする。また、入力信号の電力が上限値rよりも大きい範囲では、Zの値を変動させず、Zは下限設定値Zminで一定とする。
このように負荷Zの変動範囲を制限することで、負荷変動部303における負荷変動機能の性能を緩和できる。しかも、負荷インピーダンスZの変動範囲の上限値を上限設定値Zmaxに抑えたとしても、第3実施形態では、スイッチング増幅器302に振幅変動信号が入力されることによって、負荷変動部303において過大な負荷Zを生成する必要がなくなっているため、問題は生じない。
また、前述のようにスイッチング増幅器302への入力が過大となると、却って効率が低下するため、スイッチング増幅器302へは過大な入力が与えられるべきではなく、負荷インピーダンスZの変動範囲の下限値を下限設定値Zminに抑えても問題は少ない。下限設定値Zminとしては、増幅器302の出力インピーダンスと整合するインピーダンスとするのが好ましい。
なお、図6では、入力信号がr〜rの間では、入力信号の変動に対してZが線形的に変動しているが、線形的に変動する必要はない。
例えば、図7に示すように、入力信号の変動に対して、ステップ状に変化してもよい。Zの値をステップ状に変動させることで、入力信号の振幅情報から、Zの値を制御するための制御信号の生成が容易となる。例えば、入力信号からZの値を示す制御信号を生成するためにルックアップテーブルを使用する場合、Zの値をステップ状に変動する場合には、テーブルサイズを小さくできる。
[4.第4実施形態]
図8〜図10は、第4実施形態に係る増幅装置401を示している。なお、以下において、第4実施形態に関し説明を省略した点については、第3実施形態と同様である。
図8に示す第4実施形態では、負荷制御部404cから出力された制御信号に対して歪補償のための処理を行う第1歪補償部(デジタルプリディストーション部)407を備えている。
ここで、電力効率を最大にとろうとすると、入力信号と増幅器402の出力信号とは線形にはならず、出力信号に歪が生じる。しかし、線形性の確保は、増幅装置にとって重要である。
図9(a)は、電力効率が最大化するように、入力信号の振幅(入力電力)と負荷の値(制御信号の値)の組み合わせを最適化した例を示している。この場合、図9(b)に示すように、増幅器402の入出力特性に直線性が無くなる。つまり、負荷制御部404cにおいて、電力効率を高くする観点から、入力電力(振幅)に対する負荷(制御信号値)の関係が、図9(a)のように設定されていると、負荷制御部404cから出力される制御信号を受けて動作する負荷変動部403は、増幅器(スイッチング増幅器)402の出力に非線形歪を生じさせるように動作する。
そこで、線形性を確保するため、第1歪補償部407によって、制御信号(振幅情報)の補正を行う。例えば、制御信号の補正を行わない場合、図9(a)に示す関係に従うと、入力電力Pin=1.1[W]の場合には、負荷制御部404cは、負荷変動部403の負荷の値を9[Ω]にする制御信号を生成する。しかし、入力電力Pin=1.1[W]のときには、入力電力Pin=1[W]の場合と同様の増幅器ゲインG=10を得ることができず、非線形となる。
したがって、入力電力Pin=1.1[W]のときにも、入力電力Pin=1[W]の場合と同様の増幅器ゲインG=10を得て、線形性を確保するには、第1歪補償部407は、負荷変動部403の負荷の値が8[Ω]となるように、制御信号を補正すればよい。これにより、出力電力Pout=11[W]が得られ、線形性が確保される。
ただし、第1歪補償部407によって、制御信号(振幅情報)の補正だけを行うと、電力効率を最大するために最適化されていた「入力信号の振幅と負荷との組み合わせ」(図9(a))が崩れることになる。つまり、第1歪補償部407によって、制御信号(振幅情報)の補正だけを行うと、Pin=1.1[W]のときに、負荷変動部403の負荷の値が8[Ω]になり、図9(a)に示す電力効率最大の組み合わせから外れる。
そこで、効率を維持したい場合には、図8に示すように、第1歪補償部407のほか、第2歪補償部(デジタルプリディストーション部)408を設ければよい。第2歪補償部408は、第1歪補償部407と連動して、入力信号であるI/Q信号に対して位相及び/又は振幅の補正を行って、電力効率を最大するための「入力信号の振幅と負荷との組み合わせ」を維持しつつ、歪補償を行う。
つまり、第2歪補償部408は、第1歪補償部407にて、負荷(振幅情報)を補正させたことに応じて、入力信号であるI/Q信号に対して、電力(振幅)の補正を行うことで、電力効率の低下を抑えつつ、線形性を維持する。例えば、先の例で、負荷変動部403の負荷の値が8[Ω]となるように、第1歪補償部407が制御信号を補正した場合、第2歪補償部408は、負荷の値が8[Ω]であるときに最大効率が得られる入力電力の値Pin=1.2となるように入力信号(I/Q信号)を補正すればよい。
また、負荷変動部403は、負荷の値によって、位相特性が変化する場合があるため、第1歪補償部407にて負荷を補正したことに対応して変化する位相を、第2歪補償部408にて補正することもできる。
ただし、第1歪補償部407及び第2歪補償部408という二つの歪補償部を設けると、両者を連動させて動作させる必要があり、歪補償のための処理が煩雑になる。
そこで、図10に示すように、歪補償部(デジタルプリディストーション部)409を処理部404よりも前段側に設けることで、第1歪補償部407及び第2歪補償部408という二つの歪補償部を設けなくても、電力効率を最大するための「入力信号の振幅と負荷との組み合わせ」を維持しつつ、歪補償を行うことができる。
図10によれば、歪補償部409による歪補償後の入力信号は、振幅演算部404aを介して、負荷制御部404cに与えられるとともに、スイッチング増幅器402側へ与えられる。
したがって、歪補償部409にて、図9(a)に示すような電力効率の観点からの最適化された関係を維持しつつ、線形性が得られるように、入力信号の振幅(及び/又は位相)を補正すれば、電力効率を維持しつつ線形性が得られる。
[5.第5実施形態]
図11〜図13は、第5実施形態に係る増幅装置501を示している。なお、以下において、第5実施形態に関し説明を省略した点については、第4実施形態と同様である。
第4実施形態における負荷制御部404cは、図9(a)に示すように、増幅器の入出力特性が非線形となるが電力効率が最大化される制御信号が生成されるように設定されていた。
これに対し、第5実施形態では、第4実施形態における歪補償部407,408,409が省略されている。さらに、第5実施形態の負荷制御部504cは、増幅器の入出力特性が線形となる制御信号が生成されるように、入力電力と負荷(制御信号値)の関係が設定されていている。第5実施形態の負荷制御部504cは、第4実施形態の第1歪補償部407の機能をも具備していることになるため、効率がやや低下するものの、第1歪補償部407(DPD)を省略することが可能である。
増幅器の線形性を確保するためには、DPDは必要であるが、DPDを実行するために信号を補正するための独立した機能を、増幅装置に組み込むとコスト増加を招く。
これに対し、第5実施形態のように、負荷制御部504cにDPDの機能をも具備させることで、コスト増加を抑えることができる。
図12は、負荷制御部504cに設定された、入力電力(振幅)と負荷(制御信号値)との関係を示している。この負荷制御部504cには、負荷変動部503における負荷の大きさに関し、入力信号の同一振幅(例えば、入力電力Pin=1)に対して、任意に選択可能な複数の候補値b1−1,b1−2,b1−3,・・・が設定されている。つまり、入力電力Pin=1である場合には、負荷制御部504cは、複数の候補値b1−1,b1−2,b1−3,・・・のうちのいずれか一つを、負荷変動部503を制御する制御信号の値とすることができる。また、入力電力Pin=1.1である場合にも同様に、負荷制御部504cは、複数の候補値b2−1,b2−2,b2−3,・・・のうちのいずれか一つを、負荷変動部503を制御する制御信号の値とすることができる。
このように、負荷制御部504cには、入力電力の各値に対して、負荷変動部503における負荷の大きさの複数の候補値が設定されている。そして、負荷制御部504cは、例えば、増幅装置の出力信号Pout及び/又は温度に基づいて、前記複数の候補値から一つの候補値を選択することができる。
例えば、増幅装置の出力信号Poutに基づいて候補値を選択する場合には、出力信号Poutに非線形歪が含まれていても、その非線形歪を解消できる候補値を選択することで、線形性を確保することができる。
また、温度に基づいて候補値を選択する場合、温度に対応した候補値を選択することで、温度変化が原因で非線形歪が生じても、その非線形歪を解消することができる。
図13に示す増幅装置501は、図11に示す増幅装置501に、電源変調部508を追加したものである。
DPDによって歪補償を行う場合、振幅だけでなく、位相の補正を行うこともできるが、負荷変動部503を制御する負荷制御部504cにDPDの機能を持たせても、振幅しか補正することができない。
そこで、信号の位相も補正したい場合には、電源変調部508にて、増幅器502の電源変調(ドレイン変調)を行えばよい。電源変調部508によって増幅器502の電源の電圧又は電流値を微調整することで、振幅のほか位相も変更することができる。
電源変調部508は、電源変調によって位相も補正できることを利用したものであり、負荷制御部504cと電源変調部508を組み合わせて使用することで、振幅及び位相を補正することができる。
以上のように、第5実施形態によれば、DPDを実行するために信号を補正するための独立した機能を増幅装置に組み込むことなく、信号の補正を行うことができる。
なお、第5実施形態における増幅器502は、前述の実施形態と同様にスイッチング増幅器であるのが好ましいが、第5実施形態における負荷制御部504cの機能及び電源変調部508は、増幅器がスイッチング増幅器でない場合にも採用可能である。
[6.負荷変動部(負荷変動器)]
[6.1 信号合成を用いた負荷変動部]
図14は、第1〜第5実施形態の増幅装置における負荷変動部103,203,303,403,503として好適に利用可能な負荷変動部(負荷変動器)1001を示している。
図14に示す負荷変動部1001は、2つ(複数)の位相調整器1003a,1003bを備えている。第1位相調整器1003a及び第2位相調整器1003bには、それぞれ、増幅器1002の出力信号(負荷変動部1001を通過する信号)を複数に分波した分波出力信号が与えられる。
位相調整器1003a,1003bによって位相が調整された分波出力信号それぞれは、λ/4線路(λは、信号波長)からなるインピーダンス変換器1003c,1003dを通って、合成部1003eによって合成される。合成された出力信号は、無線通信装置のアンテナ1010から出力される。
第1位相調整器1003aの位相調整量φ1及び第2位相調整器1003bの位相調整量φ2は、位相制御部1011によって制御される。つまり、第1及び第2位相調整器1003a,1003bは、複数の分波出力信号間の位相差を調整する。なお、位相調整器は、複数設けられている必要はなく、例えば、1個でも複数の分波出力信号間の位相差を調整することは可能である。
実測結果によれば、2つの分波出力信号を同位相(φ2−φ1=0度)で合成すると、合成信号は分波出力信号の振幅が重なり合って、振幅が大きくなった。これに対し、2つの分波出力信号を逆位相(φ2−φ1=180度)で合成すると、分波出力信号が相殺されて、振幅が小さくなった。また、φ2−φ1の値(位相差)を、0度から180度の間で変化させると、φ2−φ1の値(位相差)に応じて、振幅が変動した。つまり、図14の回路1001は、負荷変動部として機能することが確認された。
また、負荷変動部1001自体のインピーダンスを測定したところ、φ2−φ1の値(位相差)を、0度から180度の間で変化させると、50Ωから0Ω(ショート)の間で負荷変動部の抵抗値が変化することが確認された。
なお、負荷変動部1001における抵抗Zの値の最大値は、λ/4線路からなるインピーダンス変換器1003c,1003dを適宜設計することによって、所望の値に設定することができる。
図14の負荷変動部1001によれば、位相調整器1003a,1003bを制御することで負荷を変動させることができるため、高速で負荷を変動させるのが容易である。
また、図14の負荷変動部1001において、合成部1003eの出力側に、アイソレータ1003fを設けることで、増幅器1002からみた負荷(負荷変動部1001の入力インピーダンス)が変動しても、負荷変動部1001の出力インピーダンスの変動を抑えることができる。負荷変動部1001の出力インピーダンスの変動を抑えることで、アンテナ1010との整合を確保することができ、動作が安定する。
[6.2 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第1例]
図15は、信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置601の第1例を示している。図15の増幅装置601は、第3実施形態(図4)の負荷変動部303として、図14の負荷変動部1001を採用したものと等価である。なお、図14の負荷変動部1001は、スイッチング増幅器を用いない一般的なLM方式の増幅装置にも利用可能である。
図15の増幅装置601の負荷変動部603には、スイッチング増幅器602出力信号を複数に分波した分波出力信号が与えられる。負荷変動部603の位相調整器603a,603bによって位相が調整された分波出力信号それぞれは、λ/4線路(図15では省略)からなるインピーダンス変換器を通って、合成部603eによって合成される。
合成部603eから出力された信号は、アイソレータ603fを通って、アンテナ側に与えられる。
また、図15の増幅装置601では、負荷制御部として、第1位相調整器603aの位相φ1を制御する位相制御部として機能する第1負荷制御部604c−1と、第2位相調整器603bの位相φ2を制御する位相制御部として機能する第2負荷制御部604c−2とを備えている。
負荷制御部604c−1,604c−2は、入力信号の振幅情報rに基づいて、位相φ1,φ2を制御する制御信号を生成し、負荷変動部603における負荷(抵抗)Zを変動させる。
なお、負荷制御部604c−1,604c−2と位相調整器603a,603bとの間には、遅延調整部605a,605bが設けられている。
[6.3 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第2例]
図16は、信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置601の第2例を示している。なお、図16に示す第2例において、説明を省略した点は、図15に示す第1例と同様である。
図15の増幅装置601では、1つのスイッチング増幅器602の出力信号を分波した分波出力信号を二つの位相調整器603a,603bに与えたのに対し、図16の増幅装置601では、直交変調器606の出力である変調信号が2つに分波され、分波された変調信号が2つ(複数)のスイッチング増幅器602a,602bに入力される。
そして、複数のスイッチング増幅器602a,602bの出力信号が、複数の位相調整器603a,603bに与えられる。位相調整器603a,603bによって位相調整された信号は、合成部603eによって合成される。合成部603eから出力された信号は、アイソレータ603fを通って、アンテナ側に与えられる。
図16の増幅装置601では、増幅された信号を分配するのではなく、分波された信号を増幅するため、分配ロスが少なく、効率がよい。
[6.4 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第3例]
図17は、信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置701の第3例を示している。図17に示す増幅装置701は、図16に示す第2例の増幅装置601に、図10に示す歪補償部409と同様の歪補償部(デジタルプリディストーション部)709を設けたものである。なお、図17に示す第3例において、説明を省略した点は、図16の第2例と同様である。
図17に示す増幅装置701では、図10に示す増幅装置401と同様に、出力信号に発生する歪を補償することができる。
[6.5 信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置の第4例]
図18は、信号合成を用いた負荷変動部を有する増幅装置701の第4例を示している。なお、図18に示す第4例において、説明を省略した点は、図17の第3例と同様である。
図17に示す第3例では、分波された信号を増幅器702a,702bにて増幅し、増幅器702a,702bの出力信号を、位相調整器703a,703bにて位相調整していた。そして、位相調整器703a,703bにて位相調整された信号が、合成部703eによって合成される。
これに対し、図18に示す第4例では、分波された信号は、増幅器702a,702bによる増幅の前に、位相調整器703a,703bにて位相調整される。そして、位相調整器703a,703bにて位相調整された信号が、増幅器702a,702bにて増幅される。
増幅器702a,702bを信号が通過すると、増幅器702a,702bの歪特性によって、信号帯域が広がる場合がある。一般に、信号が広帯域化するほど、位相調整が困難になる。しかし、図18に示す第4例では、増幅器702a,702bによって信号が広帯域化するまえの信号に対して、位相調整を行えばよいため、位相調整が容易である。
[6.6 振幅情報を有する信号を増幅するLINC]
図18(及び図16,17)に示す増幅装置701は、LINC(LInearamplification using Nonlinear Components)方式の増幅装置の改良であるということもできる。
非線形素子を用いた線形増幅を行うLINC方式では、変調された入力信号(振幅情報を含む信号)が、2つの位相が異なる定振幅信号(定包短信号)に分解され、それぞれの信号が電力効率の高い非線形増幅器で増幅され、それら出力を合成したものが出力される。
より具体的には、一般的なLINC方式の増幅装置2001は、図19に示すように、信号処理部2004が、入力信号であるI/Q信号から、当該I/Q信号に含まれる振幅情報に応じた位相差を生じさせる2つの位相情報信号θ,θを出力する。2つの位相情報信号θ,θは、位相変調器2006a,2006bにて位相変調され、2つの位相が異なる定振幅信号(定包短信号)となる。
2つの位相が異なる定振幅信号(定包短信号)は、2つの増幅器2002a,2002bにて増幅され、合成部2003eによって合成される。
2つの増幅器2002a,2002bの出力信号それぞれは、定振幅信号であるため、振幅情報が失われているが、増幅器2002a、2002bの出力信号それぞれの位相が異なるため、それらの合成信号においては、増幅器の出力信号間の位相関係に応じて、入力信号に含まれていた振幅情報が再生される。
これに対し、図18等に示す増幅装置701では、増幅器702a,702bに対して、振幅情報が失われた定振幅信号ではなく、振幅情報が保持された信号(直交変調器706による直交変調信号)が与えられる。
増幅器702a,702bは、飽和状態で動作するスイッチング増幅器であるため、直交変調信号が入力されても、基本的に、増幅された一定振幅の定包絡線信号を出力する。
しかし、合成部703eで合成される信号間には、位相調整器703a,703bによって、入力信号の振幅に応じた位相差が設けられているため、合成部703eの合成出力信号においては、入力信号に含まれていた振幅情報が再生される。
ただし、振幅がゼロの合成信号(出力信号)を得ようとすると、2つの定振幅信号(定包短信号)の位相差が厳密に180°でなければならず、位相差が180°からわずかでもずれると振幅がゼロとならない。この結果、出力信号において入力信号の振幅情報を正確に再生できないことになる。
このように、従来のLINC方式では、振幅がゼロ付近の出力信号を生成するのが困難であり、実用化の障害となっていた。
これに対し、図18等の増幅装置701では、LINC方式と同様に、複数の増幅器702a,702bによって増幅された信号間の位相差に応じて、合成出力信号に振幅情報を再生するものの、複数の増幅器702a,702bに対して、振幅情報を有する信号(変調信号)が入力される。
基本的に飽和状態で動作するスイッチング増幅器702a,702bであっても、入力信号がゼロ又はゼロ付近であれば、スイッチング増幅器302の出力もゼロとなる。そこで、図18等の増幅装置701では、信号の位相差だけで出力信号に振幅変動を引き起こすのではなく、ゼロ付近については、入力信号の振幅がゼロ又はゼロ付近となっていることも利用している。
したがって、信号の位相差単独では、振幅情報を正確に再生できない場合であっても、振幅が変動する信号をスイッチング増幅器702a,702bに入力することで、振幅情報を正確に再生することができる。
なお、図18等の増幅装置701では、位相差だけでゼロ信号を生成する必要がないことから、位相差に誤差が含まれていても良い。
[6.7 可変位相器を用いた負荷変動部]
図20は、第1〜第5実施形態の増幅装置における負荷変動部103,203,303,403,503として好適に利用可能な他の負荷変動部(負荷変動器)3001を示している。
図20に示す負荷変動部3001は、可変位相器を利用したものである。図20に示す回路は、ブランチラインカプラ(Branch−line Coupler)を持つ可変位相器を、負荷変動部3001として利用した回路構成を示している。なお、可変位相器は、ブランチラインカプラを用いて構成するものに限られず、ラットレースハイブリッド(rat−race Hybrid)など、他の4ポート回路を用いて構成したものであってもよい。
また、可変位相器として機能する4ポート回路は、分布定数回路で構成されている必要はなく、集中定数回路で構成されていてもよい。例えば、可変位相器として、集中定数ブランチラインカプラ又は集中定数ラットレースハイブリッドを用いてもよい。
ブランチラインカプラは、第1ポートP1,第2ポートP2,第3ポートP3,及び第4ポートP4を有する4ポート回路である。各ポートP1,P2,P3,P4の間には、4つの伝送路3011,3012,3013,3014が設けられている。各伝送路3011,3012,3013,3014は、λ/4線路である。
図20に示すブランチラインカプラは、3dBブランチラインカプラであり、第1ポートP1と第3ポートP3との間の伝送路3011のインピーダンス、及び、第2ポートP2と第4ポートP4との間の伝送路3014のインピーダンスは、それぞれ、Z/(√2)である(Zは3dBブランチラインカプラにおける系のインピーダンス)。また、第1ポートP1と第2ポートP2との間の伝送路3012のインピーダンス、及び第3ポートP3と第4ポートP4との間の伝送路3013のインピーダンスは、Zである。
第1ポートP1は、信号が入力される入力ポートであり、第2ポートは、信号が出力される出力ポートである。
第3ポートP3及び第4ポートP4には、それぞれ、可変インピーダンス3021,3022が接続されている。可変インピーダンス3021,3022は、例えば、インダクタと可変容量ダイオード(バラクタダイオード)によって構成されている。可変容量ダイオードに印加される電圧を変化させることで、可変インピーダンス3021,3022のインピーダンスを変化させることができる。
ブランチラインカプラを、一般的な可変位相器として使用する場合、第3ポートP3及び第4ポートP4に接続されるインピーダンスの値は、同じ値となっている必要がある。したがって、可変インピーダンス3021,3022を構成する可容量用ダイオードそれぞれには、同じ電圧が印加されていた。
第3ポートP3及び第4ポートP4に接続されるインピーダンスの値が同じであると、入力ポートP1に入力された信号は、反射せず、ほぼそのまま出力ポートP2から出力される。ただし、出力ポートP2から出力される信号は、入力ポートP1に入力された信号に対して位相が変化したものとなっている。
本発明者らは、第3ポートP3及び第4ポートP4に接続されるインピーダンスの値を、それぞれ独立して調整することで、可変位相器を負荷変動部(負荷変動器)として利用できるという着想を得た。
図20の負荷変動部3001において、可変インピーダンス3021,3022の値(可変容量ダイオードの値)は、制御部3031によって、独立して調整可能である。つまり、図20の負荷変動部3001は、第3ポートP3に接続されるインピーダンス3021と第4ポートP4に接続されるインピーダンス3022との間のインピーダンス差を調整可能に設けられている。
本発明者らは、第3ポートP3及び第4ポートP4に接続されるインピーダンスの値を異ならせると、入力ポートP1に入力された信号が反射して、入力インピーダンスが変化することを実験的に確認した。
また、第3ポートP3及び第4ポートP4に接続されるインピーダンスの値を異ならせると、入力ポートP1に入力された信号の反射電力と、入力ポートP1から出力ポートP2へと通過する通過電力のバランスが変化することも確認された。
図21は、第3ポートP3に接続された可変インピーダンス3021(可変容量ダイオード)に印加される電圧Vと、第4ポートP4に接続された可変インピーダンス3022(可変容量ダイオード)に印加される電圧Vと、を独立して変化させた場合における、負荷変動部3001の入力インピーダンスの変化を示している。
図21において、S1〜S5は、電圧差(V−V)を以下のように設定した場合のインピーダンスを示している。電圧差V−V(インピーダンス差)を調整した場合、図21のS1〜S5に示すように、インピーダンスが変化した。
S1:(V−V)=(0−12)=−12[V]
S2:(V−V)=(4−8)=−4[V]
S3:(V−V)=(4−4)=0[V]
S4:(V−V)=(8−4)=4[V]
S5:(V−V)=(12−0)=12[V]
図22(a)は、電圧差V−Vの変化と、入力ポートP1に入力された信号の反射電力との関係を示し、図22(b)は、電圧差V−Vの変化と、入力ポートP1から出力ポートP2へと通過する通過電力と、の関係を示している。
図22(a)によれば、電圧差V−Vの絶対値を小さくすると、反射電力が小さくなり、電圧差V−Vの絶対値を大きくすると、反射電力が大きくなることがわかる。
一方、図22(b)によれば、電圧差V−Vの絶対値を小さくすると、通過電力が大きくなり、電圧差V−Vの絶対値を大きくすると、通過電力が小さくなることがわかる。
つまり、電圧差V−V(インピーダンス差)を変化させると、入力ポートP1−出力ポートP2間での反射電力・通過電力のバランスが変化し、負荷変動部3001の入力インピーダンスが変動することがわかる。
ただし、図21のS1〜S5では、負荷変動部3001を入力ポートP1からみたときに、抵抗にみえない。負荷変動部3001を入力ポートP1からみたときに抵抗にみえるようにするには、図21のS1’〜S5’のようにインピーダンスが変化する必要がある。図21のS1〜S5から、図21の1’〜S5’のようにインピーダンスを変化させるには、予め信号の位相を回転させておけばよい。図21のS1〜S5から、図21の1’〜S5’のように、スミスチャート上で時計回りにインピーダンスを変化させるには、図23に示すように、入力ポートP1に入力される信号の位相を、位相器3040にて、予め回転させておけばよい。さらに、位相器3040による影響は、ポートP2からみたインピーダンスには影響はなく、出力インピーダンスを一定で、入力インピーダンスを変更することができ、後続の回路又はアンテナに対する影響を与えることがない。
位相器3040にて、位相を適宜回転させることで、負荷変動部3001のインピーダンスを、図21の1’〜S5’のように変化させることができる。なお、位相器3040は、負荷変動部3001を抵抗にみせるために、位相を調整する必要はなく、所望のインピーダンス特性が得られるように、位相を調整するものであってもよい。また、位相器3040を可変位相器として構成し、位相の調整量を外部から制御可能とすることで、負荷変動部3001のインピーダンスを変更することも可能である。
負荷変動部3001は、負荷が変動しても、通過位相が変化しないのが好ましい。しかし、負荷変動部3001は、元々、可変位相器として構成されているものを利用しているため、負荷の変動によって、通過位相が変動する。
そこで、図23に示すように、入力ポートP1から出力ポートP3を通過する際に生じる位相の変化を、相殺するべく、入力ポートP1に与えられる信号の位相を、予め補正する位相補正部3041を設けるのが好ましい。
位相補正部3041は、制御部3031から、負荷(電圧差)に応じた位相補正量を指示する制御信号を受け取り、信号に対する位相調整を行う。これにより、入力ポートP1から出力ポートP3を通過する際に位相の変化が生じても、その位相の変化を相殺することができる。
なお、位相補正部3041は、図23のように入力ポートP1の手前に設ける必要はなく、図24に示すように、出力ポートP2の後段に設けても良い。
また、図23及び図24に示すように、負荷変動部3001は、出力ポート(第2ポート)から出力された信号を、アイソレータ3043を介して出力することで、負荷変動部3001の負荷(入力インピーダンス)の変動に伴って生じる、負荷変動部3001の出力インピーダンスの変動を抑えることができる。
[6.8 可変位相器を用いた負荷変動部を有する増幅装置]
図25は、可変位相器を用いた負荷変動部を有する増幅装置801を示している。図25の増幅装置801は、第3実施形態(図4)の負荷変動部303として、図23の負荷変動部3001を採用し、さらに後述のインピーダンス変換器850を備えたものと等価である。なお、図23の負荷変動部3001は、スイッチング増幅器を用いない一般的なLM方式の増幅装置にも利用可能である。
図25の増幅装置801の負荷変動部803は、インピーダンス変換器850を介して、増幅器802(スイッチング増幅器)と接続されている。負荷変動部803は、図23に示す負荷変動部3001と同様に、位相器840、4ポート回路からなる可変位相器、可変位相器の第3ポートに接続された可変インピーダンス821、可変位相器の第4ポートに接続された可変インピーダンス822、及びアイソレータ843を備えている。
図25の増幅装置801では、負荷制御部として、第1可変インピーダンス821のインピーダンス(電圧V)を制御する第1負荷制御部804c−1と、第2可変インピーダンス822のインピーダンス(電圧V)を制御する第2負荷制御部804c−2と、を備えている。第1及び第2負荷制御部804c−1,804c−2は、入力信号の振幅情報rに基づいて、第1及び第2可変インピーダンス821,822に付加する電圧差を調整して、負荷変動部803における負荷(抵抗)を変動させる。
なお、負荷制御部804c−1,804c−2と可変インピーダンス821,822との間には、(第1及び第2)制御信号に対する遅延調整を行う遅延調整部805a,805bが設けられている。制御信号に対する可変インピーダンス(可変容量ダイオード)821の反応速度が遅い場合には、遅延調整部805a,805bにて遅延調整を行うことで、増幅器802の出力信号との間で信号タイミングを一致させることができる。
なお、図25の増幅装置801では、図23の負荷変動部3001における位相補正部3041に対応する機能が明示されていないが、位相補正部3041に対応する機能(位相補正機能)は、歪補償部809にて行うことができる。つまり、負荷変動部803では、負荷に応じて位相が変化するため、歪補償部809が、入力信号(振幅)に応じて、予め、I/Q信号に対する位相補正を行うことで、負荷変動部803による位相変化を相殺することができる。しかも、歪補償部(DPD)809では、デジタルIQ信号に対する補正が行えるため、図24に示すようにアナログ信号を補正するのに比べて、補正が容易となる。
増幅器802と負荷変動部803との間に設けられたインピーダンス変換器(λ/4線路)850は、負荷変動部803が生じさせる負荷の変動範囲Z〜Zが、増幅器802として必要な範囲となるようにインピーダンス変換を行うものである。
負荷の変動に応じて、増幅器802の出力信号の振幅を変動させるには、負荷変動部803の負荷は、増幅器802の出力インピーダンスと整合する値Zampから、それよりも高いインピーダンスZxの範囲Zamp〜Zx(Zx>Zamp)で変動することが望まれる。
しかし、負荷変動部803の負荷変動範囲Z〜Zが、増幅器802からみた望ましい負荷変動範囲Zamp〜Zxにあるとは限らない。
そこで、インピーダンス変換器850は、増幅器802からみた負荷変動範囲が、増幅器802からみた望ましい負荷変動範囲に来るように、インピーダンス変換を行っている。
ここで、負荷変動部803の負荷変動範囲Z〜Zを、インピーダンス変換によって別の範囲に変換するには、2通りの変換が考えられる。
一つは、負荷変動部803の負荷変動範囲Z〜Zの最大値Zを、増幅器802と整合するインピーダンスZampに対応させてインピーダンス変換する場合である。
もう一つは、負荷変動部803の負荷変動範囲Z〜Zの最小値Zを、増幅器802と整合するインピーダンスZampに対応させてインピーダンス変換する場合である。
両者のうち、増幅器802からみた望ましい負荷変動範囲がZamp〜Zxであるという観点からは、前者のように、Zを、増幅器802と整合するインピーダンスZampに一致させるようにインピーダンス変換するのが好ましい。
つまり、最大値Zを増幅器802と整合するインピーダンスZampに対応させ、最小値ZをZxに対応させてインピーダンス変換する場合、インピーダンス変換器850のインピーダンスをZlineとすると、
Zline=Zamp×Z
Zline=Zx×Z
となる。
したがって、
Zx=Zline/Z=(Zamp×Z)/Z=(Z/Z)×Zamp
となる。
>Zであるから、Zxは、Zampよりも大きいインピーダンスとなる。したがって、増幅器802の出力インピーダンスと整合する値Zampから、それよりも高いインピーダンスZxの範囲Zamp〜Zx(Zx>Zamp)で負荷変動するという、LM方式において望ましい状態が得られる。
一方、最小値Zを増幅器802と整合するインピーダンスZampに対応させ、最大値ZをZxに対応させてインピーダンス変換する場合、
Zline=Zamp×Z
Zline=Zx×Z
となる。
したがって、
Zx=Zline/Z=(Zamp×Z)/Z=(Z/Z)×Zamp
となる。
>Zであるから、Zxは、Zampよりも小さいインピーダンスとなる。したがって、増幅器802の出力インピーダンスと整合する値Zampから、それよりも低いインピーダンスの範囲で負荷変動することになる。Zampよりも低い範囲でインピーダンスが変動すると、効率が低下し、LM方式として望ましくない。
したがって、負荷変動部803の負荷変動範囲Z〜Zの最大値Zを、増幅器802と整合するインピーダンスZampに対応させてインピーダンス変換するのが好ましいこことになる。
[6.9 負荷変動部の低ロス化]
図27は、図20、図23、及び図24に示す可変インピーダンス3021,3022、並びに図25に示す可変インピーダンス821,822の具体例のバリエーションを示している。
ブランチラインカプラの第3ポートP3又は第4ポートP4に接続される可変インピーダンス3021,3022,821,822は、前述のように、インダクタと可変容量ダイオード(バラクタダイオード)によって構成することができる。図27(a)(b)は、インダクタ3025と可変容量ダイオード(バラクタダイオード)3026によって構成した可変インピーダンス3021,3022,821,822の例を示しており、図27(c)は、可変容量ダイオード3026を具備するが、インダクタ3025を具備しない可変インピーダンスの例を示している。なお、可変インピーダンス3021,3022,821,822は、インダクタと可変容量ダイオード以外の回路要素を含んでいても良い。
可変容量ダイオード3026は、例えば、バラクタダイオードによって構成されている。バラクタダイオード3026は、カソードが、第3ポートP3又は第4ポートP4側に接続され、アノードが、グランド側に接続されている。
インダクタ3025は、集中定数素子として構成されたインダクタ(チップインダクタ)であってもよいし、分布定数線路(マイクロストリップライン)として構成されたインダクタ3025aであってもよい。
インダクタ3025は、図27(a)に示すように、可変容量ダイオード3026のアノード側に接続することができる。つまり、可変容量ダイオード3026のアノードは、インダクタ3025を介して、グランドに接続することができる。
また、インダクタ3025は、図27(b)に示すように、可変容量ダイオード3026のカソード側に接続することもできる。つまり、可変容量ダイオード3036のカソードは、インダクタ3025を介して、第3ポートP3又は第4ポートP4に接続することもできる。
図27(a)(b)に示すようにインダクタ3025を設けることで、図27(c)に示すようにインダクタ3025を設けない場合に比べて、負荷変動部3001,803における損失(ロス)を低減することができる。
図28は、図27(a)に示すようにインダクタ3025を設けた可変インピーダンス3021,3022,821,822を備えた負荷変動部3001,803のロス率、及び、図27(c)に示すようにインダクタ3025を省略した可変インピーダンス3021,3022,821,822を備えた負荷変動部3001,803のロス率の測定結果を示している。なお、測定に際しては、インダクタ3025として、集中定数素子を用いた。
ここで、ロス率は、次のように定義する。まず、負荷変動部3001,803のロスがゼロである場合における、負荷変動部3001,803の第1ポート(入力ポート)P1の反射電力S11(図20参照)と、負荷変動部3001,803の第1ポート(入力ポート)P1から第2ポート(出力ポート)P2への通過電力S12(図20参照)と、の和を、1とする。ロス率は、反射電力及び通過電力を用いて次のように表される。
ロス率=1−(反射電力+通過電力)
図28の測定結果を得るため、P3,P4に接続された可変容量ダイオード3026それぞれに付加される電圧を変化させて、ロス率の測定を行った。可変容量ダイオード3026それぞれに付加される電圧の組み合わせは、360通りに設定した。図28において、横軸は、1〜360の組み合わせ番号を示す。
図28に示すように、可変インピーダンス3021,3022,821,822にインダクタ2025を設けない場合、ロス率は、0.26−0.18(26%−18%)程度となる一方、可変インピーダンス3021,3022,821,822にインダクタ3025を設けた場合、ロス率は、0.22−0.14(22%−14%)程度となり、ロス率が改善したことがわかる。
また、インダクタ3025を設けると、可変容量ダイオード3026の反射係数の振れ幅が大きくなり、負荷変動部3011,803のインピーダンスの振れ幅も大きくなる。つまり、インダクタ3025を設けると、負荷変動部3001,803の可変範囲を大きくする効果も得られる。
インダクタ3025が集中定数素子(チップインダクタ)によって構成されている場合、インダクタ3025の位置は、図27(a)に示す位置であっても、図27(b)に示す位置であっても、回路としては等価であるため、同様の損失低減効果が得られる。
一方、インダクタ3025が分布定数線路(マイクロストリップライン)3025aによって構成されている場合、インダクタ3025の位置は、図27(a)に示す位置よりも、図27(b)に示す位置のほうが、損失の低減の観点からは優れていることが、シミュレーションの結果、判明した。
ここで、負荷変動部3001,803の損失を低減するには、可変インピーダンス3021,3022,821,822において、電力が浪費されるのを防止すればよい。つまり、第3ポートP3又は第4ポートP4側からみたときの、可変インピーダンス3021,3022,821,822からの反射電力が大きければ、負荷変動部3001,803の損失を低減することができる。換言すると、可変インピーダンス3021,3022,821,822の反射係数を大きくすることで、損失を低減できる。
マイクロストリップライン3025aは、インピーダンス変換回路として機能する。そこで、第3ポートP3又は第4ポートP4側への反射電力が大きくなるようにインピーダンス変換回路3025aを設けることで、損失を低減できる。
図29に示すように、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンス(特性インピーダンス)は、3dBブランチラインカプラにおける系のインピーダンスZ(例えば、50Ω)とは異なる値のインピーダンスに設定される。異なる値のインピーダンスとすることで、第3ポートP3又は第4ポートP4側への反射電力を大きくすることができる。
インピーダンス変換回路(インダクタ)3025aのインピーダンスを、Z(=50Ω)よりも大きくする場合、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、60Ω以上とするのが好ましい。つまり、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、Zの120%以上とするのが好ましい。さらには、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、70Ω(Zの140%以上)とするのがより好ましい。
インピーダンス変換回路3025aの特性インピーダンスを、Zよりも小さくすることで、Zよりも大きくする場合に比べて、可変インピーダンス3021,3022,821,822における熱損失が小さくなり、損失を、比較的小さくすることができる。
インピーダンス変換回路(インダクタ)3025aのインピーダンスを、Z(=50Ω)よりも小さくする場合、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、40Ω以下とするのが好ましい。つまり、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、Zの80%以下とするのが好ましい。さらには、インピーダンス変換回路3025aのインピーダンスは、30Ω(Zの60%以下)とするのがより好ましい。
このように、インダクタ3025を分布定数線路で構成した場合、インダクタ3025は、第3ポートP3又は第4ポートP4と可変容量ダイオード3026との間にあり、かつ、Z未満とするのが好ましい。
なお、増幅装置801の出力にアンテナが接続される場合、当該アンテナの特性インピーダンスZ(多くの場合50Ω又は75Ω)に整合するように、増幅装置801の伝送路(増幅装置801によって増幅された信号の伝送路)の特性インピーダンスZ(50Ω又は75Ω)が設定される。したがって、3dBブランチラインカプラにおける系のインピーダンスZも、50Ω又は75Ωに設定される。
[6.10 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部]
図30は、図20(図23、図24)に示す負荷変動部(負荷変動器)3001において、インピーダンスが離散的に変化するように構成したものを示している。図30に示す負荷変動部3001は、図25に示す増幅装置801の負荷変動部803としても利用できる。
図30に示す負荷変動部3001において、第3ポートP3及び第4ポートP4それぞれに接続された可変インピーダンス3021,3022は、インピーダンスが離散的に変化するよう構成されている。
第3ポートP3に接続された第1可変インピーダンス3021は、インピーダンスの異なる複数のインピーダンスZ,Z,・・・Zを備えている。さらに、第1可変インピーダンス3021は、複数のインピーダンスZ,Z,・・・Zのうちの一つを選択して、選択したインピーダンスを第3ポートP3側に接続させる制御素子(スイッチング素子;高周波スイッチング素子)3028を備えている。
第4ポートP4に接続された第2可変インピーダンス3022も、インピーダンスの異なる複数のインピーダンスZ,Z,・・・Zを備えている。さらに、第2可変インピーダンス3022は、複数のインピーダンスZ,Z,・・・Zのうちの一つを選択して、選択したインピーダンスを第4ポートP4側に接続させる制御素子(スイッチング素子;高周波スイッチング素子)3028を備えている。
第1可変インピーダンス3021及び第2可変インピーダンス3022の制御素子3028を制御部3031によって制御し、任意のインピーダンスZ,Z,・・・Zを選択することで、可変インピーダンス3021,3022のインピーダンスの値を独立して調整可能である。
つまり、可変インピーダンス3021,3022のインピーダンス差も離散的に変化し、その結果、入力ポートP1−出力ポートP2間での反射電力・通過電力のバランスが離散的に変化し、負荷変動部3001の入力インピーダンスが離散的に変化する。
インピーダンスを離散的に変化させるようにすることで、連続的にインピーダンスを変化させる場合に比べて、高速化が容易となる。
[6.11 可変位相器を複数用いた負荷変動部]
図31は、可変位相器を複数(2つ)用いた負荷変動部(負荷変動器)4001を示している。
図31に示す負荷変動部4001は、図14に示す負荷変動部1001の位相調整器1003a,1003bとして、それぞれ、図20に示す可変位相器(負荷変動部3001)を利用したものに相当する。
つまり、図31に示す負荷変動部4001は、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bを備えている。第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bには、それぞれ、増幅器4002の出力信号(負荷変動部4001を通過する信号)を複数に分波した分波出力信号が与えられる。なお、位相調整器4003a,4003bは、位相だけが調整される必要はなく、例えば、インピーダンス変換が併せて行われていても良い。
位相調整器4003a,4003bによって位相が調整された分波出力信号それぞれは、λ/4線路からなるインピーダンス変換器4003c,4003dを通って、合成部4003eによって合成される。合成された出力信号は、無線通信装置のアンテナ4010から出力される。
第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれは、図20に示す可変位相器(負荷変動部3001)と同様の構成を有している。
つまり、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれは、図20に示すものと同様に、ブランチラインカプラによって構成することができる。この場合、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれは、第1ポートP1,第2ポートP2,第3ポートP3,及び第4ポートP4を有する4ポート回路(3dBブランチラインカプラ)を有し、各ポートP1,P2,P3,P4の間には、4つの伝送路4111,4112,4113,4114が設けられている。各伝送路4111,4112,4113,4114は、λ/4線路である。
第1ポートP1と第3ポートP3との間の伝送路4111のインピーダンス、及び、第2ポートP2と第4ポートP4との間の伝送路4114のインピーダンスは、それぞれ、Z/(√2)である(Zは3dBブランチラインカプラにおける系のインピーダンス)。また、第1ポートP1と第2ポートP2との間の伝送路4112のインピーダンス、及び第3ポートP3と第4ポートP4との間の伝送路4113のインピーダンスは、Zである。
第1ポートP1は、分波出力信号が入力される入力ポートであり、第2ポートは、信号が出力される出力ポートである。
第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれにおける第3ポートP3及び第4ポートP4には、それぞれ、可変インピーダンス4121,4122が接続されている。可変インピーダンス4121,4222は、例えば、インダクタと可変容量ダイオード(バラクタダイオード)によって構成されている。可変インピーダンス4121,4222としては、図27(a)(b)(c)に示す3つの構成のいずれを採用してもよい。また、可変インピーダンス4121,4222としては、図30に示す可変インピーダンス(インピーダンスが離散的に変化する可変インピーダンス)3028を採用してもよい。
可変位相器である第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bによって、複数の分波出力信号間の位相差を調整することで、負荷変動部4001の負荷(インピーダンス)を変化させることができる。
負荷変動部4001において、4つの可変インピーダンス4121,4122の値は、制御部4031によって、独立して調整可能である。
第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれの可変インピーダンス4121,4122の値を、制御部4031の制御信号(第1制御信号〜第4制御信号)に従って、適切に調整すると、負荷変動部4001の入力インピーダンス(増幅器4002側からみたインピーダンス)を変動させつつ、負荷変動部4001の出力インピーダンス(アンテナ4010側からみたインピーダンス)を略一定にすることができる。これは、可変インピーダンス4121,4122の値を調整することで、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれの反射電力及び通過電力のバランスを調整でき、負荷変動部4001の出力インピーダンスを変動させずに、入力インピーダンスを変動させることが可能となるからである。
したがって、図31に示す負荷変動部4001では、出力インピーダンスの変動を抑制するためにアイソレータを設ける必要がない(ただし、アイソレータを設けてもよい)。
例えば、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれの可変インピーダンス4121,4122の電圧反射係数Γ(i=1〜4)値を、次のように設定することで、負荷変動部4001の出力インピーダンス(50Ω)を一定にしつつ、負荷変動部4001の入力インピーダンスを変動(50Ω,82Ω,120Ω)させることができる。
Figure 2013225828

表1において、Γは、第1位相調整器4003aの可変インピーダンス4121の反射係数であり、Γは第1位相調整器4003aの可変インピーダンス4122の反射係数であり、Γは第2位相調整器4003aの可変インピーダンス4121の反射係数であり、Γは第2位相調整器4003aの可変インピーダンス4122の反射係数である。Z,Z,Z,Zは、上記のZの式に従ってΓ1,Γ2,Γ3,Γ4から算出される可変インピーダンス4121,4122のインピーダンスである。
なお、表1では、反射係数の絶対値の大きさと位相角とを変化させて、所望の入力インピーダンスを設定しているが、絶対値の大きさを変えず、位相角だけを変化させることでも、同様に入力インピーダンスを設定することが可能である。
図31の負荷変動部4001は、位相器4140及び位相補正部4141を備えている。位相器4140及び位相補正部4141は、図23及び図24に示す位相器3040及び位相補正部3041と同様のものである。
つまり、位相器4140は、位相を適宜回転させることで、負荷変動部4001のインピーダンスを、図21のS1〜S5から、図21のS1’〜S5’のように変化させて、負荷変動部4001を抵抗にみせるか、又は、所望のインピーダンス特性が得られるようにするためのものである。
また、位相補正部4141は、信号が負荷変動部4001を通過する際に生じる位相の変化を補正するためのものである。
図31において、負荷変動部4001には、インピーダンス変換器4150が接続されている。インピーダンス変換器4150は、λ/4伝送線路によって構成されており、図25に示す増幅装置801におけるインピーダンス変換器850と同じ機能を有する。つまり、インピーダンス変換器4150を設けることで、負荷変動部4001のインピーダンスを高く変動させることができる。
[6.12 可変位相器を用いた負荷変動部を有する増幅装置]
図32は、可変位相器を用いた負荷変動部を有する増幅装置901を示している。図32の増幅装置901は、図25に示す増幅装置801において、負荷変動部803を、図31の負荷変動部4001に置換したものと等価である。つまり、図32の増幅装置901は、図31の負荷変動部4001と同様の負荷変動部903を備えている。
なお、図32の増幅装置901において、増幅器902は、スイッチング増幅器であるが、スイッチング増幅器でなくてもよい。
図32の増幅装置901では、負荷制御部として、第1〜第4制御信号を生成する制御部904cを備えている。制御部904cは、入力信号の振幅情報rに基づいて、第1位相調整器4003a及び第2位相調整器4003bそれぞれの可変インピーダンス4121,4122の値を制御し、負荷変動部903における負荷(抵抗)を変動させる。なお、第1〜第4制御信号は、4つの可変インピーダンス4121,4122を制御する信号である。
なお、制御部904cと可変インピーダンス4121,4122との間には、(第1〜第4)制御信号それぞれに対する遅延調整を行う遅延調整部905a,905b,905c,905dが設けられている。遅延調整部905a,905b,905c,905dにて遅延調整を行うことで、増幅器902の出力信号との間で信号タイミングを一致させることができる。
なお、図32の増幅装置901においても、位相補正部4141に対応する機能(位相補正機能)は、歪補償部909にて行うことができる。
また、増幅器902と負荷変動部903との間に設けられたインピーダンス変換器(λ/4線路)950は、負荷変動部903が生じさせる負荷の変動範囲Z〜Zが、増幅器902として必要な範囲となるようにインピーダンス変換を行うものである。
図32の増幅装置901では、1つのスイッチング増幅器902出力信号を分波した分波出力信号を二つの位相調整器4003a,4003bに与える。
ただし、図16の増幅装置601のように、直交変調器906の出力である変調信号が2つに分波され、分波された変調信号が2つ(複数)の増幅器に入力されてもよい。
また、図18の増幅装置701のように、分派された信号を、複数(2つ)の増幅器による増幅の前に、位相調整器4003a,4003bにて位相調整してもよい。
[6.13 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部]
図33及び図34は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部5001を示している。負荷変動部5001は、第1〜第5実施形態の増幅装置における負荷変動部103,203,303,403,503として好適に利用可能である。
この負荷変動部5001は、並列接続された複数(2つ)のインピーダンス変換部5011,5012を備えている。
第1インピーダンス変換部(第1伝送線路)5011及び第2インピーダンス変換部(第2伝送線路)5012は、それぞれ、マイクロストリップラインによって構成されたλ/4伝送線路(線路長がλ/4である伝送線路)である。
二つのインピーダンス変換部5011,5012のうち、一方のインピーダンス変換部(第2インピーダンス変換部)5012には、高周波スイッチング素子(制御素子)5021を備えている。
図34では、二つのインピーダンス変換部5011,5012の線路幅が異なっているため、両者の線路インピーダンスは異なるが、同じであってもよい。
スイッチング素子5021は、例えば、PINダイオード5021aによって構成することができ、導通状態又は非導通状態に切り替わることができる。図34に示すように、スイッチング素子5021にインダクタ(付加素子)5022を並列接続することで、スイッチング素子5021及びインダクタ5022とで共振回路を構成すると、より完全な導通状態又は非導通状態を得ることができる。なお、なお、付加素子5022は、インダクタに限られず、スイッチング素子5021のインピーダンス特性に応じて、共振回路を得るための適当な素子であればよい。
スイッチング素子5021は、第2インピーダンス変換部(第2伝送線路)5012の中央位置に接続されている。換言すると、スイッチング素子5021は、λ/4伝送線路5012の端部からの線路長さがλ/8である位置に接続されている。スイッチング素子5021が接続された位置は、λ/4伝送線路5012を、2つのλ/8伝送線路5012a,5012bに分割する位置となっている。
図33(b)に示すように、スイッチング素子5021が、非導通状態(OFF)である場合、スイッチング素子5021の存在は無視できる。したがって、負荷変動部5001全体は、2つの伝送線路5011,5012の並列回路となる。この場合、負荷変動部5001のインピーダンスは、第1インピーダンス変換部5011の線路インピーダンスZと第2インピーダンス変換部5012の線路インピーダンスZの合成インピーダンス(Z//Z)となる。
一方、図33(c)に示すように、スイッチング素子5021が、導通状態(ON)である場合、第2伝送線路5012は、2つのスタブ(ショートスタブ)5012a,5012bとなる。したがって、負荷変動部5001全体は、λ/4の第1伝送線路5011の両側に2つのλ/8ショートスタブ5012a,5012bが接続されたπ型の回路となる。この場合、負荷変動部5001のインピーダンスは、π型回路における合成インピーダンスとなる。
このように、スイッチング素子5021の素子状態(導通状態/非導通状態)を切り替えることで、負荷変動部5001を、伝送線路5011,5012の並列回路又はπ型回路に切り替えることができる。伝送線路5011,5012の並列回路とπ型回路とでは、インピーダンスが異なるため、スイッチング素子5021の導通状態/非導通状態を切り替えることで、インピーダンスを変化させることができる。
つまり、負荷変動部5001のインピーダンスは、伝送線路5011,5012の並列回路の第1インピーダンス及びπ型回路の第2インピーダンスの2つのインピーダンス値をとることができる。このように、負荷変動部5001は、インピーダンスが、2種類の値に離散的に変化する。
なお、負荷変動部5001のインピーダンスを離散的に変化させる必要がない場合、制御素子5021としては、スイッチング素子に限らず、可変インピーダンス素子であってもよい。
図33において、負荷変動部5001には、補助インピーダンス変換部5002が接続されている。補助インピーダンス変換部5002は、λ/4伝送線路によって構成されており、図25に示す増幅装置801におけるインピーダンス変換器850と同じ機能を有する。つまり、補助インピーダンス変換部5002を設けることで、負荷変動部5001のインピーダンスを高く変動させることができる。
負荷変動部5001を構成するインピーダンス変換部(伝送線路)5011,5012の数は、2つに限られず、図35(a)に示すように3つであってもよい。図35(a)に、3つのインピーダンス変換部5011,5012,5013を有する負荷変動部5001を示した。負荷変動部5001を構成するインピーダンス変換部の数は、3以上であってもよい。
図35(a)の負荷変動部5001では、負荷変動部5001を構成する全てのインピーダンス変換部5011,5012,5013それぞれに、第1〜第3スイッチング素子(制御素子)5021a,5021b,5021cが接続されている。この場合、図35(b)に示すように、第1〜第3スイッチング素子5021a,5021b,5021cそれぞれのON/OFF(導通/非導通)を適宜切り替えることで、負荷変動部5001全体のインピーダンスを、Z〜Zに離散的に変化させることができる。
図36及び図37に示すように、スイッチング素子(制御素子)5021は、第2インピーダンス変換部5012の中途位置に介在するように直列接続されていてもよい。つまり、2つの分離したλ/8伝送線路5012a,5012bの間に、スイッチング素子5021を直列接続してもよい。
図36(b)に示すように、スイッチング素子5021が、導通状態(ON)である場合、2つのλ/8伝送線路5012a,5012bは、直列接続され、1つのλ/4伝送線路5012となる。したがって、負荷変動部5001全体は、2つの伝送線路5011,5012の並列回路となる。この場合、負荷変動部5001のインピーダンスは、第1インピーダンス変換部5011の線路インピーダンスZと第2インピーダンス変換部5012の線路インピーダンスZの合成インピーダンス(Z//Z)となる。
一方、図36(c)に示すように、スイッチング素子5021が、非導通状態(OFF)である場合、第2伝送線路5012は、2つのスタブ(オープンスタブ)5012a,5012bとなる。したがって、負荷変動部5001全体は、λ/4の第1伝送線路5011の両側に2つのλ/8オープンスタブ5012a,5012bが接続されたπ型の回路となる。この場合、負荷変動部5001のインピーダンスは、π型回路における合成インピーダンスとなる。
この結果、図36及び図37に示す負荷変動部5001においても、インピーダンスが、2種類の値に離散的に変化することができる。
図38に示す負荷変動部5001は、図33〜図37に示す負荷変動部5001を一つの部分負荷変動部とし、複数(3つ)の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cを組み合わせて構成されたものである。
図38において、複数の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cは直列にカスケード接続されている。
複数(3つ)の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cそれぞれには、制御部5031から、制御信号(第1〜第3制御信号)が与えられる。部分負荷変動部5001a,5001b,5001cのスイッチング素子5021それぞれは、制御信号によってON/OFF制御される。
負荷変動部5001が、複数の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cを備えることで、負荷変動部5001のインピーダンスの値の種類を増やすことができる。
一つの部分負荷変動部において、離散的に変化するインピーダンスの値の種類をAとし、負荷変動部5001を構成する部分負荷変動部の数をNとすると、負荷変動部5001全体で、インピーダンスの値の種類は、Aとなる。
特に、部分負荷変動部を図33(図34)及び図36(図37)のように構成した場合、一つの部分負荷変動部が有するスイッチング素子5021の数は一つであるから、N個のスイッチング素子5021で、A種類のインピーダンスを実現することができる。つまり、3つの部分負荷変動部で負荷変動部を構成した場合、3つのスイッチング素子で、2=8種類のインピーダンスを表現することができる。
このように、比較的少ない数のスイッチング素子5021によって、多様なインピーダンスを実現できる。
複数の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cを直列に接続する場合、図39(a)に示すように、隣接する部分負荷変動部5001a,5001b,5001c同士を近接して配置した場合、隣接する部分負荷変動部5001a,5001b,5001c間で干渉が生じる。
一方、図39(b)に示すように、干渉を避けるために、隣接する部分負荷変動部5001a,5001b,5001c間に伝送線路を介在させて、隣接する部分負荷変動部同士を離すと、その伝送線路によって、負荷変動部5001全体のインピーダンスが影響を受ける。伝送線路による影響を避けるには、線路長がλであるλ伝送線路とすることで、隣接する部分負荷変動部5001a,5001b,5001c同士を近接して配置した場合と同じ特性にする必要がある。λ伝送線路を設ける必要があると負荷変動部5001が大型化する。
そこで、図40に示すように、複数の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cを、回路基板(両面基板)5050の表面5051と裏面5052とに互い違いに位置させることで、干渉を回避しつつ、大型化を防止できる。
例えば、図40に示す負荷変動部5001は、表裏両面に回路パターンが形成される回路基板5050の表面5051に第1部分負荷変動部5001aが形成されている。第1部分負荷変動部5001aに隣接する第2部分負荷変動部5001bは、裏面5052に形成され、スルーホール5053を介して、表面5051に形成された第1部分負荷変動部5001aと接続されている。第2部分負荷変動部5001bに隣接する第3部分負荷変動部5001cは、表面5051に形成され、スルーホール5054を介して、裏面5052に形成された第2部分負荷変動部5001bと接続されている。
なお、複数の部分負荷変動部を有する負荷変動部において、複数の部分負荷変動部は一列に直列接続されている必要はない。例えば、負荷変動部5001は、図41(a)に示すように、複数(2つ)の部分負荷変動部5001a,5001bが直列接続されたものと、別の複数(2つの)部分負荷変動部5001c,5001dが直列接続されたものと、を並列接続して構成されていてもよい。
また、図41(b)に示すように、負荷変動部5001は、図41(a)に示すように接続された部分負荷変動部5001a,5001b,5001c,5001dに対して、さらに別の部分負荷変動部5001eを直列接続してもよい。このように、多様な接続方法によって、複数の部分負荷変動部を接続することが可能である。
図41に示すように、複数の部分負荷変動部が、できるだけ、並列接続されるようにすることで、全ての部分負荷変動部を直列接続した場合に比べて、損失を抑えることができる。
[6.14 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部を有する増幅装置]
図42は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部を有する増幅装置951を示している。図42の増幅装置951は、図25に示す増幅装置において、負荷変動部803を、図38の負荷変動部5001に置換したものと、略等価である。つまり、図42の増幅装置951は、図38の負荷変動部5001と同様の負荷変動部953を備えている。負荷変動部953の負荷は離散的に変化する。
なお、図42の増幅装置951において、増幅器952は、スイッチング増幅器であるが、スイッチング増幅器でなくてもよい。
図42の増幅装置951では、負荷制御部として、負荷変動部953を構成する部分負荷変動部5001a,5001b,5001cそれぞれのスイッチング素子5021の制御(ON/OFF切替)を行うための第1〜第3制御信号(ON/OFF信号)を生成する負荷制御部954cを備えている。負荷制御部954cは、入力信号の振幅情報rに基づいて、それぞれのスイッチング素子5021の制御を行い、負荷変動部903における負荷を変動させる。
なお、負荷制御部954cと部分負荷変動部5001a,5001b,5001cとの間には、(第1〜第3)制御信号それぞれに対する遅延調整を行う遅延調整部955a,955b,955cが設けられている。遅延調整部955a,955b,955cにて遅延調整を行うことで、増幅器902の出力信号との間で信号タイミングを一致させることができる。
なお、図42の増幅装置951においても、位相補正部に対応する機能を設けることができる。つまり、負荷変動部5001において生じる通過位相の変化を、位相補正部にて補正することができる。ただし、図42において、位相補正部の機能は、歪補償部959にて行うことができる。
また、増幅器952と負荷変動部953との間には、インピーダンス変換器(λ/4線路)960が設けられている。このインピーダンス変換器960は、負荷変動部953が生じさせる負荷の変動範囲Z〜Zが、増幅器952として必要な範囲となるようにインピーダンス変換を行うものである。
また、負荷変動部953には、アイソレータ5003が設けられている。負荷変動部953の最終段に、アイソレータ5003を設けることで、増幅器952からみた負荷(負荷変動部953の入力インピーダンス)が変動しても、負荷変動部953の出力インピーダンスの変動を抑えることができる。負荷変動部953の出力インピーダンスの変動を抑えることで、負荷変動部953の出力側に接続されたアンテナとの整合を確保することができ、動作が安定する。
[6.15 インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部の他の例]
図43は、インピーダンスが離散的に変化する負荷変動部6001を示している。負荷変動部6001は、インピーダンスの異なる複数の負荷部6011,6012,6014,6014,6015を備えている。負荷部6011〜6015は、例えば、インピーダンス変換部(伝送線路;マイクロストリップライン)によって構成することができる。
負荷変動部6001は、複数の負荷部6011〜6015のいずれかを択一的に選択するためのスイッチ部6021,6022を備えている。スイッチ部6021,6022それぞれは、複数のスイッチング素子(高周波スイッチング素子)を備えている。
負荷変動部6001の負荷(インピーダンス)は、複数の負荷部6011〜6015のうち選択された負荷部のインピーダンスとなる。つまり、負荷変動部6001は、インピーダンスが離散的に変化する。
図43の負荷変動部6001は、負荷変動部6001がとり得るインピーダンスの値の個数に比べて、スイッチング素子の数が多くなり易いが、構成が単純であるため、設計が容易である。
[6.16 インピーダンスを離散的に変化させる方法]
ロードモジュレーション方式の増幅装置では、増幅装置の入力信号(変調信号)の時間的変動に応じて、負荷変動部の負荷(インピーダンス)の値が変動する。つまり、増幅装置の入力信号(変調信号)は、負荷を変動させる基準となる基準信号(時間変動する信号)となっている。
ここで、ナイキストの定理によれば、信号の変調帯域幅の2倍以上の周波数で離散化を行えば、信号の帯域内の情報をすべて保存することができる。
したがって、負荷変動部のインピーダンスを離散的に変化させようとする場合には、負荷変動の基準となる基準信号の帯域幅(伝送帯域幅)の2倍以上のレートで離散的に負荷の値を変更すればよい。その結果、負荷を離散的に変化させても、負荷を連続的に変化させたのと同様の結果が得られる。
しかも、負荷(インピーダンス)の変化を離散的に行うことで、連続的に行う場合に比べて、負荷の変化の高速化が容易である。
図44は、既に説明した数々の増幅装置を、負荷変動部における負荷の変動速度の観点から説明するためのものである。なお、図44の負荷変動部は、図45以降の図に示す負荷変動部であってもよい。
図44において、ロードモジュレーション方式の増幅装置11は、増幅器12と、増幅器12の出力側に接続された負荷変動部(負荷変動器)13と、を備えている。
負荷変動部13は、信号(通過信号)が入力される入力部13aと、入力部13aに入力された信号に対する負荷の値を変更可能な負荷変動部本体(負荷変動器本体)13bと、負荷変動部本体13bから出力された信号を出力する出力部13cと、負荷変動部本体13bの負荷の値を変更するための制御信号が入力される制御信号入力部13dと、を備えている。
負荷変動部13が、増幅装置の他の回路素子とは独立してユニット化(チップ化)された回路によって構成されている場合、入力部13a、出力部13c、及び制御信号入力部13dそれぞれは、例えば、ユニット化された回路における信号入出力のための端子が相当する。
また、負荷変動部13が、ユニット化されていない場合、入力部13a、出力部13c、及び制御信号入力部13dそれぞれは、増幅装置における他の回路素子から、負荷変動部13に接続される配線部が相当する。
入力部13aは、増幅器12の出力側に接続されており、出力部13cは、アンテナ側に接続されており、制御信号入力部13dは、負荷制御部14cに接続されている。
負荷制御部14cは、負荷変動部本体13bの負荷の変化を制御するためのものである。負荷制御部14cは、入力信号の振幅情報rに基づいて、負荷変動部本体13bの負荷を変化させる制御信号(スイッチング素子のON/OFF信号など)を生成する。負荷制御部14cが生成する制御信号は、入力信号の帯域をf[Hz]とした場合、fの2倍(2×f[Hz])以上のレートで、負荷変動部本体13bの負荷を離散的に変化させるデジタル信号である。つまり、制御信号の信号レートは、2×f[Hz]以上となっている。
負荷変動部13(負荷変動部本体13b)の動作レートも、制御信号の信号レートと同じであり、fの2倍(2×f[Hz])以上のレートとなる。したがって、負荷変動部13は、入力信号(基準信号)の帯域の2倍以上のレートで、負荷が離散的に変化する。
[6.17 シャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部]
以下では、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の複数の例について説明する。以下に説明する負荷変動部5001の複数の例は、それぞれ、第1〜第5実施形態の増幅装置における負荷変動部103,203,303,403,503として好適に利用可能である。
例えば、以下に説明する負荷変動部5001は、図42における負荷変動部953における複数の部分負荷変動部5001a,5001b,5001cの一つとして使用できる。また、以下に説明する負荷変動部5001を、そのまま、図42における負荷変動部953として使用してもよい。
なお、シャント回路とは、ある回路から分岐した回路をいい、本実施形態では、伝送線路5011(又は伝送線路5012)から分岐した回路をいう。伝送線路5011(又は伝送線路5012)に設けられたシャント回路の一端は、伝送線路5011(又は伝送線路5012)に接続されている。シャント回路の他端は、例えば、グランドに接続されている。シャント回路の他端は、オープンであってもよい。
[6.17.1 第1例]
図45は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の第1例を示している。
この負荷変動部5001は、並列接続された複数(2つ)の伝送線路5011,5012を備えている。
第1伝送線路5011及び第2伝送線路5012は、それぞれ、マイクロストリップライン(又はストリップライン)によって構成されている。図45に示す伝送線路5011,5012は、いずれも、λ/4伝送線路(線路長がλ/4である伝送線路)である。ただし、第2伝送線路5012の長さ方向中央位置にはシャント回路(第1シャント回路)5030が接続されるため、図45では、便宜的に、λ/4の半分の長さのλ/8伝送線路を2つ描くことで、1本の第2伝送線路5012を表現している。
前述のように、第2伝送線路5012の長さ方向中途(図45では長さ方向中央位置)には、インピーダンスを変更可能に構成されたシャント回路5030が設けられている。第1伝送線路5011にはシャント回路は設けられていない。
なお、シャント回路5030は、第2伝送線路5012の長さ方向中途位置に設けられていればよく、長さ方向中央位置である必要はない。ただし、シャント回路5030を長さ方向中央位置とすることで、回路設計が容易となる。
図45において、伝送線路5012の長さ方向中途に設けられたシャント回路5030は、可変リアクタンス回路(リアクタンスが可変である回路)として構成されている。なお、図45では、シャント回路5030に含まれる素子(制御素子)として可変インダクタLを示した。可変インダクタLは、可変インダクタLに与えられる制御信号によってインダクタンス(誘導性リアクタンス)の値(素子状態)が変化する。
この可変インダクタLは、可変コイルのようにインダクタンス(誘導性リアクタンス)を直接的に変化させる単一の素子に限られず、そのような素子と等価な回路であればよく、例えば、インダクタンス(誘導性リアクタンス)を変化できるように構成された複数の素子(制御素子を含む)からなる回路であってもよい(詳細は後述)。
シャント回路5030のインピーダンスLを、例えば図46(a)に示すように、0から無限大(∞)の範囲で変化させると、負荷変動部5001のインピーダンスは、図46(b)に示すように、スミスチャート上で円弧を描くように変化する。
ここで、図45の回路において、シャント回路5030のインピーダンスLが0又は∞になることは、図33(a)の回路において、スイッチング素子(制御素子)5021がON又はOFFになることに対応する。
つまり、L=∞になることは、図33(a)のスイッチング素子5021が非導通状態(OFF)になったのと回路的に等価である。したがって、図45に示す負荷変動部5001のインピーダンスは、第1伝送線路5011の線路インピーダンス(特性インピーダンス)Zと第2伝送線路5012の線路インピーダンス(特性インピーダンス)Zの合成インピーダンス(Z//Z)となる(図33(b)参照)。
例えば、Z=Z=Z=50[Ω]であれば、並列接続された複数の伝送線路5011,5012の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)は、25[Ω]となる。なお、Zは、負荷変動部から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値(正規化インピーダンス=1)である。インピーダンス整合とは、電力整合のことを意味する。
したがって、シャント回路5030のインピーダンスLが∞のときには、図45に示す負荷変動部5001のインピーダンスは、並列接続された複数の伝送線路5011,5012の全体の特性インピーダンスに等しい値である25[Ω]となる。
一方、L=0になることは、図33(a)のスイッチング素子5021が導通状態(ON)になったのと回路的に等価である。したがって、図45に示す負荷変動部5001のインピーダンスは、図33(c)に示すπ型回路の合成インピーダンスとなる。
このように、図45の負荷変動部5001は、図33(a)の負荷変動部5001を概念的に含むものとなっている。換言すると、図33(a)の負荷変動部5001は、図45の負荷変動部5001のシャント回路5030のインピーダンスLが、0又は∞の2値だけを離散的にとるものと回路的に等価である。
図46(b)に示すインピーダンス可変範囲Fは、L=∞である点P1を起点として、正規化インピーダンスが1である点P3(スミスチャートの中心)を通って、L=0である点P2に至る円弧上の軌跡を描く。点P1,P3,P2を通る円弧を含む円(円の中心はC1)を考えた場合、当該円の半径は、0.5となる(スミスチャート(の最外円)の半径を1とした場合)。
なお、負荷変動部5001のインピーダンスが、点P3になる場合のシャント回路5030のインピーダンスはLとする。
図45の負荷変動部5001において、インピーダンスの可変範囲Fを大きくするには、シャント回路5030が設けられている第2伝送線路5012の特性インピーダンスZを、第1伝送線路5011の特性インピーダンスZよりも大きくすればよい。Zを大きくするほど、負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲Fを大きくすることができる。
したがって、Z>Zとすることで、図45の負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲Fを、図46(b)に示す可変範囲Fよりも大きくすることができる。すなわち、Z>Zとすることで、図46のP2の位置を、点C1を中心とする円弧に沿って、スミスチャートの外側に移動させて、可変範囲Fを示す円弧を長くすることができる。
なお、Z>Zとするには、図34に示すように、第2伝送線路(マイクロストリップライン又はストリップライン)5012の幅を、第1伝送線路(マイクロストリップライン又はストリップライン)5011よりも細くすればよい。
図46(b)に示すインピーダンスの可変範囲Fのうち、点P1から点P3までの軌跡は、実軸R上又は実軸Rの近傍に位置し、実軸Rに沿って変化する部分Eとなっている。
ここで、ロードモジュレーションを適切に行うには、負荷変動部5001のインピーダンス(入力インピーダンス)は、抵抗成分のみを有するか、リアクタンス成分があるとしてもわずかで、抵抗成分が支配的であるのが好ましい。
そこで、部分Eの範囲内(点P1から点P3近傍までの範囲)で、負荷変動部5001のインピーダンスを変化させると、負荷変動部5001のインピーダンスは、リアクタンス成分が少なく、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化することになる。
なお、負荷変動部5001のインピーダンスに関して、「抵抗成分が支配的」とは、インピーダンスを、Z=R+iX(Rは抵抗成分、Xはリアクタンス成分)と表現した場合に、R/X>1となる状態をいう。つまり、抵抗成分がリアクタンス成分よりも大きい状態をいう。この状態では、インピーダンスにリアクタンス成分が実質的に存在しないものとみなす。部分Eの範囲内(点P1から点P3近傍までの範囲)では、抵抗成分が支配的な状態となっている。
また、より好ましい「抵抗成分が支配的」な状態は、R/X≧1.5であり、さらに好ましくは、R/X≧2である。
負荷変動部5001のインピーダンスを部分Eの範囲内で(連続的又は離散的に)変化させるには、シャント回路5030のインピーダンスLを、L=L(又はLの近傍の値)からL=∞までの範囲内で、(連続的又は離散的に)変化させればよい。
このようにして、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ負荷変動部5001のインピーダンスを変化させると、負荷変動部5001が実質的に抵抗にみえる状態が維持されたまま、その抵抗値を変化させることができる。
しかも、図46(b)では、点P1及び点P3の2点で、負荷変動部5001のインピーダンスに含まれるリアクタンス成分をゼロにできる。しかも、部分Eの範囲内では、リアクタンス成分が実質的に存在しないものとみなせる範囲でインピーダンスを変化させることができる。
図45に示す負荷変動部5001の入力側には、図33(a)の負荷変動部5001と同様に、インピーダンス変換部(補助インピーダンス変換部)5002が接続されている。このインピーダンス変換部5002には、λ/4伝送線路によって構成されている。図45のインピーダンス変換部5002の機能は、図25に示す増幅装置801におけるインピーダンス変換器850と同じ機能を有している。
したがって、例えば、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲が図46(b)に示すとおりである場合、インピーダンス変換部5002を設けることで、図46(c)に示すように、正規化インピーダンス=1(例えば、50Ω)以上の範囲でインピーダンスを変動させることができる。
[6.17.2 第2例]
図47は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の第2例を示している。
図47に示す負荷変動部5001は、第1伝送線路5011に接続されたシャント回路(第2シャント回路)5040を追加的に有しているほかは、図45に示す負荷変動部5001と同様の構成を有している。なお、図47では、インピーダンス変換部5002を示していないが、図47の負荷変動部5001に対しても、インピーダンス変換部5002を接続することができる。
第2伝送線路5012の第1シャント回路5030は、可変インダクタL2を有しているのに対し、第1伝送線路5011の第2シャント回路5040は、可変ではなく固定値のインダクタL1を有している。
つまり、第2シャント回路5040は、素子状態が変化しない素子L1は含むが、素子状態が変化する素子は含まない回路となっている。
なお、第2シャント回路5040も、第1シャント回路5030と同様に、第1伝送線路5011の長さ方向中央位置に設けられているが、第1伝送線路5011の長さ方向中途であれば他の位置であってもよい。
第2シャント回路5040は、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲Fを調整するためのものである。つまり、第2シャント回路は、インピーダンス可変範囲の調整用回路である。
図48は、インダクタL1のインダクタンスを6種類の値に設定した場合それぞれについて、可変インダクタL2の値を0から無限大の範囲で変化させたときにおける、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲Fを示している。
なお、図48に示す結果を求めるため、図47における第1伝送線路5011及び第2伝送線路5012それぞれの特性インピーダンスZ,Zを、Z(正規化インピーダンス=1)に設定したが、Z以外の他の値でもよい。
図48では、L1の値を、「0」(図48(a)参照)、「16.25i」(図48(b)参照)、「36.3i」(図48(c)参照)、「68.8i」(図48(d)参照)、「154i」(図48(e)参照)、「∞」(図48(f)参照)の6種類の値に設定した。図48に示すように、L1の値が大きくなるにつれて、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲Fは、点C1を中心とする円(半径0.5)に沿って、時計周りの方向に移動する。
なお、L1=∞の場合は、図45の負荷変動部5001と回路的に等価である。
このように、所望されるインピーダンス可変範囲Fに応じてL1の値を設定することで、所望のインピーダンス可変範囲Fを得ることができる。
なお、図47に示す第2例においても、図45に示す第1例と同様に、Z>Zとすることで、インピーダンスの可変範囲Fを広くすることができる。
[6.17.3 第3例]
図49(a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の第3例を示している。
図49(a)に示す負荷変動部5001は、複数(2つ)の伝送線路5011,5012それぞれに接続されているのは、いずれも、可変インダクタL1,L2を有する第1シャント回路5030a,5030bとなっている。そのほかの点は、図47に示す負荷変動部5001と同様である。なお、図49では、インピーダンス変換部5002を示していないが、図49の負荷変動部5001に対しても、インピーダンス変換部5002を接続することができる。
図49(b)は、図49(a)の負荷変動部5001のL1,L2それぞれを0から∞まで変化させたときの、負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲Fを示している。図49(b)の可変範囲Fは、図48の6種類の可変範囲Fをすべて重ね合わせたものに相当する。このように、インピーダンスを変更可能な第1シャント回路5030a,5030bを複数設けることで、L1の値が固定である場合に比べて、負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲Fを広く(可変範囲Fを示す円弧の長さを長く)することができる。
図49(b)に示すインピーダンス可変範囲は、図49(a)に示す2つの伝送線路5011,5012のパラメータ(線路長θ,θ及び特性インピーダンスZ,Z)を、図47の負荷変動部5001の2つの伝送線路5011,5012と同様に設定した場合のものである(線路長θ=θ=λ/4=λ/8+λ/8、特性インピーダンスZ=Z=Z)。
このように、可変のL1を設けることで、第2伝送線路5012の特性インピーダンスZを、第1伝送線路5011の特性インピーダンスZよりも大きくしなくても(例えば、Z=Z=Zの場合であっても)、負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲を広くすることができる。
第2伝送線路5012の特性インピーダンスZをより大きくするには、第2伝送線路5012の幅をより細くする必要があり、所望されるインピーダンスの可変範囲が大きい場合、それに伴って、第2伝送線路5012の幅を十分に小さくする必要がある。
しかし、第2伝送線路5012が形成される基板の加工上の制約から、第2伝送線路5012の幅を十分に小さくすることが困難な場合がある。
このため、第2伝送線路5012の幅を細くするというアプローチだけでは、所望されるインピーダンスの可変範囲を得ることが困難になる場合がある。
しかし、可変のL1を設けることでも、可変範囲を大きくできるため、Z=Zである場合、又は、Z>ZであるがZがさほど大きくない場合であっても、所望されるインピーダンスの可変範囲を容易に得ることができる。
図50は、第3例において、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZ,ZをZ(=50Ω)に固定し、伝送線路5011,5012の線路長θ,θを変化させた場合を示している。
図50(a)に示すように、伝送線路5011,5012の線路長θ,θは、θ=θ=θとし、θは、0.1(電気長)〜0.5(電気長)の範囲において、ステップサイズ=0.05で変化させた。
図50(b)に示すように、θ=0.25(λ/4)の場合、負荷変動部5001の可変範囲は、図49(b)に示す可変範囲Fと同じになり、点C1を中心とする円弧となる。θが0.25(λ/4)よりも大きくなると、円弧の中心C1がスミスチャート上において時計回りCWに移動する。一方、θが0.25(λ/4)よりも小さくなると、円弧の中心C1がスミスチャート上において反時計回りCCWに移動する。
このように、伝送線路5011,5012の線路長θを、0.25(λ/4)以外の長さに設定しても、可変範囲の位置(円弧の中心)が変わるだけで、線路長θ=0.25(λ/4)であるときと同様に、負荷変動部5001のインピーダンスを可変にすることができる。また、線路長θを変化させても、可変範囲の大きさを維持することができる。
また、図50(b)から明らかなように、伝送線路5011,5012の線路長θを変化させても、インピーダンス可変範囲は、必ずスミスチャートの中心(正規化インピーダンス=1)を通る。
したがって、伝送線路5011,5012の線路長θを変化させても、L1,L2を適切に設定すれば、負荷変動部5001のインピーダンスを、負荷変動部5001から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値(例えば、50Ω)にすることが可能である。
また、図50(b)から明らかなように、伝送線路5011,5012の線路長θを変化させても、L=L=0である点P2は、スミスチャートの最外円上の位置を維持する。
このように、L,Lは小さいほど、負荷変動部5001のインピーダンスは、スミスチャートの径方向外側に位置し易くなる一方、L,Lが大きいほど、スミスチャートの中心又は実軸Rの付近に位置し易くなる。
したがって、負荷変動部5001のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させる、という観点からは、L,Lはできるだけ大きな値の範囲で変化させるのが好ましい。
図51は、第3例において、伝送線路5011,5012の線路長θ,θをθ=0.25(λ/4)に固定し、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZ,Zを変化させた場合を示している。
図51(a)に示すように、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZ,Zは、Z=Z=Zとし、Zは、30Ω〜80Ωの範囲において、ステップサイズ=10で変化させた。
図51(b)に示すように、Z=50Ω(=Z)の場合、負荷変動部5001の可変範囲は、図49(b)に示す可変範囲Fと同じになり、点C1を中心とする円弧となる。Zが50Ωよりも大きくなると、円弧の中心C1がスミスチャート上において時計回りCWに移動する。ただし、L1=L2=∞である点P1は、実軸Rの位置を維持する。なお、Zが50Ωよりも大きくなると、点P1はスミスチャートの中心(正規化インピーダンス=1)に近づく。
一方、Zが50Ωよりも小さくなると、円弧の中心C1がスミスチャート上において反時計回りCCWに移動する。ただし、ただし、L1=L2=∞である点P1は、実軸Rの位置を維持する。なお、Zが50Ωよりも小さくなると、点P1はスミスチャートの中心(正規化インピーダンス=1)から遠ざかる。
図51(b)に示すように、伝送線路5011,5012それぞれの特性インピーダンスZを、50Ω以外の値に設定しても、可変範囲の位置(円弧の中心)が変わるだけで、Z=50Ωであるときと同様に、負荷変動部5001のインピーダンスを可変にすることができる。
また、図51(b)から明らかなように、伝送線路5011,5012それぞれの特性インピーダンスZを変化させても、インピーダンス可変範囲は、必ずスミスチャートの中心(正規化インピーダンス=1)を通る。
したがって、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZを変化させても、L1,L2を適切に設定すれば、負荷変動部5001のインピーダンスを、負荷変動部5001から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値(例えば、50Ω)にすることが可能である。
しかも、図51(b)に示すように、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZを変化させても、L1,L2を∞に設定すれば、負荷変動部5001のインピーダンスは実軸Rの任意の値(0Ω〜50Ω)をとることができる。
つまり、L1,L2を∞としたときの負荷変動部5001のインピーダンスは、第1伝送線路5011の線路インピーダンス(特性インピーダンス)Zと第2伝送線路5012の線路インピーダンス(特性インピーダンス)Zの合成インピーダンス(Z//Z)となる(図33(b)参照)。伝送線路5011,5012は、線路長がλ/4であれば、抵抗成分のみを有するため、合成インピーダンス(Z//Z)も、抵抗成分のみを有する(実質的にリアクタンス成分が存在しない)。
また、図51(b)から明らかなように、伝送線路5011,5012の特性インピーダンスZを変化させても、L=L=0である点P2は、スミスチャートの最外円上の位置を維持する。
このように、L,Lは小さいほど、負荷変動部5001のインピーダンスは、スミスチャートの径方向外側に位置し易くなる一方、L,Lが大きいほど、スミスチャートの中心又は実軸Rの付近に位置し易くなる。
したがって、負荷変動部5001のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させる、という観点からは、L,Lはできるだけ大きな値の範囲で変化させるのが好ましい。
しかも、伝送線路5011,5012それぞれの線路長がλ/4である場合には、L1=L2=∞である点P1からスミスチャートの中心位置付近までの可変範囲の軌跡が、実軸R上又は実軸Rの近傍に位置し、実軸Rに沿って変化する部分Eとなっている(特に、点P1が実軸R上に位置する)。
したがって、伝送線路5011,5012それぞれの線路長がλ/4である場合には、L,Lを比較的大きな値の範囲で変化させることで、負荷変動部5001のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させるのが容易となる。
さらに、図51(b)によれば、並列接続された複数の伝送線路5011,5012の全体の特性インピーダンス(Z//Z)が、負荷変動部5001から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値(例えば、50Ω)よりも、小さいことで、負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲の軌跡が、実軸Rに沿って変化する部分が広くなることがわかる。
例えば、Z=Z=Z=30Ωであれば(Z//Z)=15Ωであり、Z=Z=Z=80Ωであれば(Z//Z)=40Ωであるから、図51に例示するZの変化範囲(30Ω〜80Ωの範囲)における各値は、並列接続された複数の伝送線路5011,5012の全体の特性インピーダンス(Z//Z)が、負荷変動部5001から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値(ここでは、50Ωとする)よりも、小さくなっている。
そして、Z=Z=Zの値が小さいほど、実軸Rに沿って変化する部分Eが広くなるから、実軸Rに沿って変化する部分Eを広くするには、伝送線路5011,5012の幅を広くすればよい。したがって、実軸Rに沿って変化する部分Eを広くするためには、伝送線路5011,5012の幅を細くする必要がなく、伝送線路の幅を細くする場合の基板加工上の問題の発生を回避できる。
[6.17.4 第4例]
図52(a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の第4例を示している。
図52(a)に示す負荷変動部5001は、並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の数が、3となっている。つまり、図52(a)に示す負荷変動部5001は、図49(a)に示す負荷変動部5001に第3伝送線路5013を追加し、第3伝送線路5013に第1シャント回路5030c(可変インダクタL3)を追加したものとなっている。
そのほかの点は、図49(a)に示す負荷変動部5001と同様である。なお、図52では、インピーダンス変換部5002を示していないが、図52の負荷変動部5001に対しても、インピーダンス変換部5002を接続することができる。
図52(a)に示す負荷変動部5001のインピーダンスの可変範囲Fは、所定の条件下では、図52(b)に示すように、図49(b)と同じ可変範囲をとることができる。つまり、図52(a)に示す負荷変動部5001は、図49(a)に示す負荷変動部5001と回路的に等価となり得る。
ここで、負荷変動部5001の伝送線路の並列接続数がnであるときに、伝送線路の並列接続数がmである負荷変動部5001と等価になるための条件は、次の通りである。
Zthn/n=Zthm/m
ここで、
Zthn:伝送線路の並列接続数がnであるときの各伝送線路の特性インピーダンス
Zthm:伝送線路の並列接続数がmであるときの各伝送線路の特性インピーダンス
したがって、nが、図52に示すように3であり、mが、図49に示すように2である場合について考えると、図49(a)の負荷変動部5001においてZ=Z=Zth2としたときに、
Zth3/3=Zth2/2
が成り立てば、図52の負荷変動部5001と図49の負荷変動部5001とは回路的に等価である。
例えば、Zth3=45ΩでありZ=Z=Zth2=30Ωである場合、又は、Zth3=75ΩでありZ=Z=Zth2=50Ωである場合においては、図52の負荷変動部5001と図49の負荷変動部5001とは回路的に等価である。
したがって、第3例に係る負荷変動部5001に関する前述した考察は、図52の第4例に係る負荷変動部5001についても当てはまる。
なお、図52に示す負荷変動部5001のように3以上の伝送線路5011,5012,5013を設ける場合においても、シャント回路(第1シャント回路)5030a,5030b,5030cは、少なくとも一つの伝送線路5011,5012,5013に備わっていればよい。ただし、シャント回路(第1シャント回路)の数は二以上が好ましい。
また、図52に示す負荷変動部5001において、複数のシャント回路のうちの少なくとも一つを、可変素子を有しないシャント回路(第2シャント回路)としてもよい。
[6.17.5 第5例]
図53(a)は、伝送線路に設けたシャント回路によってインピーダンスが変化する負荷変動部5001の第5例を示している。
図53(a)に示す負荷変動部5001は、伝送線路が並列接続されておらず単一の伝送線路5011だけが存在し、その伝送線路5011に第1シャント回路5030(可変インダクタL)が設けられている。
そのほかの点は、図49(a)及び図52(a)に示す負荷変動部5001と同様である。なお、図53では、インピーダンス変換部5002を示していないが、図53の負荷変動部5001に対しても、インピーダンス変換部5002を接続することができる。
図53(a)に示す負荷変動部5001も、所定の条件下では、図53(b)に示すように、図49(b)及び図52(b)と同じ可変範囲をとることができる。つまり、図53(a)に示す負荷変動部5001は、図49(a)及び図52(a)に示す負荷変動部5001と回路的に等価となり得る。
つまり、前述の
Zthn/n=Zthm/m
という関係式は、負荷変動部5001の伝送線路の数が1(並列接続数が1)であるときにも成り立つ。
したがって、nが、図53(a)に示すように1であり、mが、図52(a)に3である場合について考えると、
Zth1/1=Zth3/3
が成り立てば、図53(a)の負荷変動部5001と図52(a)の負荷変動部5001とは回路的に等価である。
例えば、Zth1=15ΩでありZth3=45Ωである場合、又は、Zth1=25ΩでありZth3=75Ωである場合においては、図53(a)の負荷変動部5001と図52(a)の負荷変動部5001とは回路的に等価である。
よって、第4例に係る負荷変動部5001と等価になり得る第3例に係る負荷変動部5001に関する前述した考察は、図53の第5例に係る負荷変動部5001についても当てはまる。
さらに、図53の第5に係る負荷変動部5001の場合、負荷変動部において信号入力側(IN)から信号出力側(OUT)に至る伝送線路5011の数が1本(並列接続数=1)でよいため、回路構成を、簡素にすることができ好適である。
図54は、図53に示す負荷変動部5001において、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1を、負荷変動部5001から出力される信号が与えられる回路(例えば、アンテナ)にインピーダンス整合する値Zにした場合を示している。この場合、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲Fは、図54(b)に示すようになる。
図54(b)に示すインピーダンス可変範囲Fにおいては,L=∞である点P1が、正規化インピーダンスが1である点(スミスチャートの中心)となる。可変範囲Fは、スミスチャートの中心を通る円(半径=0.5)に沿った円弧となる。可変範囲Fは、点P1を起点として、L=0である点P2に至る。点P2(L=0)の場合、負荷変動部5001のインピーダンスは∞となる。
図54に示すように、1本しかない伝送線路5011の特性インピーダンスZth1をZ(例えば、50Ω)にすると、この負荷変動部5001をロードモジュレーション方式の増幅装置における負荷変動部(負荷変動器)として用いた場合に、増幅装置の効率の低下を招くことがある。
ここで、ロードモジュレーション方式においては、増幅装置に入力される信号が小さく、したがって、負荷変動部5001から出力される信号も小さくしたい場合、負荷変動部5001における信号の反射を大きくすればよい。
一方、増幅装置に入力される信号が大きく、したがって、負荷変動部5001から出力される信号も大きくしたい場合、負荷変動部5001における信号の反射を小さくすればよい。
しかし、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZ(例えば、50Ω)であると、伝送線路5011だけを考えた場合(シャント回路5030のインピーダンスが無限大であると仮定した場合)には、負荷変動部5001における反射は最小となり、負荷変動部5001からの出力される信号は最大となる(ロスは小)。
したがって、負荷変動部5001における反射を大きくして負荷変動部5001からの信号出力を小さくしたい場合には、負荷変動部5001のインピーダンスをZ(スミスチャートの中央)以外の値にすべく、リアクタンス成分が必要となる。
つまり、負荷変動部5001から小電力信号を得たい場合には、シャント回路5030のインピーダンスは無限大ではなく、無限大よりも小さい値Lにする必要がある。
この結果、信号出力を小さくしたい場合には、シャント回路5030のインピーダンスが小さくなり、シャント回路5030に無駄な電流が流れやすくなる。
シャント回路5030に流れる電流が大きいと、増幅装置の効率を低下させる。
ここで、W−CDMA,OFDMのように、ピーク電力がまれにしか発生せず、平均電力とピーク電力との比が大きい通信方式の場合、確率的に多く発生する小電力信号のロスは小さいことが望ましい。
しかし、図54に示すように、1本しかない伝送線路5011の特性インピーダンスZth1をZにすると、確率的にまれにしか発生しない大電力信号のロスが小さくなるだけで、確率的に多く発生する小電力信号のロスが大きくなる。この結果、増幅装置の効率は低下する。
なお、このことは、並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Zである場合にも当てはまる。
これに対し、1本しかない伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZ以外の値(インピーダンス整合しない値)である場合、増幅装置の効率の低下を防止できる。
ここで、インピーダンス整合とは前述のように電力整合のことであり、インピーダンス整合しない値とは、電力整合(インピーダンス整合)時と比較して、2dB以上出力電力が低下するインピーダンス値をいう。このようなインピーダンス値は、計算によって、又は、ロードプル装置とよばれる測定器によって測定することができる。
伝送線路5011の特性インピーダンスZth1が、インピーダンス整合しない値であると、伝送線路5011だけを考えた場合、つまり、シャント回路5030のインピーダンスが無限大であるときに、負荷変動部5001における反射が大きくなり、負荷変動部5001から出力される信号は小さくなる。
このとき、シャント回路5030のインピーダンスは無限大であるため、シャント回路5030にはロスとなる電流は流れない。
したがって、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がインピーダンス整合しない値であると、発生頻度の高い小電力信号を、ロスの少ないL=∞で生成することができる。この結果、発生頻度の高い小電力信号についてのロスが低下する。よって、増幅装置の効率の低下を防止できる。
なお、このことは、並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Z以外の値である場合にも当てはまる。
以上の増幅装置951の動作を、図42に即して説明する。図42の負荷制御部954cは、入力信号の振幅情報rに基づいて、シャント回路5030(5030a,5030b,5030c)の制御素子(可変インダクタ)の制御を行えばよい。
負荷制御部954cは、入力信号の振幅が小さいほど、シャント回路5030(5030a,5030b,5030c)のインピーダンスLが大きくなり、入力信号の振幅が大きいほど、シャント回路5030(5030a,5030b,5030c)のインピーダンスLが小さくなるように制御すればよい。
これにより、入力信号の振幅が小さいときには、負荷変動部5001の反射が大きくなって、負荷変動部5001の出力信号が小さくなり、入力信号の振幅が大きいときには、負荷変動部5001の反射が小さくなって、負荷変動部5001の出力信号が大きくなる。
前述のように、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZよりも小さい値であると(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Zよりも小さい値であると)、可変範囲Fが実軸Rに沿って変化する部分Eを広くとり易くなる。
つまり、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZよりも大きい値(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Zよりも大きい値)であっても、可変範囲Fが実軸Rに沿って変化する部分Eを確保することができるが、当該部分は、スミスチャートの中心よりも右側の実軸Rに沿ったものとなる。
したがって、実軸Rに沿って変化する部分Eを広くしようとすると、L=∞となる点P1の位置を、スミスチャートの中心よりも右側の実軸R上であって、インピーダンス=∞に近い位置にしなければならない。
つまり、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス))を∞に近い値(非常に大きい値)にしなければならない。
しかし、1本だけの伝送線路5011の特性インピーダンスを非常に大きい値にしようとすれば、伝送線路5011の幅を非常に細くしなければならない。しかも、複数の伝送線路5011、5012,5013が並列接続されている場合には、個々の伝送線路5011,5012,5013の伝送線路の幅をさらに細くしなければならない。
このため、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス))を非常に大きくすることは、基板加工上の観点からは、現実的には困難である。
この結果、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZよりも大きい値であると(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Zよりも大きい値)である場合には、可変範囲Fが実軸Rに沿って変化する部分Eを広くとるのが困難となる。
これに対し、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス))を小さくすることは、伝送線路の幅を大きくすればよいだけであるため、基板加工上の問題は少ない。
よって、伝送線路5011の特性インピーダンスZth1がZよりも小さい値であると(並列接続された複数の伝送線路5011,5012,5013の全体の特性インピーダンス(合成インピーダンス)が、Zよりも小さい値であると)、可変範囲Fが実軸Rに沿って変化する部分Eを広くとり易くなり、好ましい。
また、負荷変動部5001において、シャント回路5030を除いた部分、つまり、伝送線路5011は、λ/4伝送線路であるため、L=∞の場合、負荷変動部5001のインピーダンス(点P1)は、スミスチャートの実軸R上に位置する。つまり、L=∞の場合、負荷変動部5001のインピーダンスは、リアクタンスが実質的に含まれておらず、抵抗成分が支配的な値となっている。
したがって、伝送線路5011の線路長がλ/4である場合には、Lを比較的大きな値の範囲で変化させることで、負荷変動部5001のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させるのが容易となる。
なお、第5例に係る負荷変動部5001の回路構成は、第3例及び第4例に係る負荷変動部5001の回路構成を一般化したものに相当するため、第5例に係る負荷変動部5001に関する前述した考察は、第3例及び第4例に係る負荷変動部5001についても当てはまることがある。
[6.17.6 第3例の負荷変動部の回路(パターン1)]
図55は、図49に示す第3例の負荷変動部5001のL1,L2それぞれを、離散的に変化させるための回路例を示している。
図55において、第1伝送線路5011及び第2伝送線路5012の線路長は、それぞれ、λ/4である。また、第1伝送線路5011及び第2伝送線路5012の幅は同じに設定されており、両伝送線路5011,5012の特性インピーダンスは、例えば、50Ωである。
図55において、第2伝送線路5012に設けられた第1シャント回路5030aは、その第1シャント回路5030aのインピーダンス(誘導性リアクタンス)を4つの値に離散的に変更可能に構成されている。また、第1伝送線路5012に設けられた第1シャント回路5030bは、その第1シャント回路5030bのインピーダンス(誘導性リアクタンス)を2つの値に離散的に変更可能に構成されている。
図55において、第2伝送線路5012に設けられた第1シャント回路5030aは、第1線路5056と、第2線路5057と、第3線路5058と、2つのスイッチング素子(高周波スイッチング素子;制御素子)5021b(D2),5021c(D3)と、を備えている。各線路5056,5057,5058は、いずれもマイクロストリップライン又はストリップラインとして構成されている。制御信号によって素子状態が変化する制御素子であるスイッチング素子は、例えば、PINダイオードによって構成することができ、制御信号に応じて、導通状態又は非導通状態に切り替わることができる。
第1線路5056は、第2伝送線路5012の長さ方向中途(長さ方向中央位置)に設けられている。
第2線路5057は、スイッチング素子5021b(D2)を介して、第1線路5056に直列接続されている。第3線路5058は、スイッチング素子5021c(D3)を介して、第1線路5056に直列接続されている。つまり、第2線路5057及び第3線路5058を並列接続したものが、スイッチング素子5021b(D2),5021c(D3)を介して、第1線路5056に直列接続されている。
第2線路5057及び第3線路5058において、スイッチング素子5021b(D2),5021c(D3)とは反対側の端部は、オープンとなっている。
図55において、第1伝送線路5011に設けられた第1シャント回路5030bは、第1線路5061と、一つのスイッチング素子(高周波スイッチング素子;制御素子)5021a(D1)と、を備えている。第1線路5061は、マイクロストリップライン又はストリップラインとして構成されている。制御素子であるスイッチング素子は、例えば、PINダイオードによって構成することができ、導通状態又は非導通状態に切り替わることができる。
第1線路5061は、第1伝送線路5011の長さ方向中途(長さ方向中央位置)に、スイッチング素子5021a(D1)を介して接続されている。第1線路5061において、スイッチング素子5021a(D1)とは反対側の端部は、オープンとなっている。
図56は、スイッチング素子5021a(D1)をOFF(非導通状態)としたまま、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)を、ON(導通状態)/OFF(非導通状態)に切り替えた4パターンについての等価回路を示している。
図56に示すように、D2=OFF/D3=OFFの場合(図56(a)参照)、負荷変動部5001は、2つの並列接続された伝送線路5011,5012に加えて、第2伝送線路5012に第1線路5056からなるオープンスタブが設けられたものとなる。
同様に、D2=ON/D3=OFFの場合(図56(b)参照)、負荷変動部5001は、2つの並列接続された伝送線路5011,5012に加えて、第2伝送線路5012に第1線路5056及び第2線路5057からなるオープンスタブが設けられたものとなる。
同様に、D2=OFF/D3=ONの場合(図56(c)参照)、負荷変動部5001は、2つの並列接続された伝送線路5011,5012に加えて、第2伝送線路5012に第1線路5056及び第3線路5058からなるオープンスタブが設けられたものとなる。
同様に、D2=ON/D3=ONの場合(図56(d)参照)、負荷変動部5001は、2つの並列接続された伝送線路5011,5012に加えて、第2伝送線路5012に第1線路5056、第2線路5027及び第3線路5058からなるオープンスタブが設けられたものとなる。
このように、制御信号によって、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)のON/OFFを切り替えると、線路長又は線路形態の異なる4種類のオープンスタブが得られる。
したがって、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)のON/OFFを切り替えによって、第2伝送線路5012に設けられた第1シャント回路5030aは、4種類のインピーダンス(誘導リアクタンス)Za1,Za2,Za3,Za4に変化することができる。
ここで、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であると、負荷変動部5001のインピーダンス可変範囲は、図48(f)のL1=∞の場合と同じになる。したがって、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)のON/OFFを切り替えによって得られた4種類のインピーダンスは、いずれも、図48(f)のL1=∞の場合における可変範囲F内の値となる。
図57は、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)としたまま、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)を、ON(導通状態)/OFF(非導通状態)に切り替えた4パターンについての等価回路を示している。
スイッチング素子5021a(D1)がON(導通状態)であると、第1伝送線路5011に第1線路5061からなるオープンスタブが設けられたものとなる。
したがって、図57に示す等価回路は、図56に示す等価回路における第1伝送線路5011に第1線路5061からなるオープンスタブが設けられたものとなっている。
ここで、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にして、第1伝送線路5011に第1線路5061からなるオープンスタブが設けられたものとすることは、図48において、L1=∞以外のL1の値にすることと等価である。
つまり、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にすると、インピーダンス可変範囲Fが、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときに比べて、変化する。
したがって、図58にも示すように、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にすると、負荷変動部5001のインピーダンスの値Zb1,Zb2,Zb3,Zb4は、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときのインピーダンスの値Za1,Za2,Za3,Za4に比べて変化する。
よって、負荷制御部954cからの制御信号によって、スイッチング素子5021a(D1)、スイッチング素子5021b(D2)及びスイッチング素子5021c(D3)のON/OFFを切り替えることで、合計8種類のインピーダンスに変化させることができる。
なお、第1線路5061の線路長Dは、λ/4又はλ/4付近の長さ(例えば、λ/4 ≦ D ≦ 3λ/8)であるのが好ましい。
[6.17.7 第3例の負荷変動部の回路(パターン2)]
図59は、図49に示す第3例の負荷変動部5001のL1,L2それぞれを、離散的に変化させるための他の回路例を示している。
図59の負荷変動部5001では、第1伝送線路5011に設けられた第1シャント回路5030bの構成が、図55の負荷変動部5001と異なっているが、他の構成については図55と同様である。
図59の回路例は、図55の回路例よりもロスを低減可能にしたものである。
図55の回路では、スイッチング素子5021a(D1)が導通状態であると、第1伝送線路5011に線路長Dのオープンスタブが設けられたことになる。そして、第1伝送線路5011に接続される第1線路5061(オープンスタブ)の線路長Dがλ/4付近の長さである場合には、第1伝送線路5011と第1線路5061との接続位置(スイッチング素子5021a(D1)の位置)は、shortとなる。
したがって、スイッチング素子5021a(D1)が導通状態のときに、shortになるため、スイッチング素子5021a(D1)に電流が流れ易くなり、スイッチング素子5021a(D1)に流れる電流によってロスが発生する。
もっとも、第1伝送線路5011は、その位置によって電流の大きさが異なり、第1伝送線路5011において電流が小さくなる位置に、第1線路5061(スイッチング素子5021a(D1))を設ければ、ロスの発生を小さくできる。
しかし、第1伝送線路5011において電流が小さくなる位置に、第1線路5061(スイッチング素子5021a(D1))を設けようとすると、回路設計の自由度が低下する。
そこで、図59の回路例では、第1伝送線路5011において電流が大きくなる位置に、第1線路5061(スイッチング素子5021a(D1))を設けても、ロスの発生を小さくできるように構成されている。
具体的には、第1伝送線路5011に設けられた第1シャント回路5030bは、線路長がDの線路からなる第1スタブ5071と、線路長がλ/4の第2スタブ5072と、スイッチング素子5021a(D1)と、を備えている。
第1スタブ5071は、第1伝送線路5011の長さ方向中途(長さ方向中央)の接続位置に設けられている。第1スタブ5071の線路長Dは、λ/4又はλ/4付近の長さ(例えば、λ/4 ≦ D ≦ 3λ/8)であるのが好ましい。
以下では、便宜的に、第1スタブ5071を、第1伝送線路5011との接続位置からλ/4の線路長の部分(第1部分)5071aと、第1部分5071aを除いた残りの部分(第2部分)5071bと、を分けて考える場合がある。第2部分の線路長は、(D−λ/4)である。
第2スタブ5072は、スイッチング素子5021a(D1)を介して、第1スタブ5071の長さ方向中途に接続されている。
スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときには、第2スタブ5072は実質的に存在しなくなり、線路長(非導通状態線路長)がDである第1スタブ5071によるオープンスタブが、第1伝送線路5011に接続された状態となる。線路長(非導通状態線路長)Dのオープンスタブによって、図55に示す負荷変動部5001において、スイッチング素子5021a(D1)がON(導通状態)であるときと同じ状態(図57参照)が得られる。
したがって、スイッチング素子5021a(D1)をOFF(非導通状態)にすると、負荷変動部5001のインピーダンスの値が、スイッチング素子5021a(D1)がON(導通状態)であるときのインピーダンスの値に比べて変化する。
一方、スイッチング素子5021a(D1)がONであるときには、第1スタブ5071の第1部分5071a及び第2スタブ5072による線路長λ/2のオープンスタブが、第1伝送線路5011に接続された状態となる。
ここで、第2スタブ5072は、スイッチング素子5021a(D1)が接続されているのとは反対側の端部がopenであるため、第2スタブ5072において、スイッチング素子5021a(D1)が接続されている側の端部はshortとなる。第1スタブ5071の第2部分5071bは、shortとなる位置において、第2スタブ5072と並列に接続されているため機能しない。
したがって、スイッチング素子5021a(D1)がONであるときには、線路長λ/4の第1スタブ5071の第1部分5071a及び線路長λ/4の第2スタブ5072だけが直列接続されている状態となる。この結果、線路長λ/2のオープンスタブが、第1伝送線路5011に接続された状態となる。
そして、線路長λ/2のオープンスタブの場合、第1スタブ5071と第1伝送線路5011との接続位置もopenになる。このため、第1伝送線路5011からみると、線路長λ/2のオープンスタブは存在しないのと等価となる。線路長λ/2のオープンスタブによって、図55に示す負荷変動部5001において、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときと同じ状態(図56参照)が得られる。
この結果、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にすると、負荷変動部5001のインピーダンスの値が、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときのインピーダンスの値に比べて変化する。
図59の負荷変動部5001では、スイッチング素子5021a(D1)がONであるときには、第1伝送線路5011からみると、線路長λ/2のオープンスタブは存在しないのと等価となる。したがって、第1スタブ5071が、第1伝送線路5011において電流が大きい部分に設けられていても、第1スタブ5071へ流れる電流は小さくなり、第1スタブ5071(線路長λ/2のオープンスタブ)に流れる電流によるロスも小さくなる。
なお、スイッチング素子5021a(D1)は、線路長λ/2のオープンスタブにおいてshortとなる位置に設けられており、電流が大きくなり易い位置にある。ただし、線路長λ/2のオープンスタブ自体に流れる電流が小さくなっているため、スイッチング素子5021a(D1)に流れる電流も小さくなっており、スイッチング素子5021a(D1)におけるロスの発生を抑えることができる。
スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にしたときに得られるオープンスタブの線路長は、λ/2に限られず、(λ/2)×n(nは1以上の整数)であればよい。具体的には、第2スタブ5072の線路長は、λ/4に限られず、(λ/4)+((λ/2)×m(mは0以上の整数))であればよい。
また、図59に示すシャント回路5030bは、第2伝送線路5012に接続される第1シャント回路5030aとして使用してもよい。
[6.17.8 第3例の負荷変動部の回路(パターン3)]
図60は、図49に示す第3例の負荷変動部5001のL1,L2それぞれを、離散的に変化させるための他の回路例を示している。
図60の負荷変動部5001では、第1伝送線路5011に設けられた第1シャント回路5030bの構成が、図55の負荷変動部5001と異なっているが、他の構成については図55と同様である。
図60の回路例も、図59の回路例と同様に、図55の回路例よりもロスを低減可能にしたものである。
図60において、第1伝送線路5011に設けられた第1シャント回路5030bは、線路長がDの線路からなる第1スタブ5073と、線路長が((λ/2)−D)の第2スタブ5074と、スイッチング素子5021a(D1)と、を備えている。
第1スタブ5073は、第1伝送線路5011の長さ方向中途(長さ方向中央)の接続位置に設けられている。第1スタブ5073の線路長Dは、λ/4又はλ/4付近の長さ(例えば、λ/4 ≦ D ≦ 3λ/8)であるのが好ましい。
第2スタブ5074は、スイッチング素子5021a(D1)を介して、第1スタブ5073に直列接続されている。第2スタブ5074の線路長は、((λ/2)−D)に限られず、(((λ/2)×n)−D)(nは1以上の整数)であってもよい。
スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときには、第2スタブ5074は実質的に存在しなくなり、線路長(非導通状態線路長)がDである第1スタブ5073によるオープンスタブが、第1伝送線路5011に接続された状態となる。線路長(非導通状態線路長)Dのオープンスタブによって、図55に示す負荷変動部5001において、スイッチング素子5021a(D1)がON(導通状態)であるときと同じ状態(図57参照)が得られる。
したがって、スイッチング素子5021a(D1)をOFF(非導通状態)にすると、負荷変動部5001のインピーダンスの値が、スイッチング素子5021a(D1)がON(導通状態)であるときのインピーダンスの値に比べて変化する。
一方、スイッチング素子5021a(D1)がONであるときには、直列接続された第1スタブ5073及び第2スタブ5074による線路長λ/2のオープンスタブが、第1伝送線路5011に接続された状態となる。
線路長λ/2のオープンスタブの場合、第1スタブ5073と第1伝送線路5011との接続位置もopenになる。このため、第1伝送線路5011からみると、線路長λ/2のオープンスタブは存在しないのと等価となる。線路長λ/2のオープンスタブによって、図55に示す負荷変動部5001において、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときと同じ状態(図56参照)が得られる。
この結果、スイッチング素子5021a(D1)をON(導通状態)にすると、負荷変動部5001のインピーダンスの値が、スイッチング素子5021a(D1)がOFF(非導通状態)であるときのインピーダンスの値に比べて変化する。
図60の負荷変動部5001では、スイッチング素子5021a(D1)がONであるときには、第1伝送線路5011からみると、線路長λ/2のオープンスタブは存在しないのと等価となる。したがって、第1スタブ5073が、第1伝送線路5011において電流が大きい部分に設けられていても、第1スタブ5073へ流れる電流は小さくなり、第1スタブ5073(線路長λ/2のオープンスタブ)に流れる電流によるロスも小さくなる。
しかも、図60の負荷変動部5001では、スイッチング素子5021a(D1)は、線路長λ/2のオープンスタブにおいてshortとなる位置(openの位置からλ/4の位置)には設けられていないため、線路長λ/2のオープンスタブにおいて比較的電流が少ない位置に設けられていることになる。
したがって、図60の負荷変動部5001では、図59の負荷変動部5001よりも、スイッチング素子5021a(D1)に流れる電流によるロスを低減することができる。
図60に示すシャント回路5030bは、第2伝送線路5012に接続される第1シャント回路5030aとして使用してもよい。
また、図55、図59、及び図69に示す第1シャント回路5030a,5030bは、図45に示す第1例の第1シャント回路5030、図47に示す第2例の第1シャント回路5030に用いても良い。
[6.17.9 インピーダンスが可変である第1シャント回路の回路例]
図61〜図66は、既に説明した第1シャント回路の回路例以外の、第1シャント回路の回路例の様々なバリエーションを示している。なお、図61及び図63〜図65では、理解の容易のため、第1シャント回路5030の回路例を、図45に示す第1例の負荷変動部5001の第1シャント回路5030に用いたものを示した。ただし、図61及び図63〜図66に示す第1シャント回路5030の回路例は、図45、図47、及び図49〜図54に示す第1シャント回路5030a,5030b,5030b,5030cとして用いても良い。
図61に示す第1シャント回路5030は、キャパシタンス(容量性リアクタンス)を変化させることで、第1シャント回路5030としてはインダクタンス(誘導性リアクタンス)が変化するように動作させるためのものである。
具体的には、第1シャント回路5030は、並列接続された複数(2つ)のキャパシタCs1,Cs2を有している。複数のキャパシタCs1,Cs2は、それぞれ、制御信号によって素子状態(ON/OFF)が変化するスイッチング素子(高周波スイッチング素子;制御素子)5021a(D1),5021b(D2)を介して、グランドに接続されている。制御信号によって素子状態が変化する制御素子であるスイッチング素子は、例えば、PINダイオードによって構成することができ、制御信号に応じて、導通状態又は非導通状態に切り替わることができる。
並列接続された複数のキャパシタCs1,Cs2には、更に、インダクタLsが並列接続されている。インダクタLsは、負荷変動部5001の出力信号が大きい場合に対応するためのものである。複数のキャパシタCs1,Cs2及びインダクタLsによって、第1シャント回路本体5090が構成されている。ただし、インダクタLsは省略してもよい。
第1シャント回路本体5090は、マイクロストリップライン又はストリップラインからなる線路5080を介して、第2伝送線路5012の長さ方向中途(長さ方向中央位置)に接続されている。
線路5080の線路長は、3λ/8(λ×3/8)であり、インピーダンスを変換するために用いられる。
2つのスイッチング素子5021a(D1),5021b(D2)がとり得る4通りのON/OFFの組み合わせに対応する、第1シャント回路本体5090の4通りのインピーダンスZc1,Zc2,Zc3,Zc4を、図62(a)に示した。
第1シャント回路本体5090のインピーダンスZc1,Zc2,Zc3,Zc4が図62(a)に示すような値をとる場合に、第1シャント回路本体5090と第2伝送線路5012との間に、線路長3λ/8の線路5080が設けられていると、第2伝送線路5012からみた第1シャント回路5030のインピーダンスは、図62(b)に示すようになる。図62(b)は、図46(a)におけるシャント回路インピーダンスの可変範囲内で、インピーダンスを離散的に変化させたものに対応する。
集中定数の回路素子だけを使うと、図62(b)のZc1,Zc4のように、インピーダンスが0又は∞の値を生成することは困難である。しかし、線路長3λ/8の線路5080を設けることで、図62(b)に示すようにインピーダンスを変換できるため、図62(b)のようなインピーダンスが得られる第1シャント回路本体5090を設ければ、0又は∞のインピーダンスであっても、比較的容易に生成できる。
図63は、図61に示す第1シャント回路5030にスイッチング素子(高周波スイッチング素子;制御素子)5021c(D0)を追加したものである。
追加されたスイッチング素子5021c(D0)は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子であり、例えば、PINダイオードによって構成することができ、制御信号に応じて、導通状態又は非導通状態に切り替わることができる。
追加されたスイッチング素子5021c(D0)は、第2伝送線路5012と線路長3λ/8の線路5080との間に設けられている。
スイッチング素子5021cは、第1シャント回路5030が最大インピーダンス(最大インダクタンス)をとるように、スイッチング素子5021a,5021bが切り替えられたときに、OFF(非導通状態)となる。これにより、第1シャント回路5030によるロスを抑えることができる。この結果、負荷変動部5001の出力信号(ロードモジュレーション方式の増幅装置の出力信号)が大きい場合の効率低下を抑えることができる。
図64は、図61に示すキャパシタCs1,Cs2及びインダクタLsを、マイクロストリップライン又はストリップラインからなる線路(スタブ)5091,5092,5093に置き換えたものである。これにより、低ロス化が可能である。
なお、線路5091,5092はオープンスタブとして設けられ、線路5093はショートスタブとして設けられている。線路5093の線路長は、(λ/8+n×(λ/2)(nは1以上の整数))である。線路5093をショートスタブとすることで、線路長を短くすることができる。
さて、これまでに説明した第1シャント回路5030の例は、第1シャント回路5030のインピーダンスが離散的に変化し、したがって、負荷変動部5001のインピーダンスも離散的に変化するものであった。
これに対し、図65は、第1シャント回路5030のインピーダンスが連続的に変化し、したがって、負荷変動部5001のインピーダンスも連続的に変化させることができる。
図65では、第1シャント回路5030は、線路長が3λ/8である線路5080と、制御信号によって素子状態(キャパシタンスの値)が変化する制御素子5021aとしての可変キャパシタンス素子(バラクタダイオード、LDMOSなど)5096を備えている。なお、制御素子(制御回路)5021aには、可変キャパシタンス素子(バラクタダイオード)5096の両端に印加される電圧を、制御信号に応じて変化させる可変電源部5095も含まれている。
可変キャパシタンス素子5096は、キャパシタンス(容量性リアクタンス)を変化させるが、線路長3λ/8の線路5080が設けられていることで、第1シャント回路5030全体としては、誘導性リアクタンスの範囲でインピーダンスが変化する。
インピーダンスが連続的に変化する第1シャント回路5030では、制御素子を多数設けなくても、様々な値のインピーダンスをとることができるため、回路構成を簡素にすることができる。また、インピーダンスの細かな調整も容易となる。
さらに、第1シャント回路5030のインピーダンスを誘導性リアクタンスとしたい場合であっても、入手の容易な可変キャパシタンス素子5096を用いつつ、線路長3λ/8の線路5080も用いることで、容易に第1シャント回路5030を構成できる。
図66(a)〜(k)は、第1シャント回路5030のさらに他の例を示している。図66(a)〜(e)は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子5021aとして、可変キャパシタンス素子を用いて、インピーダンスを連続的に変化させる回路の例である。なお、図66(a)〜(e)において、可変電源部5095の図示は省略した。
図66(a)〜(e)の第1シャント回路5030では、制御素子5021a以外の他の素子5081を備えている。図66(a)では、他の素子5081は、制御素子5021aに直列接続されたインダクタ(集中定数)である。図66(b)の第1シャント回路5030では、図66(a)のインダクタ(集中定数)5058が、マイクロストリップライン又はストリップラインからなるインダクタ(分布定数)に置換されている。
図66(c)では、他の素子5081は、制御素子5021に並列接続されたインダクタ(集中定数)である。図66(d)の第1シャント回路5030では、図66(c)のインダクタ(集中乗数)5081が、マイクロストリップライン又はストリップラインからなるインダクタ(分布定数)に置換されている。
図66(e)の第1シャント回路5030では、図66(d)に示す回路に対して、図61などに示す線路長3λ/8の線路5080と同様の線路5080が追加されている。
図66(f)〜(k)は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子5021aとして、スイッチング素子(高周波スイッチング素子;PINダイオード)を用いて、インピーダンスを離散的に変化させる回路の例である。
図66(f)の第1シャント回路5030では、図66(e)の可変キャパシタンス素子5021aが、スイッチング素子5021a及びキャパシタ5082に置換されている。図66(g)の第1シャント回路5030では、図66(f)のキャパシタ5058がマイクロストリップライン又はストリップラインからなるキャパシタ(分布定数)に置換されている。
図66(h)の第1シャント回路5030は、並列接続された複数のスイッチング素子5021a,5021bを、制御信号によって素子状態が変化する制御素子として有している。図66(h)において、一方のスイッチング素子5021aには、インダクタ5081が接続されている。
図66(i)の第1シャント回路5030は、図66(h)において、直列接続されたスイッチング素子5021a及びインダクタ5081の位置を逆にしたものである。
図66(j)の第1シャント回路5030は、図66(i)の第1シャント回路5030のインダクタ5081とスイッチング素子5021aとの間に、キャパシタ5082を追加したものである。
図66(k)の第1シャント回路5030は、図66(h)の第1シャント回路5030におけるインダクタ5081を、マイクロストリップライン又はストリップラインからなるインダクタ(分布定数)に置換したものである。図66(k)において、インダクタ5081は、オープンスタブとなっている。
図66に示す多様な回路例においても、各素子の値を適切に設定することで、第1シャント回路5030のインピーダンス(特に、誘導性リアクタンス)の値を所望の値に変化させることができる。したがって、負荷変動部5001のインピーダンスを所望の値に変化させることができる。
[7.付記]
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、いずれかの開示した複数の実施の形態又は例において示された手段は、他の実施形態又は例においても採用可能である。
101:増幅装置
102:増幅器(スイッチング増幅器)、103:負荷変動部、104:処理部、104a:振幅演算部、104b:位相演算部、104c:負荷制御部、105:遅延調整部、106:位相変調器
201:増幅装置
202:増幅器(スイッチング増幅器)、203:負荷変動部、204:処理部、204a:振幅演算部、204b-1,204b-2:演算部、204c:負荷制御部、205:遅延調整部、206:直交変調器
301:増幅装置、302:増幅器(スイッチング増幅器)、303:負荷変動部、304:処理部、304a:振幅演算部、304c:負荷制御部、305:遅延調整部、306:直交変調器
401:増幅装置
402:増幅器(スイッチング増幅器)、403:負荷変動部、404:処理部、404a:振幅演算部、404c:負荷制御部、405:遅延調整部、406:直交変調器、407,408,409:歪補償部
501:増幅装置
502:増幅器(スイッチング増幅器)、503:負荷変動部、504:処理部、504a:振幅演算部、504c:負荷制御部、505:遅延調整部、506:直交変調器、508:電源変調部、
601:増幅装置
602:増幅器(スイッチング増幅器)、602a,602b 増幅器(スイッチング増幅器)、603:負荷変動部、603a,603b:位相調整器、603e:合成部、603f:アイソレータ、604:処理部、604a:振幅演算部、604c−1,604c−2:負荷制御部、605a,605b:遅延調整部、606:直交変調器
701:増幅装置
702a,702b:増幅器(スイッチング増幅器)、703:負荷変動部、703a,703b:位相調整器、703e:合成部、703f:アイソレータ、704:処理部、704a:振幅演算部、704c−1,704c−2:負荷制御部、705a,705b:遅延調整部、706:直交変調器、709:歪補償部
801:増幅装置
802:増幅器(スイッチング増幅器)、803:負荷変動部、804:処理部、804a:振幅演算部、804c−1,804c−2:負荷制御部、805a,805b:遅延調整部、806:直交変調器、809:歪補償部、821,822:可変インピーダンス、840:位相器、843:アイソレータ、850:インピーダンス変換器
901:増幅装置
902:増幅器(スイッチング増幅器)、903:負荷変動部、904:処理部、904a:振幅演算部、904c:負荷制御部、905a,905b,905c,905d:遅延調整部、906:直交変調器、909:歪補償部、950:インピーダンス変換器
951:増幅装置
952:増幅器(スイッチング増幅器)、953:負荷変動部、954:処理部、9454a:振幅演算部、954c:負荷制御部、905a,905b,905c:遅延調整部、956:直交変調器、959:歪補償部、960:インピーダンス変換器
1001:負荷変動器(負荷変動部)
1002:増幅器、1003a,1003b:位相調整器、1003c,1003d:インピーダンス変換器、1003e:合成部、1003f:アイソレータ、1010:アンテナ、1011:位相制御部
2001 増幅装置
2002a,2002b:増幅器、2003e:合成部、2004:信号処理部、2006a,2006b:位相変調器
3001 負荷変動器(負荷変動部)
3011,3012,3013,3014:伝送路、3021,3022:可変インピーダンス、3035:可変容量ダイオード、3025:インダクタ、3025a:分布定数線路、3028:制御素子(スイッチング素子)、3031:制御部、3040:位相器、3041:位相補正部、3043:アイソレータ、P1:第1ポート、P2:第2ポート、P3:第3ポート、P4:第4ポート
4001:負荷変動器(負荷変動部)
4002:増幅器、4003a,4003b:位相調整器、4010:アンテナ、4111,4112,4113,4114:伝送線路、4121,4122:可変インピーダンス、4140:位相器、4141:位相補正部、4150:インピーダンス変換器、4031:負荷制御部
5001:負荷変動器(負荷変動部)
5001a,5001b,5001c,5001d,5001e:部分負荷変動部、5002:補助インピーダンス変換部、5011,5012,5013:伝送線路、5012a,5012b:λ/8伝送線路、5021,5021a,5021b,5021c:制御素子(スイッチング素子;高周波スイッチング素子;PINダイオード;可変キャパシタンス素子)、5022:付加素子(インダクタ)、5023、共振回路、5030、5030a,5030b,5030c:第1シャント回路、5031:負荷制御部、5040:第2シャント回路、5050:両面基板、5051:表面、5052:裏面、5053,5054:スルーホール、5056:第1線路、5057:第2線路、5058:第3線路、5061:第1線路、5071:第1スタブ、5072:第2スタブ、5073:第1スタブ、5074:第2スタブ、5080:線路
6001:負荷変動器(負荷変動部)
6011〜6015:負荷部、6021,6021:スイッチ部
11:増幅装置
12:増幅器(スイッチング増幅器)、13:負荷変動部(負荷変動器)、13a:入力部、13b:負荷変動部本体(負荷変動器本体)、13c:出力部、13d:制御信号入力部、14c:負荷制御部

Claims (10)

  1. 信号を増幅する増幅器と、
    前記増幅器の出力側に接続された負荷変動部と、
    を備える増幅装置であって、
    前記負荷変動部は、
    伝送線路と、
    前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、
    を備え、
    前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、
    前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを変化させ、
    前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であるとともに、抵抗成分が支配的な値である
    ことを特徴とする増幅装置。
  2. 信号を増幅する増幅器と、
    前記増幅器の出力側に接続された負荷変動部と、
    を備える増幅装置であって、
    前記負荷変動部は、
    伝送線路と、
    前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、
    を備え、
    前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、
    前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを変化させ、
    前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であり、
    前記伝送線路は、λ/4伝送線路(λは、信号波長)である
    ことを特徴とする増幅装置。
  3. 前記制御素子は、前記シャント回路が存在しないのと同視できる程度に、前記シャント回路のインピーダンスを高く変化させる
    請求項1又は2記載の増幅装置。
  4. 前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動部のインピーダンスを、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とインピーダンス整合する値又はその値の近傍の値に変化させる
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅装置。
  5. 前記制御素子は、前記負荷変動部のインピーダンスを、抵抗成分が支配的な状態を維持しつつ変化させる
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の増幅装置。
  6. 前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動部のインピーダンスは、前記負荷変動部から出力される信号が与えられる回路とインピーダンス整合する値よりも小さい値である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の増幅装置。
  7. 前記シャント回路は、前記伝送線路の線路方向における中央位置に接続されている
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の増幅装置。
  8. 請求項1又は2記載の増幅装置を備え、
    前記増幅装置により、通信信号を増幅する
    ことを特徴とする無線通信装置。
  9. 負荷が変動する負荷変動器であって、
    伝送線路と、
    前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、
    を備え、
    前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、
    前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動器のインピーダンスを変化させ、
    前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動器のインピーダンスは、前記負荷変動器から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であるとともに、抵抗成分が支配的な値である
    ことを特徴とする負荷変動器。
  10. 負荷が変動する負荷変動器であって、
    伝送線路と、
    前記伝送線路の中途に接続されたシャント回路と、
    を備え、
    前記シャント回路は、制御信号によって素子状態が変化する制御素子を含み、
    前記制御素子は、素子状態の変化によって、前記負荷変動器のインピーダンスを変化させ、
    前記シャント回路のインピーダンスが無限大であると仮定した場合において、前記負荷変動器のインピーダンスは、前記負荷変動器から出力される信号が与えられる回路とはインピーダンス整合しない値であり、
    前記伝送線路は、λ/4伝送線路(λは、信号波長)である
    ことを特徴とする負荷変動器。
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