JP2013224877A - 水蒸気透過性評価用セルおよび水蒸気透過性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気透過性を評価する試験片の水蒸気透過性評価において、セル作製時の環境や、セル外層部より浸入した水蒸気の影響を低減することが可能であり、より高い信頼性を有する評価結果が得られる水蒸気透過性評価セル及び水蒸気透過性評価方法を提供する。
【解決手段】試験片1に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層2と、吸湿構造3とを備えていることを特徴とする水蒸気透過性評価用セル10。吸湿構造3は、水分を透過する有機物により固定されている水蒸気透過性評価用セル10。水蒸気透過性評価用セル10を用いて、評価用セル10を加湿処理し、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層2の腐食状態を評価することにより、試験片1の水蒸気透過性を評価する、水蒸気透過性評価方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、水蒸気透過性評価用セルおよび水蒸気透過性評価方法に関するものである。
従来より、プラスチック、フィルム、シートなどの包装材料の重要な特性の一つである水蒸気透過度は、所定の温度と湿度の条件下で単位時間に単位面積の試験片を通過する水蒸気の量で評価され、代表的な試験方法として、感湿センサー法、カップ法などにより測定されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
近年、ディスプレイなどに用いる薄膜などにおいては耐透水性の良好な膜が開発されるようになり、従来の水蒸気透過度試験では評価が困難なレベルとなり、カルシウム層を用いた試験法などにより測定されるようになってきた(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、このような方法においても、高度な耐透水性が求められる薄膜の試験では、適切な処理をしないと、試験片のわずかな歪みやゴミ等の影響により、加湿処理の際に、評価用セルにおけるカルシウム層の外側に設けられた水不透過部位にわずかな間隙などを生じることがある。このようにわずかなものであっても間隙などが生じると、その間隙から水蒸気が進入し、カルシウム腐食法の評価基準となるカルシウム層に、目的としない腐食物を生じることとなり、試験片が本来有する特性や測定精度に影響を与えることとなる。また、カルシウム層に生じた腐食物が、試験片を透過した水によるものか、外層部の水不透過層より浸入した水によるものかを容易に確認できないこともあった。更には、セル作製環境に存在する水分が、作製時にセル内に入り込むことにより同様の影響を及ぼす込むこともあり、評価の信頼性を向上させることが求められている。
JIS K 7129 JIS Z 0208 G. NISATO at al, SID Conference Record of the International Display Research Conference pp. 1435-8
本発明は、水蒸気透過性を評価する試験片の水蒸気透過性評価において、セル作製時の環境や、セル外層部より浸入した水蒸気の影響を低減することが可能であり、より高い信頼性を有する評価結果が得られる水蒸気透過性評価セル及び水蒸気透過性評価方法を提供するものである。
本発明者は、水蒸気透過性の評価用セルにおいて、試験片の評価面に水蒸気透過性を評価するための腐食性金属層と、水蒸気(水分)を吸着する物質により構成される吸湿構造とを備えることにより、試験片を透過した水蒸気以外の水蒸気(水分)が、水蒸気透過性を評価するための腐食性金属層に腐食を生じさせることがないため、セル作製時の環境や、セル外層部より侵入した水蒸気の誤検出を抑制し、水蒸気評価における信頼性が向上することを見出し、さらに検討することにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記第(1)項〜第(4)項に記載の水蒸気透過性評価用セル、及び下記第(5)項〜第(7)項に記載の水蒸気透過性評価方法により構成される。
(1)試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、吸湿構造とを備えていることを特徴とする水蒸気透過性評価用セル。
(2)前記吸湿構造は、水分を透過する有機物により固定されている(1)に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(3)前記腐食性金属層と吸湿構造の間に、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層を備えた(1)又は(2)に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(4)前記水蒸気不透過層は、水蒸気を透過しない金属からなる金属層と、アルカリ土類金属からなる割れ防止緩衝層を有する積層構造を備えたものである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セルを用いて、前記評価用セルを加湿処理し、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層の腐食状態を評価することにより、試験片の水蒸気透過性を評価する、水蒸気透過性評価方法。
(6)前記腐食状態の評価は、試験片と接する、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層の表面を直接観察することにより、試験片の欠陥部を評価するものである、(5)に記載の水蒸気透過性評価方法。
(7)前記腐食状態の評価は、さらに、水と反応して腐食物を生じる腐食性金属層における腐食物の面積と腐食物の厚みから算出される金属腐食物の体積から、試験片を透過した水分量を定量するものである、(6)に記載の水蒸気透過性評価方法。
本発明の水蒸気透過性評価セルによれば、水蒸気透過性を評価する試験片の水蒸気透過性評価において、セル外層部より侵入した水蒸気の誤検出を抑制し、より高い信頼性を有する評価結果が得られる。水蒸気透過性評価セル及び水蒸気透過性評価方法に関するものである。
本発明の、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる金属層と、水蒸気を吸着する物質により構成される乾燥構造を備えていることを特徴とする水蒸気透過性評価用セルの構造の一例について説明するための模式図である。 本発明の、金属層と乾燥構造の間に、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層とを備えたことを特徴とする水蒸気透過性評価用セルの構造の一例について説明するための模式図である。 本発明の、水蒸気を吸着する乾燥構造が、水蒸気を透過する有機物により固定されている水蒸気透過性評価用セルの構造の一例について説明するための模式図である。
本発明は、試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、吸湿構造とを備えた、水蒸気透過性評価に用いる評価用セルであって、吸湿構造を備えることにより、セル作製時の環境や、評価における加湿処理時に、セル外層部より水蒸気(水分)の侵入を生じたとしても、侵入した水蒸気(水分)の誤検出を抑制することが可能となり、より評価の信頼性を向上させることができるものである。加えて、前記金腐食性属層と吸湿構造の間に、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層を設けることにより、吸湿構造の効果を発現しやすくすることができ、さらに前記水蒸気不透過層は、水蒸気を透過しない金属からなる金属層と、アルカリ土類金属からなる割れ防止緩衝層を有する積層構造を備えることで、より水蒸気不透過層の効果を向上させることができる。また、前記吸湿構造は、水分を透過する有機物により固定することで、セルの安定性が向上することで、セル外層部の水蒸気不透過層より水蒸気が侵入しても、侵入した水蒸気の誤検出を安定的に抑制することが可能となり、より評価の信頼性を向上させることができるものである。
また、本発明は、上記水蒸気透過性評価用セルを用いて、前記評価用セルを加湿処理し、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層の腐食状態を評価することにより、試験片の水蒸気透過性を評価することができるものである。水蒸気透過性の評価においては、加湿処理により、水蒸気透過性評価用セルに組み込んだ水蒸気透過性を評価する試験片が水蒸気を透過する場合、透過した水蒸気が、前記水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層に到達し、該腐食性金属層が腐食反応を起こし腐食物を生成することから、ここで生成した腐食物により、評価を行うものである。さらに詳しい評価として、該腐食物の体積を算出することにより、試験片を透過した水分量を定量して水蒸気透過率を得ることができるものである。
本発明の評価に用いる試験片としては、フィルム状、シート状、板状あるいはブロック状などの形状を有するものを用いることができる。本発明の水蒸気透過性評価には、一般的に、食品や電子部品などに用いられる単層もしくは複合防湿フィルムやシート、金属蒸着膜、建材用防水シート、組立部品などが適用することができる。
本発明の水蒸気透過性評価用セルの構造について、図面を用いて、その一例を説明する。
図1は、本発明に用いる水蒸気透過性を評価する試験片1と、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層(以下、腐食性金属層)2と、吸湿構造3を備えた評価用セル10の一例を示す模式図である。
本発明の評価用セルは、フィルムなどの水蒸気透過性を評価する試験片1の評価面の所定の位置に、腐食性金属層2が設けられ、吸湿構造3を有したセル筐体4により構成されるものである。なお、吸湿構造3は図面の構造に限られるものではないが、腐食性金属層2に接していてもよく、さらに腐食性金属層2に接した吸湿構造3を覆うようにセル筐体4で封止されていてもよい。
図2は、本発明に用いる水蒸気透過性を評価する試験片1と、腐食性金属層2と吸湿構造3の間に、さらに、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層(以下、水蒸気不透過層)5を備えた評価用セル10の一例を示す模式図である。水蒸気不透過層5を備えることにより、吸湿構造3の効果を、より発現しやすくすることができる。なお、水蒸気不透過層は図面の構造に限られるものではないが、金属や無機物を蒸着したもの、水蒸気不透過層に更に割れ防止緩衝層を具備するもの、金属や無機物の蒸着層と割れ防止緩衝層を多層に積層したものなど(図示せず)が、水蒸気不透過層として使用することができる。
図3は、本発明の、吸湿構造3が、水蒸気(水分)を透過する有機物6により固定されている水蒸気透過性評価用セル10の構造の一例について説明するための模式図である。このように、水蒸気(水分)を透過する有機物6により固定することで、吸湿構造を構成する材料が、粉体状や液体状などの場合、偏りを生じることがなく、セルの安定性が向上し、加湿処理の際の意図しない衝撃や振動に対する安定性が向上する。なお、有機物により固定する吸湿構造3は図面の構造に限られるものではない。
次に、本発明の評価用セルの作り方の例について、上記構造の一例を用いて説明する。
まず、水蒸気透過性を評価する試験片1を用意し、該試験片の評価する面、通常は水蒸気を接触させる面の反対側の面の所定の位置に、水と化学反応して腐食物を生じる金属を用いて、蒸着法などの方法により、腐食性金属層2を形成することができる。次いで、吸湿構造を構成する材料で作製された吸湿構造3を、評価セル筐体4に配置し、評価セル筐体4に対し、上記で準備した試験片1を、腐食性金属層2を、吸湿構造3側にして、外気に触れないようにして、密封、固定するなどして、評価用セル10を得ることができる。
上記腐食性金属層を作製する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング蒸着法、イオプレーテイング法等の公知の蒸着法を用いることができる。
上記腐食性金属層の厚みとしては、30nm〜500nmが好ましく、それぞれの腐食性金属層の厚みは同じであっても異なっていても良い。
このような腐食性金属層に用いる水と化学反応して腐食物を生じる金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びフランシウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムなどのアルカリ土類金属、さらにはアルミニウム、鉄及び鉛などのイオン化傾向の高い金属が挙げられる。これらの中でも、アルカリ土類金属又はアルカリ金属が好ましく、より好ましくはアルカリ土類金属であり、これらの中でも、バリウム又はカルシウムが好ましい。また、これらの金属の粒子径としては、1〜5mm程度のものを用いることができる。
上記水蒸気不透過層の作製方法としては、上記で試験片1に作製した腐食性金属層2の上に、腐食性金属層2を覆うようにして、水蒸気を透過しない金属を用いて、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層5を作製すればよい。さらに、割れ防止緩衝金属層を作製する場合は、上記水蒸気を透過しない金属からなる金属層を覆うようにして、割れ防止緩衝層に用いるアルカリ土類金属を用いて、水蒸気を透過しない金属からなる金属層と、アルカリ土類金属からなる割れ防止緩衝層とが積層構造となる構造を有する水蒸気不透過層5を作製することができる。水蒸気不透過層における積層構造は、例えば、第一の水蒸気不透過層と、第一の水蒸気不透過層を覆うように設けられた割れ防止緩衝層と、さらに割れ防止緩衝層を覆うように、第二の水蒸気不透過層が設けられた積層構造を有するものを用いることができる。
上記水蒸気不透過層の作製において、水蒸気不透過金属層と割れ防止緩衝金属層を作製する方法としては、上記腐食性金属層を作製する方法と同様な蒸着法を用いることができ、さらには一般的な溶射法を用いることができる。
上記水蒸気不透過金属層の厚みとしては、500nm〜20μmが好ましく、それぞれの水蒸気不透過金属層の厚みは同じであっても異なっていても良い。
また、割れ防止緩衝層の厚みとしては、10nm〜800nmが好ましい。
上記水蒸気を透過しない金属としては、水蒸気を透過しない、かつ、水と化学反応して腐食物を生じない金属であればよく、アルミニウム、亜鉛、錫、インジウム、鉛、銀及び銅などの金属が挙げられ、これらの金属を含む合金であっても良い。これらの中でも、アルミニウム及び銀が好ましい。これらの金属は、水蒸気不透過層において、異なる金属を用いることができる。
上記割れ防止緩衝層に用いるアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムなどが挙げられる。これらの中でも、バリウム又はカルシウムが好ましい。また、割れ防止緩衝層に、水と化学反応して腐食物を生じる金属を用いることで、水蒸気不透過層の割れを確認することもできる。
本発明における吸湿構造は、水蒸気透過性評価に悪影響を及ぼす、セル内に侵入した水蒸気や水分を除去できるもので構成されていればよい。また、吸湿構造においては、吸湿構造を構成する材料を、粉体状、液体状などの状態でそのまま使用するか、シート状、ペースト状、ブロック状などの形態として使用することができる。
吸湿構造の大きさとしては、例えば、2.0mm×2.0mmで、厚み200nmの腐食性金属層を用いる場合、吸湿構造を構成する材料を、通常2〜20g程度用いることで効果を得ることができる。
上記吸湿構造を構成する材料としては、物理的乾燥剤もしくは化学的乾燥剤を用いることができる。物理的乾燥剤としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、ゼオライト、モレキュラーシーブなどが挙げられる。これらの中でもシリカゲルまたはゼオライトが望ましい。化学的乾燥剤としては、生石灰、塩化カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらの中でも生石灰または塩化カルシウムが望ましい。
上記吸湿構造を固定するのに用いられる水蒸気(水分)を透過する有機物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、ゴムなどを容器状や蓋状にして吸湿構造を構成する材料を保持して使用することができる。また、吸湿構造を構成する材料を、前記有機物に練りこみ、有機物に分散させ、ブロック状やシート状などの形状に成形することにより、安定した乾燥構造を作製することもできる。
本発明の水蒸気透過性評価用セルにおける筐体としては、アルミなどの金属により作製された箱状のものや、上記セル構成部材を、蜜蝋、エポキシ樹脂等の樹脂により成形、封止されたものを用いることができる。蜜蝋、エポキシ樹脂等の樹脂により成形、封止したものは迅速な測定や量産時に適している。金属によるセル筺体については、より高温での測定や長期間の測定に適している。
次に、本発明の水蒸気透過性評価用セルの用い方の例を説明する。
本発明の水蒸気透過性評価用セルを用いて、試験片の水蒸気透過性を評価する方法の例としては、まず、上記評価用セルを用意し、これを水蒸気接触面に水蒸気が触れるように、恒温恒湿槽内に配置して、所定の条件下にて加湿処理を行う。
加湿処理条件としては、通常、温度が40±0.5℃で、相対湿度が90±2%で行うことができるが、目的に応じて適宜条件を設定する。
このような加湿処理を、測定する時間ごとに行った評価用セルを、それぞれ用意し、腐食性金属層の腐食状態を評価することにより、試験片の水蒸気透過性を評価することができる。また、加湿処理時間を経過するごとに、評価用セルを取り出し腐食性金属層の腐食状態を評価することもできる。
また、このような腐食状態を評価する方法としては、試験片と接する、腐食性金属層の表面を直接観察することにより、試験片の欠陥部(生成腐食物)を評価する方法が挙げられる。さらには、腐食性金属層における腐食物の面積と腐食物の厚みから算出される金属腐食物の体積から、試験片を透過した水分量を定量することができる。
上記試験片を透過した水分量の定量法としては、加湿処理により、腐食性金属層は水分と化学反応することで、下記化学式(1)に示すように、価数aの腐食性金属層を構成する金属Mの1モルはaモルの水分と反応し、1モルの金属水酸化物を生成する。
M + aHO → M(OH) + (a/2)H 化学式(1)
このことより、試験片を透過した水分量を1日の単位面積当たりに換算した水蒸気透過度(単位:g/m2/day)として表すことができ、前記水蒸気透過度は、上記加湿処理における、加湿処理時間、水蒸気透過性評価用セルの腐食性金属層の面積、加湿処理後の腐食性金属層に生成した金属腐食物の面積と腐食性金属層の厚み、腐食後の金属水酸化物の密度から、下記数式(1)により算出して求めることができる。
水蒸気透過度=X*18*a*(10000/A)*(24/T) 数式(1)
なお、上記数式(1)中、Tは恒温恒湿処理時間(時間)、Aは腐食性金属層の面積(cm)、tは腐食性金属層の厚み(cm)、δは腐食性金属層に生成した金属腐食物の面積(cm)、dは腐食後の金属水酸化物密度(MOH)(g/cm)、aは腐食性金属層を構成する金属の価数を表し、Xは下記数式(2)で得られる加湿処理により生成する金属腐食物(金属水酸化物)のモル質量(g/mol)を表す。
X=(δ*t*d)/Mw 数式(2)
上記数式(2)中、Mwは腐食性金属層に生成した金属腐食物(金属水酸化物)の分子量(式量)を表し、δ、t及びdは数式(1)中のそれらと同じものを表す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
試験片として、ポリエーテルサルホンフィルム(厚み200μm)とSiO層(無機層、厚み50nm)からなる二層構造を有する水蒸気不透過性フィルムを用意した。試験片の一方の面の中央部に、腐食金属として金属カルシウム(2価)を用いて、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)により、面積が2.0mm×2.0mmで、厚み200nmの腐食性金属層を形成した。次いで、前記腐食性金属層の露出面のすべてを覆うように、金属アルミニウムを用いて、上記と同様の真空蒸着により、厚み4μmの水蒸気不透過金属層を形成した。次いで、蜜蝋にシリカゲル(3g)を混ぜ込んでシート状にした吸湿構造を作製し、アルミ製のセル筺体中に封入した。セル筺体とサンプルは溶融した蜜蝋を冷却固化することで接着封止を行い、水蒸気透過性評価用セルを作製した。なお、試験片のフィルムは、その無機層をスパッタリングにて形成したものを用いた。
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、これを40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に、500時間載置し、恒温恒湿による処理(加湿処理)を行った。加湿処理後、腐食性金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により、2.0mm×2.0mmの画像を撮影し記録した。腐食した部分は、金属カルシウムが水分と反応し、水酸化カルシウムとなり、撮影すると変色あるいは白色部として観察された。予め、加湿処理前に、上記水蒸気透過性評価用セルの腐食性金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により記録しておいた画像を基準として比較して、恒温恒湿処理500時間での腐食部の総面積を測定した。恒温恒湿度500時間処理後の2.0mm×2.0mmの面積の腐食性金属層に80〜200μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は8.6×10−4cmであった。腐食として観察される水酸化カルシウムの分子量と密度は76.1と2.24g/cmとであることから、生成した水酸化カルシウムのモル質量は5.11×10−10g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、2.2×10−4(g/m/day)であった。
(実施例2)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
試験片として、ポリエーテルサルホンフィルム(厚み200μm)とSiO層(無機層、厚み50nm)からなる二層構造を有する水蒸気不透過性フィルムを用意した。水蒸気不透過性フィルム上に、直径10〜20μm程度の異物粒子を付着させた。試験片の一方の面の中央部に、腐食金属として金属カルシウム(2価)を用いて、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)により、面積が2.0mm×2.0mmで、厚み200nmの腐食性金属層を形成した。次いで、前記腐食性金属層の露出面のすべてを覆うように、金属アルミニウムを用いて、上記と同様の真空蒸着により、厚み4μmの水蒸気不透過金属層を形成した。次いで、前記第一の水蒸気不透過金属層の露出面のすべてを覆うように、金属バリウム(2価)を用いて、真空蒸着法により、厚み50nmの割れ防止緩衝金属層を形成した。次いで、割れ防止緩衝金属層の露出面のすべてを覆うように、銀を用いて、真空蒸着法により、厚み1μmの第二の水蒸気不透過金属層を形成した。次いで、蜜蝋にシリカゲル(3g)を混ぜ込んでシート状にした吸湿構造を作製し、
アルミ製のセル筺体中に封入した。セル筺体とサンプルは溶融した蜜蝋を冷却固化することで接着封止を行い、水蒸気透過性評価用セルを作製した。なお、試験片のフィルムは、その無機層をスパッタリングにて形成したものを用いた。
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、これを40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に、500時間載置し、恒温恒湿による処理(加湿処理)を行った。加湿処理後、第一の腐食性金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により、2.0mm×2.0mmの画像を撮影し記録した。腐食した部分は、金属カルシウムが水分と反応し、水酸化カルシウムとなり、撮影すると変色あるいは白色部として観察された。予め、加湿処理前に、上記水蒸気透過性評価用セルの腐食性金属層における腐食物の生成について、レーザー顕微鏡により記録しておいた画像を基準として比較して、恒温恒湿処理500時間での腐食部の総面積を測定した。恒温恒湿度500時間処理後の2.0mm×2.0mmの面積の腐食性金属層に80〜200μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は9.0x10−4cmであった。腐食として観察される水酸化カルシウムの分子量と密度は76.1と2.24g/cmとであることから、生成した水酸化カルシウムのモル質量は5.38x10−10g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、2.3×10−4(g/m/day)であった。
(比較例1)
(1)水蒸気透過性評価用セルの作製
試験片として、ポリエーテルサルホンフィルム(厚み200μm)とSiO層(無機層、厚み50nm)からなる二層構造を有する水蒸気不透過性フィルムを用意した。水蒸気不透過性フィルム上に、直径10〜20μm程度の異物粒子を付着させた。試験片の一方の面の中央部に、腐食金属として金属カルシウム(2価)を用いて、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)により、面積が2.0mm×2.0mmで、厚み200nmの腐食性金属層を形成した。次いで、前記腐食性金属層の露出面のすべてを覆うように、金属アルミニウムを用いて、上記と同様の真空蒸着により、厚み4μmの水蒸気不透過金属層を形成した。次いで、前記第一の水蒸気不透過金属層の露出面のすべてを覆うように、金属バリウム(2価)を用いて、真空蒸着法により、厚み50nmの割れ防止緩衝金属層を形成した。次いで、割れ防止緩衝金属層の露出面のすべてを覆うように、銀を用いて、真空蒸着法により、厚み1μmの第二の水蒸気不透過金属層を形成した。次に水蒸気透過面以外の部位を完全に蜜蝋のみで覆ったセルを作製した。
(2)水蒸気透過性の評価
上記で得た水蒸気透過性評価用セルを用い、実施例1と同様の操作により水蒸気透過性の評価を行った。
加湿処理後の腐食性金属層における腐食物の生成について確認したところ、変色あるいは白色部となった腐食物である水酸化カルシウムが観察された。恒温恒湿度500時間処理後の2.0mm×2.0mmサイズのカルシウム薄膜中に100〜720μm径の腐食が確認でき、腐食総面積は12.6×10−3cmであった。これより算出される水酸化カルシウムのmol質量は7.52×10−9g/molであった。これらより、水蒸気透過度を求めたところ、3.2×10−3(g/m/day)であった。なお、腐食部付近を観察したところ、水蒸気不透過金属層に割れが確認され、試験片からの水蒸気の透過が確認できない腐食部が確認できたことから、水蒸気透過性評価用セルが正常に機能していないことがわかった。
1 試験片
2 腐食性金属層
3 吸湿構造
4 セル筐体
5 水蒸気不透過層
6 水蒸気(水分)を透過する有機物
10 評価用セル

Claims (7)

  1. 試験片に、水と化学反応して腐食物を生じる金属からなる腐食性金属層と、吸湿構造とを備えていることを特徴とする水蒸気透過性評価用セル。
  2. 前記吸湿構造は、水分を透過する有機物により固定されている請求項1に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  3. 前記腐食性金属層と吸湿構造の間に、水蒸気を透過しない金属からなる金属層を有する水蒸気不透過層を備えた請求項1又は2に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  4. 前記水蒸気不透過層は、水蒸気を透過しない金属からなる金属層と、アルカリ土類金属からなる割れ防止緩衝層を有する積層構造を備えたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水蒸気透過性評価用セルを用いて、前記評価用セルを加湿処理し、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層の腐食状態を評価することにより、試験片の水蒸気透過性を評価する、水蒸気透過性評価方法。
  6. 前記腐食状態の評価は、試験片と接する、水と化学反応して腐食物を生じる腐食性金属層の表面を直接観察することにより、試験片の欠陥部を評価するものである、請求項5に記載の水蒸気透過性評価方法。
  7. 前記腐食状態の評価は、さらに、水と反応して腐食物を生じる腐食性金属層における腐食物の面積と腐食物の厚みから算出される金属腐食物の体積から、試験片を透過した水分量を定量するものである、請求項6に記載の水蒸気透過性評価方法。
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