JP2013224042A - 複合成形品の射出成形機およびその作動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】前記の型締装置において金型の側に着脱自在なクランパ等を設けずに可動盤と中間部材の間を固定的に位置保持可能な複合成形品の射出成形機およびその作動方法を提供する。
【解決手段】可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機において、
前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機およびその作動方法に関するものである。
複合成形品の射出成形機としては、特許文献1ないし特許文献4に記載されたものが知られている。特許文献1の型締装置は、固定盤には2個の固定型が取付けられ、可動盤には1次金型と2次金型が相互に交換可能に取付けられ、2個の金型を同時に型締する構造となっている。そのために型締時には2個の金型のキャビティの投影面積に比例する型締力が必要となり、装置が大型化するという問題があり、比較的大面積の複合成形品の成形には不向きであった。前記問題を解決するために特許文献2ないし特許文献4に記載されたものが知られている。特許文献2ないし特許文献4に記載された複合成形品の射出成形機は、それぞれ多少の構造の相違はあるものの、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される構造となっている。
これら特許文献2ないし特許文献4の複合成形品の射出成形機では、各金型のキャビティが型開閉方向に重なって設けられる構造のため、1個の金型のキャビティの投影面積に比例する型締力で足り、特許文献1の型締装置と比較して、型締装置を比較的小型化できるか、或いは同じ型締力で大面積の複合成形品を成形可能であるという利点がある。しかしこれら特許文献2ないし特許文献4の複合成形品の射出成形機の場合、金型の型開を行う際に、別途に設けた機構を用いないと、どちらのキャビティが先に型開されるか制御できないという問題があった。特に大面積の主要部とその周囲の小面積の外枠部とを複合成形により成形する場合においては、最初に大面積の主要部の側を型開して離型する必要がある。このため特許文献2および特許文献3では金型自体にロッキングロッドとロッキングロッド嵌合穴からなる着脱手段やクランパ等を取付けて一方の金型を確実に係合した状態で他方の金型を型開可能としている。しかしながらこのような構造の複合成形品の射出成形機では、取付けられる金型全部にクランパ等を取付ける必要があり、特殊な金型が必要となるという問題があった。また金型のクランパ等は、電気、エア、油圧等のアクチュエータにより作動されるため、その配管等の取回しも考慮する必要があるという問題があった。
更に特許文献4は、2層発泡射出成形装置に関するものであって、固定盤と可動盤の間に位置固定可能な中間盤を設けるものが記載されている。そして特許文献4においては、可動盤と中間盤がそれぞれタイバーに対してロック可能となっている。しかし中間盤と可動盤の間で金型を型閉状態にロックした状態で、固定盤と可動盤の間を型開する(中間盤と可動盤を共に型開方向に移動させる)ことは出来ないものであった。
特開2002−264170号公報(請求項3、図1) 特開2009−23267号公報(請求項1、請求項2、図1、図7) 特開2007−50585号公報(請求項4、図8) 特開平7−195413号公報(請求項1、図1、図5)
上記のように従来の可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機の場合は、金型に着脱自在なクランパ等を設けないと、任意のキャビティを型開できないという問題があった。
本発明では上記の問題を鑑みて、前記の型締装置において金型の側に着脱自在なクランパ等を設けずに可動盤と中間部材の間を固定的に位置保持可能な複合成形品の射出成形機およびその作動方法を提供することを目的とする。または前記の型締装置において金型の側に着脱自在なクランパ等を設けずに固定金型と中間金型との間で安定的に射出圧縮成形を行うことが可能な複合成形品の射出成形機およびその作動方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の複合成形品の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機において、前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の複合成形品の射出成形機は、請求項1において、前記ロック機構は、中間部材の移動機構を兼ねたサーボモータとボールネジとボールネジナットの組合せであることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の複合成形品の射出成形機の作動方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機の作動方法において、前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられ、前記ロック機構により中間部材を前記可動盤に対して固定的に保持し、固定盤に対して中間部材を移動させることを特徴とする。
本発明の複合成形品の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機において、前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられているので、金型の側に着脱自在なクランパ等を設けずに可動盤と中間部材の間を固定的に位置保持することができる。
図1は、本実施形態の複合成形品の射出成形機において、固定金型および可動金型と中間金型とが型開され前回の複合成形品が取出された状態を示す概略図である。 図2は、本実施形態の複合成形品の射出成形機において、固定金型および可動金型と中間金型とが型締され、1次成形が行われた状態を示す概略図である。 図3は、本実施形態の複合成形品の射出成形機において、2次成形が行われた状態を示す概略図である。 図4は、本実施形態の複合成形品の射出成形機において、2次成形が行われた側のキャビティが強力型開された状態を示す概略図である。 図5は、本実施形態の複合成形品の射出成形機における固定金型および可動金型と中間金型とがそれぞれ型開された状態を示す概略図である。 図6は、本実施形態の複合成形品の射出成形機における中間金型が回転される状態を示す概略図である。 図7は、本実施形態の複合成形品の射出成形機における中間部材、中間盤、および中間金型の正面図である。
本発明の実施形態の複合成形品の射出成形機11について、図1等を参照して説明する。複合成形品の射出成形機11は、型締装置12とその両側に設けられた第1の射出装置13と第2の射出装置14から基本的な部分が構成される。型締装置12について説明すると、ベッドには型開閉方向に向けてリニアガイド等の直動ガイドが固定され、前記直動ガイド上には、第1の金型である可動金型15が取付けられる第1の盤である可動盤16が設けられている。そして可動金型15には複合成形品の小面積の外枠部Aを1次成形により成形するためのキャビティ形成面17と前記キャビティ形成面17に連通される樹脂通路18が設けられている。また可動盤16の他側には、第2の金型である固定金型19が取付けられた第2の盤である固定盤20がベッド上に固着されている。そして固定金型19には複合成形の大面積の主要部Bを2次成形により成形するためのキャビティ形成面21と前記キャビティ形成面21に連通される樹脂通路22が設けられている。従って可動金型15のキャビティ形成面17と固定金型19のキャビティ形成面21は形状が相違している。
次に型締機構である型締シリンダ23について説明する。固定盤20の四隅近傍には型締シリンダ23(図1等の概略図では1個の型締シリンダ23のみ断面を記載)が設けられ、型締シリンダ23のラムがタイバ24を構成している。型締シリンダ23は双方向作動型のシリンダからなり、固定盤20内のタイバ24の側に大面積の型締用油室25が設けられるとともに、反タイバ側(第2の射出装置側)には小面積の強力型開用油室26が設けられている。また型締シリンダ23には毎サイクルの型締と強力型開によって変更されてしまうタイバ24の位置を補正するための調整手段27が設けられている。なお各型締シリンダ23は、図示しないサーボバルブ等により個別に制御されるようにすることが望ましい。前記の場合、固定盤20と各ラムの間または固定盤20の四隅と可動盤16の四隅の間には位置を検出する位置センサ(図示せず)がそれぞれ設けられ、各タイバ24の相対的な位置関係を検出および制御することにより固定盤20に対して可動盤16が平行制御される。
そして固定盤20から可動盤16側に向けて平行に設けられた四本のタイバ24の他方側の部分には、ハーフナット28を係止する複数の凹溝からなる係止部29が型開閉方向の所定長さにわたって設けられている。そしてタイバ24は前記可動盤16の四隅近傍に挿通され、可動盤16はタイバ24にガイドされつつ直動ガイド上を型開閉方向に移動されるようになっている。また前記ハーフナット28は、可動盤16の反固定盤側の面のタイバ24が挿通された部分の周囲に配置され、タイバ24の係止部29に対して係合位置と離脱位置の間で往復移動可能に設けられている。
次に型開閉機構30について説明する。固定盤20またはベッド上に設けられたブラケット20aには型開閉機構30のサーボモータ31が固定されるとともにボールネジ32が軸支されている。そして前記サーボモータ31の駆動軸とボールネジ32が接続されている。また可動盤16に設けられたブラケット16aにはボールネジナット33が固定され、前記ボールネジナット33には前記ボールネジ32が挿通されている。前記サーボモータ31は、サーボロックすることにより、可動盤16を固定盤20またはベッドに対して固定的に位置保持できる。またサーボモータ31は、内蔵するロータリエンコーダ31aにより可動金型15および可動盤16の移動制御および位置検出が可能である。図1等の概略図では型開閉機構30は省略して1基のみが記載されているが、図7に示されるように固定盤20および可動盤16の両側の対角位置に型開閉機構30が設けられている。
次に中間部材35と中間金型38,39について説明する。固定金型19が取付けられる固定盤20と可動金型15が取付けられる可動盤16の間には、中間部材35が型開閉方向に移動自在に配設されている。図1等および図7に示されるように中間部材35は、一定の厚みを有する盤体であり、中央部に開口部を有する額縁形状をしている。そして中間部材35の四隅近傍にはそれぞれタイバ24が挿通されている。中間部材35のうち上2本のタイバ24,24が挿通される上部梁部材35aの中央部分と下2本のタイバ24,24が挿通される下部梁部材35bの中央部分の間には、上下方向(型開閉方向に直交する方向)に回転軸36が設けられている。そして回転軸36の上側部分は、上部梁部材35aの貫通孔に設けられた図示しないラジアルベアリング等により回転自在に保持されている。また回転軸36の下側部分は、下部梁部材35bに設けられた図示しないスラストベアリング等により自重が支承され回転自在に保持されている。そして前記回転軸36には回転軸36の軸芯を中心に回転軸36と共に回転する中間盤37が固定されている。中間盤37の両側の盤面には第1の中間金型38と第2の中間金型39がそれぞれ取付けられるようになっている。従って中間金型38,39についても前記回転軸36の軸芯を中心に回転する。
それぞれの中間金型38,39のキャビティ形成面は同一形状をしており、1次成形の際に1次キャビティA1を形成するキャビティ形成面34aと、2次成形の際に2次キャビティB1を形成するキャビティ形成面34bがそれぞれ形成されている。また前記第1の中間金型38と第2の中間金型39にはそれぞれ成形終了した複合成形品を突出すための図示しないエジェクタ機構が内蔵されている。そして図2に示されるように第1の中間金型38が可動金型15と型閉されて1次成形用の1次キャビティA1が形成されている際は、第2の中間金型39が固定金型19と型閉されて2次成形用の2次キャビティB1が形成され、その後に一度型開され、中間盤37が180°回転されて再び型閉されると、第1の中間金型38が固定金型19と型閉されて2次成形用の2次キャビティB1が形成され、第2の中間金型39が可動金型15と型閉されて1次成形用の1次キャビティA1が形成されるようになっている。
そして中間部材35の上部梁部材35aの中央部の上部には中間盤回転用のサーボモータ40が配置されている。そしてサーボモータ40の駆動軸と中間盤37の回転軸36はベルトまたは減速機等を介して接続され、サーボモータ40の回転により回転角度が制御されて中間盤37が回転されるようになっている。また中間部材35には、それぞれ中間盤37を位置決め固定するための位置決めピン41が少なくとも1箇所に設けられている。位置決めピン41は油圧シリンダとそのシリンダロッドが先細のテーパー形状をしたピンからなる。また中間盤37には中間盤37が固定盤等と正対した際に前記位置決めピン41を挿入可能な位置に位置決め用の穴が少なくとも2箇所に設けられている。そして前記位置決めピン41を突出させ位置決め用の穴に挿入することにより中間盤37が回転不能に位置固定されるようになっている。なお位置決めピン41の位置は図1等または図7に示されるように限定されない。
次に中間部材35のロック機構42について説明する。中間部材35と可動盤16の間には、中間部材35を移動制御するとともに中間部材35の位置を可動盤16に対して固定的に保持可能なロック機構42が備えられている。図1等の概略図ではロック機構42は省略して1個のみが記載されているが、少なくとも2個以上、更に好ましくは図7に示されるように4個が配設される。ロック機構42については具体的には、可動盤16の四隅近傍の位置にブラケット16bが外側に向けて固定され、前記ブラケット16bにそれぞれサーボモータ43が固定されるとともにボールネジ44が軸支されている。そして前記サーボモータ43の駆動軸とボールネジ44が接続されている。また中間部材35の両側にそれぞれ設けられたブラケット35cにはそれぞれボールネジナット45が固定され、前記ボールネジナット45には前記ボールネジ44が挿通されている。前記サーボモータ43は、内蔵するロータリエンコーダ43aにより中間部材35の移動制御および位置検出が可能であり、またサーボモータ43をサーボロックすることにより、中間盤37を可動盤16に対して固定的に位置保持できる。なおロック機構42および型開閉機構30のサーボモータ43,31とボールネジ44,32は直結されるものの他、プーリおよびタイミングベルトや減速機を介して接続されるものでもよい。また中間部材35や可動盤16の側に、サーボモータ43やサーボモータ31を取付けてもよい。更にロック機構42は、油圧シリンダ等の別のアクチュエータを用いたものでもよい。
次に射出装置について説明する。可動盤16の一側には第1の射出装置13が設けられている。本実施形態では第1の射出装置13は、可動盤16の型開閉移動とともに全体が移動可能に設けられ、更に可動金型15に対して進退移動されるようになっている。なお第1の射出装置13については、可動盤16の上部に固定されたものや、型締装置12に対して直角方向に配置されたものでもよい。第1の射出装置13が型締装置12に対して直角方向に配置される場合は、中間金型38,39と可動金型15が型締された際に前記いずれかの金型15,38,39の側面か、或いは可動盤16または中間部材35の側面にノズルが当接されるような位置に配置される。また固定盤20の他側には第2の射出装置14が設けられている。本実施形態では第2の射出装置14は、ベッド上に設けられ、固定金型19に対して進退可能となっている。
次に図1ないし図6により複合成形品の射出成形機11の作動方法について説明する。まず図1は、第1の金型である可動金型15が取付けられた第1の盤である可動盤16と、中間金型38,39がそれぞれの面に取付けられた中間部材35が型開完了位置にある状態である。この状態で可動盤16と中間部材35は、型開閉機構30のサーボモータ31と中間部材35のロック機構42のサーボモータ43により固定的に保持されている。また中間盤37は中間部材35の位置決めピン41により固定されている。そして前回に成形された複合成形品Cは、第1の中間金型38のエジェクタ機構により突出され、図示しない取出機により取出される。また回転された第2の中間金型39には、前回に成形された1次成形品である外枠部Aが残留した状態にある。次に型開閉機構30のサーボモータ31が駆動され可動盤16が固定盤20に向けて移動される。また同時に中間部材35のロック機構42のサーボモータ43が駆動されて、中間部材35は可動盤16に対して当接する方向に移動される。しかしこの際の中間部材35の可動盤16へ向けての移動速度は、可動盤16の固定盤20へ向けての移動速度の半分程度であるので、実際には固定盤20に対しては中間部材35も接近方向に移動される。
そして図2に示されるように、第1の中間金型38および可動金型15と、固定金型19および第2の中間金型39との型閉が完了すると位置決めピン41が抜かれるとともに、ハーフナット28がタイバ24の係止部29に係合される。そして型締シリンダ23の型締用油室25に作動油が供給されて型締が行われる。この際には型開閉機構30と中間部材35のロック機構42のサーボモータ31,43はフリーな状態かまたは型締に応じて僅かに作動される。そして型締完了確認後に、第1の射出装置13から可動金型15と第1の中間金型38の間に形成された外枠部Aを成形するための1次キャビティA1に射出を行い1次成形を行う。本実施形態では1次成形は、一般的な射出成形で行われる。
次に型締シリンダ23の圧抜きを行って型締力を解除し、型開閉機構30のサーボモータ31はフリーのまま中間部材35のロック機構42のサーボモータ43をサーボロック(位置決め保持)する。そして次に図3に示されるように、固定金型19と第2の中間金型39の間に形成された主要部Bを成形するための2次キャビティB1(一部は1次成形品Aによって形成される)で1次成形とは別のタイミングで2次成形を行う。複合成形品Cの主要部Bは、外枠部Aと比較して大面積であって板厚が薄いので2次成形では、射出圧縮成形により成形がなされる。射出圧縮成形では、第2の射出装置14から前記2次キャビティB1に射出が行われると樹脂圧により2次キャビティB1の容積は一旦増大されるが、4個の型締シリンダ23をサーボバルブ等により個別に制御し2次キャビティB1内の溶融樹脂の圧縮成形を行う。圧縮成形の圧縮開始のタイミングは、スクリュ位置や型締シリンダ23の圧力、キャビティ内圧力、およびタイマ等による適宜なタイミングで行われる。
この際に前記のように可動盤16と中間部材35の間はロック機構42により固定的に保持されているから、型締シリンダ23の作動により第2の中間金型39をダイレクトに移動させることができ、第2の中間金型39と固定金型19との間の2次キャビティB1の厚み(または圧力)を型締シリンダ23により制御することが可能である。そして特に4個の型締シリンダ23を個別に制御し、タイバ24を相対的に位置変化させる場合は、第2の中間金型39に対して開き方向の力が加えられることも想定されるが、中間部材35の4個のロック機構42で可動盤16に対して中間部材35を固定しておくことにより、常に可動盤16に対する中間部材35の平行度を保つことが可能となり、ひいては固定盤20に対する中間部材35の平行度を保つことが可能となる。なお中間部材35のロック機構42をロックして射出圧縮成形を行うことは必須の条件ではなく、ロック機構42をロックしないでも成形を行う場合も考えられる。
或いは別の方法として、前記圧抜きの後、型締シリンダ23の強力型開用油室26へ作動油を供給するか型開閉機構30を作動させて、固定金型19と第2の中間金型39の間に形成される2次キャビティB1の容積を射出前から拡大しておき、その後に第2の射出装置14から射出を行うようにしてもよい。その場合は、可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1の側ではなく、第2の中間金型39と固定金型19の間の2次キャビティB1の側を確実に開く必要がある。その際に中間部材35のロック機構42のサーボモータ43をサーボロックしておくことにより、可動盤16と中間部材35の間を固定的に保持して可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1が開かないようにし、固定金型19に対して第2の中間金型39を移動させ、2次キャビティB1が設定されたキャビティ間隔となるように位置制御する。そしてその後に第2の射出装置14から射出を開始する。上記の方法は射出プレス(射出圧縮成形に含まれる)とも呼ばれ、より一層板厚の薄い成形品の成形に有利である。
そして主要部Bが射出圧縮成形により2次成形され、その冷却が完了すると次に強力型開に移行する。大面積の主要部Bの離型には大きな型開力が必要となるので、型締シリンダ23の強力型開用油室26に作動油を供給して強力型開を行う必要がある。図4に示されるように強力型開では、前記の射出圧縮成形の前にキャビティ容積を拡大する射出プレスの場合と同様に、可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1を開かずに、第2の中間金型39と固定金型19の間の複合成形品Cが成形完了した2次キャビティB1を確実に開く必要がある。(先に可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1を型締シリンダ23により強力型開してしまうと型開閉機構30のサーボモータ31やロック機構42のサーボモータ43を用いて大面積の主要部Bの離型を行う必要があるが型開力が不足する。)よって中間部材35のロック機構42のサーボモータ43をサーボロックしておくことにより、可動盤16と中間部材35の間を固定的に保持して可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1が開かないようにし、固定金型19に対して第2の中間金型39を移動させて、所定間隔だけ第2の中間金型39を型開する。この際にロック機構42のサーボモータ43をサーボロックする力は、2次キャビティB1の離型に要する力よりも大きいことが求められ、過負荷異常にならないサーボモータ43が選定される。なお強力型開時のサーボモータ43による中間部材35の位置保持については中間部材35を可動盤16に向けて速度制御する等、目的同一であって置換可能な制御により行ってもよい。また中間部材35をロックする際は、4箇所のサーボモータ43およびそのロータリエンコーダ43aにより可動盤16に対する中間部材35の位置が平行になるように平行制御を行ってからロックすることが望ましい。そしてまた強力型開前に中間盤37を位置決めする位置決めピン41は挿入しておくことが望ましい。
そして中間部材35および第2の中間金型39が所定間隔だけ型開された後は、ハーフナット28の係合を解除する。その後型開閉機構30のサーボモータ31の駆動により可動盤16を型開方向へ移動させるとともに、中間部材35のロック機構42のサーボモータ43も駆動させ、中間部材35を可動盤16から離れる方向へ移動させて、可動金型15と第1の中間金型38の間の1次キャビティA1で1次成形された外枠部Aについても離型を行う。そして図5に示されるように可動盤16と中間部材35が型開完了位置に移動される。次に図6に示されるように中間盤37の穴から位置決めピン41を抜いた後、中間部材35の上部梁部材35aに設けられた中間盤回転用のサーボモータ40を駆動させ、中間盤37と共に、1次成形品Aが残留した第1の中間金型38と2次成形が完了し複合成形品Cが残留した第2の中間金型39を回転させる。なお中間金型38,39は、中間部材35の移動と並行して開始するようにしてもよい。そして回転が完了すると、再び図1の状態となりエジェクタ機構により複合成形品Cの突出しが行われる。なお複合成形品Cの取出しは中間盤37等の回転前に行ってもよい。また本実施形態では1次成形で外枠部Aを成形し、2次成形で主要部Bを成形して複合成形品Cを成形したが、1次成形で主要部Bを成形し、2次成形で外枠部Aを成形して複合成形品Cを成形してもよく、1次成形および2次成形を行う位置もどちらの側か限定されない。
また本発明は上記の実施形態に限定されず次のようなものでもよい。上記の実施形態では第1の金型および第1の盤が可動金型15と可動盤16であって、第2の金型および第2の盤が固定金型19と固定盤20であるが、その反対で第1の金型および第1の盤が固定金型19と固定盤20であって、第2の金型および第2の盤が可動金型15と可動盤16であってもよい。即ち、可動盤16に型締シリンダ23が設けられ、中間部材35のロック機構42が固定盤20と中間部材35の間に設けられたものでもよい。また型締シリンダが設けられる第1の盤と中間部材の間に中間部材のロック機構を設け、中間部材を第2の盤に押付ける形でロックするものでもよく、中間部材のロック機構が第1の盤と中間部材の間と、中間部材と第2の盤の間の2箇所に設けられるものでもよい。そしてロック機構が2箇所に設けられる場合、ロック機構が型開閉機構を兼ねるものでもよく、別個に型開閉機構が設けられるものでもよい。
また中間部材については、次のようなものでもよい。(1)上側2本のタイバが挿通される上部中間部材と下側2本のタイバが挿通される下部中間部材が別個に設けられ、上部中間部材の中央部と下部中間部材の中央部の間に回転軸が設けられた中間部材。(2)ベッド上に移動自在に配置され下側2本のタイバが挿通された部材の上に回転可能な中間盤が立設された中間部材。(3)全てのタイバが挿通されずにベッド上に移動自在に配置された部材の上に回転可能な盤面が立設された中間部材。(4)前記の(2)および(3)において中間部材の上面には中間盤が立設されておらずに回転テーブルが配置されたもの(この場合回転テーブルの上に、両面にキャビティ形成面が設けられた1個の中間金型が載せられることになる)。また中間部材の回転可能な中間盤に、4面または6面の中間金型取付面を設けそれぞれに中間金型を取付けるものでもよい。また中間部材の中間盤または回転盤は、例えば180°回転した後に更に同じ方向に180°回転して元の位置に戻るものでもよく、180°回転した後に180°反転して元の位置に戻るものでもよい。そして本発明では両方の場合とも中間金型が回転可能または回転自在と称する。また回転軸については型開閉方向に直交する方向なら水平方向に設けられたものでもよい。
また本発明の複合成形品の射出成形機の型締装置については縦方向に型開閉する縦型型締装置を用いたものでもよい。更に型締機構については、タイバの部分に型締シリンダが設けられておらず可動盤と移動可能な型締盤の間に型締シリンダが設けられたものでもよい。更に型締機構は、型締シリンダを使用したもの以外に、電動機とトグル機構を使用したものや他の形式のものでもよい。更にまた射出装置の種類や配置も上記したものに限定されない。例えば固定盤の外側に異なる材料を射出する2本の射出装置を設け、可動盤の外側の射出装置と合せて3本の射出装置を用いて、3材からなる複合成形品を成形することも可能である。
本発明の複合成形品の射出成形機は、透明樹脂と枠部からなる窓部や2材成形されるテレビの枠部などの大型の複合成形品の成形に好適に用いられる。しかし成形品や成形材料については限定されず、一般的な射出成形のみで複合成形品を成形するもの、発泡成形を組み合わせたもの、または貼合わせ等を併用したもの等であってもよい。
11 射出成形機
12 型締装置
15 可動金型
16 可動盤
19 固定金型
20 固定盤
23 型締シリンダ
28 ハーフナット
30 型開閉機構
31,40,43 サーボモータ
32,44 ボールネジ
33,45 ボールネジナット
35 中間部材
36 回転軸
37 中間盤
38 第1の中間金型
39 第2の中間金型
42 ロック機構

Claims (3)

  1. 可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機において、
    前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられたことを特徴とする複合成形品の射出成形機。
  2. 前記ロック機構は、中間部材の移動機構を兼ねたサーボモータとボールネジとボールネジナットの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の複合成形品の射出成形機。
  3. 可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記中間部材には型開閉方向と直交する方向の回転軸を中心に回転する中間金型が設けられ、前記可動金型および前記固定金型と中間金型とが型閉されてそれぞれキャビティが形成される複合成形品の射出成形機の作動方法において、
    前記中間部材と前記可動盤との間には、前記中間部材の位置を前記可動盤に対して固定的に保持可能なロック機構が少なくとも2個以上備えられ、
    前記ロック機構により中間部材を前記可動盤に対して固定的に保持し、
    固定盤に対して中間部材を移動させることを特徴とする複合成形品の射出成形機の作動方法。
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