JP2013223627A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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健 蒲生
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Abstract

【課題】共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができるドラム式洗濯機を提供すること。
【解決手段】水平軸または傾斜回転軸にて回転可能に支持された有底円筒状のドラム3と、ドラム3を収容する水槽2と、水槽2の振動を検知する振動検知手段12と、ドラム3の正面側に配置された環状容器17と、環状容器17内を移動可能な球体8と、ドラム3を回転駆動する駆動モータ4と、駆動モータ4等を制御する制御手段6とを備え、制御手段6は、振動検知手段12によりドラム3内の洗濯物のアンバランス量を判定し、判定したアンバランス量を基に、共振回転速度までのドラム3の立ち上げ方を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性的に支持された水槽内に洗濯物を収容して回転可能なドラムを備え、そのドラム内で洗濯物の洗い、すすぎ、脱水を行うドラム式の洗濯機に関する。
一般的に、水平または傾斜した回転軸を有するドラム式洗濯機の脱水工程において、しばしば洗濯物がドラム内で不均一な状態、すなわちアンバランスな状態になる。その結果、脱水中に回転軸には偏った力が加わり、振動が発生する。振動の振幅は回転ドラムの回転速度の2乗に比例して増大する。その振動のために洗濯機自身が移動したり、また、騒音が激しいためにある回転速度以上では運転することができなくなってしまうなどの問題が発生する。
洗濯物のアンバランスによる振動を低減するために、金属球(以降、ボールと呼ぶ)を使用したボールバランサシステムがある。ボールバランサは、ドラムの内周に取り付けた管状のレース部内に、回転方向(周方向)に自由度をもつ複数のボールを備えている。ボールバランサは、偏心荷重を生じさせるアンバランス体に対して自動的にボールが対向位置に移動する力学現象を利用したバランス装置である。
また、ドラムの正面側にボールを配置したシングルボールバランサの他に、ドラムの正面側及び底面側の2箇所に、複数の転動体を配置したダブルボールバランサも知られている(例えば、特許文献1参照)。これらは原理的には同じである。すなわち、どちらのボールバランサも、脱水工程において経時的に変化する洗濯物のアンバランス量に刻一刻と対応して、複数のボールが位置を変え、自動的にアンバランスを修正する仕組みである。
特許文献1において、第1の回転速度を共振回転速度以下の回転速度で回転し、所定の時間、ボールが偏心荷重に対して同相位置に移動して、その同相位置で維持する。その後、ドラムは同相位置で停止状態からゆるやかに加速して、共振回転速度を通過する。これにより、ボールが自動バランシングの原理により自動的にアンバランスの対向位置に移動することで振動を抑制している。
また、ドラムの回転を共振回転速度の高速側近傍である過渡振動回転速度領域の上限まで上昇させた後、アンバランスの打ち消す方向にボールを移動させるために、ドラムの回転速度を不連続な回転速度に微小変化させてドラムを制御している(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−125083号公報 特開2011−125401号公報
しかしながら、従来の構成では、洗濯物のアンバランス量によって必要なボールの動作が異なるため、同様の立ち上げ方では共振回転速度を通過するときには振動が大きくなることがあるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯物のアンバランス量によって高速回
転時のドラムの立ち上げ方を変えることで、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、水平または傾斜した回転軸により回転可能に支持された有底円筒状のドラムと、前記ドラムを収容する水槽と、前記水槽の振動を検知する振動検知手段と、前記ドラムの正面側に配置された環状容器と、前記環状容器内を移動可能な球体と、前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータ等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記振動検知手段により前記ドラム内の洗濯物のアンバランス量を判定し、判定したアンバランス量を基に、共振回転速度までの前記ドラムの立ち上げ方を決定するようにしたものである。
これにより、洗濯物のアンバランス量に応じて必要な球体を制御することができ、低振動のまま共振回転速度まで立ち上げることができるため、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
本発明のドラム式洗濯機は、洗濯物のアンバランス量に応じて、球体を的確に制御することができるため、共振回転速度におけるドラムの振動を最小限に抑制することができる。
本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の要部断面図 本発明の実施の形態1におけるボールバランサの概略図 本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の制御ブロック図 本発明の実施の形態1における回転速度のシーケンスを表す図 本発明の実施の形態1における回転速度のシーケンスを表す図 本発明の実施の形態1における駆動モータ電流の特性図
第1の発明のドラム式洗濯機は、水平または傾斜した回転軸により回転可能に支持された有底円筒状のドラムと、前記ドラムを収容する水槽と、前記水槽の振動を検知する振動検知手段と、前記ドラムの正面側に配置された環状容器と、前記環状容器内を移動可能な球体と、前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、前記駆動モータ等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記振動検知手段により前記ドラム内の洗濯物のアンバランス量を判定し、判定したアンバランス量を基に、共振回転速度までの前記ドラムの立ち上げ方を決定するようにしたものである。
この構成により、振動検知手段により水槽の振動を検知し、検知結果に基づいて洗濯物のアンバランス量を判定して、ドラムの回転パターンを変えることで、洗濯物のアンバランス量に応じて必要な球体を制御することができる。このため、低振動のまま共振回転速度まで立ち上げることができ、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
第2の発明は、第1の発明のドラム式洗濯機の前記駆動モータの電流を検知する電流検知手段をさらに備え、
前記振動検知手段は、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力が遠心力より小さい回転速度で回転している時に前記水槽の振動を検知し、前記制御手段は、前記振動検知手段により、前記洗濯物のアンバランス量が多いと判定した時に、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力と遠心力とが均衡する回転速度にて、前記電流検知手段により前記駆動モータの電流を検
知し、前記電流に基づいて前記球体と前記洗濯物のアンバランスとが逆位相になるように前記駆動モータを制御するものである。
この構成により、洗濯物のアンバランス量が多い時は、ドラムの回転速度をドラム内の洗濯物にかかる重力と遠心力とが均衡する回転速度にすることで、洗濯物のアンバランスと球体の位置関係が逆位相よりも少しずれた場合にも、正確に球体を洗濯物のアンバランスと逆位相となるようにすることができる。よって、ボールバランサとしての洗濯物のアンバランスを少なくすることができ、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
第3の発明は、第2の発明のドラム式洗濯機の前記振動検知手段は、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力が遠心力より小さい回転速度で回転している時に前記水槽の振動を検知し、前記制御手段は、前記振動検知手段により、前記洗濯物のアンバランス量が少ないと判定した時に、前記ドラムの加速および減速を繰り返すようにしたものである。
この構成により、洗濯物のアンバランス量が少ない時は、ボールバランサ自体が洗濯物のアンバランスになり得ることから、一旦ドラムを減速して再度加速という動作を繰り返すことで、球体を再配置することができる。これをすることによってボールバランサとしての洗濯物のアンバランスを少なくすることができ、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
第4の発明は、特に第3の発明の前記制御手段は、前記ドラムが加速・減速を繰り返した後、前記振動検知手段により、再び前記水槽の振動を検知するようにし、前記振動検知手段による振動量が所定の値よりも小さいとき、前記ドラムを共振回転速度より高い回転速度まで上げるようにしたものである。
この構成によって、ドラムを加速・減速を繰り返し、洗濯物のアンバランス量が変更された状態で、球体の位置も変更されているため、振動検知手段によって振動が小さいかを確認してからドラムを高速回転速度に立ち上げることで、共振回転速度通過時にドラムの振動を確実に抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本案が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の要部断面図である。ドラム式洗濯機1の内側には、有底円筒状の水槽2が収容されている。水槽2の内部には有底円筒状のドラム3が収容されている。ドラム式洗濯機1の正面側には、水槽2の開口部2aを通してドラム3内に通じる開口部3aが設けられている。ドラム3は、ドラム3を回転支持する回転軸が正面側から底面側に向けて下向きに傾斜して配置されている。水槽2は開口部2aを正面側とし、ドラム3に沿うように傾斜配置されている。回転軸を傾斜させることで、水槽2の前面側の開口を上側に配置することができるようになり、大きく屈む姿勢をとることなくドラム3内の洗濯物が取り出せるようになる。また、回転軸を水平方向とした場合に比べ、水槽2内に給水された水が背面側に溜まって、少ない水量でも深い貯水状態が得られる。すなわち、少ない給水量でも洗濯物が含水しやすくすくなる。水槽2はバネ10とダンパ5によって支持されている。なお、洗濯物の取り出しやすさや給水量を考慮しなければ、回転軸は水平であってもよい。
ドラム3の内部には洗濯物13を持ち上げて落とすことができるバッフル16が設けられている。ドラム3が回転駆動することにより、バッフル16によって持ち上げられた洗
濯物は、ドラム3の上部から水面に叩きつけられ、叩き洗い(機械力)によって洗浄がなされる。さらに、ドラム3には複数の透孔15が設けられている。透孔15を介して水槽2からドラム3内に通水および通気ができる。
また、開口部3aには扉7が開閉自在に設けられている。水槽2の開口部2aは、その口縁に環状のシール材が装着されている。シール材の前面側は扉7の背面側に当接して密閉し、上下左右、前後に揺動する水槽2の開口2aが動いても、シール材が変形し扉7背面側へ押圧するので密閉性が維持されている。
ドラム3の前面側には、ボールバランサ30が設けられている。図2は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機1のボールバランサ30の概略図である。ボールバランサ30は、ドラム3の正面側に配置された環状容器17と、環状容器17内を移動可能な金属からなるボール8(球体)と、環状容器17内に貯留される粘性液体18とを有している。リング状となる環状容器17はドラム3と軸線を一致するように設置されている。ボール8の動きを制御するために、環状容器17の内部には粘性液体18が貯留されている。本実施の形態1ではシリコンオイルを用いている。なお、他の粘性のある液体であれば同様の効果が得られることから、シリコンオイルに限定するものではない。
ドラム式洗濯機1の内部で水槽2の下方には、ドラム3を回転駆動するための駆動モータ4が取り付けられている。駆動モータ4の回転駆動が、ベルト23を介してドラム3の同一軸に設けられたドラムプーリ24に伝達される。これにより、駆動モータ4がドラム3を回転駆動する。
ドラム式洗濯機1の上部には、給水弁11が設けられている。給水弁11からの水は洗剤ケース9に流れ込み、洗剤を溶かしながら水槽2内に供給される。すすぎ工程においては、洗剤ケース9を介しても洗剤ケース9内には洗剤がないので、洗剤成分を含まないすすぎ水が給水される。また、ドラム式洗濯機1の下部には、排水ポンプ19が設けられており、排水ポンプ19を駆動させることで、水槽2内の洗浄水やすすぎ水が排水される。なお、本実施の形態では排水ポンプ19によって、水槽2内の洗浄水やすすぎ水を排水することとしたが、排水弁としてもよい。
次に、駆動モータ4等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段6の詳細を図3により説明する。図3は本発明の実施形態1におけるドラム式洗濯機の制御ブロック図である。制御手段6は、給水弁11、排水ポンプ19や駆動モータ4の駆動の指示はもちろん、振動検知手段12や水位センサ(図示せず)など各種センサ出力を含め、すべての入出力制御をタイマーで管理できるシステムを具備しており、各動作、タイミングにおける所要時間を知ることができる。
水槽2の振動を検知する振動検知手段12は、水槽2の背面側の上部に設けられている。振動検知手段12は、洗い、すすぎ、脱水の一連の工程における水槽2の振動を検知するものである。各工程での振動値を制御手段6が分析した後、駆動モータ4に対して指令を出すことで、最適なモータ制御を行っている。振動検知手段12は、少なくとも一つの加速度センサ(図示せず)を有し、水槽2の上下方向、左右方向、前後方向のうちの少なくとも一つの方向の振動を検知している。なお、加速度センサとしては、半導体加速度センサ、圧電型加速度センサなどのいずれでも良く、さらに多軸(2軸もしくは3軸)方向の加速度センサでも良い。
電流検知手段20は、駆動モータ4に印加する電流の値を検知する。制御手段6は、電流検知手段20で検知した電流に基づき、環状容器17のボール8の位置が洗濯物13のアンバランスと逆位相であるタイミングを判断する。制御手段6は、洗濯物13がアンバ
ランスと逆位相になるように駆動モータ4に指令を出している。制御手段6はハードウェア構成として、CPU、メモリ、ドライバ回路などを具備した電気回路であり、制御手段6内のメモリに記憶させたプログラムに従って、駆動モータ4などの周辺機器を動かしている。
以上のように構成されたドラム式洗濯機の脱水工程について、以下、その動作、作用について図4〜7を用いて説明する。図4、5は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の回転速度のシーケンスを表す図である。図6は、本発明の実施の形態1における駆動モータ電流の特性図である。
まず、ドラム式洗濯機1が排水後に脱水を行う場合、制御手段6の指令により駆動モータ4に駆動電圧を印加させる。駆動モータ4を低速回転から高速回転に動作させ、ドラム3の回転速度を徐々に上昇させる。このとき、駆動モータ4が永久磁石同期モータであるため、駆動モータ4のロータ位置を検知する。これにより、駆動モータ4の脱調を防止することで安全、かつ高速に回転速度を上昇させることができる。
次に、制御手段6は、洗濯物13やボール8にかかる重力がドラム3の回転による遠心力より小さい回転速度でドラム3を回転させる。振動検知手段12により水槽の振動を検知するために、洗濯物13がドラム3の内壁に貼りつく回転速度が一番望ましい。この回転速度でドラム3を回転すると、洗濯物13のアンバランスが形成しやすく、かつ、ドラム3の一回転(一周期)内で洗濯物13のアンバランスによる振動を検知すること可能なため、本実施例では80rpmとしている。
次に、洗濯物13のアンバランスの位置および量検知について簡単に説明する。本実施では、振動検知手段12は3軸の加速度センサである。水槽2の上下方向、左右方向、前後方向を検知し、それぞれ洗濯物13のアンバランスの位置によって、各軸の位相差で洗濯物のアンバランス量を検知している。洗濯物13のアンバランス量がドラム3の正面側にある時は、水槽2の左右方向、前後方向の位相差が大きくなる。洗濯物13のアンバランス量がドラム3の後側にある時は2方向の位相差が小さくなることから、振動検知手段12で検知した信号により、制御手段6が洗濯物13のアンバランス量を判定することが可能となる。また、洗濯物13のアンバランス量については、水槽2の左右方向の信号振幅を使用して洗濯物13のアンバランス量を検知している。これはドラム3内に衣類が存在すると、水槽2の揺れとしては左右方向のSN比が一番大きい。従って本実施例では左右方向を採用している。
次に、図4を用いて洗濯物13のアンバランス量が多い時の共振回転速度までの立ち上げ方について説明する。まず、脱水工程が開始されると、ドラム3の回転速度を80rpmまで上昇させて、洗濯物13のアンバランス量の検知を行う。
制御手段6は、振動検知手段12の出力を基に、洗濯物13のアンバランス量が多いと判定した場合、ドラム3の回転速度を80rpmから低下させ、その回転速度にて維持する。このときの回転速度は、洗濯物13やボール8にかかる重力とドラム3の回転による遠心力が釣り合う均衡回転速度である。この時の回転速度は、ドラム3の大きさや布量、布質にもよるが、例えば67rpmである。このときの回転速度の下限値は、洗濯物13がドラム3内で落下しないような回転速度で、ボール8が環状容器17内で洗濯物に対して相対的に移動できるような回転速度である。また、上限回転速度は、1次共振回転速度よりも低く、ボール8が環状容器17内で、洗濯物に対して相対的に移動できるような回転速度である。もしくは、洗濯物がボール8に対して相対的に移動できるような回転速度である。ドラム3の回転速度が低すぎると、重力が支配的になり、ボール8と洗濯物のアンバランス位置が相対的に変化せず、バランスの均衡が取れない。また、ドラム3の回転
速度が高すぎると、重力よりも遠心力が支配的になるため、ボール8がドラム3に対して相対的に移動できなくなり、洗濯物13のアンバランス量とボール8を逆位相にすることができなくなる。よって、このときのドラム3の回転速度は、遠心力と重力が均衡する回転速度、または遠心力が重力よりもやや支配的になるような回転速度である必要がある。
洗濯物13に作用する重力と遠心力がほぼ釣り合い、ボール8がドラム3内の洗濯物に対して相対的に移動するような条件の時に電流検知手段20により、駆動モータ4に印加する電流値(トルク電流)をモニターする。
ここで、洗濯物13のアンバランス量の位置とボール8が逆位相になるタイミングについて図6を用いながら説明する。ドラム3を87rpmから67rpmまで下降させた後、回転速度を67rpmで維持させることで、ドラム3とボール8との位相ずれが生じ、ボール8が洗濯物13のアンバランス位置に対して相対的に移動する。これにより、洗濯物13アンバランス量とボール8が周期的に同位相になったり、逆位相になったりする。洗濯物13のアンバランス量がボール8と同位相の場合、図6の電流値Aにように大きくなる。アンバランス量がボール8と逆位相の場合、図6の電流値Bにように小さくなる。電流値があらかじめ設定した閾値よりも小さくなれば、洗濯物13のアンバランス量とボール8が逆位相であると判断するようにしている。そこで図6のようにあらかじめ設定した閾値よりも小さくなった時、ボール8が洗濯物13のアンバランスと逆位相なる直前の状態なので、回転速度を上昇させても支障はない。従って、制御手段6により駆動モータ4に指令を出して、共振回転領域よりも高い回転速度まで一気に加速する。
以上のようにして、洗濯物のアンバランスとボール8との位置関係が逆位相よりも少しずれた場合にも、正確にボールを洗濯物のアンバランスと逆位相となるようにすることができる。よって、ボールバランサとしての洗濯物のアンバランスを少なくすることができ、共振回転速度通過時にはドラム3の振動を最小限に抑えることができる。
次に、図5を用いて、洗濯物13のアンバランス量が少ない時の共振回転速度までの立ち上げ方について説明する。まず、脱水工程が開始されると、80rpmまで上昇して、洗濯物13のアンバランス量の検知を行う。
洗濯物13のアンバランス量が少ない場合、ドラム3の回転速度を、80rpmから洗濯物13やボール8にかかる重力とドラム3の回転による遠心力が釣り合う均衡回転速度まで下降させる。この時の回転速度を67rpmにして一定時間回転した後、ドラム3の回転を120rpmまで加速させ、120rpmで一定時間回転させる。この後、再度ドラム3を67rpmまで減速させ回転させる。本実施の形態においては、加速・減速の動作を2回としているが、2回〜6回の範囲内であれば本実施の形態と同等の効果が得られる。
その後、振動検知手段12により、水槽2の振動を再度検知して、振動量が所定の値よりも小さいときに、ドラムを共振回転速度より高い回転速度まで上げる。
以上のようにして、洗濯物のアンバランス量が少ない時は、ボールバランサ自体が洗濯物のアンバランスになり得ることから、一旦ドラム3を減速して再度加速という動作を繰り返すことで、球体を再配置することができる。これをすることによってボールバランサとしての洗濯物のアンバランスを少なくすることができ、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
また、ドラム3を加速・減速を繰り返した後、振動検知手段12による振動量が所定の値よりも小さいとき、ドラム3を共振回転速度より高い回転速度まで上げることにより、
洗濯物のアンバランス量が変更された状態で、ボール8の位置が変更されている。このため、振動検知手段12によって振動が小さいかを確認してからドラム3を高速回転速度に立ち上げることで、共振回転速度通過時にドラム3の振動を確実に抑えることができる。
ここで、洗濯物13のアンバランス量が少ない時にドラム3を加速・減速を繰り返す必要について説明する。ドラム3の正面側に配置しているボールバランサ30は、洗濯物13のアンバランス量が少ない場合には、補正力を最大限に発揮することができない。そこで、本実施の形態においては、ドラム3の加速・減速により、ボール8を環状容器内で分散させることができる。ボール8を分散させることにより、ドラム3内の洗濯物13のアンバランスとボール8が対角に位置することによる発生する対角アンバランスを防ぐことができる。洗濯物13のアンバランス量が変わり、振動検知手段12による振動が低減された場合には、ボール8と洗濯物13のアンバランス量を電流検知手段20で検知して、逆位相のときにドラム3を共振回転速度以上の回転速度まで回転させる。これにより、共振回転速度通過時にはドラムの振動を最小限に抑えることができる。
以上のようにして、振動検知手段12により水槽2の振動を検知し、検知結果に基づいて洗濯物のアンバランス量を判定して、ドラム3の回転パターンを変えることで、洗濯物のアンバランス量に応じて必要な球体を制御することができる。このため、低振動のまま共振回転速度まで立ち上げることができ、共振回転速度通過時にはドラム3の振動を最小限に抑えることができる。
本発明にかかる洗濯機は、洗濯物によるアンバランス量によって、高速回転時のドラムの立ち上げ方を変えるので、アンバランスをより低減することができ、起動時の振動を抑制できることから、家庭用、業務用のドラム式洗濯機やクリーニング装置として有用である。
1 ドラム式洗濯機
2 水槽
3 ドラム
4 駆動モータ
5 ダンパ
6 制御手段
8 ボール(球体)
10 バネ
12 振動検知手段
13 洗濯物
16 バッフル
17 環状容器
18 粘性液体
20 電流検知手段
30 ボールバランサ

Claims (4)

  1. 水平または傾斜した回転軸により回転可能に支持された有底円筒状のドラムと、
    前記ドラムを収容する水槽と、
    前記水槽の振動を検知する振動検知手段と、
    前記ドラムの正面側に配置された環状容器と、
    前記環状容器内を移動可能な球体と、
    前記ドラムを回転駆動する駆動モータと、
    前記駆動モータ等を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記振動検知手段により前記ドラム内の洗濯物のアンバランス量を判定し、判定したアンバランス量を基に、共振回転速度までの前記ドラムの立ち上げ方を決定するようにしたドラム式洗濯機。
  2. 前記駆動モータの電流を検知する電流検知手段をさらに備え、
    前記振動検知手段は、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力が遠心力より小さい回転速度で回転している時に前記水槽の振動を検知し、
    前記制御手段は、前記振動検知手段により、前記洗濯物のアンバランス量が多いと判定した時に、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力と遠心力とが均衡する回転速度にて、前記電流検知手段により前記駆動モータの電流を検知し、前記電流に基づいて前記球体と前記洗濯物のアンバランスとが逆位相になるように前記駆動モータを制御する請求項1に記載のドラム式洗濯機。
  3. 前記振動検知手段は、前記ドラム内の洗濯物にかかる重力が遠心力より小さい回転速度で回転している時に前記水槽の振動を検知し、
    前記制御手段は、前記振動検知手段により、前記洗濯物のアンバランス量が少ないと判定した時に、前記ドラムの加速および減速を繰り返すようにした請求項2に記載のドラム式洗濯機。
  4. 前記制御手段は、前記ドラムが加速・減速を繰り返した後、前記振動検知手段により、再び前記水槽の振動を検知するようにし、前記振動検知手段による振動量が所定の値よりも小さいとき、前記ドラムを共振回転速度より高い回転速度まで上げるようにした請求項3に記載のドラム式洗濯機。
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