JP2013223347A - 発電装置 - Google Patents

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英則 勝村
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Abstract

【課題】回転体の回転運動を効率良く圧電素子の振動に変換し、安定した電力を発電することができる圧電発電装置を得る。
【解決手段】固定部と、少なくとも一部が磁性体からなる錘部を有する振動部と、この振動部の振動を電気エネルギーに変換するための発電部と、からなる発電素子と、前記磁性体に磁力を与えるための磁力発生部と、前記発電素子あるいは磁力発生部のいずれか一方を固定するための回転体および固定体と、を備え、前記錘部および磁力発生部を、前記回転体の回転中心から等距離となるように配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばタイヤなどの回転体と、該回転体に取り付けられて圧電効果により電力を発生させる圧電素子を有する発電装置に関する。
自動車タイヤの空気圧をセンシングし、空気圧が低下したときに警報を発生するタイヤ空気圧監視システム(TPMS;Tire Pressure Monitoring System)が一部地域で法制化され、市場が拡大している。空気圧センサと、センシング情報を送信する通信部には電源供給が必要であり、現在ではほとんどの場合、コイン型一次電池が使われている。一次電池には寿命があるため、数年に一回は交換する必要があるが、タイヤの中に組み込まれた一次電池を交換するためにはタイヤを取り外す必要があるなど非常に面倒な作業が必要となるため、改善策が求められている。
一次電池を使わないTPMS用電源として従来からさまざま提案されているが、特に注目されるのは、下記特許文献1に示されるような圧電発電装置である。圧電発電装置は、圧電体の圧電効果を利用して振動、変形などの機械エネルギーを電気エネルギーに変換し発電する装置であり、比較的安価で小型の自立電源を実現することができる。
特許第4830592号
しかし上述した発電装置では、タイヤなど回転体に発生する振動や変形を利用して発電するため、振動、変形の小さい運転状況では十分な電力が得られず、発電が安定しないという課題があった。
そこで本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、回転体の回転運動を効率良く圧電素子の振動に変換し、安定した電力を発電することができる発電装置を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、固定部と、少なくとも一部が磁性体からなる錘部を有する振動部と、この振動部の振動を電気エネルギーに変換するための発電部と、からなる発電素子と、前記磁性体に磁力を与えるための磁力発生部と、前記発電素子あるいは磁力発生部のいずれか一方を固定するための回転体および固定体と、を備え、前記錘部および磁力発生部を、前記回転体の回転中心から等距離となるように配置した。
以上のように本発明によれば、回転体の回転運動を効率良く圧電素子の振動に変換することができるので、回転体が回転運動をしておれば運転状況に左右されず安定した電力を得ることができる。
(a)発電素子の構造の一例を説明する側面図、(b)発電素子の構造の一例を説明する上面図 (a)本発明の好ましい実施形態による、回転体に対する発電素子と磁力発生部の配置について説明する図、(b)本発明の好ましい実施形態による、回転体に対する発電素子と磁力発生部の配置について説明する図 発電素子の変形状態を模式的に示す図 (a)本発明の発電装置によって得られた電圧の時間変化を示す図、(b)本発明の発電装置によって得られた電力の時間変化を示す図 本発明の好ましい実施形態による発電装置の構造を説明する図 本発明の好ましい実施形態による別の発電素子の梁部の構造を説明する図 本発明の好ましい実施形態による別の発電装置の構造を説明する図 本発明の別の好ましい実施形態による発電素子の構造の一例を説明する図 本発明の別の好ましい実施形態による、回転体に対する発電素子と磁力発生部の配置について説明する図 本発明の別の好ましい実施形態による発電素子の構造の一例を説明する図 本発明の別の好ましい実施形態による固定部の構造の一例を説明する図
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態における発電装置を構成する発電素子1の構造概略図である。図1(a)は側面図を、図1(b)は上面図をそれぞれ示している。金属基板からなる梁で構成される振動部2の主面に、下から下部電極3、圧電体層4、上部電極5が順に形成されており、これら下部電極3、圧電体層4、上部電極5で発電部10を構成し、振動部の振動や歪み、変形などの機械エネルギーを圧電効果により電気エネルギーに変換するものである。振動部2は片持ち梁構造となっており、一端を自由端としてその先端に少なくとも一部が永久磁石などからなる磁性体である錘部6が設けられている。また振動部2の他端にはこの発電素子1を固定するための固定部7が設けられている。
以下、本発明の発電素子1の製造方法の一例を説明する。
振動部2として厚み0.20mmの耐熱性ステンレス板(日新製鋼社製、NCA−1)を使用し、素子の寸法は3×20mmとした。この上へ、Ag−Pd合金ペーストをスクリーン印刷することで下部電極3を、その上へ圧電材料組成粉からなる印刷用ペーストをメタルマスク印刷することで圧電体層4を、さらにその上へAg−Pd合金ペーストをスクリーン印刷することで上部電極5を形成し、これらを大気中において875℃で2時間保持することで焼成した。焼成後の圧電体層4の厚みは30μm、下部電極3、上部電極5の厚みはいずれも3μmであった。また振動部2の先端には錘部6として重量0.30g、寸法3×3×3mmのネオジム永久磁石を、振動部2の両面にそれぞれ1個ずつ接着剤で固定した。
圧電体層4に用いる圧電材料は、低温で緻密に焼結し、かつ圧電特性に優れた組成であることが望ましい。そこで本実施の形態では、(式1)で示される材料組成とした。
(式1)Pb1.015Zr0.44Ti0.46(Zn1/3Nb2/30.103.015
この組成は、本出願人が提案した特許第4403967号公報に開示されている組成範囲で、優れた圧電特性を示すことで知られており、PZTのBサイトをPb(Zn1/3Nb2/3)O3で10モル%置換し、またPbサイト比を1.015とストイキオメトリーよりも過剰にしていることを特徴としている。
純度99.9%以上の酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb25)粉末を原料とし、公知の固相法により(式1)に示したモル比の圧電材料組成粉を合成した。なお900℃未満の温度で緻密に焼結させるため、平均粒子径(D50)が0.5μm未満となるまで粉砕した。
JEITA EM−4501に記載されている方法に則り、得られた圧電材料の圧電体特性を測定したところ、機械結合係数kpは0.60、圧電定数d31は−125pm/Vと優れた圧電特性を示した。
次に、印刷用ペーストの作製方法について説明する。有機バインダと溶剤との配合比率が、例えば2:8となるように調製して有機ビヒクルを作製する。有機バインダには例えばエチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などを使用することができ、溶剤には例えばα−テルピネオール、ブチルカルビトールなどを使用することができる。この有機ビヒクルと上記圧電材料組成粉を例えば20:80の重量比率で秤量し、適量の分散剤とともに混合した後、三本ボールミルで混練することにより印刷用ペーストを作製した。
下部電極3および上部電極5の形成には、市販の銀パラジウム合金(銀:パラジウム比=90:10、平均粒子径0.9μm)ペーストを用いた。
次に本発明の発電装置の発電方法について説明する。
本発明の発電装置は図2のように、回転体11と、回転体11に固定された永久磁石や電磁石などからなる磁力発生部12と、回転体11と同軸上かつ一定の間隔を設けて配置された固定体8に固定部7が固定された発電素子1で構成される。磁力発生部12は回転体11に固定されているため、回転体11の回転にともなって回転運動を行い、一方の固定体8はそのまま固定される。このとき、発電素子1の振動部2の一端に固定され、少なくとも一部が磁性体からなる錘部6の中心と、回転体11に固定した磁力発生部12の中心が、図2(b)のように回転体11の回転運動にともなう磁力発生部12の回転運動中に少なくとも1回は一致するように、発電素子1と磁力発生部12を固定した。すなわち、回転体の回転中心Oに対し、磁力発生部12が描く円周上に発電素子1の錘部6の中心がくるように固定するものである。なお、本実施の形態では磁力発生部12として寸法5×5×1mmのネオジム永久磁石を使った。
なお図2では回転体11の回転中心に相当する固定体8の位置に発電素子1の固定部7を固定しているが、特にこの固定位置に限定しない。回転体11の近傍に別の固定部材を設け、それに発電素子1を固定しても良い。この時、発電素子1の振動部2の一端に固定した錘部6の中心と、回転体11に固定した磁力発生部12の中心が一致するように固定することが重要である。
図3は、回転体11の回転運動にともなって回転運動する磁力発生部12が、発電素子1を構成する振動部2の先端に固定した錘部6に最も接近したときの、発電素子1の変形を模式的に示した図である。図3では、錘部6を形成する磁性体として永久磁石を用い、この永久磁石と対向する磁力発生部12の磁極を同極とすることで互いに反発するように取り付けたときの発電素子1の変形状態を示している。発電素子1の変形にともなって圧電体層4が変形し、変形量に応じた電圧が発生する。また回転にともなって磁力発生部12が発電素子1から遠ざかると、発電素子1は復元しようとする力によって共振振動が生じ、この共振振動に応じた電圧が圧電体層4に発生する。
なお、錘部6と磁力発生部12は、上述とは反対に磁極が異極となるように設けてもよいが、距離や磁力の強弱等により両者が吸着してしまい、回転運動によって発電素子1を破壊してしまう恐れがある。したがって、錘部6と磁力発生部12との相互作用を最大限に利用するため、錘部6と磁力発生部12は互いに反発する磁極となるように取り付けるのが好ましい。もしくは、錘部6と磁力発生部12の間に、非磁性体などからなる接着防止部材を設けても良い。
図4は、上述の一連の動きによって得られた電圧および電力を、下部電極3と上部電極5との間に接続した500kΩの負荷抵抗の両端の電圧をモニタリングすることによって評価した例である。なお電力は(電圧)2/(負荷抵抗)で求めた。この例では回転体11は回転数60rpmで回転しているため、1秒間に1回の頻度で発電素子1と磁力発生部12が接近し、発電素子1が変形、共振振動することによって電力が発生している。図4の例では発電素子1と磁力発生部12が最接近したときに600〜800μWの電力が発電され、その後の共振振動でも0.1〜0.2秒間は100μW近くの電力が発電されている。また1秒間の平均電力を算出すると約15μWで、この値は回転体11が同じ回転数で回転している間ほぼ一定であった。
また上述の方法であれば、1回転あたりにほぼ一定の発電電力が得られるため、回転速度が変化すれば、それに応じて発電電力も変化することになる。したがって、任意の時間内における平均発電電力をモニタリングすることにより、回転体11の回転速度を簡易的に知ることができる。また、単位時間あたりの共振振動のピーク電圧をモニタリングすることでも回転体の回転速度を計測することができる。
また図5のように、回転体11に固定する磁力発生部12の数を増やし、発電素子1が変形、振動する頻度を大きくすることにより、発電電力を大きくすることができる。
さらに図6のような構造を持つ複数の振動部2、圧電体層4、磁性体6などを一体化した発電素子1としても良い。複数の振動部2を一体化した発電素子1とすることにより、振動部2の共振振動における安定性が高くなり、共振振動による発電電力が大きくなる効果がある。この場合、発電素子1の中心からそれぞれの錘部6の中心点までの長さは同じとし、発電素子1の中央部に形成した固定部7で図7のように回転体11の回転中心と同軸の固定体8の部位に固定し、磁力発生部12の中心を錘部6の中心になるよう回転体11に固定すれば、より効率的に発電素子1を変形、振動させることができ、大きな電力を得られる。もちろんこの時、回転体11に固定する磁力発生部12は複数にしても良い。
また発電素子1と磁力発生部12は一体パッケージとしてもよい。この場合、磁力発生部12は回転体11の回転運動にともなって回転するように、他方、発電素子1は回転しないようなパッケージング構造にする必要がある。発電素子1の錘部6と磁力発生部12との間隔は、発電素子1の変形量、および発電量に影響するため、非常に重要な因子である。一体パッケージとすることにより、この間隔を常に最適な状態で調整したものを提供することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、別の好ましい発電装置の例について説明する。
図8はその一例で、枠体形状の固定体8の内側に下部電極3、圧電体層4、上部電極5、少なくとも一部が磁性体で構成される錘部6が形成、固定された複数の振動部2が一体化された発電素子1とする。複数の振動部2を固定体8で一体化した発電素子1とすることにより、振動部2の共振振動時の安定性が高くなり、共振振動による発電電力が大きくなる効果がある。このとき、複数の振動部2の先端に固定してあるそれぞれの錘部6の中心を結ぶ円周から求められる中心Oと回転体11の回転中心が一致するよう固定体8で発電素子1を固定し、図9のように、それぞれの錘部6の中心を通る円周上に磁力発生部12を回転体11に固定すれば、より効率的に振動部2を変形、振動させることができ、大きな電力が得られる。
また図10のように、振動部2を自由端側の錘部6から固定端の固定体8に向かって拡幅するように扇形とすることにより、発電素子1全体の大きさを大きくしなくても、圧電体層4の面積を大きくすることができ、より効率的に大きな電力を得ることができる。
また図11(a)に示すように固定部材9を十字形状としてその各先端に磁力発生部12を設けたり、図11(b)に示すように固定部材9を円盤状としてその円周上に複数の磁力発生部12を設けることで、発電素子1の変形、振動の頻度が多くなり、より大きな電力を得ることができる。なお、上記固定部材9を回転体11に固定する際、固定部材9の中心O(複数の磁力発生部12の中心を結ぶ円周の中心O)と回転体11の回転中心を一致させるとともに、その中心Oと磁力発生部12および錘部6の距離を同じになるように配置するものである。このようにすることにより効率的に大きな電力を得ることができる。
また発電素子1と磁力発生部12、または磁力発生部12が複数固定された固定部材9は一体パッケージとしてもよい。この場合、磁力発生部12または固定部材9は回転体11の回転運動にともなって回転するように、発電素子1は回転しないようなパッケージング構造にする必要がある。一体パッケージとすることにより、発電素子1の錘部6と磁力発生部12の間隔を常に最適な状態で調整することができ、安定して大きな電力が得られる発電装置を提供することができる。
本発明は自動車のタイヤ等の回転体の回転運動を利用した自立電源として利用することが有用である。
1 発電素子
2 振動部
3 下部電極
4 圧電体層
5 上部電極
6 錘部
7 固定部
8 固定体
9 固定部材
10 発電部
11 回転体
12 磁力発生部

Claims (7)

  1. 固定部と、少なくとも一部が磁性体からなる錘部を有する振動部と、この振動部の振動を電気エネルギーに変換するための発電部と、からなる発電素子と、
    前記磁性体に磁力を与えるための磁力発生部と、
    前記発電素子あるいは磁力発生部のいずれか一方を固定するための回転体および固定体と、を備え、
    前記錘部および磁力発生部を、前記回転体の回転中心から等距離となるように配置したことを特徴とする発電装置。
  2. 錘部または磁力発生部のいずれか一方を、回転体の回転中心から各々の中心角が等しくなるように複数配置したことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
  3. 磁力発生部を回転体に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の発電装置。
  4. 発電素子は、固定部を固定端とし対向する一端を自由端とする片持ち梁構造であり、前記自由端に錘部を配置したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の発電装置。
  5. 片持ち梁構造は、自由端から固定端に向かって拡幅していることを特徴とする請求項4に記載の発電装置。
  6. 発電部は圧電体からなり、振動部の振動を電気エネルギーに変換する請求項1〜5に記載の発電装置。
  7. 錘部と磁力発生部の対向する磁極を同極とした請求項1〜6いずれかに記載の発電装置。
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