JP2013221132A - 樹脂多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な多孔化工程で製造できる樹脂多孔質体及びその製造方法の提供。
【解決手段】セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去してなる樹脂多孔質体。セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなり、前記セルロースファイバーと略同一形状の孔を有する樹脂多孔質体。セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去する多孔化工程を含む樹脂多孔質体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂多孔質体及びその製造方法に関する。
従来、多孔化技術により、孔形、孔径、空孔率等が異なる多様な樹脂多孔質体が製造され、樹脂の種類や孔の形状、孔径、空孔率等に応じて様々な用途に利用されている。例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン等の樹脂発泡体は、軽量構造材、断熱材、緩衝材等として使用されている。また、ナノメートルオーダーの孔径を有する樹脂多孔質膜は、分離膜、透過膜、2次電池のセパレーターや血液透析膜等として使用されている。
これらのうち、樹脂多孔質膜の製造方法としては、相分離法が最も一般的である。
相分離法としては、貧溶媒を利用する方法が一般的で、例えば、樹脂を良溶媒に溶解した樹脂溶液を基材上にキャストし、高温高湿条件下で保持した後、凝固液(貧溶媒)に浸漬することで、樹脂多孔質膜が形成される。
樹脂多孔質体、特に樹脂多孔質膜は、用途によっては機械的強度が求められるが、樹脂のみで構成される樹脂多孔質膜はその要求を満たさない場合が多い。成形体の機械的強度を向上させる方法としては、繊維等の強化材を充填する方法が一般的である。しかし、上記のような貧溶媒を利用する方法では、多孔質膜の内部に強化材を含有させることはできない。
特許文献1には、熱可塑性樹脂をその溶媒と溶融混合して1相状態とした後、ゲル状シートを作製し、次いで得られたゲル状シートと有機繊維基材とをヒートシールして成形を行い、成形後に溶媒を除去することにより成形体を多孔質化して繊維強化多孔質膜を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、熱分解性ポリマー鎖を有するブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを含有するパターン形成材料からなる成形体をアニールして前記成形体中にミクロ相分離構造を形成した後、熱分解温度以上に加熱することにより前記ミクロ相分離構造から熱分解性ポリマー相を除去し、残存した他のポリマー相からなる多孔質構造体を形成し、さらに前記多孔質構造体の空孔に無機物質を充填する方法が開示されている。
特開2012−6989号公報 特開2007−297644号公報
しかし、従来の方法は、表面に開口した空孔を有する樹脂多孔質体、特に内部に強化材が充填された樹脂多孔質体を製造することが困難であったり、製造できても多孔化に必要な工程数や設定すべき条件が多い問題がある。
例えば貧溶媒を利用する方法は、上述したように、樹脂多孔質膜の内部に強化材を含有させることはできない。また、樹脂多孔質膜の作製に際し、樹脂溶液の調製、キャスト条件の調整、保持条件の調整等が必要になる。さらに、膜厚、孔の形状、孔径、空孔率等の制御も難しい。
特許文献1に記載の方法は、一旦、樹脂溶液をゲル化させ、有機繊維基材とヒートシールし、成形後に溶媒を除去するため、多孔質膜作製に多くの工程が必要である。
特許文献2記載の方法は、多孔化に際し、成形体をアニールして熱分解性ポリマー鎖相と耐熱性ポリマー鎖相とにミクロ相分離させる工程、熱分解温度以上に加熱する工程等が必要になる。また、使用するブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーにおける熱分解性ポリマー鎖と耐熱性ポリマー鎖のバランス、アニール条件等の調整も必要である。また、ミクロ相分離が阻害されるため、予め成形体に強化材を充填しておくことは困難である。多孔質構造体を製造した後、めっきやCVDにより、表面の開口から空孔内に無機物質を充填しているが、この場合、表面の開口が塞がれてしまう。このように表面に開口した空孔を有さない多孔質体は、上述した分離膜、透過膜、2次電池のセパレーターや血液透析膜等の用途には使用できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便な多孔化工程により製造できる樹脂多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1]セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去してなる樹脂多孔質体。
[2]前記セルロースファイバーの一部が残留している[1]に記載の樹脂多孔質体。
[3]前記樹脂がポリカーボネート樹脂である[1]又は[2]に記載の樹脂多孔質体。
[4]前記成形体を、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解し且つ前記樹脂を溶解しない液体に接触させることにより得られたものである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[5]前記液体がイオン液体である[4]に記載の樹脂多孔質体。
[6]前記セルロースファイバーが、イオン液体を用いて得られたセルロースファイバーを含有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[7]前記セルロースファイバーがセルロースナノファイバーである[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[8]前記セルロースファイバーの平均重合度が600以上30000以下であり、アスペクト比が20〜10000であり、平均直径が1〜800nmである[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[9]前記セルロースファイバーとして、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、20≦θ≦24に1つ又は2つのピークを有し、他にはピークを有さないセルロースファイバーを含有する[1]〜[8]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[10]前記成形体中の前記セルロースファイバーの含有量が0.1〜80質量%である[1]〜[9]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
[11]セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなり、前記セルロースファイバーと略同一形状の孔を有する樹脂多孔質体。
[12]前記セルロースファイバーの平均重合度が600以上30000以下であり、アスペクト比が20〜10000であり、平均直径が1〜800nmである[11]に記載の樹脂多孔質体。
[13]前記セルロースファイバーとして、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、20≦θ≦24に1つ又は2つのピークを有し、他にはピークを有さないセルロースファイバーを含有する[11]又は[12]に記載の樹脂多孔質体。
[14][1]〜[10]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体を製造する方法であって、
セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去する多孔化工程を含む樹脂多孔質体の製造方法。
[15][11]〜[13]のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体を製造する方法であって、
セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部を除去する多孔化工程を含む樹脂多孔質体の製造方法。
[16]前記多孔化工程が、前記成形体を、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解し且つ前記樹脂を溶解しない液体に接触させ、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解することにより行われる[14]又は[15]に記載の樹脂多孔質体の製造方法。
[17]前記多孔化工程の前に、セルロースファイバーと樹脂とを混合し、得られた複合樹脂材料を成形して成形体を得る成形体作製工程を含み、
前記成形体作製工程にて、前記セルロースファイバーとして、前記液体への溶解性が異なる少なくとも2種のセルロースファイバーの使用比率を調節することで、前記多孔化工程にて溶解させるセルロースファイバーの割合を調節する[16]に記載の樹脂多孔質体の製造方法。
本発明によれば、簡便な多孔化工程で製造できる樹脂多孔質体及びその製造方法を提供できる。
X線回折パターンにおいてIβ型の結晶ピークのみを有するセルロースファイバーの粉末X線回折装置による分析結果である。
≪第一の態様の樹脂多孔質体≫
本発明の第一の態様の樹脂多孔質体は、セルロースファイバー(以下、CFという。)を樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記CFの一部又は全部を除去してなるものである。前記成形体からCFの一部又は全部を除去することで、除去されたCFの形状と直径に対応する形状と孔径の空孔を有する樹脂多孔質体が得られる。除去されるCFは、複数のCFが凝集した凝集体であってもよい。
本態様の樹脂多孔質体は、CFの一部が残留していることが好ましい。つまり、成形体から、前記CFの一部を除去してなるものであることが好ましい。前記複合樹脂材料においてCFは通常、樹脂中に分散した状態で存在している。そのため、CFの一部を除去してなる樹脂多孔質体は、残留しているCFが優れた強化材として機能するため、優れた強度を有する。
本態様の樹脂多孔質体は、CFを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記CFの一部又は全部を除去する多孔化工程を行うことにより製造できる。
該製造方法においては、成形体からCFの一部又は全部を除去する一工程で、成形体を多孔化できる。また、予め成形したものからCFを除くだけでよいため、樹脂多孔質体の形状を制御しやすく、例えば膜状以外の形状の樹脂多孔質体も得ることができる。また、成形体から除去するCFの割合を調節するだけで、樹脂多孔質体の空孔率を制御できる。
さらに、多孔化工程の前に、CFと樹脂とを混合し、得られた複合樹脂材料を成形して成形体を得る成形体作製工程を行う場合、使用するCFの形状や直径、成形体中に分散させるCFの量等を調節することで、形成される空孔の形状や孔径、樹脂多孔質体の空孔率等を制御できる。
成形体からのCFの除去は、好適には、前記成形体を、CFの一部又は全部を溶解し且つ樹脂を溶解しない液体(以下、CF溶解液ということがある。)に接触させることにより行われる。CFが樹脂中に含有する複合樹脂材料を成形した成形体の表面には少なくとも一部のCFの先端面や側面が露出している。そのため、該成形体にCF溶解液を接触させると、CFが、成形体表面に露出している部分から内部に向かって順次溶解してゆき、CF形状の空孔が形成される。
このようにして得られる樹脂多孔質体は、表面に開口した空孔を有している。該空孔は、樹脂多孔質体を貫通していてもよく、貫通していなくてもよい。
該樹脂多孔質体において、空孔は、内部全体に分布してもよく、表面近傍のみに分布してもよい。
以下、CFと樹脂とを混合し、得られた複合樹脂材料を成形して成形体を得る成形体作製工程と、得られた成形体から前記CFの一部又は全部を除去する多孔化工程とを含む製造方法についてより詳細に説明する。
<成形体作製工程>
本工程では、まず、CFと樹脂とを混合して複合樹脂材料を調製する。
CFとしては、特に限定されず、市販のものや、公知の製造方法により製造したものを用いることができる。
CFとしては、セルロースナノファイバー(以下、CNF)が好ましい。CNFは、平均直径がナノメートルオーダーと細いため、表面積が大きく、樹脂と複合化したときの補強効果が大きい。そのため、CFの一部を除去せずに残留させた場合に、樹脂多孔質体の機械的強度が高くなる。
CNFは、平均重合度が600以上30000以下であることが好ましく、600〜5000がより好ましく、800〜5000がさらに好ましい。
平均重合度が600以上であれば、優れた補強効果が得られる。平均重合度が30000以下であれば、CNFと樹脂との混合時に粘性が高くならず、複合樹脂材料を調製しやすい。
CNFは、アスペクト比が20〜10000であることが好ましく、20〜2000がより好ましい。
本明細書において「アスペクト比」とは、CFにおける平均繊維長と平均直径の比(平均繊維長/平均直径)を意味する。
アスペクト比が20以上であれば、優れた補強効果が得られ、10000以下であれば、得られる複合樹脂材料の成形性が良好である。
CNFは、平均直径が1〜800nmであることが好ましく、20〜100nmがより好ましい。
平均直径が1nm以上の場合、製造コストがかからず、800nm以下の場合、アスペクト比が低下しにくい。そのため上記の範囲内であることで、安価で充分な補強効果が得られる。
CNFとしては、特に、上記の補強効果に優れることから、平均重合度が600以上30000以下であり、アスペクト比が20〜10000であり、平均直径が1〜800nmであるものが好ましい。
これらの平均重合度、アスペクト比及び平均直径を満足するCNFは、例えば、イオン液体を用いた方法により得ることができる。
CFは、イオン液体を用いて得られたCFを含有することが好ましい。CFの製造方法については後で詳細に説明するが、含セルロース原料に解繊処理等を施してCFを製造する際にイオン液体を用いることで、機械的せん断のみにより解繊処理する場合等に比べて、CFにダメージを与えにくい。そのため、解繊処理による平均重合度、アスペクト比、結晶化度などの低下が生じにくい。そのため、得られるCFは補強効果に優れる。
CFは、セルロース由来の水酸基が修飾(水酸基の水素原子が修飾基で置換)されていることが好ましい。水酸基が修飾されたCFは、未修飾のCFに比べて、CF表面に存在する水酸基が減少しているため、CF間の水素結合による強い密着が抑制され、樹脂に容易に分散し、良好な界面結合を形成させることができる。また、耐熱性も優れており、これを含有する複合樹脂材料の耐熱性も向上する。また、修飾基の種類や修飾率により、CFのCF溶解液への溶解度を調整することもできる。
CFの修飾率、つまりCF中の全体の水酸基(修飾されている水酸基と修飾されていない水酸基との合計)のうち、修飾されている水酸基の割合は、0.01〜50%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。
修飾率は、元素分析により得られた炭素、水素、酸素の元素割合から算出できる。
CFの水酸基の修飾は、CFに修飾剤を反応させることにより実施できる。修飾剤としては、水酸基と反応し得るものであれば良く、これまで提案されている修飾剤のなかから適宜選択できる。簡便で効率がよい点から、修飾剤としては、エーテル化剤又はエステル化剤が好ましい。
エーテル化剤としては、例えば、アルキルエーテル化剤、シリルエーテル化剤、芳香環含有エーテル化剤等が挙げられる。
アルキルエーテル化剤としては、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化アルキル;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸ジアルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸ジアルキル;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が好ましい。
シリルエーテル化剤としては、n−ブトキシトリメチルシラン、tert−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、イソブトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、オクチルジメチルエトキシシラン又はシクロヘキシルオキシトリメチルシラン等のアルコキシシラン;ブトキシポリジメチルシロキサン等のアルコキシシロキサン;ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン等のジシラザン;トリメチルシリルクロライド、ジフェニルブチルクロライド等のシリルハライド;tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等のシリルトリフルオロメタンスルホネート;などが挙げられる。
シリルエーテル化剤としては、上記の中でも、ケイ素原子に結合したアルキル基を有するアルキルシリルエーテル化剤が好ましい。
芳香環含有エーテル化剤としては、例えばベンジルブロマイド等が挙げられる。
エステル化剤としては、例えば、ヘテロ原子を含んでも良いカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物が挙げられ、より具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。
エステル化剤としては、アルキルエステル化剤が好ましく、酢酸、無水酢酸、無水酪酸がより好ましい。
修飾剤としては、上記の中でも、アルキルエーテル化剤、アルキルシリルエーテル化剤、アルキルエステル化剤が好ましい。アルキルエーテル化剤によれば、修飾基としてアルキル基が導入される。シリルエーテル化剤によれば、修飾基としてシリル基が導入される。アルキルエステル化剤によれば、修飾基としてアルキルカルボニル基が導入される。これらはアルキル基を有する点で共通しており、樹脂への分散性の向上効果に優れる。
CFとしては、1種を単独で用いてもよく、結晶化度、結晶構造、修飾基の種類や修飾率等が異なる2種以上を併用してもよい。
多孔化工程にて、CF溶解液(例えばイオン液体)を用いて成形体からCFの一部又は全部を溶解、除去する場合、CFとして、CF溶解液への溶解性が異なる少なくとも2種の使用比率を調節して、多孔化工程にて溶解させるCFの割合を調節することが好ましい。
これにより、得られる樹脂多孔質体の強度、空孔率等を調節できる。例えばCF溶解液に溶解しやすいものと、溶解しにくいものとを併用する場合、溶解しやすいCFが少ないほど、溶解せずに残留するCFが多くなるため、空孔率が低くなる一方、機械的強度が向上する。逆に、溶解しやすいCFが多いほど、空孔率が高くなる。
例えばイオン液体に対するCFの溶解度は、結晶化度、結晶構造、修飾基の種類や修飾率等により異なる。
本発明においては、CFとして、少なくとも、X線回折パターンにおいてIβ型の結晶ピークを有するCFを含有することが好ましく、X線回折パターンにおいてIβ型の結晶ピークを有するCFと、Iβ型の結晶ピークを有さないCFとを含有することがより好ましい。
天然の植物細胞壁から得られるセルロースI型は、Iα型結晶とIβ型結晶の複合結晶であり、木材、木綿などの高等植物由来セルロースはIβ型結晶成分が多いが、バクテリアセルロースの場合はIα型結晶成分が多い。
Iβ型の結晶ピークを有するCFは、Iβ型の結晶ピークを有さないCF、例えばIα型の結晶ピークを有するCFに比べて、結晶化度が高い。
結晶化度が高いほど補強効果に優れることから、CFの一部を除去せずに残留させる場合は、Iβ型の結晶ピークを有するCFの割合が多いほど、高強度な樹脂多孔質体が得られる。
また、結晶化度が高いほどイオン液体への溶解度が低下することから、Iβ型の結晶ピークを有するCFは、Iβ型の結晶ピークを有さないCFに比べてイオン液体への溶解性が低い。そのため、Iβ型の結晶ピークを有するCFと、Iβ型の結晶ピークを有さないCF、例えばIα型の結晶ピークを有するCFとの使用比率を調節することで、イオン液体を含有するCF溶解液により成形体から溶解除去するCFの割合を調節でき、得られる樹脂多孔質体の強度、空孔率等を調節できる。
Iβ型の結晶ピークを有するCFは、Iβ型の結晶ピークのみを有することが好ましい。すなわち、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、図1に示すように、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、20≦θ≦24に1つのピークを有し、他にはピークを有さないことが好ましい。
CFのX線回折パターンは、例えば粉末X線回折装置Rigaku Ultima IV(株式会社リガク社製)を用いて分析できる。
CFの使用量は、特に限定されないが、成形体中のCFの含有量が、0.1〜80質量%となる量が好ましく、3〜60質量%となる量がより好ましい。成形体中のCFの含有量が0.1重量%以上であると、空孔が充分に存在する樹脂多孔質体が得られる。成形体中のCFの含有量が80質量%を超えると、樹脂中でCFが凝集してCFの分散が不充分となるおそれがある。CFの分散が不充分であると、特にCFの一部を残留させる場合に、CFによる補強効果が充分に発揮されず、樹脂多孔質体の機械的強度の向上効果が不充分になるおそれがある。
CFを含有させる樹脂としては、特に限定されず、従来、成形体に用いられている樹脂のなかから適宜選択できる。
この後の多孔化工程で、CFをCF溶解液に溶解させて除去する場合は、該CF溶解液に溶解しないか、溶解しても該CF溶解液に対する溶解性がCFよりも大幅に低いものを使用する。好ましくは、CF溶解液に溶解せず且つ膨潤しない樹脂を使用する。例えば該CF溶解液としてイオン液体を含有する液体を用いる場合、イオン液体に溶解せず且つ膨潤しない樹脂が好ましい。かかる樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
樹脂としては、上記の中でも、衝撃強度が高いことから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、通常用いられるものを使用できる。
例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを好ましく用いることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンが挙げられる。
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメートが挙げられる。具体的には、ホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂として、芳香族基を含まないポリカーボネート樹脂を使用してもよい。芳香族基を含まないポリカーボネート樹脂としては、脂環式ポリカーボネートや脂肪族ポリカーボネートなどが例示できる。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、前記芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を重合して得られる重合体と他の重合体との共重合体であってもよい。
前記ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法で製造できる。例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法などの種々の方法が挙げられる。
CFと樹脂との混合(複合化)方法には、特に制限は無く、樹脂中に均一にCFを分散できればよい。CFの凝集を抑制しやすい点では、湿式での混合が好ましい。例えば、樹脂を有機溶媒に溶解させた後、CFを加えて均一に分散させたものを、多量のメタノール中に再沈させることで複合樹脂材料が得られる。
このとき使用する有機溶媒としては、樹脂を溶解し得るものであれば特に限定されない。例えば樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ジブチルフタレート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン(塩化メチレン)、二硫化炭素、ピリジン、ニトロメタン等が挙げられる。
得られた複合樹脂材料中においては、CFが均一に分散していることが望ましいが、一部でCFが凝集していてもよい。
複合樹脂材料には、必要に応じて、CF及び樹脂以外の成分、例えばCF以外のフィラー、難燃助剤、難燃剤、酸化防止剤、離形剤、着色剤、分散剤等の添加剤を含有させてもよい。
CF以外のフィラーとしては、例えばカーボン繊維、ガラスファイバー、クレー、酸化チタン、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、マイカ、モンモリロナイト、硫酸バリウム、バルーンフィラー、ビーズフィラー、カーボンナノチューブなどを使用できる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤、膨張性黒鉛などを使用できる。
難燃助剤としては、ポリフルオロオレフィン、酸化アンチモンなどを使用できる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤などを使用できる。
離型剤としては、高級アルコール、カルボン酸エステル、ポリオレフィンワックス及びポリアルキレングリコールなどを使用できる。
着色剤としては、カーボンブラックやフタロシアニンブルーなど、任意の着色剤を使用できる。
分散剤としては、CFの樹脂への分散性を向上させることができるものであればよく、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性の界面活性剤、高分子型分散剤を使用でき、これらを併用してもよい。
上記のようにして得られた複合樹脂材料を成形して成形体を得る。
成形方法としては、特に限定されず、従来公知の各種成形方法を利用でき、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法などの方法が挙げられる。
<多孔化工程>
多孔化工程では、上記のようにして得られた成形体(CFを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体)から、前記CFの一部又は全部を除去する。
CFは、例えば、前記成形体をCF溶解液(前記CFの一部又は全部を溶解し且つ前記樹脂を溶解しない液体)に接触させることにより除去できる。接触方法としては、例えば前記成形体をCF溶解液中に浸漬する方法等が挙げられる。
CF溶解液としては、例えば、イオン液体、銅アンモニア溶液、カセイソーダと二硫化炭素、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム、ジメチルスルフォキサイド/パラホルムアルデヒド等が挙げられる。これらの中でも、CFを比較的低温で、かつ短時間で溶解できることから、イオン液体が好ましい。
イオン液体としては、例えば、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2013221132
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基であり、Xはハロゲン、擬ハロゲン、炭素数1〜4のカルボキシレート、またはチオシアネートである。]
前記式(I)で表されるイオン液体としては、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。
CF溶解液に、溶解補助剤として、酸及び水を添加してもよい。酸及び水によりCFが加水分解し、溶解しやすくなる。
溶解補助剤として用いる酸としては、CFの加水分解を生じさせ得るものであれば特に限定されず、有機酸でも無機酸でもよい。例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、燐酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
CF溶解液のCFに対する溶解力が強すぎる場合、CF溶解液に、CFを溶解しない有機溶剤を添加してもよい。該有機溶剤の添加量を調整することにより、CFのCF溶解液への溶解性を調整し、樹脂多孔質体の空孔率の調整が可能となる。
該有機溶剤は、イオン液体との相溶性などを考慮し適宜選択すればよいが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、アセトニトリル、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
成形体の浸漬時のCF溶解液の温度は、特に限定されないが、40〜130℃が好ましく、70〜100℃が好ましい。40℃以上であるとCF溶解性に優れ、130℃以下であると、残留するCFの熱分解を抑制でき、補強効果が充分に発揮される。
浸漬時間は、樹脂多孔質体の所望の空孔率、空孔の分布状態等を考慮して適宜設定できる。
酸及び水を併用する場合、それらのCF溶解液への添加は、成形体の浸漬前でも浸漬中でもよい。
上記のようにして得られる樹脂多孔質体は、表面の一部又は全面に孔が開いており、分離膜、吸着剤、電池部材、医療材料等として、幅広い用途に用いることができる。
特にCFの一部が残留している場合は、機械的強度に優れており、機械的強度が求められる用途においても用いることができる。
[CFの製造方法]
CFは、公知の方法により製造できる。例えば、含セルロース原料に、機械的せん断、化学的処理等の解繊処理、及び必要に応じて修飾を施すことにより製造できる。
含セルロース原料としては、特に限定されないが、リンター、綿、麻などの天然セルロース原料;クラフトパルプ、サルファイトパルプなどの木材化学処理パルプ;セミケミカルパルプ;古紙またはその再生パルプ等が挙げられる。コスト面、品質面、環境面から、木材化学処理パルプ、木材化学処理パルプが好ましく、平均重合度の高いリンターがより好ましい。含セルロース原料の形状は特に限定されないが、機械的せん断の容易さ、化学的処理における溶媒の浸透促進の観点から、含セルロース原料を適宜粉砕してから用いることが好ましい。
解繊処理には、機械的せん断、化学的処理のいずれも利用できる。化学的処理としては、N−メチルモルフォリン−N−オキシド(NMMO)法、銅アンモニア溶液法、イオン液体法等が挙げられる。
CFの製造方法としては、イオン液体を用いる方法が好ましい。この方法によれば、結晶化度が高く、アスペクト比の大きいナノメートルオーダーの直径を有するCFの作製が可能となる。かかるCFは樹脂多孔質体の強度向上効果に優れる。例えばアスペクト比が大きいCFは、分子同士の絡まりや網目構造が強固となるため、樹脂多孔質体に優れた機械的強度を付与する。
イオン液体を用いたCFの製造方法は、イオン液体を含む溶液(以下、処理液)中で含セルロース原料を解繊処理する工程を含む。
具体的には、処理液に含セルロース原料を添加し、撹拌すると、含セルロース原料が膨潤、溶解してCFが得られる。このときの処理液中のイオン液体の種類や濃度、撹拌条件、処理時間等を調節することで、CFの解繊度、結晶化度等を調節することができる。解繊度が高いほど、処理液中に含まれるCFの直径が小さくなる。
処理液に用いるイオン液体としては、前記多孔化工程の説明で挙げたイオン液体と同様のものが挙げられる。
イオン液体のみで含セルロース原料を解繊処理することも出来るが、溶解力が高すぎて微細繊維まで溶解してしまうおそれがある場合、処理液としては、イオン液体と有機溶剤を含有する溶液を使用することが好ましい。
イオン液体に添加する有機溶剤は、イオン液体との相溶性、セルロースとの親和性、イオン液体との混合後のCFの溶解性、粘度などを考慮し適宜選択すればよいが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、アセトニトリル、メタノール、エタノールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの有機溶剤の共存により、セルロースの微細繊維間へのイオン液体の浸透が促進される。またイオン液体による微細繊維の結晶構造の破壊を防ぐことが出来る。
前記処理液中のイオン液体の含有量は、含セルロース原料、イオン液体、有機溶剤の種類に依存するため適宜調整すればよいが、膨潤、溶解能力の観点から、20質量%以上が好ましい。特に、含セルロース原料に対する溶解力の高い有機溶剤を用いる場合には30質量%以上がより好ましい。メタノールなどのアルコール溶媒では、含セルロース原料に対する溶解力は低いため、イオン液体の含有量は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
前記処理液に対する含セルロース原料の添加量は、添加前の処理液の質量を100質量%とした場合、0.5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。経済的な効率の観点から0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。解繊度の均一性の観点から30質量%以下が好ましく、20質量%がより好ましい。
解繊処理の処理温度は特に限定するものではなく、含セルロース原料を膨潤し微細繊維間の結合物を軟化・溶解できるための適切な温度を選択すればよいが、通常は20〜120℃がよい。20℃以上の場合、処理速度及び処理液の粘度の観点から、解繊効果が低くならず、120℃以下の場合、過度の溶解の恐れがなく、CFの収率を保つことができる。
前記処理液中で、解繊処理と並行して、又は解繊処理後、CFの修飾を行ってもよい。
CFの修飾は、CFを含む処理液中に修飾剤を添加し、反応させることにより実施できる。
修飾剤としては、上述したように、エーテル化剤又はエステル化剤が好ましい。
修飾剤の使用量は、CFの所望の修飾率に応じて設定される。
CFと修飾剤との反応条件は、特に限定するものではなく、解繊処理の処理温度と同様であってよい。
上記のようにして解繊処理、及び任意に修飾を行った後の処理液をろ過することにより、CFを回収できる。
≪第二の態様の樹脂多孔質体≫
本発明の第二の態様の樹脂多孔質体は、CFを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなり、前記CFと略同一形状の孔を有する。
樹脂中にCFを含有する樹脂多孔質体は、これまで知られていない新規なものである。
本態様の樹脂多孔質体は、樹脂中に含まれるCFが強化材として機能するため、優れた強度を有する。
本態様の樹脂多孔質体が有する「CFと略同一形状の孔」は、アスペクト比(平均長さ/平均孔径)が、当該樹脂多孔質体中に含まれているCFのアスペクト比±50%の範囲内にあり、平均孔径が、当該樹脂多孔質体中に含まれているCFの平均直径±50%の範囲内にあることが好ましい。
複合樹脂材料に含まれるCFは、凝集体(以下、CF凝集体)を形成している場合がある。この場合、該複合樹脂材料からなる樹脂多孔質体は、CF凝集体と略同一形状の孔を有してもよい。
CFの凝集体と略同一形状の孔を有する場合、該孔は、アスペクト比が、当該樹脂多孔質体中に含まれているCF凝集体のアスペクト比±50%の範囲内にあり、平均孔径が、当該樹脂多孔質体中に含まれているCF凝集体の平均直径±50%の範囲内にあることが好ましい。
本態様の樹脂多孔質体が有する孔は、CF凝集体の有無にかかわらず、アスペクト比が(20〜10000)±50%の範囲内にあり、平均孔径が、(1〜800nm)±50%の範囲内にあることが好ましい。
本態様の樹脂多孔質体におけるCF、樹脂としてはそれぞれ、前記第一の態様の樹脂多孔質体の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
本態様の樹脂多孔質体を構成する複合樹脂材料は、必要に応じて、CF及び樹脂以外の成分、例えばCF以外のフィラー、難燃助剤、難燃剤、酸化防止剤、離形剤、着色剤、分散剤等の添加剤を含有させてもよい。これらの成分の具体例はそれぞれ前記と同様のものが挙げられる。
本態様の樹脂多孔質体は、例えば、前記多孔化工程にて、CFの一部を除去する(CFの一部を残留させる)ことを必須とする以外は、前記第一の態様の樹脂多孔質体の製造方法と同様にして製造できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例及び各比較例で用いた測定方法を以下に示す。
(1.CFの平均直径、アスペクト比、平均重合度)
CFの平均直径およびアスペクト比は、電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた画像より画像処理・測定ソフトを用いて算出した。
詳細には、CF分散液をウェーハ上にキャストしてSEM観察し、得られた1枚の画像当たり20本以上の繊維について繊維径と繊維長の値を読み取り、これを少なくとも3枚の重複しない領域の画像について行い、最低30本の繊維径と繊維長の情報を得た。以上により得られた繊維径と繊維長のデータから、数平均繊維径と数平均繊維長を算出することができ、数平均繊維長と数平均繊維径との比(数平均繊維長/数平均直径)からアスペクト比を算出した。
(2.CFの平均重合度)
CFの平均重合度は、高分子学会編「高分子材料試験法2」、p.267 、共立出版(1965)に記載の銅エチレンジアミン法により算出した。
(3.CFの水酸基の修飾率)
CFの水酸基の修飾率は、元素分析により得られた炭素、水素、酸素の元素割合から算出した。
(4.CFの結晶構造解析(XRD))
CFの結晶構造は、粉末X線回折装置Rigaku Ultima IVを用いて分析した。2種のCFを併用した実施例4〜5においては、混合前に測定した。
該分析により得られた、θの範囲を0〜30とするX線回折パターン(実施例4〜5については2種のCFそれぞれのX線回折パターンの両方)が、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、21≦θ≦24に1つのピークとを有し、他にはピークを有さない場合(Iβ型結晶ピークのみの場合)には「△」、その他のピークを有する場合には「○」と判定した。
(5.多孔質体の空孔の平均孔径及び空孔率)
多孔質体の空孔の孔径、空孔率は、多孔質体の断面を電界放射型SEMにより観察し、得られた画像より画像処理・測定ソフトを用いて、少なくとも5枚の重複しない領域の画像から算出した。尚、断面にCFが斜めに現れている場合があるため、平均孔径はCF直径よりやや大きく算出される。
(6.多孔質体の曲げ強度測定)
曲げ強度の測定は、EZGRaph−10kNによる3点曲げ試験にて行った。試験片として0.5mm厚プレスシートを3号ダンベル型に打ち抜いたものを使用した。
(実施例1)
ろ紙をハサミで3mm角に切断したもの2gを200mLのフラスコに入れ、さらにN,N−ジメチルアセトアミド50mLと、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(イオン液体)60gとを加え、攪拌して解繊処理を行った。その後、フラスコ内の処理液をろ過してCFを回収した。このとき得られたCFの平均直径は100nm、アスペクト比は100、平均重合度は800、修飾率は0%であった。
得られたCFとポリスチレン樹脂(PS)とを混合して複合樹脂組成物を得た。これを成形してシート状の成形体を得た。成形体中のCFの含有量は30質量%とした。
得られた成形体を、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(イオン液体)に1時間加熱浸漬し、その後、酸及び水を加えてさらに2時間加熱浸漬することによりCFを溶解してPS多孔質体を得た。
得られたPS多孔質体の表面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面に多数の開口が確認できた。また、該PS多孔質体を切断し、その断面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面付近に空孔が分布していた。また、断面全体にCFを含有していた。
(実施例2)
実施例1と同様に解繊処理を行った後、フラスコ内の処理液に、エステル化剤として無水酢酸を添加してCFの修飾(アセチル化)を行った。得られた処理液をろ過してCFを回収した。このとき得られたCFの平均直径は100nm、アスペクト比は100、平均重合度は800、修飾率は10%であった。
得られたCFと、予めジクロロメタンに溶解させたポリカーボネート樹脂(PC)と、ジクロロメタンとを混合し、乾燥させて複合樹脂組成物を得た。これを成形してシート状の成形体を得た。成形体中のCFの含有量は30質量%とした。
得られた成形体のCFを実施例1と同様の手順により溶解してPC多孔質体を得た。
得られたPC多孔質体の表面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面に多数の開口が確認できた。また、該PC多孔質体を切断し、その断面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面付近に空孔が分布していた。また、断面全体にCFを含有していた。
(実施例3)
解繊処理時のイオン液体の濃度と浸漬時間を変更し、得られたCFを修飾する際の無水酢酸の添加量を実施例2の2倍量とした以外は、実施例2と同様の手順でCFを得た。このとき得られたCFの平均直径は850nm、アスペクト比は10、平均重合度は800、修飾率は15%であった。
得られたCFを用いて、実施例2と同様の手順でPC多孔質体を得た。
得られたPC多孔質体の表面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面に多数の開口が確認できた。また、該PC多孔質体を切断し、その断面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面付近に空孔が分布していた。また、断面全体にCFを含有していた。
(実施例4)
CFを修飾する際に、無水酢酸の代わりに、シリルエーテル化剤としてヘキサメチルジシラザンを添加した以外は、実施例2と同様の手順でCFを得た。このとき得られたCFの平均直径は100nm、アスペクト比は100、平均重合度は800、修飾率は15%であった。
また、ナタデココ(株式会社フジッコ製、平均重合度:3000以上、平均アスペクト比:1000以上、平均直径:約50nm)を乾燥し、CFを得た。
これら2種類のCFを混合し、実施例2と同様の手順でシート状の成形体を得た。成形体中のCFの含有量(2種の合計量)は30質量%とした。
得られた成形体のCFを実施例1と同様の手順により溶解してPC多孔質体を得た。
得られたPC多孔質体の表面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面に多数の開口が確認できた。また、該PC多孔質体を切断し、その断面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面付近に空孔が分布していた。また、断面全体にCFを含有していた。
(実施例5)
解繊処理時のイオン液体の濃度と浸漬時間を変更し、得られたCFを使用した以外は、実施例2と同様の手順でCFを得た。このとき得られたCFの平均直径は50nm、アスペクト比は200、平均重合度は800、修飾率は15%であった。
得られたCFを、実施例4で得た平均直径100nmのCFの代わりに用いた以外は実施例4と同様の手順で、2種のCFを含有するシート状の成形体を得た。
得られた成形体を塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(イオン液体)に浸漬することによりCFを溶解してPC多孔質体を得た。
得られたPC多孔質体の表面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面に多数の開口が確認できた。また、該PC多孔質体を切断し、その断面を電界放射型SEMにより観察したところ、表面付近に空孔が分布していた。また、断面全体にCFを含有していた。
(比較例1)
PCをN−メチル−2−ピロリドンに溶解して20質量%溶液を調製し、ポリエステル基材上にキャストした。キャスト後速やかに温度50℃、相対湿度約100%の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させ、次いでポリエステル基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによってポリエステル基材上にPC多孔質膜を得た。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂(PP)30質量部とアセチルクエン酸トリブチル70質量部を、ニーダを用いて170℃で混練した後、同温度での圧縮成形により厚さ0.5mmのゲル状シートを作製した。得られたゲル状シートを、ポリエステル織布上にのせ、170℃にて圧縮成形した後、水冷却浴中で固化させることによりフィルム状成形体を得た。得られたフィルム状成形体をエタノール中に浸漬させ、乾燥することで、織布により強度が増した平膜状PP多孔質体を得た。
各実施例及び比較例で得た多孔質体を構成する樹脂の種類、CFの特性(平均直径、水酸基の修飾率、XRD)、多孔質体の空孔の平均孔径、空孔率、曲げ強度、各実施例及び比較例における多孔化工程数を表1に示す。
多孔化工程数とは、条件が必要な成形体の開口工程数を示す。ここで言う「条件」とは、開孔のために何かしらの制御が必要な工程を指す。例えば比較例1の場合、開孔方法がミクロ相分離であるため、溶媒を混合することも開孔工程である。比較例2の場合も同様で、開孔方法が熱誘起相分離であるため、ゲル作製工程も開孔方法としてカウントする。一方、実施例1〜5の場合、成形体の作製条件(温度、時間、圧力)が変わってもCFの溶解(開口)には影響しないため、CFを溶解する工程のみを多孔化工程としてカウントした。
Figure 2013221132
上記結果に示すとおり、実施例1〜5では、成形体をイオン液体またはイオン液体と酸と水との混合溶液へ浸漬する1工程で、表面に開口する微細な空孔を有し、CFを含有した樹脂多孔質体が得られた。一方、比較例1では、溶液調整、キャスト後の保持、乾燥工程のため3工程を要した。比較例2では、織布との圧縮成形、水冷却浴中での固化、エタノール中への浸漬のため3工程を要した。
また、実施例1〜5で得られた樹脂多孔質体は、比較例1〜2に比べて、曲げ強度に優れていた。
さらに、実施例1〜5で得られた樹脂多孔質体が有する空孔の平均孔径は、使用したCFの平均直径とほぼ同じであった。このことは、成形体からCFのみが除去されたことを示している。CFのみが除去されるため、本発明の製造方法は、孔径の制御性に優れている。
空孔率が実施例4よりも実施例5の方が低かったのは、ろ紙から得たCFの方がナタデココから得たCFよりも結晶化度が高く、イオン液体に溶解しにくいことによると考えられる。このことから、2種のCFそれぞれの溶解性の違いを利用して、空孔率を調整できることが示された。

Claims (17)

  1. セルロースファイバーが樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去してなる樹脂多孔質体。
  2. 前記セルロースファイバーの一部が残留している請求項1に記載の樹脂多孔質体。
  3. 前記樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂多孔質体。
  4. 前記成形体を、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解し且つ前記樹脂を溶解しない液体に接触させることにより得られたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  5. 前記液体がイオン液体である請求項4に記載の樹脂多孔質体。
  6. 前記セルロースファイバーが、イオン液体を用いて得られたセルロースファイバーを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  7. 前記セルロースファイバーがセルロースナノファイバーである請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  8. 前記セルロースファイバーの平均重合度が600以上30000以下であり、アスペクト比が20〜10000であり、平均直径が1〜800nmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  9. 前記セルロースファイバーとして、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、20≦θ≦24に1つ又は2つのピークを有し、他にはピークを有さないセルロースファイバーを含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  10. 前記成形体中の前記セルロースファイバーの含有量が0.1〜80質量%である請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体。
  11. セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなり、前記セルロースファイバーと略同一形状の孔を有する樹脂多孔質体。
  12. 前記セルロースファイバーの平均重合度が600以上30000以下であり、アスペクト比が20〜10000であり、平均直径が1〜800nmである請求項11に記載の樹脂多孔質体。
  13. 前記セルロースファイバーとして、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークを有し、20≦θ≦24に1つ又は2つのピークを有し、他にはピークを有さないセルロースファイバーを含有する請求項11又は12に記載の樹脂多孔質体。
  14. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体を製造する方法であって、
    セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部又は全部を除去する多孔化工程を含む樹脂多孔質体の製造方法。
  15. 請求項11〜13のいずれか一項に記載の樹脂多孔質体を製造する方法であって、
    セルロースファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂材料からなる成形体から、前記セルロースファイバーの一部を除去する多孔化工程を含む樹脂多孔質体の製造方法。
  16. 前記多孔化工程が、前記成形体を、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解し且つ前記樹脂を溶解しない液体に接触させ、前記セルロースファイバーの一部又は全部を溶解することにより行われる請求項14又は15に記載の樹脂多孔質体の製造方法。
  17. 前記多孔化工程の前に、セルロースファイバーと樹脂とを混合し、得られた複合樹脂材料を成形して成形体を得る成形体作製工程を含み、
    前記成形体作製工程にて、前記セルロースファイバーとして、前記液体への溶解性が異なる少なくとも2種のセルロースファイバーの使用比率を調節することで、前記多孔化工程にて溶解させるセルロースファイバーの割合を調節する請求項16に記載の樹脂多孔質体の製造方法。
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