JP2013220433A - アルミニウムクラッド材の製造方法およびアルミニウムクラッド材 - Google Patents
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Abstract
【目的】熱間クラッド圧延によるアルミニウムクラッド材の製造において、クラッド率にかかわらず、接合性を顕著に向上させることができる。
【構成】アルミニウム(アルミニウム合金を含む)の心材と皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、クラッドする心材と皮材を積層して加熱し、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
【選択図】なし
【構成】アルミニウム(アルミニウム合金を含む)の心材と皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、クラッドする心材と皮材を積層して加熱し、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルミニウムクラッド材の製造方法およびアルミニウムクラッド材に関する。以下、アルミニウムとはアルミニウム合金を含む。
非熱処理型の5000系アルミニウム合金、熱処理型の6000系および7000系アルミニウム合金は強度が高いため、輸送機器などの構造材、強度部材として使用されているが、当該合金に添加されるCu、Mg、Znの影響で耐食性が劣ることが問題となっている。また、強度が高い反面、成形時に割れが生じ易いことも適用範囲を妨げる要因となっている。
これらの問題を解決するために、5000系、6000系、7000系のアルミニウム合金を心材とし、その片面または両面に皮材として1000系アルミニウム合金をクラッドして耐食性や成形性を高める試みも行われている。クラッド材の製造は、心材となる前記アルミニウム合金を造塊し、得られた鋳塊を必要に応じて均質化処理した後、皮材との接合面となる鋳塊面を面削して心材用鋳塊とし、皮材となる前記アルミニウム合金を造塊し、得られた鋳塊を熱間圧延して所定の板厚に調整し、心材用鋳塊の大きさに応じた寸法に切断して皮材とし、該皮材を前記心材用鋳塊に積層してクラッド用積層体とし、クラッド用積層体の周囲を溶接などの方法で固定して、所定温度に加熱して熱間クラッド圧延し、その後冷間圧延して所定の板厚に仕上げることにより行われる。
しかしながら、心材と皮材の強度差が大きいため、熱間クラッド圧延時に軟質の皮材が著しく伸張されて圧延が困難となり、圧延できたとしてもクラッド率が安定しないという難点がある。一方、純アルミニウム(1000系)や3000系アルミニウム合金を心材として、5000〜7000系アルミニウム合金をクラッド圧延する場合も同様な問題があり、このようなクラッド材の製造は実質的に殆ど行われていないのが実情である。
また、製造可能なクラッド率にも制約がある。皮材のクラッド率が全板厚の7%未満のように低いと、熱間クラッド圧延時に皮材の温度降下が生じて圧延接合が困難となるとともに、心材に比べて皮材が軟らかい場合は皮材が著しく伸張し、目標とするクラッド率を大幅に下回る結果を招き易く、クラッド率が5%未満になると実質的に製造不能となる。皮材または皮材の下に積層される中間材のクラッド率が20%を超えると、接合面が圧延ロールから離れ、応力が分散して接合され難くなり、クラッド率が25%を超えると実質的に製造不能となる。
さらに、クラッド材には種々の機能付加が求められ、クラッド率に関しては低いものから高いものまで様々なものが要求される。例えば、高強度アルミニウム合金の耐食性向上においては、出来るだけ強度を低下させないために、皮材のクラッド率は低いことが望まれ、傾斜機能を持たせる多層クラッド材においてはクラッド率が高いことが要求されるが、前記のように、皮材のクラッド率が5%未満のもの、クラッド率が25%を超えるものは実質的に製造できないため、クラッド材の適用には制限がある。
「アルミニウム製品と製造技術」、社団法人 軽金属学会、2001年10月31日発行、第187〜190頁
本発明は、熱間圧延によるクラッド材製造における上記従来の問題を解決するとともに、上記の要求にも答えることができるアルミニウムクラッド材の製造方法およびアルミニウムクラッド材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む、以下同じ)の心材と皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、クラッドする心材と皮材を積層して加熱し、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
請求項2によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項1において、前記心材および皮材の少なくとも一方に2〜40%(質量%、以下同じ)の液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合することを特徴とする。
請求項3によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項1または2において、前記心材および皮材の少なくとも一方が、Si:4%(質量%、以下同じ)以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする。
請求項4によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項1または2において、前記心材および皮材の少なくとも一方が、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする。
請求項5によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、クラッドする材料を積層し、1.0×10−3MPa以上の圧力で積層方向に加圧しながら加熱し、積層した材料に液相を生成させて積層した材料を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
請求項6によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、アルミニウムの心材と皮材の間に中間材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、中間材または心材と皮材が、Si:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含んでなり、クラッドする心材、中間材および皮材を積層して加熱し、中間材または心材と皮材に液相を生成させて心材と中間材、中間材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
請求項7によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項6において、前記中間材または心材と皮材が、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする。
請求項8によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項6または7において、前記中間材または心材と皮材に、2〜40%の液相を生成させて心材と中間材、中間材と皮材を部分的且つ面状に接合することを特徴とする。
請求項9によるアルミニウムクラッド材の製造方法は、請求項6〜8のいずれかにおいて、クラッドする材料を積層し、1.0×10−3MPa以上の圧力で積層方向に加圧しながら加熱し、積層した材料に液相を生成させて積層した材料を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする。
請求項10によるアルミニウムクラッド材は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする。
請求項11によるアルミニウムクラッド材は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満であることを特徴とする。
請求項12によるアルミニウムクラッド材は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とする。
請求項13によるアルミニウムクラッド材は、請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする。
請求項14によるアルミニウムクラッド材は、請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満であることを特徴とする。
請求項15によるアルミニウムクラッド材は、請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とする。
請求項16によるアルミニウムクラッド材は、請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記中間材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、熱間クラッド圧延によるアルミニウムクラッド材の製造において、接合性を顕著に向上させることができ、クラッド率にかかわらずクラッド接合不良を低減させることができる。さらに、クラッド率の精度を向上させることもでき、非クラッド材に比べて圧延能率が低かったクラッド圧延の圧延能率を向上させることも可能である。
従来製造が困難であった低クラッド率、高クラッド率のクラッド材の製造が可能であり、熱間クラッド圧延前に面状に接合されるため、熱間圧延時に生じる好ましくない伸びが未然に防がれて、低クラッド率、高クラッド率のクラッド材のクラッド率の精度が大きく向上する。同材質同士あるいは強度が等しい材料同士のクラッド材の製造も可能である。クラッド材で頻繁に生じる膨れの発生頻度も著しく減少する。
クラッド材を構成する心材と皮材を積層して加熱し、心材中や皮材中に液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合する場合、均質化処理や熱間圧延前の加熱工程を利用することにより、新たな加熱工程の追加は不要となる。
本発明は、熱間クラッド圧延に先立って、アルミニウムクラッド材を構成する材料に液相を発生させて材料同士を部分的且つ面状に接合することにより、熱間クラッド圧延におけるクラッド材の接合性を向上させるアルミニウムクラッド材の製造方法を提供するものである。
本発明による第1の実施形態は、アルミニウムの心材と皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法、すなわち、アルミニウムの心材の片面に皮材をクラッドし、またはアルミニウムの心材の両面に皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法であり、クラッドする心材と皮材を積層して加熱し、アルミニウムの心材の片面に皮材をクラッドする場合は、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させ、アルミニウムの心材の両面に皮材をクラッドする場合も、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させる。加熱は、液相が心材面、皮材面に部分的に生成する温度で行われ、心材面と皮材面は部分的且つ面状に接合される。心材と皮材を接合した後、熱間クラッド圧延する(請求項1)。
心材および皮材の少なくとも一方に、心材または皮材の重量に対して、2〜40%の質量の液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合することが望ましく(請求項2)、液相量が2%未満では、心材と皮材との接合が十分でなく、クラッド材の接合性の向上効果が得難い。40%を超えると液相量が多くなり、液相を生じる材料の流動性が高くなって変形し易くなり、クラッド率の精度の向上効果が得難くなる。液相量は、液相を生じる材料の成分に応じた加熱温度を設定することにより調整する。
具体的な液相生成の手法はつぎのとおりである。アルミニウムに、アルミニウムと低融点の共晶組成を有する例えばSiなどの元素を添加すると、純アルミニウムと比べて固相線温度が低下する。固相線温度の低下によって、合金全体に溶融が開始するのではなく、添加元素の晶出物、析出物、金属間化合物などがアルミニウムと共晶組成に近い成分となった部分で溶融(局部溶融)が始まる。本発明においては、この局部溶融を利用して心材と皮材を部分的に接合する。
アルミニウムの固相線温度を下げる元素のうち、コストなどを考慮して実用可能な元素としてはSi、Cu、Mg、Znがある。アルミニウムとの共晶温度と組成は、Al−Si合金では577℃(Al−12.6%Si)、Al−Cu合金では548℃(Al−33%Cu)、Al−Mg合金では450℃(Al−35%Mg)、Al−Zn合金では382℃(Al−95%Zn)である。圧延によって製造される展伸材として用いる場合は、鋳造性や圧延性を考慮して、アルミニウムへの各元素の添加量は、実用上、Si:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下、Zn:10%以下が好ましい。但し、Znを添加する場合は、Si、Cu、Mgを併用する必要があり、Znの単独添加ではアルミニウムの固相線温度を下げることができない。
具体的実施形態においては、心材および皮材の少なくとも一方が、Si:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含有させることにより固相線温度を下げ、加熱により液相を生成させ、心材と皮材を部分的且つ面状に接合する(請求項3)。各元素の含有量が上限値を超えると、液相線温度が低下するため、固相線温度との差が小さくなり、加熱温度の制御が困難となる。
心材と皮材には、用途などに応じて、上記の元素以外に、Mn:2%以下、Cr:0.5%以下、Zr:0.5%以下、Ti:0.2%以下、Fe:1.5%以下などが含まれていてもよく、例えば、心材として3000系のAl−Mn系合金を用いる場合には、Mn:1.0〜1.5%を含有させることができ、心材に液相を生成させる場合には、Mnとともに固相線温度を下げるための上記元素を添加する。
好ましくは、心材および皮材の少なくとも一方が、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含有させる(請求項4)。上記各元素の含有量が下限値未満では、固相線温度を下げる効果が十分でない。
本発明による第2の実施形態は、アルミニウムの心材と皮材の間に中間材をクラッドして3層のアルミニウムクラッド材を製造する方法であり、クラッドする心材、中間材および皮材を積層して加熱し、中間材または心材と皮材に液相を生成させる。加熱は、液相が中間材面または心材面と皮材面に部分的に生成する温度で行われ、心材面と中間材面、中間材面と皮材面が部分的且つ面状に接合される。心材、中間材および皮材を接合した後、熱間クラッド圧延する。この場合、中間材または心材と皮材に、Si:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含有させる(請求項6)。Si含有量が4%を超えると、液相線温度が低下するため加熱温度の制御が困難となる。また、Cu含有量、Mg含有量、Zn含有量のいずれかが上限値を超えると、板材の製造が困難となる。
前記第1の実施形態によるクラッド材と同様に、用途などに応じて、上記の元素以外に、Mn、Cr、Zr、Ti、Feなどが含まれていてもよく、例えば、心材としてAl−Mn系合金を用いる場合には、1.8%以下のMnを含有させることができ、心材に液相を生成させる場合には、Mnとともに固相線温度を下げるための上記元素を添加する。
好ましくは、前記中間材または心材と皮材に、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含有させる(請求項7)。上記各元素の含有量が下限値未満では、固相線温度を下げる効果が十分でない。
中間材または心材と皮材に2〜40%の質量の液相を生成させて、心材と中間材、中間材と皮材とを部分的且つ面状に接合するのが好ましいことは、第1の実施形態によるクラッド材の場合と同様である(請求項8)。
本発明によるクラッド材の製造によれば、心材と皮材、あるいは心材、中間材および皮材を積層し、そのまま加熱して積層した材料を接合した後、熱間クラッド圧延を行うことが可能である。従来と同じく、心材と皮材、あるいは心材、中間材および皮材を積層した後、この積層体の周囲を溶接などの方法で固定してから加熱してもよい。
心材と皮材、あるいは心材、中間材および皮材を積層した後、積層体を加圧しながら加熱することにより接合を一層効果的に行うことができる。加圧方法としては、積層体に重量物を載置する方法、積層体を冶具により拘束する方法、プレス機により積層体を加圧する方法が適用される。心材の鋳塊と熱間圧延した皮材を積層した場合、熱間圧延した皮材に反りが生じて両者の密着性が損なわれることがあるが、加圧しながら加熱することにより、この問題を解消することができる。
加圧力は1.0×10−3MPa以上とするのが好ましく、この圧力で積層方向に加圧しながら加熱し、積層した材料に液相を生成させて積層した材料を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延する(請求項5、9)。
本発明によれば、心材の片面または両面に皮材をクラッドするクラッド材においては、皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満のもの、皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上のものも製造可能であり、3層のクラッド材においては、皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満のもの、皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上のもの、中間材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上のものも製造可能である(請求項11〜12、14〜16)。
アルミニウム材の製造においては、通常、鋳造凝固時に発生する偏析などの不均一な組織を除去するために、鋳塊を500〜600℃程度の温度に加熱する均質化処理が行われる。アルミニウムクラッド材の製造工程においては、均質化処理した心材用鋳塊、所定の厚さに熱間圧延した皮材や中間材を一旦冷却した後に積層し、接合界面の周囲を適宜溶接した後、再び450〜500℃程度に加熱して熱間クラッド圧延するが、本発明における接合時の加熱には、これらの均質化処理あるいは熱間圧延前の加熱工程を利用することができ、接合のための特別な加熱工程を必要としない。
以下、本発明の実施例を説明し、本発明の効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
表1に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材と心材から構成されたクラッド材(試験材1〜9、12〜14)、および、表1に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材、中間材および心材から構成されたクラッド材(試験材10、11、15)を本発明の方法に従って製造した。心材については、連続鋳造により造塊した鋳塊を厚さ26mm×175mm×175mmに面削し、皮材と中間材については、鋳造後所定厚さまで熱間圧延して、175mm×175mmの寸法に切断した。
表1に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材と心材から構成されたクラッド材(試験材1〜9、12〜14)、および、表1に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材、中間材および心材から構成されたクラッド材(試験材10、11、15)を本発明の方法に従って製造した。心材については、連続鋳造により造塊した鋳塊を厚さ26mm×175mm×175mmに面削し、皮材と中間材については、鋳造後所定厚さまで熱間圧延して、175mm×175mmの寸法に切断した。
面削した心材の接合面に皮材を積層し、または皮材と中間材を積層し、スプリング冶具で拘束し、大気炉中で、表1に示す接合温度に達するまでは約50℃/hで昇温し、接合温度に達した後に3h保持して、300℃まで炉内冷却し、その後、480℃の温度で熱間クラッド圧延した。なお、スプリング冶具による拘束は、耐熱性スプリングを使用し、表1に示す加圧力を与えた。
接合温度への加熱により生成した液相率は、英国、Sente Software社により開発された金属、合金の物理的、熱力学的物性および機械的性質を、化学成分より計算することができるソフトウエア、JMatPro version 6.2.1を用いて計算により求めた。
積層体の接合状況、熱間クラッド圧延結果を表1に示す。積層体の接合状況については、積層された材料に部分的且つ面状に接合が生じて、積層体の周囲を溶接することなしに熱間クラッド圧延することができたものは合格(○)、接合が十分でなく、積層体の周囲を溶接することなしに熱間クラッド圧延することができなかったものは不合格(△)、接合されず、積層体の周囲を溶接することなしに熱間クラッド圧延することができなかったものも不合格(×)と評価した。熱間クラッド圧延結果については、クラッド材の材料間の接合性が良好で、精度の良いクラッド率が達成されたものは合格(○)、接合性、クラッド率のいずれかが劣るもの(△)、接合性、クラッド率のいずれもが劣るもの(×)は、ともに不合格と評価した。
表1に示すように、本発明に従う試験材1〜15はいずれも、皮材、心材、中間材中に適量の液相が生成された結果として、皮材と心材、または、皮材、心材および中間材の接合が生じ、積層体の周囲を溶接することなしに熱間クラッド圧延することができ、クラッド率に場所によるバラツキを生じることなく、精度の良いクラッド率が達成された。接合温度への加熱後の積層体の断面を調査した結果、局部溶融によって部分的且つ面状に接合されていることが確認され、得られたクラッド材の断面を調査した結果、クラッド材の中央部と端部におけるクラッド率の差は0.5%以内であり、クラッド率の精度は満足すべきものであった。
比較例1
表2に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材と心材から構成されたクラッド材(試験材16〜19)を本発明の方法に従って製造した。心材については、連続鋳造により造塊した鋳塊を厚さ26mm×175mm×175mmに面削し、皮材については、鋳造後所定厚さまで熱間圧延して、175mm×175mmの寸法に切断した。
表2に示す合金成分を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる皮材と心材から構成されたクラッド材(試験材16〜19)を本発明の方法に従って製造した。心材については、連続鋳造により造塊した鋳塊を厚さ26mm×175mm×175mmに面削し、皮材については、鋳造後所定厚さまで熱間圧延して、175mm×175mmの寸法に切断した。
面削した心材の接合面に皮材を積層し、スプリング冶具で拘束し、大気炉中で、表1に示す接合温度に達するまでは約50℃/hで昇温し、接合温度に達した後に3h保持して、300℃まで炉内冷却し、その後、480℃の温度で熱間クラッド圧延した。なお、スプリング冶具による拘束は、耐熱性スプリングを使用し、表2に示す加圧力を与えた。積層体の接合状況、熱間クラッド圧延結果を表2に示す。なお、液相率は実施例1と同じ方法により計算で求めた。
表2に示すように、試験材16は皮材、心材のいずれにも液相が生成しないため接合せず、試験材17、18は皮材および心材に生成する液相量が十分でないため十分に接合せず、いずれも熱間クラッド圧延結果において劣るものであった。試験材19は心材に生成する液相量が多く、液相を生じる心材の流動性が高くなって変形し易くなったため、クラッド率の精度が劣っていた。
Claims (16)
- アルミニウム(アルミニウム合金を含む、以下同じ)の心材と皮材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、クラッドする心材と皮材を積層して加熱し、心材および皮材の少なくとも一方に液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とするアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 前記心材および皮材の少なくとも一方に2〜40%(質量%、以下同じ)の液相を生成させて心材と皮材を部分的且つ面状に接合することを特徴とする請求項1記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 前記心材および皮材の少なくとも一方が、Si:4%(質量%、以下同じ)以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 前記心材および皮材の少なくとも一方が、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- クラッドする材料を積層し、1.0×10−3MPa以上の圧力で積層方向に加圧しながら加熱し、積層した材料に液相を生成させて積層した材料を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- アルミニウムの心材と皮材の間に中間材をクラッドしてアルミニウムクラッド材を製造する方法において、中間材または心材と皮材が、Si:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上、または、Zn:10%以下とSi:4%以下、Cu:7%以下、Mg:6%以下のうちの1種以上を含んでなり、クラッドする心材、中間材および皮材を積層して加熱し、中間材または心材と皮材に液相を生成させて心材と中間材、中間材と皮材を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とするアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 前記中間材または心材と皮材が、Si:1〜4%、Cu:0.5〜7%、Mg:0.5〜6%のうちの1種以上、または、Zn:0.5〜10%とSi:0.6〜4%、Cu:0.3〜7%、Mg:0.3〜6%のうちの1種以上を含んでなることを特徴とする請求項6記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 前記中間材または心材と皮材に、2〜40%の液相を生成させて心材と中間材、中間材と皮材を部分的且つ面状に接合することを特徴とする請求項6または7記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- クラッドする材料を積層し、1.0×10−3MPa以上の圧力で積層方向に加圧しながら加熱し、積層した材料に液相を生成させて積層した材料を部分的且つ面状に接合した後、熱間クラッド圧延することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のアルミニウムクラッド材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満であることを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの5%未満であることを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記皮材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とするアルミニウムクラッド材。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の方法により製造され、前記中間材の厚さがクラッド材の厚さの25%以上であることを特徴とするアルミニウムクラッド材。
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WO2015141193A1 (ja) * | 2014-03-19 | 2015-09-24 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法 |
KR20170106613A (ko) * | 2016-03-11 | 2017-09-21 | 한국기계연구원 | 알루미늄합금 클래드 판재의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 알루미늄합금 클래드 판재 |
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2012
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KR102534890B1 (ko) * | 2016-03-11 | 2023-05-22 | 한국재료연구원 | 알루미늄합금 클래드 판재의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 알루미늄합금 클래드 판재 |
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