以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
画像処理装置および撮像装置の一形態である本実施形態に係るデジタルカメラは、1つのシーンについて複数の視点数の画像を一度の撮影により生成できるように構成されている。互いに視点の異なるそれぞれの画像を視差画像と呼ぶ。
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ10の構成を説明する図である。デジタルカメラ10は、撮影光学系としての撮影レンズ20を備え、光軸21に沿って入射する被写体光束を撮像素子100へ導く。撮影レンズ20は、デジタルカメラ10に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。デジタルカメラ10は、撮像素子100、制御部201、A/D変換回路202、メモリ203、駆動部204、画像処理部205、メモリカードIF207、操作部208、表示部209、LCD駆動回路210およびAFセンサ211を備える。
なお、図示するように、撮像素子100へ向かう光軸21に平行な方向をz軸プラス方向と定め、z軸と直交する平面において紙面手前へ向かう方向をx軸プラス方向、紙面上方向をy軸プラス方向と定める。以降のいくつかの図においては、図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
撮影レンズ20は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、図1では撮影レンズ20を説明の都合上、瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで代表して表している。撮像素子100は、撮影レンズ20の焦点面近傍に配置されている。撮像素子100は、二次元的に複数の光電変換素子が配列された、例えばCCD、CMOSセンサ等のイメージセンサである。撮像素子100は、駆動部204によりタイミング制御されて、受光面上に結像された被写体像を画像信号に変換してA/D変換回路202へ出力する。
A/D変換回路202は、撮像素子100が出力する画像信号をデジタル画像信号に変換してメモリ203へ出力する。画像処理部205は、メモリ203をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。
画像処理部205は、他にも選択された画像フォーマットに従って画像データを調整するなどの画像処理一般の機能も担う。生成された画像データは、LCD駆動回路210により表示信号に変換され、表示部209に表示される。また、メモリカードIF207に装着されているメモリカード220に記録される。
AFセンサ211は、被写体空間に対して複数の測距点が設定された位相差センサであり、それぞれの測距点において被写体像のデフォーカス量を検出する。一連の撮影シーケンスは、操作部208がユーザの操作を受け付けて、制御部201へ操作信号を出力することにより開始される。撮影シーケンスに付随するAF,AE等の各種動作は、制御部201に制御されて実行される。例えば、制御部201は、AFセンサ211の検出信号を解析して、撮影レンズ20の一部を構成するフォーカスレンズを移動させる合焦制御を実行する。
次に、撮像素子100の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係る撮像素子100の断面を表す概略図である。
撮像素子100は、被写体側から順に、マイクロレンズ101、カラーフィルタ102、開口マスク103、配線層105および光電変換素子108が配列されて構成されている。光電変換素子108は、入射する光を電気信号に変換するフォトダイオードにより構成される。光電変換素子108は、基板109の表面に二次元的に複数配列されている。
光電変換素子108により変換された画像信号、光電変換素子108を制御する制御信号等は、配線層105に設けられた配線106を介して送受信される。また、各光電変換素子108に一対一に対応して設けられた開口部104を有する開口マスク103が、配線層に接して設けられている。開口部104は、後述するように、対応する光電変換素子108ごとにシフトされて、相対的な位置が厳密に定められている。詳しくは後述するが、この開口部104を備える開口マスク103の作用により、光電変換素子108が受光する被写体光束に視差が生じる。
一方、視差を生じさせない光電変換素子108上には、開口マスク103が存在しない。別言すれば、対応する光電変換素子108に対して入射する被写体光束を制限しない、つまり入射光束の全体を通過させる開口部104を有する開口マスク103が設けられているとも言える。視差を生じさせることはないが、実質的には配線106によって形成される開口107が入射する被写体光束を規定するので、配線106を、視差を生じさせない入射光束の全体を通過させる開口マスクと捉えることもできる。開口マスク103は、各光電変換素子108に対応して別個独立に配列しても良いし、カラーフィルタ102の製造プロセスと同様に複数の光電変換素子108に対して一括して形成しても良い。
カラーフィルタ102は、開口マスク103上に設けられている。カラーフィルタ102は、各光電変換素子108に対して特定の波長帯域を透過させるように着色された、光電変換素子108のそれぞれに一対一に対応して設けられるフィルタである。カラー画像を出力するには、互いに異なる少なくとも2種類のカラーフィルタが配列されれば良いが、より高画質のカラー画像を取得するには3種類以上のカラーフィルタを配列すると良い。例えば赤色波長帯を透過させる赤フィルタ(Rフィルタ)、緑色波長帯を透過させる緑フィルタ(Gフィルタ)、および青色波長帯を透過させる青フィルタ(Bフィルタ)を格子状に配列すると良い。具体的な配列については後述する。
マイクロレンズ101は、カラーフィルタ102上に設けられている。マイクロレンズ101は、入射する被写体光束のより多くを光電変換素子108へ導くための集光レンズである。マイクロレンズ101は、光電変換素子108のそれぞれに一対一に対応して設けられている。マイクロレンズ101は、撮影レンズ20の瞳中心と光電変換素子108の相対的な位置関係を考慮して、より多くの被写体光束が光電変換素子108に導かれるようにその光軸がシフトされていることが好ましい。さらには、開口マスク103の開口部104の位置と共に、後述の特定の被写体光束がより多く入射するように配置位置が調整されても良い。
このように、各々の光電変換素子108に対応して一対一に設けられる開口マスク103、カラーフィルタ102およびマイクロレンズ101の一単位を画素と呼ぶ。特に、視差を生じさせる開口マスク103が設けられた画素を視差画素、視差を生じさせる開口マスク103が設けられていない画素を視差なし画素と呼ぶ。例えば、撮像素子100の有効画素領域が24mm×16mm程度の場合、画素数は1200万程度に及ぶ。
なお、裏面照射型イメージセンサの場合、配線層105が光電変換素子108とは反対側に設けられる。また、開口マスク103の開口部104に色成分を持たせれば、カラーフィルタ102と開口マスク103を一体的に形成することもできる。
本実施形態においては、開口マスク103と配線106を別体として設けているが、視差画素における開口マスク103の機能を配線106が担っても良い。すなわち、規定される開口形状を配線106により形成し、当該開口形状により入射光束を制限して特定の部分光束のみを光電変換素子108へ導く。この場合、開口形状を形成する配線106は、配線層105のうち最も光電変換素子108側であることが好ましい。
次に、開口マスク103の開口部104と、生じる視差の関係について説明する。図3は、撮像素子100の一部を拡大した様子を表す概略図である。ここでは、説明を簡単にすべく、カラーフィルタ102の配色については後に言及を再開するまで考慮しない。カラーフィルタ102の配色に言及しない以下の説明においては、同色のカラーフィルタ102を有する視差画素のみを寄せ集めたイメージセンサであると捉えることができる。したがって、以下に説明する繰り返しパターンは、同色のカラーフィルタ102における隣接画素として考えても良い。
図3に示すように、開口マスク103の開口部104は、それぞれの画素に対して相対的にシフトして設けられている。そして、隣接する画素同士においても、それぞれの開口部104は互いに変位した位置に設けられている。
図の例においては、それぞれの画素に対する開口部104の位置として、互いに左右方向にシフトした6種類の開口マスク103が用意されている。そして、撮像素子100の全体は、紙面左側から右側へ徐々にシフトする開口マスク103をそれぞれ有する6つの視差画素を一組とする光電変換素子群が、二次元的かつ周期的に配列されている。なお、本実施形態において、光電変換素子群の配列パターンを繰り返しパターン110と称する。
図4は、視差画素と被写体の関係を説明する概念図である。特に図4(a)は撮像素子100のうち撮影光軸21と直交する中心に配列されている繰り返しパターン110tの光電変換素子群を示し、図4(b)は周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uの光電変換素子群を模式的に示している。図4(a)、(b)における被写体30は、撮影レンズ20に対して合焦位置に存在する。図4(c)は、図4(a)に対応して、撮影レンズ20に対して非合焦位置に存在する被写体31を捉えた場合の関係を模式的に示している。
まず、撮影レンズ20が合焦状態に存在する被写体30を捉えている場合の、視差画素と被写体の関係を説明する。被写体光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して撮像素子100へ導かれるが、被写体光束が通過する全体の断面領域に対して、6つの部分領域Pa〜Pfが規定されている。そして、例えば繰り返しパターン110t、110uを構成する光電変換素子群の紙面左端の画素は、拡大図からもわかるように、部分領域Pfから射出された被写体光束のみが光電変換素子108へ到達するように、開口マスク103の開口部104fの位置が定められている。同様に、右端の画素に向かって、部分領域Peに対応して開口部104eの位置が、部分領域Pdに対応して開口部104dの位置が、部分領域Pcに対応して開口部104cの位置が、部分領域Pbに対応して開口部104bの位置が、部分領域Paに対応して開口部104aの位置がそれぞれ定められている。
別言すれば、例えば部分領域Pfと左端画素の相対的な位置関係によって定義される、部分領域Pfから射出される被写体光束(部分光束)の主光線Rfの傾きにより、開口部104fの位置が定められていると言っても良い。そして、合焦位置に存在する被写体30からの被写体光束を、開口部104fを介して光電変換素子108が受光する場合、その被写体光束は、点線で図示するように、光電変換素子108上で結像する。同様に、右端の画素に向かって、主光線Reの傾きにより開口部104eの位置が、主光線Rdの傾きにより開口部104dの位置が、主光線Rcの傾きにより開口部104cの位置が、主光線Rbの傾きにより開口部104bの位置が、主光線Raの傾きにより開口部104aの位置がそれぞれ定められていると言える。
図4(a)で示すように、合焦位置に存在する被写体30のうち、光軸21と交差する被写体30上の微小領域Otから放射される光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素に到達する。すなわち、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素は、それぞれ6つの部分領域Pa〜Pfを介して、一つの微小領域Otから放射される光束を受光している。微小領域Otは、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素の位置ずれに対応する分だけの広がりを有するが、実質的には、ほぼ同一の物点と近似することができる。同様に、図4(b)で示すように、合焦位置に存在する被写体30のうち、光軸21から離間した被写体30上の微小領域Ouから放射される光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素に到達する。すなわち、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素は、それぞれ6つの部分領域Pa〜Pfを介して、一つの微小領域Ouから放射される光束を受光している。微小領域Ouも、微小領域Otと同様に、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素の位置ずれに対応する分だけの広がりを有するが、実質的には、ほぼ同一の物点と近似することができる。
つまり、被写体30が合焦位置に存在する限りは、撮像素子100上における繰り返しパターン110の位置に応じて、光電変換素子群が捉える微小領域が異なり、かつ、光電変換素子群を構成する各画素は互いに異なる部分領域を介して同一の微小領域を捉えている。そして、それぞれの繰り返しパターン110において、対応する画素同士は同じ部分領域からの被写体光束を受光している。つまり、図においては、例えば繰り返しパターン110t、110uのそれぞれの左端の画素は、同じ部分領域Pfからの部分光束を受光している。
撮影光軸21と直交する中心に配列されている繰り返しパターン110tにおいて左端画素が部分領域Pfからの被写体光束を受光する開口部104fの位置と、周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uにおいて左端画素が部分領域Pfからの被写体光束を受光する開口部104fの位置は厳密には異なる。しかしながら、機能的な観点からは、部分領域Pfからの被写体光束を受光するための開口マスクという点で、これらを同一種類の開口マスクとして扱うことができる。したがって、図4の例では、撮像素子100上に配列される視差画素のそれぞれは、6種類の開口マスクの一つを備えると言える。
次に、撮影レンズ20が非合焦状態に存在する被写体31を捉えている場合の、視差画素と被写体の関係を説明する。この場合も、非合焦位置に存在する被写体31からの被写体光束は、撮影レンズ20の瞳の6つの部分領域Pa〜Pfを通過して、撮像素子100へ到達する。ただし、非合焦位置に存在する被写体31からの被写体光束は、光電変換素子108上ではなく他の位置で結像する。例えば、図4(c)に示すように、被写体31が被写体30よりも撮像素子100に対して遠い位置に存在すると、被写体光束は、光電変換素子108よりも被写体31側で結像する。逆に、被写体31が被写体30よりも撮像素子100に対して近い位置に存在すると、被写体光束は、光電変換素子108よりも被写体31とは反対側で結像する。
したがって、非合焦位置に存在する被写体31のうち、微小領域Ot'から放射される被写体光束は、6つの部分領域Pa〜Pfのいずれを通過するかにより、異なる組の繰り返しパターン110における対応画素に到達する。例えば、部分領域Pdを通過した被写体光束は、図4(c)の拡大図に示すように、主光線Rd'として、繰り返しパターン110t'に含まれる、開口部104dを有する光電変換素子108へ入射する。そして、微小領域Ot'から放射された被写体光束であっても、他の部分領域を通過した被写体光束は、繰り返しパターン110t'に含まれる光電変換素子108へは入射せず、他の繰り返しパターンにおける対応する開口部を有する光電変換素子108へ入射する。換言すると、繰り返しパターン110t'を構成する各光電変換素子108へ到達する被写体光束は、被写体31の互いに異なる微小領域から放射された被写体光束である。すなわち、開口部104dに対応する108へは主光線をRd'とする被写体光束が入射し、他の開口部に対応する光電変換素子108へは主光線をRa+、Rb+、Rc+、Re+、Rf+とする被写体光束が入射するが、これらの被写体光束は、被写体31の互いに異なる微小領域から放射された被写体光束である。このような関係は、図4(b)における周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uにおいても同様である。
すると、撮像素子100の全体で見た場合、例えば、開口部104aに対応する光電変換素子108で捉えた被写体像Aと、開口部104dに対応する光電変換素子108で捉えた被写体像Dは、合焦位置に存在する被写体に対する像であれば互いにずれが無く、非合焦位置に存在する被写体に対する像であればずれが生じることになる。そして、そのずれは、非合焦位置に存在する被写体が合焦位置に対してどちら側にどれだけずれているかにより、また、部分領域Paと部分領域Pdの距離により、方向と量が定まる。つまり、被写体像Aと被写体像Dは、互いに視差像となる。この関係は、他の開口部に対しても同様であるので、開口部104aから104fに対応して、6つの視差像が形成されることになる。
したがって、このように構成されたそれぞれの繰り返しパターン110において、互いに対応する画素の出力を寄せ集めると、視差画像が得られる。つまり、6つの部分領域Pa〜Pfうちの特定の部分領域から射出された被写体光束を受光した画素の出力は、視差画像を形成する。
図5は、視差画像を生成する処理を説明する概念図である。図は、左列から順に、開口部104fに対応する視差画素の出力を集めて生成される視差画像データIm_fの生成の様子、開口部104eの出力による視差画像データIm_eの生成の様子、開口部104dの出力による視差画像データIm_dの生成の様子、開口部104cの出力による視差画像データIm_cの生成の様子、開口部104bの出力による視差画像データIm_bの生成の様子、開口部104aの出力による視差画像データIm_aの生成の様子を表す。まず開口部104fの出力による視差画像データIm_fの生成の様子について説明する。
6つの視差画素を一組とする光電変換素子群から成る繰り返しパターン110は、横一列に配列されている。したがって、開口部104fを有する視差画素は、視差なし画素を除いた仮想的な撮像素子100上において、左右方向に6画素おき、かつ、上下方向に連続して存在する。これら各画素は、上述のようにそれぞれ異なる微小領域からの被写体光束を受光している。したがって、これらの視差画素の出力を寄せ集めて配列すると、視差画像が得られる。
しかし、本実施形態における撮像素子100の各画素は正方画素であるので、単に寄せ集めただけでは、横方向の画素数が1/6に間引かれた結果となり、縦長の画像データが生成されてしまう。そこで、補間処理を施して横方向に6倍の画素数とすることにより、本来のアスペクト比の画像として視差画像データIm_fを生成する。ただし、そもそも補間処理前の視差画像データが横方向に1/6に間引かれた画像であるので、横方向の解像度は、縦方向の解像度よりも低下している。つまり、生成される視差画像データの数と、解像度の向上は相反関係にあると言える。なお、本実施形態に適用する具体的な補間処理については後述する。
同様にして、視差画像データIm_e〜視差画像データIm_aが得られる。すなわち、デジタルカメラ10は、横方向に視差を有する6視点の視差画像を生成することができる。
ここで、本実施形態における視差画素のマイクロレンズ101の形状および配置について説明する。上述したように、視差なし画素の開口部104は光電変換素子108以上の大きさであるので、視差なし画素の光電変換素子108は、撮像素子100の有効画素領域の周辺部に位置しても、ある程度の光量を得ることができる。一方、光電変換素子108内には感度分布が存在するので、部分的に光を受ける場合には、同じ光量を受光しても出力が異なる場合がある。特に、光電変換素子108の中心部に対して周辺部は、感度が低下する傾向がある。視差画素の開口部104は、対応する部分領域との関係により、被写体光束を光電変換素子108の周辺部に導く場合が多い。また、視差画素の開口部104を視差なし画素の開口部104よりも小さく形成すれば、通過する光束も少なくなる。したがって、多くの視差画素の出力は、視差なし画素の出力に対して、小さくなると言える。すなわち、視差画素は、視差なし画素に比べて、受光光量が足りていない場合が多い。特に、撮像素子100の有効画素領域の周辺部に位置する視差画素にこの傾向が顕著に現われる。
そこで、本実施形態において、視差画素ごとにマイクロレンズ101の形状および配置の少なくともいずれかが調整される。そのため、少なくとも2つの視差画素のマイクロレンズ101の形状および配置の少なくともいずれかは互い異なることとなる。なお、本実施形態において、対応する光電変換素子に対するマイクロレンズ101の相対的な配置をマイクロレンズ101の配置と称する。
撮影レンズ20の瞳の同じ部分領域からの光束を受光する視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置が互いに異なっても良い。また、撮影レンズ20の瞳の異なる部分領域からの光束を受光する視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置が互いに異なっても良い。
まず、視差画素のマイクロレンズ101の形状の調整について説明する。本実施形態において、視差画素のマイクロレンズ101の高さおよび直径の少なくともいずれかが、視差画素のマイクロレンズ101の形状として調整される。
図6は、視差画素のマイクロレンズ101の形状の調整手法を説明する図である。図6(a)は、視差画素のマイクロレンズ101の形状および配置を視差なし画素のマイクロレンズ101と同様にした場合の状況を示す。この状況において、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rは、光電変換素子108のうち中央部より感度の低い周辺部に到達する。
図6(b)は、図6(a)の視差画素のマイクロレンズ101の高さを変更した場合の状況を示す。図示のように、視差画素のマイクロレンズ101の高さをh0からh1に変更するとともに開口部104のシフト量をS0からS1に変更する調整が行われる。マイクロレンズ101の高さ調整および開口部104の配置調整により、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rを光電変換素子108の中央部側に寄せることができる。
図6(c)は、図6(a)の視差画素のマイクロレンズ101の直径を変更した場合の状況を示す。図示のように、視差画素のマイクロレンズ101の直径をD0からD1に変更するとともに開口部104のシフト量をS0からS2に変更する調整が行われる。マイクロレンズ101の直径調整および開口部104の配置調整により、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rを光電変換素子108の中央部側に寄せることができる。
なお、マイクロレンズ101の形状の調整は、マイクロレンズ101の高さおよび直径の一方のみを対象にしても双方を対象にしても良い。また、マイクロレンズ101の形状として調整されるパラメータは、上述した高さ、直径に限らず、曲率等の他のパラメータであってもよい。
図7は、視差画素のマイクロレンズ101の形状の他の調整手法を説明する図である。図7(a)は、撮像素子100の一部の画素を拡大した平面図である。図7(b)は、画素の配列方向における撮像素子100の一部の画素の断面図である。図7(c)は、画素の対角線方向における撮像素子100の一部の画素の断面図である。なお、図7(b)、(c)の断面図において、カラーフィルタ102より下の部材の図示は省略する。
図7に示すとおり、マイクロレンズ101とカラーフィルタ102の間に、平坦化層120が形成されている。平坦化層120は、マイクロレンズ101の形成を容易にするための層である。平坦化層120の材料として、メタクリル樹脂とアクリルモノマーとの混合物等が用いられる。
図7(a)、(b)に示すとおり、画素の配列方向においては、マイクロレンズ101は、ほぼ隙間なく配列されている。一方、図7(a)、(c)に示すとおり、画素の対角線方向等の配列方向以外の方向においては、マイクロレンズ101は、互いに離れている。マイクロレンズ101が互いに離れている領域の平坦化層120に光電変換素子108に対する集光作用を有するレンズ面をなす凹部121が形成される。
図7の例において、視差画素のマイクロレンズの高さh1を調整する場合はもちろん、凹部121の深さh2を調整することにより、光電変換素子108の受光箇所を規定することができる。このような画素の構造においては、平坦化層120の凹部121の形状もマイクロレンズ101の形状として取り扱うことができる。
次に、視差画素のマイクロレンズ101の配置の調整について説明する。図8は、視差画素のマイクロレンズ101の配置の調整手法を説明する図である。図8(a)は、図6(a)と同様に、視差画素のマイクロレンズ101の形状および配置を視差なし画素のマイクロレンズ101と同様にした場合の状況を示す。図8(b)は、図8(a)の視差画素のマイクロレンズ101をシフトした場合の状況を示す。図示のように、視差画素のマイクロレンズ101を右方向にLだけシフトするとともに開口部104のシフト量をS0からS3に変更する調整が行われる。マイクロレンズ101の配置調整および開口部104の配置調整により、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rを光電変換素子108の中央部側に寄せることができる。
上述の実施形態では、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rを光電変換素子108の中央部側に寄せるように視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置を調整したが、これに限らない。各光電変換素子108の感度分布にバラつきがある場合、視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置を感度分布に応じて互いに異ならせても良い。例えば、開口部104に対応する撮影レンズ20の瞳の部分領域から射出される光束の主光線Rを感度中心へ寄せるように、各視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置が調整される。なお、各光電変換素子108の感度分布のバラつきは、実験的または統計的に予め判明しており、感度分布のバラつきの情報は、制御部201のシステムメモリ等に予め記録される。
上述の実施形態において、視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置を、開口部104のシフト方向すなわち視差方向に応じて互いに異ならせても良い。例えば、図8に示すように、視差画素のマイクロレンズ101が、開口部104のシフト方向である紙面左方向と反対方向である紙面右方向にシフトされて配置される。また、上述の実施形態において、視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置を、撮像素子100の有効画素領域における視差画素の位置に応じて互いに異ならせても良い。例えば、有効画素領域の周辺部の視差画素の高さが、有効画素領域の中央部の視差画素の高さよりも大きくなるように調整される。これにより、有効画素領域の周辺部の視差画素の集光力を高められる。なお、視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置の調整は、有効画素領域において予め区分された領域ごとに行われても良い。
上述の実施形態において、視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置を、開口マスク103の配列パターンである繰り返しパターン110に応じて互いに異ならせても良い。図9は、繰り返しパターン110に基づく視差画素のマイクロレンズ101の形状の調整手法を説明する図である。図9の例において、繰り返しパターン110は、縦方向に3画素、横方向に5画素が配列された、15画素で構成される。繰り返しパターン110の中央の横方向3画素には、中心から左へシフトした開口部104lを有する視差Lt画素、開口部104nを有する視差なし画素、中心から右へシフトした開口部104rを有する視差Rt画素が、左から順に配置されている。そして、当該3画素の周囲を視差なし画素が配置されている。
視差なし画素の開口部104nは、視差画素の開口部104l、104rより大きい。そのため、視差なし画素のマイクロレンズ101nが視差画素のマイクロレンズ101l、101rより小さくても、視差なし画素の光電変換素子108は十分な光量を得られる。そこで、図9の例において、視差なし画素のマイクロレンズ101nの直径は、画素の幅よりも小さく調整される一方、視差画素のマイクロレンズ101l、101rの直径は、画素の幅より大きく調整される。
視差Lt画素のマイクロレンズ101lおよび視差Rt画素のマイクロレンズ101rの直径は、撮像素子100の有効画素領域における繰り返しパターン110の位置等に応じて互いに異なる。なお、撮像素子100の有効画素領域の中央付近では、視差Lt画素のマイクロレンズ101lおよび視差Rt画素のマイクロレンズ101rの直径が同じであってもよい。また、直径の調整とあわせて若しくは代りに、視差Lt画素のマイクロレンズ101lおよび視差Rt画素のマイクロレンズ101rの配置を互いに異ならせても良い。
上述の実施形態では、視差画素の集光力を考慮して視差画素のマイクロレンズ101の形状、配置が調整されたが、これに限らない。視差数を増加させるようにマイクロレンズ101の形状、配置が調整されてもよい。例えば、繰り返しパターン110において隣接する2つの視差画素の開口部104の形状、配置を同一にする。そして、これら2つの視差画素は、撮影レンズ20の瞳の異なる部分領域から射出される光束を受光するように、これら2つの視差画素のマイクロレンズ101の配置を異ならせる。
次に、カラーフィルタ102と視差画像について説明する。図10は、ベイヤー配列を説明する図である。図示するように、ベイヤー配列は、Gフィルタが左上(Gb)と右下(Gr)の2画素に、Rフィルタが左下の1画素に、Bフィルタが右上の1画素に割り当てられる配列である。
このようなカラーフィルタ102の配列に対して、視差画素と視差なし画素を、何色の画素にどのような周期で割り振っていくかにより、膨大な数の繰り返しパターン110が設定され得る。視差なし画素の出力を集めれば、通常の撮影画像と同じく視差のない撮影画像データを生成することができる。したがって、相対的に視差なし画素の割合を増やせば、解像度の高い2D画像を出力させることができる。この場合、視差画素は相対的に少ない割合となるので、複数の視差画像からなる3D画像としては画質が低下する。逆に、視差画素の割合を増やせば、3D画像としては画質が向上するが、視差なし画素は相対的に減少するので、解像度の低い2D画像が出力される。RGBのいずれの画素に対しても視差画素を割り振れば、3D画像でありながら、色再現性の良い高品質のカラー画像データとなる。
理想的には、2D画像であっても3D画像であっても、高解像度、高品質のカラー画像データが出力されることが望ましい。ところで、3D画像において観察者が視差を感じる画像領域は、図4を用いて説明した視差の発生原理からも理解されるように、同一の被写体像が互いにずれる非合焦領域である。したがって、観察者が視差を感じる画像領域は、ピントの合っている主要被写体に対して高周波成分が少ないと言える。すると、3D画像を生成するに当たっては、視差が生じている領域において、それほど高解像でない画像データが存在すれば足りることになる。
ピントの合っている画像領域については2D画像データから切り出し、ピントの合っていない画像領域については3D画像データを切り出して、それぞれの視差画像データを合成により生成することができる。あるいは、高解像データである2D画像データを基礎とし、3D画像データの各画素における相対的な比を掛け合わせて、高解像なそれぞれの視差画像データを生成することができる。このような画像処理を採用することを前提とすれば、撮像素子100においては、視差画素の数は、視差なし画素の数よりも少なくて良い。換言すれば、視差画素が相対的に少なくても、比較的解像度の高い3D画像を生成することができると言える。
この場合、3D画像をカラー画像として生成するには、互いに異なる少なくとも2種類のカラーフィルタが配列されれば良いが、本実施形態においては、図10を用いて説明したベイヤー配列のように、更なる高画質化のためにRGBの3種類のカラーフィルタを採用する。特に、視差画素の数が相対的に少ない本実施形態においては、視差画素は、それぞれの種類の開口部104に対して、RGBの3種類のカラーフィルタのいずれかが設けられたすべての組み合わせを含む。例えば、開口部104が中心よりも左側にシフトした視差Lt画素と、同じく右側にシフトした視差Rt画素を想定すると、視差Lt画素は、Rフィルタを備えた画素、Gフィルタを備えた画素、Bフィルタを備えた画素を含み、視差Rt画素は、Rフィルタを備えた画素、Gフィルタを備えた画素、Bフィルタを備えた画素を含む。すなわち撮像素子100は、6種類の視差画素を有する。このような撮像素子100から出力される画像データは、いわゆる立体視を実現する鮮やかなカラー視差画像データの基礎となる。なお、2種類の開口部に対して2種類のカラーフィルタを組み合わせる場合には、撮像素子100は、4種類の視差画素を有する。
以下に画素配列のバリエーションについて説明する。図11は、第1実施例における繰り返しパターン110の配列を説明する図である。第1実施例における繰り返しパターン110は、4画素から成るベイヤー配列を、Y軸方向である縦方向に4つ、X軸方向である横方向に4つ含み、64画素から構成される。この繰り返しパターン110は、64画素から成る画素群を一組として、撮像素子100の有効画素領域を上下左右に周期的に配列されている。すなわち、撮像素子100は、図の太線で示す繰り返しパターン110を基本格子とする。なお、繰り返しパターン110内の画素をPIJで表す。例えば、左上画素はP11であり、右上画素はP81である。
第1実施例における視差画素は、開口部104が中心よりも左側にシフトした視差Lt画素と、同じく右側にシフトした視差Rt画素の2種類の開口マスク103のいずれかを有する。図に示すように、視差画素は以下のように配列されている。
P11…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P32…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P63…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P15…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P55…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P76…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
他の画素は視差なし画素であり、視差なし画素+Rフィルタ(=R(N))、視差なし画素+Gフィルタ(=G(N))、視差なし画素+Bフィルタ(=B(N))のいずれかである。
このように、基本格子の中に開口部とカラーフィルタのすべての組み合わせによる視差画素を含み、かつ視差画素よりも多い視差なし画素にランダム性を有して配置されている配列が好ましい。特に、各カラーフィルタ別にカウントした場合でも、視差なし画素の方が視差なし画素よりも多いことが好ましい。第1実施例の場合、G(N)=28個に対して、G(Lt)+G(Rt)=2+2=4個であり、R(N)=14個に対して、R(Lt)+R(Rt)=2個、B(N)=14個に対して、B(Lt)+B(Rt)=2個である。また、上記の通り、人間の視感特性を考慮して、Gフィルタを有する視差画素および視差なし画素は、他のカラーフィルタを有するそれぞれよりも多く配列されている。
図12は、第2実施例における繰り返しパターン110の配列を説明する図である。第2実施例における繰り返しパターン110は、第1実施例と同様に、4画素から成るベイヤー配列を、Y軸方向である縦方向に4つ、X軸方向である横方向に4つ含み、64画素から構成される。この繰り返しパターン110は、64画素から成る画素群を一組として、撮像素子100の有効画素領域を上下左右に周期的に配列されている。すなわち、撮像素子100は、図の太線で示す繰り返しパターン110を基本格子とする。
第2実施例における視差画素は、開口部104が中心よりも左側にシフトした視差Lt画素と、同じく右側にシフトした視差Rt画素の2種類の開口マスク103のいずれかを有する。図に示すように、視差画素は以下のように配列されている。
P11…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P32…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P72…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P23…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P63…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
P15…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P55…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P36…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P76…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
P67…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
他の画素は視差なし画素であり、視差なし画素+Rフィルタ(=R(N))、視差なし画素+Gフィルタ(=G(N))、視差なし画素+Bフィルタ(=B(N))のいずれかである。
このように、基本格子の中に開口部とカラーフィルタのすべての組み合わせによる視差画素を含み、かつ視差画素よりも多い視差なし画素にランダム性を有して配置されている配列が好ましい。特に、各カラーフィルタ別にカウントした場合でも、視差なし画素の方が視差なし画素よりも多いことが好ましい。第2実施例の場合、G(N)=28個に対して、G(Lt)+G(Rt)=2+2=4個であり、R(N)=12個に対して、R(Lt)+R(Rt)=4個、B(N)=12個に対して、B(Lt)+B(Rt)=4個である。
なお、第1実施例および第2実施例の視差Lt画素G(Lt)、B(Lt)、R(Lt)および視差Rt画素G(Rt)、B(Rt)、R(Rt)のマイクロレンズ101の形状、配置は、上述のとおり画素ごとに調整される。視差画素のマイクロレンズ101の調整において、カラーフィルタの透過波長帯域が加味されても良い。
次に、2D画像データと複数の視差画像データを生成する画像処理の概念について説明する。繰り返しパターン110における視差画素および視差なし画素の配列からもわかるように、撮像素子100の出力をその画素配列に一致させてそのまま羅列しても、特定の像を表す画像データにはならない。撮像素子100の画素出力を、同一に特徴付けられた画素グループごとに分離して寄せ集めてはじめて、その特徴に即した一つの像を表す画像データが形成される。例えば、既に図5を用いて説明したように、視差画素の出力をその開口部の種類ごとに寄せ集めると、互いに視差を有する複数の視差画像データが得られる。このように、同一に特徴付けられた画素グループごとに分離して寄せ集められたそれぞれの画像データを、プレーンデータと呼ぶ。
画像処理部205は、撮像素子100の画素配列順にその出力値が羅列されたRAW元画像データを受け取り、複数のプレーンデータに分離するプレーン分離処理を実行する。以下に各プレーンデータの生成処理について、図11を用いて説明した第1実施例の撮像素子100からの出力を例に説明する。
図13は、2D画像データとしての2D−RGBプレーンデータの生成処理の例を説明する図である。上段の図は、撮像素子100における一つの繰り返しパターン110およびその周囲の出力を、その画素配列に一致させてそのまま羅列した様子を示す。図においては、図11の例に則して画素の種類が理解されるように記載するが、実際には各画素に対応した出力値が並ぶ。
2D−RGBプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、まず視差画素の画素値を除去して、空格子とする。そして、空格子となった画素値を、同種のカラーフィルタを有する周辺画素の画素値を用いて補間処理により算出する。例えば、空格子P11の画素値は、斜め方向に隣接するGフィルタ画素の画素値である、P−1−1、P2−1、P−12、P22の画素値を平均化演算して算出する。また、例えば空格子P63の画素値は、上下左右に1画素飛ばして隣接するRフィルタの画素値である、P43、P43、P83、P65の画素値を平均化演算して算出する。同様に、例えば空格子P76の画素値は、上下左右に1画素飛ばして隣接するBフィルタの画素値である、P74、P56、P96、P78の画素値を平均化演算して算出する。
このように補間された2D−RGBプレーンデータは、ベイヤー配列を有する通常の撮像素子の出力と同様であるので、その後は2D画像データとして各種処理を行うことができる。画像処理部205は、静止画データを生成する場合にはJPEG等、動画データを生成する場合にはMPEG等の、予め定められたフォーマットに従って画像処理を行う。
図14は、視差画像データとしての2つのGプレーンデータの生成処理の例を説明する図である。すなわち、左視差画像データとしてのGLtプレーンデータと右視差画像データとしてのGRtプレーンデータである。
GLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からG(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P11とP55の2つの画素値が残る。そこで、繰り返しパターン110を縦横に4等分し、左上の16画素分をP11の出力値で代表させ、右下の16画素分をP55の出力値で代表させる。そして、右上の16画素分および左下の16画素分は、上下左右に隣接する周辺の代表値を平均化演算して補間する。すなわち、GLtプレーンデータは、16画素単位で一つの値を有する。
同様に、GRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からG(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P51とP15の2つの画素値が残る。そこで、繰り返しパターン110を縦横に4等分し、右上の16画素分をP51の出力値で代表させ、左下の16画素分をP15の出力値で代表させる。そして、左上の16画素分および右下の16画素分は、上下左右に隣接する周辺の代表値を平均化演算して補間する。すなわち、GRtプレーンデータは、16画素単位で一つの値を有する。
このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いGLtプレーンデータとGRtプレーンデータを生成することができる。
図15は、視差画像データとしての2つのBプレーンデータの生成処理の例を説明する図である。すなわち、左視差画像データとしてのBLtプレーンデータと右視差画像データとしてのBRtプレーンデータである。
BLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からB(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P32の画素値が残る。この画素値を繰り返しパターン110の64画素分の代表値とする。
同様に、GRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からB(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P76の画素値が残る。この画素値を繰り返しパターン110の64画素分の代表値とする。
このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いBLtプレーンデータとBRtプレーンデータを生成することができる。この場合、BLtプレーンデータとBRtプレーンデータの解像度は、GLtプレーンデータとGRtプレーンデータの解像度よりも低い。
図16は、視差画像データとしての2つのRプレーンデータの生成処理の例を説明する図である。すなわち、左視差画像データとしてのRLtプレーンデータと右視差画像データとしてのRRtプレーンデータである。
RLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からR(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P27の画素値が残る。この画素値を繰り返しパターン110の64画素分の代表値とする。
同様に、RRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からR(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、繰り返しパターン110には、P63の画素値が残る。この画素値を繰り返しパターン110の64画素分の代表値とする。
このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いRLtプレーンデータとRRtプレーンデータを生成することができる。この場合、RLtプレーンデータとRRtプレーンデータの解像度は、GLtプレーンデータとGRtプレーンデータの解像度よりも低く、BLtプレーンデータとBRtプレーンデータの解像度と同等である。
図17は、各プレーンの解像度の関係を示す概念図である。2D−RGBプレーンデータは、補間処理が施されることにより、実質的に撮像素子100の有効画素と同じ画素数分の出力値を有する。GLtプレーンデータおよびGRtプレーンデータは、補間処理が施されることにより、2D−RGBプレーンデータの画素数に対して1/16(=1/4×1/4)の画素数分の出力値を有する。BLtプレーンデータ、BRtプレーンデータ、RLtプレーンデータおよびRRtプレーンデータは、2D−RGBプレーンデータの画素数に対して1/64(=1/8×1/8)の画素数分の出力値を有する。
このような各プレーンデータ間における解像度のバランスによれば、まず、解像度の高い2D画像を出力させることができる。そして、上述のように、合焦領域については2D−RGBプレーンデータの情報を利用しつつ、非合焦領域についてはGLtプレーンデータ等の視差画像データを用いて合成処理等を施せば、3D画像についても解像感のある画像として出力させることができる。なお、合焦領域の判定については、AFセンサ211の出力を利用するほか、視差画像データの出力値を比較することによっても行うことができる。例えば、制御部201は、GLtプレーンデータとGRtプレーンデータの対応する画素の画素値が互いに同じであれば合焦状態であると判断し、そのような画素を包含する領域を合焦領域と判定する。
上述したように、視差Lt画素および視差Rt画素のマイクロレンズ101の形状、配置は、画素ごとに調整される。したがって、GLtプレーンデータ、GRtプレーンデータ、BLtプレーンデータ、BRtプレーンデータ、RLtプレーンデータおよびRRtプレーンデータの各々と、2D−RGBプレーンデータとの光量の差を低減することができる。
なお、図11を用いて説明した第1実施例においては、G(N):R(N):B(N)=2:1:1であり、G(Lt):R(Lt):B(Lt)=1:1:1であり、G(Rt):R(Rt):B(Rt)=1:1:1である。また、図12を用いて説明した第2実施例においては、G(N):R(N):B(N)=7:3:3であり、G(Lt):R(Lt):B(Lt)=1:1:1であり、G(Rt):R(Rt):B(Rt)=1:1:1である。このようなカラーフィルタに対する視差なし画素の配分比率、視差Lt画素の配分比率、および視差Rt画素の配分比率は任意に設定できる。第1実施例および第2実施例における配分比率以外にも、特に、視差なし画素の配分比率、視差Lt画素の配分比率、および視差Rt画素の配分比率を同一に設定することも有効である。例えば、それぞれの配分比率をすべて1:1:1に設定しても良いし、Gを多くして2:1:1に設定しても良い。このように配分比率を調整することにより、視差なし画像データと視差画像データ間の対応が容易になる。
なお、第1実施例および第2実施例のように視差画素の種類を2つにすれば2視点の視差画像が得られるが、もちろん視差画素の種類は、出力させたい視差画像数に合わせて様々な数を採用し得る。視点数が増えていっても、仕様、目的等に応じた、さまざまな繰り返しパターン110を形成することができる。この場合、2D画像の出力と3D画像の出力に対して共に解像感を持たせるためには、撮像素子100の基本格子の中に開口部とカラーフィルタのすべての組み合わせによる視差画素を含みつつ、視差画素よりも視差なし画素を多くすることが肝要である。
上述の例では、カラーフィルタ配列としてベイヤー配列を採用した場合について説明したが、もちろん他のカラーフィルタ配列であっても差し支えない。また、上述の例では、カラーフィルタを構成する原色として、赤色、緑色および青色の3つを用いた。しかし、翠色などを加えた4つ以上を原色としても良い。また、赤色、緑色および青色に代えて、イエロー、マゼンタ、シアンの組み合わせによる3原色を採用することもできる。
また、上述の例において、視差なし画素の開口部104の面積が視差Lt画素の開口部104の面積と視差Rt画素の開口部104の面積の和になるように、開口部104を形成しても良い。図18は、開口部104の形状を説明する図である。視差なし画素の開口部104nは、光電変換素子108と同じ大きさで形成される。視差Lt画素の開口部104lは、光電変換素子108の左側半分と同じ大きさで形成される。視差Rt画素の開口部104rは、光電変換素子108の右側半分と同じ大きさで形成される。
したがって、視差Lt画素の開口部104lの形状と、視差Rt画素の開口部104rの形状とが、視差なし画素の開口部104nの形状を中心線130で分割したそれぞれの形状と同一である。このように各画素の開口部104を形成することにより、視差なし画素の開口部104nの面積は、視差Lt画素の開口部104lの面積と視差Rt画素の開口部104rの面積の和になる。
ここで、視差なし画素の開口部104n、視差Lt画素の開口部104l、視差Rt画素の開口部104rのそれぞれは、開口絞りの機能を有する。したがって、開口部104l(開口部104r)の倍の面積を持つ開口部104nを有する視差なし画素のボケ量は、視差Lt画素と視差Rt画素のボケ量を足し合わせたボケ量と同程度となる。視差画素と視差なし画素との間のボケ量の関係がこのように規定されることにより、視差画素の画素値を用いた視差なし画素の補間処理および視差なし画素の画素値を用いた視差画素の画素値の補間処理が容易となる。
上述の実施形態では、図2で示す構造を有する開口マスク103が用いられたが、開口マスク103の構造はこれに限らない。図19は、変形例に係る撮像素子300の断面を表す概略図である。撮像素子300には、上述した開口マスク103と同様の役割を担う反射率調整膜310が設けられている。なお、撮像素子300の部材のうち撮像素子100と同一の部材については、同一の番号を付して機能の説明を省略する。
光電変換素子108の受光面を含む基板109の表面上には、反射率調整膜310が形成されている。反射率調整膜310は、各光電変換素子108の受光面上の少なくとも一部に形成される第1部分311と、第1部分311以外の箇所に形成される第2部分312とで構成される。
第1部分311は、上述の開口部104と同様の役割を担う。第1部分311は、各光電変換素子108に一対一に対応して設けられ、入射光を反射せずに通過するように反射率が調整されている。そして、第1部分311は、対応する光電変換素子108ごとにシフトされて、相対的な位置が厳密に定められている。第2部分312は、入射光をほぼ全て反射するように反射率が調整されている。このように、反射率調整膜310において、第1部分311の反射率は、第2部分312の反射率より小さく調整されている。
第1部分311と第2部分312とで構成された反射率調整膜310の作用により、光電変換素子108が受光する被写体光束に視差が生じる。一方、視差を生じさせない光電変換素子108上には、入射光束の全体を通過させるように、第1部分311のみが形成され、第2部分312が存在しない。変形例において、各々の光電変換素子108に対応して一対一に設けられる反射率調整膜310、カラーフィルタ102およびマイクロレンズ101の一単位が上述の画素に相当する。
図20は、変形例に係る反射率調整膜310の構成を説明する説明図である。図20(a)は、1画素分の反射率調整膜310の平面図である。第1部分311は、入射光束のうちの特定の光束を通過させて、当該特定の光束を、対応する光電変換素子108の受光面における予め定められた特定領域へ導く。一方、第2部分312は、特定領域以外の光電変換素子108の受光面の領域へ光束が入射するのを防ぐ。この構成により、光電変換素子108が受光する被写体光束に視差が生じる。
図20(b)は、反射率調整膜310の第1部分311周辺の断面図である。図示のとおり、反射率調整膜310は、SiO2膜とSiN膜が順次積層された多層膜である。第1部分311における各膜の膜厚と、第2部分312における各膜の膜厚とを異ならせることにより、第1部分311の反射率および第2部分312の反射率が調整される。例えば、第1部分311の反射率が10%未満、すなわち透過率が90%以上になるように、第1部分311における各膜の膜厚が規定される。また、例えば、第2部分312の反射率が99%以上、すなわち透過率が1%未満となるように、第2部分312における各膜の膜厚が規定される。
このように、反射率調整膜310の第1部分311および第2部分312を光電変換素子108の受光面上に形成することによって、光電変換素子108が視差を生じさせるための光束以外の不要な光束を受光するのを効率良く防ぐことができる。また、第1部分311の反射率を極力低減させることにより、光電変換素子108で受光される特定の光束の光量を反射率調整膜310が形成されていない場合よりも大きくすることができる。なお、第1部分311が存在しなくても光電変換素子108が十分な光量を受光できる場合には、第1部分311を光電変換素子108の受光面上に形成しなくても良い。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。