JP2013219185A - 太陽電池、太陽電池パネル、及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池、太陽電池パネル、及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】n型シリコン基板で光の入射により発生した正孔を、電極を有するp型半導体領域により、n型シリコン基板の周辺部で効率よく集電することができる太陽電池を実現する。
【解決手段】裏面電極型の太陽電池100において、n型シリコン基板101aの裏面に形成された帯状p型半導体領域111と、隣接する帯状p型半導体領域111の間にこれらに接するよう形成された帯状n型半導体領域121と、n型シリコン基板101aの裏面に、最も外側に位置する外縁p型半導体領域111に接し、かつその外側に位置するよう形成された外縁n型半導体領域122aと、n型シリコン基板101aの裏面に、外縁n型半導体領域122aの外側の領域を占めるよう形成された外縁p型半導体領域112aとを備え、帯状n型半導体領域121および帯状p型拡散領域111上にのみ集電電極101および102を配置した。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池、太陽電池パネル、及び太陽電池の製造方法に関し、特に、半導体基板の受光面と反対側の面である裏面に集電電極を形成した構造の太陽電池及びその製造方法、並びにこのような構造の太陽電池を太陽電池セルとして用いた太陽電池パネルに関するものである。
太陽光エネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池は、近年、特に地球環境問題の観点から、次世代のエネルギ源としての期待が急激に高まっている。太陽電池としては、化合物半導体または有機材料を用いたものなど様々な種類のものがあるが、現在、主流となっているのは、シリコン結晶を用いたものである。
現在、最も多く製造および販売されている太陽電池は、太陽電池を構成する半導体基板(以下、太陽電池基板あるいは単に基板ともいう。)の、太陽光が入射する側の面である受光面と、受光面とは反対側の面である裏面とにそれぞれ電極が形成された構造のものである。
しかしながら、太陽電池基板の受光面に電極を形成した場合、電極で光が反射したり吸収されたりすることから、この受光面に形成した電極の面積分だけ、太陽電池基板に入射する太陽光が減少することとなる。
そこで、太陽電池基板の裏面にのみ集電電極を形成した裏面電極型太陽電池が開発されている。
この裏面電極型太陽電池では、電極を裏面に配置することにより、受光面には電極の影になる領域をなくし、また、電極が基板の裏面にあるので、pn接合も基板の裏面側に位置することとなり、通常の太陽電池のように基板の表面に入射光を効率よく取り込むための凹凸構造(テクスチャ構造)を設けた場合でも、良好なpn接合を形成することができる。
図9は従来の裏面電極型太陽電池を説明する平面図であり、その裏面側の構造を示している。
この太陽電池1を構成する基板1aは略正方形形状のn型シリコン基板(n型シリコンウェーハ)であり、このn型シリコン基板1aの裏面(受光面とは反対側の基板主面)には、帯状n型半導体領域9が、n型シリコン基板1aの対向する1組の側辺に平行となるよう所定の間隔で複数配置されており、さらに、これらの複数の帯状n型半導体領域9の一端側及び他端側にはそれぞれ、これらにつながる、帯状n型半導体領域9と直交する方向に延びる側縁n型半導体領域9aが形成されており、帯状n型半導体領域9と側縁n型半導体領域9aとが一体となってn型半導体領域を構成している。
また、このシリコン基板1aの裏面の、帯状n型半導体領域9及び側縁n型半導体領域9a以外の領域は、p型半導体領域となっている。特に、基板の裏面の、隣接する帯状n型半導体領域9の間には、これらの領域と平行な帯状p型半導体領域10が形成されており、さらに、基板の裏面の、最も外側の帯状n型半導体領域9及び側縁n型半導体領域9aの外側の領域は、基板の外周縁に沿って位置する環状の外縁p型半導体領域10aとなっている。この外縁p型半導体領域10aは、最も外側の帯状n型半導体領域9に沿って延びる縦外縁p型半導体領域10a1と、側縁n型半導体領域9aに沿って延びる横外縁p型半導体領域10a2とから構成されている。
また、このような構造のn型シリコン基板1aでは、帯状n型半導体領域9上にはこの領域9の平面形状に合わせた平面形状を有する帯状n型電極2が形成されており、帯状p型半導体領域10上にはこの領域10の平面形状に合わせた平面形状を有する帯状p型電極3が形成されている。
また、図10は、図9に示す従来の太陽電池を説明する断面図であり、図10(a)は、図9のA−A’線部分の断面構造を示し、図10(b)は、図10(a)のB部分を拡大して示し、図10(c)は、図10(a)のC部分を拡大して示している。
太陽電池1のn型シリコン基板1aの受光面には、凹凸部(テクスチャー部)5が形成されており、つまり、この受光面は、その面積を増大させて入射光を効率よく取り込むために凹凸形状に加工した構造となっている。
また、n型シリコン基板1aの凹凸形状の表面部分にはn型前面拡散領域6が形成されており、このn型前面拡散領域6上には、下地の凹凸形状が反映されるよう、パッシベーション膜13及び反射防止膜12が順次形成されている。ここで、このパッシベーション膜13は酸化シリコン膜であり、反射防止膜12は酸化チタン膜である。
また、n型シリコン基板1aの裏面には、上記帯状n型半導体領域9と上記帯状p型半導体領域10とが、これらの領域の長手方向と直交する方向(紙面左右方向)に交互に並ぶよう形成されている。また、n型シリコン基板1aの裏面の、最も外側の帯状n型半導体領域9の外側には、縦外縁p型半導体領域10a1が形成されている。ここで、帯状p型半導体領域10は、図10(c)に示すように、帯状n型半導体領域9より厚さdだけ厚く形成されている。また、帯状p型半導体領域10の幅は、帯状n型半導体領域9の幅より広くなっている。これは、n型シリコン基板1aで生ずるキャリアのうち、発電電流を左右する少数キャリアである正孔を集める領域を広くするためである。
また、n型シリコン基板1aの裏面には、帯状n型半導体領域9、側縁n型半導体領域9a(図9参照)、帯状p型半導体領域10、及び外縁p型半導体領域10a(図9参照)を覆うようパッシベーション膜11が形成されている。このパッシベーション膜11の、帯状n型半導体領域9及び帯状p型半導体領域10に対応する部分にはコンタクトホールが形成され、帯状n型半導体領域9及び帯状p型半導体領域10には、n型電極2及びp型電極3がこのコンタクトホールを介してそれぞれの領域と電気的に接続されるよう形成されている。
なお、ここで、パッシベーション膜11は、n型シリコン基板側の熱酸化膜11aと、この熱酸化膜11aの外側に形成されたCVD酸化膜11bの2層構造となっている。
このような構成の太陽電池は、太陽電池セルとして直列または並列に複数接続することにより太陽電池パネルを実現するものである。
図11は、このような太陽電池パネルを説明する平面図であり、太陽電池パネルの全体構成を示している。図12は、この太陽電池パネルを構成する配線基板を説明する図であり、この配線基板における配線のパターンを示している。
図12に示す配線基板350は、図9および図10に示す太陽電池1を実装する実装領域Rを複数有している。ここでは、配線基板350は16個の実装領域Rを有する構造となっており、この配線基板350を構成する絶縁性シート材350aには、実装領域R毎にn型配線351およびp型配線352が設けられており、これらのn型配線351およびp型配線352は、実装領域Rに太陽電池1を配置したとき、太陽電池1の各n型電極2および各p型電極3が配線基板350の対応するn型配線351およびp型配線352に対向するよう配置されている。
ここで、各配線の延びる方向(紙面縦方向)に並んで隣接する2つの実装領域の一方のp型配線352とその他方のn型配線351とは、第1の接続用配線354aにより接続されており、また、この配線基板350の、各配線の延びる方向と直交する側辺に沿って隣接する2つの実装領域の一方のn型配線351とその他方のp型配線352とは、第2の接続用配線534bにより接続されている。さらに、ここでは、各実装領域Rに配置される太陽電池は直列接続となるよう配線基板350の配線のパターンが形成されており、直列接続の先頭に位置する実装領域のn型電極351は共通配線354cに接続され、直列接続の最後尾に位置する実装領域のp型電極352は共通配線354dに接続されている。
このような配線基板350の実装領域Rに、上述した太陽電池1を実装することにより、図11に示す太陽電池パネル300が得られる。
このような太陽電池パネル300では、発電動作中に一部の太陽電池セルに太陽光があたらなくなるような影が生じた場合、太陽光があたらない太陽電池セルでは、他の太陽電池セルに比べて起電圧が低くなり、例えば、帯状n型半導体領域9と帯状p型半導体領域10との間に逆バイアス電圧がかかった場合、太陽電池セルの特性のばらつきによっては、太陽電池セルの外周側端面(セル端面)にn型前面拡散領域6からの不純物が回り込むことなどの原因で、このセル端面を含む経路にリーク電流が発生することがあるが、図9及び図10で説明した従来の太陽電池は、外縁p型半導体領域10aにはp型電極が形成されていないので、上記のようなリーク電流を抑制する構造となっている。
なお、特許文献1には、図9および10に示す太陽電池と同様、太陽電池基板の裏面側に電極を配置した裏面電極型太陽電池が開示されている。
特開2007−281044号公報
しかしながら、上述した従来の太陽電池1では、n型シリコン基板1aの裏面における、最も外側の帯状n型半導体領域9及び側縁n型半導体領域9aのさらに外側に位置する領域は、基板の外周縁に沿って位置する環状の外縁p型半導体領域10aとなっており、この環状の外縁p型半導体領域10aには電極が設けられていないため、この環状の外縁p型半導体領域10aで発生した電荷は集電されず、発電電流として有効利用できていないという問題がある。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、太陽電池基板上での電極の配置を変更することなく、基板の導電型との関係で集電効率の高い導電型の半導体領域により、基板の周辺部での集電を効率よく行うことができる太陽電池及びその製造方法、並びにこのような太陽電池を太陽電池セルとして用いた太陽電池パネルを得ることを目的とする。
本発明に係る太陽電池は、第1導電型半導体基板を備え、該第1導電型半導体基板の第1主面を受光面とした太陽電池であって、該第1導電型半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面に所定の間隔で形成され、帯状の平面形状を有する複数の第2導電型半導体領域と、該第1導電型半導体基板の第2主面に、隣接する該第2導電型半導体領域の間にこれらの第2導電型半導体領域に接するよう形成され、帯状の平面形状を有する複数の第1導電型半導体領域と、該第1導電型半導体基板の第2主面に、最も外側に位置する第2導電型半導体領域に接し、かつその外側に位置するよう形成された第1導電型外縁半導体領域と、該第1導電型半導体基板の第2主面に、該第1導電型外縁半導体領域の外側の領域を占めるよう形成された第2導電型外縁半導体領域とを備え、該第1導電型外縁半導体領域および該第2導電型外縁半導体領域を除いて、該第1導電型半導体領域及び該第2導電型半導体領域に、それぞれの領域の導電型に対応した集電電極を配置したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明は、上記太陽電池において、前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域は、該第2導電型半導体領域が延びる方向に並ぶ複数の個別領域に分割した構造となっており、該隣接する個別領域の間には、前記第1導電型外縁半導体領域と、該最も外側に位置する第2導電型半導体領域の内側に該第2導電型半導体領域に隣接して位置する第1導電型半導体領域とをつなぐ第1導電型電流経路が形成されていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記複数の個別領域に分割した構造の第2導電型半導体領域上には、前記対応する集電電極が、前記隣接する個別領域の間に位置する第1導電型電流経路と絶縁層を介して立体的に交差するよう配置されていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記個別領域の、前記第2導電型外縁半導体領域に対向する第1側辺の中央から、前記第1導電型電流経路を介して、該個別領域の第1側辺とは反対側の第2側辺に隣接する前記第1導電型半導体領域に至る電流経路での電圧降下を、前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域と該第2導電型外縁半導体領域との間隔、該第1導電型電流経路の幅および長さ、該個別領域の配列ピッチ、並びに、該最も外側に位置する第2導電型半導体領域とこれに隣接する第2導電型半導体領域との間隔をパラメータとして導出し、これらのパラメータの少なくとも1つを、出力電流が該電流経路での電圧降下により最大出力時の電流値から所定電流値だけ低下する現象における、該電流経路での電圧降下が小さくなるよう決定していることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域と前記第2導電型外縁半導体領域との間隔は、これらの領域が前記第1導電型外縁半導体領域により実質的に分離される程度の狭い幅に制限し、前記第1導電型電流経路の幅は、この第1導電型電流経路が実質的にバイパス通路として機能する程度の狭い幅に制限し、前記個別領域の配列ピッチは、最大出力時の電流値が最大になる値としていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型外縁半導体領域は、前記複数の第1導電型半導体領域および前記複数の第2導電型半導体領域を囲むよう前記第1導電型半導体基板の周縁に沿って形成されており、前記第2導電型外縁半導体領域は、前記第1導電型半導体基板の第2主面上に、該第1導電型外縁半導体領域を囲み、かつ該第1導電型外縁半導体領域の外側の領域を占有するよう形成されていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型半導体基板は、略正方形形状を有し、前記第1導電型半導体領域および前記第2導電型半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる領域であり、前記第1導電型外縁半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる第1導電型縦外縁半導体領域と、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と直交する方向に延びる第1導電型横外縁半導体領域とから構成されており、前記第2導電型外縁半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる第2導電型縦外縁半導体領域と、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と直交する方向に延びる第2導電型横外縁半導体領域とから構成されていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型半導体基板は、受光面とする第1主面側に形成された、第1導電型受光面拡散層を有することが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型半導体基板の受光面となる第1主面は、凸凹形状となっていることが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型半導体基板の受光面となる第1主面上に形成されたパッシベーション膜と、該パッシベーション膜上に形成された反射防止膜とを有することが好ましい。
本発明は、上記太陽電池において、前記第1導電型半導体基板はn型シリコン基板であり、前記第1導電型半導体領域及び前記第1導電型外縁半導体領域はそれぞれn型半導体領域であり、前記第2導電型半導体領域及び前記第2導電型外縁半導体領域はそれぞれp型半導体領域であることが好ましい。
本発明に係る太陽電池パネルは、上述した本発明に係る太陽電池を太陽電池セルとして直列あるいは並列に接続してなり、太陽光による発電を行うものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明に係る太陽電池の製造方法は、上述した本発明に係る太陽電池を製造する方法であって、前記第1導電型半導体基板の第2主面に前記第1導電型半導体領域および前記第1導電型外縁半導体領域を形成する工程と、前記第1導電型半導体基板の第2主面に、前記第2導電型半導体領域および前記第2導電型外縁半導体領域を、前記第1導電型半導体領域および前記第1導電型外縁半導体領域に対して自己整合的に形成する工程と、該第1導電型外縁半導体領域及び該第2導電型外縁半導体領域を除いて、該第1導電型半導体領域および該第2導電型半導体領域上に、それぞれの領域の導電型に対応した集電電極を形成する工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
次に作用について説明する。
本発明においては、太陽電池を構成する第1導電型半導体基板の第1主面(受光面)とは反対側の第2主面(裏面)に、帯状の平面形状を有する第1導電型半導体領域と帯状の平面形状を有する第2導電型半導体領域とを、第2導電型半導体領域が第1導電型半導体基板の両端に位置するよう交互に配列してそれぞれの領域に電極を形成し、最も外側の第2導電型半導体領域の外側に、電極を有しない第1導電型外縁半導体領域を配置し、さらに第1導電型外縁半導体領域の外側の領域に、この領域を占めるよう、電極を有しない第2導電型外縁半導体領域を形成したので、第1導電型半導体基板の周縁部にて、第1導電型半導体基板の導電型との関係で集電効率が高い、電極を有する第2導電型半導体領域により少数キャリアの集電を効率よく行うことができる。
また、本発明においては、最も外側に配置された第2導電型半導体領域を、その外側の第1導電型外縁半導体領域とその内側の第1導電型半導体領域とをつなぐ第1導電型電流経路が形成されるよう分割した構造としたので、この分割した第2導電型半導体領域の外側に位置する、電極を有しない第1導電型外縁半導体領域で発生した電子を、バイパス通路である第1導電型電流経路を介して、この分割した第2導電型半導体領域の内側に位置する、電極を有する第1導電型半導体領域で集電することができる。しかも、分割した第2導電型半導体領域の配置部分では、複数の分割片である個別領域と第1導電型電流経路とによるPN接合面が形成されることから、第1導電型半導体基板全面でのPN接合面が増大するここととなり、起電力を生む内部電界の発生領域が増大し、短絡電流や開放電圧の向上を図ることができる。
また、本発明においては、複数の個別領域に分割した構造の最も外側に配置した第2導電型半導体領域上には、対応する集電電極を、前記隣接する個別領域の間に位置する第1導電型電流経路と絶縁層を介して立体的に交差するよう配置しているので、最も外側に配置した分割した構造の第2導電型半導体領域上に配置する集電電極はアイランド型にする必要がなく、この集電電極のマスクパターンとして、最も外側に配置した第2導電型半導体領域を分割した場合でも、これを分割していない場合と同じマスクパターンを用いることができる。
また、本発明においては、第1導電型半導体基板の裏面には、集電領域としての第1導電型半導体領域および第2導電型半導体領域の配列領域を囲むよう、第1導電型半導体基板の周縁に沿って第1導電型外縁半導体領域を配置しているので、第1導電型半導体基板の両端に位置する集電領域としての第2導電型半導体領域の周囲全体に渡って第1導電型外縁領域が位置することとなり、集電領域としての第2導電型半導体領域の周囲に形成されるpn接合面も、この第2導電型半導体領域の占有面積の増大に伴って広がることとなる。これにより起電力を生む内部電界の発生領域が増大することとなって、短絡電流や開放電圧の向上を図ることができる。
さらに、第1導電型半導体基板の裏面には、集電領域としての第1導電型半導体領域および第2導電型半導体領域の配列領域を囲む第1導電型外縁半導体領域をさらに囲むように、第1導電型半導体基板の周縁に沿って第2導電型外縁半導体領域を形成し、この第2導電型外縁半導体領域には電極を配置していないので、太陽電池に逆バイアスが印加されても、第1導電型半導体基板の外周縁を通して発生するリーク電流を抑えることができる。
さらには、集電領域としての第1導電型半導体領域および第2導電型半導体領域の配列領域を囲む第1導電型外縁半導体領域にも電極を配置していないので、電極を形成するためのマスク合わせマージンを考慮することなく、第1導電型半導体領域および第2導電型半導体領域とともに集電領域を形成する第1導電型外縁半導体領域を、その外側の第2導電型外縁半導体領域に対するマスク合わせマージンのみを考慮して第1導電型半導体基板の周縁ぎりぎりまで広げることができる。これによっても、短絡電流の増大を図ることができる。
以上のように、本発明によれば、太陽電池基板の導電型との関係で集電効率の高い導電型の半導体領域により、太陽電池基板の周辺部での集電を効率よく行うことができる太陽電池及びその製造方法、並びにこのような太陽電池を太陽電池セルとして用いた太陽電池パネルを実現することができる。
図1は、本発明の実施形態1による太陽電池を説明する図であり、図1(a)は、この太陽電池の裏面側の構造を示し、図1(b)は、太陽電池の電圧−電流特性を示し、図1(c)は、本実施形態1の太陽電池と従来の太陽電池とで特性を対比して示している。 図2は、本発明の実施形態1による太陽電池を説明する断面図であり、図2(a)は、図1のA1−A1’線部分の断面構造を示し、図2(b)は、図2(a)のB1部分を拡大して示し、図2(c)は、図2(a)のB2部分を拡大している。 図3は、本発明の実施形態1による太陽電池の製造方法を主要工程(図3(a)〜(i))順に説明する図であり、図3(j)は、図3(g)のC1部分を拡大して示している。 図4は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、図4(a)は、この太陽電池の裏面側の構造を示し、図4(b)は、本実施形態2の太陽電池の特性を実施形態1および従来の太陽電池の特性と対比して示している。 図5は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する断面図であり、図5(a)は、図4(a)のD1−D1’線部分の断面構造を示し、図5(b)は、図4(a)のD2−D2’線部分の断面構造を示している。 図6は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、そのn型シリコン基板の両側端に位置する分割p型半導体領域のパターン(配置および寸法)を決定する方法を示している。 図7は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、分割p型半導体領域のパターンの決定方法を説明するための太陽電池の電圧−電流特性グラフを示している。 図8は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、太陽電池の特性期待向上率を、分割p型半導体領域のパターンを決めるパラメータを変えて求めた結果を示している。 図9は、従来の太陽電池を説明する図であり、太陽電池の裏面側の構造を示している。 図10は、図9に示す従来の太陽電池を説明する断面図であり、図10(a)は、図9のA−A’線部分の断面構造を示し、図10(b)は、図10(a)のB部分を拡大して示し、図10(c)は、図10(a)のC部分を拡大して示している。 図11は、図9に示す太陽電池を太陽電池セルとして搭載した太陽電池パネルを説明する平面図であり、太陽電池パネルの全体構成を示している。 図12は、図11に示す太陽電池パネルを構成する配線基板を説明する図であり、この配線基板における配線のパターンを示している。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による太陽電池を説明する図であり、図1(a)は、この太陽電池の裏面側の構造を示している。
この実施形態1による太陽電池100は、n型シリコン基板(第1導電型半導体基板)101aを備え、このn型シリコン基板101aの表面(第1主面)を受光面とした太陽電池である。
ここで、この太陽電池100を構成する基板101aはn型シリコンウェーハであり、このn型シリコン基板101aは、円柱状のシリコンインゴットの側面部を4箇所で中心軸と平行な平面で切り落とし、さらに中心軸と垂直な面に沿って薄くスライスしてなる構造となっており、その実際の平面形状は、円板を、対角線がこの円板の直径より長く、一辺の長さがこの円板の直径より短い正方形に中心を一致させて重ねたときの、この円板の正方形からはみ出した部分を切り落として得られる略正方形形状となっているが、ここでは、このn型シリコン基板101aは正方形形状として模式的に図示している。
この太陽電池100は、n型シリコン基板101aの受光面とは反対側の裏面(第2主面)に所定の間隔で形成され、帯状の平面形状を有する複数の帯状p型半導体領域(第2導電型半導体領域)111と、n型シリコン基板101aの裏面に、隣接するp型半導体領域111の間にこれらの領域111に接するよう形成された、帯状の平面形状を有する複数の帯状n型半導体領域121と、n型シリコン基板101aの裏面に、最も外側に位置する帯状p型半導体領域111に接し、かつその外側に位置するよう形成された外縁縦n型半導体領域122aと、n型シリコン基板101aの裏面に、外縁縦n型半導体領域122aの外側の領域を占めるよう形成された外縁縦p型半導体領域112aとを有している。
そして、外縁縦n型半導体領域122aおよび帯状n型半導体領域121の一端側は、n型シリコン基板101aの一方の側辺に沿って延びる外縁横n型半導体領域122bにつながっており、外縁縦n型半導体領域122aおよび帯状n型半導体領域121の他端側は、n型シリコン基板101aの他方の横側辺に沿って延びるもう1つの外縁横n型半導体領域122bにつながっている。これらの帯状n型半導体領域121、左右一対の外縁縦n型半導体領域122a、および上下一対の外縁横n型半導体領域122bは一体となって1つのn型半導体領域120を形成している。なお、ここで、左右一対の外縁縦n型半導体領域122aおよび上下一対の外縁横n型半導体領域122bは、帯状n型半導体領域121および帯状p型半導体領域111を囲む環状のn型半導体領域122を形成している。
また、n型シリコン基板101aの裏面には、外縁横n型半導体領域122bの外側の領域を占めるよう外縁横p型半導体領域112bが、該n型シリコン基板101の側辺に沿って形成されている。さらに、対向する一対の外縁横p型半導体領域112bと、対向する一対の外縁縦p型半導体領域112aとにより、環状のp型半導体領域112が形成されており、この環状のp型半導体領域112は環状のn型半導体領域122を囲むようn型シリコン基板101aの周縁に沿って配置されている。
つまり、この太陽電池100を構成する略正方形形状のn型シリコン基板101aの裏面には、n型シリコン基板101aの外周縁に沿って環状のp型半導体領域112が形成され、環状のp型半導体領域112の内側の領域には、一方の側辺側(紙面左側側辺)からもう一方の側辺側(紙面右側側辺)に渡って、帯状p型半導体領域111が所定間隔で繰り返し配置されている。また、隣接する帯状p型半導体領域111の間には帯状n型半導体領域121が配置され、最も外側の帯状p型半導体領域111と環状のp型半導体領域112との間には、外縁縦n型半導体領域122aが配置されている。
そして、帯状p型半導体領域111上には集電電極としてp型電極101が配置され、隣接する帯状p型半導体領域111の間の帯状n型半導体領域121上には集電電極としてn型電極102が配置されている。
ここでは、帯状p型半導体領域111の幅は、帯状n型半導体領域112の幅より広くなっている。これは、太陽電池基板がn型シリコン基板101aである場合、太陽電池の発電電流に寄与する少数キャリアが正孔であることから、正孔を集める集電領域であるp型半導体領域の面積を広くするためである。
次に、太陽電池の断面構造について説明する。
図2は、本発明の実施形態1による太陽電池を説明する断面図であり、図2(a)は、図1(a)のA1−A1’線部分の断面構造を示し、図2(b)は、図2(a)のB1部分を拡大して示し、図2(c)は、図2(a)のB2部分を拡大して示している。
単結晶シリコン基板であるn型シリコン基板101aの受光面側にはテクスチャ構造である凹凸部5が形成されている。この凹凸の大きさは数μm〜数十μmオーダーである。
n型シリコン基板101aの受光面側全面には受光面拡散層6であるn型半導体領域がFSF(FrontSurface Field)層として形成され、受光面拡散層6の受光面側には受光面パッシベーション膜13が形成されている。さらに、受光面側には反射防止膜12が形成されている。ここで、受光面パッシベーション膜13は酸化シリコン膜で、その膜厚は15nm〜200nmであり、好ましくは15nm〜60nmである。また、反射防止膜12は酸化チタン膜である。膜厚は10〜400nmである。さらに、反射防止膜にはリンが含まれており、その濃度はリン酸化物として15〜35wt%含有する。
また、n型シリコン基板101aの裏面には、n型シリコン基板101a側から順に配置された第2裏面パッシベーション膜11bおよび第1裏面パッシベーション膜11aの2層構造の裏面パッシベーション膜11が形成されている。n型シリコン基板101aの裏面側には帯状n型半導体領域121と帯状p型半導体領域111とが交互に隣接して形成されており、n型シリコン基板101aの裏面における最も外側の帯状p型半導体領域111の外側の領域には外縁縦n型半導体領域122aが形成され、n型シリコン基板101aの裏面の、外縁縦n型半導体領域122aの外側部分にはこの部分を占有するよう外縁縦p型半導体領域112aが形成されている。
また、n型半導体領域121および122a上の裏面パッシベーション膜11の膜厚は、p型半導体領域111および112a上の裏面パッシベーション膜11の膜厚より厚くなっている。
このようにこの太陽電池100では、n型シリコン基板101aの裏面にはn型半導体領域121とp型半導体領域111とが交互に隣接して形成されていることから、太陽電池100に逆方向のバイアスがかかったとき、局所的に大きな電圧がかかることがなく、局所的なリーク電流による発熱をさけることができる。
次に、本発明の実施形態1による太陽電池の製造方法を説明する。
図3は、本発明の実施形態1による太陽電池の製造方法を主要工程(図3(a)〜図3(i))順に説明する図であり、図3(j)は、図3(g)のC1部分を拡大して示している。また、図3は、図1および図2に示す太陽電池における、帯状p型半導体領域111と帯状n型半導体領域121とが隣接する部分の断面構造を示しており、図1および図2に示すこれら以外のp型半導体領域112およびn型半導体領域122は示していないが、p型半導体領域112およびn型半導体領域122はそれぞれ、帯状p型半導体領域111および帯状n型半導体領域112と同一のマスクにより同時に形成されるものである。
まず、図3(a)に示すように、n型シリコン基板101aの受光面となる第1主面(表面)と反対側の第2主面(裏面)に、窒化シリコン膜等のテクスチャマスク21をCVD法、またはスパッタ法等で形成する。
その後、図3(b)に示すように、n型シリコン基板101aの表面に凹凸部5からなるテクスチャ構造をエッチングにより形成する。このエッチングは、たとえば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液にイソプロピルアルコールを添加し、70℃以上80℃以下に加熱した溶液を用いて行う。
次に、図3(c)に示すように、n型シリコン基板101aの裏面に形成したテクスチャマスク21を除去した後、n型シリコン基板101aの表面に酸化シリコン膜等の拡散マスク22を形成する。その後、n型シリコン基板101aの裏面の、n型半導体領域102を形成しようとする部分以外に、例えば、溶剤、増粘剤および酸化シリコン前駆体を含むマスキングペーストをインクジェット、またはスクリーン印刷等で塗布し、熱処理により拡散マスク23を形成し、POClを用いた気相拡散によって、n型シリコン基板101aの裏面の露出した箇所に、n型不純物であるリンを拡散してn型半導体領域121を形成する。
なお、図3(c)〜図3(e)では、図3(b)とはn型シリコン基板101aの上下を逆転してn型シリコン基板101aの断面構造を示している。
次に、図3(d)に示すように、n型シリコン基板101aに形成した拡散マスク22及び23、並びに拡散マスク22及び23にリンが拡散して形成されたガラス層をフッ化水素酸処理により除去した後、酸素または水蒸気による熱酸化を行い、n型シリコン基板101aの裏面に酸化シリコン膜24aを形成し、n型シリコン基板101aの表面に酸化シリコン膜24bを形成する。
このとき、図3(d)に示すように、n型シリコン基板101aの裏面のn型半導体領域121上では酸化シリコン膜24aが厚くなる。
例えば、900℃で水蒸気による熱酸化により、n型シリコン基板101aの、n型半導体領域121以外の部分で酸化シリコン膜24aの膜厚が70nm〜90nm、n型半導体領域121上で、酸化シリコン膜24aの膜厚は250nm〜350nmになった。ここで、熱酸化前のn型半導体領域121におけるリンの表面濃度は、5×1019/cm以上であり、熱酸化の処理温度の範囲としては、酸素による熱酸化で800℃〜1000℃、水蒸気による熱酸化で800℃〜950℃である。
ここで、p型半導体領域111の形成に用いる、n型半導体領域121を覆う拡散マスク24cとしては、60nm以上の膜厚が必要であることから、n型半導体領域121上とこれらの領域以外の部分とで、酸化シリコン膜24aの膜厚差は60nm以上必要となる。
また、熱酸化時に、シリコン基板101aに拡散される不純物の種類と濃度により、熱酸化による酸化シリコン膜の成長速度が異なる。特にn型不純物濃度が高い場合は、成長速度が速くなる。このため、n型シリコン基板101aよりもn型不純物濃度が高いn型半導体領域121上では、酸化シリコン膜24aの膜厚がn型シリコン基板101a上よりも厚くなる。酸化シリコン膜24aおよび24bは、熱酸化時にシリコンと酸素とが結びつくことで形成されるので、n型シリコン基板101aの裏面のn型半導体領域121の表面は、n型シリコン基板101aの裏面のn型半導体領域121以外であるp型半導体領域111の表面よりも凹んだ形状となる。この形状は、図2に示すとおりであり、図3では省略している。
次に、図3(e)に示すように、n型シリコン基板101aの表面の酸化シリコン膜24bおよび裏面のn型半導体領域121上以外の酸化シリコン膜24aをエッチングにより除去する。
n型シリコン基板101aの裏面では、上述したように、酸化シリコン膜24aが、n型半導体領域121上で厚く形成されているので、n型半導体領域121上にだけ酸化シリコン膜24cとして残る。n型半導体領域121上の酸化シリコン膜24aと、n型半導体領域121上以外の領域の酸化シリコン膜24aとのエッチングレートの差により、n型半導体領域121上の酸化シリコン膜24cは120nm程度の膜厚となる。例えば、900℃30分の水蒸気による熱酸化で酸化シリコン膜24aを形成し、n型半導体領域121上以外の酸化シリコン膜24aを除去するためにフッ化水素酸処理をした場合、n型半導体領域121上の酸化シリコン膜24cの膜厚は120nm程度となる。上述したようにn型半導体領域121上の酸化シリコン膜24cは、60nm以上あればp型半導体領域111の形成時の拡散マスクとして機能する。
さらに、n型シリコン基板101aの表面に酸化シリコン膜等の拡散マスク25を形成し、その後、n型シリコン基板101aの裏面に、有機性高分子にホウ素化合物を反応させたポリマーをアルコール系溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥後、熱処理によりn型シリコン基板101aの裏面の露出した箇所にp型不純物であるボロンを拡散してp型半導体領域111を形成する。
図3(f)に示すように、n型シリコン基板101aに形成した酸化シリコン膜24c及び拡散マスク25、並びに酸化シリコン膜24c及び拡散マスク25にボロンが拡散して形成されたガラス層をフッ化水素酸処理により除去する。その後、n型シリコン基板101aの裏面に酸化シリコン膜等の拡散マスクを兼ねた第1裏面パッシベーション膜11aをCVD法、またはSOG(スピンオングラス)による塗布および焼成により形成する。その後、n型シリコン基板101aの受光面に受光面拡散層6であるn型半導体層および反射防止膜12を形成するため、n型シリコン基板101aの受光面にリン化合物、チタンアルコキシドおよびアルコールを少なくとも含む混合液27の塗布を行い、この混合液27を乾燥する。ここで、混合液27のリン化合物としては五酸化リン、チタンアルコキシドとしてはテトライソプロピルチタネート、およびアルコールとしてはイソプロピルアルコールを用いる。
次に、図3(g)に示すように、熱処理によりn型不純物であるリンが拡散して受光面側全面に受光面拡散層6であるn型半導体層および反射防止膜12となるリンを含有した酸化チタン膜が形成される。ここで、熱処理後のn型半導体層(受光面拡散層)6のシート抵抗値は、30〜150Ω/□、望ましくは、80±20Ω/□である。
n型シリコン基板101aの裏面に酸化シリコン膜による第2裏面パッシベーション膜11bを形成するため、酸素または水蒸気による熱酸化を行う。この際、n型シリコン基板101aの裏面に第2裏面パッシベーション膜11bである酸化シリコン膜が形成されながら、図3(j)に示すように、n型シリコン基板101aの受光面全面にも、酸化シリコン膜が形成される。この受光面全面に形成された酸化シリコン膜は、受光面拡散層6と反射防止膜12との間に形成され、受光面パッシベーション膜13となる。また、第2裏面パッシベーション膜11bと受光面パッシベーション膜13との形成は、受光面拡散層6および反射防止膜12を形成する熱処理に引き続き、ガスを切り替えて酸素または水蒸気による熱酸化を行うことによっても可能である。
次に、図3(h)に示すように、n型シリコン基板101aの裏面側に形成されたn型半導体領域121およびp型半導体領域111に電極を形成するため、n型シリコン基板の裏面に形成された裏面パッシベーション膜11にパターニングを行う。パターニングは、エッチングペーストをスクリーン印刷法などで塗布し加熱処理により行われる。その後、パターニング処理を行ったエッチングペーストは超音波洗浄し酸処理により除去する。ここで、エッチングペーストとしては、例えば、エッチング成分としてリン酸、フッ化水素、フッ化アンモニウムおよびフッ化水素アンモニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含み、水、有機溶媒および増粘剤を含むものである。
次に、図3(i)に示すように、n型シリコン基板100aの裏面の所定の位置に銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、乾燥する。その後、焼成により、n型半導体領域121にはn型電極102が形成され、p型半導体領域111にはp型電極101が形成され、裏面電極型の太陽電池100が得られる。
このようにして製造した太陽電池100を図12に示す配線基板350に実装して、該太陽電池100の裏面に形成したp型電極101およびn型電極102を、配線基板350の対応する配線351および352に接続することで太陽電池パネル(ソーラーパネル)300を作成することができる。
次に作用効果について説明する。
このような構成の本実施形態1による裏面電極型太陽電池100では、略正方形形状のn型シリコン基板101aの裏面に、正孔を集める幅の広い複数の帯状p型半導体領域111と、電子を集める幅の狭い帯状n型半導体領域121とを、交互にかつn型シリコン基板101aの両端に帯状p型半導体領域111が位置するよう配列したので、n型シリコン基板101aの裏面上で帯状p型半導体領域111が占有する大きな面積を確保することができ、これにより短絡電流を増大させることができる。
また、n型シリコン基板101aの裏面には、これらの帯状p型半導体領域111および帯状n型半導体領域121の配列領域を囲むよう、n型シリコン基板101aの周縁に沿って環状のn型半導体領域122を形成しているので、n型シリコン基板101aの両端に位置する帯状p型半導体領域111の周囲全体に渡ってn型半導体領域122が位置することとなり、帯状p型半導体領域111の周囲に形成されるpn接合面も、帯状p型半導体領域111の占有面積の増大に伴って広がることとなる。これにより起電力を生む内部電界の発生領域がn型シリコン基板内で増大することとなって、短絡電流や開放電圧の向上を図ることができる。
さらに、n型シリコン基板101aの裏面には、環状のn型半導体領域122を囲むようにn型シリコン基板101aの周縁に沿って環状のp型半導体領域112を形成し、環状のp型半導体領域112上には電極を配置していないので、太陽電池に逆バイアスが印加されても、n型シリコン基板の外周縁を通して発生するリーク電流を抑えることができる。
さらには、環状のn型半導体領域122にも電極を配置していないので、電極を形成するためのマスク合わせマージンを考慮することなく、帯状p型半導体領域111および帯状n型半導体領域121とともに集電領域を形成する環状n型半導体領域122を、最外周の環状p型半導体領域112に対するマスク合わせマージンのみを考慮してn型シリコン基板101aの周縁ぎりぎりまで広げることができる。これによっても、短絡電流の増大を図ることができる。
その結果、太陽電池の短絡電流および開放電圧、さらには最大出力を向上させることができる。
また、本実施形態1による太陽電池の製造方法では、n型半導体領域120(121および122)を形成した後の熱酸化シリコン膜24aにより、p型半導体領域110(111および112)を形成するためのパターニングを自己整合的に行うことができ、p型半導体領域110を形成するためのパターニング工程(フォトリソグラフィ処理)を必要としないことから、工程削減が可能であり、さらに、多くの設備を必要としないので、生産性も向上する。また、この製造方法を用いることにより、n型半導体領域120とp型半導体領域110の位置ずれを抑えて、それぞれの領域を形成することができる。
以下、本実施形態1による太陽電池100の性能を従来の太陽電池1の性能と対比して説明する。
図1(b)および図1(c)は、本発明の実施形態1による太陽電池の特性を説明する図であり、図1(b)は、太陽電池の電圧−電流特性を示し、図1(c)は、本実施形態1の太陽電池と従来の太陽電池とで特性を対比して示している。
ここで、開放電圧Vocは、太陽電池に光を照射している状態で、太陽電池の出力端子を開放したときの出力電圧であり、短絡電流Iscは、太陽電池の出力端子を短絡したときの出力電流である。また、最大出力点Pmaxは、太陽電池の最大の出力電力が得られる動作点であり、この動作点で動作している状態では、太陽電池の出力電流はImaxであり、太陽電池の出力電圧はVmaxであり、最大出力Pmは、Imax・Vmaxである。さらに、曲線因子F.F.は、F.F.=(Vmax・Imax)/(Voc・Isc)で得られる。
このような太陽電池の性能を示す特性を、従来の太陽電池1と本実施形態1の太陽電池100とで比較したところ、本実施形態1の太陽電池100では、図1(c)に示すように、短絡電流Isc、開放電圧Voc、および最大出力Pmの向上が見られた。なお、図1(c)では、従来の太陽電池1における短絡電流、開放電圧、最大出力、曲線因子の値を1として、本実施形態1の太陽電池100における短絡電流、開放電圧、最大出力、曲線因子の大きさ(比率)を示している。
このような構成の実施形態1の太陽電池100では、n型電極102およびp型電極101の配置は、従来の太陽電池1におけるn型電極2およびp型電極3の配置を入れ替えた配置となっており、n型シリコン基板101aの裏面側での電極全体の配置は変更されていない。従って、太陽電池100を実装する配線基板としては、従来の太陽電池の実装基板として用いられている、図12に示す配線基板350を用いることができる。ただし、この場合、配線基板350の配線351は太陽電池100のp型電極101に接続され、配線基板350の配線352は太陽電池100のn型電極102に接続されることとなり、配線基板350の配線の極性が従来の太陽電池を実装した場合とは逆になるが、これらの配線基板を接続して太陽電池パネルを作成する際に、配線351をp型配線として用い、配線352をn型配線として用いることにより、従来の太陽電池を実装した場合と同様に太陽電池パネルを形成することができる。
なお、上記実施形態1では、太陽電池は、第1導電型半導体基板としてn型シリコン基板を用いたものであるが、第1導電型半導体基板としてp型シリコン基板を用いてもよい。その場合は、太陽電池基板に形成される半導体領域の導電型は、実施形態1で示したものとは逆の導電型のものとなる。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、図4(a)は、この太陽電池の裏面側の構造を示し、図4(b)は、本実施形態2の太陽電池の特性を実施形態1および従来の太陽電池の特性と対比して示している。
この実施形態2による太陽電池200は、上述した実施形態1による太陽電池100における最も外側の帯状p型半導体領域111に代えて、この帯状p型半導体領域111をこれが延びる方向に複数の部分に分割してなる分割p型半導体領域111aを備えたものである。
つまり、この分割p型半導体領域111aは、実施形態1の太陽電池100における帯状p型半導体領域111の幅と同じ幅を有するp型矩形領域111a1を、n型シリコン基板101aの側辺に沿って所定ピッチで複数配列してなるものであり、隣接するp型矩形領域111a1の間の領域は、この分割p型半導体領域111aの両側に位置するn型半導体領域121および122aにつながっており、言い換えると、分割p型半導体領域111aに隣接してその外側に位置する外縁縦n型半導体領域122aから、分割p型半導体領域111aに隣接してその内側に位置する帯状n型半導体領域121に至る電子の通路(バイパス通路)を構成するn型通路領域122cとなっている。
次に、この実施形態2の太陽電池の断面構造について簡単に説明する。
図5は、この実施形態2による太陽電池を説明する断面図であり、図5(a)は、図4(a)のD1−D1’線部分の断面構造を示し、図5(b)は、図4(a)のD2−D2’線部分の断面構造を示している。
ここで、図4(a)のD1−D1’線部分の断面構造は、実施形態1の太陽電池における図1(a)のA−A’線部分の断面構造と同一である。
この実施形態2の太陽電池200は、上述したとおり、n型シリコン基板101aの裏面に形成した最も外側の帯状p型半導体領域として、帯状p型半導体領域111が延びる方向に複数の部分に分割してなる分割p型半導体領域111aを設けている点でのみ実施形態1の太陽電池100と異なっており、図5(b)に示すように、隣接するp型矩形領域111a1の間の領域(n型通路領域)122cは、この分割p型半導体領域111aの両側に位置するn型半導体領域121および122aにつながっている。
ここで、分割p型半導体領域111aには、p型電極101bが、隣接するp型矩形領域111a1の間に位置するn型通路領域(バイパス通路)122cと、酸化シリコン膜(パッシベーション膜)11である絶縁層を介して立体的に交差するよう配置されている。
この実施形態2による太陽電池200におけるその他の構成は、実施形態1による太陽電池100と同一であり、この実施形態2の太陽電池200の製造方法は、実施形態1の太陽電池100の製造方法とは、n型半導体領域220を選択的に形成する際に用いるマスクパターンのみ異なる。
つまり、この実施形態2の太陽電池200では、p型半導体領域210の一部である分割p型半導体領域111aのパターンが、実施形態1の太陽電池100における最も外側のp型半導体領域111のパターンと異なるので、n型半導体領域220を選択的に形成する際のマスクパターンを実施形態1のものから変更するだけでよい。これは、p型半導体領域210は、n型半導体領域220に対して自己整合的に形成されるためである。
また、この実施形態2の太陽電池200では、n型通路領域122cの幅は、広いほどこのn型通路領域122cの抵抗が小さくなり、電子が、電極の設けられていない外縁縦n型半導体領域122aから、電極の設けられている、分割p型半導体領域111aの内側に隣接して位置する帯状n型半導体領域121に移動しやすくなり、電流ロスが低減されるが、このn型通路領域122cの幅を広くした分、分割p型半導体領域111aを構成するp型矩形領域111a1の面積が縮小することとなり、集電される電流量が低下することとなる。
そこで以下、曲線因子F.F.および最大出力時の電流値Ipmの向上と、短絡電流Iscの向上とが両立するよう、分割p型半導体領域111aのパターンを設計する方法の一例について説明する。
図6は、本発明の実施形態2による太陽電池を説明する図であり、そのn型シリコン基板の裏面に形成する分割p型半導体領域の配置に関する具体的な寸法を決定する方法を示している。
図6に示すように、分割p型半導体領域111aにおける隣接するp型矩形領域111a1が、ピッチ(バイパスピッチ)Eでn型シリコン基板101aの側縁に沿って配置されており、p型矩形領域111a1は、これと隣接する帯状p型半導体領域111から帯状n型半導体領域121の幅Fだけ離れて位置している。また、隣接するp型矩形領域111a1の間隔Cは、n型通路領域122cの幅(バイパス幅)となっており、分割p型半導体領域111aの幅(つまり、p型矩形領域111a1の幅D)がn型通路領域122cの長さ(バイパスパターン長)となっている。
ここでは、長方形形状の平面パターンを有するp型矩形領域111a1を、図6に点線で示すように4つの領域に分割する。具体的には、p型矩形領域111a1を、その短辺を斜辺とする2つの直角二等辺三角形の領域と、これら以外の領域を構成する2つの等脚台形形状の領域とに区分する。
そして、p型矩形領域111a1の外側の等脚台形形状の領域の、その対称軸を境にして一方側に位置する領域(以下、台形領域という。)Raの面積をS1とする。また、上記直角二等辺三角形の領域(以下、三角形領域という。)Rbの面積をS2とする。
そして、この領域Raからの電流I1を計算する。
まず、以下の式(1)によりその面積S1を求め、式(2)により電流I1を求める。
S1={(E−C)/2+(E−C−2×A)/2}×(A/2) ・・・(1)
I1=S1×Jsc ・・・(2)
ここで、Jscは電流密度である。
続いて、同様に直角二等辺三角形の領域Rbからの電流I2を計算する。
まず、式(3)によりその面積S2を求め、式(4)により電流I2を求める。
S2=D×A/2 ・・・式(3)
I2=S2×Jsc ・・・式(4)
次に、点P1と点P2との間での電圧降下(ΔV1)を式(5)により計算する。
また点P2と点P3との電圧降下(ΔV2)を式(6)により計算する。
ΔV1=R1×I1
=(ρn×L1−2×B)×I1
=(ρn×E/2×B)×I1 式(5)
ΔV2=R2×(I1+I2)
=(ρn×L2−3×C)×(I1+I2)
=(ρn×(D+B/2+F/2)×C)×(I1+I2) 式(6)
ここで、ρnは表面抵抗率、L1−2は点P1から点P2までの距離、L2−3は点P2から点P3までの距離、Raは点P1から点P2までの電流経路の抵抗値、Rbは点P2から点P3までの電流経路の抵抗値である。
そして、n型半導体領域121上のn型電極の位置(点P3)から最遠端である点P1までの電圧降下をΔV=(ΔV1+ΔV2)により計算し、さらに、図7に示すIV特性のカーブにおける、最大出力時の電流値Ipmから、最大出力時より電圧ΔVだけ電圧降下が起こった場合の電流値Ilossまでの電流低下率に着目して、短絡電流の低下を抑えつつ電圧降下ΔVができるだけ小さくなるように(つまりIV特性カーブと横軸および縦軸とで囲まれる領域の形状が正方形に近づくように)、上記式(5)および(6)におけるパラメータとしての寸法B〜寸法Fを設定することで、最大出力の向上を図る。
具体的には、曲線因子F.F.および最大出力時の電流値Ipmの向上と、短絡電流Iscの向上とが両立するように、複数のp型矩形領域111a1からなる分割p型半導体領域111aのレイアウトパターンを設計する。
ここで、曲線因子F.F.および最大出力時の電流値Ipmを向上させるには、n型半導体領域121上のn型電極の中央(点P3)から最遠端である縦外縁p型半導体領域上の位置(点P1)までの電圧降下ΔVをできるだけ小さくする必要があり、一方、短絡電流Iscを向上させるには、上記台形領域Raの面積S1および上記三角形領域Rbの面積S2をできるだけ大きくする必要がある。
従って、基板裏面の点P3から点P1に至る電流経路での電圧降下ΔVを小さくするには、n型通路領域122cの幅を広くする必要があるが、そうすることで、p型矩形領域111a1が縮小することとなって、上記台形領域Raの面積S1および上記三角形領域Rbの面積S2が小さくなってしまう。
そこで、このようなトレードオフに関係にある曲線因子F.F.および最大出力時の電流値Ipmの向上と、短絡電流Iscの向上との両立の程度を示す期待向上率を用いて、この期待向上率のパラメータとなる上記寸法B、C、Eの設定を行う。
ここで、期待向上率は、太陽電池の最大出力の増加分に相当する指標であり、以下の観点から導出したものである。
つまり、実施形態1の太陽電池100のように、p型電極(集電電極)101があるp型半導体領域111を太陽電池基板101aの両端に配置することで、太陽電池基板101aの両端にn型電極(集電電極)102があるn型半導体領域121を配置したものに比べて、p型半導体領域の面積が増大することとなり、その面積の増加分だけ短絡電流値が向上する。
ところが、この構造の太陽電池100では、縦外縁n型半導体領域(外周部分のn型半導体領域)122aには集電電極がないために、最大出力点Pmax付近へのバイアス時には最外の両p型半導体領域111の外側半分は実質的には集電の効果が小さくなっており、これが最大出力時電流Imaxおよび曲線因子F.F.の低下として表れる。
このため、太陽電池基板の最外のp型半導体領域111では、太陽電池基板の中央付近にあるp型半導体領域(最外のp型半導体領域111以外のp型半導体領域111)と同等の曲線因子F.F.(Ipm/Isc:電圧比一定とする)を維持した発電が期待できない。
そこで、このように最外のp型半導体領域111では発電能力が低下することを考慮して、この実施形態2の太陽電池200では、最も外側に配置したp型半導体領域111aにおける最大出力点付近での収集電流を、IV特性カーブでの比率を用いて求めている。
なお、上記IV特性カーブでの比率は、基板端でのIV特性カーブ(電圧降下による最大出力点付近での収集電流ロス分)と、基板中央付近でのIV特性カーブ(電圧降下による最大出力点付近での収集電流ロス分)との比率である。
そして、この最も外側に配置したp型半導体領域111aから得られる電流および基板中央部分のp型半導体領域111から得られる電流を足し合わせたものを太陽電池の電流値(おもに最大出力点電流)とし、曲線因子F.F.は太陽電池基板内で同等とすることで、太陽電池の最大出力の増加分に相当する指標として期待向上率を求めている。
図8には、上記パラメータとしての寸法B、C、Eを、短絡電流の低下を抑えつつ電圧降下ΔVができるだけ小さくなるように変化させたときの特性期待向上率(期待向上率)の変化を示している。ここでは、外周幅BをB=αとして、他のパラメータCおよびEを外周幅に対する比率で表している。
図8における実線グラフと破線グラフを比較することにより、外周幅Bは狭い方が期待向上率が高いことが分かる。また、この図8の横軸には、バイパスピッチ(p型矩形領域111a1の配列ピッチ)Eを取っており、従って、この図8に示す各グラフからは、バイパスピッチEには、外周幅Bとバイパス幅Cを変えたときのそれぞれのグラフ(測定結果)から、期待向上率が極大となる最適ピッチがあることが分かる。つまり、p型矩形領域111a1の、分割p型半導体領域の延びる方向の寸法は期待向上率から最適値に設定可能である。
さらに、バイパス幅Cについては狭い方が期待向上率が高いことが分かり、言い換えると、n型通路領域122cの幅は、実質的にこの領域122cがバイパス通路として機能する程度の狭いものとすることが望ましいことが分かる。
この図8に示す特性期待向上率に基づいて、外周幅Bおよびn型通路領域122cの幅Cをできるだけ狭くし、さらに、バイパスピッチEを期待向上率が最大となるよう設定することで、曲線因子F.F.の向上および最大効率での駆動点における電流Ipmの増大を図り、さらには短絡電流Iscの向上を図った太陽電池のバランス設計が可能となる。
図4(b)は、このようにして設計した実施形態2の太陽電池200の特性を、従来の太陽電池1および本実施形態1の太陽電池200と対比して示す図であり、この図4(b)に示すように、本実施形態2の太陽電池200では、従来の太陽電池200に対して短絡電流Isc、開放電圧Voc、および最大出力Pmの向上が見られた。なお、図4(b)では、従来の太陽電池1における短絡電流、開放電圧、最大出力、曲線因子の値を1として、本実施形態2の太陽電池200における短絡電流、開放電圧、最大出力、曲線因子の大きさ(比率)を、実施形態1の太陽電池100におけるものとともに示している。
このような構成の本実施形態2による太陽電池200では、実施形態1の太陽電池100の構成に加えて、n型シリコン基板101aの両端に位置する最も外側の集電領域であるp型半導体領域として分割p型半導体領域111aを備え、この分割p型半導体領域111aを、その外側に隣接して位置するn型半導体領域122aとその内側に隣接して位置するn型半導体領域121とを繋ぐn型通路領域122cが形成されるよう、複数のp矩形領域111a1に分割した構造としているので、この分割p型半導体領域111aの外側に位置する、電極を有しない外縁縦n型半導体領域122aで発生した電子を、バイパス通路としてのn型通路領域122cを介して、この分割p型半導体領域111の内側に位置する、電極を有するn型半導体領域121で集電することができる。しかも、分割p型半導体領域111aの配置部分では、複数のp矩形領域111a1とn型通路領域122cとによるPN接合面が形成されることから、n型シリコン基板全面でのPN接合面が増大するここととなり、起電力をより高めることができ、その結果、最大出力の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態2では、分割p型半導体領域111a上には、p型電極101bを、隣接するp型矩形領域111a1の間に位置するn型通路領域(バイパス通路)122cと、酸化シリコン膜(パッシベーション膜)11である絶縁層を介して立体的に交差するよう配置しているので、分割p型半導体領域111a上に配置する集電電極101bはアイランド型にする必要がない。このため、この実施形態2のように、最も外側に配置したp型半導体領域111aを分割した場合でも、この集電電極101bのマスクパターンとしては、実施形態1の太陽電池のように、最も外側に配置したp型半導体領域111を分割していないものと同じマスクパターンを用いることができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、太陽電池、太陽電池パネル及び太陽電池の製造方法の分野において、基板の導電型との関係で集電効率の高い導電型に対応する半導体領域により、基板の周辺部での集電を効率よく行うことができる太陽電池及びその製造方法、並びにこのような太陽電池を太陽電池セルとして用いた太陽電池パネルを実現することができる。
5 凸凹部(テクスチャ構造)
6 受光面拡散層
11 裏面パッシベーション膜
11a 第1裏面パッシベーション膜
11b 第2裏面パッシベーション膜
12 反射防止膜
13 受光面パッシベーション膜
21 テクスチャマスク
22、23 拡散マスク
24a、24b 酸化シリコン膜
100、200 太陽電池
101、101b p型電極
101a n型シリコン基板(第1導電型半導体基板)
102 n型電極
110、220 p型半導体領域
111 帯状p型半導体領域(第2導電型半導体領域)
111a 分割p型半導体領域
111a1 p型矩形領域
112 環状p型半導体領域
112a 縦外縁p型半導体領域
112b 横外縁p型半導体領域
120、220 n型半導体領域
121 帯状n型半導体領域(第1導電型半導体領域)
122 環状n型半導体領域
122a 外縁縦n型半導体領域
122b 外縁横n型半導体領域
122c n型通路領域
300 太陽電池パネル
350 配線基板
350a 絶縁性シート材
351 n型配線
352 p型配線
354a 第1の接続用配線
534b 第2の接続用配線
354c、354d 共通配線
R 実装領域

Claims (13)

  1. 第1導電型半導体基板を備え、該第1導電型半導体基板の第1主面を受光面とした太陽電池であって、
    該第1導電型半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面に所定の間隔で形成され、帯状の平面形状を有する複数の第2導電型半導体領域と、
    該第1導電型半導体基板の第2主面に、隣接する該第2導電型半導体領域の間にこれらの第2導電型半導体領域に接するよう形成され、帯状の平面形状を有する複数の第1導電型半導体領域と、
    該第1導電型半導体基板の第2主面に、最も外側に位置する第2導電型半導体領域に接し、かつその外側に位置するよう形成された第1導電型外縁半導体領域と、
    該第1導電型半導体基板の第2主面に、該第1導電型外縁半導体領域の外側の領域を占めるよう形成された第2導電型外縁半導体領域とを備え、
    該第1導電型外縁半導体領域および該第2導電型外縁半導体領域を除いて、該第1導電型半導体領域及び該第2導電型半導体領域に、それぞれの領域の導電型に対応した集電電極を配置した、太陽電池。
  2. 請求項1に記載の太陽電池において、
    前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域は、
    該第2導電型半導体領域が延びる方向に並ぶ複数の個別領域に分割した構造となっており、
    該隣接する個別領域の間には、前記第1導電型外縁半導体領域と、該最も外側に位置する第2導電型半導体領域の内側に該第2導電型半導体領域に隣接して位置する第1導電型半導体領域とをつなぐ第1導電型電流経路が形成されている、太陽電池。
  3. 請求項2に記載の太陽電池において、
    前記複数の個別領域に分割した構造の第2導電型半導体領域上には、前記対応する集電電極が、前記隣接する個別領域の間に位置する第1導電型電流経路と絶縁層を介して立体的に交差するよう配置されている、太陽電池。
  4. 請求項2または請求項3に記載の太陽電池において、
    前記個別領域の、前記第2導電型外縁半導体領域に対向する第1側辺の中央から、前記第1導電型電流経路を介して、該個別領域の第1側辺とは反対側の第2側辺に隣接する前記第1導電型半導体領域に至る電流経路での電圧降下を、
    前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域と該第2導電型外縁半導体領域との間隔、該第1導電型電流経路の幅および長さ、該個別領域の配列ピッチ、並びに、該最も外側に位置する第2導電型半導体領域とこれに隣接する第2導電型半導体領域との間隔をパラメータとして導出し、
    これらのパラメータの少なくとも1つを、
    出力電流が該電流経路での電圧降下により最大出力時の電流値から所定電流値だけ低下する現象における、該電流経路での電圧降下が小さくなるよう決定している、太陽電池。
  5. 請求項4に記載の太陽電池において、
    前記最も外側に位置する第2導電型半導体領域と前記第2導電型外縁半導体領域との間隔は、これらの領域が前記第1導電型外縁半導体領域により実質的に分離される程度の狭い幅に制限し、
    前記第1導電型電流経路の幅は、この第1導電型電流経路が実質的にバイパス通路として機能する程度の狭い幅に制限し、
    前記個別領域の配列ピッチは、最大出力時の電流値が最大になる値としている、太陽電池。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型外縁半導体領域は、前記複数の第1導電型半導体領域および前記複数の第2導電型半導体領域を囲むよう前記第1導電型半導体基板の周縁に沿って形成されており、
    前記第2導電型外縁半導体領域は、前記第1導電型半導体基板の第2主面上に、該第1導電型外縁半導体領域を囲み、かつ該第1導電型外縁半導体領域の外側の領域を占有するよう形成されている、太陽電池。
  7. 請求項6に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型半導体基板は、略正方形形状を有し、
    前記第1導電型半導体領域および前記第2導電型半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる領域であり、
    前記第1導電型外縁半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる第1導電型縦外縁半導体領域と、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と直交する方向に延びる第1導電型横外縁半導体領域とから構成されており、
    前記第2導電型外縁半導体領域は、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と平行な方向に延びる第2導電型縦外縁半導体領域と、該第1導電型半導体基板の対向する一対の側辺と直交する方向に延びる第2導電型横外縁半導体領域とから構成されている、太陽電池。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型半導体基板は、受光面とする第1主面側に形成された、第1導電型受光面拡散層を有する、太陽電池。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型半導体基板の受光面となる第1主面は、凸凹形状となっている、太陽電池。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型半導体基板の受光面となる第1主面上に形成されたパッシベーション膜と、
    該パッシベーション膜上に形成された反射防止膜とを有する、太陽電池。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池において、
    前記第1導電型半導体基板はn型シリコン基板であり、
    前記第1導電型半導体領域及び前記第1導電型外縁半導体領域はそれぞれn型半導体領域であり、
    前記第2導電型半導体領域及び前記第2導電型外縁半導体領域はそれぞれp型半導体領域である、太陽電池。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の太陽電池を太陽電池セルとして直列あるいは並列に接続してなり、太陽光による発電を行う太陽電池パネル。
  13. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の太陽電池を製造する方法であって、
    前記第1導電型半導体基板の第2主面に前記第1導電型半導体領域および前記第1導電型外縁半導体領域を形成する工程と、
    前記第1導電型半導体基板の第2主面に、前記第2導電型半導体領域および前記第2導電型外縁半導体領域を、前記第1導電型半導体領域および前記第1導電型外縁半導体領域に対して自己整合的に形成する工程と、
    該第1導電型外縁半導体領域及び該第2導電型外縁半導体領域を除いて、該第1導電型半導体領域および該第2導電型半導体領域上に、それぞれの領域の導電型に対応した集電電極を形成する工程とを含む、太陽電池の製造方法。
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