JP2013218944A - 燃料電池 - Google Patents

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将史 村岡
Hirotaka Mizuhata
宏隆 水畑
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睦子 菰田
Shinobu Takenaka
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Abstract

【課題】発電部から液体燃料への伝熱を効果的に抑制することができ、もって発電を安定的に行うことができる気化供給方式の燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード極、電解質膜及びカソード極をこの順で有する単位電池;アノード極側が開放された空間からなり、液状の燃料を流通させるか又は収容するための液体燃料室;液体燃料室とアノード極との間に配置され、気化した燃料を透過可能な気液分離層;気液分離層とアノード極との間に配置され、単位電池からの輻射熱を遮断するための遮熱層;及び、遮熱層とアノード極との間に配置され、空間部を有している断熱層を含む燃料電池である。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、電子機器の新規電源として実用化の期待が高まっており、中でも電解質材料に固体高分子であるイオン交換膜を用いる固体高分子型燃料電池及びダイレクトアルコール型燃料電池は、常温で高い発電効率が得られることから、携帯用電子機器への応用を目的とした小型燃料電池としての実用化が検討されている。
燃料として液体であるアルコール又はアルコール水溶液を使用するダイレクトアルコール型燃料電池は、燃料がガスである場合と比較して、燃料タンクを比較的簡易に設計できる等の理由から、燃料電池の構造の簡略化及び省スペース化が可能であり、小型燃料電池としての期待が特に高い。
ダイレクトアルコール型燃料電池は、アノード極にメタノール等の燃料を供給し、カソード極に酸素等の酸化剤を供給すると、次の酸化還元反応:
アノード極:CH3OH+H2O → CO2↑+6H++6e- (1)
カソード極:3/2O2+6H++6e- → 3H2O (2)
を通じて発電を行う。
ダイレクトアルコール型燃料電池のような、液体燃料を使用する燃料電池には、液体燃料を液体状態のままアノード極に供給する液体供給方式と、燃料タンクから燃料電池内に誘導された液体燃料を燃料電池内で気化させ、その気化成分(以下、「気化燃料」という。)をアノード極に供給する気化供給方式とがある。例えば国際公開第2008/023633号(特許文献1)には、液体燃料を収容する液体燃料収容室とアノード導電層との間に気液分離膜を配置した気化供給方式のダイレクトメタノール型燃料電池が開示されている。気液分離膜を介在させることにより、アノード極へは気化燃料のみが供給される。気化供給方式は、液体供給方式と比べ、高濃度の燃料が使用可能になる点で有利である。
国際公開第2008/023633号
気化供給方式の燃料電池において、液体燃料の揮発量、ひいてはアノード極への気化燃料供給量を安定化し、安定した発電を実現するためには、液体燃料の温度をできるだけ一定に保つことが肝要である。しかしながら一方で、発電部(膜電極複合体)の温度は発電量に応じて刻々と変化しており、この温度変化が液体燃料の温度にも影響を与え、従来の気化供給方式の燃料電池においては液体燃料温度の安定化が困難であった。
例えば発電によって発電部が発熱すると、この熱が燃料電池内に収容された液体燃料に伝わり、液体燃料温度が上昇する。液体燃料温度の上昇は、アノード極への気化燃料供給量の増大を招き、安定的な発電が妨げられていた。気化燃料供給量の増大によりクロスオーバー量が増大し、その結果さらに発電部が発熱し、さらに液体燃料温度が上昇するという悪循環もまた安定的な発電を妨げる要因である。
従って、安定した発電を実現するためには、発電部で発生した熱を液体燃料に伝えないようにすることが肝要である。上記特許文献1に記載の燃料電池では、気液分離膜とアノード導電層との距離を2mm超とし、空気断熱層を設けることで伝熱抑制を図っているが、その抑制効果は必ずしも満足できるものではなかった。
そこで本発明の目的は、発電部から液体燃料への伝熱を効果的に抑制することができ、もって発電を安定的に行うことができる気化供給方式の燃料電池を提供することにある。
本発明は以下のものを含む。
[1] アノード極、電解質膜及びカソード極をこの順で有する単位電池と、
前記アノード極側が開放された空間からなり、液状の燃料を流通させるか又は収容するための液体燃料室と、
前記液体燃料室と前記アノード極との間に配置され、気化した前記燃料を透過可能な気液分離層と、
前記気液分離層と前記アノード極との間に配置され、前記単位電池から発せられる輻射熱を遮断するための遮熱層と、
前記遮熱層と前記アノード極との間に配置され、空間部を有している断熱層と、
を含む燃料電池。
[2] 前記遮熱層は、反射率が80%以上の層である[1]に記載の燃料電池。
[3] 前記遮熱層は、金属アルミニウムを含む[1]又は[2]に記載の燃料電池。
[4] 前記遮熱層は、厚み方向に貫通する第1貫通口を有するものであるか、又は、多孔質体からなるものである[1]〜[3]のいずれかに記載の燃料電池。
[5] 前記断熱層は、前記空間部として、厚み方向に貫通する第2貫通口を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の燃料電池。
[6] 前記断熱層は、その周縁部に設けられ、前記第2貫通口と断熱層外部とを連通する連通経路をさらに有する[5]に記載の燃料電池。
[7] 前記断熱層は、透明樹脂から構成される[1]〜[6]のいずれかに記載の燃料電池。
[8] 前記遮熱層と前記断熱層との間に配置される透明樹脂からなる層をさらに備える[1]〜[7]のいずれかに記載の燃料電池。
[9] 前記燃料は、メタノール又はメタノール水溶液である[1]〜[8]のいずれかに記載の燃料電池。
本発明によれば、発電部(膜電極複合体)から液体燃料への伝熱を効果的に抑制することができ、もってアノード極への気化燃料の安定供給、ひいては発電を安定的に行える気化供給方式の燃料電池を提供することができる。本発明の燃料電池は、携帯電子機器への応用を目的とした小型燃料電池、とりわけ携帯電子機器搭載型の小型燃料電池として好適である。
本発明の燃料電池の一例を示す概略断面図である。 図1に示される燃料電池が有する遮熱層を示す概略上面図である。 図1に示される燃料電池が有する流路板を示す概略上面図である。 図1に示される燃料電池が有する断熱層を示す概略図である。 図1に示されるV−V線における概略断面図である。 遮熱層の他の一例を示す概略上面図である。 断熱層の他の一例を示す概略上面図である。 本発明の燃料電池の他の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の燃料電池を実施の形態を示して詳細に説明する。
図1は本発明の燃料電池の一例を示す概略断面図であり、図2は遮熱層2を示す概略上面図、図3は流路板40を示す概略上面図、図4は断熱層3を示す概略図である。また、図1に示されるV−V線における概略断面図を図5に示している。
これらの図面に示される燃料電池100は、アノード極11、電解質膜10及びカソード極12をこの順で含む膜電極複合体20と、アノード極11上に積層され、これに電気的に接続されたアノード集電層21と、カソード極12上に積層され、これに電気的に接続されたカソード集電層22とを備える単位電池30;アノード集電層21の表面に接して積層された断熱層3;断熱層3の表面に接して積層された遮熱層2;遮熱層2の表面に接して積層された気液分離層1;及び、気液分離層1の下に配置される流路板40とを基本的に備える。流路板40、気液分離層1及び図示しない燃料タンクが、燃料電池100の燃料供給部(アノード極11に燃料を供給するための部位)を構成している。
流路板40はアノード極11の下方に配置された部材であり、その一方の面に形成された凹部(溝)からなる、液状の燃料(液体燃料)を流通させるための流路としての役割を果たす液体燃料室41を有している。液体燃料室41は、アノード極11側が開放された空間からなっており、その開口を覆うように、気化燃料を透過可能な気液分離層1が配置されている。液体燃料室41の端部42には、液体燃料を収容(保持)するための燃料タンク(図示せず)が接続される。
燃料電池100は、カソード集電層22上に積層され、複数の開口51を有する保護カバー50を備える。単位電池30、断熱層3、遮熱層2及び気液分離層1の図1における左側端面、並びに、単位電池30、遮熱層2及び気液分離層1の図1における右側端面には、外気の混入、気化燃料や液体燃料の漏洩等を防止するために、エポキシ系硬化性樹脂組成物の硬化物層等からなる封止層60が設けられている。断熱層3は連通経路3bを有しており、この連通経路3bはガス排出口65と接続されている。
燃料電池100は次のような動作により発電を行う。すなわち、液体燃料室41内に流通してきた液体燃料は液体燃料室41内全体に行き渡り、気液分離層1によって気液分離され、気化燃料のみが遮熱層2側へ透過する。気化燃料は、遮熱層2の第1貫通口2a(図2参照)、断熱層3の第2貫通口3a(図4参照)、アノード集電層21の開口を順に通ってアノード極11に供給される。液体燃料がメタノール又はメタノール水溶液である場合を例に挙げると、アノード極11に供給された気化燃料は、上記式(1)で表される酸化反応を起こし消費される。
一方、酸化剤が空気である場合を例に挙げると、カソード極12においては、保護カバー50の開口51及びカソード集電層22の開口を通って到達した空気中の酸素と、電解質膜10を介してアノード極11からカソード極12に伝達されたプロトンとが、上記式(2)で表される還元反応を起こす。以上の酸化還元反応に基づく電子移動により、外部の電子機器に対して電力が供給される。
発電に伴いアノード極11で発生した二酸化炭素ガスは、アノード集電層21の開口、断熱層3の第2貫通口3a、連通経路3b及びガス排出口65を順に通って燃料電池100の外部に排出される。
次に、燃料電池100を構成する各部材等について詳細に説明する。
〔遮熱層及び断熱層〕
遮熱層2及び断熱層3はともに気液分離層1とアノード極11(より具体的にはアノード集電層21)との間に配置される層であり、これらの層は、気液分離層1/遮熱層2/断熱層3/アノード極11の順に配置される。遮熱層2は、発電及び/又はクロスオーバーに伴い単位電池30(より詳しくは膜電極複合体20)からの輻射熱を遮断するための層であり、断熱層3は、それが有する空間部による断熱効果(より具体的には、第2貫通口3a内に存在する空気や他のガスによる断熱効果)により、単位電池30から液体燃料室41内の液体燃料への伝導による伝熱を抑制するための層である。燃料電池100において遮熱層2は、気液分離層1のアノード極11側表面に直接積層されている。
気化供給方式の燃料電池においては通常、図1に示される燃料電池100のように、アノード極11の直下に液体燃料を含む液体燃料室41が配置されるため、単位電池30からの輻射熱による影響を受けて、液体燃料の温度が上昇しやすかった。遮熱層2と断熱層3を組み合わせた燃料電池100によれば、断熱層3によって伝導による伝熱を抑制できるとともに、遮熱層2によって輻射による伝熱を抑制できるため、単位電池30から液体燃料への伝熱を効果的に抑制することができ、液体燃料の温度上昇を効果的に抑制することができる。これにより、アノード極11への気化燃料供給量が安定化されるので、より安定的な発電を行うことができる。
遮熱層2は、伝熱を生じさせる電磁波(熱線)を反射させることにより液体燃料への伝熱を抑制するものである。従って、遮熱層2と断熱層3を組み合わせた燃料電池100によれば、断熱層3のみを設置した場合と比較して、液体燃料の温度をより低く保つことができる。このことは例えば次の利点をもたらす。すなわち、液体燃料の温度は、燃料電池100が置かれる環境の温度に応じて変動し得るが、環境温度が変化し、これに伴って液体燃料温度が変化したときの、液体燃料気化量の変化をより小さくすることができる。これは、液体燃料温度がより低いところでは、液体燃料温度変化に対する液体燃料の蒸気圧(気化量)の依存性がより小さいためである。
上記のように遮熱層2は、伝導による伝熱を抑制する断熱層3とは異なり、輻射熱の遮断による伝熱を抑制する。従って遮熱層2の設置により、断熱層3の厚み(断熱層3による断熱効果)にかかわらず、伝熱抑制効果を得ることができる。
伝導による伝熱は温度差に比例して変化する。従って、断熱層3による断熱は、発電部から液体燃料への伝導による伝熱を遅延させるという面に有効であるが、断熱層3のみでは、究極的には、熱平衡(発電部と液体燃料との温度差がなくなる方向)へ向かうこととなる。これに対し、輻射による伝熱は温度差に依存しない。従って、遮熱層2を組み合わせることにより、発電部温度の経時的な変化や環境温度の影響を受けることなく、伝熱抑制効果を得ることができ、液体燃料の温度を発電部の温度よりも低く保つことができる。
遮熱層2は、伝熱を生じさせる電磁波(熱線)を反射できるものであれば特に制限されないが、輻射熱の遮断による伝熱を効果的に抑制するために、反射率が80%以上である層であることが好ましく、反射率が83%以上である層であることがより好ましく、85%以上である層であることがさらに好ましい。「反射率」とは、遮熱層2の表面に入射する光の光束に対する該表面で反射する光の光束の比である。
遮熱層2として好適に用いられる例としては、例えば金属アルミニウムや、ステンレス等の合金からなる層を含むものを挙げることができる。これらの層は、その表面(断熱層3側の表面)が研磨等により平滑化されることにより金属光沢を有するものであることが好ましい。遮熱層2は多層構造を有していてもよく、例えば強度向上のための他の層(繊維織布からなる層等)を含んでいてもよい。ただし、断熱層3側の最表面には輻射熱を反射させる層が積層される。
遮熱層2として金属アルミニウムや、ステンレス等の合金からなる層などを用いる場合、遮熱層2には通常、気液分離層1からの気化燃料を断熱層3側に通過させるための、厚み方向に貫通する第1貫通口2aが設けられる(図2参照)。第1貫通口2aの数は特に制限されず、1つのみであってもよいが、通常は2以上である。2以上の第1貫通口2aを有する場合において、これらの貫通口は、アノード極11に対して均一に気化燃料を供給できるよう、遮熱層2の面内にできるだけ均一に配置することが好ましい。第1貫通口2aの形状は特に制限されず、図2に示される方形以外の形状、例えば、図6に示されるような円形であってもよい。第1貫通口2aの開口径(方形の場合は最長辺の長さ、円形の等の場合は最大径)は、0.1〜5mm程度とすることができる。
遮熱層2として好適に用いられる他の例としては、樹脂不織布等の多孔質繊維にアルミニウム等を蒸着させてなる層を挙げることができる。このような多孔質層においても、アルミニウム等を蒸着されることにより高い反射率が付与される。このような多孔質層の市販品としては、旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社製「タイベック(登録商標)シルバー」(反射率85%)等が挙げられる。
上記のような多孔質層を用いる場合には、金属アルミニウム層の場合のように、第1貫通口を加工する必要は必ずしもなく、多孔質層の細孔が気化燃料を断熱層3側に通過させるための経路を提供する。
遮熱層2の厚み(上述のような多層構造の場合は合計厚み)は、例えば10〜1000μm程度とすることができ、燃料電池の薄型化の観点からは、10〜300μm程度とすることが好ましい。なお、遮熱層2は、アノード極11へ供給される気化燃料の量又は濃度を適切量に制御(制限)及び均一化する機能も有し得る。
次に、断熱層3について説明する。断熱層3は、単位電池30から液体燃料室41内の液体燃料への伝導による伝熱を抑制するための、空間部を有する層である。図4(a)は燃料電池100で用いられている断熱層3を示す概略上面図であり、図4(b)は図4(a)に示されるB−B線における概略断面図である。図4(a)に示されるように、断熱層3には、上記空間部としての、厚み方向に貫通する第2貫通口3aが設けられている。断熱層3は、遮熱層2とアノード極11(より具体的にはアノード集電層21)との間に配置される。
また、断熱層3は、気化燃料を均一に発電部に供給するためのバッファーとしての利用が可能である。遮熱層2の第1貫通口2aを通過した気化燃料は、該貫通口から放射状に広がり発電部に到達する。断熱層3が、空間部を備えることにより、そこで気化燃料が面内において拡散するため、発電部面内で均一な発電が可能となる。この機能は、後述するアノード導電性多孔質層も有しており、少なくともどちらか一方、もしくは両方を備えることが好ましい。
第2貫通口3aは、伝導による伝熱をより効果的に抑制する観点から、図4に示されるように、断熱層3の面積に対する開口率をできるだけ大きくすることが好ましい。第2貫通口3aの開口率、すなわち、断熱層3の面積に対する第2貫通口3aの開口面積(2以上の第2貫通口3aを有する場合にはそれらの開口面積の合計)の割合は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。第2貫通口3aの開口率は、通常90%以下である。
断熱層3は、第2貫通口3aと断熱層3外部とを連通する連通経路3bを有することが好ましい。連通経路3bは、断熱層3の周縁部に設けられ、第2貫通口3aから該周縁部の端面まで延びる溝(凹部)又は厚み方向に貫通する貫通穴からなる。連通経路3bは、ガス排出口65に接続される(図1参照)。
連通経路3bを設けると、アノード極11で生成した二酸化炭素ガス等のガスを、発電により生じた熱とともに燃料電池外に排出することができる。このような連通経路3bからの熱排出は、液体燃料室41内の液体燃料の温度を低く、一定に保つうえで有利である。また、アノード極11で生成したガスを燃料電池外へ良好に排出することができるので、ガス排出不良によるアノード極11への燃料供給阻害や、該ガスの液体燃料室41内への侵入を抑制することができる。従って、連通経路3bの設置は、より安定的な発電を可能にする。
図7(a)は断熱層3の他の一例を示す概略上面図であり、図7(b)は図7(a)に示されるC−C線における概略断面図である。図7に示されるように断熱層3は、2以上の第2貫通口3aを有していてもよい。図7に示されるような複数の第2貫通口3aを有する(梁を設けた)断熱層3は、面内方向の剛性が高まるため、衝撃等に対する強度に優れる燃料電池が得られる点などにおいて有利である。
断熱層3が2以上の第2貫通口3aを有する場合、連通経路3bは、1つの第2貫通口3aごとに、第2貫通口3aと同じ数だけ設けてもよいし、第2貫通口3aの数より少ない又は多い数の連通経路3bを設けることもできる。図7の例においては、4つの第2貫通口3aに対して2つの連通経路3bが設けられている。連通経路3bが設けられていない第2貫通口3a(図7(a)における下2つの第2貫通口3a)は、接続経路3cによって、連通経路3bが設けられた第2貫通口3a(図7(a)における上2つの第2貫通口3a)に空間的に接続される。接続経路3cは、連通経路3bと同様、第2貫通口3a間の梁に設けられた溝(凹部)などであることができる(図7(b)参照)。接続経路3cを設けることにより、連通経路3bが設けられていない第2貫通口3a内に入ったガスを、連通経路3bを通して外部に排出することができる。連通経路3bが設けられた第2貫通口3a同士及び/又は連通経路3bが設けられていない第2貫通口3a同士を空間的に接続する接続経路3dを設けることも好ましい(図7(a)参照)。
連通経路3bの断面積(2以上の連通経路3bを有する場合にはこれらの断面積の合計)S1と、断熱層3の側面の合計面積S0との比S1/S0は、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.002以上である。また、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.1未満、さらに好ましくは0.05未満である。当該比が0.3以上になると、気化燃料の漏洩や空気の混入が起こりやすくなり、発電の安定性が低下するおそれがある。
断熱層3は、樹脂材料若しくは金属材料、又は非多孔質性のカーボン材料等からなることができる。中でも、遮熱層2による伝熱抑制効果をさらに高めるため、断熱層3は透明樹脂材料からなることが好ましい。透明樹脂材料を用いることで、断熱層3における電磁波(熱線)の吸収、それに伴う発熱を抑えることができ、遮熱層2における反射効果の向上を図ることができる。
透明樹脂材料としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を挙げることができる。透明性は低いものの、上記以外の樹脂材料も利用することができ、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を挙げることができる。
金属材料としては、例えば、チタン、アルミニウム等のほか、ステンレス、マグネシウム合金等の合金材料を用いることができる。
断熱層3の厚みは、100〜1000μm程度とすることができるが、例えば100〜300μm程度まで小さくしても、遮熱層2を有しているので、全体として十分な伝熱抑制効果を得ることができる。
〔気液分離層〕
気液分離層1は、液体燃料室41とアノード極11との間に配置される、気化燃料透過性かつ液体燃料不透過性の多孔質層である。燃料電池100において気液分離層1は、液体燃料室41を覆うように流路板40のアノード極11側表面上に積層されている。気液分離層1を備えることにより、アノード極11への燃料の気化供給が可能となる。
また気液分離層1は、アノード極11へ供給される気化燃料の量又は濃度を適切量に制御(制限)するとともに、均一化する機能を有し得る。従って、気液分離層1を設けることにより、燃料のクロスオーバー及び膜電極複合体20における温度ムラの抑制が可能であり、このことは安定した発電状態の達成に寄与する。さらに気液分離層1は、その細孔内に存在する空気の移動を制限できることから、対流による液体燃料への伝熱を抑制する機能も有している。このように気液分離層1もまた、液体燃料温度の上昇抑制及び安定化による安定的発電に寄与している。
気液分離層1としては、使用する燃料に関して気液分離能を有するものであれば特に制限されないが、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、その他の熱可塑性樹脂からなる多孔質膜または多孔質シートを挙げることができる。気液分離層1として使用可能なものの例を挙げれば、例えば、日東電工(株)製「テミッシュ(登録商標)」、住友電工ファインポリマー(株)製「ポアフロン(登録商標)」、日本ゴア(株)製「オールePTFEメンブレン」及びベントフィルター製品、ミリポア社製「フロリナートメンブレン」等のポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質膜(フィルム);大成プラス(株)製「MICROVENT」等のポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる多孔質プラスチックである。上記多孔質膜は延伸処理されたものであってもよい。
気液分離層1の厚みは特に制限されないが、十分な気液分離能及び液体燃料遮断性を得るために、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、燃料電池の薄型化の観点からは、気液分離層1の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
〔流路板〕
流路板40は、液体燃料を流通させるか又は収容するための液体燃料室41を有する部材であり、好ましくはアノード極11の下方に配置される。液体燃料室41の端部42に、液体燃料を貯蔵する図示しない燃料タンクが接続され、液体燃料は通常、送液ポンプ等の送液手段を用いて液体燃料室41内に移送される。
燃料電池100において燃料板40は、図3に示されるように、枝分かれした櫛歯状の溝からなる液体燃料室41を備えている。このような形状により、液体燃料が面内に均一に拡散されるので、アノード極11への気化燃料の均一な供給が可能となる。なお、燃料電池100において第1貫通口2aは、燃料電池100を上からみたとき、液体燃料室41を構成する隣り合う2本の櫛歯部分の溝(流路)の間(中間の位置)に形成されている。
液体燃料室41は、図3に示されるような枝分かれ状の流路に限定されず、任意の各種形状の流路(例えば、サーペンタイン状)であることができる。また、液体燃料室41は、液体燃料を収容する1つ(又は複数の)比較的大きな槽(凹部)であることもできる。流路板40は、断熱層3について例示したような樹脂材料又は金属材料からなることができる。
〔電解質膜〕
膜電極複合体20を構成する電解質膜10は、アノード極11からカソード極12へプロトンを伝達する機能と、これら電極間の電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する。電解質膜10の材質は、プロトン伝導性を有し、かつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜又はコンポジット膜を用いることができる。高分子膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子社製)等が挙げられる。また、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼン等の炭化水素系電解質膜を用いることもできる。
無機膜としては、例えば、リン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウム等からなる膜が挙げられる。コンポジット膜としては、タングステン酸、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸等の無機物とポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、パーフルオロスルホン酸等の有機物とのコンポジット膜が挙げられる。
電解質膜10の厚みは、例えば1〜200μmである。また、電解質膜10のEW値(プロトン官能基1モルあたりの乾燥重量)は、800〜1100程度であることが好ましい。EW値が小さいほど、プロトン移動に伴う電解質膜10の抵抗が小さくなり高い出力を得ることができる。
〔アノード極及びカソード極〕
電解質膜10の一方の表面に積層されるアノード極11及び他方の表面に積層されるカソード極12は、触媒と電解質とを含有する多孔質層からなる触媒層を含む。アノード極11用の触媒は燃料からプロトンと電子とを生成する反応を触媒し、電解質は生成したプロトンを電解質膜10へ伝導する機能を有する。カソード極12用の触媒は、電解質を伝導してきたプロトンと酸化剤から水を生成する反応を触媒する。
アノード極11及びカソード極12用の触媒は、カーボンやチタン等の導電体の表面に担持されたものでもよく、中でも、水酸基やカルボキシル基等の親水性の官能基を有するカーボンやチタン等の導電体の表面に担持されていることが好ましい。これにより、アノード極11及びカソード極12の保水性を向上させることができる。また、アノード極11及びカソード極12の電解質は、電解質膜10のEW値よりも小さなEW値を有する材料からなることが好ましく、具体的には、電解質膜10と同質材料であるが、EW値が400〜800である電解質材料が好ましい。このような電解質材料を用いることによっても、アノード極11及びカソード極12の保水性を向上させることができる。アノード極11及びカソード極12の保水性の向上により、プロトン移動に伴う電解質膜10の抵抗やアノード極11及びカソード極12における電位分布を改善することができる。また、EW値の低い電解質は同時に液体燃料の透過性も高いことから、EW値の低い電解質を用いることにより、アノード極11の触媒層に対して、より均一に気化燃料を供給することができる。
アノード極11及びカソード極12はそれぞれ、触媒層上に積層されるアノード導電性多孔質層、カソード導電性多孔質層を備えていてもよい。これらの導電性多孔質層は、アノード極11、カソード極12に供給されるガス(気化燃料又は酸化剤)を面内において拡散させる機能を有するとともに、触媒層と電子の授受を行う機能を有する。アノード導電性多孔質層及びカソード導電性多孔質層としては、比抵抗が小さく、電圧の低下が抑制されることから、カーボン材料;導電性高分子;Au、Pt、Pd等の貴金属;Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cu、Ag、Zn等の遷移金属;これらの金属の窒化物又は炭化物等;並びに、ステンレスに代表されるこれらの金属を含有する合金等からなる多孔質材料を用いることが好ましい。Cu、Ag、Zn等の、酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物又は導電性酸化物等により表面処理(皮膜形成)を行ってもよい。
より具体的には、アノード導電性多孔質層及びカソード導電性多孔質層として、例えば、上記貴金属、遷移金属又は合金からなる発泡金属、金属織物及び金属焼結体;並びにカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン粒子を含有するエポキシ樹脂膜等を好適に用いることができる。
〔アノード集電層及びカソード集電層〕
アノード集電層21、カソード集電層22はそれぞれ、アノード極11上、カソード極12上に積層され、膜電極複合体20とともに単位電池30を構成する。アノード集電層21及びカソード集電層22はそれぞれ、アノード極11、カソード極12における電子を集電する機能と、電気的配線を行う機能とを有する。
集電層の材質は、比抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下が抑制されることから、金属であることが好ましく、中でも、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する金属であることがより好ましい。このような金属としては、Au、Pt、Pd等の貴金属;Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cu、Ag、Zn等の遷移金属;及びこれらの金属の窒化物又は炭化物等;並びに、ステンレスに代表されるこれらの金属を含有する合金等が挙げられる。Cu、Ag、Zn等の、酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pd等の耐腐食性を有する貴金属、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物又は導電性酸化物等により表面処理(皮膜形成)を行ってもよい。なお、アノード導電性多孔質層及びカソード導電性多孔質層が、例えば金属等からなり、導電性が比較的高い場合には、アノード集電層及びカソード集電層は省略されてもよい。
より具体的には、アノード集電層21は、気化燃料をアノード極11へ誘導するための厚み方向に貫通する開口を複数備える、上記金属材料等からなるメッシュ形状又はパンチングメタル形状を有する平板であることができる。この開口は、アノード極11の触媒層で生成するガス(CO2ガス等)を第2介在層3の第2貫通口3aへ誘導するための排出口としても機能する。同様に、カソード集電層22は、酸化剤(例えば、燃料電池外部の空気)をカソード極12の触媒層に供給するための厚み方向に貫通する開口を複数備える、上記金属材料等からなるメッシュ形状又はパンチングメタル形状を有する平板であることができる。
〔保護カバー〕
図1に示される燃料電池100において保護カバー50は、単位電池30が直接露出することを防止している。保護カバー50におけるカソード極12直上部分には、燃料電池外部の空気を取り込み可能とする複数の開口51が形成されている。開口51の数は特に制限されず、1つ以上あればよい。保護カバー50は、断熱層3について例示したような樹脂材料又は金属材料を用い、適宜の形状に成形することによって作製することができる。
本発明の燃料電池は、固体高分子型燃料電池又はダイレクトアルコール型燃料電池等であることができ、特にダイレクトアルコール型燃料電池(とりわけ、ダイレクトメタノール型燃料電池)として好適である。本発明の燃料電池において使用することのできる液体燃料としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;ジメトキシメタン等のアセタール類;ギ酸等のカルボン酸類;ギ酸メチル等のエステル類;及び、これらの水溶液を挙げることができる。液体燃料は1種に限定されず、2種以上の混合物であってもよい。コストの低さや体積あたりのエネルギー密度の高さ、発電効率の高さ等の点から、メタノール又はメタノール水溶液が好ましく用いられる。
(変形例)
本発明の燃料電池は、上記した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば次のような変形例をも含む。本発明の燃料電池は、液体燃料室41の両面に単位電池30が配置された構成であってもよい。この場合、液体燃料室41は、上下2つのアノード極11に対して燃料を供給するために、上下面ともに開放されている必要があることから、流路板40として、上下面が開いた空間を有する部材が用いられる。液体燃料室41の両面に単位電池30が配置された燃料電池によれば、2つの単位電池に対して1つの流路板40で足りることから、燃料電池の薄型化を図ることができるとともに、燃料電池の単位体積当たりの出力を向上させることができる。
また本発明の燃料電池は、同一平面上に配列された単位電池30を2以上含むものであってもよい。この場合において液体燃料室41は、単位電池30ごとに設けられてもよいし、単位電池30より少ない数だけ設けられてもよい。
図8は、本発明の燃料電池の他の一例を示す、図5と同様の概略断面図である。本発明の燃料電池は、図8に示されるように、気液分離層1と遮熱層2との間に第1介在層5を有していてもよい。第1介在層5は、例えば、厚み方向に貫通する第3貫通口5aを有する非多孔性樹脂シートや非多孔性金属板等であることができる。このような第1介在層5を設けることにより、アノード極11へ供給される気化燃料の量又は濃度の制御(制限)及び均一化をより高めることができる。また、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂シートや、非多孔性金属板に接着剤をコーティングしたものを用いることで、気液分離層1と遮熱層2を面接合することができる。面接合により、層と層の間に隙間が生じ燃料の供給が不均一となることを防止することができる。また、第1介在層5を多孔質層とすれば、第3貫通口5aを省くことができ、さらに多孔質内に細孔(空気層)を有することから伝導による伝熱の抑制効果を高めることができる。
本発明の燃料電池は、図8に示されるように、遮熱層2と断熱層3との間に第2介在層4を有していてもよい。第2介在層4は、厚み方向に貫通する第4貫通口4aを有する透明樹脂材料からなる層である。透明樹脂材料は電磁波(熱線)の吸収を抑えることができるため、第2介在層4を設けることにより、遮熱層2の反射機能を保持したまま、遮熱層2を構成する材料の酸化(腐食)劣化を抑えることができる。すなわち、遮熱層2に生じ得る酸化(腐食)劣化は、水蒸気や酸素との接触によって引き起こされるが、第2介在層4で被覆することにより、水蒸気や酸素との接触を防止することができる。
透明樹脂材料としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等を挙げることができ、断熱層3に透明樹脂材料を用いる際には、同じ材料を選択することが好ましい。これは、第2介在層4と断熱層3が各々異なる波長の電磁波を吸収し、発熱することを防ぐためである。
本発明の燃料電池は、電子機器、特には、携帯電話、電子手帳、ノート型パソコンに代表される携帯機器等の小型電子機器用の電源として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下の手順で、図1と類似の構成の燃料電池(ただし、保護カバー50を有しない)を作製した。
(1)膜電極複合体の作製
Pt担持量32.5重量%、Ru担持量16.9重量%の触媒担持カーボン粒子(TEC66E50、田中貴金属社製)と、電解質である20重量%のナフィオン(登録商標)のアルコール溶液(アルドリッチ社製)と、n−プロパノールと、イソプロパノールと、ジルコニアボールとを、所定の割合でフッ素系樹脂製の容器に入れ、攪拌機を用いて500rpmで50分間の混合を行うことにより、アノード極用の触媒ペーストを調製した。また、Pt担持量46.8重量%の触媒担持カーボン粒子(TEC10E50E、田中貴金属社製)を用いること以外はアノード極用の触媒ペーストと同様にして、カソード極用の触媒ペーストを調製した。
次いで、片面に撥水性を有する多孔質層が形成されたカーボンペーパー(GDL25BC、SGL社製)を縦35mm、横40mmに切断した後、その多孔質層上に、上記のアノード極用の触媒ペーストを触媒担持量が約3mg/cm2となるように、縦30mm、横35mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて塗布し、乾燥させることにより、アノード導電性多孔質層であるカーボンペーパー上の中央にアノード触媒層が形成された、厚み約200μmのアノード極11を作製した。また、同じサイズのカーボンペーパーの多孔質層上に、上記のカソード極用の触媒ペーストを触媒担持量が約1mg/cm2となるように、縦30mm、横35mmのウィンドウを有したスクリーン印刷版を用いて塗布し、乾燥させることにより、カソード導電性多孔質層であるカーボンペーパー上の中央にカソード触媒層が形成された、厚み約70μmのカソード極12を作製した。
次に、厚み約175μmのパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜(ナフィオン(登録商標)117、デュポン社製)を縦35mm、横40mmに切断して電解質膜10とし、アノード極11と電解質膜10とカソード極12をこの順で、それぞれの触媒層が電解質膜10に対向するように重ね合わせた後、130℃、2分間の熱圧着を行い、アノード極11及びカソード極12を電解質膜10に接合した。上記重ね合わせは、アノード極11とカソード極12の電解質膜10の面内における位置が一致するように、かつアノード極11と電解質膜10とカソード極12の中心が一致するように行った。ついで、得られた積層体の外周部を切断することにより、縦22mm、横26mmの膜電極複合体20を作製した。
(2)単位電池の作製
縦26.5mm、横27mm、厚み100μmのステンレス板(NSS445M2、日新製鋼社製)を用意し、この中央領域に、開孔径φ0.6mmである複数の開孔(開孔パターン:千鳥60°ピッチ0.8mm)を、フォトレジストマスクを用いたウェットエッチングにて両面から加工することにより、厚み方向に貫通する貫通孔を複数備えるステンレス板を2枚作製し、これらをアノード集電層21及びカソード集電層22とした。
次に、上記アノード集電層21をアノード極11上に、カーボン粒子とエポキシ樹脂とからなる導電性接着剤層を介して積層するとともに、カソード集電層22をカソード極12上に、カーボン粒子とエポキシ樹脂とからなる導電性接着剤層を介して積層し、これらを熱圧着により接合して、縦22mm、横26mm(膜電極複合体20のサイズを指している)の単位電池30を作製した。なお、アノード集電層21及びカソード集電層22は、それらの開孔が形成された領域がそれぞれアノード極11、カソード極12の直上に配置されるように積層した。
(3)気液分離層、遮熱層及び断熱層の接合
気液分離層1として、縦25mm、横27mm、厚み0.2mmのポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム(日東電工(株)製の「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕S−NTF2122A−S06」)を用意した。また、遮熱層2として、厚み0.17mmの有限会社 インターナショナル プライオリティ プロジェクツ 製「タープホイル」を縦25mm、横27mmのサイズに切り出したものを用意した。この遮熱層2は、2つの金属アルミニウム層の間にポリエチレン繊維織布層を配置した多層構造体であり、反射率は97%である。図6に示されるように、ピナクル型を用いた打ち抜きにより形成した複数の第1貫通口2aを有する。気液分離層1上に遮熱層2を積層し、すべての側面の層境界部を接着剤で接合した。
次に、図4に示される形状を有する縦26.5mm、横27.0mm、厚み0.2mmの断熱層3を用意した。ただし、連通経路3bは溝(凹部)ではなく、厚み方向に貫通する貫通穴とした。断熱層3は、日東電工(株)製の両面接着テープ「HJ−3160W」(支持体:ポリエステルフィルム、厚み:0.1mm)からピナクル型を用いた打ち抜きにより作製し、2層積層することにより厚み0.2mmの層とした。第2貫通口3aの開口率は、77%であり、連通経路3bの断面積と断熱層側面の合計面積との比は、0.005である。遮熱層2上に断熱層3を、溝形成面とは反対側の面で接着し、断熱層3/遮熱層2/気液分離層1の積層体を得た。
(4)燃料電池の作製
図3に示される形状を有する縦26.5mm、横27mm、厚み0.6mmのポリフェニレンサルファイド製の燃料板40を用意した。液体燃料室41を構成する5本の枝分かれ流路の幅は1mm、深さ0.4mmである。燃料板40の溝形成面上に、気液分離層1を熱圧着により接合して、断熱層3/遮熱層2/気液分離層1/流路板40の積層体を得た。次に、断熱層3上に単位電池30を接着した後、単位電池30等の端面に、図1に示されるように、エポキシ樹脂の硬化物からなる封止層60を形成して、燃料電池を得た。
<比較例1>
遮熱層2を有しないこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
(発電時の電池内温度の測定及び発電安定性の評価)
環境温度25℃(室温)、及び、40℃において、送液ポンプを用いて液体燃料室41に100%メタノールを供給し、電流密度80〜120mA/cm2の条件で発電を行った。燃料電池のカソード極12側及び流路板40の液体燃料室41に温度センサを設置し、温度変化を計測した。
実施例1の燃料電池においては、環境温度が25℃の場合、発電を1時間行ったときのカソード極側温度、液体燃料室41内(液体燃料)の温度変動はそれぞれ、37±3℃、33±3℃であった。また、液体燃料室41内を確認したところ、温度上昇による気泡も確認されず、安定した発電を維持することができた。
環境温度が40℃の場合、発電を1時間行ったときのカソード極側温度、液体燃料室41内(液体燃料)の温度変動はそれぞれ、45±5℃、40±5℃であった。また、液体燃料室41内を確認したところ、温度上昇による気泡も確認されず、安定した発電を維持することができた。
一方、比較例1の燃料電池においては、環境温度が25℃の場合、発電を1時間行ったときのカソード極側温度、液体燃料室41内(液体燃料)の温度変動はそれぞれ、40±5℃、36±5℃であり、到達温度及び温度変動幅ともに実施例1より大きい結果となった。これは、液体燃料室41の温度上昇に伴い、メタノールのクロスオーバーが増大し、実施例1と比較してカソード極12側の温度が上昇していると考えられる。環境温度が40℃の場合、発電30分後に、カソード極側温度が60℃を超え、熱暴走の状態となった。発電30分後における液体燃料室41内の温度は55℃を超えており、液体燃料室41内で揮発したメタノールの気泡により液体燃料が押し戻される現象が時折見受けられた。
1 気液分離層、2 遮熱層、2a 第1貫通口、3 断熱層、3a 第2貫通口、3b 連通経路、3c,3d 接続経路、4 第2介在層、4a 第4貫通口、5 第1介在層、5a 第3貫通口、10 電解質膜、11 アノード極、12 カソード極、20 膜電極複合体、21 アノード集電層、22 カソード集電層、30 単位電池、40 流路板、41 液体燃料室、42 液体燃料室の端部、50 保護カバー、51 開口、60 封止層、65 ガス排出口、100 燃料電池。

Claims (9)

  1. アノード極、電解質膜及びカソード極をこの順で有する単位電池と、
    前記アノード極側が開放された空間からなり、液状の燃料を流通させるか又は収容するための液体燃料室と、
    前記液体燃料室と前記アノード極との間に配置され、気化した前記燃料を透過可能な気液分離層と、
    前記気液分離層と前記アノード極との間に配置され、前記単位電池からの輻射熱を遮断するための遮熱層と、
    前記遮熱層と前記アノード極との間に配置され、空間部を有している断熱層と、
    を含む燃料電池。
  2. 前記遮熱層は、反射率が80%以上の層である請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記遮熱層は、金属アルミニウムを含む請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 前記遮熱層は、厚み方向に貫通する第1貫通口を有するものであるか、又は、多孔質体からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 前記断熱層は、前記空間部として、厚み方向に貫通する第2貫通口を有する請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
  6. 前記断熱層は、その周縁部に設けられ、前記第2貫通口と断熱層外部とを連通する連通経路をさらに有する請求項5に記載の燃料電池。
  7. 前記断熱層は、透明樹脂から構成される請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池。
  8. 前記遮熱層と前記断熱層との間に配置される透明樹脂からなる層をさらに備える請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池。
  9. 前記燃料は、メタノール又はメタノール水溶液である請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114965655A (zh) * 2022-06-27 2022-08-30 北京理工大学 一种基于气体信号的锂离子电池热失控故障诊断系统
WO2023191464A1 (ko) * 2022-03-31 2023-10-05 주식회사 에이엠엑스랩 박막형 고체산화물 연료전지 패키지

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