JP2013217980A - 現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】圧力相転移樹脂トナーを用いる構成で、規制部材による規制によって圧力相転移樹脂トナーが流動化することを抑制することができる現像装置、並びに、この現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像剤担持体である現像ローラ42と、現像剤であるトナーTを内部に収容する現像剤収容部であるトナー収容部43と、トナー収容部43内のトナーTを現像ローラ42の表面に供給する現像剤供給部材である供給ローラ44と、現像領域αに向かうトナーTの量を規制する規制部材であるドクタブレード45とを有する現像装置4で、トナーTが、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーであり、現像ローラ42は、その表面に凹部42b及び凸部42aからなる凹凸形状を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、トナーを用いた電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。
トナーを用いる画像形成装置では、潜像担持体と現像装置とを備え、潜像担持体上に形成された静電潜像に現像装置がトナーを供給することで現像してトナー像を形成し、このトナー像を最終的に記録媒体に転写した後に定着を行う。画像形成装置が備える現像装置では、現像剤収容部内のトナーを含む現像剤を現像ローラ等の表面移動する現像剤担持体の表面に供給し、現像剤担持体の表面移動によって現像剤を潜像担持体と現像剤担持体とが対向する現像領域に搬送し、潜像担持体上の静電潜像に対する現像を行う。また、現像装置としては、現像領域に所望量の現像剤を搬送するために、ドクタブレード等の規制部材を備え、現像剤担持体に対して近接または接触する規制部材によって現像剤を薄層化して、規制位置を通過し現像領域に向かう現像剤の量を規制するものが知られている。
また、トナーを用いる画像形成装置としては、被定着媒体である記録媒体上のトナーを120[℃]〜160[℃]で加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、消費電力を抑えて省エネルギー化を図れる画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着装置を備えた画像形成装置が望まれている。
特許文献1〜4等には、トナーとして圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置が提案されている。圧力相転移樹脂は圧力によって流動化する樹脂であり、このような樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーは加圧によって軟化等させることができる。このため、圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置の定着装置では、加圧のみによって、または、熱定着方式に比べて極端に温度を低下させた加熱と加圧とによって定着することができ、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
ところが、トナーを用いる画像形成装置では、上記規制部材が現像剤担持体に対して近接または接触する規制位置で、現像剤担持体上の現像剤に対して圧力が加わる。このとき、現像剤として上述した圧力相転移樹脂トナーを含むものを使用する場合、規制位置における圧力によって圧力相転移樹脂トナーが流動化するおそれがある。規制位置で圧力相転移樹脂トナーが流動化すると、現像剤担持体の表面上で固着(フィルミング)して、現像性の低下が発生する。また、流動化した圧力相転移樹脂トナーが規制部材に付着して固着すると、規制条件が変化し、規制位置で形成される現像剤の薄層が形成不良となるため、画像にノイズが生じることがある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成で、規制部材による規制によって圧力相転移樹脂トナーが流動化することを抑制することができる現像装置、並びに、この現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に該現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、内部に該現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部内の該現像剤を該現像剤担持体の表面に供給する現像剤供給部材と、該現像領域に向かう該現像剤の量を規制する規制部材とを有する現像装置において、上記現像剤は、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを含み、上記現像剤担持体は、その表面に凹凸形状を備えることを特徴とするものである。
本発明においては、現像剤担持体の凹部に現像剤を収容し、規制部材によって凸部に存在する現像剤をすり切ることで、現像剤担持体表面上の現像剤は凹部内に収容された現像剤のみとなるため、凹部の容量を所望量の現像剤を担持する容量に設定することにより、所望量の現像剤を現像領域に搬送することができる。このように、凸部に存在する現像剤をすり切ることで現像剤の量を規制しているため、規制位置で現像剤に圧力をかけることなく所望量の現像剤に規制することができ、現像剤に含まれる圧力相転移樹脂トナーが加圧されることを抑制できる。
本発明によれば、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成で、現像剤に含まれる圧力相転移樹脂トナーが規制部材によって加圧されることを抑制できるため、規制部材による規制によって圧力相転移樹脂トナーが流動化することを抑制することができるという優れた効果がある。
本発明を適用した現像装置の概略構成図。 実施形態1に係る複写機の概略構成図。 実施形態1の現像装置の一つ目の斜視説明図。 実施形態1の現像装置の二つ目の斜視説明図。 実施形態1の現像装置の断面説明図。 実施形態1の現像装置の一部を断面図で示す斜視図。 下ケースの図示を省略した現像装置の一方の端部近傍の拡大斜視図。 図7の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 下ケースの図示を省略した現像装置の他方の端部近傍の拡大斜視図。 図9の状態から現像ローラの図示を省略した現像装置の拡大斜視図。 現像ローラの斜視説明図。 現像ローラの側面図。 現像ローラの表面形状の説明図、(a)は、現像ローラ全体の概略図、(b)は、現像ローラの表面の一部の拡大図、(c)は、(b)中のL11またはL13で示す表面層の断面図、(d)は、(b)中のL12またはL14で示す表面層の断面図。 供給ローラの斜視説明図。 供給ローラの側面図。 ドクタブレードの斜視説明図。 ドクタブレードの側面図。 ドクタブレードが腹当て状態の現像装置のドクタ部の拡大説明図。 ドクタブレードが先端当て状態の現像装置のドクタ部の拡大説明図。 パドルの斜視説明図。 パドルの側面図。 現像ローラに対するドクタブレードの接触状態の説明図、(a)は、ブレードを現像ローラの接線方向に接触させた状態の説明図、(b)は、(a)の状態からブレードフォルダを法線方向に移動させた状態の説明図、(c)は、(b)の状態からブレードフォルダを接線方向に移動させた状態の説明図。 実験1の実験結果を示すグラフ。 エッジ当ての状態の拡大説明図。 実験2の実験結果を示すグラフ。 実験3の材料に違いによるドクタブレードの削れ量を比較するグラフ。 実施形態2のプリンタの要部の概略断面図。 同プリンタが備える四つのプロセスカートリッジのうちの一つの拡大断面図。 同プロセスカートリッジの軸方向端部近傍の拡大断面図。 同プロセスカートリッジが備える現像装置の軸線方向に沿った断面図。 実施形態3のプリンタの要部の概略断面図。 同プリンタが備える四組の現像装置及び感光体のうちの一組の説明図。 同現像装置の上方にトナータンクを設ける構成の説明図。
〔実施形態1〕
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一つ目の実施形態(以下、実施形態1という)について説明する。
図2は、実施形態1の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)から構成される。
プリンタ部100は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、複数の張架ローラに張架されて図2中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。
四つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、K,Y,M,Cという添字を省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。実施形態1のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光光を照射し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順次重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図2において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙され、図2中の矢印S方向に搬送される転写材である転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。詳細は後述するが、本実施形態の複写機500で用いるトナーは、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーであり、加圧することによって流動化するため、定着装置12では転写紙Pに対して加圧のみが行われる。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図2に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。
各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
次に、図1及び図3〜図10等を参照して、複写機500が備える現像装置4について説明する。
図1は、実施形態1の現像装置4の概略構成を示す模式図であり、図2中の紙面奥側から見た断面図である。図3及び図4は、現像装置4の斜視説明図であり、それぞれ異なる方向の斜め上方から現像装置4を見た斜視説明図である。
現像装置4の外形を形成する現像ケーシング41は、上ケース411、中ケース412及び下ケース413が組み合わさることで形成される。中ケース412はトナー収容部43を形成し、上ケース411にはトナー収容部43と外部とを連通する現像剤補給部であるトナー補給口55が形成されている。また、上ケース411には、現像ローラ42と上ケース411との隙間をシールする入口シール47が設けられている。
図5は、図1と同じ方向から見た現像装置4の断面説明図であり、図6は、現像装置4の一部を拡大した斜視図であり、その一部をZ−X断面図で示す説明図である。
中ケース412内には、現像ローラ42、供給ローラ44、ドクタブレード45、パドル46、供給スクリュ48及びトナー残量センサ49等が設けられている。
現像装置4には、内部と外部とを連通する開口部56が長手方向(図中Y軸方向)に沿って延在するように設けられている。開口部56内にはトナーを内部から外部(感光体2と対向する現像領域α)まで担持搬送する円筒状の現像ローラ42が設けられている。
図7は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の一方の端部(図2中の奥側端部)近傍の拡大斜視図であり、図8は、図7の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
図9は、下ケース413の図示を省略した現像装置4の他方の端部(図2中の手前側端部)近傍の拡大斜視図であり、図10は、図9の状態から現像ローラ42の図示を省略した現像装置4の拡大斜視図である。
現像装置4では、供給ローラ44が図1中の矢印C方向(図1中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、トナー収容部43内のトナーTを現像ローラ42に対向する領域である供給ニップβに搬送し、現像ローラ42の表面にトナーを供給する。現像ローラ42は、供給されたトナーを表面上に担持して、図1中の矢印B方向(図1中の時計回り方向)に回転して表面移動することにより、現像ローラ42上のトナーを所定量に規制するドクタブレード45との対向部までトナーを搬送する。ドクタブレード45は現像ローラ42との対向部で、現像ローラ42の表面移動方向に対してカウンター方向(ドクタブレード45の先端がドクタブレード45の基部よりも現像ローラ42の回転方向上流側になるように)に当接し、ドクタブレード45との対向部で所定量に規制されたトナーは、現像ローラ42の回転によって感光体2との対向部である現像領域αに到達する。
また、供給ニップβでは、供給ローラ44の表面は下方から上方に向かって移動し、現像ローラ42の表面は上方から下方に向かって移動する。本実施形態の現像装置4の供給ニップβでは、供給ローラ44と現像ローラ42とは接触している。
現像領域αでは、現像バイアス電源142から現像ローラ42に印加された現像バイアスと感光体2表面上の潜像との電位差によって形成される現像電界に応じて、現像ローラ42の表面上のトナーTが感光体2の表面に移動し、感光体2の表面上の静電潜像部分にトナーが付着し、現像が行われる。感光体2は、現像ローラ42に対して非接触で、図1中の矢印D方向に回転する。このため、現像領域αにおいて、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とは同方向となる。
また、現像バイアス電源142は、現像領域αに搬送されたトナーによる潜像の現像のために、現像ローラ42から感光体2へトナーを向かわせるための第一電圧と、感光体2から現像ローラ42へトナーを向かわせるための第二電圧とを備えた交番電圧を現像ローラ42に印加する電圧印加部である。
詳細は後述するが、現像ローラ42の表面には凸部42aの高さや凹部42bの深さが実質的に一定の規則的な凹凸形状を外周面の全周に渡って有している。
現像領域αで現像に寄与せず、現像領域αを通過した現像ローラ42の表面上のトナーTは、供給ニップβにおける現像ローラ42の回転方向上流側の部分で供給ローラ44によって回収され、現像ローラ42表面のリセットがなされる。つまり、供給ローラ44は、回収部材としての役割も有している。
現像ローラ42の表面上に規則的に形成された凹部42bに担持されたトナーTは回収され難い。そして、現像領域αを通過したトナーTが供給ニップβを通過し、現像ローラ42に担持されたままとなると、トナーTが現像ローラ42に固着してトナーフィルミングが発生する。トナーフィルミングが発生すると、現像ローラ42上のトナーTの単位重量当たりの帯電量や現像ローラ42の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、現像時の濃度ムラの発生の原因となる。
実施形態1の現像装置4では、現像ローラ42と供給ローラ44とが対向する供給ニップβでは、現像ローラ42の表面移動方向と供給ローラ44の表面移動方向とが逆方向となっている。これにより、供給ニップβにおける現像ローラ42の表面と供給ローラ44の表面との線速差が大きくなり、供給ニップβでの供給ローラ44による回収性能の向上を図ることが出来る。よって、トナーが現像ローラ42に担持されたままとなることを抑制し、現像ローラ42の表面にトナーが固着することを抑制でき、現像ローラ42(現像剤担持体)の表面にトナーT(現像剤)が固着することに起因する現像時の濃度ムラの発生を抑制することが出来る。
また、実施形態1の現像装置4では、現像ローラ42と供給ローラ44との線速比は、「現像ローラ42の表面移動速度」:「供給ローラ44の表面移動速度」=1:0.85となっているが、線速比としてはこの値に限るものではない。
また、図1に示すように、現像装置4では供給ローラ44をトナー収容部43の上部に配置し、供給ローラ44の少なくとも一部がパドル46の回転を停止した状態のトナー収容部43内のトナーTの剤面よりも上方となるようになっている。そして、供給ニップβに対して供給ローラ44の表面移動方向下流側の領域(以下、供給ニップ下流側領域と呼ぶ。)がトナーTの剤面よりも上方となっている。特許文献5の図4に記載の構成のように、供給ニップ下流側領域にトナーが充填されていると、供給ニップ下流側領域に充填された状態のトナーが新たなトナーが供給ニップ下流側領域に入ってくることを阻害し、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収効率を低下させるおそれがある。一方、実施形態1の現像装置4は図1に示すように、供給ニップ下流側領域がトナーTの剤面よりも上方となっているため、供給ニップ下流側領域にはトナーが充填されておらず、供給ニップ下流側領域に存在するトナーによって、供給ニップβにおける現像ローラ42からのトナーの回収を阻害されることがなく、効率的にトナーの回収を行うことができ、トナーのリセット性を向上できる。
次に、図11〜図13等を参照して、現像ローラ42について説明する。
図11は、現像ローラ42の斜視説明図であり、図12は、現像ローラ42の側面図である。また、図13は、現像ローラ42の表面形状の説明図であり、図13(a)は、現像ローラ42全体の概略図であり、図13(b)は、図13(a)に示した現像ローラ42の表面の一部の拡大図である。図13(c)は、図13(b)中のL11またはL13で示す断面での現像ローラ42の表面層42f(図24参照)の断面図であり、図13(d)は、図13(b)中のL12またはL14で示す断面での現像ローラ42の表面層42fの断面図である。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421に表面にトナーを担持する現像ローラ円筒部420を設けた構成であり、現像ローラ円筒部420に対して軸方向外側である軸方向両端部近傍の現像ローラ軸421には、スペーサー422が設けられている。
現像ローラ42は、現像ローラ軸421を中心に回転可能に設けられており、現像ローラ軸421の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。現像ローラ42の現像ローラ軸421の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。現像ローラ42の表面の一部は開口部56から現像装置4の外部に露出し、この露出した表面が下方から上方に表面移動してトナーを搬送するように、現像ローラ42は図1中の矢印B方向に回転する。
また、現像ローラ42は、軸方向両端部近傍に設けられたスペーサー422が感光体2の表面に接触することにより、現像領域αにおける現像ローラ円筒部420の表面と感光体2の表面との距離(現像ギャップ)を一定に保っている。
現像ローラ42は、図24に示すように、基材42gとこの基材42gの外周面に形成された表面層42fとからなる。基材42gは、5056アルミニウム合金や6063アルミニウム合金等のアルミニウム系やSTKM等の鉄系等の金属材料スリーブからなる。
現像ローラ42は、基材42gである金属材料スリーブの表面に凹凸加工を施し、凹凸加工を施した金属材料スリーブに対して、ニッケル鍍金を施することで表面層42fを形成している。ニッケル鍍金を施することで形成した表面層42fによって、錆の発生等の現像ローラ42の腐食の防止を図ることができ、また、トナーの帯電性補助を行うことができる。
現像ローラ42の現像ローラ円筒部420は、図13(a)に示すように、その表面の構造の相違に基づき、主として、二つの部分(溝形成部420a、非溝形成部420b)に分けられる。
溝形成部420aは、現像ローラ42の軸方向において中央部を含む部分であり、トナーを適切に担持させるために凹凸加工がその表面に施されている。溝形成部420aにおける軸方向の任意の位置においては、凹凸加工によって凹凸パターンが外周面の全周にわたって形成されている。実施形態1においては、凹凸加工として所謂転造加工が用いられ、凸部42aは互いに巻き方向の異なる螺旋状の所定数の第一溝L1および第二溝L2に囲まれて形成されている。巻き方向の異なる螺旋状の溝を形成することで、現像ローラ42の表面には網目状の凹凸が形成される。転造加工としては、従来公知の加工方法を採用することができる。また、第一溝L1および第二溝L2は、それぞれ現像ローラ42の軸方向に対して所定角度(実施形態1では、L1およびL2ともに45[°]であるが、これに限定されるものではない)で逆方向に傾斜している。
第一溝L1および第二溝L2は、いずれもそれらの傾斜方向に所定の周期幅で周期的に形成されることで、凸部42aが軸方向のピッチ幅W1で形成される。また、第一溝L1および第二溝L2の各傾斜角および周期幅は、いずれも互いに異ならせることもできる。また、凸部42aの頂面42tの軸方向長さW2はピッチ幅W1の1/2以上の大きさとなるように形成する。
実施形態1の現像ローラ42では、凸部42aの軸方向のピッチ幅W1は80[μm]であり、凸部42aの頂面42tの軸方向長さW2は40[μm]である。さらに、凹部42bから凸部42aの頂面42tまでの高さである凹部深さW3は10[μm]である。ピッチ幅W1、頂面42tの軸方向長さW2及び凹部深さW3の値は一例であり、この値に限られるものではない。
現像ローラ42としては、その表面層42fがトナーを正規帯電させる材料であることことが望ましい。フィルミングによって低帯電トナーが生まれた場合においても、ジャンピングしたトナーTによってたたき出された低帯電トナーが、凸部42aや凹部42bのフィルミングがおきていない部分で帯電できるため、低帯電トナーを減少させることができ、画像濃度が安定化する。実施形態1の現像ローラ42では、ニッケル鍍金を施すことにより、その表面層42fがトナーを正規帯電させる材料となっている。
また、現像ローラ42としては、その表層材料がドクタブレード45(ブレード部材450)よりも硬い材質であることが望ましい。これにより、現像ローラ42の表面の凸部42aがドクタブレード45によって削れ難くなるため、凸部42aとドクタブレード45で囲まれる凹部42bの体積が変わりにくくなり、M/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
また、現像ローラ42の凸部42aの高さ(凹部深さW3)としては、使用するトナーTの重量平均粒径よりも大きいことが望ましい。平均的な大きさのトナーTが凹部42b内に収まるため、粒径の選択が起こりにくくなり、経時でのM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)が安定する。
次に、図14及び図15等を参照して供給ローラ44について説明する。
図14は、供給ローラ44の斜視説明図であり、図15は、供給ローラ44の側面図である。現像装置4の内部のトナー収容部43の上方の現像ローラ42側には、円筒状の供給ローラ44が設けられている。供給ローラ44は、その軸部である供給ローラ軸441を中心に円筒状の発泡材が巻きついた構成であり、この円筒状の発泡材が表面にトナーを担持する供給ローラ円筒部440となる。
供給ローラ44は、供給ローラ軸441を中心に回転可能に構成され、当該軸は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。供給ローラ44は、供給ローラ円筒部440の外周面の一部は、現像ローラ42の現像ローラ円筒部420の外周面と供給ニップβで接触するように配置されており、図1及び図5に示すように、供給ローラ軸441は、現像ローラ軸421よりも上方に配置されている。
また、上述したように、供給ローラ44は現像ローラ42と対向する箇所である供給ニップβで現像ローラ42の表面移動方向に対して逆方向に表面が移動するように回転する。さらに、現像装置4は、図1に示すように、供給ニップβの位置が、現像ローラ42に対するドクタブレード45の当接位置に対して、上方に位置する配置となっている。
供給ローラ44は、供給ローラ円筒部440に発泡材料を用いており、現像ローラ42に接触する表面層は表面に多数の微小孔が分散しているスポンジ層となっている。供給ローラ44の表面層をスポンジ状にすることで、凹部42bの底まで供給ローラ44が届きやすくなるため、現像ローラ42上トナーのリセット性が向上する。
また、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量(「現像ローラ42の半径」+「供給ローラ44の半径」−「現像ローラ42と供給ローラ44との軸間距離」)は、現像ローラ42の凸部42aの高さよりも大きくなるように設定している。凸部42aの高さよりも供給ローラ44の食い込み量を大きくすることで、凹部42bにおけるトナーのリセット性を向上できる。なお、供給ローラ44の現像ローラ42に対する食い込み量が凸部42aの高さに対して大きすぎると、トナーが凹部42bに押し込まれてしまい、凝集の原因となるため、食い込み量が大きくなりすぎないように設定する必要がある。
供給ローラ44の供給ローラ円筒部440に用いる発泡材料は、10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定されている。
供給ローラ44には、供給バイアス電源144によって供給バイアスが印加され、供給ニップβで予備帯電されたトナーを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図1及び図5中の時計回りの方向に回転し、表面に付着させた現像剤を現像ローラ42の表面に塗布供給する。
また、供給バイアス電源144が供給ローラ44に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、トナーの正規帯電極性(実施形態1のトナーTではマイナス極性)に対して逆極性(プラス極性)の直流電圧を印加する。このとき、現像ローラ42に印加する電圧よりも供給ローラ44に印加する電圧の方がトナーの正規帯電極性に対して逆極性(プラス極性)となる。これにより、現像ローラ42に対して供給ローラ44側にトナーTを引き付ける方向の電界を供給ニップβに形成し、現像ローラ42上トナーのリセット性を向上することができる。なお、供給バイアス電源144を備える構成では、直流電源を別途必要となり、コスト高となるため、現像装置4の仕様に応じて、供給バイアス電源144を設けない構成としても良い。
次に、図5、図16及び図17等を参照して、ドクタブレード45について説明する。
図16は、ドクタブレード45の斜視説明図であり、図17は、ドクタブレード45の側面図である。
図5〜図10に示すように、現像ローラ42の下方で下ケース413の内側となる中ケース412には、ドクタブレード45が設けられている。
ドクタブレード45は、規制部材を構成する薄い板状の金属部材であるブレード部材450と、ブレード部材450の一端が固定されている金属製の台座部452(図1中のブレードフォルダ45c)とを有する。そして、ブレード部材450の他端側が現像ローラ42に接触するように構成されている。
ここで、図18及び図19等を参照して、ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態について説明する。
図18は、ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態が、ドクタブレード45の先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態である場合のドクタ部の拡大説明図である。また、図19は、ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態が、ドクタブレード45の先端が接触するエッジ当て状態である場合のドクタ部の拡大説明図である。ドクタブレード45の現像ローラ42に対する接触状態は、図19に示すように、先端が接触する先端当て(エッジ当て)状態、及び、図18に示すように、先端よりも根元側の面部が接触する腹当て状態の何れでもよい。
しかし、図19に示す先端当て状態の方が、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることができ、凹部42bに存在するトナーTのみを現像領域αに搬送することで、現像領域αに搬送するトナー量が安定するため、好ましい。また、凸部42aの頂面42tに存在するトナーTをすり切ることで、トナーへの圧力をかけることなくトナー薄層を形成することが可能となり、トナーの耐久性の向上を図ることができる。
ここで、エッジ当てとは、ドクタブレード45の対向面45bと先端面45aとの間の稜線を形成するエッジ部45eが現像ローラ42の表面(凸部42aの表面である頂面42t)に接触する状態である。ここで、エッジ部45eは、ドクタブレード45の対向面45bと、先端面45aとをそれぞれ延長させた二つの仮想平面が交差する仮想直線近傍を示す。そして、仮想直線近傍となる稜線を形成するエッジ部45eとしては、稜線が丸みを帯びていても良いし、面取りされていても良い。具体的には平板状のドクタブレード45の自由端側の先端の現像ローラ42側の角部(エッジ部45e、丸みがあっても良いし、面取りされていても良い。)が現像ローラ42の凸部42aに接触するようになっていれば良い。
また、エッジ当て方向としては、図1及び図19等に示すように、ドクタブレード45が固定されている部分は、ドクタブレード45が現像ローラ42に接触している部分よりも現像ローラ42の回転方向下流側に位置している。つまり、自由端の先端が現像ローラ42の回転に対して突き当たるように構成されている。
図19及び図24に示すように、ドクタブレード45のエッジ部45eが現像ローラ42の頂面42tに当たる場合は、頂面42tに付着したトナーTはドクタブレード45の先端面45aで掻き取られる。これにより、トナーTがドクタブレード45によりすり切られるように薄層化するため、現像ローラ42の規則的な凹凸形状の凹部42bに埋まったトナーTのみが搬送されることとなる。このため、現像ローラ42表面のトナー量を凹部42bの体積に応じた所望量とすることができ、現像ローラ42によるトナーの搬送量を安定させることができる。また、金属板バネ材料からなる金属ブレードであれば、ある程度の剛性を有しているため、ゴムのような樹脂のものよりもその弾性によって現像ローラ42の凹部42bに食い込んで、凹部42b内のトナーを掻き出す可能性が低く、現像ローラ42によるトナーの搬送量を安定させることができる。
ドクタブレード45を現像ローラ42に対して接触させる構成としては、ドクタブレード45(ブレード部材450)を折り曲げてその曲げ部分を接触させる方法もあるが、トナーTをすりきる効果についてはドクタブレード45の自由端を接触させるほうが効果が高く、より望ましい。
図16及び図17に示すように、ドクタブレード45のブレード部材450は台座部452に対して複数のリベット451によって固定されている。台座部452はブレード部材450よりも厚い金属で構成されており、ブレード部材450を現像装置4の本体(中ケース412の側面部)に固定するための基板として機能している。台座部452の長手方向端部にはピン穴454が設けられており、一方は真円形状の主基準穴454aであり、もう一方は主基準穴454a方向に長径を有する楕円形状の従基準穴454bである。主基準穴454aに不図示のピンが入ることで台座部452の現像装置4本体に対する位置が決定し、従基準穴454bで支えられる。ブレード部材450が固定された台座部452が、現像装置4本体(中ケース412)にドクタ固定ネジ455で固定されることによってブレード部材450が現像装置4に固定されることになる。
ドクタブレード45のブレード部材450としては、SUS304CSPやSUS301CSP、またはリン青銅等の金属板バネ材料を用いることができる。ブレード部材450は、自由端側を現像ローラ42表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させておりで、その押圧力下を通過したトナーを所定量に規制すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらにブレード部材450には、摩擦帯電を補助するために、ドクタバイアス電源145からバイアスが印加されている。
また、ドクタブレード45のブレード部材450としては、導電性を有するものであることが望ましい。ブレード部材450が導電性であることにより、Q/M値(単位体積当りの帯電量)が大きなトナーTの帯電量を下げることが出来、トナーTのQ/M値の均一化を図ることができる。これにより、トナーTの現像ローラ42に対する張り付きを防ぐことが出来る。
また、ドクタバイアス電源145がブレード部材450に印加する電圧としては、現像ローラ42に印加された交番電圧に対して、±200[V]の範囲で直流電圧を印加できる構成とし、使用環境により直流電圧の値を制御出来る構成としても良い。これにより、環境変動によるM/A値(現像ローラ表面上の単位面積当りのトナーの担持量)の変動を抑制することができる。
次に、図5、図20及び図21等を参照して、パドル46について説明する。
図20は、パドル46の斜視説明図であり、図21は、パドル46の側面図である。
現像装置4内には、トナーが収容される空間としてトナー収容部43が設けられており、このトナー収容部43内にはパドル46が現像ケーシング41に対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、その軸部であるパドル軸461と、マイラー等の弾性シート材からなる薄い羽部材としてのパドル羽460とを備える。パドル軸461は、向かい合う二つの平面部を有し、この二つの平面部にパドル羽460がそれぞれ取り付けられている。二枚のパドル羽460は、パドル軸461を中心に互いに反対方向に突出するように、パドル軸461の平面部に固定されている。
パドル羽460の付け根部分には穴が複数の穴がパドル軸461の軸方向に平行になるように並べて設けられており、パドル軸461は、その軸方向に平行になるように複数の凸部が並べて設けられている。そして、パドル羽460の穴にパドル軸461の凸部を挿入して、熱カシメすることによって、パドル軸461に対してパドル羽460を固定する。
パドル46は、パドル軸461の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。パドル軸461の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
パドル46は、パドル軸461から伸びるパドル羽460の先端がトナー収容部43の内壁面に接触する程度の長さにパドル羽460の突出量が設定されている。図1及び図5等に示すように、トナー収容部43の底面部43bはパドル46の回転方向に沿った円弧状であり、パドル46の回転に伴う摺擦動作でパドル羽460がトナー収容部43の底面部43bに引っかからないようになっている。
トナー収容部43の現像ローラ42側には底面部43bから垂直に立ち上がる側壁面部43sが形成されており、この側壁面部43sはパドル軸461の中心と同等若しくは若干低い程度のところでX軸に平行なローラに向かう方向に水平になって段部50を形成している。
側壁面部43sとパドル軸461との距離は、底面部43bとパドル軸461との距離よりも短く設定されている。そのため、底面部43bを摺擦してきたパドル羽460は側壁面部43sに突き当たり、より大きくたわむことになる。その後、段部50にパドル羽460の先端部が差し掛かるとパドル羽460を押さえるものが無くなり、パドル羽460の先端部は開放されることで上方に跳ね上がる。このようなパドル羽460の動きによってトナーは上方へと跳ね上げられ攪拌、搬送、供給される。
段部50は、X−Y平面に平行な水平面で、現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)に延在するように形成されている。実施形態1の現像装置4では、段部50が幅方向の全域に設けられているが、パドル羽460が跳ね上がるようになっていれば、現像装置4内の一部分に設けられていても良い。
次に、図5及び図6等を参照して供給スクリュ48について説明する。
供給スクリュ48は、供給スクリュ軸481と、この供給スクリュ軸481に固定された螺旋状の羽部である供給スクリュ羽部480となるスクリュ部材である。供給スクリュ軸481を中心に回転可能に設けられており、供給スクリュ軸481の軸方向が現像装置4の長手方向(図中Y軸方向)と平行になるように配置されている。供給スクリュ軸481の軸方向両端は中ケース412の側壁部412sに対して回転可能に取り付けられている。
供給スクリュ48の軸方向端部は、現像装置4の長手方向端部に形成されたトナー補給口55の下方に位置している。そして、供給スクリュ48が回転することによって螺旋状の供給スクリュ羽部480がトナー補給口55から補給されたトナーを長手方向における現像装置4の中央部方向に搬送する。
次に、図5〜図10等を参照して入口シール47について説明する。
上ケース411の開口部56を形成する縁部分には、入口シール47としてマイラー等のシート部材が長手方向に沿って貼着されている。入口シール47は略矩形のシートであってその短手の一端が上ケース411の縁部分に貼着され、他端は自由端とされている。入口シール47の自由端側は現像装置4の内部方向に突出されており、さらに、現像ローラ42に接触するように設けられている。入口シール47は、現像ローラ42の回転方向上流側が上ケース411に固定されており、現像ローラ42の回転方向下流側が自由端とされ、現像ローラ42に対して、入口シール47の面部分が接触するように配置している。また、上ケース411の現像装置4の内部側は供給ローラ44の上部形状に沿うように湾曲形状をしており、上ケース411の湾曲形状の表面と供給ローラ44の表面との隙間は、1.0[mm]である。
次に、図7〜図10等を参照して、サイドシール59について説明する。
図7〜図10に示すように、現像装置4の開口部56の長手方向両端部にあたる中ケース412の一部にはサイドシール59が貼着されている。サイドシール59は、現像ローラ42の軸方向両端近傍に設けられたスペーサー422よりも軸方向における内側で、且つ、現像ローラ42にドクタブレード45が接触する軸方向の端部が重なる領域に設けられている。このようなサイドシール59によって現像ケーシング41における開口部56の長手方向端部からトナーが漏れ出ることを防止している。
また、中ケース412に設けられたトナー残量センサ49は、トナー収容部43内のトナーの量を検知するものである。
次に、図5等を参照して、現像装置4内でのトナーの動きについて説明する。
トナー補給口55から現像装置4内に補給されたトナーは、供給スクリュ48によってトナー収容部43に供給され、パドル46によって攪拌される。また、パドル46の跳ね上げによって現像ローラ42及び供給ローラ44の方向に跳ね上げ、搬送される。供給ローラ44に供給されたトナーは、供給ローラ44が現像ローラ42と接触する供給ニップβで現像ローラ42の表面に受け渡される。現像ローラ42の表面に受け渡されたトナーのうち現像領域αに搬送する所定量を超えた分のトナーは、ドクタブレード45によって現像ローラ42の表面から掻き落とされる。
ドクタブレード45との対向部を通過した現像ローラ42の表面に残ったトナーは、そのまま現像ローラ42の回転による表面移動方によって搬送され、感光体2と対向する現像領域αに到達する。現像に用いられることなく現像領域αを通過したトナーは、入口シール47が接触する位置を通過し、供給ローラ44との対向位置である供給ニップβにまで搬送される。現像ローラ42によって供給ニップβに到達したトナーは、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面から掻き取られ、供給ローラ44によって搬送される。
上述したように、実施形態1の現像装置4が備える現像ローラ42の表面上には、凸部の高さや凹部の深さ(W3)が一定で規則的なパターンからなる凹凸が形成されている。従来の一成分現像装置としては、現像ローラの表面にサウンドブラスト処理等の粗面処理を施して表面に凹凸形状を形成したものがある。このように、現像ローラの表面に粗面処理を施すことにより、現像ローラがトナーを担持し、搬送する性能を向上させていた。しかしながら、粗面処理によって現像ローラの表面上に形成される凹凸は、凸部の高さ、凹部の深さ及び凹凸のパターンが不規則となる。凹部のパターンや深さが不規則であると、現像ローラ表面上のトナー担持量が安定せず、感光体上の潜像を現像したときに濃度ムラとなることがあった。一方、実施形態1の現像装置4では、凹部の深さ(W3)が一定で、その形成パターンが規則的であるため、現像ローラ42表面上のトナー担持量が安定し、現像時の濃度ムラの発生を抑制することができる。
図1、図18及び図19に示すように、実施形態1の現像装置4では、図中矢印B方向が回転方向である現像ローラ42がドクタ部において上方から下方に移動する。このような場合には、トナーTに働く自重によってトナーには下方向の力(Fg)が加わるため、ドクタブレード45の応力(Fb)によるトナーに対する圧縮力を減少させることが出来る。よって、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図18及び図19中の42cの部分)にトナーが凝集することを抑制できる。これにより、フィルミングの発生を抑制することができ、現像ローラ42上でのQ/M値やM/A値の変動を抑制することができる。
また、現像装置4で用いる現像剤であるトナーとして、加速凝集度が40[%]以下となるトナーを用いることで、現像ローラ42の凸部42aにおける現像ローラ42の表面移動方向下流側の部分(図18及び図19中の42cの部分)でのトナーの凝集をより緩和することが可能となる。
次に、規制部材であるドクタブレード45(ブレード部材450)が金属ブレードである場合の利点について説明する。
特許文献5に記載の現像装置では、一定の規則的な凹凸形状が形成された現像ローラに接触する規制部材としてゴム製のものを用いていた。しかしながら、ゴム製の規制部材を用いた構成では、製造時の組み付け公差や経時使用のブレードの削れによって、規制部材の突き出し量が変化すると、現像ローラ上のトナー量がばらつくことがあった。具体的には、現像ローラ上のトナーが極端に少なくなって、画像濃度が薄くなったり、逆に、現像ローラ上トナー量が多くなってしまい、帯電不良が発生して、画像の地肌部が汚れる地汚れが発生したりすることがあった。
これに対して、実施形態1の現像装置4のドクタブレード45として、金属製のブレードを用いることにより、ドクタブレード45の突き出し量がある程度の範囲で変化しても、現像ローラ42上のトナー量を安定させることができる。
〔実験1〕
次に、ドクタブレード45として、金属製のブレードを用いた場合と、ゴム製のブレードを用いた場合とについて、ドクタブレード45の突き出し量の変化に対する現像ローラ42上のトナー量の安定性を比較した実験について説明する。
ここで、図22を用いてドクタブレード45の突き出し量を変化させる方法について説明する。
まず、現像ローラ42に対して初期接触位置Q1における接線方向(図22中の上下方向)にドクタブレード45が延在するように、ドクタブレード45をエッジ当ての状態で現像ローラ42に接触させる。ここで、エッジ当てとは、ドクタブレード45の対向面45bと先端面45aとの間の稜線を形成するエッジ部が現像ローラ42の表面に接触する状態である。
ドクタブレード45の稜線を形成するエッジ部において、稜線は丸みを帯びていても良いし、面取りされていても良い。すなわち、エッジ部は、ドクタブレード45の対向面45bと、先端面45aとを延長させた面が交差する箇所近傍を示す。
具体的には平板状のドクタブレード45の自由端側の先端の現像ローラ42側の角部(丸みがあっても良いし、面取りされていても良い)が現像ローラ42の凸部42aに接触するようになっていれば良い。
ドクタブレード45を接触させる方法としては、平板状のブレード部材を折り曲げて、その曲げ部分を接触させる方法もあるが、トナーをすりきる効果については上述のようにブレード部材の自由端側の先端を接触させる方法のほうが、効果が高く望ましい。
次に、ドクタブレード45の根元を支持するブレードフォルダ45c(台座部452)を初期接触位置Q1における現像ローラ42の法線方向(図22(a)中の矢印X方向)に沿って現像ローラ42側に移動させる。これにより、図22(b)に示すように、ドクタブレード45における現像ローラ42に対して接触する位置が根元側に移動しつつ、ドクタブレード45が撓み、ドクタブレード45が、上述した腹当ての接触状態となる。腹当てとは、ドクタブレード45における現像ローラ42と対向する対向面45bが接触し、且つ、エッジ部が接触していない状態である。また、このときの現像ローラ42の表面上におけるドクタブレード45の接触位置Qは、初期接触位置Q1から図22中の上方に変位する。
図22(b)に示す状態からブレードフォルダ45cを初期接触位置Q1における法線方向に対して直行する方向(図22中の上下方向)に沿って現像ローラ42から離れる方向(図22中の矢印Z方向)に移動させると、突き出し量が徐々に少なくる。そして、図22(c)に示すように、ドクタブレード45が撓んだままの状態でエッジ当ての状態となる。図22(c)に示す状態からさらに突き出し量が徐々に少なくするようにZ方向にブレードフォルダ45cを移動させると、ドクタブレード45が現像ローラ42から離間するまでは、ドクタブレード45の撓み量が小さくなりつつ、エッジ当ての状態は維持される。
ドクタブレード45が、金属製(りん青銅)の金属ブレードである場合と、ウレタンゴム製のゴムブレードである場合とについて、図22を用いて説明した突き出し量を変化させる方法によって突き出し量を変化させたときの、現像ローラ42上トナー搬送量の変化を測定した実験結果を図23に示す。
図23に示すグラフでは、ドクタブレード45が腹当ての状態からエッジ当ての状態となった、図22(c)に示す状態におけるドクタブレード45の位置をゼロとした。そして、このゼロの位置よりもブレードフォルダ45cを図22中の矢印Z方向に移動させたときの変位を−(マイナス)とし、図22中の矢印Z方向とは逆方向に移動させたときの変位を+(プラス)として示している。すなわち、図23中の図中右側ほど突き出し量が多い条件となる。
図23中の破線で示すグラフは、ゴムブレードを用いた場合の実験結果であり、実線で示すグラフは、金属ブレードを用いた場合の実験結果である。
図23に示すように、ドクタブレード45の位置が、+(プラス)方向にあるときには、金属ブレード、ゴムブレード共に位置がプラスに大きくなるにつれて、トナー搬送量が増加する。
これに対して、ドクタブレード45の位置が、−(マイナス)方向にあるときには、金属ブレードの場合(実線)は、図23に示すように安定した搬送量を示す領域がある。一方、従来の現像装置で用いられていたゴムブレードの場合(破線)、−(マイナス)方向の位置のときは、現像ローラ42上にほとんどトナーが搬送されなかった。
図23を用いて説明した実験1によって、表面に規則的な凹凸形状を有する現像ローラ42に対する突き出し量について、ゴム製よりも金属製のドクタブレード45の方が現像ローラ42上のトナー量が所望量となる突き出し量の範囲が広いことがわかった。
よって、本発明のようにドクタブレード45として金属製のブレードを用いることにより、ドクタブレード45の取り付け時の、図22中のZ方向の設計公差の余裕度が上がるため、組み付け性が向上する。さらに、メカ公差の余裕度が上がり、部品を低コスト化できる。
図24は、エッジ当ての状態におけるドクタブレード45と現像ローラ42との接触位置Q(図22参照)の拡大説明図である。
図23を用いて説明したように、ドクタブレード45として金属ブレードを用いた場合に、トナー量が安定する領域が得られるのは、ドクタブレード45の先端であるエッジ部45eが現像ローラ42に接触するためである。具体的には図24に示すように、エッジ部45eが当たる場合は、トナーTがドクタブレード45によりすり切られるように薄層化するため、現像ローラ42の規則的な凹凸形状の凹部42bに埋まったトナーTのみが搬送されることとなる。このため、現像ローラ42表面のトナー量を凹部42bの体積に応じた所望量とすることができ、現像ローラ42によるトナーの搬送量を安定させることができる。また、金属ブレードであれば、ある程度の剛性を有しているため、その弾性によって現像ローラ42の凹部42bに食い込んで、凹部42b内のトナーを掻き出す可能性がゴムのような樹脂のものよりも低く、現像ローラ42によるトナーの搬送量を安定させることができる。
〔実験2〕
次に、ドクタブレード45に金属ブレードを用いて、図22中の初期接触位置Q1における法線方向の移動距離X1の値を変化させたときのエッジ当てを維持できるドクタブレード45の位置の範囲を測定した実験2について説明する。
図25は、実験2の実験結果を示すグラフである。
図25のグラフでは、ドクタブレード45が接触位置Qにおいて、現像ローラ42表面の接線方向にあるときのドクタブレード45の位置をゼロとして、図22(a)から図22(b)へのブレードフォルダ45cの移動距離X1の値を横軸としている。また、図25のグラフでは、図22(b)に示す状態からブレードフォルダ45cを図中矢印Z方向に移動させ、図22(c)の状態になったときを縦軸のゼロとしている。そして、図22(c)に示す状態からさらにブレードフォルダ45cを図中矢印Z方向に移動させ、ドクタブレード45が現像ローラ42の表面から離間するまでの図中Z方向のブレードフォルダ45cの移動距離を縦軸としている。
図25に示すグラフより、移動距離X1がゼロ以上のときは、初期接触位置Q1における現像ローラ42表面の法線方向の移動距離X1が大きいほど、ドクタブレード45がエッジ当てを維持することができる範囲を広げることができる。移動距離X1がゼロ以上のときは、ドクタブレード45は現像ローラ42との接触によって撓んだ状態となるように配置される。このように配置されることにより、ドクタブレード45の取り付けに際し、図22中の上下方向の設計公差の余裕度が上がるため、組み付け性が向上する。さらに、メカ公差の余裕度が上がり、部品を低コスト化できる。
〔実験3〕
次に、ドクタブレード45に用いる金属ブレードとして、その材料がりん青銅である場合と、ステンレス(SUS)である場合とで、スジ画像の発生の有無を確認した。本実験においては、現像ローラ42表層(表面層42f)のビッカース硬度をりん青銅よりも大きく、ステンレスよりも小さく設定している。具体的には表面層がアルミニウムで形成されている現像ローラ42を使用した。なお、ビッカース硬度の測定方法としては、JIS Z 2244に規定の方法を用いることができる。
本実験で用いたりん青銅のビッカース硬度は80[Hv]である。ドクタブレード45としてこれよりも低い硬度の金属ブレードを用いれば、本実験のりん青銅を用いたドクタブレード45と同様に固着を抑制する効果があると考えられる。また、硬度に関しては、本実験ではビッカース硬度を採用しているが、材質、形状に応じて、ブリネル硬度、ロックウェル硬度を計測する方法で比較しても良い。
実験3では、それぞれの材料からなるドクタブレード45を図22(c)に示す状態で配置し、実施形態1の複写機500を用いてベタ画像の画像形成を行ってスジ画像の発生の有無を確認した。実験3の結果、金属ブレードの材料としてりん青銅を用いた場合はスジ画像が発生せず、SUSを用いた場合はスジ画像が発生した。
ここで、実験3で用いたドクタブレード45を確認したところ、スジ画像が発生したSUS製のドクタブレード45にはトナーが固着していることが確認された。一方、スジ画像が発生しなかった、りん青銅製のドクタブレード45にはトナー固着がほとんど確認されなかった。
図26は、実験3で用いた各材料のドクタブレード45について、現像ローラ42の回転時間に対するドクタブレード45の削れ量を測定した結果を示すグラフである。図26中の破線で示すグラフはSUS製のブレードを用いた場合の削れ量を示し、実線で示すグラフはりん青銅製のブレードを用いた場合の削れ量である。
図26より、りん青銅はSUSに比べて削れ易いことがわかる。
りん青銅製のドクタブレード45を用いた場合、トナーが軽度に固着を起こしても、そのトナーの固着が成長する前に、現像ローラ42との摺擦によってドクタブレード45ごと固着したトナーが削られるため、固着が成長せず、画像上問題になるスジが発生しないものと考えられる。
現像ローラ42の表層部分(表面層42f)の硬度がドクタブレード45の当接部分の硬度よりも硬く設定されていると、ドクタブレード45を削る作用が生じ、上述したように固着を解消し易くなると言う効果が生じる。
ここで、現像ローラ42の表層の硬度を高くするためにニッケル鍍金等を施しても良い。また、現像ローラ42の表層の硬度を高くした場合においても、ステンレスよりも、りん青銅のほうが削れ易いため、トナー固着に対してはりん青銅を利用することがより望ましいと考えられる。また、りん青銅よりも低い硬度(ビッカース硬度80[Hv]以下)の金属であれば固着を抑制する効果があると考えられる。
実験3について説明したように、実施形態1の現像装置4でスジ画像の発生を防止する構成として、現像ローラ42との摺擦によってドクタブレード45ごと軽度の固着状態のトナーが削られる構成であるため、ドクタブレード45の幅方向全域で削られる必要がある。
実施形態1の現像ローラ42は、感光体2に供給するトナーを担持する表面である溝形成部420aの表面上における幅方向(表面移動方向に直行する方向)についての何れの位置においても、現像ローラ42の表面移動方向一周分の間に、凸部42aの高さ方向についての最上部となる表面である頂面42tが一箇所以上存在する。
このような条件を満たす構成として、現像ローラ42のある位置(L11の位置等)における表面上の凹凸形状は、幅方向に凸部42aと凹部42bとが周期的な列状に配置され、この位置に対して表面移動方向について隣り合う位置(L12の位置等)の凹凸形状は、規則的な列状の配置が半周期分ずれた配置である(図13参照)。言い換えると、列L11及び列L13に対して、回転方向について隣り合うL12及びL14の列は、幅方向の凹凸の周期を半周期分シフトさせた形状となっている。さらに、頂面42tの軸方向長さW2はピッチ幅W1の1/2以上の大きさとなるように形成している。このような形状を現像ローラ42の回転方向に繰り返すような表面形状となっている。
このような構成により、ドクタブレード45において、現像ローラ42のL11の位置が接触したときに、頂面42tが接触しなかった個所は、L12の位置が接触するときに頂面42tが接触する。このような構成により、現像ローラ42が一周する間に、ドクタブレード45の幅方向についての全域に渡って一度は現像ローラ42の頂面42tを接触させる構成を実現できる。このように、ドクタブレード45の幅方向の位置が何れの位置においても、現像ローラ42が一周する間に頂面42tが接触することとなり、効率よくドクタブレード45を削ることが可能となり、トナー固着に起因するスジ画像の発生をより確実に防止することができる。
現像ローラ42の表面を感光体2に接触させて現像を行う構成では、現像ローラ42と感光体2とが共に、弾性が無いため、製造時や組み付け時の精度誤差により、感光体2と現像ローラ42が接触しない部分が発生する。この場合、感光体2と現像ローラ42が接触していない部分だけトナーTが感光体2に移動せず、現像が成されないため、画像欠損が起こる。
一方、実施形態1の現像装置4では、感光体2に対して現像ローラ42がギャップを形成するように配置し、現像バイアス電源142によって、現像ローラ42に直流バイアスに交流バイアスを重畳させた電圧を印加している。これにより、トナーTを現像ローラ42から感光体2にジャンピングさせて潜像を現像する構成を取ることができ、現像ローラ42の感光体2に対する位置の精度に関わらず、画像欠損を防止することができる。
次に、実施形態1の現像装置4の特徴部について説明する。
図1に示す現像装置4は、トナーTとして、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを用い、このトナーTを担持し、搬送する現像剤担持体である現像ローラ42として、その表面に凹部42bと凸部42aとからなる凹凸形状を備える。
ここで、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成に到るまでの画像形成装置について説明する。
近年、地球環境を配慮した画像形成装置への要望として、より一層の省エネルギー性の向上が求められている。
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の電子写真方式の画像形成装置として、記録媒体上に転写されたトナー画像を定着する定着装置を備えた構成が知られている。この定着装置による記録媒体上へのトナー画像の定着不良の発生を抑制するために、多くの定着方式が提案されている。そして、現在は、加熱源により加熱される加熱ローラを定着ローラとし、この定着ローラに対向して定着ニップ部を形成する加圧ローラを設け、定着ニップ部で記録媒体上の未定着トナー像を定着する方式のものが普及している。つまり、ヒートローラ方式に代表される熱定着方式が一般的である。
ヒートローラ方式の定着装置の構成例としては、記録媒体上の熱可塑性樹脂を含むトナー(以下、熱可塑性樹脂トナーという)を熱溶解する定着ローラと、定着ローラに圧接して記録媒体を挟持する加圧ローラとを備えたものが挙げられる。定着ローラとしては、円筒状に形成されており、その内部の中心軸上に加熱源として発熱体が保持手段により保持されるものがある。定着ローラの内部に保持された発熱体は、例えばハロゲンランプ等により構成され、所定の電圧を印加されることにより発熱するものである。この発熱体は定着ローラの中心軸に位置しているため、発熱体から発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラ外壁の温度分布は円周方向において均一となる。
定着ローラの外壁は、その温度が定着に適した温度(例えば130〜200[℃])になるまで加熱される。このように加熱された状態で、定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆の回転方向(定着ニップ部での表面移動方向が同方向となる回転方向)に回転し、熱可塑性樹脂トナーが付着した記録媒体を挟持する。そして、定着ニップ部において、記録媒体上の熱可塑性樹脂トナーは定着ローラの熱により溶解し、記録媒体に定着される。
しかし、ヒートローラ方式に代表されるように、加熱した定着ローラを用いる熱定着方式の定着装置では、定着に要するエネルギーの大部分を熱に依存するため、非常に多くのエネルギーを消費するという課題がある。
また、画像形成装置の電源投入後など、定着ローラが定着に適した温度まで昇温させるまでに比較的長い時間を要するといった課題もある。
さらに、熱定着方式では、線速が大きい高速通紙を行う画像形成装置(以下、高速機という)に適用するには、いくつかの課題もある。
まず、定着ニップ部において記録媒体上の熱可塑性樹脂トナーに熱と圧力とを同時に作用させる構成であるため、定着不良を発生させないような十分なニップ時間を確保することが困難であることが挙げられる。このため、線速が大きい高速機に熱定着方式を適用する場合には、定着ローラの定着温度を高く設定するとともに加圧力を大きくする等の対策が必要となり、消費電力が多大となる問題があった。
また、線速が大きい条件でニップ時間を確保する等の理由により、高速機では定着ローラの径が大きくなる傾向があるが、定着ローラの径が大きくなると熱容量も大きくなり、消費電力が一層増大してしまう。
さらに、記録媒体の非画像部にも熱を加えるため、画像部であるトナー画像の定着には不要な熱により、記録媒体のカール等の好ましくない現象を発生させるといった不具合があった。
これらの課題に対して、定着ニップ部での加熱温度を下げるか、全く加熱させないで定着させる定着方式が種々提案されている。
例えば特許文献6には、熱エネルギーを使用せず圧力のみで定着させる、圧力定着方式が記載されている。
また、特許文献7には、ビス脂肪酸アミド類を30〜70[重量部]とポリエチレンワックスを30〜70[重量部]とからなる組成物を結着剤成分として含むことを特徴とする圧力定着性トナーが記載されている。しかし、ワックス類を用いたトナーは定着後の画像強度が十分でなく、いわゆるひっかき耐性が、熱定着方式によるトナー画像より劣るという問題がある。
また、特許文献8には、圧力定着方式において、定着性や画像光沢を得るために、記録媒体上のトナーを事前に予備加熱して軟化させた後に、圧力定着を行うことで定着画像を平滑化させる画像形成装置が記載されている。しかし、熱可塑性樹脂を軟化させるだけの熱エネルギーが必要なために省エネルギー性に乏しい。
また、トナーが事前の予備加熱にて軟化した時点では記録媒体に定着していない。このように定着していないため、圧力定着時に、金属ローラ等からなる定着ローラに移る可能性があり、このように移ってしまうと軟化したトナーを除去することが困難であるという問題がある。
特許文献9には、シリコーンオイルに溶解する溶媒にてトナーを溶解させる方法が提案されている。
また、特許文献10には、次のような湿式定着方法が記載されている。
すなわち、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶である有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液剤を調合する。そして、調合した液体を記録媒体の表面に噴霧または滴下して未定着のトナーを溶解または膨潤させた後、記録媒体を乾燥させるものである。
特許文献9や特許文献10に記載された方法により、トナーを非加熱にて定着させることができるものと考えられる。しかし、これらの方法では定着液を塗布あるいは噴霧する際や、塗布後の液体の表面張力の影響により未定着トナーが移動してしまい画像が大幅に乱れてしまう不具合が生じる。また、水分を除去する構成が別途必要になるという課題も生じる。
上述した熱定着方式、ワックス類を含有するトナーを用いた圧力定着方式及び湿式定着方式で生じる問題を解決可能な定着方式として、特許文献1〜4等には、圧力によって流動化する樹脂、いわゆるバロプラスチック(以下、圧力相転移樹脂という)を含むトナー(以下、圧力相転移樹脂トナーという)を用いた画像形成装置が提案されている。
圧力相転移樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和化合物の場合、ミニエマルション法やリビングラジカル重合等が、一般に知られている。また、ポリエステル系の場合には結晶性ブロックと非結晶性ブロックを含むポリエステルブロック共重合体等が、一般に知られている。
このような圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置が記載された特許文献としては、例えば、次のような特許文献が挙げられる。
特許文献1には、定着温度15[℃]以上、50[℃]以下において、圧力相転移樹脂としてポリエステルブロック共重合体を用いた圧力相転移樹脂トナーを用い、定着圧力が0.1[Mpa]以上、5.0[Mpa]以下である画像形成方法が記載されている。
また、特許文献2には、特許文献1とほぼ同様な処方の圧力相転移樹脂トナーを用いて、最大定着圧力が5.0[Mpa]となるように2ロール型の定着機を改造して定着ローラを加熱することなく圧力定着する画像形成装置が記載されている。
また、特許文献3には、圧力相転移樹脂トナーを用いた画像形成装置において、像担持体(感光体)上の転写残トナーをクリーニングブラシで除去する構成が記載されている。
また、特許文献4には、それぞれ色の異なる圧力相転移樹脂トナーを用いた複数の作像部をタンデム方式に備えるカラー画像形成装置が記載されている。そして、このカラー画像形成装置では、中間転写ベルト上のフィルム化したトナー画像の、記録媒体への二次転写と定着とを同時に行なう構成が記載されている。これら特許文献1〜4に記載された、圧力によって流動化する圧力相転移樹脂トナーは、従来の熱可塑性樹脂トナーに比べて、記録媒体に定着する際の熱エネルギーが少なく、省エネルギー性が非常にすぐれている。
そして、本実施形態1の複写機500では、画像を形成するトナーとして、圧力相転移樹脂トナーを用いている。
次に、現像装置の構成の従来例について説明する。
従来より、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに様々な現像装置が使用されている。そして、圧力相転移樹脂を含むトナーを現像する手段として、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した二成分現像方式の現像装置の他に、キャリアを用いずに現像剤としてトナーだけを使用した一成分現像方式の現像装置が知られており、上述した各特許文献にも記載されている。一成分現像方式は、二成分現像方式に比べて、比較的安価で簡易な構成であり、鉄粉かならなるキャリアを用いないため、現像装置および画像形成装置全体の軽量化を図ることができるという利点がある。
一成分現像方式の現像装置としては、接触式の現像装置と非接触式の現像装置とが知られている。接触式の現像装置は、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を静電潜像が形成された像担持体の表面に接触させて現像を行う構成である。非接触式の現像装置は、現像剤担持体を像担持体と所要間隔を介して対向するように設け、この現像剤担持体に交番電圧を印加して、現像剤担持体と像担持体との間に交番電界を作用させ、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を静電潜像が形成された像担持体に供給して現像を行う構成である。
現像剤担持体として、一般的には、ゴム等で弾性層を形成したものや、金属の表面をブラスト処理して粗さを付けたようなローラ部材が用いられる。現像剤担持体の表面に保持された現像剤を静電潜像が形成された像担持体の表面に接触させる接触現像方式では動作時、非動作時にかかわらずトナーに圧力がかかってしまうのに対して、非接触現像方式ではその懸念がない。
複写機500のように、圧力相転移樹脂トナーを使用する構成の場合、現像時にトナーに圧力がかかると、流動化してフィルミング等の不具合を生じる恐れがあるため、圧力が係る懸念がない、非接触方式の現像装置が望ましい。
また、交番電界によってトナーを現像剤担持体と像担持体(感光体)との間でホッピングさせることで、トナー同士が凝集していても崩すことができる。また、非接触一成分方式は、二成分現像のようにキャリア上のトナーを像担持体(感光体)へ高速で叩きつけることがないために、トナーへの圧力を低減できる。このように、トナー同士の凝集を崩すことができ、トナーへの圧力を低減できるため、圧力相転移樹脂トナーを使用する構成では、交番電界によってトナーをホッピングさせる構成は、大きな利点のある構成である。
しかしながら、このように現像剤担持体を像担持体に接触させない非接触一成分現像方式においても、トナーを薄層化する規制位置における現像剤担持体とトナー層規制部材との間の圧力がトナーに直接かかる。このため、圧力相転移樹脂トナーを使用した場合、規制位置でトナーが流動化して現像剤担持体に付着(フィルミング)して、現像性の低下が発生してしまう。また、流動化したトナーが、トナー層規制部材に固着してしまい、固着によってトナー薄層が形成不良となるため画像にノイズが生じるという問題があった。
このような問題に対して、本実施形態の現像装置4では、圧力相転移樹脂トナーからなるトナーTを担持し、搬送する現像剤担持体として、その表面に凹部42bと凸部42aとからなる凹凸形状を備える現像ローラ42を用いている。
本実施形態の現像ローラ42のように、周期的に配列された複数の凸部およびこの凸部を取り囲む凹部を表面に有した現像剤担持体を用いることで、規制位置においてトナーに圧力がかかることを防止することができる。このため、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成であっても、規制位置でトナーが流動化することを防止でき、トナー薄層を良好に形成することが可能となり、一成分現像方式において初期から耐久時まで優れた現像能力を得ることができる。
また、本実施形態の複写機500のように、圧力相転移樹脂トナーを用いることにより、凹凸形状を表面に有する現像剤担持体を用いる構成に対する利点がある。
すなわち、凹凸形状によってトナーへの圧力がかかることを防止した定着装置であっても、省エネルギーの観点から低融点、低Tg(ガラス転移温度)の熱可塑性樹脂からなるトナーを用いた場合、画像形成装置内、特に現像剤担持体や規制部材近傍が、熱定着装置からの伝熱によって温度上昇し、現像剤担持体に対するトナーフィルミングや規制部材への固着が発生してしまい、地肌汚れの増加や画像上白スジ等の画像欠陥が発生するおそれがあるという問題があった。このような問題に対して、圧力相転移樹脂トナーを用いることで、定着装置における加熱温度の低下、または、加熱を無くすことができるため、定着装置から現像装置への伝熱を抑制することができ、現像装置における温度上昇に起因する現像剤担持体に対するトナーフィルミングや規制部材への固着を防止することができる。
本実施形態の現像装置4では一成分現像装置であるため、簡素的かつ軽量で安価であり、現像ローラ42の凹凸形状によって規制位置でのトナーに対する加圧を防止できるため初期から耐久時まで安定した画像品質を維持することができる。さらに、トナーTとして圧力相転移樹脂トナーを用いることで、現像装置4を備えた画像形成装置である複写機500における定着に要するエネルギーを削減することができ、省エネルギー性に富んだ画像形成装置を提供することができる。
圧力相転移樹脂トナーを用いる構成の現像装置4において、凹凸形状を有する現像ローラ42を用いることで次のような利点がある。凹凸形状によって規制位置におけるトナーに対する低ストレス化を図ることができ、現像装置4内でトナーが流動化してしまうのを防止でき、現像ローラ42に対するフィルミングや規制部材であるドクタブレード45に対する固着を防止できる。また、本実施形態における現像バイアス電源142のように、現像ローラ42に交番電圧を印加して鋼板電界を形成し、現像ローラ42と感光体2とを非接触に構成することにより、トナーに対するストレスを低減でき、トナー同士の凝集を防止することができる。
また、凹凸形状を有する現像ローラ42を用いる構成の現像装置4において、圧力相転移樹脂トナーを用いることで次のような利点がある。凹凸形状を有する現像ローラ42を用いる構成では、規制位置におけるトナーに対する加圧に起因するトナーのフィルミングや固着を防止できるが、温度上昇に起因するトナーのフィルミングや固着は防止することはできない。また、凹凸形状における凹部内では、規制部材による加圧の影響を受け難いため、規制位置における加圧に起因するフィルミングは凸部に比べて発生し難いが、温度上昇に起因するフィルミングは凸部と変わらず発生し得る。そして、凹部内でフィルミングが発生してしまうと、それを除去するような外力が凸部よりも作用し難く、一度発生すると、改善されることなく悪化する傾向がある。これに対して、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成であれば、現像装置4によって形成されたトナー像を定着する定着装置12から現像装置4への伝熱を抑制することができるため、現像装置4における温度上昇に起因する現像剤担持体に対するトナーフィルミングを防止することができる。
このように、本実施形態の現像装置4を備えた画像形成装置であれば、圧力相転移樹脂トナーを用いる構成の課題と、凹凸形状を有する現像ローラ42を用いる構成の課題との双方を解決することができる。
次に、実施形態1に係る複写機500に用いるトナーについて説明する。
複写機500で用いるトナーとしては、高速のトナー搬送に対応できるよう流動性の高いトナーを用いている。具体的には、加速凝集度が40[%]以下のトナーを用いている。この加速凝集度とは、トナーの流動性を示す指数である。
トナーの加速凝集度の測定方法を以下に示す。
<測定装置>
・ホソカワミクロン製 パウダテスタ
<測定方法>
・測定対象サンプルを恒温槽に放置(35±2[℃],24±1[h])
・パウダテスタを用いて測定
・目開きの異なる三種の篩を使用(例えば、75[μm],44[μm],22[μm])
・篩ったときのトナー残量から算出、以下の計算により、凝集度を求める。
{(上段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100
{(中段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×3/5
{(下段の篩に残ったトナー重量)/(試料採取量)}×100×1/5
上記三つの計算値の合計をもって加熱凝集度[%]とする。
トナーの加速凝集度は上述のように目開きの異なる三種類のメッシュを目開きの大きい順に積み重ね、最上段に粒子をおき、一定の振動でふるい、各メッシュ上のトナー重量から求める指数である。
また、実施形態1では、平均円形度が0.90以上のトナー(0.90〜1.00のトナー)を用いている。
実施形態1では、下記(1)式より得られた値を円形度aと定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度a=L/L・・・・(1)
(L:粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長)
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体2との接触面積が小さいために転写性に優れる。
平均円形度が0.90〜1.00の範囲では、トナー粒子に角がないため、現像装置4内での現像剤(トナー)の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像の発生を防止できる。
また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
さらに、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体2や、帯電部材3等の表面を傷つけたり、摩耗させたりすることを防止できる。
次に円形度の測定方法について説明する。円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料を0.1〜0.5[g]程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000[個/μl]として前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
600[dpi]以上の微少ドットを再現するためには、トナーの重量平均粒径(D4)として3〜8[μm]が好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径(D4)が3[μm]未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。
重量平均粒径(D4)が8[μm]を超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
また、実施形態1で用いるトナーとしては、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが望ましい。このような範囲の形状のトナーを用いることで高画質化を図ることができる。
次に、本実施形態で用いる圧力相転移樹脂トナーについて説明する。
本実施形態で用いるトナー用の圧力相転移樹脂としては、ミクロ相分離構造を有するものが好ましく、ブロック共重合体あるいはコアシェル構造の樹脂がより好ましい。
ブロック共重合体の場合には、次のように構成されていることがさらに好ましい。
すなわち、ブロック共重合体を構成する樹脂の高分子のどちらか一方がガラス転移温度の高いハードセグメントの高分子からなり、他方がガラス転移温度あるいは融点が低いソフトセグメントの高分子で構成されていることである。
また、コアシェル構造の樹脂の場合にも、同様に次のように構成されていることがさらに好ましい。
すなわち、コアかシェルのどちらか一方がガラス転移温度の高いハードセグメントの高分子からなり、他方がガラス転移温度あるいは融点が低いソフトセグメントの高分子から構成されていることである。
このような構造の樹脂を用いると、圧力刺激により樹脂の流動性が発現し、加圧定着をおこなう加圧定着工程において必要な所望の樹脂流動性を得ることができる。
このような構造の樹脂としては、重縮合機構により重合した樹脂あるいはエチレン性不飽和単量体をラジカル重合機構により重合した樹脂を用いることができる。
重縮合機構により重合した樹脂としては、例えば、非特許文献1や非特許文献2等に記載の従来公知の方法を用いて合成することができる。また、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、または、組み合わせて用いて合成することができ、ポリエステル樹脂を好ましく挙げることができる。
エチレン性不飽和単量体を重合する場合には、リビングアニオン重合法によりブロック共重合体を得ることができる。また、コアシェル粒子の場合には、2ステージフィード法と呼ばれる単量体を段階的に重合系へ供給する方法にてコア成分高分子とシェル成分高分子とのガラス転移温度が異なるナノサイズのコアシェル樹脂粒子を合成することができる。
ガラス転移温度Tgの測定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて−80〜140[℃]まで、毎分10[℃]の昇温速度で測定を行ったときの、ASTM D3418−82に規定された方法で測定した値を意味する。
ハードセグメント成分相のTgは、45〜120[℃]であることが好ましく、50〜110[℃]の範囲にあることがより好ましい。ソフトセグメント成分相Tgは、前記ハードセグメント成分相のTgより20[℃]以上低いことが好ましく、圧力刺激による樹脂の流動性を効率よく出願させる為には、30[℃]以上低いことより好ましい。
ブロック共重合体や重縮重合したポリエステル樹脂については、次に挙げる既存の分散法等を利用してナノサイズコアシェル粒子の場合と同様に、樹脂粒子分散液にすることができる。
まず、回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)など各種機械的高剪断力により水系媒体に分散させる剪断乳化法を挙げることができる。
また、樹脂を有機溶剤に溶解した後、水系媒体を添加し転相させる転相乳化法を挙げることが出来る。
さらに、ブロック共重合体またはその前駆体(リビング末端低分子量体またはブロック)を少量のエチレン性不飽和化合物と混合し、剪断乳化や転相乳化後、ミニエマルション重合、懸濁重合によりブロック共重合体の樹脂粒子分散液に調合する手法を挙げることが出来る。
例えば、得られた樹脂分散液を用い、着色剤含有分散液、必要に応じて離型剤含有分散液をそれぞれ適量配合し、乳化凝集法により静電荷像現像用トナーを製造することができる。
静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記分散液中の前記樹脂粒子、離型剤粒子及びその他の添加した粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法を用いて凝集させることにより、トナー粒径及び粒径分布を調整することが可能である。具体的には、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成する。その後、配合した分散液の系を樹脂粒子のガラス転移温度以上、または、融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合合一し、洗浄、乾燥することにより静電荷像現像用トナーが得られる。この時、加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御することができる。
次に、ポリエステル樹脂について説明する。
重縮合樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。そして、ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸や、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸等の重縮合性単量体を用いた直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い、作製することができる。また、重縮合の際には、重縮合を促進するために、重縮合触媒を併用することが好ましい。
本実施形態において、多価カルボン酸は、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸、それらのアルキルエステル、酸無水物及び酸ハロゲン化物を含む。また、多価アルコールは、多価アルコール、それらのエステル化合物を含む。ここで、多価カルボン酸のアルキルエステルは、低級アルキルエステルであることが好ましい。この低級アルキルエステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であるアルキルエステルを表す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等を挙げることができる。
本実施形態に用いることができる多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸を挙げることができる。また、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸も挙げることができる。また、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸も挙げることができる。また、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸も挙げることができる。また、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸も挙げることができる。そして、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等も挙げることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
多価アルコール(ポリオール)は、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオールを挙げることができる。また、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物も挙げることができる。そして、ビスフェノキシアルコールフルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン)等も挙げることができる。また、ジオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミンを挙げることができる。また、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等も挙げることができる。これらの多価アルコール(ポリオール)は、1種単独で使用することもでき、また、2種以上を併用することもできる。
次に、エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂について説明する。
本実施形態においてエチレン性不飽和化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、親水性基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体であってもよい。例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β−カルボキシエチルアクリレートが好ましく例示できる。これらの単量体からなる単独重合体、またはこれらを2種以上共重合して得られる共重合体、さらにはこれらの混合物を使用することができる。
親水性基としては、極性基が挙げられ、例えば、カルボキシ基、スルホ基、ホスホニル基等の酸性極性基:アミノ基等の塩基性極性基、アミド基、ヒドロキシ基、シアノ基、ホルミル基等の中性極性基等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。これらの中で、特に本実施形態の静電荷像現像用トナーに好ましく用いられるのは、酸性極性基である。この酸性極性基及びエチレン性不飽和結合を有する単量体が、樹脂粒子表面にある特定の範囲で存在することにより、樹脂粒子に凝集性を付与し、樹脂粒子のトナー化が可能となり、さらにトナーに十分な帯電性を与えることができる。好ましく用いられる酸性極性基としては、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。この酸性極性基を有する単量体としては、例えば、カルボキシ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及びスルホ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。上記カルボキシ基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸を挙げることができる。また、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステルも挙げることができる。これらの単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
Tgが40[℃]以上の樹脂は、エチレン性不飽和化合物の重合体である場合には、ランダム共重合体であることが好ましい。また、親水性基を有するエチレン性不飽和化合物をモノマー単位として含有する樹脂が好ましく、親水性基を有するエチレン性不飽和化合物を共重合比で0.1〜10[mol%]含有することが好ましい。上記範囲内であると、水系媒体中での静電荷像現像用トナーの製造工程において、Tgが40[℃]以上の樹脂がトナーのシェル層を容易に形成するため好ましい。Tgが40[℃]以上のエチレン性不飽和化合物の重合体、ポリエステル樹脂などの重縮合樹脂は、トナーに含まれる全結着樹脂の50[重量%]以下が好ましく、5〜20[重量%]がより好ましい。上記範囲内であると、現像装置4内でのトナー耐久性が向上し、安定した画質特性を得ることができる。
次に、色材、ワックなどのトナー材料について説明する。
本実施形態に用いることができる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGRが挙げられる。また、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等も挙げられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジGが挙げられる。また、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等も挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッドが挙げられる。また、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等も挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルーが挙げられる。また、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート等も挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
また、これらの着色剤は単独または混合して使用される。
これらの着色剤は、次のような任意の分散方法を使用することにより、着色剤粒子の分散液が調製される。
例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等や、ダイノミル等の一般的な分散方法を使用することができる。
また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散され、また、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。本実施形態のトナーに用いる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15[重量%]の範囲で添加される。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240[重量%]添加される。前述の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するために好ましい量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)を100〜330[nm]にすることにより、OHP透明性及び発色性が確保される。ここで、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
本実施形態で用いられる離型剤の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類や、加熱により軟化点を示すシリコーン類が挙げられる。また、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類も挙げられる。また、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックスも挙げられる。また、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物なども挙げられる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらのワックス類を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散する。そして、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、サブミクロン以下の粒子の分散液を作製する。これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25[重量%]の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。また、得られた離型剤粒子分散液の粒径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から好ましい。
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、若しくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。本実施形態において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。しかし、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
重合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、またはその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、次のようなものが挙げられる。
例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
分散のため手段としては回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用される。
次に、本実施形態の圧力相転移樹脂トナーを含む現像剤の作成方法をさらに詳しく説明する。まず、本実施形態の圧力相転移樹脂トナーを作成する際に使用した測定方法について説明する。その後、エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂粒子分散液(1)を作成する場合と、ポリエステス樹脂からなる樹脂粒子分散液(2)を作成する場合との圧力相転移樹脂トナーを含む現像剤を説明する。
以下、樹脂粒子分子量の測定について説明する。
樹脂粒子分子量の測定には、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。
温度40[℃]において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2[ml]の流速で流し、濃度0.2[g/20ml]のテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3[mg]注入し測定を行う。
試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、重量平均分子量Mw=28.8×10数平均分子量Mn=13.7×10となることにより確認することができる。また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
以下、樹脂のガラス転移温度Tgの測定について説明する。
樹脂のガラス転移温度Tgの測定には、示差走査熱量計DSC/RDC220(セイコーインスツルメント社製)を用いた。樹脂粒子分散液中における樹脂粒子の粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)を使用して、測定した。トナー粒子、キャリア粒子、及び、現像剤の粒子径は、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)を使用して測定した。
上記樹脂粒子分散液(1)の作成について説明する。
エチレン性不飽和化合物重合体からなる樹脂粒子分散液(1)の作成は次の様にして行った。まず、セパラブルフラスコ中に、イオン交換水を300[重量部]とTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製)を1.5[重量部]とを仕込み、20分間、窒素置換を行った後、撹拌しながら65[℃]まで昇温した。その後、n−ブチルアクリレートモノマーを40[重量部]加え、さらに20分間撹拌を行った。そして、0.5[重量部]の重合開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)を予め、10[重量部]のイオン交換水に溶解後、セパラブルフラスコ中に投入した。これを、65[℃]で、3時間保持し、61[重量部]のスチレンモノマーと、9[重量部]のn−ブチルアクリレートモノマーと、2[重量部]のアクリル酸と、0.8[重量部]のドデカンチオールとを、0.5[重量部]のTTABを溶解した100[重量部]のイオン交換水に、乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。その後、温度を70[℃]に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了させた。
この重合で、重量平均分子量Mwは25,000、平均粒子径は150[nm]、固形分量が25[重量%]のコアシェル型樹脂粒子分散液(1)を得た。
樹脂粒子を40[℃]で風乾後、−80[℃]から140[℃]の温度範囲のDSC解析を行ったところ、−50[℃]付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測された。また、60[℃]付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体による樹脂のガラス転移が観測された。
次に、着色剤粒子分散液(C1)の調合について説明する。
着色剤粒子分散液の調合は次の様にして行った。ここで、着色剤粒子分散液は、シアンに対応した着色剤粒子分散液(C1)の調合の例について説明する。100[重量部]のシアン顔料(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン C.I.Pigment Blue15:3)、10[重量部]のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR)、及び、400[重量部]のイオン交換水の成分を混合溶解する。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により15分間分散した後、超音波バスにより10分間分散し、中心径210[nm]、固形分量21.5[%]のシアン着色剤粒子分散液を得た。
次に、離型剤粒子分散液(R1)の調合について説明する。
離型剤粒子分散液(R1)の調合は次の様にして行った。
800[重量部]のイオン交換水に、2[重量部]のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR)と215[重量部]のカルナバワックスとを混合し、100[℃]に加熱し融解した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で15分間乳化した後、さらにゴーリンホモジナイザーを用いて100[℃]にて乳化を行った。これにより粒子の中心径が230[nm]、融点が83[℃]、固形分量が21.5[%]の離型剤粒子分散液を得た。
次に、トナー(1)の調合について説明する。
調合した各種分散液を用い、以下のようにしてトナーを作成した。
樹脂粒子分散液(1)を168[重量部](樹脂が42[重量部])、着色剤粒子分散液(C1)を40[重量部](顔料が8.6[重量部])、離型剤粒子分散液(R1)を80[重量部](離型剤が17.2[重量部])、ポリ塩化アルミニウムを0.15[重量部]、イオン交換水を300[重量部]の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
その後、加熱用オイルバスでこのフラスコを撹拌しながら42[℃]まで加熱し、42[℃]で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を84[重量部](樹脂が21[重量部])追加して緩やかに撹拌した。撹拌後、0.5[mol/L](モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95[℃]まで加熱した。
ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に95[℃]で3時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40[℃]のイオン交換水中に再分散し、15分、300[rpm]で撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いシアントナー粒子(1)を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径は5.8[μm]であった。
次に、現像剤(1)の調合について説明する。
現像剤(1)の調合は、次のように行った。
上記調合したトナーの50[重量部]に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)を1.5[重量部]添加し、サンプルミルで混合してシアン色の静電荷像現像用トナー(1)を得た。
また、100[重量部]のシリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製)、3[重量部]のカーボンブラック(BP2000、キャボット社製)及び100[重量部]のトルエンをホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製した。
そして、この被覆層形成液および平均粒子径50[μm]の1000[重量部]の球状フェライトキャリアを用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。次に、90[重量部]の上記トナーと910[重量部]の上記キャリアとをボールミルに入れ30分間攪拌して、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤(1)を作成した。
そして、シアン顔料の代わりにマゼンタマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:2)、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー97)、ブラック顔料(カーボンブラック R330)を用いて各色に対応した現像剤(1)を作成した。
このように各色に対応した顔料を用いた以外は、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤(1)と同様にして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色の静電荷像現像用の現像剤(1)を作成した。
つぎに、樹脂粒子分散液(2)の作成について説明する。
ポリエステス樹脂からなる樹脂粒子分散液(2)の作成は次の様にして行った。175[重量部]の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、320[重量部]のビスフェノールA 2モルエチレンオキサイド付加物、及び、0.5[重量部]のドデシルベンゼンスルホン酸からなる材料を混合した。
そして、この混合した材料を、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下において120[℃]で12時間重縮合を実施したところ、均一透明なポリエステル樹脂(1)を得た。この均一透明なポリエステル樹脂(1)のGPCによる重量平均分子量は14,000、DSCによるTgは54[℃]であった。
また、0.36[重量部]のドデシルベンゼンスルホン酸、80[重量部]の1,6−ヘキサンジオール、115[重量部]のセバシン酸からなる材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入した。そして、窒素雰囲気下において90[℃]で5時間重縮合を実施したところ、均一白色のポリエステル樹脂(2)を得た。この均一白色のポリエステル樹脂(2)のGPCによる重量平均分子量は8,000、DSCによるTgは−52[℃]であった。
上述した重縮合で得られた100[重量部]のポリエステル樹脂(1)と、100[重量部]のポリエステル樹脂(2)とを、撹拌機を備えたリアクターに投入し、120[℃]で30分溶解、混合した。その後、95[℃]に加熱した800[重量部]のイオン交換水に、1.0[重量部]のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び、1N NaOH水溶液を1.0[重量部]溶解した中和用水溶液を、フラスコ中に投入した。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス内で10分振とうした後、室温水にてフラスコを冷却した。このようにして、固形分量が20[重量%]の樹脂粒子分散液(2)を得た樹脂粒子の中心径は、250[nm]であった。
次に、トナー(2)の調合について説明する。
トナー(2)の調合として、調合した各種分散液を用い、以下のようにしてトナーを作成した。
樹脂粒子分散液(2)を210[重量部](樹脂が42[重量部])、着色剤粒子分散液(C1)を40[重量部](着色剤が8.6[重量部])、離型剤粒子分散液(R1)を40[重量部](離型剤が8.6[重量部])、ポリ塩化アルミニウムを0.15[重量部]、及び、イオン交換水を300[重量部]、これらの成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42[℃]まで加熱し、42[℃]で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(2)を105[重量部](樹脂21[重量部])追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5[mol/L](モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95[℃]まで加熱した。95[℃]までのあいだ、水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.0以下とならない様にした。95[℃]で、3時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40[℃]のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300[rpm]で撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径は4.9[μm]であった。
次に、現像剤(2)の調合について説明する。
現像剤(2)の調合は、次のように行った。上述のように調合したトナー(2)の50[重量部]に対し、1.5[重量部]の疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)を添加し、サンプルミルで混合してシアン色の静電荷像現像用トナー(2)を得た。
また、シリコン樹脂溶液(KR50、信越化学社製)を100[重量部]、カーボンブラック(BP2000、キャボット社製)を3[重量部]、及び、トルエンを100[重量部]、これらをホモミキサーで30分間分散させ被覆層形成溶液を調製した。そして、この被覆層形成液および平均粒子径50[μm]の球状フェライトキャリアを1000[重量部]用い、流動床型塗布装置により、球状フェライトキャリア表面に被覆層を形成したキャリアを製造した。次に、上記トナーを90[重量部]および上記キャリアを910[重量部]、これらをボールミルに入れ30分間攪拌して静電荷像現像用(2)を作成した。
そして、シアン顔料の代わりにマゼンタマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:2)、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー97)、ブラック顔料(カーボンブラック R330)を用いて各色に対応した現像剤(2)を作成した。
このように各色に対応した以外は、シアンに対応した静電荷像現像用の現像剤トナー(2)と同様にして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの四色の静電荷像現像用の現像剤(2)を作成した。
〔実施形態2〕
以下、本発明を適用可能な現像装置と、この現像装置を備える画像形成装置との二つ目の実施形態(以下、実施形態2という)について説明する。
図27は、実施形態2に係る画像形成装置であるプリンタ600の要部の概略断面図である。図27に示すように、プリンタ600は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1、複数の張架ローラに張架されて図27中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、露光手段としての露光装置6、及び、定着手段としての定着装置12等を備えている。
各プロセスカートリッジ1は、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、帯電手段としての帯電部材3と、現像剤としてのトナーTを用いて感光体2上の潜像を現像する現像装置4と、感光体クリーニング装置5とを一体的に支持してユニット状とした構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、プリンタ600本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を帯電する。実施形態2のプロセスカートリッジ1は、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、感光体2の表面に対して画像情報に基づいて露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ600が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色ごとのトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図27において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されており、一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成することにより、図27中の矢印S方向に搬送される転写材である転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pはプリンタ600の装置外に出力される。また、実施形態1の複写機500と同様に、実施形態2のプリンタ600で用いるトナーも、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーであり、加圧することによって流動化するため、プリンタ600が備える定着装置12でも転写紙Pに対して加圧のみが行われる。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーTは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
次に、図28〜図30を用いて、プロセスカートリッジ1が備える現像装置4について説明する。図28及び図29は、四つのプロセスカートリッジ1のうちの一つの拡大断面図であり、図28は現像ローラ42の軸方向中央部近傍の断面図であり、図29は、軸方向端部近傍のサイドシール59が配置された位置における断面図である。また、図30は、現像装置4において、鉛直方向に略直線状に配置された、トナーTを搬送するトナー搬送部材106、トナー撹拌部材108及び供給ローラ44の回転軸近傍の断面説明図である。
現像装置4は、現像剤であるトナーTを収容するトナー収容室101と、トナー収容室101の下方に設けられたトナー供給室102とから構成され、トナー収容室101とトナー供給室102とを仕切るように仕切り部材110が設けられている。仕切り部材110には、図30に示すように、複数の開口部が設けられている。この仕切り部材110の複数の開口部として、トナー収容室101内のトナーTをトナー供給室102へ供給する供給口111と、トナー供給室102内のトナーTをトナー収容室101に戻す返送口107とが設けられている。
トナー供給室102の下部には、現像剤担持体である現像ローラ42が設けられている。また、トナー供給室102には、現像ローラ42の表面にトナーTを供給する現像剤供給手段である供給ローラ44が現像ローラ42の表面に当接するように設けられている。さらに、トナー供給室102には、供給ローラ44によって現像ローラ42の表面上に供給され、感光体2と現像ローラ42との対向部に向かうトナーTの量(層厚)を規制する規制部材としてのドクタブレード45が現像ローラ42の表面に当接して設けられている。
現像ローラ42は、感光体2に対して非接触で配置されており、図示しない高圧電源から所定のバイアスが印加される。
トナー収容室101内にはトナー収容室101内のトナーTを感光体2の回転軸に平行な方向(図28中の紙面に直交する方向)に搬送するトナー搬送部材106が設けられている。
また、トナー収容室101に収容するトナーTは、重合法で作成したものを用いている。このトナーTは、例えば、平均粒径が6.5[μm]で、円形度が0.98、安息角33[°]、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーTである。なお、実施形態2のプリンタ600に用いるトナーTとしては、これに限るものではない。
トナー収容室101内に設けられたトナー搬送部材106は、図30に示すように搬送スクリュ形状部106aと搬送板形状部106bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー搬送部材106は、搬送スクリュ形状部106aの回転動作によりトナー収容室101内のトナーTをトナー搬送部材106の回転軸に平行な略水平方向(図30中の矢印H方向)に搬送できる構成となっている。現像装置4では、トナー搬送部材106の回転軸に平行な方向にトナーTを搬送する搬送スクリュ形状部106aを備えた構成であるが、現像剤搬送部材としてはこれに限ったものでなく、搬送ベルトやコイル状の回転体等の搬送機能を有するものを用いることができる。さらにこれらの搬送機能を有するものと、羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等のほぐし機能を有するものを組み合わせたものでも良い。
また、実施形態2の現像装置4では、トナー収容室101から供給ローラ44に向けて、トナーTをトナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略鉛直下方にトナーTを搬送する構成となっている。トナーTの搬送方向としては、トナー搬送部材106の回転軸に直交し、且つ、略水平方向に搬送する構成としてもよい。
仕切り部材110の鉛直下方のトナー供給室102内にはトナー撹拌部材108が配置されている。トナー撹拌部材108は、図30に示すように撹拌スクリュ形状部108aと撹拌板形状部108bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー撹拌部材108は、撹拌スクリュ形状部108aの回転動作によりトナー供給室102内のトナーTをトナー撹拌部材108の回転軸に平行な略水平方向(図30中の矢印IまたはJ方向)に搬送できる構成となっている。
図30に示すように、トナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aは、軸方向について供給口111を挟んで外側に向かう方向(図30中の矢印I方向)にトナーTを搬送するように螺旋状の羽部が設けられている。さらに、トナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aは、軸方向について二つの返送口107よりも外側と内側とは螺旋状の羽部が逆巻きになっている。このため、供給口111からトナー供給室102に供給されたトナーTはトナー撹拌部材108の撹拌スクリュ形状部108aの回転によって軸方向外側(矢印I方向)に搬送され、返送口107よりも外側に到達したトナーTは羽部が逆巻きの撹拌スクリュ形状部108aによって返送口107に向かって(矢印J方向に)搬送される。返送口107を挟んで軸方向の外側と内側とでは、撹拌スクリュ形状部108aによるトナーTの搬送方向が逆であり、返送口107に向かうようにトナーTに搬送力を付与するため、返送口107の下方ではトナーTが軸方向両側から集められ、山状に押し上げられる。これにより、トナー収容室101から供給口111または返送口107を通過してトナー供給室102に供給されたトナーTが過剰である場合は、返送口107で山状に押し上げられたトナーTがトナー供給室102から返送口107を通ってトナー収容室101に戻される。また、トナー撹拌部材108は、トナー供給室102にあるトナーTを攪拌し、さらに下部にある供給ローラ44や現像ローラ42にトナーTを供給する役割を持つ。
供給ローラ44の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室102内に供給されたトナーTを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ42との当接部での圧力集中によるトナーTの劣化を防止している。なお、この発泡材料は10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定される。供給ローラ44には、供給バイアスが印加され、現像ローラ42との当接部ある供給ニップβで予備帯電されたトナーTを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。供給ローラ44は図28中の矢印で示すように図28中の反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーTを現像ローラ42の表面に塗布するように供給する。
供給ニップβに対して現像ローラ42の表面移動方向下流側の現像ローラ42の表面に接触するように、規制部材であるドクタブレード45が配置されている。供給ローラ44から現像ローラ42の表面に供給されたトナーTは、現像ローラ42の回転によってドクタブレード45が接触する位置に搬送される。
ドクタブレード45としては、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用いることができ、その自由端側を現像ローラ42の表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、現像ローラ42上のトナーTに対してその押圧力下を通過させることで、トナー層を薄層化すると共に、摩擦帯電によってトナーTに電荷を付与する。また、ドクタブレード45には、トナーTの摩擦帯電を補助するために、図示しないバイアス電源によりバイアスが印加される。
感光体2は現像ローラ42と非接触であり、図28中の時計回りの方向に回転している。このため、現像ローラ42と感光体2とが対向する現像領域αにおいては、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とが同方向となる。
現像ローラ42上の薄層化されたトナー層は、現像ローラ42の回転によって現像領域αへ搬送され、現像ローラ42に印加されたバイアスと感光体2上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体2の表面に移動して感光体2の表面上の静電潜像が現像される。
現像領域αで現像に用いられず、現像ローラ42上に残されたトナーTが再びトナー供給室102内へと戻る箇所には、現像剤除電部材である下シール部材としての除電シール109が現像ローラ42に当接して設けられ、トナーTが現像装置4の外部に漏れ出ないように封止される。除電シール109には、除電能力を補助するため図示しないバイアス電源よりバイアスが印加される。
上述した現像装置4において、現像ローラ42上のトナーTを用いた感光体2上の潜像の現像は、次のように行われる。供給ニップβで現像ローラ42の表面上に供給されたトナーTは、現像ローラ42の回転に伴って、供給ニップβから現像領域αに向けて搬送され、その途中にあるドクタブレード45を通過し、所定量に規制される。所定量に規制されたトナーTは、さらに、現像領域αまで搬送され、現像ローラ42と感光体2上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体2の表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像電界には、トナーが感光体2の方向に向かう電圧と現像ローラ42に戻ってくる電圧が交互に繰り返されるようなACバイアスをもちいる。実施形態2では、f=500〜10000[Hz]、Vpp=500〜3000[V]、Duty=50〜90[%]の矩形波を用いた。その後、現像に寄与しなかったトナーTは、現像ローラ42の回転によってさらに搬送され、トナーTが再びトナー供給室102に戻り、繰り返し利用される。
実施形態2の現像装置4においても、上述した実施形態1と同様に、トナーTとして、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを用い、このトナーTを担持し、搬送する現像剤担持体である現像ローラ42として、その表面に凹部42bと凸部42aとからなる凹凸形状を備える構成を適用可能である。
〔実施形態3〕
以下、本発明を適用可能な現像装置と、この現像装置を備える画像形成装置との三つ目の実施形態(以下、実施形態3という)について説明する。
図31は、実施形態3に係る画像形成装置としてのプリンタ600の要部の概略断面図であり、図32は、実施形態3のプリンタ600が備える四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)のうちの一つのプロセスカートリッジ1が備える現像装置4および感光体2周りの説明図である。
実施形態3のプリンタ600は、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト7と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応した四つの作像ユニットを備えた、いわゆるタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。
そして、各作像ユニットの現像手段である現像装置4には、圧力相転移樹脂トナーが収納されている。
プリンタ600では、中間転写ベルト7を、ベルト駆動ローラ71、ベルト従動ローラ72及び、二次転写対向ローラ9a、に掛けまわして、図中反時計まわりに走行可能に備えている。
この中間転写ベルト7のベルト駆動ローラ71とベルト従動ローラ72との間で張架された面には、中間転写ベルト7の移動方向上流側から圧力相転移樹脂トナーを作像する、Y、M、C、Kの四つの作像部を構成する作像ユニットであるプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)を備えている。
圧力相転移樹脂トナーを作像するプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、用いる圧力相転移樹脂トナーの色が異なるのみで、それぞれ同一構成をしている。
四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、いずれも図31中、時計まわり回転する潜像担持体であるドラム状の感光体2(Y,M,C,K)を平行に並べて設置している。
各感光体2のまわりには感光体2を静電的に帯電させる帯電部材3(Y,M,C,K)と、各感光体2上の静電潜像にトナー像を現像させる現像装置4(Y,M,C,K)とを配置している。さらに四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、感光体2上のトナーを除去するクリーニングク手段である感光体クリーニング装置5(Y,M,C,K)もそれぞれ配置している。また、各現像装置4(Y,M,C,K)は、Y,M,C,K各色の圧力相転移樹脂トナーを収容している。
図32に示すように、プロセスカートリッジ1が備える感光体クリーニング装置5は、感光体2に対し、当接している感光体クリーニングブレード54と感光体クリーニングブラシ51とを備える。また、感光体クリーニング装置5に対して、感光体2の表面方向下流側には、帯電ローラからなる帯電部材3を備え、そのさらに下流側には一成分の非接触現像方式の現像装置4を備える。
現像装置4は、現像ローラ42と現像ローラ42に対してトナーを供給する供給ローラ44とを備え、現像ローラ42は、対向する感光体2の表面に対し、順方向に回転する方向に感光体2の表面移動速度に対して約1〜3倍の間のプロセス線速で回転する。供給ローラ44は、その表面移動方向が、供給ローラ44と現像ローラ42とが対向する供給位置において、現像ローラ42の表面移動方向に対してカウンター方向となるように、現像ローラ42と同方向に回転する。すなわち、実施形態3では、感光体2が図32中の時計回り方向に回転し、現像ローラ42と供給ローラ44とが図32中の反時計回り方向に回転する。
現像ローラ42には、表面に供給されたトナーを薄層化する規制部材であるドクタブレード45が当接している。実施形態3の現像装置4も一成分現像方式であり、収容する現像剤はトナーのみであるため、二成分現像方式の現像装置のように、感光体の軸線方向に平行な方向に現像剤を搬送する搬送スクリュは必要ではない。そして、現像装置4では、装置内の圧力相転移樹脂トナーからなるトナーTの循環のために、パドル46が備えられている。パドル46としては、現像装置4内のトナーTの攪拌性を向上させるためにマイラーなどで羽を具備することが好ましい。
現像装置4内のトナーTが作像によって消費された場合は、不図示のトナーボトルから供給スクリュ48を介して現像装置4内に圧力相転移樹脂トナーを補給することが可能である。また、図33のように、現像装置4の上方に圧力相転移樹脂トナーが充填されたトナータンク140を設けることで、トナーTを現像装置4内に補給する構成としても良い。トナータンク140内には、内部のトナーTを攪拌するためのタンク内パドル141を有する。また、トナータンク140としては、現像装置4に対して着脱することで交換可能としても良いし、現像装置4と一体化して交換可能としても良い。さらに、プロセスカートリッジ1と一体化して交換する所謂オールインワン方式でも良い。
一成分の非接触現像装置である現像装置4は、上述のような簡易な構成のため、現像装置の小型化、低コスト化、軽量化が実現できる。また、現像装置4は、非接触のために感光体2表面を傷つけることがなく、感光体2の高耐久化にも有利である。
実施形態3の現像装置4においても、上述した実施形態1と同様に、トナーTとして、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを用い、このトナーTを担持し、搬送する現像剤担持体である現像ローラ42として、その表面に凹部42bと凸部42aとからなる凹凸形状を備える構成を適用可能である。また、現像ローラ42としては、実施形態1で図13を用いて説明した現像ローラ42と同様のものを用いることができる。
次に、実施形態3の現像装置4での現像ローラ42上の圧力相転移樹脂トナーによって感光体2上の潜像を現像する工程について詳しく説明する。
現像ローラ42と供給ローラ44とが対向する供給位置で現像ローラ42の表面上に供給されたトナーTは、現像ローラ42の表面移動によって供給位置から感光体2との対向部である現像領域に向けて搬送される。このとき、途中にあるドクタブレード45との対向部である規制位置を通過し、現像ローラ42上にトナー薄層が形成される。
現像ローラ42の表面上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ42の表面移動によって現像領域まで搬送され、現像ローラ42と感光体2の潜像との間の現像電界によって感光体2の表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。
現像電界には、トナーTが感光体2の方向に向かう電圧(現像側バイアス)と現像ローラ42側に戻ってくる電圧(回収側バイアス)とが交互に繰り返されるようなACバイアスをもちいる。実施形態3の現像装置4では、AC周波数f=500〜10000[Hz]、ACバイアスのPeak−to−Peak値(Vpp)=500〜3000[V]、AC波形の現像側バイアス印加時間Duty=30〜70[%]の矩形波を用いた。その後、現像に寄与しなかったトナーTは、現像ローラ42の回転によってさらに搬送され、トナーが再びトナー供給室に戻り、繰り返し利用される。
供給ローラ44の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナーTを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ42との当接である供給ニップでの圧力集中によるトナーTの流動化による凝集および劣化を防止している。なお、この発泡材料は10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定される。供給ローラ44には、供給バイアスが印加され、現像ローラ42との当接部で予備帯電されたトナーTを現像ローラ42に押し付ける作用を補助する。
供給ローラ44が当接する位置から現像ローラ42の表面移動方向下流側の現像ローラ42表面に接触するように、規制部材であるドクタブレード45が配置されている。
供給ローラ44から現像ローラ42の表面に供給されたトナーは、現像ローラ42の回転によってドクタブレード45が接触する位置に搬送される。ドクタブレード45は、自由端側を現像ローラ42の表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、現像ローラ42上のトナーTに対してその押圧位置を通過させることで、トナー層を薄層化すると共に、摩擦帯電によってトナーTに電荷を付与する。
また、表層に深さD(D≧トナー平均粒径)の凹部42bを有する現像ローラ42を使用することでドクタブレード45の規制位置を通過する時に凸部42aのトナーTはすり切られ、凹部42bに留まっているトナーTのみが現像領域へ搬送される。これにより、トナーTに掛かる圧力が低減でき、圧力相転移樹脂トナーからなるトナーTが流動化することなく現像ローラ42の表層の凹部42bに入り込み、規制位置を通過するため、規制位置を通過するトナーTの量が安定し、画像濃度の安定化が可能である。
感光体2は現像ローラ42と非接触であり、図32中の時計回りの方向に回転している。このため、現像ローラ42と感光体2とが対向する現像領域においては、現像ローラ42の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とが同方向となる。現像ローラ42上の薄層化されたトナー層は、現像ローラ42の回転によって現像領域へ搬送され、現像ローラ42に印加されたバイアスと感光体2上の静電潜像とによって形成される潜像電界に応じて、感光体2の表面に移動して感光体2の表面上の静電潜像が現像される。
ここで、現像ローラ42に印加されるバイアスは直流電圧に交流電圧を重畳した交番電界であり、トナーTは現像ローラ42と感光体2とを行き来(ジャンピング)しながら現像される。この所謂ジャンピング現像は、接触式一成分のようにトナー層を感光体2へ押し付けながら現像することなく、また、二成分現像のようにトナーを保持するキャリア複数個からなる磁気穂を感光体2に叩きつけることなく現像するため、現像ニップにおけるトナーTへの圧力を大幅に低減でき、圧力相転移樹脂トナーが流動化することを防止できる。また、交番電界によるジャンピングは、現像ローラ42上で複数個のトナーが凝集状態で存在していたとしてもそれをほぐす効果もある。
現像領域で現像に用いられず、現像ローラ42上に残されたトナーTが再び内へと戻る箇所には、現像剤除電部材である不図示の除電シールが現像ローラ42に当接して設けられ、トナーTが現像装置4の外部に漏れ出ないように封止される。
次に、感光体クリーニング装置5について説明する。
プリンタ600のように圧力相転移樹脂トナーを用いる画像形成装置では、感光体クリーニング装置5として、感光体2の表面をクリーニングするときに、クリーニング対象である感光体2の表面上のトナーTに対する圧力が小さくなるような構成であることが好ましい。
例えば、回転する感光体クリーニングブラシ51を用いた方法である。ブラシ繊維の材料としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の絶縁材料が一般的である。また、ブラシにトナーと同極性または逆極性の電圧を印加してクリーニング機能を付与しても良い。
上述した感光体クリーニングブラシ51のみでトナーTの除去が難しい場合は、図32に示す構成のように、感光体クリーニングブレード54を併用する構成としても良い。実施形態3では、ウレタンゴムに代表されるゴム材料からなる感光体クリーニングブレード54を感光体2に押し当てることでトナーを除去できる構成にしている。
また、感光体クリーニングブレード54によって回収されたトナーTは感光体回収コイル52によって不図示の廃トナータンクへ回収される機構を有する。また、感光体クリーニングブレード54と感光体2の摺動性の向上、クリーニング性の向上または各感光体2の保護のために、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムに代表される金属脂肪酸からなる潤滑剤塗布機構を設けても良い。
プリンタ600では、図31に示すように、最も使用頻度が高いモノクロ印刷(黒トナー単色のみ使用)のファーストプリントスピードが速くなるように、黒のプロセスカートリッジ1Kは四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)における中間転写ベルト7の表面移動速度についての最下流側に設置されている。しかし、四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)の並び順としてはこれに限るものではない。
各プロセスカートリッジ1が備える感光体2には、一次転写位置でそれぞれ中間転写ベルト7を挟んで配置され、不図示の電源から一次転写バイアスが印加される一次転写手段としての一次転写ローラ8(Y,M,C,K)が不図示の付勢部材によって押し当てるように配置されている。
また、ベルト従動ローラ72に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には、中間転写ベルト7の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としての転写ベルトクリーニング装置11を設けている。
転写ベルトクリーニング装置11としては、ベルト従動ローラ72に掛けまわされた中間転写ベルト7の表面移動方向上流側にクリーニングブラシを設け、その下流側にウレタンゴム等のゴム材料からなるクリーニングブレードを押し当てている。このように構成することでトナーTを除去できる構成にしている。
プリンタ600は、感光体クリーニング装置5と同様に、転写ベルトクリーニング装置11によって回収されたトナーTを不図示の廃トナータンクへ回収される機構を有する。
また、感光体2と同様に、クリーニングブレードと中間転写ベルト7との摺動性の向上、クリーニング性の向上及び中間転写ベルト7の保護のために、金属脂肪酸などの潤滑剤を中間転写ベルト7に塗布する潤滑剤塗布機構を設けても良い。
図31に示すように、プリンタ600は、作像ユニットである各プロセスカートリッジ1の上方に、各感光体2に静電潜像を形成させるために書込み光を照射する露光装置6(Y,M,C,K)を設けている。
また、中間転写ベルト7の下方には転写搬送ベルト90が配置されている。そして、二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7及び転写搬送ベルト90を挟んで対向する位置には、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ9を備え、二次転写手段を構成している。
複数の感光体2から中間転写ベルト7に順次転写された複数色のトナー画像は、二次転写対向ローラ9aと二次転写ローラ9とが対向する二次転写ニップ部で、搬送手段である転写搬送ベルト90で運ばれてきた転写紙P上に静電的に転写される。
この転写搬送ベルト90は、未定着のトナー画像が二次転写される転写紙Pの二次転写ニップ部への進入挙動、及び定着装置12への進入挙動を制御するため、二つの転写搬送張架ローラ91と二次転写ローラ9とに張架され、図中の時計回り方向に回転駆動することによって転写紙Pを搬送する。
転写搬送ベルト90に対して、転写紙Pの搬送方向下流側(図31中右側)には、圧力定着ニップ部を構成する定着手段である定着装置12を設けている。
圧力相転移樹脂トナーを圧力定着によって定着する定着装置12は、表面が滑らかな金属製の上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122とで構成されている。そして、二つの加圧ローラ(121及び122)のそれぞれの回転軸の軸方向両端部を圧縮スプリングによって付勢する構成としている。
また、この定着装置12は、転写紙P上のトナー画像を定着する圧力定着ニップ部が形成される当接状態と、圧力定着ニップ部が形成されない離間状態とを選択可能な不図示の構成および制御を有した当接離間機構を備えている。
転写紙P上に圧力相転移樹脂トナーによって形成された未定着トナー像が存在する場合は、上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122とが当接状態で圧力定着ニップ部を形成し、転写紙P上の圧力相転移樹脂トナーは圧力と熱との両方または圧力のみを受けて転写紙Pに定着される。
圧力定着ニップ部における温度Tbは15[℃]〜100[℃]が好ましい。圧力定着ニップ部における圧力は5[kgf/cm]〜500[kgf/cm]が好ましい。
また、定着時の上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122との位置関係としては、完全に当接した状態に限らず、間隙を挟んで配置し、この間隙の幅を転写紙Pの厚さより小さい値と設定する構成であってもよい。このように間隙を挟んで配置する構成とすることで、圧力定着ニップ部に異物が挟まること等が原因となって発生する各加圧ローラ(121、122)表面の傷を防止することができ、各加圧ローラ(121、122)の長寿命化につながる。
また、上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122とが接触しその当接部に高い圧力がかかっていると剛性の低い転写紙Pの場合はシワが発生しやすく、さらに、シワに添って破断することもある。これに対して、定着時の上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122との間に間隙を設ける構成であれば、転写紙Pにかかる圧力が比較的低くなり、転写紙Pに加わる力が小さいため、転写紙Pに与えるダメージが少ない。このため、シワの発生や、これに起因する転写紙Pの破断などの不具合を防止することができる。
一方、転写紙P上に圧力相転移樹脂トナーによって形成された未定着トナー像が存在しない場合は、上部加圧ローラ121と下部加圧ローラ122との間隙を転写紙Pの厚さより所定距離だけ大きくし、圧力定着ニップ部が形成されない離間状態に制御する。
また、圧力相転移樹脂トナーは消費エネルギーの観点から完全に非加熱で定着されることが望ましいが、定着工程において補助的に熱を加えても良い。
図31に示すプリンタ600では、上部加圧ローラ121に対抗するように熱源であるハロゲンヒータ123および輻射板を設けることで、輻射熱によって定着ニップ上流位置で上部加圧ローラ121を加熱する構成となっている。
昨今の省エネルギー定着のため熱可塑性樹脂トナーの定着温度の低下に伴い、トナーのガラス転移温度(Tg)も低くなってきており、現像装置4周辺の温度上昇に伴いトナーが軟化してトナーと構成部材との間やトナー同士で付着力が増大して、現像ローラ42へのトナーフィルミングや、ドクタブレード45へのトナー固着が発生しやすい。そして、従来の熱定着方式の画像形成装置における現像装置周辺の温度上昇の原因としては、主に定着装置からの熱伝達であった。
これに対して、本発明を適用したが画像形成装置では、次のような利点がある。
すなわち、(1)従来の熱可塑性樹脂トナーを用いる熱定着の定着温度が120[℃]〜200[℃]であるに比べて、上記各実施形態に示すように圧力相転移樹脂トナーを用いると熱源温度を大幅に低下させることができる。(2)また、圧力相転移樹脂トナーは高圧下でなければ、高Tgを維持することができる。この(1)及び(2)の利点から現像ローラ42へのトナーフィルミングや、ドクタブレード45へのトナー固着を抑制することができる。
上述した各実施形態では、フルカラーの複写機またはプリンタについての実施形態を示したが、本発明を適用可能な画像形成装置としてはこれらに限るものではない。フルカラーではなくモノクロ複写機、二色複写機、フルカラー機に透明トナーなどの特別色を備えたオンデマンド複写機などでも良い。また、複写機に限らず、プリンタ、ファックス、などの画像形成装置でも良い。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナーT等の現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、感光体2等の潜像担持体と対向する現像領域α等の現像領域で潜像担持体の表面の潜像に現像剤を供給して現像する現像ローラ42等の現像剤担持体と、内部に現像剤を収容するトナー収容部43等の現像剤収容部と、現像剤収容部内の現像剤を現像剤担持体の表面に供給する供給ローラ44等の現像剤供給部材と、現像領域に向かう現像剤の量を規制するドクタブレード45等の規制部材とを有する現像装置4等の現像装置において、現像剤は、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを含み、現像剤担持体は、その表面に凹部42b及び凸部42a等の凹凸形状を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、現像剤担持体の凹部に現像剤を収容し、規制部材によって凸部に存在する現像剤をすり切ることで、現像剤担持体表面上の現像剤は凹部内に収容された現像剤のみとなるため、凹部の容量を所望量の現像剤を担持する容量に設定することにより、所望量の現像剤を現像領域に搬送することができる。このように、凸部に存在する現像剤をすり切ることで現像剤の量を規制しているため、規制位置で現像剤に圧力をかけることなく所望量の現像剤に規制することができ、現像剤に含まれる圧力相転移樹脂トナーが加圧されることを抑制でき、規制部材による規制によって圧力相転移樹脂トナーが流動化することを抑制することができる。
(態様B)
(態様A)において、現像剤として、トナーT等の非磁性または磁性の一成分の現像剤を用いる。これによれば、上記実施形態1について説明したように、現像装置の簡易化、低コスト化を図ることが出来る。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、現像ローラ現像剤担持体の表面はニッケル鍍金が施されている。これによれば、上記実施形態1で説明したように、ニッケル鍍金を施すことにより、現像剤担持体の錆びを防止すると共に、トナー等の一成分の現像剤を所望の極性(マイナス極性)に帯電させることができる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)の何れか一つの態様において、現像ローラ42等の現像剤担持体に形成された凹部42b及び凸部42a等の凹凸の凸部に対する凹部の深さは、トナーT等の現像剤の平均粒径以上である。これによれば、上記実施形態1で説明したように、現像剤に掛かる圧力が低減でき、圧力相転移樹脂トナーが流動化することなく現像剤担持体の表層の凹部に入り込み、規制位置を通過するため、規制位置を通過する現像剤の量が安定し、画像濃度の安定化が可能である。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)の何れか一つの態様において、ドクタブレード45等の規制部材は現像ローラ42等の現像剤担持体の凹凸形状の凸部の表面に付着している現像剤を掻き取る。これによれば、上記実施形態1で説明したように、トナーT等の現像剤が規制部材によりすり切られるように薄層化することができる。
(態様F)
(態様E)において、規制部材は、現像ローラ42等の現像剤担持体の表面の法線方向に対して傾斜した姿勢に保持された板状部材が現像剤担持体の表面に接触して現像領域α等の現像領域に向かう現像剤の量を規制するドクタブレード45等の規制ブレードであり、規制ブレードは、現像剤担持体に対向する対向面45b等の対向面と先端面45a等の先端面との間の稜線を形成するエッジ部45e等のエッジ部で現像剤担持体の表面に接触し、且つ、その根元部に対してその先端が現像剤担持体の表面移動方向上流側となるカウンター方向で接触する。これによれば、上記実施形態1で説明したように、頂面42t等の凸部の表面に付着しているトナーT等の現像剤を規制ブレードの先端面によって掻き取る構成を実現でき、これにより、現像剤が規制部材によりすり切られるように薄層化する構成を実現できる。
(態様G)
少なくとも感光体2等の潜像担持体と、潜像担持体表面を帯電させるための帯電部材3等の帯電手段と、潜像担持体上に静電潜像を形成するための露光装置6等の潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する複写機500等の画像形成装置において、現像手段として、(態様A)乃至(態様F)の何れか一つの態様の現像装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化が可能な圧力相転移樹脂トナーを用いた構成で、現像装置内でトナーが流動化することを防止することができ、この流動化に起因して生じる不具合の発生を防止できるため、濃度ムラや濃度低下が発生しない良好な画像を出力できる画像形成装置を提供することが出来る。
(態様H)
(態様G)において、トナー像を転写紙P等の記録媒体に定着する定着装置12等の定着手段が、加圧によって圧力相転移樹脂トナーを流動化する圧力定着部を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、従来の熱定着方式の画像形成装置に比べて省エネルギー化を図るとともに、定着装置からの伝熱に起因する不具合の発生を防止することができる。
(態様I)
潜像を担持する感光体2等の潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える複写機500等の画像形成装置における少なくとも潜像担持体と現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジ1等のプロセスカートリッジにおいて、(態様A)乃至(態様F)の何れか一つの態様の現像装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化が可能な圧力相転移樹脂トナーを用いた構成で、現像装置内でトナーが流動化することを防止することができ、この流動化に起因して生じる不具合の発生を防止できるため、経時に渡って画像濃度が安定する現像装置を、プロセスカートリッジを構成する他の部材ともに装置本体から取り外すことができ、安定な画像を作成出来る現像装置の交換性の向上を図ることができる。
〔参考:バロプラッチック〕
エンジニアリングプラスチックやバイオプラスチック分野では、樹脂のミクロ相分離構造由来の特性を利用した低温での圧力成形用樹脂材用の研究がなされており、当該樹脂を用いた電子写真方式の画像形成に応用する試みも行われている。
性質の異なる二種以上の高分子が共有結合でつながって構成されているブロック共重合体(樹脂)は、性質の異なる各高分子鎖が独立して凝集し、ミクロ相分離構造を形成する。ブロック共重合体(樹脂)の構造は、各高分子鎖の組成に比例し、海島構造、シリンダー構造、ラメラ構造へと変化することは既に広く知られていたが、非特許文献3(1998年論文)の小核中性子散乱によるブロック共重合体(樹脂)の構造研究において、当該樹脂に圧力刺激を加えると流動性が発生するという現象が近年新たに発見された。
その後、非特許文献4(2001年論文)に記載されているように、ブロック共重合体の他、ナノサイズのコアシェル樹脂粒子においても同様の圧力刺激に対する樹脂の流動性発現が確認されている。さらに非特許文献4では、この現象の解釈としてフローリー・ハギンズ理論を見直し、最終的に樹脂を構成する高分子成分の質量密度、溶解度パラメーター、膨張係数から圧力刺激にて当該樹脂を構成する高分子が秩序状態(Ordered State固体)から無秩序状態(Disordered State相溶)に変化するため、樹脂に流動性が発現することを理論および実験の両側面から証明し、ここに当該樹脂を同文献にてバロプラスチック(baroplastic)と命名した。
このように、非特許文献3の当該樹脂の圧力刺激による流動性の発現は、非特許文献4に記載された内容の如く、圧力刺激による樹脂の相転移現象により生じることが明らかにされた。
また、当該樹脂を構成する高分子の一方はソフトセグメント(ガラス転移温度または融点が低い(−30[℃]以下))から成り、もう一方はハードセグメント(ガラス転移温度が高い(50[℃]以上))から成るミクロ相分離構造を有する樹脂であると、圧力による相転移が起こりやすい(流動性が発現する)ことは、その後の多数の研究からも示唆されている(例えば非特許文献5(2003年論文))。
このようにして1998年に発見された圧力刺激にて樹脂に流動性が出現する現象は2003年以降に広く認められるようになってきた。
しかしながら、ミクロ相分離構造を有する共重合体(樹脂)の設計は流動性現象の発見以前に既に古くから行われており、上述したソフトセグメントとハードセグメントからなる樹脂設計含め、様々な文献にも製造方法が記載されている。例えば、エチレン性不飽和化合物の場合、ミニエマルション法やリビングラジカル重合など、ポリエステル系の場合には結晶性ブロックと非結晶性ブロックを含むポリエステルブロック共重合体(例えば非特許文献6)などは、一般によく知られている。
1 プロセスカートリッジ
2 感光体
3 帯電部材
4 現像装置
6 露光装置
7 中間転写ベルト
12 定着装置
41 現像ケーシング
42 現像ローラ
42a 凸部
42b 凹部
42f 表面層
42g 基材
42t 頂面
43 トナー収容部
45 ドクタブレード
45a 先端面
45b 対向面
45c ブレードフォルダ
45e エッジ部
100 プリンタ部
121 上部加圧ローラ
122 下部加圧ローラ
123 ハロゲンヒータ
500 複写機
600 プリンタ
特許第4582227号公報 特許第4525828号公報 特開2009−053318号公報 特開2010−191197号公報 特開2007−178901号公報 特開昭58−126561号公報 特開昭58−086557号公報 特開2009−251021号公報 特開昭59−119364号公報 特許第3290513号公報
「重縮合」(化学同人、1971年刊) 「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社編、1988年刊) Pollard,M., Russell, T. P., Ruzette, A.−V. G., Mayes, A. M. and Gallot, Y. "The effect of hydrostatic pressure on the lower critical ordering transition on diblock copolymers": Macromolecules, 31, 6493 (1998) Ruzette, A.−V. G., Banerjee, P., Mayes, A. M. and Russell, T. P. "A simple model for baroplastic behavior in block copolymer melts": J. Chem.Phys., 114, 8205 (2001) Gonzalez−Leon, J. A.,Metin, H. A., Ryu, S.−W., Ruzette, A.−V. G.and Mayes, A.M. "Low temperature processing of baroplastics by pressure−induced flow": Nature, 426, 424 (2003) Doi, Y. and Steinbuchel, A.: Biopolymers, Polyester II−Properties and Chemical Synthesis, (2002), Wiley−VCH

Claims (9)

  1. 現像剤を表面上に担持して表面が無端移動し、潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体の表面の潜像に該現像剤を供給して現像する現像剤担持体と、
    内部に該現像剤を収容する現像剤収容部と、
    該現像剤収容部内の該現像剤を該現像剤担持体の表面に供給する現像剤供給部材と、
    該現像領域に向かう該現像剤の量を規制する規制部材とを有する現像装置において、
    上記現像剤は、圧力相転移樹脂を含有する圧力相転移樹脂トナーを含み、
    上記現像剤担持体は、その表面に凹凸形状を備えることを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1の現像装置において、
    上記現像剤として、非磁性または磁性の一成分の現像剤を用いることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1または2の現像装置において、
    上記現像剤担持体の表面はニッケル鍍金が施されていることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の現像装置において、
    上記現像剤担持体に形成された凹凸の凸部に対する凹部の深さは、上記現像剤の平均粒径以上であることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の現像装置において、
    上記規制部材は上記現像剤担持体の上記凹凸形状の凸部の表面に付着している現像剤を掻き取ることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項5の現像装置において、
    上記規制部材は、上記現像剤担持体の表面の法線方向に対して傾斜した姿勢に保持された板状部材が該現像剤担持体の表面に接触して上記現像領域に向かう現像剤の量を規制する規制ブレードであり、
    該規制ブレードは、該現像剤担持体に対向する対向面と先端面との間の稜線を形成するエッジ部で該現像剤担持体の表面に接触し、且つ、その根元部に対してその先端が該現像剤担持体の表面移動方向上流側となるカウンター方向で接触することを特徴とする現像装置。
  7. 少なくとも潜像担持体と、
    該潜像担持体表面を帯電させるための帯電手段と、
    該潜像担持体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、
    該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段とを有する画像形成装置において、
    該現像手段として、請求項1乃至6の何れか1項に記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、
    上記トナー像を記録媒体に定着する定着手段が、加圧によって上記圧力相転移樹脂トナーを流動化する圧力定着部を備えることを特徴とする画像形成装置。
  9. 潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置における少なくとも該潜像担持体と該現像手段とを1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
    上記現像手段として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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