以下に、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る昇圧装置の検査装置(以下、「検査装置10」という)の概観を示している。この検査装置10は、昇圧装置が接続されることで、昇圧装置の検査に用いられる。
図2には、昇圧装置の一例とするタイヤ昇圧装置(以下、「昇圧装置12」という)を示している。昇圧装置12は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ(以下、「タイヤ14」という)がパンクした際に、タイヤ14及びホイール16を交換すること無く、タイヤ14のパンク穴をシーリング剤により補修し、タイヤ14の内圧を指定圧まで再加圧するのに用いられる。
昇圧装置12には、タイヤ14のパンク穴の補修用のシーリング剤を収容した液剤容器16が装着される。昇圧装置12は、筐体110内に、圧縮空気を生成するコンプレッサ及びコンプレッサを駆動するモータ(いずれも図示省略)を備えたコンプレッサユニット112、液剤容器16が装着される装着部114を備える。
昇圧装置12に装着される液剤容器16は、パンク修理すべきタイヤ14の種類、サイズ等に応じて規定された量よりも多めのシーリング剤を収容したものが用いられる。
コンプレッサユニット112に用いられるコンプレッサとしては、シリンダに吸気弁及び排気弁が設けられ、モータの回転駆動によりピストンがシリンダ内を往復移動することで、吸気弁から吸引した空気を圧縮して排気弁から吐出するレシプロ式などが適用される。なお、コンプレッサは、レシプロ式に限定されるものではない。
コンプレッサユニット112は、コンプレッサ、モータ及びモータの回転をコンプレッサへ伝達するギアが一体で収容されている。なお、コンプレッサ及びコンプレッサの駆動機構は、圧縮空気を吐出する公知の構成を適用でき、ここでは詳細が説明を省略する。
コンプレッサユニット112の圧縮空気吐出側と装着部114とは、エアパイプ116によって接続されており、装着部114には、エアパイプ116を介してコンプレッサユニット112から圧縮空気が供給される。
昇圧装置12には、電源スイッチ118及び圧力計120が設けられている。また、昇圧装置12は、一端が図示しない電源ユニットに接続された電源ケーブル122を備える。この電源ケーブル122の先端部には、車両に設置されたシガレットソケットなどの電源ソケットに差し込まれるプラグ124が取り付けられている。
昇圧装置12は、筐体110から電源ケーブル122を引き出し、プラグ124を車両のソケットに差し込むことで、車両に設けられたバッテリから所定電圧の電力(直流12Vの電力)が供給される。昇圧装置12は、電力が供給されている状態で電源スイッチ118をオンすることによりコンプレッサが動作し、コンプレッサユニット112から圧縮空気を吐出する。また、昇圧装置12は、電源スイッチ118がオフされることでコンプレッサユニット112が圧縮空気の吐出を停止する。
装着部114には、注入ユニット126を介して液剤容器16が装着される。注入ユニット126は、液剤容器16の容器口に連結されることで、容器口を開口したときにシーリング剤が流れこむ加圧給液室を有する。装着部114には、液剤容器16が取り付けられた注入ユニット126が装着される。液剤容器16は、注入ユニット126を介して装着部114に装着されることで、容器口が開口されて加圧給液室にシーリング剤が流れ込むと共に、容器口から液剤容器16内に圧縮空気が供給可能となる。
なお、ユーザーが昇圧装置12を車両に搭載するときには、注入ユニット126が装着部114から取り外されて液剤容器16に装着された状態となる。また、製品出荷時などにおいては、注入ユニット126は、液剤容器16側の開口がキャップ等により緊密に閉塞され、装着部114に装着されている。
注入ユニット126には、ジョイントホース128の一端が連結され、ジョイントホース128の内部が注入ユニット126の加圧給液室内に連通されている。ジョイントホース128の他端には、バルブアダプタ130が取り付けられている。昇圧装置12では、バルブアダプタ130をタイヤ14の図示しないエアバルブに連結することで、タイヤ14内へシーリング剤及び圧縮空気の供給が可能となる。
昇圧装置12は、圧縮空気を液剤容器16内へ供給することで、液剤容器16内を圧力上昇させて、加圧供給室内に流れ込んでいるシーリング剤をタイヤ14内へ供給する。これにより、昇圧装置12は、シーリング剤をタイヤ14内に充填する。また、昇圧装置12では、液剤容器16内から略全量のシーリング剤をタイヤ14へ供給すると、シーリング剤に続いて圧縮空気をタイヤ14へ供給して内圧を上昇させる。なお、コンプレッサユニット112には、安全弁(圧力弁)132が設けられており、圧縮空気を逃がすことで空気圧が規定以上となるのを防止する。
圧力計120は、エアパイプ116内がタイヤ14内部に連通していることで、タイヤ14の内圧に応じて指針が振れ、タイヤ14の内圧を指す。昇圧装置12を用いてシーリング剤及び圧縮空気を供給した場合、圧力計120の指針の示す数値からタイヤ14の内圧が規定圧に達したことを確認することで、電源スイッチ118をオフし、シーリング剤及び圧縮空気の供給を停止する。
なお、タイヤ14のパンク修理のためにシーリング剤をタイヤ14へ充填した場合、充填後に、シーリング剤を注入したタイヤ14を用いて一定距離(例えば10km)に亘って予備走行する。この予備走行によってシーリング剤をタイヤ14の内面に均一に拡散させることで、シーリング剤によりタイヤ14内のパンク穴を閉塞させる。
また、予備走行完了後には、タイヤ14内の内圧を再計測し、必要に応じて昇圧装置12から圧縮空気の再送を行うなどしてタイヤ14の内圧を規定圧とする。これにより、タイヤ14のパンク修理が終了し、修理したタイヤ14を用いて、一定の距離範囲において一定速度以下(例えば、80km/h以下)での走行が可能となる。
このように昇圧装置12は、圧縮空気を貯留するタンクを持たない簡単でコンパクトな構成とされ、車両へ搭載する場合のスペース確保が容易となっている。また、昇圧装置12は、タイヤの緊急状態において液剤容器16に圧縮空気を供給することで、この液剤容器16からシーリング剤及び圧縮空気をタイヤ14へ供給する。
検査装置10は、タイヤの緊急状態で使用される昇圧装置12が的確に動作可能な状態であるかを検査するのに用いられる。
図1に示すように、本実施の形態に係る検査装置10は、箱体形状のケーシング18を備えている。検査装置10は、このケーシング18内にエア配管が形成され、検査装置10の動作を制御する制御部が収容されている。また、検査装置10は、図1の紙面手前側が前面とされており、以下、この面のパネルを前面パネル20Aという。
ケーシング18には、前面パネル20Aの下部にテーブル22が設けられている。テーブル22には、検査対象とする昇圧装置12(図1では図示省略)が載せられるワーク置き部24が形成されている。検査装置10で多数の昇圧装置12の検査を行う場合、昇圧装置12がテーブル22のワーク置き部24に順に載せられる。なお、ワーク置き部24には、弾性シートなどが貼り付けられ、昇圧装置12の傷防止、滑り防止が図られている。
図3には、検査装置10の管路の機能系統図を示している。検査装置10には、接続部として昇圧装置12からの圧縮空気の入力口となる入力継手26が設けられている。また、検査装置10には、外部接続部として外部入力継手28が設けられている。この外部入力継手28には、外部圧力源30が接続される。
検査装置10は、外部入力継手28に外部圧力源30が接続されることで、外部圧力源から圧縮空気の供給を受ける。このような外部圧力源30としては、所謂ベビコンなどの専用又は他の設備と共用するコンプレッサを用いることができる。また、工場内の各設備に圧縮空気を供給する配管が敷設されている場合、この配管を接続することで外部圧力源30として用いることもできる。
また、検査装置10は、入力継手26に昇圧装置12のバルブアダプタ130が接続されることで、昇圧装置12から圧縮空気の供給及び昇圧装置12への圧縮空気の供給が可能となる。
検査装置10には、切換弁32、34が設けられている。切換弁32、34は、手動操作により、ポートCを共通として連通先がポートA(C-A)又はポートB(C−B)に切り換えられる。以下、切換弁32のポートA、B、Cをポート32A、32B、32Cと表記し、切換弁34のポートA、B、Cをポート34A、34B、34Cと表記する。なお、本実施の形態では、切換弁32、34として手動式を適用しているが、電動式の切換弁を用いることも可能である。
切換弁32、34は、入力継手26と外部入力継手28との間に、入力継手26側が切換弁32とし、外部入力継手28側が切換弁34として配置されている。切換弁32と切換弁34とは、切換弁30のポート30Bが切換弁32のポート32Cに接続されている。
入力継手26には、第1の管路部材とされる配管36Aの一端が接続され、この配管36Aに切換弁32が設けられている。この配管36Aには、配管36A内の圧力(圧縮空気の圧力)を計測する圧力計38、配管36A内の圧力を検出する圧力センサ40、安全弁42が設けられている。安全弁42は、昇圧装置12の安全弁132が故障していた場合に、検査装置10内及び昇圧装置12内の圧力上昇を防止する。
一方、検査装置10は、2つのフィルタレギュレータ44、46を備えている。外部入力継手28には、第2の配管部材とされる配管36Bの一端、及び第3の管路部材とされる配管36Cの一端が接続されている。フィルタレギュレータ44は、配管36Bに設けられ、フィルタレギュレータ46は、配管36Cに設けられている。フィルタレギュレータ44、46のそれぞれは、外部圧力源30から圧縮空気が供給されることで、この圧縮空気に含まれる水分(湿気)を除去する。
検査装置10は、圧力調整手段として2つのレギュレータ48、50を用いて、レギュレータ48、50のそれぞれを異なる調整圧力に設定している。本実施の形態では、圧力の調整精度が高い所謂精密レギュレータを用いている。以下、レギュレータ48、50を精密レギュレータ48、50と表記する。
配管36Bは、切換弁32のポート32Bに接続しており、この配管36Bに、切換弁34、精密レギュレータ48、50が取り付けられている。なお、精密レギュレータ48は、切換弁34のポート34Aとフィルタレギュレータ44との間に設けられ、精密レギュレータ50は、切換弁34のポート34Bとフィルタレギュレータ44との間に設けられている。
検査装置10は、切換弁34が選択手段として機能し、切換弁34がポート34A側に切り換えられることで、外部圧力源30から供給される圧縮空気をフィルタレギュレータ44及び精密レギュレータ48を通過させ、切換弁32側へ送る。また、検査装置10は、切換弁34がポート34B側に切り換えられることで、外部圧力源30から供給される圧縮空気をフィルタレギュレータ44及び精密レギュレータ50を通過し、切換弁32側へ送る。
検査装置10は、制限手段として機能するハイリリーフレギュレータ52、及び2つの電磁弁54、56を備える。ハイリリーフレギュレータ52及び電磁弁54は、配管36Cに設けられて開閉手段として機能し、電磁弁56は、切換弁32が取り付けられた配管36Aに設けてられている。これにより、検査装置10では、ハイリリーフレギュレータ52側の電磁弁54が開かれることで、フィルタレギュレータ46及びハイリリーフレギュレータ52を介して供給される外部圧力源30の圧縮空気が電磁弁56側へ送られる。また、検査装置10は、切換弁32がポート32A側に切り換えられているときに、電磁弁56が開かれることで、昇圧装置12と電磁弁54の電磁弁56側との間で圧縮空気の流通が可能となる。
ところで、本実施の形態に係る昇圧装置12は、圧縮空気を蓄積するタンクを持たない構成となっている。これに対して、本実施の形態に係る検査装置10では、空気タンクとしてバッファタンク60を備える。バッファタンク60は、配管36A、36Cに接続されている。すなわち、バッファタンク60は、配管36A、36Cの接続部分に接続され、電磁弁54が開かれることで、外部圧力源30から圧縮空気が供給され、電磁弁56が開かれることで、昇圧装置12から圧縮空気の供給が可能となる。
検査装置10では、圧縮空気を蓄積するタンクなどを備えていない昇圧装置12の検査を行うときに、バッファタンク60を備えることで蓄積する圧縮空気の量を多くしている。これにより、検査装置10では、例えば、圧縮空気の漏れ(以下、漏洩とする)の検査を行う場合に、圧力変化を緩やかにすることができる。
昇圧装置12の検査を行う場合のバッファタンク60の容量(容積)としては、昇圧装置12に用いられる液剤容器16の容量と同程度の容量とすることができる。ここから、本実施の形態では、一例としてバッファタンク60の容量を350mlとしている。なお、バッファタンク60の容量としては、これに限るものではない。例えば、バッファタンク60の容量を少なくすることで、圧力変化は大きくなるが、圧縮空気を所定圧まで蓄積するための蓄積時間を短くすることができる。また、バッファタンク60の容量を大きくした場合、圧縮空気を所定圧まで蓄積するための蓄積時間は長くなるが、圧力変化を緩やかにすることができる。ここから、バッファタンク60として必要とする容量を定め、定めた容量のタンクを用いればよい。
検査装置10には、電磁弁54、56の間に圧力センサ62が設けられている。検査装置10は、圧力センサ62によってバッファタンク60内の圧縮空気の圧力(空気圧)を検出する。なお、バッファタンク60には、ドレインバルブ58が設けられ、ドレインバルブ58を開くことで、バッファタンク60から圧縮空気を排出できる。
図1に示すように、検査装置10には、前面パネル20Aに切換弁32の手動操作用の切換レバー32D、切換弁34の切換レバー34Dが設けられている。
また、検査装置10は、前面パネル20Aに圧力計38が取り付けられ、一方の側面パネル20Bに、フィルタレギュレータ44、46、精密レギュレータ48、50、ハイリリーフレギュレータ52が取り付けられている。
これにより、検査装置10では、精密レギュレータ48、50に対する調整圧力の設定、切換弁32、34を用いた圧縮空気の流路の切り換え、昇圧装置12との間の圧縮空気の圧力の視認が可能となっている。なお、検査装置10では、側面パネル20Bからドレインバルブ58が引き出されており、これにより、昇圧装置12に対する検査終了後のバッファタンク60内の圧縮空気の排出が容易となっている。
図4には、検査装置10の作動を制御する制御部64の概略構成を示している。図1に示すように、検査装置10には、前面パネル20Aに電源部(図示省略)の電源スイッチ66(図4では図示省略)が設けられている。検査装置10では、この電源スイッチ66をオン操作することで、電源部から制御部64へ所定電圧の電力が供給されて動作可能となる。
図4に示すように、制御部64は、図示しない電源部から供給される所定電圧の電力で動作するコントロールユニット68を備える。コントロールユニット68は、シーケンサ70及び時間計測手段として機能するタイマー回路72を備えている。
シーケンサ70としては、マイクロコンピュータ、入力インターフェイス、出力インターフェイス、並びにデータ及びプログラムを記憶する記憶部(何れも図示省略)を含む一般的構成を適用できる。このようなシーケンサ70は、記憶部に記憶されたプログラム及びデータに基づき、入力インターフェイスに接続された入力機器からの入力信号に応じ、出力インターフェイスに接続された出力機器を動作させる。
コントロールユニット68には、前記入力機器として圧力センサ40、62が接続されている。また、検査装置10は、昇圧装置12の検査を行うオペレータが操作するフットスイッチ74、センサスイッチ76及び電圧切換スイッチ78が設けられている。
図1に示すように、センサスイッチ76及び電圧切換スイッチ78は、前面パネル20Aに設けられ、検査時に、オペレータによって操作される。また、フットスイッチ74(図1では図示省略)は、オペレータの足元に置かれ、検査時にオペレータによりオン/オフ操作される。
図4に示すように、コントロールユニット68には、フットスイッチ74、センサスイッチ76及び電圧切換スイッチ78が接続されている。また、コントロールユニット68には、出力機器として電磁弁54、56が接続されている。
一方、制御部64は、昇圧装置12へ電力を供給する電源ユニット80を備える。この電源ユニット80は、昇圧装置12が使用される車両に備えられたソケットに対応するソケット82を備える。図1に示すように、検査装置10では、昇圧装置12の検査時の接続作業を容易とするようにソケット82が前面パネル20Aに取り付けられている。検査装置10では、昇圧装置12のプラグ124(図2参照)がソケット82に差し込まれることで、検査装置10から供給する電力で昇圧装置12を動作させる。
図4に示すように、電源ユニット80は、複数の直流電圧を出力する安定化電源84及び出力電圧を選択する電圧切換部86を備える。本実施の形態に係る検査装置10は、昇圧装置12が用いられる車両のバッテリの電圧(例えば、12V、以下N電圧とする)、及び車両から供給される最大電圧を超える電圧(例えば15V、以下、H電圧とする)の直流電圧を、昇圧装置12の検査電圧として設定している。
コントロールユニット68は、電圧切換スイッチ78の操作状態に応じて電圧切換部86を操作する。これにより、検査装置10では、電圧切換スイッチ78によりN電圧が選択されている場合に、昇圧装置12へN電圧の直流電力を供給し、電圧切換スイッチ78によりH電圧が選択されている場合に、昇圧装置12へH電圧の直流電力を供給する。なお、昇圧装置12の検査電圧は、2種類に限らず3種類以上の電圧を設定されていても良く、また、電圧は、検査として必要とする任意の電圧を適用することができる。
また、検査装置10は、昇圧装置12が動作時に流れる電流(以下、消費電流とする)を計測する電流計88を備える。図1に示すように、検査装置10では、前面パネル20Aに電流計88が取り付けられている。これにより、オペレータは、昇圧装置12の動作中の消費電力の視認が可能となる。なお、検査装置10は、所謂アナログ式の電流計88を用いているが、これに限らず、例えば、電流センサによって検出する電流値をデジタル信号に変換し、変換した電流値をディスプレイ等に表示する構成など、公知の構成を適用することができる。
図4に示すように、制御部64は、ランプユニット90を備える。このランプユニット90は、コントロールユニット68に接続している。タイマー回路72は、ランプユニット90を用いて、昇圧装置12の操作中の経過タイミングの表示を行う。
図5には、検査装置10に設けているタイマー回路72の概略を示している。検査装置10は、一例として2系統のタイマー回路72A、72Bを備えており、総称する場合にタイマー回路72とする。なお、タイマー回路72A、72Bは、基本的構成を同じにしているが、異なる構成であっても良い。
タイマー回路72A、72Bは、タイマーリレー92、ディレイ回路94を備えている。タイマー回路72Aには、フットスイッチ74が接続されている。タイマー回路72Aは、フットスイッチ74がオンされることで、タイマーリレー92にリセット信号Restが入力される。また、タイマー回路72Aでは、フットスイッチ74のオン信号がディレイ回路94に入力される。ディレイ回路94は、フットスイッチ74のオン信号が入力されると、設定された遅延時間tdが経過してからタイマーリレー92へ信号(入力信号IN)を出力する。
ランプユニット90には、タイマー回路72に用いられる複数の点光源を備える。本実施の形態では、タイマー回路72Aに2個のLED96G、96Rを用い、タイマー回路72Bに2個のLED98G、98Rを用いている。図1に示すように、検査装置10には、前面パネル20Aに2つのランプケースが取り付けられている。一方のランプケースには、LED96G、98Gが収容され、LED96G、98Gの一方が点灯することで、例えば緑色に発光する(以下、一体でランプ100Gと表記する)。他方のランプケースには、LED96R、98Rが収容され、LED96R、98Rの一方が点灯することで、例えば赤色に発光する(以下、一体でランプ100Rと表記する)。
図5に示すように、タイマー回路72Aは、LED96G、96Rがタイマーリレー92に接続されており、タイマーリレー92の出力信号に応じて点滅する。ここで、図6(A)を参照しながらタイマー回路72AにおけるLED96G、96Rの点滅を説明する。なお、タイマー回路92では、タイマーリレー92の出力信号T1のHighレベルでLED96Gが消灯し、LowレベルでLED96Gが点灯する。また、タイマー回路92では、タイマーリレー92の出力信号T2のHighレベルでLED96Rが消灯し、LowレベルでLED96Rが点灯する。
図6(A)に示すように、タイマー回路72Aでは、フットスイッチ74が踏まれてオンされることにより、タイマーリレー92にリセット信号Restが入力される。タイマーリレー92は、フットスイッチ74がオフされ、リセット信号Restがオフすることで、出力T1、T2をLowレベルとする。これにより、LED96G、96Rが点灯する。検査装置10は、LED96G、96Rが点灯することで、前面パネル20Aのランプ100G、100Rが点灯する。
また、ディレイ回路94は、フットスイッチ74がオンすることで、作動を開始し、動作を開始してから所定の遅延時間td(例えば、td=0.5sec〜1.0sec内の設定された時間)だけ経過すると、オン信号を出力する。タイマーリレー92は、オン信号が入力信号INとして入力されることで内蔵タイマーをリセットスタートさせる。
この後、タイマーリレー92は、出力T1に対して設定している時間t1(例えば、2sec〜8sec内で設定された時間)が経過すると、出力T1をHighレベルとする。これにより、タイマー回路72Aでは、LED96G(ランプ100G)が消灯する。また、タイマーリレー92は、出力T2に対して設定している時間t2(例えば、7sec〜13sec内で設定された時間)が経過すると、出力T2をHighレベルとする。これにより、タイマー回路72Aでは、LED96R(ランプ100R)が消灯する。
ここで、タイマー回路72Aでは、時間t1を時間t2より所定の時間だけ短くしている(t1<t2)。これにより、タイマー回路72Aは、フットスイッチ94がオンすることでリセットされ、フットスイッチ74のオフでLED96G、96Rを点灯させる。この後、入力信号INが入力されると時間計測を開始し、LED96G、96Rを順に停止させる。
オペレータは、タイマー回路72AのLED96G、96Rの点灯/消灯に合わせてランプ100G、100Rが点灯/消灯することで、フットスイッチ74の操作に合せた作業のタイミングを把握することができる。このとき、オペレータには、ランプ100Gの消灯がランプ100Rの消灯の予告として認識される。
一方、図5に示すように、タイマー回路72Bは、ディレイ回路94に加えワンショット回路102を備える。また、タイマー回路72Bでは、タイマーリレー92の出力T1に応じてLED98Gが点灯/消灯され、タイマーリレー92の出力T2に応じてLED98Rが点灯/消灯される。
タイマー回路72Bには、ディレイ回路94及びワンショット回路102に、センサスイッチ76を介して例えば圧力センサ40が接続されている。また、ディレイ回路94及びワンショット回路102には、プルダウン抵抗104が接続している。さらに、ディレイ回路94及びワンショット回路104には、例えば、シーケンサ70が、電源ユニット80の動作/動作停止に応じて出力する電源信号が入力される。なお、電源信号は、シーケンサ70が昇圧装置12の動作を停止するために電源ユニット80又は安定化電源84を停止することでオフとなる。また、圧力センサ40の検出圧力に基づいた出力(圧力信号)は、圧力センサ40の検出圧力が予め設定している圧力Psに達することでシーケンサ70がオン信号を出力する。
図6(B)には、タイマー回路72Aのタイミングチャートを示している。タイマー回路72Bでは、昇圧装置12へ電力を供給する電源ユニット80が動作していると、電源信号がオン(Highレベル)に維持され、昇圧装置12の動作を停止させるためにシーケンサ70が電源ユニット80を停止すると、電源信号がオフする。
シーケンサ70は、センサスイッチ76がオンされると圧力センサ40により圧力を検出する。また、シーケンサ70は、圧力センサ40の検出圧力が圧力Psに達することで、圧力信号をオンする。また、シーケンサ70は、圧力信号をオンすると共に、昇圧装置12への電力供給を停止し、電源信号としてオフ信号を出力する。
タイマー回路72Bでは、電源信号がオフし、圧力センサ40の検出圧力に応じたオン信号が、ディレイ回路94及びワンショット回路102に入力される。ワンショット回路102は、オン信号が入力されることで、ワンショットパルスのリセット信号Restを出力する。また、ディレイ回路94は、圧力信号のオンタイミングに対して所定の遅延時間tdだけ遅らせて入力信号INとなる信号を出力する。
タイマーリレー92は、リセット信号Rest及び入力信号INに基づいて出力T1、T2を変化させることで、LED98G、LED98Rの点灯/消灯を行う。このとき、時間t1を時間t2より所定の時間だけ短くすることで、タイマー回路72Bは、圧力センサ40の検出圧力が圧力Psに達して電源ユニット80(昇圧装置12)が停止すると、タイマーリレー92がリセットされる。その後、タイマー回路72Bのタイマーリレー92は、タイマー回路72Aのタイマーリレー92と同様のタイミングで、遅延時間tdが経過するとLED98G、98Rを点灯させ、入力信号INが入力されてからの経過時間(時間t1、t2)に応じてLED98G、98Rを順に消灯する。
これによりオペレータは、タイマー回路72BのLED98G、98Rの点灯/消灯にあわせてランプ100G、100Rが点灯、消灯することで、圧力センサ40の検出圧力が圧力Psに達して昇圧装置12の動作を停止させてからの検査作業のタイミングを把握することができる。
なお、ここでは、タイマー回路72A、72Bの時間t1、t2を区別せずに説明したが、時間t1、t2は、タイマー回路72A、72Bごとに適用する検査作業に合せた異なる時間に設定されるものであって良い。
ランプユニット90には、例えば、電磁弁54、56の操作状態に応じて点灯されるランプ104を含む。図1に示すように、このランプ104は、検査装置10の前面パネル20Aに、ランプ100G、100Rと異なる色(例えば、オレンジ色)に点灯されるように設けられる。これにより、オペレータは、例えば、検査装置10内の圧縮空気の通過経路が初期状態であるか否かの確認が可能となる。
以下に、本実施の形態の作用として、検査装置10を用いた昇圧装置12の検査を説明する。
検査装置10には、昇圧装置12に対する検査項目として、昇圧装置12の電流検査、リリーフ圧検査、ケージ精度検査、漏洩検査が設定されており、これらの検査が、予め設定された順序で実行される。検査装置10では、昇圧装置12に設けられている圧力計120の計測圧力、安全弁132のリリーフ圧に基づいてフィルタレギュレータ44、46、精密レギュレータ48、50、ハイリリーフレギュレータ52の設定圧力が調整されている。
検査装置10は、切換弁32、34及び電磁弁54、56を操作することで、検査項目に合せて圧縮空気を通す配管経路を切り換える。また、検査装置10では、検査項目に応じてフットスイッチ74、センサスイッチ76、電圧切換スイッチ78を操作すると共に、昇圧装置12の動作(運転/停止)を行う。図7には、検査項目ごとの切換弁32、34、電磁弁54、56、フットスイッチ74、圧力センサスイッチ76、電圧切換スイッチ78及び昇圧装置12の操作状態の一覧を示している。
図8には、検査装置10を用いた検査処理の流れを示している。検査装置10では、最初のステップ200で初期設定を行う。この初期設定では、昇圧装置12をテーブル22のワーク置き部24に載せる。また、初期設定では、昇圧装置12のジョイントホース128に設けているバルブアダプタ130を入力継手26に接続すると共に、電源ケーブル122のプラグ124を、検査装置10の前面パネル20Aに設けているソケット182に差し込む。
これにより、昇圧装置12の試験動作が可能となると共に、検査装置10と昇圧装置12との間で圧縮空気を流通させることができる。なお、外部圧力源30は、予め検査装置10の外部入力継手28に接続されている。
初期設定が終了し、昇圧装置12の検査準備が完了すると、ステップ202へ移行して電流検査を行う。電流検査では、昇圧装置12へ供給する電圧をH電圧に設定する。
図9には、電流検査処理の概略を示している。このフローチャートでは、電圧切換スイッチ78がH電圧に切り換えた状態(前記初期状態)で実行され、最初のステップ220で、昇降装置12の電源スイッチ118をオンする。次のステップ222では、昇降装置12が始動したか否かを確認する。
オペレータは、昇圧装置12の始動を確認すると、ステップ222で肯定判定してステップ234へ移行する。このステップ234では、タイマー回路72Aを用いて昇圧装置12を始動させてからの経過時間を計測し、次のステップ226で予め設定した時間(例えば、時間ts=10sec)が経過したか否かを確認する。
図10には、電流検査における圧縮空気の経路を実線で示している。検査装置10では、電流検査を行う場合に、切換弁32をポート32Aに切り換え、電磁弁54をオフする(閉じる)。これにより、昇圧装置12から供給される圧縮空気は、電磁弁54で止められる。したがって、検査装置10にバッファタンク60が設けられていても、短時間で昇圧装置12を最大負荷とすることができる。
昇圧装置12の消費電流が最大となるのは、コンプレッサ(コンプレッサユニット)が最大負荷となったときであり、コンプレッサの最大負荷となった状態は、安全弁132が作動する高圧時である。すなわち、検査装置10では、電磁弁56をオフすることで、昇圧装置12から供給される圧縮空気が溜まる容積を少なくして、短時間で昇圧装置12が最大負荷に達するようにしている。
タイマー回路72Aでは、時間t2を設定時間tsに設定することで、フットスイッチ74が操作されると、ランプ100G、100Rを点灯させる。この後、タイマー回路72Aは、所定時間(時間t1)が経過するとランプ100Gを消灯させ、経過時間が時間t2に達すると、ランプ100Rを消灯させる。
このタイマー回路72Aにおいて、時間t2を昇圧装置12の負荷が最大に達する設定時間tsに設定することで、ランプ100G、100Rの消灯を目安とすることができる。
図9のフローチャートでは、所定時間(時間ts)が経過してステップ226で肯定判定されると、ステップ228で、オペレータが前面パネル20Aに取り付けている電流計88の示す電流値を読み込む。次のステップ230では、電流値が予め設定している範囲内(基準内)か否かを確認する。
一般に車両のバッテリからソケットを介して出力される電圧はN電圧(例えば12V)であるが、車両がエンジン(内燃機関)を駆動源とする場合、昇圧装置12は、エンジン始動状態で使用される。このために、昇圧装置12には、N電圧以上の電圧が供給されることがある。
また、昇圧装置12の消費電力は、コンプレッサを駆動するモータ及びモータの負荷によって定まるが、例えば、ピストンの摩擦抵抗などによっても消費電力が変化し、摩擦抵抗が大きいと消費電力も増加する。すなわち、昇圧装置12では、組み付けられている各部品、及び各部品の組み付け状態に応じて少なからずモータの負荷が異なる。ここから、検査装置10では、車両のエンジンが始動状態で供給される最大電圧を超えるH電圧で昇圧装置12の電流検査を行う。
電流計88の示す電流値が基準内であると、ステップ230で肯定判定してステップ232へ移行し、昇圧装置12の電源スイッチ118をオフして、昇圧装置12を停止する。これにより、昇圧装置12の停止が確認されると、ステップ234で肯定判定して、昇圧装置12の電流検査を完了する。
なお、昇圧装置12の始動が確認されなかった場合は、ステップ222で否定判定され、電流計88によって計測された電流値が基準として設定している電流値を超えている場合は、ステップ230で否定判定される。また、電源スイッチ118をオフしたにもかかわらず昇圧装置12の停止が確認されなかった場合は、ステップ234で否定判定される。ステップ222、ステップ230又はステップ234の何れかで否定判定された場合は、ステップ236へ移行することで、その段階で当該昇圧装置12に対する検査を終了する。
このように、検査装置10では、高い電圧で昇圧装置12の電流検査を行うことで、車両のタイヤのパンク修理中に、昇圧装置12が車両に設けているフューズを溶断させてしまうのを防止できる。
図8のフローチャートでは、昇圧装置12の電流検査が完了するとステップ204へ移行し、リリーフ検査を行う。なお、電流検査において検査終了とされている場合、ステップ204以降の実行は不要となる(当該昇圧装置12に対する検査中止)。
リリーフ検査では、昇圧装置12に設けている安全弁132の作動が適正か否かを、昇圧装置12に設けている圧力計120を用いて確認する。
図11には、リリーフ圧検査処理の概略を示している。リリーフ圧検査は、電圧切換スイッチ78をH電圧からN電圧に切り換えて実行される(図7参照)。また、リリーフ圧検査では、前記した電流検査における処理と同等の処理を行う部分があり、図11では、図9と同等の処理操作について図9のステップ番号を付記している。
このフローチャートでは、最初のステップ240で、昇降装置12の電源スイッチ118をオンする。次のステップ242では、昇圧装置12が始動したか否かを確認する。昇圧装置12の始動が確認されると、ステップ242で肯定判定してステップ244へ移行する。このステップ244では、タイマー回路72Aを用い、昇圧装置12を始動させてからの経過時間の計測を開始し、次のステップ246で予め設定した時間(例えば、時間ts=10sec)が経過したか否かを確認する。
図12に示すように、リリーフ圧検査を行う場合、切換弁32がポート32Aに切り換えられ、電磁弁56が閉じられている。電源ユニット80から昇圧装置12に供給する電圧が異なるのみで、切換弁32及び電磁弁56の状態は、前記した電流検査と同等の状態となっている(図10参照)。したがって、リリーフ圧検査の前に電流検査を行うことで、検査装置10の内部が与圧状態であり、検査装置10では、昇圧装置12から圧縮空気が供給される管路内の圧力を短時間で安全弁132のリリーフ圧まで上昇させることができる。
リリーフ圧検査では、圧力上昇により管路内の圧力が安全弁132の作動圧力に達することで、昇圧装置12の安全弁132が作動して圧力上昇を抑える。
図11のフローチャートでは、予め設定した時間が経過し、ステップ246で肯定判定すると、ステップ248へ移行し、昇圧装置12の圧力計120の指針の指す数値(指示している圧力)を読み取る。次のステップ250では、圧力計120の示す圧力が基準内であるか否か確認する。すなわち、安全弁132に設定されているリリーフ圧に対して、圧力計120の指針の示す数値が高くなり過ぎていないか又は低くなり過ぎていないかを確認する。
昇圧装置12では、安全弁132が作動することで圧力計120の指針は、安全弁132のリリーフ圧を示す。ここで、安全弁132のリリーフ圧が適正でない場合、又は圧力計120が適正な圧力を検出できない場合には、圧力計120の指針の示す数値が基準値又は基準範囲を外れる。
ここから、圧力計120の指針の示す数値が許容範囲内であれば、安全弁132のリリーフ圧が適正であるとして、ステップ250で肯定判定して、ステップ252へ移行する。このステップ252では、昇圧装置12の電源スイッチ118をオフし、この後に、昇圧装置12の停止が確認されると、ステップ254で肯定判定して、リリーフ圧検査を完了する。
なお、ステップ242で否定判定された場合、ステップ250で否定判定された場合、及びステップ254で否定判定された場合は、ステップ256へ移行し、昇圧装置12に対する検査処理を終了する。
このように、昇圧装置12に設けている安全弁132のリリーフ圧の検査を、昇圧装置12に設けている圧力計120を用いて行うことで、安全弁132のリリーフ圧の異常又は圧力計120の計測不良の少なくとも一方を検査することができる。
なお、ここでは、昇圧装置12に設けている圧力計120の指針の示す数値に基づいて検査を行ったが、昇圧装置12の圧力計120の指針の示す数値(圧力)と、検査装置10に設けている圧力計38の指針の示す数値とを比較することで、圧力計38又は安全弁132の何れが適切かを判定しても良い。
一方、図8のフローチャートでは、昇圧装置12のリリーフ圧検査が完了するとステップ206へ移行し、昇圧装置12に設けている圧力計120のゲージ精度検査を行う。
検査装置10では、設定圧力としてそれぞれが異なる調整圧力に設定した2つの精密レギュレータ48、50を設けている。精密レギュレータ48、50の調節圧力は、昇圧装置12の安全弁132のリリーフ圧よりも低く、かつ、精密レギュレータ48、50の一方の調整圧力を、他方の調節圧力より低く設定している。なお、本実施の形態では、精密レギュレータ48の調整圧力を、精密レギュレータ50の調節圧力より高くしており、以下では、精密レギュレータ48を用いて昇圧装置12へ圧縮空気を供給する系統を高圧側、精密レギュレータ50を用いて昇圧装置12へ圧縮空気を供給する系統を低圧側として説明する。
例えば、精密レギュレータ48、50の調整圧力は、昇圧装置12の安全弁132のリリーフ圧が300kPaである場合、高圧側の精密レギュレータ48を250kPa、低圧側の精密レギュレータ50の調整圧力を200kPaに設定する。なお、調整圧力の組み合わせはこれに限るものではない。
図13には、ゲージ精度検査(圧力計精度検査)の処理の概略を示している。検査装置10では、ゲージ精度検査を行う場合、昇圧装置12を停止状態とし、最初のステップ260では、昇圧装置12への圧縮空気の供給系統を高圧側に設定する。
図14(A)に示すように、高圧側のゲージ精度検査を行う場合、切換弁32がポート32B側に切り換えられ、切換弁34がポート34A側に切り換えられる。これにより、外部圧力源30から精密レギュレータ48を経て昇圧装置12に至る圧縮空気の流通経路が形成される。
これにより、外部圧力源30から供給される圧縮空気が、精密レギュレータ48を通過する。また、切換弁34を通過した圧縮空気は、切換弁32がポート32Bに切り換えられていることで、切換弁32を通過して昇圧装置12に至る。このとき、昇圧装置12のコンプレッサが停止していることで、昇圧装置12の圧力計120には、精密レギュレータ48によって調整された圧力が付与される。
図13のフローチャートでは、次のステップ262で、昇圧装置12の圧力計120の指針(圧力計120の指す圧力)を読み取る。次のステップ264では、読み取った圧力が精密レギュレータ48によって調整された圧力を基準として所定の範囲内であるか否かを確認する。
ここで、圧力計120の指針の示す数値が精密レギュレータ48の調整圧力を基準とした所定の誤差範囲内であれば、ステップ264で肯定判定してステップ266へ移行する。このステップ266では、昇圧装置12への圧縮空気の供給系統を低圧側に切り換える。
図14(B)に示すように、低圧側のゲージ精度検査を行う場合、切換弁32はポート32B側のままで、切換弁34をポート34B側に切り換える。これにより、外部圧力源30から精密レギュレータ50を経て昇圧装置12に至る圧縮空気の流通経路が形成される。
図13のフローチャートでは、次のステップ268で、昇圧装置12の圧力計120の指針の示す数値を読み取る。次のステップ270では、読み取った圧力が精密レギュレータ50によって調整された圧力を基準として所定の範囲内であるか否かを確認する。
これにより、圧力計120の指針の示す数値が精密レギュレータ50の調整圧力を基準とした所定の誤差範囲(基準範囲)内であると確認すると、ステップ270で肯定判定してゲージ精度検査を完了する。
なお、このゲージ精度検査では、高圧側と低圧側の少なくとも一方で、圧力計120の指針の示す数値が基準範囲を外れ、ステップ264又はステップ270で否定判定されると、ステップ272へ移行して、昇圧装置12に対する検査処理を終了する。また、ここでは、高圧側の検査を先に行ったが、低圧側の検査を先に行うようにしても良い。
図8のフローチャートでは、ゲージ精度検査を完了すると、ステップ280へ移行して昇圧装置12に対する漏洩検査を行う。この漏洩検査では、昇圧装置12のコンプレッサ(コンプレッサユニット112)からジョイントホース128のバルブアダプタ130までの間で、圧縮空気の漏れが発生していないか否かを確認する。
また、検査装置10では、漏洩検査に前記したタイマー回路72Bを用いており、このとき、圧力センサ40の検出圧力に対する設定圧力Paを、昇圧装置12に設けている安全弁132のリリーフ圧力(例えば、300kpa)に設定している。
図15には、漏洩検査の処理の流れを示している。このフローチャートでは、最初のステップ280で昇圧装置12の電源スイッチ118をオンする。これにより、検査装置10が昇圧装置12の始動/停止を制御できるようにする。
図16(A)に示すように、検査装置10では、漏洩検査を行う場合、昇圧装置12への電源供給を停止している。また、検査装置10では、切換弁32をポート32A側に切り換えると共に電磁弁56を開く(オンする)ことで、昇圧装置12とバッファタンク60との間で圧縮空気の流れる流路を形成している。これにより、昇圧装置12が始動することで生成される圧縮空気が、バッファタンク60へ向けて送られるようにしている。
一方、検査装置10では、漏洩検査時に電磁弁54が開かれている(図7参照)。これにより、バッファタンク60には、外部圧力源30の圧縮空気が、ハイリリーフレギュレータ52を通して供給されている。すなわち、検査装置10では、外部圧力源30から供給される圧縮空気によりバッファタンク60を与圧状態としておいて漏洩検査を行う。
前記したようにバッファタンク60には、ハイリリーフレギュレータ52を介して外部圧力源30の圧縮空気が供給される。このときに、ハイリリーフレギュレータ52は、バッファタンク60内の圧力を制限する。検査装置10では、ハイリリーフレギュレータに設定される調節圧力が制限圧力となって、バッファタンク60の与圧圧力を設定する。本実施の形態では、一例として、一例としてハイリリーフレギュレータ52の調整圧力を150kPaに設定している。
また、検査装置10では、漏洩検査に先立ってゲージ精度検査を行っている。図14(A)及び図14(B)に示すように、ゲージ精度検査を行っているときには、電磁弁54を開くと共に電磁弁56を閉じ、外部圧力源30からバッファタンク60に至る圧縮空気の流路を形成している。これにより、検査装置10では、漏洩検査に先立ってバッファタンク60を与圧状態としておくことができ、ゲージ精度検査から漏洩検査へ円滑に移行できる。
図15のフローチャートでは、次のステップ282で図示しない検査スイッチをオンすることで、シーケンサ70が作動し、例えば、以下のステップ284〜300までの処理を実行する。なお、シーケンサ70は、タイマー回路72Bを動作させるときにセンサスイッチ76をオンしており、漏洩検査では、このセンサスイッチ76を検査スイッチとして用いることもできる。
シーケンサ70は、先ずステップ284で、圧力センサ62によって検出するバッファタンク60内の圧縮空気の圧力を読み込み、ステップ286では、検出圧力が予め設定した所定値(例えば、圧力が210kPa)以下であるか否かを確認する。なお、バッファタンク60には、既に、ハイリリーフレギュレータ52を介して外部圧力源30から供給されているので少なくともハイリリーフレギュレータ52の調整圧力に達していると判断される。また、前回の昇圧装置12の検査を行ったときにバッファタンク60内の圧縮空気の排気を忘れ、圧力が予め設定した所定値を超えている場合がある。このときには、ハイリリーフレギュレータ52により圧縮空気が排出されるので、バッファタンク60内の圧力が設定している所定値まで降下するのを待つ。
圧力センサ62によって検出する圧力が所定値以下となると、ステップ286で肯定判定してステップ288へ移行し、電圧切換部86を操作するなどして、昇圧装置12への電力供給を開始する。これと共に、ステップ290では、タイマー回路72Bへの電源信号をオンし、ステップ292では、外部圧力源30側の電磁弁54をオフする。
これにより、図16(B)に示すように、昇圧装置12からバッファタンク60までの圧縮空気の通る経路が形成される。また、昇圧装置12は、電源ユニット80から供給される電力で始動し、圧縮空気をバッファタンク60へ送り込む。これにより、昇圧装置12からバッファタンク60の間の圧力上昇が図られる。ここで、バッファタンク60内の圧力上昇を図る場合、外部圧力源30から供給される圧縮空気を用いることができるが、検査装置10では、昇圧装置12を始動させ、暖機状態とする。これにより、検査装置10では、実際の使用中に昇圧装置12が停止した場合の漏洩を検査することができる。
図15のフローチャートでは、次のステップ294により昇圧装置12側の圧力センサ40によって検出する圧力Pを読み込む(圧力Pの検出)。次のステップ296では、検出した圧力Pが設定圧力Psに達しているか否かを確認する。なお、この設定圧力Psは、昇圧装置12に設けている安全弁132のリリーフ圧を適用するが、設定圧力Paは、安全弁132のリリーフ圧以下であれば良いが、リリーフ圧以下の圧力範囲内で高い圧力であることが好ましい。
ここで、昇圧装置12から供給される圧縮空気をバッファタンク60に蓄積することで圧力センサ40の検出圧力Pが上昇し、設定圧力Psに達すると(P≧Ps)、ステップ296で肯定判定してステップ298へ移行する。このステップ298では、電源ユニット80をオフするなどして昇圧装置12への電力供給を停止する。これにより、昇圧装置12による圧縮空気の生成及び供給が停止し、昇圧装置12に圧縮空気の漏洩があると、バッファタンク60内の圧縮空気が昇圧装置12へ流れる(図16(C)参照。)
これと共に、シーケンサ70は、ステップ300で、タイマー回路72Bに出力する電源信号をオフし、かつ、圧力信号をオンする。これにより、タイマー回路72Bがリセット/スタートされる。
タイマー回路72Bがリセット/スタートされることで、検査装置10は、前面パネル20Aに設けているランプ100G、100Rが点灯し、経過時間に応じて、ランプ100G、ランプ100Rの順に消灯する。
ここで、オペレータがランプ100G、100Rの点灯/消灯により予め設定した時間(例えば10sec)が経過したことを確認すると、ステップ302で肯定判定してステップ304へ移行する。ステップ304では、オペレータが、昇圧装置12に設けている圧力計120の示す圧力(指針の示す数値)を読み取り、次のステップ306では、圧力変化が予め設定している基準の範囲内であるか否かを確認する。
これにより、圧力変化が少なければ、昇圧装置12に漏洩が生じていない判断する(ステップ306で肯定判定)と、漏洩検査を完了する。なお、圧力変化が大きい場合、昇圧装置12に漏洩が生じている可能性がある。この場合、ステップ306で否定判定されることで、ステップ308へ移行し、昇圧装置12に対する検査処理を終える。
このように、検査装置10では、タイマー回路72Bを用いることで、オペレータが時計を見ながら時間を計測することなく、ランプ100Rの消灯により経過時間を判断することができる。このとき、検査装置10では、ランプ100Gを用いてランプ100Rの消灯タイミングを予測できるようにしている。したがって、ランプ100Rの点滅で圧力計120の指針の示す数値を読み取る場合でも、読み取りタイミングが大きくずれてしまうことがない。
一方、圧縮空気を蓄積するタンクを持たない昇圧装置12に対する漏洩検査を行う場合、管路内に蓄積した圧縮空気のみでは、適正な漏洩検査が困難となる。すなわち、圧縮空気を管路内のみに蓄積した場合、圧縮空気の蓄積量が少なく、短時間に圧力が変化する。このために、圧力の変化程度の判断が困難となり、適正な漏洩検査の判定ができない場合がある。
ここで、検査装置10では、バッファタンク60を設けることで、蓄積する圧縮空気の量を多くしている。これにより、昇圧装置12に対して漏洩が生じていないと判断される範囲では、圧力変化はきわめて小さい。また、昇圧装置12に漏洩が生じていると判断される場合であっても、圧力変化は緩やかとなる。
したがって、昇圧装置12に設けている圧力計120を用いて圧力変化を検出する場合でも、圧力計120の指針の示す数値の読み取りが極めて容易であり、また、読み取った数値(目盛り)から、漏洩の有無の的確な判断が可能となる。
一般に、バッファタンク60を設けることは、バッファタンク60に所定の圧力まで圧縮空気を充填するのに時間が掛かる。これに対して、検査装置10では、複数の検査項目の中で漏洩検査を先に行わず、外部圧力源30から供給される圧縮空気を用いるゲージ精度検査の後に漏洩検査を行う。また、検査装置10では、ゲージ精度検査を行っている間に、外部圧力源30から圧縮空気をバッファタンク60へ供給する。これにより、検査装置10では、バッファタンク60を用いる漏洩検査を行うまでにバッファタンク60を与圧状態とし、漏洩検査を行うときにバッファタンク60内を所定圧にするための時間を短縮している。
一方、検査装置10では、レギュレータ(精密レギュレータ)48、50及び外部圧力源30から供給される圧縮空気を用いることで、昇圧装置12を動作させることなく、圧力計120の検査を行う。外部圧力源30は、昇圧装置12と比較して単位時間あたりの空気(圧縮空気)の供給量が多い。このために、レギュレータ48、50を用いた圧力計120の検査を迅速に行うことができる。
また、昇圧装置12は、外部圧力源30と比較して、単位時間当たりに供給する空気量は少ない。このため、昇圧装置12から供給する圧縮空気を用いて圧力計120の指針が予め設定した数値を示すようにしても、指針の振れが不安定となる。これに対して、検査装置10では、外部圧力源30から供給する圧縮空気を用いることで圧力計120の指針の振れを安定させることができる。
更に、検査装置10では、外部圧力源30から供給される圧縮空気を用いて、予めバッファタンク60内を与圧しているので、バッファタンク60内の圧力を所定の圧力とするための時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、外部圧力源30を用いてバッファタンク60の与圧を行うようにしたが、バッファタンク60の与圧は、例えば、電流検査、リリーフ圧検査を行ったときに、昇圧装置10の停止前に電磁弁54を閉じると共に電磁弁56を開き、昇圧装置10を停止させるタイミングで、電磁弁56を閉じるようにしても良い。このようにして、バッファタンク60に圧縮空気を徐々に蓄積されるようにしても良い。このとき、検査装置10では、バッファタンク60の容量が、液剤容器16の容量と同程度で一般的なタンクと比較して少ない容量としていることで、容易にバッファタンク60の圧状態を得ることが可能となる。
また、本実施の形態では、昇圧装置12の検査順序を電流検査、リリーフ圧検査、ゲージ精度検査及び漏洩検査の順序で行ったが、検査順序はこれに限るものではない。例えば、昇圧装置12の始動が確認されていれば、任意の順序で行うことができる。また、本実施の形態では、電流検査とリリーフ圧検査を分けて行っているが、電流検査とリリーフ圧検査を同時に行うようにしても良い。
すなわち、リリーフ圧検査は、昇圧装置12を最大負荷で動作させるものであり、このリリーフ圧検査を行うときに、昇圧装置12に供給する電力をH電圧とすれば良い。
なお、以上説明した本実施の形態では、オペレータが検査装置10を操作し、必要に応じてシーケンサ70が処理を実行することで、昇圧装置12の検査を行うように説明したが、これに限らず、コンピュータが検査プログラムを実行することで、各処理を行うように構成することもできる。
この場合、例えば昇圧装置12の圧力計120の指針の示す数値の読み取りなどは、カメラなどの撮像装置を用いて圧力計120の表示を撮像し、撮影画像に対して画像処理を行うことで、指針の指す数値を認識するなどの構成を適用することができる。
また、以上説明した本実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明に適用する装置及び部品を限定するものではない。本発明は、開示した機能を有するものであれば任意の構成を適用することができる。